JPH10509171A - ピリチオンと添加剤とを含有する相乗的殺生物剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本明細書では、相乗的な抗菌及び抗真菌効力を特徴とし、かつピリチオン塩又はピリチオン酸と、パラヒドロキシ安息香酸のベンジルエステル及び低級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩、及びこれらの組合せから成る群から選択される少なくとも１種類の化合物とを含むことを特徴とする抗菌性組成物を開示する。水又は有機溶媒を含む組成物に抗菌活性を与える方法であって、該組成物に抗菌有効量の上記抗菌性組成物を加えることを含む方法をも開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 ピリチオンと添加剤とを含有する相乗的殺生物剤組成物 本発明は一般に相乗的殺生物剤組成物に関し、より詳しくはピリチオン又はピ リチオン塩と、パラヒドロキシ安息香酸のベンジルエステル若しくは低級アルキ ルエステル又はその塩、カルボン酸若しくはその塩、又はこれらの組合せとを含 む組成物に関する。 殺生物剤は産業用、パーソナルケア用、医学用及びその他の製品及び物質に抗 菌性保護を与える。典型的に、殺生物剤はそれが殺す特定の微生物に関して多少 限定された範囲を有し、ある程度の毒性を有し、ある程度の環境危険又はこれら の欠点の組合せを示す。したがって、これらの化合物の毒性又は環境危険度を高 めずに、殺生物剤の活性を強化するか又は殺生物剤の抗菌効果の範囲を拡大する 手段を見いだすことが有用であると考えられる。 ピリチオンと、保存性、抗菌性又は抗真菌性効力を与えるための他の添加剤と のある種の組合せが当該技術分野で知られている。例えば、日本公開５９−（１ ９８４）９８００１はピリチオン又はその塩と、脂肪族カルボン酸と、糖とを含 む切り花保存剤を開示する。米国特許第４，２４２，３３６号は（ａ）デヒドロ 酢酸、ソルビン酸及びこれらのアルカリ金属塩から選択された少なくとも１つの 要素と、（ｂ）Ｃ₈−Ｃ₁₆アルキル基を有するアルキル（アミノエチル）グリシ ンとそれらの塩、２−ピリジン−チオール １−オキシド（即ち、ピリチオン） とその塩、及びテトラヒドロ−３，５−ジメチル−２Ｈ−１，３，５−チアジア ジン−２−チオンから成る群から選択される少なくとも１つの要素とを含む抗菌 性かつ抗真菌性組成物を開示する。しかし、これらの参考文献はこれらの開示さ れた組合せの効力の根拠を開示していないし、他の抗菌性組合せも示唆していな い。さらに、米国特許第４，２４２，３３６号に開示されたソルビン酸は化学的 不安定性問題を受けやすく、酸化を抑制するために、例えば、米国特許第５，３ ５４，９０２号に開示されている、マンガンイオンのような安定剤の使用を必要 とする。 酸化抑制安定剤を必要とせずに（好ましくは、酸化抑制安定剤の不存在下で） 広範囲な使用濃度にわたって相乗効力を示す、ピリチオンと他の添加剤との新し い組合せは、特にこのような組成物が哺乳動物に対する低い毒性を示すならば、 殺生物剤業界によって非常に望ましいと思われる。本発明はこのような組合せの 幾つかを提供する。 １態様において、本発明は相乗的な抗菌及び抗真菌効力を特徴とし、かつピリ チオン酸又はピリチオン塩又はこれらの組合せと、パラヒドロキシ安息香酸のベ ンジルエステル及び低級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩、及び これらの組合せから成る群から選択される、但し前記カルボン酸は没食子酸、リ ンゴ酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸 、プロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれらの組合せから成る群から選択される ものとする、少なくとも１種類の化合物とを含むことを特徴とする抗菌性組成物 に関する。この抗菌性組成物は好ましくは酸化抑制安定剤添加剤を含まない。他 の態様では、本発明は水又は有機溶媒を含む組成物に抗菌活性を与える方法であ って、それらに上記抗菌性組成物の抗菌有効量を添加することを含む方法に関す る。 さらに他の態様では、本発明は基体(substrate)に抗菌有効量の被膜を与える ために基体を被覆する方法であって、基体に上記抗菌性組成物を含むコーティン グ組成物を接触させることを含む方法に関する。 さらに他の態様では、本発明は基体を、該基体上の被膜と共に含む被覆済み基 体であって、（ａ）基体を上記抗菌性組成物を含むコーティング組成物と接触さ せ、（ｂ）前記基体上のコーティング組成物を乾燥させることによって前記被覆 済み基体を製造することによって、前記被膜が形成される被覆済み基体に関する 。 さらに他の態様では、本発明は（ａ）水又は、ビニル樹脂、アルキッド樹脂、 エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれら の組合せから成る群から選択される樹脂を含むベース媒質と、（ｂ）上記抗菌性 組成物とを含むペイントに関する。抗菌性組成物はペイント中に使用前の貯蔵中 の少なくとも“缶内保存剤(in-can preservative)”として作用するほど充分な 量で用いられる。或いは、抗菌性組成物は基体上で乾燥したときのペイントに抗 菌効力を与えるために充分な量で用いられることができる。 さらに他の態様では、本発明は適当なキャリヤーと上記抗菌性組成物とを含む セッケン、シャンプー又はスキンケア薬剤に関する。 さらに他の態様では、本発明は水又は有機ベース流体と上記抗菌性組成物とを 含有する金属加工用流体に関する。本発明の他の態様は付加的に、腐食抑制剤、 界面活性剤、及びこれらの組合せから成る群から選択される成分を含む上記金属 加工用流体に関する。 さらに他の態様では、本発明はプラスチック又は繊維と上記抗菌性組成物とを 組合せて含む、プラスチック又は紡織繊維若しくは不織繊維を含む組成物に関す る。 上記その他の態様は以下の発明の詳細な説明を読むときに明らかになるであろ う。 本発明によって今回、ピリチオン酸又はその塩と、特定のカルボン酸若しくは その塩と、パラヒドロキシ安息香酸（本明細書では“パラベン”とも呼ばれる） のベンジル及び低級アルキルエステル若しくはその塩、又はこれらの組合せとの 組合せが抗真菌性かつ抗菌性組成物として相乗的抗菌効力を生じることが、意外 にも判明した。本発明による作用形式についての理解を高めると、ピリチオンと 組合せて用いるための抗菌性強化添加剤がさらに良好に理解される。如何なる特 定の理論によっても縛られることを望む訳ではないが、ピリチオンの抗菌作用形 式についての本発明者の理解によると、本発明の組成物に関連した相乗的効力は 、ピリチオン殺生物剤の存在下で作用される微生物に対するカルボン酸又はパラ ベン補助殺生物剤(co-biocide)の相対的毒性に帰せられることが、本発明者によ って考えられる。ピリチオンは微生物の細胞膜を介しての水素イオンとカリウム イオンとの電気的中性置換を触媒することによって、微生物代謝にエネルギー連 環を与えるプロトン原動力を弱めるように作用する。 上記作用形式を考慮して、本発明者は特定の種類の化合物、即ち、特定のカル ボン酸若しくはその塩、又はパラヒドロキシ安息香酸（本明細書では“パラベン ”とも呼ばれる）のベンジルエステル及び低級アルキルエステル若しくはその塩 、又はこれらの化合物の組合せが、ピリチオンとの組合せで、相乗的抗菌効力を 生じることを発見した。“パラベン”なる用語は例えばメチルパラベン （“ＭＰ”）、プロピルパラベン（“ＰＰ”）又はブチルパラベン（“ＢＰ”） のエタノール溶液のような有機溶液も包含するように意図される。 本明細書で用いるかぎり、“相乗的抗菌効力”なる用語は、組合せの各成分が 単独で用いられた場合に生じる活性の加算量よりも大きい抗菌活性を組成物が示 すことを意味する。組成物は微生物、特に細菌と真菌類の成長に対して相乗的抗 菌活性を示す。例えば産業機能性水性流体組成物(aqueous industrial function al fluid composition)中に、例えば金属加工用流体、潤滑剤又は免疫学的検査 のための診断試薬中に、このような流体の使用中に例えば細菌及び真菌類のよう な微生物からの殺生物剤による保護を与えるために、組成物を用いるときに抗菌 活性が与えられる。 本発明の方法及び組成物に用いられるピリチオンは好ましくは、例えばナトリ ウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、キトサンピリチオン、マグネシウムジスルフ ィドピリチオン、銅ピリチオン等のようなピリチオン塩が用いられるが、必要な 場合には、ピリチオン酸を用いることもできる。より好ましいピリチオン塩はナ トリウムピリチオン、銅ピリチオン及び亜鉛ピリチオンを包含し、ナトリウムピ リチオンが最も好ましい。 本発明に有用なナトリウムピリチオンは周知の商業的製品であり、これは米国 特許第３，１５９，６４０号の開示によって説明されるように、２−クロロピリ ジン−Ｎ−オキシドとＮａＳＨ又はＮａＯＨとの反応によって一般的に製造され る。 亜鉛ピリチオンは米国特許第２，８０９，９７１号の開示によって説明される ように、１−ヒドロキシ−２−ピリジンチオン（即ち、ピリチオン酸）又はその 溶解性塩と亜鉛塩（例えば、ＺｎＳＯ₄）とを反応させて、亜鉛ピリチオン沈殿 を形成することによって、製造することができる。 使用時に、本発明の抗菌性組成物は好ましくは約１：１から約１０，０００： １までの、より好ましくは約１：１から約６，０００：１までのカルボン酸又は その塩のピリチオンに対する重量比を含む。パラベン又はその塩を抗菌性組成物 に用いる場合には、パラベン化合物のピリチオンに対する重量比が約１：１０か ら約１０，０００：１までであることが好ましく、１：６から１５６：１までで あることがより好ましい。 本発明の抗菌性組成物は例えばセッケン、シャンプー、スキンケア薬剤、金属 加工用流体、ペイントのような、多様な用途に適する、又はプラスチック若しく は紡織繊維若しくは不織繊維中或いは上に組込まれる。 本発明の抗菌性組成物の重要な用途の１つは、例えば金属加工用流体のような 機能的流体中に用いることである。これらの機能的流体は、抗菌性組成物と機能 的流体の他の成分とを含有する水性濃縮液として典型的に供給される。この水性 濃縮液には、“加工用”機能的流体が抗菌性組成物の殺生物有効量を含有するよ うに、充分な量の抗菌性組成物が供給される。この必要条件を満たすために、例 えば、金属加工用流体のための濃縮液は、約１：１０から約１：１００までの濃 縮液の“加工用”流体に対する希釈比に基づいて、“加工用”流体中に少なくと も約１２５０ｐｐｍの好ましい量の抗菌性組成物を生じるために、金属加工用流 体の重量に基づいて約２．５重量％までの総量の抗菌性組成物を含有することが 好ましい。例えばコスメチックのような、他の機能的流体はしばしば直接（濃縮 液を必要とせずに）調合され、５０００ｐｐｍ以上までの抗菌性組成物を含有す ることができる。 本発明の抗菌性組成物は、屋内及び屋外の家庭用ペイント、工業用及び商業用 ペイントを含めたペイントにも有用である。本発明の組成物を例えば船の船体に 用いるための海洋ペイントに関連して用いる場合に、特に有利な結果が得られる 。さらに、この抗菌性組成物はラテックス及びアルキッドタイプの外部ペイント に望ましい結果を与える。この抗菌性組成物はペイントの貯蔵中及び使用前の“ 缶入り”防腐剤としても有用である。 当該技術上周知であるように、ペイント組成物は典型的に樹脂と、顔料と、例 えば増粘剤（単数又は複数）、湿潤剤等のような、種々な任意の添加剤とを含有 する。樹脂は好ましくは、ビニル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリ ル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの組合せから成る群か ら選択される。樹脂は好ましくは、ペイント又はペイント基剤の重量に基づいて 約２０％から約８０％までの量で用いられる。 さらに、本発明のペイント組成物は、粘度、湿潤力及び分散性に好ましい影響 を与える任意の添加剤並びに凍結と電解質とに対する安定性及び起泡性に好まし い影響を与える任意の添加剤を任意に付加的に含有する。海洋ペイントを製造中 である場合に、ペイントをその海洋環境に徐々に“スローオフ(slough off)”さ せ、それによって海洋環境の水媒質と接触するペイントの表面において新たに暴 露された殺生物剤の回復された(renewed)殺生物効力を生じさせるために、ペイ ントが膨潤剤を含有することが好ましい。具体的な膨潤剤は、例えばカオリン、 モンモリロナイト及びベントナイトのような、天然に生成する又は合成の粘土、 クレーマイカ(clay mica)（白雲母）、緑泥石（ヘクトナイト）等である。粘土 の他に、例えばＰＯＬＹＭＥＲＧＥＬとして商業的に入手可能であるような、天 然又は合成のポリマーを含めた、他の膨潤剤も所望の“スローイングオフ(sloug hing off)”効果を与えるために本発明の組成物に有用であることが判明してい る。膨潤剤は単独で又は組合せて用いることができる。任意の添加剤の総量はペ イント組成物の総重量に基づいて好ましくは約２０重量％以下、より好ましくは 約１重量％〜約５重量％である。 具体的な増粘剤はセルロース３０誘導体、例えばメチル、ヒドロキシエチル、 ヒドロキシプロピル及びカルボキシメチルセルロース、ポリ（ビニルアルコール ）、ポリ（ビニルピロリドン）、ポリ（エチレングリコール）、ポリ（アクリル 酸）の塩及びアクリル酸／アクリルアミドコポリマーの塩を包含する。 適当な湿潤剤と分散剤は、ナトリウムポリホスフェート、低分子量ポリ（アク リル酸）の塩、ポリ（エタンスルホン酸）の塩、ポリ（ビニルホスホン酸）の塩 、ポリ（マレイン酸）の塩、及びマレイン酸とエチレン、炭素数３〜１８の１オ レフィン及び／又はスチレンとのコポリマーの塩を包含する。 凍結と電解質とに対する安定性を高めるために、ペイント組成物に種々なモノ マー、１，２−ジオール、例えばグリコール、プロピレングリコール（１，２） 及びブチレングリコール（１，２）若しくはこれらのポリマー、又はエトキシル 化化合物を加えることができる。例えば、エチレンオキシドと長鎖アルカノール 、アミン、アルキッドフェノール、ポリ（プロピレングリコール）、又はポリ（ ブチレングリコール）、又はこれらの組合せとの反応生成物等。 ペイント組成物のフィルム形成の最低温度（白点）は例えばエチレングリコー ル、ブチルグリコール、エチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセ テート、ブチルジグリコールアセテート、ベンゼン又はアルキル化芳香族炭化水 素のような溶媒を加えることによって低下させることができる。消泡剤としては 、例えばポリ（プロピレングリコール）及びポリシロキサンが適する。任意には 、本発明のペイント製剤に他の殺生物剤を付加的に加えることができる。有用な 任意の溶媒はメチルイソブチルケトン（本明細書では“ＭＩＢＫ”と呼ばれる） 、キシレン、エチルベンゼン、メタノール、及びこれらの組合せを包含する。 本発明のペイント組成物は天然材料又は合成材料、例えば木材、紙、金属、テ キスタイル(textile)及びプラスチック用のペイントとして用いることができる 。このペイント組成物は戸外ペイントとして特に適し、海洋ペイントとしての使 用に特に優れている。 本発明の組成物は、本明細書に述べる多様な用途のいずれにも、単独で又は例 えば水、液体炭化水素、エタノール、イソプロパノール等のような不活性キャリ ヤーと組合せて、液体形又は塗布可能な(spreadable)固体形で消毒剤及び防腐剤 として有用である。本発明の組成物は、種々な基体中の細菌及び真菌類を防除す るための慣用的な手段によって用いることができ、例えば吹付け、浸漬、ドレン チング(drenching)、含浸等のような慣用的手段によって、抗菌量で細菌又は真 菌類又はこれらの基体に塗布することができる。 本発明を下記実施例によってさらに説明する。他に述べないかぎり、“部”と “％”はそれぞれ“重量部”と“重量％”である。 本発明を上記ではその特定の実施態様に関連して説明したが、多くの変化、修 正及び変更が本明細書に開示された発明の概念から逸脱せずになされうることは 明らかである。したがって、本発明は添付請求項の要旨及び広い範囲内に入る、 このような変化、修正及び変更の全てを含むように意図される。 実施例１ パラベン又はカルボン酸を加えたピリチオンに関するＭＩＣデータ ナトリウムピリチオンと他の化合物との相互作用を、Ｄｏｕｇｈｅｒｔｙ，Ｐ ．Ｆ．等，１９７７，“抗菌剤のインビトロ相乗作用を評価するための微量希釈 トランスファプレート法”，Ａｎｔｉｍｉｃｒｏｂｉａｌ Ａｇｅｎｔｓ ａｎ ｄ Ｃｈｅｍｏｔｈｅｒａｐｙ，１１：２２５〜２２８によって述べられている“ チェッカーボード(Checkerboard)”ＭＩＣ（最小阻止濃度）方法の改良法を用い て評価した。この方法は殺生物剤の種々な割合の多数の混合物の効果の測定を容 易にする。トリプトン大豆ブロス(Tryptic Soy Broth)（ＴＳＢ）中のピリチオ ンのストック溶液をマイクロリッター(microliter)プレートにおいてＴＳＢ中で 希釈し、試験化合物をＴＳＢの複数の管(tubes of TSB)中で希釈した。各希釈度 (dilution)の試験化合物のアリコートをピリチオン希釈物を含む孔と対照として の非薬物含有(undosed)ＴＳＢを含む孔に加え、純粋なピリチオン又は試験化合 物のＭＩＣを測定するために非混合の(unmixed)ピリチオン又は試験化合物の列 を残した。ＴＳＢ中に懸濁させた１０⁶細菌／ｍｌ又は１０⁵真菌胞子／ｍｌを含 む試験培養物の等量を各孔に加えて、プレートを２８℃においてインキュベート した。増殖抑制を生じる最低濃度（ＭＩＣ）を測定した。阻止濃度分率(fractio nal inhibitory concentration)（ＦＩＣ）、即ち、混合物中の殺生物剤のＭＩ Ｃの純粋物質のＭＩＣに対する比を測定し、各混合物に関するＦＩＣの合計（“ ＦＩＣ指数(FIC Index)”）を算出した。各種類の相互作用を定量化し、下記に 従ってカテゴリー化した：＜１ならば、相乗的；＝１ならば、加算的；＞１なら ば、拮抗的。 種々な割合のピリチオンと有機酸又はメチルパラベンとを含む混合物は細菌（Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ａｅｒｕｇｉｎｏｓａ）と真菌（Ａｓｐｅｒｇｉｌｌ ｕｓ ｎｉｇｅｒ）とを相乗的に阻害した、これらの関するＭＩＣデータを表１ と２にそれぞれ記載する。 実施例２ ピリチオンとパラベンとを含有する金属加工用流体 防腐剤としてのナトリウムピリチオン−メチルパラベン混合物の効力を、細菌 と真菌との混合物によってチャレンジされた(challenged)水中油エマルジョン金 属加工用流体中で測定した。鉱油（８３．５％）と、スルホン化炭化水素（１０ ．７％）と、オレイン酸（１．０％）と、トリエタノールアミン（０．８％）と 、メチルタロウエート(methyl tallowate)（３．０％）と、プロピレングリコー ルエーテル（１．０％）とから成る濃縮ＭＷＦの５％水性エマルジョンに１２５ ｐｐｍのナトリウムピリチオンと１０００ｐｐｍのメチルパラベンとを加えて、 エーレンマイヤーフラスコ中に分散させた。エマルジョン１ｍｌあたり１０⁷細 胞の細菌と１０⁵真菌胞子とのチャレンジレベルを、汚染されたＭＷＦから最初 に(originally)単離された７種類の細菌と２種類の真菌（Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａ ｓ ｒｕｂｅｓｃｅｎｓ ＮＣＩＭＢ１２２０２、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ｓ ｔｕｔｚｅｒｉ 種、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ｆｌｕｏｒｅｓｃｅｎｓ ＮＣＩ ＭＢ１２２０１、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ａｅｒｕｇｉｎｏｓａ ＮＣＩＭＢ ６７４９、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ｏｌｅｏｖｏｒａｎｓ ＮＣＩＭＢ６５７ ６、Ａｌｃａｌｉｇｅｎｅｓ ｆａｅｃａｌｉｓ種、Ｃｉｔｒｏｂａｃｔｅｒ ｆｒｅｕｎｄｉｉ ＮＣＩＭＢ１２２０３、Ｆｕｓａｒｉｕｍ種、及びＣｅｐｈ ａｌｏｓｐｏｒｉｕｍ 種）の懸濁液を加えることによって開始した。流体を回転 シェーカー上で連続的に撹拌し、トリプトン大豆寒天上での増殖可能な細菌に関 して及び１リットルあたり１００ｍｇのゲンタマイシンスルフェートを補充した トリプトン大豆寒天上での真菌に関して周期的にサンプル採取した。２週間後に 、以下の表３に記載されるデータによって示されるように、非処理対照に比べて ピリチオン−メチルパラベン流体中では細菌と真菌との顕著な相乗的阻害が観察 された。この流体を第２回目にチャレンジしたときにも阻害が確認された（表３ 参照）。 実施例３ ナトリウムピリチオンとパラベンとを含有するラテックスペイント パラベン混合物を加えたナトリウムピリチオンの効力を、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎ ａｓ ａｅｒｕｇｉｎｏｓａによって人工的に汚染されたラテックスペイント中 で測定した。代表的なビニルアクリルフラットラテックス（vinylacrylic flat latex）家庭用ペイント製剤（水（３０％）と、エチレングリコール（２．２０ ％）と、アニオン分散剤（０．５８％）と、消泡剤（０．３３％）と、ヒドロキ シエチルセルロース（０．２５％）と、トリポリリン酸カリウム（０．０８％） と、シリケート充填材（２０．６０％）と、二酸化チタン （１８．５０％）と、プロピレングリコール（２．８０％）と、アタパルジャイ ト粘土（０．４９％）と、アルコールエトキシレート（０．２１％）と、ラテッ クス（３０．２０％）と、アルコールエステル合体剤(coalescent)（０．７４％ ）とから成る）を、工場すすぎ洗い水−凝縮状態を模倣するために、無菌水中で １０％にまで希釈し、これにＰｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ａｅｒｕｇｉｎｏｓａ ＡＴＣＣ１０１４５のブロス培養物を接種した。トリプトングルコース抽出物寒 天（Tryptone Glucose Extract Agar）（ＴＧＥＡ，Ｄｉｆｃｏ）のスラント上 のペイント溶液を２９℃において５日間インキュベートして培養することによっ て、増殖をモニターした。１０ｇの非汚染１０％ペイントをガラスバイアル中に 計量して入れ、ナトリウムピリチオン（本明細書では“ＳＰ”と呼ぶ）の水溶液 又はメチルパラベン（本明細書では“ＭＰ”と呼ぶ）若しくはプロピルパラベン （“ＰＰ”）若しくはブチルパラベン（“ＢＰ”）のエタノール溶液を加えた。 等量のエタノール（５０μｌ）を含有するブランクを含めた。各バイアルに１容 量％の希釈汚染ペイント（２．０ｘ１０⁶ ＣＦＵ／ｍｌ）を接種した。上記と同 様にＴＧＥＡのスラントにサンプルを継代培養することによって、汚染物の生残 率(survival)を定期的に評価した。３２日間後に、このペイントサンプルを１容 量％の希釈汚染ペイントによって再チャレンジした。 表４に記載した結果は、５００ｐｐｍのピリチオンと１０００ｐｐｍのパラベ ンとの混合物がいずれの防腐剤の単独よりも大きく抗菌的に有効であったことを 示す。さらに、表４のデータは、メチルパラベンとプロピルパラベンとがブチル パラベンよりも比較的大きく有効な相乗剤であったことを実証する。再チャレン ジ後に、１０００ｐｐｍのメチルパラベンと５００〜１０００ｐｐｍのナトリウ ムピリチオンとの組合せがこの試験における最も有効な相乗的組合せであった。 第２実験では（第２実験に関する結果は表５に示す）、希釈されない同様に汚 染されたペイントにメチルパラベンとナトリウムピリチオンとを種々な比で加え て、第１実験におけるように、増殖に関して定期的に分析した。２１日目と６９ 日目とにサンプルを２容量％の汚染ペイント（８．７ｘ１０⁶ ＣＦＵ／ｍｌ）で 再チャレンジした。５００又は１０００ｐｐｍのメチルパラベンを加えた５００ ｐｐｍのナトリウムピリチオンの混合物が試験の大部分を通して有効であると実 証されたが、１０００ｐｐｍのメチルパラベンを加えた５００ｐｐｍのナトリウ ムピリチオンがこの試験において最大の抗菌効果を生じた。結果は表５に示す。 表４と５において、“−”は試験微生物の生残する微生物増殖が無いことを意 味し、“＋”は生残率が殆ど無いことを意味し、“＋＋と＋＋＋”は最小の微生 物生残率を意味し、“＋＋＋＋”と“＋＋＋＋＋”は顕著な微生物生残率を意味 する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ， ＢＹ，ＣＡ，ＣＮ，ＣＺ，ＥＥ，ＦＩ，ＧＥ，ＨＵ，Ｉ Ｓ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＴ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ， ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 グリン，マイケル ダブリュ. アメリカ合衆国 06820 コネチカット州 ダリエン，ウエスト アベニュー 402 (72)発明者 カウフリン，ロバート ダブリュ. アメリカ合衆国 06268 コネチカット州 ストアーズ，ストアーズ ハイツ ロード 49 (72)発明者 ヴィース，ロバート エフ. アメリカ合衆国 06040 コネチカット州 マンチェスター，コンウェイ ロード 31 (72)発明者 ガイガー，ジョン アール. アメリカ合衆国 06107 コネチカット州 ウエスト ハートフォード，サンライズ ヒル ドライブ ９

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．相乗的な抗菌及び抗真菌効力を特徴とし、かつピリチオン酸又はピリチオ ン塩又はこれらの組合せと、パラヒドロキシ安息香酸のベンジルエステル及び低 級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩、及びこれらの組合せから成 る群から選択される、但し前記カルボン酸は没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、ウン デシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸、プロピオン酸、乳酸 、クエン酸及びこれらの組合せから成る群から選択されるものとする、少なくと も１種類の化合物とを含むことを特徴とする抗菌性組成物。 ２．前記化合物がカルボン酸又はその塩であり、前記カルボン酸又はその塩の 前記ピリチオン塩又はピリチオン酸に対する重量比が約１：１から約１０，００ ０：１までであることを特徴とする、請求項１記載の組成物。 ３．水又は有機溶媒を含む組成物に抗菌活性を与える方法であって、該組成物 にピリチオン酸又はピリチオン塩又はこれらの組合せと、パラヒドロキシ安息香 酸のベンジルエステル及び低級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩 、及びこれらの組合せから成る群から選択される、但し前記カルボン酸は没食子 酸、リンゴ酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安 息香酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれらの組合せから成る群から選択 されるものとする、少なくとも１種類の化合物との抗菌有効量を加えることを特 徴とする方法。 ４．基体に抗菌有効性被膜を与えるための基体の被覆方法であって、ピリチオ ン酸又はピリチオン塩又はこれらの組合せと、パラヒドロキシ安息香酸のベンジ ルエステル及び低級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩、及びこれ らの組合せから成る群から選択される、但し前記カルボン酸は没食子酸、リンゴ 酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸、プ ロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれらの組合せから成る群から選択されるもの とする、少なくとも１種類の化合物とを含むコーチング組成物を基体に接触させ ることを特徴とする方法。 ５．基体を、該基体上の被膜と共に含む被覆済み基体であって、 （ａ）基体に、ピリチオン酸又はピリチオン塩又はこれらの組合せと、パラヒ ドロキシ安息香酸のベンジルエステル及び低級アルキルエステル、その塩、カル ボン酸、その塩、及びこれらの組合せから成る群から選択される、但し前記カル ボン酸は没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミ ノ安息香酸、安息香酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれらの組合せから 成る群から選択されるものとする、少なくとも１種類の化合物とを含むコーチン グ組成物を接触させて、前記基体上に被膜を提供する工程と、 （ｂ）前記基体上の前記コーティング組成物を乾燥させて前記被覆済み基体を 製造する工程と によって前記被膜が製造されることを特徴とする被覆済み基体。 ６．（ａ）水又は、ビニル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹 脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの組合せから成る群から選 択される樹脂を含むベース媒質と、 （ｂ）ピリチオン酸又はピリチオン塩又はこれらの組合せと、 （ｃ）パラヒドロキシ安息香酸のベンジルエステル及び低級アルキルエステル 、その塩、カルボン酸、その塩、及びこれらの組合せから成る群から選択される 、但し前記カルボン酸は没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチ ル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれ らの組合せから成る群から選択されるものとする、化合物と を含むことを特徴とするペイント。 ７．適当なキャリヤーと、ピリチオン酸又はピリチオン塩又はこれらの組合せ と、パラヒドロキシ安息香酸のベンジルエステル及び低級アルキルエステル、そ の塩、カルボン酸、その塩、及びこれらの組合せから成る群から選択される、但 し前記カルボン酸は没食子酸、リンゴ酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチル酸 、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれらの 組合せから成る群から選択されるものとする、化合物とを含むことを特徴とする セッケン、シャンプー又はスキンケア薬剤。 ８．水又は有機ベース流体と、ピリチオンと、パラヒドロキシ安息香酸のベン ジルエステル及び低級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩、及びこ れらの組合せから成る群から選択される、但し前記カルボン酸は没食子酸、リン ゴ酸、酒石酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸、 プロピオン酸、乳酸、クエン酸及びこれらの組合せから成る群から選択されるも のとする、化合物とを含有する金属加工用流体。 ９．付加的に、腐食抑制剤、界面活性剤、及びこれらの組合せから成る群から 選択される成分を含む、請求項１９記載の金属加工用流体。 １０．プラスチック又は繊維と、パラヒドロキシ安息香酸のベンジルエステル 及び低級アルキルエステル、その塩、カルボン酸、その塩、及びこれらの組合せ から成る群から選択される、但し前記カルボン酸は没食子酸、リンゴ酸、酒石酸 、ウンデシレン酸、サリチル酸、ｐ−アミノ安息香酸、安息香酸、プロピオン酸 、乳酸、クエン酸及びこれらの組合せから成る群から選択されるものとする、化 合物とを組合せて含む、プラスチック又は紡織繊維若しくは不織繊維を含むこと を特徴とする組成物。