本発明を以下により詳しく説明する。本明細書において、Cu核ボールの金属層の組成に関する単位(ppm、ppb、及び%)は、特に指定しない限り金属層の質量に対する割合(質量ppm、質量ppb、及び質量%)を表す。また、Cuボールの組成に関する単位(ppm、ppb、及び%)は、特に指定しない限りCuボールの質量に対する割合(質量ppm、質量ppb、及び質量%)を表す。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11Aの構成の一例を示している。図1に示すように、本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11Aは、Cuボール1と、Cuボール1の表面を被覆するはんだ層3とを備えている。
図2は、本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bの構成の一例を示している。図2に示すように、本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bは、Cuボール1と、Cuボール1の表面を被覆するNi、Co、Fe、Pdから選択される1以上の元素からなる1層以上の金属層2と、金属層2の表面を被覆するはんだ層3とを備えている。
図3は、本発明に係る実施の形態のCu核ボール11AまたはCu核ボール11Bを用いて半導体チップ10をプリント基板40上に搭載した電子部品60の構成の一例を示している。図3に示すように、Cu核ボール11AまたはCu核ボール11Bは、半導体チップ10の電極100にフラックスが塗布されることで、溶融したはんだ層3が濡れ広がり、半導体チップ10の電極100上に実装されている。本例では、半導体チップ10の電極100にCu核ボール11AまたはCu核ボール11Bが実装された構造をはんだバンプ30と呼ぶ。半導体チップ10のはんだバンプ30は、溶融したはんだ層3、または、電極41に塗布されたはんだペーストが溶融したはんだを介してプリント基板40の電極41上に接合されている。本例では、はんだバンプ30をプリント基板40の電極41に実装した構造をはんだ継手50と呼ぶ。
各実施の形態のCu核ボール11A、11Bにおいて、Cuボール1は、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満であり、残部がCu及びその他の不純物元素であり、Cuボール1の純度が4N5(99.995質量%)以上5N5(99.9995質量%)以下であり、真球度が0.95以上である。
本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11Aは、はんだ層3で被覆されたCuボール1の真球度を高くすることで、Cu核ボール11Aの真球度を高くすることができる。また、本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bは、金属層2及びはんだ層3で被覆されたCuボール1の真球度を高くすることで、Cu核ボール11Bの真球度を高くすることができる。以下に、Cu核ボール11A、11Bを構成するCuボール1の好ましい態様について説明する。
・Cuボールの真球度:0.95以上
本発明において、真球度とは真球からのずれを表す。真球度は、500個の各Cuボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。真球度は、例えば、最小二乗中心法(LSC法)、最小領域中心法(MZC法)、最大内接中心法(MIC法)、最小外接中心法(MCC法)など種々の方法で求められる。本発明での長径の長さ、及び直径の長さとは、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PRO測定装置によって測定された長さをいう。
Cuボール1は、基板間の適切な空間を保持する観点から真球度が0.95以上であることが好ましく、真球度が0.98以上であることがより好ましく、0.99以上であることが更により好ましい。Cuボール1の真球度が0.95未満であると、Cuボール1が不定形状になるため、バンプ形成時に高さが不均一なバンプが形成され、接合不良が発生する可能性が高まる。真球度が0.95以上であれば、Cuボール1ははんだ付けの温度で溶融しないため、はんだ継手50における高さのばらつきを抑制できる。これにより、半導体チップ10及びプリント基板40の接合不良を確実に防止できる。
・Cuボールの純度:99.995質量%以上99.9995質量%以下
一般に、純度の低いCuの方が、純度の高いCuと比べて、Cuボール1の結晶核になる不純物元素をCu中に確保することができるために真球度が高くなる。一方で、純度の低いCuボール1は、電気伝導度や熱伝導率が劣化する。
そこで、Cuボール1は、純度が99.995質量%(4N5)以上99.9995質量%(5N5)以下であれば、十分な真球度を確保することができる。また、Cuボール1の純度が4N5以上5N5以下であれば、α線量を十分に低減することができる上に、純度の低下によるCuボール1の電気伝導度や熱伝導率の劣化を抑制できる。
Cuボール1を製造する際、所定形状の小片に形成された金属材料の一例のCu材は、加熱により溶融し、溶融Cuが表面張力によって球形となり、これが急冷により凝固してCuボール1となる。溶融Cuが液体状態から凝固する過程において、結晶粒が球形の溶融Cu中で成長する。この際、不純物元素が多いと、この不純物元素が結晶核となって結晶粒の成長が抑制される。従って、球形の溶融Cuは、成長が抑制された微細結晶粒によって真球度が高いCuボール1となる。一方、不純物元素が少ないと、相対的に結晶核となるものが少なく、粒成長が抑制されずにある方向性をもって成長する。この結果、球形の溶融Cuは表面の一部分が突出して凝固して真球度が低くなる。不純物元素としては、Fe、Ag、Ni、P、S、Sb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Au、U、Th等が考えられる。
以下に、Cuボール1の純度及び真球度を規定する不純物の含有量について説明する。
・Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計:5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下
Cuボール1が含有する不純物元素のうち、特にFe、Ag及びNiのうち、少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることが好ましい。すなわち、Fe、Ag及びNiのうち、いずれか1種を含有する場合、1種の含有量が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることが好ましく、Fe、Ag及びNiのうちの2種以上を含有する場合、2種以上の合計の含有量が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることが好ましい。Fe、Ag及びNiはCuボール1の製造工程における溶融時に結晶核となるため、Cu中にFe、Ag又はNiが一定量含有されていれば真球度の高いCuボール1を製造することができる。従って、Fe、Ag及びNiのうち、少なくとも1種は、不純物元素の含有量を推定するために重要な元素である。また、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることにより、Cuボール1の変色を抑制できる上に、Cuボール1を緩やかに加熱した後に徐冷することでCuボール1を緩やかに再結晶させるというアニーリング工程を行なわずとも、所望のビッカース硬さを実現することができる。
・Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下
Sを所定量以上含有するCuボール1は、加熱時に硫化物や硫黄酸化物を形成して変色しやすく、濡れ性が低下するため、Sの含有量は、0質量ppm以上1.0質量ppm以下にする必要がある。硫化物や硫黄酸化物が多く形成されたCuボール1ほど、Cuボール表面の明度が暗くなる。そのため、後で詳述するが、Cuボール表面の明度を測定した結果が所定値以下であれば、硫化物や硫黄酸化物の形成が抑制され、濡れ性が良好であると判断することができる。
・Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満
Pは、リン酸に変化したり、Cu錯体となったりしてCuボール1に悪影響を与えることがある。また、Pを所定量含有するCuボール1は硬度が大きくなるため、Pの含有量は、0質量ppm以上3.0質量ppm未満であることが好ましく、1.0質量ppm未満であることがより好ましい。
・その他不純物元素
Cuボール1が含有する上述した不純物元素以外の、Sb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Au等の不純物元素(以下で、「その他の不純物元素」という)の含有量は、それぞれ0質量ppm以上50.0質量ppm未満であることが好ましい。
なお、Cuボール1は、上述したように、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種を必須の元素として含有する。しかし、Cuボール1は、現在の技術によりFe、Ag、Ni以外の元素の混入を防止できないため、実質的にFe、Ag、Ni以外の他の不純物元素を含有する。但し、他の不純物元素の含有量が1質量ppm未満である場合、各元素が添加されることによる効果、影響が発現しにくい。また、Cuボールに含まれる元素を分析する際に、不純物元素の含有量が1質量ppm未満である場合、この値は分析装置によっては検出限界能以下である。このため、Fe、Ag及びNiのうち、少なくとも1種の含有量の合計が50質量ppmである場合、他の不純物元素の含有量が1質量ppm未満であれば、Cuボール1の純度は実質的に4N5(99.995質量%)である。また、Fe、Ag及びNiのうち、少なくとも1種の含有量の合計が5質量ppmである場合、他の不純物元素の含有量が1質量ppm未満であれば、Cuボール1の純度は実質的に5N5(99.9995質量%)である。
・Cuボールのビッカース硬さ:55.5HV以下
Cuボール1のビッカース硬さは、55.5HV以下であることが好ましい。ビッカース硬さが大きい場合、外部からの応力に対する耐久性が低くなり、耐落下衝撃性が悪くなると共にクラックが発生し易くなる。また、三次元実装のバンプや継手の形成時に加圧等の補助力を付与した場合において、硬いCuボールを使用すると、電極潰れ等を引き起こす可能性がある。更に、Cuボール1のビッカース硬さが大きい場合、結晶粒が一定以上に小さくなることで、電気伝導性の劣化を招いてしまうからである。Cuボール1のビッカース硬さが55.5HV以下であれば、耐落下衝撃性も良好でクラックを抑制でき、電極潰れ等も抑制でき、更に、電気伝導性の劣化も抑制できる。本実施例では、ビッカース硬さの下限は0HV超でよく、好ましくは20HV以上である。
・Cuボールのα線量:0.0200cph/cm2以下
電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量とするため、Cuボール1のα線量は、0.0200cph/cm2以下であることが好ましい。α線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.0100cph/cm2以下であり、より好ましくは0.0050cph/cm2以下であり、さらに好ましくは0.0020cph/cm2以下であり、最も好ましくは0.0010cph/cm2以下である。α線量によるソフトエラーを抑制するためには、U、Th等の放射性同位元素の含有量は、5質量ppb未満であることが好ましい。
・耐変色性:明度が55以上
Cuボール1は明度が55以上であることが好ましい。明度とは、L*a*b*表色系のL*値である。Sから由来する硫化物や硫黄酸化物が表面に形成されたCuボール1は明度が低くなるため、明度が55以上であれば、硫化物や硫黄酸化物が抑制されているといえる。また、明度が55以上のCuボール1は、実装時における濡れ性が良好である。これに対し、Cuボール1の明度が55未満であると、硫化物や硫黄酸化物の形成が十分に抑制されていないCuボール1であるといえる。硫化物や硫黄酸化物は、Cuボール1に悪影響を与える上に、電極上にCuボール1を直接接合するような場合に濡れ性が悪化する。濡れ性の悪化は不濡れの発生やセルフアライメント性の劣化を招く。
・Cuボールの直径:1μm以上1000μm以下
Cuボール1の直径は1μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50μm以上300μmである。この範囲にあると、球状のCuボール1を安定して製造でき、また、端子間が狭ピッチである場合の接続短絡を抑制することができる。ここで、例えば、Cuボール1がペーストに用いられる場合、「Cuボール」は「Cuパウダ」と称されてもよい。「Cuボール」が「Cuパウダ」に用いられる場合、一般的に、Cuボールの直径は1〜300μmであることが好ましい。
次に、本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11Aにおいて、Cuボール1を被覆するはんだ層3、及び、第2の実施の形態のCu核ボール11Bにおいて、金属層2を被覆するはんだ層3について説明する。
・はんだ層
本発明に係る各実施の形態のCu核ボール11A、11Bは、SnとPbを必須の元素として含むはんだ合金によるはんだ層3でCuボール1を被覆したものである。特に、本発明に係る各実施の形態のCu核ボール11A、11Bは、はんだ層3中のPbの分布が均質となされたCu核ボール、及び、これを使用したはんだ継手、はんだペースト、フォームはんだを提供するものである。
本発明に係る実施の形態のはんだ層3の組成は、SnとPbを含有する(Sn−Pb)系合金からなる。Pbの含有量については、合金全体に対してのPb量が0質量%超95.0質量%以下の範囲であり、Pb量が0質量%超95.0質量%以下の範囲であれば、Pbの濃度比率を所定範囲内で制御することができる。ここで、はんだ層3中のPbの分布が均質であれば、Snの分布も均質である。同様に、はんだ層3中のSnの分布が均質であれば、Pbの分布も均質である。本発明では、Snの含有量よりPbの含有量の方が多い組成例があり、このような場合を考慮して、以下の説明では、Snの分布が均質であることをもって、Pbの分布が均質であることを説明する。
合金全体に対してのPb量が37.0〜95.0質量%の範囲、すなわち、合金全体に対してのSn量が5.0〜63.0質量%の範囲であれば、Snの濃度比率を70.0〜140.0%の所定範囲内で制御することができ、はんだ層3中のSn及びPb分布を均質にできる。
例えば、Pbの含有量の目標値が95.0質量%、Snの含有量の目標値が5.0質量%である場合、Snの含有量及び濃度比率の許容範囲としては3.61質量%(濃度比率72.2%)〜6.88質量%(濃度比率137.6%)であり、Snの濃度比率を70.0〜140.0%の所定範囲内で制御することができ、はんだ層3中のSn分布及びPb分布を均質にできる。
また、Pbの含有量の目標値が90.0質量%、Snの含有量の目標値が10.0質量%である場合、Snの含有量及び濃度比率の許容範囲としては9.74質量%(濃度比率97.4%)〜11.20質量%(濃度比率112.0%)であり、Snの濃度比率を70.0〜140.0%の所定範囲内で制御することができ、はんだ層3中のSn分布及びPb分布を均質にできる。
更に、Pbの含有量の目標値が37.0質量%、Snの含有量の目標値が63.0質量%である場合、Snの含有量及び濃度比率の許容範囲としては61.30質量%(濃度比率97.3%)〜70.02質量%(濃度比率111.1%)であり、Snの濃度比率を70.0〜140.0%の所定範囲内で制御することができ、はんだ層3中のSn分布及びPb分布を均質にできる。
また、Pbの含有量の目標値が37.0質量%、Snの含有量の目標値が60.0質量%である場合、Snの含有量及び濃度比率の許容範囲としては55.83質量%(濃度比率93.1%)〜63.10質量%(濃度比率105.2%)であり、Snの濃度比率を70.0〜140.0%の所定範囲内で制御することができ、はんだ層3中のSn分布及びPb分布を均質にできる。
なお、許容範囲とは、この範囲内にあれば、問題なくバンプ形成等のはんだ付けを行い得る範囲をいう。また、濃度比率(%)とは目標とする含有量(質量%)に対する計測値(質量%)、あるいは目標とする含有量(質量%)に対する計測値の平均の値(質量%)の比率(%)をいう。すなわち、濃度比率(%)は、
濃度比率(%)=(計測値(質量%)/目標とする含有量(質量%))×100
あるいは、
濃度比率(%)=(計測値の平均の値(質量%)/目標とする含有量(質量
%))×100
として表することができる。
Sn及びPbの濃度比率は、90.0〜110.0%の範囲内であることがより好ましい。また、Sn,Pbからなるはんだ層3中にはそれ以外の添加元素を添加しても、Sn及びPbの濃度比率を70.0〜140.0、より好ましくは、90.0〜110.0%の所定範囲内で制御することができる。
添加元素としては、Ag、Ni、Ge、Ga、In、Zn、Fe、Bi、Sb、Au、Pd、Coなどのうち一種または二種以上使用することが考えられる。
上述したように、はんだ層3中のSn、Pbの含有量は、Snの目標値の5.0質量%に対して許容範囲として3.61質量%(濃度比率72.2%)〜6.88質量%(濃度比率137.6%)程度が好ましい。また、Snの目標値の10.0質量%に対して許容範囲として9.74質量%(濃度比率97.4%)〜11.20質量%(濃度比率112.0%)程度が好ましい。更に、Snの目標値の63.0質量%に対して許容範囲として61.30質量%(濃度比率97.3%)〜70.02質量%(濃度比率111.1%)程度が好ましい。また、Snの目標値の60.0質量%に対して許容範囲として55.83質量%(濃度比率93.1%)〜63.10質量%(濃度比率105.2%)程度が好ましい。
はんだ層3の厚みは、Cuボール1の粒径によっても相違するが、十分なはんだ接合量を確保するために径方向の片側100μm以下が好ましい。はんだ層は、電気めっき法、溶融めっき法で形成できるが、Cu核ボールの真球度の低下を抑制するため、電気めっき法で形成することが好ましい。
Sn及びPbの濃度分布が均質なはんだ層を形成するため、アノード電極とカソード電極との間に所定の直流電圧が印加されると共に、Cuボールを揺動させながら、液中のPb濃度が均一となるように調整して電気めっき処理を行うことで、めっき液の濃度がはんだめっき層形成中、一定となるように制御される。
めっき液の濃度をはんだめっき層形成中、一定となるように制御した電気めっき処理によるはんだ層3の生成過程において、はんだ層3の厚みを逐一モニターし、この例でははんだ層3の厚みが所定値ずつ順次増加したときのCu核ボールをその都度サンプルとして採集する。採集したサンプルは洗浄してから乾燥させた上で、粒径を計測する。
計測タイミングのCu核ボールの粒径が、目的の値となっているときのはんだ層中のPbの含有量を順次測定すると、はんだ層が所定の厚みだけ順次増加してもそのときのPbの含有量は、直前の含有量とほぼ同じ値となっていることが判った。従って、Pbの濃度分布はめっき厚に対して均質(均等)となっており、濃度勾配が無いことが理解できる。以上のように、膜厚は均一にコントロールできる反面、濃度が不均質となってしまう電気めっきの問題点を、Pb濃度比率が所定の範囲内に収まるように、はんだ層中のPb濃度をコントロールすることで、Pbが均質に分布するはんだ層を有するCu核ボールが得られる。
なお、Snに比較してPbの含有量が多い場合、Sn及びPbの濃度分布が均質なはんだ層を形成するため、アノード電極とカソード電極との間に所定の直流電圧が印加されると共に、Cuボールを揺動させながら、液中のSn濃度が均一となるように調整して電気めっき処理を行うことで、めっき液の濃度がはんだめっき層形成中、一定となるように制御される。
計測タイミングのCu核ボールの粒径が、目的の値となっているときのはんだ層中のSnの含有量を順次測定すると、はんだ層が所定の厚みだけ順次増加してもそのときのSnの含有量は、直前の含有量とほぼ同じ値となっていることが判った。従って、Snの濃度分布はめっき厚に対して均質(均等)となっており、濃度勾配が無いことが理解できる。以上のように、膜厚は均一にコントロールできる反面、濃度が不均質となってしまう電気めっきの問題点を、Sn濃度比率が所定の範囲内に収まるように、はんだ層中のSn濃度をコントロールすることで、Snが均質に分布するはんだ層を有するCu核ボールが得られる。
図4はCu核ボールの拡大断面図である。図4では、Cuボール1を金属層2で被覆し、金属層2をはんだ層3で被覆したCu核ボール11Bを示す。図4から明らかなように、はんだ層3はSnとPbが均質に混在しながら成長した過程がよく分かる。
また、Cu核ボール11A、11Bを被覆するはんだ層3の最表面が単一金属の状態に近いほど、結晶粒が大きくなるため、Cu核ボールの真球度は低下する傾向にある。これに対し、はんだ層中のSn、Pbがほぼ均質に分布した状態であるので、はんだ層の最表面が単一金属ではなく、合金状態となり、結晶粒が小さくなる。これにより、Cu核ボールの真球度が高く、0.99以上である。Cu核ボールの真球度が0.95以上であると、Cu核ボールを電極に搭載してリフローを行う際、Cu核ボールが位置ずれを起こすことが抑制され、セルフアライメント性が向上する。
はんだ層中のSn、Pbの濃度は、はんだ層の厚みが成長してもほぼ同じ状態を維持していることから、はんだ層中のSn、Pbはほぼ均質に分布した状態で成長していることが明らかとなった。Sn、Pb濃度が所期の値内に収まるようにめっき液中のSn、Pb濃度が均質にされた状態でめっき処理が行われる。この例では、はんだ層中のSnの含有量としては5.0質量%、10.0質量%、60.0質量%または63.0質量%を目標値としているので、目標値に到達するようにめっき液中のSn濃度が制御される。
はんだ層中のSn、Pbの濃度分布を所期値に収めるためには、電圧・電流制御を行いながらめっき処理がなされる。このようなめっき処理によってはんだ層中のSn、Pbの分布を所期値に維持することができる。
Cu核ボール11A、11Bは、はんだ層3に低α線量のはんだ合金を使用することで、低α線のCu核ボール11A、11Bを構成しても良い。
次に、本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bにおいて、Cuボール1を被覆する金属層2について説明する。
・金属層
金属層2は、例えば、Niめっき層、Coめっき層、Feめっき層、Pdめっき層、またはNi、Co、Fe、Pdの元素を2以上含むめっき層(単層もしくは複数層)からなる。金属層2は、Cu核ボール11Bがはんだバンプに用いられる際にはんだ付けの温度で溶融せずに残り、はんだ継手の高さに寄与することから、真球度が高くて直径のバラツキが少なく構成される。また、ソフトエラーを抑制する観点から、α線量が低くなるように構成される。
・金属層の組成及び膜厚
金属層2の組成は、単一のNi、Co、FeまたはPdにより金属層2を構成した場合、不可避不純物を除けば、Ni、Co、Fe、Pdが100%である。また、金属層2に使用する金属は単一金属に限られず、Ni、Co、FeまたはPdの中から2元素以上を組み合わせた合金を使用しても良い。更に、金属層2は、単一のNi、Co、FeまたはPdにより構成した層、及び、Ni、Co、FeまたはPdの中から2元素以上を組み合わせた合金による層を適宜組み合わせた複数の層で構成しても良い。金属層2の膜厚T2は、例えば1μm〜20μmである。
・Cu核ボールのα線量:0.0200cph/cm2以下
本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11A及び第2の実施の形態のCu核ボール11Bのα線量は0.0200cph/cm2以下であることが好ましい。これは、電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量である。本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11Aのα線量は、Cu核ボール11Aを構成するはんだ層3のα線量が0.0200cph/cm2以下であることにより達成される。従って、本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11Aは、このようなはんだ層3で被覆されているために低いα線量を示す。本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bのα線量は、Cu核ボール11Bを構成する金属層2とはんだ層3のα線量が0.0200cph/cm2以下であることにより達成される。従って、本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bは、このような金属層2及びはんだ層3で被覆されているために低いα線量を示す。α線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、好ましくは0.0100cph/cm2以下であり、より好ましくは0.0050cph/cm2以下であり、さらに好ましくは0.0020cph/cm2以下であり、最も好ましくは0.0010cph/cm2以下である。金属層2及びはんだ層3のU及びThの含有量は、Cuボール1のα線量を0.0200cph/cm2以下とするため、各々5ppb以下である。また、現在または将来の高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、U及びThの含有量は、好ましくは、各々2ppb以下である。
・Cu核ボールの真球度:0.95以上
Cuボール1をはんだ層3で被覆した本発明に係る第1の実施の形態のCu核ボール11A、及び、Cuボール1を金属層2及びはんだ層3で被覆した本発明に係る第2の実施の形態のCu核ボール11Bの真球度は、0.95以上であることが好ましく、真球度が0.98以上であることがより好ましく、0.99以上であることが更により好ましい。Cu核ボール11A、11Bの真球度が0.95未満であると、Cu核ボール11A、11Bが不定形状になるため、Cu核ボール11A、11Bを電極に搭載してリフローを行う際、Cu核ボール11A、11Bが位置ずれを起こしてしまい、セルフアライメント性も悪化する。Cu核ボール11A、11Bの真球度が0.95以上であれば、Cu核ボール11A、11Bを半導体チップ10の電極100等に実装した際のセルフアライメント性を確保できる。そして、Cuボール1の真球度も0.95以上であることで、Cu核ボール11A、11Bは、Cuボール1及び金属層2がはんだ付けの温度で溶融しないため、はんだ継手50における高さのばらつきを抑制できる。これにより、半導体チップ10及びプリント基板40の接合不良を確実に防止できる。
・金属層のバリア機能
リフロー時において、Cu核ボールと電極間を接合するために使用するはんだ(ペースト)中にCuボールのCuが拡散すると、はんだ層中及び接続界面に硬くて脆いCu6Sn5、Cu3Snの金属間化合物が多量に形成され、衝撃を受けたときに亀裂が進展し、接続部を破壊してしまう可能性がある。そのため、十分な接続強度を得るために、CuボールからはんだへのCuの拡散を抑制(バリア)できるようにすると良い。そこで、第2の実施の形態のCu核ボール11Bでは、バリア層として機能する金属層2をCuボール1の表面に形成するので、Cuボール1のCuがペーストのはんだ中に拡散することを抑制できる。
・はんだペースト、フォームはんだ、はんだ継手
また、Cu核ボール11AまたはCu核ボール11Bをはんだに含有させることによりはんだペーストを構成することもできる。Cu核ボール11AまたはCu核ボール11Bをはんだ中に分散させることで、フォームはんだを構成することができる。Cu核ボール11AまたはCu核ボール11Bは、電極間を接合するはんだ継手の形成に使用することもできる。
・Cuボールの製造方法
次に、Cuボール1の製造方法の一例を説明する。金属材料の一例とし、Cu材をセラミックのような耐熱性の板(以下、「耐熱板」という。)に置き、耐熱板とともに炉中で加熱する。耐熱板には底部が半球状となった多数の円形の溝が設けられている。溝の直径や深さは、Cuボール1の粒径に応じて適宜設定されており、例えば、直径0.8mm、深さ0.88mmである。また、Cu細線が切断されて得られたチップ形状のCu材を、耐熱板の溝内に一個ずつ投入する。溝内にCu材が投入された耐熱板は、アンモニア分解ガスが充填された炉内で1100〜1300℃に昇温され、30〜60分間加熱処理される。このとき炉内温度がCuの融点以上になると、Cu材は溶融して球状となる。その後、炉内が冷却され、耐熱板の溝内でCuボール1が急冷されることで成形される。
また、別の方法としては、るつぼの底部に設けられたオリフィスから溶融Cuが滴下され、この液滴が室温(例えば25℃)まで急冷されてCuボール1が造球されるアトマイズ法や、熱プラズマがCuカットメタルを1000℃以上に加熱して造球する方法がある。
Cuボール1の製造方法では、Cuボール1を造球する前にCuボール1の原料であるCu材を800〜1000℃で加熱処理してもよい。
Cuボール1の原料であるCu材としては、例えばナゲット材、ワイヤー材、板材等を用いることができる。Cu材の純度は、Cuボール1の純度を下げすぎないようにする観点から4N5超6N以下でよい。
このように高純度のCu材を用いる場合には、前述の加熱処理を行わず、溶融Cuの保持温度を従来と同様に1000℃程度に下げてもよい。このように、前述の加熱処理はCu材の純度やα線量に応じて適宜省略や変更されてもよい。また、α線量の高いCuボール1や異形のCuボール1が製造された場合には、これらのCuボール1を原料として再利用してもよく、更にα線量を低下させることができる。
Cuボール1にはんだ層3を形成する方法としては、上述した電気めっき法もしくは無電解めっき法を採用することができる。
Cuボール1に金属層2を形成する方法としては、公知の電気めっき法等の方法を採用することができる。例えば、Niめっき層を形成する場合、Niめっきの浴種に対し、Ni地金もしくはNi金属塩を使用してNiめっき液を調整し、この調整したNiめっき液にCuボール1を浸漬し、析出させることでCuボール1の表面にNiめっき層を形成する。また、Niめっき層等の金属層2を形成する他の方法として、公知の無電解めっき法等を採用することもできる。金属層2の表面にSn合金によるはんだ層3を形成する場合、上述した電気めっき法もしくは無電解めっき法を採用することができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の表1、表2に示す組成で実施例1〜19及び比較例1〜12のCuボールを作製し、このCuボールの真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性を測定した。
また、上述した実施例1〜19のCuボールを、表3に示す組成例1〜4のはんだ合金によるはんだ層で被覆して実施例1A〜19AのCu核ボールを作製し、このCu核ボールの真球度を測定した。更に、上述した実施例1〜19のCuボールを金属層及び表4に示す組成例1〜4のはんだ合金によるはんだ層で被覆して実施例1B〜19BのCu核ボールを作製し、このCu核ボールの真球度を測定した。
また、上述した比較例1〜12のCuボールを、表5に示す組成例1〜4のはんだ合金によるはんだ層で被覆して比較例1A〜12AのCu核ボールを作製し、このCu核ボールの真球度を測定した。また、上述した比較例1〜12のCuボールを金属層及び表6に示す組成例1〜4のはんだ合金によるはんだ層で被覆して比較例1B〜12BのCu核ボールを作製し、このCu核ボールの真球度を測定した。
下記の表中、単位のない数字は、質量ppmまたは質量ppbを示す。詳しくは、表中のFe、Ag、Ni、P、S、Sb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Auの含有割合を示す数値は、質量ppmを表す。「<1」は、該当する不純物元素のCuボールに対する含有割合が、1質量ppm未満であることを示す。また、表中のU、Thの含有割合を示す数値は、質量ppbを表す。「<5」は、該当する不純物元素のCuボールに対する含有割合が、5質量ppb未満であることを示す。「不純物合計量」は、Cuボールが含有する不純物元素の合計割合を示す。
・Cuボールの作製
Cuボールの作製条件を検討した。金属材料の一例のCu材として、ナゲット材を準備した。実施例1〜13、19と、比較例1〜12のCu材として、純度が6Nのものを使用し、実施例14〜18のCu材として、純度が5Nのものを使用した。各Cu材を、るつぼの中に投入した後、るつぼの温度を1200℃に昇温し、45分間加熱してCu材を溶融させ、るつぼ底部に設けたオリフィスから溶融Cuを滴下し、生成した液滴を室温(18℃)まで急冷してCuボールに造球した。これにより、平均粒径が下記の各表に示す値となるCuボールを作製した。元素分析は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS分析)やグロー放電質量分析(GD−MS分析)を用いると高精度に分析ができるが、本例では、ICP−MS分析により行った。Cuボールの球径は、実施例1〜実施例19、比較例1〜12とも250μmとした。
・Cu核ボールの作製
上述した実施例1〜19のCuボールを使用して、実施例1A〜19Aについては、片側23μmの厚さで組成例1〜4のはんだ合金により電気めっき法によるはんだ層を形成して実施例1A〜19AのCu核ボールを作製した。
また、上述した実施例1〜19のCuボールを使用して、実施例1B〜19Bについては、金属層として片側2μmの厚さでNiめっき層を形成し、更に、片側23μmの厚さで組成例1〜4のはんだ合金により電気めっき法によるはんだ層を形成して実施例1B〜19Bを作製した。
更に、上述した比較例1〜12のCuボールを使用して、片側23μmの厚さで組成例1〜4のはんだ合金によるはんだ層を形成して比較例1A〜12AのCu核ボールを作製した。また、上述した比較例1〜12のCuボールを使用して、金属層として片側2μmの厚さでNiめっき層を形成し、更に、片側23μmの厚さで組成例1〜4のはんだ合金によるはんだ層を形成して比較例1B〜12BのCu核ボールを作製した。
以下に、Cuボール及びCu核ボールの真球度、Cuボールのα線量、ビッカース硬さ及び耐変色性の各評価方法を詳述する。
・真球度
Cuボール及びCu核ボールの真球度はCNC画像測定システムで測定した。装置は、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PROである。
[真球度の評価規準]
下記の各表において、Cuボール及びCu核ボールの真球度の評価規準は以下の通りとした。
○○〇:真球度が0.99以上であった
○〇:真球度が0.98以上0.99未満であった
〇:真球度が0.95以上0.98未満であった
×:真球度が0.95未満であった
・ビッカース硬さ
Cuボールのビッカース硬さは、「ビッカース硬さ試験−試験方法 JIS Z2244」に準じて測定した。装置は、明石製作所製のマイクロビッカース硬度試験器、AKASHI微小硬度計MVK−F 12001−Qを使用した。
[ビッカース硬さの評価基準]
下記の各表において、Cuボールのビッカース硬さの評価規準は以下の通りとした。
○:0HV超55.5HV以下であった
×:55.5HVを超えた
・α線量
Cuボールのα線量の測定方法は以下の通りである。α線量の測定にはガスフロー比例計数器のα線測定装置を用いた。測定サンプルは300mm×300mmの平面浅底容器にCuボールを容器の底が見えなくなるまで敷き詰めたものである。この測定サンプルをα線測定装置内に入れ、PR−10ガスフローにて24時間放置した後、α線量を測定した。
[α線量の評価基準]
下記の各表において、Cuボールのα線量の評価基準は以下の通りとした。
○:α線量が0.0200cph/cm2以下であった
×:α線量が0.0200cph/cm2を超えた
なお、測定に使用したPR−10ガス(アルゴン90%−メタン10%)は、PR−10ガスをガスボンベに充填してから3週間以上経過したものである。3週間以上経過したボンベを使用したのは、ガスボンベに進入する大気中のラドンによりα線が発生しないように、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)で定められたJEDEC STANDARD−Alpha Radiation Measurement in Electronic Materials JESD221に従ったためである。
・耐変色性
Cuボールの耐変色性の測定のために、Cuボールを大気雰囲気下の恒温槽を用いて200℃設定で420秒間加熱し、明度の変化を測定して、経時変化に十分に耐えられるCuボールであるか否かを評価した。明度は、コニカミノルタ製CM−3500d型分光測色計を使用して、D65光源、10度視野でJIS Z 8722「色の測定方法―反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*,a*,b*)から求めた。なお、(L*,a*,b*)は、JIS Z 8729「色の表示方法−L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系」にて規定されているものである。L*は明度であり、a*は赤色度であり、b*は黄色度である。
[耐変色性の評価基準]
下記の各表において、Cuボールの耐変色性の評価基準は以下の通りとした。
○:420秒後の明度が55以上であった
×:420秒後の明度が55未満であった。
・総合評価
上述した評価方法及び評価基準で真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性のいずれにおいても、○または○○または○○○であったCuボールを、総合評価における○とした。一方、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性のうち、いずれか1つでも×となったCuボールを、総合評価において×とした。
また、上述した評価方法及び評価基準で真球度が○または○○または○○○であったCu核ボールを、Cuボールにおける評価と合わせて総合評価における○とした。一方、真球度が×となったCu核ボールを、総合評価において×とした。また、Cu核ボールの評価で真球度が〇または○○または○○○であっても、Cuボールの評価で真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性のうち、いずれか1つでも×となったCu核ボールについては、総合評価を×とした。
なお、Cu核ボールのビッカース硬さは、はんだ層、金属層の一例であるNiめっき層に依存するため、Cu核ボールのビッカース硬さは評価していない。但し、Cu核ボールにおいて、Cuボールのビッカース硬さが、本発明で規定される範囲内であれば、Cu核ボールであっても、耐落下衝撃性も良好でクラックを抑制でき、電極潰れ等も抑制でき、更に、電気伝導性の劣化も抑制できる。
一方、Cu核ボールにおいて、Cuボールのビッカース硬さが、本発明で規定される範囲を超えて大きい場合、外部からの応力に対する耐久性が低くなり、耐落下衝撃性が悪くなると共にクラックが発生し易くなるという課題が解決できない。
このため、ビッカース硬さが55.5HVを超えた比較例8〜11のCuボールを使用したCu核ボールは、ビッカース硬さの評価に適さないので、総合評価を×とした。
また、Cu核ボールの耐変色性は、はんだ層、金属層の一例であるNiめっき層に依存するため、Cu核ボールの耐変色性は評価していない。但し、Cuボールの明度が、本発明で規定される範囲内であれば、Cuボール表面の硫化物や硫黄酸化物が抑制されており、はんだ層、Niめっき層等の金属層での被覆に適している。
一方、Cuボールの明度が、本発明で規定される範囲を下回り低い場合、Cuボール表面の硫化物や硫黄酸化物が抑制されておらず、はんだ層、Niめっき層等の金属層での被覆に適さない。
このため、420秒後の明度が55未満であった比較例1〜6のCuボールを使用したCu核ボールは、耐変色性の評価に適さないので、総合評価を×とした。
また、Cu核ボールのα線量は、Cuボールを被覆するはんだ層を構成するめっき液原材料の組成、組成中の各元素に依存する。Cuボールを被覆する金属層の一例であるNiめっき層が設けられている場合、Ni層を構成するめっき液原材料にも依存する。
Cuボールが本発明で規定された低α線量である場合、はんだ層、Niめっき層を構成するめっき液原材料が本発明で規定された低α線量であれば、Cu核ボールも本発明で規定された低α線量となる。これに対し、はんだ層、Niめっき層を構成するめっき液原材料が本発明で規定されたα線量を超えた高α線量であれば、Cuボールが上述した低α線量であっても、Cu核ボールも本発明で規定されたα線量を超えた高α線量となる。
なお、はんだ層、Niめっき層を構成するめっき液原材料のα線量が本発明で規定される低α線量よりは若干高いα線量を示す場合、上述しためっきの行程で不純物が除去されることで、α線量が本発明で規定される低α線量の範囲にまで低減される。
表1に示すように、4N5以上5N5以下の純度とした各実施例のCuボールは、いずれも総合評価において良好な結果を得られた。このことから、Cuボールの純度は、4N5以上5N5以下が好ましいといえる。
以下、評価の詳細について説明すると、実施例1〜12、18のように、純度が4N5以上5N5以下で、Fe、Ag又はNiを5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有するCuボールは、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の総合評価において良好な結果を得られた。実施例13〜17、19に示すように、純度4N5以上5N5以下で、Fe、Ag及びNiを合計5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有するCuボールも、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の総合評価において良好な結果を得られた。なお、表には示さないが、実施例1、18、19からそれぞれ、Feの含有量を0質量ppm以上5.0質量ppm未満に、Agの含有量を0pp以上5.0質量ppm未満に、Niの含有量を0質量ppm以上5.0質量ppm未満に変えて、Fe、Ag及びNiの合計を5.0質量ppm以上としたCuボールも、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の総合評価において良好な結果を得られた。
また、実施例18に示すように、Fe、Ag又はNiを5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有し、且つその他の不純物元素のSb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Auがそれぞれ50.0質量ppm以下である実施例18のCuボールも、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の総合評価において良好な結果を得られた。
Cu核ボールについては、表3、表4に示すように、Pbを95.0質量%含有し、残部がSn(Snの含有量:5.0質量%)である組成例1のはんだ合金によるはんだ層で、実施例1〜実施例19のCuボールを被覆した実施例1A〜19AのCu核ボール、実施例1〜実施例19のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に組成例1のはんだ合金によるはんだ層で被覆した実施例1B〜19BのCu核ボールでも、真球度の総合評価において良好な結果を得られた。
Pbを90.0質量%含有し、残部がSn(Snの含有量:10.0質量%)である組成例2のはんだ合金によるはんだ層で、実施例1〜実施例19のCuボールを被覆した実施例1A〜19AのCu核ボール、実施例1〜実施例19のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に組成例2のはんだ合金によるはんだ層で被覆した実施例1B〜19BのCu核ボールでも、真球度の総合評価において良好な結果を得られた。
Pbを37.0質量%含有し、残部がSn(Snの含有量:63.0質量%)である組成例3のはんだ合金によるはんだ層で、実施例1〜実施例19のCuボールを被覆した実施例1A〜19AのCu核ボール、実施例1〜実施例19のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に組成例3のはんだ合金によるはんだ層で被覆した実施例1B〜19BのCu核ボールでも、真球度の総合評価において良好な結果を得られた。
Pbを37.0質量%、Agを3.0質量%含有し、残部がSn(Snの含有量:60.0質量%)である組成例4のはんだ合金によるはんだ層で、実施例1〜実施例19のCuボールを被覆した実施例1A〜19AのCu核ボール、実施例1〜実施例19のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に組成例4のはんだ合金によるはんだ層で被覆した実施例1B〜19BのCu核ボールでも、真球度の総合評価において良好な結果を得られた。
なお、表には示さないが、実施例1、18、19からそれぞれ、Feの含有量を0質量ppm以上5.0質量ppm未満に、Agの含有量を0pp以上5.0質量ppm未満に、Niの含有量を0質量ppm以上5.0質量ppm未満に変えて、Fe、Ag及びNiの合計を5.0質量ppm以上としたCuボールを、組成例1〜組成例4の何れかのはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボール、同CuボールをNiめっき層で被覆し、更に組成例1〜組成例4の何れかのはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボールでも、真球度の総合評価において良好な結果を得られた。
一方、比較例7のCuボールはFe、Ag及びNiの含有量の合計が5.0質量ppmに満たない上に、U,Thが5質量ppb未満であり、その他の不純物元素も1質量ppm未満であって、比較例7のCuボール、比較例7のCuボールを、各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆した比較例7AのCu核ボール、及び、比較例7のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆した比較例7BのCu核ボールは、真球度が0.95に満たなかった。また、不純物元素を含有していても、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppmに満たない比較例12のCuボール、比較例12のCuボールを、各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆した比較例12AのCu核ボール、及び、比較例12のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆した比較例12BのCu核ボールも、真球度が0.95に満たなかった。これらの結果から、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppmに満たないCuボール、このCuボールを、各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボール、及び、このCuボールをNiめっき層で被覆し、更に各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボールは、高真球度を実現できないといえる。
また、比較例10のCuボールはFe、Ag及びNiの含有量の合計が153.6質量ppmでその他の不純物元素の含有量がそれぞれ50質量ppm以下であるが、ビッカース硬さが55.5HVを超えて、良好な結果を得られなかった。更に、比較例8のCuボールは、Fe、Ag及びNiの含有量の合計が150.0質量ppmである上に、その他の不純物元素の含有量も、特にSnが151.0質量ppmと、50.0質量ppmを大幅に超えており、ビッカース硬さが55.5HVを超えて、良好な結果を得られなかった。そのため、純度が4N5以上5N5以下のCuボールであっても、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が50.0質量ppmを超えるCuボールは、ビッカース硬さが大きくなってしまい、低硬度を実現できないといえる。このように、Cuボールのビッカース硬さが、本発明で規定される範囲を超えて大きい場合、外部からの応力に対する耐久性が低くなり、耐落下衝撃性が悪くなると共にクラックが発生し易くなるという課題が解決できない。更に、その他の不純物元素も、それぞれ50.0質量ppmを超えない範囲で含有することが好ましいといえる。
これらの結果から、純度が4N5以上5N5以下で、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計を5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有するCuボールは、高真球度及び低硬度を実現し、かつ、変色が抑制されるといえる。このようなCuボールを各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボール、このようなCuボールをNiめっき層で被覆し、更に各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボールは、高真球度を実現し、また、Cuボールが低硬度を実現することで、Cu核ボールとしても耐落下衝撃性も良好でクラックを抑制でき、電極潰れ等も抑制でき、更に、電気伝導性の劣化も抑制できる。更に、Cuボールの変色が抑制されることで、はんだ層、Niめっき層等の金属層での被覆に適している。その他の不純物元素の含有量は、それぞれ50.0質量ppm以下であることが好ましい。
表には示さないが、これらの実施例と同じ組成で、球径が1μm以上1000μm以下のCuボールでは、いずれも真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の総合評価において良好な結果を得られた。このことから、Cuボールの球径は、1μm以上1000μm以下であることが好ましいといえ、50μm以上300μm以下がより好ましいといえる。
実施例19のCuボールは、Fe、Ag及びNiの含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Pを2.9質量ppm含有しており、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の総合評価において良好な結果を得られた。実施例19のCuボールを各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボール、実施例19のCuボールをNiめっき層で被覆し、更に各組成例のはんだ合金によるはんだ層で被覆したCu核ボールでも、真球度の総合評価において良好な結果を得た。比較例11のCuボールは、Fe、Ag及びNiの含有量の合計が、実施例19のCuボールと同様に50.0質量ppm以下であるが、ビッカース硬さが5.5HVを超えて実施例19のCuボールとは異なる結果になった。また、比較例9も、ビッカース硬さが5.5HVを超えた。これは、比較例9、11のPの含有量が著しく多いためであると考えられ、この結果から、Pの含有量が増えると、ビッカース硬さが大きくなることが分かる。よって、Pの含有量は3質量ppm未満であることが好ましく、1質量ppm未満であることがより好ましいといえる。
各実施例のCuボールでは、α線量が0.0200cph/cm2以下であった。そのため、各実施例1〜19のCuボールを被覆する組成例1及び組成例2のはんだ合金において、各元素が本発明で規定された低α線量であることで、各実施例1A〜19AのCu核ボールも本発明で規定された低α線量となる。また、Cuボールを被覆する金属層の一例であるNiめっき層が設けられている場合、はんだ合金に加え、Niめっき層を構成する各元素が本発明で規定された低α線量であることで、各実施例1B〜19BのCu核ボールも本発明で規定された低α線量となる。
更に、はんだ層、Niめっき層を形成するめっきの行程で、合金に含まれるα線を放射する不純物が除去されることで、めっき前の合金のα線量が、本発明で規定される低α線量よりは若干高いα線量を示す場合でも、めっき後のα線量が本発明で規定される低α線量の範囲にまで低減される。
これにより、電子部品の高密度実装に各実施例のCu核ボールが使用される場合、はんだ層、Niめっき層を構成する原材料が本発明で規定された低α線量であることで、ソフトエラーを抑制することができる。
比較例7のCuボールでは、耐変色性で良好な結果を得られた一方で、比較例1〜6では耐変色性で良好な結果を得られなかった。比較例1〜6のCuボールと、比較例7のCuボールを比べると、これらの組成の違いは、Sの含有量のみである。そのため、耐変色性で良好な結果を得るためには、Sの含有量を1質量ppm未満とする必要があるといえる。各実施例のCuボールでは、いずれもSの含有量が1質量ppm未満であることからも、Sの含有量は1質量ppm未満が好ましいといえる。
続いて、Sの含有量と耐変色性の関係を確認するために、実施例14、比較例1及び比較例5のCuボールを200℃で加熱して、加熱前、加熱60秒後、180秒後、420秒後の写真を撮り、明度を測定した。表7及び図5は、各Cuボールを加熱した時間と明度の関係をグラフにしたものである。
この表から、加熱前の明度と、加熱して420秒後の明度とを比べると、実施例14、比較例1、5の明度は、加熱前に64や65付近で近い値だった。加熱して420秒後では、Sを30.0質量ppm含有する比較例5の明度が最も低くなり、続いてSを10.0質量ppm含有する比較例1、Sの含有量が1質量ppm未満の実施例14の順となった。このことから、Sの含有量が多いほど、加熱後の明度が低くなるといえる。比較例1、5のCuボールでは、明度が55を下回ったため、Sを10.0質量ppm以上含有するCuボールは、加熱時に硫化物や硫黄酸化物を形成して変色しやすいといえる。また、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であれば、硫化物や硫黄酸化物の形成が抑制され、濡れ性が良好であるといえる。なお、実施例14のCuボールを電極上に実装したところ、良好な濡れ性を示した。
以上の通り、純度が4N5以上5N5以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満である本実施例のCuボールでは、いずれも真球度が0.95以上であったため、高真球度を実現できた。高真球度を実現したことにより、Cuボールを電極等に実装した際のセルフアライメント性を確保できると共に、Cuボールの高さのばらつきを抑制できる。本実施例のCuボールをはんだ層で被覆したCu核ボール、本実施例のCuボールを金属層で被覆し、金属層を更にはんだ層で被覆したCu核ボールでも、同様の効果が得られる。
また、本実施例のCuボールでは、いずれもビッカース硬さが55HV以下であったため、低硬度を実現できた。低硬度を実現したことにより、Cuボールの耐落下衝撃性を向上させることができる。Cuボールが低硬度を実現することで、本実施例のCuボールをはんだ層で被覆したCu核ボール、本実施例のCuボールを金属層で被覆し、金属層を更にはんだ層で被覆したCu核ボールでも、耐落下衝撃性も良好でクラックを抑制でき、電極潰れ等も抑制でき、更に、電気伝導性の劣化も抑制できる。
また、本実施例のCuボールでは、いずれも変色が抑制された。Cuボールの変色が抑制されたことにより、硫化物や硫黄酸化物によるCuボールへの悪影響を抑制できるとともに、Cuボールを電極上に実装した際の濡れ性が向上する。Cuボールの変色が抑制されることで、はんだ層、Niめっき層等の金属層での被覆に適している。
なお、本実施例のCu材には、純度が4N5超6N以下のCuナゲット材を使用して、純度が4N5以上5N5以下のCuボールを作製したが、4N5超6N以下のワイヤー材や板材等を使用しても、Cuボール、Cu核ボールの双方において総合評価において良好な結果を得られた。
次に、Sn系のはんだ合金によるはんだ層でCuボールの表面を被覆したCu核ボールにおいて、はんだ層中におけるSn、Pbの元素の分布について説明する。Cuボールを被覆するはんだ層としては、特開2007−44718号公報(特許文献4と称す)、特許第5367924号公報(特許文献5と称す)に示すように、Snを主成分とするはんだ合金が用いられる。
特許文献4では、Cuボールの表面をSnとBiからなるSn系はんだ合金で被覆してはんだ層を形成したものである。Biを含有したSn系はんだ合金は、その溶融温度が130〜140℃と比較的低温であり、低温はんだと称される。
特許文献4では、はんだ層中に含まれるBiの含有量は、内側(内周側)が薄く、外側(外周側)に向かって濃くなるような濃度勾配でめっき処理されている。
特許文献5でも、CuボールにSnとBiからなるSn系はんだ合金をめっき被膜したはんだバンプが開示されている。特許文献5におけるはんだ層中に含まれるBiの含有量は、内側(内周側)が濃く、外側(外周側)に向かって薄くなるような濃度勾配でめっき処理されている。
特許文献5の技術は、特許文献4とは全く逆の濃度勾配となっている。これは、特許文献5による濃度制御の方が、特許文献4による場合よりも簡単であり、造り易いためと考えられる。
上述したように、Snに他の元素を添加した二元以上のSn系はんだ合金をCuボールの表面にめっき被膜したCu核ボールを半導体チップの電極上に載置してリフロー処理した場合、添加した元素がはんだ層中で濃度勾配を持つ特許文献4及び5では、以下のような問題を惹起する。
特許文献4に開示された技術は、Bi濃度が内周側で薄く、外周側で濃くなるような濃度勾配を有したはんだ層であるが、このような濃度勾配(内側が薄く、外側が濃い)である場合には、Bi溶融のタイミングが内周側と外周側とで僅かにずれるおそれがある。
溶融タイミングにずれが起こると、Cu核ボールの外表面が溶融し始めていても、内周面側の領域ではまだ溶融が起きていないような、部分溶解が混在することになり、その結果核材料は溶融している側に僅かに位置ずれを起こす。挟ピッチの高密度実装では、この位置ずれによるはんだ処理は致命的な欠陥となるおそれがある。
特許文献5は、Biの濃度勾配が特許文献1とは逆である。この場合でも、半導体パッケージを接続するためにはリフローによる加熱処理を行う。特許文献5のように、はんだ層中のBi濃度が内周側が濃く、外周側が薄い状態で加熱溶融すると、内周側のBi密度が高いため、内周側のBi領域からはんだが溶融し始める。内周側のBi領域が溶融しても外周側のBi領域はまだ溶融し始めていないので、内周側のBi領域側での体積膨張が早く起こる。
この体積膨張の内外周側での遅速により、Biの内周側と外周側(外気)とで圧力差が生じ、Biの外周側が溶融し始めると、内周側の体積膨張による圧力差で核となっているCuボールがはじけ飛ぶような事態が発生する。このような事態の発生は避けなければならない。
このようにSnとBiからなるSn系はんだ合金からなるはんだ層を有するCu核ボールは、はんだ層中のBiに濃度勾配がある場合、不良が発生していた。
近年、Pbを含まないはんだ合金が広く使用されている。一方、宇宙で使用される電子機器等、特定の用途では、Pbを含むはんだ合金が使用される。このように、SnにPbを添加した二元以上のはんだ合金で核を被覆した核材料でも、Pbがはんだ層中で所定の濃度勾配を持つと、上述したBiと同様の問題が生じると考えられる。
そこで、続いてはんだ層3中のPbの分布が均一であることの作用効果について説明する。はんだ層3におけるPbの濃度分布が目標値に相応した値となっていることを確認するため以下のような実験を行った。なお、以下の例では、Snの含有量が5.0質量%であるのに対し、Pbの含有量が95.0質量%と、Snに比較してPbの含有量が多い場合があるので、はんだ層3におけるSnの濃度分布が目標値に相応した値となっていることをもって、はんだ層3におけるPbの濃度分布が目標値に相応した値となっていることを確認した。
(1)下記条件にてはんだ層3の組成がSn5質量%、Pb95質量%である(Sn−95Pb)となるCu核ボール11Bを作成した。以下の実施例では、表1に示す実施例17の組成のCuボールを使用した。
・Cuボール1の直径:250μm
・金属層(Niめっき層)2の膜厚:2μm
・はんだ層3の膜厚:23μm
・Cu核ボール11Bの直径:300μm
実験結果の測定を容易にするため、Cu核ボール11Bとしてはその厚みが比較的薄いはんだ層を有するCu核ボールを作製した。
めっき方法は電気めっき工法にて作製した。
(2)試料としては、同一組成の(Sn−95Pb)系はんだ合金のはんだ層が形成されたCu核ボール11Bを10個用意した。これらを試料Aとして使用した。
(3)10個の試料Aを樹脂で封止する。
(4)封止した各試料Aを、樹脂ごと研磨して各試料Aの断面を観察する。観察機材は日本電子製のFE−EPMAJXA−8530Fを使用した。
図6は、Cu核ボールのSnの濃度分布を測定する方法の一例を示す説明図である。はんだ層3のうちCuボール1の表面側から便宜上内層16a、中間層16b及び外層16cに分ける。内層16aはCuボール1の表面から9μmまで、中間層16bは9〜17μmまで、そして外層16cは17〜23μmとし、内層16a、中間層16b及び外層16cより、図6のようにこの例では厚み5μmで幅が40μmの内層領域17a、中間層領域17b、外層領域17cをそれぞれ切り取り、各領域を計測領域として、定性分析によりSnの濃度の計測を行った。この作業を計10視野ずつ各内層16a、中間層16b及び外層16cについて行った。
はんだ層の内層、中間層、外層のSnの濃度を計測して求めた各層の濃度比率を以下の表8に示す。
表8は、試料Aにおいて、それぞれ10個のCu核ボールで計測したはんだ層の各層のSnの濃度の平均値と、目標とするSnの含有量(目標値)が5質量%の場合におけるSnの濃度比率を示す。
試料Aは、上述したように、10個のCu核ボールについて、内層、中間層、外層のSnの濃度を計測している。試料Aについて、10個のCu核ボールそれぞれの内層、中間層、外層におけるSnの濃度の計測値は表8に示していない。
試料Aは、目標とするSnの含有量(目標値)が5質量%である。この場合、試料Aにおける10個のCu核ボールのぞれぞれのSnの濃度比率(%)は、Snの濃度の計測値から以下の(1)式で求められる。
濃度比率(%)=(計測値/5)×100・・・(1)
また、Snの濃度の平均値は、試料としたCu核ボールの数が10個の場合、以下の(2)式で求められる。
Snの濃度の平均値=10個の計測値の合計値/10・・・(2)
更に、目標とするSnの含有量(目標値)が5質量%である場合、試料Aの濃度比率(%)は、Snの濃度の計測値の平均値から以下の(3)式で求められる。
濃度比率(%)=(計測値の平均値/5)×100・・・(3)
表8に示すように、試料Aの実施例については、内層領域17aにおけるSnの濃度の平均値が6.88質量%、濃度比率137.6%であり、中間層領域17bにおけるSnの濃度の平均値が6.01質量%、濃度比率120.2%であり、外層領域17cにおけるSnの濃度の平均値が3.61質量%、濃度比率72.2%であった。
このように、内層領域17a、中間層領域17b、外層領域17cのそれぞれにおいて、はんだ層中のSnの濃度は上記の3.61質量%〜6.88質量%の許容範囲内にあり、濃度比率が72.2%〜137.6%であるために、ほぼ目標値のSnの濃度比率である70%〜140%に収まっていることが判る。
そして、これらの試料Aと同じロットで製造したCu核ボールそれぞれ例えば10個を抽出し、それぞれを基板に通常のリフロー処理により接合した。接合結果も併せて表8に示す。
接合結果については、全てのサンプルにて一切の接合不良が測定されなかったものを「良」と判定した。
いずれも内周側が外周側より早めに溶融して、内周側と外周側とで体積膨張差が生じてCu核ボール11Bがはじき飛ばされるような事態は、発生せず、またはんだ層3全体がほぼ均一に溶融するから、溶融タイミングのずれによって発生すると思われる核材料の位置ずれは生じていないので、位置ずれなどに伴う電極間の短絡などのおそれはない。よって接合不良は一切発生しない良好な結果が得られた為、「良」と判定した。
上述したように、(Sn−95Pb)系はんだ合金である場合、表8の結果から、3.61質量%(濃度比率72.2%)〜6.88質量%(濃度比率137.6%)の範囲まで許容できることがわかった。
次に、Sn10質量%、Pb90質量%である(Sn−90Pb)からなるSn系はんだ合金のはんだ層3を形成した場合について同様な計測を行った。このときのSnの分布は目標値としては10質量%であるが、許容範囲としては9.74質量%(濃度比率97.4%)〜11.20質量%(濃度比率112.0%)である。Cu核ボールの作製方法は、上述した(Sn−95Pb)のはんだ合金を使用したCu核ボールによる試料Aの実施例の場合と同じである。
使用したCuボール及びCu核ボールの直径、金属層(Niめっき層)とはんだ層の膜厚等の仕様、及び実験条件についてははんだ層の組成以外、試料Aと同条件である。
その結果を表8の試料Bとして示す。この場合には目標値となるSnは10質量%であるので、試料Bに示すように、9.74〜11.20質量%(何れも同一試料に付き10回計測した平均値)と、多少のバラツキ(平均値の最小9.74質量%(濃度比率97.4%)〜最大11.20質量%(濃度比率112.0%))程度はあるものの、許容範囲である。従って9.74質量%(濃度比率97.4%)〜11.20質量%(濃度比率112.0%)に収まっていることが分かる。接合判定は、試料Aの実施例と同じく接合不良は一切発生しない良好な結果が得られた為、「良」と判定した。
試料Bは、目標とするSnの含有量(目標値)が10(質量%)である。そこで、表8中の試料Bの濃度比率(%)は、以下の(4)式で求められる。
濃度比率(%)=(計測値の平均値/10)×100・・・(4)
次に、Sn63質量%、Pb37質量%である(Sn−37Pb)からなるSn系はんだ合金のはんだ層3を形成した場合について同様な計測を行った。このときのSnの分布は目標値としては63質量%であるが、許容範囲としては61.30質量%(濃度比率97.3%)〜70.02質量%(濃度比率111.1%)である。Cu核ボールの作製方法は、上述した(Sn−95Pb)のはんだ合金を使用したCu核ボールによる試料Aの実施例の場合と同じである。
使用したCuボール及びCu核ボールの直径、金属層(Niめっき層)とはんだ層の膜厚等の仕様、及び実験条件についてははんだ層の組成以外、試料Aと同条件である。
その結果を表8の試料Cとして示す。この場合には目標値となるSnは63質量%であるので、試料Cに示すように、61.30〜70.02質量%(何れも同一試料に付き10回計測した平均値)と、多少のバラツキ(平均値の最小61.30質量%(濃度比率97.3%)〜最大70.02質量%(濃度比率111.1%))程度はあるものの、許容範囲である。従って61.30質量%(濃度比率97.3%)〜70.02質量%(濃度比率111.1%)に収まっていることが分かる。接合判定は、試料Aの実施例と同じく接合不良は一切発生しない良好な結果が得られた為、「良」と判定した。
試料Cは、目標とするSnの含有量(目標値)が63(質量%)である。そこで、表8中の試料Cの濃度比率(%)は、以下の(5)式で求められる。
濃度比率(%)=(計測値の平均値/63)×100・・・(5)
次に、Sn60質量%、Pb37質量%、Ag3質量%である(Sn−37Pb−3Ag)からなるSn系はんだ合金のはんだ層3を形成した場合について同様な計測を行った。このときのSnの分布は目標値としては60質量%であるが、許容範囲としては55.83質量%(濃度比率93.1%)〜63.10質量%(濃度比率105.2%)である。Cu核ボールの作製方法は、上述した(Sn−95Pb)のはんだ合金を使用したCu核ボールによる試料Aの実施例の場合と同じである。
使用したCuボール及びCu核ボールの直径、金属層(Niめっき層)とはんだ層の膜厚等の仕様、及び実験条件についてははんだ層の組成以外、試料Aと同条件である。
その結果を表8の試料Dとして示す。この場合には目標値となるSnは60質量%であるので、試料Dに示すように、55.83〜63.10質量%(何れも同一試料に付き10回計測した平均値)と、多少のバラツキ(平均値の最小55.83質量%(濃度比率93.1%)〜最大63.10質量%(濃度比率105.2%))程度はあるものの、許容範囲である。従って55.83質量%(濃度比率93.1%)〜63.10質量%(濃度比率105.2%)に収まっていることが分かる。接合判定は、試料Aの実施例と同じく接合不良は一切発生しない良好な結果が得られた為、「良」と判定した。
試料Dは、目標とするSnの含有量(目標値)が66(質量%)である。そこで、表8中の試料Dの濃度比率(%)は、以下の(6)式で求められる。
濃度比率(%)=(計測値の平均値/60)×100・・・(6)
上述した試料Aの実施例、試料Bの実施例、試料Cの実施例及び試料Dの実施例の結果を表9にまとめた。Snの濃度比率は72.2〜137.6質量%である。ここで、試料Aの実施例、試料Bの実施例、試料Cの実施例及び試料Dの実施例で作成したCu核ボールについて真球度を測定したところ、いずれも0.99以上であり、0.95以上を満たした。
表9中の濃度比率(%)は、以下の(5)式で求められる。
濃度比率(%)=(計測値/目標値)×100・・・(5)
なお、はんだ層3内のSn濃度を変えた場合には、位置ずれやCu核ボール11Bの吹き飛びなどの現象が発生した。
以上説明したように、各実施例A〜Dでは、はんだ層中のSnが均質であるので、はんだ層中のPbが均質であり、はんだ層の膜厚に対しSn、Pbの内周側、外周側を含めてその全領域に亘りSn、Pb濃度比率が所定範囲内にある。このため、はんだ層中のSn、Pbが均質である本発明のCu核ボールでは、内周側が外周側より早めに溶融して、内周側と外周側とで体積膨張差が生じてCu核ボールがはじき飛ばされるような事態は発生しない。
また、はんだ層中のSn、Pbが均質であるので、Cu核ボールの全面に亘りほぼ均一に溶融するから、はんだ層内での溶融タイミングに時間差が殆ど生じない。その結果溶融タイミングのずれによって発生するCu核ボールの位置ずれは生じないので、位置ずれなどに伴う電極間の短絡などのおそれはない。従って、このCu核ボールを使用することによって高品質なはんだ継手を提供できる。