上記の本発明のメスコネクタにおいて、棒状のオス部材を前記キャップの前記開口に挿入したとき、前記薄肉部が伸ばされて、前記中央部が前記メスコネクタ本体側に変位されてもよい。薄肉部は相対的に変形が容易であるので、かかる態様によれば、オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を更に小さくすることができる。
前記溝は、前記隔壁部材の前記メスコネクタ本体側の面に形成されていてもよい。かかる態様は、オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を小さくするのに有利である。
棒状のオス部材を前記キャップの前記開口に挿入したとき、前記溝の前記外周部側の側面と前記薄肉部とが半径方向に密着してもよい。かかる態様によれば、溝の側面と薄肉部との間に摩擦力が発生し、この摩擦力が、変形された隔壁部材が自然状態に戻るのを妨げる。したがって、オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を更に小さくすることができる。
前記溝の前記外周部側の側面に、前記中央部に向かって突出した凸部が設けられていてもよい。かかる態様によれば、オス部材をキャップの開口に挿入したとき、凸部と薄肉部とが半径方向に密着し、両者間に更に大きな摩擦力が発生する。したがって、オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を更に小さくすることができる。
上記の本発明のメスコネクタにおいて、前記溝は、前記隔壁部材の前記キャップ側の面に形成されていてもよい。かかる態様は、オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を小さくするのに有利である。
棒状のオス部材を前記キャップの前記開口に挿入したとき、前記溝の前記中央部側の側面と前記薄肉部とが半径方向に密着してもよい。かかる態様によれば、溝の側面と薄肉部との間に摩擦力が発生し、この摩擦力が、変形された隔壁部材が自然状態に戻るのを妨げる。したがって、オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を更に小さくすることができる。
前記溝は第1溝であってもよい。前記隔壁部材の前記メスコネクタ本体側の面には環状の第2溝が設けられていてもよい。前記隔壁部材の前記キャップ側の面には環状の第3溝が設けられていてもよい。前記第2溝及び前記第3溝は、前記第1溝に対して半径方向外側に配置されていてもよい。前記第2溝に前記メスコネクタ本体に設けられたリブが嵌入してもよい。前記第3溝に前記キャップに設けられたリブが嵌入してもよい。かかる態様によれば、簡単な構成で、隔壁部材の外周部を、メスコネクタ本体とキャップとでしっかりと保持することができる。
前記メスコネクタは、前記キャップの前記開口の端縁に嵌合することができる外周面を備えた棒状の第1オス部材を前記キャップの前記開口に挿抜することができるように構成されていてもよい。前記第1オス部材を、前記外周面が前記開口の前記端縁に嵌合するまで前記キャップの前記開口に挿入したとき、前記中央部の上面が前記第1オス部材の先端に前記第1オス部材の長手方向に密着し、前記スリットを規定するリップが直径方向に離間して、前記第1オス部材と前記メスコネクタとが連通されてもよい。かかる態様によれば、比較的大径の第1オス部材を本発明のメスコネクタに接続することができる。
前記メスコネクタは、前記キャップの前記開口の端縁に嵌合することができる外周面を備えた棒状の第1オス部材を前記キャップの前記開口に挿抜することができるように構成されていてもよい。前記第1オス部材を、前記外周面が前記開口の前記端縁に嵌合するまで前記キャップの前記開口に挿入したとき、前記薄肉部が前記第1オス部材の前記外周面に密着し、前記スリットを規定するリップが直径方向に離間して、前記第1オス部材と前記メスコネクタとが連通されてもよい。かかる態様によれば、比較的大径の第1オス部材を本発明のメスコネクタに接続することができる。薄肉部と第1オス部材の外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力が、変形された隔壁部材が自然状態に戻るのを妨げる。したがって、第1オス部材をメスコネクタに挿入したときの隔壁部材の反発力を更に小さくすることができる。
前記メスコネクタは、前記キャップの前記開口の端縁より小径の外周面を備えた棒状の第2オス部材を前記キャップの前記開口に挿抜することができるように構成されていてもよい。前記第2オス部材を前記キャップの前記開口に挿入したとき、前記第2オス部材が前記スリットを貫通し、前記スリットを規定するリップが前記第2オス部材の外周面に密着して、前記第2オス部材と前記メスコネクタとが連通されてもよい。かかる態様によれば、比較的小径の第2オス部材を本発明のメスコネクタに接続することができる。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要な部材(または要素)を簡略化して示したものである。従って、本発明の範囲内において、図面に示されていない任意の部材を追加したり、あるいは、図面に示された任意の部材を変更もしくは省略したりしてもよい。異なる図面において、同一の部材には同一の符号が付されている。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する図面の説明を適宜参酌すべきである。
(実施形態1)
図1Aは、本発明の実施形態1にかかるメスコネクタ1の斜視図である。図1Bは、メスコネクタ1の断面図である。図2は、メスコネクタ1の分解斜視断面図である。図1Bにおいて、一点鎖線1aは、メスコネクタ1の中心軸である。以下の説明の便宜のために、中心軸1aに平行な方向を「上下方向」という。「上」及び「下」は、図1Bに基づいて定義する。中心軸1aに垂直な平面に平行な方向を「水平方向」という。但し、「上」、「下」、「水平」は、メスコネクタ1の実際の使用時の向きを意味するものではない。中心軸1aに直交する方向を「半径方向」又は「直径方向」といい、中心軸1aの周りを回転する方向を「周方向」という。半径方向において、中心軸1aに近い側を「内側」、中心軸1aから遠い側を「外側」という。
図2に示されているように、メスコネクタ1は、隔壁部材(以下「セプタム」という)10、メスコネクタ本体(以下「本体」という)20、及び、キャップ40を備える。本体20及びキャップ40は、セプタム10を上下方向に挟持し固定する。
セプタム10は、円形の薄板形状を有する。セプタム10は、外力によって比較的容易に変形可能であり、且つ、外力を取り除くと直ちに変形前の状態(自然状態)に復帰するように、弾性(あるいは可撓性)を有する軟質材料(いわゆるエラストマー)からなる。使用しうる軟質材料としては、制限はないが、軟質ポリ塩化ビニルや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のゴム等を例示することができる。セプタム10は、上記の材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
図1B及び図2に示されているように、セプタム10は、円形の平面視形状を有する中央部11と、中央部11を取り囲むように周方向に連続した円環状の外周部15とを備える。中央部11及び外周部15は、中心軸1aと同軸である。中央部11の平坦な上面は、キャップ40の開口42を介して外界に露出される(図1A参照)。中央部11に、セプタム10をその厚さ方向に貫通する直線状(「-」字状)のスリット(切り込み)12が形成されている。スリット12は、中心軸1aと交差する。スリット12の長さは、中央部11の直径より短く、且つ、キャップ40の円形の開口42の内径より短い。
セプタム10の下面には、第1溝16、第2溝17が設けられ、セプタム10の上面には、第3溝18が設けられている。溝16,17,18は、いずれも中心軸1aと同軸の円形の環状溝である。第1溝16は、中央部11の下面側の外周端縁を規定する。セプタム10に第1溝16が形成されることにより、中央部11と外周部15との間に、セプタム10が相対的に薄肉化された薄肉部13が設けられる。薄肉部13は、第1溝16に沿って中央部11を取り囲むように円環状に延び、中央部11と外周部15とをつないでいる。第1溝16の幅(半径方向寸法)を規定する対向する2つの側面(2つの側面はいずれも中心軸1aに略平行である)のうち、外周部15側の側面16aから、半径方向内向きに(即ち、中央部11または中心軸1aに向かって)凸部16bが突出している。本実施形態1では、凸部16bは、周方向に連続した環状のリブ状突起である。但し、本発明はこれに限定されず、凸部16bは、周方向に離散的に配置された複数の突起であってもよい。
第2溝17は、第1溝16よりも外側(中央部11から遠い側)に、第1溝16から半径方向に離間して設けられている。外周部15のうち、第1溝16と第2溝17との間の円環状の部分を外壁部19と呼ぶ。凸部16bは外壁部19の内側面に設けられている。第3溝18は、第2溝17に対して上下方向に略対応する位置に設けられている。
本体20は、その上側に、セプタム10及びキャップ30が装着される台座21を備える。台座21は、外筒22及びリブ(下リブ)23からなる二重筒構造を有する。外筒22及びリブ23は、いずれも中心軸1aと同軸の略円筒形状を有する。外筒22は、リブ23に対して、半径方向外側に、離間して配置されている。外筒22はリブ23よりも、上方に向かって、より高い位置まで延びている。外筒22の内周面には、周方向に沿って延びた凸条(環状リブ)及び/又は凹条(環状溝)からなる嵌合構造26が設けられている。
本体20は、その下側に、接続部30を備える。接続部30は、中心軸1aと同軸の、オス部材31及びスカート部35からなる。オス部材31は中空の略円筒形状を有する。流路32が、中心軸1aに沿ってオス部材31を貫通している。流路32は、台座21(またはリブ23)の内腔24と連通している。オス部材31の外周面33は、その先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)である。スカート部35は、中空の略円筒形状を有し、オス部材31を取り囲み、且つ、オス部材31から半径方向に離間している。スカート部35の内周面には雌ネジ36が設けられている。オス部材31には、液体(例えば血液、薬液、生理食塩水等)が流れる回路を構成する柔軟なチューブが、直接的に又は他の部材(図示せず)を介して間接的に接続される。
本体20の外周面には、一対の凹部27及び環状溝28が設けられている。凹部27は、外筒22の上端から下方に向かって延びた略「L」字状(鉤状)を有する(図1A参照)。一対の凹部27は中心軸1aに対称である。環状溝28は、外筒22とスカート部35との境界に沿って周方向に連続している。
キャップ40は、円板形状を有する天板41と、天板41の外周端縁から延びた円筒形状を有する周囲壁45とを備える。天板41の中央には円形の開口(貫通孔)42が形成されている。天板41の下面には、下方に向かって突出した、略円筒形状のリブ(上リブ)43が設けられている。天板41、開口42、リブ43、周囲壁45は、いずれも中心軸1aと同軸である。リブ43は、開口42の端縁と周囲壁45との間に、これらから半径方向に離間して配置されている。周囲壁45は、セプタム10の外径より大きな内径を有する。周囲壁45の外周面には、周方向に連続する凸条(環状リブ)及び/又は凹条(環状溝)からなる嵌合構造46が設けられている。
本体20及びキャップ40は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いうる。本体20及びキャップ40のそれぞれは、これらの樹脂材料を用いて射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。
図1Bに示されているように、セプタム10は、本体20の外筒22内に収納される。次いで、キャップ40の周囲壁45が、外筒22内に嵌入される。セプタム10は、周囲壁45内に収納される。本体20の外筒22に設けられた嵌合構造26と、キャップ40の周囲壁45に設けられた嵌合構造46とが嵌合する。本体20のリブ23が、セプタム10の下面の第2溝17に嵌入し、キャップ40のリブ43が、セプタム10の上面の第3溝18に嵌入する。本体20とキャップ40とが、外周部15をセプタム10の厚さ方向(即ち上下方向)に挟持する。外周部15に設けられた第2溝17及び第3溝18にリブ23及びリブ43がそれぞれ嵌入しているので、外周部15は、本体20及びキャップ40によって上下方向及び半径方向にしっかりと保持され拘束される。リブ23に対して半径方向内側の位置に、セプタム10の凸部16bが位置している。凸部16bは、外壁部19のすぐ下の、内腔24の内径を規定する内周面24aよりも半径方向内側に突出している。セプタム10の中央部11及びスリット12が、キャップ40の開口41を介して上方に向かって露出される(図1A参照)。セプタム10に外力が加えられていない自然状態では、スリット12を規定する対向する一対のリップ12aは互いに密着し、スリット12は実質的に液密に閉じられる。内腔24が液体で満たされても、スリット12を介して液体が外界に漏れ出ることはない。セプタム10は、液体が意図せずにメスコネクタ1から漏れ出るのを防ぐ自閉式の弁として機能する。
メスコネクタ1は、キャップ40の開口42内にオス部材を挿入することによって、オス部材と接続される。オス部材は、真っ直ぐに延びた棒状部材である。オス部材内には、その長手方向に沿って流路が設けられている。流路は、オス部材の先端又はその近傍において外界に向かって開口している。メスコネクタ1にオス部材を接続すると、メスコネクタ1の内腔24(更には流路32)とオス部材の流路とが連通される。
本発明において、オス部材に制限はない。オス部材は、例えばシリンジの外筒の先端に設けられた筒先であってもよい。以下に、メスコネクタ1に対するシリンジの筒先の接続及び分離について説明する。
図3は、メスコネクタ1にシリンジ80の外筒81の筒先82を接続する直前の状態を示した断面図である。筒先82は、細長い円筒形状を有する。筒先82の外周面83は、筒先82の先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面、例えば6%テーパ面)である。筒先82内には、筒先82の長手方向に沿って流路84が設けられている。流路84は、筒先82を貫通し、筒先82の先端において開口している。
図3に示すように、筒先82をメスコネクタ1に対して同軸に対向させ、筒先82をメスコネクタ1のキャップ40の開口42に挿入する。筒先82の先端での外径は、開口42の内径より小さい。筒先82の先端は、開口42内に露出したセプタム10の中央部11の上面に当接し、中央部11を本体20(内腔24)に向かって押し込む。
図4は、メスコネクタ1にシリンジ80の筒先82が接続された状態を示した部分拡大断面図である。図4は、筒先82が接続されたメスコネクタ1をX線CT撮影した断面画像を模式的に示したものである。特許文献1,2のメスコネクタの場合と同様に、筒先82は、その外周面83がキャップ40の開口42を規定する端縁に嵌合するまで挿入される。外周面83と開口42の端縁とが接触し、両者間に摩擦力が発生する。この摩擦力は、メスコネクタ1と筒先82との接続状態を維持するように作用する。
セプタム10の中央部11は、筒先82によって本体20側に変位され、台座21の内腔24内に位置している。筒先82の先端(図4において、筒先82の下端)は、自然状態(図3参照)において開口42内に露出していた中央部11の上面に、依然として上下方向に当接している。中央部11が下方に移動されたために、中央部11と外周部15とを繋ぐ薄肉部13(図1B参照)が、下方に向かって屈曲され、筒先82の外周面83に沿って上下方向に伸ばされている。薄肉部13の反発力(弾性復元力)が、中央部11を引っ張る。このため、スリット12を規定する対向するリップ12aが直径方向に互いに相手方から離間し、スリット12が開かれる。筒先82の流路84は、スリット12を介してメスコネクタ1の内腔24と連通する。
図4の状態において筒先82をメスコネクタ1から引き抜くと、セプタム10は直ちに自然状態(図1A~図3参照)に復帰する。リップ12aが互いに密着し、スリット12は液密に閉じられる。
メスコネクタ1の効果を、従来のメスコネクタと比較して説明する。
図5Aは従来のメスコネクタ101の斜視図、図5Bはメスコネクタ101の断面図である。図5A及び図5Bにおいて、実施形態1のメスコネクタ1(図1A、図1B、図2参照)を構成する部材に対応する部材には、メスコネクタ1を構成する部材に付した符号に「100」を加えた符号が付してある。例えば、メスコネクタ101の「セプタム110」は、メスコネクタ1の「セプタム10」に対応する。メスコネクタ101を構成する部材のうちメスコネクタ1と同一又は実質的に同一である部材の説明を省略し、メスコネクタ1との相違点を中心にメスコネクタ101を説明する。
メスコネクタ101は、セプタム110に関して、メスコネクタ1と顕著に異なる。図5Bに示されているように、セプタム110には、セプタム10に設けられていた第1溝16(図1B、図2参照)が設けられていない。このため、セプタム110は、薄肉部13(図1B、図2参照)を備えない。
本体120の台座121は、略円筒形状を有する一重筒構造である。台座121がキャップ140の周囲壁145内に嵌入するように、キャップ140が本体120に装着される。台座121の上端から突出した略円筒形状のリブ(下リブ)123がセプタム110の溝117に嵌入する。台座121から突出した爪129が、キャップ140の周囲壁145に設けられた孔149に嵌入し、キャップ140を係止している。キャップ140の天板141の直径、及び、キャップ140内に収納されるセプタム110の直径は、メスコネクタ1の天板41の直径及びセプタム10の直径よりもわずかに大きい。しかしながら、開口142の直径は、メスコネクタ1の開口42の直径とほぼ同じである。
図6は、メスコネクタ101にシリンジ80の筒先82が接続された状態を示した部分拡大断面図である。図6は、図4と同様に、筒先82が接続されたメスコネクタ101をX線CT撮影した断面画像を模式的に示したものである。筒先82は、図3及び図4に示した筒先82と同じである。図4と同様に、筒先82の外周面83が、キャップ140の開口142を規定する端縁に嵌合している。中央部111が、下方に向かって屈曲され、筒先82の外周面83に沿って上下方向に伸ばされている。筒先82の外周面83に密着しているセプタム110の部分は、自然状態(図5A及び図5B参照)において開口142内に露出していた中央部111の上面である。筒先82はスリット112をほぼ貫通している。スリット112は、筒先82と略同一径で大きく開かれている。スリット112を規定する一対のリップ112aは、自然状態では互いに密着していた(図5A及び図5B参照)のに対して、筒先82が挿入されると互いに反対側を向いている。
本実施形態1のセプタム10と異なり、セプタム110は、溝117,118よりも内側に、変形が容易な、相対的に薄肉の部分を備えない(図5B参照)。このため、セプタム110を図6のように変形させるためには、筒先82をメスコネクタ101に向かって大きな力で押し込む必要がある。これは、変形されたセプタム110に発生する、自然状態(図5B参照)に戻ろうとする反発力(弾性復元力)が大きいことを意味する。この反発力は、筒先82をメスコネクタ101から押し出すように作用する。したがって、図6のように筒先82がキャップ140の開口142の端縁に嵌合された状態を安定的に維持することができず、わずかな振動などによって筒先82がメスコネクタ101から押し出されてしまう場合が起こりうるという課題がある。
また、中央部111の上面が筒先82の外周面83に密着するように中央部111が変形されるので、スリット112は大きく開口される。このため、スリット112の長手方向の端を起点とする亀裂が、セプタム110に発生し易いという課題がある。
スリット112の長さを長くすれば、反発力を小さくすることができ、また、亀裂の発生を抑えることは可能である。しかしながら、この場合、メスコネクタ101に筒先82を挿入したときの、セプタム110と筒先82との間の密着性が低下する。図示を省略するが、特に、スリット112の長手方向の両端と筒先82の外周面83との間に隙間が生じやすくなる。この隙間を介して内腔124内の液体が外界へ漏れ出てしまうという課題がある。
本実施形態1のメスコネクタ1は、メスコネクタ101が有する上記の課題を解決することができる。
本実施形態1のセプタム10は、中央部11と外周部15との間に、相対的に薄肉の薄肉部13を備える。図4を図6と比較すれば明らかなように、本実施形態1では、筒先82をメスコネクタ1に挿入したとき、薄肉部13が選択的に屈曲され且つ伸ばされる。薄肉部13は、相対的に変形が容易であるので、変形されたセプタム10に発生する反発力は小さい。このため、筒先82をメスコネクタ1に比較的小さな力で挿入することができる。図4のように一旦筒先82がキャップ40の開口42の端縁に嵌合されると、この状態を安定的に維持することが可能である。筒先82がキャップ40の開口42の端縁に嵌合した状態で、メスコネクタ1や筒先82に振動や外力等が加えられても、筒先82がメスコネクタ1から意図せずに抜け出る可能性は低い。このため、筒先82がメスコネクタ1から抜け出ることによる意図しない液漏れを防止することができる。
筒先82は、スリット12を貫通しない。スリット12を規定するリップ12aは、互いに直径方向に対向したままでわずかに離間されるに過ぎない。リップ12a間の間隔は、筒先82の外径よりはるかに小さい。スリット12の周囲を含む中央部11の変形が小さいので、セプタム10に、スリット12の長手方向の端を起点とする亀裂が発生する可能性は低い。
中央部11は、その上面に筒先82の先端が当接した状態で、本体20側へ変位される。薄肉部13の反発力が中央部11を筒先82の先端に圧接させるので、中央部11の上面と筒先82の先端との間に液密なシールが形成される。筒先82がスリット12を貫通しないので、セプタム10と筒先82との間に良好な密着性を容易に確保することができる。このため、セプタム10と筒先82との間を介して内腔24内の液体が外界へ漏れ出てしまう可能性は低い。
以上のように、本実施形態1によれば、筒先82をメスコネクタ1に挿入したときに、セプタム10の反発力を小さくすることができ、筒先82によってセプタム10に亀裂が発生するのを防止することができ、また、筒先82に対するセプタム10の密着性を確保することができる。
更に、図4に示されているように、薄肉部13は、第1溝16を規定する側面16a(図1B、図2参照)に半径方向に密着する。筒先82の外径が比較的太いので、筒先82とリブ23との間で、薄肉部13と外壁部19とが半径方向に密着し圧縮される。これは、外壁部19に設けられた凸部16b(図1B、図2参照)において特に顕著である。薄肉部13と側面16aとが密着することにより、両者間に摩擦力(第1摩擦力)が発生する。この第1摩擦力は、伸ばされた薄肉部13が自然状態に戻るように縮むのを妨げる。変形されたセプタム10に発生する反発力は更に弱められる。このため、筒先82がセプタム10の反発力によってメスコネクタ1から押し出される可能性が更に低減される。これは、図4のように筒先82がキャップ40の開口42の端縁に嵌合された状態を安定的に維持するのに有利である。
薄肉部13は、筒先82の外周面83にも密着する。薄肉部13と外周面との間にも摩擦力(第2摩擦力)が発生する。この第2摩擦力は、伸ばされた薄肉部13が自然状態に戻るように縮むのを妨げる。従って、第1摩擦力と同様に、第2摩擦力は、変形されたセプタム10に発生する反発力を弱める。これは、図4のように筒先82がキャップ40の開口42の端縁に嵌合された状態を安定的に維持するのに有利である。
図3及び図4では、キャップ40の開口42の端縁に嵌合可能な程度に大径の筒先82をメスコネクタ1に接続した。しかしながら、本実施形態1のメスコネクタ1には、筒先82より小径のオス部材を接続することも可能である。図7は、メスコネクタ1にオスルアー90が接続された状態を示した部分拡大断面図である。図4と同様に、図7は、オスルアー90が接続されたメスコネクタ1をX線CT撮影した断面画像を模式的に示したものである。オスルアー90は、細長い棒状部材であり、その外周面93は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)である。但し、外周面93の形状は、これに限定されず、例えば外径がその長手方向において一定である円筒面や、これ以外の任意の形状であってもよい。オスルアー90の外径は、筒先82の外径より小さい。オスルアー90内には、オスルアー90の長手方向に沿って流路94が設けられている。流路94は、オスルアー90の先端の近傍に設けられた、オスルアー90を直径方向に貫通する横孔95を介してオスルアー90の外部と連通している。このようなオスルアー90は、例えば特許文献4により公知である。
図7に示されているように、オスルアー90は、横孔95が、メスコネクタ1の内腔24と連通する深さまで挿入される。オスルアー90は比較的小径であるので、筒先82の場合(図4参照)と異なり、オスルアー90の外周面93が、キャップ40の開口42を規定する端縁に嵌合(接触)することはない。オスルアー90はセプタム10のスリット12を貫通している。オスルアー90の外周面93に密着しているセプタム10の部分は、自然状態(図1A~図2参照)において互いに密着していたスリット12のリップ12aである。オスルアー90がスリット12を貫通する際のオスルアー90とセプタム10との間の摩擦力によって、セプタム10の中央部11は本体20側に変位され、台座21の内腔24内に位置している。中央部11が下方に移動されたために、中央部11と外周部15とを繋ぐ薄肉部13(図1B参照)が、下方に向かって屈曲され、上下方向に伸ばされている。
図7の場合にも、オスルアー90をメスコネクタ1に挿入したとき、相対的に変形が容易である薄肉部13が選択的に屈曲され且つ伸ばされる。このため、オスルアー90をメスコネクタ1に比較的小さな力で挿入することができる。変形されたセプタム10に発生する反発力は小さい。
オスルアー90は、スリット12を貫通する。しかしながら、オスルアー90は比較的小径である。オスルアー90がスリット12を貫通したとき、オスルアー90の外周面93にはスリット12のリップ12aが密着している。図7を図6と比較すれば明らかなように、オスルアー90がスリット12を貫通したときのスリット12の周囲を含む中央部11の変形は小さい。このため、セプタム10に、スリット12の長手方向の端を起点とする亀裂が発生する可能性は低い。
スリット12のリップ12aは、オスルアー90の外周面93に、外周面93の全周にわたって液密に密着する。このため、セプタム10とオスルアー90との間を介して内腔24内の液体が外界へ漏れ出てしまう可能性は低い。
以上のように、本実施形態1によれば、比較的小径のオスルアー90をメスコネクタ1に挿入したときにも、セプタム10の反発力を小さくすることができ、オスルアー90によってセプタム10に亀裂が発生するのを防止することができ、また、オスルアー90に対するセプタム10の密着性を確保することができる。
オスルアー90がセプタム10のスリット12を貫通することによって、中央部11が直径方向に拡径される。拡径した中央部11は、薄肉部13を半径方向外側に変位させるので、薄肉部13と外壁部19とが半径方向に密着する。このため、小径のオスルアー90を接続した場合にも、筒先82を接続した場合(図4参照)と同様に、薄肉部13と側面16a(図1B参照)との間に摩擦力が発生する。この摩擦力は、伸ばされた薄肉部13が自然状態に戻るように縮むのを妨げる。変形されたセプタム10に発生する反発力は弱められる。
従来のメスコネクタ101(図5A、図5B参照)では、セプタム110のスリット112の長さは、比較的大径の筒先82がスリット112を貫通することができ(図6参照)、且つ、このときにセプタム110と筒先82との間に液密なシールが形成されるように設定されている。このメスコネクタ101に、比較的小径のオスルアー90を接続した場合、図示を省略するが、オスルアー90の外径に対してスリット112が長すぎるので、スリット112の長手方向の両端とオスルアー90の外周面93との間に隙間が生じてしまう。このため、オスルアー90に対しては、オスルアー90の外径に応じてスリットを短くしたメスコネクタが接続される。小径のオスルアー90に適合した、短いスリットが設けられたメスコネクタに、大径の筒先82を挿入しようとすると、セプタムに大きな反発力が発生し、挿入が困難である。強引に筒先82を挿入しようとするとセプタムに亀裂が発生する。したがって、従来は、外径が異なるオス部材(筒先82、オスルアー90)にそれぞれ対応して、スリット長さが異なる複数種類のメスコネクタを準備する必要があった。
これに対して、本実施形態1のメスコネクタ1には、上述したように外径の異なる複数種類のオス部材(筒先82、オスルアー90)を液漏れすることなく接続することができる。メスコネクタ1に比較的大径の筒先82が接続された場合には、筒先82はスリット12を貫通せず(図4参照)、メスコネクタ1に比較的小径のオスルアー90が接続された場合には、オスルアー90はスリット12を貫通する(図7参照)。大径の筒先82がスリット12を貫通する必要がないので、スリット12は、従来の筒先82に適合したメスコネクタ101のスリット112に比べて短くてもよい。スリット12の長さは、例えば本実施形態1のように、小径のオスルアー90が図7のようにスリット12を貫通することができ、且つ、オスルアー90の外周面93とセプタム10とが液密に密着するように設定することができる。このように、本実施形態1によれば、比較的短いスリット12が設けられた単一仕様のメスコネクタ1に、外径が異なるオス部材を接続することができる。本発明は、オス部材の外径ごとに複数種類のメスコネクタを準備し保管しておくという従来必要であった煩雑な作業を不要にする。
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2にかかるメスコネクタ2の断面図である。図9は、メスコネクタ2の分解斜視断面図である。図8及び図9において、実施形態1のメスコネクタ1(図1B、図2参照)を構成する部材と同じ部材には、メスコネクタ1を構成する部材に付した符号と同じ符号が付してある。そのような部材についての説明を省略し、メスコネクタ1との相違点を中心にメスコネクタ2を説明する。
実施形態1では、第1溝16がセプタム10の下面に設けられていた。これに対して、本実施形態2では、第1溝216がセプタム210の上面に設けられている。セプタム210に第1溝216が形成されることにより、中央部11と外周部15との間に、セプタム210が相対的に薄肉化された薄肉部213が設けられる。薄肉部213は、第1溝216に沿って中央部11を取り囲むように円環状に延び、中央部11と外周部15とをつないでいる。第1溝216の幅(半径方向寸法)を規定する対向する2つの側面(2つの側面はいずれも中心軸1aに略平行である)のうち、中央部11側の側面216aが、キャップ40の開口42を規定する端縁に嵌合している。図8から理解できるように、第1溝216は、キャップ40の天板41によって覆われている。
図10は、メスコネクタ2にシリンジ80の筒先82が接続された状態を示した部分拡大断面図である。図10は、図4と同様に、筒先82が接続されたメスコネクタ2をX線CT撮影した断面画像を模式的に示したものである。
筒先82の外周面83が、キャップ40の開口42を規定する端縁に嵌合している。セプタム210の中央部11は、筒先82によって本体20側に変位され、台座21の内腔24内に位置している。薄肉部213(図8参照)が、下方に向かって屈曲され、筒先82の外周面83に沿って上下方向に伸ばされている。筒先82は、スリット12を貫通していない。薄肉部213の反発力(弾性復元力)が、中央部11を引っ張る。スリット12を規定する対向するリップ12aが直径方向に互いに相手方から離間し、スリット12が開かれる。筒先82の先端は、中央部11の上面に、上下方向に当接し、両者間に液密なシールが形成される。従って、実施形態1と同様に、本実施形態2においても、筒先82をメスコネクタ2に挿入したときに、セプタム210の反発力を小さくすることができ、筒先82によってセプタム210に亀裂が発生するのを防止することができ、また、筒先82に対するセプタム210の密着性を確保することができる。
実施形態1と異なり、本実施形態2では、第1溝216がセプタム210の上面に設けられている。従って、メスコネクタ2に筒先82を接続したとき、薄肉部213は、第1溝216を規定する中央部11側の側面216a(図8参照)に半径方向に密着する。薄肉部213と側面216aとの間に摩擦力(第1摩擦力)が発生する。また、薄肉部213は、筒先82の外周面83にも密着する。薄肉部213と外周面との間にも摩擦力(第2摩擦力)が発生する。これら第1摩擦力及び第2摩擦力は、伸ばされた薄肉部213が自然状態に戻るように縮むのを妨げる。変形されたセプタム210に発生する反発力は更に弱められる。これは、図10のように筒先82がキャップ40の開口42の端縁に嵌合された状態を安定的に維持するのに有利である。側面216aに、実施形態1の凸部16bと同様の凸部が設けられていてもよい。
メスコネクタ2には、筒先82より小径のオス部材(例えばオスルアー90)を接続することも可能である。図示を省略するが、実施形態1(図7参照)と同様に、オスルアー90がメスコネクタ2と連通したとき、中央部11が下方に移動され、薄肉部213が、下方に向かって屈曲され、上下方向に伸ばされる。オスルアー90はセプタム210のスリット12を貫通する。セプタム210のリップ12aがオスルアー90の外周面93に密着する。比較的小径のオスルアー90をメスコネクタ2に挿入したときにも、セプタム210の反発力を小さくすることができ、オスルアー90によってセプタム210に亀裂が発生するのを防止することができ、また、オスルアー90に対するセプタム210の密着性を確保することができる。
このように、メスコネクタ2にも、外径の異なる複数種類のオス部材(筒先82、オスルアー90)を液漏れすることなく接続することができる。
オスルアー90をメスコネクタ2に接続したとき、薄肉部213が、第1溝216を規定する中央部11側の側面216a(図8参照)に半径方向に密着してもよい。この場合、筒先82を接続した場合(図10参照)と同様に、薄肉部213と側面216aとの間に摩擦力が発生する。この摩擦力は、伸ばされた薄肉部213が自然状態に戻るように縮むのを妨げる。変形されたセプタム210に発生する反発力は弱められる。
図8~図10の例では、第1溝216の中央部11側の側面216aがキャップ40の開口42の端縁に嵌合したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1溝216の側面216aがキャップ40の開口42の端縁よりも半径方向外側に位置するように、第1溝216が開口42の端縁から半径方向外側に離れて配置されていてもよい。
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が、本実施形態2にも適用される。
上記の実施形態1,2は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態1,2に限定されず、適宜変更することができる。
メスコネクタの構成は、上記の実施形態1,2に限定されない。例えば、本体20とキャップ40とがセプタムの外周部15を保持する構造は、任意に変更しうる。セプタムの溝17,18のうちの一方又は両方を省略し、リブ23,43が外周部15を上下方向に局所的に圧縮しながら保持してもよい。
本発明のメスコネクタが、セプタム110を除いて従来のメスコネクタ101と同様の構成を有していてもよい。
セプタムが、側面16aに凸部16bを備えていなくてもよい。更に、メスコネクタにオス部材を挿入したとき、側面16a,216aと薄肉部13,213とが離間してもよい。この場合にも、相対的に変形が容易な薄肉部13,213が選択的に伸ばされるので、オス部材をメスコネクタに挿入したときにセプタムの反発力を小さくすることができる。
第1溝16,216の幅(半径方向寸法)を規定する対向する2つの側面は中心軸1aに略平行である必要はない。例えば、2つの側面のうちの一方または両方が円錐面状に傾斜していてもよく、あるいは、2つの側面のうちの一方または両方に、上述した凸部(実施形態1の凸部16b)に加えてもしくはこれに代えて、側面の半径方向位置が中心軸1a方向において変化するような任意の形状(例えば階段状の段差)が設けられていてもよい。
上記の実施形態1,2では、小径のオスルアー90は、セプタムのスリット12を貫通した(図7参照)。しかしながら、本発明は、小径のオスルアー90がセプタムのスリット12を貫通することは必須ではない。例えば、オスルアー90の流路94が、筒先82の流路84(図3参照)と同様に、オスルアー90の先端において開口していてもよい。この場合、オスルアー90がスリット12を貫通しなくても、オスルアー90とメスコネクタ1,2とを連通させることは可能である。オスルアー90がスリット12を貫通しないことは、オスルアー90を接続したときのセプタムの変形を更に小さくする。
上記の実施形態1,2のメスコネクタは、メスコネクタをチューブの末端に接続するために接続部30を備えていた。接続部30の構成は任意に変更できる。メスコネクタが、チューブの末端に設けられるのではなく、チューブの途中に、いわゆる混注ポートとして設けられていてもよい(特許文献1,2,4,5参照)。この場合、接続部30は省略される。
メスコネクタに接続されるオス部材の構成も任意である。オス部材がメスコネクタに接続された状態を安定的に維持するためのロック機構が、オス部材を備えたオスコネクタに設けられていてもよい。オス部材がメスコネクタのキャップ40の開口42に嵌合することができないほどに小径である場合(図7参照)には、セプタムの反発力によってオス部材がメスコネクタから押し出されないように、オス部材にロック機構を一体的に設けることは特に有効である。ロック機構の構成は、任意である。例えば、特許文献4に記載されたように、ロック機構が、メスコネクタの環状溝28に嵌入する爪が設けられた、揺動可能なロックレバーで構成されていてもよい。あるいは、特許文献5に記載されたように、ロック機構が、メスコネクタの外周面に設けられた略L字状の凹部27に係合する突起で構成されていてもよい。