JP7487883B2 - Dcdc変換回路、ならびにその制御装置および制御方法 - Google Patents
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Description
《DCDC変換回路の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るDCDC変換回路である。
第1の実施形態に係るDCDC変換回路1は、入力側端子対と出力側端子対を備えるDAB(Dual Active Bridge)回路である。DCDC変換回路1は、制御装置20による制御により、ブリッジ回路を構成する各レグのスイッチングを制御する。
アーム素子Aは、ダイオードとスイッチとを並列に接続した素子である。スイッチがオフ(OFF、開)のときは、アーム素子Aは、ダイオードの向きにのみ電流を通す。一方、スイッチがオン(ON、閉)のときは、アーム素子Aは、何れの向きにも電流を通す。以下、アーム素子Aの一対の端子のうちダイオードのアノード側の端子をアノードとよび、ダイオードのカソード側の端子をカソードとよぶ。
アーム素子A11のカソードは、DCDC変換回路1の入力側の正極端子と、アーム素子A21のカソードとに接続される。
アーム素子A12のアノードは、DCDC変換回路1の入力側の負極端子と、アーム素子A22のアノードとに接続される。
アーム素子A12のカソードは、一次巻線W1の第1端子と、アーム素子A11のアノードとに接続される。
アーム素子A21のカソードは、DCDC変換回路1の入力側の正極端子と、アーム素子A11のカソードとに接続される。
アーム素子A22のアノードは、DCDC変換回路1の入力側の負極端子と、アーム素子A12のアノードとに接続される。
アーム素子A22のカソードは、一次巻線W1の第2端子と、アーム素子A21のアノードとに接続される。
アーム素子A31のカソードは、DCDC変換回路1の出力側の正極端子と、アーム素子A41のカソードとに接続される。
アーム素子A32のアノードは、DCDC変換回路1の出力側の負極端子と、アーム素子A42のアノードとに接続される。
アーム素子A32のカソードは、二次巻線W2の第1端子と、アーム素子A31のアノードとに接続される。
アーム素子A41のカソードは、DCDC変換回路1の出力側の正極端子と、アーム素子A31のカソードとに接続される。
アーム素子A42のアノードは、DCDC変換回路1の出力側の負極端子と、アーム素子A32のアノードとに接続される。
アーム素子A42のカソードは、二次巻線W2の第2端子と、アーム素子A41のアノードとに接続される。
第1の実施形態に係る制御装置20は、DCDC変換回路1がソフトスイッチングするように、DCDC変換回路1の各アーム素子Aのスイッチングを制御する。制御装置20は、例えばマイクロコンピュータによって実現される。制御装置20は、一次ブリッジ回路11の端子間電圧を計測する第1電圧計21と、二次ブリッジ回路13の端子間電圧を計測する第2電圧計22とを備える。
制御装置20は、取得部201、モード決定部202、第1演算部203、第2演算部204、タイマー205、スイッチング制御部206を備える。
図3は、各アームAのスイッチングタイミングと、ブリッジ回路の瞬時電圧およびトランス回路の瞬時電流の変化を示すタイムチャートである。以下、図3を参照しながら各タイミングにおけるDCDC変換回路1の状態を説明する。
第1の実施形態に係る制御装置20は、一次巻線W1のゼロクロスタイミングに基づいて各レグLのスイッチングタイミングを制御する。以下、図3に示すように、第1レグL1のスイッチングタイミングから一次巻線W1のゼロクロスタイミングまでの時間を位相シフト量T1とよぶ。また、第2レグL2のスイッチングタイミングから一次巻線W1のゼロクロスタイミングまでの時間を位相シフト量T2とよぶ。一次巻線W1のゼロクロスタイミングから第3レグL3のスイッチングタイミングまでの時間を位相シフト量T3とよぶ。一次巻線W1のゼロクロスタイミングから第4レグL4のスイッチングタイミングまでの時間を位相シフト量T4とよぶ。なお、制御装置20は、予め定められたスイッチング周期Tswの二分の一が経過するたびに、各レグLのON/OFFをスイッチングする。そのため、一次巻線W1を流れる電流のゼロクロスタイミング間の時間もスイッチング周期Tswの二分の一となる。
このとき、DCDC変換回路1の一次側は、アームA11、一次巻線W1、およびアームA22を通る回路を構成する。また、DCDC変換回路1の二次側は、アームA41、二次巻線W2およびアームA32を通る回路を構成する。これにより、一次巻線W1の第1端子から第2端子へ向かって電流が流れ、一次巻線W1の瞬時電圧はE1となる。DCDC変換回路1の二次側は、アーム素子A32、二次巻線W2、およびアーム素子A41を通る回路を構成する。そのため、二次巻線W2には、DCDC出力端子に接続されている外部蓄電装置の電圧E2が印加されることで、二次巻線W2の瞬時電圧は-E2となる。
第3レグL3のスイッチングにより、DCDC変換回路1の二次側は短絡状態となり、二次巻線W2の瞬時電圧はゼロとなる。
時刻t0から時刻t1までの期間に一次側に換算した漏れインダクタンスに印加される電圧はE1+E2´であるため、時刻t1において一次巻線W1に流れる電流I1は、以下の式(1)で示される。なお、E2´は、二次巻線W2の瞬時電圧をトランス巻数比で一次側換算した値を表す。なお、式(1)においてLはインダクタンスを示す。
第4レグL4のスイッチングにより、DCDC変換回路1の二次側は、アームA31、二次巻線W2およびアームA42を通る回路を構成する。これにより、二次ブリッジ回路13の出力電圧はE2となる。
時刻t1から時刻t2までの期間に一次側に換算した漏れインダクタンスに印加される電圧はE1であるため、時刻t2において一次巻線W1に流れる電流I2は、以下の式(2)で示される。
第1レグL1のスイッチングにより、DCDC変換回路1の一次側は短絡状態となり、一次巻線W1の瞬時電圧はゼロとなる。
時刻t2から時刻t3までの期間に一次側に換算した漏れインダクタンスに印加される電圧はE1-E2´であるため、時刻t3において一次巻線W1に流れる電流I3は、以下の式(3)で示される。
第2レグL2のスイッチングにより、DCDC変換回路1の一次側は、アームA21、二次巻線W2およびアームA12を通る回路を構成する。これにより、一次ブリッジ回路11の入力電圧は-E1となる。
時刻t3から時刻t4までの期間に一次側に換算した漏れインダクタンスに印加される電圧は-E2´であるため、時刻t3において一次巻線W1に流れる電流I4は、以下の式(4)で示される。
時刻t4から時刻t5までの期間に一次側に換算した漏れインダクタンスに印加される電圧は-(E1+E2´)であるため、時刻t5において一次巻線W1に流れる電流I5は、以下の式(5)で示される。
時刻t0から時刻t1までの期間に電源から取り込まれる電荷Q1は、式(8)で示される。時刻t1から時刻t2までの期間に電源から取り込まれる電荷Q2は、式(9)で示される。時刻t2から時刻t3までの期間に電源から取り込まれる電荷Q3は、式(10)で示される。時刻t3から時刻t4までの期間に電源から取り込まれる電荷Q4は、式(11)で示される。時刻t4から時刻t5までの期間に電源から取り込まれる電荷Q5は、式(12)で示される。
上記の関係式を踏まえ、制御装置20の第1演算部203による第1モードに係るDCDC変換回路1によるスイッチングタイミングについて説明する。
第1モードでは、一次側からトランス回路12に印加する電圧のデューティ比を正負それぞれ50%に維持しつつ、二次側のデューティ比によって、ゼロ電圧スイッチングが可能となるように一次巻線W1を通る電流のゼロクロスタイミングを調整する。すなわち、第1モードにおいて第1レグL1の位相シフト量T1と第2レグL2の位相シフト量T2とは等しい。第1モードにおいて、第1レグL1の位相シフト量T1および第2レグL2の位相シフト量T2は、以下の式(16)によって決定される。
式(22)から、第1モードにおけるゼロ電圧スイッチングが可能な動作範囲における入力電流の最大値I1(max)および最小値I1(min)は、それぞれ式(23)および式(24)によって表される。
次に、制御装置20の第2演算部204による第2モードに係るDCDC変換回路1によるスイッチングタイミングについて説明する。
第2モードでは、小電流の領域においてゼロ電流スイッチングを実現するために、一次巻線W1を流れる電流の循環期間が長くなるよう一次側および二次側のデューティ比を制御する。第2モードにおいて、第1レグL1の位相シフト量T1、第2レグL2の位相シフト量T2、第3レグL3の位相シフト量T3および第4レグL4の位相シフト量T4は、それぞれ以下の式(25)から式(28)によって決定される。
なお、式(25)から式(28)におけるTδ2は、式(29)に示すものである。
式(33)から、第2モードにおけるゼロ電圧スイッチングが可能な動作範囲の入力電流の最大値I2(max)は、式(34)によって表される。
図6は、第1の実施形態に係る制御装置20の動作を示すフローチャートである。
制御装置20がDCDC変換回路1の制御を開始すると、制御装置20は、予め定められたスイッチング周期Tswごとに、図6に示す処理を開始する。制御装置20は、例えばスイッチング周期Tswで駆動するクロック信号に基づいて、処理タイミングを特定する。なお、処理タイミングごとに図6に示す処理が実行されることで、処理タイミングとゼロクロスタイミングとが一致することとなる。
他方、一次側の入力電流値が閾値I2(max)未満である場合(ステップS3:NO)、第2演算部204は、取得部201が取得した第1電圧計21および第2電圧計22の計測信号に基づいて、上述の式(25)から式(28)により、第2モードに係る各レグの位相シフト量T1-T4を算出する(ステップS5)。
なお、スイッチング周期Tswおよび出力電流の設定値は、予め制御装置20に設定されているものとする。
次に、スイッチング制御部206は、タイマー205が計測する経過時間がステップS4またはS5で算出した位相シフト量T4になったときに、第4レグL4をスイッチングする(ステップS7)。
次に、スイッチング制御部206は、タイマー205が計測する経過時間が、スイッチング周期Tswの二分の一とステップS4またはS5で算出した位相シフト量T2の差の時間になったときに、第2レグL2をスイッチングする(ステップS9)。
このように、第1の実施形態に係る制御装置20は、一次巻線W1に流れる電流のゼロクロスタイミングを基準として、第1レグL1、第2レグL2、第3レグL3および第4レグL4の位相シフト量T1-T4をそれぞれ決定し、スイッチング周期Tswと、決定した位相シフト量とに基づいて、各レグをスイッチングする。このように、ゼロクロスタイミングを基準として4つの位相シフト量を変数とすることで、波形の周期性と出力電流の調整を満足させたうえで、2つの自由度を残すことができる。これにより、制御装置20は、残った2つの自由度を用いることでゼロ電圧スイッチングを実現可能なスイッチングタイミングを容易に特定することができる。
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の制御装置20は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。プロセッサ91の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
Claims (6)
- 2つのアーム素子が直列接続された第1レグと、2つのアーム素子が直列接続された第2レグとを有する第1ブリッジ回路と、
2つのアーム素子が直列接続された第3レグと、2つのアーム素子が直列接続された第4レグとを有する第2ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路に接続された第1巻線と、
前記第1巻線と磁気結合し、前記第2ブリッジ回路に接続された第2巻線と、
を備えるDCDC変換回路の制御装置であって、
第1ブリッジ回路の端子間電圧および前記第2ブリッジ回路の端子間電圧の電圧値を計測する電圧計測部と、
計測された前記電圧値に基づいて、前記第1巻線に流れる電流のゼロクロスタイミングを基準とする前記第1レグ、前記第2レグ、前記第3レグ、および前記第4レグの位相シフト量を決定する決定部と、
前記決定した位相シフト量に基づいて、前記第1レグ、前記第2レグ、前記第3レグ、および前記第4レグをスイッチングするスイッチング制御部と
を備えるDCDC変換回路の制御装置。 - 前記決定部は、
前記第1レグと前記第2レグとが同時にスイッチングするように前記位相シフト量を決定し、
請求項1に記載のDCDC変換回路の制御装置。 - 前記決定部は、
前記第2レグと前記第4レグとが同時にスイッチングするように前記位相シフト量を決定する
請求項1または請求項2に記載のDCDC変換回路の制御装置。 - 前記決定部は、
前記第1ブリッジ回路への入力電流の電流値が閾値以上である場合に、前記第1レグと前記第2レグとが同時にスイッチングするように前記位相シフト量を決定し、
前記電流値が前記閾値未満である場合に、前記第2レグと前記第4レグとが同時にスイッチングするように前記位相シフト量を決定する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のDCDC変換回路の制御装置。 - 2つのアーム素子が直列接続された第1レグと、2つのアーム素子が直列接続された第2レグとを有する第1ブリッジ回路と、
2つのアーム素子が直列接続された第3レグと、2つのアーム素子が直列接続された第4レグとを有する第2ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路に接続された第1巻線と、
前記第1巻線と磁気結合し、前記第2ブリッジ回路に接続された第2巻線と、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のDCDC変換回路の制御装置と、
を備えるDCDC変換回路。 - 2つのアーム素子が直列接続された第1レグと、2つのアーム素子が直列接続された第2レグとを有する第1ブリッジ回路と、
2つのアーム素子が直列接続された第3レグと、2つのアーム素子が直列接続された第4レグとを有する第2ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路に接続された第1巻線と、
前記第1巻線と磁気結合し、前記第2ブリッジ回路に接続された第2巻線と、
を備えるDCDC変換回路の制御方法であって、
第1ブリッジ回路の端子間電圧および前記第2ブリッジ回路の端子間電圧の電圧値を取得するステップと、
計測された前記電圧値に基づいて、前記第1巻線に流れる電流のゼロクロスタイミングを基準とする前記第1レグ、前記第2レグ、前記第3レグ、および前記第4レグの位相シフト量を決定するステップと、
前記決定した位相シフト量に基づいて、前記第1レグ、前記第2レグ、前記第3レグ、および前記第4レグをスイッチングするステップと
を備えるDCDC変換回路の制御方法。
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