以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す機能ブロック図である。冷凍サイクル装置100としては、たとえばPAC(Package Air Conditioner)を挙げることができる。図1に示されるように、冷凍サイクル装置100は、室外機110と、室内機120とを備える。室外機110は、圧縮機1と、四方弁2と、膨張弁LEV1と、熱交換器6と、室外ファン11と、アキュムレータACCと、流量調整弁LEV2と、制御装置10と、温度センサ13T,14,15と、圧力センサ13Pとを含む。室内機120は、熱交換器3と、室内ファン12と、温度センサ16,17とを含む。
なお、アキュムレータの液相部、気相部に相当する箇所にそれぞれ温度検知センサを設け冷媒の組成比率を検知可能とすることで圧力センサ13Pでなく温度センサ14および17の温度検知結果より得られる圧力より推定してもよい。
冷凍サイクル装置100には、R32、CF3I(以下、CF3Iと記載する)、およびHFO1123が混合されることによってGWPが低減された非共沸混合冷媒が使用される。HFO1123は、GWPが小さい(GWP=4)高圧冷媒であり、R32に対しガス密度が大きい特性をもつので積極的に使用したい。
本明細書中において、冷凍サイクル装置100に封入された状態の非共沸混合冷媒の、R32、CF3I、HFO1123の重量比率を、それぞれ、W(R32)、W(CF3I)、W(HFO1123)で表す。なお、重量比率は質量比率という場合もある。このとき、W(R32)は、43wt%以下であり、W(HFO1123)は、14wt%以上かつ70wt%未満であり、W(CF3I)は、2wt%より多く、W(R32)以下である。冷凍サイクル装置100の出荷台数の増加に伴い、非共沸混合冷媒の使用量が増加した場合でも、冷媒に関する規制(たとえばモントリオール議定書、あるいはF-gas規制)が満たされるように、R32の重量比率を30wt%以下として、GWPをより低減することが望ましい。
R32、CF3I、およびHFO1123の沸点は、それぞれ-52℃、-22.5℃、および-56℃である。HFO1123は、非共沸混合冷媒の動作圧力を上昇させる。HFO1123を非共沸混合冷媒に含ませることにより、所望の動作圧力を確保するために必要な圧縮機1の容積(ストロークボリューム)を小さくすることができるため、圧縮機1を小型化することができる。なお、GWPの低減が妨げられない範囲で、非共沸混合冷媒は、R32、CF3I、およびHFO1123以外の冷媒(たとえば、R1234yf、R1234ze(E)、R290、あるいはCO2)を含んでもよい。
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ32(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)等を含んで構成される。CPU31は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置10の処理手順が記されたプログラムである。制御装置10は、これらのプログラムに従って、冷凍サイクル装置100の各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
制御装置10は、圧縮機1の運転周波数を制御することにより、温度センサ17によって取得する室内機120内の温度が所望の温度(たとえばユーザによって設定された温度)となるように、圧縮機1が単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置10は、非共沸混合冷媒の過熱度または過冷却度が所望の範囲の値となるように膨張弁LEV1の開度を制御する。制御装置10は、室外ファン11および室内ファン12の単位時間当たりの送風量を制御する。制御装置10は、圧縮機1から吐出される非共沸混合冷媒の吐出温度Tdを温度センサ13Tから取得する。
制御装置10は、四方弁2を制御して、非共沸混合冷媒の循環方向を切り替える。制御装置10は、四方弁2を制御して、冷房運転において圧縮機1の吐出口と熱交換器6とを連通させるとともに、熱交換器3と圧縮機1の吸入口とを連通させる。冷房運転において非共沸混合冷媒は、図中実線矢印に示すように、圧縮機1、四方弁2、熱交換器6、膨張弁LEV1、熱交換器3、四方弁2、およびアキュムレータACCの順に循環する。また、制御装置10は、四方弁2を制御して、暖房運転において圧縮機1の吐出口と熱交換器3とを連通させるとともに、熱交換器6と圧縮機1の吸入口とを連通させる。暖房運転において非共沸混合冷媒は、図中破線矢印に示すように、圧縮機1、四方弁2、熱交換器3、膨張弁LEV1、熱交換器6、四方弁2、およびアキュムレータACCの順に循環する。
アキュムレータACCに流入した非共沸混合冷媒の一部は、液体の非共沸混合冷媒と気体の非共沸混合冷媒とに分離し、アキュムレータACCに貯留される。
本実施の形態では、制御装置10は、非共沸混合冷媒に不均化反応が発生することを抑制するように、流量調整弁LEV2を制御する。流量調整弁LEV2としては、流量を調整可能であれば特に限定されないが、電子膨張弁を使用することができる。HFO1123冷媒は、不均化反応(自己分解反応)を生じる特性を持つ。不均化反応は、冷媒の温度および圧力が高い場合に発生する。しかし、その境界温度および境界圧力は、冷媒中のHFO1123の重量比率によって変化する。
図2は、HFO1123を含む非共沸混合冷媒の不均化反応が発生する境界を説明するための図である。図2には、非共沸混合冷媒中のHFO1123の重量%が70wt%である場合に不均化反応が発生する境界が示されている。
不均化反応は、高圧、高温、外部的なエネルギーありの3条件が重なると発生するため、冷凍サイクル装置ではその場所は圧縮機1となる。したがって、圧縮機1の吐出温度Tdを下げれば、不均化反応を抑制することができる。
しかし、国際公開第2018/139315号に開示された技術では、予め設定された冷媒温度以上となる際に運転可能な領域(不均化反応が発生しない条件)であっても吐出温度をしきい値Td1よりも下げるように制御される。このため図2に示されるように、運転範囲が狭くなる。すなわち、低圧領域においては、不均化反応が発生しないにもかかわらず、吐出温度を下げるように冷凍サイクル装置が制御される。
その結果、圧縮機の周波数を低下、もしくは電子膨張弁の開度を増加する必要があり、冷凍サイクル装置の能力が低下もしくは性能(COP:Coefficient Of Performance)が低下しまう。
本実施の形態では、冷媒温度によって不均化反応が発生する領域の境界となる圧力が変化することを利用して、図2に示した運転可能範囲よりも冷凍サイクル装置の運転領域を広げるように運転が行なわれる。
図3は、本実施の形態における不均化反応が発生する領域と圧力のしきい値について説明するための図である。
図3に示すように、不均化反応発生領域の境界は、圧力と温度によって定まる。たとえば、非共沸混合冷媒のうちのHFO1123の重量比率が70wt%である場合の境界線BD1は、圧力が増加すると温度が低下し、温度が増加すると圧力が低下するような関係にある。
本実施の形態では、圧縮機の吹き出し温度Tdに対応して、圧力しきい値Pthを決定する。たとえば、HFO1123の重量比率が70wt%である場合は、境界線BD1に従って、圧力しきい値Pth1が決定される。
このように、吹出し温度Tdに対応して圧力しきい値Pthを決定するので、図2に示した従来運転できなかった領域も運転可能領域に変えることができる。
また、非共沸混合冷媒のうちのHFO1123の重量比率が変化すると不均化反応が生じる圧力、温度の臨界点が変化する。非共沸混合冷媒のうちのHFO1123の重量比率が減少すると、境界線BD3(重量比率が65wt%)に示すように運転可能領域が広がるように境界線が図3において右上に向けて移動する。
逆に、非共沸混合冷媒のうちのHFO1123の重量比率が増加すると、境界線BD1(重量比率が75wt%)に示すように運転可能領域が狭くなるように境界線が図3において左下に向けて移動する。
すなわち、非共沸混合冷媒のうちのHFO1123の重量比率を下げると、運転可能領域を広げることができる。HFO1123の重量比率を下げるには、他の冷媒の重量比率を増加させる必要がある。たとえば、HFO1123の重量比率を下げるかわりにR32の重量比率を上げることにより、不均化反応を抑制し、運転可能領域を広げることができる。
このとき、同程度の比率であればCF3IとR32を合わせて混合したほうがR32単体で混合するよりも不均化反応の抑制効果が高いことがわかった。つまり、CF3Iは、HFO1123冷媒の不均化反応を抑制する効果がある。たとえば、HFO1123質量比60%に対しCF3I質量比が2wt%よりも多いと、不均化反応が抑制され、CF3I質量比が5%程度で十分な抑制効果がある。
したがって、不均化反応が発生しやすい圧縮機1において非共沸混合冷媒中のHFO1123の重量比率を下げ、かつCF3I質量比を増加させることによって、さらに運転可能領域を広げて、冷凍サイクル装置の性能低下を防止することができる。
図4は、本実施の形態で使用される非共沸混合冷媒が、温度が変化したときにどのように分布位置が変化するかを説明するための図である。
CF3Iは、HFO1123よりも液密度が2.2倍ほど大きい。またCF3Iは、HFO1123よりも高沸点冷媒である。各温度状態において、冷媒の密度関係から推定される冷媒の関係は、図4に示される。図4(a)に示されるように、温度が10℃で液冷媒状態では、CF3Iは下部に溜まり、その上にR32およびHFO1123の混合液が位置し、最上部に冷凍機油が位置する。図4(b)に示されるように、温度が65℃で液冷媒状態では、CF3Iは下部に溜まり、その上に冷凍機油が位置し、最上部にR32およびHFO1123の混合液が位置する。図4(c)に示されるように、ガス冷媒状態では、冷凍機油は下部に溜まり、その上にHFO1123が位置し、さらにその上にR32が位置し、最上部にCF3Iが位置する。
すなわち、不均化反応を抑制するCF3Iは、液冷媒時には下部にたまりやすいが、ガス冷媒時には上部に溜まりやすいという性質がある。
実施の形態1では、液冷媒が溜まる容器等で、CF3Iが液相部の最下部に溜まりやすいことを利用して、その部分からCF3I比率の高い冷媒を圧縮機1に流すようにする。
具体的には、不均化反応発生領域の境界となる閾値付近において、アキュムレータACCの最下部から、液冷媒を圧縮機1の吸入部に注入する。これにより、CF3I比率の高い冷媒が圧縮機1に流れるため、不均化反応が抑制される。
アキュムレータACCの形状は、径に対して高さが1.1倍以上とすることが好ましい。これにより、あえて液冷媒が滞留しやすくなるので底部に高濃度の冷媒が存在しやすくなる。なお、気液を分離し液冷媒が滞留しやすくなる機能を有する容器であれば、アキュームレータACCに限らず用いてよい。
図5は、冷凍サイクル装置の圧縮機の起動時に実行される処理を説明するためのフローチャートである。
本実施の形態の冷凍サイクル装置では、起動時に異常運転を検知する。たとえば、冷媒の流路の詰まり、または室内機側の図示しないストップバルブが故障などで閉止した時には、冷媒がうまく循環せず、異常運転となる。したがって、以下のフローチャートに示すように、運転開始時に一気に周波数を上げないことに加えて吐出温度の上昇に伴い熱交換器の冷媒温度が正しく変化していくかを運転開始時に確認する。なお、以下ではステップを単にSと記載する。
まず、S1において制御装置10は、通常運転時よりも低い初期設定の運転周波数で、圧縮機1の運転を開始する。S2では、冷房運転であるか否かが判断される。
冷房運転であった場合(S2でYES)には、S3において、凝縮器として働く熱交換器6の冷媒温度Tm6が運転開始前よりもΔT1以上上昇し、かつ蒸発器として働く熱交換器3の冷媒温度Tm3が運転開始前よりもΔT2以上低下したか否かが判断される。
冷媒温度Tm6,Tm3が正しく変化している場合(S3でYES)、S4において、冷凍サイクル装置100は正常運転中であると判断され、制御はメインルーチンに戻され、その後運転周波数の抑制が解除され運転が継続される。
冷房運転でない場合(S2でNO)には、S5において、凝縮器として働く熱交換器3の冷媒温度Tm3が運転開始前よりもΔT3以上上昇し、かつ蒸発器として働く熱交換器6の冷媒温度Tm6が運転開始前よりもΔT4以上低下したか否かが判断される。
冷媒温度Tm6,Tm3が正しく変化している場合(S5でYES)、S6において、冷凍サイクル装置100は正常運転中であると判断され、制御はメインルーチンに戻され、その後運転周波数の抑制が解除され運転が継続される。
一方、冷媒温度Tm6,Tm3が正しく変化していない場合(S3でNOまたはS5でNO)、S7において、冷凍サイクル装置100は異常運転の可能性ありと判断され、S8において冷凍サイクル装置100の運転が停止され、処理は終了する。
図6は、実施の形態1において、運転中に実行される吐出温度を低下させる処理を説明するためのフローチャートである。図6に示される処理は、冷凍サイクル装置100の統合的な制御を行なう不図示のメインルーチンによって一定時間間隔毎に呼び出される。
図6に示されるように、制御装置10は、S101において、吐出温度Tdが基準温度τ1よりも小さいか否かを判定する。吐出温度Tdが基準温度τ1よりも小さい場合(S101でYES)、制御装置10は、メインルーチンに処理を返す。吐出温度Tdが基準温度τ1以上である場合(S101でNO)、制御装置10は、処理をS102に進める。
制御装置10は、S102において圧縮機1の運転周波数を低下させて、処理をS103に進める。制御装置10は、S103において凝縮器として機能している熱交換器への送風量を増加させて、処理をS104に進める。冷房運転において制御装置10は、S103において、室外ファン11の単位時間当たりの送風量を増加させる。暖房運転において制御装置10は、S103において室内ファン12の送風量を増加させる。制御装置10は、S104において膨張弁LEV1の開度を増加させて処理をメインルーチンに返す。なお、凝縮器の熱交換器だけでなく蒸発器の熱交換器の送風量を増加することが吐出温度の低減においてより好ましい。
なお、S102~S104のうち少なくとも1つが行なわれればよく、S102~S104の全てが行なわれる必要はない。また、S102~S104は、図6に示される順番で行なわれなくてもよい。
図7は、実施の形態1において、運転中に実行される流量調整弁の制御を説明するためのフローチャートである。図7に示される処理は、冷凍サイクル装置100の統合的な制御を行なう不図示のメインルーチンによって一定時間間隔毎に呼び出される。まず、S11において、制御装置10は、吐出温度Tdに基づいて圧力しきい値Pth1、Pth2を算出する。圧力しきい値Pth1、Pth2の算出は、たとえば、図3のHFO1123の重量比率70wt%での境界線BD1上の圧力を圧力しきい値Pth1に設定し、HFO1123の重量比率75wt%での境界線BD2上の圧力を圧力しきい値Pth2に設定することができる。
圧力しきい値Pth1は、HFO1123の重量比率70wt%での境界条件が好ましく、HFO1123の重量比率75wt%での境界条件がより好ましい。重量比率75wt%の場合は、実際には使用可能領域に入っていても、境界に対する余裕が確保され、使用不可の判断がされる。
続いて、S12において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1より低いか否かを判断する。
Pd<Pth1が成立しない場合(S12でNO)、S16において、アキュムレータACCの底部からCF3Iの濃度が高い液冷媒が圧縮機1に吸入されるように、制御装置10は、流量調整弁LEV2の開度Aを第1設定量Δα1だけ増加させる。これにより、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒のうちCF3Iの濃度が上昇し、HFO1123の濃度が低下する。すると、図3で示したしきい値Pth1を定めていたマップが図3の矢印方向にシフトするため、同じ温度Tdであれば圧力しきい値Pth1は上昇する関係となる。このようなしきい値の変化とLEV2の開度との関係は予め実験的に求められており、制御装置10のメモリに記憶されている。したがって、S16において、制御装置10は、流量調整弁LEV2の開度Aを増加させるとともに、圧力しきい値Pth1を増加させる。すなわち、図3の境界線BD1を開度Aに応じて移動させる。その後、再びS11において圧力しきい値Pth1,Pth2の算出を行なう。
Pd<Pth1が成立した場合(S12でYES)、S13において、制御装置10は、流量調整弁LEV2の開度Aを第2設定量Δα2だけ減少させる。なお、第2設定量Δα2は、第1設定量Δα1よりも小さい値に設定されている。このときにも、流量調整弁LEV2の開度Aの減少と共に、予め定められた開度Aと図3の境界線BD1との関係に基づき、圧力しきい値Pth1,Pth2は更新される。
そして、S14において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth2より高いか否かを判断する。なお、圧力しきい値Pth2は、図3に示したように、圧力しきい値Pth1よりも低く設定されている。
Pd>Pth2が成立しない場合(S14でNO)、制御装置10は、再びS13の処理を実行する。Pd>Pth2が成立した場合(S14でYES)、制御装置10は、S15において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1より低いか否かを判断する。
Pd<Pth1が成立しない場合(S15でNO)、S16において、アキュムレータACCの底部からCF3Iの濃度が高い液冷媒が圧縮機1に吸入されるように、制御装置10は、流量調整弁LEV2の開度Aを第1設定量Δα1だけ増加させ、再びS11において圧力しきい値Pth1,Pth2の算出を行なう。
Pd<Pth1が成立した場合(S15でYES)、流量調整弁LEV2の開度は適切な開度に設定されたため、制御はメインルーチンに戻される。
以上説明したように、実施の形態1に示した冷凍サイクル装置100は、CF3I濃度が高い液相冷媒を圧縮機1の吸入口に注入することができるので、圧縮機1におけるHFO1123の重量比率を下げるとともに、不均化反応の発生を抑制することができる。
また、図4(c)に示すように、ガス相では上部にCF3Iがより濃度が高い状態であるため、図1の配管BLの吸入口を最上部からバイパスさせてCF3Iの濃度が高いガス冷媒を圧縮機1の吸入口に注入してもよい。
実施の形態2.
実施の形態1では、液冷媒が貯留される場所として、圧縮機1の吸入部の上流に設けられるアキュムレータACCを利用して、CF3I濃度の高い冷媒を取り出した。ただし、液冷媒が存在する部分であれば、たとえば、サクションマフラーまたは凝縮器底部など、他の場所であってもよい。実施の形態2では、凝縮器底部から液冷媒を圧縮機に戻す例を説明する。
図8は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100Aの構成を示す機能ブロック図である。図8に示されるように、冷凍サイクル装置100Aは、室外機110Aと、室内機120とを備える。室内機120については、図1に示した実施の形態1と同じ構成であるので、説明は繰り返さない。
室外機110Aは、圧縮機1と、四方弁2と、膨張弁LEV1と、熱交換器6と、室外ファン11と、制御装置10と、温度センサ13T,14,15と、圧力センサ13Pとを含む。
冷凍サイクル装置100Aに封入される非共沸混合冷媒は、実施の形態1と同じである。また、冷房時および暖房時の四方弁2の状態および冷媒の循環方向についても基本的には実施の形態1と同じである。したがって、これらについても説明は繰り返さない。
実施の形態2では、室外機110Aは、熱交換器6の中間部分と圧縮機1の吸入口とを連通させる第1バイパス流路BL1と、第1バイパス流路BL1に設けられる流量調整弁LEV2-1と、熱交換器3の中間部分と圧縮機1の吸入口とを連通させる第2バイパス流路BL2と、第2バイパス流路BL2に設けられる流量調整弁LEV2-2とをさらに備える。
図9は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100Aの凝縮器の冷媒出口の位置を示す概略図である。実施の形態2においては、熱交換器3および熱交換器6には、通常の冷媒入口と冷媒出口の他に、冷媒中間出口が設けられている。冷媒中間出口は、熱交換器3、熱交換器6の各々が凝縮器として使用される場合に、液相冷媒が滞留する部分から液相冷媒を取り出せる位置に設けられる。具体的には、図9に示すように凝縮器中の冷媒流路が上下2経路以上に分かれて流れる場合には、下側の経路かつ、液冷媒が滞留する最下部近傍に冷媒中間出口が設けられる。
実施の形態2でも図5および図6の制御は同様に実行される。実施の形態2では、流量調整弁LEV2の制御が少し異なる。図10は、実施の形態2において、運転中に実行される流量調整弁の制御を説明するためのフローチャートである。図10に示される処理は、冷凍サイクル装置100Aの統合的な制御を行なう不図示のメインルーチンによって一定時間間隔毎に呼び出される。
図10に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートにおいて、S13,S16の処理に代えてS13A,S16Aの処理を実行する。
まず、S11において、制御装置10は、吐出温度Tdに基づいて圧力しきい値Pth1、Pth2を算出する。圧力しきい値Pth1、Pth2の算出は、実施の形態1の場合と同じであるので、説明は繰り返さない。
続いて、S12において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1より低いか否かを判断する。
Pd<Pth1が成立しない場合(S12でNO)、S16Aにおいて、凝縮器の底部からCF3Iの濃度が高い液冷媒が圧縮機1に吸入されるように、制御装置10は、凝縮器に接続されている流量調整弁LEV2の開度Aを第1設定量Δα1だけ増加させる。これにより、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒のうちCF3Iの濃度が上昇し、HFO1123の濃度が低下する。すると、図3で示したしきい値Pth1を定めていたマップが図3の矢印方向にシフトするため、同じ温度Tdであれば圧力しきい値Pth1は上昇する関係となる。このようなしきい値の変化と流量調整弁LEV2の開度との関係は予め実験的に求められており、制御装置10のメモリに記憶されている。したがって、S16Aにおいて、制御装置10は、流量調整弁LEV2の開度Aを増加させるとともに、圧力しきい値Pth1を増加させる。すなわち、図3の境界線BD1を開度Aに応じて移動させる。その後、再びS11において圧力しきい値Pth1,Pth2の算出を行なう。
Pd<Pth1が成立した場合(S12でYES)、S13Aにおいて、制御装置10は、凝縮器に接続されている流量調整弁LEV2の開度Aを第2設定量Δα2だけ減少させる。なお、第2設定量Δα2は、第1設定量Δα1よりも小さい値に設定されている。このときにも、流量調整弁LEV2の開度Aの減少と共に、予め定められた開度Aと図3の境界線BD1との関係に基づき、圧力しきい値Pth1,Pth2は更新される。
冷房時には、熱交換器6が凝縮器となるので、S16AおよびS13Aにおける流量調整弁LEV2には、流量調整弁LEV2-1が該当する。この場合、蒸発器である熱交換器3に接続されている流量調整弁LEV2-2は閉止されている。
暖房時には、熱交換器3が凝縮器となるので、S16AおよびS13Aにおける流量調整弁LEV2には、流量調整弁LEV2-2が該当する。この場合、蒸発器である熱交換器6に接続されている流量調整弁LEV2-1は閉止されている。
そして、S14において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth2より高いか否かを判断する。なお、圧力しきい値Pth2は、図3に示したように、圧力しきい値Pth1よりも低く設定されている。なお、S13Aの処理の結果、LEV2が閉止した際はS15の処理が行なわれる。
Pd>Pth2が成立しない場合(S14でNO)、制御装置10は、再びS13Aの処理を実行する。Pd>Pth2が成立した場合(S14でYES)、制御装置10は、S15において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1より低いか否かを判断する。
Pd<Pth1が成立しない場合(S15でNO)、S16Aにおいて、凝縮器の底部からCF3Iの濃度が高い液冷媒が圧縮機1に吸入されるように、制御装置10は、流量調整弁LEV2の開度Aを第1設定量Δα1だけ増加させ、再びS11において圧力しきい値Pth1,Pth2の算出を行なう。
Pd<Pth1が成立した場合(S15でYES)、流量調整弁LEV2の開度は適切な開度に設定されたため、制御はメインルーチンに戻される。
以上説明したように、実施の形態2に示した冷凍サイクル装置100Aでも、実施の形態1の冷凍サイクル装置100と同様に、CF3I濃度が高い液相冷媒を圧縮機1の吸入口に注入することができるので、圧縮機1におけるHFO1123の重量比率を下げるとともに、不均化反応の発生を抑制することができる。
実施の形態3.
図11は、実施の形態3の冷凍サイクル装置200の構成、および冷房運転における冷媒の流れを併せて示す機能ブロック図である。冷凍サイクル装置200の構成は、図1の冷凍サイクル装置100の室外機110が室外機210に置き換えられた構成である。
室内機120は、熱交換器3と、室内ファン12とを含む。室外機210は、圧縮機1と、四方弁2と、膨張弁4Aと、膨張弁4Bと、レシーバ5と、熱交換器6と、室外ファン11と、制御装置10と、温度センサ13とを含む。レシーバ5は、余剰冷媒を貯留する冷媒容器である。
室外機210は、さらに、膨張弁4Cと、三方弁8と、内部熱交換器7と、温度センサ9A~9Cとを含む。
図11に示されるように、内部熱交換器7は、レシーバ5と膨張弁4Cとの間に接続されているととともに、四方弁2とレシーバ5との間に接続されている。三方弁8は、膨張弁4Cと、熱交換器3および膨張弁4Bを接続する流路FP1との間に接続されている。また、三方弁8は、膨張弁4Cと、膨張弁4Aおよび熱交換器6を接続する流路FP2との間に接続されている。冷凍サイクル装置200の冷房運転は、膨張弁4Cが閉止された状態で開始される。なお、内部熱交換器7の接続位置は、熱交換器3出口~四方弁2、圧縮機1の吸入口との間を流れる非共沸混合冷媒が通過する接続位置であれば、どのような接続位置でもよく、たとえば、レシーバ5と膨張弁4Cとの間に接続されているととともに、レシーバ5と圧縮機1の吸入口との間に接続されてもよい。
図11において、制御装置10は、圧縮機1の運転周波数を制御することにより、室内機120内の温度が所望の温度となるように圧縮機1が単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置10は、非共沸混合冷媒の過熱度または過冷却度が所望の範囲の値となるように膨張弁4A,4Bの開度を制御する。制御装置10は、室外ファン11および室内ファン12の単位時間当たりの送風量を制御する。
制御装置10は、温度センサ13Tから圧縮機1から吐出される非共沸混合冷媒の吐出温度Tdを取得する。制御装置10は、温度センサ9Aからレシーバ5内の気体の非共沸混合冷媒の温度T91を取得する。制御装置10は、温度センサ9Bからレシーバ5内の液体の非共沸混合冷媒の温度T92を取得する。制御装置10は、温度センサ9Cから内部熱交換器7と膨張弁4Cとの間を流れる非共沸混合冷媒の温度T93を取得する。
なお、図11には、温度センサ9Aおよび9Bがレシーバ5の側面に設置されている場合が示されているが、温度センサ9Aおよび9Bが設置される位置は、レシーバ5の側面に限定されない。レシーバ5内の気体の非共沸混合冷媒の温度を測定することができる位置であれば、温度センサ9Aはどのような位置に設置されていてもよく、たとえばレシーバ5の天井部あるいは上面に設置されてもよい。また、レシーバ5内の液体の非共沸混合冷媒の温度を測定することができる位置であれば、温度センサ9Bはどのような位置に設置されてもよく、たとえばレシーバ5の底部あるいは底面に設置されてもよい。
冷房運転において、制御装置10は、四方弁2を制御して、冷房運転において圧縮機1の吐出口と熱交換器6とを連通させるとともに、熱交換器3と内部熱交換器7とを連通させる。制御装置10は、三方弁8を制御して、膨張弁4Cを流路FP1に連通させる。
冷房運転において非共沸混合冷媒は、圧縮機1、四方弁2、熱交換器6、膨張弁4A、レシーバ5、膨張弁4B、熱交換器3、四方弁2、内部熱交換器7、およびレシーバ5の順に循環する。膨張弁4Aからレシーバ5に流入した非共沸混合冷媒の一部は、液体の非共沸混合冷媒と気体の非共沸混合冷媒とに分離し、レシーバ5に貯留される。膨張弁4Cが開放されている場合、レシーバ5内の気体の非共沸混合冷媒が内部熱交換器7によって冷却された後に流路FP1に導かれる。
レシーバ5から内部熱交換器7に向けて冷媒を排出する冷媒出口の端部の高さH1は、液冷媒の液面付近になるように調整されている。レシーバ5から膨張弁4Bに向けて冷媒を排出する冷媒出口の端部の高さH0と高さH1との関係は、H1>H0である。
好ましくは、レシーバ5の底面から上面までの高さを100%とすると、30%≦H1≦70%とすると良い。このようにすれば、図4(b)に示すように液冷媒を排出する場合にはHFO1123およびR32の混合冷媒が主として排出され、図4(c)に示すようにガス冷媒を排出する際には、HFO1123濃度の高いガス冷媒が排出される。
ノードN1は、圧縮機1と四方弁2との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN2は、熱交換器6と膨張弁4Aとの間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。三方弁8と流路FP2は、ノードN2において三方弁8に連通している。ノードN3は、膨張弁4Aとレシーバ5との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。
ノードN4は、レシーバ5と膨張弁4Bとの間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN5は、膨張弁4Bと熱交換器3との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。流路FP1は、ノードN5において三方弁8に連通している。ノードN6は、四方弁2と内部熱交換器7との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN7は、内部熱交換器7とレシーバ5との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN8は、レシーバ5と圧縮機1との間を流れる冷媒が通過するノードである。
ノードN9は、レシーバ5と内部熱交換器7との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN10は、内部熱交換器7と膨張弁4Cとの間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN11は、三方弁8と流路FP1との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。ノードN12は、三方弁8と流路FP2との間を流れる非共沸混合冷媒が通過するノードである。
実施の形態3でも図5および図6の制御は同様に実行される。
ここで、非共沸混合冷媒の二相領域における温度勾配について説明する。図12は、一般的な非共沸混合冷媒のエンタルピ、圧力、および温度の関係を示すp-h線図である。図12において、曲線LC,GCは、それぞれ飽和液線、および飽和蒸気線を表す。飽和液線および飽和蒸気線は、臨界点CPにおいて接続されている。飽和液線LC上の点LP,GPは、圧力P1における飽和液線上の点および飽和蒸気線上の点をそれぞれ表している。図12には、温度T1,T2(<T1)の等温線が示されている。
図12に示されるように、点GPとLPとの間には、T1-T2の温度勾配が生じている。非共沸混合冷媒は、同じ圧力下の気液二相状態(飽和液線LCと飽和蒸気線GCとの間の領域)において、エンタルピが減少するほど温度が低下する特性を有する場合がある。温度勾配が大きくなる程、暖房運転において蒸発器として機能する熱交換器6に流入する非共沸混合冷媒の温度が低下し、熱交換器6に着霜が発生し易くなる。その結果、冷凍サイクル装置100の性能が低下し得る。
そこで、冷凍サイクル装置200においては、冷凍サイクル装置200に封入された状態の非共沸混合冷媒におけるCF3Iの重量比率をR32の重量比率以下とすることにより、温度勾配を抑制する。
図13は、CF3Iの重量比率に対するR32の重量比率の割合と、温度勾配との関係を示す図である。図13に示されるように、CF3Iの重量比率がR32の重量比率より大きい場合(CF3Iの重量比率に対するR32の重量比率の割合が1.0未満)、非共沸混合冷媒の温度勾配は無視できない。一方、CF3Iの重量比率をR32の重量比率以下(CF3Iの重量比率に対するR32の重量比率の割合が1.0以上)とすることにより、温度勾配をほぼ無くすることができる。
これにより、蒸発器に局部的な着霜が発生しにくくなるので、除霜運転の間隔を長くできるなどにより、冷凍サイクル装置の運転効率を向上させることができる。
GWP低減または不均化反応抑制のために、HFO1123の重量比率を低減させることが有効であるが、その場合に代替的に混合する冷媒としてCF3I以外にも、R1234yfとR1234ze(E)とが考えられる。
図14は、R1234yfの重量比率に対するR32の重量比率の割合と、温度勾配との関係を示す図である。図14に示すように、R1234yfの重量比率に対するR32の重量比率の割合が87/13とすることにより、温度勾配をCF3I混合時と同様にほぼ無くすることができる。
図15は、R1234ze(E)の重量比率に対するR32の重量比率の割合と、温度勾配との関係を示す図である。図15に示すように、R1234ze(E)の重量比率に対するR32の重量比率の割合が96.2/3.8とすることにより、温度勾配をCF3I混合時と同様にほぼ無くすることができる。
図16は、冷房運転における非共沸混合冷媒の状態の変化を示すp-h線図である。図16に示されている各状態は、図11のノードN1~N11における非共沸混合冷媒の各状態に対応する。状態C1は、膨張弁4BとノードN5との間を流れる非共沸混合冷媒の状態を表す。
図11および図16を併せて参照して、ノードN8の状態からノードN1の状態への過程は、圧縮機1による断熱圧縮過程を表す。ノードN1の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ13によって吐出温度Tdとして測定される。ノードN1の状態からノードN2の状態への過程は、熱交換器6による凝縮過程を表す。ノードN2の状態からノードN3の状態への過程は、膨張弁4Aによる減圧過程を表す。ノードN4の状態は、レシーバ5から流出する飽和液の状態であり、図16において飽和液線上に示されている。ノードN4の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ9Bによって温度T92として測定される。ノードN4の状態から状態C1への過程は、膨張弁4Bによる減圧過程を表す。
図16のp-h線図では、ノードN9にはガス冷媒が排出される場合を示している。ノードN9の状態は、レシーバ5から流出する飽和蒸気の状態であり、図16において飽和蒸気線上に示されている。ノードN9の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ9Aによって温度T91(>T92)として測定される。ノードN9の状態からノードN10の状態への過程は、内部熱交換器7による冷却過程を表す。ノードN10の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ9Cによって温度T93(<T92)として測定される。ノードN10の状態からノードN11の状態への過程は、膨張弁4Cによる減圧過程を表す。ノードN11の状態のエンタルピは、状態C1のエンタルピよりも小さい。そのため、状態C1の非共沸混合冷媒にノードN11の状態の非共沸混合冷媒が合流するノードN5の状態のエンタルピは、ノードN11のエンタルピよりも大きく、状態C1のエンタルピよりも小さい。
ノードN5の状態からノードN6の状態の過程は、熱交換器3による蒸発過程を表す。ノードN6の状態からノードN7の状態への過程において、内部熱交換器7を通過する非共沸混合冷媒は、ノードN9の状態の非共沸混合冷媒から熱を吸収する。そのため、ノードN7の状態のエンタルピは、ノードN6の状態のエンタルピよりも大きい。
冷凍サイクル装置100においては、冷房運転において蒸発器として機能する熱交換器3に流入する非共沸混合冷媒のエンタルピ(ノードN5の状態のエンタルピ)が、膨張弁4Bから流出する非共沸混合冷媒のエンタルピ(状態C1のエンタルピ)よりも内部熱交換器7によって減少される。また、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒のエンタルピ(ノードN8の状態のエンタルピ)が、内部熱交換器7によって、熱交換器3から流出する非共沸混合冷媒のエンタルピ(ノードN6の状態のエンタルピ)よりも増加される。そのため、熱交換器3に流入する非共沸混合冷媒のエンタルピと、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒のエンタルピとの差が増加する。その結果、冷凍サイクル装置100の冷房運転の効率を向上させることができる。
図17は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の構成、および暖房運転における冷媒の流れを併せて示す機能ブロック図である。冷凍サイクル装置200の暖房運転も、膨張弁4Cが閉止された状態で開始される。暖房運転において、制御装置10は、圧縮機1の吐出口と熱交換器3とを連通させるとともに、熱交換器6と内部熱交換器7とを連通させる。制御装置10は、三方弁8を制御して、膨張弁4Cを流路FP2に連通させる。
暖房運転において非共沸混合冷媒は、圧縮機1、四方弁2、熱交換器3、膨張弁4B、レシーバ5、膨張弁4A、熱交換器6、四方弁2、内部熱交換器7、およびレシーバ5の順に循環する。膨張弁4Bからレシーバ5に流入した非共沸混合冷媒の一部は、液体の非共沸混合冷媒と気体の非共沸混合冷媒とに分離し、レシーバ5に貯留される。
図18は、暖房運転における非共沸混合冷媒の状態の変化を示すp-h線図である。図18に示されている各状態は、図17のノードN1~N10,N12における非共沸混合冷媒の各状態に対応する。状態C2は、膨張弁4AとノードN2との間を流れる非共沸混合冷媒の状態を表す。
図17および図18を併せて参照して、ノードN8の状態からノードN1の状態への過程は、圧縮機1による断熱圧縮過程を表す。ノードN1の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ13によって吐出温度Tdとして測定される。ノードN1の状態からノードN5の状態への過程は、熱交換器3による凝縮過程を表す。ノードN5の状態からノードN4の状態への過程は、膨張弁4Bによる減圧過程を表す。ノードN3の状態は、レシーバ5から流出する飽和液の状態であり、図18において飽和液線上に示されている。ノードN3の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ9Bによって温度T92として測定される。ノードN3の状態から状態C2への過程は、膨張弁4Aによる減圧過程を表す。
図18のp-h線図では、ノードN9にはガス冷媒が排出される場合を示している。ノードN9の状態は、レシーバ5から流出する飽和蒸気の状態であり、図18において飽和蒸気線上に示されている。ノードN9の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ9Aによって温度T91(>T92)として測定される。ノードN9の状態からノードN10の状態への過程は、内部熱交換器7による冷却過程を表す。ノードN10の状態の非共沸混合冷媒の温度が温度センサ9Cによって温度T93(<T92)として測定される。ノードN10の状態からノードN12への過程は、膨張弁4Cによる減圧過程を表す。ノードN12の状態のエンタルピは、状態C2のエンタルピよりも小さい。そのため、状態C2の非共沸混合冷媒にノードN12の状態の非共沸混合冷媒が合流するノードN2の状態のエンタルピは、ノードN12のエンタルピよりも大きく、状態C2のエンタルピよりも小さい。
ノードN2の状態からノードN6の状態の過程は、熱交換器6による蒸発過程を表す。ノードN6の状態からノードN7の状態への過程において、非共沸混合冷媒は、内部熱交換器7においてノードN9の状態の非共沸混合冷媒から熱を吸収する。そのため、ノードN7の状態のエンタルピは、ノードN6の状態のエンタルピよりも大きい。
冷凍サイクル装置200においては、暖房運転において蒸発器として機能する熱交換器6に流入する非共沸混合冷媒のエンタルピ(ノードN2の状態のエンタルピ)が、膨張弁4Aから流出する非共沸混合冷媒のエンタルピ(状態C2のエンタルピ)よりも内部熱交換器7によって減少される。また、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒のエンタルピ(ノードN8の状態のエンタルピ)が、熱交換器6から流出する非共沸混合冷媒のエンタルピ(ノードN6の状態のエンタルピ)よりも内部熱交換器7によって増加される。そのため、熱交換器6に流入する非共沸混合冷媒のエンタルピと、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒のエンタルピとの差が増加する。その結果、冷凍サイクル装置200の暖房運転の効率を向上させることができる。
図19は、図11および図17の制御装置によって行なわれる膨張弁4Cの制御の一例を説明するためのフローチャートである。図19に示される処理は、冷凍サイクル装置200の統合的な制御を行なう不図示のメインルーチンによって一定時間間隔毎に呼び出される。図19に示される処理は、冷房運転および暖房運転において行なわれる。
図19に示されるように、制御装置10は、S201において、膨張弁4Cが開放されているか否かを判定する。膨張弁4Cが閉止されている場合(S201でNO)、制御装置10は、処理をS202に進める。制御装置10は、S202において温度T91とT92との差(温度勾配)がしきい値δ1以上であるか否かを判定する。温度勾配がしきい値δ1より小さい場合(S202でNO)、制御装置10は、処理をメインルーチンに返す。温度勾配がしきい値δ1以上である場合(S202でYES)、制御装置10は、処理をS203に進める。制御装置10は、S203において膨張弁4Cの開度を基準開度だけ開放し、処理をメインルーチンに返す。
膨張弁4Cが開放されている場合(S201でYES)、制御装置10は、処理をS204に進める。制御装置10は、S204において温度T91とT93との差がしきい値δ2以上か否かを判定する。温度T91とT93との差がしきい値δ2よりも小さい場合(S204でNO)、制御装置10は、処理をS205に進める。制御装置10は、S205において膨張弁4Cの開度を一定開度だけ減少させた後、処理をメインルーチンに返す。温度T91とT93との差がしきい値δ2以上である場合(S204でYES)、制御装置10は、S206に処理を進める。制御装置10は、S206において膨張弁4Cの開度を一定開度だけ増加させた後、処理をメインルーチンに返す。
図19に示したように膨張弁4Cが制御されることによって、蒸発器における温度勾配も小さくなり、局部的な着霜が抑制されるため、除霜運転の頻度を下げることができる。このため、冷凍サイクル装置の性能の低下が抑制される。なお、制御の優先度については、製品の信頼性に関わるため、以下に示す図20のフローチャートの処理が図19よりも優先される。
図20は、実施の形態3において、運転中に実行される流量調整弁の制御を説明するためのフローチャートである。図20に示される処理は、冷凍サイクル装置200の統合的な制御を行なう不図示のメインルーチンによって一定時間間隔毎に呼び出される。まず、S31において、制御装置10は、吐出温度Tdに基づいて圧力しきい値Pth1、Pth2を算出する。圧力しきい値Pth1、Pth2の算出は、実施の形態1および実施の形態2の場合と同じであるので、説明は繰り返さない。
続いて、S32において、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1より低いか否かを判断する。
Pd<Pth1が成立しない場合(S32でNO)、S33において、制御装置10は、膨張弁4Cの開度Bを第1設定量Δβ1だけ減少させる。これにより、圧縮機1に吸入される冷媒のうち、レシーバ5の冷媒液面付近から蒸発器を経由して圧縮機1に吸入されていたHFO1123濃度が高い冷媒の量が減少する。すると、図3で示したしきい値Pth1を定めていたマップが図3の矢印方向にシフトするため、同じ温度Tdであれば圧力しきい値Pth1は上昇する関係となる。このようなしきい値の変化と膨張弁4Cの開度Bとの関係は予め実験的に求められており、制御装置10のメモリに記憶されている。したがって、S33において、制御装置10は、膨張弁4Cの開度Bを減少させるとともに、圧力しきい値Pth1を増加させる。すなわち、図3の境界線BD1を開度Bに応じて移動させる。
その後、S34において、制御装置10は、膨張弁4Cの開度が全閉であるか否かを判断し、全閉で無ければ(S34でNO)その後、再びS31において圧力しきい値Pth1,Pth2の算出を行なう。
膨張弁4Cの開度が全閉である場合には(S34でYES)、これ以上膨張弁4Cを操作しても圧縮機1に吸入されるHFO1123の濃度を低下させることはできない。このため、S35において、再び、制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1より低いか否かを判断し、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1以上となっている場合には(S35でNO)、S36において圧縮機1の周波数を低下させるか、または、凝縮器のファンの風量を増加させて、吐出圧力Pdを低下させ、再びS35の判断を行なう。なお、蒸発器のファンの風量をさらに増加させることで圧縮比をより低減できるため、吐出温度低減に対しより好ましい。また、暖房運転時に室内機が凝縮器となる際にユーザー設定によりファン風量が増加できない場合、室外機(蒸発器)のファンの風量の増加のみとしてもよい。
S32またはS35においてPd<Pth1が成立した場合(S32でYESまたはS35でYES)、S37において制御装置10は、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth2より大きいか否かを判断する。
Pd>Pth2が成立していない場合(S37でNO)、S38において制御装置10は、膨張弁4Cの開度Bを第2設定量Δβ2だけ増加させる。これにより、圧縮機1に吸入される冷媒のうち、レシーバ5の冷媒液面付近から蒸発器を経由して圧縮機1に吸入されていたHFO1123の濃度が高い冷媒の量が増加する。すると、図3で示したしきい値Pth1、Pth2を定めていたマップが図3の矢印と反対方向にシフトするため、同じ温度Tdであれば圧力しきい値Pth1,Pth2は低下する関係となる。このようなしきい値の変化と膨張弁4Cの開度Bとの関係は予め実験的に求められており、制御装置10のメモリに記憶されている。したがって、S38において、制御装置10は、膨張弁4Cの開度Bを増加させるとともに、圧力しきい値Pth1,Pth2を低下させる。すなわち、図3の境界線BD1,BD2を開度Bに応じて移動させる。これにより、その後S31において再度算出される圧力しきい値Pth1,Pth2は現在よりも低下する。
Pd>Pth2が成立した場合(S37でYES)、膨張弁4Cの調整は完了したので、制御は一旦メインルーチンに戻される。
図20に示したように膨張弁4Cが制御されることによって、不均化反応を確実に抑制できることに加え、HFO1123の比率を高めることができるため蒸発器における温度勾配も小さくなり、局部的な着霜が抑制され、除霜運転の頻度を下げることができる。このため、冷凍サイクル装置の性能の低下が抑制される。
以上説明したように、実施の形態3の冷凍サイクル装置では、圧縮機1に吸入される非共沸混合冷媒が不均化反応を起こしそうな状況になった場合、レシーバ5から送り出される冷媒のHFO1123の濃度を下げて、不均化反応が発生する領域を広げる。また、CF3Iで不均化反応を抑制する際に、非共沸混合冷媒の蒸発器における温度勾配が生じない程度にCFI3とR32の重量比率を制御する。
このようにして、非共沸混合冷媒のGWPを低減しながら、当該非共沸混合冷媒が使用される冷凍サイクル装置の性能低下を抑制することができる。
実施の形態4.
図21は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200Aの構成を示す機能ブロック図である。図21に示されるように、冷凍サイクル装置200Aは、室外機210Aと、室内機120とを備える。室内機120については、図1に示した実施の形態1と同じ構成であるので、説明は繰り返さない。
室外機210Aは、図11に示した室外機210の構成において、三方弁8が削除され、膨張弁4Cを通過する冷媒を、圧縮機1の吸入口に戻している点が変更されている。室外機210Aの他の部分の構成は、室外機210の構成と同様であるので、説明は繰り返さない。
実施の形態4では、実施の形態3のように蒸発器における温度勾配を調整することはできないが、図20に示すフローチャートの処理を行なうことによって、圧縮機1が吸入する非共沸混合冷媒のHFO1123の重量比率を調整することについては可能である。したがって、冷媒の不均化反応を抑制しつつ、運転範囲を広げることができる。
(まとめ)
本開示は、冷媒回路に非共沸混合冷媒が使用される冷凍サイクル装置に関する。冷凍サイクル装置100の冷媒回路は、圧縮機1と、凝縮器と、膨張弁LEV1と、蒸発器とを備える。非共沸混合冷媒は、冷媒回路において、圧縮機1、凝縮器、膨張弁LEV1、および蒸発器の順に循環する。非共沸混合冷媒は、少なくともR32と、CF3Iと、HFO1123とを含む。冷凍サイクル装置に封入された状態の非共沸混合冷媒の、R32の重量比率、CF3Iの重量比率、HFO1123の重量比率を、それぞれ、W(R32)、W(CF3I)、W(HFO1123)で表すと、W(R32)は、43wt%以下であり、W(HFO1123)は、14wt%以上かつ70wt%未満であり、W(CF3I)は、2wt%より多く、W(R32)以下である。
好ましくは、図14に示すように、非共沸混合冷媒には、R32とR1234yfの混合比率の合計が13wt%以下となるようにR1234yfが混合されている。前記混合比率以下とすることで温度勾配をCF3I混合時と同等以下にすることができる。
好ましくは、図15に示すように、非共沸混合冷媒には、R32とR1234yfの混合比率の合計が3.8wt%以下となるようにR1234ze(E)が混合されている。前記混合比率以下とすることで温度勾配をCF3I混合時と同等以下にすることができる。
好ましくは、図1、図6、図7、図8に示すように、冷凍サイクル装置は、圧縮機1の吸入部と冷媒回路において非共沸混合冷媒の液冷媒が溜まる液溜まり部分との間で連通するバイパス経路BL,BL1,BL2と、バイパス経路BL,BL1,BL2に設けられた流量調整弁LEV2,LEV2-1,LEV2-2と、圧縮機1の吐出温度を検知する温度センサ13Tと、圧縮機1の吐出圧力を検知する圧力センサ13Pと、温度センサ13Tおよび圧力センサ13Pの出力に基づいて流量調整弁LEV2,LEV2-1,LEV2-2を制御する制御装置10とをさらに備える。制御装置10は、吐出温度が温度しきい値τ1以下、かつ、吐出圧力が圧力しきい値Pth1以下となるように、圧縮機1および流量調整弁LEV2,LEV2-1,LEV2-2の流量を調整する。圧力しきい値は、図3に示すようにW(HFO1123)および吐出温度Tdに対応して予め定められる非共沸混合冷媒の不均化反応発生領域の境界BD1,BD2,BD3を示す圧力である。
より好ましくは、図3に示されるように、圧力しきい値Pth1は、y軸を温度、x軸を圧力としたxy平面において、以下の式(1)で表される。
y=0.0005955741x6-0.0335925804x5+0.7640964499x4-9.0197555118x3+59.8464849395x2-232.4345022252x+537.6463398423 …(1)
より好ましくは、図1、図9に示すように、液溜まり部分(アキュムレータACC、または凝縮器)に設けられたバイパス経路の取り付け位置は、重力方向において液溜まり部分の最下部となる位置に設けられている。
好ましくは、図11に示すように、冷媒回路は、余剰冷媒を貯留するレシーバ5をさらに備える。非共沸混合冷媒は、冷媒回路において、圧縮機1、凝縮器、レシーバ5、および蒸発器の順に循環する。冷凍サイクル装置は、非共沸混合冷媒のガス冷媒が溜まるレシーバ5の部分と圧縮機1の吸入部または蒸発器の冷媒入口部分との間で連通するバイパス経路(N9)と、バイパス経路に設けられた膨張弁4Cと、バイパス経路に設けられ、バイパス経路を通過するガス冷媒を冷却して液化させる冷却装置(内部熱交換器7)とをさらに備える。
より好ましくは、図11、図17に示すように、冷凍サイクル装置200は、レシーバ5のガス冷媒が貯留される部分に設けられる第1温度センサ9Aと、レシーバ5の液冷媒が貯留される部分に設けられる第2温度センサ9Bと、膨張弁4cと内部熱交換器7との間に設けられた第3温度センサ9Cと、第1温度センサ9Aおよび第2温度センサ9B、第3温度センサ9Cの出力に基づいて膨張弁4Cを制御する制御装置10をさらに備える。図19に示すように、制御装置10は、第1温度センサ9Aで検出される温度T91と第2温度センサ9Bで検出される温度T92の差および温度T91とT93の差が予め定めた温度差となるように、膨張弁4Cを通過する冷媒の流量を調整する。
さらに好ましくは、冷凍サイクル装置200は、圧縮機1の吐出温度を検知する第3温度センサ13Tと、圧縮機1の吐出圧力を検知する圧力センサ13Pとをさらに備える。制御装置10は、吐出温度Tdが温度しきい値τ1以下、かつ、吐出圧力Pdが圧力しきい値Pth1以下となるように、膨張弁4Cの流量を調整する。圧力しきい値Pth1は、図3に示すように、W(HFO1123)および吐出温度Tdに対応して予め定められる非共沸混合冷媒の不均化反応発生領域の境界BD1,BD2,BD3を示す圧力である。
好ましくは、冷凍サイクル装置100は、図5に示すように、凝縮器の冷媒流路中間部分に設置された第1中間温度センサ14と、蒸発器の冷媒流路中間部分に設置された第2中間温度センサ17とをさらに備える。圧縮機1の起動前後において、第1中間温度センサ14の検知温度Tm6の上昇幅が、第1温度しきい値ΔT1以上であり、かつ、第2中間温度センサ17の検知温度Tm3の下降幅が、第2温度しきい値ΔT2以上である場合には、圧縮機1は運転を継続する。一方、圧縮機1の起動前後において、第1中間温度センサ14の検知温度Tm6の上昇幅が、第1温度しきい値ΔT1未満であるか、または、第2中間温度センサ17の検知温度Tm3の下降幅が、第2温度しきい値ΔT2未満である場合には、圧縮機1は運転を停止する。
今回開示された各実施の形態および各変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態および変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。