JP7708731B2 - スチレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
スチレン系樹脂組成物及びその成形品Info
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Description
例えば、スチレン系樹脂の流動性を制御するためには、流動パラフィンを加える方法がある。特許文献3には、高分岐スチレン系樹脂に流動パラフィンを添加した例が開示されている。
他の方法で樹脂の流動性を制御する技術としては、樹脂の分子量及び分子量分布を調整する方法がある。例えば、特許文献4はスチレンーメタクリル酸共重合体の分子量、分子量分布を調整することで二軸延伸シートに適した流動性を有するスチレン系樹脂組成物が開示されている。
上記特許文献4の技術では、スチレンーメタクリル酸共重合体の分子量を調節して流動性を制御し、二軸延伸シート成形性及び生産性に優れたスチレン系樹脂組成物について検討している。しかし、流動性を上げるため分子量が比較的低いため、機械的強度が低下することが懸念される。
射出成形体、あるいは二軸延伸シート及び二軸延伸シートを二次加工した成形体を得る場合、成形体の形状や成形条件によっては、成形体の金型からの離型性が、生産性を高める上で重要となる。しかし、上記特許文献1~4では成形時における成形体の離型性については検討されていない。
また、上記特許文献3~4では、環境負荷低減を目的として、近年注目されているバイオマス原料は使用されていない。そのため、上記特許文献1~4の技術では、高い機械的強度を維持し、かつ成形時における離型性、二軸延伸シートへの成形性及び、シート外観に優れた透明性の高い樹脂、並びにバイオマス原料を用いた可塑剤については検討していない。
そこで、本開示は、バイオマス原料を用いることで、環境負荷を低減し、高い機械的強度を維持し、かつ成形時における離型性、二軸延伸シートへの成形性、シート外観に優れた、透明性の高いスチレン系樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とする。
[1] スチレン系重合体(A)とバイオマス炭素比率(pMC)が10%以上のバイオマス可塑剤(B)0.1質量%~5.0質量%と、を含有し、2mm厚のプレートの全光線透過率が70%以上であることを特徴とするスチレン系樹脂組成物。
[2] ビカット軟化温度が85℃以上である、[1]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[3] 前記バイオマス可塑剤のSP値が7.5~10.5であり、前記スチレン系重合体(A)と前記バイオマス可塑剤(B)のSP値の差が2.0未満である、[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[4] 前記スチレン系樹脂組成物のトルエン不溶分が3質量%以下である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[5] 前記スチレン系重合体(A)の含有量は、スチレン系樹脂組成物全体に対して、95.0~99.9質量%であり、かつ前記スチレン系重合体(A)に含有されるスチレン系単量体単位の含有量は、前記スチレン系重合体(A)の総量に対して、50質量%以上である、[1]~[4]のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[6] 前記バイオマス可塑剤(B)は、植物油と、成形加工性を調整する成形性調整化合物との混合物であり、前記成形性調整化合物は、スチレン系樹脂組成物(A)全体に対して、0.01~5質量%の範囲で含有し、
前記成形性調整化合物は、流動パラフィン及び脂肪酸系化合物からなる群から選択される1種又は2種以上である、[1]~[5]のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[7] 前記スチレン系樹脂組成物(A)に対して、ブルーイング剤を0.001ppm~10ppm含有する、[1]~[6]のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物から成る成形体。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系重合体(A)と、バイオマス炭素比率(pMC比)が10%以上のバイオマス可塑剤(B)0.1~5.0質量%と、を含有する。
換言すると、本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、当該スチレン系樹脂組成物全体(100質量%)に対して、スチレン系重合体(A)及びバイオマス可塑剤(B)0.1~5.0質量%を含有する。
上記スチレン系樹脂組成物から得られた2mm厚のプレートの全光線透過率が70%以上である。
これにより、環境負荷の低減、良流動かつ高い機械的強度を有し、射出成形性、二軸延伸シートへの成形性及びシート外観に優れた透明なスチレン系樹脂組成物及び当該スチレン系樹脂組成物から成る二軸延伸シート成形体を提供することができる。
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物はスチレン系重合体(A)を含有する。そして、本実施形態において、スチレン系重合体(A)の含有量は、スチレン系樹脂組成物全体(100質量%)に対して、95.0~99.9質量%であり、好ましくは96.0~99.7質量%、より好ましくは96.5~99.7質量%、より好ましくは97.0~99.5質量%である。
スチレン系重合体(A)を構成する単量体のうち、スチレン系単量体(a)の含有量は50~100質量%が好ましく、より好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~100質量%、さらにより好ましくは80~100質量%、よりさらに好ましくは90~100質量%である。スチレン系単量体(a)の含有量、すなわちスチレン系単量体単位(a)の含有量は、それぞれ、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から求めることができる。また、1H-NMR測定で定量が困難である場合は、赤外分光法(FTIR)測定で定量を行う。
スチレン系単量体(a)としては、スチレンの他に、例えばα―メチルスチレン、α―メチルp-メチルスチレン、о―メチルスチレン、m-メチルスチレン、p―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、及びt-ブチルスチレン又はブロモスチレン及びインデン等のスチレン誘導体が挙げられる。特にスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種又は2種以上使用することができる。
本実施形態におけるスチレン系重合体(A)の好ましい形態としては、スチレン系重合体(A)とバイオマス炭素比率(pMC比)が10%以上のバイオマス可塑剤(B)とのSP値が所定の範囲になるよう制御することが好ましい。そのため、例えば、使用するバイオマス可塑剤(B)のSP値によって、スチレン系重合体(A)を構成する単量体単位の種類、スチレン系単量体(a)の含有量、又はビニル系単量体(b)の含有量を調整してもよい。
これにより、組成物中におけるバイオマス可塑剤(B)が均一に分散しやすくなるため、機械的強度がより向上する。
また、本実施形態におけるスチレン系重合体(A)は、ゴム状重合体(例えば、ポリブタジエン、ポリスチレンを内包するポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリクロロプレン、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体)又は共役ジエン構造を有する構造単位を、スチレン系重合体(A)の総量(100質量%)に対して、1.0質量%未満含有することが好ましい。
当該スチレン系重合体(A)を得るために重合原料を重合させる際には、重合原料組成物中に、典型的には重合開始剤及び連鎖移動剤を含有させる。
スチレン系重合体(A)の重合に用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC)、2,2-ビス(4,4-ジ―t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA)、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート等のペルオキシケタール類、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t-ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド等のケトンペルオキシド類、t-ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。分解速度と重合速度との観点から、なかでも、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが好ましい。単量体の合計量に対して0.005~0.08質量%添加することが好ましい。
スチレン系重合体(A)の重合に用いられる連鎖移動剤としては、例えばα-メチルスチレンリニアダイマー、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、1-フェニルー2-フルオレン、ジベンテン、クロロホルムなどのメルカプタン類、テルペン類、ハロゲン化合物、テレピノーレン等のテレピン類等を挙げることができる。この連鎖移動剤の使用量は、特に制限はないが、一般的には単量体に対して、0.005~0.3重量%程度添加することが好ましい。
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物は、バイオマス可塑剤(B)を含有する。そして、当該バイオマス可塑剤(B)は、バイオマス可塑剤の含有量は0.1質量%~5.0質量%であり、好ましくは0.3質量%~4.0質量%、より好ましくは0.3質量%~3.5質量%より好ましくは0.5質量%~3.0質量%である。バイオマス可塑剤の量が5質量%以上ではVicat軟化温度が85℃を下回り、延伸シート用途、食品包装用途には向かない。また、バイオマス可塑剤の量が0.1質量未満であると、流動性が低下するため成形時の厚みムラが悪化する懸念がある。また、流動性が低下すると生産性は落ちる懸念がある。さらには成形体の離型性が悪化する懸念もある。
したがって、本実施形態の可塑剤中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、後述の実施例の欄で記載する方法を用いて、以下の式(1)により、バイオマス炭素比率(pMC%)を算出する。
式(1):
バイオマス炭素比率(pMC%)=(14C可塑剤/12C可塑剤)/(14C標準物質/12C標準物質)×100
また、標準物質はシュウ酸(SRM4990)を使用し、AMS法により(14C可塑剤/12C可塑剤)/(14C標準物質/12C標準物質)を算出した。
なお、本明細書における植物油は、植物由来の油脂の総称であり、天然植物油及び変性植物油を含む。
本実施形態において、離形性及び流動性のバランスを調整して成形加工性を向上させる観点から、バイオマス可塑剤(B)は、植物油と、成形加工性を調整する成形性調整化合物との混合物であることが好ましい。
本実施形態の好ましいバイオマス可塑剤(B)の形態としては、バイオマス可塑剤(B)全体において、植物油50~99.99質量%と成形性調整化合物0.01~50質量%との混合物であることが好ましく、バイオマス可塑剤(B)全体において、植物油75~99.99質量%と成形性調整化合物0.01~25質量%との混合物であることが好ましく、植物油85~99.99質量%と成形性調整化合物0.01~15質量%との混合物であることがより好ましく、植物油90~99.99質量%と成形性調整化合物0.01~5質量%との混合物であることがさらに好ましい。
上記バイオマス可塑剤(B)の好ましい組成比であれば、バイオマス度50%以上を保つことができるので、より高い環境負荷低減効果が見込まれる。
なかでも植物油が85質量%~99.99質量%であり、流動パラフィンが1質量%~15質量%であり、脂肪酸系化合物が0.1~5質量%である混合物が好ましい
成形性調整化合物をスチレン系樹脂組成物に添加することにより、流動性が上がる効果や、成形体の金型からの離型性を向上する効果を付与させ、生産性を向上させることができる。
また、成形性調整化合物の添加量はスチレン系樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、0.01質量%~5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%~4.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~3.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~2.5質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~2.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~1.5質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~1.2質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~1.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~0.5質量%、さらにより好ましくは0.01~0.3質量%である。
前記成形性調整化合物としては、流動パラフィン及び脂肪酸系化合物からなる群から選択される1種又は2種以上あることが好ましい。
上記脂肪酸系化合物としては、脂肪酸化合物又は脂肪酸金属塩系化合物等を用いることができる。具体的には、例えば、エチレン・ビスステアリン酸アマイド、ステアリン酸、ステアリン酸ビスステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
本実施形態において、脂肪酸系化合物の添加量は、スチレン系樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、0.1ppm~15000ppmであることが好ましく、より好ましくは1ppm~10000ppm、さらにより好ましくは5ppm~9000ppm、さらにより好ましくは10ppm~8000ppm、さらにより好ましくは15ppm~7000ppm、さらにより好ましくは20ppm~6000ppm、さらにより好ましくは25ppm~5000ppmである。
スチレン系樹脂は、射出成形や押出成形で成形品を得る際、脂肪酸系化合物を添加させることがある。特に複雑な形状の成形品や、薄肉部を有する成形品を得る場合、離型時に成形品に割れや変形が生じないようにするため、脂肪酸系化合物を添加する必要になる場合がある。添加の方法は、脂肪酸系化合物を樹脂中に溶融混錬させる方法と、脂肪酸系化合物を粉体のまま外潤剤として樹脂ペレットにまぶす方法がある。外潤剤として添加する場合は、成形や混錬加工の際に、スクリューと樹脂との間の摩擦を低下させ、加工性を向上させる滑剤としての効果もある。なお、脂肪酸系化合物は2種類以上を併用して使用してもよい。
環境負荷低減の観点を重視する場合、前記バイオマス可塑剤(B)は、1種又は2種以上の植物油である植物油単独が好ましい。一方、特に流動性の観点を重視する場合、前記バイオマス可塑剤(B)は、1種又は2種以上の植物油と流動パラフィンとの混合油が好ましい。また、成形体の離型性の観点を重視する場合、前記バイオマス可塑剤(B)は、1種又は2種以上の植物油と脂肪酸系化合物との混合油が好ましい。
なお、バイオマス可塑剤(B)が混合油の場合のバイオマス可塑剤(B)に含まれる各成分の定量方法は、後述の実施例の欄に記載した方法を使用できる。
本実施形態における変性植物油の変性基(エポキシ基、アミノ基又はエステル結合の官能基)は、スチレン系樹脂組成物中、他の成分(スチレン系樹脂(A)も含む)又は変性植物油同士と実質的に重合しないことが好ましい。また、本実施形態において、前記変性植物油1gあたりの前記変性植物油の変性率が、1mmol%~50mmol%であることが好ましい。
上記変性植物油の変性率は、後述の実施例に記載の通り1H-NMR測定法により算出する。
本実施形態において変性植物油は、上記例示した天然植物油を水素化した油(例えば、水素化ヒマシ油);上記例示した天然植物油をエポキシ化した油(例えば、変性エポキシ化油);上記例示した天然植物油をアミノ化した油(例えば、変性アミノ化油)が挙げられる。当該変性エポキシ化油には、水酸化変性大豆油等に代表されるエポキシ官能基が開環した油、及び予め直接的に水酸化された油、カシュー油ベースのポリオールを含む。
本実施形態の好ましい態様の一つは、スチレン系重合体(A)及びバイオマス可塑剤(B)を含有し、かつ前記スチレン系重合体(A)のSP値と前記バイオマス可塑剤(B)のSP値((cal/cm3)1/2)との差が、±2.5未満であり、2mm厚のプレートの全光線透過率が70%以上である。
また、本実施形態におけるスチレン系重合体(A)のSP値は、7~11((cal/cm3)1/2)であることが好ましく、より好ましくは7.5~10((cal/cm3)1/2)、さらに好ましくは8.0~9.5((cal/cm3)1/2)、よりさらに好ましくは8.0~9.0((cal/cm3)1/2)である。
また、本実施形態におけるバイオマス可塑剤(B)のSP値は7.0~11.0((cal/cm3)1/2)であることが好ましく、より好ましくは7.5~10.0((cal/cm3)1/2)、よりさらに好ましくは7.7~9.5((cal/cm3)1/2)、よりさらに好ましくは7.9~9.0((cal/cm3)1/2)である。
本実施形態において規定する溶解度パラメータ(SP値)は、下式に示す凝集エネルギー密度の関数を用いて算出している。
SP値((cal/cm3)1/2)=(△E/V)1/2 式(1)
(△Eは、分子間凝集エネルギー(蒸発熱)を示し、Vは、混合液の全体積を示し、△E/Vは、凝集エネルギー密度を示す。)
また、混合による熱量変化△Hmは、SP値を用いて次の式で示される。
△Hm=V(δ1-δ2)・Φ1・Φ2 ・・・式(2)
(δ1は、溶媒のSP値を示し、δ2は、溶質のSP値を示し、Φ1は、溶媒の体積分率を示し、Φ2は、溶質の体積分率を示す。)
上記の式(1)及び(2)より、δ1及びδ2の値が近いほど、△Hmは小さくなり、ギムスの自由エネルギーが小さくなるため、SP値の差が小さいもの同士は親和性が高くなる。
本明細書におけるSP値を求める方法としては、SP値が既知の各種溶剤との樹脂の溶解性を比較することで、最も良く相溶する溶剤のSP値から未知の樹脂のSP値を算出しており、具体的には濁度滴定法を用いて算出した。本実施形態では、主にモノマー組成から計算により求めた値を用いる。
本実施形態において、バイオマス可塑剤(B)として植物油と鉱油とを混合して使用する場合、バイオマス可塑剤(B)全体のバイオマス炭素比率(pMC比)が10%以上であれば特に制限されることはないが、例えば、植物油100質量部に対して、10~100質量部混合することが好ましく、10~50質量部混合することがより好ましい。また、鉱油の添加量はスチレン系樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、0.01質量%~5.0質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.01質量%~4.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~3.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~2.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~1.5質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~1.2質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~1.0質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~0.5質量%、さらにより好ましくは0.01質量%~0.3質量%である。
本実施形態における流動パラフィンの定量及び同定は、当業者にとって一般的な方法により確認できる。例えば、スチレン系樹脂組成物又は当該組成物の成形体の断片を、テトラヒドロフランなどマトリックス樹脂を溶解する溶媒に溶解させて溶液を調製する。そして、この溶液をスターラーで攪拌させながら、n-ヘキサンを少量ずつ滴下してポリマーマトリックス及びゴム状重合体を沈殿させる。その後、ガラスフィルターで濾過した濾液を蒸発乾固させた後、n-ヘキサンにて定容し、ポリテトラフルオロエチレン製のメンブランフィルターに通した後、液体クロマトグラフィーにて分離して、組成物又は成形体中の流動パラフィンの含有量を算出する。また、流動パラフィンの分析については、熱分解GC-MS、1H-NMR又は13C-NMRなどの各種分析装置によって同定、定量及び分子量の測定を行うことができる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、上記(A)及び(B)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて公知の添加剤、加工助剤等の任意添加成分を添加することができる。これら任意添加成分としては、上記流動パラフィン及び脂肪酸系化合物からなる成形性調整化合物、離型剤、難燃剤、分散剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、充填剤、ブロッキング防止剤、着色剤、ブルーイング剤、表面処理剤、抗菌剤、目ヤニ防止剤(特開2009-120717号公報に記載のシリコーンオイル、高級脂肪族カルボン酸のモノアミド化合物、及び高級脂肪族カルボン酸と1価~3価のアルコール化合物とを反応させてなるモノエステル化合物等の目やに防止剤)等を添加してもよい。
本実施形態において、スチレン系樹脂組成物は公知の難燃剤(リン系難燃剤、ブロム系などのハロゲン系難燃剤)を含有してもよい。しかし、スチレン系樹脂組成物中に含有されるバイオマス可塑剤(B)との反応により臭化水素などのガスの生成が危惧される観点から、ハロゲン系難燃剤の含有量は、スチレン系樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、3質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましい。
本実施形態において、流動パラフィン及び脂肪酸系化合物からなる成形性調整化合物をスチレン系樹脂組成物に添加することで流動性が上がる効果や、成形体の金型からの離型性を向上する効果を付与させ、生産性を向上させることができる。
ブルーイング剤の添加量はスチレン系樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、0.001ppm~10ppmが好ましく、より好ましくは0.01ppm~5.0ppm、より好ましくは0.03ppm~3.0ppm、さらにより好ましくは0.05ppm~2.5ppm、さらにより好ましくは0.08ppm~2.2ppm、さらにより好ましくは0.1ppm~2.0ppm、さらにより好ましくは0.12ppm~1.8ppmである。上記の添加量の範囲であれば、樹脂の黄色味を抑え外観に優れた成形体を得ることが可能になる。なお、ブルーイング剤は2種類以上を併用して使用してもよい。
バイオマス炭素比率(pMC%)が10%以上のバイオマス可塑剤(B)の多くが黄色を帯びているため、当該バイオマス炭素比率(pMC%)が10%以上のバイオマス可塑剤(B)を最大5質量含有する本実施形態のスチレン系樹脂組成物は黄色を帯びる傾向を示す。それにより、弁当箱の蓋などの食品用の透明材料あるいは光学材料(例えば、導光板)に使用し難い事情が生じる。しかし、ブルーイング剤を含有することにより、色調を調整することができる。
本実施形態において、分散剤としては、脂肪酸エステル系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、テルペン系化合物、ロジン系化合物、脂肪酸アミド、脂肪酸系化合物、又は脂肪酸金属塩系等を用いることができる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
上記任意添加成分の合計含有量は、スチレン系樹脂組成物全体に対して、0.01~5質量%としてよい。
「実質的に(A)成分、(B)成分及び任意添加成分のみからなる」とは、スチレン系樹脂組成物の総量に対して、95~100質量%(好ましくは98~100質量%)が(A)成分及び(B)成分であるか、又は(A)成分、(B)成分及び任意添加成分であることを意味する。
なお、本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分、(B)成分及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
<全光線透過率(%)>
本実施形態のスチレン系樹脂組成物の全光線透過率(%)は、70%以上であり、このましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上%である。スチレン系樹脂組成物の全光線透過率(%)が80%以上であると、例えば、スチレン系樹脂組成物中に含まれる粒子(例えば、平均粒子径1.0~5.0μmのゴム状重合体の粒子)の含有量をスチレン系樹脂組成物全体に対して3質量%以下にする、あるいは透明性が必要とされる透明食品容器、包装材料又はOA機器用途に使用可能な範囲である。
また、本実施形態のバイオマス可塑剤(B)を、例えば、パーム油、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、オレイン酸エステル又はラウリン酸エステルなどの特定の植物油にするか、あるいは本実施形態のバイオマス可塑剤(B)のSP値を10未満にすることによっても、組成物内のブレンド状態が変わるため、スチレン系樹脂組成物の全光線透過率(%)を所望の値(例えば70%以上)に調整することができる。
スチレン系樹脂組成物の全光線透過率(%)の測定に使用する試験片の具体的な作製方法は、K7361-1に準拠しており、前記試験片には傷、泡、ぶつなどの欠陥、ごみやグリースの付着、さらには、保護材料からの接着剤などの付着がないことを確認している。また、前記試験片の表面には、肉眼で見ることができる空隙や粒子が存在しないこととする。そして、前記試験片を射出成形で作製する際、使用する金型表面の状態に応じて必要であれば、適宜、研磨紙、スティック砥石、遊離砥粒等を使用して鏡面磨きを行ってもよい。
本開示における全光線透過率(%)の測定方法及び全光線透過率(%)の測定方法に使用する試験片の作製方法は、後述の実施例の欄に記載の通りである。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)は、1.0~9.0、好ましくは1.5~8.0、さらに好ましくは1.8~7.0、さらに好ましくは2.0~6.5、さらに好ましくは2.2~6.0である。
MFRが1.0を下回るとシートの生産性が落ちる。また、シートの厚みムラが発生しやすくなる。MFRを9.0より高くする場合、樹脂の分子量を下げる、または可塑剤量を多くする必要がある。樹脂の分子量が下がる場合、機械的強度が低下する危惧がある。また、可塑剤量が多くなる場合、Vicat軟化温度が下がり、要求される耐熱性を備えることが困難になる危惧がある。また、MFRが高くなるとシート成形時にドローダウンが起こる懸念もある。
<ビカット軟化温度>
本実施形態のスチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は、85℃以上であり、85℃~105℃であることが好ましく、より好ましくは87℃~103℃、さらにより好ましくは90℃~101℃である。前記ビカット軟化温度が85℃を下回ると二軸延伸シート、食品包装用途として要求される耐熱性を備えることが困難になる。また、前記ビカット軟化温度が105℃を超えると、樹脂の流動性が低下するため、シートの生産性が落ちる。また、シートの厚みムラが発生しやすくなる。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物を原料として用いた射出成形体の製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。成形機の温度は好ましくは150℃~300℃、より好ましくは160℃~260℃、さらに好ましくは180℃~240℃である。
成形機の温度が300℃より高いとスチレン系樹脂組成物が熱分解を起こすため好ましくない。一方、150℃より低いと高粘度のため成形することができないので好ましくない。 [二軸延伸シート]
本実施形態のスチレン樹脂組成物を原料として用いた二軸延伸シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。
成形機の成形温度は好ましくは180℃~280℃、より好ましくは200℃~260℃、さらにより好ましくは210℃~250℃である。
二軸延伸シートは、例えば真空成形法や圧空成形法の熱成形方法によって、二次成形を行うことができる。本発明の二軸延伸シートの成形品の用途としては、各種の容器があり、主に食品包装容器等に用いられる。
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物及び二軸延伸シートの物性測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
スチレン系重合体(A)及びバイオマス可塑剤(B)の重量平均分子量を、下記の条件や手順で測定した。
・試料調製:測定試料5mgを10mLのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのフィルターでろ過を行った。
・測定条件
機器:TOSOH HLC-8220GPC
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :SHODEX GPC KF―606Mを直列に2本接続
ガードカラム :SHODEX GPC KF―G 4A
温度 :40℃
キャリア :THF 0.50mL/min
検出器 :RI、UV:254nm
検量線 :検量線の作成には東ソー社製のTSK標準ポリスチレン11種類(F-850、F-450、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000)を用いた。3次直線の近似式を用いて検量線を作成した。
実施例及び比較例で使用したスチレン系樹脂組成物のメルトマスフローレート(g/10分)は、ISO 1133に準拠して測定した(200℃、荷重49N)。
本実施例及び比較例で使用したスチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度(℃)を、ISO 306に準拠して、荷重49Nで測定した。
スチレン系樹脂組成物のトルエン不溶分を以下のように測定した。沈澱管にスチレン系樹脂組成物1.00gを精秤し(この質量をW1とする)、トルエン20ミリリットルを加え23℃で1時間振とう後、遠心分離機(佐久間製作所社製、SS-2050A ローター:6B-N6L)にて温度4℃、回転数20000rpm、遠心加速度45100×Gで60分間遠心分離した。沈澱管を約45度にゆっくり傾け、上澄み液をデカンテーションして取り除いた。トルエンを含んだ不溶分の質量を精秤し、引き続き、160℃、3kPa以下の条件で1時間真空乾燥し、デシケータ内で室温まで冷却後、トルエン不溶分の質量を精秤した(この質量をW2とする)。
下記式により、スチレン系樹脂組成物のトルエン不溶分の含有量(%)を求めた。
スチレン系樹脂組成物のトルエン不溶分の含有量(%)=W2/W1×100
バイオマス可塑剤(B)のバイオマス炭素比率(pMC%)は、ASTM-D6866に準拠した放射性炭素(14C)測定方法によって以下の式(1)を用いてAMS法により(14C可塑剤/12C可塑剤)/(14C標準物質/12C標準物質)を算出した。
式(1):
バイオマス炭素比率(pMC%)=(14C可塑剤/12C可塑剤)/(14C標準物質/12C標準物質)×100
また、標準物質はシュウ酸(SRM4990)を使用した。
実施例及び比較例で使用したスチレン系樹脂組成物中のバイオマス可塑剤量の定量は、以下の方法で測定した。
(6-1)検量線作成
2-ジメトキシエタンを内部標準物質として含んだ重水素化クロロホルム(1%TMS入り)に、植物油(グリセリン脂肪酸エステル)を溶解し、1H-NMR測定を行った。TMSのピークを0ppmの基準とすると、δ4.0~4.4ppmに植物油のエステル基に隣接した炭素に結合するプロトン由来のピークと3.4~3.6ppmに1,2ージメトキシメタン由来のピークが検出される。1,2ージメトキシメタン由来のピーク面積を1とした際の植物油由来のピーク面積を算出している。この操作を植物油の濃度を変化させて行うことで、植物油濃度の検量線を作成した。
(6-2)定量
実施例又は比較例で得られたペレット状のスチレン系樹脂組成物を重水素化クロロホルム(1%TMS入り)に溶解し、1H-NMR測定を行い、上記の検量線を用いることで、スチレン系樹脂組成物中の植物油含有量を定量した。
上記の方法では、他のピークが内部標準物質のピークと被り、定量するのが困難である場合、適宜、内部標準物質は適当な物質を使用してもよい。
また、植物油は5.0~5.5ppmに検出されるトリグリセリド由来のピークでも定量することが可能である。
バイオマス可塑剤(B)が植物油と成形性調整化合物との混合油である場合、上記の方法で植物油の含有量を求め、別途成形性調整化合物の含有量を求めることで定量する。成形性調整化合物は液体クロマトグラフィー、GC-MS、1H-NMR又は13C-NMRなどの各種分析装置によって同定、定量及び分子量の測定を行うことができる。
変性植物油を含有したスチレン系樹脂では、以下の手順を用いて1H-NMRにより変性植物油の変性率を算出することが可能である。
実施例又は比較例で得られたペレット状のスチレン系樹脂組成物1gを20mL容量のスクリュー瓶に取り、メチルエチルケトンを10mL加えた。そして、振とう機でペレットを完全に溶解させた後、メタノールを5mL加えるとスチレン系樹脂組成物が溶液中に不溶分として析出させた。次いで、不溶部を取り除き、溶液部をナスフラスコに取り、エバポレーターで2時間真空引きして、メチルエチルケトン及びメタノールを揮発させた。その後、ナスフラスコ内に残った液体(植物油)を重水素化クロロホルム(1%TMS入り)に加え、1H-NMR測定を行った。TMSを0ppmの基準とすると、δ2.8~3.2ppmにエポキシ基由来のピーク、δ4.0~4.4ppmに植物油のエステル基に隣接した炭素に結合するプロトン由来のピークが確認される。これにより上記二つのピーク面積比からエポキシ変性率を算出した。
実施例・比較例で製造したスチレン系樹脂組成物から、創研社製の25mmφ単軸シート押出機を用いて、厚み0.95~1.05mmのシートを作製した。作製したシートから8cm×8cmの大きさのシートを切出した。切出したシートを東洋精機製二軸延伸装置(EX6-S1)にて下記条件で同時二軸延伸を行い、二軸延伸シートを作製した。マイクロゲージを用いて延伸後のシート厚みを測定した。
延伸温度:Vicat軟化温度+20℃
延伸速度:170%
延伸倍率:2.0倍
東洋精機製のフィルムインパクトテスター(A121807502)を用いて上記(8)に記載の方法で作製したシートのインパクト強度を測定した。
創研社製の25mmφ単軸シート押出機で、厚さ0.3mmのシートを作製し、シート5m内に(長径+短径)/2の平均径が1mm以上の異物、気泡、透明または不透明な付着物の個数を数えた。
上記二軸延伸シートを3cm×3cmに切り出し、プリハードン鋼からなる5mmの板金2枚に挟みクリップ固定したものを20個作製し、130℃のオーブンにて5分加熱した後、板金からシートを剥がした。その際、シートサンプルが板金から離れなかった個数を離型性の指標とした。この評価の結果、板金から離れなかったサンプル個数が少ないほど、離型性が良いことを示す。
二軸延伸シートへの成形性の指標の一つとして、以下の方法により二軸延伸シートの厚み均一性を評価した。
上記(8)記載の方法で作製したシートに、縦及び横方向に5cm間隔で直線を3本ずつ格子状に引いたときの交点9点について、マイクロゲージで厚み測定を行った。シート3枚について同様の厚み測定を行い、計27点のうち、厚みが0.23~0.27mmの範囲を外れた個数でシート厚み均一性を評価した。
◎:傷は全く発生しない。
〇:成形品内部のコーナー部分に点状にわずかに傷が確認できる。
△:成形品内部のコーナー部分に2mm以下の線状の傷がわずかに確認できる。
×:成形品内部のコーナー部分に2mmより大きな傷が線状に確認できる。
実施例・比較例において使用した各材料のSP値は、文献値又は「J.Appl.Polym.Sci.,12,2359(1968)」を参照して濁度滴定法により算出した。
(I)試験片の作製条件
平板成形品用金型を用いて以下の条件で得られたスチレン系樹脂組成物を射出成形して、厚さ2mmの平板を作製して、シート体を作製した。
成形機:東芝機械株式会社製EC60N
シリンダー温度:220℃
射出圧力:45MPa、射出時間:10秒
冷却時間:15秒、金型温度:45℃
(II)全光線透過率の測定条件
上記作製した、試験片のシート体を用いて、JIS K7361-1に準拠して全光線透過率(%)を測定した。
(III)YI(イエローインデックス)の測定条件
上記作製した、試験片のシート体を用いてJIS K7105に準拠してYI(イエローインデックス)を測定した。
(変性植物油)
[バイオマス可塑剤(B)]
エポキシ化大豆油(製品名「ニューサイザー510R」(日油株式会社製)、重量平均分子量(Mw=1500)、バイオマス炭素比率(pMC%)100%、融点:5℃、SP値:9.0((cal/cm3)1/2)、エポキシ変性率:1gあたり5mmol
(天然植物油)
パーム油(製品名「マルチエース20(S)」(日清オイリオグループ株式会社)、重量平均分子量(Mw=1000)、バイオマス炭素比率(pMC%)100%、融点:22℃、SP値(Hansen法による計算値であり、分散力項(δD)、極性項(δP)及び水素結合項(δH)の3成分座標における原点からの距離):8.2((cal/cm3)1/2))
ヒマシ硬化油(製品名「ヒマシ硬化油」(伊藤製油株式会社)、重量平均分子量(Mw=1000)、バイオマス炭素比率(pMC%)100%、融点85℃℃、SP値(Hansen法による計算値であり、分散力項(δD)、極性項(δP)及び水素結合項(δH)の3成分座標における原点からの距離を表す。):10.1((cal/cm3)1/2))
(流動パラフィン)
流動パラフィン、製品名「PS350S」(三光化学工業株式会社製)、重量平均分子量(Mw=250)、バイオマス炭素比率(pMC%)0%、流動点:-12.5℃
(ポリ乳酸)
ポリ乳酸、製品名「LX175」(Total Corbinion PLA製)、バイオマス炭素比率(pMC%)100%、融点:155℃、SP値:10.3(cal/cm3)1/2
(アントラキノン系ブルーイング剤)
ブルーイング剤、製品名「Plast Viоlet8840」(有本化学株式会社製)
ブルーイング剤、製品名「Plast Blue8580」(有本化学株式会社製)
(脂肪酸系化合物、脂肪酸金属塩系化合物)
エチレンビスステアリン酸アマイド、製品名「カオ―ワックスEB-FF」(花王株式会社製)
ステアリン酸亜鉛、製品名「ダイワックス ZP」(大日化学工業株式会社製)
[実施例1]
(スチレン系樹脂組成物(PS-1)の製造方法)
スチレン93.05質量%、エチルベンゼン6.5質量%、マルチエース20(S)(日清オイリオグループ株式会社製)0.4質量%、流動パラフィン0.05質量%を混合溶解した重合液を、撹拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器-1に0.78リットル/Hrで連続的に仕込み、温度を123℃/128℃/132℃に調整した。撹拌機の回転数は毎分80回転とした。反応器出口の反応率は30%であった。
続いて層流型反応器-1と直列に接続された撹拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器-2に反応液を送った。撹拌機の撹拌数は毎分40回転とし、温度は133℃/135℃/137℃に設定した。続いて撹拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な1.5リットルの層流型反応器-3に反応液を送った。撹拌機の回転数は毎分10回転とし、温度は147℃/150℃/152℃に設定した。
重合反応器(層流型反応器-3)から連続して排出される重合体溶液に、真空ベント付き押し出し機で、0.8kPaの減圧下、脱揮後ペレタイズした。なお、押し出し機の温度は220℃に設定した。その後、得られたペレットに、スチレン系樹脂組成物中にPlast Viоlet8840(有本化学株式会社製)を0.2ppm添加し、押し出し機で溶融混錬後ペレタイズした。さらに、得られたペレットにダイワックス ZP(大日化学工業株式会社製)を100ppm添加して、スチレン系樹脂組成物(PS-1)を製造した。また、スチレン系樹脂組成物(PS-1)のポリマーマトリックス相は、ポリスチレンを含有しており、当該ポリスチレンのSP値は、8.6(cal/cm3)1/2であった。そして、得られた実施例1のスチレン系樹脂組成物について、上記した各種評価を行った。その評価結果を、表2-1に示す。
<スチレン系樹脂組成物(PS-2)~(PS-15)、(PS-24)~(PS-35)及び(PS-21)~(PS-22)
重合条件を下記表1―1~表1-3の通り変更した以外はスチレン系樹脂組成物(PS-1)と同様にしてスチレン系樹脂組成物(PS-2)~(PS-15)、(PS-24)~(PS-35)を製造した。また、スチレン系樹脂組成物(PS-21)は、スチレン系樹脂組成物(PS-16)(可塑剤無しGPPS)にパーム油が1質量%含有されるように添加し、さらに流動パラフィン0.05質量%、Plast Viоlet8840を0.2ppm添加し、二軸押し出し機で混錬してペレタイズした後、得られたペレットにダイワックス ZP(大日化学工業株式会社製)、を100ppm添加することで作製した。同様に、スチレン系樹脂組成物(PS-22)はKIBISAN(登録商標) PN-117C (CHI-MEI品)にパーム油が1質量%含有されるように添加し、さらに流動パラフィン0.05質量%、Plast Viоlet8840を0.2ppm添加し、二軸押し出し機で混錬後、ダイワックス ZP(大日化学工業株式会社製)を100ppm添加することで作製した。得られた実施例2~17のスチレン系樹脂組成物について、上記した各種評価を行った。その評価結果を、表2-1~表2-3に示す。
<スチレン系樹脂組成物(PS-16)~(PS-20)及び(PS-23)>
重合条件を下記表1―2の通り変更した以外はスチレン系樹脂組成物(PS-1)と同様にしてスチレン系樹脂組成物(PS-16)~(PS-20)を製造した。
スチレン系樹脂組成物(PS-23)は、スチレン系樹脂組成物(PS-16)にPLAが2質量%含有されるように添加し、さらに流動パラフィンを0.05%、Plast Viоlet8840を0.2ppm添加し、二軸押し出し機で混錬した後、ダイワックス ZP(大日化学工業株式会社製)を100ppm添加することで作製した。二軸押し出し機で混錬して作製した。そして、得られた比較例1~6のスチレン系樹脂組成物について、上記した各種評価を行った。その評価結果を、表2-4に示す。
Claims (7)
- スチレン系重合体(A)とバイオマス炭素比率(pMC)が10%以上のバイオマス可塑剤(B)0.1質量%~5.0質量%と、を含有し、
前記スチレン系重合体(A)の含有量は、スチレン系樹脂組成物全体に対して、95.0~99.9質量%であり、かつ前記スチレン系重合体(A)に含有されるスチレン系単量体単位の含有量は、前記スチレン系重合体(A)の総量に対して、50質量%以上であり、
前記バイオマス可塑剤(B)は、天然植物油又は水素化油、変性エポキシ化油若しくは変性アミノ化油のいずれかの変性植物油であり、
2mm厚のプレートの全光線透過率が70%以上であることを特徴とするスチレン系樹脂組成物。 - ビカット軟化温度が85℃以上である、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記バイオマス可塑剤のSP値が7.5~10.5であり、前記スチレン系重合体(A)と前記バイオマス可塑剤(B)のSP値の差が2.0未満である、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系樹脂組成物のトルエン不溶分が3質量%以下である、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記バイオマス可塑剤(B)は、植物油と、成形加工性を調整する成形性調整化合物との混合物であり、前記成形性調整化合物は、スチレン系樹脂組成物(A)全体に対して、0.01~5質量%の範囲で含有し、
前記成形性調整化合物は、流動パラフィン及び脂肪酸系化合物からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。 - 前記スチレン系樹脂組成物(A)に対して、ブルーイング剤を0.001ppm~10ppm含有する、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂組成物から成る成形体。
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