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JP2013129695A - 撥水膜形成用組成物、撥水膜付き基体および輸送機器用物品 - Google Patents

撥水膜形成用組成物、撥水膜付き基体および輸送機器用物品 Download PDF

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JP2013129695A
JP2013129695A JP2011278214A JP2011278214A JP2013129695A JP 2013129695 A JP2013129695 A JP 2013129695A JP 2011278214 A JP2011278214 A JP 2011278214A JP 2011278214 A JP2011278214 A JP 2011278214A JP 2013129695 A JP2013129695 A JP 2013129695A
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compound
water
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group
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JP2011278214A
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English (en)
Inventor
Yosuke Takeda
洋介 竹田
Tomoko Kishikawa
知子 岸川
Yasuteru Hoshino
泰輝 星野
Kenji Ishizeki
健二 石関
Atsushi Ito
敦史 伊藤
Hisao Iguma
久夫 猪熊
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有する撥水層を形成でき、かつ環境負荷が少ない撥水膜形成用組成物、ならびに充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有し、かつ環境負荷が少ない撥水層付き基体および該撥水膜付き基体からなる輸送機器用物品の提供。
【解決手段】
C1〜6のペルフルオロアルキル基と連結基にペルフルオロアルキレン基を含む基を有するシラン化合物(A)と、C1〜6のペルフルオロアルキル基と連結基にペルフルオロアルキレン基を含まない基を有するシラン化合物(b1)および/またはC1〜6のペルフルオロアルキル基を含むペルフルオロエーテル基を有するシラン化合物(b2)からなる化合物(B)とを含む、および/または、下記化合物(A)と下記化合物(B)との部分加水分解共縮合物を含む、撥水膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、撥水膜形成用組成物、これを用いて形成された撥水膜を有する撥水膜付き基体、および、該撥水膜付き基体からなる輸送機器用物品に関する。
基材の表面に撥水性を付与する方法としては、ペルフルオロアルキル基および加水分解性シリル基を有する含フッ素化合物および溶媒を含む撥水撥油剤組成物を基材に塗布し、乾燥することによって撥水性被膜を形成する方法が知られている。該撥水撥油剤組成物としては、例えば、自動車ガラス用撥水剤組成物等が挙げられる。自動車ガラス用撥水剤組成物から形成される撥水層には、高い動的撥水性(水滴が転がりやすい性質、水滴除去性)、耐摩耗性および耐侯性が要求される。
該要求を満たす自動車ガラス用撥水剤組成物としては、例えば、下式(I)で表される化合物および溶媒を含む組成物が提案されている(特許文献1参照)。
(RfSi(R)(NCO)4−a−b …(I)。
(ただし、Rfは、炭素数8〜16のペルフルオロアルキル基を有する有機基であり、Rは、水素原子または炭素数1〜16の有機基であり、aは、1または2であり、bは、0または1である。)
ところが、炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物は、環境負荷が高いことから、近年、法規制や自主規制の対象となってきている。そのため、炭素数6以下のペルフルオロアルキル基を有する撥水撥油剤用組成物用の含フッ素化合物が要求されている。しかし、炭素数6以下のペルフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物、例えば、CF(CF−CHCH−SiClを含む撥水撥油剤用組成物を用いて得られる撥水層は、従来の炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を用いて形成された撥水層に比べ、ペルフルオロアルキル基に基づく結晶性(すなわち、分子間でパッキングする性質)が劣るため、撥水性、特に動的撥水性が低下したり、耐候性や耐摩耗性が充分でないという問題があった。
特許第2800786号公報
本発明は、充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有する撥水層を形成でき、かつ環境負荷が少ない撥水膜形成用組成物、ならびに充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有し、かつ環境負荷が少ない撥水層付き基体および該撥水膜付き基体からなる輸送機器用物品の提供を目的とする。
本発明は、下記化合物(A)と下記化合物(B)とを含む、および/または、下記化合物(A)と下記化合物(B)との部分加水分解共縮合物を含む、撥水膜形成用組成物を提供する。
化合物(A):下記一般式(1)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
F1−Y−SiR (3−n1) n1 …(1)
(ただし、式(1)中、RF1は、炭素数pの直鎖状のペルフルオロアルキル基であり、
は、炭素数qの、両末端が−CH−であり、1つ以上のペルフルオロアルキレン基を含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まない、ポリフルオロアルキレン基であり、
pは、2〜6の整数であり、
qは、4以上の整数であり、
p+qは、10以上の整数であり、
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
は、加水分解性基であり、
n1は、1〜3の整数であって、
およびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
化合物(B):下記化合物(b1)、下記化合物(b2)およびそれらの部分加水分解共縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
化合物(b1):下記一般式(2)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
(RF2−Y−SiR (4−a−n2) n2 …(2)
(ただし、式(2)中、RF2は、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
は、ペルフルオロアルキレン基を含まない2価の有機基であり、
aは、1または2であり、
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
は、加水分解性基であり、
n2は、1〜3の整数であり、a+n2は3または4であって、
F2−YおよびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
化合物(b2):下記一般式(3)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
F3−O−(RF4−O)−RF5−Y−SiR (3−n3) n3 …(3)
(ただし、式(3)中、RF3は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
F4およびRF5は炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基であり、
は、アルキレン基、または、RF5と結合する末端もしくは炭素−炭素原子間にアミド結合、ウレタン結合およびエーテル性酸素原子から選ばれる1種を有してもよいアルキレン基であり、
mは、1〜50の整数であり、
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
は、加水分解性基であり、
n3は、1〜3の整数であって、
およびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
本発明は、基体と、前記基体の表面の少なくとも一部に撥水膜とを有する撥水膜付き基体であって、前記撥水膜は1層以上で構成され、かつ最外層に上記本発明の撥水膜形成用組成物を用いて形成された撥水膜を有する撥水膜付き基体を提供する。
本発明は、上記本発明の撥水膜付き基体を具備する輸送機器用物品を提供する。
本発明によれば、充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有する撥水層を形成でき、かつ環境負荷が少ない撥水膜形成用組成物、ならびに充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有し、かつ環境負荷が少ない撥水層付き基体および該撥水膜付き基体からなる輸送機器用物品の提供ができる。
以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本明細書における式(1)で表される化合物を、化合物(1)という。他の化合物も同様である。また、本明細書におけるポリフルオロアルキレン基は、アルキレン基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルキレン基は、それぞれアルキル基およびアルキレン基の水素原子が全てフッ素原子に置換された基をいう。
[撥水膜形成用組成物]
本発明の撥水膜形成用組成物は、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを含む、および/または、上記化合物(A)と上記化合物(B)との部分加水分解共縮合物を含む。
本発明の撥水膜形成用組成物を用いて形成される撥水膜(本発明の撥水膜付き基体における撥水層)の有する優れた動的撥水性は、上記化合物(B)の分子構造によるものである。より具体的には、化合物(B)の有する含フッ素有機基が、上記撥水膜において、被膜表面の水滴の移動性または転落性の向上に寄与している。また、本発明の撥水膜形成用組成物に、上記化合物(A)を配合することにより、上記撥水膜の耐摩耗性や耐候性が高められる。また、化合物(A)および化合物(B)はいずれも、炭素数6以下のペルフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物であり環境に与える負荷が少ない。
以下、本発明の撥水膜形成用組成物が含有する化合物(A)および化合物(B)について説明する。
[化合物(A)]
本発明の組成物が含有する化合物(A)は、下記一般式(1)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物である。
F1−Y−SiR (3−n1) n1 …(1)
(ただし、式(1)中、RF1は、炭素数pの直鎖状のペルフルオロアルキル基であり、
は、炭素数qの、両末端が−CH−であり、1つ以上のペルフルオロアルキレン基を含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まない、ポリフルオロアルキレン基であり、
pは、2〜6の整数であり、
qは、4以上の整数であり、
p+qは、10以上の整数であり、
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
は、加水分解性基であり、
n1は、1〜3の整数であって、
およびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
化合物(1)は、ケイ素原子に1個のポリフルオロアルキル基(RF1−Y)と3−n1個の炭化水素基(R)と、n1(ただし、n1は1〜3の整数)個の加水分解性基(X)とが結合した含フッ素加水分解性ケイ素化合物である。
F1−Y−基におけるRF1は、炭素数p(ただし、pは2〜6の整数である。)の直鎖状のペルフルオロアルキル基であり、pが2以上であれば、撥水撥油性に優れる。pが6以下であれば、含フッ素化合物の分解生成物による環境負荷が少ない。pは、原料の入手性の点から、2、4または6が好ましい。
は、両末端が−CH−であり、1つ以上のペルフルオロアルキレン基を含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まない、炭素数q(ただし、qは、4以上の整数である。)のポリフルオロアルキレン基である。Yは、直鎖状のポリフルオロアルキレン基が好ましい。qはYの炭素数を示し4以上である。ただし、qの値が大きいほど化合物(1)の融点は高くなり、取り扱いが悪くなるおそれがある。よって、qの好ましい上限値は28であり、22がより好ましく、16が特に好ましい。
F1−Y−基は、上記炭素数2〜6のRF1と炭素数4以上の連結基(Y)とからなる鎖長が長い、具体的には、p+qで示される炭素数が10以上のポリフルオロアルキル基である。p+qが該範囲であれば、RF1−Y−基による結晶性が維持され、得られる撥水層は動的撥水性を有しながら、耐候性や耐摩耗性にも優れる。p+qは、10〜30が好ましく、10〜24がより好ましく、10〜18が特に好ましい。
におけるRF1側の末端が−CH−であることにより、分解生成物として炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成することがないため、化合物(1)は環境負荷が少ない。
におけるSi側の末端は、得られる撥水層の耐侯性および化合物(1)の合成のしやすさ等の点から、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−が挙げられ、−CHCH−が特に好ましい。
上記の通りRF1は直鎖状であり、Yは直鎖状であることが好ましい。RF1に加えてYが直鎖状であれば、RF1−Y−基が直鎖状となり、化合物(1)の結晶性がより高まり、得られる撥水層の動的撥水性や耐候性、耐摩耗性の向上に寄与できる。
は、加水分解性基である。加水分解性基とは、Si−X基の加水分解によって、Si−OHを形成し得る基である。
としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられ、化合物(1)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、アルコキシ基、イソシアネート基およびハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。化合物(1)におけるXとしては、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。化合物(1)中にXが複数個存在する場合には、Xが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
n1は、化合物(1)中の加水分解性基(X)の個数を示し、その数は1〜3の整数である。n1が1以上であれば、得られる撥水層と基材との密着性が良好となる。n1は、得られる撥水層と基材との密着性の点から、2または3が好ましく、3が特に好ましい。
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、原料の入手や取り扱いが容易である点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。化合物(1)中のRの個数は3−n1個である。化合物(1)中にRが複数個存在する場合には、Rが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
本発明において、化合物(1)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(1)としては、得られる撥水層の撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性、ならびに合成のし易さの点から、下記式(1−1)で表される化合物が好ましい。
F1−CHCH−(CF−CHCH−SiR (3−n1) n1 …(1−1)
(ただし、式(1−1)中、RF1、R、X、n1の意味および好ましい態様は、上記式(1)と同様である。rは1以上の整数であり、p+r+4の意味および好ましい態様は、上記式(1)のp+qと同様である。)
p+r+4を上記式(1)のp+qと同様、すなわち、好ましくは10〜30、より好ましくは10〜24、特に好ましくは10〜18とするために、rの好ましい上限値は24であり、18がより好ましく、12が特に好ましい。p+q+4が該範囲であれば、RF1−CHCH−(CF−CHCH−基によって化合物(1−1)の結晶性が維持され、得られる撥水層の動的撥水性が良好となる。
化合物(1−1)の好ましい具体例としては、下記式(1−11)〜(1−15)のいずれかで表わされる化合物が挙げられる。ただし、各式中Xの意味および好ましい態様は、上記式(1)と同様である。
CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiX …(1−11)、
CFCF−CHCH−(CF−CHCH−SiX …(1−12)、
CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiX …(1−13)、
CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiX …(1−14)、
CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiX …(1−15)。
化合物(1−11)〜(1−15)は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。本発明においては、これらのなかでも化合物(1−11)が好ましく、下記式(1−11a)で表される化合物が特に好ましい。
CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiCl…(1−11a)。
本発明に用いる上記化合物(1)を製造する方法としては、例えば、化合物(1−1)については以下の製造方法が挙げられる。
まず、ペルフルオロアルキルアイオダイド(化合物(1a))とα、ω−ジビニルペルフルオロアルカン(化合物(1b))との付加反応によって化合物(1c)を得て、次いで、化合物(1c)を還元剤(たとえば、水素化トリブチルスズ、トリス(トリメチルシリル)シラン等)によって還元して化合物(1d)を得て、次いで、化合物(1d)と化合物(1e)とのヒドロシリル化反応によって、化合物(1−1)を得る方法である。ただし、以下の各式中におけるRF1、R、X、n1、rの意味は化合物(1−1)における意味と同じ意味を示す。
F1−I …(1a)、
CH=CH−(CF−CH=CH …(1b)、
F1−CHCHI−(CF−CH=CH …(1c)。
F1−CHCH−(CF−CH=CH …(1d)。
HSiR (3−n1) n1 …(1e)、
F1−CHCH−(CF−CHCH−SiR (3−n1) n1 …(1−1)。
上記製造方法は、Yの両末端が−CHCH−である場合の化合物(1)の製造方法である。Yが他の構造である化合物は、上記式(1b)で表される化合物の代わりに、式(1b)の−(CF−部分が異なる他の化合物を用いて同様の反応を実施することにより製造できる。
また、例えば、化合物(1a)に、CH=CHおよび/またはCH=CFを適宜反応させ、さらに必要に応じてCF=CFを反応させて下記式(1f)で表される化合物を合成する。
F1−{(CHCH・(CHCF・(CFCF}−I …(1f)。
(RF1は上記式(1)と同様であり、xは0〜10の整数、yは0〜20の整数、zは0〜10の整数、x+yは1以上の整数、y+zは1以上の整数であって、化合物(1f)としての炭素数は8以上である。)
化合物(1f)にエチレンを付加反応させ、次に、塩基の存在下、脱ヨウ化水素させて得られた化合物と化合物(1e)とをヒドロシリル化反応させることで、化合物(1)に分類される下記式(12)に示される化合物を製造することができる。なお、式(12)中、RF1、R、X、n1は上記式(1)と同様であり、x、y、zは化合物(1f)と同様である。
F1−{(CHCH・(CHCF・(CFCF}−CHCH−R (3−n1) n1 …(12)
本発明の撥水膜形成用組成物中に含まれる化合物(A)は、化合物(1)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(1)のような加水分解性ケイ素化合物の部分加水分解縮合物とは、溶媒中で酸触媒やアルカリ触媒などの触媒と水の存在下に該化合物が有する加水分解性基の全部または一部が加水分解し、次いで脱水縮合することによって生成するオリゴマー(多量体)をいう。ただし、この部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。化合物(A)としては、化合物(1)であっても、化合物(1)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(1)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(1)が含まれる化合物(1)の部分加水分解縮合物であってもよい。
[化合物(B)]
本発明の組成物が含有する化合物(B)は、下記化合物(b1)、下記化合物(b2)およびそれらの部分加水分解共縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物である。
化合物(b1)は、下記一般式(2)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物である。
(RF2−Y−SiR (4−a−n2) n2 …(2)
(ただし、式(2)中、RF2は、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
は、ペルフルオロアルキレン基を含まない2価の有機基であり、
aは、1または2であり、
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
は、加水分解性基であり、
n2は、1〜3の整数であり、a+n2は3または4であって、
F2−YおよびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
化合物(2)は、ケイ素原子にa(ただし、aは1または2)個の含フッ素有機基(RF2−Y−)基と、4−a−n2(ただし、a+n2は3または4)個の炭化水素基(R)と、n2(ただし、n2は1〜3の整数)個の加水分解性基(X)とが結合した含フッ素加水分解性ケイ素化合物である。
F2−Y−基における、RF2は環構造を有していてもよい炭素数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。RF2は、前記条件を満たせば、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよく、環状構造であってもよく、分岐構造および環状構造を部分的に有する構造であってもよい。これらのなかでもRF2としては、直鎖構造または分岐構造が好ましく、直鎖構造がより好ましい。RF2の炭素数は3〜6が好ましい。
は、ペルフルオロアルキレン基を含まない2価の有機基である。Yの炭素数は、1〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。Yは、好ましくは、−(CH(eは、1〜6の整数である)、−CONH(CH(gは、1〜5の整数である)および−CONH(CHNH(CH5−h(hは、1〜4の整数である)から選ばれる2価有機基が挙げられ、より好ましくは、−(CH、−CONH(CH、−CONH(CHNH(CH等が挙げられる。
F2−Y−基は、上記炭素数1〜6のRF2とペルフルオロアルキレン基を含まないYとからなる含フッ素有機基である。Yがペルフルオロアルキレン基を有しないことにより、分解生成物として炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成することがないため、化合物(2)は環境負荷が少ない。化合物(2)において、ケイ素原子に結合するRF2−Y−基の数はaで示される。aは1または2であり、aが2の場合、RF2−Y−基は同じでも異なってもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。本発明においてaは1が好ましい。
化合物(2)における加水分解性基(X)は、化合物(1)における加水分解性基(X)と、好ましい態様を含めて同様とできる。なお、化合物(2)中にXが複数個存在する場合には、Xが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
n2は、化合物(2)中の加水分解性基(X)の個数を示し、その数は1〜3の整数である。n2が1以上であれば、得られる撥水層と基材との密着性が良好となる。n2は、得られる撥水層と基材との密着性の点から、2または3が好ましく、3が特に好ましい。
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示すが、これらのうちでも、原料の入手や取り扱いが容易である点から、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
本発明において、化合物(2)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(2)としては、得られる撥水層の撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性、ならびに合成のし易さの点から、下記式(2−1)〜(2−6)のいずれかで表わされる化合物が好ましい。
F(CF−(CH−SiX …(2−1)
F(CF−(CH−SiR …(2−2)
F(CF−CONH(CH−SiX …(2−3)
F(CF−CONH(CH−SiR …(2−4)
F(CF−CONH(CHNH(CH5−h−SiX …(2−5)
F(CF−CONH(CHNH(CH5−h−SiR …(2−6)
(ただし、式(2−1)〜(2−6)中、eは1〜6の整数であり、fは1〜6の整数であり、gは1〜5の整数であり、hは1〜4の整数であり、Xは互いに異なっていても同一であってもよい加水分解性基である。)
化合物(2−1)〜(2−6)は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。本発明においては、これらのなかでも化合物(2−1)が好ましく、下記式(2−11)で表される化合物が特に好ましい。
F(CF(CHSiX …(2−11)
(ただし、式(2−11)中、Xは、互いに異なっていても、同一であってもよい加水分解性基である。)
化合物(2−11)としては、3個の加水分解性基が全て塩素原子である、以下の化合物が好ましい。
13CHCHSiCl …(2−11a)
本発明に用いる上記化合物(2)は、一般的な方法で製造可能である。また、化合物(A)としては市販品があるので、本発明にはこのような市販品を用いることも可能である。
ここで、化合物(b1)は、化合物(2)の部分加水分解縮合物であってもよい。部分加水分解縮合物とは、化合物(A)において化合物(1)の部分加水分解縮合について物説明したのと同様である。化合物(b1)としては、化合物(2)であっても、化合物(2)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(2)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(2)が含まれる化合物(2)の部分加水分解縮合物であってもよい。
化合物(b2)は、下記一般式(3)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物である。
F3−O−(RF4−O)−RF5−Y−SiR (3−n3) n3 …(3)
(ただし、式(3)中、RF3は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
F4およびRF5は炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基であり、
は、アルキレン基、または、RF5と結合する末端もしくは炭素−炭素原子間にアミド結合、ウレタン結合およびエーテル性酸素原子から選ばれる1種を有してもよいアルキレン基であり、
mは、1〜50の整数であり、
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
は、加水分解性基であり、
n3は、1〜3の整数であって、
およびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
化合物(3)は、ケイ素原子に、ペルフルオロエーテル基(RF3−O−(RF4−O)−RF5−)と連結基(−Y−)からなる含フッ素有機基の1個と、3−n3個の炭化水素基(R)と、n1(ただし、n1は1〜3の整数)個の加水分解性基(X)とが結合した含フッ素加水分解性ケイ素化合物である。
ペルフルオロエーテル基における末端のRF3は、環構造を有していてもよい炭素数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。RF3は、前記条件を満たせば、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよく、環状構造であってもよく、分岐構造および環状構造を部分的に有する構造であってもよい。これらのなかでもRF3としては、直鎖構造または分岐構造が好ましく、直鎖構造がより好ましい。RF3の炭素数は1〜3が好ましい。
ペルフルオロエーテル基における、ペルフルオロ(オキシアルキレン)基の繰り返し単位(RF4−O)を構成するペルフルオロアルキレン基(RF4)の炭素数は1〜3であり、繰り返し単位の数を示すmは、1〜50である。mが2以上の場合、各繰り返し単位のRF4は同一であっても異なってもよい。(RF4−O)として、具体的には、(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CF(CF)CFO)、(CFCFO)−(CFO)、(CF(CF)CFO)−(CFO)等が挙げられる。ただし、(RF4−O)が1種類のペルフルオロ(オキシアルキレン)基からなる場合はs、j、t、uはそれぞれ1〜50の整数である。(RF4−O)が2種類以上のペルフルオロ(オキシアルキレン)基からなる場合は、s、j、t、uの合計(s+j+t+u)が1〜50の整数である。
これらのうちでも、(RF4−O)としては、単位分子量当たりの酸素原子の割合が多く、柔軟性が良好となり、撥水性(特に動的撥水性)が高くなる点から、(CFCFO)(jは1〜50の整数)が特に好ましい。
ペルフルオロ(オキシアルキレン)基の繰り返し数を示すmは、好ましくは3〜18の整数であり、より好ましくは4〜12、さらに好ましくは5〜10の整数である。mの数をこの範囲とすることで、本発明の組成物から形成される撥水膜に充分な撥水性(特に動的撥水性)を付与することが可能となる。
なお、化合物(3)は、ペルフルオロ(オキシアルキレン)基の繰り返し単位の数が異なる混合物として用いられることが多い。化合物(3)がこのような混合物の場合、各繰り返し単位の数は平均値で示される。平均値で示す場合、繰り返し単位の数は必ずしも整数で示されるわけではないが、好ましい数値の範囲は上記同様である。
ペルフルオロエーテル基において、(RF4−O)の連結基(−Y−)側に位置するペルフルオロアルキレン基(RF5)の炭素数は1〜3である。RF5は好ましくは、−CF−である。
化合物(3)において、ケイ素原子に、ペルフルオロエーテル基(RF3−O−(RF4−O)−RF5−)を結合する連結基(−Y−)は、アルキレン基、または、RF5と結合する末端もしくは炭素−炭素原子間にアミド結合、ウレタン結合およびエーテル性酸素原子から選ばれる1種を有してもよいアルキレン基である。
の炭素数は1〜8が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3が特に好ましい。Yとして具体的には、CONH(CHk1、CHOCONH(CHk1、(CHk2O(CHk1、(CHk1(ただし、k1は1〜4の整数であり、k2は0〜3の整数である。)等が挙げられる。これらのうちでも、−CONHC−、−CONHC−、−C−が好ましい。
化合物(3)が有するペルフルオロエーテル基(RF3−O−(RF4−O)−RF5−)は、末端のペルフルオロアルキル基RF3の炭素数が1〜6であり、分解生成物として炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成することがないため、化合物(3)は環境負荷が少ない。
化合物(3)における加水分解性基(X)は、化合物(1)における加水分解性基(X)と、好ましい態様を含めて同様とできる。なお、化合物(3)中にXが複数個存在する場合には、Xが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
n3は、化合物(3)中の加水分解性基(X)の個数を示し、その数は1〜3の整数である。n3が1以上であれば、得られる撥水層と基材との密着性が良好となる。n3は、得られる撥水層と基材との密着性の点から、2または3が好ましく、3が特に好ましい。
は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示すが、これらのうちでも、原料の入手や取り扱いが容易である点から、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
本発明において、化合物(3)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(3)としては、得られる撥水層の撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性、ならびに合成のし易さの点から、下記式(3−1)〜(3−4)のいずれかで表わされる化合物が好ましい。
F(CF−O−(CFCFO)(CF−CONH(CHk1SiX …(3−1)
F(CF−O−(CFCFO)(CF−CHOCONH(CHk1SiX …(3−2)
F(CF−O−(CFCFO)(CF−(CHk2O(CHk1SiX …(3−3)
F(CF−O−(CFCFO)(CF−(CHk1SiX …(3−4)
(ただし、式(3−1)〜(3−4)中、iは1〜6の整数であり、jは1〜20の整数であり、lは1〜3の整数であり、k1は1〜4の整数であり、k2は0〜3の整数であり、Xは互いに異なっていても同一であってもよい加水分解性基である。)
化合物(3−1)〜(3−4)の好ましい具体例としては、以下の式(3−11)〜(3−42)のいずれかで表わされる化合物が挙げられる。
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CONHCSiX …(3−11)
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CONHCSiX …(3−12)
CFCF−O−(CFCFO)j1−CF−CONHCSiX …(3−13)、
CFCFCF−O−(CFCFO)j1−CF−CONHCSiX …(3−14)、
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CHOCONHCSiX …(3−21)、
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CHOCSiX …(3−31)、
CF−O−(CFCFO)j1−(CF−OCSiX …(3−32)
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CSiX …(3−41)
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CSiX …(3−42)
(ただし、式(3−11)中、j1は1〜9の整数であり、Xは互いに異なっていても同一であってもよい加水分解性基である。)
化合物(3−11)〜(3−42)において、加水分解性基(X)は、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、3個のXが同一であることが好ましい。
化合物(3−1)〜(3−4)は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。本発明においては、これらのなかでも化合物(3−1)が好ましく、化合物(3−11)がより好ましい。さらに、化合物(3−11)のうちでも、以下の式(3−11a)で表される化合物が特に好ましい。
CF−O−(CFCFO)j1−CF−CONHCSi(OCH …(3−11a)
(ただし、j1=7〜8、平均値:7.3を示す。)
本発明に用いる上記化合物(3)は、公知の方法で製造可能である。例えば,上記化合物(3−1)〜(3−4)は、具体的には、WO2009−008380号公報に記載の方法で製造可能である。
ここで、化合物(b2)は、化合物(3)の部分加水分解縮合物であってもよい。部分加水分解縮合物とは、化合物(A)において化合物(1)の部分加水分解縮合について物説明したのと同様である。化合物(b2)としては、化合物(3)であっても、化合物(3)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(3)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(3)が含まれる化合物(3)の部分加水分解縮合物であってもよい。
本発明の組成物が含有する化合物(B)は、上記化合物(b1)、上記化合物(b2)およびそれらの部分加水分解共縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物である。化合物(B)は、具体的には、化合物(2)、化合物(2)の部分加水分解縮合物、化合物(3)、化合物(3)の部分加水分解縮合物、および化合物(2)と化合物(3)の部分加水分解共縮合物から選ばれる1種以上が用いられる。
本発明の撥水膜形成用組成物は、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを含む、および/または、上記化合物(A)と上記化合物(B)との部分加水分解共縮合物を含む。以下、必要に応じて、本発明の撥水膜形成用組成物が含有する、化合物(A)と上記化合物(B)、および/または、上記化合物(A)と上記化合物(B)との部分加水分解共縮合物を、「含フッ素加水分解性シラン化合物成分」という。
上記化合物(A)および化合物(B)は、本発明の撥水膜形成用組成物に、上記説明した化合物をそのままの状態で含有していてもよいし、化合物(A)と化合物(B)の部分加水分解共縮合物として含有してもよい。なお、上記の通り化合物(A)および化合物(B)には、分解生成物として炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成する化合物が含まれていないことから、本発明の撥水膜形成用組成物が環境に与える負荷は低い。
なお、上記化合物(A)と化合物(B)の部分加水分解共縮合物とは、上記と同様に、溶媒中で酸触媒やアルカリ触媒などの触媒存在下に、これらの化合物が有する加水分解性基の全部または一部が加水分解し、次いで脱水縮合することによって生成するオリゴマー(多量体)をいう。ここでは化合物(A)と化合物(B)を加水分解縮合して得られるものであることより、部分加水分解「共」縮合物と呼ぶ。この部分加水分解共縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。
上記化合物(A)と化合物(B)の部分加水分解共縮合物は、所定量の化合物(A)と化合物(B)を溶媒に溶解し、酸触媒やアルカリ触媒などの触媒と水の存在下に所定時間攪拌することによって製造できる。酸触媒としては、塩酸、硝酸、酢酸、硫酸、燐酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を使用できる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を使用できる。これら触媒の水溶液を使用することにより、加水分解に必要な水を反応系に存在させることができる。触媒と水の存在下に加熱することにより反応を促進することもできるが、反応が進みすぎると縮合度が上がりすぎ、溶媒不溶性の生成物するおそれが生じる。適当な量の触媒が存在する限り常温で反応させることが好ましい。得られた部分加水分解共縮合物の溶液はそのまま本発明の撥水膜形成用組成物として使用することができる。
上記部分加水分解共縮合物を使用することにより、より性能の高い撥水膜を形成することができる。例えば、化合物(A)と化合物(B)から形成される撥水膜の場合、撥水膜は両化合物の加水分解共縮合物からなることより、両化合物に由来する単位が均一に分布した膜であることが好ましいと考えられる。両化合物の加水分解共縮合物は比較的短時間で形成されることより、化合物(A)と化合物(B)から直に形成される膜においては両化合物に由来する単位の分布の均一性が低下するおそれがある。予め両化合物に由来する単位を含む部分加水分解共縮合物を製造しておくことにより、この均一性が向上すると考えられる。
本発明の撥水膜形成用組成物における有効成分の組成割合は、使用する化合物(A)と化合物(B)の量から決めることができる。組成物が化合物(A)と化合物(B)を含む場合は、組成物を製造するために使用した両化合物の割合で組成割合を決めることができる。しかし、本発明の撥水膜形成用組成物が前記部分加水分解共縮合物を含む場合はその部分加水分解共縮合物中の単位の割合を測定することは困難である。この場合、本発明においては、部分加水分解共縮合物を製造する前の原料組成で有効成分の組成割合を決めるものとする。すなわち、部分加水分解共縮合物の原料として使用した化合物(A)と化合物(B)の量から有効成分の組成割合を決めるものとする。
本発明の撥水膜形成用組成物における化合物(A)の含有割合は、[化合物(A)]/[化合物(A)+化合物(B)]×100で表される化合物(A)と化合物(B)との合計モル量に対する化合物(A)の割合(ただし、組成物が部分加水分解共縮合物を含む場合は、加水分解共縮合反応物分については、加水分解共縮合反応前の化合物(A)と化合物(B)との合計モル量を用いて、計算される割合)として、10〜95モル%であることが、得られる撥水層に撥水性(特に動的撥水性)と、耐摩耗性および耐候性を充分に付与できる点から好ましく、20〜95モル%であることがより好ましく、40〜95モル%であることが特に好ましい。上記化合物(A)の含有割合は、40モル%以上であることが、得られる撥水層にさらに耐薬品性を付与できる点から好ましい。
なお、この場合、本発明の組成物における化合物(B)の含有割合は、化合物(A)と化合物(B)の合計モル量に対する化合物(B)の割合として、5〜90モル%であることが好ましく、5〜80モル%であることがより好ましく、5〜60質量%であることが特に好ましい。上記のようにここにおけるモル%とは、部分加水分解共縮合物の場合は反応前の化合物(A)と化合物(B)のモル量で計算される組成割合をいう。
本発明の撥水膜形成用組成物は、上記化合物(A)と化合物(B)からなる、上記化合物(A)と化合物(B)とこれらの部分加水分解共縮合物からなる、あるいは上記化合物(A)と化合物(B)の部分加水分解共縮合物からなる必須成分のみから構成されてもよいが、経済性、作業性、得られる撥水膜の厚さ制御のしやすさ等を考慮し、通常は有機溶剤を含む。有機溶剤は、必須成分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、パラフィン系炭化水素類、酢酸エステル類等が好ましく、特にフッ素原子を含む有機溶剤(例えば、フルオロアルコール、フルオロ炭化水素)が好ましい。有機溶剤は1種に限定されず、極性、蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。
また、本発明の撥水膜形成用組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよく、またこの溶媒と撥水膜形成用組成物の有機溶媒は同じものであってもよい。さらに撥水膜形成用組成物は、部分加水分解縮合で用いた触媒などの成分を含んでいてもよい。特に、部分加水分解共縮合物を含む撥水膜形成用組成物は、部分加水分解共縮合物の製造で得られた部分加水分解共縮合物の溶液そのものであることが好ましい。
本発明の撥水膜形成用組成物における有機溶剤の割合は、含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合量質量の100質量部に対して、100,000質量部以下が好ましく、特に10,000質量部以下が好ましい。100,000質量部を超える量を用いると、得られる撥水層に処理ムラが発生する場合がある。
撥水膜形成用組成物に用いる有機溶剤の量は、さらに、該組成物が含有する含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合計質量100質量部に対して、3,500質量部以下であることが好ましく、2,000質量部以下であることがより好ましい。このように撥水膜形成用組成物において、含有する固形分に対する有機溶剤の量を少なくすることで、これを用いて形成される撥水層の膜厚を容易に増大することができ、撥水膜の耐アルカリ性、耐塩水性等の向上に寄与することが可能となる。なお、撥水膜形成用組成物に用いる有機溶剤の量の下限については特に制限されないが、上記の通り、経済性、作業性、処理層の厚さ制御のしやすさ等を考慮すると、該組成物が含有する含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合計質量100質量部に対して、500質量部程度の量を下限とすることが好ましい。
本発明の撥水膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意成分として機能性添加剤を含んでもよい。機能性添加剤としては、必須成分との反応性または相溶性等を考慮して選択するのが好ましく、片末端反応性ポリジメチルシロキサン、両末端反応性ポリジメチルシロキサン等の非フッ素系撥水性材料、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物の超微粒子、染料または顔料等の着色用材料、防汚性材料、硬化触媒、各種樹脂等が好ましく挙げられる。機能性添加剤の添加量は、撥水膜形成用組成物が含有する含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合計質量100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。撥水膜形成用組成物への機能性添加剤の過剰な添加は、得られる撥水膜の水滴除去性等の性能の低下を招くおそれがある。
さらに、本発明の撥水膜形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、化合物(A)と化合物(B)との加水分解共縮合反応を促進させるために、上記で同様の反応において使用したのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。触媒としては、酸触媒が好ましい。触媒を存在させておくことにより、耐摩耗性および耐候性の良好な撥水膜を形成することができる。触媒の量としては、含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合計質量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
本発明の撥水膜形成用組成物は、含フッ素加水分解性シラン化合物成分の加水分解共縮合反応のための水を含んでいてもよい。撥水膜形成用組成物における水の含有量は、含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合計質量の100質量部に対して、1〜50質量部が好ましい。なお、撥水膜形成用組成物は水を含有しなくとも、以下の撥水層を形成する過程において雰囲気中の水分を利用して含フッ素加水分解性シラン化合物成分の加水分解縮合を行わせることができる。
本発明の撥水膜形成用組成物を用いて撥水層を形成する方法としては、含フッ素オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、手塗り等の方法で前記組成物を基体の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、撥水層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御されるが、好ましい条件として、温度:20〜50℃、湿度:50〜90%RHの条件が挙げられる。硬化のための時間は、用いる組成物の種類、濃度、硬化条件等によるが、概ね1〜72時間が好ましい。処理方法によっては、余剰成分が発生し外観品質を損なう場合があるが、溶剤拭きまたは空拭き等で余剰成分を除去し外観を調節すればよい。本発明の撥水膜形成用組成物から形成される撥水層の厚さは特に限定されないが、経済性を考慮すると、50nm以下の厚さが好ましく、その下限は単分子層の厚さである。
[撥水膜付き基体]
本発明の撥水膜付き基体は、基体と、前記基体の少なくとも一部の表面に撥水膜とを有する撥水膜付き基体であって、前記撥水膜は1層以上で構成され、かつ最外層に上記本発明の撥水膜形成用組成物を用いて形成された撥水層を有する。
本発明の撥水膜付き基体に用いる基体は、一般に撥水性の付与が求められている材質からなる基体であれば特に限定されず、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、またはその組み合わせ(複合材料、積層材料等)からなる基体が好ましく使用される。ガラスまたはプラスチック等の透明な基体が好ましく、特にガラスが好ましい。ガラスとしては、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられ、これらのうちでもソーダライムガラスが特に好ましい。また、プラスチックとしては、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂やポリフェニレンカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられ、これらのうちでもポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
基体の形状は平板でもよく、全面または一部が曲率を有していてもよい。基体の厚さは撥水膜付き基体の用途により適宜選択できるが、一般的には1〜10mmであることが好ましい。
本発明に用いる上記基体としては、目的に応じて、その表面に酸処理(希釈したフッ酸、硫酸、塩酸等を用いた処理)、アルカリ処理(水酸化ナトリウム水溶液等を用いた処理)または放電処理(プラズマ照射、コロナ照射、電子線照射等)等が施されたものを用いてもよい。また、基体は、その表面に蒸着膜、スパッタ膜、湿式法等により形成された各種の膜が設けられたものでもよい。基体がソーダライムガラスである場合は、Naイオンの溶出を防止する膜を設けることが耐久性の点で好ましい。基体がフロート法で製造されたガラスである場合は、表面錫量の少ないトップ面に撥水膜を設けることが耐久性の点で好ましい。
本発明の撥水膜付き基体において、上記基体の少なくとも一部の表面に形成される撥水膜は1層以上で構成され、かつ最外層に上記本発明の撥水膜形成用組成物を用いて形成された撥水膜からなる層(撥水層)を有する。
本発明における上記撥水膜は、上記撥水層のみで構成されてもよく、撥水層の他に目的に応じて撥水層以外の層を有していてもよいが、何れの場合においても、本発明の撥水膜付き基体の撥水層は、撥水膜の最外層に形成されるものである。上記撥水膜が最外層に有する撥水層については、上記本発明の撥水膜形成用組成物を用いて、上述の方法で撥水膜の最外層として上記基体上に形成することが可能である。つまり、本発明の撥水膜付き基体において、上記撥水膜が撥水層のみで構成されている場合の撥水膜付き基体の製造方法としては、基体表面に上記本発明の撥水膜形成用組成物を塗布し硬化させることで撥水層を形成する工程を有する方法が挙げられる。
また、上記撥水膜が撥水層以外の層を有する場合の本発明の撥水膜付き基体の製造方法としては、基体表面に撥水層以外の全ての層を形成させた後、撥水層(最外層)の下層をなす層の表面に上記同様にして撥水膜形成用組成物を塗布し硬化させて撥水層を形成する工程を有する方法が挙げられる。すなわち、基体表面に予め形成された、撥水膜において最外層の下層となる層の表面に、撥水膜形成用組成物を塗布し硬化させて撥水層を形成する工程を有する方法である。
本発明の撥水膜付き基体における撥水層の厚さは、充分な撥水性(特に動的撥水性)と耐摩耗性、耐候性等の耐久性が両立できるような厚さであれば特に制限されない。このような撥水層の厚さとして、上記撥水膜が撥水層のみで構成されている場合には、1〜30nmが好ましく、1〜20nmがより好ましい。また、上記撥水膜が撥水層以外の層、例えば以下の中間層等を有する場合には、撥水層の厚さは1〜30nmが好ましく、1〜20nmがより好ましい。なお、撥水層の厚さは用いる撥水膜形成用組成物の濃度、塗布条件、加熱条件等によって適宜制御しうる。
本発明の撥水膜付き基体は、前記撥水膜が、上記撥水層以外の層として、前記基体と前記撥水層との間に、シリカを主体とする中間層をさらに有することが好ましい。この中間層を設けることにより、撥水膜と基体との密着性が増し、また撥水膜全体としての緻密性が高まって、耐摩耗性、耐候性等の耐久性を向上させることが可能となる。
上記撥水膜が有するシリカを主体とする中間層は、具体的には、下記一般式(4)で示される化合物、その部分加水分解縮合物、およびペルヒドロポリシラザンから選ばれる化合物(C)を含む中間層形成用組成物を用いて形成することができる。
Si(X …(4)
上記式(4)中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらのうちでも、Xは、塩素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のXが同一であることが好ましい。
このような上記一般式(4)で示される化合物として、具体的には、Si(NCO)、Si(OCH、Si(OC等が好ましく用いられる。また、これらの部分加水分解縮合物は、化合物(1)〜化合物(3)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。また、一般式(4)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。
ペルヒドロポリシラザンは、−SiH−NH−SiH−で表される構造を有する線状や環状のオリゴマーであり、1分子あたりのケイ素原子の数は2〜500が好ましい。ペルヒドロポリシラザンとしては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。
また、上記中間層形成用組成物には、化合物(C)の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記中間層形成用組成物は、上記化合物(C)および/またはその部分加水分解縮合物のみからなっていてもよいが、経済性、作業性、処理層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、通常は有機溶剤を含有する。
有機溶剤としては、撥水膜形成用組成物において記載した有機溶剤が好ましく使用できる。中間層形成用組成物に用いる有機溶剤の量も、上記撥水膜形成用組成物の場合と同様とすることができる。すなわち、中間層形成用組成物に用いる有機溶剤の量は、該組成物が含有する固形分100質量部に対して、100,000質量部以下となる量が好ましく、特に10,000質量部以下となる量が好ましい。100,000質量部を超える量を用いると、得られる撥水膜に処理ムラが発生する場合がある。
中間層形成用組成物に用いる有機溶剤の量は、さらに、該組成物が含有する固形分の合計質量100質量部に対して、3,500質量部以下であることが好ましく、2,000質量部以下であることがより好ましい。このように中間層形成用組成物において、含有する固形分に対する有機溶剤の量を少なくすることで、これを用いて形成される中間層の膜厚を容易に増大することができ、撥水膜の耐アルカリ性、耐塩水性等の向上に寄与することが可能となる。なお、中間層形成用組成物に用いる有機溶剤の量の下限については特に制限されないが、上記の通り、経済性、作業性、処理層の厚さ制御のしやすさ等を考慮すると、該組成物が含有する固形分の合計質量100質量部に対して、500質量部程度の量を下限とすることが好ましい。
また、中間層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて機能性添加剤を含んでもよい。機能性添加剤としては、上記撥水膜形成用組成物において記載したものが好ましく挙げられる。さらに、中間層形成用組成物は、上記撥水膜形成用組成物と同様、必要に応じて酸触媒、水等の成分を含んでいてもよい。また、中間層形成用組成物を用いて中間層を形成する方法についても、上記本発明の撥水膜形成用組成物において説明した撥水膜形成方法と同様の方法が好ましく挙げられる。
中間層形成用組成物から形成される中間層の厚さは特に限定されないが、あまり厚すぎると損傷が目立ちやすくなるため、50nm以下が好ましい。その下限は単分子層の厚さである。中間層の厚さは中間層形成用組成物の濃度、塗布条件、加熱条件等によって適宜制御しうる。なお、撥水膜全体の厚さは、本発明における撥水膜の機能の維持、すなわち、充分な撥水性(特に動的撥水性)と耐摩耗性、耐候性等の耐久性を兼ね備えることと経済性とを考慮すると1〜100nmが好ましく、1〜20nmがより好ましい。
また、本発明の撥水膜付き基体において、前記撥水膜が、前記基体と前記撥水層との間に、シリカを主体とする中間層をさらに有する場合の撥水膜付き基体の製造方法としては、上記中間層形成用組成物を基体表面に塗布し硬化させてシリカを主体とする中間層を形成する工程と、前記中間層の表面に上記本発明の撥水膜形成用組成物を塗布し硬化させて撥水層を形成する工程と、を有する製造方法が挙げられる。
なお、中間層形成用組成物を基体表面に塗布し一定時間保持して塗膜を形成させ、その表面に撥水膜形成用組成物を塗布し塗膜を形成させた後に、適当な条件で硬化処理を行うことで、中間層形成のための硬化処理と撥水層形成のための硬化処理を同時に行うことも可能である。
このようにして得られる本発明の撥水膜付き基体の撥水膜は、充分な撥水性(特に動的撥水性)と耐摩耗性、耐候性等の耐久性を兼ね備えるものである。
[輸送機器用物品]
本発明の撥水膜付き基体は、これを具備する輸送機器用物品としての用途に好適に用いられる。輸送機器用物品とは、電車、自動車、船舶、航空機等におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等が好ましく挙げられる。
本発明の撥水膜付き基体またはこの基体を具備する輸送機器用物品は、その撥水膜表面が優れた撥水性(特に動的撥水性)を有するため、表面への水滴の付着が少なく、付着した水滴がすみやかにはじかれる。加えて輸送機器の運行に伴う風圧との相互作用により、付着した水滴は表面を急速に移動し、水滴として溜ることはない。このため、水分が誘発する悪影響を排除できる。また、上記撥水膜は、耐摩耗性および耐候性にも優れるため、例えば、輸送機器用物品としての屋外での使用を含む各種使用条件下での長期使用においてもこの撥水性(特に動的撥水性)を維持することができる。
本発明の撥水膜付き基体またはこの基体を具備する輸送機器用物品は、特に、各種窓ガラス等の透視野部での用途において、水滴の飛散により視野の確保が非常に容易となり、車輌等の運行において安全性が向上できる。また、水滴が氷結するような環境下でも氷結しにくく、氷結したとしても解凍は著しく速い。さらに、水滴の付着がほとんどないため、清浄の作業回数を少なくでき、しかも清浄作業を容易に行うことができる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、例1〜例9、例12〜例20が実施例であり、例10、例11、例21、例22が比較例である。例23は参考例である。
撥水膜形成用組成物に配合する成分として以下の各化合物を使用した。
(含フッ素有機ケイ素化合物)
化合物(1)として化合物(1−11a):CCHCH12CHCHSiCl(以下の合成例1で製造。)
化合物(2)として化合物(2−11a):C13CHCHSiCl(シンクエスト社製)
化合物(3)として化合物(3−11a):CFO(CFCFO)j1CFCONHCSi(OCH(以下の合成例2で製造。ただし、化合物(3−11a)において、j1=7〜8、平均値:7.3を示す。)
化合物(C):Si(NCO)(SI−400、商品名、マツモトファインケミカル社製)
(溶媒)
AE3000:アサヒクリンAE3000(商品名、旭硝子社製、CFCHOCFCHF
AC2000:アサヒクリンAC2000(商品名、旭硝子社製、CFCFCFCFCFCHF
[合成例1:化合物(1−11a)の合成]
密閉式耐圧反応器(100mL、SUS製)に、化合物(1a−1)の30.0gおよび化合物(1b−1)の92.1gを投入して撹拌した。次いで、反応器を200℃の油浴に入れ、20時間撹拌した。得られた反応粗液から原料を単蒸留によって除去し、化合物(1c−1)を含む混合物の50.0gを得た。GC(ガスクロマトグラフィ)による純度は40%であり、収率は33%であった。
CF(CF−I …(1a−1)、
CH=CH−(CF−CH=CH …(1b−1)、
CF(CF−CHCHI−(CF−CH=CH …(1c−1)。
撹拌機、滴下ロートを備えた反応器(内容積100mL、ガラス製)に、化合物(1c−1)を含む混合物の50.0gを投入して撹拌し、油浴にて反応器の内温が80℃になるように加熱した。次いで、反応器の内温が80〜85℃になるようにして、水素化トリブチルスズの16.6gを滴下し、さらに2時間撹拌した。得られた反応粗液を単蒸留(沸点/5hPa〜100℃/5hPa)し、さらに留出物と、活性炭の0.5gおよびトリデカフルオロヘキシルエタン(旭硝子社製、AC−6000)の20mLとを混合し、固体をろ別した。次いで、ろ液の溶媒を留去することによって、10.2gの化合物(1d−1)(無色透明液体)を得た。収率は62%であった。
CF(CF−CHCH−(CF−CH=CH …(1d−1)。
化合物(1d−1)のH−NMR(300.4MHz、基準:TMS)および19F−NMR(282.7MHz、基準:CFCl)の測定結果を以下に示す。なお、各測定値は、測定値に続く()内に示す基に由来する測定値を意味するが、この基に[]で囲まれた部分がある場合は、測定値は[]で囲まれた部分に由来する測定値を意味するものである。以下、実施例で示すNMRの測定結果については、全て同様である。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):2.41(4H、m、−CFCH−)、5.81(1H、m、−CFCH=)、5.99(2H、m、=CH)。
19F−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):−81.5(3F、CF−)、−114.3(2F、−CFCH=)、−115.2〜−115.5(4F、−CHCF−)、−122.1〜−124.8(10F、−CF[CF]CF−、−126.5(2F、CF[CF]−)。
撹拌機、ジムロートを備えた反応器(内容積50mL)に、化合物(5−1)の10.0g、化合物(1e−1)の7.09g、白金触媒(白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体)の2質量%キシレン溶液の0.11gおよび1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの20gを投入し、撹拌した。次いで、反応器を60℃の油浴に入れ、12時間撹拌した。反応粗液を単蒸留(沸点〜110℃/5hPa)することによって10.9gの化合物(1−11a)(白色固体、融点:58℃(DSC))を得た。収率は88%であった。
HSiCl …(1e−1)、
CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiCl …(1−11a)。
化合物(1−11a)のH−NMRおよび19F−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.66(2H、m、−CHSi−)、2.2〜2.5(6H、m、−CFCH−)。
19F−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):−81.6(3F、CF−)、−115.3〜−116.1(6F、−CFCH−)、−122.3〜−124.9(10F、−CF[CF]CF−、−126.6(2F、CF[CF]−)。
[合成例2:化合物(3−11a)]
合成例で使用した化合物の略号は、次の通りの化合物を示す。
R−225:ジクロロペンタフルオロプロパン
F6:−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF
R−113:CClFCClF
フラスコ内に、CHO(CHCHO)j1CHCHOH(市販のポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、j1=7〜8、平均値:7.3)の25g、R−225の20g、NaFの1.2g、およびピリジンの1.6gを入れ、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌し、窒素をバブリングさせた。フラスコ内に、FC(O)−RF6の46.6gを、内温を5℃以下に保ちながら3.0時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて12時間撹拌し、室温にて24時間撹拌して、粗液を回収した。粗液を減圧濾過した後、回収液を真空乾燥機(50℃、5.0torr)で12時間乾燥し、粗液を得た。
粗液を100mLのR−225に溶解し、1000mLの飽和重曹水で3回水洗し、有機相を回収した。有機相に硫酸マグネシウムの1.0gを加え、12時間撹拌した後、加圧濾過して硫酸マグネシウムを除去し、回収液からエバポレータにてR−225を留去し、室温で液体である化合物(CHO(CHCHO)j1CHCHOC(O)−RF6(j1=7〜8、平均値:7.3))の56.1gを得た。
3000mLのハステロイ製オートクレーブ内に、R−113の1560gを入れて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−20℃に保持した冷却器を直列に設置した。また、−20℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。オートクレーブ内に窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで10%に希釈したフッ素ガス(以下、10%フッ素ガスと記す。)を、流速24.8L/時間で1時間吹き込んだ。
次に、オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、CHO(CHCHO)j1CHCHOC(O)−RF6の27.5gをR−113の1350gに溶解した溶液を30時間かけて注入した。次に、オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R−113の12mLを注入した。この際、内温を40℃に変更した。続けて、ベンゼンを1質量%溶解したR−113溶液の6mLを注入した。さらに、フッ素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。反応終了後、溶媒を真空乾燥(60℃、6.0時間)にて留去し、室温で液体の化合物(CFO(CFCFO)j1CFCFOC(O)−RF6(j1=7〜8、平均値:7.3))の45.4gを得た。
スターラーチップを投入した300mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ内に、エタノールの40g、NaFの5.6g、およびR−225(50g)を入れた。ナスフラスコ内に、CFO(CFCFO)j1CFCFOC(O)−RF6の43.5gを滴下した後、室温にてバブリングを行いながら、激しく撹拌した。ナスフラスコ出口は窒素シールした。8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、過剰のエタノールおよび交換によって生じるCHCHOC(O)−RF6を留去した。24時間後、室温で液体の化合物(CFO(CFCFO)j1CFC(O)OCHCH(j1=7〜8、平均値:7.3))の26.8gを得た。
100mLの丸底フラスコ内に、CFO(CFCFO)j1CFC(O)OCHCHの33.1g、NHCHCHCHSi(OCHの3.7gを入れ、室温で2時間撹拌した。反応終了後、未反応のNHCHCHCHSi(OCHおよび副生したエタノールを減圧留去し、室温で液体の化合物(3−11a)の32.3gを得た。
[例1]
上記合成例1で得られた化合物(1−11a)を40質量%、AE3000を60質量%の割合で含有する混合物を化合物(A)溶液とした。AE3000を6.49g、AC2000を1.87g、化合物(A)溶液を1.62g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.023g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物1を得た。
[例2]
AE3000を6.55g、AC2000を1.87g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を1.53g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.046g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物2を得た。
[例3]
AE3000を6.79g、AC2000を1.88g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を1.19g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.14g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物3を得た。
[例4]
AE3000を7.03g、AC2000を1.89g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を0.85g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.23g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物4を得た。
[例5]
AE3000を7.27g、AC2000を1.89g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を0.51g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.32g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物5を得た。
[例6]
AE3000を7.51g、AC2000を1.90g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を0.17g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.42g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物6を得た。
[例7]
AE3000を7.42g、AC2000を0.94g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を1.53g、化合物(B)として上記合成例2で得られた化合物(3−11a)を0.11g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物7を得た。
[例8]
AE3000を7.39g、AC2000を1.03g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を1.36g、化合物(B)として上記合成例2で得られた化合物(3−11a)を0.22g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物8を得た。
[例9]
AE3000を7.35g、AC2000を1.12g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を1.19g、化合物(B)として上記合成例2で得られた化合物(3−11a)を0.33g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物9を得た。
[例10]
AE3000を6.43g、AC2000を1.86g、上記例1と同様に調製した化合物(A)溶液を1.70g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物10を得た。
[例11]
AE3000を7.63g、AC2000を1.91g、化合物(B)として化合物(2−11a)を0.46g入れ、5分間撹拌して、撥水膜形成用組成物として液状組成物11を得た。
上記例1〜11で得られた撥水膜形成用組成物としての液状組成物1〜11における各化合物の含有量および合計含有量(質量%)、ならびに化合物(A)と化合物(B)の合計モル量に対する各化合物のモル百分率(モル%)を表1に示す。
Figure 2013129695
[中間層形成用液状組成物の調製]
酢酸ブチル(純正化学社製)の9.50gと、SI−400の0.5gを5分間撹拌して、中間層形成用の液状組成物を得た。
[例12〜21]
基体として、酸化セリウムで表面を研磨洗浄し、乾燥した清浄なソーダライムガラス基板(水接触角5°、300mm×300mm×厚さ3mm)を用い、該ガラス基板の表面に、上記中間層形成用液状組成物0.5gをスキージコート法によって塗布し1分間乾燥した。その後、上記例1〜9、11で得た液状組成物1〜9、11のいずれかの0.5gをスキージコート法によって塗布し、50℃、60%RHに設定された恒温恒湿槽で48時間保持して撥水層を形成し、中間層/撥水層からなる撥水膜を有する撥水膜付き基体1〜10を得た。
[例22]
上記例12〜21と同様にして、基体に中間層形成用液状組成物を塗布し乾燥した後、その上にC17CHCHSiCl(シンクエスト社製)を8質量%で含有する酢酸ブチル/ヘプタン=1/1溶液(撥水膜形成用の液状組成物12)0.5gをスキージコート法によって塗布し、上記例12〜21と同様に処理して撥水層を形成し、中間層/撥水層からなる撥水膜を有する撥水膜付き基体11を得た。なお、C17CHCHSiClは、従来から撥水膜形成用として用いられている含フッ素有機ケイ素化合物である。得られる撥水層は、動的撥水性を含む撥水性、耐摩耗性および耐候性に優れることが知られているが、分解生成物として炭素数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成するため、C17CHCHSiClは環境負荷が高い化合物である。
[評価]
上記の例12〜22で得られた撥水膜付き基体1〜11の評価を、以下のように行った。
<撥水性>
撥水性は以下の方法で測定した水接触角(CA)および水転落角(SA)の値で評価した。まず、以下の各試験を行う前に初期値を測定した。水接触角(CA)により静的撥水性が評価され、水転落角(SA)により動的撥水性が評価される。これらを併せて撥水性とし、いずれかが良好でない場合は、総合的に撥水性が良好でないと判断される。なお、初期の水接触角(CA)が105°以上かつ水転落角(SA)が15°以下であれば、実使用に充分耐える撥水性を有するといえる。
(水接触角(CA))
撥水膜付き基体の撥水膜表面に置いた、直径1mmの水滴の接触角をCA−X150(協和界面科学社製)を用いて測定した。撥水膜表面における異なる5ヶ所で測定を行い、その平均値を算出した。
(水転落角(SA))
水平に保持した撥水膜付き基体の撥水膜表面に50μLの水滴を滴下した後、基体を徐々に傾け、水滴が転落しはじめた時の撥水膜付き基体と水平面との角度(転落角)をSA−11(協和界面科学社製)を用いて測定した。撥水膜表面における異なる5ヶ所で測定を行い、その平均値を算出した。転落角が小さいほど動的撥水性に優れる。
<耐摩耗性>
撥水膜付き基体の撥水膜表面に対し、下記試験条件にて耐布摩耗試験を行った後、上記方法により水接触角および水転落角を測定した。
(耐布摩耗性試験)
(1)ネル布摩耗試験
JIS L0849に準拠して下記試験機を用いて下記試験条件で耐布摩耗性試験を行った。
試験機:往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)
試験条件:綿布(JIS L0803に準拠)、荷重1.2kg、摩耗回数3000往復
(2)カナキン布摩耗試験
JIS L0849に準拠して下記試験機を用いて下記試験条件で耐布摩耗性試験を行った。
試験機:往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)
試験条件:カナキン布、荷重1.0kg、摩耗回数2000往復
〔撥水性の耐摩耗性評価基準〕
上記ネル布摩耗試験およびカナキン布摩耗試験について、試験後における水接触角(CA)が80°以上かつ水転落角(SA)が22°以下であれば、実使用に充分な撥水性の耐摩耗性を有するといえる。
<耐候性>
(屋外暴露試験)
JIS Z2381に準拠して屋外暴露試験を行った。すなわち、撥水膜付き基体を、撥水膜表面が水平に対して30度の角度で南向きになるよう屋外に設置し、試験開始から150日後、上記方法により水接触角および水転落角を測定した。なお、例18〜20で得られた撥水膜付き基体については、試験開始から100日後の評価であった。
(SWOM試験)
JIS D0205に準拠してSWOM試験を行った。すなわち、撥水膜付き基体の撥水膜表面に対し、紫外線(255±10W/cm)を2500時間照射した後、上記方法により水接触角および水転落角を測定した。なお、例18〜20で得られた撥水膜付き基体については、試験開始から1200時間照射後の評価であった。
〔撥水性の耐候性評価基準〕
上記SWOM試験および屋外暴露試験について、試験後における水接触角(CA)が80°以上かつ水転落角(SA)が22°以下であれば、実使用に充分な撥水性の耐久性を有するといえる。
<耐薬品性>
(耐アルカリ性試験)
撥水膜付き基体を0.1規定NaOH水溶液(pH:13)に3時間浸漬した後、水洗、風乾し、上記方法により水接触角を測定した。
(塩水噴霧試験(SST))
JIS H8502に準拠して塩水噴霧試験を行った。すなわち、撥水膜付き基体の撥水膜表面を、塩水噴霧試験機(スガ試験機社製)内で300時間塩水雰囲気に暴露した後、上記方法により水接触角を測定した。
〔撥水性の耐薬品性評価基準〕
上記耐アルカリ性試験および塩水噴霧試験について、試験後における水接触角(CA)が80°以上であれば、実使用に充分な撥水性の耐薬品性を有するといえる。
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2013129695
表2の結果から、例12〜20で得られた実施例の撥水膜付き基体1〜9については、いずれも初期および耐摩耗性試験後、耐候性試験後においても撥水性に優れることがわかる。さらに、例12〜15、例18〜20で得られた実施例の撥水膜付き基体1〜4、7〜9については、用いた撥水膜形成用の液状組成物1〜4、7〜9における上記化合物(A)の含有割合が、化合物(A)と化合物(B)の合計モル量の40モル%以上であることから耐薬品性にも優れている。
一方、例21で得られた比較例の撥水膜付き基体10については、初期の撥水性、特に動的撥水性は充分であるが、耐摩耗性、耐候性、耐薬品性が充分でないことが分かる。
また、例22で得られた参考例の撥水膜付き基体11については、例12〜20と初期の撥水性、および耐摩耗性試験後、耐候性試験後における撥水性にも優れるが耐薬品性は充分でないことがわかる。
本発明の撥水膜形成用組成物を用いれば、従来の撥水膜形成用組成物と同等に優れた撥水性(特に動的撥水性)を基体に付与することが可能であり、さらにその耐摩耗性および耐候性も充分でありながら、環境に与える負荷は低いといえる。
本発明の撥水膜形成用組成物を用いて基体上に形成される撥水層は充分な撥水性(特に動的撥水性)、耐摩耗性および耐候性を有し、かつ環境負荷が少ない。本発明の撥水膜付き基体は該撥水層を撥水膜の最外層に有するものであって、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品としての用途に好適に用いられる

Claims (14)

  1. 下記化合物(A)と下記化合物(B)とを含む、および/または、下記化合物(A)と下記化合物(B)との部分加水分解共縮合物を含む、撥水膜形成用組成物。
    化合物(A):下記一般式(1)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
    F1−Y−SiR (3−n1) n1 …(1)
    (ただし、式(1)中、RF1は、炭素数pの直鎖状のペルフルオロアルキル基であり、
    は、炭素数qの、両末端が−CH−であり、1つ以上のペルフルオロアルキレン基を含み、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まない、ポリフルオロアルキレン基であり、
    pは、2〜6の整数であり、
    qは、4以上の整数であり、
    p+qは、10以上の整数であり、
    は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
    は、加水分解性基であり、
    n1は、1〜3の整数であって、
    およびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
    化合物(B):下記化合物(b1)、下記化合物(b2)およびそれらの部分加水分解共縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
    化合物(b1):下記一般式(2)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
    (RF2−Y−SiR (4−a−n2) n2 …(2)
    (ただし、式(2)中、RF2は、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
    は、ペルフルオロアルキレン基を含まない2価の有機基であり、
    aは、1または2であり、
    は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
    は、加水分解性基であり、
    n2は、1〜3の整数であり、a+n2は3または4であって、
    F2−YおよびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
    化合物(b2):下記一般式(3)で表される化合物およびその部分加水分解縮合物から選ばれる含フッ素有機ケイ素化合物。
    F3−O−(RF4−O)−RF5−Y−SiR (3−n3) n3 …(3)
    (ただし、式(3)中、RF3は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
    F4およびRF5は炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基であり、
    は、アルキレン基、または、RF5と結合する末端もしくは炭素−炭素原子間にアミド結合、ウレタン結合およびエーテル性酸素原子から選ばれる1種を有してもよいアルキレン基であり、
    mは、1〜50の整数であり、
    は、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、
    は、加水分解性基であり、
    n3は、1〜3の整数であって、
    およびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても、同一であってもよい。)
  2. 前記組成物における[化合物(A)]/[化合物(A)+化合物(B)]×100で表される化合物(A)と化合物(B)との合計モル量に対する化合物(A)の割合(ただし、組成物が部分加水分解共縮合物を含む場合は、加水分解共縮合反応物分については、加水分解共縮合反応前の化合物(A)と化合物(B)との合計モル量を用いて、計算される割合)が10〜95モル%である、請求項1に記載の撥水膜形成用組成物。
  3. 前記組成物における前記化合物(A)と化合物(B)との合計モル量に対する化合物(A)の割合が40〜95モル%である、請求項1または2に記載の撥水膜形成用組成物。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(1−1)で表わされる化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物。
    F1−CHCH−(CF−CHCH−SiR (3−n1) n1 …(1−1)
    (ただし、式(1−1)中、RF1は炭素数pの直鎖状のペルフルオロアルキル基であり、pは2〜6の整数であり、rは1以上の整数であり、p+r+4は10以上の整数であり、Rは水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、n1は1〜3の整数であって、RおよびXが複数個存在する場合は、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
  5. 前記一般式(2)で表わされる化合物が、下記式(2−1)〜(2−6)のいずれかで表わされる化合物から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物。
    F(CF−(CH−SiX …(2−1)
    F(CF−(CH−SiR …(2−2)
    F(CF−CONH(CH−SiX …(2−3)
    F(CF−CONH(CH−SiR …(2−4)
    F(CF−CONH(CHNH(CH5−h−SiX …(2−5)
    F(CF−CONH(CHNH(CH5−h−SiR …(2−6)
    (ただし、式(2−1)〜(2−6)中、eは1〜6の整数であり、fは1〜6の整数であり、gは1〜5の整数であり、hは1〜4の整数であり、Xは互いに異なっていても同一であってもよい加水分解性基である。)
  6. 前記一般式(3)で表わされる化合物が、下記式(3−1)〜(3−4)のいずれかで表わされる化合物から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物。
    F(CF−O−(CFCFO)(CF−CONH(CHk1SiX …(3−1)
    F(CF−O−(CFCFO)(CF−CHOCONH(CHk1SiX …(3−2)
    F(CF−O−(CFCFO)(CF−(CHk2O(CHk1SiX …(3−3)
    F(CF−O−(CFCFO)(CF−(CHk1SiX …(3−4)
    (ただし、式(3−1)〜(3−4)中、iは1〜6の整数であり、jは1〜20の整数であり、lは1〜3の整数であり、k1は1〜4の整数であり、k2は0〜3の整数であり、Xは互いに異なっていても同一であってもよい加水分解性基である。)
  7. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(1−11)で表わされる化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物。
    CF(CF−CHCH−(CF−CHCH−SiX …(1−11)
    (ただし、式(1−11)中、Xは、互いに異なっていても、同一であってもよい加水分解性基である。)
  8. 前記一般式(2)で表される化合物が、下記式(2−11)で表わされる化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物。
    F(CF(CHSiX …(2−11)
    (ただし、式(2−11)中、Xは、互いに異なっていても、同一であってもよい加水分解性基である。)
  9. 前記一般式(3)で表わされる化合物が、下記式(3−11)で表わされる化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物。
    CF−O−(CFCFO)j1−CF−CONHCSiX …(3−11)
    (ただし、式(3−11)中、j1は1〜9の整数であり、Xは互いに異なっていても同一であってもよい加水分解性基である。)
  10. 基体と、前記基体の表面の少なくとも一部に撥水膜とを有する撥水膜付き基体であって、前記撥水膜は1層以上で構成され、かつ最外層に請求項1〜9のいずれか1項に記載の撥水膜形成用組成物を用いて形成された撥水膜を有する撥水膜付き基体。
  11. 前記撥水膜付き基体が、前記基体と前記撥水膜との間に、シリカを主体とする中間層をさらに有することを特徴とする、請求項10に記載の撥水膜付き基体。
  12. 前記中間層が、下記一般式(4)で示される化合物、その部分加水分解縮合物、およびベルヒドロポリシラザンから選ばれる少なくとも1種である化合物(C)を含む中間層形成用組成物を用いて形成された層である、請求項11に記載の撥水膜付き基体。
    Si(X …(4)
    (ただし、式(4)中、Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を表す。)
  13. 前記基体がガラスである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の撥水膜付き基体。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項に記載の撥水膜付き基体を具備する輸送機器用物品。
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