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JP2015151558A - ニッケル微粒子スラリー、金属微粒子及びその製造方法 - Google Patents

ニッケル微粒子スラリー、金属微粒子及びその製造方法 Download PDF

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JP2015151558A JP2014024336A JP2014024336A JP2015151558A JP 2015151558 A JP2015151558 A JP 2015151558A JP 2014024336 A JP2014024336 A JP 2014024336A JP 2014024336 A JP2014024336 A JP 2014024336A JP 2015151558 A JP2015151558 A JP 2015151558A
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山田 勝弘
Katsuhiro Yamada
勝弘 山田
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】粒子の凝集、融着や金属の炭化を抑制しながら金属微粒子の結晶子径を増大させて耐焼結性を向上させる方法の提供。
【解決手段】成分(A)〜(C);(A)走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下、Scherrer法により算出される結晶子径(L)が15nm以上であり、前記結晶子径と平均粒子径との比(L/L)が0.15以上であるニッケル微粒子、(B)分散剤、及び(C)沸点が100℃以上の溶媒を含有するニッケル微粒子スラリー。前記の平均粒子径20〜200nmの範囲内にある原料金属微粒子を準備し、液相中に分散させた状態でレーザー光を照射することにより、加熱し、結晶子径が加熱前の結晶子径の1.3倍以上である金属微粒子を製造する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の内部電極形成用の導電ペーストなどの材料として好適に利用できるニッケル微粒子スラリー、金属微粒子及びその製造方法に関する。
MLCCは、セラミック誘電体と内部電極を交互に積層して圧着した後、焼結して一体化したものとして得られる。MLCCに使用される内部電極用の金属微粒子は、MLCCの小型化、高容量化を図るために微細化の方向にある。従って、粗大粒子のないシャープな粒度分布を有する粒子径200nm以下の金属微粒子の使用が望まれるようになっている。しかし、金属微粒子は、微細化することにより表面エネルギーが高くなり、低温で溶融しやすくなる傾向があり、耐焼結性が低下する。例えば、内部電極材料としてニッケル微粒子を用いる場合、1,000℃を超えるセラミック誘電体の焼結温度に比べて、ニッケル微粒子の焼結温度は数百℃程度と低いため、両者の焼結時における膨張・収縮による体積変化等の挙動が異なり、層間剥離やクラックを生じるおそれがある。
ニッケル微粒子は、熱CVD(化学気相成長)法やプラズマCVD法などの気相法によって製造することができる。しかし、気相法では、得られる粒子径がばらばらで、平均粒子径が100nm以下の金属微粒子を分級する技術は未完成である。また、分級の精度も満足できるものではなく、200nmを超える粗大粒子を完全に除去することはできていないことから、粗大粒子による電極層同士のショートによる不良が問題となっている。
一方、液相法で合成される金属微粒子は、気相法で合成されるものより粒度分布が狭いため、上記内部電極材料の用途に適している。しかし、液相法では気相法に比べて、元々の熱履歴が低いことから、結晶子径が気相法に比べて小さく、より低温で焼結してしまう傾向がある。そのような挙動は、MLCC製造工程での誘電体層と内部電極層とのデラミネーションにつながり、製品不良を引き起こす可能性が懸念されている。従って、液相法で合成される金属微粒子については、低温での焼結性の改善が望まれている。
金属微粒子(特にニッケル微粒子)の耐焼結性を向上させるための一つの方法として、熱処理(焼鈍、アニール)を行い、結晶子径を大きくすることが考えられる。しかし、有機溶媒中で高温での熱処理を行うと、金属微粒子の表面状態によって金属微粒子どうしが凝集や融着を引き起こすという問題や、金属微粒子自体の触媒作用によって有機溶媒が分解し、有機溶媒由来の炭素分が金属微粒子中に固溶して炭化し、金属微粒子の結晶構造がfccからhcpに変化してしまうという問題があった。そのため、本発明者らは、金属微粒子の結晶子径を増大させる方法として、平均粒子径20〜120nmの範囲内の原料金属微粒子を、沸点が200℃以上の芳香族系非極性有機溶媒中、200℃〜320℃の範囲内の温度で加熱する方法を提案した(特許文献1)。この方法によれば、金属微粒子の結晶子径を熱処理前の原料金属微粒子に比べ3〜300%増加させることができる。
また、本発明者らは、ニッケル微粒子の平均粒子径(L)と結晶子径(L)と酸素含有量(Mo)とが、Mo×L/L≦9の関係を満足する場合に耐焼結性が向上することを見出し、先に特許出願を行っている(特願2013−061308)。さらに、本発明者らは、ニッケル微粒子における酸素含有量(Mo)に対する炭素元素含有量(Mc)の比(Mc/Mo)を0.1〜0.8の範囲内とすることによって、耐焼結性を向上させ得ることを見出し、先に特許出願を行っている(特願2013−048851)。
特開2013−87308号公報(特許請求の範囲など)
本発明の目的は、粒子の凝集、融着や金属の炭化を抑制しながら金属微粒子の結晶子径を増大させて耐焼結性を向上させることである。
本発明のニッケル微粒子スラリーは、下記成分(A)〜(C);
(A)走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下、Scherrer法により算出される結晶子径(L)が15nm以上であり、前記結晶子径と平均粒子径との比(L/L)が0.15以上であるニッケル微粒子、
(B)分散剤、及び
(C)沸点が100℃以上の溶媒、
を含有する。
本発明のニッケル微粒子スラリーは、前記B成分がアニオン界面活性剤であってもよく、前記C成分が水であってもよい。
本発明のニッケル微粒子スラリーは、前記B成分が、2級又は3級のアミノ基を有する非水系高分子分散剤であってもよく、前記C成分が、沸点100℃以上の有機溶媒であってもよい。
本発明のニッケル微粒子スラリーは、前記ニッケル微粒子の酸素含有量(Mo)が0.3〜3.0質量%の範囲内であってもよく、前記Mo、L及びLが、Mo×L/L≦9の関係を満足するものであってもよい。
本発明のニッケル微粒子スラリーは、前記ニッケル微粒子の炭素元素の含有量が0.3〜2.5質量%の範囲内であってもよく、前記ニッケル微粒子における酸素含有量(Mo)に対する炭素元素含有量(Mc)の比(Mc/Mo)が0.1〜0.8の範囲内であってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が20〜200nmの範囲内にある原料金属微粒子を準備する第1の工程と、
前記原料金属微粒子を液相中に分散させた状態でレーザー光を照射することによって加熱し、Scherrer法により算出される結晶子径が、加熱前における前記原料金属微粒子の結晶子径の1.3倍以上である金属微粒子を製造する第2の工程と、
を備えていてもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記原料金属微粒子の粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下であってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記第2の工程後の金属微粒子における平均粒子径が、前記原料金属微粒子の平均粒子径の1.1倍未満であってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記レーザー光の波長が200〜800nmの範囲内であってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記レーザー光の照射が、パルス照射であってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記液相が、水又は沸点100℃以上の有機溶媒であってもよい。この場合、前記第2工程における液相が水であって、分散剤としてアニオン界面活性剤が配合されてなるものでもよく、あるいは、前記第2の工程における液相が沸点100℃以上の有機溶媒であって、分散剤として2級又は3級のアミノ基を有する非水系高分子分散剤が配合されてなるものでもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記原料金属微粒子が、湿式還元法によって得られたものであってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記原料金属微粒子が、原料ニッケル微粒子であってもよい。
本発明の金属微粒子の製造方法は、前記原料ニッケル微粒子が、次の工程A及びB;
A)カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得る錯化反応液生成工程、
及び、
B)該錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して該錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、1級アミンで被覆された原料ニッケル微粒子のスラリーを得る原料ニッケル微粒子スラリー生成工程、
を含む工程を行うことにより調製されたものであってもよい。
本発明の金属微粒子は、上記いずれかの方法により製造されるものである。
本発明のニッケル微粒子スラリーは、(A)成分のニッケル微粒子が、(B)成分の分散剤によって、(C)成分の溶媒中に均一に分散した状態になっているため、各種の電子部品の材料として、好適に用いることができる。特に、(A)成分のニッケル微粒子は、平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、CV値が0.2以下、結晶子径(L)が15nm以上であり、結晶子径と平均粒子径との比(L/L)が0.15以上であるため、耐焼結性に優れており、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極の材料として好ましく使用できる。
また、本発明の金属微粒子の製造方法によれば、レーザー照射によって、金属微粒子の炭化を防ぎながら、結晶子が大きく、耐焼結性に優れた金属微粒子を製造することができる。すなわち、本発明方法によれば、得られる金属微粒子の平均粒子径が、レーザー照射前とほぼ同じ(1.1倍未満)であるにも関わらず、レーザー照射前の原料金属微粒子に比べ、結晶子径が1.3倍以上大きくなっているため、焼結温度が原料金属微粒子に比べて高く、耐焼結性が改善されている。従って、本発明方法によって得られる金属微粒子は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極等の材料として好適に用いることができる。
ニッケル錯体の構造を示す図であり、(a)は二座配位を、(b)は単座配位を、(c)は外圏にカルボン酸イオンが配位した状態をそれぞれ示す。 熱処理によるニッケル微粒子の結晶子径の変化を模式的に説明する図面である。
[ニッケル微粒子スラリー]
本実施の形態のニッケル微粒子スラリーは、下記成分(A)〜(C);
(A)走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径;CV値)が0.2以下、Scherrer法により算出される結晶子径(L)が15nm以上であり、結晶子径と平均粒子径との比(L/L)が0.15以上であるニッケル微粒子、
(B)分散剤、
及び
(C)沸点が100℃以上の溶媒、
を含有する。
(A)成分:ニッケル微粒子
本実施の形態において、ニッケル微粒子は、ニッケル元素を含有する。ニッケル元素の含有量は、その使用目的に応じて適宜選択すればよいが、ニッケル元素の量を、ニッケル微粒子100質量部に対し、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95質量部以上とすることがよい。ニッケル以外の金属としては、例えば、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ジルコニウム、スズ、タングステン、モリブデン、バナジウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、シリコン、アルミニウム、リン等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、ネオジウム、ニオブ、ホロニウム、ディスプロヂウム、イットリウム等の貴金属、希土類金属を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよく、また水素、炭素、窒素、硫黄、ボロン等の金属元素以外の元素を含有していてもよいし、これらの合金であってもよい。
本実施の形態に係るニッケル微粒子は、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内であり、好ましくは40〜150nmの範囲内がよい。別の観点から、BET測定による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、好ましくは40〜150nmの範囲内がよい。ニッケル微粒子の平均粒子径(L)が上記下限値を下回ると、脱バインダー時の加熱でニッケル微粒子同士が凝集又溶融しやすくなり、また酸素を取り込みやすくなるため、ニッケル微粒子の体積膨張や収縮変化が大きくなる。一方、ニッケル微粒子の平均粒子径(L)が上記上限値を上回ると、最小径の粒子及び最大径の粒子の分布幅が大きくなり、ニッケル微粒子をMLCCの電極に利用した場合に、巨大粒子の存在によりショート不良を起こしやすい。
本実施の形態に係るニッケル微粒子は、CV値が0.2以下であることが好ましい。CV値を0.2以下とすることで、ペースト塗布後の乾燥塗膜の表面平滑性も得られやすい。
本実施の形態に係るニッケル微粒子は、Scherrer法により算出される結晶子径(L)が15nm以上である。結晶子径(L)は大きいほど好ましいため、上限には制限がなく、例えば粒子径と同じでもよい。ニッケル微粒子は、平均粒子径(L)が小さくなるほど量子効果による融点降下に起因して、融点の絶対値が大きく減少する。従って、ニッケル微粒子の焼結温度は、平均粒子径(L)が小さくなるほど低くなるが、平均粒子径(L)に対する結晶子径(L)の割合を大きくすることによって、焼結温度を高くすることができる。そのため、本実施の形態に係るニッケル微粒子は、平均粒子径(L)に対する結晶子径(L)の比L/Lを0.15以上とする。この比L/Lが0.15未満では、焼結温度を高くする効果が十分に得られない。
また、本実施の形態に係るニッケル微粒子は、酸素元素を含有していることが好ましい。ニッケル微粒子における酸素元素の含有量(Mo)は0.3〜3.0質量%の範囲内が好ましく、0.5〜2.8質量%の範囲内がより好ましい。この酸素元素の含有量(Mo)は、ニッケル微粒子の元素分析により確認することができる。酸素元素の含有量(Mo)が、0.3質量%未満であると、ニッケル微粒子の表面活性を抑制する効果が小さくなる傾向があり、3.0質量%を超えると、焼結時に体積変化が生じやすくなるとともに酸化物の拡散が生じる傾向がある。酸素元素は、ニッケル微粒子の表面の酸化物の被膜に含有する酸素量に由来するものと考えられる。このことは、ニッケル微粒子の酸化物の被膜の厚みが、平均粒子径(L)の大小によらず殆ど大差がないのに対し、ニッケル微粒子の平均粒子径(L)が小さくなるにつれ、酸素元素の含有量(Mo)が高くなる傾向があることから推察される。すなわち、ニッケル微粒子の平均粒子径(L)が小さいほど、その総表面積(全てのニッケル微粒子の合計の表面積)が大きいので、ニッケル微粒子全体に占める酸素元素の含有量(Mo)が相対的に大きくなることによるものと考えられる。
本実施の形態に係るニッケル微粒子は、酸素元素の含有量(Mo)と平均粒子径(L)の相対的な関係を考慮して、酸素元素の含有量(Mo、単位;質量%)と平均粒子径(L、単位;nm)と結晶子径(L、単位;質量%)がMo×L/L≦9(単位;質量%)の関係を有することが好ましく、2≦Mo×L/L≦9であることがより好ましい。このような範囲内にすることで、焼結時に粒子同士の融着が抑制され、低温での収縮を防ぐことができる。Mo×L/Lが9より大きい場合は、焼結温度が低くなり、優れた耐焼結性が得られない。このように、本実施の形態に係るニッケル微粒子は、酸素含有量(Mo)を平均粒子径(L)及び結晶子径(L)のバランスを考慮して制御することによって、脱バインダー時におけるニッケル微粒子の酸化を抑制するとともに、粒子同士の融着を防止し、低温での収縮を防いでいる。
また、本実施の形態のニッケル微粒子は、炭素元素を含有している。ニッケル微粒子の炭素元素の含有量(Mc)は、ニッケル微粒子に対し、0.3〜2.5質量%の範囲内が好ましく、0.5〜2.0質量%の範囲内がより好ましい。この炭素元素の含有量(Mc)は、ニッケル微粒子の元素分析により確認することができる。炭素元素は、ニッケル微粒子の表面に存在する有機化合物に由来するものであるが、炭素元素の一部がニッケル微粒子の内部に存在していてもよい。ニッケル微粒子の表面に存在する炭素元素は、ニッケル微粒子の凝集を抑制し、分散性向上に寄与し、ニッケル微粒子に含有する酸素元素の還元を促進させる。従って、炭素元素の含有量(Mc)が0.3質量%未満では、ニッケル微粒子の凝集が生じやすくなる。しかし、炭素元素の含有量(Mc)が2.5質量%を超えると、焼結時に炭化して残炭となり、これがガス化することによって粒子の膨れの原因となる。
本実施の形態のニッケル微粒子における炭素元素の酸素元素に対する含有割合(炭素元素の含有量(Mc)/酸素元素の含有量(Mo);以下、「Mc/Mo比」と記すことがある)は、0.1〜0.8の範囲内が好ましく、0.1〜0.5の範囲内がより好ましく、0.25〜0.5の範囲内が最も好ましい。Mc/Mo比が、0.1未満では還元時におけるニッケル微粒子が凝集しやすく、酸素還元時におけるニッケル微粒子の収縮が大きくなり、耐焼結性が低下する。一方、Mc/Mo比が0.8を超えると、焼結時に炭化して残炭となり、これがガス化することによって粒子の膨れの原因となる。
(B)成分:分散剤
本実施の形態に係るニッケル微粒子スラリーにおけるB成分の分散剤としては、ニッケル微粒子を均一に分散できるものであれば特に制限はなく、好ましいものとして、例えばアニオン界面活性剤、非水系高分子分散剤等を用いることができる。
(アニオン界面活性剤)
アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸、リン酸エステル構造を有する界面活性剤を用いることができ、その具体例としては、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、これらの共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルなどを用いることができる。これらのアニオン界面活性剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
アニオン界面活性剤がポリマーである場合は、重量平均分子量は5000以上のものが好ましく、10000以上のものがより好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、分散性が低下する場合がある。
アニオン界面活性剤としては、例えばSNディスパーサント5468(商品名;サンノブコ社製)、ニューコール1020−SN(商品名:日本乳化剤株式会社製、Zephrym3300B、CrodafosN3A、KD−4、KD−9(商品名:クローダジャパン社製)などの市販品を用いることもできる。
アニオン界面活性剤の配合量は、(A)成分のニッケル微粒子100質量部に対して0.01〜3.0質量部の範囲内、好ましくは0.1〜2.0質量部の範囲内がよい。アニオン界面活性剤の配合量が上記下限未満では分散性が低下する傾向があり、上記上限を超えて配合しても、添加量に応じた分散性の向上は望めず、また、ニッケル微粒子スラリー中に含まれる有機物が過剰となるため、焼成時の脱バインダーが不十分となったり、焼結時にニッケルが炭化したりすることがある。
(非水系高分子分散剤)
非水系高分子分散剤は、主骨格に、低極性溶媒との親和性が高い低極性基を有する高分子化合物であり、更に官能基として2級又は3級のアミノ基を有するものが好ましい。このような高分子化合物は、例えばポリアミド系、ポリアリルアミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオキシアルキレン系などの分子骨格を有するものであるが挙げられ、この中でも特に好ましくはポリウレタン系、ポリオキシエチレン系の分子骨格を有するものがよい。また、その分子構造は、線状の直鎖型若しくは櫛型、又は線状の主鎖に線状の側鎖が結合した三叉分岐点を有する櫛型、あるいはブロック共重合体、又はグラフト共重合体でもよいが、その分子内に2級又は3級のアミノ基を1以上有するものである。これらの非水系高分子分散剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本実施の形態で用いる非水系高分子分散剤の2級又は3級のアミノ基は、ニッケル微粒子の表面に固定化された1級アミンとの置換反応が可能であるため、ニッケル微粒子の表面において1級アミンの少なくとも一部分と容易に置換し、ニッケル微粒子を被覆できると考えられる。この非水系高分子分散剤は、ニッケル微粒子に対し、強い凝集抑制作用を有することから、少量でも優れた分散効果が期待できる。一方、ニッケル微粒子の表面に1級アミンが存在しない場合には、非水系高分子分散剤を添加しても1級アミンとの置換による被覆が生じにくく、強い凝集抑制作用や優れた分散効果が得られない。なお、非水系高分子分散剤に含有する3級アミノ基は、その一部にアルキル基が結合して4級アンモニウムイオンとして存在していてもよい。また、これらのアミノ基は、線状の主鎖に櫛状に有するか、又は線状の主鎖の末端に有するものが好ましく、これらに存在する個々のアミノ基がニッケル微粒子の表面に点在的に固定化されるものと考えられる。
本実施の形態で用いる非水系高分子分散剤の固形分(又は溶媒を除いた有効成分)1gを中和するのに必要なHCl量に対して当量となるKOHのmg数を意味し、JIS K7237の方法により測定されるアミン価(又は塩基価)は、分散性を向上させるという観点から、好ましくは10〜100mgKOH/gの範囲内がよい。また、本実施の形態で用いる非水系高分子分散剤の固形分(又は溶媒を除いた有効成分)1gを中和するのに必要なKOHのmg数を意味し、JIS K0070の方法により測定される酸価は、分散性を向上させるという観点から、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下とすることがよい。
本実施の形態で用いる非水系高分子分散剤の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000の範囲内、より好ましくは5,000〜100,000の範囲内がよい。重量平均分子量が、上記下限未満であると、低極性溶媒に対し分散安定性が十分ではない場合があり、上記上限を超えると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になる場合がある。
好適に使用することができる市販の非水系高分子分散剤としては、例えば、日本ルーブリゾール社製のSolsperse11200(商品名)、同Solsperse13940(商品名)、同Solsperse13240(商品名)、ビッグケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−161(商品名)、同DISPERBYK−163(商品名)、DISPERBYK−2164(商品名)、DISPERBYK−2155(商品名)、楠本化成社製のED−216(商品名)、同ED−211(商品名)等が挙げられる。
本実施の形態で用いる非水系高分子分散剤の添加量は、(A)成分のニッケル微粒子100質量部に対して0.01〜3.0質量部の範囲内、好ましくは0.1〜2.0質量部の範囲内がよい。添加量が上記下限未満では分散性が低下する傾向があり、上記上限を超えると、凝集が生じ易くなる傾向がある。
(C)成分:沸点が100℃以上の溶媒
沸点が100℃以上の溶媒としては、例えば水、有機溶媒等を挙げることができる。B成分の分散剤として、アニオン界面活性剤を用いる場合は、C成分の溶媒として水を用いることが好ましい。また、B成分の分散剤として、非水系高分子分散剤等を用いる場合は、C成分の溶媒として有機溶媒を用いることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば芳香族系炭化水素系、脂肪族系炭化水素系、長鎖アルコール系、グリコール系、長鎖アルコールとカルボン酸とのエステル等の中で、沸点が100℃以上のものが挙げられる。これらは、金属インキやペーストの溶媒として好適に利用できる。このような化合物の具体例として、例えばターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールエステート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、デカン、テトラデカンなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
本実施の形態のニッケル微粒子スラリーは、(A)成分のニッケル微粒子を(B)成分の分散剤の存在下、例えば超音波などを利用して(C)成分の溶媒中で均一に分散させることにより調製できる。
本実施の形態のニッケル微粒子スラリーは、(A)成分のニッケル微粒子が、(B)成分の分散剤によって、(C)成分の溶媒中に均一に分散した状態になっているため、各種の電子材料として、好適に用いることができる。特に、(A)成分のニッケル微粒子は、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、粒子径のCV値が0.2以下、Scherrer法により算出される結晶子径(L)が15nm以上であり、結晶子径と平均粒子径との比(L/L)が0.15以上であるため、耐焼結性に優れており、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極の材料として好ましく使用できる。また、本実施の形態のニッケル微粒子スラリーは、例えばアルリル樹脂、ブチラール樹脂、エチルセルロースなどのバインダー樹脂を直接添加することにより、(A)成分のニッケル微粒子の分散性を損なうことなくペースト化が可能となり好都合である。
[金属微粒子の製造方法]
次に、上記(A)成分のニッケル微粒子に代表される金属微粒子の製造方法について説明する。本実施の形態の金属微粒子の製造方法は、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が20〜200nmの範囲内にある原料金属微粒子を準備する第1の工程と、前記原料金属微粒子を、液相中に分散させた状態で、レーザー光を照射することによって加熱し、Scherrer法により算出される結晶子径が、加熱前における前記原料金属微粒子の結晶子径の1.3倍以上である金属微粒子を製造する第2の工程(レーザー照射工程)と、を備えている。
<第1の工程:原料金属微粒子を準備する工程>
第1の工程では、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が20〜200nmの範囲内にある原料金属微粒子を準備する。原料金属微粒子(レーザー照射の対象となる原料として用いる金属微粒子)を構成する金属種としては、例えば、Co、Fe、Ni、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、In、及びそれらの合金等を挙げることができる。これらの中でも、磁性金属であるCo、Fe、Ni、その合金が好ましい。原料金属微粒子としては、ニッケル微粒子が最も好ましい。ニッケル微粒子は、上述の(A)成分と同様のものを用いることができる。
原料金属微粒子の平均粒子径は、例えば積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の内部電極形成用の導電ペーストなどへの利用を考慮すると、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が20〜200nmの範囲内であり、40〜150nmの範囲内とすることが好ましい。また、特に平均粒子径が100nm以下の原料金属微粒子は、元来耐焼結性が低いため、本発明方法による耐焼結性の向上効果が大きく得られる。また、原料金属微粒子の粒子径分布は狭いほどよく、CV値が例えば0.2以下であることが好ましい。このような原料金属微粒子を調製する方法は特に限定されるものではなく、例えば液相法、気相法等の方法で調製したものを用いることができるが、液相法で調製したものは粒度分布が狭いために好ましい。また、液相法で調製した原料金属微粒子は、気相法で調製した原料金属微粒子に比べ、元々の熱履歴が少ないことから、焼結しやすい傾向があり、本発明方法による耐焼結性改善の効果が大きく得られる。
液相法による原料金属微粒子の製造方法では、少なくとも1種類の金属塩を溶媒中に溶解又は分散させた溶液を用い、例えば加熱還元、水熱合成、還元剤による還元等によって、原料金属微粒子を得ることができる。金属塩の種類は特に限定されないが、得られる原料金属微粒子を構成する金属の種類に応じて金属塩の種類を選択することができる。金属塩としては、例えば、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、β−ジケトナト塩等が挙げられる。この中でも、還元工程での解離温度(分解温度)が比較的低いカルボン酸塩を用いることが有利であるが、得られる原料金属微粒子における結晶性が低く、すなわち得られる原料金属微粒子における結晶子が小さいので、本発明の効果を得られやすい。
以下、原料金属微粒子が、原料ニッケル微粒子である場合を例に挙げて、湿式還元法による原料金属微粒子の製造方法について説明する。
湿式還元法による原料ニッケル微粒子の製造は、次の工程A及びB;
A)カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得る錯化反応液生成工程、
及び、
B)該錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して該錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、1級アミンで被覆された原料ニッケル微粒子のスラリーを得る原料ニッケル微粒子スラリー生成工程、
を含むことができる。
工程A)錯化反応液生成工程:
(カルボン酸ニッケル)
カルボン酸ニッケル(カルボン酸のニッケル塩)は、カルボン酸の種類を限定するものではなく、例えば、カルボキシル基が1つのモノカルボン酸であってもよく、また、カルボキシル基が2つ以上のカルボン酸であってもよい。また、非環式カルボン酸であってもよく、環式カルボン酸であってもよい。このようなカルボン酸ニッケルとして、非環式モノカルボン酸ニッケルを好適に用いることができ、非環式モノカルボン酸ニッケルのなかでも、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、安息香酸ニッケル等を用いることがより好ましい。これらの非環式モノカルボン酸ニッケルを用いることによって、例えば、得られる原料ニッケル微粒子は、その形状のばらつきが抑制され、均一な形状として形成されやすくなる。カルボン酸ニッケルは、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。
なお、カルボン酸ニッケルに代えて、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等の無機塩を用いることも考えられるが、無機塩の場合、解離(分解)が高温であるため、解離後のニッケルイオン(又はニッケル錯体)を還元する過程で更なる高い温度での加熱が必要となるため好ましくない。また、Ni(acac)(β-ジケトナト錯体)、ステアリン酸ニッケル等の有機配位子により構成されるニッケル塩を用いることも考えられるが、これらのニッケル塩を用いると、原料コストが高くなり好ましくない。
(1級アミン)
1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成することができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)に対する還元能を効果的に発揮する。一方、2級アミンは立体障害が大きいため、ニッケル錯体の良好な形成を阻害するおそれがあり、3級アミンはニッケルイオンの還元能を有しないため、いずれも単独では使用できないが、1級アミンを使用する上で、生成する原料ニッケル微粒子の形状に支障を与えない範囲でこれらを併用することは差し支えない。1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の1級アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級アミンであっても、100℃以上の加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成する原料ニッケル微粒子の粒径を制御することができ、特に平均粒径が20nm〜100nmの範囲内にある原料ニッケル微粒子を製造する場合において有利である。原料ニッケル微粒子の粒径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られる原料ニッケル微粒子の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。例えばオレイルアミンは、原料ニッケル微粒子生成過程に於ける温度条件下において液体状態として存在するため均一溶液で反応を効率的に進行できる。
1級アミンは、原料ニッケル微粒子の生成時に表面修飾剤として機能するため、1級アミンの除去後においても二次凝集を抑制できる。また、1級アミンは、還元反応後の生成した原料ニッケル微粒子の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。更に、1級アミンは、ニッケル錯体を還元して原料ニッケル微粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。すなわち、脂肪族1級アミンにおいては沸点が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましく、また、炭素数が9以上のものが好ましい。ここで、例えば炭素数が9である脂肪族アミンのC21N(ノニルアミン)の沸点は201℃である。1級アミンの量は、ニッケル1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましく、4mol以上用いることが望ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られる原料ニッケル微粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
(有機溶媒)
工程Aでは、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。有機溶媒を用いる場合、有機溶媒をカルボン酸ニッケル及び1級アミンと同時に混合してもよいが、カルボン酸ニッケル及び1級アミンを先ず混合し錯形成した後に有機溶媒を加えると、1級アミンが効率的にニッケル原子に配位するので、より好ましい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンとニッケルイオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
2価のニッケルイオンは配位子置換活性種として知られており、形成する錯体の配位子は温度、濃度によって容易に配位子交換により錯形成が変化する可能性がある。例えばカルボン酸ニッケルおよび1級アミンの混合物を熱処理して反応液を得る工程において、用いるアミンの炭素鎖長等の立体障害を考慮すると、例えば、図1に示すようなカルボン酸イオン(RCOO、RCOO)が二座配位(a)または単座配位(b)いずれかで配位する可能性があり、さらにアミンの濃度が大過剰の場合は外圏にカルボン酸イオンが存在する(c)の少なくとも3種の可能性がある。目的とする反応温度(還元温度)に於いて均一溶液とするには少なくともA、B、C、D、E、Fの配位子のうち少なくとも一箇所は1級アミンが配位している必要がある。その状態をとるには、1級アミンが過剰に反応溶液内に存在している必要があり、少なくともニッケルイオン1molに対し2mol以上存在していることが好ましく、2.2mol以上存在していることがより好ましく、4mol以上存在していることが望ましい。
この錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して反応を行う。この加熱は、カルボン酸ニッケルとして、例えばギ酸ニッケル2水和物や酢酸ニッケル4水和物のようなカルボン酸ニッケルの水和物を用いた場合に特に有利である。加熱温度は、好ましくは100℃を超える温度とし、より好ましくは105℃以上の温度とすることで、カルボン酸ニッケルに配位した配位水と1級アミンとの配位子置換反応が効率よく行われ、この錯体配位子としての水分子を解離させることができ、さらにその水を系外に出すことができるので効率よく錯体を形成させることができる。例えば、ギ酸ニッケル2水和物は、室温では2個の配位水と2座配位子である2個のギ酸イオンが存在した錯体構造をとっているため、この2つの配位水と1級アミンの配位子置換により効率よく錯形成させるには、100℃より高い温度で加熱することでこの錯体配位子としての水分子を解離させることが好ましい。また、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応における熱処理は、後に続くニッケル錯体(又はニッケルイオン)のマイクロ波照射による加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記の上限温度以下とし、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下とすることがよい。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができるが、錯形成反応を完結させるという観点から、10分以上とすることが好ましい。加熱時間の上限は特にないが、長時間熱処理することはエネルギー消費及び工程時間を節約する観点から無駄である。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよい。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応は、カルボン酸ニッケルと1級アミンとを有機溶媒中で混合して得られる溶液を加熱したときに、溶液の色の変化によって確認することができる。また、この錯形成反応は、例えば紫外・可視吸収スペクトル測定装置を用いて、300nm〜750nmの波長領域において観測される吸収スペクトルの吸収極大の波長を測定し、原料の極大吸収波長(例えばギ酸ニッケル2水和物ではその極大吸収波長は710nmであり、酢酸ニッケル4水和物ではその極大吸収波長は710nmである。)に対する錯化反応液のシフト(極大吸収波長が600nmにシフト)を観測することによって確認することができる。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成が行われた後、得られる反応液を、次に説明するように、マイクロ波照射によって加熱することにより、ニッケル錯体のニッケルイオンが還元され、ニッケルイオンに配位しているカルボン酸イオンが同時に分解し、最終的に酸化数が0価のニッケルを含有する原料ニッケル微粒子が生成する。一般にカルボン酸ニッケルは水を溶媒とする以外の条件では難溶性であり、マイクロ波照射による加熱還元反応の前段階として、カルボン酸ニッケルを含む溶液は均一反応溶液とする必要がある。これに対して、本実施の形態で使用される1級アミンは、使用温度条件で液体であり、かつそれがニッケルイオンに配位することで液化し、均一反応溶液を形成すると考えられる。
工程B)原料ニッケル微粒子スラリー生成工程:
本工程では、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱し、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して1級アミンで被覆された原料ニッケル微粒子スラリーを得る。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られる原料ニッケル微粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。なお、加熱温度は、例えばカルボン酸ニッケルの種類や原料ニッケル微粒子の核発生を促進させる添加剤の使用などによって、適宜調整することができる。
本工程では、マイクロ波が反応液内に浸透するため、均一加熱が行われ、かつ、エネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行うことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。
均一な粒径を有する原料ニッケル微粒子を生成させるには、工程Aの錯化反応液生成工程(ニッケル錯体の生成が行われる工程)でニッケル錯体を均一にかつ十分に生成させることと、本工程Bの原料ニッケル微粒子スラリー生成工程で、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元により生成するニッケル(0価)の核の同時発生・成長を行う必要がある。すなわち、錯化反応液生成工程の加熱温度を上記の特定の範囲内で調整し、原料ニッケル微粒子スラリー生成工程におけるマイクロ波による加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎるとニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、原料ニッケル微粒子スラリー生成工程での粒子形状の整った粒子の生成が困難となるおそれがある。また、原料ニッケル微粒子スラリー生成工程の加熱温度が低すぎるとニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、原料ニッケル微粒子の収率の点からも好ましくはない。
マイクロ波照射によって加熱して得られる原料ニッケル微粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、原料ニッケル微粒子が得られる。原料ニッケル微粒子スラリー生成工程においては、必要に応じ、前述した有機溶媒を加えてもよい。なお、前記したように、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒としてそのまま用いることが好ましい。
以上のようにして、平均粒子径が20〜200nmの範囲内の原料ニッケル微粒子を調製することができる。ニッケル以外の原料金属微粒子についても、上記方法に準じて製造できる。
<第2の工程:レーザー照射工程>
第2の工程では、原料ニッケル微粒子に代表される原料金属微粒子を液相中に分散させた状態で、レーザー光を照射することによって加熱する。レーザーとしては、例えば、紫外線レーザー、可視光レーザー、赤外線レーザーなどを利用できる。特に、レーザー光の波長が200〜800nmの範囲内である紫外線レーザー、可視光レーザーが好ましい。例えば、紫外線レーザーとしては、パルスレーザー光であるエキシマレーザを利用することが好ましい。エキシマレーザは、ArF、KrF、XeCl、XeF、F等から波長400nm以下の紫外線を選ぶことができる。また、可視光レーザーとしては、例えばヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体レーザーなどを利用できる。また、原料金属微粒子を構成する元素、粒子径などによって、レーザー光の波長を適宜選択すればよいが、溶媒には吸収されにくく(加熱されにくく)、原料金属微粒子が吸収されやすい(加熱されやすい)ようにするために、照射するレーザーは紫外線レーザーが好適に使用できる。
レーザー照射の条件は、レーザー照射時の原料金属微粒子の挙動を想定して決定することが好ましく、連続照射でもよいし、パルス照射でもよい。レーザーの強度は、原料金属微粒子の溶融温度以下の温度になるように設定することが好ましい。例えば、紫外線パルスレーザーの場合、1パルスあたりの強度は、例えば20〜120mJ/cmとすることが好ましい。1パルスあたりの強度が120mJ/cmを超えると、照射後の金属微粒子が凝集を引き起こすおそれがある。また、1パルスあたりの強度が20mJ/cm以下の場合、結晶子の成長が不十分になり、焼結温度の向上に寄与しない場合が多くなる。
レーザー照射の時間は、原料金属微粒子の平均粒子径、レーザー光の強度などを考慮して決定することが好ましく、例えば3〜30分間の範囲内とすることができる。
第2工程におけるレーザー照射は、液相中に原料金属微粒子を分散させた状態で行うことができる。ここで、液相は、水又は沸点100℃以上の有機溶媒により構成されることが好ましい。また、レーザー照射は、液相が水であって、分散剤としてアニオン界面活性剤が配合されてなる原料金属微粒子スラリーや、液相が沸点100℃以上の有機溶媒であって、分散剤として2級又は3級のアミノ基を有する非水系高分子分散剤が配合されてなる原料金属微粒子スラリーの状態で行うことが好ましく、原料金属微粒子、上述の(B)成分及び(C)成分を含有する金属微粒子スラリーの状態で行うことが最も好ましい。原料金属微粒子を水又は沸点100℃以上の有機溶媒中に分散させた状態でレーザー照射を行うことによって、金属微粒子どうしの融着を防止しながら結晶子を成長させることができるとともに、表面の水酸化物(水酸化ニッケルなど)を酸化物(酸化ニッケルなど)に変化させ、金属微粒子の凝集を抑制できる。
レーザー照射によって、金属微粒子の結晶子径を、照射前の原料金属微粒子における結晶子径の1.3倍以上、好ましくは1.5〜10倍の範囲内まで増加させることができる。ここで、レーザー照射後の金属微粒子の結晶子径は、例えば15nm以上であり、上限には制限がなく、例えば粒子径と同じでもよい。結晶子径は、Scherrerの式により算出することができる。また、レーザー照射によって、平均粒子径(L)に対する結晶子径(L)の比L/Lを0.15以上とすることが可能になる。金属微粒子の焼結温度は、その平均粒子径(L)が小さくなるほど低くなるが、平均粒子径(L)に対する結晶子径(L)の割合を大きくすることによって、焼結温度を高くすることができる。
また、第2の工程後の金属微粒子における走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径は、原料金属微粒子の平均粒子径の1.1倍未満である。例えば、原料金属微粒子の平均粒子径が20〜200nmの範囲内であり、粒子径のCV値が0.2以下である場合、レーザー照射後の金属微粒子の平均粒子径は、最大でも22nm未満〜220nm未満の範囲内であり、20〜200nmの範囲内が好ましく、粒子径のCV値は0.2以下となる。このように、本実施の形態の方法では、レーザー照射によって、金属微粒子の平均粒子径をほとんど変化させずに、結晶子径のみを増大させることができる。
本実施の形態の金属微粒子の製造方法は、上記工程A、Bを含む原料金属微粒子を準備する第1の工程と、レーザー照射を行う第2の工程とを含む一連のプロセスとすることができる。
以上のようにして、結晶子が大きく、耐焼結性に優れた金属微粒子を製造することができる。得られる金属微粒子の平均粒子径は、レーザー照射前とほぼ同じ(1.1倍未満)であるにも関わらず、レーザー照射前の原料金属微粒子に比べ、結晶子径が1.3倍以上大きくなっている。そのため、例えばニッケル微粒子の場合、焼結温度が原料ニッケル微粒子に比べて50℃以上(好ましくは100℃以上)高く、耐焼結性が改善されている。従って、本発明方法によって得られる金属微粒子は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極等の材料として好適に用いることができる。
<作用>
次に、本発明方法の作用について、ニッケル微粒子を例に挙げて説明する。上記工程A、Bを含むマイクロ波照射による液相法によって合成された原料ニッケル微粒子は、平均粒子径が20〜200nmの範囲内で非常に粒度分布が狭いという長所を有している。しかし、原料ニッケル微粒子は、XRD測定でシェラーの式により算出される結晶子の大きさが5〜25nmと小さく、また粒子表面には、2〜6nmの水酸化物の皮膜が生成している。そのために、熱機械分析(TMA)による測定では、H/N雰囲気での5%熱収縮温度が250〜350℃であり、気相法で得られる同じ粒子径のニッケル微粒子(結晶子の大きさが20〜200nmで、ニッケル微粒子表面は1〜2nmの酸化皮膜)に比べて約100℃程度低い温度になる。このように、マイクロ波照射による液相法にて合成された原料ニッケル微粒子の耐焼結性が気相法によるものに比べ低い温度になる原因は、結晶子が小さいためと、水酸化物皮膜の存在により高温度で脱水反応が生じ、表面水酸基が縮合して、粒子自体が収縮するためと考えられる。
そこで、本実施の形態では、原料ニッケル微粒子に対し、均一分散したスラリーの状態でレーザー照射による加熱を行う。このレーザー照射により、原料ニッケル微粒子からニッケル微粒子に変化する過程を図2に模式的に示した。図2(a)は、原料ニッケル微粒子10の断面構造を示している。マイクロ波照射による液相法で合成された原料ニッケル微粒子10は、複数の結晶子10aの集合体として構成されており、その表面には、無数の水酸化物が付着している。図2(b)は、原料ニッケル微粒子10をレーザー照射により加熱して得られたニッケル微粒子100の断面構造を示している。ニッケル微粒子100は、複数の結晶子10aの集合体である。液相法にてマイクロ波照射で合成され、表面に水酸基を有する原料ニッケル微粒子10に対し、レーザー照射加熱を行うことにより得られたニッケル微粒子100は、表面の水酸基が除去される。このような粒子の表面状態の変化は、通常のオイルバスやマントルヒーターなどの外部加熱ではみられない。たとえば、水を溶媒とするスラリーに対し、外部加熱を行う場合は、処理中の水温は100℃までしか到達せず、ニッケル微粒子表面には、拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク)が検出される程度に水酸化ニッケルの皮膜が残存する。従って、凝集しやすい水酸化皮膜によってニッケル微粒子の分散性が低下するとともに、結晶子の成長もほとんど生じないことから耐焼結性も向上しない。それに対し、レーザー照射では、レーザー光が水には殆ど吸収されず、原料ニッケル微粒子に効率よく吸収されることから、原料ニッケル微粒子10の加熱温度が瞬時に数百度まで上昇し、拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク)が検出されない程度まで水酸化ニッケルを減少させることができる。また、レーザー照射によって、ニッケル微粒子の温度上昇が生じ、これが原因となって生じる溶媒への伝熱により、溶媒の揮発が生じる懸念があるので、これを抑制するという観点から、レーザー照射はパルス照射が好ましい。
また、レーザー照射によって、液相に分散した原料ニッケル微粒子10を局部的に加熱することによって、大きな熱エネルギーにより、原料ニッケル微粒子10を構成する結晶子10aを成長させ、結晶子10aのサイズが大きくすることができる。図2では、レーザー照射前の原料ニッケル微粒子10を構成する結晶子10aの粒子サイズをd、レーザー照射後のニッケル微粒子100を構成する結晶子10aの粒子サイズをLで示した。この関係は、L>d、好ましくはL≧1.3×dとなる(なお、図2ではLとdとの違いを誇張して表現している)。このように結晶子サイズを大きくすることによって、ニッケル微粒子100の焼結温度を高める効果が得られる。
以上のように、本実施の形態の金属微粒子の製造方法では、平均粒子径20〜200nmの範囲内の原料金属微粒子にレーザー照射による熱処理を行うことにより、原料金属微粒子を構成する結晶子を効果的に大きくすることが可能なため、焼結温度が高い金属微粒子が得られる。このように、平均粒子径が20〜200nmの範囲内であり、かつ焼結温度が高い金属微粒子は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極の材料として好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
[ニッケル微粒子の平均粒子径]
平均粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出して、その平均粒径(面積平均径)と標準偏差を求めた。具体的には、抽出した微粒子のそれぞれについて面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径とした。また、CV値(変動係数)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。なお、CV値が小さいほど、粒子径がより均一であることを示す。
[ニッケル微粒子の結晶子径]
粉末X線回折(XRD)結果から、Scherrerの式により算出した。
[5%熱収縮温度]
試料を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られる成型体を作製し、窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収縮の温度を5%熱収縮温度とした。
[スラリーの分散安定性評価]
スラリーの分散安定性評価は、粒度分布・分散安定性分析装置(LUM社製、商品名;LUMiSizer)を用いて、遠沈管に入れたスラリーを300rpmで遠心をかける。該遠心場において粒子が沈降し、上澄み液が形成される。該上澄み液形成に伴いスラリーの透過光の増大を連続計測し、数値が大きいことは、凝集粒子が大きく、沈降速度が速い、即ち分散安定性が悪いことになる。比較例2のスラリーの透過光量の変化量を1.00とし、これを基準に1.00以下となる場合を「良」とし、1.00を超える場合を「不可」と判定した。
[実施例1]
<溶解工程>
酢酸ニッケル四水和物120.0g(480mmmol)にオレイルアミン690g(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって酢酸ニッケルをオレイルアミンに溶解させた。
<還元工程>
次いで、その溶液にマイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分保持することによってニッケル微粒子スラリー1’を得た。
<洗浄・乾燥工程>
ニッケル微粒子スラリー1’を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて3回洗浄し、70℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子1’(平均粒子径d;140nm、CV値;0.17、結晶子径d;17nm、d/d;0.12)を得た。
<分散処理>
1gのニッケル微粒子1’に対して100gの水を試験管に入れ、超音波ホモジナイザーで3分間、分散処理をした。さらに、分散剤1(アニオン界面活性剤、サンノブコ社製、商品名;SNディスパーサント5468、有効成分;ポリカルボン酸アンモニウムを40.5%)をニッケル微粒子1’に対して有効成分として0.5%を添加して再度超音波ホモジナイザーで1分間、分散処理した。
<レーザー照射処理>
分散処理したスラリーに、波長355nmの非集光レーザーを1パルスあたり66mJ/cmで10分間照射して、スラリー1を得た。
<ニッケル微粒子の分析>
スラリー1を遠心分離して60℃で真空乾燥(1昼夜)して、メノウ乳鉢で粉砕して得られたニッケル微粒子1を得た。得られたニッケル微粒子1の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子1の元素分析;C;0.52、O;1.43、N;0.08(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.36。
2)ニッケル微粒子1の平均粒子径L;140nm、CV値;0.17、結晶子径L;35nm(L/L=0.25、Mo×L/L=5.72、L/d=2.1)。
3)5%熱収縮温度;420℃
4)分散安定性;良
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);無
[実施例2]
実施例1と同様にして、ニッケル微粒子2’(平均粒子径d;140nm、CV値;0.17、結晶子径d:17nm、d/d;0.12)を得た。
実施例1における水の代わりに、DHT(ジヒドロターピネオール、沸点;200〜220℃)を使用したこと、及び分散剤1の代わりに、分散剤2(ポリエステル系高分子分散剤、楠本化成社製、商品名;HIPLAAD ED216、有効成分;2級及び3級アミノ基を含有するポリアミン並びに高分子量カルボン酸の混合物を75%、極性;低、水に不溶、有効成分としてのアミン価;40mgKOH/g、有効成分としての酸価;15mgKOH/g、重量平均分子量;10,000〜20,000)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、分散処理を行った。
実施例1と同様にして、分散処理したスラリーに、レーザー照射して、スラリー2を得、ニッケル微粒子2を得た。得られたニッケル微粒子2の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子2の元素分析;C;0.43、O;1.41、N;0.06(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.30。
2)ニッケル微粒子2の平均粒子径L;140nm、CV値;0.17、結晶子径L;37nm(L/L=0.26、Mo×L/L=5.34、L/d=2.2)。
3)5%熱収縮温度;450℃
4)分散安定性;良
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);無
[実施例3]
実施例1において、酢酸ニッケル四水和物20.0g(80mmmol)にした以外、実施例1と同様にして、ニッケル微粒子3’(平均粒子径d;45nm、CV値;0.17、結晶子径d;12nm、d/d;0.27)を得た。
実施例1における水の代わりに、ターピネオール(沸点;217℃)を使用したこと、及び分散剤1の代わりに、分散剤3(ポリエステル系高分子分散剤、日本ルーブリゾール社製、商品名;Solsperse13240、有効成分;2級アミノ基及び3級アミノ基を含有するポリエステル系グラフト共重合体の混合物を40%、極性;低、水に不溶、有効成分としてのアミン価;93mgKOH/g、有効成分としての酸価;0mgKOH/g)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、分散処理を行った。
実施例1と同様にして、分散処理したスラリーに、レーザー照射して、スラリー3を得、ニッケル微粒子3を得た。得られたニッケル微粒子3の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子3の元素分析;C;1.95、O;2.62、N;0.18(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.74。
2)ニッケル微粒子3の平均粒子径L;45nm、CV値;0.17、結晶子径L;18nm(L/L=0.40、Mo×L/L=6.55、L/d=1.5)。
3)5%熱収縮温度;360℃
4)分散安定性;良
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);無
比較例1
実施例1と同様にして、ニッケル微粒子(平均粒子径d;140nm、CV値;0.17、結晶子径d:17nm、d/d;0.12)を得たのち、1gのニッケル微粒子に対して100gのDHTを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーで3分間、分散処理をした。
得られたスラリーを遠心分離して60℃で真空乾燥(1昼夜)して、メノウ乳鉢で粉砕して得られたニッケル微粒子を得た。得られたニッケル微粒子の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子の元素分析;C;0.48、O;1.24、N;0.06(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.39。
2)ニッケル微粒子の平均粒子径L;140nm、CV値;0.17、結晶子径L;17nm(L/L=0.12、Mo×L/L=10.21、L/d=1.0)。
3)5%熱収縮温度;310℃
4)分散安定性;不可
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);無
比較例2
実施例1における分散処理したスラリーにレーザー照射処理したことの代わりに、マントルヒーターを使用して、100℃、10分間の加熱還流を行ったこと以外、実施例1と同様にして、ニッケル微粒子を得た。得られたニッケル微粒子の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子の元素分析;C;0.66、O;1.32、N;0.06(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.50。
2)ニッケル微粒子の平均粒子径L;140nm、CV値;0.17、結晶子径L;18nm(L/L=0.13、Mo×L/L=10.27、L/d=1.1)。
3)5%熱収縮温度;320℃
4)分散安定性;良
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);有
比較例3
塩化ニッケル水溶液に、還元剤としてヒドラジン水和物を添加し、次に水酸化ナトリウムを添加するという公知の方法を用いて、ニッケル微粒子(平均粒子径d;135nm、CV値;0.23、結晶子径d;15nm、d/d;0.11)を得た。
1gのニッケル微粒子に対して100gのDHTを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーで3分間、分散処理をした。
得られたスラリーを遠心分離して60℃で真空乾燥(1昼夜)して、メノウ乳鉢で粉砕して得られたニッケル微粒子を得た。得られたニッケル微粒子の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子の元素分析;C;0.07、O;1.12、N<0.01(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.06。
2)ニッケル微粒子の平均粒子径L;135nm、CV値;0.23、結晶子径L;15nm(L/L=0.11、Mo×L/L=10.08、L/d=1.0)。
3)5%熱収縮温度;305℃
4)分散安定性;不可
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);有
比較例4
実施例3と同様にして、ニッケル微粒子(平均粒子径d;45nm、CV値;0.17、結晶子径d:12nm、d/d;0.27)を得た。
実施例3における分散剤3を使用しなかったこと、及びレーザー照射を行わなかったこと以外、実施例3と同様にして、ニッケル微粒子を得た。得られたニッケル微粒子の特徴は、以下のとおりである。
1)ニッケル微粒子の元素分析;C;1.75、O;2.53、N;0.08(単位は質量%)。Mc/Mo比=0.69。
2)ニッケル微粒子の平均粒子径L;45nm、CV値;0.17、結晶子径L;12nm(L/L=0.27、Mo×L/L=9.49、L/d=1.0)。
3)5%熱収縮温度;245℃
4)分散安定性;不可
5)拡散反射法による赤外線吸収スペクトルにおける波数3600〜3700cm−1における吸収ピーク(水酸化物に由来するピーク);無
以上の結果をまとめて表1及び表2に示す。
Figure 2015151558
Figure 2015151558
表1及び表2より、原料ニッケル微粒子を液相中に分散させたスラリーの状態でレーザー照射を行った実施例1〜3では、レーザー照射を行わない比較例1〜4に比べ、5%熱収縮温度が高く、耐焼結性に優れていることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態
に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
10…原料ニッケル微粒子、10a…結晶子、100…ニッケル微粒子

Claims (17)

  1. 下記成分(A)〜(C);
    (A)走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径(L)が20〜200nmの範囲内、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下、Scherrer法により算出される結晶子径(L)が15nm以上であり、前記結晶子径と平均粒子径との比(L/L)が0.15以上であるニッケル微粒子、
    (B)分散剤、及び
    (C)沸点が100℃以上の溶媒、
    を含有するニッケル微粒子スラリー。
  2. 前記B成分がアニオン界面活性剤であり、前記C成分が水である請求項1に記載のニッケル微粒子スラリー。
  3. 前記B成分が、2級又は3級のアミノ基を有する非水系高分子分散剤であり、前記C成分が、沸点100℃以上の有機溶媒である請求項1に記載のニッケル微粒子スラリー。
  4. 前記ニッケル微粒子の酸素含有量(Mo)が0.3〜3.0質量%の範囲内であって、前記Mo、L及びLが、Mo×L/L≦9の関係を満足する請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル微粒子スラリー。
  5. 前記ニッケル微粒子の炭素元素の含有量が0.3〜2.5質量%の範囲内であって、前記ニッケル微粒子における酸素含有量(Mo)に対する炭素元素含有量(Mc)の比(Mc/Mo)が0.1〜0.8の範囲内である請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル微粒子スラリー。
  6. 走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が20〜200nmの範囲内にある原料金属微粒子を準備する第1の工程と、
    前記原料金属微粒子を液相中に分散させた状態でレーザー光を照射することによって加熱し、Scherrer法により算出される結晶子径が、加熱前における前記原料金属微粒子の結晶子径の1.3倍以上である金属微粒子を製造する第2の工程と、
    を備えた金属微粒子の製造方法。
  7. 前記原料金属微粒子の粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下である請求項6に記載の金属微粒子の製造方法。
  8. 前記第2の工程後の金属微粒子における平均粒子径が、前記原料金属微粒子の平均粒子径の1.1倍未満である請求項6又は7に記載の金属微粒子の製造方法。
  9. 前記レーザー光の波長が200〜800nmの範囲内である請求項6〜8のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  10. 前記レーザー光の照射が、パルス照射である請求項6〜9のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  11. 前記液相が、水又は沸点100℃以上の有機溶媒である請求項6〜10のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  12. 前記第2工程における液相が水であって、分散剤としてアニオン界面活性剤が配合されてなる請求項11に記載の金属微粒子の製造方法。
  13. 前記第2の工程における液相が沸点100℃以上の有機溶媒であって、分散剤として2級又は3級のアミノ基を有する非水系高分子分散剤が配合されてなる請求項11に記載の金属微粒子の製造方法。
  14. 前記原料金属微粒子が、湿式還元法によって得られたものである請求項6〜13のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  15. 前記原料金属微粒子が、原料ニッケル微粒子である請求項14に記載の金属微粒子の製造方法。
  16. 前記原料ニッケル微粒子が、次の工程A及びB;
    A)カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得る錯化反応液生成工程、
    及び、
    B)該錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して該錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、1級アミンで被覆された原料ニッケル微粒子のスラリーを得る原料ニッケル微粒子スラリー生成工程、
    を含む工程を行うことにより調製されたものである、請求項15に記載の金属微粒子の製造方法。
  17. 請求項6から16のいずれか1項に記載の方法により製造された金属微粒子。
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