JPH06256894A - 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ - Google Patents
耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプInfo
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- JPH06256894A JPH06256894A JP4686893A JP4686893A JPH06256894A JP H06256894 A JPH06256894 A JP H06256894A JP 4686893 A JP4686893 A JP 4686893A JP 4686893 A JP4686893 A JP 4686893A JP H06256894 A JPH06256894 A JP H06256894A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は高強度ラインパイプにおいて、NA
CE環境中でも水素誘起割れが生じない、成分と偏析条
件、有効なCaの条件を与える。 【構成】 主要成分として、C,Si,Mn,P,S,
Nb,Al,Caを含有し、Ti,V,Ni,Cu,C
r,Moの一種または二種以上を含有するAPIグレー
ドX60からX70のラインパイプに関して、成分範囲
を限定するとともに、Mnスポット偏析部のサイズを5
00μm未満、かつ、偏析部のP濃度を0.035%未
満とし、硫化物の形態制御に必要な有効Ca比を1.7
以上とすることにより、Mn偏析部が実質的に水素誘起
割れの発生に関して無害となる。 【効果】 本発明により、湿潤な硫化水素環境における
耐水素誘起割れ性を有する、APIグレードX60から
X70のラインパイプが得られる。
CE環境中でも水素誘起割れが生じない、成分と偏析条
件、有効なCaの条件を与える。 【構成】 主要成分として、C,Si,Mn,P,S,
Nb,Al,Caを含有し、Ti,V,Ni,Cu,C
r,Moの一種または二種以上を含有するAPIグレー
ドX60からX70のラインパイプに関して、成分範囲
を限定するとともに、Mnスポット偏析部のサイズを5
00μm未満、かつ、偏析部のP濃度を0.035%未
満とし、硫化物の形態制御に必要な有効Ca比を1.7
以上とすることにより、Mn偏析部が実質的に水素誘起
割れの発生に関して無害となる。 【効果】 本発明により、湿潤な硫化水素環境における
耐水素誘起割れ性を有する、APIグレードX60から
X70のラインパイプが得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿潤な硫化水素環境に
おける耐水素誘起割れ性を有するAPIグレードX60
からX70のラインパイプに関するものである。
おける耐水素誘起割れ性を有するAPIグレードX60
からX70のラインパイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年生産される石油、天然ガス中に硫化
水素を含む場合が非常に多くなっているため、これらの
石油、天然ガスを輸送するラインパイプは海水等の水が
共存した硫化水素環境(サワー環境)にさらされる可能
性が高くなっている。サワー環境中では、鋼表面の腐食
による鋼中への水素の侵入が硫化水素の触媒作用により
促進され、外部からの付加応力がない場合でもいわゆる
水素誘起割れが生じることがある。従って、サワー環境
にさらされる可能性があるラインパイプには耐水素誘起
割れ性が求められる。
水素を含む場合が非常に多くなっているため、これらの
石油、天然ガスを輸送するラインパイプは海水等の水が
共存した硫化水素環境(サワー環境)にさらされる可能
性が高くなっている。サワー環境中では、鋼表面の腐食
による鋼中への水素の侵入が硫化水素の触媒作用により
促進され、外部からの付加応力がない場合でもいわゆる
水素誘起割れが生じることがある。従って、サワー環境
にさらされる可能性があるラインパイプには耐水素誘起
割れ性が求められる。
【0003】この水素誘起割れの発生機構については、
種々の研究がなされており、熱間圧延によって延伸した
非金属介在物と地鉄との界面に、侵入水素が拡散、集積
し、分子状水素となる際のガス圧により割れが生じると
いう機構が広く認められている。この延伸介在物の代表
がMnSである。さらに、連続鋳造で製造された鋳片中
には、一般に中心偏析が存在するため、Mnの偏析によ
りMnSが形成され易くなるのに加えて、Mn,Pの偏
析により割れの伝播を助長する硬度の高い領域が生じ
る。
種々の研究がなされており、熱間圧延によって延伸した
非金属介在物と地鉄との界面に、侵入水素が拡散、集積
し、分子状水素となる際のガス圧により割れが生じると
いう機構が広く認められている。この延伸介在物の代表
がMnSである。さらに、連続鋳造で製造された鋳片中
には、一般に中心偏析が存在するため、Mnの偏析によ
りMnSが形成され易くなるのに加えて、Mn,Pの偏
析により割れの伝播を助長する硬度の高い領域が生じ
る。
【0004】以上の割れ発生機構に関する研究に基づい
て、従来より次のような水素誘起割れ防止対策が採ら
れ、ラインパイプの生産において実用化され効果を上げ
ている。 (1)高純化 製鋼段階でSをできる限り低減し、MnSの量を低減す
る。また、Pをできるだけ低減し、偏析部の硬度を低く
する。 (2)マクロ中心偏析の低減 連続鋳造の凝固末端部において、鋳片のバルジングを防
止する等の手段を講じマクロ偏析を低減する。
て、従来より次のような水素誘起割れ防止対策が採ら
れ、ラインパイプの生産において実用化され効果を上げ
ている。 (1)高純化 製鋼段階でSをできる限り低減し、MnSの量を低減す
る。また、Pをできるだけ低減し、偏析部の硬度を低く
する。 (2)マクロ中心偏析の低減 連続鋳造の凝固末端部において、鋳片のバルジングを防
止する等の手段を講じマクロ偏析を低減する。
【0005】(3)硫化物の形態制御 二次精錬においてCa処理により、硫化物の形態をMn
Sから熱間圧延時に延伸化しにくいCaSとする。 (4)制御圧延、加速冷却による組織制御 鋼管用原板の圧延段階で、制御圧延、加速冷却を適用
し、金属組織をできるだけ均一にして、割れ抵抗を増大
する(例えば、特開昭58−133348号公報)。
Sから熱間圧延時に延伸化しにくいCaSとする。 (4)制御圧延、加速冷却による組織制御 鋼管用原板の圧延段階で、制御圧延、加速冷却を適用
し、金属組織をできるだけ均一にして、割れ抵抗を増大
する(例えば、特開昭58−133348号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】耐水素誘起割れ性を評
価する試験法として、NACEで規格化されたTM02
84が広く用いられている。これはラインパイプから切
り出した短冊状試験片をサワー環境で浸漬試験し、試験
片の断面の観察を行って水素誘起割れの発生率を判定す
るものである。同規格の試験環境は、PHが約5である
が、最近の油井環境のサワー化に伴って、NACE規格
TM0177−90 Method Aに規定するPH
約3の環境(以降NACE環境と言う)で評価すること
が一般的となってきた。
価する試験法として、NACEで規格化されたTM02
84が広く用いられている。これはラインパイプから切
り出した短冊状試験片をサワー環境で浸漬試験し、試験
片の断面の観察を行って水素誘起割れの発生率を判定す
るものである。同規格の試験環境は、PHが約5である
が、最近の油井環境のサワー化に伴って、NACE規格
TM0177−90 Method Aに規定するPH
約3の環境(以降NACE環境と言う)で評価すること
が一般的となってきた。
【0007】さらに、割れ発生の判定に関して、断面観
察を行うのではなく、試験片を超音波で探傷してより厳
密に割れを判定すること、すなわち、より厳しい品質保
証が求められるようになっている。しかるに、上記従来
技術の適用だけでは、NACE環境の浸漬試験で、超音
波で探傷される割れを皆無にするまでには至っていな
い。かかる観点から、超音波探傷で検出される、NAC
E環境で生じる水素誘起割れを防止する条件を設定する
ことが、耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ
を製造するにあたっての課題となる。
察を行うのではなく、試験片を超音波で探傷してより厳
密に割れを判定すること、すなわち、より厳しい品質保
証が求められるようになっている。しかるに、上記従来
技術の適用だけでは、NACE環境の浸漬試験で、超音
波で探傷される割れを皆無にするまでには至っていな
い。かかる観点から、超音波探傷で検出される、NAC
E環境で生じる水素誘起割れを防止する条件を設定する
ことが、耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ
を製造するにあたっての課題となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
有利に解決するもので、水素誘起割れの発生起点となる
Mnのスポット偏析部の大きさ、偏析部のP濃度、硫化
物の形態制御に必要な有効Ca量を限定して、NACE
環境で水素誘起割れを生じなくするというものである。
有利に解決するもので、水素誘起割れの発生起点となる
Mnのスポット偏析部の大きさ、偏析部のP濃度、硫化
物の形態制御に必要な有効Ca量を限定して、NACE
環境で水素誘起割れを生じなくするというものである。
【0009】すなわち、本発明の要旨とするところは、
重量%で、C:0.03〜0.09%、Si:0.1〜
0.6%、Mn:1.1〜1.5%、P:0.015%
以下、S:0.0010%以下、Nb:0.010〜
0.050%、Al:0.005〜0.05%、Ca:
0.002〜0.004%を含有し、Ti:0.005
〜0.025%、V:0.01〜0.1%、Ni:1.
0%以下、Cu:1.0%以下、Cr:1.0%以下、
Mo:0.5%以下の一種または二種以上を含有し、残
部が鉄及び不可避不純物からなり、Mnの濃度が平均M
n濃度の1.32以上の領域であるMn偏析スポットの
大きさが500μm未満、かつ偏析部のPの濃度が0.
035%未満、かつ(1)式で計算される有効Ca比が
1.7以上であることを特徴とする耐水素誘起割れ性に
優れた高強度ラインパイプにある。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
重量%で、C:0.03〜0.09%、Si:0.1〜
0.6%、Mn:1.1〜1.5%、P:0.015%
以下、S:0.0010%以下、Nb:0.010〜
0.050%、Al:0.005〜0.05%、Ca:
0.002〜0.004%を含有し、Ti:0.005
〜0.025%、V:0.01〜0.1%、Ni:1.
0%以下、Cu:1.0%以下、Cr:1.0%以下、
Mo:0.5%以下の一種または二種以上を含有し、残
部が鉄及び不可避不純物からなり、Mnの濃度が平均M
n濃度の1.32以上の領域であるMn偏析スポットの
大きさが500μm未満、かつ偏析部のPの濃度が0.
035%未満、かつ(1)式で計算される有効Ca比が
1.7以上であることを特徴とする耐水素誘起割れ性に
優れた高強度ラインパイプにある。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
【0010】
【作用】本発明者らは、水素誘起割れ防止対策である
(1)高純化、(2)マクロ中心偏析の低減、(3)硫
化物の形態制御、(4)制御圧延、加速冷却による組織
制御を施してもなお発生する水素誘起割れの破面を観察
し、発生原因を考察した。その結果、マクロ的な中心偏
析が除かれた後でも、水素誘起割れは群状のMnSを起
点として発生しており、この群状MnSが存在する領域
は、Mnのスポット的な偏析部に対応し、その中ではP
の偏析が認められる上、Ca処理が有効に作用していな
いことを知見した。
(1)高純化、(2)マクロ中心偏析の低減、(3)硫
化物の形態制御、(4)制御圧延、加速冷却による組織
制御を施してもなお発生する水素誘起割れの破面を観察
し、発生原因を考察した。その結果、マクロ的な中心偏
析が除かれた後でも、水素誘起割れは群状のMnSを起
点として発生しており、この群状MnSが存在する領域
は、Mnのスポット的な偏析部に対応し、その中ではP
の偏析が認められる上、Ca処理が有効に作用していな
いことを知見した。
【0011】この結果に基づき、実機で製造したX60
からX70グレードの種々のUOEラインパイプについ
て、Mnスポット偏析部のサイズ、及び偏析部のP濃度
とNACE環境中の水素誘起割れの発生の関係を調べ、
図1に示すように、Mnの濃度が平均Mn濃度の1.3
2以上の領域をMnスポット偏析部と定義した場合、M
nスポット偏析部のサイズが500μm未満で、かつ、
偏析部のP濃度が0.035%未満の場合に下記の有効
Caに関する条件が満たされていれば、水素誘起割れが
生じないという知見を得た。図1は有効Ca比が1.7
以上の場合に、Mnスポット偏析部のサイズが500μ
m未満で、かつ、偏析部のP濃度が0.035%未満で
あれば水素誘起割れが生じないことを示す。
からX70グレードの種々のUOEラインパイプについ
て、Mnスポット偏析部のサイズ、及び偏析部のP濃度
とNACE環境中の水素誘起割れの発生の関係を調べ、
図1に示すように、Mnの濃度が平均Mn濃度の1.3
2以上の領域をMnスポット偏析部と定義した場合、M
nスポット偏析部のサイズが500μm未満で、かつ、
偏析部のP濃度が0.035%未満の場合に下記の有効
Caに関する条件が満たされていれば、水素誘起割れが
生じないという知見を得た。図1は有効Ca比が1.7
以上の場合に、Mnスポット偏析部のサイズが500μ
m未満で、かつ、偏析部のP濃度が0.035%未満で
あれば水素誘起割れが生じないことを示す。
【0012】また、本発明者らは上記の偏析に関する条
件に併せて、硫化物の形態制御を十分に行うために必要
なCa量の条件を検討した。その結果、図2に示すよう
に(1)式で表される有効Ca比が1.7以上の場合
に、上記の偏析に関する条件が満たされれば、水素誘起
割れが生じないという知見を得た。図2はMnスポット
偏析部のサイズが500μm未満で、かつ、偏析部のP
濃度が0.035%未満の場合に有効Ca比が1.7以
上であれば水素誘起割れが生じないことを示す。
件に併せて、硫化物の形態制御を十分に行うために必要
なCa量の条件を検討した。その結果、図2に示すよう
に(1)式で表される有効Ca比が1.7以上の場合
に、上記の偏析に関する条件が満たされれば、水素誘起
割れが生じないという知見を得た。図2はMnスポット
偏析部のサイズが500μm未満で、かつ、偏析部のP
濃度が0.035%未満の場合に有効Ca比が1.7以
上であれば水素誘起割れが生じないことを示す。
【0013】(1)式は酸化物として消費されるCaを
除いたCa、すなわち硫化物の形成に作用するCaとS
の比を示したもので、理論的には、1以上でMnSの形
態制御が可能となるはずであるが、実際にはMnのスポ
ット偏析部が形成されるために1.7以上とする必要が
ある。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
除いたCa、すなわち硫化物の形成に作用するCaとS
の比を示したもので、理論的には、1以上でMnSの形
態制御が可能となるはずであるが、実際にはMnのスポ
ット偏析部が形成されるために1.7以上とする必要が
ある。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
【0014】以上の事実に基づき、後述する理由で化学
成分を限定した上で、Mnのスポット偏析部の大きさ、
偏析部のP濃度、硫化物の形態制御に必要な有効Ca量
を限定すれば、NACE環境での耐水素誘起割れ性に優
れたAPIグレードX60からX70のラインパイプの
製造が可能であるという結論を得た。
成分を限定した上で、Mnのスポット偏析部の大きさ、
偏析部のP濃度、硫化物の形態制御に必要な有効Ca量
を限定すれば、NACE環境での耐水素誘起割れ性に優
れたAPIグレードX60からX70のラインパイプの
製造が可能であるという結論を得た。
【0015】次に本発明における成分限定理由を述べ
る。Cは、強化元素であるため、所望の強度を得るため
に0.03%以上とする。一方、多量に添加すると、ラ
インパイプの母材、溶接部の硬度が高くなり、靭性が低
下することに加え、硫化水素環境中では、硫化物応力割
れが生じやすくなるため0.09%以下とする。
る。Cは、強化元素であるため、所望の強度を得るため
に0.03%以上とする。一方、多量に添加すると、ラ
インパイプの母材、溶接部の硬度が高くなり、靭性が低
下することに加え、硫化水素環境中では、硫化物応力割
れが生じやすくなるため0.09%以下とする。
【0016】Siは脱酸元素であり、0.1%未満で
は、十分な脱酸力が得られないため、また、0.6%を
超えると鋼を脆化させるため0.1〜0.6%とする。
Mnは、水素誘起割れの発生起点となるMnSを形成す
るとともに、鋼の脆化を促進するPと共偏析して、水素
誘起割れの伝播、進展を助長するので、Mnの添加量
は、できるだけ低い方が望ましい。しかし、Mnは強
度、靭性を得る上で、不可欠な元素であるため、X60
からX70のラインパイプの強度を得るため、1.1〜
1.5%とする。
は、十分な脱酸力が得られないため、また、0.6%を
超えると鋼を脆化させるため0.1〜0.6%とする。
Mnは、水素誘起割れの発生起点となるMnSを形成す
るとともに、鋼の脆化を促進するPと共偏析して、水素
誘起割れの伝播、進展を助長するので、Mnの添加量
は、できるだけ低い方が望ましい。しかし、Mnは強
度、靭性を得る上で、不可欠な元素であるため、X60
からX70のラインパイプの強度を得るため、1.1〜
1.5%とする。
【0017】Pは偏析により水素誘起割れの伝播を起こ
しやすくする元素で、低い方が望ましく、0.015%
を上限とする。SはMnと結びついて水素誘起割れの発
生起点であるMnSを形成するため、極力低い方が望ま
しい。ラインパイプのNACE環境中での水素誘起割れ
を防止する観点から、0.0010%を上限とする。N
bは圧延組織の細粒化、焼入性の向上と析出硬化のため
0.010%以上添加するが、0.050%を超えて添
加しても多量に添加する効果は小さく、むしろ、粗大な
炭化物を形成して耐水素誘起割れ性を低下するので、
0.05%を上限とする。
しやすくする元素で、低い方が望ましく、0.015%
を上限とする。SはMnと結びついて水素誘起割れの発
生起点であるMnSを形成するため、極力低い方が望ま
しい。ラインパイプのNACE環境中での水素誘起割れ
を防止する観点から、0.0010%を上限とする。N
bは圧延組織の細粒化、焼入性の向上と析出硬化のため
0.010%以上添加するが、0.050%を超えて添
加しても多量に添加する効果は小さく、むしろ、粗大な
炭化物を形成して耐水素誘起割れ性を低下するので、
0.05%を上限とする。
【0018】Alは脱酸元素として重要であるが、多量
に添加すると鋼を汚染し、また靭性を低下させるので、
0.005%から0.05%とする。CaはMnS等の
硫化物系介在物の形状を制御するために、0.002%
以上添加するが、多量に添加すると鋼が汚染されるので
0.004%以下とする。本発明では、上記元素に加え
てTi,V,Ni,Cu,Cr,Moの一種または二種
以上を添加する。
に添加すると鋼を汚染し、また靭性を低下させるので、
0.005%から0.05%とする。CaはMnS等の
硫化物系介在物の形状を制御するために、0.002%
以上添加するが、多量に添加すると鋼が汚染されるので
0.004%以下とする。本発明では、上記元素に加え
てTi,V,Ni,Cu,Cr,Moの一種または二種
以上を添加する。
【0019】Ti添加量の下限0.005%は、微細な
TiNを形成し、ミクロ組織の細粒化が期待される最小
量であり、上限はTiCによる靭性低下が起きない条件
から0.025%とする。Vは強化元素として0.01
%以上添加し、過剰に添加すると靭性を低下させるので
0.1%以下とする。Ni,Cu,Cr,Moはいずれ
も鋼の焼入性を増大し、強度を増加する必要がある場合
に添加するが、過度の添加により低温変態生成物が形成
され靭性及び耐水素誘起割れ性が損なわれるので、N
i,Cu,Crはそれぞれ1.0%、Moは0.5%を
上限とする。
TiNを形成し、ミクロ組織の細粒化が期待される最小
量であり、上限はTiCによる靭性低下が起きない条件
から0.025%とする。Vは強化元素として0.01
%以上添加し、過剰に添加すると靭性を低下させるので
0.1%以下とする。Ni,Cu,Cr,Moはいずれ
も鋼の焼入性を増大し、強度を増加する必要がある場合
に添加するが、過度の添加により低温変態生成物が形成
され靭性及び耐水素誘起割れ性が損なわれるので、N
i,Cu,Crはそれぞれ1.0%、Moは0.5%を
上限とする。
【0020】本発明は、上記成分を有するラインパイプ
に関して、Mnの偏析部の大きさ、偏析部のP濃度を限
定し、さらに、有効なCa添加量を調整して、優れた耐
水素誘起割れ性を付与する。
に関して、Mnの偏析部の大きさ、偏析部のP濃度を限
定し、さらに、有効なCa添加量を調整して、優れた耐
水素誘起割れ性を付与する。
【0021】中心偏析が低減され、マクロ的な中心偏析
が除かれた後でも、スポット状のMnの偏析部が存在す
れば、Ca処理を行っていても当該スポット偏析部では
MnSが群状に形成され、水素誘起割れの発生起点とし
て作用する。また、Mnの偏析部ではPも偏析する傾向
があり、水素誘起割れの進展を助長する。
が除かれた後でも、スポット状のMnの偏析部が存在す
れば、Ca処理を行っていても当該スポット偏析部では
MnSが群状に形成され、水素誘起割れの発生起点とし
て作用する。また、Mnの偏析部ではPも偏析する傾向
があり、水素誘起割れの進展を助長する。
【0022】このスポット偏析部を皆無にすることは現
状では相当に困難であるが、そのサイズを小さくするこ
とによりNACE環境中での水素誘起割れの発生起点と
して作用しなくなる。この場合の前提として、Caによ
る硫化物の形態制御は必須で、Sと結合してMn偏析部
が実質的に水素誘起割れの発生に関して無害となるだけ
の有効なCa量の確保が必要である。
状では相当に困難であるが、そのサイズを小さくするこ
とによりNACE環境中での水素誘起割れの発生起点と
して作用しなくなる。この場合の前提として、Caによ
る硫化物の形態制御は必須で、Sと結合してMn偏析部
が実質的に水素誘起割れの発生に関して無害となるだけ
の有効なCa量の確保が必要である。
【0023】かかる観点から、NACE環境での水素誘
起割れを防止する条件として、Mnの濃度が平均Mn濃
度の1.32以上の領域をMnスポット偏析部と定義し
た場合、Mnスポット偏析部のサイズ(圧延方向に直角
な方向の長さ、即ちMnスポット偏析部の幅)を500
μm未満、かつ、偏析部のP濃度を0.035%未満と
し、(1)式で表される有効Ca比を1.7以上とす
る。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
起割れを防止する条件として、Mnの濃度が平均Mn濃
度の1.32以上の領域をMnスポット偏析部と定義し
た場合、Mnスポット偏析部のサイズ(圧延方向に直角
な方向の長さ、即ちMnスポット偏析部の幅)を500
μm未満、かつ、偏析部のP濃度を0.035%未満と
し、(1)式で表される有効Ca比を1.7以上とす
る。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
【0024】
【実施例】表1に化学成分を示す鋼を溶製し、連続鋳造
でスラブを製造し、厚板圧延を実施後、UOE鋼管に造
管した。鋼管のサイズは、外径が約30インチ、管厚が
約20mmで、各鋼管は成分により異なるがAPI規格X
60からX70を満足する。シーム溶接部から180°
離れた鋼管の母材部よりNACE規格TM0284に従
い浸漬試験片を作製し、NACE規格TM0177−9
0 MethodAの環境条件で、TM0284の手順
に従い、浸漬試験を実施した。
でスラブを製造し、厚板圧延を実施後、UOE鋼管に造
管した。鋼管のサイズは、外径が約30インチ、管厚が
約20mmで、各鋼管は成分により異なるがAPI規格X
60からX70を満足する。シーム溶接部から180°
離れた鋼管の母材部よりNACE規格TM0284に従
い浸漬試験片を作製し、NACE規格TM0177−9
0 MethodAの環境条件で、TM0284の手順
に従い、浸漬試験を実施した。
【0025】同一鋼管からの試験片は5本とした。浸漬
試験終了後、試験片を周波数25MHz の超音波探傷装置
により走査し、試験片の幅×長さ2000mm2 中、何%
の割合で水素誘起割れが生じているかを検出した値、C
AR(%)を求め、CAR=0をもって耐水素誘起割れ
性を有するとした。水素誘起割れが生じた場合、5本の
試験片のCARの平均値をその鋼管のCARとした。
試験終了後、試験片を周波数25MHz の超音波探傷装置
により走査し、試験片の幅×長さ2000mm2 中、何%
の割合で水素誘起割れが生じているかを検出した値、C
AR(%)を求め、CAR=0をもって耐水素誘起割れ
性を有するとした。水素誘起割れが生じた場合、5本の
試験片のCARの平均値をその鋼管のCARとした。
【0026】また、割れの断面をEPMAで測定し、M
nスポット偏析サイズ、偏析部のP濃度を測定した。一
方、水素誘起割れが生じなかった場合は、電解チャージ
法により試験片に水素を侵入させ、生じた水素割れの断
面においてMnスポット偏析サイズ、偏析部のP濃度を
測定した。表1に示すように、本発明に従う条件では、
いずれの場合もCAR=0%であり優れた耐水素誘起割
れ性が得られた。
nスポット偏析サイズ、偏析部のP濃度を測定した。一
方、水素誘起割れが生じなかった場合は、電解チャージ
法により試験片に水素を侵入させ、生じた水素割れの断
面においてMnスポット偏析サイズ、偏析部のP濃度を
測定した。表1に示すように、本発明に従う条件では、
いずれの場合もCAR=0%であり優れた耐水素誘起割
れ性が得られた。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】しかし、比較例1及び2ではMnスポット
偏析サイズが、比較例3ではMn量、Mnスポット偏析
サイズが、比較例4では偏析部のP濃度が、比較例5で
はMnスポット偏析サイズ、偏析部のP濃度が、比較例
6ではP量と偏析部のP濃度が、比較例7では有効Ca
比が、比較例8ではCa量と有効Ca比が、比較例9で
はS量と有効Ca比が本発明の範囲を逸脱するために、
それぞれ水素誘起割れが生じる。
偏析サイズが、比較例3ではMn量、Mnスポット偏析
サイズが、比較例4では偏析部のP濃度が、比較例5で
はMnスポット偏析サイズ、偏析部のP濃度が、比較例
6ではP量と偏析部のP濃度が、比較例7では有効Ca
比が、比較例8ではCa量と有効Ca比が、比較例9で
はS量と有効Ca比が本発明の範囲を逸脱するために、
それぞれ水素誘起割れが生じる。
【0031】
【発明の効果】本発明により、湿潤な硫化水素環境にお
ける耐水素誘起割れ性を有する、APIグレードX60
からX70のラインパイプが得られるため、工業的効果
は著しく大きい。
ける耐水素誘起割れ性を有する、APIグレードX60
からX70のラインパイプが得られるため、工業的効果
は著しく大きい。
【図1】偏析部P濃度とMnスポット偏析サイズの図表
である。
である。
【図2】水素誘起割れ率と有効Ca比の図表である。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.03〜0.09%、 Si:0.1〜0.6%、 Mn:1.1〜1.5%、 P :0.015%以下、 S :0.0010%以下、 Nb:0.010〜0.050%、 Al:0.005〜0.05%、 Ca:0.002〜0.004% を含有し、 Ti:0.005〜0.025%、 V :0.01〜0.1%、 Ni:1.0%以下、 Cu:1.0%以下、 Cr:1.0%以下、 Mo:0.5%以下 の一種または二種以上を含有し、残部が鉄及び不可避不
純物からなり、Mnの濃度が平均Mn濃度の1.32以
上の領域であるMn偏析スポットの大きさが500μm
未満、かつ偏析部のPの濃度が0.035%未満、かつ
(1)式で計算される有効Ca比が1.7以上であるこ
とを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた高強度ライン
パイプ。 有効Ca比={(%Ca)(1−98(%O))}/(%S) ………(1)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4686893A JPH06256894A (ja) | 1993-03-08 | 1993-03-08 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4686893A JPH06256894A (ja) | 1993-03-08 | 1993-03-08 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06256894A true JPH06256894A (ja) | 1994-09-13 |
Family
ID=12759328
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4686893A Withdrawn JPH06256894A (ja) | 1993-03-08 | 1993-03-08 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06256894A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005186162A (ja) * | 2003-12-02 | 2005-07-14 | Jfe Steel Kk | 耐サワー特性に優れた高靭性厚肉溶接鋼管 |
| KR100584748B1 (ko) * | 2001-12-22 | 2006-05-30 | 주식회사 포스코 | 내 수소 유기 균열성이 우수한 라인 파이프용 연주 주편 |
| WO2010093057A1 (ja) * | 2009-02-12 | 2010-08-19 | 新日本製鐵株式会社 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管 |
| WO2010093053A1 (ja) * | 2009-02-12 | 2010-08-19 | 新日本製鐵株式会社 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管 |
| WO2013147197A1 (ja) | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 新日鐵住金株式会社 | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼管及びこれに用いる高強度ラインパイプ用鋼板、並びにこれらの製造方法 |
| CN115386784A (zh) * | 2022-09-15 | 2022-11-25 | 哈尔滨工程大学 | 一种有效提高管线钢抗氢损伤性能的冶金方法 |
-
1993
- 1993-03-08 JP JP4686893A patent/JPH06256894A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP2010209460A (ja) * | 2009-02-12 | 2010-09-24 | Nippon Steel Corp | 耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板及び高強度ラインパイプ用鋼管 |
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| CN115386784A (zh) * | 2022-09-15 | 2022-11-25 | 哈尔滨工程大学 | 一种有效提高管线钢抗氢损伤性能的冶金方法 |
| CN115386784B (zh) * | 2022-09-15 | 2023-08-01 | 哈尔滨工程大学 | 一种有效提高管线钢抗氢损伤性能的冶金方法 |
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