以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸であるタイヤ回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、タイヤ回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。また、以下の説明では、タイヤ子午断面とは、タイヤ回転軸を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ORタイヤ(Off the Road Tire)と呼ばれる、建設車両用ラジアルタイヤになっている。本実施形態として図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ子午断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2は、ゴム組成物であるトレッドゴム2aによって構成されている。トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、接地面3として形成されている。
トレッド部2の接地面3には、タイヤ周方向に延びる周方向溝15やタイヤ幅方向に延びるラグ溝等の溝が複数形成されており、トレッド部2には、これらの溝によって複数の陸部10が区画形成されている。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部4として形成されており、ショルダー部4から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部5が配設されている。つまり、サイドウォール部5は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配設されている。サイドウォール部5は、ゴム組成物であるサイドゴム5aによって構成されている。また、タイヤ幅方向両側のそれぞれのサイドウォール部5におけるタイヤ径方向内側寄りの位置には、リムチェックライン9が形成されている。リムチェックライン9は、サイドウォール部5の表面から突出し、タイヤ周方向における一周に亘って形成されている。
さらに、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内側には、ビード部20が位置しており、ビード部20は、サイドウォール部5と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配設されている。即ち、ビード部20は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に一対が配設されている。一対のビード部20のそれぞれにはビードコア21が設けられており、それぞれのビードコア21のタイヤ径方向外側にはビードフィラー50が設けられている。ビードコア21は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー50は、後述するカーカス6のタイヤ幅方向端部がビードコア21の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。また、ビードフィラー50は、ビードコア21の外周面に当接して配設されるローアーフィラー51と、ローアーフィラー51よりもタイヤ径方向外側寄りの位置に配設されるアッパーフィラー52とを有している。
ビード部20は、5°テーパーの規定リムRを有するリムホイールに装着することができるように構成されている。即ち、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ビード部20と嵌合する部分がリムホイールの回転軸に対して5°±1°の傾斜角でタイヤ幅方向における内側から外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に向かう方向に傾斜する規定リムRに装着することが可能になっている。なお、規定リムRとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、或いはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。
トレッド部2のタイヤ径方向内側には、ベルト層7が設けられている。ベルト層7は、3枚以上のベルトプライを積層する多層構造をなし、一般的なORタイヤでは、4枚~8枚のベルトプライが積層される。本実施形態では、ベルト層7は5層のベルトプライ7a,7b,7c,7d,7eが積層されている。このようにベルト層7を構成するベルトプライ7a,7b,7c,7d,7eは、スチール或いは有機繊維材からなる複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルトプライ7a,7b,7c,7d,7eは、タイヤ周方向に対するベルトコードのタイヤ幅方向の傾斜角が互いに異なっており、ベルトコードの傾斜方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。これにより、ベルト層7は、構造強度が高められている。5層のベルトプライ7a,7b,7c,7d,7eは、例えば、高角度ベルト7aと、一対の交差ベルト7b、7cと、ベルトカバー7dと、周方向補強層7eとから構成される。
このベルト層7のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部5のタイヤ赤道面CL側には、補強層であるカーカス6が連続して設けられている。このカーカス6は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設されるビードコア21間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス6は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部20のうち、一方のビード部20から他方のビード部20にかけて配設されており、ビードコア21及びビードフィラー50を包み込むようにビード部20でビードコア21に沿ってタイヤ幅方向外側に巻き返されている。即ち、カーカス6は、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通り、ビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配設されるように、ビード部20でビードコア21周りに折り返されており、これによりカーカス6は、ビードコア21のタイヤ幅方向における内側と外側との間にかけて配設されている。
このように配設されるカーカス6のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成るコード部材である複数のカーカスコード6aをゴム部材であるコートゴム6bで被覆して圧延加工して構成されている(図2参照)。また、カーカス6は、タイヤ周方向に対するカーカスコード6aの傾斜角であるカーカス角度が、85°以上95°以下となっている。
また、カーカス6の内方側、或いは、当該カーカス6の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ8がカーカス6に沿って形成されている。
図2は、図1のA部詳細図である。カーカス6におけるビードコア21周りに折り返されている部分には、カーカス6を補強する補強層であるチェーファーが配設されている。チェーファーとしては、例えばコード部材としてスチールコードが用いられるスチールチェーファーや、有機繊維材からなるコード部材が用いられるナイロンチェーファーが適用される。ナイロンチェーファーは、例えば、複数の有機繊維コードを配列して圧延加工して成るシート状部材、複数の有機繊維コードを織り上げて成る織物、これらのシート状部材あるいは織物をゴム引きして成る複合材などから構成される。本実施形態では、チェーファーとして、スチールコードが用いられるスチールチェーファー55と、ナイロンチェーファーであるサブチェーファー56,57との3枚が用いられており、これらの3枚のチェーファーは、積層されて配設されている。
このうち、スチールチェーファー55は、カーカス6における折り返されている部分のカーカス6の外側でカーカス6に重ねられて配設され、カーカス6と同様にビードコア21周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されてタイヤ周方向に連続的に配設されている。つまり、スチールチェーファー55は、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分ではカーカス6のタイヤ幅方向内側に位置し、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ径方向内側に位置している部分では、カーカス6のタイヤ径方向内側に位置し、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分ではカーカス6のタイヤ幅方向外側に位置している。
また、サブチェーファー56,57は、スチールチェーファー55の厚さ方向におけるカーカス6が位置する側の反対側に、2枚が重ねられて配設されている。また、サブチェーファー56,57は、スチールチェーファー55とは異なり、ビードコア21周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されておらず、主に、ビードコア21のタイヤ幅方向における内側の範囲、及びビードコア21のタイヤ幅方向における内側の範囲からタイヤ径方向外側の位置にかけて配設され、タイヤ周方向に連続的に設けられている。3枚のチェーファーは、空気入りタイヤ1の子午断面であるタイヤ子午断面において、チェーファーの厚さ方向におけるビードコア21が位置する側を内側、ビードコア21が位置する側の反対側を外側とする場合に、これらのようにスチールチェーファー55が一番内側に配置され、その外側にサブチェーファー56が配置され、さらにその外側にサブチェーファー57が配置されている。スチールチェーファー55の外側に配置されるサブチェーファー56,57は、補助的な補強層になっている。
また、カーカス6と、スチールチェーファー55との間には、緩衝ゴム61が挟み込まれて配設されている。詳しくは、緩衝ゴム61は、カーカス6におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分と、スチールチェーファー55におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分との間に配設されている。また、緩衝ゴム61は、タイヤ子午断面において、スチールチェーファー55よりも、タイヤ径方向外側の領域にも配設されている。つまり、緩衝ゴム61は、タイヤ径方向におけるスチールチェーファー55が配設されている範囲では、カーカス6とスチールチェーファー55との間に配設され、且つ、カーカス6におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分に沿って、スチールチェーファー55よりもタイヤ径方向外側の領域にかけて配設されている。
さらに、スチールチェーファー55の外側には、リムクッションゴム60が配設されている。リムクッションゴム60は、スチールチェーファー55と同様に、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からタイヤ径方向内側、タイヤ幅方向外側に亘って配設されており、タイヤ周方向に連続的に設けられている。このように配設されるリムクッションゴム60は、規定リムRのフランジに対するビード部20の接触面を構成している。
また、ビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されているビードコア21は、タイヤ子午断面で見た場合における形状が、略六角形の形状で形成されている。具体的には、ビードコア21は、ビードコア21全体で見た場合におけるビードコア21の内周面であるビードコア底23とビードコア21の外周面22とが略平行に形成されており、タイヤ幅方向における両端側の位置に、タイヤ幅方向に突出する角部を有する、略六角形の形状で形成されている。
なお、この場合におけるビードコア21のビードコア底23とは、タイヤ子午断面において、ビードコア21のタイヤ径方向内側の位置で一列に並んでビードコア21の表面を構成する複数のビードワイヤにおける、ビードコア21の表面側に露出する部分に接する仮想の直線によって示される面をいう。同様に、ビードコア21の外周面22とは、空気入りタイヤ1をタイヤ子午断面で見た場合において、ビードコア21のタイヤ径方向外側の位置で一列に並んでビードコア21の表面を構成する複数のビードワイヤにおける、ビードコア21の表面側に露出する部分に接する仮想の直線によって示される面をいう。
また、ビード部20は、ビード部20の内周面であるビードベース部30と、ビードベース部30のタイヤ幅方向内側に位置するトウ部32と、ビードベース部30のタイヤ幅方向外側に位置するヒール部35と、ヒール部35のタイヤ径方向外側に位置してタイヤ幅方向外側に面する背面部40と、を有している。このうち、ビードベース部30は、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置すると共に、ビードコア底23のタイヤ幅方向における範囲の大部分の範囲に配設されている。また、ビードベース部30は、タイヤ子午断面において直線状に形成されると共に、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向に、タイヤ回転軸に対して傾斜している。
なお、この場合における、ビードベース部30が直線状に形成される状態は、タイヤ子午断面においてビードベース部30のタイヤ幅方向における両端を仮想の直線で結んだ際に、ビードベース部30の、仮想の直線から離間している部分と、仮想の直線との最大距離が、2.5mm以下となる状態をいう。
タイヤ回転軸に対して傾斜するビードベース部30は、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向に、8°以上12°以下の範囲内でタイヤ回転軸に対して傾斜している。即ち、ビードベース部30は、タイヤ回転軸と平行な線となす角度A2が、8°以上12°以下の範囲内となって形成されている。
なお、このビードベース部30の角度A2は、タイヤ赤道面CLに対してタイヤ幅方向両側に位置する一対のビード部20のタイヤ幅方向における間隔を、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した場合における間隔にした状態での角度になっている。つまり、空気入りタイヤ1は撓むため、ビードベース部30の角度も空気入りタイヤ1の撓みの状態に応じて変化するが、ビードベース部30は、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着しない状態において、タイヤ幅方向両側のビード部20のタイヤ幅方向における間隔を、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した場合における間隔にした状態でのタイヤ回転軸に対する角度A2が、8°以上12°以下の範囲内になっている。
また、ビードベース部30のタイヤ幅方向内側に位置するトウ部32は、ビードベース部30よりもタイヤ径方向内側に突出して形成されている。詳しくは、トウ部32は、傾斜部33と内端部34とを有しており、傾斜部33は、ビードベース部30のタイヤ幅方向内側の端部に繋がり、タイヤ回転軸に対する傾斜角が、ビードベース部30のタイヤ回転軸に対する傾斜角よりも大きくなっている。これにより、傾斜部33は、タイヤ子午断面において、タイヤ幅方向内側に向かうに従ってタイヤ径方向内側に向かう度合いが、ビードベース部30における、タイヤ幅方向内側に向かうに従ってタイヤ径方向内側に向かう度合いよりも大きくなっている。
また、内端部34は、タイヤ子午断面において、傾斜部33のタイヤ幅方向内側の端部から、タイヤ回転軸に対する傾斜角が小さくなる方向に屈曲することにより形成されており、トウ部32における、最もタイヤ径方向内側に位置する部分になっている。トウ部32は、このように傾斜部33と内端部34とが形成されることにより、ビードベース部30よりもタイヤ径方向内側に突出して形成されている。このように形成されるトウ部32のタイヤ幅方向における内側端部、即ち、内端部34のタイヤ幅方向における内側端部は、タイヤ内面75に接続されている。
また、ビードベース部30とトウ部32とは、タイヤ径方向外側に凸となる屈曲部であるトウ側屈曲部45で接続されており、トウ側屈曲部45は、タイヤ幅方向における位置が、ビードコア底23のタイヤ幅方向内側の端部である内側端部23iのタイヤ幅方向における位置よりも、タイヤ幅方向内側に位置している。なお、ビードベース部30とトウ部32とを接続するトウ側屈曲部45は、ビードコア21のタイヤ幅方向における内側端部であるビードコア内側端部26のタイヤ幅方向における位置よりも、タイヤ幅方向内側に位置するのが好ましい。
また、ヒール部35は、タイヤ子午断面において直線状に形成される直線部36と、タイヤ子午断面において円弧状に形成される円弧部37とを有している。このうち、直線部36は、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角よりも大きい傾斜角で、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向にタイヤ回転軸に対して傾斜している。タイヤ回転軸に対して傾斜する直線部36は、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向に、13°以上27°以下の範囲内でタイヤ回転軸に対して傾斜している。即ち、直線部36は、タイヤ回転軸と平行な線となす角度A3が、13°以上27°以下の範囲内となって形成されている。さらに、直線部36は、タイヤ回転軸に対する傾斜角A3が、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角A2に対して、5°以上15°以下の範囲内で大きくなっている。
なお、この場合における、直線部36が直線状に形成される状態は、タイヤ子午断面において直線部36のタイヤ幅方向における両端を仮想の直線で結んだ際に、直線部36の、仮想の直線から離間している部分と、仮想の直線との最大距離が、2.5mm以下となる状態をいう。
また、直線部36は、タイヤ径方向内側に凸となって屈曲する屈曲部であるヒール側屈曲部46で、ビードベース部30に接続されている。つまり、ヒール部35の直線部36とビードベース部30とは、直線部36のタイヤ幅方向内側の端部と、ビードベース部30のタイヤ幅方向外側の端部とが、ヒール側屈曲部46でタイヤ径方向内側に凸となる方向に屈曲しながら接続されている。
このように、直線部36とビードベース部30とが接続される部分であるヒール側屈曲部46は、タイヤ幅方向における位置が、ビードコア底23のタイヤ幅方向外側の端部である外側端部23oからタイヤ幅方向内側に、タイヤ子午断面におけるビードコア底23の幅CBWの25%の位置Fよりもタイヤ幅方向外側に位置している。なお、ヒール側屈曲部46のタイヤ幅方向における位置は、ビードコア底23の外側端部23oのタイヤ幅方向における位置と同じ位置であるのが好ましい。
また、ヒール部35は、直線部36が背面部40に対して円弧部37を介して接続されている。つまり、ヒール部35の直線部36は、概ねタイヤ径方向内側に面しており、背面部40は、概ねタイヤ幅方向外側に面しており、直線部36と背面部40とは面する向きが異なるが、円弧部37は、向きが異なる直線部36と背面部40との間に位置し、双方に接続されている。即ち、円弧部37は、タイヤ子午断面における一端が直線部36に接続され、他端が背面部40に接続されている。なお、タイヤ子午断面において円弧状に形成される円弧部37は、タイヤ子午断面における半径が、10mm以上20mm以下で形成されるのが好ましい。
また、円弧部37と背面部40とが接続される部分である接続部47は、タイヤ径方向における位置が、ビードコア21のタイヤ子午断面における最大幅CWとなる部分のタイヤ径方向における位置と、ビードコア底23のタイヤ径方向における位置とのタイヤ径方向における範囲内に位置している。
この場合におけるビードコア21の最大幅CWは、ビードコア21のタイヤ幅方向における内側端部であるビードコア内側端部26と、ビードコア21のタイヤ幅方向における外側端部であるビードコア外側端部27との距離になっている。また、ビードコア内側端部26とビードコア外側端部27とでタイヤ径方向における位置が異なる場合は、ビードコア21の最大幅CWとなる部分のタイヤ径方向における位置は、ビードコア内側端部26とビードコア外側端部27とのうち、タイヤ径方向外側に位置する側の端部のタイヤ径方向における位置とする。円弧部37と背面部40との接続部47は、タイヤ径方向における位置が、このように規定されるビードコア21の最大幅CWとなる部分のタイヤ径方向における位置と、ビードコア底23のタイヤ径方向における位置との範囲内になっており、本実施形態では、接続部47のタイヤ径方向における位置は、ビードコア底23のタイヤ径方向における位置とほぼ同じ位置になっている。
図3は、ビードコア底23の傾斜についての説明図である。断面形状が六角形の形状で形成されるビードコア21は、ビードコア底23が、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向に、0°以上5°以下の範囲内でタイヤ回転軸に対して傾斜している。即ち、ビードコア底23は、タイヤ回転軸と平行に形成されているか、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向に僅かに傾斜して形成されており、タイヤ回転軸に平行な線とのなす角度A1が、0°以上5°以下の範囲内になっている。このビードコア底23の角度A1も、ビードベース部30の角度A2やヒール部35の直線部36の角度A3と同様に、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着しない状態において、タイヤ幅方向両側のビード部20のタイヤ幅方向における間隔を、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した場合における間隔にした状態での角度になっている。
図4は、ビードコア21周りの規定についての説明図である。ビードコア21は、タイヤ子午断面における最大幅CWが、ビード部20の幅であるビード幅BWに対して、(BW×0.54)≦CW≦(BW×0.58)の範囲内になっている。この場合におけるビード幅BWは、タイヤ子午断面におけるビードコア21の中心であるビードコア中心CCを通り、且つ、ビードベース部30に平行な直線PL上でのタイヤ内面75とタイヤ外面70との距離になっている。本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビード幅BWは、規定荷重x[kN]に対して、(0.265x+20.5)[mm]≦BW≦(0.265x+26.5)[mm]の範囲内になっている。
なお、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、或いはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
また、ビードコア中心CCは、タイヤ子午断面視におけるビードコア21の外周面22のタイヤ幅方向外側の端部とビードコア底23のタイヤ幅方向内側の端部とを結ぶ仮想線L1と、外周面22のタイヤ幅方向内側の端部とビードコア底23のタイヤ幅方向外側の端部とを結ぶ仮想線L2との交差部になっている。具体的には、仮想線L1は、タイヤ子午断面視において、ビードコア21の外周面22を構成するビードワイヤのうち最もタイヤ幅方向外側に位置するビードワイヤの中心と、ビードコア底23を構成するビードワイヤのうち最もタイヤ幅方向内側に位置するビードワイヤの中心とを結ぶ仮想線になっている。同様に、仮想線L2は、タイヤ子午断面視において、ビードコア21の外周面22を構成するビードワイヤのうち最もタイヤ幅方向内側に位置するビードワイヤの中心と、ビードコア底23を構成するビードワイヤのうち最もタイヤ幅方向外側に位置するビードワイヤの中心とを結ぶ仮想線になっている。
また、ビードコア21は、タイヤ子午断面における最大幅CWとタイヤ径方向における高さCHとの関係が、1.0≦(CW/CH)<1.5の範囲内になっている。なお、ビードコア21の高さCHは、タイヤ子午断面における外周面22とビードコア底23との距離を、ビードコア21の高さCHとしてもよい。
また、ヒール部35は、ヒール部35のタイヤ幅方向における所定の位置の直径であるヒール部径と、タイヤ幅方向における位置がヒール部径の位置と同じ位置の規定リムRの直径であるリム径とより算出する{(リム径-ヒール部径)/リム径}の値が、ヒール部35のタイヤ幅方向における位置によって異なっている。具体的には、ヒール部35は、ヒール側屈曲部46の位置でのヒール部径をDPとし、規定リムRにおける、ヒール側屈曲部46の位置に対応する位置PRでのリム径をDPRとする場合に、{(リム径DPR-ヒール部径DP)/リム径DPR}が1.7%以上2.0%以下の範囲内になっている。規定リムRにおける、ヒール側屈曲部46の位置に対応する位置PRとは、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した状態における、規定リムRに対してヒール側屈曲部46が接触する位置である。
また、ヒール部35は、背面部40からタイヤ幅方向内側に、規定荷重x[kN]に対して(0.004x+13.5)[mm]となる位置をQとする場合における、位置Qのヒール部径をDQとし、規定リムRにおける、位置Qに対応する位置QRでのリム径をDQRとする場合に、{(リム径DQR-ヒール部径DQ)/リム径DQR}が1.2%以上1.4%以下の範囲内になっている。規定リムRにおける、位置Qに対応する位置QRとは、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した状態における、規定リムRに対してヒール部35の位置Qが接触する位置である。ヒール部35の位置Qは、ヒール部35が有する直線部36上に位置している。
ヒール部35は、これらのようにヒール側屈曲部46の位置と位置Qとで、{(リム径-ヒール部径)/リム径}の値が異なっている。即ち、ヒール部35は、ヒール部35におけるタイヤ幅方向外側からタイヤ幅内側に向かうに従って、{(リム径-ヒール部径)/リム径}の値が大きくなる傾向で形成されている。
図5は、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するゴムの厚さと圧縮率についての説明図である。ビード部20は、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着しない状態での、タイヤ子午断面におけるビードコア底23の中心であるビードコア底中心24から、カーカス6におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のカーカスコード6aの表面までのタイヤ径方向における距離BD1が、2.0[mm]以上3.5[mm]以下の範囲内になっている。詳しくは、距離BD1は、ビードコア底中心24と、カーカス6におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のビードコア21側のカーカスコード6aの表面のうち、ビードコア底中心24のタイヤ幅方向における位置との距離になっている。つまり、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するカーカス6とビードコア21との間に、僅かにゴム部材が存在しているが、ビード部20は、タイヤ子午断面におけるビードコア底中心24から、カーカス6におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のカーカスコード6aの表面までのゴム部材の厚さGa1が、2.0[mm]以上3.5[mm]以下の範囲内になっている。
規定リムRへの空気入りタイヤ1の装着時は、ビード部20は、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するゴムが圧縮されることにより、規定リムRに対してタイヤ径方向における外側から内側への押圧力を付与することができ、規定リムRに対する嵌合力を発生することが可能になっている。このように、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した場合における、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するゴムの圧縮率は、タイヤ子午断面におけるビードコア底中心24のタイヤ径方向内側の位置で45%以上55%以下の範囲内になっている。
この場合におけるゴムの圧縮率は、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着する前のタイヤ子午断面におけるビードコア底中心24とビードベース部30とのタイヤ径方向における距離BD2からカーカス6やチェーファーのコード部材等のゴム部材以外の部材の厚さを引いた厚さGa2に対する、規定リムRへの空気入りタイヤ1の装着時にタイヤ径方向に圧縮されるゴム部材の厚さGa3になっている。つまり、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した場合における、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するゴムの圧縮率Zは、下記の式(1)で算出する値になっている。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、下記の式(1)で算出する圧縮率Zが、45%以上55%以下の範囲内になっている。
圧縮率Z=(Ga3/Ga2)×100・・・(1)
なお、式(1)で用いる、規定リムRへの空気入りタイヤ1の装着時にタイヤ径方向に圧縮されるゴム部材の厚さGa3は、具体的には、ビードベース部30におけるビードコア底中心24のタイヤ幅方向における同じ位置となる部分である基準位置31の、規定リムRへの空気入りタイヤ1の装着前と装着後のタイヤ径方向の変位量になっている。
これらのように構成される空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、まず、リムホイールが有する規定リムRに対して、ビードベース部30、トウ部32、ヒール部35を嵌合させることにより、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着し、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みをする。空気入りタイヤ1をリム組みしたらインフレートし、車両には、リム組みしてインフレートした状態の空気入りタイヤ1を装着する。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、例えば、ホイールローダー等の建設車両に装着する建設車両用の空気入りタイヤ1として用いられる。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、接地面3のうち下方に位置する接地面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両は、接地面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。例えば、駆動力を路面に伝達する際には、車両が有するエンジン等の原動機で発生した動力がリムホイールに伝達され、リムホイールから空気入りタイヤ1に伝達される。
ここで、リムホイールと空気入りタイヤ1とは、リムホイールの規定リムRに対する、空気入りタイヤ1のビード部20の嵌合力である締め付け力によって装着されており、即ち、ビード部20とリムホイールとの間に摩擦力によって装着されている。このビード部20による締め付け力は、ビードワイヤがリング状に巻かれることにより形成されたビードコア21によって確保される。
つまり、空気入りタイヤ1をリムホイールに装着する際には、ビード部20におけるビードコア21よりもタイヤ径方向内側に位置するリムクッションゴム60等のゴム部材が、ビードコア21と規定リムRに挟まれて圧縮されることにより、空気入りタイヤ1から規定リムRに対してタイヤ径方向内側への押圧力が発生する。この押圧力は、ビード部20による規定リムRへの締め付け力となり、空気入りタイヤ1は、この締め付け力によって規定リムRとの間に大きな摩擦力が発生することにより規定リムRに嵌合し、リムホイールに装着される。
空気入りタイヤ1は、このようにビード部20の締め付け力に伴う摩擦力によりリムホイールに装着されるため、空気入りタイヤ1とリムホイールとの間に、摩擦力と比較して大きな回転トルクが発生した場合には、空気入りタイヤ1とリムホイールとの間で滑りが発生することがある。例えば、ビード部20の締め付け力が弱く、且つ、リムホイールから空気入りタイヤ1に伝達される回転トルクが大きい場合は、ビード部20とリムホイールとの間に摩擦力による拘束力に回転トルクが打ち勝ち、ビード部20とリムホイールとの間で滑りが発生することがある。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、このようなビード部20とリムホイールとの間の滑りを抑制することができるように構成されている。
具体的には、リムホイールの規定リムRは、空気入りタイヤ1のビードベース部30と嵌合する部分が、リムホイールの回転軸に対して5°±1°の角度で傾斜しているのに対し、ビードコア21は、ビードコア底23がタイヤ回転軸に対して0°以上5°以下の範囲内の傾斜角A1で形成されている。これにより、ビードコア21は、5°テーパーの規定リムRと当該ビードコア21との間に位置するリムクッションゴム60等のゴム部材を、タイヤ幅方向における所定の範囲に亘って適切に圧縮することができ、規定リムRに対して適切な締め付け力を発生させることができる。
また、ビード部20は、規定リムRに対して実際に接触するビードベース部30が、タイヤ回転軸に対して8°以上12°以下の範囲内で傾斜しているため、リム組み性を悪化させることなく、適切な締め付け力を確保することができる。つまり、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角A2が8°未満の場合は、ビードベース部30におけるトウ部32寄りの位置でのタイヤ径方向の径が大きくなることにより、トウ部32側の締め付け力が弱くなり易くなる。また、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角A2が12°を超える場合は、ビードベース部30におけるトウ部32寄りの位置でのタイヤ径方向の径が小さくなることにより、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みする際に、リム組みし難くなる。これに対し、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角A2を8°以上12°以下にした場合は、リム組み性を確保しつつ、ビード部20による規定リムRの締め付け力を確保することができる。
また、ヒール部35は、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角A2よりも大きい傾斜角で、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向にタイヤ回転軸に対して傾斜する直線部36を有しているため、ヒール部35の締め付け力を小さくすることができる。これにより、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みする際における、ヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗が低減し、ヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗が低減するため、リム組み性を向上させることができる。
また、ヒール側屈曲部46は、タイヤ幅方向における位置が、ビードコア底23の外側端部23oからタイヤ幅方向内側にビードコア底23の幅CBWの25%の位置Fよりもタイヤ幅方向外側に位置するため、タイヤ子午断面におけるビードベース部30の幅を確保することができ、締め付け力を確保することができる。つまり、ビード部20で発生する締め付け力は、主に、ビードコア21がビードコア底23で、ビードコア底23のタイヤ径方向内側に位置するリムクッションゴム60等のゴム部材を圧縮することによって発生する。このため、ヒール側屈曲部46のタイヤ幅方向における位置、即ち、ビードベース部30におけるタイヤ幅方向外側端部のタイヤ幅方向における位置を、位置Fよりもタイヤ幅方向外側に位置させることにより、ビードコア底23によってリムクッションゴム60等のゴム部材を効果的に圧縮できる範囲を確保することができ、より確実に締め付け力を発生させることができる。これらにより、リム組み性の向上と、ビード部20で発生する締め付け力の確保とを両立することができる。この結果、リム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができる。
また、ヒール部35の直線部36は、タイヤ回転軸に対する傾斜角A3が、タイヤ回転軸に対するビードベース部の傾斜角A2に対して、5°以上15°以下の範囲内で大きくなっているため、ヒール部35での締め付け力が低くなり過ぎることの抑制と、ヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗を低減することとを両立することができる。つまり、ビードベース部の傾斜角A2に対して、直線部36の傾斜角A3が大きくなる角度が5°未満である場合は、タイヤ回転軸に対する直線部36の傾斜角A3が小さ過ぎる虞があり、ヒール部35に直線部36を設けても、ヒール部35の締め付け力を効果的に小さくするのが困難になる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1をリム組みする際における摩擦抵抗を効果的に低減するのが困難になり、リム組み性を向上させ難くなる虞がある。また、ビードベース部の傾斜角A2に対して、直線部36の傾斜角A3が大きくなる角度が15°を超える場合は、タイヤ回転軸に対する直線部36の傾斜角A3が大き過ぎる虞があり、これに伴い、直線部36の直径が大きくなり過ぎる虞がある。ビード部20の締め付け力は、ビードベース部30のみでなく、ヒール部35でも発生するが、直線部36の傾斜角A3が大き過ぎることにより、直線部36の直径が大きくなり過ぎる場合は、ヒール部35で発生する締め付け力を確保し難くなる虞がある。この場合、ビード部20全体としての締め付け力が低下する虞がある。
これに対し、ビードベース部の傾斜角A2に対して、直線部36の傾斜角A3が大きくなる角度が、5°以上15°以下の範囲内である場合は、ヒール部35で発生する締め付け力が低くなり過ぎることを抑制しつつ、空気入りタイヤ1をリム組みする際における、ヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗を低減することができる。この結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができる。
また、ヒール部35は、ヒール側屈曲部46の位置での直径であるヒール部径DPと、規定リムRにおける、ヒール側屈曲部46の位置に対応する位置での直径であるリム径DPRとを用いて算出するV(リム径DPR-ヒール部径DP)/リム径DPR}が、1.7%以上2.0%以下の範囲内であり、ヒール部35におけるビードベース部30寄りの位置での締め付け力を、より確実に確保することができる。また、ヒール部35は、規定荷重x[kN]に基づく位置Qの直径であるヒール部径DQと、規定リムRにおける、位置Qに対応する位置での直径であるリム径DQRとを用いて算出する{(リム径DQR-ヒール部径DQ)/リム径DQR}が、1.2%以上1.4%以下の範囲内であるため、ヒール部35におけるビードベース部30側からタイヤ幅方向外側に離れた位置での、空気入りタイヤ1をリム組みする際のヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗を、より確実に低減することができる。これらの結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができる。
また、ビード部20は、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した場合における、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するゴムの圧縮率Zが、タイヤ子午断面におけるビードコア底中心24のタイヤ径方向内側の位置で45%以上55%以下の範囲内であるため、ビードベース部30とリムホイールとの間での摩擦抵抗の低減と、ビードベース部30の締め付け力の確保とを、より確実に両立することができる。つまり、圧縮率Zが45%未満である場合は、圧縮率Zが低過ぎるため、ビード部20での締め付け力を確保し難くなる虞がある。この場合、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するビードベース部30とリムホイールとの間の滑りを、効果的に抑制するのが困難になる虞がある。また、圧縮率Zが55%を超える場合は、圧縮率Zが高過ぎるため、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するリムクッションゴム60の変形が過大になり、ビードベース部30の締め付け力が大きくなり易くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1をリム組みする際における摩擦抵抗を効果的に低減するのが困難になり、リム組み性を向上させ難くなる虞がある。
これに対し、圧縮率Zが45%以上55%以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ1をリム組みする際における、ビードベース部30とリムホイールとの間での摩擦抵抗をより確実に低減しつつ、規定リムRに対するビードベース部30の締め付け力を確保することができる。この結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができる。
また、ビード部20は、ヒール部35の円弧部37と背面部40とが接続される接続部47のタイヤ径方向における位置が、ビードコア21の最大幅CWとなる部分のタイヤ径方向における位置と、ビードコア底23のタイヤ径方向における位置とのタイヤ径方向における範囲内に位置するため、ヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗の低減と、ヒール部35の締め付け力の確保とを、より確実に両立することができる。つまり、接続部47のタイヤ径方向における位置が、ビードコア21の最大幅CWとなる部分のタイヤ径方向における位置よりもタイヤ径方向外側に位置する場合は、円弧部37がタイヤ径方向において大幅に外側に位置し過ぎるため、空気入りタイヤ1をリムホイールに装着した際における、ヒール部35に位置するゴムの圧縮率が低くなり過ぎる虞がある。この場合、ヒール部35で発生する締め付け力を確保し難くなり、ビード部20全体としての締め付け力が低下する虞がある。また、接続部47のタイヤ径方向における位置が、ビードコア底23のタイヤ径方向における位置よりもタイヤ径方向内側に位置する場合は、円弧部37がタイヤ径方向において大幅に内側に位置し過ぎるため、ヒール部35に円弧部37を設けても、空気入りタイヤ1をリムホイールに装着した際の、ヒール部35に位置するゴムの圧縮率を低減し難くなる虞がある。この場合、ヒール部35の締め付け力を効果的に小さくするのが困難になるため、空気入りタイヤ1をリム組みする際における摩擦抵抗を効果的に低減するのが困難になる虞があり、リム組み性を向上させ難くなる虞がある。
これに対し、接続部47のタイヤ径方向における位置が、ビードコア21の最大幅CWとなる部分のタイヤ径方向における位置と、ビードコア底23のタイヤ径方向における位置とのタイヤ径方向における範囲内に位置するため、ヒール部35とリムホイールとの間での摩擦抵抗をより確実に低減しつつ、規定リムRに対するヒール部35の締め付け力を確保することができる。この結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができる。
また、ビード部20は、ビードベース部30とトウ部32とを接続するトウ側屈曲部45のタイヤ幅方向における位置が、ビードコア底23の内側端部23iのタイヤ幅方向における位置よりもタイヤ幅方向内側に位置するため、タイヤ子午断面におけるビードベース部30の幅をより確実に確保することができる。これにより、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着した際に、ビードコア底23によってリムクッションゴム60等のゴム部材を効果的に圧縮できる範囲をより確実に確保することができ、ビードベース部30の締め付け力を、より確実に確保することができる。この結果、より確実にリム滑りを抑制することができる。
また、ビード部20は、タイヤ子午断面におけるビードコア21の最大幅CWが、ビード幅BWに対して、(BW×0.54)≦CW≦(BW×0.58)の範囲内であるため、ビードコア21の周囲の部材のセパレーションを抑制しつつ、より確実にリム組み性を確保することができ、また、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを、より確実に抑制することができる。つまり、ビードコア21の最大幅CWが、ビード幅BWに対してCW<(BW×0.54)である場合は、ビードコア21の最大幅CWが小さ過ぎるため、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みした際に、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するビードベース部30の締め付け力が局所的に高くなる虞があり、即ち、ビードベース部30の、規定リムRへの接触圧が局所的に高くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1をリム組みする際における摩擦抵抗が部分的に大きくなるため、リム組み性を確保するのが困難になると共に、締め付け力が低い部分も発生し易くなるため、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを効果的に抑制するのも困難になる虞がある。また、ビードコア21の最大幅CWが、ビード幅BWに対してCW>(BW×0.58)である場合は、ビードコア21の最大幅CWが大き過ぎるため、ビード部20に大きな負荷が作用した際にビードコア21の周囲に発生する歪みが、大きくなり過ぎる虞がある。この場合、大きな歪みに起因して、ビードコア21と、その周囲のゴム部材との間でセパレーションが発生したり、ビードコア21の周囲に位置するカーカス6やスチールチェーファー55等の部材とその周囲のゴム部材との間でセパレーションが発生したりする虞がある。
これに対し、ビードコア21の最大幅CWが、ビード幅BWに対して、(BW×0.54)≦CW≦(BW×0.58)の範囲内である場合は、ビードベース部30の締め付け力が局所的に高くなることを抑制することができ、また、ビードコア21の周囲に発生する歪みが大きくなり過ぎることを抑制することができる程度の広い範囲に亘って、規定リムRに対するビードベース部30の締め付け力を発生させることができる。これにより、リム組み時の摩擦抵抗が部分的に大きくなることを抑制し、また、ビードコア21の周囲の部材のセパレーションを抑制すると共に、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができ、さらにビード耐久性を向上させることができる。
また、ビード部20は、ビード幅BWが、規定荷重x[kN]に対して、(0.265x+20.5)[mm]≦BW≦(0.265x+26.5)[mm]の範囲内であるため、リム組み性の低下と、ビードコア21の周囲の部材のセパレーションとを、共に抑制することができる。つまり、ビード幅BWが、規定荷重x[kN]に対してBW<(0.265x+20.5)[mm]である場合は、ビード幅BWが規定荷重x[kN]に対して小さ過ぎる虞があり、これに起因して、大きな荷重が作用した際におけるビード部20を構成する部材の応力が大きくなり過ぎる虞がある。この場合、大きな荷重が作用した際にビードコア21の周囲に発生する歪みが大きくなり過ぎる虞があり、ビードコア21の周囲の部材でセパレーションが発生し易くなる虞がある。また、ビード幅BWが、規定荷重x[kN]に対してBW>(0.265x+26.5)[mm]である場合は、ビード幅BWが大き過ぎる虞があり、規定リムRに対してビード部20が締め付け力を発生する範囲が、大きくなり過ぎる虞がある。この場合、締め付け力全体の大きさが大きくなることに繋がるため、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みする際に、リム組みし難くなる虞がある。
これに対し、ビード幅BWが、規定荷重x[kN]に対して、(0.265x+20.5)[mm]≦BW≦(0.265x+26.5)[mm]の範囲内である場合は、ビード幅BWの大きさを、締め付け力を発生する範囲が大きくなり過ぎず、且つ、ビードコア21の周囲に発生する歪みが大きくなり過ぎない程度の大きさにすることができる。これにより、リム組み性の低下と、ビードコア21の周囲の部材のセパレーションとを、共に抑制することができる。この結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、ビード耐久性を向上させることができる。
また、ビードコア21は、タイヤ子午断面における最大幅CWとタイヤ径方向における高さCHとの関係が、1.0≦(CW/CH)<1.5の範囲内であるため、ビードコア21の周囲の部材のセパレーションを抑制しつつ、より確実にリム組み性を確保することができ、また、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを、より確実に抑制することができる。つまり、ビードコア21の最大幅CWと高さCHとの関係が、(CW/CH)<1.0である場合は、ビードコア21の最大幅CWが小さ過ぎるため、空気入りタイヤ1をリム組みした際における規定リムRへのビードベース部30の接触圧が局所的に高くなる虞がある。この場合、空気入りタイヤ1をリム組みする際における摩擦抵抗が部分的に大きくなるため、リム組み性を確保するのが困難になると共に、締め付け力が低い部分も発生し易くなるため、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを効果的に抑制するのも困難になる虞がある。また、ビードコア21の最大幅CWと高さCHとの関係が、(CW/CH)≧1.5である場合は、ビードコア21の最大幅CWが大き過ぎるため、大きな荷重が作用した際にビードコア21の周囲に発生する歪みが、大きくなり過ぎる虞がある。この場合、大きな歪みに起因して、ビードコア21の周囲の部材でセパレーションが発生し易くなる虞がある。
これに対し、ビードコア21の最大幅CWと高さCHとの関係が、(0.265x+20.5)[mm]≦BW≦(0.265x+26.5)[mm]の範囲内である場合は、ビードベース部30の締め付け力が局所的に高くなることを抑制することができ、また、ビードコア21の周囲に発生する歪みが大きくなり過ぎることを抑制することができる程度の広い範囲に亘って、規定リムRに対するビードベース部30の締め付け力を発生させることができる。これにより、リム組み時の摩擦抵抗が部分的に大きくなることを抑制し、また、ビードコア21の周囲の部材のセパレーションを抑制すると共に、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にリム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができ、さらにビード耐久性を向上させることができる。
また、ビード部20は、タイヤ子午断面におけるビードコア底中心24から、カーカス6におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のカーカスコード6aの表面までのタイヤ径方向における距離BD1が、2.0[mm]以上3.5[mm]以下の範囲内であるため、補強層が損傷し易くなることを抑制しつつ、より確実にビード部20の締め付け力を確保することができる。つまり、ビードコア底中心24からカーカスコード6aの表面までのタイヤ径方向における距離BD1が、2.0[mm]未満である場合は、ビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のカーカスコード6aとの間に位置するゴム部材の厚さGa1が薄過ぎるため、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みした際に圧縮される部材の厚さが薄くなり、ビード部20の締め付け力を確保し難くなる虞がある。この場合、ビード部20とリムホイールとの間の滑りを、効果的に抑制するのが困難になる虞がある。また、ビードコア底中心24からカーカスコード6aの表面までのタイヤ径方向における距離BD1が、3.5[mm]を超える場合は、ビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のカーカスコード6aとの間に位置するゴム部材の厚さGa1が厚過ぎるため、これに伴って、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のリムクッションゴム60の厚さが薄くなり過ぎる虞がある。つまり、スチールチェーファー55のタイヤ径方向内側に位置するリムクッションゴム60の厚さが薄くなり過ぎる虞がある。この場合、リム滑りが発生してリムクッションゴム60が摩耗した際に、スチールチェーファー55等の補強層が露出し易くなり、補強層が損傷し易くなる虞がある。
これに対し、ビードコア底中心24からカーカスコード6aの表面までのタイヤ径方向における距離BD1が、2.0[mm]以上3.5[mm]以下の範囲内である場合は、カーカス6等の補強層におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のタイヤ径方向両側のゴム部材の厚さを、それぞれ適度な厚さにすることができる。これにより、補強層が損傷し易くなることを抑制しつつ、より確実にビード部20の締め付け力を確保することができる。この結果、より確実にリム滑りを抑制しつつ、ビード耐久性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビード部20には補強層として1枚のカーカス6と、スチールチェーファー55及びサブチェーファー56,57の3枚のチェーファーとが配設されているが、補強層はこれ以外の構成でもよい。例えば、カーカス6が2枚以上配設されていてもよく、または、チェーファーが2枚以下であったり、チェーファーが設けられなかったりしてもよい。
[実施例]
図6A~図6Cは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する比較例の空気入りタイヤとについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、リム滑りに対する性能である耐リム滑り性と、リム組みのし易さであるリム組み性との試験について行った。
性能評価試験は、タイヤの呼びが29.5R25サイズで、TRAコードがL-3の空気入りタイヤ1を試験タイヤとして使用し、この試験タイヤをTRA規格に準拠するリムホイールにリム組みし、空気圧をTRA規格で規定される空気圧に調整し、試験車両として用いられるホイールローダーに装着してTRA規格で規定される荷重を付与してテスト走行することにより行った。
各試験項目の評価方法は、耐リム滑り性については、試験車両で走行する前に、試験タイヤとリムホイールとに目印を付け、24時間走行後の試験タイヤとリムホイールとのタイヤ周方向のズレ量を計測することにより評価した。耐リム滑り性は、後述する従来例を100とする指数で表し、数値が大きいほど試験タイヤとリムホイールとがタイヤ周方向にずれ難く、耐リム滑り性が優れていることを示している。
また、リム組み性は、作業者が試験タイヤをTRA規格に準拠するリムホイールに対して偏心嵌合なく装着して、内圧を充填するまでの所要時間を計測し、計測した時間の逆数を、後述する従来例を100とした指数で表した。指数値が大きいほど所要時間が短く、リム組み性が優れていることを示している。なお、偏心嵌合は、リムチェックライン9にて目視確認によって偏心嵌合の有無の確認を行った。
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例3~16と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例と、参考例1、2との18種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例の空気入りタイヤは、ビード部20のヒール部35が直線部36を有しておらず、ヒール部35の形状が円弧部37のみによって構成される形状になっている。また、比較例の空気入りタイヤは、ビード部20のヒール部35が円弧部37と直線部36とを有しているものの、ヒール部35の直線部36とビードベース部30とを接続するヒール側屈曲部46のタイヤ幅方向における位置が、ビードコア底23の外側端部23oからタイヤ幅方向内側にビードコア底23の幅CBWの25%の位置Fよりもタイヤ幅方向内側になっている。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例3~16は、全てビード部20のヒール部35が円弧部37と直線部36とを有しており、ヒール側屈曲部46のタイヤ幅方向における位置が、ビードコア底23の外側端部23oからタイヤ幅方向内側にビードコア底23の幅CBWの25%の位置Fよりもタイヤ幅方向外側になっている。さらに、実施例3~16と、参考例1、2に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸に対するビードベース部30の傾斜角A2とヒール部35の直線部36の傾斜角A3との差や、{(リム径DPR-ヒール部径DP)/リム径DPR}と{(リム径DQR-ヒール部径DQ)/リム径DQR}、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置するゴムの圧縮率Z、ヒール部35の円弧部37と背面部40との接続部47は、タイヤ径方向における位置がビードコア21の最大幅CWの位置とビードコア底23の位置との範囲内に位置するか、ビードコア底23の内側端部23iに対する、ビードベース部30とトウ部32を接続するトウ側屈曲部45のタイヤ幅方向における位置、ビード幅BWに対するビードコア21の最大幅CW、ビード幅BW、ビードコア21の最大幅CW/ビードコア21の高さCH、ビードコア底中心24からカーカスコード6aの表面までの距離BD1が、それぞれ異なっている。
なお、本性能評価試験で用いられる試験タイヤの規定荷重xは、176.52[kN]であり、(0.265x+20.5)[mm]≦BW≦(0.265x+26.5)[mm]の関係式に、この規定荷重xを適用することによって算出されるビード幅BWは、67.2mm以上71.2mm以下の範囲内になっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図6A~図6Cに示すように、実施例3~16に係る空気入りタイヤ1は、従来例や比較例に対して、耐リム滑り性とリム組み性とを、共に向上させることができることが分かった。つまり、実施例3~16に係る空気入りタイヤ1は、リム組み性を確保しつつ、リム滑りを抑制することができる。