以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付し又は類似の符号(数字の後にa、bなどを付しただけの符号)を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
[光学フィルター]
本発明の光学フィルターは、ガラス基板と波長600〜800nmに吸収極大を有する化合物(A)を含有する樹脂層とを含む基材、および、該基材の少なくとも一方の面に形成された誘電体多層膜を有することを特徴とする。
本発明の光学フィルターは、垂直方向からの入射光、および斜め方向からの入射光(特に高入射角の入射光)の双方に対して高い可視光透過率と近赤外線カット性能を有する。なお、本明細書において、光学フィルターを構成する基材に対して、垂直に入射する光を垂直入射光とし、該垂直入射光を基準(入射角0度)として、斜め方向から入射する光を斜め入射光とする。
本発明の光学フィルターは、下記要件(a)〜(d)を満たす。
要件(a):85℃85%RHの環境に1000時間保管する前の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長400〜650nmの範囲における透過率の平均値Ta-0が45%以上90%以下、好ましくは48%、より好ましくは52%、特に好ましくは55%以上である。
要件(a)を満たすことにより、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
要件(b):前記保管前の光学フィルターの光学濃度(OD値)を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長800〜1200nmの範囲における光学濃度の平均値ODa-0が1.0以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.8以上である。
上限は特に制限されないが、6.0以下であることが好ましく、5.5以下であることが特に好ましい。極端に光学濃度が高くなると可視域の透過率が低下する傾向がある上、実用特性に顕著な差が見られなくなってくるため、環境光センサー用途として使用する場合、光学濃度上限を上記範囲とすることが好ましい。
要件(b)を満たすことにより、近赤外線カット特性が良好となり、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、本発明の光学フィルターを環境光センサー用途として使用した場合、センサーの誤作動を防止できる。
光学濃度(OD値)は透過率の常用対数値であり、下記式(1)にて算出できる。指定の波長範囲の光学濃度の平均値が高いと、光学フィルターはその波長領域の光のカット特性が高いことを表す。
ある波長域における光学濃度の平均値=−Log10(ある波長域における平均透過率(%)/100)・・・式(1)
要件(c):前記保管後の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長400〜650nmの範囲における透過率の平均値Tb-0と、前記要件(a)に記載の透過率の平均値Ta-0との差の絶対値が7%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
要件(c)における絶対値が小さいほど、保管前後の特性変化が少なく、高温下の組み立て後、および高温下での使用時においても、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
要件(d):前記保管前の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長580〜650nmにおける透過率の平均値をTRaとし、波長500〜580nmにおける透過率の平均値をTGaとし、波長420〜500nmにおける透過率の平均値をTBaとした場合、TGa/TRaおよびTBa/TRaがいずれも0.9〜1.6、好ましくは0.95〜1.55である。
要件(d)を満たすことにより、RGBバランスがよく、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(e)、(f)、(g)および/または(h)を満たすことが好ましい。
要件(e):前記保管前の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向に対して30度斜め方向から測定した際の、波長400〜650nmの範囲における透過率の平均値Ta-30、および、前記保管前の光学フィルターの透過率を該光学フィルターの垂直方向に対して60度斜め方向から測定した際の、波長400〜650nmの範囲における透過率の平均値Ta-60が、いずれも45%以上90%以下、好ましくは48%以上、より好ましくは55%以上である。
要件(e)を満たすことにより、この波長範囲でいずれの入射角度においても平均透過率がこの範囲にあると、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
要件(f):前記保管前の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長350〜500nmの範囲において透過率が50%となる最も短い波長の値(Xa)と、
前記保管後の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長350〜500nmの範囲において透過率が50%となる最も短い波長の値(Xb)との差の絶対値が12nm以下、好ましくは10nm以下、より好ましくは8nm以下である。
要件(f)における絶対値が小さいほど、保管前後の特性変化が少なく、高温下の組み立て後、および高温下での使用時においても、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
要件(g):前記保管後の光学フィルターの分光透過率を該光学フィルターの垂直方向から測定した際の、波長580〜650nmにおける透過率の平均値をTRbとし、波長500〜580nmにおける透過率の平均値をTGbとし、波長420〜500nmにおける透過率の平均値をTBbとした場合、TGb/TRbおよびTBb/TRbがいずれも0.9〜1.6、好ましくは0.95〜1.55である。
要件(g)を満たすことにより、RGBバランスがよく、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
要件(h):(TGb/TRb)/(TGa/TRa)の値および(TBb/TRb)/(TBa/TRa)の値がいずれも0.95〜1.05、好ましくは0.96〜1.04、より好ましくは0.97〜1.03である。
要件(h)における値が1.00に近いほど、保管前後の特性変化が少なく、高温下の組み立て後、および高温下での使用時においても、本発明の光学フィルターを固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサー用途として使用した場合、優れたセンサー感度を達成することができる。
上記のような本発明の光学フィルターは、前記保管後において誘電体多層膜にクラックが発生しない。
図1(A)〜(C)は、本発明の一実施形態に係る光学フィルターを示す。図1(A)に示す光学フィルター100aは、基材102の少なくとも一方の面に誘電体多層膜104を有する。誘電体多層膜104は、近赤外線を反射する特性を有する。また、図1(B)は、基材102の一方の面に第1誘電体多層膜104aが設けられ、他方の面に第2誘電体多層膜104bが設けられた光学フィルター100bを示す。このように、近赤外線を反射する誘電体多層膜は基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを得ることができる。光学フィルターを環境光センサー用途に適用する場合、光学フィルターの反りやねじれが小さい方が好ましいことから、誘電体多層膜を基材の両面に設けることが好ましい。
誘電体多層膜104は、可視光に相当する波長の光を透過させた上で、垂直方向から入射した光に対して波長800〜1150nmの範囲全体にわたって反射特性を有することが好ましく、さらに好ましくは波長800〜1200nm、特に好ましくは800〜1250nmの範囲全体にわたって反射特性を有することが好ましい。基材102の両面に誘電体多層膜を有する形態として、光学フィルター(又は基材)の垂直方向に対して5度の角度から測定した場合に波長800〜1000nm付近に主に反射特性を有する第1誘電体多層膜104aを基材102の片面に設け、基材102の他方の面上に光学フィルター(又は基材)の垂直方向に対して5度の角度から測定した場合に1000nm〜1250nm付近に主に反射特性を有する第2誘電体多層膜104bを有する形態が挙げられる。
また、他の形態として、図1(C)に示す光学フィルター100cは、垂直方向に対して5度の角度から測定した場合に波長800〜1250nm付近に主に反射特性を有する誘電体多層膜104を基材102の片面に設け、基材102の他方の面上に可視域の反射防止特性を有する反射防止膜106を有する形態が挙げられる。基材に対して誘電体多層膜と反射防止膜とを組み合わせることで、可視域の光の透過率を高めつつ近赤外線を反射することができる。
本発明の一実施形態に係る光学フィルターに要求されるヘーズ値は、用途によって異なるが、例えば環境光センサー用光学フィルターとして用いる場合、ヘーズ値は8%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下である。ヘーズ値が8%よりも大きい場合、センサー感度が低下してしまう場合が有る。
光学フィルターの厚みは、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、近年の情報端末の薄型化、軽量化等の流れを考慮すると薄いことが好ましい。
本発明の一実施形態に係る光学フィルターの厚みは、好ましくは210μm以下、より好ましくは190μm以下、さらに好ましくは160μm以下、特に好ましくは130μm以下であることが望ましく、下限は特に制限されないが、光学フィルターの強度や取り扱いのしやすさを考慮すると、例えば、20μmであることが望ましい。
[基材]
図2(A)〜(C)は基材102の構成を示す。基材102は、化合物(A)を含有する樹脂層とガラス基板とを含む。また、基材102は、近赤外線吸収微粒子を1種以上含む層を有することが好ましい。
以下、化合物(A)を少なくとも1種と透明樹脂とを含有する層を「透明樹脂層」ともいい、それ以外の樹脂層を単に「樹脂層」ともいう。
図2は、基材102を示し、ガラス基板110上に化合物(A)を含有する硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなるオーバーコート層などの透明樹脂層112が積層された構成を有する。なお、透明樹脂層112に相当する層は、ガラス基板110の両面に設けられていてもよい。
基材の波長400〜650nmにおける平均透過率は、好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは65%以上である。このような透過特性を有する基材を用いると、固体撮像装置用途や環境光センサーとして必要な波長帯域において高い光線透過特性を有する光学フィルターを得ることができ、固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサーとして使用した場合、高感度なセンサー機能を達成することができる。
基材の波長800〜1200nmにおける平均透過率は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは18%以下、特に好ましくは15%以下である。このような吸収特性を有する基材を用いると、特定の反射特性を有する誘電体多層膜と組み合わせることで入射角度によらず優れた近赤外線カット特性を有する光学フィルターを得ることができ、固体撮像装置用光学フィルターや環境光センサー用途として好適に使用することができる。
基材の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、必要となる基材強度と薄型化を両立できるように適宜選択することが望ましく、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜180μm、さらに好ましくは20〜150μm、特に好ましくは25〜120μmである。
基材の厚みが前記範囲にあると、該基材を用いた光学フィルターを薄型化および軽量化することができ、情報端末に搭載する固体撮像装置や環境光センサー等の様々な用途に好適に用いることができる。
<ガラス基板>
前記ガラス基板としては、特に限定されないが、例えば、ホウケイ酸塩系ガラス、ケイ酸塩系ガラス、ソーダ石灰ガラス、および近赤外線吸収ガラスなどが挙げられる。前記近赤外線吸収ガラスは、近赤外カット特性を向上できる点と入射角依存性を低減できる点で好ましく、その具体例としては、銅成分を含有するフッ素リン酸塩系ガラスおよびリン酸塩系ガラスなどが挙げられる。
<透明樹脂>
ガラス基板に積層する透明樹脂層は、透明樹脂を用いて形成することができる。基材に用いる透明樹脂としては、1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
透明樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうる基材とするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成しえるフィルムが得られるため、特に好ましい。
透明樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JISK7105)が、好ましくは75〜95%、さらに好ましくは78〜95%、特に好ましくは80〜95%となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
透明樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
透明樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂を挙げることができる。
≪環状ポリオレフィン系樹脂≫
環状ポリオレフィン系樹脂としては、下記式(2)で表される単量体および下記式(3)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
式(2)中、Rx1〜Rx4はそれぞれ独立に、下記(i’)〜(ix’)より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxはそれぞれ独立に、0または正の整数を表す。
(i’)水素原子
(ii’)ハロゲン原子
(iii’)トリアルキルシリル基
(iv’)酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v’)置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi’)極性基(但し、(iv’)を除く。)
(vii’)Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子または基を表す。)
(viii’)Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子または基を表す。)
(ix’)Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立に前記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子または基を表す。)
式(3)中、Ry1およびRy2はそれぞれ独立に、前記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子または基を表すか、Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表し、kyおよびpyはそれぞれ独立に、0または正の整数を表す。
≪芳香族ポリエーテル系樹脂≫
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(4)で表される構造単位および下記式(5)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
式(4)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
式(5)中、R1〜R4およびa〜dはそれぞれ独立に、前記式(4)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0のとき、R7はシアノ基ではない。
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(6)で表される構造単位および下記式(7)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
式(6)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。
式(7)中、R7、R8、Y、m、gおよびhはそれぞれ独立に、前記式(5)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfはそれぞれ独立に、前記式(6)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。
≪ポリイミド系樹脂≫
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリカーボネート系樹脂≫
フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば、特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリエステル系樹脂≫
フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フッ素化芳香族ポリマー系樹脂≫
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、フッ素原子を少なくとも1つ有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪アクリル系紫外線硬化型樹脂≫
アクリル系紫外線硬化型樹脂としては、特に制限されないが、分子内に一つ以上のアクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物と、紫外線によって分解して活性ラジカルを発生させる化合物を含有する樹脂組成物から合成されるものを挙げることができる。
≪エポキシ系樹脂≫
エポキシ系樹脂としては、特に制限されないが、紫外線硬化型と熱硬化型に大別することができる。紫外線硬化型エポキシ系樹脂としては、例えば、分子内に一つ以上のエポキシ基を有する化合物と、紫外線によって酸を発生させる化合物(以下、光酸発生剤ともいう)を含有する組成物から合成されるものを挙げることができ、熱硬化型エポキシ系樹脂としては、例えば、分子内に一つ以上のエポキシ基を有する化合物と、酸無水物を含有する組成物から合成されるものを挙げることができる。
≪市販品≫
透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友ベークライト(株)製スミライト、住友化学(株)製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人(株)製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、(株)日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、新日鐵化学(株)製シルプラスなどを挙げることができる。ポリエーテルエーテルケトン系樹脂の市販品としては、クラボウ(株)製EXPEEKなどを挙げることができる。ポリアリレート系樹脂の市販品としては、ユニチカ(株)製ユニファイナーなどを挙げることができる。その他の市販品としては、グンゼ(株)製HDフィルムなどを挙げることができる。
<化合物(A)>
前記化合物(A)は、波長600〜800nmの領域に吸収極大があれば特に限定されないが、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、特にスクアリリウム系化合物およびフタロシアニン系化合物が好ましい。
≪スクアリリウム系化合物≫
前記スクアリリウム系化合物としては、特に限定されるものではないが、下記式(I)で表されるスクアリリウム系化合物および下記式(II)で表されるスクアリリウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。以下、それぞれ「化合物(I)」および「化合物(II)」ともいう。
式(I)中、Ra、RbおよびYaは、下記条件(α)または(β)を満たす。
条件(α):
複数あるRaはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NReRf基を表し;
複数あるRbはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgRh基を表し;
複数あるYaはそれぞれ独立に、−NRjRk基を表し;
L1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhを表し;
ReおよびRfはそれぞれ独立に、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;
RgおよびRhはそれぞれ独立に、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Leまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表し;
RjおよびRkはそれぞれ独立に、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;
Laは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基を表し;
Lbは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基を表し;
Lcは、置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の脂環式炭化水素基を表し;
Ldは、置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表し;
Leは、置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素環基を表し;
Lfは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシ基を表し;
Lgは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアシル基を表し;
Lhは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基を表し;
Lは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜14の複素環基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を表す。
条件(β):
1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環を形成する;
前記複素環は置換基を有していてもよく、Rbおよび前記複素環の形成に関与しないRaは、それぞれ独立に前記条件(α)のRbおよびRaと同義である。
前記La〜Lhは、置換基を含めた炭素数の合計が、それぞれ50以下であることが好ましく、炭素数40以下であることがさらに好ましく、炭素数30以下であることが特に好ましい。炭素数がこの範囲よりも多いと、化合物の合成が困難となる場合があるとともに、単位重量あたりの光の吸収強度が小さくなる傾向がある。
前記LaおよびLにおける炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n−プロピル基(n−Pr)、イソプロピル基(i−Pr)、n−ブチル基(n−Bu)、sec−ブチル基(s−Bu)、tert−ブチル基(t−Bu)、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基およびドデシル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−ペンテニル基、ヘキセニル基およびオクテニル基等のアルケニル基;ならびに、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基およびオクチニル基等のアルキニル基を挙げることができる。
前記LbおよびLにおける炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタクロロプロピル基およびヘプタフルオロプロピル基を挙げることができる。
前記LcおよびLにおける炭素数3〜14の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルナン基およびアダマンタン基等の多環脂環式基を挙げることができる。
前記LdおよびLにおける炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、アセナフチル基、フェナレニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基およびビフェニリル基を挙げることができる。
前記LeおよびLにおける炭素数3〜14の複素環基としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、インドリン、インドレニン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、モルホリンおよびフェナジン等の複素環からなる基を挙げることができる。
前記Lfにおける炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基を挙げることができる。
前記Lgにおける炭素数1〜9のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基およびベンゾイル基を挙げることができる。
前記Lhにおける炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基およびオクチルオキシカルボニル基を挙げることができる。
前記Laとしては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、4−フェニルブチル基、2−シクロヘキシルエチルであり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
前記Lbとしては、好ましくはトリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、5−シクロヘキシル−2,2,3,3−テトラフルオロペンチル基であり、より好ましくはトリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
前記Lcとしては、好ましくはシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、4−フェニルシクロヘプチル基であり、より好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基である。
前記Ldとしては、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、2,3,6−トリフェニルフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフェニルフェニル基であり、より好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,3,4,5,6−ペンタフェニルフェニル基である。
前記Leとしては、好ましくはフラン、チオフェン、ピロール、インドール、インドリン、インドレニン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、モルホリンからなる基であり、より好ましくはフラン、チオフェン、ピロール、モルホリンからなる基である。
前記Lfとしては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2−フェニルエトキシ基、3−シクロヘキシルプロポキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基である。
前記Lgとしては、好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、4−プロピルベンゾイル基、トリフルオロメチルカルボニル基であり、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基である。
前記Lhとしては、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−トリフルオロメチルエトキシカルボニル基、2−フェニルエトキシカルボニル基であり、より好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基である。
前記La〜Lhは、さらに、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を有していてもよい。このような例としては、4−スルホブチル基、4−シアノブチル基、5−カルボキシペンチル基、5−アミノペンチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ホスホリルエチル基、6−アミノ−2,2−ジクロロヘキシル基、2−クロロ−4−ヒドロキシブチル基、2−シアノシクロブチル基、3−ヒドロキシシクロペンチル基、3−カルボキシシクロペンチル基、4−アミノシクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、4−ヒドロキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−ヒドロキシナフチル基、4−アミノフェニル基、4−ニトロフェニル基、3−メチルピロールからなる基、2−ヒドロキシエトキシ基、3−シアノプロポキシ基、4−フルオロベンゾイル基、2−ヒドロキシエトキシカルボニル基、4−シアノブトキシカルボニル基を挙げることができる。
前記条件(α)におけるRaとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基である。
前記条件(α)におけるRbとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、t−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、t−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基である。
前記Yaとしては、好ましくはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ基であり、より好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基である。
前記式(I)の条件(β)における、1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して形成される、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環としては、例えば、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびピラジン等を挙げることができる。これらの複素環のうち、当該複素環を構成し、かつ、前記ベンゼン環を構成する炭素原子の隣の1つの原子が窒素原子である複素環が好ましく、ピロリジンがさらに好ましい。
式(II)中、Xは独立に、O、S、Se、N−RcまたはC(RdRd)を表し;複数あるRcはそれぞれ独立に、水素原子、La、Lb、Lc、LdまたはLeを表し;複数あるRdはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NReRf基を表し、隣り合うRd同士は連結して置換基を有していてもよい環を形成してもよく;La〜Le、L1、ReおよびRfは、前記式(I)において定義したLa〜Le、L1、ReおよびRfと同義である。
前記式(II)中のRcとしては、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トルフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
前記式(II)中のRdとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、4−アミノシクロヘキシル基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
前記Xとしては、好ましくはO、S、Se、N−Me、N−Et、CH2、C−Me2、C−Et2であり、より好ましくはS、C−Me2、C−Et2である。
前記式(II)において、隣り合うRd同士は連結して環を形成してもよい。このような環としては、例えば、ベンゾインドレニン環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアダゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環を挙げることができる。
化合物(I)および化合物(II)は、下記式(I−1)および下記式(II−1)のような記載方法に加え、下記式(I−2)および下記式(II−2)のように共鳴構造を取るような記載方法でも構造を表すことができる。つまり、下記式(I−1)と下記式(I−2)との違い、および下記式(II−1)と下記式(II−2)との違いは構造の記載方法のみであり、どちらも同一の化合物を表す。本発明中では特に断りのない限り、下記式(I−1)および下記式(II−1)のような記載方法にてスクアリリウム系化合物の構造を表すものとする。
さらに、例えば、下記式(I−3)で表される化合物と下記式(I−4)で表される化合物は、同一の化合物であると見なすことができる。
前記化合物(I)および(II)は、それぞれ前記式(I)および(II)の要件を満たせば特に構造は限定されない。例えば前記式(I−1)および(II−1)のように構造を表した場合、中央の四員環に結合している左右の置換基は同一であっても異なっていてもよいが、同一であった方が合成上容易であるため好ましい。
前記化合物(I)および(II)の具体例としては、下記式(I−A)〜(I−H)で表される基本骨格を有する、下記表1〜3に記載の化合物(a−1)〜(a−36)を挙げることができる。
前記化合物(I)および(II)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特開平1−228960号公報、特開2001−40234号公報、特許第3196383号公報等に記載されている方法などを参照して合成することができる。
≪フタロシアニン系化合物≫
前記フタロシアニン系化合物は、特に限定されるものではないが、下記式(III)で表される化合物(以下「化合物(III)」ともいう。)であることが好ましい。
式(III)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を表し、複数あるRa、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4、または、RaとRb、RbとRcおよびRcとRdのうち少なくとも1つの組み合わせが結合した、下記式(A)〜(H)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。但し、同じ芳香環に結合したRa、Rb、RcおよびRdのうち少なくとも1つが水素原子ではない。
前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記式(I)において定義した置換基Lを有してもよく、
L1は、前記式(I)において定義したL1と同義であり、
L2は、水素原子または前記式(I)において定義したLa〜Leのいずれかを表し、
L3は、水酸基または前記La〜Leのいずれかを表し、
L4は、前記La〜Leのいずれかを表す。
式(A)〜(H)中、RxおよびRyは炭素原子を表し、複数あるRA〜RLはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4を表し、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記式(I)において定義した置換基Lを有してもよく、L1〜L4は前記式(III)において定義したL1〜L4と同義である。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいアミノ基としては、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいアミド基としては、アミド基、メチルアミド基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ジブチルアミド基、α−ラクタム基、β−ラクタム基、γ−ラクタム基、δ−ラクタム基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいイミド基としては、イミド基、メチルイミド基、エチルイミド基、ジエチルイミド基、ジプロピルイミド基、ジイソプロピルイミド基、ジブチルイミド基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいシリル基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−S−L2としては、チオール基、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、イソブチルスルフィド基、sec−ブチルスルフィド基、tert−ブチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルスルフィド基、4−クミルフェニルスルフィド基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−SS−L2としては、ジスルフィド基、メチルジスルフィド基、エチルジスルフィド基、プロピルジスルフィド基、ブチルジスルフィド基、イソブチルジスルフィド基、sec−ブチルジスルフィド基、tert−ブチルジスルフィド基、フェニルジスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルジスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルジスルフィド基、4−クミルフェニルジスルフィド基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−SO2−L3としては、スルホ基、メシル基、エチルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−N=N−L4としては、メチルアゾ基、フェニルアゾ基、p−メチルフェニルアゾ基、p−ジメチルアミノフェニルアゾ基などが挙げられる。
前記Mにおいて、1価の金属原子としては、Li、Na、K、Rb、Csなどが挙げられる。
前記Mにおいて、2価の金属原子としては、Be、Mg、Ca、Ba、Ti、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn、Cd、Hg、Sn、Pbなどが挙げられる。
前記Mにおいて、3価の金属原子を含む置換金属原子としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Fe−Cl、Ru−Cl、Mn−OHなどが挙げられる。
前記Mにおいて、4価の金属原子を含む置換金属原子としては、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、ZrCl2、HfCl2、CrCl2、SiF2、SiCl2、SiBr2、SiI2、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、Zr(OH)2、Hf(OH)2、Mn(OH)2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、GeR2、SnR2、Ti(OR)2、Cr(OR)2、Si(OR)2、Ge(OR)2、Sn(OR)2(Rは脂肪族基または芳香族基を表す。)、TiO、VO、MnOなどが挙げられる。
前記Mとしては、周期表5族〜11族、かつ、第4周期〜第5周期に属する、2価の遷移金属、3価もしくは4価の金属ハロゲン化物または4価の金属酸化物であることが好ましく、その中でも、高い可視光透過率や安定性を達成することができることから、Cu、Ni、CoおよびVOが特に好ましい。
前記フタロシアニン系化合物は、下記式(V)のようなフタロニトリル誘導体の環化反応により合成する方法が一般的に知られているが、得られるフタロシアニン系化合物は下記式(VI−1)〜(VI−4)のような4種の異性体の混合物となっている。本発明では、特に断りのない限り、1種のフタロシアニン系化合物につき1種の異性体のみを例示しているが、他の3種の異性体についても同様に用いることができる。なお、これらの異性体は必要に応じて分離して用いることも可能であるが、本発明では異性体混合物を一括して取り扱っている。
前記化合物(III)の具体例としては、下記式(III−A)〜(III−J)で表わされる基本骨格を有する、下記表4〜7に記載の(b−1)〜(b−56)などを挙げることができる。
化合物(III)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば、特許第4081149号公報や「フタロシアニン −化学と機能―」(アイピーシー、1997年)に記載されている方法を参照して合成することができる。
≪シアニン系化合物≫
前記シアニン系化合物は、特に限定されるものではないが、下記式(IV−1)〜(IV−3)のいずれかで表される化合物(以下「化合物(IV−1)〜(IV−3)」ともいう。)であることが好ましい。
式(IV−1)〜(IV−3)中、Xa -は1価の陰イオンを表し、複数あるDは独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、複数あるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L3、−SO2−L3、−N=N−L4、または、RbとRc、RdとRe、ReとRf、RfとRg、RgとRhおよびRhとRiのうち少なくとも1つの組み合わせが結合した、前記式(A)〜(H)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記式(I)において定義した置換基Lを有してもよく、
L1は、前記式(I)において定義したL1と同義であり、
L2は、水素原子または前記式(I)において定義したLa〜Leのいずれかを表し、
L3は、水素原子または前記La〜Leのいずれかを表し、
L4は、前記La〜Leのいずれかを表し、
Za〜ZcおよびYa〜Ydはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4(L1〜L4は、前記Ra〜RiにおけるL1〜L4と同義である。)、または、これらのうち隣接した二つから選ばれるZ同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基;窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5乃至6員環の脂環式炭化水素基;もしくは、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含む、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を表し、これらの芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基および複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基またはハロゲン原子を有してもよい。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、前記置換基Lにおける芳香族炭化水素基で例示した化合物が挙げられる。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5乃至6員環の脂環式炭化水素基としては、例えば、前記置換基Lにおける脂環式炭化水素基および複素環で例示した化合物(複素芳香族炭化水素基を除く。)が挙げられる。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基としては、例えば、前記置換基Lにおける複素環基として例示した化合物(窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含む脂環式炭化水素基を除く。)が挙げられる。
前記式(IV−1)〜(IV−3)において、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4、置換基Lを有してもよいアミノ基、アミド基、イミド基、シリル基としては、前記式(III)で例示した基と同様の基などが挙げられる。
Xa -は1価の陰イオンであれば特に限定されないが、I-、Br-、PF6 -、N(SO2CF3)2 -、B(C6F5)4 -、ニッケルジチオラート系錯体、銅ジチオラート系錯体などが挙げられる。
前記化合物(IV−1)〜(IV−3)の具体例としては、下記表8に記載の(c−1)〜(c−24)などを挙げることができる。
前記化合物(IV−1)〜(IV−3)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば特開2009−108267号公報に記載されている方法で合成することができる。
化合物(A)の添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、透明樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜20.0重量部、より好ましくは0.03〜10.0重量部である。
<近赤外線吸収微粒子>
前記基材に含まれてもよい近赤外線吸収微粒子は、近赤外波長領域に吸収を有するものであれば特に制限されないが、好ましくは波長800〜1200nmに吸収を有するものが好ましい。このような近赤外線吸収微粒子としては、例えば、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)などの透明導電性酸化物や、下記に定義される第1の微粒子や第2の微粒子を挙げることができ、吸収−透過特性の観点から特に第1の微粒子及び第2の微粒子が好ましい。
第1の微粒子:一般式A1/nCuPO4(但し、式中、Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびNH4からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、nは、Aがアルカリ金属またはNH4の場合は1であり、Aがアルカリ土類金属の場合は2である。)で表記される酸化物。
第2の微粒子:一般式MxWyOz(但し、Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iであり、Mが複数ある場合は別々の原子でもよく、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される金属酸化物。
本発明において、アルカリ金属とはLi、Na、K、Rb、Csのことを指し、アルカリ土類金属とはCa、Sr、Baのことを指し、希土類元素とはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのことを指す。
近赤外線吸収微粒子の粒子直径の平均値は1〜200nm、すなわち200nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは100nm以下である。近赤外線吸収微粒子の粒子直径は、近赤外線吸収微粒子が分散した状態の懸濁液(以下、単に「分散液」ともいう)をダイナミク光散乱光度計(大塚電子社製、型番DLS−8000HL/HH)を用いた動的光散乱法(He−Neレーザー使用、セル室温度25℃)によって測定したものである。近赤外線吸収微粒子の粒子直径の平均値がこの範囲にあれば、可視光透過率低下の原因となる幾何学散乱やミー散乱を低減でき、レイリー散乱領域となる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子直径の6乗に反比例して低減するため、粒子直径の減少に伴い散乱が低減し可視光透過率が向上する。このため、粒子直径が上記範囲にあれば散乱光が非常に少なくなり、良好な可視光透過率を達成できるため好ましい。散乱光の観点からは粒子直径は小さい方が好ましいが、工業的な製造のしやすさや製造コストなどを考慮すると、粒子直径の平均値の下限は好ましくは1nm以上、特に好ましくは2nm以上である。
近赤外線吸収微粒子の含有量は、近赤外線吸収微粒子を含む層を構成する樹脂成分100重量部に対して5〜60重量部であることが好ましい。含有量の上限値は、さらに好ましくは55重量部であり、特に好ましくは50重量部である。含有量の下限値は、さらに好ましくは10重量部であり、特に好ましくは15重量部である。近赤外線吸収微粒子の含有量が5重量部よりも小さいと十分な近赤外線吸収特性が得られない場合があり、60重量部よりも大きいと可視透過率の低下や近赤外線吸収微粒子の凝集によるヘーズ値の増大が起こりやすくなる傾向にある。
近赤外線吸収微粒子の分散媒としては、水、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、アルデヒド、アミン、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。分散媒の量は、近赤外線吸収微粒子の分散性を維持する点から、分散液100重量部に対して50〜95重量部が好ましい。
近赤外線吸収微粒子の分散媒には、必要に応じて近赤外線吸収微粒子の分散状態を改良するために分散剤を配合することができる。分散剤としては、近赤外線吸収微粒子の表面に対して改質効果を示すもの、例えば、界面活性剤、シラン化合物、シリコーンレジン、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等が使用される。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、アルキルリン酸エステル等)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタン高級カルボン酸エステル等)、カチオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルアミンカルボン酸エステル、アルキルアミン、アルキルアンモニウム塩等)、両性界面活性剤(高級アルキルベタイン等)が挙げられる。
シラン化合物としては、シランカップリング剤、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン等が挙げられる。シランカップリング剤としては、官能基(グリシドキシ基、ビニル基、アミノ基、アルケニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アンモニウム基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等)を有するアルコキシシラン等が挙げられる。
シリコーンレジンとしては、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、アシロキシ基、ホスホキシ基、ピロホスホキシ基、スルホキシ基、アリーロキシ基等を有するものが挙げられる。
アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
ジルコアルミネート系カップリング剤としては、アミノ基、メルカプト基、アルキル基、アルケニル基等を有するものが挙げられる。
分散剤の量は、分散剤の種類にもよるが、分散液100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましい。分散剤の量が該範囲内であれば、近赤外線吸収微粒子の分散性が良好となり、透明性が損なわれず、また、経時的な近赤外線吸収微粒子の沈降が抑えられる。
近赤外線吸収微粒子の市販品としては、三菱マテリアル(株)製P−2(ITO)、三井金属(株)製パストラン(ITO)、三菱マテリアル(株)製T−1(ATO)、石原産業(株)製SN−100P(ATO)、ハクスイテック(株)製パゼットGK(GZO)、住友金属鉱山(株)製YMF−02A(第2の微粒子)などを挙げることができる。
≪第1の微粒子≫
第1の微粒子は、下記式(1)で表わされる化合物からなるものであり、化合物の結晶構造(結晶子)に起因する近赤外線吸収特性を有する。
A1/nCuPO4 ・・・(1)
式(1)中、Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびNH4からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、nは、Aがアルカリ金属またはNH4の場合は1であり、Aがアルカリ土類金属の場合は2である。
ここで、「結晶子」とは単結晶とみなせる単位結晶を意味し、「粒子」は複数の結晶子によって構成される。「式(1)で表わされる化合物の結晶子からなる」とは、例えば、X線回折によってA1/nCuPO4の結晶構造を確認でき、実質的にA1/nCuPO4の結晶子からなることがX線回折によって同定されていることを意味し、「実質的にA1/nCuPO4の結晶子からなる」とは、結晶子がA1/nCuPO4の結晶構造を十分に維持できる(X線回折によってA1/nCuPO4の結晶構造を確認できる)範囲内で不純物を含んでいてもよいことを意味する。なお、X線回折は、粉末状態の近赤外線吸収微粒子について、X線回折装置を用いて測定される。
式(1)中のAとして、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba)、またはNH4を採用する理由は、下記の(i)〜(iii)の通りである。
(i)近赤外線吸収微粒子における結晶子の結晶構造は、PO4 3-とCu2+との交互結合からなる網目状三次元骨格であり、骨格の内部に空間を有する。該空間のサイズが、アルカリ金属イオン(Li+:0.090nm、Na+:0.116nm、K+:0.152nm、Rb+:0.166nm、Cs+:0.181nm)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+:0.114nm、Sr2+:0.132nm、Ba2+:0.149nm)およびNH4 +(0.166nm)のイオン半径と適合するため、結晶構造を十分に維持できる。
(ii)アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよびNH4 +は、溶液中で1価または2価のカチオンとして安定的に存在できるため、近赤外線吸収微粒子の製造過程において、前駆体が生成する際、結晶構造中にカチオンが取り込まれやすい。
(iii)PO4 3-と配位結合性の強いカチオン(例えば、遷移金属イオン等)では、十分な近赤外線吸収特性を発現する本実施形態における結晶構造とは異なる結晶構造を与える可能性がある。
Aとしては、PO4 3-とCu2+とからなる骨格内に取り込まれるイオンとして最もカチオンサイズが適し、熱力学的な安定構造をとる点から、Kが特に好ましい。
近赤外線吸収微粒子は、結晶子がA1/nCuPO4の結晶構造を十分に維持することによって、十分な近赤外線吸収特性を発現できる。よって、結晶子の表面に水または水酸基が付着した場合、A1/nCuPO4の結晶構造を維持できなくなるため、可視光領域と近赤外波長領域の光の透過率の差が減少し、光学フィルター用途として好適に使用できない。
よって、近赤外線吸収微粒子は、顕微IRスペクトルにおいて、リン酸基に帰属される1000cm-1付近のピークの吸収強度を基準(100%)とした際に、水に帰属される1600cm-1付近のピークの吸収強度が8%以下であり、かつ水酸基に帰属される3750cm-1付近のピークの吸収強度が26%以下であることが好ましく、水に帰属される1600cm-1付近のピークの吸収強度が5%以下であり、かつ水酸基に帰属される3750cm-1付近のピークの吸収強度が15%以下であることがより好ましい。なお、顕微IRスペクトルは、粉末状態の近赤外線吸収微粒子について、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定される。具体的には、例えば、Thermo Fisher Scientific社製のフーリエ変換赤外分光光度計Magna760を用い、そのダイヤモンドプレート上に、第1の微粒子の1片を置き、ローラーで平坦にし、顕微FT−IR法により測定する。
≪第2の微粒子≫
三酸化タングステン(WO3)のタングステンに対する酸素の比率を3より低減し、特定の組成範囲とすることによって当該タングステン酸化物中に自由電子が生成し、近赤外線吸収材料として良好な特性を達成できることが知られている。
該タングステンと酸素との組成範囲は、タングステンに対する酸素の組成比が3以下であり、さらには、当該タングステン酸化物をWyOzと記載したとき、2.2≦z/y≦2.999であることが好ましい。このz/yの値が、2.2以上であれば、当該タングステン酸化物中に目的以外であるWO2の結晶相が現れるのを回避することができるとともに、材料としての化学的安定性を得ることができるので、有効な近赤外線吸収材料として適用できる。一方、このz/yの値が、2.999以下であれば、当該タングステン酸化物中に必要とされる量の自由電子が生成され、効率よい近赤外線吸収材料となる。
また、当該タングステン酸化物を微粒子化したタングステン酸化物微粒子において、一般式WyOzとしたとき2.45≦z/y≦2.999で表される組成比を有する、所謂「マグネリ相」は化学的に安定であり、近赤外線領域の吸収特性も良いので、近赤外線吸収材料として好ましい。
さらに、当該タングステン酸化物へ、元素Mを添加して複合タングステン酸化物とすることで、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効となるため好ましい。すなわち、第2の微粒子の好ましい組成は、一般式MxWyOz(Mは前記1種又は複数種の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される金属酸化物である。
まず、元素Mの添加量を示すx/yの値について説明する。x/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることが出来る。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線遮蔽材料中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましく、0.2以上0.5以下がさらに好ましい。また、元素Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上であることが好ましい。ここで、元素Mを添加された当該MxWyOzにおける安定性の観点からは、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましく、近赤外線吸収材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点からは、前記元素Mにおいてアルカリ金属、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4族元素、5族元素に属するものが、さらに好ましい。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値について説明する。z/yの値については、MxWyOzで表記される近赤外線吸収材料においても、上述したWyOzで表記される近赤外線吸収材料と同様の機構が働くことに加えz/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましい。
<その他成分>
基材は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述した成分以外に、さらに近紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光消光剤、金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
近紫外線吸収剤としては、例えばアゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
界面活性剤としては、市販品もしくはラジカル重合により得られる、後述する共重合体(S)などを使用することができ、これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
共重合体(S)は、フッ素化アルキル基含有単量体(M1)、ポリオキシエチレン鎖含有単量体(M2)およびシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体(M3)を共重合することにより得られ、必要によりさらに前記(M1)〜(M3)以外の単量体を用いてもよい。
前記フッ素化アルキル基含有単量体(M1)としては、下記式(M−1−1)および(M−1−2)で表わされる単量体などが挙げられる。
CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)7CF3 ・・・(M−1−1)
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)7CF3 ・・・(M−1−2)
前記ポリオキシエチレン鎖含有単量体(M2)としては、新中村化学工業(株)製NK −エステルM−40G、M−90G、AM−90G、日油(株)製ブレンマーPME−200、PME−400およびPME−550等が挙げられる。
前記シリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体(M3)としては、下記一般式(M3 ')で表される構成単位を含有する単量体等が挙げられる。
式(M3')中、R4は、炭素原子数1〜20のアルキル基またはフェニル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、または、一般式(2)を表し、mは0〜200の整数を表す。なお、式(2)中、R7 、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、または、フェニル基を表し、n は0〜200の整数を表す。
また、シリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体(M3)の具体例としては、下記式M−3−1〜3で表わされる単量体が挙げられる。
式M−3−1〜3中、MeおよびPhはそれぞれメチル基およびフェニル基を表し、r、sおよびtはそれぞれ独立に0〜200の整数を表す。
前記共重合体(S)の製造方法は、何ら制限はなく、公知の方法、即ちラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、更にエマルジョン重合法等によって製造できるが、特にラジカル重合法が簡便であり工業的に好ましい。ラジカル重合法では、ラジカル開始剤などの重合開始剤を使用することができる。
前記共重合体(S)を製造する際の、共重合体(S)の原料となる単量体の合計100質量%に対する単量体(M1)、(M2)および(M3)それぞれの配合割合は、単量体(M1)が好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜40質量%であり、単量体(M2)が好ましくは15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%であり、単量体(M3)が好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%である。また、共重合体(S)の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜25,000、より好ましくは10,000〜25,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。
上述の共重合体(S)以外の界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤を挙げることができ、これらはそれぞれ併用して使用することもできる。
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフロロアルキル基および/ またはフロロアルキレン基を有する化合物が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばBM −1000、BM−1100(以上、BMCHEMIE社製);メガファックF142D、同F172、同F173、同F1 83、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−170C、同−171、同−430、同−431(以上、住友スリーエム(株)製);サーフロンS−112、同−113、同−131、同−141、同−145、同−382、サーフロンSC−101、同−102、同−103、同−104、同−105、同−106(以上、旭硝子(株)製);エフトップE F301、同303、同352(以上、新秋田化成(株)製);フタージェントFT−100、同−110、同−140A、同−150、同−250、同−251、同−300、同−310、同−400S、フタージェントFTX−218、同−251(以上、(株)ネオス製)を挙げることができる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばトーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製);TSF− 4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−446 0、TSF−4452(以上、GE東芝シリコーン(株)製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製) を挙げることができる。
溶液キャスティング法により樹脂層を製造する場合には、界面活性剤や消泡剤を添加することで樹脂層の製造を容易にすることができる。
なお、これら添加剤は、樹脂層を形成する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部である。
<基材の製造方法>
ガラス基板に化合物(A)を含む樹脂溶液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、ガラス基板上に透明樹脂層が形成された基材を製造することができる。
≪溶融成形≫
溶融成形としては、具体的には、樹脂と化合物(A)とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、樹脂と化合物(A)とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法、または、化合物(A)、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
≪キャスト成形≫
キャスト成形としては、化合物(A)、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物をガラス基板上にキャスティングして溶剤を除去する方法、または化合物(A)、光硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂とを含む硬化性組成物をガラス基板上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などにより製造することもできる。
≪硬化層≫
前記樹脂層とガラス基板は、互いに化学的な組成、および熱線膨張率が異なるため、樹脂層とガラス基板との間に硬化層を設けて、それらの十分な密着性を確保することが好ましい。本発明に用いる硬化層は樹脂層とガラス基板との間の密着性を確保できる材料からなれば、特に限定されないが、例えば、(a)(メタ)アクリロイル基含有化合物に由来する構造単位、(b)カルボン酸基含有化合物に由来する構造単位、および(c)エポキシ基含有化合物に由来する構造単位を有すると、樹脂層とガラス基板との密着性が高くなるため好ましい。
(a)(メタ)アクリロイル基含有化合物に由来する構造単位
構造単位(a)としては、(メタ)アクリロイル基含有化合物に由来する構造単位であれば特に限定されるものではない。(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが、重合性が良好である点から好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
上記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、(2−アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシプロピル)フタレート、(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシプロピル)フタレートおよびω―カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレートを挙げることができる。
これらの市販品としては、例えば、アロニックスM−101、同M−111、同M−114、同M−5300(以上、東亞合成(株)製);KAYARADTC−110S、同TC−120S(以上、日本化薬(株)製);ビスコート158、同2 311(以上、大阪有機化学工業(株)製)を挙げることができる。
上記2官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、9 ,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9 −ノナンジオールジアクリレートおよび1,9−ノナンジオールジメタクリレートを挙げることができる。
これらの市販品としては、商品名で、例えばアロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成(株)製);KAYARADHDDA、同HX−22 0、同R−604(以上、日本化薬(株)製);ビスコート260、同312、同33 5HP(以上、大阪有機化学工業(株)製);ライトアクリレート1,9−NDA(共栄社化学(株)製)を挙げることができる。
上記3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ( 2−アクリロイルオキシエチル) フォスフェート、トリ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートのほか、直鎖アルキレン基および脂環式構造を有し且つ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し且つ3個、4個または5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート系化合物を挙げることができる。
3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルの市販品としては、例えばアロニックスM−309、同M−315、同M−400、同M−405、同M−450、同M −7100、同M−8030、同M−8060、同TO−1450(以上、東亞合成(株)製);KAYARADTMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA− 30、同DPCA−60、同DPCA−120、同DPEA−12(以上、日本化薬(株)製);ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)や、多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品として、ニューフロンティアR−1150(第一工業製薬(株)製);KAYARADDPHA−40H(日本化薬(株)製)などを挙げることができる。
上記硬化層には、これらの(メタ)アクリロイル基含有化合物(a)を1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(b)カルボン酸基含有化合物に由来する構造単位
構造単位(b)としては、カルボン酸基を含有する化合物に由来する構造単位であれば特に限定されるものではない。カルボン酸基含有化合物としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物およびカルボン酸基を有する重合体を挙げることができる。
上記モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸および2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸を挙げることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸およびシトラコン酸を挙げることができる。
上記ジカルボン酸の無水物としては、上記ジカルボン酸の無水物等を挙げることができる。
また、カルボン酸基を有する重合体としては、カルボン酸基を含有する化合物である、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸および無水マレイン酸等から選ばれる1種以上の重合性を有する化合物からなる重合体、または、これらの化合物と前記(メタ) アクリロイル基含有化合物との共重合体を好適に用いることができる。
これらのうち、共重合反応性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸または無水マレイン酸が好ましい。
(c)エポキシ基含有化合物に由来する構造単位
構造単位(c)としては、エポキシ基含有化合物に由来する構造単位であれば特に限定されるものではない。エポキシ基(オキシラニル基)含有化合物としては、例えば、(メタ) アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルおよび不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物等のオキシラニル基を有する不飽和化合物;オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等のオキセタニル基を有する不飽和化合物を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルおよび(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルを挙げることができる。
α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えばα−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α −n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチルおよびα−エチルアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルを挙げることができる。
不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物として、例えばo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテルおよびp−ビニルベンジルグリシジルエーテルを挙げることができる。
オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば3−(( メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−((メタ)アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンおよび3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンを挙げることができる。
これらのうち特に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3−メタクリロイルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3−メチル−3− メタクリロイルオキシメチルオキセタンまたは3−エチル−3−メチルオキセタンが、重合性の点から好ましい。
(任意成分)
前記硬化層には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸発生剤、密着助剤、界面活性剤、重合開始剤等の任意成分を添加することができる。これらの添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるが、前記(メタ)アクリロイル基含有化合物、前記カルボン酸基含有化合物および前記エポキシ基含有化合物の合計100 重量部に対して、それぞれ通常0.01〜15.0重量部、好ましくは0.05〜10.0重量部であることが望ましい。
前記重合開始剤は、紫外線や電子線等の光線に感応してモノマー成分の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような重合開始剤としては特に限定されるものではないが、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4 −テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム) 、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1 ,3− ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ− 1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4 −i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
硬化層は、例えば、前記(メタ)アクリロイル基含有化合物、前記カルボン酸基含有化合物、前記エポキシ基含有化合物および必要により前記任意成分を含む組成物(I)を溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、該組成物(I)および溶剤を含む液状組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法、または、上述の液状組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により製造することができる。溶融成形する方法およびキャスト成形する方法としては、前記と同様の方法等が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基含有化合物の配合量は、組成物(I)100重量部あたり、好ましくは30〜70重量部、さらに好ましくは40〜60重量部であり、前記カルボン酸基含有化合物の配合量は、組成物(I)100重量部あたり、好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは10〜25重量部であり、前記エポキシ基含有化合物の配合量は、組成物(I)100重量部あたり、好ましくは15〜50重量部、さらに好ましくは20 〜40重量部である。
また、任意成分の配合量は、所望の特性に応じて適宜選択されるが、組成物(I)100 重量部あたり、好ましくは0.01〜15.0重量部、さらに好ましくは0.05〜10 .0重量部である。
硬化層の厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは0 .1〜5.0μm、さらに好ましくは0.2〜3.0μmである。
[誘電体多層膜]
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層したものが挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10重量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
蒸着は、通常100℃ 以上且つ透明樹脂層のTgより10℃以上低い蒸着温度の範囲で行い、好ましくは100℃以上且つ透明樹脂層のTgより20℃以上低い蒸着温度の範囲で行うことが望ましい。このような温度条件で蒸着を行うと、基材に過剰な加熱を行うことなく、しかも密着性に優れた誘電多層膜を形成できるため好ましい。
本発明において、基材にガラス基板を用いることで、通常よりも高温での蒸着による誘電体多層膜形成を行うことができる。具体的な蒸着温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。このような高温での蒸着で誘電体多層膜を形成すると、誘電体多層膜の密着性が向上し、蒸着膜である誘電体多層膜の強度が上がるため、得られる誘電体多層膜ならびにそれを用いた積層体の耐熱性、耐傷つき性も向上する。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700〜1400nm、好ましくは750〜1300nmである。厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として16〜70層であることが好ましく、20〜60層であることがより好ましい。各層の厚み、光学フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、光学フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
本発明の一実施形態において、化合物(A)の吸収特性に合わせて高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、可視域に十分な透過率を確保した上で近赤外波長域に十分な光線カット特性を有し、且つ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、EssentialMacleod、ThinFilmCenter社製)を用い、光学フィルター(又は基材)の垂直方向から測定した場合、垂直方向に対して30度の角度から測定した場合、垂直方向に対して60度の角度から測定した場合のいずれにおいても可視光透過率と近赤外域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。特に、環境光センサー用光学フィルターとして好適に使用するためには、各入射角度において可視光透過率や近赤外カット性能の変化が小さいことが重要であり、このような特性を達成するためには誘電体多層膜の設計を行う際、波長領域によって光学特性を最適化する入射角度を変化させることが好ましい(例えば、波長400〜750nmの透過率は入射角度30度で光学特性を最適化、800〜1200nmの透過率は入射角度0度で光学特性を最適化など)。
上記ソフトの場合、例えば基材の片面のみに形成される誘電体多層膜の設計にあたっては、波長400〜750nmの垂直方向に対して30度の角度から測定した場合の目標透過率を100%、TargetToleranceの値を1、波長755〜790nmの垂直方向から測定した場合の目標透過率を100%、TargetToleranceの値を0.8、波長800〜1000nmの垂直方向に対して30度の角度から測定した場合の目標透過率を0%、TargetToleranceの値を0.5、波長1005〜1300nmの垂直方向に対して0度の角度から測定した場合の目標透過率を0%、TargetToleranceの値を0.7とするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。これらのパラメーターは基材(i)の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切って設計を最適化する光線入射角度やTargetToleranceの値を変えることもできる。特に、波長400〜700nmの領域における少なくとも一部の波長領域を斜め方向からの光線に対して設計を最適化すると、入射角度60度など入射角が非常に大きい場合もリップルなどによる可視透過率の低下を低減できるため好ましい。
[その他の機能膜]
本発明の一実施形態に係る光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基材と誘電体多層膜との間、基材の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または誘電体多層膜の基材が設けられた面と反対側の面に、基材や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本発明の一実施形態に係る光学フィルターは、前述の機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の一実施形態に係る光学フィルターがこのような機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
このような機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
また、硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100重量%とした場合、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
機能膜の厚さは、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
また、基材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの用途]
本発明の一実施形態に係る光学フィルターは、入射角度が大きい場合においても優れた可視透過率と近赤外線カット能を有するとともに、耐熱性に優れていることからハンダリフロー工程に適用可能である。したがって、固体撮像装置、ならびに、照度センサーや色補正用センサーなどの各種環境光センサー用として有用である。特に、デジタルスチルカメラや携帯電話用カメラなどのCCDやCMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子の視感度補正に有用であり、製品組み込み時の高温接着、高温領域下での使用などを求められる用途にも好適に使用できる。また、デジタルスチルカメラ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ウェアラブルデバイス、自動車、テレビ、ゲーム機等に搭載される環境光センサー用として有用である。さらに、自動車や建物等の窓用ガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
[環境光センサー]
本発明の一実施形態に係る光学フィルターと、光電変換素子を組み合わせて環境光センサーとして用いることができる。ここで、環境光センサーとは、照度センサーや色補正用センサーなど周囲の明るさや色調(夕方の時間帯で赤色が強いなど)を感知可能なセンサーであり、例えば、環境光センサーで感知した情報により機器に搭載されているディスプレイの照度や色合いを制御することが可能である。
図3は、周囲の明るさを検知する環境光センサー200aの一例を示す。環境光センサー200aは、光学フィルター100及び光電変換素子202を備える。光電変換素子202は、受光部に光が入射すると光起電力効果により電流や電圧を発生する。光学フィルター100は光電変換素子202の受光面側に設けられている。光学フィルター100により、光電変換素子202の受光面に入射する光は可視光帯域の光となり、近赤外線帯域(800nm〜2500nm)の光は遮断される。環境光センサー200aは可視光に感応して信号を出力する。
なお、環境光センサー200aにおいて、光学フィルター100と光電変換素子202との間には他の透光性の層が介在していてもよい。例えば、光学フィルター100と光電変換素子202との間には、封止材として透光性を有する樹脂層が設けられていてもよい。
光電変換素子202は、第1電極206、光電変換層208、第2電極210を有している。また、受光面側にはパッシベーション膜216が設けられている。光電変換層208は光電効果を発現する半導体で形成される。例えば、光電変換層208は、シリコン半導体を用いて形成される。光電変換層208はダイオード型の素子であり、内蔵電界により光起電力を発現する。なお、光電変換素子202は、ダイオード型の素子に限定されず、光導電型の素子(フォトレジスタ、光依存性抵抗、光導電体、フォトセルとも呼ばれる)、またはフォトトランジスタ型の素子であってもよい。
光電変換層208はシリコン半導体以外に、ゲルマニウム半導体、シリコン・ゲルマニウム半導体を用いてもよい。また、光電変換層208として、GaP、GaAsP、CdS、CdTe、CuInSe2などの化合物半導体材料を用いてもよい。半導体材料によって形成される光電変換素子202は、可視光線帯域から近赤外線帯域の光に対して感度を有する。例えば、光電変換層208がシリコン半導体で形成される場合、シリコン半導体のバンドギャップエネルギーは1.12eVであるので、原理的には近赤外光である波長700〜1100nmの光を吸収し得る。しかし、光学フィルター100を備えることで環境光センサー200aは近赤外光には感応せず、可視光域の光に対して感度を有する。なお、光電変換素子202は、光学フィルター100を透過した光が選択的に照射されるように、遮光性の筐体204で囲まれていることが好ましい。環境光センサー200aは、光学フィルター100を備えることで、近赤外光を遮断して、周囲光を検知することができる。それにより環境光センサー200aが、近赤外光に感応して誤動作するといった不具合を解消することができる。
図4は、周囲の明るさに加え色調を検知する環境光センサー200bの一例を示す。環境光センサー200bは、光学フィルター100、光電変換素子202a〜202c、カラーフィルタ212a〜212cを含んで構成されている。光電変換素子202aの受光面上には赤色光帯域の光を透過するカラーフィルタ212aが設けられ、光電変換素子202bの受光面上には緑色光帯域の光を透過するカラーフィルタ212bが設けられ、光電変換素子202cの受光面上には青色光帯域の光を透過するカラーフィルタ212cが設けられている。光電変換素子202a〜202cは、素子分離絶縁層214で絶縁されていることを除き、図3で示すものと同様の構成を備えている。この構成により、光電変換素子202a〜202cは独立して照度を検知することが可能となっている。なお、カラーフィルタ212a〜212cと光電変換素子202a〜202cとの間にはパッシベーション膜216が設けられていてもよい。
光電変換素子202a〜202cは、可視光線波長領域から近赤外線波長領域の広い範囲にわたって感度を有する。そのため、光学フィルター100に加え、光電変換素子202a〜202cに対応してカラーフィルタ212a〜212cを設けることで、環境光センサー200bは、近赤外光を遮断して、センサーの誤動作を防止しつつ、各色に対応した光を検知することができる。環境光センサー200bは、近赤外域の光を遮断する光学フィルター100とカラーフィルタ212a〜212cとを備えることにより、周囲光を複数の波長帯域の光に分光して検知するこができるだけでなく、従来のカラーセンサでは近赤外線の影響を受けて正確に検知ができなくなっていた暗い環境下でも適用可能となる。
[電子機器]
図5(A)〜(C)は、本発明の一実施形態に係る環境光センサー200を有する電子機器300の一例を示す。なお、図5(A)は正面図、図5(B)は上面図、図5(C)は、図5(B)において点線で囲む領域Dの構成例示する詳細図を示す。電子機器300は、筐体302、表示パネル304、マイクロホン部306、スピーカ部308、環境光センサー200を含む。表示パネル304はタッチパネルが採用され、表示機能に加え入力機能を兼ね備えている。
環境光センサー200は、筐体302に設けられる表面パネル310背面に設けられている。すなわち、環境光センサー200は電子機器300の外観に表れず、透光性の表面パネル310を通して光が入射する。表面パネル310は、光学フィルター100により近赤外線域の光を遮断され、可視光域の光が光電変換素子202へ入射する。電子機器300は環境光センサー200により、表示パネル304の照度や色合いを制御することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶剤:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα‐M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
光学フィルターの各波長域における透過率は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率では、図6(A)のように光学フィルター2に対して垂直に透過した光1を分光光度計3で測定し、光学フィルターの垂直方向に対して30度の角度から測定した場合の透過率では、図6(B)のように光学フィルター2の垂直方向に対して30度の角度で透過した光1’を分光光度計3で測定し、光学フィルターの垂直方向に対して60度の角度から測定した場合の透過率では、図6(C)のように光学フィルター2の垂直方向に対して60度の角度で透過した光1’’を分光光度計3で測定した。
<クラック評価>
目視により、誘電体多層膜層(蒸着層) にクラックのないものを「○」、誘電体多層膜層(蒸着層) にクラックが有るものを「×」と評価した。
<耐リフロー評価>
光学フィルターを厚さ1mmのガラスエポキシ基板SL−EP(日東シンコー社製)上にカプトンテープで固定し、千住金属工業社製リフロー装置(STR−2010N2M−III)にてJEDEC規格のJ−STD−02Dに準拠し、最高温度約270℃ に達する半田リフロー処理を行った後のクラックの有無を耐リフロー性とした。クラックの発生がない場合を「○」、クラックが発生し、実際の使用が困難な場合を「×」として評価した。
下記実施例で用いた近赤外線吸収色素は、一般的に知られている方法で合成した。一般的合成方法としては、例えば、特許第3366697号公報、特許第2846091号公報、特許第2864475号公報、特許第3703869号公報、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン−化学と機能―」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報などに記載されている方法を挙げることができる。
<樹脂合成例1>
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下「樹脂A」ともいう。)を得た(収率95%)。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が75,000、重量平均分子量(Mw)が188,000であり、ガラス転移温度(Tg)が285℃であった。
<樹脂合成例2>
下記式(8)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6H5)3]3を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂B」ともいう。)を得た。得られた樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が32,000、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
[実施例1]
実施例1では、透明ガラス基板を含む基材を有する光学フィルターを以下の手順および条件で作製した。
<樹脂溶液(D−1)の調製>
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A100重量部、化合物(A)として下記式(a−1)で表わされる化合物(a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長698nm)1.0部、およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が10重量%の溶液を調製した。その後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−1)を得た。
<硬化性組成物溶液(1)の調製>
イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート( 商品名: アロニックスM−315、東亜合成化学(株) 製)30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184 、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業( 株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(1)を調製した。
<基材の作製>
続いて、縦60mm、横60mmの大きさにカットした、日本電気硝子(株)製透明ガラス基板「OA−10G」の片面に硬化性組成物溶液(1)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。次に、該硬化層上に、スピンコーターを用いて樹脂溶液(D−1)を長波長側半値が646nm となるような条件で塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去して透明樹脂層を形成した。次いで、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/c m2、照度200mW )し、その後オーブン中230℃ で20分間焼成して縦60mm、横60mmの基材を得た。
<光学フィルターの作製>
得られた基材の片面に第一光学層として誘電体多層膜(I)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層として誘電体多層膜(II)を形成し、厚さ約0.160mmの光学フィルターを得た。
誘電体多層膜(I)は、蒸着温度200℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計26層)。誘電体多層膜(II)は、蒸着温度200℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計20層)。誘電体多層膜(I)および(II)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
誘電体多層膜(I)および(II)の設計は、以下のようにして行った。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した化合物(A)の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。最適化を行う際、本実施例においてはソフトへの入力パラメーター(Target値)を下記表9の通りとした。
膜構成最適化の結果、実施例1では、誘電体多層膜(I)は、膜厚30〜153nmのシリカ層と膜厚10〜96nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数26の多層蒸着膜となり、誘電体多層膜(II)は、膜厚38〜187nmのシリカ層と膜厚11〜111nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数20の多層蒸着膜となった。最適化を行った膜構成の一例を下記表10に示す。
得られた光学フィルターの垂直方向および垂直方向に対して30°および60°の角度から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を図7および表13に示す。
続いて、得られた光学フィルターを85℃85%RHの環境に1000時間保管し、サンプルを取り出し、25℃55%RH雰囲気にて2日間静置した後、光学フィルターの垂直方向から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性およびクラック有無を評価した。前記保管後の結果、および前記保管前後の変化を図8および表13に示す。
[実施例2]
実施例1において、化合物(A)として下記式(a−2)で表わされる化合物(a−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長703nm)1.0部および下記式(a−3)で表わされる化合物(a−3)(ジクロロメタン中での吸収極大波長736nm)2.0部を用いて調製した樹脂溶液(D−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で化合物(A)を含む透明樹脂層を有する基材を得た。
得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で厚さ0.160mmの光学フィルターを得た。誘電体多層膜の設計は、基材屈折率の波長依存性を考慮した上で、実施例1と同じ設計パラメーターを用いて行った。得られた光学フィルターの垂直方向および垂直方向に対して30°および60°の角度から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表13に示す。
続いて、得られた光学フィルターを85℃85%RHの環境に1000時間保管し、サンプルを取り出し、25℃55%RH雰囲気にて2日間静置した後、光学フィルターの垂直方向および垂直方向から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性およびクラック有無を評価した。前記保管後の結果、および前記保管前後の変化を図9および表13に示す。
[実施例3]
実施例2において、樹脂Aの代わりに樹脂合成例2で得られた樹脂B100重量部を用いた樹脂溶液(D−3)を用いたこと以外は実施例2と同様の手順および条件で化合物(A)を含む透明樹脂層を有する基材を得た。
続いて、得られた基材を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で厚さ0.160mmの光学フィルターを得た。誘電体多層膜の設計は、基材屈折率の波長依存性を考慮した上で、実施例1と同じ設計パラメーターを用いて行った。得られた光学フィルターの垂直方向および垂直方向に対して30°および60°の角度から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表13に示す。
続いて、得られた光学フィルターを85℃85%RHの環境に1000時間保管した後、サンプルを取り出し、25℃55%RH雰囲気にて2日間静置した後、光学フィルターの垂直方向から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性およびクラック有無を評価した。前記保管後の結果、および前記保管前後の変化を図10および表13に示す。
[実施例4]
実施例2において、日本電気硝子(株)製透明ガラス基板「OA−10G」の代わりに松浪硝子工業(株)製近赤外線吸収ガラス基板「BS−6」(厚み210μm)を用いたこと以外は実施例2と同様の手順および条件で化合物(A)を含む透明樹脂層を有する基材を得た。
続いて、得られた基材を用いたこと以外は実施例1と同様の手順および条件で厚さ0.220mmの光学フィルターを得た。誘電体多層膜の設計は、基材屈折率の波長依存性を考慮した上で、実施例1と同じ設計パラメーターを用いて行った。得られた光学フィルターの垂直方向および垂直方向に対して30°および60°の角度から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表13に示す。
続いて、得られた光学フィルターを85℃85%RHの環境に1000時間保管した後、サンプルを取り出し、25℃55%RH雰囲気にて2日間静置した後、光学フィルターの垂直方向から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性およびクラック有無を評価した。前記保管後の結果、および前記保管前後の変化を図11および表13に示す。
[実施例5]
<硬化性組成物溶液(2)の調製>
近赤外線吸収微粒子分散液(住友金属鉱山(株)製YMF−02A)117重量部(固形分換算で約33重量部)、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート( 商品名: アロニックスM−315、東亜合成化学(株) 製)30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184 、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、近赤外線吸収微粒子を含む硬化性組成物溶液(2)を調製した。
<基材および光学フィルターの作製>
実施例2において、硬化性組成物溶液(1)の代わりに、近赤外線吸収微粒子を含む硬化性組成物溶液(2)を用いて硬化層の厚みが2.0μmになるように調整したこと以外は実施例2と同様の手順および条件で化合物(A)を含む透明樹脂層を有する基材を得た。
続いて、得られた基材を用いたこと以外は実施例1と同様の手順および条件で厚さ0.161mmの光学フィルターを得た。誘電体多層膜の設計は、基材屈折率の波長依存性を考慮した上で、実施例1と同じ設計パラメーターを用いて行った。得られた光学フィルターの垂直方向および垂直方向に対して30°および60°の角度から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表13に示す。
続いて、得られた光学フィルターを85℃85%RHの環境に1000時間保管した後、サンプルを取り出し、25℃55%RH雰囲気にて2日間静置した後、光学フィルターの垂直方向から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性およびクラック有無を評価した。前記保管後の結果、および前記保管前後の変化を図12および表13に示す。
[比較例1]
容器に、樹脂合成例2で得られた樹脂B100重量部、化合物(A)として上記化合物(a−1)0.04部、およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基板からなる基材を得た。
続いて、得られた基材を用いたこと以外は実施例1と同様の手順および条件で光学フィルターを作製した。得られたフィルターは反りや歪みがひどく、評価ができなかった。
[比較例2]
実施例1において、誘電体多層膜(I)および(II)の蒸着温度を120℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして基材および光学フィルターを作製した。得られた光学フィルターの垂直方向および垂直方向に対して30°および60°の角度から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表13に示す。
続いて、得られた光学フィルターを85℃85%RHの環境に1000時間保管し、サンプルを取り出し、25℃55%RH雰囲気にて2日間静置した後、光学フィルターの垂直方向から分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性およびクラック有無を評価した。前記保管後の結果、および前記保管前後の変化を図13および表13に示す。比較例2で得られた光学フィルターは、前記保管後にクラックが発生し、リフロー耐性を示さなかった。
[比較例3]
実施例1と同様の手順で基材を作製した。続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(XIII)を形成し、さらに基材のもう一方の面に誘電体多層膜(XIV)を形成し、厚さ約0.110mmの光学フィルターを得た。
誘電体多層膜(XIII)および誘電体多層膜(XIV)は、光学薄膜設計ソフト(EssentialMacleod、ThinFilmCenter社製)への入力パラメーター(Target値)を下記表11の通りとしたこと以外は実施例1と同様の手順で基材へ製膜した。
膜構成最適化の結果、比較例3では、誘電体多層膜(XIII)は、膜厚30〜153nmのシリカ層と膜厚10〜96nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数26の多層蒸着膜となり、誘電体多層膜(XIV)は、膜厚32〜156nmのシリカ層と膜厚9〜89nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数18の多層蒸着膜となった。最適化を行った膜構成の一例を表12に示す。
得られた光学フィルターの光学特性を図14および表13に示す。比較例3で得られた光学フィルターの波長800〜1200nmでの光学濃度の平均値は0.6となり、良好な近赤外光カット特性を示さなかった。
実施例および比較例で適用した基材の構成、各種化合物などは下記の通りである。
<基材の形態>
形態(1):透明ガラス基板の片方の面に硬化性組成物層および化合物(A)を含む透明樹脂層を有する
形態(2):近赤外線吸収ガラス基板の片方の面に硬化性組成物層および化合物(A)を含む透明樹脂層を有する
形態(3):透明ガラス基板の片方の面に近赤外線吸収微粒子を含む硬化性組成物層および化合物(A)を含む透明樹脂層を有する
形態(4):化合物(A)を含む透明樹脂製基板(比較例)
<透明樹脂>
樹脂A:芳香族ポリエーテル系樹脂(樹脂合成例1)
樹脂B:環状ポリオレフィン系樹脂(樹脂合成例2)
<近赤外線吸収色素>
≪化合物(A)≫
化合物(a−1):上記の化合物(a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長698nm)
化合物(a−2):上記の化合物(a−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長703nm)
化合物(a−3):上記の化合物(a−3)(ジクロロメタン中での吸収極大波長736nm)
<樹脂溶液>
樹脂溶液(D−1):樹脂A100重量部、化合物(a−1)1.0部およびジクロロメタンからなる溶液(樹脂濃度10重量%)
樹脂溶液(D−2):樹脂A100重量部、化合物(a−2)1.0部、化合物(a−3)2.0部およびジクロロメタンからなる溶液(樹脂濃度10重量%)
樹脂溶液(D−3):樹脂B100重量部、化合物(a−2)1.0部、化合物(a−3)2.0部およびジクロロメタンからなる溶液(樹脂濃度10重量%)
<ガラス基板>
ガラス基板(1):透明ガラス基板「OA−10G(厚み150μm)」(日本電気硝子(株)製)
ガラス基板(2):近赤外線吸収ガラス基板「BS−11(厚み120μm)」(松浪硝子工業(株)製)
<硬化性組成物溶液>
硬化性組成物溶液(1):イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート( 商品名: アロニックスM−315、東亜合成化学(株) 製)30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過した溶液である。
硬化性組成物溶液(2):近赤外線吸収微粒子分散液(住友金属鉱山(株)製YMF−02A)117重量部(固形分換算で約33重量部)、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:アロニックスM−315、東亜合成化学(株)製)30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した溶液である。