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JPWO2004040366A1 - プロジェクタ - Google Patents

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JPWO2004040366A1
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史江 河合
西田 和弘
和弘 西田
成松 修司
修司 成松
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Abstract

液晶パネル(250,252,254)から射出された赤、緑、青の各色光を合成するクロスダイクロイックプリズム(260)と、そこで合成された光を投写する投写レンズ(270)とを有し、液晶パネル(250,252,254)とクロスダイクロイックプリズム(260)との光路間に偏光板(251,253,255)を備えるプロジェクタにおいて、赤色光による投写画面の少なくとも所定の方向に沿ったサイズを他の色光による投写画面の所定の方向に沿ったサイズにほぼ等しくするように調整するレンズ要素(256)を、赤色光路中の偏光板(251)の片面に一体形成してなる倍率色収差補正用光学要素として備える。

Description

本発明は、プロジェクタ、特にその投写画面の倍率色収差の補正に関する。
カラー画像を投写して表示するプロジェクタは、照明光学系、色光分離光学系、分離された各色光毎の液晶パネル、色光合成光学系、及び投写光学系を備えている。そして、照明光学系からの光が色光分離光学系で赤、緑、青の3つの色光に分離され、それぞれの色光が液晶パネルで変調されて各色光毎の画像が生成された後、それらが色光合成光学系で合成されて、投写光学系から投写される。投写光学系は、合成された3つの色光を投写スクリーン上で結像させ、投写スクリーン上にカラー画像を投写する。しかし、投写光学系は、通常、倍率色収差を有してるため、各色光ごとの投写画面の大きさが異なってしまうという問題を有している場合が多い。これに対しては、投写光学系を構成するレンズセット中に倍率色収差補正用レンズを含めることもできるが、それでは投写光学系を大きくしてしまう。このため、電気光学装置の出射面から色光合成光学系の入射面との間、具体的には色光合成プリズムの入射面に、レンズ要素またはプリズム要素を備えて、投写光学系を大きくすることなしに上記倍率色収差を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、色光合成光学系である色合成プリズムのダイクロイック面を凸面状あるいは凹面状としたものもある(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1:特開2000−206450号公報(請求項1、図1)
特許文献2:特開平11−38210号公報
しかしながら、電気光学装置の出射面から色光合成プリズムの入射面までの隙間は狭く、そこに独立したレンズ要素やプリズム要素を配置することは、上記隙間をさらに狭めて電気光学装置のクーリング性を低下させることになる。また、色光合成プリズムの入射面にレンズ要素やプリズム要素を形成することは、色光合成プリズムの形状や機能を考慮すると、実際には加工することが困難な場合が多い。
本発明は、プロジェクタの上記課題に鑑みてなされたものであり、電気光学装置の出射面から色光合成光学系の入射面までの間に倍率色収差補正用光学要素を配置して投写光学系の倍率色収差を補正するに際して、電気光学装置のクーリング性及び加工性の両面から再考慮した、新たな構成を提供するものである。
本発明のプロジェクタは、照明光を射出する照明光学系と、前記照明光を赤、緑、青の各色光に分離する色光分離光学系と、前記色光分離光学系で分離された各色光を入射して各色の画像信号に応じて各色の画像を形成するための光に変換して射出する各色光に対応した電気光学装置と、前記電気光学装置から射出された各色光を合成する色光合成光学系と、前記色光合成光学系で合成された光を投写する投写光学系とを有し、前記電気光学装置と前記色光合成光学系との色光光路間に偏光板を備えるプロジェクタにおいて、前記3つの色光のうち少なくとも1つの色光による投写画面の少なくとも所定の方向に沿ったサイズを、他の色光による投写画面の前記所定の方向に沿ったサイズにほぼ等しくするように調整する光学要素を、前記偏光板の片面に一体形成してなる倍率色収差補正用光学要素として備えたことを特徴とする。
これによれば、偏光板と倍率色収差補正用光学要素とが1枚の基板にまとまるためスペースの効率的利用が可能となり、電気光学装置のクーリング性の低下を最小にとどめることができる。また、偏光板にレンズ要素又はプリズム要素などの倍率色収差補正用光学要素を一体形成する方が、色光合成プリズムに倍率色収差補正用光学要素を一体形成するよりも容易であるという利点もある。
また、上記の場合において、赤色光の光路に備えられる前記偏光板の母材をガラス又は光透過性樹脂とし、緑色光と青色光の光路に備えられる前記偏光板の母材をサファイア又は水晶とし、前記赤色光の光路にのみ前記倍率色収差補正用光学要素を備えてもよい。赤色光の光路の偏光板は他の色光の光路のそれらに比較して温度に対して余裕があるので、赤色光に対する偏光板の母材として熱伝導率のよい水晶やサファイアに代えて、それらより加工性の良いガラス又は樹脂を用いることができる。従って、赤色光に対する偏光板には、その母材を利用してレンズ要素やプリズム要素を一体形成するのが容易となる。
本発明のプロジェクタは、また、照明光を射出する照明光学系と、前記照明光を赤、緑、青の各色光に分離する色光分離光学系と、前記色光分離光学系で分離された各色光を入射して各色の画像信号に応じて各色の画像を形成するための光に変換して射出する各色光に対応した電気光学装置と、前記電気光学装置から射出された各色光を合成する色光合成光学系と、前記色光合成光学系で合成された光を投写する投写光学系とを有し、前記電気光学装置と前記色光合成光学系との色光光路間に視野角補正フィルムを備えるプロジェクタにおいて、前記3つの色光のうち少なくとも1つの色光による投写画面の少なくとも所定の方向に沿ったサイズを、他の色光による投写画面の前記所定の方向に沿ったサイズにほぼ等しくするように調整する光学要素を、前記視野角補正フィルムの片面に一体形成してなる倍率色収差補正用光学要素として備えたことを特徴とする。
これによれば、視野角補正フィルムと倍率色収差補正用光学要素とが1枚の基板にまとまるためスペースの効率的利用が可能となり、電気光学装置のクーリング性の低下を最小にとどめることができる。また、視野角補正フィルムにレンズ要素又はプリズム要素などの倍率色収差補正用光学要素を一体形成する方が、色光合成プリズムに倍率色収差補正用光学要素を一体形成するよりも加工がし易い。
さらに、上記各プロジェクタにおいて、システム光軸に互いに直交する2方向の内、少なくとも1方向に前記投写光学系の光軸を平行シフト(平行移動)させる場合、それに追従させて、前記倍率色収差補正用光学要素の光軸を所定の方向へ平行シフトさせることを特徴とする。これにより、前記投写光学系をシフトした場合にも、投写画像の倍率色収差補正を適切に実行することが可能となる。ここでシステム光軸は、投写光学系より光路上流側に配置される一連の光学素子により形成される仮想的な軸であり、投写光学系に入射する光束の中心軸とほぼ一致する。
なお、上記の場合において、前記光学要素は、前記所定の方向に垂直な母線を含む面内では屈折作用を有せず、前記母線に垂直な面内では屈折作用を有する要素とするのが好ましい。このようにすることで、投写光学系の倍率色収差によって発生する各色の投写画面のサイズの差のうち、母線に垂直な方向に沿った投写画面のサイズの差を低減することができる。
図1は本発明の実施形態に係るプロジェクタの光学系全体を示す構成図。
図2は図1の光学系のクロスダイクロイックプリズム付近の構成を示す平面図。
図3は図2の光学系を備えたプロジェクタの投写画面の状態説明図。
図4は図1の光学系のクロスダイクロイックプリズム付近の別の構成を示す平面図。
図5は図4の光学系を備えたプロジェクタの投写画面の状態説明図。
図6は図1の光学系のクロスダイクロイックプリズム付近のさらに別の構成を示す平面図。
図7は図6の光学系を備えたプロジェクタの投写画面の状態説明図。
図8Aは図2の倍率色収差補正用凸レンズをプリズムで置き換えた場合の偏光板と倍率色収差補正用光学要素との構成図。
図8Bは図4の倍率色収差補正用凹レンズをブリズムで置き換えた場合の偏光板と倍率色収差補正用光学要素との構成図。
図9は図1の光学系のクロスダイクロイックプリズム付近のさらに別の構成を示す平面図。
図10は投写レンズのX軸方向のシフトに対応した倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフト方向を説明する光学系の平面図。
図11は投写レンズのY軸方向のシフトに対応した倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフト方向を説明する光学系の斜視図。
図1は、本発明の実施形態に係るプロジェクタの光学系全体を平面的に見た概略構成図である。このプロジェクタは、照明光学系100と、ダイクロイックミラー210,212と、反射ミラー220,222,224と、入射側レンズ230と、リレーレンズ232と、3枚のフィールドレンズ240,242,244と、電気光学装置である3枚の液晶パネル250,252,254と、各液晶パネルに対応した偏光板251,253,255と、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム(色光合成プリズム)260と、投写光学系である投写レンズ270とを備えている。
照明光学系100は、所定方向へ光線束を射出する光源110と、第1のレンズアレイ120と、第2のレンズアレイ130と、偏光変換素子140と、反射ミラー150と、重畳レンズ160とを備えている。第1のレンズアレイ120と第2のレンズアレイ130とは、照明領域である3枚の液晶パネル250,252,254をほぼ均一に照明するためのインテグレータ光学系を構成している。
光源110は、放射状の光線を射出する放射光源としての光源ランプ112と、光源ランプ112から射出された放射光をほぼ平行な光線束として射出する凹面鏡114とを有している。光源ランプ112としては、通常、メタルハライドランプや高圧水銀灯などの高圧放電灯が用いられる。凹面鏡114としては、放物面鏡を用いることが好ましい。なお、放物面鏡に代えて、楕円面鏡や球面鏡なども用いることができる。
第1のレンズアレイ120は複数の第1の小レンズ122で構成されている。第2のレンズアレイ130は、複数の第1の小レンズ122のそれぞれに対応する複数の第2の小レンズ132で構成されている。光源110から射出された略平行光な光線束は、第1と第2のレンズアレイ120,130によって、複数の部分光線束に分割されて偏光変換素子140に入射する。偏光変換素子140は、非偏光な光を所定の直線偏光光、例えば、s偏光光あるいはp偏光光に変換して射出する機能を有している。従って、偏光変換素子140に入射した複数の部分光線束は、それぞれ所定の直線偏光光に変換されて射出される。偏光変換素子140から射出された複数の部分光線束は、反射ミラー150で反射されて重畳レンズ160に入射する。重畳レンズ160に入射した複数の部分光線束は、重畳レンズ160の重畳作用によって、照明領域である液晶パネル250,252,254上でほぼ重畳される。この結果、各液晶パネル250,252,254は、ほぼ均一に照明されることになる。
2枚のダイクロイックミラー210,212は、照明光学系100から射出された光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する色光分離光学系214を構成している。第1のダイクロイックミラー210は、照明光学系100から射出された光の赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。
第1のダイクロイックミラー210を透過した赤色光は、反射ミラー220で反射され、フィールドレンズ240を通って赤光用の液晶パネル250に達する。このフィールドレンズ240は、通過した各部分光線束が、各部分光線束の主光線(中心軸)に平行な光束となるように集光する機能を有している。他の液晶パネルの前に設けられたフィールドレンズ242,244も同様に作用する。
第1のダイクロイックミラー210で反射された青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー212によって反射され、フィールドレンズ242を通って緑光用の液晶パネル252に達する。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー212を透過し、入射側レンズ230と、リレーレンズ232および反射ミラー222,224を備えたリレーレンズ系を通過する。リレーレンズ系を通過した青色光は、さらにフィールドレンズ244を通って青色光用の液晶パネル254に達する。
なお、青色光にリレーレンズ系が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いために発生する光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ230に入射した青色光をそのまま、射出側レンズ(フィールドレンズ)244に伝えるためである。
電気光学装置である3枚の液晶パネル250,252,254は、それぞれに入射する各色光を、与えられた画像信号に応じて画像を形成するための光に変換して射出する光変調装置としての機能を有する。この液晶パネル250,252,254の光の入射面側と出射面側には、通常、偏光板が設けられていて、それにより各色光の偏光方向が調整される。なお、液晶パネル250,252,254の出射面側の偏光板は、図1中に、251,253,255としてそれぞれ表示されている。
クロスダイクロイックプリズム260は、3枚の液晶パネル250,252,254から射出された3色の色光を合成する色光合成光学系として機能する。クロスダイクロイックプリズム260には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。クロスダイクロイックプリズム260で生成された合成光は、投写レンズ270の方向に射出される。投写レンズ270は、この合成光を投写スクリーン300上に投写して、カラー画像を表示する。
尚、図1に示すようにシステム光軸AXの方向をZ軸(光の進行方向を+Z方向とする。)、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜との交線と平行な方向をY軸(紙面上方向を+Y方向とする。)、Z軸とY軸とに直交する方向をX軸とする(+Z方向に向かって左方向を+X方向とする。)。
ところで、投写レンズ270は、通常、倍率色収差を有しているため、投写レンズ270に入射する光の色、すなわち、光の波長に応じて、投写画面の倍率が変化する。従って、倍率色収差に対する補正がなされていないプロジェクタのスクリーン上においては、図3(a)に示すように、R,G,Bの各色光によって形成された画面IR,IG,IBのサイズが互いに異なってしまう場合があった。なお、図3(a)は、波長の長い方の光から短い方の光へ順に画面が大きくなる場合、すなわち、赤色光の画面IR<緑色光の画面IG<青色光の画面IBとなる場合を示している。
これに対処するため、本発明の実施形態に係る上記プロジェクタには、赤色光の光路に倍率色収差補正用光学要素が組み込まれている。ここでは、その倍率色収差補正用光学要素は、赤色光の光路に配置された偏光板251の出射面に一体形成された倍率色収差補正用凸レンズ256である。その倍率色収差補正用凸レンズ256をわかりやすくするため、図2に図1の光学系のクロスダイクロイックプリズム260付近の構成を示した。この倍率色収差補正用凸レンズ256は、赤色光によるスクリーン上の投写画面のサイズを拡大させて、その投写画面を、緑色光によるスクリーン上の投写画面と青色光によるスクリーン上の投写画面と間に位置させる機能を有している。この結果、上記プロジェクタにおいては、図3(b)に示すように、投写レンズ270の倍率色収差によって発生する各色の投写画面IR,IG,IBのサイズの差が縮小されて、それらがほぼ等しくなる。
また、倍率色収差に対する補正がなされていないプロジェクタのスクリーン上においては、図5(a)に示すように、R,G,Bの各色光によって形成された画面IR,IG,IBのサイズが、波長の短い方の光から長い方の光へ順に画面が大きくなる場合、すなわち、赤色光の画面IR>緑色光の画面IG>青色光の画面IBとなる場合がある。
この様な場合に対しては、図4に示すような光学系を採用することによって対処することができる。ここでは、赤色光路の偏光板251の出射面に倍率色収差補正用光学要素として、倍率色収差補正用凹レンズ257が一体形成されている。この倍率色収差補正用凹レンズ257は、赤色光によるスクリーン上の投写画面のサイズを縮小させて、その投写画面を、緑色光よるスクリーン上の投写画面と青色光によるスクリーン上の投写画面と間に位置させる機能を有している。この結果、上記プロジェクタにおいては、図5(b)に示すように、投写レンズ270の倍率色収差によって発生する各色の投写画面IR,IG,IBのサイズの差が縮小されて、それらがほぼ等しくなる。
ところで、液晶パネルとクロスダイクロイックプリズムとの間に配置される偏光板は、光が透過する際に光を吸収して発熱するため、偏光板を支持する基板は、熱伝導性に優れたサファイアや水晶から製造させるのが好ましい。ただし、赤色光は、緑色光や青色光に比較すると偏光板での発熱量が少ないため、赤色光の光路に配置する偏光板251は、硼珪酸ガラス、石英ガラス等のガラス又は光透過性樹脂をその母材又は基材として用いることができる。ガラス基板や樹脂基板は、サファイア基板等に比べると曲面加工がし易いため、それらの母材からなる偏光板251の出射面を研磨等することによりそこにレンズ要素を一体形成することが容易に可能となる。
なお、図2や図4の場合において、必ずしも、赤色の画面IRのサイズを他の色の画面IGとIBの中間のサイズにする必要はない。例えば、赤色の画面IRのサイズを緑色の画面IGあるいは青緑色の画面IBにほぼ等しくなるようにしてもよい。このようにしても全体として3つの色光の画面サイズのばらつきを減少させることができる。以上のことからわかるように、本発明及びこの明細書における、「画面のサイズがほぼ等しい」とは、3つの画面間のサイズが等しいだけでなく、倍率色収差補正の対策が何らなされない場合に比べて、各画面間のサイズの差が小さくなることも含む意味である。
図6は図1の光学系のクロスダイクロイックプリズム260付近のさらに別の構成を示す平面図である。ここでは、赤色光路に配置された偏光板251の出射面側が、Y軸に平行な母線を有するシリンドリカルな凸面(円柱状凸面のレンズ要素)256Aとなっている。この場合、このシリンドリカルなレンズ要素が倍率色収差補正用光学要素として作用し、図7に示すように、各色の画面IR,IG,IBの画面横方向のサイズをほぼ等しくすることができる(図7に示す(a)から(b)への変化)。すなわち、投写レンズ270の倍率色収差によって発生する各色の投写画面のサイズの差のうち、母線に垂直な方向(X軸方向)に沿った投写画面のサイズの差を低減することができる。なお、図6と図7は、赤色光の画面IR<緑色光の画面IG<青色光の画面IB、となる場合の画面サイズの調整例であるが、画面サイズが赤色光の画面IR>緑色光の画面IG>青色光の画面IB、となる場合には、赤色光路に配置された偏光板251の出射面側を、Y軸に平行な母線を有するシリンドリカルな凹面(円柱状凹面のレンズ要素)とすることで、各色の画面IR,IG,IBの画面横方向のサイズをほぼ等しくできる。
また、Y軸方向の画面のサイズのみを調整する場合には、倍率色収差補正用光学要素として、シリンドリカルな曲面の母線がX軸方向に平行となるように設定されたレンズ要素を有する出射面を備えた偏光板を用いればよい。
図6では偏光板の出射面がシリンドリカルな曲面である場合を例に説明しているが、これに限定される必要はなく、楕円柱状の曲面であってもよい。すなわち、曲面の母線を含む面内では屈折作用を有せず、曲面の母線に垂直な面内では屈折作用を有するような曲面であればよい。ここで、「曲面の母線を含む面内では屈折作用を有せず」とは、曲面を有する面を通過する光の光路を曲面の母線を含む平面上に投影した場合に、投影された光の光路が屈折しないように見えることを意味する。また、「曲面の母線に垂直な面内では屈折作用を有する」とは、曲面を有する面を通過する光の光路を曲面の母線に垂直な平面上に投影した場合に、投影された光の光路が屈折するように見えることを意味する。
さらに、これまでは、偏光板251の出射面の凸面又は凹面を曲面のレンズ形状として形成したが、これらのレンズ形状は曲率半径の大きいごく薄いものである場合が多いため、この曲面を平面で近似しプリズム形状としても良い。図8A、図8Bはそれを示したもので、図8Aは偏光板251の出射面を平面で近似して、Y軸に平行な稜線を有するプリズム形状凸面(角柱状凸面)256Bとしている。また、図8Bは偏光板251の出射面を平面で近似して、Y軸に平行な稜線を有するプリズム形状凹面(角柱状凹面)257Bとしている。このようにしても、各色の画面IR,IG,IBの画面X軸方向のサイズがほぼ等しくなるようにすることができる。すなわち、投写レンズ270の倍率色収差によって発生する各色の投写画面のサイズ差のうち、母線に垂直な方向(画面X軸方向)に沿った投写画面のサイズの差を小さくすることができる。
ところで、これまでは、赤色光、緑色光、青緑色の3つの色光のうち、赤色光の光路に配置された偏光板251にレンズ要素やプリズム要素を形成(又は付加)することについて説明してきたが、緑色光や青緑色の光路に配した偏光板253,255に対して、偏光板251と同様な加工が可能であれば、偏光板251に代えて、あるいは偏光板251とともに、偏光板253又は/及び255に対しても、赤色光、緑色光、青緑色の3つの色光による投写画像サイズの差を全体として減少させるようなレンズ要素やプリズム要素を形成(又は付加)してよい。なお、レンズ要素やプリズム要素の形状は、投写画像サイズをどのように補正するかによって、既に説明した内容に準じて定めることができる。
また、液晶パネル250,252,254とクロスダイクロイックプリズム260との間に、投写画面のコントラストを上げるための視野角補正フィルムが配置されているプロジェクタがあるが、その場合には、上記偏光板に代えて、それらの視野角補正フィルムの出射側に、上記偏光板に付加したと同様のレンズ要素やプリズム要素を形成してもよい。視野角補正フィルムの場合には、光の吸収をあまり考慮しなくてもよいので、色光の種類にかかわらず母材としてガラスや光透過性樹脂が利用できる。従って、視野角補正フィルムにガラスや光透過性樹脂を利用して、投写画面のサイズを調整したい任意の色光光路の視野角補正フィルムに対して加工を施すことができる。図9はその例を示したもので、液晶パネル250,252,254とクロスダイクロイックプリズム260との間に、視野角補正フィルム281,283,285が配置されており、赤色光路の視野角補正フィルム281の出射面に凸レンズ256を、青色光路の視野角補正フィルム285の出射面に凹レンズ257を形成している。この構成は、例えば、画面サイズが、赤色の画面IR<緑色の画面IG<青色の画面IGとなっている場合に、赤色の画面IRのサイズを緑色の画面IGに近づける拡大補正をし、青色の画面IBのサイズを緑色の画面IGに近づける縮小補正をするような場合に利用でき、これにより全体として各色光の画面サイズをほぼ等しくできる。
さらに、プロジェクタには、その投写レンズ270をシステム光軸AXに互いに直交する2方向(X軸方向、Y軸方向)への平行シフト(平行移動)を可能としているものがある。このような場合には、これまで説明してきた偏光板や視野角補正フィルムと一体形成された倍率色収差補正用光学要素256,256A,256B,257,257Bを、投写レンズ270のシフトに追従して所定方向に平行シフト(平行移動)させ、投写画像の倍率色収差補正が適切に実行されるようにしておくのが望ましい。
図10は投写レンズ270の光軸のX軸方向への平行シフトに対応した倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフトの方向を説明する光学系の平面図、図11は投写レンズ270の光軸のY軸方向への平行シフトに対応した倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフトの方向を説明する光学系の斜視図である。なお、ここでは、先述した偏光板と倍率色収差補正用光学要素との合成光学要素を、それぞれ符号290R,290G,290Bとして説明する。
投写レンズ270の光軸をシステム光軸AXに対してX軸方向にシフトする場合は、2種類の誘電体多層膜を透過する色光を補正する合成光学要素290Gの光軸の平行シフトの方向は投写レンズ270の光軸の平行シフトの方向と同じとする。また、2種類の誘電体多層膜の何れかで反射される色光を補正する合成光学要素290R,290Bの光軸の平行シフトの方向は、投写レンズ270の光軸の平行シフトの方向と反対方向となる。これらを図示したのが図10であり、投写レンズ270の光軸の+X方向又は−X方向への平行シフトが実線矢印X1又は破線矢印X2で示され、それに対応する合成光学要素290R,290G,290Bの光軸の平行シフト方向が、同じ実線矢印X1又は破線矢印X2で表示されている。
投写レンズ270の光軸がシステム光軸AXに対してY軸方向に平行シフトする場合は、何れの合成光学要素290R,290G,290Bの光軸も投写レンズ270光軸の移動方向と同じ方向に平行シフトさせる。これを図示したのが図11であり、投写レンズ270の光軸の+Y方向又は−Y方向への平行シフトが実線矢印Y1又は破線矢印Y2で示され、それに対応する合成光学要素290R,290G,290Bの光軸の平行シフト方向が、同じ実線矢印Y1又は破線矢印Y2で表示されている。
なお、これらの場合の合成光学要素290R,290G,290Bの光軸のシフト量は、投写レンズ270の光軸のシフト量と同じくするのが好ましい。しかし、合成光学要素290R,290G,290Bが配置された空間によっては、それらを投写レンズ270と同じ量シフトさせるのが不可能な場合もあり、その場合には投写レンズ270の光軸のシフト量未満の可能な最大量をシフトさせるのがよい。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
偏光板や視野角補正フィルムの片面にレンズ要素又はプリズム要素を一体形成するには、それらの入射面又は出射面にレンズやプリズムを貼りつけたり、紫外線等の光を照射したり、熱を加えたりすることによって硬化する樹脂膜を薄く光入射面上に付けてもよい。また、倍率色収差補正用凸レンズの凸面や倍率色収差補正用凹レンズの凹面は、球面だけでなく非球面であってもよい。
さらに、上記実施形態においては、プロジェクタの電気光学装置として透過型液晶パネルを用いているが、電気光学装置はこれに限られない。例えば、マイクロミラーの角度で反射光を制御して光変調を行うマイクロミラーデバイスを用いても良い。すなわち、電気光学装置には、画像信号に応じて光を変調し画像を形成することのできる種々の装置を利用することができる。
本発明は、プロジェクションテレビ、映画上映、あるいはプレゼンテーションなどに用いられるプロジェクタに利用できる。
符号の説明
100…照明光学系、
214…色光分離光学系、
240,242,244…フィールドレンズ、
250,252,254…液晶パネル、
251,253.255…偏光板、
256…倍率色収差補正用凸レンズ、
257…倍率色収差補正用凹レンズ、
256A…倍率色収差補正用円柱状凸面、
256B…倍率色収差補正用プリズム形状凸面、
257B…倍率色収差補正用プリズム形状凹面、
260…クロスダイクロイックプリズム、
270…投写レンズ、
281,283.285…視野角補正フィルム、
290R,290G,290B…合成光学要素、
300…投写スクリーン。
AX…システム光軸

Claims (11)

  1. 照明光を射出する照明光学系と、前記照明光を赤、緑、青の各色光に分離する色光分離光学系と、前記色光分離光学系で分離された各色光を入射して各色の画像信号に応じて各色の画像を形成するための光に変換して射出する各色光に対応した電気光学装置と、前記電気光学装置から射出された各色光を合成する色光合成光学系と、前記色光合成光学系で合成された光を投写する投写光学系とを有し、前記電気光学装置と前記色光合成光学系との色光光路間に偏光板を備えるプロジェクタにおいて、
    前記3つの色光のうち少なくとも1つの色光による投写画面の少なくとも所定の方向に沿ったサイズを、他の色光による投写画面の前記所定の方向に沿ったサイズにほぼ等しくするように調整する光学要素を、前記偏光板の片面に一体形成してなる倍率色収差補正用光学要素として備えたことを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタであって、赤色光の光路に備えられる前記偏光板の母材をガラス又は光透過性樹脂とし、緑色光と青色光の光路に備えられる前記偏光板の母材をサファイア又は水晶とし、前記赤色光の光路にのみ前記倍率色収差補正用光学要素を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
  3. 照明光を射出する照明光学系と、前記照明光を赤、緑、青の各色光に分離する色光分離光学系と、前記色光分離光学系で分離された各色光を入射して各色の画像信号に応じて各色の画像を形成するための光に変換して射出する各色光に対応した電気光学装置と、前記電気光学装置から射出された各色光を合成する色光合成光学系と、前記色光合成光学系で合成された光を投写する投写光学系とを有し、前記電気光学装置と前記色光合成光学系との色光光路間に視野角補正フィルムを備えるプロジェクタにおいて、
    前記3つの色光のうち少なくとも1つの色光による投写画面の少なくとも所定の方向に沿ったサイズを、他の色光による投写画面の前記所定の方向に沿ったサイズにほぼ等しくするように調整する光学要素を、前記視野角補正フィルムの片面に一体形成してなる倍率色収差補正用光学要素として備えたプロジェクタ。
  4. 前記光学要素がレンズ要素又はプリズム要素であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプロジェクタ。
  5. 請求項1ないし4に記載のプロジェクタであって、システム光軸に互いに直交する2方向の少なくとも1方向に前記投写光学系の光軸を平行シフトさせる時、その方向に追従させて、前記倍率色収差補正用光学要素の光軸を平行シフトさせることを特徴とするプロジェクタ。
  6. 請求項5に記載のプロジェクタであって、前記倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフト量は前記投写光学系の光軸の平行シフト量と同じであることを特徴とするプロジェクタ。
  7. 請求項5に記載のプロジェクタであって、前記倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフト量は前記投写光学系の光軸の平行シフト量未満であることを特徴とするプロジェクタ。
  8. 請求項5ないし7のいずれかに記載のプロジェクタであって、前記色光合成光学系は2種類の誘電体多層膜が、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されるクロスダイクロイックプリズムであることを特徴とするプロジェクタ。
  9. 請求項8に記載のプロジェクタであって、前記投写光学系の光軸を前記2種類の誘電体多層膜の交線と平行な軸方向に平行シフトさせる場合の前記倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフトの方向は、前記投写光学系の光軸の平行シフトの方向と同じであることを特徴とするプロジェクタ。
  10. 請求項8に記載のプロジェクタであって、前記投写光学系の光軸を前記2種類の誘電体多層膜の交線とシステム光軸とに直交する軸方向に平行シフトさせる場合は、前記2種類の誘電体多層膜を透過する色光を補正する前記倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフトの方向は、前記投写光学系の光軸の平行シフトの方向と同じであり、前記2種類の誘電体多層膜の何れかで反射される色光を補正する前記倍率色収差補正用光学要素の光軸の平行シフトの方向は、前記投写光学系の光軸の平行シフトの方向と反対方向であることを特徴とするプロジェクタ。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載のプロジェクタであって、前記光学要素は、前記所定の方向に垂直な母線を含む面内では屈折作用を有せず、前記母線に垂直な面内では屈折作用を有する要素である、プロジェクタ。
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