以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る産業車両の概略構成を示すブロック図である。図1には、産業車両の一例として、フォークリフト10が示されている。フォークリフト10は、モータで走行する電動車として構成されている。モータの電源は、例えば、機台(車体)に搭載されたバッテリである。フォークリフト10は、特に限定されないが、例えば比較的大型の4輪車タイプである。フォークリフト10は、従来であれば内燃機関が搭載される機台に、内燃機関に代えてモータが搭載された形式であってもよい。
フォークリフト10は、例えば、前方に設けられた一対の前輪(車輪)と、後方に設けられた一対の後輪と、を備えている。ここでの前輪は、駆動輪10T(図2参照)であり、図示しない後輪は操舵輪である。
フォークリフト10は、荷役装置を備えている。荷役装置は、運転席から見て前方に設けられていてもよい。荷役装置は、マスト、リフトシリンダ10L、ティルトシリンダ、及びフォークを有している。
フォークリフト10は、運転席を備えていてもよい。運転席には、例えば、荷役操作のための荷役操作レバー11と、前後進操作のためのアクセルペダル12と、操舵操作のためのステアリング13と、が設けられている。荷役操作レバー11は、リフトレバー及びティルトレバーを含んでもよい。リフトレバーは、フォークを上下方向に移動させるリフト動作を操作するためのレバーである。ティルトレバーは、荷役装置を傾斜させるティルト動作を操作するためのレバーである。リフトレバー操作時には、リフトシリンダ10Lが伸縮駆動することによりマストが上下方向にスライド伸縮し、これに連動してフォークが昇降する。ティルトレバー操作時には、ティルトシリンダが伸縮駆動することによりマストの下部が前後方向に移動し、荷役装置の傾斜角が調整される。
フォークリフト10は、駆動系20を備えている。駆動系20は、モータにおいて発生した動力を車輪等に伝えるための装置である。駆動系20は、荷役駆動系30と、走行駆動系40と、を有している。
荷役駆動系30は、荷役装置を作動させるための駆動力を発生するパワートレインである。荷役駆動系30は、リフトシリンダ10L及びティルトシリンダへ作動油を供給することで、リフトシリンダ10L及びティルトシリンダをそれぞれ駆動する。荷役駆動系30は、荷役モータ(第1電動機)31と、リフトシリンダ10L及びティルトシリンダのそれぞれへ作動油を圧送する荷役用のオイルポンプ32と、を含む。荷役モータ31は、主としてオイルポンプ32を駆動するための駆動源である。
オイルポンプ32は、供給先及び供給量をコントロールするバルブ部を介して、リフトシリンダ10L及びティルトシリンダへ作動油を供給する。例えば、運転者がリフトレバーを操作した場合、バルブ部のうちのリフトシリンダ10Lに対応するバルブが操作量に応じた開度で開き、その他のバルブは閉じる。荷役モータ31は操作量に応じた回転数で回転し、作動油を圧送する。圧送された作動油は、開かれたバルブを介してリフトシリンダ10Lに供給される。
リフトシリンダ10Lには、油圧センサ(圧力取得部)14が設けられている。油圧センサ14は、リフトシリンダ10Lの圧力を検出する。リフトシリンダ10Lの圧力は、フォークリフトの負荷に相当し、フォークリフトに積まれる荷の重量に相当する。
走行駆動系40は、フォークリフト10を走行させるために駆動輪10Tを駆動する駆動力を発生するパワートレインである。走行駆動系40は、駆動輪10Tへ回転力を伝達することで、駆動輪10Tを駆動する。走行駆動系40は、走行モータ(第2電動機)41を含む。走行モータ41は、主として駆動輪10Tを駆動するための駆動源である。
運転者がアクセルペダル12を操作した場合、走行モータ41は、アクセルペダル12の操作量に応じた回転数で回転する。なお、走行駆動系40は、ステアリング13の操作に基づいて、後輪を操舵する操舵機構も備えている。
本実施形態では、詳しくは後述するように、荷役モータ31は駆動輪10Tを駆動することもでき、走行モータ41はオイルポンプ32を駆動することもできる。すなわち、フォークリフト10は、第1電動機としての荷役モータ31と、第2電動機としての走行モータ41と、を備える。第1電動機は、オイルポンプ32又は駆動輪10Tのいずれか一方を駆動する。第2電動機は、オイルポンプ32又は駆動輪10Tのいずれか一方を駆動する。
図2は、図1の産業車両の駆動系の一例を示す概略構成図である。図2に示されるように、駆動系20は、ギヤボックス21を有している。一例として、ギヤボックス21は、ケース22と、入力軸(第1軸)33と、入力軸(第2軸)42と、出力軸34と、出力軸43と、を有している。入力軸33、入力軸42、出力軸34、及び出力軸43のそれぞれは、例えばギヤボックス21のケース22に固定されたベアリング等により軸支されている。ギヤボックス21は、荷役モータ31及び走行モータ41の少なくとも一方から入力された出力(駆動トルク)を、2つの出力軸34及び出力軸43の少なくとも一方に伝達する。
荷役モータ31とオイルポンプ32との間には、荷役用出力経路35が形成されている。入力軸33は、例えば、荷役モータ31の出力軸と共に回転可能となるように荷役モータ31の出力軸に連結されている。出力軸34は、オイルポンプ32の入力軸と共に回転可能となるようにオイルポンプ32の入力軸に連結されている。図2の例では、出力軸34とオイルポンプ32とが直接的に連結されているが、出力軸34とオイルポンプ32との間に例えばジョイント等が設けられて出力軸34とオイルポンプ32とが間接的に連結されていてもよい。
入力軸33と出力軸34との間には、常時噛み合い式の荷役用歯車対36が設けられている。荷役用歯車対36には、ハブスリーブ37が設けられている。荷役用歯車対36は、所定の変速比となる径寸法を有し、互いに常時噛み合うように設けられた一対のギヤ36a,36bである。ギヤ36aは、入力軸33に対して相対回転可能に軸支され、入力軸33とは別個独立に回転可能である。ギヤ36bは、出力軸34に固定されており、出力軸34と共に回転する。
ハブスリーブ37は、例えば入力軸33にスプラインにより嵌合されており、入力軸33と共に回転する。ハブスリーブ37は、入力軸33に沿って荷役用歯車対36のギヤ36aに対して接近又は離間可能とされている。ハブスリーブ37のギヤ36a側には、ギヤ36aの側面に設けられた複数の凹凸と対応するように、複数の突起が形成されている。ハブスリーブ37は、ギヤ36aの側面と係合することができる。
入力軸33の回転及びトルクは、ハブスリーブ37がギヤ36aの側面と係合している状態において、ハブスリーブ37を介してギヤ36aに伝達される。ギヤ36aがギヤ36bを回転させることで、入力軸33の回転及びトルクは、出力軸34に伝達される。すなわち、荷役モータ31とオイルポンプ32との間には、入力軸33、ハブスリーブ37、荷役用歯車対36(ギヤ36a,36b)、及び、出力軸34を含む荷役用出力経路35が形成されている。
ハブスリーブ37は、ギヤ36aから離れるように移動してギヤ36aの側面と係合しなくなった場合、入力軸33の回転及びトルクをギヤ36aに伝達しない。入力軸33の回転は、ハブスリーブ37がギヤ36aの側面と係合していない場合、ハブスリーブ37のみに伝達される。つまり、入力軸33の回転及びトルクは、ギヤ36a、ギヤ36b、及び出力軸34には伝達されない。すなわち、ハブスリーブ37がギヤ36aの側面と係合しないことで、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達が遮断される。ここでのハブスリーブ37は、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断可能な荷役用出力遮断部38として機能する。
走行モータ41と駆動輪10Tとの間には、走行用出力経路44が形成されている。入力軸42は、例えば、走行モータ41の出力軸と共に回転可能となるように走行モータ41の出力軸に連結されている。出力軸43は、ギヤボックス21の出力軸である。出力軸43は、駆動輪10Tと共に回転可能となるように駆動輪10Tの駆動軸に連結されている。図2の例では、出力軸43と駆動輪10Tとが直接的に連結されているが、出力軸43と駆動輪10Tとの間に例えばジョイント等が設けられて出力軸43と駆動輪10Tとが間接的に連結されていてもよい。
入力軸42と出力軸43との間には、常時噛み合い式の走行用歯車対45が設けられている。走行用歯車対45には、ハブスリーブ46が設けられている。走行用歯車対45は、所定の変速比となる径寸法を有し、互いに常時噛み合うように設けられた一対のギヤ45a,45bである。ギヤ45bは、出力軸43に対して相対回転可能に軸支され、出力軸43とは別個独立に回転可能である。ギヤ45aは、入力軸42に固定されており、入力軸42と共に回転する。
ハブスリーブ46は、例えば出力軸43にスプラインにより嵌合されており、出力軸43と共に回転する。ハブスリーブ46は、出力軸43に沿って走行用歯車対45のギヤ45bに対して接近又は離間可能とされている。ハブスリーブ46のギヤ45b側には、ギヤ45bの側面に設けられた複数の凹凸と対応するように、複数の突起が形成されている。ハブスリーブ46は、ギヤ45bの側面と係合することができる。
入力軸42の回転及びトルクは、ギヤ45aがギヤ45bを回転させることでギヤ45bに伝達され、ハブスリーブ46がギヤ45bの側面と係合している状態においてハブスリーブ46を介して出力軸43に伝達される。すなわち、走行モータ41と駆動輪10Tとの間には、入力軸42、走行用歯車対45(ギヤ45a,45b)、ハブスリーブ46、及び、出力軸43を含む走行用出力経路44が形成されている。
ハブスリーブ46は、ギヤ45bから離れるように移動してギヤ45bの側面と係合しなくなった場合、ギヤ45aの回転及びトルクを出力軸43に伝達しない。ギヤ45aの回転は、ハブスリーブ46がギヤ45bの側面と係合していない場合、ギヤ45bのみに伝達される。つまり、入力軸42の回転及びトルクは、出力軸43には伝達されない。すなわち、ハブスリーブ46がギヤ45bの側面と係合しないことで、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達が遮断される。ここでのハブスリーブ46は、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断可能な走行用出力遮断部47として機能する。
入力軸42は、入力軸33に隣り合って配置されている。ここでの入力軸42は、入力軸33に隣接して平行に並ぶように配置されている。荷役モータ31及び走行モータ41は、互いに隣り合ってギヤボックス21に取り付けられている。ギヤボックス21には、荷役モータ31及び走行モータ41によりそれぞれ独立して駆動トルクが入力され得る。
入力軸33と入力軸42との間には、常時噛み合い式の連携用歯車対51が設けられている。連携用歯車対51には、ハブスリーブ52が設けられている。連携用歯車対51は、所定の変速比となる径寸法を有し、互いに常時噛み合うように設けられた一対のギヤ45a,53である。ギヤ53は、入力軸33に対して相対回転可能に軸支され、入力軸33とは別個独立に回転可能である。ギヤ45aは、上述のように、入力軸42に固定されており、入力軸42と共に回転する。
ギヤ45aの径寸法は、例えば、ギヤ53の径寸法よりも小さい。連携用歯車対51は、走行モータ41の回転数を減速して荷役用出力経路35に伝達する変速比を有する。これにより、荷役用の駆動源として適切な回転数及びトルクとなるように、走行のための仕様の走行モータ41を用いることができる。
ハブスリーブ52は、例えば入力軸33にスプラインにより嵌合されており、入力軸33と共に回転する。ハブスリーブ52は、入力軸33に沿って連携用歯車対51のギヤ53に対して接近又は離間可能とされている。ハブスリーブ52のギヤ53側には、ギヤ53の側面に設けられた複数の凹凸と対応するように、複数の突起が形成されている。ハブスリーブ52は、ギヤ53の側面と係合することができる。
入力軸42の回転及びトルクは、ギヤ45aがギヤ53を回転させることでギヤ53に伝達され、ハブスリーブ52がギヤ53の側面と係合している状態においてハブスリーブ52を介して入力軸33に伝達される。これとは反対に、入力軸33の回転及びトルクは、ハブスリーブ52がギヤ53の側面と係合している状態においてハブスリーブ52を介してギヤ53に伝達される。入力軸33の回転及びトルクは、ギヤ53がギヤ45aを回転させることでギヤ45aに伝達され、入力軸42に伝達される。すなわち、荷役用出力経路35と走行用出力経路44との間には、入力軸42、連携用歯車対51(ギヤ45a,53)、ハブスリーブ52、及び、入力軸33を含む連携出力経路54が形成されている。
ハブスリーブ52は、ギヤ53から離れるように移動してギヤ53の側面と係合しなくなった場合、入力軸42及び入力軸33の一方から他方へ、回転及びトルクは伝達されない。つまり、ハブスリーブ52がギヤ53の側面と係合しないことで、連携出力経路54を介した出力の伝達が遮断される。すなわち、ここでのハブスリーブ52は、連携出力経路54を介した出力の伝達を遮断可能な連携出力遮断部50として機能する。ここでの連携出力遮断部50は、連携用歯車対51に設けられたハブスリーブ52である。
図3~図5を参照して、このように構成された駆動系20の動作を説明する。図3は、図2の駆動系において連携出力経路を介した出力の伝達が遮断された状態を示す図である。図3の例では、ハブスリーブ37はギヤ36aの側面と係合しており、ハブスリーブ46はギヤ45bの側面と係合しており、ハブスリーブ52はギヤ53の側面と係合していない。したがって、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達は遮断されておらず、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達は遮断されておらず、連携出力経路54を介した出力の伝達は遮断されている。
この場合、荷役用出力経路35と走行用出力経路44とは、それぞれ独立して動作する。具体的には、荷役モータ31の出力は、入力軸33に嵌合されたハブスリーブ37を介してギヤ36aに伝達され、ギヤ36aがギヤ36bを回転させることで出力軸34に伝達され、オイルポンプ32に伝達される。走行モータ41の出力は、入力軸42に固定されたギヤ45aがギヤ45bを回転させることでギヤ45bに伝達され、ハブスリーブ46を介して出力軸43に伝達され、駆動輪10Tへと伝達される。荷役モータ31の出力は、連携出力経路54を介して走行用出力経路44に伝達されず、走行モータ41の出力は、連携出力経路54を介して荷役用出力経路35に伝達されない。
図4は、図2の駆動系において、荷役用出力遮断部によって第1電動機からオイルポンプへの出力の伝達が遮断され、連携出力経路を介した第1電動機から走行用出力経路への出力の伝達が遮断されていない状態を示す図である。図4の例では、ハブスリーブ37はギヤ36aの側面と係合しておらず、ハブスリーブ46はギヤ45bの側面と係合しており、ハブスリーブ52はギヤ53の側面と係合している。したがって、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達は遮断されており、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達は遮断されておらず、連携出力経路54を介した出力の伝達は遮断されていない。
この場合、荷役モータ31が走行モータ41を補助するように連携して動作する。具体的には、走行モータ41の出力は、図3の例と同様にして駆動輪10Tへと伝達される。ここで、更に、荷役モータ31の出力が連携出力経路54を介して走行用出力経路44に伝達される。荷役モータ31の出力は、入力軸33に嵌合されたハブスリーブ52を介してギヤ53に伝達され、ギヤ53がギヤ45aを回転させることで入力軸42に伝達され、走行用出力経路44に伝達される。これにより、連携出力経路54を介して、荷役モータ31の出力は走行用出力経路44に伝達される一方、走行モータ41の出力は荷役用出力経路35に伝達されない。
図5は、図2の駆動系において、走行用出力遮断部によって第2電動機から車輪への出力の伝達が遮断され、連携出力経路を介した第2電動機から荷役用出力経路への出力の伝達が遮断されていない状態を示す図である。図5の例では、ハブスリーブ37はギヤ36aの側面と係合しており、ハブスリーブ46はギヤ45bの側面と係合しておらず、ハブスリーブ52はギヤ53の側面と係合している。したがって、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達は遮断されており、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達は遮断されておらず、連携出力経路54を介した出力の伝達は遮断されていない。
この場合、走行モータ41が荷役モータ31を補助するように連携して動作する。具体的には、荷役モータ31の出力は、図3の例と同様にしてオイルポンプ32へと伝達される。ここで、更に、走行モータ41の出力が連携出力経路54を介して荷役用出力経路35に伝達される。走行モータ41の出力は、入力軸42に固定されたギヤ45aがギヤ53を回転させることでギヤ53に伝達され、ギヤ53に係合するハブスリーブ52を介して入力軸33に伝達され、荷役用出力経路35に伝達される。これにより、連携出力経路54を介して、走行モータ41の出力は荷役用出力経路35に伝達される一方、荷役モータ31の出力は走行用出力経路44に伝達されない。
図1に戻り、フォークリフト10は、駆動系20を制御する制御装置60を有している。制御装置60は、フォークリフト10の運転制御を行うための装置である。制御装置60は、荷役操作レバー11及びアクセルペダル12の操作に基づいて、駆動系20を制御する。
制御装置60は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。制御装置60では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。なお、制御装置60は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
制御装置60は、荷役操作レバー11、アクセルペダル12、及び、ステアリング13に電気的に接続されており、これらの運転指令を受信する。制御装置60は、油圧センサ14に電気的に接続されており、油圧センサ14から送信されたリフトシリンダ10Lの圧力の検出信号を受信する。制御装置60は、駆動系20と電気的に接続されており、駆動系20を制御するための制御信号を送信する。
次に、制御装置60の機能的構成について説明する。制御装置60は、荷役状態取得部(圧力取得部)61、走行状態取得部(トルク取得部)62、及び、出力制御部(遮断制御部)63を有している。
荷役状態取得部61は、荷役装置の状態(荷重)を取得する。荷役装置の状態は、リフトシリンダ10Lの圧力によって得られる。荷役状態取得部61は、例えば、油圧センサ14の検出結果に基づいて、リフトシリンダ10Lの圧力を取得する。
走行状態取得部62は、フォークリフト10の走行状態として駆動輪10Tの状態を取得する。駆動輪10Tの状態には、ホイールトルクと、ホイール回転数とが含まれる。走行状態取得部62は、例えば、アクセルペダル12の踏み込み量に基づいて、公知の換算式等を用いて、駆動輪10Tを駆動するホイールトルクを算出することができる。ホイールトルクは、駆動輪10Tの駆動力に相当するトルクの推定値である。ホイールトルクの値は、実際の駆動輪10Tの駆動トルクよりも先行して変化してもよく、駆動輪10Tの駆動力の目標値を意味してもよい。走行状態取得部62は、例えば、走行モータ41の回転数に基づいて、公知の換算式等を用いて、ホイール回転数を算出することができる。
出力制御部63は、取得した荷役装置の状態と駆動輪10Tの状態と荷役操作レバー11及びアクセルペダル12の操作量とに基づいて、荷役モータ31の出力(力行)及び走行モータ41の出力(力行)を含む駆動系20の状態を制御する。出力制御部63は、例えば、荷役モータ31に制御信号を送信することで、荷役操作レバー11の操作量に応じた回転数となるように荷役モータ31を制御する。出力制御部63は、例えば、走行モータ41に制御信号を送信することで、アクセルペダル12の踏み込み量に応じた回転数となるように走行モータ41を制御する。出力制御部63は、駆動系20に制御信号を送信することで、荷役用出力、走行用出力、及び、荷役モータ31と走行モータ41との連携有無を制御する。
[荷役モータが走行モータを補助する連携]
出力制御部63は、ホイールトルクに基づいて、荷役用出力遮断部38及び連携出力遮断部50を制御することができる。
図6は、ホイール回転数に対するホイールトルクの関係の一例を示す図である。図6の横軸はホイール回転数であり、フォークリフト10の車速に相当する。図6の縦軸はホイールトルクであり、駆動輪10Tの駆動力の目標値に相当し、本実施例では、アクセルペダル12の踏み込み量から算出したトルク目標値である。図6の実線L1Bは、走行モータ41の出力特性を示している。図6の破線L1Aは、荷役モータ31の出力軸43上の出力特性を示している。図6の実線L1Cは、走行モータ41の出力に荷役モータ31の出力を加えた場合の出力特性を示している。図6の各プロットは、フォークリフト10が所定の走行をする際の駆動輪10Tの状態の軌跡である。走行モータ41の出力特性は、フォークリフト10の設計上の想定される走行抵抗に抗して走行可能となるように、例えば図6の高車速側のプロットを含むような出力特性とされている。
図7は、図6における産業車両の所定の走行を説明するための図である。一例として、所定の走行は、空荷のフォークリフト10が停車又は徐行状態で荷役装置を用いて荷物を持ち上げて、荷物を持ち上げた状態で発進し、車速を増加していく運転パターンを想定する。
所定の走行のうち、空荷のフォークリフト10が停車又は徐行状態で荷役装置を用いて荷物を持ち上げようとしているとき、フォークリフト10では、荷役装置と駆動輪10Tとの両方を駆動することが要される。このような場面では、一点鎖線で囲まれる領域DR1に駆動輪10Tの状態の軌跡(プロット)が存在し易い。一点鎖線で囲まれる領域DR1は、ホイール回転数が所定値未満であり、且つ、ホイールトルクが所定値未満である領域に相当する。ホイールトルクの所定値は、例えば、走行モータ41の低車速側で取り得る上限トルク値である。低車速側とは、例えば、図6の座標系に合わせた荷役モータ31の最大車速(破線L1Aの右端の車速)よりも低い車速であってもよい。
出力制御部63は、ホイールトルクが所定のトルク閾値未満である場合に、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断しないように荷役用出力遮断部38を制御すると共に、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断するように連携出力遮断部50を制御してもよい。所定のトルク閾値は、荷役モータ31が走行モータ41を補助するように連携して動作するか否かを判定するためのホイールトルクの閾値である。トルク閾値は、例えば、図6の実線L1Bとして示される値に設定される。トルク閾値は、図7の破線Th1として示される値に設定されてもよい。このようなトルク閾値に設定することにより、一点鎖線で囲まれる領域DR1がトルク閾値以下の領域に含まれることとなる。
図7の一点鎖線DR2は、フォークリフト10が走行を開始して車速を増加していく運転パターンにおける駆動輪10Tの状態の軌跡の一例である。一点鎖線DR2のうち、ホイール回転数が0の点から立ち上がる部分である一点鎖線DR2aが、フォークリフト10が走行を開始するときに対応している。
荷役装置を用いて荷物を持ち上げたフォークリフト10が走行を開始するとき、フォークリフト10が走行するために要する駆動輪10Tの駆動力は、荷物の重量に応じて増加し易い。このような場面では、一点鎖線DR2aで示されるように、ホイールトルク(駆動力の目標値)がトルク閾値以上となる場合がある。そこで、出力制御部63は、ホイールトルクが所定のトルク閾値以上である場合に、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断するように荷役用出力遮断部38を制御すると共に、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を制御してもよい。すなわち、連携出力遮断部50は、荷役用出力遮断部38によって荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達が遮断されている場合に、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断しない。これにより、駆動系20は、図4に示されるように、荷役モータ31が走行モータ41を補助するように連携して動作する状態に設定される。荷役モータ31の出力が連携出力経路54を介して走行用出力経路44に伝達されるため、駆動輪10Tの駆動力は、走行モータ41の出力に荷役モータ31の出力を上乗せした分だけ実現可能となる。図6及び図7の例では、駆動輪10Tの駆動力は、実線L1Cを上限とする範囲で実現可能となる。
なお、図7の一点鎖線DR2のうち、頂点から高車速側の部分一点鎖線DR2bは、例えば、荷役装置を用いて荷物を持ち上げた状態のフォークリフト10の車速が高くなり加速度が走行開始時よりも緩やかとなる状況に対応している。そのため、図7の例では、走行に要するホイールトルクが漸減している。例えば駆動輪10Tの駆動力を走行モータ41の出力で賄えるようになった場合、走行モータ41と荷役モータ31との連携が解除される。駆動系20は、図3に示されるように、荷役用出力経路35と走行用出力経路44とがそれぞれ独立して動作する状態に設定される。
[走行モータが荷役モータを補助する連携]
出力制御部63は、リフトシリンダ10Lの圧力(以下、単に「圧力」と記すことがある)に基づいて、走行用出力遮断部47及び連携出力遮断部50を制御する。
図8は、オイルポンプの流量に対する吐出圧力の関係の一例を示す図である。図8の横軸はオイルポンプ32の吐出流量であり、オイルポンプ32の回転数に応じて増減する。図8の縦軸はオイルポンプ32の吐出圧力であり、荷役装置に供給される作動油の圧力の目標値に相当する。図8の実線L2Aは、荷役モータ31によるオイルポンプ32の出力特性を示している。図8の破線L2Bは、走行モータ41によるオイルポンプ32の出力特性を示している。図8の実線L2Cは、荷役モータ31の出力に走行モータ41の出力を加えた場合のオイルポンプ32の出力特性を示している。実線L2A、破線L2Bは、フォークリフト10に搭載される荷役モータ31、走行モータ41、オイルポンプ32の特性によって決定される。図8の各プロットは、フォークリフト10が所定の荷役作業をする際のオイルポンプ32の吐出圧力の軌跡である。一例として、所定の荷役作業は、フォークリフト10の作業パターンを想定している。各プロットは、オイルポンプ32の出力に対して、荷物あり又は空荷でのリフト動作及び又はティルト動作の動作点がどの位置にあるかを示している。領域LD1は、最大負荷でリフト動作を行った場合を示す。領域LD2は、空荷でリフト動作を行った場合を示す。領域LD3は、最大負荷および空荷でティルト動作のみを行った場合を示す。
図8においては、空荷状態の領域LD2から負荷を増加させていくと、最大負荷状態のLD1との間に、荷役モータ31のみでは出力が不足する境界が存在する。この境界が、荷役モータ31のみでオイルポンプ32を駆動した場合の上限圧力値であり、図8の実線L2Aに対応する。
そこで、出力制御部63は、実線L2Aとなるような荷重に相当するリフトシリンダ10Lの圧力を圧力閾値として設定する。出力制御部63は、リフトシリンダ10Lの圧力が所定の圧力閾値以上である場合に、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断するように走行用出力遮断部47を制御すると共に、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を制御してもよい。すなわち、連携出力遮断部50は、走行用出力遮断部47によって走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達が遮断されている場合に、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断しない。所定の圧力閾値は、走行モータ41が荷役モータ31を補助するように連携して動作するか否かを判定するための圧力の閾値である。このような圧力閾値に設定することにより、リフトシリンダ10Lを高負荷で駆動する際の吐出圧力の各プロット(例えば領域LD1)が、実線L2Cを上限とする範囲に含まれることとなる。なお、仮に走行中に走行モータ41による荷役モータ31の補助に切り替えると急激な減速を伴うことがあるため、走行モータ41による荷役モータ31の補助は、走行機能を必要としない場合に限定されることが望ましい。
これにより、駆動系20は、図5に示されるように、走行モータ41が荷役モータ31を補助するように連携して動作する状態に設定される。走行モータ41の出力が連携出力経路54を介して荷役用出力経路35に伝達されるため、オイルポンプ32の吐出圧力は、荷役モータ31の出力に走行モータ41の出力を上乗せした分だけ実現可能となる。図8の例では、オイルポンプ32の吐出圧力は、実線L2Cを上限とする範囲で実現可能となる。
圧力閾値以上のリフトシリンダ10Lの圧力が不要となった場合、走行モータ41と荷役モータ31との連携が解除される。駆動系20は、図3に示されるように、荷役用出力経路35と走行用出力経路44とがそれぞれ独立して動作する状態に設定される。
なお、図8の一点鎖線で囲まれる領域LD2は、例えば、空荷でリフトシリンダ10Lを駆動する際のオイルポンプ32の吐出圧力のプロットを含む。図8の一点鎖線で囲まれる領域LD3は、フォークを傾斜させるようにティルトシリンダのみを駆動する際のオイルポンプ32の吐出圧力のプロットを含む。出力制御部63は、リフトシリンダ10Lの圧力が所定の圧力閾値未満である場合に、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断しないように走行用出力遮断部47を制御すると共に、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断するように連携出力遮断部50を制御してもよい。これにより、駆動系20は、図3に示されるように、荷役用出力経路35と走行用出力経路44とがそれぞれ独立して動作する状態に設定される。
[制御装置60による演算処理の一例]
次に、制御装置60による演算処理の一例について説明する。図9及び図10は、図1の制御装置による演算処理の一例を示すフローチャートである。制御装置60は、例えば、荷役モータ31と走行モータ41との出力の連携に関して運転者が選択可能なモードとして、荷役優先モードと、走行優先モードと、を有していてもよい。荷役優先モードは、走行モータ41が荷役モータ31を補助する連携を利用可能なモードである。走行優先モードは、荷役モータ31が走行モータ41を補助する連携を利用可能なモードである。運転者は、例えば、運転席に設けられたスイッチ又はタッチパネル等を介して、荷役優先モード又は走行優先モードを選択可能であってもよい。
図9に示される処理は、例えば荷役優先モードが選択されている場合に実行される。図9に示されるように、制御装置60は、S01において、荷役状態取得部61により、リフトシリンダ10Lの圧力の取得を行う。制御装置60は、S02において、出力制御部63により、例えば図8の実線L2Aとして示される吐出圧力に相当するリフトシリンダ10Lの荷重をリフトシリンダ10Lの圧力閾値として決定する。
制御装置60は、S03において、出力制御部63により、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断しないように荷役用出力遮断部38を制御する。これにより、荷役モータ31の出力が荷役用出力経路35を介してオイルポンプ32に伝達される状態となる。
制御装置60は、S04において、出力制御部63により、リフトシリンダ10Lの圧力が圧力閾値以上であるか否かの判定を行う。制御装置60は、リフトシリンダ10Lの圧力が圧力閾値以上であると出力制御部63により判定された場合(S04:YES)、S05において、出力制御部63により、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断するように走行用出力遮断部47を制御する。制御装置60は、S06において、出力制御部63により、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を制御する。これにより、駆動系20は、図5に示されるように、走行モータ41が荷役モータ31を補助するように連携して動作する状態に設定される。その後、制御装置60は、図9の処理を終了し、所定演算周期後に図9の処理を繰り返す。
一方、制御装置60は、リフトシリンダ10Lの圧力が圧力閾値以上ではない(リフトシリンダ10Lの圧力が圧力閾値未満である)と出力制御部63により判定された場合(S04:NO)、S07において、出力制御部63により、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断しないように走行用出力遮断部47を制御する。制御装置60は、S08において、出力制御部63により、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断するように連携出力遮断部50を制御する。これにより、駆動系20は、図3に示されるように、荷役用出力経路35と走行用出力経路44とがそれぞれ独立して動作する状態に設定される。その後、制御装置60は、図9の処理を終了し、所定演算周期後に図9の処理を繰り返す。
図10に示される処理は、例えば走行優先モードが選択されている場合に実行される。図10に示されるように、制御装置60は、S11において、走行状態取得部62により、ホイールトルクの算出(取得)を行う。ホイールトルクの算出では、フォークリフト10の車速及び荷の重量が加味されてもよい。制御装置60は、S12において、出力制御部63により、例えば、走行モータ41およびギヤ要件(例えば変速比等)から決定される特性に基づき、図6の実線L1Bとして示されるように、トルク閾値の決定を行う。あるいは、制御装置60は、S12において、出力制御部63により、例えば図7の破線Th1として示されるように、トルク閾値の決定を行ってもよい。
制御装置60は、S13において、出力制御部63により、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断しないように走行用出力遮断部47を制御する。これにより、走行モータ41の出力が走行用出力経路44を介して駆動輪10Tに伝達される状態となる。
制御装置60は、S14において、出力制御部63により、ホイールトルクがトルク閾値以上であるか否かの判定を行う。制御装置60は、ホイールトルクがトルク閾値以上であると出力制御部63により判定された場合(S14:YES)、S15において、出力制御部63により、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断するように荷役用出力遮断部38を制御する。制御装置60は、S16において、出力制御部63により、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を制御する。これにより、駆動系20は、図4に示されるように、荷役モータ31が走行モータ41を補助するように連携して動作する状態に設定される。その後、制御装置60は、図10の処理を終了し、所定演算周期後に図10の処理を繰り返す。
一方、制御装置60は、ホイールトルクがトルク閾値以上ではない(ホイールトルクがトルク閾値未満である)と出力制御部63により判定された場合(S14:NO)、S17において、出力制御部63により、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断しないように荷役用出力遮断部38を制御する。制御装置60は、S18において、出力制御部63により、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断するように連携出力遮断部50を制御する。これにより、駆動系20は、図3に示されるように、荷役用出力経路35と走行用出力経路44とがそれぞれ独立して動作する状態に設定される。その後、制御装置60は、図10の処理を終了し、所定演算周期後に図10の処理を繰り返す。
[作用及び効果]
以上、本実施形態に係るフォークリフト10では、例えば荷役作業後の走行中などの状況において、オイルポンプ32は駆動力を必ずしも要しない。そこで、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達が荷役用出力遮断部38によって遮断されると共に、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達が連携出力遮断部50によって遮断されないようにすることで、荷役モータ31は、オイルポンプ32に代えて駆動輪10Tを駆動することが可能となる。その結果、駆動輪10Tが走行モータ41だけでなく荷役モータ31によっても駆動可能な状態となり、荷役モータ31を走行用として活用することができる。したがって、走行用及び荷役用のいずれか一方に荷役モータ31及び走行モータ41の用途を固定する場合と比べて、荷役モータ31及び走行モータ41を効率的に活用することが可能となる。
フォークリフト10は、駆動輪10Tを駆動するホイールトルクを取得する走行状態取得部62と、ホイールトルクに基づいて、荷役用出力遮断部38及び連携出力遮断部50を制御する出力制御部63と、を備える。出力制御部63は、ホイールトルクが所定のトルク閾値以上である場合に、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断するように荷役用出力遮断部38を制御すると共に、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を制御する。これにより、走行状態取得部62で取得したホイールトルクに基づいて、荷役モータ31がオイルポンプ32を駆動するか又はオイルポンプ32に代えて駆動輪10Tを駆動するかを、出力制御部63によって自動的に制御することができる。
フォークリフト10では、例えば停車中の荷役作業時などの状況において、駆動輪10Tは駆動力を必ずしも要しない。そこで、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達が走行用出力遮断部47によって遮断されると共に、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達が連携出力遮断部50によって遮断されないようにすることで、走行モータ41は、駆動輪10Tに代えてオイルポンプ32を駆動することが可能となる。その結果、オイルポンプ32が荷役モータ31だけでなく走行モータ41によっても駆動可能な状態となり、走行モータ41を荷役用として活用することができる。したがって、走行用及び荷役用のいずれか一方に荷役モータ31及び走行モータ41の用途を固定する場合と比べて、荷役モータ31及び走行モータ41を効率的に活用することが可能となる。
フォークリフト10は、荷役用のリフトシリンダ10Lの圧力を取得する油圧センサ14及び荷役状態取得部61と、リフトシリンダ10Lの圧力に基づいて、走行用出力遮断部47及び連携出力遮断部50を制御する出力制御部63と、を備える。出力制御部63は、リフトシリンダ10Lの圧力が所定の圧力閾値以上である場合に、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断するように走行用出力遮断部47を制御すると共に、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を制御する。これにより、油圧センサ14及び荷役状態取得部61で取得したリフトシリンダ10Lの圧力に基づいて、走行モータ41が駆動輪10Tを駆動するか又は駆動輪10Tに代えてオイルポンプ32を駆動するかを、出力制御部63によって走行用出力遮断部47及び連携出力遮断部50を自動的に制御することができる。
フォークリフト10では、荷役モータ31の出力軸に連結された入力軸33と、入力軸33に隣り合って配置され、走行モータ41の出力軸に連結された入力軸42と、を更に備え、連携出力経路54は、入力軸33と入力軸42との間に設けられた連携用歯車対51を有し、連携出力遮断部50は、連携用歯車対51に設けられたハブスリーブ52である。これにより、荷役モータ31及び走行モータ41の出力を効率的に活用することで生じる荷役モータ31及び走行モータ41の小型化と併せて、荷役モータ31と走行モータ41とが隣り合うため駆動系20の省スペース化が可能となる。その結果、フォークリフト10における荷役モータ31、走行モータ41、及び駆動系20のレイアウトの自由度を向上することができる。
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
上記実施形態では、走行用出力経路44は、1つの変速比に対応する走行用歯車対45(ギヤ45a,45b)を有していたが、この例に限定されない。走行用出力経路44は、複数の変速比に対応する複数の走行用歯車対を有していてもよい。
例えば、図11,図12に示されるように、走行用出力経路44Xは、2つの変速比に対応する走行用歯車対として、上述の走行用歯車対45(ギヤ45a,45b)に加えて、常時噛み合い式の走行用歯車対48(ギヤ48a,48b)を有していてもよい。図11の例では、走行用歯車対48が1速に対応し、走行用歯車対45が2速に対応する。走行用歯車対48には、ハブスリーブ49が設けられている。ギヤ48bは、出力軸43Xに対して相対回転可能に軸支され、出力軸43Xとは別個独立に回転可能である。ギヤ48aは、入力軸42Xに固定されており、入力軸42Xと共に回転する。
このように構成された駆動系20Xにおいても、図12に示されるように、入力軸42Xの回転及びトルクは、ギヤ48aがギヤ48bを回転させることでギヤ48bに伝達され、ハブスリーブ49がギヤ48bの側面と係合している状態においてハブスリーブ49を介して出力軸43Xに伝達される。すなわち、走行モータ41と駆動輪10Tとの間には、入力軸42X、走行用歯車対48(ギヤ48a,48b)、ハブスリーブ49、及び、出力軸43Xを含む走行用出力経路44Xが形成される。走行用出力遮断部47Xは、複数の前記走行用歯車対45,48のそれぞれに設けられたハブスリーブ46,49である。この構成によれば、2つの変速比に対応して、フォークリフト10が走行可能な車速範囲が拡大される。また、走行用歯車対45,48とハブスリーブ46,49との係合有無に応じて、走行用出力の遮断有無を切り替えることができる。なお、制御装置60の出力制御部63は、例えば、ホイール回転数が所定値(例えば図7のTh2)以上の場合に、2速に対応する走行用歯車対45を介して走行モータ41から駆動輪10Tへ出力を伝達してもよい。
上記実施形態及び変形例では、入力軸33と出力軸34との間に、荷役用歯車対36が設けられており、荷役用歯車対36には、ハブスリーブ37が設けられていたが、この例に限定されない。例えば、図13に示されるように、荷役用歯車対36(ギヤ36a,36b)及び出力軸34に代えて、入力軸33Yがクラッチ部37Yを介してオイルポンプ32を駆動する構成であってもよい。クラッチ部37Yは、例えば、入力軸33Yの回転及びトルクを断切可能な湿式多板クラッチであってもよい。この構成では、荷役モータ31とオイルポンプ32との間には、入力軸33Y及びクラッチ部37Yを含む荷役用出力経路35Yが形成されている。この場合、ハブスリーブ37に代えて、クラッチ部37Yが、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断可能な荷役用出力遮断部38Yとして機能する。
なお、荷役用歯車対36、走行用歯車対45、及び、連携用歯車対51は、常時噛み合い式に限定されない。
上記実施形態及び変形例では、ハブスリーブ46は、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断可能な走行用出力遮断部47として機能したが、この例に限定されない。例えば、ハブスリーブの側面と、ギヤ等の側面との間には、乗用車等で用いられるトランスミッションのシンクロナイザリングが介在していてもよい。或いは、ハブスリーブは、シンクロナイザリングが介在していないドグクラッチ式であってもよい。
また、例えば、図14に示されるように、ハブスリーブ46に代えて、走行用出力遮断部47Zとして機能するクラッチ部46Zを有していてもよい。クラッチ部46Zは、例えば、入力軸42Zの回転及びトルクを断切可能な湿式多板クラッチであってもよい。図14の例では、入力軸42Zの回転及びトルクは、ギヤ55aがギヤ55bを回転させることでギヤ55bに伝達され、ハブスリーブ52Zがギヤ55bの側面と係合している状態においてハブスリーブ52Zを介して入力軸33Zに伝達される。これとは反対に、入力軸33Zの回転及びトルクは、ハブスリーブ52Zがギヤ55bの側面と係合している状態においてハブスリーブ52Zを介してギヤ55bに伝達される。入力軸33Zの回転及びトルクは、ギヤ55bがギヤ55aを回転させることでギヤ55aに伝達され、入力軸42Zに伝達される。すなわち、荷役用出力経路35Zと走行用出力経路44Zとの間には、入力軸42Z、連携用歯車対55Z(ギヤ55a,55b)、ハブスリーブ52Z、及び、入力軸33Zを含む連携出力経路54Zが形成されている。なお、入力軸33Z側のハブスリーブ52Zがギヤ55bの側面と係合する構成に代えて、入力軸42Z側にギヤ55aの側面と係合するハブスリーブを設ける構成とすることもできる。なお、ギヤ55a,55bの間に、アイドラー軸に回転可能に軸支されるギヤが適宜設けられていてもよい。
上記実施形態では、走行状態取得部62で取得したホイールトルクに基づいて、荷役モータ31がオイルポンプ32を駆動するか又はオイルポンプ32に代えて駆動輪10Tを駆動するかを、出力制御部63によって自動的に制御したが、この例に限定されない。例えば、運転者の手動操作によってハブスリーブ37を移動させるワイヤを用いて、荷役モータ31からオイルポンプ32への出力の伝達を遮断するように荷役用出力遮断部38を手動操作してもよい。運転者の手動操作によってハブスリーブ52を移動させるワイヤを用いて、連携出力経路54を介した荷役モータ31から走行用出力経路44への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を手動操作してもよい。
上記実施形態では、油圧センサ14及び荷役状態取得部61で取得したリフトシリンダ10Lの圧力に基づいて、走行モータ41が駆動輪10Tを駆動するか又は駆動輪10Tに代えてオイルポンプ32を駆動するかを、出力制御部63によって走行用出力遮断部47及び連携出力遮断部50を自動的に制御したが、この例に限定されない。例えば、運転者の手動操作によってハブスリーブ46を移動させるワイヤを用いて、走行モータ41から駆動輪10Tへの出力の伝達を遮断するように走行用出力遮断部47を手動操作してもよい。運転者の手動操作によってハブスリーブ52を移動させるワイヤを用いて、連携出力経路54を介した走行モータ41から荷役用出力経路35への出力の伝達を遮断しないように連携出力遮断部50を手動操作してもよい。
なお、図9のフローチャートのS02の処理(圧力閾値の決定)、及び、図10のフローチャートのS12の処理(トルク閾値の決定)は、フォークリフト10の運転中に行わなくてもよい。圧力閾値の決定及びトルク閾値の決定は、フォークリフト10の設計段階で予め決定しておき、制御装置60に記憶させていてもよい。
上記実施形態では、フォークリフト10を産業車両として例示したが、これに限定されない。産業車両は、走行用及び荷役用といった複数用途の駆動源として、複数の電動機を備えるものであればよい。
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。