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JP7761471B2 - 含フッ素シラン化合物及びこれを用いた表面改質剤 - Google Patents

含フッ素シラン化合物及びこれを用いた表面改質剤

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JP7761471B2
JP7761471B2 JP2021204833A JP2021204833A JP7761471B2 JP 7761471 B2 JP7761471 B2 JP 7761471B2 JP 2021204833 A JP2021204833 A JP 2021204833A JP 2021204833 A JP2021204833 A JP 2021204833A JP 7761471 B2 JP7761471 B2 JP 7761471B2
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Description

本発明は、新規な含フッ素シラン化合物及びこれを用いた表面改質剤に関する。
含フッ素化合物は、炭素-フッ素結合の性質に基づく特徴的な機能を有している。例えば耐薬品性、撥水撥油性、防汚性、低摩擦性、剥離性などの性質を利用し、機能性材料として用いられている。
特に、パーフルオロアルキル基を有するシラン化合物及び溶媒を含む組成物は、基材に塗布し、乾燥することにより上記特性を示すコーティング膜を形成できるため、防汚剤や撥水撥油剤等の表面改質剤として利用されている。中でも、ガラス等の基材に防汚性を付与する場合においては、油等の液滴除去性や耐摩耗性が要求される。
従来、高い表面改質性能を示す含フッ素シラン化合物としては、炭素数が8以上の長鎖パーフルオロアルキル基を有する化合物が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、炭素数が8以上の長鎖パーフルオロアルキル基を有する化合物は、環境や生体への蓄積性等が課題となっている。
そのため、生体蓄積性が低いとされる炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物で代替する検討が行われているが、パーフルオロアルキル基の炭素数が小さくなるほど、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物に比べて表面改質性能が劣ることが知られている。
特許文献2には、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基から構成され、高い表面改質性能を示す含フッ素化合物及びこれを用いた表面改質剤が開示されているが、発明者らの検討により耐摩耗性が不足していることが判明し、さらなる改善が求められていた。
特許第2800786号公報 国際公開第2017/119371号
本発明の目的は、生体蓄積性が低いとされる炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基から構成され、液滴除去性及び耐摩耗性に優れたコーティング膜を形成できる新規な含フッ素シラン化合物及びこれを用いた表面改質剤を提供することにある。
本発明者らは、以下に示す含フッ素シラン化合物を用いた表面改質剤が、液滴除去性及び耐摩耗性に優れたコーティング膜を形成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に係る。
[1] 下記一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物。
(式(1)中、
Rfは、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基であり、
Rfは、炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基であり、
Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、
mは、0~2の整数であり、
nは、1~10の整数であり、
Xは、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~6のジアルキルアミノ基またはイソシアネート基であり、
Yは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基であり、
Zは、炭素数1~10の2価の炭化水素基である)
[2] 前記一般式(1)において、Rfが炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキル基であり、Rfが炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキレン基である、項[1]に記載の含フッ素シラン化合物。
[3] 前記一般式(1)において、nが1~4の整数である、項[1]または項[2]に記載の含フッ素シラン化合物。
[4] 前記一般式(1)において、Xがハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基である、項[1]~項[3]のいずれかに記載の含フッ素シラン化合物。
[5] 前記一般式(1)において、Zが-CH=CH-基である、項[1]~項[4]のいずれかに記載の含フッ素シラン化合物。
[6] 項[1]~項[5]のいずれかに記載の含フッ素シラン化合物の2種類以上の混合物。
[7] 項[1]~項[5]のいずれかに記載の含フッ素シラン化合物を含むことを特徴とする表面改質剤。
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)において、Rf基は直鎖又は分岐の炭素数1~6のパーフルオロアルキル基が好ましく、さらに直鎖のパーフルオロアルキル基が好ましい。Rf基の構造として分岐構造を有していてもよいが、直鎖のパーフルオロアルキル基は高い撥水撥油性を発現しやすいからである。
一般式(1)において、Rf基は直鎖又は分岐の炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基が好ましく、さらに直鎖のパーフルオロアルキレン基が好ましい。Rf基の構造として分岐構造を有していてもよいが、直鎖のパーフルオロアルキレン基は高い撥水撥油性を発現しやすいからである。
中でも、Rfが炭素数4~6の直鎖のパーフルオロアルキル基であり、Rfが炭素数4~6の直鎖のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
一般式(1)において、Rは水素原子または炭素数1~3のアルキル基である。
一般式(1)において、mは0~2の整数である。中でも、mが0であることが好ましい。
一般式(1)において、nは1~10の整数である。中でも、製造が容易である観点からnは1~4であることが好ましい。
一般式(1)において、Xは水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~6のジアルキルアミノ基またはイソシアネート基である。中でも、製造及び取り扱いが容易である観点から、Xがハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基であることが好ましく、Xが塩素原子、メトキシ基、エトキシ基であることがさらに好ましい。
一般式(1)において、Yは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基である。中でも、Yが水素原子、ヨウ素原子またはメトキシ基であることが好ましい。
一般式(1)において、Zは炭素数1~10の2価の炭化水素基であり、フッ素原子を含まない。具体的には例えば、-CH-基、-CHCH-基、-CHCHCH-基、-CH=CH-基、-C-基などの飽和、不飽和炭化水素基が挙げられる。中でも、-CH=CH-基が好ましい。
一般式(1)における、Rf-Z-Rf-の部分の具体的構造としては、C-CH=CH-C-、C-CH=CH-C12-、C-CH=CH-C-、C-CH=CH-C12、C13-CH=CH-C-、C13-CH=CH-C12-などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物は、次に例示する方法で得ることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物は、例えば下記一般式(2)で示される、末端がヨウ素化されたフルオロアルキル化合物を出発原料として製造できる。Zが-CH=CH-基であるフルオロアルキル化合物は公知であり、特許文献2(国際公開第2017/119371号)に記載されている。
Rf-Z-Rf-I (2)
上記一般式(2)で示される化合物を、ラジカル開始剤の存在下、下記一般式(3)で示される化合物と反応させることにより、Yがヨウ素原子である含フッ素シラン化合物が得られる。ヨウ素原子は必要に応じて、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基に変換することが可能である。
CH=CH-SiR3-m (3)
(式(3)中、Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、
mは、0~2の整数であり、
Xは、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~6のジアルキルアミノ基またはイソシアネート基である)
本発明の一般式(3)で示される化合物の具体例としては、トリクロロビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、ジメチルメトキシビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン等が挙げられる。中でも、トリクロロビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物の製造に用いられる化合物(3)の量は、反応に具する化合物(2)に対して、好ましくは1当量~20当量、さらに好ましくは1当量~10当量、特に好ましくは2当量~10当量である。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物の製造に用いられるラジカル開始剤としては、具体的には例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシピバレート、ラウリルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物の製造に用いられるラジカル開始剤の量は、反応に具する化合物(2)の総量に対し、好ましくは0.001重量%~10重量%、さらに好ましくは0.002重量%~10重量%、特に好ましくは0.002重量%~5重量%である。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物の製造においては、必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒、n-ヘキサン、n-ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、トリフルオロメチルベンゼン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-3,3-ジクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロ-1,3-ジクロロプロパン、ペンタフルオロブタン、デカフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロデカリン、ヘキサフルオロベンゼン、メチルノナフルオロブチルエーテル(HFE7100)、エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE7200)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE7300)等のハイドロフルオロエーテル類等のフッ素系溶媒等、反応に不活性な溶媒であればあらゆるものが使用可能である。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
溶媒は、反応に供する化合物に応じて適切に選択の上で使用でき、また溶媒を用いなくともよい。
本発明の一般式(1)で表される含フッ素シラン化合物の精製方法としては、公知の方応で実施可能で、例えば、溶媒抽出、デカンテーション、ろ過、濃縮、蒸留等により精製し、目的物の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物を得ることができる。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物は、単独もしくは溶剤に溶解し、表面改質剤として用いることができる。含フッ素シラン化合物は、一種単独で用いても、複数の含フッ素シラン化合物を任意の比率で混合して用いてもよい。
本発明の含フッ素シラン化合物と溶剤を含む表面改質剤において、含フッ素シラン化合物の濃度は、0.001重量%~50重量%が好ましく、0.01重量%~20重量%がより好ましい。
本発明の含フッ素シラン化合物を含む表面改質剤において、溶剤としては含フッ素シラン化合物と混和する溶剤であればあらゆるものを用いることができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類が挙げられる。また、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、パーフルオロエーテル類又はハイドロフルオロアルキルエーテル類のフッ素系有機溶剤も使用できる。具体例として、ベンゾトリフルオリド(α,α,α-トリフルオロトルエン)、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2H,3H-デカフルオロペンタン(バートレル)、テトラデカフルオロヘキサン、オクタデカフルオロオクタン、ドデカフルオロシクロヘキサン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)デカフルオロシクロヘキサン、ノナフルオロブチルメチルエーテル(異性体混合物)、ノナフルオロブチルエチルエーテル(異性体混合物)等が挙げられる。これらのうち、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘプタン、オクタン、トルエン等の炭化水素類、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ノナフルオロブチルエチルエーテル(異性体混合物)等のフッ素系有機溶剤は、含フッ素シラン化合物(1)の溶解性が高く、さらに、表面改質剤の塗工性や乾燥時間が適度になるので好ましい。これらの有機溶剤は、一種類を単独で用いても、複数の溶剤を任意の比率で混合して用いても良い。
本発明の表面改質組成物中には、表面処理を円滑に進める酸触媒を添加してもよい。該酸触媒は、無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。該無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸;硫酸、硝酸、過塩素酸等の無機オキソ酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸等の有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2-プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2-ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタン-1-スルホン酸(イセチオン酸)、アリルスルホン酸、1,3-プロパンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、m-キシレン-4-スルホン酸、p-キシレン-2-スルホン酸、2-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、p-フェノールスルホン酸等の有機スルホン酸が例示できる。これらのうち、経済性、安全性、取り扱い性及び良質な表面改質が可能である点から酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸が好ましく、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸がさらに好ましい。
本発明の表面改質組成物中の酸触媒の濃度は、経済性、組成物の安定性(ポットライフ)及び膜の均質性の点から、表面改質組成物の総量に対し0.0001重量%~50重量%が好ましく、0.01重量%~20重量%がより好ましい。
本発明の表面改質組成物中には、別の表面改質作用を及ぼすシラン添加剤を含んでもよい。該シラン添加剤としては、固体表面及び本発明の含フッ素シラン化合物(1)に結合作用のある官能性シランである。
該シラン添加剤としては、具体的には、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリエトキシオクチルシラン等のアルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等のジシラザン類、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、クロロジメチルオクチルシラン、クロロジメチルオクタデシルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、四塩化ケイ素等のハロゲン化シラン類、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン等のパーアルコキシオリゴシロキサン類が例示できる。
本発明の表面改質組成物中には、必要に応じてトリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリス(2-ヒドロキシエチル)アミン、モルホリンなどのアミン系中和剤、組成物の濡れ性を改善するイオン系、非イオン系などの各種界面活性剤、潤滑性を更に改善するシリコーンオイル、シリコーンワニスなどを添加することもできる。これらは、本発明の表面改質組成物中の含フッ素シラン化合物(1)の重量に対し、約0.001~300重量%の割合で用いることができる。
本発明の表面改質剤による基材の処理は、浸漬、ディップコーティング、吹き付け、かけ流し、スピンコーティング、エアロゾル噴射、刷毛塗り、含浸布による塗工、真空蒸着、スパッタリング、CVD法など、含フッ素表面改質剤の表面改質に通常用いられる任意の方法によって行うことができる。表面改質の均一性、撥水撥油性の高さ及び経済性の点から、浸漬法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗り法又は含浸布による塗工法が好ましい。
本発明の表面改質剤を適用した後には、必要に応じて非加熱条件下、調湿条件下または加熱条件下でのアニーリング、洗浄等の工程を加えてもよい。また、表面処理剤を基材表面に適用した後、そのまま静置しておくだけでもよい。
本発明の表面改質剤により処理される基材としては、特に限定されないが、ガラス、二酸化ケイ素材料、金属、繊維、皮革、布製品、紙、プラスチック等が挙げられる。中でも、含フッ素シラン化合物は水酸基に対する結合性を示すため、ガラス、二酸化ケイ素材料、金属、セルロース等の基材を処理する場合、表面改質剤として高い耐久性を示す。具体例としては、石英ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸塩ガラス等の無機ガラス材料基材;単結晶石英、多結晶石英、シリカゲル等の二酸化ケイ素材料基材;ゼオライト、ムライト、雲母、粘土鉱物等のアルミノケイ酸塩材料基材;アルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化物材料基材;スピネル、鉄フェライト等の複酸化物材料基材、アルミニウム、チタン、鉄、マンガン、バナジウム、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム及びそれらの合金等の金属基材が挙げられる。
本発明の含フッ素シラン化合物を含む表面改質剤は、防汚剤、潤滑剤、撥水撥油剤、防錆剤、耐水化剤、剥離剤、離型剤、オイルバリア剤、フラックス這い上がり防止剤等として用いることができる。
本発明の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物を用いることにより、生体蓄積性が低いとされる炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基から構成される有効成分を用いて、液滴除去性や耐摩耗性に優れた表面改質剤を提供できる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、分析に当たっては下記機器を使用した。
H-NMR,19F-NMR>
装置:ブルカー製AVANCE II 400
内部標準:テトラメチルシラン、トリフルオロメチルベンゼン
溶媒:クロロホルム-d
<GC-MS>
装置:島津製作所製GCMS-QP2010Ultra
カラム:ジーエルサイエンス製TC-1
<接触角測定>
装置:協和界面科学製接触角計DMs-401
静的接触角測定:液滴量2μL、θ/2法により解析
滑落角測定:液滴量20μL、接線法により解析
<摩擦試験>
装置:ラビングテスターIMC-1507(株式会社井元製作所)
実施例1
15mlの耐圧試験管に1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,14-ペンタコサフルオロ-1-ヨード-7-テトラデセン2.50g(東ソー・ファインケム製、3.24mmol)、ビニルトリメトキシシラン1.44g(東京化成工業製、9.71mmol)、及び2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)21mg(富士フイルム和光純薬製、0.13mmol)を仕込み、密閉後内部を窒素置換した。その後75℃で12時間反応した後、冷却し、30℃、0.1kPaで減圧濃縮することにより、含フッ素シラン化合物(4)3.44gを得た。収率は87%(重量換算、以下同じ)であった。
生成物の解析結果を以下に示す。
GC-MSによる解析から、n=1の成分が8%、n=2の成分が84%、n=3の成分が8%であった。
H-NMR (溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン) δ(ppm):6.48(m,C13 CH=CH12),3.67(m,OCH ),3.41-3.21(m,CH I),2.89-1.91(m,CH),2.00(m,CH CF
19F-NMR (溶媒:重クロロホルム、内部標準:トリフルオロメチルベンゼン) δ(ppm):-81.33(t,3F,CF),-113.21(m,4F,CF CH), -115.25(m,2F,CF CH),-122.12(m,6F,CFCFCF), -123.36(m,2F,CF),-123.88(m,4F,CFCF),-124.21(m,2F,CF),-126.69(m,2F,CF
実施例2
15mlの耐圧試験管に1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,14-ペンタコサフルオロ-1-ヨード-7-テトラデセン2.50g(東ソー・ファインケム製、3.24mmol)、トリクロロビニルシラン1.57g(東京化成工業製、9.71mol)、及び2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)21mg(富士フイルム和光純薬製、0.13mmol)を仕込み、密閉後内部を窒素置換した。その後75℃で12時間反応した後、冷却し、30℃、0.1kPaで減圧濃縮することにより、含フッ素シラン化合物(5)3.57gを得た。収率は86%であった。
生成物の解析結果を以下に示す。
GC-MSによる解析から、n=1の成分が3%、n=2の成分が86%、n=3の成分が11%であった。
H-NMR (溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン) δ(ppm):6.49(m,C13 CH=CH12),3.67(m,OCH ),3.58-3.21(m,CH I),2.61-1.80(m,CH),2.00(m,CH CF
19F-NMR (溶媒:重クロロホルム、内部標準:トリフルオロメチルベンゼン) δ(ppm):-81.52(t,3F,CF),-108.94--115.02(m,6F,CF),-122.08(m,4F,CFCF),-123.42(m,4F,CFCF),-124.80(m,2F,CF),-126.40(m,2F,CF
比較例1
15mlの耐圧試験管にトリデカフルオロ-1-ヨードヘキサン1.50g(東京化成工業製、3.36mmol)、ビニルトリメトキシシラン1.50g(10.1mmol)、及び2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)22mg(0.13mol)を仕込み、密閉後内部を窒素置換した。その後75℃で12時間反応した後、冷却し、30℃、0.1kPaで減圧濃縮することにより、含フッ素シラン化合物(6)2.59gを得た。収率は86%であった。
生成物の解析結果を以下に示す。
GC-MSによる解析から、n=1の成分が12%、n=2の成分が82%、n=3の成分が6%であった。
H-NMR (溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン) δ(ppm):3.68-3.61(m,OCH ),3.48-3.20(m,CH I),2.51-1.66(m,CH),2.01(m,CH CF
19F-NMR (溶媒:重クロロホルム、内部標準:トリフルオロメチルベンゼン) δ(ppm):-81.41(t,3F,CF),-112.48--116.44(m,2F,CF),-122.28(m,2F,CF),-123.39(m,2F,CF),-124.22(m,2F,CF),-126.68(m,2F,CF
実施例3
実施例1で得られた含フッ素シラン化合物(4)0.1重量%、溶剤としてエチルノナフルオロブチルエーテル(3M製、製品名Novec7200)99.9重量%を含む表面改質剤を調製した。この表面改質剤を用いて、次の方法で表面改質性能の評価を行った。
表面処理
スライドガラス(アズワン製、25mm×75mm×厚さ1mm)を上記表面改質剤に浸漬し、約4mm/secの速度で引き上げてディップコートした後、室温下大気中で24時間静置することにより、表面改質を行った。
接触角測定
表面処理したスライドガラスにおける静的接触角及び滑落角を、純水及びオレイン酸のそれぞれについて測定した。
ここで、静的接触角について、ぬれ性の数値化のために測定した。液滴を固体表面に接触させて着滴したとき,試料面とのなす角度を接触角θとした。静的接触角が大きい方が撥水撥油性に優れる。
また滑落角について、液滴除去性の数値化のために測定した。液滴を水平な固体表面上に着滴させ、この固体試料を徐々に傾けて液滴の端点が0.3mm動いたときの傾斜角を滑落角とした。滑落角が小さい方が液滴除去性に優れる。
摩擦試験
摩擦試験機にキムワイプ(日本製紙クレシア製)を取り付け、200gの荷重下、60mm×40往復/分の速度で上記表面処理ガラスの表面を2万往復擦過した後、上記と同様の接触角測定を実施した。
結果を表1に示した。以下の実施例および比較例についても、上記の表面改質性能の評価方法で示した処方と同様に行なった。
実施例4
実施例3において、エチルノナフルオロブチルエーテルに替えてイソプロパノール(富士フイルム和光純薬製)を溶剤として用いた以外、同様に表面改質性能の評価を行い、結果を表1に示した。
実施例5
実施例3において、含フッ素シラン化合物(4)に替えて含フッ素シラン化合物(5)を用いた以外、同様に表面改質性能の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例2
実施例3において、含フッ素シラン化合物(4)に替えて含フッ素シラン化合物(6)を用いた以外、同様に表面改質性能の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例3
実施例3において、含フッ素シラン化合物(4)に替えて3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,16,16,16-ペンタコサフルオロ-9-ヘキサデセン-1-イルトリメトキシシラン(7)(東ソー・ファインケム製)を用いた以外、同様に表面改質性能の評価を行い、結果を表1に示した。
表1の結果から、本発明の含フッ素シラン化合物を含む表面改質剤が、基材に良好な撥水撥油性を与えることが分かる。また、単純なパーフルオロアルキル基(C6F13基)を有する含フッ素シラン化合物(6)や、シリル基を1個のみ有する化合物(7)と比較して、純水及びオレイン酸の滑落角が小さく、優れた液滴除去性を与えることが分かる。
さらに、摩擦試験後の接触角測定において、単純なパーフルオロアルキル基(C6F13基)を有する含フッ素シラン化合物(6)や、シリル基を1個のみ有する化合物(7)と比較して純水及びオレイン酸の静的接触角が大きく、滑落角は同等以下の値であることから、本発明の含フッ素シラン化合物を含む表面改質剤が優れた耐摩耗性を示すことが分かる。
このため、自動車用ガラス、タッチパネル、レンズ等の防汚剤や、撥水撥油剤、防錆剤、耐水化剤、剥離剤、離型剤、オイルバリア剤、フラックス這い上がり防止剤等の表面改質剤として有用である。
本発明の含フッ素シラン化合物及びこれを含む組成物は、生体蓄積性が低いとされる炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基から構成され、液滴除去性及び耐摩耗性に優れたコーティング膜を形成できる表面改質剤として利用可能である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物の2種類以上を含む混合物
    (式(1)中、
    Rfは、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基であり、
    Rfは、炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基であり、
    Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、
    mは、0~2の整数であり、
    nは、2または3であり、
    Xは、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~6のジアルキルアミノ基またはイソシアネート基であり、
    Yは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基であり、
    Zは、-CH=CH-基である)
  2. 前記一般式(1)において、Rfが炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキル基であり、Rfが炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキレン基である、請求項1に記載の含フッ素シラン化合物の2種類以上を含む混合物
  3. 前記一般式(1)において、Xがハロゲン原子または炭素数1~3のアルコキシ基である、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素シラン化合物の2種類以上を含む混合物
  4. 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の含フッ素シラン化合物の2種類以上を含む混合物からなる表面改質剤。
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