JP6307321B2 - 極性基含有オレフィン共重合体及びそれを利用する接着材並びに積層体および複合化製品 - Google Patents
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Description
しかし、この方法では、グラフト化反応と並行してオレフィン系樹脂同士の分子間架橋、及びオレフィン系樹脂の分子鎖切断などが発生するため、グラフト変性物にオレフィン系樹脂の優れた物性が維持されないという問題が発生する。例えば、分子間架橋によって不要な長鎖分岐が導入されることで溶融粘度の上昇や分子量分布の広域化が発生し、接着性や成形性に悪影響を及ぼす。また、分子鎖切断によってオレフィン系樹脂の低分子量成分が増加することにより、成形加工時に目ヤニや発煙が発生するといった問題点を呈している。
なお、高圧ラジカル法重合プロセスを用いずに重合された極性基含有オレフィン共重合体の例としては、いわゆるマスキング法と呼ばれる、特定のメタロセン系触媒及び十分な量の有機アルミニウム(極性基含有モノマーと等モル以上)の存在下で重合する製法発明の中に、1,2−epoxy−9−deceneとエチレン、及び1−ブテンを共重合させた極性基含有オレフィン共重合体が示されている(特許文献9を参照)。
しかし、この発明によると、極性基含有オレフィンの共重合に際し、多量の有機アルミニウムを必要とし、製造コストが高くならざるを得ない。また、多量の有機アルミニウムは不純物として極性基含有オレフィン共重合体中に存在する事となり、機械物性の低下や変色、劣化の促進を引き起こし、これを除去するには更なるコストアップにつながる。更に発明の効果は、主として高い重合活性で極性基含有オレフィン共重合体を製造することであり、極性の高い異種材料との具体的な接着性能について触れられていない。しかもこの特許文献には、極性基含有オレフィン共重合体が極性の高い異種材料と十分な接着性を得るために必要な樹脂物性についても全く触れられておらず、高い接着性能を目的とした極性基含有オレフィン共重合体としての使用は開示されていない。
すなわち、本発明の重合体は、遷移金属触媒を用いて重合された特定の極性基含有オレフィン共重合体であり、特定範囲の極性基含有モノマー含有量であれば、格別に優れた接着性を呈しつつ、各種物性に優れることを特徴としている。
構造式(I)
特定の官能基:エポキシ基を必須で含み、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基)
構造式(II)
特定の官能基:エポキシ基を必須で含み、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基)
また、本発明による特定の分子構造及び樹脂物性を持った極性基含有オレフィン共重合体は、接着性だけでなく機械的かつ熱的な物性に優れ、さらには、耐薬品性も兼ね備え、有用な多層成形体として応用可能であり、さまざまな用途、例えば、押出成形、吹込成形などによって、多層フィルム、多層ブロー瓶などに成形され、広範囲な用途に使用可能である。
(1)極性基含有オレフィン共重合体
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、エポキシ基含有モノマーとの共重合体であって、該モノマー単位がランダムに共重合したランダム共重合体であり、かつ分子構造が実質的に直鎖状の共重合体である。
本発明に関わるα−オレフィンは構造式:CH2=CHR18で表される、炭素数3〜20のα−オレフィンである(R18は炭素数1〜18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)。より好ましくは、炭素数3〜12のα−オレフィンであり、さらに好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンから選択されるα−オレフィンであり、より好適には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選択されるα−オレフィンである。重合に供するα−オレフィンは単独でも良いし、2種以上であっても構わない。
本発明に関わる極性基を含有しないモノマーは、分子構造中に炭素−炭素二重結合を1つ以上有するモノマーであり、かつ、分子を構成する元素が炭素と水素のみであれば限定されず、例えば、ジエン、トリエン、芳香族ビニルモノマー、環状オレフィン等が挙げられ、好ましくは、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、シクロヘキセン、ビニルノルボルネン、ノルボルネンである。
本発明に関わる極性基含有モノマーは、エポキシ基を含有する必要がある。エポキシ基を持った極性基含有オレフィン共重合体を含むオレフィン系樹脂組成物であれば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、接着性を付与したフッ素樹脂などの極性の高い熱可塑性樹脂、及びアルミニウム、スチ−ルなどの金属材料の基材と積層接着することが可能となる。
構造式(I)
特定の官能基:エポキシ基を必須で含み、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基)
構造式(II)
特定の官能基:エポキシ基を必須で含み、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基)
上記構造式(I)または構造式(II)で示される極性基含有モノマーとしては、例えば、5-ヘキセンエポキシド、6-ヘプテンエポキシド、7-オクテンエポキシド、8-ノネンエポキシド、9-デセンエポキシド、10-ウンデセンエポキシド、11-ドデセンエポキシドなどのω-アルケニルエポキシド類、2-メチル-6-ヘプテンエポキシド、2-メチル-7-オクテンエポキシド、2-メチル-8-ノネンエポキシド、2-メチル-9-デセンエポキシド、2-メチル-10-ウンデセンエポキシドなどの分子構造内に分岐を持つω-アルケニルエポキシド類、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、o−アリルフェノールのグリシジルエーテル、m−アリルフェノールのグリシジルエーテル、p−アリルフェノールのグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチリルカルボン酸グリシジル、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテントリカルボン酸、等の不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、エポキシヘキシルノルボルネン、エポキシシクロヘキサンノルボルネン、メチルグリシジルエーテルノルボルネン等のエポキシ基を含む環状オレフィン、その他、2−(o−ビニルフェニル)エチレンオキシド、2−(p−ビニルフェニル)エチレンオキシド、2−(o−アリルフェニル)エチレンオキシド、2−(p−アリルフェニル)エチレンオキシド、2−(o−ビニルフェニル)プロピレンオキシド、2−(p−ビニルフェニル)プロピレンオキシド、2−(o−アリルフェニル)プロピレンオキシド、2−(p−アリルフェニル)プロピレンオキシド、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、アリル−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、2,3‐エポキシ‐5‐ビニルノルボルナン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン等のエポキシ基を含むモノマーを挙げる事が出来る。これらの中では特に、下記構造式で示される、1,2−エポキシ−9−デセン、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン等が好ましい。
重合に供されるエポキシ基含有モノマーは単独でも良く、2種類以上を合わせて用いても良い。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の構造単位と構造単位量について説明する。
エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン、及び極性基含有モノマー、それぞれ1分子に由来する構造を、極性基含有オレフィン共重合体中の1構造単位と定義する。そして、極性基含有オレフィン共重合体中の各構造単位の比率をmol%で表したものが構造単位量である。
本発明に関わるエポキシ基含有モノマーに由来する構造単位量は、通常20〜0.001mol%の範囲、好ましくは15〜0.01mol%の範囲、より好ましくは10〜0.02mol%の範囲、より好適には5〜0.03mol%の範囲から選択され、必ず本発明の極性基含有オレフィン共重合体に存在していることが好ましい。もし、この範囲より極性基含有モノマーに由来する構造単位量が少なければ、極性の高い異種材料との接着性が充分ではなく、この範囲より多ければ充分な機械物性が得られない。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体中の極性基の構造単位量は1H−NMRスペクトルを用いて求められる。1H−NMRスペクトルは以下の方法によって測定した。試料200〜250mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定に供した。NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行った。1H−NMRはパルス角1°、パルス間隔1.8秒、積算回数を1,024回以上として測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチルプロトンのピークを0.088ppmとして設定し、他のプロトンによるピークの化学シフトはこれを基準とした。13C−NMRはパルス角90°、パルス間隔20秒、積算回数512回以上とし、プロトン完全デカップリング法で測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
1H−NMRスペクトルから以下の方法によってコモノマー含有量を求めた。
〔4―ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4−HBAGE)の構造単位量〕
0.3〜3.1ppmの範囲の極性基含有オレフィン共重合体によるピークの積分強度和をIA1とし、2.4、2.6、3.0、3.3、3.4、3.5、及び4.1ppmに生じる共重合体中に含まれる4―HBAGEのプロトンによるピークの積分強度の和をIX1とした時に、以下の式に従って求めた。
4―HBAGE含有量 (mol%)=40×IX1/(IA1−0.6×IX1)
0.3〜3.1ppmの範囲の極性基含有オレフィン共重合体によるピークの積分強度和をIA2とし、2.4、2.6、2.8 ppmに生じる共重合体中に含まれるC8−EPOのプロトンによるピークの積分強度の和をIX2とした時に、以下の式に従って求めた。
C8−EPO含有量 (mol%)
=(400/3)×IX2/(IA2−11/3×IX2)
0.3〜3.2ppmの範囲の極性基含有オレフィン共重合体によるピークの積分強度和をIA2とし、3.0ppm付近に生じる共重合体中に含まれるEP−VCHのプロトンによるピークの積分強度の和をIX2とした時に、以下の式に従って求めた。
EP−VCH含量 (mol%) = 100×IX2/(0.5×IA2−2×IX2)
0.3〜3.2ppmの範囲の極性基含有オレフィン共重合体によるピークの積分強度和をIA3とし、2.5、2.6、3.1、3.9、及び4.3 ppmに生じる共重合体中に含まれるGMAのプロトンによるピークの積分強度の和をIX3とした時に、以下の式に従って求めた。
GMA含有量 (mol%)=80×IX3/(IA3−0.8×IX3)
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンと極性基含有モノマーの共重合体のランダム共重合体である。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の分子構造例を下記段落に示す。ランダム共重合体とは、下記に示した分子構造例のA構造単位とB構造単位の、ある任意の分子鎖中の位置においてそれぞれの構造単位を見出す確率が、その隣接する構造単位の種類と無関係な共重合体である。また、極性基含有オレフィン共重合体の分子鎖末端は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンであっても良く、極性基含有モノマーであっても良い。下記のように、本発明における極性基含有オレフィン共重合体の分子構造(例)は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンとエポキシ基を含むモノマーとが、ランダム共重合体を形成している。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは10,000〜1,500,000、更に好ましくは20,000〜1,000,000、好適なのは31,000〜800,000、より好適なのは33,000〜800,000の範囲であることが望ましい。Mwが1,000未満では機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分ではなく、極性の高い異種材料との接着性も劣るものとなる。Mwが2,000,000を超えると溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難となる。
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm) 測定温度:140℃ 溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB) カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本) 流速:1.0mL/分 注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の、(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)の銘柄である。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク温度によって示される。最大ピーク温度とは、DSC測定において、縦軸に熱流(mW)、横軸に温度(℃)をとった際に得られる吸熱曲線に複数ピークが示された場合、そのうちベースラインからの高さが最大であるピークの温度の事を示し、ピークが1つだった場合には、そのピークの温度の事を示している。
ポリエチレンを想定した場合、融点は50℃〜140℃であることが好ましく、60℃〜138℃であることが更に好ましく、70℃〜135℃が最も好ましい。この範囲より低ければ耐熱性が充分ではなく、この範囲より高い場合は接着性が劣るものとなる。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の製造方法は、遷移金属触媒を用いてエチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、エポキシ基含有モノマーとを共重合させることによって得られる。
本発明に関わる重合触媒の種類は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、エポキシ基を含んだ極性基含有モノマーとを共重合することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、キレート性配位子を有する第5〜11族の遷移金属化合物を触媒として用い、重合する方法がある。
好ましい遷移金属の具体例として、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子、マンガン原子、鉄原子、白金原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、銅原子などが挙げられる。
これらの中で好ましくは、バナジウム原子、鉄原子、白金原子、コバルト原子、ニッケル原子、パラジウム原子、ロジウム原子、であり、特に好ましくは、白金原子、コバルト原子、ニッケル原子、パラジウム原子である。これらの金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
さらに、本発明の遷移金属錯体の遷移金属は、Mがニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)及びロジウム(III)からなる群から選択される元素であることが、さらには第10族の元素であることが重合活性の観点から好ましく、特に価格等の観点から、ニッケル(II)が好ましい。キレート性配位子は、P、N、O、及びSからなる群より選択される少なくとも2個の原子を有しており、二座配位( bidentate )又は多座配位(multidentate)であるリガンドを含み、電子的に中性又は陰イオン性である。Brookhartらによる総説に、その構造が例示されている(Chem.Rev.,2000,100,1169)。
好ましくは、二座アニオン性P,O配位子として例えば、リンスルホン酸、リンカルボン酸、リンフェノール、リンエノラートが挙げられ、他に、二座アニオン性N,O配位子として例えば、サリチルアルドイミナ−トやピリジンカルボン酸が挙げられ、他に、ジイミン配位子、ジフェノキサイド配位子、ジアミド配位子が挙げられる。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の製造において、エポキシ基含有モノマーと少量の有機金属化合物とを接触させた後、前記の遷移金属触媒の存在下、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、エポキシ基含有モノマーとを共重合させることにより重合活性をより高められる。
有機金属化合物は、置換基を有してもよい炭化水素基を含んだ有機金属化合物であり、下記構造式(H)で示すことができる。
R30 nM30X30 m−n 構造式(H)
(式中、R30は、炭素原子数1〜12の置換基を有してもよい炭化水素基を示し、M30は、周期表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群から選択される金属、X30は、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは、M30の価数、nは、1〜mである。)
有機金属化合物は、極性基含有コモノマーに対するモル比が10−5〜0.9、好ましくは10−4〜0.2、更に好ましくは10−4〜0.1となる量を接触させることが、重合活性やコストの観点から好ましい。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の1g中に残留するアルミニウム(Al)量は、100,000μgAl/g以下が好ましく、70,000μgAl/g以下がより好ましく、20,000μgAl/g以下が更に好ましく、10,000μgAl/g以下が特に好ましく、5,000μgAl/g以下が好適であり、1,000μgAl/g以下がより好適であり、500μgAl/g以下が最も好適である。これよりも多い場合、極性基含有オレフィン共重合体(A)の機械物性の低下、重合生成物の変色や劣化の促進等が起こる。アルミニウム(Al)の残留量は可能な範囲で少ない方が良く、例えば、1μgAl/g程の極少量であっても良いし、0μgAl/gであっても構わない。なお、μgAl/gは極性基含有オレフィン共重合体1g中に含まれるアルミニウム(Al)の量をμg単位で表していることを意味する。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体に含まれるアルミニウム(Al)量は、重合に供したアルキルアルミニウム中に含有されるアルミニウム量を、得られた極性基含有オレフィン共重合体の収量で除した値として算出することができる。
測定試料を3〜10g秤量し、加熱プレス機で加熱加圧成型して直径45mmの平板状サンプルを作製する。測定は平板状サンプルの中心部直径30mmの部分について行い、理学電気工業社製の走査型蛍光X線分析装置「ZSX100e」(Rh管球4.0kW)を用いて、以下の条件で測定する。
・X線出力:50kV−50mA
・分光結晶:PET
・検出器:PC(プロポーショナルカウンター)
・検出線:Al−Kα線
アルミニウム含有量は、予め作成した検量線と上記条件で測定した結果から求める事が出来る。検量線は複数のポリエチレン樹脂のアルミニウム含量をICP分析にて測定し、それらポリエチレン樹脂を上記の条件でさらに蛍光X線分析する事で作成する事ができる。
測定試料及び特級硝酸3ml、過酸化水素水(過酸化水素含量30重量%)1mlをテフロン(登録商標)製容器に入れ、マイクロウェーブ分解装置(マイルストーンゼネラル社製 MLS−1200MEGA)を用い、最大500Wで加熱分解操作を実施し、測定試料を溶液化する。溶液化した測定試料をICP発光分光分析装置(サーモジャーレルアッシュ社製 IRIS−AP)に供することによりアルミニウム含有量が測定できる。アルミニウム含有量の定量はアルミニウム元素濃度が既知の標準液を用いて作成した検量線を用いて行う。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体(A)の重合方法は限定されない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。また、重合形式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。また、リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。更に、いわゆるchain shuttling agent(CSA)を併用し、chain shuttling反応や、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。具体的な製造プロセス及び条件については、例えば、特開2010−260913号公報、特開2010−202647号公報を参照することができる。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体には、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、架橋剤、発泡剤、核剤、難燃剤、導電材、充填材などの添加剤を配合しても良い。
本発明の極性基含有オレフィン共重合体は、特定の分子構造及び樹脂物性を有することで、他の基材との高い接着性を発現し、工業的に有用な積層体の製造を可能にした。すなわち、各種基材との接着性能は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、エポキシ基を含む極性基含有モノマーとを、遷移金属触媒の存在下に共重合することで得られる極性基含有オレフィン共重合体において、極性基含有オレフィン共重合体中の極性基含有モノマーに由来する構造単位量が、通常20〜0.001mol%の範囲、好ましくは15〜0.01mol%の範囲、より好ましくは10〜0.02mol%の範囲、より好適には5〜0.03mol%の範囲であると、十分に発現する。その接着材としての卓越性は、後記の実施例のデータ及び実施例と比較例の対照により実証されている。
(1)積層体の材料
本発明に関わる積層体は、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体からなる層と基材層とを含む積層体であって、該基材層は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの極性の高い熱可塑性樹脂、接着性を有するフッ素樹脂、アルミニウム、スチールなどの金属材料などの基材を例示することができる。
バリア性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、EVOH、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリエステル(OPET)、延伸ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルムなどの金属、無機酸化物の蒸着フィルム、アルミ蒸着などの金属蒸着フィルム、金属箔などが挙げられる。
本発明に関わる積層フィルムは、例えば、食品の包装材として好適である。食品の具体例としては、ポテトチップなどのスナック菓子、ビスケット、煎餅、チョコレートなどの菓子類、粉スープなどの粉末調味料、削り節や薫製などの食品などが挙げられる。
また、容器としては、上記積層体のエチレン系共重合体層面同士を向かい合わせ、その少なくとも一部をヒートシールすることにより形成することができる。具体的には、例えば、水物包装、袋、液体スープ包袋、液体紙器、ラミ原反、特殊形状液体包装袋(スタンディングパウチなど)、規格袋、重袋、セミ重袋、ラップフィルム、砂糖袋、油物包装袋、食品包装用などの各種包装容器、輸液バックなどに好適に使用される。
その加工方法としては、通常のプレス成形、空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、高速インフレーション成形、フラットダイ成形(T−ダイ成形)、水冷インフレーション成形などの押出成形、押出ラミネート加工、サンドラミネート加工、ドライラミネート加工等のラミネート加工法、ブロー成形、圧空成形、射出成形、回転成形など、従来公知の方法が挙げられる。
本発明に関わるラミネート積層体とは、押出ラミネート加工、サンドラミネート加工、ドライラミネート加工等、公知のラミネート加工法で製造する事が出来る積層体であり、該ラミネート積層体は本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなるラミネート材料と、少なくとも1層以上の基材層とラミネート加工することで製造する事ができる積層体である。本発明におけるラミネート材料とは、各種公知のラミネート加工法に供する事が可能な本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含む樹脂材料の事である。押出ラミネート加工は、Tダイより押出した溶融樹脂膜を基材上に連続的に被覆・圧着する方法で、被覆と接着を同時に行う成形加工法である。また、サンドラミネート加工は、紙と積層するフィルムの間に溶融した樹脂を流し込んで、この溶融した樹脂が接着剤のような働きをして接着・積層する方法であり、ドライラミネート加工は、基材と積層するフィルムを貼合する接着剤及び/又は接着剤の塗布ロール付近の雰囲気湿度を除湿するか、前記接着剤及び/又は接着剤の塗布ロールの温度を温熱するか、フィルムシートの貼合面を乾燥させる方法である。
サンドラミネート加工、ドライラミネート加工においては、本発明に用いる基材の極性基含有オレフィン共重合体を含むが形成される側で、基材と極性基含有オレフィン共重合体を含む層との間に、バリア性を向上させるため、上記アルミ箔、ポリエステル系フィルム、各種バリア性フィルムなどを積層させることが容易である。本発明に関わるラミネート用材料と積層する基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
本発明に関わる押出成形品とは、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体を押出成形によって成形した押出成形品である。本発明に関わる押出成形品は、空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、高速インフレーション成形、水冷インフレーション成形といった各種インフレーション成形、フラットダイ成形、異形押出成形、管状品成形、カレンダー成形等、公知の押出成形によって製造する事ができる。また、押出成形によって得られた押出成形品が固化しきらない状態で、金型等に挟み込んだり、変形を加えたりといった、各種公知の方法によってさらに賦形してもかまわない。さらには、得られた押出成形品に曲げ、切削、再加熱後に賦形する等、各種公知の方法によって後加工を加えても構わない。
本発明に関わる多層共押出成形品とは、公知の多層共押出成形によって成形する事が可能な多層共押出成形品であり、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層を少なくとも含む多層共押出成形品である。また、多層共押出成形品とは、複数の熱可塑性材料を同時に押出成形することによって複数の材料を層状に複合化し、種々の賦形方法によって成形することにより製造する事が可能な、多層構造を持った成形品の事である。本発明に関わる多層共押出成形品の製造方法としては、多層空冷インフレーション成形、多層空冷2段冷却インフレーション成形、多層高速インフレーション成形、多層水冷インフレーション成形、多層フラットダイ成形(T−ダイ成形)、多層管状品成形、多層コルゲートパイプ成形等、公知の多層共押出成形を挙げる事ができる。本発明に関わる多層共押出成形品における基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。本発明に関わる多層共押出成形品は、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体を含む層と適当な基材とを、適当な成形方法によって加工することにより、多層フィルム、多層シート、多層パイプ、多層ホース、多層チューブ、多層コルゲートパイプ等の公知の多層共押出成形品として製造する事ができる。また、多層共押出成形によって得られた多層共押出成形品が固化しきらない状態で、金型等に挟み込んだり、変形を加えたりといった、各種公知の方法によってさらに賦形してもかまわない。さらには、得られた多層共押出成形品に曲げ、切削、再加熱後に賦形する等、各種公知の方法によって後加工を加えても構わない。
本発明に関わる多層フィルムとは、公知の多層フィルム成形法によって製造する事が可能な多層フィルムであり、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層フィルムである。本発明に関わる多層フィルムの製造方法としては、多層空冷インフレーション成形、多層空冷2段冷却インフレーション成形、多層高速インフレーション成形、多層水冷インフレーション成形、多層フラットダイ成形(T−ダイ成形)等、公知の多層フィルム成形法を用いる事ができる。本発明に関わる多層フィルムの基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
本発明に関わる多層ブロー成形品とは、公知の多層ブロー成形によって製造する事が可能な多層ブロー成形品であり、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層ブロー成形品である。本発明に関わる多層ブロー成形品の製造方法としては、多層ダイレクトブロー成形、多次元多層ブロー成形、多層ロータリーブロー成形等、公知のブロー成形法を挙げる事ができる。本発明に関わる多層ブロー成形品の基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
本発明に関わる多層管状成形品とは、公知の多層管状成形法によって成形する事が可能な多層管状成形品であり、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層管状成形品である。本発明に関わる多層管状成形法は、例えば、複数の熱可塑性材料を同時に押出成形することによって複数の材料を層状に複合化し、円形もしくは異形の吐出口から吐出することによって連続的に吐出口形状に準じた形状の管状成形品が成形され、適当な賦形方法、および冷却方法によって成形、冷却固化することで管状の成形品を得る方法を挙げる事ができる。本発明に関わる多層管状成形法の吐出口形状は特に限定されず、円形、楕円、多角形、その他公知の吐出口形状を選択する事ができる。また、本発明に関わる多層管状成形法の成形方法は特に限定されず、サイジングプレート法、内圧サイジング法、内径サイジング法、真空サイジング法、押出した溶融材料を金型で挟み込み、マンドレル側からの圧空や金型側からの真空引き等で賦形しつつ冷却する方法等、公知の成形法を用いる事ができ、冷却方法も水冷、空冷、金型での挟み込み等、適宜使用することができる。さらに、一度冷却固化させた多層管状成形品を再加熱し、さらに別の形状へと加工することもできる。本発明に関わる多層管状成形品の基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
本発明に関わる多層シートとは、公知の多層シート成形によって製造する事が可能な多層シートであり、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層シートである。本発明に関わる多層シートの製造方法としては各種公知の方法を用いる事ができ、例えば、複数の熱可塑性材料を同時に押出成形することによって複数の材料を層状に複合化し、フラットダイやサーキュラーダイ等公知のダイから吐出させることでシート状に成形する方法を挙げる事ができる。また、これら方法において、必要に応じてシートの端部をスリットしたり、円形のシートを切り開く加工を加えたりしても良い。さらに、押出成形後に冷却固化していない状態、もしくは、冷却固化した多層シートを再加熱する事により再溶融させた状態で、真空成型、圧空成形、真空圧空成形、スタンピング成形、プレス成形等、各種公知の成形方法によってさらに賦形しても構わない。本発明に関わる多層シートの基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
本発明に関わる射出成形品とは、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体を射出成形によって成形した射出成形品である。本発明に関わる射出成形品の製造には公知の方法を用いる事ができる。
本発明に関わる多層射出成形品とは、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層を少なくとも含み、射出成形を用いて複数の層を複合化することで製造できる多層射出成形品である。多層射出成形品は2種類以上の材料が複合化されていればよく、例えば、2種の異なる本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層が積層化されていても良く、本発明の極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層と基材からなる層が多層化されていても良い。さらに、3種以上の層が多層化されていても良い。本発明に関わる多層射出成形品は、公知の射出成形法によって成形する事ができる。極性基含有オレフィン共重合体を含有してなる層の2種類以上を多層化してなる多層射出成形品であってもよいが、本発明の特徴である異種材料との高い接着性を有する点を考慮すると、異種材料からなる層と多層化させた複合化射出成形品であるほうが好ましい。多層射出成形品の製造が可能な射出成形法としては、公知の方法を挙げる事ができる。例えば、あらかじめ射出成形や押出成形、プレス成形、切削加工等公知の方法により本発明の極性基含有オレフィン共重合体を部材へと加工し、該部材を射出金型内部にインサートした状態でさらに基材材料を射出することで多層化させる方法、あらかじめ基材を部材へと加工し、基材の部材を射出金型内にインサートした状態で本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体を射出することで多層化させる方法、複数の射出ユニットを有する多色射出成形機を用い、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体と基材材料を適当な順序で順次、金型内に射出することによって多層化する方法などを挙げる事ができる。本発明に関わる多層射出成形品において、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体と複合化させる部材の種類としては、前述したような種々の各種基材を適宜使用する事ができる。
本発明に関わる被覆金属部材とは、金属に本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体を金属被覆材料として用い、金属被覆材料を金属に被覆することにより製造できる、被覆金属部材である。本発明に関わる被覆金属部材は公知の金属被覆方法によって製造する事ができる。被覆金属部材の例としては、例えば、鋼管の外面もしくは内面に、必要に応じてアンダーコート等を介して被覆材料を被覆させた被覆鋼管、金属被覆材料で被覆された被覆金属ワイヤー、金属被覆材料で被覆された電線、紛体性状の被覆金属材料を用いて流動浸漬法によって被覆された被覆金属、紛体性状の被覆金属材料を用いて静電塗装法によって被覆された被覆金属、あらかじめシートやフィルム等に加工した金属被覆材料を金属材用に熱溶着させる事で被覆された被覆金属、等を挙げる事ができる。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体は、上記の接着性樹脂材料として好適に用いられるばかりでなく、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの各種樹脂の改質材、或いは、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂とポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチックとの相溶化剤としても好適に適用される。
極性基含有オレフィン共重合体中の極性基含有構造単位量は、1H−NMRスペクトルを用いて求めた。詳しくは前述している。
重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnによって算出した。詳しくは前述している。
融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線のピーク温度によって示される。測定にはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社社製のDSC(DSC7020)を使用し、次の測定条件で実施した。
試料約5.0mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで上昇し、200℃で5分間保持した後に10℃/分で30℃まで降温させた。30℃で5分間保持した後、再度、10℃/分で昇温させる際の吸収曲線のうち、最大ピーク温度を融点とした。
接着強度は、プレス板に加工した測定サンプルと各種基材フィルムをそれぞれ調製し、その2種を重ね合わせて熱プレスすることによって積層体を作製し、剥離試験を行うことによって測定した。各工程の調整方法/測定方法を順に説明する。
測定サンプルを、寸法:50mm×60mm、厚さ0.5mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約0.5mmのプレス板を作製した。
多層Tダイ成形機を用い、中央層がEVOH、両外層がLLDPEの2種3層多層フィルムを成形後、外層のLLDPEを剥離することで、厚さ100μmのEVOH単層フィルムを調製した。フィルム成形条件は以下の通りである。
成形機:2種3層Tダイ 成形温度:200℃ 層構成:LLDPE/EVOH/LLDPE 膜厚:300μm(100μm/100μm/100μm) 外層:LLDPE(日本ポリエチレン(株)社製 銘柄:ノバテック UF943)MFR=2.0g/10分、密度=0.937/cm3 中間層:EVOH((株)クラレ製 銘柄:エバール F101B)
多層Tダイ成形機を用い、中央層がポリアミド、両外層がLLDPEの2種3層多層フィルムを成形後、外層のLLDPEを剥離することで、厚さ100μmのポリアミド単層フィルムを調製した。フィルム成形条件は以下の通りである。
成形機:2種3層Tダイ 成形温度:250℃ 層構成:LLDPE/EVOH/LLDPE 膜厚:300μm(100μm/100μm/100μm) 外層:LLDPE(日本ポリエチレン(株)社製 銘柄:ノバテック UF943)MFR=2.0g/10分、密度=0.937/cm3 中間層:ポリアミド(東レ(株)製 銘柄:アミラン CM1021FS)
多層Tダイ成形機を用い、中央層がポリエステル、両外層がLLDPEの2種3層多層フィルムを成形後、外層のLLDPEを剥離することで、厚さ100μmのポリエステル単層フィルムを調製した。フィルム成形条件は以下の通りである。
成形機:2種3層Tダイ 成形温度:250℃ 層構成:LLDPE/EVOH/LLDPE 膜厚:300μm(100μm/100μm/100μm) 外層:LLDPE(日本ポリエチレン(株)社製 銘柄:ノバテック UF943)MFR=2.0g/10分、密度=0.937/cm3 中間層:ポリエチレンテレフタレート(三菱化学(株)製 銘柄:ノバペックス IG229Z)
多層Tダイ成形機を用い、中央層がフッ素樹脂、両外層がLLDPEの2種3層多層フィルムを成形後、外層のLLDPEを剥離することで、厚さ100μmのフッ素樹脂単層フィルムを調製した。フィルム成形条件は以下の通りである。
成形機:2種3層Tダイ 成形温度:230℃ 層構成:LLDPE/EVOH/LLDPE 膜厚:300μm(100μm/100μm/100μm) 外層:LLDPE(日本ポリエチレン(株)社製 銘柄:ノバテック UF943)MFR=2.0g/10分、密度=0.937/cm3 中間層:フッ素樹脂(ダイキン工業(株)製 銘柄:ネオフロンEFEP RP−5000)
上記のプレス板調製方法によって得られた測定サンプルのプレス板と、上記EVOHフィルムの調製方法によって得られたEVOHフィルムを50mm×60mmの寸法に切断したものを重ね合わせ、寸法:50mm×60mm、厚さ0.5mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度200℃の熱プレス機を用いて4.9MPaで3分間加圧した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、測定サンプルのプレス板とEVOHの積層体を調製した。
上記のプレス板調製方法によって得られた測定サンプルのプレス板と、上記ポリアミドフィルムの調製方法によって得られたポリアミドフィルムを50mm×60mmの寸法に切断したものを重ね合わせ、寸法:50mm×60mm、厚さ0.5mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度250℃の熱プレス機を用いて4.9MPaで5分間加圧した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、測定サンプルのプレス板とポリアミドの積層体を調製した。
上記のプレス板調製方法によって得られた測定サンプルのプレス板と、上記ポリエステルフィルムの調製方法によって得られたポリエステルフィルムを50mm×60mmの寸法に切断したものを重ね合わせ、寸法:50mm×60mm、厚さ0.5mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度200℃の熱プレス機を用いて4.9MPaで3分間加圧した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、測定サンプルのプレス板とポリエステルの積層体を調製した。
上記のプレス板調製方法によって得られた測定サンプルのプレス板と、上記フッ素樹脂フィルムの調製方法によって得られたフッ素樹脂フィルムを50mm×60mmの寸法に切断したものを重ね合わせ、寸法:50mm×60mm、厚さ0.5mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度200℃の熱プレス機を用いて4.9MPaで3分間加圧した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、測定サンプルのプレス板とフッ素樹脂の積層体を調製した。
積層体の調製方法によって得られた積層体を10mm幅に切断し、テンシロン(東洋精機(株)製)引張試験機を用いて、50mm/分の速さでT剥離することで接着強度を測定した。接着強度の単位はgf/10mmで示した。また、接着強度が非常に強い場合、剥離試験に際して極性基含有オレフィン共重合体層、もしくは基材層が降伏し、さらには破断する。これは、積層体の接着強度が、極性基含有オレフィン共重合体層又は基材層の引張破断強度のうち低い方と比較して高い強度を示す為に発生する現象であり、その接着性は非常に高いものと判断できる。該現象により接着強度が測定できない場合、各実施例の接着強度測定結果には「剥離不可」と記載し、接着強度の数値が測定されたものよりも、より高度に接着されたと判断する。
[1]極性基含有オレフィン共重合体樹脂板の調製方法
極性基含有オレフィン共重合体を、寸法:50mm×60mm、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約0.9mmの極性基含有オレフィン共重合体樹脂板を作製した。
極性基含有オレフィン共重合体樹脂板の調整方法によって調整した極性基含有オレフィン共重合体の樹脂板を10mm幅に切断し、耐薬品性評価用試験片を作成した。この評価用試験片を耐圧容器に入れ、イソオクタン455ml/トルエン455ml/エタノール90mlの3種混合溶液をさらに加えた。この耐圧容器を60℃に調整したオーブンに入れ、24時間経過後に評価用試験片を取出し、ドラフト内でさらに24時間風乾させた。
風乾後の評価用試験片が原形を留めていない場合は耐薬品性が「×」、元々の形状を維持している場合には耐薬品性が「○」であると判断した。
試料を厚さ1.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作成した。試料からなるプレス板を直径25mm円形に加工したものをサンプルとし、動的粘弾性特性の測定装置としてRheometrics社製ARES型回転式レオメータを用い、窒素雰囲気下において以下の条件で動的粘弾性を測定した。
・プレート:φ25mm パラレルプレート
・温度:160℃
・歪み量:10%
・測定角周波数範囲:1.0×10−2〜1.0×102 rad/s
・測定間隔:5点/decade
複素弾性率の絶対値G*(Pa)の常用対数logG*に対して位相角δをプロットし、logG*=5.0に相当する点のδ(度)の値をδ(G*=0.1MPa)とした。測定点の中にlogG*=5.0に相当する点がないときは、logG*=5.0前後の2点を用いて、logG*=5.0におけるδ値を線形補間で求めた。また、測定点がいずれもlogG*<5であるときは、logG*値が大きい方から3点の値を用いて2次曲線でlogG*=5.0におけるδ値を補外して求めた。
極性基含有オレフィン共重合体に含まれるアルミニウム(Al)量は、重合に供したアルキルアルミニウム中に含有されるアルミニウム(Al)量を、得られた極性基含有オレフィン共重合体の収量で除した値として算出する方法と蛍光X線分析により測定する方法により求めることができる。
具体的には以下の計算式により算出した。
アルミニウム(Al)含有量の単位:μgAl/g
(μgAl/gとは極性基含有オレフィン共重合体の1g中に含まれるアルミニウム(Al)量をμg単位で表していることを意味する。)
μgAl=n×Mw(Al)×103(μg)
n:重合に供したアルキルアルミニウム添加量(mmol)
Mw(Al):アルミニウム(Al)元素の分子量(26.9g/mol)
極性基含有オレフィン共重合体中に含まれるアルミニウム(Al)量は蛍光X線分析を用いて求めた。詳しくは前述している。
Drent系配位子:(2−イソプロピル−フェニル)(2’−メトキシ−フェニル)(2’’−スルホニル−フェニル)ホスフィン(I)の合成
無水ベンゼンスルホン酸(2g,12.6mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,10mL,25.3mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.0mL,12.6mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液A)。
マグネシウムをテトラヒドロフラン(20mL)に分散させ、1−ブロモ−2−メトキシベンゼン(2.3g,12.6mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Aに−78℃で滴下し、1時間撹拌した(反応液B)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(2.5g,12.6mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,5.0mL,12.6mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Bに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度60%。
水(50mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)後、塩化メチレン抽出し(100mL)、硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を留去した。メタノールで再結晶化
することにより、白色の目的物(I)を1.1g得た。収率22%。
1H NMR (CDCl3, ppm): 8.34 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 7.7-7.6 (m, 3 H), 7.50 (t, J = 6
.4 Hz, 1 H), 7.39 (m, 1 H), 7.23 (m, 1 H), 7.1-6.9 (m, 5 H), 3.75 (s, 3 H), 3.05
(m, 1 H), 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 3 H), 1.04 (d, J = 6.4 Hz, 3 H). 31P NMR (CDCl3,
ppm): -10.5.
錯体の形成充分に窒素置換した30mLフラスコに、100μmolのパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブを精製窒素で置換したのち、乾燥トルエン(1.0リットル)と、1,2−エポキシ−9−デセンを36ml(0.2mol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを100℃に昇温し、窒素を0.3MPaまで供給した後、エチレン分圧が1MPaになるよう圧力が1.3MPaまでエチレンを供給した。圧力調整終了後、遷移金属錯体(I−Pd錯体)150μmolを窒素で圧入して共重合を開始させた。反応中は温度を100℃に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給し、120分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、さらに減圧下60℃で恒量になるまで乾燥を行なった。
重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。なお、表2中の「ND」は未測定を意味する。表1において重合活性は、重合に用いた錯体1molあたりの共重合体収量(g)を表す。なお、重合活性は、配位子とパラジウムビスジベンジリデンアセトンが1対1で反応してパラジウム錯体を形成しているとして計算した。
エチレンと4−ビニル―1,2−エポキシシクロへキサンとの共重合
エポキシ基含有モノマーとして4−ビニル―1,2−エポキシシクロへキサン20.9ml(0.2mol)を用い、遷移金属錯体量を50μmol、重合圧力を2.3MPa、重合温度を100℃、重合時間を240分とした以外は、実施例1同様に行なった。重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。
エチレンと4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4−HBAGE)との共重合
エポキシ基含有モノマーとして4−HBAGE54ml(0.3mol)を用い、遷移金属錯体量を50μmol、重合温度を90℃、重合時間を70分とした以外は、実施例1同様に行なった。重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。
SHOP系配位子:B−27DMの合成
WO2010−050256記載(合成例4)の方法に従い、下記の配位子B−27DMを得た。
充分に窒素置換した50mlのナス型フラスコに、下記B−27DMを112mg(200μmol)秤り取った。次に、ビス−1、5−シクロオクタジエンニッケル(0)(以下Ni(COD)2と称する)を50mlナス型フラスコに56mg(200μmol)秤り取り、20mlの乾燥トルエンに溶解させ10mmol/lのNi(COD)2トルエン溶液を調製した。ここで得られたNi(COD)2トルエン溶液全量(20ml)を、B−27DMの入ったナス型フラスコに加え、40℃の湯浴で30分攪拌することで、B−27DMとNi(COD)2の反応生成物の10mmol/l溶液を20ml得た。
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエンを1000mlと、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び4−HBAGEを2.7ml(15mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを100℃に昇温し、窒素を0.3MPaまで供給した後、エチレン分圧が2.5MPaになるよう圧力が2.8MPaまでエチレンを供給した。温度と圧力が安定した後、先に調製したB−27DM‐Ni錯体溶液を2.4ml(24μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。反応中は温度を100℃に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。80分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、さらに減圧下、60℃で恒量になるまで乾燥を行なうことで、極性基含有共重合体中に残存していた極性基含有モノマーを取り除き、最終的に極性基含有オレフィン共重合体を28g回収した。重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。表1において重合活性は、重合に用いた錯体1molあたりの共重合体収量(g)を表す。なお、重合活性は、B−27DMとNi(COD)2が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算した。また、共重合に用いた4−HBAGEは、モレキュラーシーブ3Aにより脱水したものを使用した。
実施例4に記載の方法のうち、配位子量、極性基含有モノマー濃度、重合温度、重合時間、をそれぞれ変更して重合することにより、実施例5〜12の極性基含有オレフィン共重合体を調製した。重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。
実施例4記載の方法を基本とし、重合開始後にエチレンの補給を行わないで重合を行った。その際、配位子量、極性基含有モノマー濃度、重合温度、重合時間、をそれぞれ変更して重合することにより、実施例13〜15の極性基含有オレフィン共重合体を調製した。重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。この重合方法においてはエチレンの補給を行わない為、重合終了時のエチレン分圧が、重合開始時と比較して低下する。表1中のエチレン分圧が、「2.5→1.5」のような表記になっているのは、重合開始時のエチレン分圧が2.5MPa、重合終了時のエチレン分圧が1.5MPaであったことを表している。
SHOP系配位子:2−(2,6−ジフェノキシフェニル)(2−フェノキシフェニル)ホスファニル−6−(ペンタフルオロフェニル)フェノール(B−114)の合成
(1)1,3−ジフェノキシベンゼン(B−114_1、2.62g,10mmol)の脱水テトラヒドロフラン(100mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5M,4.0mL,10mmol)を0℃で添加した後、室温まで徐々に昇温した。その混合物を室温で1時間撹拌することで、2,6−ジフェノキシフェニルリチウム(B−114_2)のテトラヒドロフラン溶液を合成した。
(2)マグネシウム(1.0g,40mmol)と1,2−ジブロモエタン(0.2mL)の脱水(50mL)混合物に、2−フェノキシブロモベンゼン(B−114_3、7.5g,40mmol)の脱水テトラヒドロフラン(50mL)溶液を室温で滴下した。その混合物を室温で3時間撹拌し、それを三塩化リン(2.6mL,30mmol)の脱水テトラヒドロフラン(20mL)溶液に−78℃で添加した。添加後溶液温度を徐々に室温に昇温し、さらに室温で1時間撹拌した。溶媒と過剰な三塩化リンを減圧下で除去し、その残渣を脱水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解させた。その溶液を−78℃まで冷却し、そこに(1)で合成したB−114_2のテトラヒドロフラン溶液を添加した。添加終了後、溶液温度を室温まで徐々に昇温し、室温で更に2時間撹拌することで、(2,6−ジフェノキシフェニル)(2−フェノキシフェニル)ホスファニルクロリド(B−114_5)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
(3)メトキシメチルフェニルエーテル(B−114_6、4.2g、30mmol)の脱水テトラヒドロフラン(40mL)溶液に、0℃でn−ブチルリチウム(2.5M、12mL、30mmol)を滴下した。その混合物を室温まで徐々に昇温し、さらに1時間室温で撹拌した。その後、その混合物を−30℃まで冷却し、そこに(2)で得たB−114_5)のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。滴下後、混合物を室温まで徐々に昇温して、室温で終夜撹拌した。その混合物に水(50mL)添加し、10分間撹拌した後、減圧下で有機溶媒を除去した。その後、酢酸エチル(50mLx3)で抽出した後、抽出液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=50:1)で精製し、メトキシメチル(2−(2,6−ジフェノキシフェニル)(2−フェノキシフェニル)ホスファニルフェニル)エーテルを得た(B−114_7、2g、純度62%)。
そして、(3)を繰り返すことでB−114_7を8.1g(純度75%)得た。それをジエチルエーテルから再結晶することで、B−114_7を得た(5.5g、純度92%)。
(4)B−114_7(5.5g,9.2mmol)の脱水テトラヒドロフラン(50mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5M,3.2mL,9.2mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温まで徐々に昇温した後、さらに2時間室温で撹拌した。その後、その混合物を0℃まで冷却し、それにヘキサフルオロベンゼン(5.4mL,46mmol)をゆっくり滴下し、その混合物を室温まで徐々に昇温後、室温で終夜撹拌した。反応溶液にメタノール(20mL)添加し、10分間撹拌後、減圧下で有機溶媒を除去した。その後、酢酸エチル(50mLx3)で抽出した後、抽出液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:1)で精製し、メトキシメチル(2−(2,6−ジフェノキシフェニル)(2−フェノキシフェニル)ホスファニル−6−(ペンタフルオロフェニル)フェニル)エーテルを得た(B−114_8、1.6g、純度94%)。
そして、(4)を繰り返すことB−114_8(10g,純度85%)を得、その後HPLC精製によってB−114_8を得た(6g,7.8mmol)。
(5)(4)で得られた化合物(B−114_8,6.0g,7.8mmol)を、塩化水素の酢酸エチル溶液(4M、100mL)に0℃で添加した。得られた混合物を徐々に室温まで昇温し、引き続き室温で2時間攪拌を行った。溶媒を除去し、残渣に酢酸エチル(50mL)と炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)を加えた後、30分間攪拌した。その後、酢酸エチルで抽出操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで脱水させた後、硫酸ナトリウムを濾別し、減圧下に溶媒を留去して濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=40:1)で精製し、2−(2,6−ジフェノキシフェニル)(2−フェノキシフェニル)ホスファニル−6−(ペンタフルオロフェニル)フェノールを得た(5.0g、6.9mmol、88%)
1H NMR(CDCl3、δ、ppm):6.55−6.65(m、2H),6.70−6.74(m,1H),6.75−6.82(m,4H),6.82−6.87(m,2H),6.87−6.95(m,1H),6.95−7.30(m,15)、7.65−7.77(m、1H);31P NMR(CDCl3、δ、ppm):−54.0(s)。
十分に窒素置換した50mlのナス型フラスコに、下記B−114を145mg(200μmol)秤り取った。次に、ビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(以下Ni(COD)2と称する)を50mlナス型フラスコに56mg(200μmol)秤り取り、20mlの乾燥トルエンに溶解させ10mmol/lのNi(COD)2トルエン溶液を調整した。ここで得られたNi(COD)2トルエン溶液全量(20ml)を、B−114の入ったナス型フラスコに加え、40℃の湯浴で30分撹拌することで、B−114とNi(COD)2の反応生成物の10mmol/l溶液を20ml得た。
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエンを1000mlと、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.10mmol)及び4−HBAGEを1.8ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.3MPaまで供給した後、エチレン分圧が2.5MPaになるよう圧力が2.8MPaまでエチレンを供給した。温度と圧力が安定した後、先に調製したB−114‐Ni錯体溶液を2.0ml(20μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。反応中は温度を90℃に保った。46分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、さらに減圧下、60℃で恒量になるまで乾燥を行なうことで、極性基含有共重合体中に残存していた極性基含有モノマーを取り除き、最終的に極性基含有オレフィン共重合体を32g回収した。
重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。
なお、表2中の「ND」は未測定を意味する。表1において重合活性は、重合に用いた錯体1molあたりの共重合体収量(g)を表す。この重合方法においてはエチレンの補給を行わない為、重合終了時のエチレン分圧が、重合開始時と比較して低下する。表1中のエチレン分圧が、「2.5→1.5」のような表記になっているのは、重合開始時のエチレン分圧が2.5MPa、重合終了時のエチレン分圧が1.5MPaであったことを表している。
なお、重合活性は、B−114とNi(COD)2が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算した。
また、共重合に用いた4−HBAGEは、モレキュラーシーブ3Aにより脱水したものを使用した。
エチレン単独重合
極性基含有コモノマーおよびトリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を使用せず、遷移金属錯体量を0.2μmol、重合圧力を3.0MPa、重合温度を100℃、重合時間を30分とした以外は、実施例4同様に行なった。重合の条件及び重合結果を表1に、物性測定の結果を表2に記載した。
エチレンとグルシジルメタクリレートの共重合体であって、高圧法プロセスによって製造された極性基含有オレフィン共重合体(住友化学(株)製 銘柄:ボンドファーストE)である。物性測定の結果を表2に記載した。
エチレンとグルシジルメタクリレートの共重合体であって、高圧法プロセスによって製造された極性基含有オレフィン共重合体(住友化学(株)製 銘柄:ボンドファースト2C)である。物性測定の結果を表2に記載した。
実施例1〜実施例16は、極性基構造単位量が全て0.001mol%以上であり、ポリアミドと実用上十分な接着性を有している。更に、実施例1〜実施例14は、重量平均分子量(Mw)が33,000以上であり、ポリアミドと優れた接着性を示している。それと比較して、比較例1は極性基を含んでおらず、ポリアミドと全く接着しない。このことから、極性基含有オレフィン共重合体中に含まれる極性基構造単位量が0.001mol%以上であれば、極性の高い基材と十分な接着性を有する事を示した。
実施例1〜実施例3と、実施例4〜実施例15、実施例16は異なる製造方法で製造された極性基含有オレフィン共重合体である。いずれの製造方法で製造した極性基含有オレフィン共重合体であっても、それぞれ十分な接着性を示している。この事実は、極性の高い素材と十分な接着性能を有する極性基含有オレフィン共重合体を製造するにあたり、特定の遷移金属触媒の存在下で重合する製造であれば特に制限されることは無く、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の製造方法は限定されないことを示した。
実施例11、および実施例12はポリアミド樹脂にとどまらず、EVOH、ポリエステル、フッ素樹脂とも実用上十分な接着性を有している。この事実は、本発明の極性基含有オレフィン共重合体は、特定の極性の高い素材とのみ接着性を有しているのではなく、各種極性の高い素材とも十分な接着性を有することを明らかにした。
実施例1〜実施例16は、高い接着性を有しながら、十分な耐薬品性をも示している。それに対し比較例2および比較例3は、接着性能こそ十分であるが耐薬品性が不十分である。この原因は分子構造の違いによるものと推察している。実施例1〜実施例16は遷移金属触媒の存在下で製造されている為、その分子構造は直鎖状である。しかしながら、比較例2および比較例3は高圧法プロセスで製造されていることが知られており、その分子構造は過多の短鎖分岐、および長鎖分岐を有した構造であると考えられる。この構造の違いが、薬品による非晶部分の膨潤性に違いを与え、耐薬品性にも差が表れたと考えられる。この結果により、本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体が、極性の高い基材と高い接着性を有しつつ、耐薬品性にも秀でた極性基含有オレフィン共重合体であることを示した。
以上の各実施例の良好な結果、及び各比較例との対照により、本発明の構成(発明特定事項)の有意性と合理性及び従来技術に対する卓越性が明確にされている。
Claims (17)
- エチレンまたは炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位量が99.999〜80mol%と、下記構造式(I)または下記構造式(II)で表されるエポキシ基を含む極性基含有モノマーの少なくとも1種に由来する構造単位量が20〜0.001mol%からなる極性基含有オレフィン共重合体であって、遷移金属触媒の存在下に共重合することで得られる、分子構造が直鎖状でかつランダム共重合であり、1g中に残留するアルミニウム(Al)量が10,000μg Al /g以下であることを特徴とする、極性基含有オレフィン共重合体。
構造式(I)
(構造式(I)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2、R3、R4はそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、又はエポキシ基を含む下記の特定の官能基を示し、R2〜R4のいずれか1つはエポキシ基を含む特定の官能基である。
特定の官能基:エポキシ基を必須で含み、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基)
構造式(II)
(構造式(II)中、R5〜R8はそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、又はエポキシ基を含む下記の特定の官能基を示し、R5〜R8のいずれか1つはエポキシ基を含む特定の官能基である。また、mは0〜2である。
特定の官能基:エポキシ基を必須で含み、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基) - 該極性基含有オレフィン共重合体の、示差走査型熱量測定(DSC)法により測定される吸収曲線の最大ピ−ク位置の温度で表される、融点が50℃〜140℃であることを特徴とする、請求項1に記載された極性基含有オレフィン共重合体。
- 該極性基含有オレフィン共重合体の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)が、1,000〜2,000,000であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された極性基含有オレフィン共重合体。
- 該極性基含有オレフィン共重合体の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)が、33,000〜2,000,000であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体。
- 該エポキシ基を含む極性基含有モノマーが上記構造式(I)であり、特定の官能基が、エポキシ基を必須で含み、さらに、炭化水素基、カルボニル基、エーテル基のいずれかを更に必須で含む、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる分子構造を有した基であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体。
- 該極性基含有オレフィン共重合体が、キレート性配位子を有する第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合された共重合体であることを特徴とする、請求項1〜請求項5に記載された極性基含有オレフィン共重合体。
- 該極性基含有オレフィン共重合体が、パラジウム又はニッケル金属にトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が配位した遷移金属触媒の存在下に重合された共重合体であることを特徴とする、請求項1〜請求項6に記載された極性基含有オレフィン共重合体。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体を含有する接着材。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材を含有してなる層と、基材層とを少なくとも含む積層体。
- 該基材層が、オレフィン系樹脂、極性の高い熱可塑性樹脂、金属、無機酸化物の蒸着フィルム、紙類、セロファン、織布、不織布から選ばれることを特徴とする、請求項9に記載された積層体。
- 該基材層が、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)であることを特徴とする、請求項10に記載された積層体。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材を含有してなるラミネート材料を用い、1層以上の基材層とラミネート加工することにより積層された事を特徴とするラミネート積層体。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材を含有してなる押出成形品。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材を含有してなる層と、基材層とを少なくとも含む多層共押出成形品。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材を含有してなる射出成形品。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材を含有してなる部材と、基材とを、射出成形によって複合化する事を特徴とする複合化射出成形品
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された極性基含有オレフィン共重合体、または接着材が、金属に被覆された事を特徴とする極性基含有オレフィン共重合体被覆金属部材。
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