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JP7070248B2 - ハット形鋼矢板の製造方法及び圧延機 - Google Patents

ハット形鋼矢板の製造方法及び圧延機 Download PDF

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JP7070248B2 JP2018158993A JP2018158993A JP7070248B2 JP 7070248 B2 JP7070248 B2 JP 7070248B2 JP 2018158993 A JP2018158993 A JP 2018158993A JP 2018158993 A JP2018158993 A JP 2018158993A JP 7070248 B2 JP7070248 B2 JP 7070248B2
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Description

本発明は、ハット形鋼矢板の製造方法及び圧延機に関する。
従来より、ハット形等の両端に継手を有する鋼矢板の製造は孔型圧延法によって行われている。この孔型圧延法の一般的な工程としては、先ず加熱炉において所定の温度に加熱した矩形材を、孔型を備えた粗圧延機、中間圧延機及び仕上圧延機によって順に圧延することが知られている。孔型圧延法として例えば特許文献1には、粗圧延、中間圧延及び仕上圧延においてロールに複数の孔型を配置し、それら各孔型において1~2パスずつ圧延を行ってハット形鋼矢板を製造する技術が開示されている。
また、例えば特許文献2には、U形鋼矢板の製造においてウェブとフランジの延伸釣り合いが保たれるように孔型を構成し、同一孔型中で被圧延材を複数回往復させて圧延を行う技術が開示されている。
上記特許文献1、2に記載されたような、鋼矢板の製造技術においては、被圧延材の形状が上下や左右に非対称であることに起因して、被圧延材の上下反りや左右曲がりが生じやすいことが知られている。そこで、特許文献3では、左右非対称な鋼矢板製品の製造において、被圧延材の上下反りや左右曲がりを抑制するために、種々のロール構成や潤滑剤量等を調整して圧延を行う技術が開示されている。
特開2006-88176号公報 特開昭60-44101号公報 特開2003-49422号公報
しかしながら、上記特許文献1に例示される従来の孔型圧延方法では、粗圧延、中間圧延工程~仕上圧延工程にて、1孔型で1~2パスの圧延を行うが、特にフランジ幅が大きく板厚が薄い場合には、リバース圧延を行うと被圧延材の断面内での各部位ごとの延伸バランスが取れず、フランジ波が生じてしまう場合がある。なお、本明細書における「孔型」とは、上下孔型ロール間に形成された隙間で、被圧延材を通過させ圧延する部分を示す。以下では、上下孔型ロール間の距離が変動しても、孔型を形成するロール上の溝が同一であれば、その孔型を「同一の孔型」と称して説明する。又、本明細書における「リバース圧延」とは、上下孔型ロールにより構成される同一の孔型において、ロール隙を徐々に狭めながら複数パス被圧延材を往復させて繰り返し圧延を行う工程のことである。
また、上記特許文献2に記載された技術では、ハット形鋼矢板のように、特に従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚が薄い大型鋼矢板に対して延伸を大きくとるような圧延を実施した場合に、上記特許文献2に記載された延伸の釣り合いを保ったとしても、フランジ波等の形状不良が発生し、安定した圧延・造形が難しく、製品形状不良が発生する恐れがある。また、圧延機の制約の中ではフランジ波等の形状不良の発生を抑制するのに適正な釣り合い条件を実現できない場合がある。近年、経済性や施工性の観点から高さが大きく板厚の薄い大型断面の鋼矢板が求められており、このような大型鋼矢板の製造において更なる技術の向上が求められているのが実情である。
上記特許文献3のような技術も開示されているが、上下反りや左右曲がりを抑制する効果はあるものの、フランジ波の抑制に対する効果は明確になっておらず、潤滑条件によっては、フランジ波が更に顕著に発生する恐れがある。
そこで、上記事情に鑑み、本発明の目的は、ハット形鋼矢板、特に従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚の薄いハット形鋼矢板を製造する場合に、製造過程の圧延においてフランジ波等の形状不良が発生するのを抑制し、製品寸法精度や圧延の安定性の向上を図ることが可能なハット形鋼矢板の製造方法及び圧延機を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、被圧延材に粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を行うハット形鋼矢板の製造方法であって、前記中間圧延工程での前記被圧延材は、ウェブ対応部と、前記ウェブ対応部の両端部に一方の端部が接続する2つのフランジ対応部と、前記フランジ対応部の他方の端部と接続する腕対応部と、を備え、前記中間圧延工程は前記被圧延材の断面全体を1又は複数の孔型による1又は複数パス圧延によって行われ、前記中間圧延工程が行われる孔型のうち少なくとも1つの孔型における前記被圧延材の圧延は、前記2つのフランジ対応部の内面及び外面のうち少なくとも一方の面を潤滑して複数パス圧延によって行われることを特徴とする、ハット形鋼矢板の製造方法が提供される。
前記潤滑は、前記中間圧延工程における中立線を跨ぐ所定の範囲内において行われても良い。
前記潤滑は、前記中間圧延工程における中立線を跨ぐ所定の範囲内と、当該所定の範囲に加え、中立線に対し小径ロール側に対しても行われても良い。
前記潤滑は、被圧延材のフランジ対応部全幅において、中立線を跨ぐ当該全幅の1/4以上の範囲において行われても良い。
前記潤滑が行われる孔型には、当該孔型の上下孔型ロールの一方又は両方において、周面の一部の潤滑剤を除去する潤滑剤除去機構、及び、周面全面の水切りを行う水切り板が設けられても良い。
前記潤滑が行われる孔型において、前記潤滑剤除去機構は、当該孔型の上下孔型ロール周面のうち、フランジ対向部分の大径ロール側での全幅端部から当該フランジ対向部分の全幅の1/4以下の範囲において潤滑剤を除去しても良い。
また、別の観点からの本発明によれば、ハット形鋼矢板に対し上下孔型ロールによる中間圧延を行う圧延機であって、前記上下孔型ロールには、被圧延材の2つのフランジ対応部の内面及び外面のうち少なくとも一方の面を潤滑する潤滑機構が設けられ、前記潤滑機構による潤滑は、前記中間圧延における中立線を跨ぐ所定の範囲内において行われることを特徴とする、圧延機が提供される。
前記潤滑機構による潤滑は、前記所定の範囲に加え、前記中間圧延における中立線に対し小径ロール側に対しても行われても良い。
前記潤滑機構による潤滑は、被圧延材のフランジ対応部全幅において、中立線を跨ぐ当該全幅の1/4以上の範囲において行われても良い。
前記上下孔型ロールの一方又は両方において、周面の一部の潤滑剤を除去する潤滑剤除去機構、及び、周面全面の水切りを行う水切り板が設けられても良い。
前記潤滑剤除去機構は、前記上下孔型ロールの周面のうち、フランジ対向部分の大径ロール側での全幅端部から当該フランジ対向部分の全幅の1/4以下の範囲において潤滑剤を除去しても良い。
本発明によれば、ハット形鋼矢板、特に従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚の薄いハット形鋼矢板を製造する場合に、製造過程の圧延においてフランジ波等の形状不良が発生するのを抑制し、製品寸法精度や圧延の安定性の向上を図ることが可能となる。
圧延ラインの概略説明図である。 第1の孔型の孔型形状を示す概略断面図である。 第2の孔型の孔型形状を示す概略断面図である。 第3の孔型の孔型形状を示す概略断面図である。 第4の孔型の孔型形状を示す概略断面図である。 第5の孔型の孔型形状を示す概略断面図である。 第3の孔型におけるフランジ対応部の圧下についての概略説明図である。 第3の孔型での圧延におけるフランジ対応部の摩擦係数と、圧延後のフランジ対応部に生じるフランジ波の急峻度との関係を示すグラフである。 改良を施した構成の潤滑技術に関する概略説明図である。 潤滑剤除去機構及び水切り板の概略説明図である。 潤滑剤除去機構及び水切り板を設けた構成での第3の孔型の圧延におけるフランジ対応部の摩擦係数と、圧延後のフランジ対応部に生じるフランジ波の急峻度との関係を示すグラフである。 本発明の変形例に関する概略説明図である。 本発明の変形例に係る圧延におけるフランジ対応部の摩擦係数と、圧延後のフランジ対応部に生じるフランジ波の急峻度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本実施の形態において略ハット形鋼矢板形状の被圧延材はウェブがフランジよりも下方に位置する姿勢(いわゆるU姿勢)で圧延されるものとして説明するが、当然本発明の適用範囲はその他の姿勢(例えば逆U姿勢)での圧延にも及ぶ。
また、以下に記載の被圧延材Aとは、ハット形鋼矢板製品を製造する場合に圧延される鋼材を示しており、圧延ラインL上を通材される鋼材を総称して被圧延材Aと呼称し、それぞれの圧延機において圧下された状態の被圧延材Aについては必要に応じて別途異なる呼称(以下に記載のA1~A5)で記載する。この被圧延材Aは略ハット形形状であり、略水平であるウェブ対応部3と、ウェブ対応部3の両端に所定の角度でもって連結しているフランジ対応部5、6と、各フランジ対応部5、6においてウェブ対応部3との連結側と異なる端部に連結している腕対応部8、9と、腕対応部8、9の先端に連結される継手対応部10、11から構成されている。なお、継手対応部10、11の端部はそれぞれ爪部14、15と呼称される。以下では、被圧延材Aについて上記各符号にて図示、説明する。
なお、本明細書では、被圧延材Aに関し、圧延方向を被圧延材の「長手方向」と称し、当該長手方向に直交し且つ圧延ロール軸に平行な方向を被圧延材の「幅方向」と称し、長手方向及び幅方向の両方に直交する方向を被圧延材の「高さ方向」と称し説明する。また、被圧延材の「厚み圧下」とは、被圧延材の板厚方向に対する板厚圧下を示すものである。
(圧延ラインの基本構成)
先ず、ハット形鋼矢板を製造する製造装置1として基本的な構成である圧延ラインLの概略について説明する。図1は、ハット形鋼矢板を製造する圧延ラインLと、圧延ラインLに備えられる圧延機等についての説明図である。図1において圧延ラインLの圧延進行方向は矢印で示されている方向であり、当該方向へ被圧延材Aが流れ、ライン上の各孔型圧延機(以下に説明する粗圧延機、中間圧延機、仕上圧延機)において圧延が行われ、製品が造形される。なお、圧延ラインL上には図示しない複数の搬送ロールが設置されており、それら搬送ロールによって被圧延材Aは圧延ラインL上を搬送される。
図1に示すように、圧延ラインLには、圧延上流側から順に粗圧延機(BD)17、第1中間圧延機(R1)18、第2中間圧延機(R2)19、仕上圧延機(F)30が配置されている。
図1に示す圧延ラインLにおいては、図示しない加熱炉(圧延ラインL上流に位置)において加熱された例えばスラブ、ブルーム等の被圧延材Aが、粗圧延機17~仕上圧延機30において順次圧延されることで最終製品であるハット形鋼矢板が製造される。
(孔型の基本構成)
次に、圧延ラインLに配置される粗圧延機17、第1中間圧延機18、第2中間圧延機19、仕上圧延機30に設けられる孔型の形状について上流側から順に図面を参照して簡単に説明する。なお、以下の説明において参照する図2~6には、参考のため各孔型において圧下が完了したときの被圧延材Aの断面を一点鎖線にて図示している。
図2は、第1の孔型49(以下、単に孔型49とも記載)の孔型形状を示す概略断面図である。図2に示すように、孔型49は、上孔型ロール45と、下孔型ロール48によって構成される。これら上孔型ロール45と下孔型ロール48によって構成される孔型49は例えば粗圧延機17に設けられ、孔型49における孔型圧延によって被圧延材A全体に対して厚み圧下(即ち、粗圧延)が行われる。具体的には、加熱炉において所定温度に加熱されたスラブ等を略ハット形形状に近づけるような孔型圧延が行われ、図2中の一点鎖線に示す粗形材A1が造形される。なお、この時の粗圧延は、例えば同一孔型49におけるリバース圧延によって行われても良い。
また、図3は第2の孔型59(以下、単に孔型59とも記載)の孔型形状を示す概略断面図である。図3に示すように、孔型59は、上孔型ロール55と、下孔型ロール58によって構成される。これら上孔型ロール55と下孔型ロール58によって構成される孔型59は例えば第1中間圧延機18に設けられ、孔型59における孔型圧延によって被圧延材A全体に対して厚み圧下(即ち、第1中間圧延)が行われる。孔型59では厚み圧下と同時に爪部14、15の爪高さを所望の高さに揃える圧下も行われ、具体的には、上記孔型49から搬出された粗形材A1を更にハット形形状に近づけるような孔型圧延が行われる。これにより、図3中の一点鎖線に示す第1中間材A2が造形される。なお、ここでの圧延は、例えば同一孔型59におけるリバース圧延によって行われても良い。
また、図4は第3の孔型69(以下、単に孔型69とも記載)の孔型形状を示す概略断面図である。図4に示すように、孔型69は、上孔型ロール65と、下孔型ロール68によって構成される。これら上孔型ロール65と下孔型ロール68によって構成される孔型69は例えば第2中間圧延機19に設けられ、孔型69における孔型圧延によって被圧延材A全体に対して厚み圧下(即ち、第2中間圧延)が行われる。具体的には、上記孔型59から搬出された第1中間材A2を更にハット形形状に近づけるような孔型圧延が行われ、図4中の一点鎖線に示す第2中間材A3が造形される。この孔型69は幅方向の両端部が開放された形状となっているため、厚み圧下により被圧延材Aの爪部14、15は幅方向に伸びた形状となっている。なお、ここでの圧延は、例えば同一孔型69におけるリバース圧延によって行われても良い。
図5は第4の孔型79(以下、単に孔型79とも記載)の孔型形状を示す概略断面図である。図5に示すように、孔型79は、上孔型ロール75と、下孔型ロール78によって構成される。これら上孔型ロール75と下孔型ロール78によって構成される孔型79は例えば第2中間圧延機19に設けられ、当該孔型79によって例えば被圧延材Aの爪部14、15の成形が重点的に行われる。具体的には、第3の孔型69で伸びた状態の爪部14、15の爪高さを所望の高さに揃えて成形するような圧下が行われ第3中間材A4が造形される。なお、ここでの圧延は、厚みを圧下するものでも良い。
また、図6は第5の孔型89(以下、単に孔型89とも記載)の孔型形状を示す概略断面図である。図6に示すように、孔型89は、上孔型ロール85と、下孔型ロール88によって構成される。これら上孔型ロール85と下孔型ロール88によって構成される孔型89は例えば仕上圧延機30に設けられ、当該孔型89によって被圧延材Aに対して主に爪部14、15の曲げ成形(即ち、仕上圧延)が行われる。具体的には、上記第3中間材A4を略ハット形形状(略ハット形鋼矢板製品形状)の仕上材A5とする圧下が行われる。なお、仕上圧延は通常リバース圧延では行われず、1パスのみの圧延にて行われる。
以上、図2~図6を参照して説明した各圧延において被圧延材Aが孔型圧延され、最終的に仕上材A5が造形される。
なお、本実施の形態において上述してきた第1の孔型~第5の孔型の構成は、例示であり、図示の形態に限られるものではなく、例えば孔型の配置順や、各圧延機に配置する孔型形状、各種孔型の修正孔型の増減配列については設備状況や製品寸法等の条件に応じて適宜変更可能である。また、素材の種類によっては、素材からの粗造形過程に用いる予備成形孔型といった孔型を別途設けることも考えられる。
(圧延造形における問題点)
本発明者らの検討によれば、上記製造工程における孔型59や孔型69による中間圧延工程では、ウェブ対応部3とフランジ対応部5、6との延伸の釣り合いを保って圧延が行われた場合でも、図3、4に示すように、上下孔型ロールは部位によって上下のロール径が異なるため、被圧延材A(特にフランジ対応部5、6)とロールとの相対滑り速度が部位によって異なる。フランジ対応部5、6において、上下のロール径の差が大きい部位では上下ロールの周速差によって被圧延材の伸びが抑制され、一方、上下ロールの直径が等しいピッチラインに対応する位置(以下、「中立線」と記載する)では伸びが生じやすいため、ロールバイト出口の中立線近傍のフランジに長手方向に圧縮応力が発生しやすく、圧縮応力が座屈限界を超えた場合、フランジ対応部5、6にはいわゆるフランジ波と呼ばれる形状不良が発生する。
特に、フランジ幅/フランジ厚の比率が大きいハット形鋼矢板のような大型鋼矢板の製造においては、中立線近傍のフランジの伸びがウェブの伸びに対し相対的に大きくなりやすく、フランジ対応部5、6の中央部にはロールバイト内から長手方向の圧縮応力が作用する。また、座屈限界応力も低下するため、その結果、フランジ波が顕著に発生しやすくなる。
同一の孔型により1パスの圧延を行う場合、直前の孔型の形状との関係によりフランジ延伸やウェブ延伸を考慮した形状の孔型を設計することで、フランジ波を抑制することができる。しかし、同一の孔型により2パス以上の圧延を行う場合、第2パス以降の圧延ではウェブ対応部とフランジ対応部及び腕対応部の各延伸が当該孔型の形状により規定されるため、従来のように孔型の形状を設計しても、リバース圧延途中におけるフランジ波の発生を抑制することはできないことが判明した。例えば、これら孔型59、69でリバース圧延が行われる場合、フランジ対応部5、6では、圧延のたびにこれらフランジ対応部5、6の中央部(中立線近傍)に肉が集まり、フランジ厚みの復元といった現象が発生しやすいことが検討の結果明らかとなった。厚みの復元が発生すると、次パスでのフランジ延伸が増大してしまい、更にフランジ波が生じやすくなり好ましくない。
また、孔型59と孔型69を比較すると、後段の孔型である孔型69の方がより被圧延材A(特にフランジ対応部5、6)を薄く圧延するため、上述したフランジ波の発生といった形状不良が顕著になりやすい。また、より仕上圧延に近い工程の方が、形状不良が発生すると製品形状不良に直結しやすい。即ち、製品寸法精度や圧延の安定性といった観点から、特に後段の孔型である孔型69での上記のような問題点を解決することが重要となる。
(基本的な潤滑技術)
このような問題点に鑑み、本発明者らは、孔型59での圧延や、孔型69での圧延において、被圧延材Aのフランジ対応部5、6に好適な潤滑を施工することで、フランジ波の発生を抑制させることができるとの知見を得て、その好適な潤滑技術について鋭意検討を行った。以下では、本知見について詳細に説明する。なお、以下の説明では孔型69において圧延されるフランジ対応部5を例示して図示・説明しているが、孔型59等の他の孔型での圧延や、フランジ対応部6の圧延についても同様の技術を適用できる。また、以下の説明においてフランジ対応部5の各部(内面、外面)を潤滑する際には、他方のフランジ対応部6についても同様に潤滑を行っているものとして説明している。
図7は、孔型69におけるフランジ対応部5の圧下についての概略説明図(概略拡大図)である。図7に示すように、孔型69のフランジ対応部5の圧延箇所(即ち、フランジ対向部分)には、中立線O近傍に潤滑機構100、101が設けられている。潤滑機構100、101は、例えばフランジ対応部5に対向するフランジ対向部分の表面に開口するノズル形状を有しており、当該フランジ対応部5表面の所定の範囲に潤滑剤を供給する構成となっている。被圧延材Aの圧延時には、通常、ロール冷却水による潤滑が行われているが、それに加え、これら潤滑機構100、101によって必要に応じて潤滑剤を供給する場合がある。潤滑機構100はフランジ対応部5の内側面(内面5a)側に潤滑剤を供給し、潤滑機構101はフランジ対応部5の外側面(外面5b)側に潤滑剤を供給する構成となっている。ここで、中立線Oとは、ロールバイト内において上下ロール径がほぼ等しくなる箇所である。
ここでの潤滑は、フランジ対応部5と上下ロールとの間の摩擦係数を、ロール冷却水を用いた水潤滑に比べて下げることを目的として行われ、フランジ対応部5に対応するロール表面を潤滑しても良く、フランジ対応部5の表面を直接潤滑しても良い。また、潤滑方法として、エマルション潤滑やエアーアトマイズ潤滑のように、潤滑油をノズル等によりロール表面や被圧延材表面に噴射して用いても良く、固形のグリース等をロール表面や被圧延材表面に押し付けても良い。なお、本願での潤滑における所定の範囲は、予め、圧延操業によってフランジ波が発生する範囲を把握し、その範囲としても良い。また、発明者らの調査の結果、フランジ対応部5の全幅において、中立線Oを中心として全幅の1/4の範囲では長手方向の伸びが特に大きいことが判明した。例えば、潤滑を行う部位としては、フランジ対応部5の全幅において、中立線Oを跨ぐ(含む)ような当該全幅の1/4以上の範囲としても良く、より好ましくは、中立線Oを中心として、フランジ対応部5の全幅の1/4以上の範囲を潤滑することが望ましい。ここで、フランジ対応部5の全幅は上孔型ロール65または下孔型ロール68のフランジ対向部分の全幅Wに等しいとして、フランジ対向部分の全幅Wを基準にすれば良い。さらに、フランジ対応部5全体を複数のノズル等によって潤滑しても良く、潤滑機構100、101の配置や数、構成等は図示の形態に限定されず、任意に設けることができる。
本発明者らは、図7に示す構成でフランジ対応部5を潤滑した状態で圧延を行った場合、当該フランジ対応部5とロール(孔型69のロール)との間の摩擦係数を低減させることで、孔型69での最終パス圧延において発生するフランジ波形状が変わることを見出し、摩擦係数と発生するフランジ波の急峻度との相関関係について検討を行った。
図8は、孔型69での圧延におけるフランジ対応部5の摩擦係数と、圧延後のフランジ対応部5に生じるフランジ波の急峻度との関係を示すグラフである。なお、図8における「当該孔型」とは摩擦係数を変動させて圧延を行う孔型(ここでは孔型69)を示している。
図8に示すように、フランジ対応部5に対して潤滑剤を供給しない場合(即ち、ロール冷却水のみにて潤滑を行う場合)には、摩擦係数は0.3である。一方、フランジ対応部5の内面5a及び外面5bを潤滑することで、摩擦係数を低減させた場合には、摩擦係数が低くなるにつれて、圧延後に生じるフランジ波の急峻度は小さくなっている。
なお、摩擦係数が0.1未満となるような条件で圧延を行うと、孔型ロールと被圧延材Aとの間で必要以上に滑りが生じ、通材が不安定となってしまうといった事情がある。
図8のグラフにおいて、潤滑なしの場合と、フランジ対応部5の内面5a及び外面5bを潤滑し摩擦係数を低減させた場合と、を比較すると、潤滑した場合には摩擦係数が低減し、その結果、圧延後に生じるフランジ波の急峻度は小さくなっている。即ち、図7に示す構成でフランジ対応部5を潤滑した状態で圧延を行った場合、中立線近傍の部位の伸びが抑制され、圧延後に生じるフランジ波の急峻度を低減させ、製品寸法精度や圧延の安定性の向上を図ることができる。
(潤滑技術の改良例)
また、上記の基本的な潤滑技術に関し、上下孔型ロールの中立線よりも大径ロール側が潤滑され摩擦係数が小さくなると、当該大径ロール側の領域での被圧延材の伸びが低下するため、中立線近傍の伸びとの差が拡大し、フランジ波抑制効果が低下することが分かった。そこで、本発明者らは、図7に示した潤滑の構成に改良を加え、よりフランジ波抑制効果を向上させることが可能な構成について更なる検討を行った。
図9は改良を施した構成の潤滑技術に関する概略説明図であり、孔型69を構成する上下孔型ロール65、68の側面断面図である。なお、図9では、説明のため、孔型69を構成するロールの概略断面に注視して図示し、圧延機筐体等の一般的な装置構成については図示を省略している。
図9に示すように、今般の改良を施した構成においては、上下孔型ロール65、68のそれぞれに上述した潤滑機構100、101が圧延機入側と出側の両方の中立線O近傍に設けられている。また、これに加え、圧延機入側と出側の両方において、潤滑剤除去機構102と水切り板103が設けられている。潤滑剤除去機構102は、上孔型ロール65の周面に位置するように設けられる上潤滑剤除去機構102aと、下孔型ロール68の周面に位置するように設けられる下潤滑剤除去機構102bからなる。これら潤滑剤除去機構102a、102bは、図示しない圧延機筐体又は誘導装置に各機構が所定位置となるように設置され、各孔型ロール65、68の周面に沿うように配置される。なお、これら潤滑剤除去機構102a、102bの正面視での設置位置については図10を参照して後述する。水切り板103は、上孔型ロール65の周面に沿うように、圧延機入側と出側の両方に、図示しない圧延機筐体又は誘導装置に所定位置となるように設置される。
潤滑剤除去機構102a、102bは、潤滑機構100、101によって上下孔型ロール65、68のフランジ対向部分表面に噴射された潤滑剤が当該フランジ対向部分の大径ロール側に流れ込む現象に鑑み、潤滑剤の流れ込みを抑制させ、且つ、流れ込んだ潤滑剤を除去する装置である。潤滑剤除去機構102a、102bとしては、例えば、ゴム板やフエルト材等を用いた部材をロール周面に接触させるといった機構や、高圧のエアーや水を噴射することで潤滑剤を除去するといった機構が例示される。
また、圧延ラインLに設置される各圧延機にはそれぞれロール冷却を行う冷却機構が設けられており、例えばこの孔型69を構成する上下孔型ロール65、68の上方及び下方には、ロールへ冷却水を供給する供給機構105、106が設けられる。水切り板103は、これら供給機構105、106のうち、上方に位置する供給機構105からロールに供給された冷却水の、フランジ対向部分への流れ込みを防止する装置である。水切り板103は一般的に圧延機に取り付けられる装置であれば良く、例えばワイパー状に構成されるゴム板等を用いた装置が例示される。
図10は、潤滑剤除去機構102及び水切り板103の概略説明図であり、(a)は潤滑剤除去機構102aの概略正面図、(b)は潤滑剤除去機構102bの概略正面図、(c)は水切り板103の概略正面図である。即ち、(a)は図9のX1-X1断面、(b)は図9のX2-X2断面、(c)は図9のY-Y断面を示す図である。なお、図10では、図示簡略化のため、各機構(潤滑剤除去機構・水切り板)の位置する周辺のロールに注視して図示を行い、他のロールや筐体等は図示していない。
図10(a)に示すように、潤滑剤除去機構102aは、上孔型ロール65のフランジ対向部分において、大径ロール側の所定の範囲への潤滑剤の流れ込みを抑制させ、且つ、流れ込んだ潤滑剤を除去することが可能な位置に設けられる。この潤滑剤除去機構102aは、図示しない圧延機筐体又は誘導装置といった、上孔型ロール65とは異なる支持体によって支持され、上孔型ロール65の回転や位置(上下孔型ロール間の距離)の変化に関わらず、常時その先端が上孔型ロール65の周面に接触する構成となっている。
また、図10(b)に示すように、潤滑剤除去機構102bは、下孔型ロール68のフランジ対向部分において、大径ロール側の所定の範囲への潤滑剤の流れ込みを抑制させ、且つ、流れ込んだ潤滑剤を除去することが可能な位置に設けられる。この潤滑剤除去機構102bは、図示しない圧延機筐体又は誘導装置といった、下孔型ロール68とは異なる支持体によって支持され、下孔型ロール68の回転や位置の変化に関わらず、常時その先端が下孔型ロール68の周面に接触する構成となっている。但し、上孔型ロール65に比べて下孔型ロール68では大径ロール側への潤滑剤の流れ込みが少ない場合や、設置スペース等の制約がある場合には、潤滑剤除去機構102bの設置を省略することも可能である。
上記「大径ロール側」とは、上孔型ロール65あるいは下孔型ロール68のフランジ対向部分の幅方向において、ロール径が大きい範囲を指す。即ち、上孔型ロール65では図10(a)に示すように、ロール幅方向中央に近い範囲であり、下孔型ロール68では図10(b)に示すように、ロール幅方向の両端部に近い範囲である。
ここで、図10(a)、(b)に示すような大径ロール側の位置に設けられる潤滑剤除去機構102a、102bは、フランジ対向部分の全幅端部からフランジ対向部分の全幅Wの1/4以下の範囲において潤滑剤の流れ込みを防止・除去するような構成とすることが好ましい。これは、当該1/4以下の範囲の領域は、ロール直下での伸びが中立線近傍の部位に比べて小さく、圧延後の厚み復元が生じにくい領域に相当し、摩擦係数が低減すると、この領域と中立線近傍の部位との伸び差がさらに拡大するために、摩擦係数を低減させるのが望ましくないとの理由からである。
また、潤滑剤除去機構102a、102bによる潤滑剤の除去範囲としては、フランジ対向部分の全幅端部から最大1/4の範囲内において、幅端部から所望の範囲で広く設定することが好ましい。これは、フランジ対向部分の幅端部ほど、ロール直下での伸びがフランジ幅方向で小さく、全幅端部から最大1/4の範囲内においては潤滑剤の除去範囲はできるだけ広い方が効果は大きいからである。
また、図10(c)に示すように、水切り板103は、上孔型ロール65のロール周面の略全面に対し水切りを行うことが可能な位置に設けられることが好ましい。この水切り板103は、図示しない圧延機筐体又は誘導装置といった、上孔型ロール65とは異なる支持体によって支持され、上孔型ロール65の回転や位置の変化に関わらず、常時その先端が上孔型ロール65の周面に接触する構成となっている。水切り板103を設けることで、図9に示すようなロールへ冷却水を供給する供給機構105から上孔型ロール65のフランジ対向部分に対し流れ込む冷却水が抑制・除去され、より効率的に所望の範囲のみを潤滑することが可能となる。
本発明者らは、図9、10に示す構成でフランジ対応部5を潤滑した状態で圧延を行った場合に、当該フランジ対応部5とロール(孔型ロール69)との間の摩擦係数を種々の条件に変更することで、孔型69での最終パスにおいて発生するフランジ波形状が変わることを見出し、摩擦係数と発生するフランジ波の急峻度との相関関係について検討を行った。
図11は、潤滑剤除去機構102及び水切り板103を設けた構成での孔型69での圧延におけるフランジ対応部5の摩擦係数と、圧延後のフランジ対応部5に生じるフランジ波の急峻度との関係を示すグラフである。なお、図11における「当該孔型」とは摩擦係数を変動させて圧延を行う孔型(ここでは孔型69)を示している。また、図11には、フランジ対応部5の内面5a及び外面5bの両方を潤滑する場合、内面5aのみを潤滑する場合、外面5bのみを潤滑する場合のそれぞれについて急峻度との関係を示している。
図11に示すように、フランジ対応部5に対して潤滑剤を供給しない場合(即ち、ロール冷却水のみにて潤滑を行う場合)には、摩擦係数は0.3である。そして、いずれの場合も、潤滑剤を供給して摩擦係数が低くなるにつれて、圧延後に生じるフランジ波の急峻度は小さくなっている。
一方、いずれの場合においても、摩擦係数が0.1未満となるような条件で圧延を行うと、孔型ロールと被圧延材Aとの間で必要以上に滑りが生じ、通材が不安定となってしまうといった事情がある。
この点を考慮し、以下にそれぞれの場合(内面5aと外面5bの両方を潤滑、内面5aのみを潤滑、外面5bのみを潤滑)に好適に設定される摩擦係数の条件について説明する。
先ず、フランジ対応部5の内面5aと外面5bの両方を潤滑する場合には、摩擦係数が0.2まで小さくなった段階で急峻度が0となりフランジ波が発生していないことが分かる。即ち、フランジ対応部5の内面5aと外面5bの両方を潤滑する場合には、摩擦係数が0.2以下となるような条件で潤滑剤を供給することで、圧延後にフランジ波が発生しないような圧延工程を実施することができる。
また、フランジ対応部5の内面5aのみを潤滑する場合には、摩擦係数が0.3から減少するにつれてフランジ波の急峻度も小さくなっており、内面5aでの摩擦係数が0.15となる条件でフランジ波の急峻度が1.0E-02(h/L)となっている。即ち、内面5aのみを潤滑する場合には、摩擦係数を0.15以下とするような条件にて潤滑を行えば、フランジ波の低減効果が明確であるような急峻度1.0E-02(h/L)以下とすることができる。
また、フランジ対応部5の外面5bのみを潤滑する場合には、摩擦係数が約0.15まで小さくなった段階で急峻度が0となりフランジ波が発生していないことが分かる。即ち、フランジ対応部5の外面5bのみを潤滑する場合には、摩擦係数が0.15以下となるような条件で潤滑剤を供給することで、圧延後にフランジ波が発生しないような圧延工程を実施することができる。また、急峻度が1.0E-02(h/L)以下であればフランジ波の低減効果が明確であるとの観点から、図11のグラフを参照して、外面5bのみを潤滑する場合、摩擦係数が約0.2以下となるような条件であれば、フランジ波の発生を十分低減できるものとして圧延工程を実施できることが分かる。
以上、図11のグラフを参照して説明したように、本実施の形態にかかる技術によれば、ハット形鋼矢板の圧延工程において、フランジ対応部5に供給する潤滑剤を好適な条件とし、摩擦係数を所定条件とすることで、圧延後に発生するフランジ波を抑制させ、更には、フランジ波をほぼ発生させないような圧延を実施することが可能となる。なお、例えばフランジ対応部5の全幅において、中立線Oを中心に1/4以上の範囲の摩擦係数を低減するように潤滑することでこのような作用効果が確実に得られる。
特に、例えば仕上圧延工程に近い後段の孔型である孔型69において、潤滑剤除去機構102及び水切り板103を設けた場合、以下の(1)、(2)に記載の条件にて圧延を行うことで、フランジ波をほぼ発生させないような圧延を実施することができる。
(1)フランジ対応部5の内面5aと外面5bの両方を潤滑する場合に、摩擦係数を0.1以上0.2以下とする。
(2)フランジ対応部5の外面5bのみを潤滑する場合に、摩擦係数を0.1以上0.15以下とする。
また、以下の(3)~(5)に記載の条件にて圧延を行うことで、圧延後に発生するフランジ波を十分に低減させることができる。
(3)フランジ対応部5の内面5aと外面5bの両方を潤滑する場合に、摩擦係数を0.1以上0.25以下とする。
(4)フランジ対応部5の内面5aのみを潤滑する場合に、摩擦係数を0.1以上0.15以下とする。
(5)フランジ対応部5の外面5bのみを潤滑する場合に、摩擦係数を0.1以上0.2以下とする。
このように、本実施の形態にかかる鋼矢板の製造方法にあっては、製造過程の圧延(特に、中間圧延、更には第2中間圧延)においてフランジ波等の形状不良が発生するのを抑制・回避し、製品寸法精度や圧延の安定性、生産性の向上が実現される。ハット形鋼矢板のように、特に従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚の薄い大型の鋼矢板の製造においては、それら作用効果が顕著に享受される。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
(本発明の変形例)
図12は本発明の変形例に関する概略説明図である。図12に記載の各構成要素に関し、上記実施の形態と同じ機能構成を有する構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。上記実施の形態で説明したフランジ対応部の内面5aおよび外面5bにおいて、中立線Oを中心とした所定の範囲に加え、図12に示すように、上下ロールの中立線Oよりも小径ロール側にあたる範囲を潤滑機構110、111により潤滑してもよい。ここで、「小径ロール側」とは、上下孔型ロールそれぞれにおいて、中立線Oを境界としてロール径が小さくなる領域を言う。中立線Oを中心とした所定範囲の潤滑でフランジ波高さが十分に小さくできない場合、例えば、中立線Oを中心とした所定範囲の潤滑に加え、小径ロール側にあたるフランジ対応部5全体を潤滑することが好ましい。中立線よりもロール径が小さい側のフランジ対応部を潤滑することによって長手方向に伸びが生じやすくなるため、中立線近傍のフランジ対応部との伸びの差が低減され、中立線Oを中心とした所定範囲のみを潤滑する場合よりも更にフランジ波を小さくすることができる。なお、図12に示す潤滑機構110、111の配置や数、構成等は図示の形態に限定されず、任意に設けることができる。
図13は、本変形例に係る圧延におけるフランジ対応部5の摩擦係数と、圧延後のフランジ対応部5に生じるフランジ波の急峻度との関係を示すグラフである。なお、図13における「当該孔型」とは摩擦係数を変動させて圧延を行う孔型を示している。また、図13には、フランジ対応部5の内面5a及び外面5bの両方を潤滑する条件で、中立線Oを中心とした所定の範囲を潤滑する場合、中立線と中立線より小径ロール側を潤滑する場合、フランジ全面を潤滑する場合のそれぞれについて急峻度との関係を示している。
図13に示すように、中立線と中立線より小径ロール側を潤滑する場合には、中立線Oを中心とした所定の範囲を潤滑する場合に比べてフランジ波の抑制効果がさらに顕著となる。摩擦係数が0.25以下では急峻度が0でありフランジ波は発生しない。すなわち、中立線と中立線より小径ロール側を潤滑し、無潤滑の状態よりも少しでも摩擦係数を下げればフランジ波を抑制することができる。
この結果より明らかなように、中立線と中立線より小径ロール側を潤滑すれば、フランジ対応部5の内面5aか外面5bのどちらか一方のみを潤滑した場合でも、図11で示した同じ摩擦係数において、図11で示したフランジ波の急峻度に比べ、さらに低減させることができる。
また、上記実施の形態では、例えば第2中間圧延機19に設けられる第3の孔型69での潤滑、摩擦係数等の所定条件について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではなく、被圧延材Aのフランジ対応部5、6を圧延する種々の圧延機において適用可能である。例えば複数パス圧延を実施する際にフランジ波が発生する恐れがある第1の孔型49や第2の孔型59での圧延工程に対して適用することが可能である。また、1基の中間圧延機に第2の孔型と第3の孔型を配置して実施する場合や、第2の孔型59及び第3の孔型69に関して、第2の孔型59を幅方向両端部が開放された孔型形状とし、第3の孔型69を爪高さの成形を同時に行う孔型形状とした場合についても、同様に適用することが可能である。
なお、上記実施の形態及び他の実施の形態では、ハット形鋼矢板を圧延する場合を例に挙げて図示・説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。即ち、中間圧延においてフランジ波が発生する恐れがある種々の形状のフランジを有する鋼矢板に対して本発明は適用可能である。具体的には、ハット形鋼矢板に加え、U形鋼矢板にも適用することができる。
また、摩擦係数に関しては、事前に鋼板の熱間圧延実験により被圧延材の圧延荷重や先進率を測定することにより、潤滑剤と摩擦係数の関係を明らかにしておけば良い。あるいは、被圧延材の圧延後の通材速度を測定し、FEMで摩擦係数を変更した場合の先進率と一致するように、摩擦係数を同定することができる。また、摩擦係数を低減させる範囲の同定方法としては、ロールを空転させた状態で潤滑剤の噴射を行い、潤滑剤の付着状態を調査して決定しても良い。
また、上記実施の形態では、潤滑機構、潤滑剤除去機構、水切り板といった機構について、孔型ロールの入側と出側の両方に設ける場合について図示・説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、入側、出側のいずれか一方に設けられても良い。
また、上記実施の形態では、ハット形鋼矢板をU姿勢で圧延造形する場合を例示して図示・説明したが、本発明を適用する際の圧延造形姿勢はこれに限られるものではない。例えば、ハット形鋼矢板を逆U姿勢で圧延造形する場合には、上記実施の形態で図示した構成である上下孔型ロールを入れ替えて、それぞれのロールにおいて大径ロール側に潤滑剤除去機構を設ければ良く、上孔型ロールの周面に接触するような水切り板を設ければ良い。
以下、本発明の実施例として、ハット形鋼矢板の製造での第2中間圧延において、フランジ対応部の摩擦係数を本発明にかかる条件を満たすように設定した場合と、フランジ対応部の摩擦係数を従来法のまま(即ち、ロール冷却水による潤滑のみ)とした場合とで、圧延後に生じるフランジ波の急峻度(h/L)の比較を行った。ここで、本実施例でのハット形鋼矢板は、壁幅1mあたりの断面二次モーメントが約10000cm/mであるいわゆる10Hと呼ばれる製品をベースにフランジ厚を0.3mm小さくした製品を用いた。
本発明にかかる条件を満たす場合としては、図7及び図12に示す方法によりフランジ対応部の内面及び外面の両方を潤滑し、図10に示す潤滑剤除去機構や水切り板を適用した上で、摩擦係数が0.2及び0.25となるような条件にて圧延を行った。具体的には、前者では中立線Oを中心として、フランジ対応部の全幅の1/3の範囲を潤滑した。また、後者では中立線Oを中心としたフランジ対応部の全幅の1/3の範囲と、当該範囲を除く小径ロール側全体を潤滑した。
一方、従来法としては、フランジ対応部の潤滑はロール冷却水のみで行い、その摩擦係数は0.3であった。
以下の表1に結果を示す。なお、本実施例における試行回数nは15とした。
Figure 0007070248000001
表1に示すように、フランジ(フランジ対応部)の内外面の中立線近傍の潤滑を行い、摩擦係数を0.2とした条件で圧延を行った場合、一部の圧延では微小なフランジ波が発生したが、15回の試行回数の平均で発生したフランジ波の急峻度は0.0003であった。また、フランジ(フランジ対応部)の内外面中立線近傍と上下ロールの中立線近傍より小径側を潤滑し、摩擦係数を0.25とした条件で圧延を行った場合、一部の圧延では微小なフランジ波が発生したが、15回の試行回数の平均で発生したフランジ波の急峻度は0.0001であった。
これらの場合、フランジ波が発生したものでも急峻度が十分に小さかったため、仕上圧延後にフランジ波は残存しなかった。本実施例の結果から、本発明を適用することでフランジ波の発生が十分に抑制されることが分かった。
一方、潤滑剤の供給を行わず、水潤滑のみでフランジ対応部の摩擦係数を0.3とした条件(従来法)で圧延を行った場合、15回の試行回数の平均で発生したフランジ波の急峻度は0.027であった。この場合、仕上圧延後にもフランジ波は残存し、製品の形状不良が問題となった。よって、従来法ではフランジ波の発生が十分に抑制されず、製品寸法や圧延の安定性等に悪影響が及ぶ可能性があることが分かった。
以上説明したように、本発明技術と従来法を比較すると、被圧延材のフランジ対応部の内外面に潤滑剤を供給し、摩擦係数を所定の条件とすることでフランジ波の発生を抑制させることが可能であることが分かった。
本発明は、ハット形鋼矢板の製造方法及び圧延機に適用できる。
1…製造装置
3…ウェブ対応部
5、6…フランジ対応部
8、9…腕対応部
10、11…継手対応部
14、15…爪部
17…粗圧延機
18…第1中間圧延機
19…第2中間圧延機
30…仕上圧延機
45…(第1の孔型の)上孔型ロール
48…(第1の孔型の)下孔型ロール
49…第1の孔型
55…(第2の孔型の)上孔型ロール
58…(第2の孔型の)下孔型ロール
59…第2の孔型
65…(第3の孔型の)上孔型ロール
68…(第3の孔型の)下孔型ロール
69…第3の孔型
75…(第4の孔型の)上孔型ロール
78…(第4の孔型の)下孔型ロール
79…第4の孔型
85…(第5の孔型の)上孔型ロール
88…(第5の孔型の)下孔型ロール
89…第5の孔型
100、101…潤滑機構
102…潤滑剤除去機構
103…水切り板
105、106…(冷却水)供給機構
A(A1~A5)…被圧延材
L…圧延ライン
O…中立線

Claims (11)

  1. 被圧延材に粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を行うハット形鋼矢板の製造方法であって、
    前記中間圧延工程での前記被圧延材は、ウェブ対応部と、前記ウェブ対応部の両端部に一方の端部が接続する2つのフランジ対応部と、前記フランジ対応部の他方の端部と接続する腕対応部と、を備え、
    前記中間圧延工程は前記被圧延材の断面全体を1又は複数の孔型による1又は複数パス圧延によって行われ、
    前記中間圧延工程が行われる孔型のうち少なくとも1つの孔型における前記被圧延材の圧延は、前記2つのフランジ対応部の内面及び外面のうち少なくとも一方の面を潤滑して複数パス圧延によって行われることを特徴とする、ハット形鋼矢板の製造方法。
  2. 前記潤滑は、前記中間圧延工程における中立線を跨ぐ所定の範囲内において行われることを特徴とする、請求項1に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  3. 前記潤滑は、前記中間圧延工程における中立線を跨ぐ所定の範囲内と、当該所定の範囲に加え、中立線に対し小径ロール側に対しても行われることを特徴とする、請求項2に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  4. 前記潤滑は、被圧延材のフランジ対応部全幅において、中立線を跨ぐ当該全幅の1/4以上の範囲において行われることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  5. 前記潤滑が行われる孔型には、当該孔型の上下孔型ロールの一方又は両方において、周面の一部の潤滑剤を除去する潤滑剤除去機構、及び、周面全面の水切りを行う水切り板が設けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  6. 前記潤滑が行われる孔型において、前記潤滑剤除去機構は、当該孔型の上下孔型ロール周面のうち、フランジ対向部分の大径ロール側での全幅端部から当該フランジ対向部分の全幅の1/4以下の範囲において潤滑剤を除去することを特徴とする、請求項5に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  7. ハット形鋼矢板に対し上下孔型ロールによる中間圧延を行う圧延機であって、
    前記上下孔型ロールには、被圧延材の2つのフランジ対応部の内面及び外面のうち少なくとも一方の面を潤滑する潤滑機構が設けられ、
    前記潤滑機構による潤滑は、前記中間圧延における中立線を跨ぐ所定の範囲内において行われることを特徴とする、圧延機。
  8. 前記潤滑機構による潤滑は、前記所定の範囲に加え、前記中間圧延における中立線に対し小径ロール側に対しても行われることを特徴とする、請求項7に記載の圧延機。
  9. 前記潤滑機構による潤滑は、被圧延材のフランジ対応部全幅において、中立線を跨ぐ当該全幅の1/4以上の範囲において行われることを特徴とする、請求項7又は8に記載の圧延機
  10. 前記上下孔型ロールの一方又は両方において、周面の一部の潤滑剤を除去する潤滑剤除去機構、及び、周面全面の水切りを行う水切り板が設けられることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の圧延機。
  11. 前記潤滑剤除去機構は、前記上下孔型ロールの周面のうち、フランジ対向部分の大径ロール側での全幅端部から当該フランジ対向部分の全幅の1/4以下の範囲において潤滑剤を除去することを特徴とする、請求項10に記載の圧延機。
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