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JP6799931B2 - ニッケル微粒子含有組成物及びその製造方法、内部電極並びに積層セラミックスコンデンサ - Google Patents

ニッケル微粒子含有組成物及びその製造方法、内部電極並びに積層セラミックスコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、例えば積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の内部電極材料などの用途に利用できるニッケル微粒子含有組成物及びその製造方法、内部電極並びに積層セラミックスコンデンサに関する。
MLCCは、セラミックス誘電体と内部電極とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させたものである。MLCCの内部電極を形成する際には、内部電極材料である金属ニッケル微粒子(以下、単に「ニッケル微粒子」ともいう。)をペースト化したのち、これをセラミックス基板上に印刷する。次いで、乾燥、積層及び圧着した後、通常、酸素雰囲気下で約250〜400℃に加熱して有機物を除去するための脱バインダー処理を行なう。このような加熱処理を行なうことによって、ニッケル微粒子は酸化され、それにより体積膨張が起きる。さらにその後、還元性雰囲気下で高温(例えばチタン酸バリウム系セラミックス誘電体では約1200〜1400℃)で焼結を行なう。この焼結により、一旦酸化されたニッケル微粒子が還元されるとともに、体積の収縮が生じる。
このように、MLCCの製造工程では、酸化反応や還元反応によってニッケル微粒子が膨張・収縮して体積変化が生じる。また、セラミックス誘電体も焼結により膨張・収縮し、体積変化が生じる。ところが、ニッケル微粒子とセラミックス誘電体とでは、焼結時における膨張・収縮による体積変化の挙動が異なる。すなわち、ニッケル微粒子の焼結開始温度(約500℃)とセラミックス誘電体の焼結開始温度(約1000℃)が大きく異なるために、デラミネーションやクラック等の欠陥を生じるおそれがある。
粒子径が150nm以下のニッケル微粒子は、MLCC製造時の焼結過程で誘電体層との熱収縮の差が従来の大粒子径のニッケル微粒子に比べてより拡大し、内部電極層と誘電体層とのデラミネーションや内部電極層の膜切れが多くなり、やはり製品としての歩留まりに問題がある。
ニッケル微粒子の熱収縮を抑える方法として、ニッケル微粒子をタングステンなどの高融点金属によって合金化したり、ニッケル微粒子間の焼結による内部電極層の熱収縮防止のために金属酸化物の被膜を形成したりする方法が提案されている。しかし、これらの方法では、十分な焼結防止効果が得られていないばかりか、ニッケル以外の金属材料の混合により、誘電率の低下が免れない状況にある。
このような状況において、例えば特許文献1では、平均粒子径が50〜300nmであり、粒度分布の広いニッケル微粒子と、平均粒子径が10〜50nmで貴金属または貴金属とニッケルの合金からなる微粒子と、を混合することを提案している。特許文献1では、内部電極層の厚みが薄層化した場合においても、焼成段階でのNi粒子の粒成長を抑制し、粒子の球状化や内部電極の途切れなどを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制できる、とされている。
また、特許文献2では、ニッケルと貴金属の合金の平均粒子径が200〜400nmの第1の導電粒子と、ニッケルと貴金属の合金の平均粒子径が40〜80nmの第2の導電粒子とを混合することにより、特許文献1と同様な効果が得られることを提案している。
上記特許文献1、2に記載の方法では、いずれも粒度分布の広い微粒子を用いることから、粗大粒子の存在は回避できず、製品の歩留まりの低下が避けられない。また、貴金属を使用することから、製造コストも高くなることが懸念される。さらに、平均粒子径が200nmを超える微粒子を用いるため、内部電極層の薄膜化にも限界があると考えられる。
本発明者らは、先に、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が60〜150nmの範囲内であり、かつ、粒子径の変動係数が0.2以下である第1のニッケル微粒子と、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が10〜60nmの範囲内であり、粒子径の変動係数が0.2以下であり、かつ、5%熱収縮率温度が、前記第1のニッケル微粒子の5%熱収縮率温度より50℃以上高い第2のニッケル微粒子を含有するニッケル微粒子含有組成物を提案した(例えば、特許文献3)。特許文献3のニッケル微粒子含有組成物は、焼結時の熱収縮が効果的に抑制されており、例えばMLCCの内部電極の材料などの用途に好適に用いることができるものである。しかし、特許文献3の技術では、第2のニッケル微粒子の熱収縮温度を高くする目的で、第2のニッケル微粒子を硫黄含有化合物、硫黄元素、リン含有有機化合物等で処理することが必要であった。しかし、これらの非金属化合物は、電極性能への影響を考慮すると、なるべく含有しないことがよいと考えられる。また、第2のニッケル微粒子を表面処理することによって、その表面状態が第1のニッケル微粒子とは異なるものとなり、分散挙動が変わる点においても改善の余地が残されていた。
特開2007−234588号公報 特開2008−53488号公報 特開2014−145117号公報
本発明の目的は、例えばMLCCの内部電極層等の用途に有用で、非金属元素化合物による処理を行わなくても、焼結時の熱収縮が抑制されており、焼結開始温度の高いニッケル微粒子含有組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、平均粒子径が異なり、かつ、特定の粒度分布を有する少なくとも2種類のニッケル微粒子を組み合わせるとともに、大粒径のニッケル微粒子に対して、小粒径のニッケル微粒子を均等に分布させることによって、内部電極層の収縮や膜切れを効果的に抑えることが可能であるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のニッケル微粒子含有組成物は、次の成分A及びB;
A)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が40〜200nmの範囲内である第1のニッケル微粒子、
及び、
B)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内である第2のニッケル微粒子、
を含有する。
また、本発明のニッケル微粒子含有組成物は、走査型電子顕微鏡観察によって任意の300個の前記第1のニッケル微粒子を観察したときに、表面に少なくとも1個以上の前記第2のニッケル微粒子が接触している前記第1のニッケル微粒子の存在確率が30%以上である。
本発明のニッケル微粒子含有組成物は、走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、第1のニッケル微粒子の小粒径側からの積算粒度分布が1%となる値をD1、第2のニッケル微粒子の小粒径側からの積算粒度分布が99%となる値をD99としたとき、以下の関係;
D50>D50×4 … (1)
かつ
D1−D99 > (D50−D50)/4 … (2)
を満たすものであってもよい。
本発明のニッケル微粒子含有組成物は、前記成分Aと前記成分Bの合計量に対する、前記成分Aの含有量が75〜99質量%の範囲内であってもよく、前記成分Bの含有量が1〜25質量%の範囲内であってもよい。
本発明のニッケル微粒子含有組成物は、前記第1のニッケル微粒子と前記第2のニッケル微粒子は、ともに粒子径の変動係数が0.25以下であってもよい。
本発明のニッケル微粒子含有組成物は、さらに、溶媒を含有するスラリーの形態であってもよい。
本発明の積層セラミックコンデンサ用の内部電極は、上記いずれかのニッケル微粒子含有組成物をペースト化し、セラミック基板上に印刷したものである。
本発明の積層セラミックコンデンサは、上記内部電極とセラミック誘電体とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させたものである。
本発明のニッケル微粒子含有組成物の製造方法は、下記の工程a〜d;
a)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が40〜200nmの範囲内である第1のニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
b)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内である第2のニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
c)前記第2のニッケル微粒子を溶剤で洗浄する工程、
及び
d)前記第1のニッケル微粒子と前記第2のニッケル微粒子とを混合する工程、
を含むものである。
また、本発明のニッケル微粒子含有組成物の製造方法において、
前記工程cは、前記第2のニッケル微粒子の平均粒子径D50に対して10%以上小さな平均孔径を有するフィルタを用い、前記第2のニッケル微粒子を前記溶剤とともに前記フィルタでろ過することにより行われ、
かつ、
前記工程dは、前記工程cと同時に、又は前記工程cの後で引き続き、前記フィルタで前記第1のニッケル微粒子をろ過することによって行われる。
本発明のニッケル微粒子含有組成物の製造方法は、前記フィルタが、セラミックスフィルタであってもよい。
本発明のニッケル微粒子含有組成物の製造方法は、前記第1のニッケル微粒子及び前記第2のニッケル微粒子が、湿式加熱還元によって得られたものであってもよい。この場合、前記湿式加熱還元が、マイクロ波照射によるものであってもよい。
本発明のニッケル微粒子含有組成物の製造方法は、前記工程aにおいて得られる第1のニッケル微粒子が、前記工程bで得られる第2のニッケル微粒子を種粒子として用いて得られたものであってもよい。
本発明のニッケル微粒子含有組成物によれば、平均粒子径が異なる2種類のニッケル微粒子を混合しているため、粒度分布のピークを少なくとも2つ持っており、しかも大粒径の第1のニッケル微粒子に対する小粒径の第2のニッケル微粒子の存在状態が均等であるため、組成物の密度が、単一ピークの粒子径分布を持つ同体積のニッケル微粒子に比べて高く、高密度な微粒子混合状態を作り出している。このようなニッケル微粒子含有組成物は、例えば、MLCCの内部電極の材料などの用途に好適に用いることができる。また、本発明のニッケル微粒子含有組成物は、例えばMLCC製造時の焼結過程で、第1のニッケル微粒子の周囲に均等に分布した第2のニッケル微粒子が速やかに溶融し、第1のニッケル微粒子どうしの隙間を埋めることによって熱収縮が生じにくい。従って、本発明のニッケル微粒子含有組成物を用いることによって、積層セラミックコンデンサの製造過程で、焼結時のデラミネーションやクラック等の欠陥の発生を防ぐことができる。また、本発明の内部電極を用いたMLCCは、従来のニッケル粒子を使用した電極の膜厚をより薄くすることが可能であることから、小型高容量を実現でき、長寿命性、高信頼性に優れる。そのため、携帯電話、携帯端末、パーソナルコンピュータ、ドローンやスマートウオッチ等の電気・電子製品、オーディオ、通信、コンピュータ制御等の自動車用部品に好適に用いることができる。
本発明の一実施の形態に係るニッケル微粒子含有組成物の模式図である。 実施例1で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例2で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例3で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例4で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例5で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例6で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例7で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例8で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 比較例1で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 比較例2で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 比較例3で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 比較例4で得たニッケル微粒子含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
[ニッケル微粒子含有組成物]
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るニッケル微粒子含有組成物の構成を示す模式図である。本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、成分Aとして、平均粒子径D50が40〜200nmの範囲内である第1のニッケル微粒子10、及び、成分Bとして、平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内である第2のニッケル微粒子20を含有する。ここで、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20の平均粒子径(メディアン径)D50は、いずれもSEM(走査型電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に300個を抽出してそれぞれの粒子について面積を求め、真球に換算したときの粒子径から、個数基準にて求めることができる。つまり、平均粒子径D50及び平均粒子径D50は、走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、小粒径側からの積算粒度分布が50%となる値である。
<第1のニッケル微粒子>
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、第1のニッケル微粒子10は、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径D50が40〜200nmの範囲内であり、45〜150nmの範囲内が好ましい。第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50が40nmを下回ると、それ自体の収縮温度が低くなり、誘電体層とのデラミネーションが激しくなることから、例えばMLCCの内部電極材料としての実用性を欠く。また、第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50が40nmを下回ると、脱バインダー時の加熱でニッケル微粒子含有組成物100同士が凝集又溶融しやすくなり、さらに酸素を取り込みやすくなるため、ニッケル微粒子含有組成物100の体積膨張や収縮変化が大きくなる。さらに、第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50が40nmを下回ると、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間が小さくなって第2のニッケル微粒子20が隙間に入り込むことが困難になり、密度が低下する。そのため、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。
一方、第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50が200nmを上回ると、ペースト塗布後の平滑性が低下するとともに、最小径の粒子及び最大径の粒子の分布幅が大きくなり、薄膜化したMLCCの内部電極材料に利用した場合に、巨大粒子の存在によりショート不良を起こしやすい。
<第2のニッケル微粒子>
また、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、第2のニッケル微粒子20は、走査型電子顕微鏡観察による一次粒子の平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内であり、5〜35nmの範囲内が好ましく、5〜25nmの範囲内がより好ましく、10〜20nmの範囲内がさらに好ましい。第2のニッケル微粒子20の一次粒子の平均粒子径D50が5nmを下回ると、比表面積が増大し、焼結開始温度が低温化したり、表面自由エネルギーの増大により分散が困難になって第2のニッケル微粒子20どうしの凝集粒子が増加したりする。また、平均粒子径D50が5nm未満のニッケル微粒子は、表面の酸化物量が金属ニッケル量に対して大きくなり、還元時の収縮が大きくなってしまうほか、有機物の付着量も大きくなり、その消滅によるガス発生や熱収縮も大きくなるため、好ましくない。
一方、第2のニッケル微粒子20の一次粒子の平均粒子径D50が40nm以上になると、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間に入り込むことが困難になり、密度が低下するため、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、走査型電子顕微鏡観察によって任意の300個の第1のニッケル微粒子10を観察したときに、表面に少なくとも1個以上の第2のニッケル微粒子20が接触している第1のニッケル微粒子10の存在確率が30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、最も好ましくは95%以上である。表面に少なくとも1個以上の第2のニッケル微粒子20が接触している第1のニッケル微粒子10の存在確率が多くなればなるほど、第1のニッケル微粒子10に対して、第2のニッケル微粒子20が均等に分布していることになり、組成物の密度が、単一ピークの粒子径分布を持つ同体積のニッケル微粒子に比べて高くなり、高密度な微粒子混合状態を作り出すことができる。それに対し、表面に少なくとも1個以上の第2のニッケル微粒子20が接触している第1のニッケル微粒子10の存在確率が30%未満である場合、第1のニッケル微粒子10に対する第2のニッケル微粒子20の存在状態が、不均一で偏った分布であることを意味する。例えば第2のニッケル微粒子20の多くが凝集して二次粒子を形成している場合には、表面に少なくとも1個以上の第2のニッケル微粒子20が接触している第1のニッケル微粒子10の存在確率が30%未満となる。このような状態であると、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間に第2のニッケル微粒子20が入り込むことが困難になり、組成物全体の密度が低下するため、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50と、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50と、第1のニッケル微粒子10の小粒径側からの積算粒度分布が1%となる値D1と、第2のニッケル微粒子20の小粒径側からの積算粒度分布が99%となる値D99とが、以下の関係;
D50>D50×4 … (1)
かつ
D1−D99 > (D50−D50)/4 … (2)
を満たすことが好ましい。
上記式(1)を満たすことにより、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20との大きさ(平均粒子径D50)の比が適度になり、組成物全体の密度を高めることができる。その結果、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合の熱収縮を効果的に抑制できる。一方、上記式(1)を満たさない場合、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20との大きさが近づくため、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間に第2のニッケル微粒子20が入り込むことが困難になり、密度向上効果が非常に低くなる。そのため、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。なお、D50に対するD50の比の上限は特に制限はないが、例えば、第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50が100〜200nmの範囲内にある場合、D50に対するD50の比の上限は、20以下であることが好ましく、第1のニッケル微粒子10の平均粒子径D50が40〜100nm未満の範囲内にある場合、D50に対するD50の比の上限は、15以下であることが好ましい。上記上限を超えると、第2のニッケル微粒子20が小さくなり過ぎて、比表面積が増大し、焼結開始温度が低温化したり、表面自由エネルギーの増大により分散が困難になって、第2のニッケル微粒子20どうしの凝集粒子が増加したりする傾向になる。
上記式(2)を満たすことにより、走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20の分布に重なりが生じることがなくなる。つまり、第1のニッケル微粒子10中に含まれる最小粒子よりも、第2のニッケル微粒子20中に含まれる最大粒子が十分に小さくなり、組成物全体の密度を高めることができる。その結果、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合の熱収縮を効果的に抑制できる。一方、上記式(2)を満たさない場合、第1のニッケル微粒子10中に含まれる最小粒子と、第2のニッケル微粒子20中に含まれる最大粒子との大きさが近づくため、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間に第2のニッケル微粒子20が入り込むことが困難になり、密度向上効果が非常に低くなる。そのため、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、成分Aと成分Bの合計量に対する第1のニッケル微粒子10の含有量は75〜99質量%の範囲内が好ましく、80〜95質量%の範囲内がより好ましい。また、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、A成分と成分Bの合計量に対する第2のニッケル微粒子20の含有量は1〜25質量%の範囲内が好ましく、5〜20質量%の範囲内がより好ましい。第1のニッケル微粒子10の含有量が75質量%未満である場合、又は第2のニッケル微粒子20の含有量が25質量%を超える場合には、平均粒子径の小さな第2のニッケル微粒子20の比率が多くなり過ぎ、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。一方、第1のニッケル微粒子10の含有量が99質量%を超える場合、又は第2のニッケル微粒子20の含有量が1質量%を下回る場合には、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間を第2のニッケル微粒子20で埋めることが困難になり、密度が低下するため、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、熱収縮が大きくなる場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、いずれも、粒子径の変動係数(CV)が0.25以下であることが好ましい。CV値を0.25以下とすることで、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20の粒度分布がシャープとなるため、平均粒子径が異なるこれらの粒子を組み合わせる効果が高まる。従って、ニッケル微粒子含有組成物100を用いて、例えばMLCCの内部電極を形成する場合に、高い密度が得られ、熱収縮を抑制する効果が増大する。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、例えば球状、疑似球状等の形状の微粒子であり、主成分としてニッケル元素を含有するとともに、ニッケル元素に対して相対的に少量の銅元素を含有する。第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、それぞれ、ニッケル及び銅以外の元素を含有することができる。ニッケル及び銅以外の金属としては、例えば、チタン、コバルト、クロム、マンガン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ジルコニウム、スズ、タングステン、モリブデン、バナジウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、シリコン、アルミニウム、リン等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、ネオジウム、ニオブ、ホロニウム、ディスプロヂウム、イットリウム等の貴金属、希土類金属を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよく、また、酸素、水素、炭素、窒素、硫黄、ボロン等の金属元素以外の元素を含有していてもよいし、これらの合金であってもよい。
第1のニッケル微粒子10は、分散性を向上させるため、ニッケル元素に対する銅元素の含有割合が、0.01質量%以上2質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.01質量%以上1.2質量%以下の範囲内であることがより好ましい。第1のニッケル微粒子10中に含有される銅元素は、凝集の原因となるニッケル微粒子の磁性を弱め、分散性の向上に寄与する。従って、第1のニッケル微粒子10において、ニッケル元素に対する銅元素の含有割合が0.01質量%未満であると、分散性の改善効果が得られない。一方、第1のニッケル微粒子10において、ニッケル元素に対する銅元素の含有割合が、2質量%を超えると銅元素の存在による粒子の酸化安定性の低下が生じ、さらには、MLCCの内部電極用の導電性ペースト材料として用いる場合に、脱バインダー工程において、銅の酸化が急速に起こり、クラックや層間剥離などの不具合が発生しやすくなる。また、第1のニッケル微粒子10において、銅元素の40〜90%は、第1のニッケル微粒子10の中心から径方向に±5nmの範囲より外側に分散し、ニッケル元素と合金化した状態で存在していることが好ましい。このような銅元素の分散状態によって、ニッケル粒子の磁性を弱め、凝集を抑制して分散性を改善することができる。
また、第2のニッケル微粒子20も、ニッケル元素に対する銅元素の含有割合が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で銅元素を含有していることが好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲内であることがより好ましい。第2のニッケル微粒子20中に含有される銅元素は、凝集の原因となるニッケル粒子の磁性を弱め、分散性の向上に寄与する。従って、第2のニッケル微粒子20において、ニッケル元素に対する銅元素の含有割合が3質量%未満であると、分散性の改善効果が得られない。一方、第2のニッケル微粒子20において、ニッケル元素に対する銅元素の含有割合が、40質量%を超えると銅元素の存在による粒子の酸化安定性の低下が生じ、さらには、MLCCの内部電極用の導電性ペースト材料として用いる場合に、脱バインダー工程において、銅の酸化が急速に起こり、クラックや層間剥離などの不具合が発生しやすくなる。
また、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、第1のニッケル微粒子10に含まれる銅元素及び第2のニッケル微粒子20に含まれる銅元素の合計量が、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20の合計量に対し、0.5質量%以上10質量%以下の範囲内であり、0.8質量%以上8.0質量%以下の範囲内であることがより好ましい。第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20の全体に対する銅元素の含有割合が0.5質量%未満であると、分散性の改善効果が得られず、10質量%を超えると銅元素の存在による粒子の酸化安定性の低下が生じ、さらには、MLCCの内部電極用の導電性ペースト材料として用いる場合に、脱バインダー工程において、銅の酸化が急速に起こり、クラックや層間剥離などの不具合が発生しやすくなる。
また、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、金属として、銅以外のものを用いる場合、例えば、銀などのニッケル以外の異種金属によるマイグレーションによるショートや静電容量の低下などの製品不良を防止する観点から、銅以外の金属元素の含有量を0.01質量%以上2質量%以下の範囲内とすることが好ましい。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100において、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、それぞれ、金属成分を90質量%以上含有することが好ましい。金属成分の含有量が90質量%未満であると、電気抵抗が大きくなり、例えばMLCCの内部電極材料用途として好ましくない。なお、各種元素の含有量は、元素分析により確認することができる(以下、同様である)。
本実施の形態において、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、それぞれ、後述するように、ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物から、湿式還元法によりニッケルイオンを還元し、金属ニッケルを析出させて得られるものであることが好ましい。特に、ニッケル塩及び有機アミンを含む錯化反応液をマイクロ波照射加熱によって湿式還元する方法では、錯化反応液の均一加熱が可能であり、かつエネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行なうことができる。これにより、錯化反応液全体を所望の温度に均一に加熱することができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、CV値が小さい単分散なニッケル微粒子(第1のニッケル微粒子10又は第2のニッケル微粒子20)を短時間で容易に製造することができる。また、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20を、ともに、金属塩及び有機アミンを含む錯化反応液から加熱還元して製造することによって、これら2種類のニッケル微粒子の表面状態(例えば、有機アミンなどの付着物、酸化皮膜など)が、ほぼ同様になるため、溶媒中での分散性も同程度となり、ハンドリングが容易になる。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、任意の溶媒に分散させたスラリーの状態でもよいし、溶媒を除去して乾燥させた粉末状の形態をなしていてもよい。スラリーとする場合の溶媒としては、第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20を分散できるものであれば特に制限はないが、例えばエチレングリコール等のグリコール類、アルコール類、有機アミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられる。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、上記溶媒以外の他の任意成分を含有していてもよい。そのような任意成分としては、例えば熱収縮温度を上げるために、誘電体組成と類似の共材や、シリカ、マグネシア、カルシア、チタニア、希土類金属酸化物などの誘電体層に添加される金属酸化物等を挙げることができる。
<共材>
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、共材を含有することが好ましい。共材としては、例えばMLCCの誘電体層の材料に用いるBaTiO、SrTiO、CaTiOなどを挙げることができる。共材を添加することによって、高密度化が可能になり、ニッケル微粒子含有組成物100を例えばMLCCの内部電極材料として使用する場合に収縮率を抑えることが可能となる。共材は、例えば走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が20〜60nmの範囲内のものを使用することが好ましい。共材の添加量は、ニッケル微粒子含有組成物100質量部に対して5〜20質量部とすることが好ましい。共材の添加量が5質量部を下回ると、添加の効果が得られず、20質量部を上回ると、例えばニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合に、共材が誘電体層へ拡散することで誘電体層の膜厚が増大し、電気容量が低下するのみならず、電気抵抗が上昇し、導電性が低下する場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100を粉末状の形態とする場合、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20が凝集して2次粒子を形成していてもよい。この場合も、第1のニッケル微粒子10の表面に接触して、第2のニッケル微粒子20がほぼ均等に分布して存在する状態であることが好ましい。また、個々の2次粒子における第1のニッケル微粒子10の含有比率が75〜99質量%の範囲内であり、かつ第2のニッケル微粒子20の含有比率が1〜25質量%の範囲内であることが好ましい。すなわち、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、粉末状の形態である場合に、凝集粒子である2次粒子を有していてもよいが、個々の2次粒子内において、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20との比率は、組成物全体における第1のニッケル微粒子10と前記第2のニッケル微粒子20の比率にほぼ等しいことが好ましい。このように、個々の2次粒子の組成と、組成物全体の組成が略等しいということは、組成物全体が均質な状態にあることを意味する。組成物が全体として均質であれば、個々の凝集粒子においても、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間に第2のニッケル微粒子20が効率よく入り込んだ状態が維持されるため、粒子密度を高めることが可能になり、ニッケル微粒子含有組成物100を用いて例えばMLCCの内部電極を形成する場合の熱収縮を効果的に抑制できる。それに対し、例えば2次粒子毎に第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20との比率が大きく変動する場合には、組成物内部で第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20の分布が偏在していることを意味する。このような場合は、粒子密度を高めることが困難になり、ニッケル微粒子含有組成物100を用いてMLCCの内部電極を形成する場合の熱収縮を抑制する効果が十分に得られなくなる。別の観点から、ニッケル微粒子含有組成物100中で第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20のそれぞれが偏在していない均質な状態であれば、ペースト化工程における均質化も比較的容易となり、工業的にも有利である。
[ニッケル微粒子含有組成物の製造方法]
次に、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100の製造方法について説明する。ニッケル微粒子含有組成物100は、例えば、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20を別々に調製した後、混合することによって製造することができる。第1のニッケル微粒子10及び第2のニッケル微粒子20は、それぞれ、例えば気相法や液相法などの方法により製造可能であり、その製造方法については特に限定されない。気相法は液相法に比べて製造コストが高価になりがちであるので、液相法を適用することが有利である。液相法のなかでも、粒子径分布が狭いニッケル微粒子を短時間で容易に製造できる方法として、湿式還元工程を有する方法が好ましい。第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20を共に後述する湿式還元法によって製造することによって、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20の表面状態がほぼ同様の性質を持つようになる。そのため、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20は、近似した分散挙動を示すようになり、両者を混合した後も、均一な分散状態を得ることができる。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100の好ましい製造方法は、例えば、下記の工程a〜d;
a)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が40〜200nmの範囲内である第1のニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
b)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内である第2のニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
c)前記第2のニッケル微粒子を溶剤で洗浄する工程、
及び
d)前記第1のニッケル微粒子と前記第2のニッケル微粒子とを混合する工程。
また、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100の好ましい製造方法において、前記工程cは、前記第2のニッケル微粒子の平均粒子径D50に対して10%以上小さな平均孔径を有するフィルタを用い、前記第2のニッケル微粒子を前記溶剤とともに前記フィルタでろ過することにより行われ、
かつ、
前記工程dは、前記工程cと同時に、又は前記工程cの後で引き続き、前記フィルタで前記第1のニッケル微粒子をろ過することによって行われる。
以下、工程a〜dについて説明する。
[工程a]
工程aでは、ニッケル塩と、脂肪族1級モノアミンと、を混合し、加熱することによってニッケル塩を有機アミンに溶解させたニッケル錯体溶液を準備し、このニッケル錯体溶液を湿式加熱還元することによって、第1のニッケル微粒子10を製造することができる。第1のニッケル微粒子10は、粒子内部に銅元素が拡散していても良い。粒子内部に銅元素が拡散していることによって、第1のニッケル微粒子10は、ニッケルの磁性が緩和され、磁性による凝集が抑制されるため、分散性が向上するので好ましい。
(ニッケル塩)
工程aにおいて、ニッケル塩の種類は特に限定されず、例えば水酸化ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、カルボン酸ニッケル、Ni(acac)2(β−ジケトナト錯体)、ステアリン酸ニッケル等が挙げられるが、この中でも、塩化ニッケル又はカルボン酸ニッケルが好ましく、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いカルボン酸ニッケルを用いることが有利である。カルボン酸ニッケルとしては、例えば、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いギ酸ニッケル、酢酸ニッケルなどを用いることが好ましい。カルボン酸ニッケルは、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。なお、カルボン酸ニッケルに代えて、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等の無機塩を用いることも考えられるが、無機塩の場合、解離(分解)が高温であるため、還元過程で高温での加熱が必要であり好ましくない。また、Ni(acac)(β−ジケトナト錯体)、ステアリン酸イオン等の有機配位子により構成されるニッケル塩を用いることも考えられるが、これらのニッケル塩を用いると、原料コストが高くなり好ましくない。カルボン酸ニッケルは単独で用いてもよいし、他のニッケル塩と併用することもできる。
(有機アミン)
有機アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定されず、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の有機アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の有機アミンであっても、加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
有機アミンとしては、脂肪族1級モノアミンを用いることが好ましい。一方、2級アミンは立体障害が大きいため、ニッケル錯体の良好な形成を阻害するおそれがあり、3級アミンはニッケルイオンの還元能を有しないため、いずれも使用できない。また、ジアミンは、金属イオンの中でも特にニッケルイオンと形成した錯体の安定性が高く、その還元温度は高くなるため反応性が非常に低く、生成するニッケル粒子に歪が生じやすくなるため好ましくない。
脂肪族1級モノアミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成する第1のニッケル微粒子10の粒径を制御することができる。第1のニッケル微粒子10の粒径を制御する観点から、脂肪族1級モノアミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られる第1のニッケル微粒子10の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。
脂肪族1級モノアミンは、第1のニッケル微粒子10の生成時に表面修飾剤として機能するため、脂肪族1級モノアミンの除去後においても二次凝集を抑制できる。また、脂肪族1級モノアミンは、還元反応後の生成した第1のニッケル微粒子10の固体成分と溶剤又は未反応の脂肪族1級モノアミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からも好ましい。更に、脂肪族1級モノアミンは、ニッケル錯体を還元して第1のニッケル微粒子10を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。すなわち、脂肪族1級モノアミンは、沸点が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましい。また、脂肪族1級モノアミンは、炭素数が9以上であることが好ましい。ここで、例えば炭素数が9である脂肪族1級モノアミンのC21N(ノニルアミン)の沸点は201℃である。
(有機溶媒)
脂肪族1級モノアミンは、有機溶媒として反応を進行させることができるが、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、第1のニッケル微粒子10の調製において、脂肪族1級モノアミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。使用できる有機溶媒としては、脂肪族1級モノアミンと、ニッケルイオン、銅イオンなどの金属イオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル、炭素数が20〜40の範囲内にあるポリアルファオレフィン等が挙げられる。
(ニッケル錯体溶液)
ニッケル錯体溶液中のニッケル錯体濃度は、例えば2〜11質量%の範囲内とすることが好ましく、4〜8質量%の範囲内とすることがより好ましい。一段階の合成法では、ニッケル錯体濃度が11質量%を超えると、反応性が低下するとともに、粒子径の制御が難しくなる。
2価のニッケルイオンは配位子置換活性種として知られており、形成する錯体の配位子は温度、濃度によって容易に配位子交換により錯形成が変化する可能性がある。例えばカルボン酸ニッケルおよび脂肪族1級モノアミンの混合物を加熱して反応液を得る工程において、用いるアミンの炭素鎖長等の立体障害を考慮すると、例えば、カルボン酸イオンが二座配位または単座配位のいずれかで配位する可能性があり、さらにアミンの濃度が大過剰の場合は外圏にカルボン酸イオンが存在する構造をとる可能性がある。目的とする反応温度(還元温度)において均一溶液とするには、配位子のうち少なくとも一箇所は脂肪族1級モノアミンが配位している必要がある。その状態をとるには、脂肪族1級モノアミンが過剰に反応溶液内に存在している必要があり、少なくともニッケルイオン1molに対し2mol以上存在していることが好ましく、2.2mol以上存在していることがより好ましい。また、脂肪族1級モノアミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは、ニッケルイオン1molに対して20mol以下とすることが好ましく、4mol以下とすることがより好ましい。つまり、脂肪族1級モノアミンの量は、ニッケルイオン1molに対して2〜20molの範囲内が好ましく、2〜4molの範囲内がより好ましく、2.2〜4molの範囲内が最も好ましい。
(錯形成反応)
錯形成反応は室温においても進行させることができるが、反応を確実かつより効率的に行うために、100℃以上の温度で加熱を行うことが好ましい。この加熱は、カルボン酸ニッケルとして、例えば酢酸ニッケル4水和物のようなカルボン酸ニッケルの水和物を用いた場合に特に有利である。加熱温度は、好ましくは100℃を超える温度とし、より好ましくは105℃以上の温度とすることで、カルボン酸ニッケルに配位した配位水と脂肪族1級モノアミンとの配位子置換反応が効率よく行われ、この錯体配位子としての水分子を解離させることができ、更にその水を系外に出すことができるので効率よく錯体を形成させることができる。例えば、酢酸ニッケル4水和物は、室温では2個の配位水と2座配位子である2個の酢酸イオン、外圏に2つの水分子が存在した錯体構造をとっているため、この2つの配位水と脂肪族1級モノアミンの配位子置換により効率よく錯形成させるには、100℃より高い温度で加熱することでこの錯体配位子としての水分子を解離させることが好ましい。また、加熱温度は、後に続く還元の過程と確実に分離し、錯形成反応を完結させるという観点から、175℃以下が好ましい。錯形成反応での加熱温度が高すぎると、ニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し、新たにニッケルの核が発生してしまうことで、粒子径の分布が狭い第1のニッケル微粒子10の生成が困難となるおそれがある。従って、錯形成反応のための加熱温度は、例えば105℃〜175℃の範囲内が好ましく、より好ましくは、125〜160℃の範囲内である。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができるが、錯形成反応を確実に完結させるという観点から、15分以上とすることが好ましい。加熱時間の上限は特にないが、長時間加熱することは、エネルギー消費及び工程時間を節約する観点から無駄である。加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよいが、マイクロ波照射による加熱が好ましい。マイクロ波照射による加熱は、混合液内の均一加熱を可能とし、かつエネルギーをニッケルイオンに直接与えることができるため、急速加熱を行なうことができる。マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。
カルボン酸ニッケルと脂肪族1級モノアミンとの錯形成反応は、カルボン酸ニッケルと脂肪族1級モノアミンを混合して得られる溶液を加熱したときに、溶液の色の変化によって確認することができる。また、この錯形成反応は、例えば紫外・可視吸収スペクトル測定装置を用いて、300nm〜750nmの波長領域において観測される吸収スペクトルの吸収極大の波長を測定し、原料の極大吸収波長(例えば酢酸ニッケル四水和物ではその極大吸収波長は710nmである。)に対する錯化反応液のシフトを観測することによって確認することができる。
(加熱還元)
次に、得られたニッケル錯体溶液中、又は混合液中のニッケルイオンを加熱還元し、第1のニッケル微粒子10に成長させる。この場合、種粒子を使用することが好ましく、後述する工程bで得られる第2のニッケル微粒子20を、工程aにおける種粒子として用いることがより好ましい。種粒子を用いることによって、一段階の合成法に比べ、均一な粒子径を有する第1のニッケル微粒子10を製造できる。また、工程bで得られる第2のニッケル微粒子20を種粒子として所定量使用することによって、第1のニッケル微粒子10中に所望の量の銅元素を含有させることができる。
ここで、種粒子を用いる場合は、種粒子と、ニッケル錯体溶液とを混合して混合液を得る。種粒子又は種粒子を含むスラリーを、ニッケル錯体溶液に添加してもよいし、種粒子を含むスラリーに、ニッケル錯体溶液を添加してもよい。混合されたニッケル錯体は、新たな核の形成には利用されず、種粒子から第1のニッケル微粒子10への成長に利用される。つまり、混合液中のニッケル錯体の濃度が、核形成の臨界濃度を超えない限り、ニッケル錯体は粒子成長にのみ利用される。従って、目的とする粒子径の第1のニッケル微粒子10を得るためのニッケル錯体の量は、種粒子の粒子径に基づき、計算上、算出することができる。
種粒子としては、例えばニッケル元素に対する銅元素の含有割合が3質量%以上40質量%以下の範囲内のものを用いることが好ましい。種粒子におけるニッケル元素に対する銅元素の含有量が3質量%未満であると、銅の核材としての効果が低下し、微細な球状で粒度分布が均一な種粒子を作りにくくなり、また、成長したニッケル微粒子の磁性を抑制する効果が十分に得られず、凝集が生じやすくなる傾向がある。一方、種粒子における銅元素の含有量が40質量%を超えると、銅の核材としての効果が飽和し、微細な種粒子を作る為の効果は得にくく、種粒子の段階で表面が酸化しやすくなる。また、金属として、ニッケル及び銅に加え、これら以外のものを用いる場合、例えば、銀などの異種金属によるマイグレーションによるショートや静電容量の低下などの製品不良を防止する観点から、ニッケル及び銅以外の金属元素の含有量を0.01質量%以上2質量%以下の範囲内とすることが好ましい。このような種粒子を用いる場合は、混合液中の種粒子が核として第1のニッケル微粒子10が成長するとともに、第1のニッケル微粒子10中で、銅原子を拡散させることができる。
加熱方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であってもよいが、マイクロ波照射による加熱が好ましい。マイクロ波照射によるニッケル錯体の加熱は、ニッケル錯体の均一加熱を可能とし、かつエネルギーをニッケル錯体に直接与えることができるため、急速加熱を行なうことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元と成長を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒子径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。
加熱還元の温度は、得られる第1のニッケル微粒子10の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上とすることがよい。また、加熱温度が低すぎると、ニッケル錯体からニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり、金属ニッケルの成長が遅くなる傾向がある。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。また、270℃を超えると炭化反応が進行して炭化ニッケルが生成しやすくなるので、好ましくない。
加熱還元時の熱処理によって、加熱還元と同時に第1のニッケル微粒子10中の銅元素を拡散させることができる。
以上のようにして、第1のニッケル微粒子10を含有するスラリーを得ることが出来る。なお、工程aでは、第1のニッケル微粒子10を含有するスラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで第1のニッケル微粒子10を分取してもよい。
[工程b]
本工程は、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内である第2のニッケル微粒子20を準備する工程である。なお、第2のニッケル微粒子20は、工程aにおいて、第1のニッケル微粒子10の成長の核(種粒子)としても利用できるものである。
工程bでは、少なくともカルボン酸ニッケルを含む金属塩と、脂肪族1級モノアミンと、を混合し、加熱することによって金属塩を有機アミンに溶解させたニッケル錯体溶液を準備し、このニッケル錯体溶液を湿式加熱還元することによって第2のニッケル微粒子20を製造することができる。例えば、ニッケル塩及び銅塩を含む原料から、有機アミンの存在下で加熱による湿式還元によって製造することが好ましい。この場合、銅とニッケルとの標準電極電位の相違から、まず、銅粒子が形成され、次に、銅粒子の表面にニッケル被膜が形成されることによって、第2のニッケル微粒子20が得られる。
(銅塩)
銅塩としては、例えばカルボン酸銅を用いることが好ましい。また、カルボン酸銅としては、例えば、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いギ酸銅、酢酸銅などを用いることが好ましい。また、カルボン酸銅は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。銅塩を配合することによって、第2のニッケル微粒子20の形成を促進できるとともに、第2のニッケル微粒子20の粒子径の制御が容易になる。
(ニッケル塩)
ニッケル塩としては、例えばカルボン酸ニッケルを用いることが好ましい。また、カルボン酸ニッケルとしては、例えば、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いギ酸ニッケル、酢酸ニッケルなどを用いることが好ましい。カルボン酸ニッケルは、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。なお、カルボン酸ニッケルに代えて、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等の無機塩を用いることも考えられるが、無機塩の場合、解離(分解)が高温であるため、還元過程で高温での加熱が必要であり好ましくない。また、Ni(acac)(β−ジケトナト錯体)、ステアリン酸イオン等の有機配位子により構成されるニッケル塩を用いることも考えられるが、これらのニッケル塩を用いると、原料コストが高くなり好ましくない。
なお、第2のニッケル微粒子20は、ニッケル及び銅以外の金属を含有していてもよい。その場合、第2のニッケル微粒子20の調製に際して、例えば、銀、金、白金及びパラジウムから選ばれる1種以上の金属の塩を使用してもよい。これらの金属の塩としては、例えば酢酸パラジウムなどのカルボン酸塩、硝酸銀などの硝酸塩、塩化金酸、塩化白金酸などの塩化物などを用いることが好ましい。金属塩は、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。
第2のニッケル微粒子20において、銅を含有する場合、銅元素の含有量は、例えば3質量%以上40質量%以下の範囲内とすることが好ましい。第2のニッケル微粒子20における銅元素の含有量が3質量%未満であると、銅の核材としての効果が低下し、微細な球状で粒度分布が均一な第2のニッケル微粒子20を作りにくくなり、また、成長したニッケル微粒子の磁性を抑制する効果が十分に得られず、凝集が生じやすくなる傾向がある。一方、第2のニッケル微粒子20における銅元素の含有量が40質量%を超えると、銅の核材としての効果が飽和し、微細な第2のニッケル微粒子20を作る為の効果は得にくく、第2のニッケル微粒子20の段階で表面が酸化しやすくなる。また、金属として、銅以外のものを用いる場合、例えば、銀などのニッケル以外の異種金属によるマイグレーションによるショートや静電容量の低下などの製品不良を防止する観点から、銅以外の金属元素の含有量を0.01質量%以上2質量%以下の範囲内とすることが好ましい。
(有機アミン)
有機アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定されず、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の有機アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の有機アミンであっても、加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
有機アミンとしては、脂肪族1級モノアミンを用いることが好ましい。一方、2級アミンは立体障害が大きいため、ニッケル錯体の良好な形成を阻害するおそれがあり、3級アミンはニッケルイオンの還元能を有しないため、いずれも使用できない。また、ジアミンは、金属イオンの中でも特にニッケルイオンと形成した錯体の安定性が高く、その還元温度は高くなるため反応性が非常に低く、生成するニッケル微粒子に歪が生じやすくなるため好ましくない。
脂肪族1級モノアミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成する第2のニッケル微粒子20の粒径を制御することができる。第2のニッケル微粒子20の粒径を制御する観点から、脂肪族1級モノアミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られる第2のニッケル微粒子20の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。
脂肪族1級モノアミンは、第2のニッケル微粒子20の生成時に表面修飾剤として機能するため、脂肪族1級モノアミンの除去後においても二次凝集を抑制できる。また、脂肪族1級モノアミンは、還元反応後の生成した第2のニッケル微粒子20の固体成分と溶剤又は未反応の脂肪族1級モノアミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からも好ましい。更に、脂肪族1級モノアミンは、ニッケル錯体を還元して第2のニッケル微粒子20を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。すなわち、脂肪族1級モノアミンは、沸点が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましい。また、脂肪族1級モノアミンは、炭素数が9以上であることが好ましい。ここで、例えば炭素数が9である脂肪族1級モノアミンのC21N(ノニルアミン)の沸点は201℃である。
脂肪族1級モノアミンは、還元反応後の生成した第2のニッケル微粒子20の固体成分と溶剤または未反応の脂肪族1級モノアミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点から、室温で液体のものが好ましい。更に、脂肪族1級モノアミンは、銅錯体を還元して第2のニッケル微粒子20を得るときの反応制御の容易性の観点から、還元温度より沸点が高いものが好ましい。脂肪族1級モノアミンの量は、金属イオン(ニッケルイオン及び銅イオンの合計)1molに対して5mol以上用いることが好ましく、8mol以上用いることがより好ましい。脂肪族1級モノアミンの量が5mol未満では、得られるニッケル微粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、脂肪族1級モノアミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは、金属イオン1molに対して20mol以下とすることが好ましく、15mol以下とすることがより好ましい。つまり、脂肪族1級モノアミンの量は、金属イオン1molに対して5〜20molの範囲内が好ましく、8〜15molの範囲内がより好ましい。
(有機溶媒)
脂肪族1級モノアミンは、有機溶媒として反応を進行させることができるが、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、第2のニッケル微粒子20の調製において、脂肪族1級モノアミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。使用できる有機溶媒としては、脂肪族1級モノアミンと、ニッケルイオン、銅イオンなどの金属イオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル、炭素数が20〜40の範囲内にあるポリアルファオレフィン等が挙げられる。
(加熱還元)
第2のニッケル微粒子20を形成するための加熱還元方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよいが、均一、かつ急速な加熱が可能なマイクロ波照射による加熱が好ましい。マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。
第2のニッケル微粒子20を形成するための加熱温度は、第2のニッケル微粒子20の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点から、例えば270℃以下とすることが好適である。
以上のようにして、第2のニッケル微粒子20を含有するスラリーを得ることが出来る。なお、工程bでは、第2のニッケル微粒子20を含有するスラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで第2のニッケル微粒子20を分取してもよい。
工程c(洗浄工程):
工程cは、第2のニッケル微粒子20を溶剤で洗浄する工程である。本工程で洗浄に用いる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノールなどの1級またはエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの多価アルコールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン、デカン、テトラリンなどの炭化水素系溶媒またはエーテル類やエステル類系溶媒などの有機溶剤を用いることができる。第2のニッケル微粒子20を洗浄することによって、第2のニッケル微粒子20の表面に付着した反応原料や反応副生物などを除去できるため、凝集が抑制される。
本工程において、洗浄の方法は、例えばろ過、遠心分離、超音波、磁気分離、超臨界流体洗浄などを挙げることができる。これらの中でもろ過による洗浄が好ましく、第2のニッケル微粒子20を含有するスラリーを、溶剤とともにフィルタでろ過することにより行うことがより好ましい。ここで用いるフィルタは、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50に対して10%以上小さな平均孔径を有するものを使用することが好ましい。フィルタの平均孔径が、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50に対して非常に近い場合には、孔に粒子が入り込み閉塞して、洗浄が困難になる。例えば、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50が5nmであるときは、フィルタの平均孔径は4.5nm以下であることが好ましく、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50が40nmであるときは、フィルタの平均孔径は36nm以下であることが好ましい。洗浄に用いるフィルタの平均孔径を、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50に対して10%以上小さくすることによって、効率的なろ過が可能となる。一方、フィルタの平均孔径が小さ過ぎると、通過流量が極めて遅くなることから生産性が低下する。従って、本工程で用いるフィルタの平均孔径は、第2のニッケル微粒子20の平均粒子径D50に対して、10%以上80%以下の範囲内で小さいことが好ましく、20%以上70%以下の範囲内で小さいことがより好ましい。
フィルタの材質に制限はなく、例えば、セラミックス、プラスチックス、布、紙などが使用できる。好ましくは、耐溶剤性、耐久性、耐熱性、耐磨耗性に優れるセラミックスフィルタである。具体的には、アルミナ製又はジルコニア製のフィルタが好ましい。
工程d(混合工程):
工程dは、工程aで得られた第1のニッケル微粒子10のスラリーと、工程bで得られ、工程cで洗浄された第2のニッケル微粒子20とを混合する。なお、第1のニッケル微粒子10は、別途、洗浄工程を設けて洗浄したものを使用してもよい。混合比率は、ニッケル微粒子含有組成物100中の第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20の合計量に対し、第1のニッケル微粒子10の含有量が75〜99質量%の範囲内、好ましくは80〜95質量%の範囲内であり、第2のニッケル微粒子20の含有量が1〜25質量%の範囲内、好ましくは5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
混合工程では、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20とを均一な混合、分散状態とするために、例えば撹拌、衝撃混合、せん断混合等の操作を行うことが好ましい。
好ましい態様として、本混合工程は、工程cと同時に、又は工程cの後で引き続き、フィルタで第1のニッケル微粒子10をろ過することによって行うことが可能である。つまり、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20と溶剤を混合した状態で、工程cのフィルタによる洗浄を行ってもよいし、フィルタによる第2のニッケル微粒子20の洗浄工程に引き続き、該フィルタに第1のニッケル微粒子10と溶剤とを投入することによって、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20とを混合してもよい。なお、別途、孔径の大きなフィルタを用いた洗浄や、遠心分離や磁器分離等の方法で第1のニッケル微粒子10を洗浄しておき、洗浄後の第1のニッケル微粒子10を、工程cのフィルタによる洗浄中、又は洗浄後の第2のニッケル微粒子20に混合してもよい。
以上のようにしてスラリー状態のニッケル微粒子含有組成物100を製造することができるが、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100の製造方法は、上記工程a〜工程d以外に、任意の工程を含むことが可能であり、例えば、以下の工程eなどを含むことができる。
工程e(乾燥工程):
本工程では、工程dで得られたスラリー状態のニッケル微粒子含有組成物100を、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、乾燥することで、乾燥状態のニッケル微粒子含有組成物100が得られる。本工程で得られる乾燥後のニッケル微粒子含有組成物100は粉末状をなしていてもよい。この場合、第1のニッケル微粒子10と第2のニッケル微粒子20が凝集して2次粒子を形成していてもよいが、上記のとおり、個々の2次粒子における第1のニッケル微粒子10の含有比率が75〜99質量%であり、かつ第2のニッケル微粒子20の含有比率が1〜25質量%の範囲内であることが好ましい。
本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100は、平均粒子径が異なり、粒度分布の小さな2種類のニッケル微粒子を混合しているため、粒子径分布のピークを少なくとも2つ持っており、配合量の多い大きな粒子(第1のニッケル微粒子10)どうしの隙間を、配合量の少ない小さな粒子(第2のニッケル微粒子20)によって埋めることができる。そのため、ニッケル微粒子含有組成物100の密度は、単一ピークの粒子径分布を持つ同体積のニッケル微粒子に比べて高くなる。しかも、2種類のニッケル微粒子にそれぞれ銅元素が含まれている場合は、凝集の原因となるニッケル微粒子の磁性を弱め、分散性の向上に寄与するため、第2のニッケル微粒子20が第1のニッケル微粒子10の周囲に均等に配置されやすく、高密度な状態を取りやすい。従って、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物100を用いることによって、例えば積層セラミックコンデンサの製造過程で、焼結時のデラミネーションやクラック等の欠陥の発生を防ぐことができる。このようなニッケル微粒子含有組成物100は、積層セラミックコンデンサの内部電極の材料などの用途に好適に用いることができる。
また、通常、ニッケル微粒子は、平均粒子径が小さくなると焼結温度が低下するだけでなく、粒子の比表面積が大きくなることから、粒子表面の酸素量(及び有機物などの不純物)が多くなり、熱収縮量も大きくなる。これによって、例えばMLCC製造時の焼結過程で、図2に示すように、第2のニッケル微粒子20を加熱段階で速やかに溶融させ、第1のニッケル微粒子10どうしの隙間を溶融物で埋め、全体の熱収縮を抑制することができる。本実施の形態においては、このような溶融温度の差を利用し、混合粒子の熱収縮率を小さくすることによって、内部電極層と誘電体層とのデラミネーションや内部電極層の膜切れを防止することが可能になる。
[積層セラミックコンデンサ用の内部電極]
本実施の形態の積層セラミックコンデンサ用の内部電極(以下、単に「内部電極」ともいう。)は、本実施の形態のニッケル微粒子含有組成物をペースト化し、セラミック基板上に印刷することで製造される。
前記ペースト化する際、有機ビヒクル、水系ビヒクル等の公知の粘度調整剤を混合させても良い。粘度調整剤を混合することで、前記ペーストに適度な流動性や揮発性が付与され、セラミック基板上に平滑な内部電極を形成することができる。
有機ビヒクルは、例えば、樹脂を有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いる樹脂は特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種樹脂から適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、水系ビヒクルは、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂が挙げられる。
セラミック基板は、公知のものが用いられ、例えば、ペロブスカイト系の誘電体で、チタン酸バリウムや、そのチタンの一部がジルコンに置換したもの、バリウムの一部がストロンチウムやカルシウム等に置換した誘電体が挙げられる。
内部電極の印刷方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法が挙げられる。
[積層セラミックコンデンサ]
本実施の形態の積層セラミックコンデンサは、前記内部電極とセラミックス誘電体とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させることによって製造される。
セラミックス誘導体は、公知のものが用いられ、前記のチタン酸バリウム等が挙げられる。これをペースト化し、前記内部電極上に層を形成する。ペースト化する際、有機ビヒクル、水系ビヒクル等の公知の粘度調整剤を混合させても良い。粘度調整剤を混合することで、前記ペーストに適度な流動性や揮発性が付与され、セラミック基板上に平滑な内部電極を形成することができる。有機ビヒクルは、例えば、樹脂を有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いる樹脂は特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種樹脂から適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、水系ビヒクルは、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂が挙げられる。
セラミックス誘電体の印刷方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法が挙げられる。
内部電極とセラミックス誘導体の層及び層厚は限定しないが、例えば、数層〜1000層であり、各層厚が、0.3μm〜2μmである。
次に、このようにして得られた、内部電極とセラミックス誘導体の多層構造を、圧着し一体成型し、所定の大きさ(チップのサイズ)にカットし、焼成してチップを形成する。焼成温度は、例えば1000℃〜1300℃である。焼成後、チップの両端面に金属ペーストを塗布、熱処理し、その表面にメッキをすることで、外部電極を形成する。
このようにして製造された本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
このような電子機器は、本発明のニッケル微粒子含有組成物を使用しているため、小型高容量化が可能であり、信頼性、高寿命性に優れ、電子部品の高温負荷寿命を向上させることができる
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[D50、平均粒子径の測定]
SEM(走査型電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に3000個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子のD99、D50及びD1を算出した。ここで、合成例4、5のニッケル微粒子は、SEM倍率5万倍で、合成例6のニッケル微粒子はSEM倍率10万倍で、合成例3のニッケル微粒子はSEM倍率15万倍で、合成例1、2のニッケル微粒子はSEM倍率30万倍で撮影した。また、CV値(変動係数)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。なお、CV値が小さいほど、粒子径がより均一であることを示す。
[SEM観察による粒子分散性評価]
SEM倍率10万倍で観察し、大粒子300個について、小粒子が大粒子の表面に接触して、又は大粒子間に接触して、存在する確率を計算した。
[熱機械分析(TMA)、5%熱収縮温度]
試料を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られる成型体を作製し、窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析(TMA)を行った。また、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収縮の温度を5%熱収縮温度とした。
[表面平滑性Ra]
比較例1では、混合した乾燥ニッケル微粒子を、トルエン中で超音波ホモジナイザーを用いて5分間分散させた後、エバポレーターでトルエンを除去し、スラリー中のニッケル濃度を50質量%まで濃縮した。この濃縮物をガラス板上に塗布して、80℃で乾燥後、接触式の表面粗さ計で平滑性Raを測定した。
実施例1〜8では、全てスラリー状のニッケル微粒子を混合した以外は、比較例1と同様にして、平滑性Raを測定した。
合成例1〜6のニッケル微粒子については、粒子合成後の反応液に対し、トルエン洗浄と遠心分離を5回繰り返し行った後、エバポレーターでトルエンを除去して、スラリー中のニッケル濃度を50質量%まで濃縮した後、比較例1と同様にして平滑性Raを測定した。
(合成例1)
<錯化反応液の調製>
6.0kgのオレイルアミンに70gのギ酸銅四水和物と350gのギ酸ニッケル二水和物を加え、窒素フロー下で120℃、60分間加熱することでギ酸銅とギ酸ニッケルをオレイルアミンに溶解した。
上記の溶解液にマイクロ波を照射して190℃、10分間加熱して、6.1kgのニッケル微粒子スラリー(1−A)を調製した。得られたニッケル微粒子スラリー(1−A)の100gを分取して、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いてそれぞれ2回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子Aを調製した。
ニッケル微粒子AのSEM写真を参照すると、ニッケル微粒子Aの平均粒子径は15nm、CV値は0.14、銅元素の含有量は15.06質量%であった。
(合成例2)
<錯化反応液の調製>
6.0kgのオレイルアミンに133gのギ酸銅四水和物と350gのギ酸ニッケル二水和物を加え、窒素フロー下で120℃、60分間加熱することでギ酸銅とギ酸ニッケルをオレイルアミンに溶解した。
上記の溶解液にマイクロ波を照射して190℃、10分間加熱して、6.14kgのニッケル微粒子スラリー(2−A)を調製した。得られたニッケル微粒子スラリー(2−A)の100gを分取して、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いてそれぞれ2回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子Bを調製した。
ニッケル微粒子BのSEM写真を参照すると、ニッケル微粒子Bの平均粒子径は12nm、CV値は0.13、銅元素の含有量は25.20質量%であった。
(合成例3)
<錯化反応液の調製>
6.0kgのオレイルアミンに17gのギ酸銅四水和物と350gのギ酸ニッケル二水和物を加え、窒素フロー下で120℃、60分間加熱することでギ酸銅とギ酸ニッケルをオレイルアミンに溶解した。
上記の溶解液にマイクロ波を照射して190℃、10分間加熱して、さらにその温度を20分間維持したのち放冷して、6.05kgのニッケル微粒子スラリー(3−A)を調製した。得られたニッケル微粒子スラリー(3−A)の100gを分取して、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いてそれぞれ2回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子Cを調製した。
ニッケル微粒子CのSEM写真を参照すると、ニッケル微粒子Cの平均粒子径は30nm、CV値は0.17、銅元素の含有量は4.13質量%であった。
(合成例4)
<ニッケル錯体溶液の調製>
50.0kgのオレイルアミンに20.6kgの酢酸ニッケル四水和物を加え、窒素フロー下で140℃、4時間加熱することでニッケル錯体溶液を調製した。
<ニッケル微粒子の調製>
上記ニッケル錯体溶液の11.28kgを分取し、そこに、合成例1で得た65gのニッケル微粒子スラリー(1−A)を加え、撹拌後、マイクロ波を照射して225℃、10分間加熱して、オレイルアミンで希釈した200gの10%ドデカンチオール溶液を15分間で滴下して、さらにその温度を20分間維持したのち放冷して、ニッケル微粒子スラリー(4−A)を調製した。得られたニッケル微粒子スラリー(4−A)を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いてそれぞれ2回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子Dを調製した。
ニッケル微粒子DのSEM写真を参照すると、ニッケル微粒子Dの平均粒子径は125nm、CV値は0.15、銅元素の含有量は0.025質量%であった。
(合成例5)
<ニッケル錯体溶液の調製>
合成例4と同様にして、ニッケル錯体溶液を調製した。
<ニッケル微粒子の調製>
上記ニッケル錯体溶液の9.50kgを分取し、そこに、合成例2で得た100gのニッケル微粒子スラリー(2−A)を加え、撹拌後、マイクロ波を照射して225℃、10分間加熱して、オレイルアミンで希釈した180gの10%ドデカンチオール溶液を15分間で滴下して、さらにその温度を20分間維持したのち放冷して、ニッケル微粒子スラリー(5−A)を調製した。得られたニッケル微粒子スラリー(5−A)を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いてそれぞれ2回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子Eを調製した。
ニッケル微粒子EのSEM写真を参照すると、ニッケル微粒子Eの平均粒子径は80nm、CV値は0.14、銅元素の含有量は0.082質量%であった。
(合成例6)
<ニッケル錯体溶液の調製>
合成例4と同様にして、ニッケル錯体溶液を調製した。
<ニッケル微粒子の調製>
上記ニッケル錯体溶液の9.50kgを分取し、そこに、合成例2で得た370gのニッケル微粒子スラリー(2−A)を加え、撹拌後、マイクロ波を照射して225℃、10分間加熱することによってニッケル微粒子スラリー(6−A)を調製した。得られたニッケル微粒子スラリー(6−A)を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いてそれぞれ2回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子Fを調製した。
ニッケル微粒子FのSEM写真を参照すると、ニッケル微粒子Fの平均粒子径は50nm、CV値は0.11、銅元素の含有量は0.029質量%であった。
以下、説明の便宜上、合成例1〜3で得たニッケル微粒子を「小粒子」、合成例4〜6で得たニッケル微粒子を「大粒子」と記すことがある。
[実施例1〜8]
上記合成例で得られたニッケル微粒子のスラリーを、表2に記載した比率となるように混合することによって、ニッケル微粒子含有組成物を調製した。混合に際しては、セラミックスフィルタ(小粒子が15nmの場合は孔径10nm、小粒子が12nmの場合は孔径5nm)で大粒子と同時に粒子洗浄を行った。洗浄及び混合の方法、得られたニッケル微粒子含有組成物の5%熱収縮温度、表面平滑性Raを表2に示した。また、実施例1〜8で得られたニッケル微粒子含有組成物のSEM画像をそれぞれ図2〜9に示した。また、図2〜9に示すように、実施例1〜8のニッケル微粒子含有組成物は、走査型電子顕微鏡観察によって任意の300個の大粒子を観察したときに、表面に少なくとも1個以上の小粒子が接触している大粒子の存在確率が30%以上であり、大粒子の表面に、小粒子がほぼ均等に分布して存在していた。
表2より、洗浄、混合工程で、小粒子の洗浄にセラミックスフィルタを用いることによって、小粒子が流出することなく洗浄でき、均一に混合されていることがわかる。小粒子の存在確率は全て30%で熱挙動、平滑性ともに向上している。
[比較例1〜4]
上記合成例で得られたニッケル微粒子のスラリーを、表3に記載した比率となるように混合することによって、ニッケル微粒子含有組成物を調製した。洗浄及び混合の方法、得られたニッケル微粒子含有組成物の5%熱収縮温度、表面平滑性Raを表3に示した。また、比較例1〜4で得られたニッケル微粒子含有組成物のSEM画像を、それぞれ図10〜13に示した。図10〜12に示すように、比較例1〜3のニッケル微粒子含有組成物は、小粒子の洗浄を遠心分離又は磁気分離で行ったことによって、小粒子が流出した結果、走査型電子顕微鏡観察によって任意の300個の大粒子を観察したときに、表面に少なくとも1個以上の小粒子が接触している大粒子の存在確率が30%未満であった。
また、図13に示すように、比較例4では、走査型電子顕微鏡観察によって任意の300個の大粒子を観察したときに、表面に少なくとも1個以上の小粒子が接触している大粒子の存在確率が30%以上であったが、大粒子のD50に対して小粒子のD50が大きすぎるため、大粒子の表面に接触している小粒子の分布が不均一であった。
表2及び表3より、実施例1〜8のニッケル微粒子含有組成物は、いずれも比較例に比べ、5%収縮温度が高く、かつ表面平滑性が良好であった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
10…第1のニッケル微粒子、20…第2のニッケル微粒子、100…ニッケル微粒子含有組成物

Claims (5)

  1. 下記の工程a〜d;
    a)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が40〜200nmの範囲内である第1のニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
    b)走査型電子顕微鏡観察による個数基準の粒度分布において、平均粒子径D50が5nm以上40nm未満の範囲内である第2のニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
    c)前記第2のニッケル微粒子を溶剤で洗浄する工程、
    及び
    d)前記第1のニッケル微粒子と前記第2のニッケル微粒子とを混合する工程、
    を含み、
    前記工程cは、前記第2のニッケル微粒子の平均粒子径D50に対して10%以上小さな平均孔径を有するフィルタを用い、前記第2のニッケル微粒子を前記溶剤とともに前記フィルタでろ過することにより行われ、
    かつ、
    前記工程dは、前記工程cと同時に、又は前記工程cの後で引き続き、前記フィルタで前記第1のニッケル微粒子をろ過することによって行われるニッケル微粒子含有組成物の製造方法。
  2. 前記フィルタが、セラミックスフィルタである請求項に記載のニッケル微粒子含有組成物の製造方法。
  3. 前記第1のニッケル微粒子及び前記第2のニッケル微粒子が、湿式加熱還元によって得られたものである請求項1又は2に記載のニッケル微粒子含有組成物の製造方法。
  4. 前記湿式加熱還元が、マイクロ波照射によるものである請求項に記載のニッケル微粒子含有組成物の製造方法。
  5. 前記工程aにおいて得られる第1のニッケル微粒子が、前記工程bで得られる第2のニッケル微粒子を種粒子として用いて得られたものである請求項1から4のいずれか1項に記載のニッケル微粒子含有組成物の製造方法。
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