[発泡体]
本発明の発泡体は、熱可塑性樹脂(a)及びアゾール環含有化合物(b)を含有する熱可塑性樹脂組成物から形成されたものである。
[熱可塑性樹脂(a)]
本発明では、前記発泡体を構成する樹脂材料(ポリマー)として熱可塑性樹脂を用いる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、発泡体を構成しうる公知乃至周知の熱可塑性樹脂を使用できる。該熱可塑性樹脂として、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム、ウレタン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、衝撃吸収性の観点から、アクリル系ポリマー、ゴム、ウレタン系ポリマーが好ましい。発泡体を構成する熱可塑性樹脂は1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含有している。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの炭素数が1〜20であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(全モノマー成分)に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、炭素数が1〜20であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)の割合は、例えば、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合の上限は、例えば100重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは96重量%である。
上記アクリル系ポリマーは、構成するモノマー成分として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみを含むポリマーであってもよいが、必要に応じた機能の付与を可能にする点、粘着特性をより適切にコントロールする点より、構成するモノマー成分として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、それらと共重合可能な共重合性モノマーを含むポリマーであってもよい。共重合性モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記共重合性モノマーとして、極性基含有モノマーが挙げられる。上記極性基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、窒素原子含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記窒素原子含有モノマーとしては、分子内に窒素原子とエチレン性不飽和結合を有するモノマー(重合性化合物)であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジンなどの環状(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミドなどの非環状(メタ)アクリルアミドが挙げられる。上記N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
さらに、上記窒素原子含有モノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオンなどのN−ビニル環状アミド;アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有するモノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド骨格を有するモノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマーなどが挙げられる。窒素原子含有モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記カルボキシル基含有モノマーは、1分子中にカルボキシル基を1つ以上有するモノマーであるが、無水物の形態であってもよい。上記カルボキシル基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレートなどが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。水酸基含有モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどが挙げられる。なお、リン酸基含有モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の上記極性基含有モノマーの配合割合(2種以上の場合は総割合)は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、1〜30重量%が好ましく、下限は、より好ましくは3重量%であり、上限は、より好ましくは20重量%である。また、上記極性基含有モノマーとしては、少なくとも窒素原子含有モノマーを用いるのが好ましい。前記窒素原子含有モノマーの配合割合は、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、1〜30重量%が好ましく、下限は、より好ましくは3重量%であり、上限は、より好ましくは20重量%である。極性基含有モノマーの配合割合が、上記の範囲内にあると、粘着剤層の凝集力が適度となり、高い保持力及び粘着力が得られる。
また、上記共重合性モノマーとして、上記のほか、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコールなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのアルコキシアルキル基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有するモノマー;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのα−オレフィン;2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートなどのイソシアネート基を有するモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;フッ素原子を有する(メタ)アクリレートなどのハロゲン原子を有するモノマー;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基を有するモノマー;シリコーン(メタ)アクリレートなどのシロキサン結合を有するモノマーなどが挙げられる。
また、上記共重合性モノマーとして、多官能モノマーを用いることができる。かかる多官能モノマーによれば、アクリル系ポリマーに架橋構造を導入することができ、粘着剤層の凝集力を調整することができる。上記多官能モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。多官能モノマーとしては多官能アクリル系モノマーが好ましい。なお、上記多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムのいずれであってもよい。前記ゴムとして、例えば、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム(MBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(AU)、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム(MBR)、シリコーンゴムが好ましい。
前記ウレタン系ポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタンなどが挙げられる。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、公知乃至周知のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用できる。
本発明においては、発泡体(発泡シート)とした時に表面がタック性を有することが好ましい。発泡体(発泡シート)の表面がタック性を有する場合は、粘接着層を設けなくても被着体と密着性よく積層できる。発泡体(発泡シート)の表面にタック性を付与する方法としては、例えば、発泡体を構成する熱可塑性樹脂(a)(例えば、アクリル系ポリマー)を構成するモノマーとして、ホモポリマーのTgが−10℃未満(例えば−70℃以上−10℃未満、好ましくは−70℃〜−12℃、さらに好ましくは−65℃〜−15℃)のモノマーを、熱可塑性樹脂(a)(例えば、アクリル系ポリマー)を構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)に対して、例えば、70〜98重量%(下限は、好ましくは75重量%、上限は、好ましくは97重量%)用い、他のモノマーを適宜選択して用いる方法が挙げられる。
また、本発明においては、後述するように、前記熱可塑性樹脂として、発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが−30℃以上30℃以下の範囲になるような熱可塑性樹脂が好ましい。このような熱可塑性樹脂を用いることにより、発泡体の衝撃吸収性を向上できる。前記損失正接(tanδ)のピークトップを−30℃以上30℃以下の範囲にするためには、前記熱可塑性樹脂のTgを指標あるいは目安とすることができる。例えば、前記熱可塑性樹脂としては、Tgが−50℃以上50℃未満(下限は、好ましくは−40℃、より好ましくは−30℃、上限は、好ましくは40℃、より好ましくは30℃)の範囲にあるポリマーの中から選択することが好ましい。
このような観点から、例えば、熱可塑性樹脂がアクリル系ポリマーの場合、該アクリル系ポリマーとしては、ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーと、ホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーが好ましい。このようなアクリル系ポリマーを用い、前者のモノマーと後者のモノマーの量比を調整することにより、動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが−30℃以上30℃以下の範囲にある発泡体を比較的容易に得ることができる。
なお、本発明において、「ホモポリマーのTg」とは、「当該モノマーの単独重合体のガラス転移温度(Tg)」を意味し、具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley&Sons,Inc、1987年)に数値が挙げられている。なお、上記文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのTgは、例えば、以下の測定方法により得られる値(特開2007−51271号公報参照)をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液をセパレータ上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪を与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度で剪断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。なお、上記熱可塑性樹脂のTgもこの方法により測定できる。
ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーにおいて、該Tgは、例えば、−10℃〜250℃、好ましくは10〜230℃、さらに好ましくは50〜200℃である。
上記のホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーとして、例えば、(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のホモポリマーのTgが−10℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;N−ビニル−2−ピロリドン等の複素環含有ビニルモノマー(N−ビニル環状アミドなど);2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマーなどを例示することができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、特に、(メタ)アクリロニトリル(とりわけ、アクリロニトリル)が好ましい。ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーとして(メタ)アクリロニトリル(とりわけ、アクリロニトリル)を用いると、分子間相互作用が強いためか、発泡体の前記損失正接(tanδ)のピークトップ強度を大きくすることができる。
ホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーにおいて、該Tgは、例えば、−70℃以上−10℃未満、好ましくは−70℃〜−12℃、さらに好ましくは−65℃〜−15℃である。
上記のホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーとして、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のホモポリマーのTgが−10℃未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、特に、炭素数2〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対する、ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーの含有量は、好ましくは2〜30重量%である。その下限は、より好ましくは3重量%、さらに好ましくは4重量%であり、上限は、より好ましくは25重量%、さらに好ましくは20重量%である。また、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対する、ホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーの含有量は、好ましくは70〜98重量%である。その下限は、より好ましくは75重量%、さらに好ましくは80重量%であり、上限は、より好ましくは97重量%、さらに好ましくは96重量%である。
[アゾール環含有化合物(b)]
前記アゾール環含有化合物(b)としては、環内に窒素原子を1個以上含む5員環を有する化合物であればよく、例えば、ジアゾール(イミダゾール、ピラゾール)環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、又はイソチアゾール環を有する化合物などが挙げられる。これらの環はベンゼン環等の芳香環と縮合して縮合環を形成していてもよい。このような縮合環を有する化合物として、例えば、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾイソチアゾール環を有する化合物などが挙げられる。
前記アゾール環、前記縮合環(ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環等)は、それぞれ、置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の(モノ又はジ)C1-10アルキルアミノ基;アミノメチル基、2-アミノエチル基等のアミノ−C1-6アルキル基;N,N−ジエチルアミノメチル基、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル基等のモノ又はジ(C1-10アルキル)アミノ−C1-6アルキル基;メルカプト基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;カルボキシメチル基等のカルボキシ−C1-6アルキル基;2−カルボキシエチルチオ基等のカルボキシ−C1-6アルキルチオ基;N,N−ビス(ヒドロキシメチル)アミノメチル基等のN,N−ビス(ヒドロキシ−C1-4アルキル)アミノ−C1-4アルキル基;スルホ基などが挙げられる。また、前記アゾール環含有化合物(b)は、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩を形成していてもよい。
本発明においては、金属に対する防錆作用の点から、アゾール環がベンゼン環等の芳香環と縮合環を形成している化合物が好ましく、中でも、ベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール環を有する化合物)、ベンゾチアゾール系化合物(ベンゾチアアゾール環を有する化合物)が特に好ましい。
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、カルボキシメチルベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′−[[(メチル−1H-ベンゾトリアゾール−1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、又はこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
上記ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−(2−(ベンゾチアゾリル)チオ)プロピオン酸、又はこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
アゾール環含有化合物(b)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の発泡体を形成するための熱可塑性樹脂組成物におけるアゾール環含有化合物(b)の含有量[固形分(不揮発分)]は、被着体に対する密着性や発泡体本来の特性を損なわない範囲であればよく、例えば、熱可塑性樹脂(a)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0.2〜5重量部が好ましい。その下限は、より好ましくは0.3重量部、さらに好ましくは0.4重量部であり、その上限は、より好ましくは3重量部、さらに好ましくは2重量部である。アゾール環含有化合物(b)の含有量が上記の範囲であれば、金属に対する腐食防止性と被着体に対する密着性とを高いレベルで両立できる。
[添加剤]
本発明の発泡体を形成するための熱可塑性樹脂組成物中には、熱可塑性樹脂(a)及びアゾール環含有化合物(b)以外に、必要に応じて、界面活性剤、架橋剤、増粘剤、その他の添加剤が含まれていてもよい。
例えば、前記熱可塑性樹脂組成物は、気泡径の微細化、起泡した泡の安定性のために、任意の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれを用いてもよいが、気泡径の微細化、起泡した泡の安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましく、特にステアリン酸アンモニウム等の脂肪酸アンモニウム系界面活性剤がより好ましい。界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、異種の界面活性剤を併用してもよく、例えば、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤の添加量[固形分(不揮発分)]は、例えば、熱可塑性樹脂(a)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0〜10重量部であり、下限は、好ましくは0.5重量部、より好ましくは1重量部、上限は、好ましくは8重量部、より好ましくは6重量部である。
また、前記熱可塑性樹脂組成物は、発泡体の強度、耐熱性、耐湿性を向上させるために、任意の架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は特に制限されず、油溶性、水溶性のいずれを用いてもよい。架橋剤として、例えば、エポキシ系、オキサゾリン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、メラミン系、金属酸化物系などが挙げられる。中でも、オキサゾリン系架橋剤が好ましい。
架橋剤の添加量[固形分(不揮発分)]は、例えば、熱可塑性樹脂(a)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0〜10重量部であり、下限は、好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部、上限は、好ましくは9重量部、より好ましくは8重量部である。
さらに、前記熱可塑性樹脂組成物は、起泡した泡の安定性、成膜性の向上のために、任意の増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては特に制限されず、アクリル酸系、ウレタン系、ポリビニルアルコール系などが挙げられる。中でも、ポリアクリル酸系増粘剤が好ましい。
増粘剤の添加量[固形分(不揮発分)]は、例えば、熱可塑性樹脂(a)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0〜10重量部であり、下限は、好ましくは0.1重量部、より好ましくは0.3重量部、上限は、好ましくは6重量部、より好ましくは3重量部である。
また、前記熱可塑性樹脂組成物は、金属に対する腐食防止性、被着体との密着性や、発泡体本来の特性を損なわない範囲内で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分は、1種のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。該他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂(a)以外のポリマー成分、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、防錆剤、ゲル化剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料や染料など)、pH調整剤、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
前記充填剤としては、例えば、シリカ、クレー(マイカ、タルク、スメクタイト等)、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化スズ、ゼオライト、グラファイト、カーボンナノチューブ、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維等)、有機繊維、金属粉(銀、銅等)などが挙げられる。また、充填剤として、圧電粒子(酸化チタン等)、導電性粒子、熱伝導性粒子(窒化ホウ素等)、有機フィラー(シリコーンパウダー等)などを添加することもできる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、水分散型熱可塑性樹脂組成物、溶剤型熱可塑性樹脂組成物、水及び溶剤を含まない熱可塑性樹脂組成物のいずれであってもよい。
本発明の発泡体は前記熱可塑性樹脂組成物を発泡に付すことにより製造できる。また、本発明の発泡シートは前記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形に付し、シート状化することにより製造できる。発泡方法(気泡の形成方法)としては、物理的方法、化学的方法等、発泡成形に通常用いられる方法が採用できる。一般的に物理的方法は、空気や窒素などのガス成分をポリマー溶液に分散させて、機械的混合により気泡を形成させるものである。また、化学的方法は、ポリマーベースに添加された発泡剤の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得る方法である。環境問題などの観点から、物理的方法が好ましい。物理的方法により形成される気泡は、連続気泡であることが多い。
発泡(発泡成形)に付す熱可塑性樹脂組成物としては、水及び溶剤を含まない熱可塑性樹脂組成物や、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液(溶剤型熱可塑性樹脂組成物)を用いてもよいが、気泡性の観点から、熱可塑性樹脂を含むエマルション(水分散型熱可塑性樹脂組成物)を用いるのが好ましい。エマルションとしては、2種以上のエマルションをブレンドして用いてもよい。
エマルションの固形分濃度は成膜性の観点から高い方が好ましい。エマルションの固形分濃度は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。
本発明では、水分散型熱可塑性樹脂組成物(エマルション樹脂組成物)を機械的に発泡させて起泡化させる工程(工程A)を経て発泡体を作製する方法が好ましい。起泡装置としては、特に限定されず、例えば、高速せん断方式、振動方式、加圧ガスの吐出方式などの装置が挙げられる。これらの中でも、気泡径の微細化、大容量作製の観点から、高速せん断方式が好ましい。
機械的撹拌により起泡した際の気泡は、気体(ガス)がエマルション中に取り込まれたものである。ガスとしては、エマルションに対して不活性であれば特に制限されず、空気、窒素、二酸化炭素などが挙げられる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
上記方法により起泡化したエマルション樹脂組成物を基材上に塗工して乾燥する工程(工程B)を経ることで、本発明の発泡シートを得ることができる。前記基材としては、特に限定されないが、例えば、剥離処理したプラスチックフィルム(剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム等)、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、熱伝導層(後述の熱伝導層等)などが挙げられる。
前記工程Bにおいて、塗工方法、乾燥方法としては、一般的な方法を採用できる。工程Bは、基材上に塗布した気泡含有エマルション樹脂組成物を50℃以上125℃未満で乾燥する予備乾燥工程B1と、その後さらに125℃以上200℃以下で乾燥する本乾燥工程B2を含んでいることが好ましい。
予備乾燥工程B1と本乾燥工程B2を設けることにより、急激な温度上昇による気泡の合一化、気泡の破裂を防止できる。特に厚さの小さい発泡シートでは温度の急激な上昇により気泡が合一か、破裂するので、予備乾燥工程B1を設ける意義は大きい。予備乾燥工程B1における温度は、好ましくは50℃以上100℃以下である。予備乾燥工程B1の時間は、例えば、0.5分〜30分、好ましくは1分〜15分である。また、本乾燥工程B2における温度は、好ましくは130℃以上180℃以下である。本乾燥工程B2の時間は、例えば、0.5分〜30分、好ましくは1分〜15分である。
本発明の発泡体は、密度が0.2〜0.7g/cm3、平均セル径が10〜150μm、動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)が−30℃以上30℃以下の範囲にピークトップを有することが好ましい。このような発泡体は高い衝撃吸収性を有する。なお、本明細書において、発泡体の密度とは「見掛け密度」を意味する。
前記発泡体の密度の下限は、より好ましくは0.21g/cm3、さらに好ましくは0.22g/cm3であり、上限は、より好ましくは0.6g/cm3、さらに好ましくは0.5g/cm3、特に好ましくは0.4g/cm3である。発泡体の密度が0.2g/cm3以上であることにより高い強度を維持でき、0.7g/cm3以下であることにより高い衝撃吸収性が発揮される。また、発泡体の密度が0.2〜0.4g/cm3の範囲であることにより、さらにより高い衝撃吸収性が発揮される。発泡体の密度は、機械的撹拌時のエマルション樹脂組成物中に取り込む気体(ガス)成分量を調整することで、0.2〜0.7g/cm3の密度とすることができる。
前記発泡体の平均セル径の下限は、より好ましくは15μm、さらに好ましくは20μmであり、上限は、より好ましくは140μm、さらに好ましくは130μmである。平均セル径が10μm以上であることにより、優れた衝撃吸収性が発揮される。また、平均セル径が150μm以下であることにより、優れた圧縮回復性が得られる。発泡体の平均セル径は、界面活性剤の種類や量を調整することや、機械的撹拌時の撹拌速度や撹拌時間を調整することで、10〜150μmの範囲とすることができる。
前記発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップは、上述のように、−30℃以上30℃以下の範囲にあることが好ましい。前記損失正接のピークトップが存在する温度範囲の下限は、より好ましくは−25℃、さらに好ましくは−20℃であり、上限は、より好ましくは20℃、さらに好ましくは10℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ材料の場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲に入ることが望ましい。ピーク温度が−30℃以上であることにより、優れた圧縮回復性が発揮される。また、ピーク温度が30℃以下であることにより、高い柔軟性を示し、優れた衝撃吸収性が発揮される。
−30℃以上30℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(最大値)は衝撃吸収性の観点から高い方が好ましく、例えば0.2以上、好ましくは0.3以上である。前記ピークトップ強度(最大値)の上限値は、例えば2.0である。
このように、前記損失正接(tanδ)のピーク温度、ピークトップ強度が発泡体の衝撃吸収性に大きく寄与する。発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが−30℃以上30℃以下の範囲に存在すると、発泡シートの衝撃吸収性が高くなる理由は必ずしも明らかではないが、衝撃の周波数に合うところに前記損失正接(tanδ)のピークが存在していることによるものと推測される。すなわち、前記損失正接(tanδ)が−30℃以上30℃以下の範囲は、粘弾性測定における温度時間換算則より、構造物の落下衝撃に相当する周波数の範囲に換算されるため、−30℃以上30℃以下の範囲に前記損失正接(tanδ)のピーク温度を有する発泡シートほど、衝撃吸収性が高くなると推測される。また、貯蔵弾性率は、発泡シートに加わる衝撃エネルギーに対する反発力であり、貯蔵弾性率が高いと衝撃をそのまま反発する。一方で損失弾性率は、発泡シートに加わる衝撃エネルギーを熱に換える物性であり、損失弾性率が高いほど衝撃エネルギーを熱に換えるため、衝撃を吸収し、ひずみを小さくする。このことから、衝撃を多く熱に換え、且つ反発力が小さい、すなわち貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接(tanδ)が大きい発泡シートほど、衝撃吸収率が高いと推測される。
前記発泡体の初期弾性率は、衝撃吸収性の観点から低い方が望ましい。該初期弾性率(23℃環境下、引張速度300mm/minでの引張試験における10%歪み時の傾きから算出した値)は、好ましくは5N/mm2以下であり、より好ましくは3N/mm2以下である。なお、前記初期弾性率の下限値は、例えば、0.1N/mm2である。
前記発泡体は、前記熱可塑性樹脂組成物を発泡に付すことにより形成できるが、未発泡状態の樹脂組成物(固形物)[前記熱可塑性樹脂組成物を発泡させることなく成形したもの]の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップも−30℃以上30℃以下の範囲にあるのが好ましい。前記損失正接のピークトップが存在する温度範囲の下限は、より好ましくは−20℃、さらに好ましくは−10℃であり、上限は、より好ましくは20℃、さらに好ましくは10℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ材料の場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲に入ることが望ましい。該樹脂組成物(固形物)の−30℃以上30℃以下の範囲での損失正接(tanδ)のピークトップ強度(この値は、前記発泡体における−30℃以上30℃未満の範囲における損失正接(tanδ)のピークトップ強度を発泡体の密度(g/cm3)で割った値に相当する)は衝撃吸収性の観点から高い方が好ましい。また、未発泡状態の該樹脂組成物(固形物)の初期弾性率(23℃、引張速度300mm/min)は、低い方が望ましく、好ましくは50N/mm2以下、より好ましくは30N/mm2以下である。なお、前記初期弾性率の下限値は、例えば、0.3N/mm2である。
前記発泡体の気泡構造としては、連続気泡構造、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造のいずれであってもよい。衝撃吸収性の観点からは、連続気泡構造、半連続半独立気泡構造が好ましい。
[発泡シート]
本発明の発泡シートは、厚さは特に限定されず、用途に応じて選択できる。例えば、発泡シートの厚さは、30〜2000μm程度である。なお、微小クリアランスに適合する観点からは、発泡シートの厚さは、30〜500μmの範囲であることが好ましい。その下限は、より好ましくは40μm、さらに好ましくは50μmであり、上限は、より好ましくは400μm、さらに好ましくは300μmである。発泡シートの厚さが30μm以上であることにより、気泡を均一に含有することができ、優れた衝撃吸収性を発揮できる。また、発泡シートの厚さが500μm以下であることにより、微小クリアランスに対しても容易に追従できる。
前述したような発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが、−30℃以上30℃以下の範囲にある発泡シートでは、厚みが30〜500μmという薄さであっても、高い衝撃吸収性を有する。
発泡シートの厚さがある程度大きい場合には、衝撃吸収性は、平均セル径、密度等を選択することにより調整できるが、発泡シートの厚さが非常に小さい場合(例えば、厚さ30〜200μm)には、これらの特性を調整するだけでは衝撃を十分に吸収できない。発泡シートの厚さが非常に薄い場合には、発泡体中の気泡が衝撃によりすぐに潰れて、気泡による衝撃緩衝機能が消失するからである。発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが−30℃以上30℃以下の範囲にある場合には、気泡が潰れた後でも、発泡体の構成材料が衝撃を緩衝する機能を発揮する。
本発明では、衝撃吸収性の観点から、平均セル径(μm)と発泡シートの厚さ(μm)の比(前者/後者)は、0.2〜0.9の範囲にあるのが好ましい。上記平均セル径(μm)と発泡シートの厚さ(μm)の比の下限は、好ましくは0.25、より好ましくは0.3であり、上限は、好ましくは0.85、より好ましくは0.8である。
本発明の発泡シートは、金属箔等の被着体に貼付すると、経時で徐々に被着体に対する接着力が上昇する。そのため、高い接着信頼性が得られる。例えば、本発明の発泡シートを銅箔に貼り合わせ、80℃で1日放置した後の対銅箔接着力(剥離角度180°、引張速度300m/分)は、2.0N/20mm以上であり、好ましくは2.5N/20mm以上、より好ましくは3.0N/20mm以上、さらに好ましくは3.5N/20mm以上である。
なお、本発明の発泡シートを銅箔に貼り合わせた直後の対銅箔接着力(初期接着力)(剥離角度180°、引張速度300m/分)は、例えば、0.03N/20mm以上であるのが好ましく、0.03〜1N/20mm程度(或いは、0.05〜0.5N/20mm程度)であってもよい。
本発明の発泡シートは、必要に応じて、発泡シートの片面又は両面に粘着剤層(粘着層)を設けてもよい。粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等のいずれであってもよい。また、粘着剤層を設ける場合は、その表面に、使用時まで粘着剤層を保護する剥離ライナーを積層してもよい。本発明の発泡シートは被着体(金属部材等)に対する密着性に優れるので、粘着剤層を設けなくても部材等を固定できる。
本発明の発泡シートは、ロール状に巻回した巻回体(ロール状物)として市場に流通させてもよい。
本発明の発泡シートは、前記のように、アゾール環含有化合物を含んでいるので、金属箔等の金属部材と接触した状態で設置された場合、該金属の腐食を長期間防止できる。また、発泡シートに含まれるアゾール環含有化合物が隣接する部材(被着体)との界面に移行し、前記隣接する部材と相互作用するためか、経時で接着力が上昇する。そのため、粘接着層が不要で薄層化が可能であり、粘接着層の厚み分、他材料の厚みを確保できる。このため、例えば、電気・電子機器において、各種部材又は部品(例えば、光学部材など)を、所定の部位(例えば、筐体等)に取り付ける(装着する)際に用いられる電気・電子機器用部材、とりわけ衝撃吸収シートとして有用である。特に、発泡シートの少なくとも一方の面側の部材(被着体)が金属部材(例えば、銅箔、アルミニウム箔、金箔、銀箔等の金属箔など)である場合に有用である。
本発明の発泡シートを利用して取付(装着)可能な光学部材としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に装着される画像表示部材(特に、小型の画像表示部材)や、いわゆる「携帯電話」、「スマートフォン」や「携帯情報端末」等の移動体通信の装置に装着されるタッチパネル等の表示部材、カメラやレンズ(特に、小型のカメラやレンズ)などが挙げられる。
[積層体]
本発明の積層体は、発泡シート(発泡シート層)と熱伝導層との積層体(シート状積層体)である。前記熱伝導層の熱伝導率は200W/m・K以上であるのが好ましい。前記熱伝導率は定常法から測定される値である。熱伝導層の熱伝導率は、好ましくは300W/m・K以上、より好ましくは400W/m・K以上である。熱伝導層の熱伝導率が200W/m・K以上であることにより、優れた熱拡散性(放熱性)が発揮される。熱伝導率の実用的な上限は、例えば1500W/m・Kである。
上記熱伝導層の厚みは、目的に応じて任意の適切な厚みに調整しうる。熱伝導層の厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。熱伝導層の厚みの上限は、例えば、130μm、好ましくは120μm、さらに好ましくは110μmである。
熱伝導層としては、例えば、グラファイトシート、金属箔が挙げられる。金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅などが挙げられる。金属箔としては、高い遠赤外線反射率を有し、且つ、プロセスコストの安価なアルミニウム箔、銅箔などが好ましい。
前記積層体を作製する方法としては、熱伝導層に発泡シートを転写する(貼り付ける)方法、熱伝導層に起泡化した前記エマルション樹脂組成物を塗布し、乾燥して発泡シート層を形成する方法などが挙げられる。後者の方法で作製した方が前者の方法より高い接着力が発現する。
本発明の積層体によれば、発泡シートと熱伝導層を有するので、衝撃吸収性及び熱拡散性(放熱性)に優れる。また、発泡シートと熱伝導層間の接着力、及び本発明の積層体を利用する際の隣接部材と発泡シート間の接着力が、経時で上昇するので、接着信頼性に優れる。また、熱伝導層が金属である場合は該金属、本発明の積層体を利用する際の隣接部材が金属である場合にはその金属の腐食を長期間防止できる。そのため、例えば、電気・電子機器において、各種部材又は部品(例えば、光学部材など)を、所定の部位(例えば、筐体等)に取り付ける(装着する)際に用いられる電気・電子機器用部材、特に、熱拡散衝撃吸収シートとして有用である。
本発明の積層体を利用して取付(装着)可能な光学部材は、前記本発明の発泡シートを利用して取付可能な光学部材と同様である。
[電気・電子機器]
本発明の電気・電子機器は、前記本発明の発泡シート又は積層体が用いられている。このような電気・電子機器には、例えば、表示部材を備えた電気・電子機器であって、上記の発泡シート又は積層体が該電気又は電子機器の筐体と前記表示部材との間に挟持された構造を有している電気・電子機器が含まれる。該電気・電子機器として、例えば、いわゆる「携帯電話」、「スマートフォン」、「携帯情報端末」等の移動体通信の装置などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、特に言及しない限り、含有量を表す「%」は重量%を意味する。なお、配合部数(重量部)は、全て固形分(不揮発分)換算の値である。
実施例1
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ベンゾトリアゾールナトリウム塩(固形分40%)1重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.8重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ130μm、密度0.29g/cm3、平均セル径85μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
実施例2
ベンゾトリアゾールナトリウム塩(固形分40%)の使用量を1.5重量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ130μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。この発泡体の密度は0.3g/cm3、平均セル径は80μmであった。
実施例3
ベンゾトリアゾールナトリウム塩(固形分40%)の使用量を0.5重量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ130μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。この発泡体の密度は0.38g/cm3、平均セル径は70μmであった。
比較例1
ベンゾトリアゾールナトリウム塩(固形分40%)を全く使用しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ130μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。この発泡体の密度は0.43g/cm3、平均セル径は72μmであった。
<評価>
実施例及び比較例で得られた発泡体(発泡シート)について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。表1中、各成分の数値は固形分(不揮発分)換算の重量部である。
(平均セル径)
低真空走査電子顕微鏡(「S−3400N型走査電子顕微鏡」日立ハイテクサイエンスシステムズ社製)により、発泡体断面の拡大画像を取り込み、画像解析することにより平均セル径(μm)を求めた。なお解析した気泡数は10〜20個程度である。
(密度)
100mm×100mmの打抜き刃型にて発泡体(発泡シート)を打抜き、打抜いた試料の寸法を測定する。また、測定端子の直径(φ)20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚さを測定する。これらの値から発泡体の体積を算出した。
次に、発泡体の重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定する。これらの値より発泡体の密度(g/cm3)を算出した。
(動的粘弾性)
粘弾性測定装置(「ARES2KFRTN1−FCO」TA Instruments Japan社製)のフィルム引張り測定モードにて、角振動数1rad/sで温度分散性試験を行った。その際の貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比率である損失正接(tanδ)のピークトップの温度(℃)と強度(最大値)を測定した。
表1の「tanδ温度」の欄に、発泡体の損失正接(tanδ)のピークトップの温度(℃)を記載し、「tanδ最大値」の欄に、該ピークトップの強度(最大値)を記載した。
(初期弾性率)
23℃環境下で引張速度300mm/minでの引張試験における10%歪み時の傾きから算出した初期弾性率(N/mm2)を評価した。
(接着力)
各実施例および各比較例で得られた発泡体(発泡シート;片面に剥離シートを積層)の一方の面に、粘着テープ(No.31B、日東電工社製)を貼り合せた。これを20mm×100mmの大きさに切断し、評価サンプルとした。剥離シートを剥がし、発泡体の他方の面を、25℃で被着体である銅箔に貼り付け、5Kgローラーを一往復させて圧着した。これを、各温度環境下で所定時間放置した後、取り出し、2時間室温で放置した後、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で剥離試験を実施し、粘着力(対銅箔接着力)(N/20mm)を測定した。
(銅腐食性試験)
各実施例および各比較例で得られた発泡体(発泡シート)を52mm×52mmに切断し、50mm×50mmの銅箔表面に、ハンドローラーを用いて貼り合わせ、両側をアクリル板(67mm×67mm×2mm(厚み))で挟み、クリップにて固定した(図1参照)。(i)室温、(ii)85℃、(iii)60℃/95%RHの各環境下で放置した。125時間後に取り出し、銅箔の発泡体との接触面の汚染度合いを目視で確認し、以下の基準で評価した。なお、参考として、銅箔のみを上記各環境下で放置し、125時間後に取り出し、銅箔表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、評価が「△」であっても、用途によっては実用可能である。
○:銅箔に変化無し
△:わずかに銅が腐食していた
×:銅の腐食が激しく、銅箔表面が変色していた