JP7058491B2 - リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
放電特性を向上させる方法としては、一般的に、電極間の距離を短くする(セパレータを薄くする)ことでリチウムイオンの移動距離を短くする方法があるが、セパレータを薄くすると析出したリチウムによる短絡が発生しやすくなるという問題がある。また、体積あたりの活物質量を増加させるために集電体を薄くすると、電池の内部抵抗が増加してしまうという問題がある。
すなわち、特許文献1等に記載された正極活物質を用いたリチウムイオン電池では、高エネルギー密度及び出力特性(急速放電特性)を両立させることが困難であるという課題があった。
すなわち、本発明は、正極集電体と、上記正極集電体の表面に形成された正極活物質層と、リチウムイオンを含む電解質と非水溶媒とからなる非水電解液とを備えたリチウムイオン電池用正極であって、上記正極活物質層は、正極活物質と空隙からなり、上記空隙には上記非水電解液が充填されており、上記正極活物質の総量に基づく電池容量に対する、上記正極活物質層中に存在する上記非水電解液中のリチウムイオンの総量に基づく電池容量の割合が、3.5~15%であることを特徴とするリチウムイオン電池用正極;これを用いたリチウムイオン電池に関する。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
しかしながら、これを高エネルギー密度化するために、正極活物質の充填密度を増加させると、正極活物質層におけるリチウムイオンの移動速度が低下(リチウムイオン伝導度が低下)し、また集電体を薄くする等して正極活物質層の厚さを増加させると、負極活物質から供給されたリチウムイオンが正極活物質に取り込まれるまでに時間がかかるため、急速放電に対応することが難しい。
また、詳細は明らかではないが、本発明では、放電時に負極と正極との間でリチウムイオンの濃度勾配が発生し、この濃度勾配がリチウムイオン移動の駆動力となることによっても放電特性(急速放電特性)が向上していると推定される。
なお、正極活物質の総量に基づく電池容量とは、正極活物質層を構成する正極活物質重量に基づいた理論上の電池容量のことである。ただし、電池容量の理論値は、繰り返しの充放電に耐えうる程度のものを指す。また、正極活物質層中に存在する非水電解液中のリチウムイオンの総量に基づく電池容量とは、正極活物質層中に含まれる非水電解液中のリチウムイオンが全て、正極活物質中に吸蔵されたと仮定した際の電池容量(放電容量)のことであり、放電容量の算出に用いられるリチウムイオンには、満充電時(放電前)に正極活物質中に予め含まれているリチウムイオンは含まない。
電池容量[mAh/cm2]=正極活物質容量[mAh/g]×正極活物質目付[mg/cm2]/103
なお、正極活物質容量[mAh/g]は、正極活物質(正極活物質が高分子化合物を含む被覆層により被覆された被覆正極活物質である場合は、被覆正極活物質)を、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSO2)2を3mol/Lの割合で溶解させて作製した非水電解液と混合してスラリー化し、アラミドセパレータ[日本バイリーン(株)製]の片面に塗布した後、10MPaの圧力で10秒プレスして電極を作製して、セパレータを介して対極(金属リチウム)と対向させた状態で電池パックに組み込み、4.2Vから2.5Vまで放電(放電レート:1/20C)した際の放電容量を充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]等で測定して得られる。
正極活物質層中に存在する非水電解液中のリチウムイオンの総量に基づく電池容量は、正極活物質層の厚さ、空隙率及び非水電解液の上記電解質濃度から一義的に導き出すことができ、これらを適時組み合わせることで調整できる。計算式は以下の通りである。
正極活物質層中に存在する非水電解液中のリチウムイオンの総量に基づく電池容量[mAh/cm2]=電極空隙体積[cm3]×非水電解液の上記電解質濃度[モル/L]/103×容量換算定数[mAh/モル]/電極面積[cm2]
容量換算定数[mAh/モル]:26806
なお、容量換算定数はリチウムイオン1個あたりの電池容量を表す。
電極空隙体積[cm3]=空隙率[体積%]×電極の膜厚[μm]/104×電極面積[cm2]
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
総体積の35~60体積%の空隙が正極活物質層中に形成されていると、該空隙に非水電解液を充填することにより、正極活物質の周囲に充分な量のリチウムイオンを配置することができる。
本明細書において、空隙とは、正極が非水電解液を含浸していない状態で正極活物質層が有する空隙のことを指す。空隙率は正極活物質層をX線コンピュータ断層撮影(CT)等による画像解析で求めることもできる。
ただし、正極活物質層が電解液や他の成分を含んでおり、空隙を含む正極活物質層のX線CT画像を得られない場合には、以下の方法により測定するものとする。
空隙率は、一定体積の正極活物質層を構成する各固体成分(電解質を除く)の重量を各成分の真密度でそれぞれ除して得られる各成分の体積値の合計値を正極活物質層の体積から引いて得られる値をさらに正極活物質層の体積で除することにより算出することができる。
各固体成分の重量及び真密度は、正極を非水溶媒等で洗浄した洗浄液を固液分離し、非水溶媒を除去することにより求めることができる。
なお、上記固体成分は、非水溶媒に溶解する成分と溶解しない成分とに分離せずに、固体成分の混合物として、その重量を真密度で除して固体成分全体の体積を求めることで、各成分ごとに重量及び真密度を測定する方法に代えてもよい。
なお、単位面積あたりの基準となる面は、正極集電体の表面に平行な面である。
正極活物質層が単位面積あたりに保持できる非水電解液の量が6μL/cm2未満であると、正極活物質の周囲に存在するリチウムイオンの総量が減少してしまい、レート特性が悪化することがある。単位面積あたりに保持できる非水電解液の量は、正極活物質層の空隙率と膜厚から計算して求めることができる。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電材料は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電材料としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電材料の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電材料が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1~20μmであることが好ましい。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。
アミド化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載する)等が挙げられる。
スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
正極活物質層がさらに導電性繊維を含む場合、導電性繊維は正極活物質層中での電子伝導を補助する働きをすることができ、導電性繊維としては上記樹脂集電体で説明した導電性繊維と同じものを用いることができる。正極活物質層がさらに導電性繊維を含む場合、正極活物質には、後述する被覆正極活物質を用いることが好ましい。
正極活物質層がさらに導電性繊維を含む場合、正極活物質層に含まれる導電性繊維の含有量は、正極活物質層の合計重量に対して25重量%以下であることが好ましい。
表面の一部又は全部が被覆層により被覆された正極活物質を、被覆正極活物質ともいう。
正極活物質の表面が被覆層で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。さらに、正極活物質の非水溶媒に対する濡れ性を向上させることができる。
吸液率(%)=[(非水電解液浸漬後の高分子化合物の重量-非水電解液浸漬前の高分子化合物の重量)/非水電解液浸漬前の高分子化合物の重量]×100
吸液率を求めるための非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積割合でEC:DEC=3:7で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度になるように溶解した非水電解液を用いる。
吸液率を求める際の非水電解液への浸漬は、50℃、3日間行う。50℃、3日間の浸漬を行うことにより高分子化合物が飽和吸液状態となる。なお、飽和吸液状態とは、それ以上非水電解液に浸漬しても高分子化合物の重量が増えない状態をいう。
なお、リチウムイオン電池を製造する際に使用する非水電解液は、上記非水電解液に限定されるものではなく、他の非水電解液を使用してもよい。
吸液率は20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
また、吸液率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
引張破断伸び率(%)=[(破断時試験片長さ-試験前試験片長さ)/試験前試験片長さ]×100
引張破断伸び率は20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
また、引張破断伸び率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
被覆層を構成する高分子化合物としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリサッカロイド(アルギン酸ナトリウム等)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中ではビニル樹脂が好ましい。
特に、重合体(A1)は、ビニルモノマー(a)としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)及び下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(a2)を含む単量体組成物の重合体であることが好ましい。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
[式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数4~12の直鎖又は炭素数4~36の分岐アルキル基である。]
ビニル樹脂のうち、非水電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であるものがより好ましい。
R2は、炭素数4~12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数13~36の分岐アルキル基であることが好ましい。
炭素数4~12の直鎖アルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。
炭素数4~12の分岐アルキル基としては、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基(tert-ブチル基)、1-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、1,4-ジメチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、5-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、1,4-ジメチルヘプチル基、1,5-ジメチルヘプチル基、1,6-ジメチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、5-メチルノニル基、6-メチルノニル基、7-メチルノニル基、8-メチルノニル基、1,1-ジメチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、1,4-ジメチルオクチル基、1,5-ジメチルオクチル基、1,6-ジメチルオクチル基、1,7-ジメチルオクチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、1-メチルデシル基、2-メチルデシル基、3-メチルデシル基、4-メチルデシル基、5-メチルデシル基、6-メチルデシル基、7-メチルデシル基、8-メチルデシル基、9-メチルデシル基、1,1-ジメチルノニル基、1,2-ジメチルノニル基、1,3-ジメチルノニル基、1,4-ジメチルノニル基、1,5-ジメチルノニル基、1,6-ジメチルノニル基、1,7-ジメチルノニル基、1,8-ジメチルノニル基、1-エチルノニル基、2-エチルノニル基、1-メチルウンデシル基、2-メチルウンデシル基、3-メチルウンデシル基、4-メチルウンデシル基、5-メチルウンデシル基、6-メチルウンデシル基、7-メチルウンデシル基、8-メチルウンデシル基、9-メチルウンデシル基、10-メチルウンデシル基、1,1-ジメチルデシル基、1,2-ジメチルデシル基、1,3-ジメチルデシル基、1,4-ジメチルデシル基、1,5-ジメチルデシル基、1,6-ジメチルデシル基、1,7-ジメチルデシル基、1,8-ジメチルデシル基、1,9-ジメチルデシル基、1-エチルデシル基、2-エチルデシル基等が挙げられる。これらの中では、2-エチルヘキシル基が好ましい。
炭素数13~36の分岐アルキル基としては、1-アルキルアルキル基[1-メチルドデシル基、1-ブチルエイコシル基、1-ヘキシルオクタデシル基、1-オクチルヘキサデシル基、1-デシルテトラデシル基、1-ウンデシルトリデシル基等]、2-アルキルアルキル基[2-メチルドデシル基、2-ヘキシルオクタデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ウンデシルトリデシル基、2-ドデシルヘキサデシル基、2-トリデシルペンタデシル基、2-デシルオクタデシル基、2-テトラデシルオクタデシル基、2-ヘキサデシルオクタデシル基、2-テトラデシルエイコシル基、2-ヘキサデシルエイコシル基等]、3~34-アルキルアルキル基(3-アルキルアルキル基、4-アルキルアルキル基、5-アルキルアルキル基、32-アルキルアルキル基、33-アルキルアルキル基及び34-アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7~11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1~1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7~8量体)及びα-オレフィン(炭素数5~20)オリゴマー(4~8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
エステル化合物(a3)を構成する炭素数1~3の1価の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノール等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合を有する構造としてはビニル基、アリル基、スチレニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
アニオン性基としては、スルホン酸基及びカルボキシル基等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体はこれらの組み合わせにより得られる化合物であり、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び(メタ)アクリル酸が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
アニオン性単量体の塩(a4)を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオン等が挙げられる。
特に、(メタ)アクリル酸(a11)としてメタクリル酸を用い、エステル化合物(a21)として2-エチルヘキシルメタクリレートを用い、エステル化合物(a3)としてメタクリル酸メチルを用いた、メタクリル酸、2-エチルヘキシルメタクリレート及びメタクリル酸メチルの共重合体であることが最も好ましい。
ビニルモノマー(a2)と(メタ)アクリル酸(a11)の重量比が10/90~90/10であると、これを重合してなる重合体は、正極活物質との接着性が良好で剥離しにくくなる。
上記重量比は、30/70~85/15であることが好ましく、40/60~70/30であることがさらに好ましい。
ラジカル重合性モノマー(a5)としては、活性水素を含有しないモノマーが好ましく、下記(a51)~(a58)のモノマーを用いることができる。
(a51)炭素数13~20の直鎖脂肪族モノオール、炭素数5~20の脂環式モノオール又は炭素数7~20の芳香脂肪族モノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)直鎖脂肪族モノオール(トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a53-1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3~30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N-ジアルキル(炭素数1~6)又はジアラルキル(炭素数7~15)(メタ)アクリルアミド(N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4~20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN-メチル-N-ビニルアセトアミド、環状アミド[ピロリドン化合物(炭素数6~13、例えば、N-ビニルピロリドン等)]
(i)ジアルキル(炭素数1~4)アミノアルキル(炭素数1~4)(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
ピリジン化合物(炭素数7~14、例えば2-又は4-ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5~12、例えばN-ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6~13、例えばN-ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6~13、例えばN-ビニル-2-ピロリドン)
炭素数3~15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1~4)アクリレート
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8~16、例えばニトロスチレン)等
(a54-1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2~18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4~10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等)等
炭素数4~18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
炭素数8~20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
脂肪族ビニルエステル[炭素数4~15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ-又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9~20、例えば芳香族カルボン酸(モノ-又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル-4-ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3~15、例えばビニルアルキル(炭素数1~10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2-エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1~6)アルキル(炭素数1~4)エーテル(ビニル-2-メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、2-ブトキシ-2’-ビニロキシジエチルエーテル、ビニル-2-エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2~4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2~6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]、芳香族ビニルエーテル(炭素数8~20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
脂肪族ビニルケトン(炭素数4~25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)、芳香族ビニルケトン(炭素数9~21、例えばビニルフェニルケトン)
炭素数4~34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1~22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1~22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
モノマーの含有量が上記範囲内であると、非水電解液への吸液性が良好となる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED-B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
重合開始剤の使用量は、数平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、モノマーの全重量に基づいて0.01~5重量%であることが好ましく、0.05~2重量%であることがより好ましく、0.1~1.5重量%であることがさらに好ましい。重合温度及び重合時間は重合開始剤の種類等に応じて調整されるが、重合温度は-5~150℃であることが好ましく、(さらに好ましくは30~120℃)、反応時間は好ましくは0.1~50時間(さらに好ましくは2~24時間)で行われる。
溶液又は分散液のモノマー濃度は5~95重量%であることが好ましく、10~90重量%であることがより好ましく、15~85重量%であることがさらに好ましく、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて0.01~5重量%であることが好ましく、0.05~2重量%であることがより好ましい。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。
加熱温度は、架橋剤の種類に応じて調整されるが、架橋剤としてポリエポキシ化合物(a’1)を用いる場合は70℃以上であることが好ましく、ポリオール化合物(a’2)を用いる場合は120℃以上であることが好ましい。
正極活物質の重量に対する導電剤の重量の割合は、特に限定されないが、0~14重量%であることが好ましい。
被覆正極活物質は、例えば、高分子化合物と正極活物質を混合することによって製造することができる。被覆層が導電剤を含む場合には、例えば、高分子化合物、導電剤及び正極活物質を混合することによって製造してもよく、高分子化合物と導電剤とを混合して被覆材を準備したのち、該被覆材と正極活物質とを混合することにより製造してもよい。
上記方法により、高分子化合物を含む被覆層によって正極活物質の表面の少なくとも一部が被覆される。
本発明のリチウムイオン電池用正極を製造する方法としては、例えば、正極活物質及び必要により用いる導電剤を、水又は溶媒(非水電解液又は非水電解液の非水溶媒等)の重量に基づいて30~60重量%の濃度で分散してスラリー化した分散液を、正極集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布後、必要に応じて乾燥して水又は溶媒を除去して得られた正極活物質層を必要によりプレス機でプレスし、得られた正極活物質層に所定量の非水電解液を含浸させる方法が挙げられる。なお、上記分散液から得られる正極活物質層は、正極集電体上に直接形成する必要はなく、例えば、アラミドセパレータ等の表面に上記分散液を塗布して得られる正極活物質層を、正極集電体と接触するように配置してよい。
また、上記分散液を塗布した後に必要により行う乾燥は、順風式乾燥機等の公知の乾燥機を用いて行うことができ、その乾燥温度は分散液に含まれる分散媒(水又は溶媒)の種類に応じて調整することができる。
上記分散液には、必要に応じて公知のリチウムイオン電池用の正極に含まれるポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のバインダを添加してもよいが、正極活物質が上述した被覆正極活物質の場合には、バインダを添加しないことが好ましい。
従来のリチウムイオン電池用の正極においては、バインダで正極活物質を正極内に固定することで導電経路を維持する必要がある。しかし、被覆正極活物質を用いた場合は、被覆層の働きによって正極活物質を正極内に固定することなく導電経路を維持することができるため、バインダを添加する必要がない。バインダを添加しないことによって、正極活物質が正極内に固定化されないため正極活物質の体積変化に対する緩和能力が更に良好となる。正極活物質層がバインダを含まないことによって、正極活物質の体積変化に対する緩和能力が良好であると、正極活物質層の厚さを厚くした場合であっても、繰り返しの充放電に伴って正極活物質層が正極集電体から剥離することがないため、内部抵抗の増加が起こりにくい。そのため、エネルギー密度を増加させつつ、サイクル特性の低下を抑制することができる。
乾燥させたスラリーをプレスする際の圧力は、特に限定されないが、圧力が高すぎると正極活物質層に充分な量の空隙を形成することができず、圧力が低すぎると、プレスによる効果がみられないことから、1~200MPaでプレスすることが好ましい。
バインダとしてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。
また、正極集電体の一方の面だけに正極活物質層を形成した本発明のリチウムイオン電池用正極の、正極集電体の他方の面に負極活物質からなる負極活物質層を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収容し、非水電解液を注入し、セル容器を密閉することでも得られる。
非水電解液としては、本発明のリチウムイオン電池用正極において説明したものを好適に用いることができる。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF407.9部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸242.8部、メチルメタクリレート97.1部、2-エチルヘキシルメタクリレート242.8部、及びDMF116.5部を配合したモノマー配合液と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.7部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)4.7部をDMF58.3部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、75℃で反応を3時間継続した。次いで80℃に昇温し反応を3時間継続し樹脂濃度50%の共重合体溶液を得た。これにDMFを789.8部加えて、樹脂固形分濃度30重量%である被覆層用高分子化合物溶液を得た。
正極活物質粉末(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2粉末、体積平均粒子径4μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物溶液6.1部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]6.1部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、被覆正極活物質粒子を得た。
[リチウムイオン電池用正極活物質スラリーの作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSO2)2を3mol/Lの割合で溶解させて作製した非水電解液20部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記非水電解液50部と製造例2で製造した被覆正極活物質粒子98部を追加した後、更にあわとり練太郎で2000rpmで1.5分間混合し、上記非水電解液25部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、更に上記非水電解液50部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、リチウムイオン電池用正極活物質スラリーを作製した。
得られた正極活物質スラリーをアラミドセパレータ[日本バイリーン(株)製]の片面に塗布し、10MPaの圧力で約10秒プレスし、アラミドセパレータ上に厚さが230μmの正極活物質層(3cm×3cm)を固定した。正極活物質層を形成する前後におけるアラミドセパレータの重量変化から正極活物質の目付(目付量ともいう)を求めたところ、52mg/cm2であった。また固定した正極活物質層をX線CT装置により測定して得られたX線CT画像から下記の方法により空隙率を求めたところ、51体積%であった。
まず、アラミドセパレータの厚さ方向及びこれに垂直な方向の2つの方向における断面画像としてX線CT画像を得る。その後、各方向の断面画像において無作為に10箇所抽出した50μm×50μmの領域について、領域全体のうち空隙が占める面積をそれぞれ求め、これを平均した値を空隙率とした。
続いて、端子(5mm×3cm)付きカーボンコートアルミ箔(3cm×3cm、厚さ50μm)とセパレータ[セルガード社製 セルガード(登録商標)3501 PP製](5cm×5cm)1枚と端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm、厚さ50μm)とを、同じ方向に2つの端子が出る向きで順に積層し、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(8cm×8cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着し、正極評価用ラミネートセルを作製した。次いでカーボンコートアルミ箔とセパレータの間に正極活物質層を固定したアラミドセパレータ(3cm×3cm)を正極活物質層とカーボンコートアルミ箔とが接する向きに挿入し、更に電極に非水電解液を70μL注液して非水電解液を電極に吸収させることにより実施例1に係るリチウムイオン電池用正極を作製した。次いでセパレータ上に非水電解液を70μL注液した。その後、セパレータと銅箔との間にリチウム箔を挿入し、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。その後、開口部から非水電解液を70μL注液し、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら開口部をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、正極評価用リチウムイオン電池1を得た。
正極活物質層の空隙率及び非水電解液の濃度から、正極活物質の総量に基づく電池容量に対する、正極活物質層中に存在する非水電解液中のリチウムイオンの総量に基づく電池容量の割合(以下、電池容量割合ともいう)を求めたところ、9.5%であった。
非水電解液の電解質濃度を3mol/Lから2mol/Lに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例2に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池2を作製した。正極活物質層の空隙率は、実施例1と同様であった。また電池容量割合は6.3%であった。
非水電解液の電解質濃度を3mol/Lから1.2mol/Lに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例3に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池3を作製した。正極活物質層の空隙率は、実施例1と同様であった。また電池容量割合は3.8%であった。
正極活物質の目付量が52mg/cm2から80mg/cm2となるように変更し、正極活物質層の膜厚が320μmとなり、空隙率が46体積%となるように、正極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に塗布した後のプレス条件を変更した以外は、実施例2と同様の手順により、実施例4に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池4を作製した。正極活物質層の膜厚は320μmであり、空隙率は46体積%であった。また電池容量割合は5.1%であった。
非水電解液の電解質濃度を2mol/Lから5mol/Lに変更した以外は、実施例4と同様の手順で実施例5に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池5を作製した。正極活物質層の空隙率は、実施例4と同様であった。また電池容量割合は12.7%であった。
非水電解液の電解質をLiN(FSO2)2からLiPF6に変更し、正極活物質層の膜厚が390μmとなり、空隙率が55体積%となるよう、正極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に塗布した後のプレス条件を変更した以外は、実施例4と同様の手順により、実施例6に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池6を作製した。正極活物質の膜厚は390μmであり、空隙率は55体積%であった。また電池容量割合は、7.4%であった。
非水電解液の電解質濃度を2mol/Lから3mol/Lに変更し、電解質の種類をLiN(FSO2)2からLiPF6:LiN(CF3SO2)2=1:1(重量比)の混合物に変更し、正極活物質の膜厚が280μmとなり、空隙率が38体積%となるよう、正極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に塗布した後のプレス条件を変更した以外は、実施例6と同様の手順により、実施例7に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池7を作製した。正極活物質の目付量は80mg/cm2であり、正極活物質層の膜厚は280μm、空隙率は38体積%であった。また電池容量割合は、5.6%であった。
正極活物質の目付量が52mg/cm2から160mg/cm2となるように変更し、正極活物質層の膜厚が770μmとなり、空隙率が55体積%となるように、正極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に塗布した後のプレス条件を変更した以外は、実施例1と同様の手順により、実施例8に係るリチウムイオン電池用正極及び正極評価用リチウムイオン電池8を作製した。正極活物質層の膜厚は770μmであり、空隙率は55体積%であった。また電池容量割合は11.0%であった。
実施例1で作製した非水電解液の電解質濃度を3mol/Lから0.8mol/Lに変更した以外は、実施例1と同様の手順で比較例1に係るリチウムイオン電池用正極及び正極比較評価用リチウムイオン電池1を作製した。正極活物質層の空隙率は、実施例1と同様であった。また電池容量割合は3.2%であった。
非水電解液の電解質濃度を3mol/Lから5.5mol/Lに変更したが、電解質塩が非水電解液中で析出し、電池に使用できる非水電解液が作製できなかったため、電池の作製を行わなかった。なお、電解質濃度5.5mol/Lの電解質を用いて実施例1と同様に電池を作製したと仮定した場合の電池容量割合は17.3%である。
非水電解液の電解質濃度を3mol/Lから1.2mol/Lに変更し、電解質の種類をLiN(FSO2)2からLiPF6に変更し、正極活物質の目付量が52mg/cm2から80mg/cm2となるように変更し、正極活物質スラリーをアラミドセパレータ上に塗布した後のプレス条件を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例3に係るリチウムイオン電池用正極及び正極比較評価用リチウムイオン電池3を作製した。正極活物質層の空隙率は30体積%、膜厚は250μmであった。また電池容量割合は、1.6%であった。
非水電解液の電解質濃度を2mol/Lから0.8mol/Lに変更した以外は、実施例6と同様の手順で比較例4に係るリチウムイオン電池用正極及び正極比較評価用リチウムイオン電池4を作製した。正極活物質層の空隙率、膜厚は実施例6と同様であった。また電池容量割合は3.0%であった。
製造例2で作製した被覆正極活物質粒子を、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSO2)2を3mol/Lの割合で溶解させて作製した非水電解液と混合してスラリー化し、アラミドセパレータ[日本バイリーン(株)製]の片面に塗布した後、10MPaの圧力で10秒プレスして電極を作成して電池パックに組み込み、4.2Vから2.5Vまで放電した際の放電容量を充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]で測定し、正極活物質の放電容量(4.2V→2.5V放電容量)を求めた。結果は、192mAh/gであった。
室温下、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて以下の方法により正極評価用リチウムイオン電池1~8及び正極比較評価用リチウムイオン電池1、3~4の評価を行った。
45℃の条件下において、正極評価用リチウムイオン電池1~8及び正極比較評価用リチウムイオン電池1、3~4を、0.05Cの電流で4.2Vまでそれぞれ充電した後、1.0Cの電流で2.5Vまで放電した時の容量(1.0C放電容量)を測定した。正極活物質の重量に基づく電池容量に対する1.0C放電容量の割合[%](以下、単に電池容量に対する1.0C放電容量の割合ともいう)を[(1.0C放電容量)/(正極活物質の重量に基づく電池容量)×100]によって求め、結果を表1~2に記載した。
電池容量に対する1.0C放電容量の割合が大きいほど良好で高速放電が可能であることを意味する。
Claims (5)
- 正極集電体と、前記正極集電体の表面に形成された正極活物質層と、リチウムイオンを含む電解質と非水溶媒とからなる非水電解液とを備えたリチウムイオン電池用正極であって、
前記正極活物質層は、正極活物質と空隙からなり、
前記空隙には前記非水電解液が充填されており、
前記正極活物質の総量に基づく電池容量に対する、前記正極活物質層中に存在する前記非水電解液中のリチウムイオンの総量に基づく電池容量の割合が、3.5~15%であり、
前記正極活物質層の厚さが200~400μmであり、
前記非水電解液の前記電解質濃度は2~5mol/Lであり、
前記電解質は、LiN(FSO 2 ) 2 のみからなることを特徴とするリチウムイオン電池用正極。 - 前記空隙の総体積が、前記正極活物質層の総体積の35~60体積%である請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極。
- 前記正極集電体は、導電材料と樹脂からなる樹脂集電体である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用正極。
- 前記正極活物質は、その表面の一部又は全部が高分子化合物を含む被覆層により被覆された被覆正極活物質である請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極。
- 請求項1~4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極を用いたことを特徴とするリチウムイオン電池。
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