[go: up one dir, main page]

JPH1156361A - 変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法 - Google Patents

変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法

Info

Publication number
JPH1156361A
JPH1156361A JP21852497A JP21852497A JPH1156361A JP H1156361 A JPH1156361 A JP H1156361A JP 21852497 A JP21852497 A JP 21852497A JP 21852497 A JP21852497 A JP 21852497A JP H1156361 A JPH1156361 A JP H1156361A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yeast
malate dehydrogenase
gene
mutant yeast
malic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21852497A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhisa Hizume
和久 樋詰
Kenji Ozeki
健二 尾関
Masaaki Hamachi
正昭 濱地
Chieko Kumagai
知栄子 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
OOZEKI KK
Ozeki Corp
Original Assignee
OOZEKI KK
Ozeki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by OOZEKI KK, Ozeki Corp filed Critical OOZEKI KK
Priority to JP21852497A priority Critical patent/JPH1156361A/ja
Publication of JPH1156361A publication Critical patent/JPH1156361A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Beans For Foods Or Fodder (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Soy Sauces And Products Related Thereto (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Alcoholic Beverages (AREA)
  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単独の技術で幅広い範囲でリンゴ酸の生産量
を自由に変化せしめた変異酵母を作出し、食品や酒類の
製造に利用する。 【解決手段】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイ
ムをコードする遺伝子を破壊または増幅させた変異酵母
およびそれを用いる発酵食品、酒類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発酵食品の製造に用
いられている酵母の生産するリンゴ酸量を自由に変化せ
しめた変異酵母、その育種方法およびそれを用いた発酵
食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発酵食品中の有機酸はそれらに酸味を与
え、品質に大きく影響する重要な成分であり、有機酸の
組成や濃度が異なると全く異なった風味を与えることが
知られている。有機酸の中でもリンゴ酸の味の特徴とし
て、爽快な酸味を呈することが知られている。近年発酵
食品の多様化に対する消費者の要望の高まりと共に、発
酵に用いる微生物の生産する有機酸の組成や濃度に着目
した微生物の育種技術が開発されている。例えば、特開
平3−175975号公報では酵母のコハク酸デヒドロ
ゲナーゼの阻害剤を用いたリンゴ酸生産能の高い酵母の
育種方法および酒類の製造方法が、また、特開平6−1
78682号公報では脱共役剤耐性を用いた寡酸性清酒
酵母の育種方法とそれを用いた清酒の製造方法がある。
しかしながら、いずれの従来の技術も単独では、特定の
有機酸のみを意図する濃度に自由に増加または減少させ
た酵母の育種は不可能であり、また、増加または減少さ
せることが可能な有機酸量も少ない範囲であった。さら
に、いずれの従来の技術でも分子レベルでの解析は十分
ではなく、どのような遺伝子が酵母の有機酸生産にどの
ように関与しているのかは未だ明らかではない。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】このような事情に鑑
み、本発明は、酵母の有機酸生産に関与する遺伝子につ
いて分子レベルで検討し、単独の技術で幅広い範囲で特
定の有機酸のみの生産量を自由に変化せしめた変異酵母
と、その育種方法およびそれを用いた発酵食品の製造方
法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく酵母の有機酸生産機構について鋭意研究
を重ねた結果、酵母のリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイ
ソザイムをコードしている遺伝子を破壊することによ
り、その酵母の生産するリンゴ酸を特異的に著しく減少
させることができることを見いだした。また、逆に、本
発明者らはリンゴ酸デヒトロゲナーゼのアイソザイムを
コードしている遺伝子を酵母中で高発現させることによ
り酵母の生産するリンゴ酸を特異的に増加させることに
成功し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、生産するリンゴ酸量を自由
に変化せしめた変異酵母を提供するものであり、かかる
酵母には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの一部もしくは全
部が欠損しているか、またはリンゴ酸デヒドロゲナーゼ
遺伝子が破壊されている変異酵母と、リンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼが増大されているか、またはリンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼ遺伝子が増幅されている変異酵母、特に、リン
ゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(MDH2)を増幅または
破壊した変異酵母が包含される。
【0005】また、本発明は、リンゴ酸デヒドロゲナー
ゼの一部もしくは全部が欠損またはリンゴ酸デヒドロゲ
ナーゼ遺伝子を破壊することにより生産するリンゴ酸量
を自由に変化せしめた変異酵母の育種方法、およびリン
ゴ酸デヒドロゲナーゼを増大またはリンゴ酸デヒドロゲ
ナーゼ遺伝子を増幅することにより生産するリンゴ酸量
を自由に変化せしめた変異酵母の育種方法、特に、リン
ゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(MDH2)を増幅または
破壊することにより生産するリンゴ酸量を自由に変化せ
しめた変異酵母の育種方法を提供する。さらに、本発明
は、本発明の変異酵母を用いることを特徴とする発酵食
品の製造方法および酒類の製造方法を提供するものであ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の酵母は、分類学的に酵母
の範疇にある任意のものでよいが、好ましくは、サッカ
ロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviciae)
に属する酵母で、本発明の目的からすれば実際の発酵食
品の製造に用いられている酵母、例えば、清酒酵母、ビ
ール酵母、ワイン酵母、パン酵母等であり、これらから
取得される一倍体株や変異株も包含する。本発明の酵母
におけるリンゴ酸の生産量変化に関係するリンゴ酸デヒ
ドロゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子とは、
酵母のMDH1(Biochemistry27,8393(1988))、M
DH2(Mol.Cell.Biol.11,370(1991))、MDH
3(J.Biol.Chem.267,24708(1992))遺伝子等
の、酵母のリンゴ酸生産に関与する酵素の遺伝子であ
る。
【0007】本発明によれば、酵母のリンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子を破壊する
ことにより、酵母のリンゴ酸デヒドロゲナーゼを減少ま
たは欠損させることができ、リンゴ酸生産能がなくなっ
たか、または減少した酵母の育種が可能である。酵母の
リンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムをコードする
遺伝子の破壊は、自体公知の方法で行うことができ、例
えば、その遺伝子のプロモーター領域や、コード領域の
内部に塩基を付加または欠失させたり、それらの領域全
体を欠失させることにより行うことができる。このよう
にしてリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムをコー
ドする遺伝子を破壊することにより、リンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼのアイソザイムを発現させる能力が欠損または
減少した遺伝子は、通常の遺伝子工学的な遺伝子導入法
により酵母の染色体に導入することができる。その導入
により酵母の染色体上のリンゴ酸デヒドロゲナーゼのア
イソザイムをコードする遺伝子と、導入した遺伝子の間
で組換えが起こり、遺伝子を導入された酵母のリンゴ酸
デヒドロゲナーゼを減少または欠損させることができ、
リンゴ酸生産能がなくなったかまたは低下した酵母の育
種が可能である。また、リンゴ酸デヒドロゲナーゼを減
少または欠損させた酵母であれば、リンゴ酸生産能がな
くなったかまたは減少した酵母の育種が可能であるの
で、上記の遺伝子工学的な手法に限らず、自然変異、エ
チルメタンスルホネート(EMS)等の化学的変異、紫
外線などの物理的変異等の酵母のリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼのアイソザイムを減少または欠損させることができ
る手法ならばいずれの方法でも良い。
【0008】酵母のリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソ
ザイムをコードする遺伝子の増幅は上記の遺伝子を所望
のベクターに組込んでこれを酵母に導入する。この際に
使用可能なベクターとしては、例えば、YRp系、YE
p系、YCp系、YIp系等種々の既知のものをすべて
用いることができる。また、酵母中でリンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子を増幅させ
るためには、転写・翻訳を制御するユニットであるプロ
モーターを上記の遺伝子の5'−上流域に、また、ター
ミネーターを3’−下流域にそれぞれ組込めばよい。こ
のプロモーターおよびターミネーターとしては、リンゴ
酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子
それ自身に由来するものの他、酵母のアルコールデヒド
ロゲナーゼ遺伝子(ADH)、グリセルアルデヒド−3
−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(GAPDH)、ホス
ファターゼ遺伝子(PHO)、ホスホグリセリン酸キナ
ーゼ遺伝子(PGK)、エノラーゼ遺伝子(ENO)、
トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)等のプロモー
ターやターミネーターを使用することができる。さら
に、適当なプロモーターを選択することによりリンゴ酸
デヒドロゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子を
制御させて発現させることが可能であり、この場合、リ
ンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムをコードする遺
伝子の発現量に比例して酵母の生産するリンゴ酸量を増
加させることができる。また、リンゴ酸デヒドロゲナー
ゼを増加させた酵母であればリンゴ酸生産能が増加した
酵母の育種が可能であるので、上記の遺伝子工学的な手
法に限らず、自然変異、エチルメタンスルホネート等の
化学的変異、紫外線などの物理的変異等の酵母のリンゴ
酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムを増加させることが
できるいずれの手法でも良い。
【0009】本発明の発酵食品の製造方法および酒類の
製造方法は、本発明の変異酵母を使用する以外は、従来
の発酵食品および酒類の製造と同様に行うことができ
る。製造する発酵食品や酒類の種類は特に限定するもの
ではなく、清酒、ビール、ワイン、パン、醤油、味噌等
であって良い。得られる発酵食品や酒類は、リンゴ酸が
特異的に増加または減少し、従来のものとは風味が異な
った製品となり、商品の多様化を可能にするものであ
る。
【0010】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 酵母サッカロマイセス・セレビシエのリンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子のクローニ
ング 清酒酵母協会7号の染色体DNAをテンプレートとし
て、Mol.Cell.Biol.11,370(1991)に報告されてい
るサッカロマイセス・セレビシエの塩基配列を元に、つ
ぎに示すプライマーを用いてPCR法によりリンゴ酸デ
ヒドロゲナーゼのアイソザイムをコードする遺伝子のう
ち、MDH2をクローニングした。 MDH2F 5’GTAGTCCAGAATATAGTGCT 3’ MDH2R 5’TGCTGCATTCTTATGCTTCG 3’ クローニングしたMDH2遺伝子は種々の制限酵素で消
化後、電気泳動を行い、そのパターンが報告されている
ものと同一であることを確認した。
【0011】実施例2 MDH2遺伝子破壊用プラスミドの構築 実施例1でクローニングしたリンゴ酸デヒドロゲナーゼ
のアイソザイムをコードする遺伝子MDH2から、Pst
1とEcoR1で切り出される0.8kbpのDNA断片を
pUC18にT4DNAリガーゼを用いて連結し、pUC
18MD2を作成した。これに選択マーカーを付与する
ために、pUC18MD2のTthIII1とHincIIで切り
出される62bpの断片を切り出し平滑末端化した後に、
YEp24からHindIIIで切り出される 0.75kbp
のURA3をコードするDNA断片を平滑末端化し、T
4DNAリガーゼを用いて連結し、図1に示すMDH2
破壊用プラスミド pUC18MD2Uを作成した。
【0012】実施例3 MDH2遺伝子を破壊したサッカロマイセス・セレビシ
エの作成 サッカロマイセス・セレビシエ清酒用酵母協会7号の1
倍体株K−7H6−1に常法に従ってウラシル要求性を
付与した7H6−ura3−2株(α,ura3)を作成し
た。MDH2破壊用プラスミド pUC18MD2UをS
ph1とEcoR1で消化し、得られた断片で7H6−ura3
−2株を酢酸リチウム法により形質転換し、ウラシル非
要求性をマーカーとして、形質転換体7H6−md2−1
を取得し、MDH2遺伝子が破壊されていることをサザ
ンブロッティング法により確認した。
【0013】実施例4 MDH2遺伝子高発現用プラスミドの構築 実施例(1)でクローニングしたリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼのアイソザイムをコードする遺伝子MDH2を平滑
末端化後、リン酸化した。また、pAAH5のADH1
のプロモーターとターミネーターとの間のHindIIIサイ
トを平滑末端化後、脱リン酸化した。上記で得られた遺
伝子を、この脱リン酸化したところにT4DNAリガー
ゼを用いて連結し、pAAH5MD2を作成した。このp
AAH5MD2のMDH2のコード領域の上流と下流
に、それぞれADH1のプロモーターとターミネーター
を連結した部分を、BamH1で切り出して3.2kbpの
断片を得た。これをpRS406のマルチクローニング
サイトのBamH1サイトにT4DNAリガーゼを用いて
連結し、図2に示すMDH2遺伝子高発現用プラスミド
pRS406AMD2Uを作成した。
【0014】実施例5 MDH2遺伝子を高発現させたサッカロマイセス・セレ
ビシエの作成 実施例3で用いた7H6−ura3−2株(α,ura3)
を、Stu1で消化したpRS406AMD2Uで酢酸リ
チウム法により形質転換し、ウラシル非要求性をマーカ
ーとして形質転換体7H6−MD2−1を取得した。p
RS406AMD2Uが染色体上のURA3遺伝子中に
組込まれていることをサザンブロッティング法により確
認した。また,MDH2遺伝子が高発現されていること
をリンゴ酸デヒドロゲナーゼ活性測定により確認した。
この7H6−MD2−1株はFERM P−16348
の受託番号の下、平成9年7月24日より工業技術院生
命工学工業技術研究所に寄託されている。
【0015】実施例6 MDH1遺伝子、MDH3遺伝子を破壊したサッカロマ
イセス・セレビシエの作成 実施例1〜3と同様に、Biochemistry 27,8393(198
8)、J.Biol.Chem.,267 24708(1992)に報告されて
いるサッカロマイセス・セレビシエの塩基配列を元に、
PCR法によりリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイ
ムをコードする遺伝子のうち、MDH1およびMDH3
をそれぞれクローニングし、図3および図4に示す遺伝
子破壊用プラスミドを構築した。このプラスミドで、サ
ッカロマイセス・セレビシエ清酒用酵母協会7号の一倍
体株を同様に形質転換して、MDH1とMDH3の遺伝
子破壊株7H6−md1−1と7H6−md3−1をそれぞ
れ取得した。
【0016】実施例7 合成培地での有機酸の生産 上記取得株7H6−md2−1、7H6−MD2−1(F
ERM P−16348)、7H6−md1−1および7
H6−md3−1を用いYPD15培地(グルコース15
%、ペプトン2%、酵母エキス1%)で25℃、6日間
静置培養を行い、培養上澄の成分分析を行った。対照と
して親株である7H6−ura3−2をpRS406で形質
転換してウラシル非要求性とした7H6−URA3−1
も同様に静置培養を行い、培養上澄の分析を行った。分
析結果を表1に示す。酵素活性はYPD15培地で25
℃、2日間静置培養し、得られた酵母菌体をガラスビー
ズで破砕し、その無細胞抽出液のリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼ活性をLeeらの方法(J.Bacteriol.169,5157(1
987))に従い測定した。
【0017】
【表1】
【0018】表1よりMDH2破壊株である7H6−md
2−1の酵素活性は親株に比較してほとんど低下してい
なかったが、そのリンゴ酸生産量は親株の約1/6まで
減少した。これに対してMDH1破壊株である7H6−
md1−1の酵素活性は親株の1/10以下まで低下した
にもかかわらず、リンゴ酸生産量は減少せず、逆に増加
していた。また、MDH3破壊株である7H6−md3−
1の酵素活性は親株と同一でありリンゴ酸生産に関して
も増減が認められなかった。一方、MDH2増幅株であ
る7H6−MD2−1の酵素活性は親株の1.5倍に上
昇し、そのリンゴ酸生産量は親株の3.7倍以上であっ
た。以上のことから、酵母による有機酸生産には、リン
ゴ酸デヒドロゲナーゼアイソザイムのうち、MDH2が
リンゴ酸生産に大きく寄与しており、所望のリンゴ酸生
産量を得るには、MDH2遺伝子を破壊ないし増幅すれ
ばよいことが遺伝子レベルで初めて明らかとなった。
【0019】実施例8 清酒の醸造 表2に示すような仕込配合で、上記分離株7H6−md2
−1、7H6−MD2−1(FERM P−1634
8)、7H6−md1−1および7H6−md3−1を用い
て総米40gの清酒醸造試験を行った。仕込品温は15
℃の一定とし、留後16日目にもろみを濾過し、成分分
析を行った。対照として親株である7H6−ura3−2
をpRS406で形質転換し、ウラシル非要求性とした
7H6−URA3−1も同様に醸造し、成分分析を行っ
た。分析結果を表3に、また、主要な有機酸の組成比を
表4に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】表3、4より、合成培地での結果と同様な
傾向でありMDH2破壊株である7H6−md2−1のリ
ンゴ酸生産量は組成比で親株の半分程度まで減少でき、
乳酸量比が多い柔らかみのある温和な酸味を特徴とする
清酒が得られることがわかった。これに対してMDH1
破壊株である7H6−md1−1とMDH3破壊株である
7H6−md3−1のリンゴ酸生産量は組成比で共に親株
に比べ増加する傾向にあり、滴定酸度では親株とほぼ同
一の清酒であった。一方、MDH2増幅株である7H6
−MD2−1のリンゴ酸生産量は組成比で親株の2.4
倍近く上げることができ、滴定酸度も1.5倍上昇させ
ることができ、リンゴ酸の爽快な酸味を特徴とする清酒
の醸造が可能であることがわかった。
【0024】実施例9 酢酸資化能欠損株よりMDH2が欠損したサッカロマイ
セス・セレビシエの変異株の取得と清酒の醸造 MDH2がコードするリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイ
ソザイムは、酢酸を単一炭素源として生育させると、グ
リオキサル酸サイクルの一部として機能し、それゆえM
DH2破壊株は表現型として酢酸資化能がなくなること
が報告されている(Mol.Cel. Biol. 11,370(199
1))。そこで、サッカロマイセス・セレビシエ清酒用
酵母協会7号の1倍体株である K−7H6−1株から
酢酸資化能欠損変異とリンゴ酸生産能の低下を指標にM
DH2が欠損したサッカロマイセス・セレビシエの変異
株の取得を行った。すなわち、0.1Mリン酸緩衝液(p
H8.0)4.6ml、40%グルコース溶液0.25ml、
EMS0.15mlを混合した溶液に細胞(約109個)を
懸濁し、30℃で30分処理した。EMSを中和するた
めに5%チオ硫酸ナトリウム溶液中で10分反応させた
後、滅菌水で2回洗浄した。ついで、酢酸を炭素源とし
てナイスタチン濃縮後、適宜希釈し、YPDプレートに
約2万個のコロニーをつくらせた。その後、グルコース
または酢酸を単一炭素源とする最少培地プレート(Difc
o社製イースト・ナイトロゲン・ベース0.67%、グル
コース2%または酢酸ナトリウム2%、寒天2%、pH
5.5)にレプリカし、30℃・6日間培養後、酢酸資
化能欠損株を176株分離した。分離された176株に
ついて実施例7と同様にして培養を行い、その上澄につ
いて有機酸分析を行い、リンゴ酸生産量のみが低下した
変異株 7H6−ad1−1と7H6−ad1−2の2株を
分離した。7H6−ad1−1と7H6−ad1−2につい
て、実施例8と同様に清酒醸造試験を行い、成分分析を
行った。分析結果を表5に示す。
【0025】
【表5】
【0026】表5より、酢酸資化能欠損とリンゴ酸生産
量を指標としてスクリーニングを行って取得された7H
6−ad1−1株と7H6−ad1−2株は、実施例8の遺
伝子工学的手法により取得されたMDH2破壊株である
7H6−md2−1株と同様に清酒の醸造試験で親株に対
してリンゴ酸生産量が1/3程度に減少しており、変異
処理によってもリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイ
ムの欠損株であるリンゴ酸生産能が低く、滴定酸度も低
い酵母は取得可能であった。これらの取得された酵母に
より醸造された清酒の官能検査の結果も良好であり、柔
らかみのある温和な酸味を特徴とする清酒の醸造が可能
であることがわかった。
【0027】
【発明の効果】本発明により発酵期間中の酵母の有機酸
生産に関与する酵素のうち、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
のアイソザイムをコードする遺伝子の中のMDH2遺伝
子を破壊することおよび変異処理により本酵素の欠損株
を取得することによりリンゴ酸の生産量が少ない、例え
ば、清酒醸造に使用した場合は、総酸量が減少できた、
リンゴ酸が減少した分乳酸量を増加させることができる
清酒が得られる。反対にMDH2遺伝子を増幅させるこ
とにより、リンゴ酸量を2倍以上増加させることができ
る清酒醸造が可能となる。以上のことより、所望のリン
ゴ酸量をコントロールできる酵母の育種技術を開発する
ことができ、これらの酵母を使用することにより、発酵
食品中の有機酸生産量比のバラエティー化が可能とな
り、新たな発酵食品の味の多様化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2におけるプラスミド作成過程を示
す。
【図2】 実施例4におけるプラスミド作成過程を示
す。
【図3】 実施例6における作成したプラスミドを示
す。
【図4】 実施例6における作成したプラスミドを示
す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12G 1/02 C12G 1/02 3/02 119 3/02 119G C12N 1/19 C12N 1/19 C12P 7/46 C12P 7/46 //(C12N 1/19 C12R 1:865) (C12P 7/46 C12R 1:865) (72)発明者 熊谷 知栄子 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 大関 株式会社総合研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生産するリンゴ酸量を自由に変化せしめ
    た変異酵母。
  2. 【請求項2】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼの一部もしく
    は全部が欠損しているか、またはリンゴ酸デヒドロゲナ
    ーゼ遺伝子が破壊されている請求項1記載の変異酵母。
  3. 【請求項3】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼが増大されて
    いるか、またはリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が増幅
    されている請求項1記載の変異酵母。
  4. 【請求項4】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(MD
    H2)を増幅または破壊した請求項2または3記載の変
    異酵母。
  5. 【請求項5】 サッカロマイセス・セレビシエ(Saccha
    romyces cerevisiae)である請求項1〜4いずれか1項
    記載の変異酵母。
  6. 【請求項6】 サッカロマイセス・セレビシエ FER
    M P−16348である請求項4記載の変異酵母。
  7. 【請求項7】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼの一部もしく
    は全部が欠損またはリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を
    破壊することにより生産するリンゴ酸量を自由に変化せ
    しめた変異酵母の育種方法。
  8. 【請求項8】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼを増大または
    リンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を増幅することにより
    生産するリンゴ酸量を自由に変化せしめた変異酵母の育
    種方法。
  9. 【請求項9】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(MD
    H2)を増幅または破壊することにより生産するリンゴ
    酸量を自由に変化せしめた変異酵母の育種方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6いずれか1項記載の変異
    酵母を用いることを特徴とする発酵食品の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6いずれか1項記載の変異
    酵母を用いることを特徴とする酒類の製造方法。
JP21852497A 1997-08-13 1997-08-13 変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法 Pending JPH1156361A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21852497A JPH1156361A (ja) 1997-08-13 1997-08-13 変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21852497A JPH1156361A (ja) 1997-08-13 1997-08-13 変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1156361A true JPH1156361A (ja) 1999-03-02

Family

ID=16721289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21852497A Pending JPH1156361A (ja) 1997-08-13 1997-08-13 変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1156361A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8669093B2 (en) 2003-09-30 2014-03-11 Mitsui Chemicals, Inc. Biocatalyst for production of D-lactic acid
JP2020103049A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 月桂冠株式会社 酵母の醸造特性を判定する方法、及び酵母の育種方法
CN114854612A (zh) * 2022-03-25 2022-08-05 江南大学 一株产l-乳酸的酿酒酵母的改造及其应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8669093B2 (en) 2003-09-30 2014-03-11 Mitsui Chemicals, Inc. Biocatalyst for production of D-lactic acid
JP2020103049A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 月桂冠株式会社 酵母の醸造特性を判定する方法、及び酵母の育種方法
CN114854612A (zh) * 2022-03-25 2022-08-05 江南大学 一株产l-乳酸的酿酒酵母的改造及其应用
CN114854612B (zh) * 2022-03-25 2024-02-27 江南大学 一株产l-乳酸的酿酒酵母的改造及其应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dequin et al. Mixed lactic acid–alcoholic fermentation by Saccharomyes cerevisiae expressing the Lactobacillus casei L (+)–LDH
US11746353B2 (en) Saccharomyces cerevisiae strain with high yield of ethyl butyrate and construction method and application of Saccharomyces cerevisiae strain
CN106715679B (zh) 用于生产乙偶姻的方法
US6107093A (en) Recombinant cells that highly express chromosomally-integrated heterologous genes
US20070172937A1 (en) Recombinant cells that highly express chromosomally-integrated heterologous genes
Oliveira et al. Development of stable flocculent Saccharomyces cerevisiae strain for continuous Aspergillus niger β-galactosidase production
JP3162043B2 (ja) 組換えdna技術によって構築されるデンプン分解酵素産生微生物及びその発酵法用途
JP2001505777A (ja) 微生物の代謝経路のモジュレート法、及びこの方法によって得られる微生物
JP2530650B2 (ja) 低アルコ−ルまたは無アルコ−ルビ−ルの製造法
US5858764A (en) Yeast strains for saccharide fermentation
EP0560885B1 (en) Recombinant cells that highly express chromosomally-integrated heterologous genes
EP2186891A1 (en) Yeast for transformation, transformation method and method of producing substance
EP0306107B1 (en) New yeast strains providing for an enhanced rate of the fermentation of sugars, a process to obtain such yeasts and the use of these yeats
Görgens et al. Comparison of three expression systems for heterologous xylanase production by S. cerevisiae in defined medium
Wang et al. Construction of an industrial brewing yeast strain to manufacture beer with low caloric content and improved flavor
JPH1156361A (ja) 変異酵母、その育種法およびそれを用いた発酵食品の製造方法
JPH06245750A (ja) ビールの製造法
Ibragimova et al. A strategy for construction of industrial strains of distiller's yeast
JP4269037B2 (ja) 有機酸高含有清酒の製造方法
Vinetsky et al. Increase in glucoamylase productivity of Aspergillus awamori strain by combination of radiation mutagenesis and plasmid transformation methods
JP5506159B2 (ja) 清酒酵母とワイン酵母の交雑により得られる新規ワイン酵母及びその作出法
JP3942718B2 (ja) 酒類、食品の製造方法
CN120888419A (zh) 高产乙酸乙酯二倍体/四倍体酿酒酵母菌株及其构建方法和应用
JP5506160B2 (ja) 焼酎酵母とワイン酵母の交雑により得られる新規ワイン酵母及びその作出法
JP2009178104A (ja) ヘテロ接合性の消失を利用した二倍体細胞染色体特定領域のホモ化方法