JP7718571B2 - 導電性高分子分散液及び導電性高分子分散液の製造方法、固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
導電性高分子分散液及び導電性高分子分散液の製造方法、固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法Info
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Description
本発明は、導電性高分子が分散した導電性高分子分散液、及び導電性高分子分散液、並びに、この導電性高分子分散液により固体電解質層が形成された固体電解コンデンサ、及びこの導電性高分子分散液により固体電解コンデンサを製造する方法に関する。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用金属を利用した電解コンデンサは、陽極電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができる。特に、誘電体酸化皮膜を固体電解質で覆った固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であり、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせない。
固体電解質としては、二酸化マンガンや7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られている。近年は、反応速度が緩やかで、また誘電体酸化皮膜との密着性に優れたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等の、π共役二重結合を有するモノマーから誘導された導電性高分子が固体電解質として急速に普及している。導電性高分子には化学酸化重合又は電解酸化重合の際に、ポリアニオン等の酸化合物がドーパントとして用いられ、高い導電性が発現する。
但し、固体電解コンデンサは、コンデンサ素子に電解液を含浸させ、固体電解質層を有さない液体型の電解コンデンサと比べて、誘電体酸化皮膜の欠陥部の修復作用に乏しく、漏れ電流が増大する虞がある。そこで、一対の電極箔を対向させたコンデンサ素子に固体電解質層を形成すると共に、コンデンサ素子の空隙に電解液を含浸させた所謂ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサが注目されている。
固体電解質層は、一対の電極箔を対向させたコンデンサ素子を導電性高分子が含まれる液状組成物に浸漬させることで形成される。液状組成物にコンデンサ素子を浸漬させると導電性高分子がコンデンサ素子に付着して固体電解質層となる。固体電解質層が形成されたコンデンサ素子には、更に電解液を含浸させ、電解液が含浸したコンデンサ素子は、外装ケースに収容される。外装ケースの開口には、エチレンプロピレンゴムやブチルゴム等のエラストマー層を有する封口体が挿入され、内部が密閉される。
酸化合物であるドーパントを含む液状組成物の酸性度は高い。そのため、固体電解コンデンサの電極箔が腐食する虞が指摘されている。この問題に対し、アルカリ成分を固体電解質層に含有させた固体電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、導電性高分子とポリアニオンとアルカリ成分と溶媒とを含む液状組成物に陽極体を浸漬したり、または陽極体に液状組成物を塗布や滴下したりし、その後、1回又は複数回の乾燥工程を経て、液状組成物の溶媒を除去する。アルカリ成分としては、好適にはアンモニアが提示されている。
アンモニアを含有させた液状組成物で固体電解コンデンサを作製した場合、150℃や180℃といった高温環境下では、封口体が割れ、また静電容量が低下してしまう現象が見られた。この現象について調査したところ、乾燥により液状組成物の溶媒を除去した際に、沸点が低いアンモニアも多く蒸散してしまい、コンデンサ素子内の中和状態を維持できなくなったものと推測される。
しかしながら、アンモニアは耐電圧特性向上及び高温環境下でのESRの上昇抑制の観点から有用であるし、その他にも液状組成物の溶媒除去の過程で蒸散し易い揮発性アルカリ成分にも、固体電解コンデンサに有用な化合物があり、他と代替し難い。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、ESR上昇抑制効果を維持しつつ、静電容量が低下し難い、導電性高分子の粒子又は粉体が分散した導電性高分子分散液、この導電性高分子分散液の製造方法、この導電性高分子分散液により作製された固体電解コンデンサ、及びこの固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明の導電性高分子分散液は、一対の電極箔が対向したコンデンサ素子に固体電解質層を形成するための導電性高分子分散液であって、溶媒、導電性高分子及びアルカリ成分を少なくとも含み、前記アルカリ成分として、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方を含むこと、を特徴とする。
前記揮発性アルカリ成分は、沸点が-30℃以下であり、前記難揮発性アルカリ成分は、沸点が1000℃以上であるようにしてもよい。
前記揮発性アルカリ成分は、アンモニアであり、前記難揮発性アルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムの群から選択される1種類以上であるようにしてもよい。
前記揮発性アルカリ成分(A)と前記難揮発性アルカリ成分(B)とのモル比は、A:B=2:8~8:2の範囲であるようにしてもよい。
また、上記課題を解決すべく、本発明の固体電解コンデンサは、一対の電極箔が対向したコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子内に形成され、固体電解質層と電解液とを含む電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方を含むこと、を特徴とする。
前記電解液は、溶媒として、少なくともグリコール類を含むようにしてもよい。
また、上記課題を解決すべく、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、少なくとも溶媒と導電性高分子とアルカリ成分とを混合して導電性高分子分散液を作製する分散液作製工程と、前記導電性高分子分散液を用いて、一対の電極箔が対向したコンデンサ素子に導電性高分子を付着させる付着工程と、前記付着工程を経た前記コンデンサ素子を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程を経た前記コンデンサ素子に電解液を含浸する含浸工程と、を含み、前記分散液作製工程では、前記アルカリ成分として、前記溶媒に揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方を前記導電性高分子分散液に添加すること、を特徴とする。
前記乾燥工程では、前記溶媒及び前記揮発性アルカリ成分の沸点以上、前記難揮発性アルカリ成分の沸点未満の温度環境下に、前記コンデンサ素子を晒すようにする。
本発明によれば、導電性高分子分散液の酸性度が高いことに起因する封口体の劣化と静電容量の低下を抑制できる。
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係る導電性高分子分散液、固体電解コンデンサについて説明する。固体電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子であり、固体電解質層と電解液とが併用された所謂ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサである。以下、ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサを単に固体電解コンデンサと呼ぶ。尚、固体電解コンデンサは、例えば巻回型又は積層型の形状を有する。本実施形態では、巻回型を例示して説明するが、本発明の固体電解コンデンサはこれに限定されるものではなく、またその他説明する実施形態にも限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態に係る導電性高分子分散液、固体電解コンデンサについて説明する。固体電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子であり、固体電解質層と電解液とが併用された所謂ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサである。以下、ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサを単に固体電解コンデンサと呼ぶ。尚、固体電解コンデンサは、例えば巻回型又は積層型の形状を有する。本実施形態では、巻回型を例示して説明するが、本発明の固体電解コンデンサはこれに限定されるものではなく、またその他説明する実施形態にも限定されるものではない。
巻回型の固体電解コンデンサは円筒形状のコンデンサ素子を有する。コンデンサ素子は、有底筒状の外装ケースに挿入される。外装ケースの開口端部は、エチレンプロピレンゴムやブチルゴム等のエラストマー層を有する封口体が装着され、開口端部の加締め加工により封止される。コンデンサ素子は、陽極側及び陰極側に分かれた一対の電極箔、セパレータ及び電解質層を備えており、一対の電極箔はセパレータを介して巻回されており、電解質層は一対の電極箔間に形成されている。陽極側の電極箔の表面には誘電体酸化皮膜が形成されている。一対の電極箔の各々には、陽極リード及び陰極リードが接続されており、陽極リード及び陰極リードは封口ゴムから引き出されている。
電解質層は固体電解質層と電解液とを備える。固体電解質層は、少なくとも陽極箔表面の誘電体酸化皮膜層の一部を覆うように形成されている。電解液は、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子の空隙部に充填されている。固体電解質層は導電性高分子を含み、コンデンサ素子を導電性高分子分散液に浸漬及び乾燥させることにより形成される。導電性高分子分散液は、導電性高分子の粒子又は粉末が分散した液体であり、コンデンサ素子の浸漬によりコンデンサ素子に導電性高分子が固体電解質層として付着する。コンデンサ素子の乾燥により、導電性高分子分散液の溶媒が除去される。電解液は、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を浸漬することにより、コンデンサ素子内に含浸される。
(導電性高分子分散液)
導電性高分子分散液の導電性高分子は、ドーピングされた共役系高分子であり、共役系高分子は、π共役二重結合を有するモノマー又はその誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られる。共役系高分子にドープ反応を行うことで導電性高分子は高い導電性を発現する。即ち、共役系高分子に電子を受け入れやすいアクセプター、もしくは電子を与えやすいドナーといったドーパントを少量添加することで導電性を発現する。共役系高分子にアクセプターやドナーを加えると、アクセプターの場合には共役系高分子からπ電子が引き抜かれて負の荷電単体(正孔、ホール)が、ドナーの場合は電子が供給されて負の荷電担体ができ、導電性を発現する。
導電性高分子分散液の導電性高分子は、ドーピングされた共役系高分子であり、共役系高分子は、π共役二重結合を有するモノマー又はその誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られる。共役系高分子にドープ反応を行うことで導電性高分子は高い導電性を発現する。即ち、共役系高分子に電子を受け入れやすいアクセプター、もしくは電子を与えやすいドナーといったドーパントを少量添加することで導電性を発現する。共役系高分子にアクセプターやドナーを加えると、アクセプターの場合には共役系高分子からπ電子が引き抜かれて負の荷電単体(正孔、ホール)が、ドナーの場合は電子が供給されて負の荷電担体ができ、導電性を発現する。
共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
上記の共役系高分子のなかでも、チオフェン又はその誘導体が重合されて成る共役系高分子が好ましく、3,4-エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン)、3-アルキルチオフェン、3-アルコキシチオフェン、3-アルキル-4-アルコキシチオフェン、3,4-アルキルチオフェン、3,4-アルコキシチオフェン又はこれらの誘導体が重合された共役系高分子が好ましい。チオフェン誘導体としては、3位と4位に置換基を有するチオフェンから選択された化合物が好ましく、チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。アルキル基やアルコキシ基の炭素数は1~16が適している。
特に、EDOTと呼称される3,4-エチレンジオキシチオフェンの重合体、即ち、PEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、3,4-エチレンジオキシチオフェンにアルキル基が付加された、アルキル化エチレンジオキシチオフェンでもよく、例えば、メチル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-メチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)、エチル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-エチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)などが挙げられる。
ドーパントは、公知のものを特に限定なく使用することができる。ドーパントは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、高分子又は単量体を用いてもよい。例えば、ドーパントとしては、ポリアニオン、ホウ酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、スクアリン酸、ロジゾン酸、クロコン酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ベンゼンジスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ボロジサリチル酸、ビスオキサレートボレート酸、スルホニルイミド酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。
ポリアニオンは、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルであって、アニオン基を有する構成単位のみからなるポリマー、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーが挙げられる。具体的には、ポリアニオンとしては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などが挙げられる。尚、ポリアニオンの数平均分子量は、1,000~2,000,000、好ましくは10,000~500,000である。数平均分子量が1,000未満では、得られる導電性高分子の導電性が不足するとともに、分散性が低下するため好ましくなく、数平均分子量が2,000,000を超えると、混合液の粘性が増加するため好ましくない。
この導電性高分子分散液には、溶媒と導電性高分子に加えて、更に揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分が各々含まれている。揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分は、ドーパントの存在等により酸性度が高くなる導電性高分子分散液の中和剤である。導電性高分子分散液中に揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分が含まれていれば、2種類以上の揮発性アルカリ成分や2種類以上の難揮発性アルカリ成分が含まれていてもよい。
導電性高分子分散液の溶媒としては、導電性高分子の粒子または粉末が分散するものであれば良く、例えば水や有機溶媒又はそれらの混合物が用いられる。有機溶媒としては、極性溶媒、アルコール類、エステル類、炭化水素類、カーボネート化合物、エーテル化合物、鎖状エーテル類、複素環化合物、ニトリル化合物等が挙げられる。
極性溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。炭化水素類としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。エーテル化合物としては、ジオキサン、ジエチルエーテル等が挙げられる。鎖状エーテル類としては、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。複素環化合物としては、3-メチル-2-オキサゾリジノン等が挙げられる。ニトリル化合物としては、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
揮発性アルカリ成分は、導電性高分子分散液に浸漬したコンデンサ素子を乾燥させる際に、当該コンデンサ素子を載置する温度環境よりも沸点が低いアルカリ成分である。この揮発性アルカリ成分としては、例えば沸点-30℃以下のアルカリ成分が挙げられ、具体的にはアンモニアが好適である。アンモニアは、実装時のリフロー等のように150~280℃の高温環境に固体電解コンデンサが晒されても、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)の上昇を抑制する。
難揮発性アルカリ成分は、導電性高分子分散液に浸漬したコンデンサ素子を乾燥させる際に、当該コンデンサ素子を載置する温度環境よりも沸点が高いアルカリ成分である。この揮発性アルカリ成分としては、例えば沸点1000℃以上のアルカリ成分が挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムの群から選択される1種類以上が用いられる。この揮発性アルカリ成分は、封口体の劣化を抑制し、固体電解コンデンサの静電容量の低下を抑制する。
揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分とのモル比は、揮発性アルカリ成分をA及び難揮発性アルカリ成分をBとしたとき、A:B=2:8~8:2の範囲であることが好ましい。揮発性アルカリ成分がアルカリ成分全量に対して80mol%を超えると、固体電解コンデンサの静電容量の低下が著しくなる。一方、揮発性アルカリ成分がアルカリ成分全量に対して20mol%未満になると、高温環境下でのESR上昇が著しくなる。
また、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分とを添加することで、導電性高分子分散液はpH2以上7以下に調整されることが好ましく、更に好ましくはpH2以上5以下である。このpH範囲に調整されることにより、封口体の劣化は更に抑制され、固体電解コンデンサの静電容量の低下は更に抑制される。
導電性高分子分散液には、溶媒、導電性高分子、揮発性アルカリ成分及び難揮発性アルカリ成分の他に、多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールとしては、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレングリセリン、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。多価アルコールは沸点が高いために乾燥工程後も固体電解質層に残留させることができ、ESR低減や耐電圧向上効果が得られる。
更に、導電性高分子分散液には、他の化合物を含んでもよい。例えば、有機バインダー、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の慣用の添加剤を添加してもよい。導電性高分子の分散液に添加剤を添加したり、導電性高分子の分散液をコンデンサ素子へ含浸する回数を増やすことでESRを大幅に低下させることも可能である。
この導電性高分子分散液の分散液作製工程では、例えば、導電性高分子を構成するモノマーと、導電性高分子を構成するドーパントを放出する酸又はそのアルカリ金属塩を添加し、支持電解質を添加し、攪拌しながら電解酸化重合し、次いで、限外濾過、陽イオン交換、及び陰イオン交換などの精製手段により不純物や残留モノマーを除去する。この分散液作製工程により、導電性高分子分散液が得られる。揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分は、分散液作製工程中、この不純物や残留モノマーが除去された後の導電性高分子分散液に添加すればよい。
支持電解質は、従来の導電性高分子に含まれるドーパントを放出する化合物を特に限定なく使用することができ、例えば、ホウ酸、硝酸、リン酸、タングストリン酸、モリブドリン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、スクアリン酸、ロジゾン酸、クロコン酸、サリチル酸等の有機酸に加えて、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸及びこれらの塩が例示される。また、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等のポリスルホン酸、及びこれらの塩も支持電解質として使用可能である。さらに、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジマロン酸、ボロジコハク酸、ボロジアジピン酸、ボロジマレイン酸、ボロジグリコール酸、ボロジ乳酸、ボロジヒドロキシイソ酪酸、ボロジリンゴ酸、ボロジ酒石酸、ボロジクエン酸、ボロジフタル酸、ボロジヒドロキシ安息香酸、ボロジマンデル酸、ボロジベンジル酸等のホウ素錯体、スルホニルイミド酸、及びこれらの塩も支持電解質として使用可能である。
塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ジブチルアンモニウム塩等のジアルキルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリブチルアンモニウム塩等のトリアルキルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩が例示される。
電解酸化重合は、定電位法、定電流法、電位掃引法のいずれかの方法により行われる。定電位法による場合には、飽和カロメル電極に対して1.0~1.5Vの電位が好適であり、定電流法による場合には、1~10000μA/cm2の電流値が好適であり、電位掃引法による場合には、飽和カロメル電極に対して0~1.5Vの範囲を5~200mV/秒の速度で掃引するのが好適である。重合温度には厳密な制限がないが、一般的には10~60℃の範囲である。重合時間は、一般的には10分~30時間の範囲である。
また、この導電性高分子分散液の分散液作製工程では、例えば、導電性高分子を構成するモノマーと、導電性高分子を構成するドーパントを放出する酸又はそのアルカリ金属塩を添加し、酸化剤を添加し、化学酸化重合が完了するまで攪拌し、次いで、限外濾過、陽イオン交換、及び陰イオン交換などの精製手段により残留モノマーや不純物を除去する。この分散液作製工程により、導電性高分子分散液が得られる。揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分は、分散液作製工程中、この残留モノマーや不純物が除去された後の導電性高分子分散液に添加すればよい。
酸化剤としては、p-トルエンスルホン酸鉄(III)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)、アントラキノンスルホン酸鉄(III)等の三価の鉄塩、若しくは、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム等のペルオキソ二硫酸塩、などを使用することができ、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を使用しても良い。化学酸化重合では、重合温度には厳密な制限がないが、一般的には10~60℃の範囲である。重合時間は、一般的には10分~30時間の範囲である。
尚、電解酸化重合及び化学酸化重合において、溶媒は、所望量のモノマー及び支持電解質を溶解することができ電解重合に悪影響を及ぼさない溶媒を特に限定なく使用することができる。例えば、溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ブチロニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、γ-ブチロラクトン、酢酸メチル、酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルホラン、ジメチルスルホランが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
(固体電解コンデンサ)
陽極側及び陰極側の電極箔は弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極側の電極箔に関して99.9%以上が望ましく、陰極側の電極箔に関して99%以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極側及び陰極側の電極箔は弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極側の電極箔に関して99.9%以上が望ましく、陰極側の電極箔に関して99%以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極側の電極箔は、弁作用金属の粉体を焼結した焼結体、又は延伸された箔にエッチング処理を施したエッチング箔として、表面に多孔質構造を有する。多孔質構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。多孔質構造は、典型的には、塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングにより形成され、若しくは芯部に金属粒子等を蒸着又は焼結することにより形成される。陰極側の電極箔も必要に応じて表面を多孔質構造にしてもよい。
誘電体酸化皮膜層は、固体電解コンデンサの誘電体層であり、典型的には、陽極側の電極箔の表層に形成される酸化皮膜である。陽極側の電極箔がアルミニウム製であれば、誘電体酸化皮膜層は、多孔質構造領域を酸化させた酸化アルミニウム層である。この誘電体酸化皮膜層は、アジピン酸やホウ酸等の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加して形成される。陰極側の電極箔にも、必要に応じて誘電体酸化皮膜層を形成してもよく、さらに金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物からなる層を蒸着法により形成したもの、あるいは表面に炭素を含有したものを用いても良い。陽極箔及び陰極箔の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意に設定することができる。
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等があげられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
尚、セパレータは、陽極側と陰極側の電極箔のショート防止のために、陽極側と陰極側の電極箔を隔て、また電極箔間の固体電解質層を保持する。固体電解質層の形状が自力で保持され、固体電解質層によって陰極側と陽極側の電極箔を隔離できる場合、セパレータを固体電解コンデンサから排除できる。
コンデンサ素子は、これら一対の電極箔がセパレータを介在させて巻回することで作製される。セパレータは、その一端が一対の電極箔の一端よりも飛び出すように重ね合わせておき、一対の電極箔と陰極箔とセパレータの層は、飛び出したセパレータを先に巻き始めて巻芯部を作製し、続けてその巻芯部を巻軸にすることで巻回されていく。その後、このコンデンサ素子に固体電解質層が形成され、電解液が含浸される。
固体電解質層は、導電性高分子分散液に含まれていた導電性高分子、揮発性アルカリ成分及び不揮発性アルカリ成分、又はこれに加えて多価アルコール等の添加物を含み、陽極側の電極箔の誘電体酸化皮膜と密着して真の陰極となる。この固体電解質層は、導電性高分子分散液にコンデンサ素子を浸漬させ、導電性高分子を誘電体酸化皮膜層に付着させることで形成される。導電性高分子の付着工程では、コンデンサ素子への含浸の促進を図るべく、必要に応じて減圧処理や加圧処理を施してもよい。この付着工程は複数回繰り返しても良い。
尚、浸漬の他にも、導電性高分子分散液は、コンデンサ素子に滴下塗布やスプレー塗布等によりコンデンサ素子に含浸させるようにしてもよい。また、コンデンサ素子全体に限らず、陽極側の電極箔や陰極側の電極箔を導電性高分子分散液に浸漬したり、陽極側の電極箔や陰極側の電極箔に導電性高分子分散液を滴下塗布又はスプレー塗布してから、コンデンサ素子を組み立てるようにしてもよい。
含浸工程を経たコンデンサ素子からは、乾燥工程により導電性高分子分散液の溶媒が除去される。乾燥工程では、コンデンサ素子を例えば80℃以上200℃以下の温度環境下に3分以上180分以下の範囲で晒す。この乾燥工程は複数回繰り返してもよい。コンデンサ素子は減圧環境下で乾燥してもよく、例えば5kPa以上100kPaの圧力で減圧する。
電解液は、導電性高分子の付着工程と乾燥工程の後にコンデンサ素子に含浸する。この電解液は、少なくとも誘電体酸化皮膜の修復作用を担う。電解液において、溶媒としてはグリコール系が好ましい。電解液の溶媒がグリコール系であり、且つ導電性高分子分散液に揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方が含有される場合、高温環境下における封口体の劣化が良好に抑制され、また静電容量の低下も良好に抑制できる。
グリコール系の溶媒は、鎖状脂肪族炭化水素又は環状脂肪族炭化水素内の異なる2つの炭素原子の各々にOH基が置換した二価アルコールである。例えば、グリコール系としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリンが挙げられる。尚、グリコール系から選ばれる1種類以上が溶媒として電解液に含まれていてもよい。また、グリコール系の溶媒が含まれていれば、グリコール系以外の溶媒が電解液に含まれていてもよい。
電解質としては、アニオン成分やカチオン成分が含まれる。この電解質は特に限定なく使用することができ、典型的には、有機酸の塩、無機酸の塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物の塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を別々に液体に添加してもよい。
アニオン成分となる有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6-デカンジカルボン酸、1,7-オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、レゾルシン酸、フロログルシン酸、没食子酸、ゲンチシン酸、プロトカテク酸、ピロカテク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸や、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸、ボロジマロン酸、ボロジコハク酸、ボロジアジピン酸、ボロジアゼライン酸、ボロジ安息香酸、ボロジマレイン酸、ボロジ乳酸、ボロジリンゴ酸、ボロジ酒石酸、ボロジクエン酸、ボロジフタル酸、ボロジ(2-ヒドロキシ)イソ酪酸、ボロジレゾルシン酸、ボロジメチルサリチル酸、ボロジナフトエ酸、ボロジマンデル酸及びボロジ(3-ヒドロキシ)プロピオン酸等が挙げられる。
また、有機酸、無機酸、ならびに有機酸と無機酸の複合化合物の少なくとも1種の塩としては、例えばアンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウム塩としては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。アミン塩としては、一級アミン、二級アミン、三級アミンの塩が挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミン等、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。
さらに、電解液には他の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物(o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール、m-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール、p-ニトロベンジルアルコールなど)、リン酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤の添加量は特に限定されないが、固体電解コンデンサの特性を悪化させない程度に添加することが好ましく、例えば液体中60wt%以下である。上記添加剤の中でも、耐電圧向上を目的として、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物を添加したり、コンデンサ中のガス吸収を目的としてニトロ化合物を添加することが好ましい。
この電解液は、固体電解質層を形成した後の含浸工程において、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子の空隙に充填される。固体電解質層が膨潤化する程度まで液体を含浸させてもよい。含浸工程では、必要に応じて減圧処理や加圧処理を行っても良い。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分のモル比を変更した実施例1乃至4並びに比較例1及び2の導電性高分子分散液を作製し、各導電性高分子分散液を用いて各固体電解コンデンサを作製した。
まず、導電性高分子分散液の作製において、溶媒に水を用いた。この水に対して、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)(PEDOT/PSS)の粉末を添加し、更に揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分を両方とも添加し、水に溶解させた。アンモニア(NH3)が揮発性アルカリ成分として用いられ、水酸化ナトリウム(NaOH)が難揮発性アルカリ成分として用いられた。
実施例1乃至4並びに比較例1及び2において、水に対するポリマーの添加割合及びアルカリ成分の添加割合は同じであり、また攪拌方法及び条件も同じである。但し、実施例1乃至4並びに比較例1及び2は、導電性高分子分散液に添加された揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分のモル比が異なる。下表1は、導電性高分子分散液に添加された揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分とを合わせた合計アルカリ成分に対するアンモニアと水酸化ナトリウムのモル濃度である。
(表1)
(表1)
この導電性高分子分散液によって固体電解質層が形成されるコンデンサ素子は、次のように各実施例及び各比較例において共通に作製された。即ち、陽極側及び陰極側の電極箔はアルミニウム箔であり、エッチング処理により拡面化し、陽極側の電極箔に対しては化成処理により誘電体酸化皮膜を形成した。これら陽極側及び陰極側の電極箔の各々にリード線を接続し、マニラ系セパレータを介して陽極側と陰極側の電極箔を対向させて巻回した。これにより、コンデンサ素子が作製された。このコンデンサ素子は、リン酸二水素アンモニウム水溶液に10分間浸漬されることで、修復化成が行われた。
このコンデンサ素子を、各実施例及び比較例の導電性高分子分散液に浸漬した。コンデンサ素子を導電性高分子分散液から引き上げた後、150℃で30分間乾燥させた。浸漬及び乾燥は2回繰り返された。これにより、コンデンサ素子に固体電解質層が形成された。
また、エチレングリコールを溶媒とし、アゼライン酸アンモニウムを溶質とした電解液を、各実施例及び各比較例に共通に作製した。そして、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子に電解液を含浸させた。このコンデンサ素子をアルミニウム製及び有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部にブチルゴムから成る封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。
各固体電解コンデンサは、電圧印加によってエージング処理した。作製した各固体電解コンデンサの定格電圧は35Vで定格容量は47μFであった。これら実施例1乃至4並びに比較例1及び2の固体電解コンデンサを、180℃の高温環境下に晒した。そして、高温環境下に晒す前、即ち熱ストレス負荷前のESRと、高温環境下で150時間晒された後のESRとを測定し、これらESRの変化率ΔESRを計算した。また、熱ストレス負荷前の静電容量と、高温環境下で323時間晒された後の静電容量とを測定し、これら静電容量の変化率ΔCapを測定した。尚、ESRは、固体電解コンデンサに対して100kHzの交流を流して測定され、静電容量は、固体電解コンデンサに対して120Hzの交流を流して測定された。
各実施例及び比較例の測定結果を下表2に示す。
(表2)
(表2)
また、図1は、上表2に基づく、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の合計に対するアンモニア濃度と静電容量の変化率ΔCapとの関係を示すグラフであり、図2は、上表2に基づく、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の合計に対する水酸化ナトリウム濃度とESRの変化率ΔESRとの関係を示すグラフである。
表2及び図1に示すように、アンモニアという揮発性アルカリ成分のみが添加された導電性高分子分散液で固体電解質層が形成された比較例1の固体電解コンデンサは、高温環境下に晒すと静電容量の低下が著しかった。また、表2及び図2に示すように、水酸化ナトリウムという難揮発性アルカリ成分のみが添加された導電性高分子分散液で固体電解質層が形成された比較例2の固体電解コンデンサは、高温環境下に晒すとESRの上昇が著しかった。
一方、表2、図1及び図2に示すように、アンモニアという揮発性アルカリ成分と水酸化ナトリウムという難揮発性アルカリ成分の両方が添加された導電性高分子分散液で固体電解質層が形成された実施例1乃至4の固体電解コンデンサは、高温環境下に晒されても、静電容量もESRも良好に維持されていることが確認された。
Claims (9)
- 電解コンデンサの固体電解質層を形成するための導電性高分子分散液の製造方法であって、
少なくとも溶媒と導電性高分子とアルカリ成分と多価アルコールを混合する混合工程を含み、
前記混合工程では、前記アルカリ成分として、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方を混合すること、
を特徴とする導電性高分子分散液の製造方法。 - 前記揮発性アルカリ成分は、沸点が-30℃以下であり、
前記難揮発性アルカリ成分は、沸点が1000℃以上であること、
を特徴とする請求項1記載の導電性高分子分散液の製造方法。 - 前記揮発性アルカリ成分は、アンモニアであり、
前記難揮発性アルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムの群から選択される1種類以上であること、
を特徴とする請求項1又は2記載の導電性高分子分散液の製造方法。 - 前記揮発性アルカリ成分(A)と前記難揮発性アルカリ成分(B)とのモル比は、A:B=2:8~8:2の範囲であること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の導電性高分子分散液の製造方法。 - コンデンサ素子内に形成され、固体電解質層と電解液とを含む電解質層を備え、
前記固体電解質層は、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方及び多価アルコールを含むこと、
を特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記電解液は、溶媒として少なくともグリコール類を含むこと、
を特徴とする請求項5記載の固体電解コンデンサ。 - 少なくとも溶媒と導電性高分子とアルカリ成分と多価アルコールとを混合して導電性高分子分散液を作製する分散液作製工程と、
前記導電性高分子分散液を用いてコンデンサ素子に導電性高分子を付着させる付着工程と、
前記付着工程を経た前記コンデンサ素子を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程を経た前記コンデンサ素子に電解液を含浸する含浸工程と、
を含み、
前記分散液作製工程では、前記アルカリ成分として、前記溶媒に揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方を前記導電性高分子分散液に添加すること、
を特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記乾燥工程では、前記溶媒及び前記揮発性アルカリ成分の沸点以上、前記難揮発性アルカリ成分の沸点未満の温度環境下に、前記コンデンサ素子を晒すこと、
を特徴とする請求項7記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 電解コンデンサのコンデンサ素子に固体電解質層を形成するための導電性高分子分散液であって、
少なくとも溶媒と導電性高分子と多価アルコールとアルカリ成分を含み、
前記アルカリ成分として、揮発性アルカリ成分と難揮発性アルカリ成分の両方を含むこと、
を特徴とする導電性高分子分散液。
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