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JP7284001B2 - アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法 - Google Patents

アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法に関する。
近年エネルギー源として注目を集めている水素ガスの工業的な製造方法の一つとして水の電気分解が知られている。水の電気分解は、一般的に、導電性を高めるために水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を電解質として添加した水に、直流電流を印加することにより行われている。そのような水の電気分解には、陽極室と陰極室を有し、これらが隔膜により仕切られた電解槽が使用される。
水の電気分解は、電子(又はイオン)の移動により行われる。そのため、電気分解を効率よく行うためには、隔膜には高いイオン透過性が必要とされる。また、陽極室で発生した酸素と、陰極室で発生した水素とを遮断し得るガスバリア性が必要とされる。水の電気分解では、30%程度の高濃度のアルカリ性水溶液が使用され、80~90℃程度で行われる。このため、水の電気分解に使用されるアルカリ水電解用隔膜には耐高温や耐アルカリ性も必要とされる。また、アルカリ水電解用隔膜としては、より高いイオン伝導性とより高いガスバリア性を両立した隔膜が求められていた。
アルカリ水電解用隔膜としては、非溶媒誘起相分離法(NIPS)によって製造された多孔性膜がこれまでに種々提案されている。
非溶媒誘起相分離法による製膜について、非特許文献1には、ポリスルホン、ジルコニアとポリビニルピロリドンを含む樹脂溶液から非溶媒誘起相分離法にて製造した多孔膜が記載されている。しかしながら、使用するポリビニルピロリドンの分子量ならびに該多孔膜の表面層における緻密性については検討されていない。
Front.Chem.Sci.Eng.2014,8(3);295-305
本発明の課題は、高いイオン伝導性と高いガスバリア性を両立したアルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、有機ポリマーと無機粒子とを含むアルカリ水電解用隔膜において、高分子量のポリビニルピロリドンを製膜時に使用することにより、表面における樹脂組成割合が増加し、緻密な表面構造となり、高いイオン伝導性と高いガスバリア性を両立したアルカリ水電解用隔膜を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、有機ポリマーと無機粒子とを含むアルカリ水電解用隔膜であって、該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sa)に対する有機ポリマーの面積の和(Pa)の割合A(Pa/Sa)と、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sb)に対する有機ポリマーの面積の和(Pb)の割合B(Pb/Sb)との比B/Aが1.0以下である。
また、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における空隙率Cと、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における空隙率Dとの比D/Cが1.8以上であることが好ましい。
またさらに、本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、無機粒子、重量平均分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン、及び溶媒を含む分散液を調製する分散液調製工程;該分散液と有機高分子樹脂(R)を混合して樹脂混合液を調製する樹脂混合液調製工程;及び、該樹脂混合液を用いて膜を形成する膜形成工程;を含む。
本発明によれば、高いイオン伝導性と高いガスバリア性を両立したアルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法を提供できる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の断面の一形態を模式的に示す断面図である。 本発明のアルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲、ならびに該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲を模式的に表す図である。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。また、本明細書において、「A~B」の記載は、「A以上、B以下」を意味する。
1.アルカリ水電解用隔膜
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、有機ポリマーと無機粒子とを含むアルカリ水電解用隔膜であって、該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sa)に対する有機ポリマーの面積の和(Pa)の割合A(Pa/Sa)と、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sb)に対する有機ポリマーの面積の和(Pb)の割合B(Pb/Sb)との比B/Aが1.0以下である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における空隙率Cと、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における空隙率Dとの比D/Cが1.8以上であることが好ましい。
また、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、該膜の表面において、X線光電子分光法(ESCA)によって求められる窒素/炭素元素atm%が2.0~8.0であることが好ましい。
1-1 有機ポリマー
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、有機ポリマーを含む。有機ポリマーは無機粒子を保持する。有機ポリマーは無機粒子を保持する隔壁として機能し、後述する無機粒子の親水性表面の減少を最小限なものとしながら、アルカリ溶液中で隔膜から無機粒子が脱落するのを抑制することができる。
上記有機ポリマーとしては、無機粒子を保持し、好ましくはアルカリ溶液中で膨潤することなく、本発明の効果を発揮できる有機高分子樹脂(R)[以下、単に樹脂(R)という場合がある]であれば特に限定されない。上記樹脂(R)としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;又は、ポリスルホン、ポリスチレン等の芳香族炭化水素系樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、更に耐熱性、耐アルカリ性に優れたアルカリ水電解用隔膜とすることができる点で、芳香族炭化水素系樹脂が好ましい。また隔膜を構成する有機ポリマーとして、後述する親水性添加剤が膜に残存したものでも良い。
上記芳香族炭化水素系樹脂としては、より具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリフェニルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。なかでも、より一層優れた耐アルカリ性を付与することができる点で、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群より選択された少なくとも1種が好ましく、製造上の観点で、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンがより好ましい。
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群より選択された少なくとも1種を用いることにより、例えば、非溶媒誘起相分離法や蒸気誘起相分離法を用いて隔膜を製造する際には、スルホニル基が後述の無機粒子との適度な親和性を有することにより、相分離条件の調整が容易となる。また、耐アルカリ性が更に高くなることで、アルカリ溶液中で長時間使用した場合の寸法や質量、抵抗値の安定性や新たな空孔の発生抑制効果により優れたものとなる。
上記樹脂(R)の含有量は、好ましくはアルカリ水電解用隔膜100質量%中3~50質量%である。上記樹脂(R)の含有量が上述の範囲であると、アルカリ水電解用隔膜のイオン透過性や靱性が良好でありながら、アルカリ溶液中でのアルカリ水電解用隔膜からの無機成分の溶出が更に一層抑制される。また、高いイオン伝導性を示すと共に、イオン透過性、ガスバリア性、耐熱性及び耐アルカリ性にも優れたアルカリ水電解用隔膜となり得る。上記樹脂(R)の含有量は、アルカリ水電解用隔膜100質量%中、より好ましくは5~47質量%であり、更に好ましくは7~45質量%である。
上記樹脂(R)の含有量は、本発明のアルカリ水電解用隔膜が後述する多孔性支持体を含まない場合は、アルカリ水電解用隔膜100質量%中5~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~47質量%、更に好ましくは10~45質量%である。本発明のアルカリ水電解用隔膜が有機ポリマーとして後述する多孔性支持体を含む場合は、上記樹脂(R)の含有量は、好ましくはアルカリ水電解用隔膜100質量%中3~25質量%、より好ましくは5~20質量%、更に好ましくは7~18質量%である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、後述する無機粒子100質量部に対して上記樹脂(R)を10~50質量部含むことが好ましく、12~45質量部含むことがより好ましく、15~40質量部含むことが更に好ましい。無機粒子と上記樹脂(R)の含有割合が上述した範囲であると、アルカリ溶液中でのアルカリ水電解用隔膜からの無機成分の溶出が更に一層抑制される。また、高いイオン伝導性を示すと共に、イオン透過性、ガスバリア性、柔軟性、耐熱性及び耐アルカリ性にも優れたアルカリ水電解用隔膜となり得る。
1-1-1 多孔性支持体
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、上述した有機ポリマーと後述する無機粒子を含む膜からなるものであるが、上記有機ポリマーとして多孔性支持体を含んでいてもよい。上記多孔性支持体は、多孔質の有機ポリマーであり、イオン透過性を阻害せず、アルカリ水電解用隔膜の支持体となり得る部材である。上記多孔性支持体は、シート状の部材であることが好ましい。
上記多孔性支持体の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、優れた耐熱性及び耐アルカリ性を発揮できる点で、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選択された少なくとも1種の樹脂材料を含むことが好ましく、ポリプロピレン、及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選択された少なくとも1種の樹脂材料を含むことがより好ましい。
上記多孔性支持体の形態としては、例えば、不織布、織布(織物)、編物、メッシュ、多孔質膜、フェルト又は不織布と織布の混合布等が挙げられるが、好ましくは、不繊布、織布、メッシュ、又はフェルトが挙げられ、より好ましくは、不織布、織布、メッシュが挙げられる。
上記多孔性支持体としては、なかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む、不織布、織布、メッシュ、又はフェルトが好ましい。更に、多孔性支持体としては、ポリフェニレンサルファイドを含む、不織布、メッシュ、又はフェルトが好ましい。上記多孔性支持体中のポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリフェニレンサルファイドの含有量は、合計で50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
上記多孔性支持体がシート状である場合、上記多孔性支持体の厚みは、本発明のアルカリ水電解用隔膜が本発明の効果を発揮できる限り特に限定されないが、例えば、好ましくは30~2000μm、より好ましくは50~1000μm、更に好ましくは80~500μm、最も好ましくは80~250μmである。
1-2 無機粒子
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、無機粒子を含む。本発明のアルカリ水電解用隔膜は、無機粒子間あるいは粒子と有機ポリマーとの空隙部分に電解液が満たされてイオン透過性を発揮することができる。また、無機粒子を含むことにより、アルカリ水電解用隔膜が親水化し、水の電気分解において発生する酸素ガスや水素ガスが隔膜に付着して電気分解の妨げになることを抑制することができる。
本発明において使用する無機粒子としては、例えば、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、タンタル等の水酸化物又は酸化物、カルシウム、バリウム、鉛、ストロンチウム等の硫酸塩等が挙げられる。なかでも、無機粒子の分散性やアルカリ溶液中での安定性がより一層優れる点で、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、水酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、硫酸バリウムがより好ましい。上記無機粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機粒子としては、天然物であっても合成物であってもよい。また、表面が未処理のものであってもよく、溶媒への分散を向上させるために、シランカップリング剤、ステアリン酸、オレイン酸、脂肪酸、高級脂肪酸、カルボン酸エステル、リン酸エステル等により表面処理したものであってもよい。上記無機粒子の形状は、粒子状であれば特に限定されず、不定形;真球状、長楕円球状等の球状;薄片状、六角板状等の板状;繊維状のいずれの形状であってもよいが、溶媒に分散しやすく、樹脂組成物を調製しやすい点で、球状、板状、繊維状であることが好ましく、アルカリ水電解隔膜のイオン透過性や粒子の保持性の点で、板状であることがより好ましい。
上記無機粒子は、アスペクト比が1.0~8.0であることが好ましい。アスペクト比が上述の範囲であると、イオン透過性がより一層優れ、均一性に優れた隔膜とすることができる。上記アスペクト比は、1.5~7.0であることがより好ましく、2.0~6.0であることが更に好ましい。
本明細書中、アスペクト比とは、最長径aと最短径bとの比(a/b)を意味し、粉体状の無機粒子をSEMで観察し、得られた画像の任意の10粒子において、解析ソフト等を使用して、各粒子の最長径aと最短径bとの比(a/b)を測定し、それらの比の単純平均値をその粒子のアスペクト比として求めることができる。
上記最長径aとしては、例えば、粒子の形状が板状の場合、粒子の板面の長径を採用し、繊維状である場合は、繊維の長さを採用する。また、最長径aの中点を通って最長径と直行する径のうちの最も短い径を最短径bとする。上記最短径bとしては、例えば、粒子の形状が板状の場合は、粒子の厚みを採用し、繊維状である場合は、繊維の太さを採用する。粒子の厚み及び繊維の太さとしては、最長径aの中点における厚み、太さをそれぞれ採用する。
上記無機粒子の平均粒子径は、上記無機粒子の分散性がより一層優れる点で、0.01~2.0μmであることが好ましく、0.05~1.0μmであることがより好ましく、0.08~0.7μmであることが更に好ましい。なお、上記平均粒子径は、無機粒子と0.2質量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いて分散処理を行った無機粒子分散液を用いて、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定から求められる体積平均粒子径(d50)である。上記無機粒子の平均粒子径が上述の範囲であると、高いイオン伝導性を示すと共に、イオン透過性、ガスバリア性により優れた隔膜とすることができる。
上記無機粒子の比表面積は、隔膜のイオン透過性がより一層優れる点で、5~35m/gが好ましく、5.5~25m/gであることがより好ましく、6~20m/gであることが更に好ましい。なお、上記比表面積は、粉体状の無機粒子について液体窒素を用いたBET法により測定される比表面積である。アルカリ水電解用隔膜におけるイオンパスは無機粒子の親水性の高い表面により形成されるため、上記無機粒子の比表面積が上述の範囲であると、イオン透過性により一層優れた隔膜とすることができる。
上記無機粒子の含有量は、好ましくは、アルカリ水電解用隔膜100質量%中30~95質量%である。上記無機粒子の含有量が上述の範囲であると、アルカリ溶液中での無機成分の溶出がより一層抑制され、高いイオン伝導性を示すと共に、イオン透過性、ガスバリア性、耐熱性及び耐アルカリ性に優れた隔膜とすることができる。上記無機粒子の含有量は、アルカリ水電解用隔膜100質量%中、より好ましくは32~92質量%、更に好ましくは35~90質量%である。
上記無機粒子の含有量は、本発明のアルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含まない場合は、アルカリ水電解用隔膜100質量%中50~95質量%であることが好ましく、より好ましくは53~92質量%、更に好ましくは55~90質量%である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含む場合は、上記無機粒子の含有量は、好ましくはアルカリ水電解用隔膜100質量%中30~48質量%、より好ましくは32~45質量%、更に好ましくは35~43質量%である。
図1に、本発明のアルカリ水電解用隔膜の一形態を模式的に示す。アルカリ水電解用隔膜1は、単膜層2と支持体層3を含んでいる。単膜層2は、上記樹脂(R)と無機粒子とを含む層であり、支持体層3は、上記樹脂(R)と無機粒子と多孔性支持体とを含む層である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜において、上述した単膜層2は、上記支持体層3の一方の面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
また、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、上述した単膜層2は無くても良く、無機粒子と上記樹脂(R)と上記多孔性支持体とが一体化した支持体層3としての複合体であってもよい。上記複合体とすることにより、アルカリ水電解用隔膜の強度と靭性を向上させることができる。
1-3 膜表面層における有機ポリマー組成割合
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sa)に対する有機ポリマーの面積の和(Pa)の割合A(Pa/Sa)と、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sb)に対する有機ポリマーの面積の和(Pb)の割合B(Pb/Sb)との比B/Aが1.0以下である。上記比B/Aの下限としては、0.6が挙げられる。上記比B/Aを上述した範囲とした場合に、膜表面付近において特に膜表面層における有機ポリマーの組成割合が増加し、膜表面層が緻密な構造となり、高いイオン伝導性と高いガスバリア性を両立したアルカリ水電解用隔膜となる。なお、本明細書において、膜表面層とは、膜表面と該膜表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲をいい、膜表面付近とは、膜表面と該膜表面から深さ方向に15μm離れた位置との間の範囲をいう。
図2にアルカリ水電解用隔膜1の断面10を模式的に示す。上記比B/Aの算出方法を図2を用いて具体的に説明すると、アルカリ水電解用隔膜1の表面11に垂直な断面10において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面10の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面11と、該表面11から深さ方向Sに1μm離れた位置との間の範囲Taにおいて、FE-SEM測定による断面観察画像を得る。得られた断面観察画像に対して、解析ソフトを用いて画像を明部と準明部に分ける。ここで、明部が無機粒子であり、準明部が有機ポリマーである。そして、明部と準明部との面積の和から無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sa)を、準明部の面積の和から有機ポリマーの面積の和(Pa)を得、割合A(Pa/Sa)を求める。
また、アルカリ水電解用隔膜の表面11に垂直な断面10において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面10の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面11から2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲Tbにおいて、FE-SEM測定による断面観察画像を得る。得られた断面観察画像に対して、上記と同様にして、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sb)、有機ポリマーの面積の和(Pb)を得、割合B(Pb/Sb)を求める。
得られた上記割合AとBから、比B/Aを求める。
上記アルカリ水電解用隔膜の表面は特に限定されず、例えば、図1におけるアルカリ水電解用隔膜1の単膜層2側の表面でも良いし、支持体層3側の表面でも良い。支持体層3側の表面の場合、支持体成分を除外した算出が必要である。また、上記B/A値を決定する方法としては、上記範囲12においてFE-SEMで2万倍率に観察した像(例えば、4.4μm×6.2μm視野)で評価して決定することが好ましい。本発明のアルカリ水電解用隔膜では、このように決定したB/A値が1.0以下であれば、イオン伝導性とガスバリア性の向上が両立し、アルカリ水の電気分解に好適に用いることができる隔膜とすることができる。なお、B/A値としては、上記範囲Ta,Tbで任意に選択した視野において、少なくとも1組のA値とB値からB/A値として1.0以下の値が得られれば、本発明の範囲に含まれる。A値およびB値を得る領域の最小限の大きさとしては、1.0μm×6.2μmの領域が挙げられる。
1-4 窒素残存量
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、該膜の表面において、X線光電子分光法(ESCA)によって求められる窒素/炭素元素atm%が2.0~8.0であることが好ましい。ESCA分析の検出元素としては、炭素、窒素、酸素、マグネシウム、硫黄である。上記窒素/炭素元素atm%は、より好ましくは2.2~7.0であり、さらに好ましくは2.5~6.0である。これらの元素濃度は例えば、X線光電子分光分析装置(日本電子社製JPS-9000MX、X線源:MgKα線)により測定して得られる値である。ESCA分析によって検出される窒素元素は、分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン由来の窒素元素であることが好ましい。さらには、上記分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドンは、後述の本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法において添加されたものであることが好ましい。上記アルカリ水電解用隔膜の表面は特に限定されず、例えば、図1におけるアルカリ水電解用隔膜1の単膜層2側の表面でも良いし、支持体層3側の表面でも良い。支持体層3側の表面の場合、支持体成分を除外した算出が必要である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜では、ESCA分析によって求められる窒素/炭素元素atm%が上述した範囲である場合に、膜表面付近において特に膜表面層の緻密性がより向上し、高いイオン伝導性と高いガスバリア性をより一層両立したアルカリ水電解用隔膜となる。
1-5 空隙率
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における空隙率Cと、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における空隙率Dとの比D/Cが1.8以上であることが好ましい。上記比D/Cは、2.0以上であることがより好ましく、2.2以上であることがさらに好ましい。上記比D/Cの上限としては、4.5が挙げられる。上記比D/Cを上述した範囲とした場合に、膜表面付近において特に膜表面層の緻密性がより向上し、高いイオン伝導性と高いガスバリア性をより一層両立したアルカリ水電解用隔膜となる。
上記比D/Cの算出方法を図2を用いて具体的に説明すると、アルカリ水電解用隔膜1の表面11に垂直な断面10において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面10の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面11と、該表面11から深さ方向Sに1μm離れた位置との間の範囲Taにおいて、FE-SEM測定による断面観察画像を得る。得られた断面観察画像に対して、解析ソフトを用いて画像を明部と暗部に分ける。ここで、暗部が空隙である。そして、画像全体の面積に対する暗部の面積の和の比率として空隙率Cを求める。
また、アルカリ水電解用隔膜の表面11に垂直な断面10において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面10の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面11から2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲Tbにおいて、FE-SEM測定による断面観察画像を得る。得られた断面観察画像に対して、上記と同様にして、画像全体の面積に対する暗部の面積の和の比率として空隙率Dを求める。
得られた上記空隙率CとDから、比D/Cを求める。
上記アルカリ水電解用隔膜の表面は特に限定されず、例えば、図1におけるアルカリ水電解用隔膜1の単膜層2側の表面でも良いし、支持体層3側の表面でも良い。支持体層3側の表面の場合、支持体成分を除外した算出が必要である。また、上記B/A値を決定する方法としては、上記範囲12においてFE-SEMで2万倍率に観察した像(例えば、4.4μm×6.2μm視野)で決定することが好ましい。本発明のアルカリ水電解用隔膜(3)では、このように決定したD/C値が1.8以上であれば、イオン伝導性とガスバリア性の向上が両立し、アルカリ水の電気分解に好適に用いることができる隔膜とすることができる。なお、D/C値としては、上記範囲Ta,Tbで任意に選択した視野において、少なくとも1組のC値とD値からD/C値として1.8以上の値が得られれば、本発明の範囲に含まれる。C値を得る領域の最小限の大きさとしては、1.0μm×6.2μmの領域、D値を得る領域の最小限の大きさとしては、4.4μm×6.2μmの領域が挙げられる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜では、膜全体としての空隙率が25~80%であることが好ましく、30~75%がより好ましく、35~70%がさらに好ましい。膜全体としての空隙率が上述の範囲であると、隔膜中の空隙に電解液がより連続的に満たされるため、より高いイオン伝導性を示すと共に、イオン透過性により優れ、かつガスバリア性により優れた膜とすることができる。
上記膜全体としての空隙率は、下記に示す方法により測定された隔膜の実測密度値、および隔膜を構成する各成分の密度値(真密度)および組成比を用いて算出される隔膜の計算密度値より、下記式から算出できる。
空隙率(%)=[1-(実測密度値)/(計算密度値)]×100
実測密度値は、得られた隔膜の任意の場所から切り出した試験片について、質量と体積を測定し、質量を体積で除すことにより算出できる。体積は、試験片の縦方向の長さ、横方向の長さを、ノギスを用いて測定、膜厚を上記膜厚測定方法に基づき測定することにより算出できる。また、試験片の質量は、体積を測定した試験片について小数点以下4桁の精密天秤を用いて測定できる。
1-6 イオン伝導度
本発明のアルカリ水電解用隔膜のイオン伝導度は、実施例に記載の方法で算出できる。本発明のアルカリ水電解用隔膜のイオン伝導度は、100mS/cm超であることが好ましい。このようにした場合に、アルカリ水電解における電解効率をより高くできる。
1-7 厚み
本発明のアルカリ水電解用隔膜の厚みは、特に限定されず、使用する設備の大きさや取り扱い性等に応じて適宜選択すればよいが、膜の高いイオン伝導性と共に、ガスバリア性やイオン透過性、強度の観点から、50~2000μmが好ましく、100~1000μmがより好ましく、100~500μmが更に好ましく、150~350μmが最も好ましい。
また、上述した多孔性支持体を含む場合、本発明のアルカリ水電解用隔膜の厚みは、好ましくは50~2000μm、より好ましくは100~1000μm、更に好ましくは100~500μm、最も好ましくは150~300μmである。
2.アルカリ水電解用隔膜の製造方法
本発明のアルカリ水電解隔膜の製造方法は、無機粒子、分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン、及び溶媒を含む分散液を調製する分散液調製工程;該分散液と有機高分子樹脂(R)を混合して樹脂混合液を調製する樹脂混合液調製工程;及び、該樹脂混合液を用いて膜を形成する膜形成工程;を含む。
以下に、各工程について説明する。
2-1 分散液調製工程
上記製造方法では、無機粒子を上記樹脂(R)と混合する場合、予め無機粒子を溶媒に分散させた分散液を調製してから上記樹脂(R)と混合する。さらに、上記分散液調製工程では、無機粒子、溶媒に、分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドンを添加して分散液を調製する。無機粒子と分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドンとを含む分散液を調製してから、上記樹脂(R)と混合することにより、製造する膜の表面層における樹脂(R)の割合が増加し、また、膜表面付近において特に膜表面層の空隙率が低い値に抑制され、緻密な構造となり、イオン伝導性とガスバリア性の向上が両立できる。膜により多くの「分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン」を残存させるように、粒子に積極的に「分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン」を作用させるため、分散液調整工程で「分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン」を添加することが好ましい。上記分散液には、分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン以外の分散剤を添加しても良い。
上記分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドンにおける分子量の下限としては、25万が好ましく、30万がより好ましい。上記分子量の上限としては、125万が好ましい。添加するポリビニルピロリドンの分子量を20万以上とすることにより、ポリビニルピロリドンの膜中への残存量が増加し、樹脂(R)の凝集に効果を発揮しやすくなると考えられる。また、添加するポリビニルピロリドンの分子量が130万を超えると、分散液の粘度が増加し、粒子の分散効果が低下する。
なお、本明細書において、分子量は重量平均分子量であり、下記のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法の条件で測定して求めることができる。
装置:東ソー製 HLC-8320GPC
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 Shodex KD-806M(2本)、KD-G 4A
カラム温度:40℃
流速:0.8ml/min
検量線:Polystyrene Standards
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(0.1%LiBr含有)
分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドンの添加量としては、無機粒子100質量部に対し、1~10質量部が好ましく、1~8質量部がより好ましく、2~7質量部がさらに好ましく、4~6質量部が特に好ましい。また、後述の樹脂混合液調製工程において混合される樹脂(R)100質量部に対し、3~30質量部が好ましく、3~40質量部がより好ましく、6~30質量部がさらに好ましく、12~20質量部が特に好ましい。
上記分散剤としては、カチオン系界面活性剤;アニオン系面活性剤;カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基等の親水性官能基を有する従来公知の顔料分散剤等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、分子内に炭素数5以上の炭化水素鎖を有するカチオン系界面活性剤がより好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、分子内に炭素数5以上の炭化水素鎖を有するアニオン系界面活性剤がより好ましい。
ポリマー顔料分散剤としては、親水性官能基を有するポリマーであれば特に制限されないが、炭素数が5以上の炭化水素鎖を主鎖または側鎖に有するポリマーであることが好ましく、さらに構成単位(繰り返し単位)として炭素数が5以上の炭化水素鎖を含むポリマーであることがより好ましく、構成単位として炭素数が5以上のポリエステルあるいはポリエーテルを含むポリマーであることがさらに好ましい。
このようなポリマーとしては、炭素数が5以上の炭化水素鎖を含む構成単位のみを繰返し単位として含むポリマーであっても、炭素数が5以上の炭化水素鎖を含む構成単位以外の構成単位を繰返し単位としてさらに含むものであってもよい。
また、後者の場合、炭素数が5以上の炭化水素鎖を含む構成単位のみを繰返し単位として含むブロックと他の構成単位から構成されるブロックとからなるポリマーであっても、分子内に、炭素数が5以上の炭化水素鎖を含む構成単位と他の構成単位とがランダムに繋がった構造のポリマーであってもよい。
上記分散剤の使用量は、溶媒100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、1.2~8.0質量部がより好ましく、1.5~5.0質量部以下がさらに好ましい。このようにすることにより、無機粒子の分散安定性をより効果的に向上できる。
上記分散液中の無機粒子の含有量は、20~70質量%であることが好ましく、より好ましくは30~65質量%、更に好ましくは50~65質量%である。
無機粒子を分散させるための溶媒としては、後に混合する上記樹脂(R)を溶解し得る性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、トルエン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、無機粒子の分散性が良好となる点で、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。分散液中の無機粒子に対する溶媒の使用量は、無機粒子100質量部に対して、50~100質量部が好ましく、50~90質量部がより好ましく、50~80質量部がさらに好ましい。
無機粒子を溶媒に分散させる方法としては、特に限定されず、ミキサー、ボールミル、ジェットミル、ディスパー、サンドミル、ロールミル、ポットミル、ビーズミル、ペイントシェーカー等を用いる方法等、公知の混合分散の手段を適用することができる。
上記分散液中における無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1~1.0μm、より好ましくは0.15~0.8μm、さらに好ましくは0.15~0.5μmである。なお、上記分散液中における無機粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器を用いて、分散液中に分散した無機粒子の粒子径測定を行い、キュムラント法解析により得られる平均粒子径とすることができる。
2-2 樹脂混合液調製工程
上記樹脂混合液調製工程では、上記分散液調製工程で調製された分散液に有機高分子樹脂(R)を混合して樹脂混合液を調製する。上記樹脂混合液には、親水性添加剤を添加しても良い。上記親水性添加剤としては、有機親水性添加剤であっても良く、無機親水性添加剤であってもよい。上記有機親水性添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、分子量10万未満のポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、デキストラン等の水溶性ポリマー;界面活性剤;グリセリン;糖類等が挙げられる。上記無機親水性添加剤としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム等が挙げられる。親水性添加剤の使用量は、分散液中の無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
上記分散液調製工程で調製された分散液に上記樹脂(R)を混合する方法としては、上記分散液と上記樹脂(R)を充分に混合することができる方法であれば特に限定されず、上記分散液に上記樹脂(R)をそのまま混合してもよいし、予め上記樹脂(R)を溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製して、上記樹脂溶液と上記分散液とを混合してもよい。なかでも、上記無機粒子と上記樹脂(R)をより均一に分散・混合できる点で、上記樹脂溶液を調製して、上記樹脂溶液と上記分散液とを混合して樹脂混合液とする方法が好ましい。
上記樹脂混合液を調製する場合に使用する溶媒としては、上記樹脂(R)を溶解する性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、トルエン等が挙げられる。なかでも、上記無機粒子と上記樹脂(R)がより均一に分散・混合できる点で、上記分散液の調製に使用した溶媒と同じ溶媒が好ましい。
上記樹脂溶液中の上記樹脂(R)の含有量は、5~50質量%であることが好ましく、10~45質量%であることがより好ましく、15~40質量%であることが更に好ましい。
上記混合する方法としては、上記分散液調製工程で記載した混合分散の手段と同様の手段が挙げられる。
上記分散液と上記樹脂(R)は、好ましくは、無機粒子100質量部に対して、上記樹脂(R)が10~40質量部、より好ましくは12~35質量部、さらに好ましくは15~33質量部になるように混合することが好ましい。無機粒子と上記樹脂(R)の含有割合が上述した範囲であると、得られたアルカリ水電解用隔膜のアルカリ溶液中での無機成分の溶出が更に一層抑制され、より高いイオン伝導性を示すと共に、イオン透過性、ガスバリア性、耐熱性及び耐アルカリ性にもより優れたアルカリ水電解用隔膜を製造できる。
上記無機粒子の分散液と上記樹脂(R)の溶液とを混合する場合、無機粒子の分散液中の溶媒と上記樹脂(R)の溶液中の溶媒との合計含有量は、無機粒子の分散液と上記樹脂(R)の溶液との合計質量100質量%に対して、30~75質量%であることが好ましい。より好ましくは、35~70質量%であり、更に好ましくは、40~65質量%である。アルカリ水電解用隔膜の空隙率を好ましい範囲に調整するためにはこのような割合で溶媒を用いることが好ましい。
2-3 膜形成工程
上記膜形成工程では、上記樹脂混合液調製工程で得られた樹脂混合液を用いて膜を形成する。
上記膜を形成する方法としては、アルカリ溶液中での無機成分の溶出がより一層抑制されたアルカリ水電解用隔膜を容易に製造することができる点で、下記の工程(a)、(b)を含むことが好ましい。
(a)上記樹脂混合液の塗膜を形成する工程、及び、
(b)上記塗膜を非溶媒と接触させることにより上記塗膜を凝固させ、多孔質膜を得る工程
(a)樹脂混合液の塗膜を形成する工程
上記樹脂混合液の塗膜を形成する方法としては、例えば、上記で得られた樹脂混合液を基材上に塗布する方法や、上記樹脂混合液中に基材を浸漬させ、上記樹脂混合液が含浸した基材を得る方法等が挙げられる。なかでも、簡便に塗膜を形成できる点で、上記樹脂混合液を基材上に塗布する方法が好ましい。
上記樹脂混合液を基材上に塗布する方法としては、特に限定されず、ダイコーティング、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いる方法等の公知の塗布手段を適用することができる。
上記基材としては、上記樹脂混合液を塗布して塗膜を形成することができるものであれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等の樹脂からなるフィルム又はシート、ガラス板等が挙げられる。なかでも、ハンドリングが良好である点および原料コストが低減できる点で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、上述した多孔性支持体を含むアルカリ水電解用隔膜を製造する場合は、上記基材として上記多孔性支持体を使用してもよい。
また、無機粒子と上記樹脂(R)を含む膜と多孔性支持体とが一体化した複合体であるアルカリ水電解用隔膜を製造する場合は、上記基材上に、上記樹脂混合液を塗布し、その塗液上に上記多孔性支持体を置いて塗液を上記多孔性支持体に含浸させてもよい。
上記樹脂混合液の塗布量としては、特に限定されず、上記隔膜が、上述した効果が発揮できる厚みを有するよう適宜設定すればよい。
(b)上記塗膜を非溶媒と接触させることにより上記塗膜を凝固させる工程
上記塗膜を非溶媒と接触させることにより、上記塗膜中に非溶媒が拡散し、非溶媒に溶解しない上記樹脂(R)が凝固する。一方、非溶媒に溶解しうる塗膜中の溶媒は、塗膜から溶出する。このように相分離が生じることにより、上記樹脂(R)(及び無機粒子)が凝固し、多孔質膜が形成される。
上記塗膜と非溶媒とを接触させる方法としては、上記塗膜を上記非溶媒中に浸漬させる方法(凝固浴)、上記塗膜を上記非溶媒蒸気雰囲気中に晒す方法等が挙げられる。また、塗膜を上記非溶媒蒸気雰囲気中に晒した後、引き続き、非溶媒中に浸漬させてもよい。この場合に、非溶媒蒸気雰囲気中に晒す時間は3~60秒程度、非溶媒中に浸漬する時間は、1~15分程度とすることができる。
塗膜を浸漬する非溶媒の温度としては、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。また、55℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、45℃以下がより好ましい。このような温度とすることにより、製造した隔膜におけるイオンパスをより多く形成でき、高いイオン伝導性を示すと共に、より高いガスバリア性とより高い耐久性を両立したアルカリ水電解用隔膜をより容易に製造できる。
上記非溶媒としては、上記樹脂(R)を実質的に溶解しない性質を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、イオン交換水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;又はこれらの混合溶媒等が好ましく使用できる。経済性と廃液処理の観点からはイオン交換水が好ましい。また上記非溶媒は、上述した成分以外に、塗膜中に含まれる溶媒と同様の溶媒を少量含んでいてもよい。
上記非溶媒の使用量は、塗膜100質量部、すなわち、塗膜の形成に用いられる樹脂混合液の固形分100質量部に対して、50~10000質量部であることが好ましい。より好ましくは、100~5000質量部であり、更に好ましくは、200~1000質量部である。得られる隔膜の空隙率を好ましい範囲に調整する点、塗膜中の溶媒を完全に非溶媒中に抽出する点において、非溶媒をこのような割合で使用することが好ましい。
更に、非溶媒を除去するために、上記工程で凝固した塗膜を乾燥させて、隔膜を得てもよい。
上記塗膜の乾燥温度としては、60~120℃が好ましい。
乾燥時間としては、0.5~120分が好ましく、1~60分がより好ましく、1~30分が更に好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法では、膜形成工程において分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドンが非溶媒中へ一部溶出せず残存することにより塗膜表面が緻密化され、かつ電解液に濡れやすくなることで、膜表面付近において特に膜表面層の空隙率が低い値に抑制され、緻密な構造となり、イオン伝導性とガスバリア性の向上が両立できる膜が製造されると考えられる。
このように、上述した工程により、本発明のアルカリ水電解用隔膜を簡便に製造することができる。
3.用途
本発明のアルカリ水電解用隔膜では、高いイオン伝導性を示すと共に、より高いガスバリア性とより高い耐久性を両立する。そのため、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、アルカリ性水溶液を電解液とした水の電気分解用の隔膜として好適に使用することができる。また、上述したアルカリ水電解用隔膜の他、アルカリ形燃料電池用セパレータ、1次電池用セパレータ、2次電池用セパレータ等の電池用セパレータ、食塩電解用セパレータ等の用途に用いることができる。
4.アルカリ水電解装置
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、アルカリ水電解装置の部材として用いられる。上記アルカリ水電解装置としては、例えば、陽極、陰極、及び、陽極と陰極の間に配置された上記アルカリ水電解用隔膜を含むものが挙げられる。より具体的には、上記アルカリ水電解装置は、上記アルカリ水電解用隔膜によって隔てられた、陽極が存在する陽極室と、陰極が存在する陰極室とを有する。
陽極、及び陰極としては、ニッケル又はニッケル合金等を含む導電性基体等、公知の電極が挙げられる。
5.電解方法
本発明のアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置を用いて行う水の電気分解の方法は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、上述した本発明のアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置に、電解液を充填し、電解液中で電流を印加することにより行うことができる。
上記電解液としては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の電解質を溶解したアルカリ性水溶液が用いられる。上記電解液における電解質の濃度は、特に限定されないが、電解効率がより一層向上し得る点で、20~40質量%であることが好ましい。
また、電気分解を行う場合の温度としては、電解液のイオン伝導性がより向上し、電解効率がより一層向上し得る点で、50~120℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。電流の印加条件は、公知の条件・方法で行うことができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<実施例1>
(1.水酸化マグネシウム分散液の調製)
水酸化マグネシウム(平均粒子径0.54μm)とN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)を質量比1:1となるよう混合し、水酸化マグネシウム粒子100質量%に対して、分子量120万のポリビニルピロリドンを6質量%加え、ジルコニアメディアボールを入れたポットミルにて、室温で6時間分散処理を行うことにより水酸化マグネシウム分散液を調製した。
(2.ポリスルホン樹脂溶解液の調製)
ポリスルホン樹脂(BASF社製、品番ウルトラゾーンS3010)を30質量%の濃度で80~100℃にてN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)に熱溶解させた。その後、自転公転ミキサー(シンキー社製、品番あわとり練太郎ARE-500)にて室温で1000rpmで約10分間混合してポリスルホン樹脂溶解液を調製した。
(3.塗液の調製)
上記で得られた水酸化マグネシウム分散液とポリスルホン樹脂溶解液とを、固形分が40質量%かつ水酸化マグネシウム100質量部に対してポリスルホン樹脂(PSU)が33質量部になるように計量し、自転公転ミキサー(シンキー社製、品番あわとり練太郎ARE-500)にて室温で1000rpmで約10分間混合した。得られた混合液を、SUSの200メッシュで濾過することで塗液を得た。
(4.塗膜の形成)
ポリフェニレンサルファイド不織布(東レ社製、トルコンペーパー#100)上に、乾燥後の隔膜の厚みが全体で250μmになるように塗布し、不織布に塗液を完全に含浸させた。その後、塗液を含浸させた不織布を、室温にて10分間水浴させ、塗液を凝固させて膜を形成した。水浴後、得られた膜を、乾燥機にて80℃で、30分間乾燥し、不織布と水酸化マグネシウム及びポリスルホン樹脂を含む膜との複合体からなるアルカリ水電解用隔膜を得た。
(5.膜厚の測定方法)
得られたアルカリ水電解用隔膜の厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。任意10点を測定し、その平均値を膜厚とした。膜厚は250μmであった。
(6.膜表面層における有機ポリマー組成割合の測定、算出方法)
得られたアルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面について、長手方向の両端から中央に向かって、上記断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、上記膜の表面と該表面から1μm離れた位置との間の範囲におけるFE-SEM(日本電子社製、型番:JSM-7600F)測定による断面観察画像(倍率:20,000倍)を得た。
得られた断面観察画像に対して、解析ソフト(Image-Pro Premier)を用いて、輝度のヒストグラムから画像を明部と準明部と暗部に分け、ポリスルホン樹脂に対応する準明部の面積の合計値Paと、ポリスルホン樹脂と水酸化マグネシウムに対応する明部と準明部の面積の合計値Saを算出した。そして、水酸化マグネシウムとポリスルホン樹脂の面積の和(Sa)に対するポリスルホン樹脂の面積の和(Pa)の割合A(Pa/Sa)を求めた。
同様に、得られたアルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面について、長手方向の両端から中央に向かって、上記断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、上記膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲におけるFE-SEM(日本電子社製、型番:JSM-7600F)測定による断面観察画像(倍率:20,000倍)を得た。
得られた断面観察画像に対して、解析ソフト(Image-Pro Premier)を用いて輝度のヒストグラムから画像を明部と準明部と暗部に分け、ポリスルホン樹脂に対応する準明部の面積の合計値Pbと、ポリスルホン樹脂と水酸化マグネシウムに対応する明部と準明部の面積の合計値Sbを算出した。そして、水酸化マグネシウムとポリスルホン樹脂の面積の和(Sb)に対するポリスルホン樹脂の面積の和(Pb)の割合B(Pb/Sb)を求めた。
上記で得られた割合AとBから、比B/Aを算出した。その結果、比B/Aは1.0であった。
(7.窒素残存量の測定方法)
得られたアルカリ水電解用隔膜の表面について、X線光電子分光法(ESCA)により、窒素/炭素元素atm%を測定した。その結果、窒素/炭素元素は3.7atm%であった。
(8.膜表面層における空隙率割合の測定、算出方法)
得られたアルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面について、長手方向の両端から中央に向かって、上記断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、上記膜の表面と該表面から1μm離れた位置との間の範囲におけるFE-SEM(日本電子社製、型番:JSM-7600F)測定による断面観察画像(倍率:20,000倍)を得た。
得られた断面観察画像に対して、解析ソフト(Image-Pro Premier)を用いて、輝度のヒストグラムから画像を明部と暗部に分け、空隙に対応する暗部の面積の合計値の面積率から、空隙率Cを求めた。
同様に、得られたアルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面について、長手方向の両端から中央に向かって、上記断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、上記膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲におけるFE-SEM(日本電子社製、型番:JSM-7600F)測定による断面観察画像(倍率:20,000倍)を得た。
得られた断面観察画像に対して、解析ソフト(Image-Pro Premier)を用いて、輝度のヒストグラムから画像を明部と暗部に分け、空隙に対応する暗部の面積の合計値の面積率から、空隙率Dを求めた。
上記で得られた空隙率CとDから、比D/Cを算出した。その結果、比D/Cは2.2であった。
(9.バブルポイント値の測定)
得られたアルカリ水電解用隔膜について、リキッドポロシメーター(Porous Materials社製)を用いてバブルポイント値を測定した。具体的には、2.5cmφの隔膜をイオン交換水中に室温で1時間浸漬させて十分に湿潤させた後、フッ素系溶剤であるGalwick(Porous Materials社製)を隔膜上に満たした。隔膜に対するガス圧を昇圧させていき、水の液膜が破壊されて、Galwickが膜を透過して天秤でその重量を観測した時点のガス圧をバブルポイント値とした。上記隔膜のバブルポイント値は、測定上限の1000kPa以上であった。
(10.ガーレー値の測定)
得られたアルカリ水電解用隔膜について、デジタル型王研式透気度試験機EGBO-S-1(旭精工社製)を用いてガーレー値を測定した。
上記隔膜のガーレー値は、600sであった。
(11.イオン伝導度の測定方法)
得られたアルカリ水電解用隔膜について、下記測定方法によりイオン伝導度を測定した。その結果、160mS/cmであった。
(測定方法)
測定用の隔膜試料を2枚準備する。
各隔膜試料を用いて、以下のセル構成で形成したセルを25℃の恒温槽内で30分静置した後、以下の測定条件で交流インピーダンス測定を行い、得られた切片成分(Ra)と測定サンプルを入れない場合の切片成分(Rb)および上記膜厚測定方法により得られた膜厚の値を用いて、下記式によりイオン伝導度を測定する。
隔膜試料2枚について上記測定を行い、得られた測定値(2点)の平均値を算出し、これを隔膜のイオン伝導度とする。
[イオン伝導度(mS/cm)]=[膜厚(cm)]÷[(Ra-Rb)×1000×1.77]
(測定条件)
・セル構成
作用極:Ni板
対極 :Ni板
電解液:30質量%水酸化カリウム水溶液
サンプル前処理:上記電解液に1晩浸漬
測定有効面積:1.77cm
・交流インピーダンス測定条件
印加電圧:10mV vs.開回路電圧
周波数領域:100kHz~100Hz
<実施例2>
ポリビニルピロリドンの使用量を、水酸化マグネシウム粒子100質量%に対して10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ水電解用隔膜を得た。膜厚は270μm、上記比B/Aは0.8、上記比D/Cは3.1、バブルポイント値は上限の1000kPa以上、ガーレー値は10600S、膜表面の窒素/炭素元素は6.5atm%であった。
得られたアルカリ水電解用隔膜について実施例1の場合と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、140mS/cmであった。
<比較例1>
ポリビニルピロリドンを使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてアルカリ水電解用隔膜を得た。膜厚は240μm、上記比B/Aは1.3、上記比D/Cは1.5、バブルポイント値は測定上限の1000kPa以上、ガーレー値は69S、膜表面の窒素/炭素元素は0atm%であった。
得られたアルカリ水電解用隔膜について実施例1の場合と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、135mS/cmであった。
<比較例2>
ポリビニルピロリドンについて、分子量を10万に変更し、水酸化マグネシウム粒子100質量%に対して、3質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ水電解用隔膜を得た。膜厚は260μm、上記比B/Aは1.1、上記比D/Cは1.5、バブルポイント値は490kPa、ガーレー値は279S、膜表面の窒素/炭素元素は1.8atm%であった。
得られたアルカリ水電解用隔膜について実施例1の場合と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、150mS/cmであった。
実施例1と比較例1を比較すると、バブルポイント値は上限オーバーで同じであったが、実施例1ではガーレー値が大きく、緻密性が向上(ガスバリア性が向上)した。実施例、比較例ともにイオン伝導度は全て良好な値であったが、実施例では、より高いレベルでイオン伝導性とガスバリア性を両立できた。
1 アルカリ水電解用隔膜
2 単膜層
3 支持体層
10 アルカリ水電解用隔膜の断面
11 アルカリ水電解用隔膜の表面
a アルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面の幅
S アルカリ水電解用隔膜の表面から深さ方向
Ta,Tb 測定範囲

Claims (3)

  1. 有機ポリマーと無機粒子とを含むアルカリ水電解用隔膜であって、
    該膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sa)に対する有機ポリマーの面積の和(Pa)の割合A(Pa/Sa)と、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における、無機粒子と有機ポリマーの面積の和(Sb)に対する有機ポリマーの面積の和(Pb)の割合B(Pb/Sb)との比B/Aが0.6以上1.0以下である
    アルカリ水電解用隔膜。
  2. 前記アルカリ水電解用隔膜の表面に垂直な断面において、長手方向の両端から中央に向かって、該断面の幅aに対し0.4a以上離れた範囲で、該膜の表面と該膜の表面から深さ方向に1μm離れた位置との間の範囲における空隙率Cと、該膜の表面から深さ方向に2μm離れた位置と15μm離れた位置との間の範囲における空隙率Dとの比D/Cが1.8以上である、
    請求項1に記載のアルカリ水電解用隔膜。
  3. 無機粒子、重量平均分子量20万以上130万以下のポリビニルピロリドン、及び溶媒を含む分散液を調製する分散液調製工程、
    該分散液と有機高分子樹脂(R)を混合して樹脂混合液を調製する樹脂混合液調製工程、及び、
    該樹脂混合液を用いて膜を形成する膜形成工程を含み、
    前記分散液調整工程では、前記ポリビニルピロリドンの添加量を、前記無機粒子100質量部に対して1~10質量部とする
    アルカリ水電解用隔膜の製造方法。
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