以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両6に備えられる車両用駆動装置10の一部であって、エンジン8と駆動輪との間の動力伝達経路上に介挿されるトルクコンバータ12および車両用自動変速機14(以下、自動変速機14)の骨子図である。
トルクコンバータ12は、エンジン8と自動変速機14との間に介挿されている。トルクコンバータ12は、エンジン8に接続されたポンプ翼車12p、自動変速機14のタービン軸16に接続されたタービン翼車12t、およびワンウェイクラッチOWCを介して非回転部材であるケース18に接続されているステータ翼車12sを含んで構成される、よく知られた流体式伝動装置である。また、ポンプ翼車12pとタービン翼車12tとの間を選択的に断接するロックアップクラッチ20が設けられている。
自動変速機14は、ケース18内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置22、第1ブレーキB1、第3ブレーキB3を主体として構成されている第1変速部24と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置28、第1クラッチC1、第2クラッチC2、および第2ブレーキB2を主体として構成されている第2変速部30とを、共通の軸心C上に備えて構成されている。なお、第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28が、本発明の遊星歯車装置に対応している。
第1遊星歯車装置22は、第1サンギヤS1と、第1遊星歯車P1と、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリアCA1と、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1とを、含んで構成されている。これらのギヤ(歯車)は何れも斜歯で構成されている。
第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2と、第2遊星歯車P2(ショートピニオンギヤ)および後述する第3遊星歯車P3(ロングピニオンギヤ)と、その第2遊星歯車P2および第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第2キャリアCA2と、第2遊星歯車P2および第3遊星歯車P3を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2とを、含んで構成されている。これらのギヤ(歯車)は何れも斜歯で構成されている。
第3遊星歯車装置28(本発明の遊星歯車装置)は、第3サンギヤS3と、第3遊星歯車P3(ロングピニオンギヤ)と、その第3歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリアCA3と、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR1とを、含んで構成されている。これらのギヤ(歯車)は、何れも斜歯で構成されている。なお、第3遊星歯車P3が、本発明のピニオンギヤに対応している。
第2変速部30において、第2遊星歯車P2(ショートピニオンギヤ)と第3遊星歯車P3(ロングピニオンギヤ)とが互いに噛み合うことで、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置26の歯車対が構成され、第2キャリアCA2と第3キャリアCA3とが互いに連結されて一体化されるとともに、第2リングギヤR2と第3リングギヤR3とが互いに連結されて共通化される所謂ラビニヨ型の遊星歯車装置となっている。このように第2変速部30がラビニヨ型の遊星歯車装置で構成されることから、第2変速部30がコンパクトとなる。
第1遊星歯車装置22の第1サンギヤS1は、タービン軸16に接続されている。第1キャリアCA1は、第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2に連結されているとともに、第1ブレーキB1を介して非回転部材であるケース18に選択的に接続可能に構成されている。第1遊星歯車装置22の第1リングギヤR1は、第3ブレーキB3を介してケース18に選択的に接続可能に構成されている。第2遊星歯車装置26の第2キャリアCA2および第3遊星歯車装置28の第3キャリアCA3は、互いに連結されるとともに、出力回転部材32に接続されている。第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、互いに共通の部材である第2リングギヤR2が用いられ、第2ブレーキB2を介してケース18に選択的に接続可能に構成されているとともに、第2クラッチC2を介してタービン軸16に選択的に接続可能に構成されている。さらに、第2リングギヤR2および第3リングギヤR3は、第2ブレーキB2と並列に設けられているワンウェイクラッチOWCを介してケース18に接続されている。第3遊星歯車装置28の第3サンギヤS3は、第1クラッチC1を介してタービン軸16に選択的に接続可能に構成されている。
自動変速機14は、上記2つのクラッチC1、C2、および3つのブレーキB1〜B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)を備えており、それらのクラッチCおよびブレーキBがそれぞれ係合、開放されることにより、第1変速部24および第2変速部30の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)の連結状態が変更されて、第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の6つの前進変速段が成立させられるとともに、後進変速段「Rev」が成立させられる。クラッチCおよびブレーキBは、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式の摩擦係合装置で、それぞれ係合、開放状態が切り換えられるとともに、係合、開放時の過渡油圧などが制御される。
上述したように第2遊星歯車装置26の第2キャリアCA2および第3遊星歯車装置28の第3キャリアCA3は、互いに連結されて一体化されており、1つの構造体(以下、キャリアCA-aという)として構成されている。以下、このキャリアCA-aの構造について説明する。
図2は、キャリアCA-a(本発明のキャリアに対応)の焼結前の断面図であり、図3は、図2の破線で囲まれる部位の部分拡大図である。キャリアCA-aは、第1キャリア部材40と、第1キャリア部材40と軸方向において直列に接続される第2キャリア部材42と、第2キャリア部材42を収容するようにして配置される第3キャリア部材46とを、含んで構成され、これらの部材が互いにロウ付けによって接続されることで一体的に構成される。また、焼結前にあっては、第1キャリア部材40ないし第3キャリア部材46は、焼結型内で金属粉末を圧紛成形することにより成形される。なお、第1キャリア部材40が、本発明のピニオンギヤの軸方向の一部を収容する第1部材に対応し、第2キャリア部材42が、本発明のピニオンギヤの軸方向の他方側を収容する第2部材に対応し、第3キャリア部材46が、本発明の第2部材を収容する第3部材に対応している。
第1キャリア部材40は、第2遊星歯車P2および第3遊星歯車P3を回転可能な状態で収容する。第1キャリア部材40は、ピニオンシャフトが挿通されるシャフト挿通部40aと、そのシャフト挿通部40aの外周部から軸方向に伸びる4本の連結部40bとを、含んで構成されている。なお、第1キャリア部材40は、焼結によって成形される。
シャフト挿通部40aには、第2遊星歯車P2(ショートピニオンギヤ)を回転可能に支持するためのピニオンシャフトが挿通される第1シャフト穴48が周方向に4個形成され、第3遊星歯車P3(ロングピニオンギヤ)を回転可能に支持するためのピニオンシャフトが挿通される第2シャフト穴50が周方向に4個形成されている。これら第1シャフト穴48および第2シャフト穴50は、周方向に交互に配置されている。
連結部40bは、軸方向から見た断面は例えば扇状に形成され、周方向において等角度間隔で配置されている。また、連結部40bの軸方向においてシャフト挿通部40aと反対側の端面43が、第2キャリア部材42の軸方向の端面44および第3キャリア部材46の軸方向の端面45に対向しつつ当接している。この状態で互いの部材がロウ付けされることで一体的に成形される。このように、第1キャリア部材40はロウ付けされる端面43を有し、第2キャリア42はロウ付けされる端面44を有し、第3キャリア部材46は、ロウ付けされる端面45を有している。また、これらの端面43、44、45は、一平面上であって、互いに隣接している。なお、端面43が本発明の第1部材のロウ付けされるロウ付け面に対応し、端面44が本発明の第2部材のロウ付けされるロウ付け面に対応し、端面45が本発明のロウ付けされる第3部材のロウ付け面に対応する。
第2キャリア部材42は、第3遊星歯車P3を回転可能な状態で収容する。第2キャリア部材42は、第1キャリア部材40とはキャリアの軸方向反対側に配置され、ピニオンシャフトが挿通されるシャフト挿通部42aと、そのシャフト挿通部42aから第1キャリア部材40との当接部に向かって軸方向に伸びる4個の連結部42bとを含んで構成されている。なお、第2キャリア部材42は、焼結によって成形される。
シャフト挿通部42aには、第3遊星歯車P3(ロングピニオンギヤ)を回転可能に支持するためのピニオンシャフトが挿通される第4シャフト穴54が周方向に4個形成され、連結部42bには、第2遊星歯車P2(ショートピニオンギヤ)を回転可能に支持するためのピニオンシャフトが挿通される第3シャフト穴52が周方向に4個形成されている。これら第3シャフト穴52および第4シャフト穴54は、周方向に交互に配置されている。また、第1シャフト穴48と第3シャフト穴52とが、同じ回転位置(回転位相)に形成され、第2シャフト穴50と第4シャフト穴54とが、同じ回転位置(回転位相)に配置される。よって、第2遊星歯車P2を回転可能に支持するピニオンシャフトの両端が、第1シャフト穴48および第3シャフト穴52によって保持され、第3遊星歯車P3を回転可能に支持するピニオンシャフトの両端が、第2シャフト穴50および第4シャフト穴54によって保持される。
第2キャリア部材42の連結部42bは、キャリアの軸方向から見た断面が扇形状を有しており、周方向に等角度間隔で4個形成されている。また、連結部42bは、第1キャリア部材40の連結部40bと周方向において同じ位相に配置されており、連結部40bの軸方向の端面43の一部(内周側)と、連結部42bの軸方向の端面44とが当接している。
第3キャリア部材46は、第2キャリア部材42の外周側に配置されている。第3キャリア部材46は、第1キャリア部材40の連結部40bに当接し円環板状に形成されている円板部46aと、円板部46aの外周端部から軸方向において第1キャリア部材40とはキャリアの軸方向反対側に配置される円筒状の筒部46bとを含んで構成されている。なお、第3キャリア部材46は、焼結によって成形される。
第3キャリア部材46の円板部46aの軸方向において、ピニオンギヤ側の端部45は、第1キャリア部材40の連結部40bの端面43の一部と当接している。また、円板部46aの内周端面が、第2キャリア部材42の連結部42bに当接している。この状態で、第1キャリア部材40の連結部40bと、第2キャリア部材42の連結部42bと、第3キャリア部材46の円板部46aとが、ロウ付けによって互いに接続させられる。
第3キャリア部材46の円板部46aには、これら第1キャリア40ないし第3キャリア46をロウ付けするためのロウ材56が設けられている。図4は、図2を矢印A側から見た矢視図である。図3および図4に示すように、第3キャリア部材46の円板部46aには、軸方向に貫通するロウ材設置穴58が周方向に複数個(本実施例では8個)形成されている。このロウ材設置穴58は、円板部46aを軸方向に貫通し、その穴の径は、円柱形状のロウ材56を挿し入れることができる程度(ロウ材56の直径と同程度)に設計されている。また、図3に示すように、第1キャリア部材40の連結部40bの端面43にも同様に、ロウ材設置穴60が形成されている。ロウ材設置穴60は、ロウ材設置穴58と対応する位置に形成されている。詳細には、ロウ材設置穴60は、周方向においてロウ材設置穴58と同じ回転位置(回転位相)であって、且つ、径方向にもロウ材設置穴58と同じ位置に形成されている。また、ロウ材設置穴60は、ロウ材56を挿し入れることができる程度の直径、すなわちロウ材設置穴58と同程度の直径で所定の深さ(ロウ材56の一部を収容できる程度)を有して形成されている。従って、キャリアCA-aの組付の際には、第1キャリア部材40と第3キャリア部材46とが当接した状態で、ロウ材設置穴58およびロウ材設置穴60にロウ材56が挿入可能となる。なお、ロウ材設置穴58およびロウ材設置穴60が、本発明のロウ材ポケットに対応している。
そして、図2において、第1キャリア部材40のシャフト挿通部40aが鉛直下方に位置した状態で、連結部40bの端面43に、第2キャリア部材42の連結部42の42bの端面44、および第3キャリア部材46の円筒部46aの端面45が当接した状態に組み付けられる。さらに、ロウ材設置穴58およびロウ材設置60に、共通のロウ材56が挿入される。このとき、連結部40bの端面43(ロウ付け面)と連結部42bの端面44(ロウ付け面)との間の合わせ面X1、および連結部40bの端面43(ロウ付け面)と円板部46aの端面45(ロウ付け面)との間の合わせ面X2が、隣接した一平面上に形成される。
そして、この状態でキャリアCA-aが焼結炉内で焼結される。このとき、第1キャリア部材40ないし第3キャリア部材46が焼き固められるとともに、ロウ材56が溶け出し、ロウ材56が、連結部40bの端面43と連結部42bの端面44との間の合わせ面X1、および連結部40bの端面43と円板部46aの端面45との間の合わせ面X2の間に流れ込む。すなわち、前記合わせ面X1と合わせ面X2とが、隣接した一平面上に形成されることで、合わせ面X1と合わせ面X2との間に、溶け出したロウ材56が流れ込む。従って、合わせ面X1に隣接して設けられたロウ材56によって、第1キャリア部材40と、第2キャリア部材42と、第3キャリア部材46とが同時にロウ付されることとなる。
このように、合わせ面X1および合わせ面X2を一平面上に隣接して形成し、ロウ材56を合わせ面X1に隣接して設けることで、ロウ材56が合わせ面X1および合わせ面X2の両方に流れ込む。従って、ロウ材56によって、第1キャリア部材40と、第2キャリア部材42と、第3キャリア部材46とが、同時にロウ付けされる。すなわち、第1キャリア部材40の端面43は、その第1キャリア部材40以外の第2キャリア部材42の端面44および第3キャリア部材46の端面45とロウ材56を共有してロウ付けされる。また、共通のロウ材56が合わせ面X1および合わせ面X2に流れ込むので、ロウ材56が効率よく使用され、ロウ材の総消費量も低減される。
なお、ロウ材56は、実際には周方向に複数個(本実施例では8個)配置されており、8個のロウ材56によってキャリアCA-aがロウ付けされる。従って、キャリアCA-aを組付ける際には、8個のロウ材56をロウ材設置穴58およびロウ材設置穴60に挿入する工程(1工程)が実施される。これに対して、従来構造のキャリアにあっては、第1部材と第2部材とをロウ付けするロウ材の設置位置と、第1部材と第3部材とをロウ付けするロウ材の設置位置とが異なる平面上に存在するため、第1部材と第2部材とをロウ付けする複数個のロウ材を組付ける工程と、第1部材と第3部材とをロウ付けする複数個のロウ材を組付ける工程とが実施され、ロウ材を組付ける工程が実質的に2工程となる。従って、本実施例にあっては、従来構造のキャリアに比べてキャリアを組付ける工数が低減される。
また、第3キャリア部材46に形成される8個のロウ材設置穴58、および第1キャリア部材40に形成される8個のロウ材設置穴60は、何れも焼結によって一度に成形されるので、これらのロウ材設置穴58、60を形成する工程については不要となる。これに対して、従来構造においてもロウ材を配置するロウ材設置穴(ポケット)を焼結によって成形することができるが、ロウ材設置穴が異なる部位に形成されるため、焼結型が複雑となり焼結型の費用も高くなる。
上述のように、本実施例によれば、第1キャリア部材40の端面43が、第2キャリア部材42の端面44および第3キャリア部材46の端面45と当接することで、第1キャリア部材40の端面43でこれら3つの部材がロウ付けされる。従って、従来のような3つの部材をロウ付けする際に形成される2つの面(合わせ面)が乖離した位置に形成される場合と比べて、ロウ材を設置する工数を削減することができる。また、共通のロウ材56で第1キャリア部材40と第2キャリア部材42と第3キャリア部材46とがロウ付けされるので、ロウ材56の無駄がなくなり、結果としてロウ材56の使用量を低減することもできる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、本発明の他の実施例であるキャリアCA-bの焼結前の断面図であり、図6は、図5の破線で囲まれる部位の部分拡大図である。本実施例のキャリアCA-bにあっては、後述する第1部材70と第2部材72との間にロウ材56が設置されている。以下、前述の実施例と相違する部位について説明する。
本実施例のキャリアCA-bは、第1キャリア部材70と、第2キャリア部材72と、第3キャリア部材74との3つの部材で構成されており、互いの部材がロウ付けされることで一体的に構成されている。なお、第1キャリア部材70が、本発明のピニオンギヤの軸方向の一部を収容する第1部材に対応し、第2キャリア部材72が、本発明のピニオンギヤの軸方向の他方側を収容する第2部材に対応し、第3キャリア部材74が、本発明の第2部材を収容する第3部材に対応している。
第1キャリア部材70は、円環板状に形成されている円板部70aと、その円板部70aの外周部から軸方向に伸びる4本の連結部70bとを、含んで構成されている。なお、第1キャリア部材70は、焼結によって成形される。
連結部70bは、例えば断面が扇状に形成され、周方向において等角度間隔で配置されている。また、連結部70bの軸方向において円板部70aと反対側の端面76が、第2キャリア部材72の端面78および第3キャリア部材74の端面80に当接している。また、連結部70bの端面76には、ロウ材56を設置するためのロウ材設置穴82が形成されている。このロウ材設置穴82は、ロウ材56を挿し入れることができる程度の直径、すなわちロウ材56の直径と同程度の直径で、所定の深さ(ロウ材56を収容できる程度)を有して形成されている。なお、端面76が本発明の第1部材のロウ付けされるロウ付け面に対応し、端面78が本発明の第2部材のロウ付けされるロウ付け面に対応し、端面80が本発明の第3部材のロウ付けされるロウ付け面に対応している。
第2キャリア部材72は、第1キャリア部材70との当接部に対して乖離する側に配置され円環板状に形成されている円板部72aと、その円板部72aから第1キャリア部材70との当接部に向かって軸方向に伸びる4個の連結部72bとを含んで構成されている。なお、第2キャリア部材72は、焼結によって成形される。
連結部72bの第1キャリア部材70と当接する端面78には、ロウ材56を設置するためのロウ材設置穴84が形成されている。このロウ材設置穴84は、ロウ材設置穴82と対応する位置に形成されている。すなわち、ロウ材設置穴84は、キャリアCA-bの周方向においてロウ材設置穴82と同じ回転位置(回転位相)であって、且つ、キャリアCA-bの径方向にもロウ材設置穴82と同じ位置に形成されている。ロウ材設置穴84は、ロウ材56を挿し入れることができる程度の直径、すなわちロウ材56の直径と同程度の直径で、所定の深さ(ロウ材56の一部を収容できる程度)を有して形成されている。従って、組付の際には、ロウ材設置穴82とロウ材設置穴84との間にロウ材56を設置(介挿)することが可能となる。なお、連結部72bにあっては、端面78にロウ材設置穴84を形成できる程度に、第1キャリア部材70と当接する側の端面近傍の径方向の厚みが厚く設計されている。
第3キャリア部材74は、第1キャリア部材70の連結部70bに当接する円環板状の円板部74aと、円板部74aの外周端部から第1キャリア部材70から乖離する側に向かって軸方向に伸びる円筒状の筒部74bとを、含んで構成されている。なお、第3キャリア部材74は、焼結によって成形される。
キャリアCA-bは、第1キャリア部材70の円板部70aが鉛直下方に位置した状態で、ロウ材56がロウ材設置材82に組み付けられ、さらに、鉛直上方から第2キャリア部材72および第3キャリア部材74が組み付けられる。そして、この状態でキャリアCA-bが焼結炉内で焼結される。このとき、第1キャリア部材70と第2キャリア部材72との間に介挿されているロウ材56が溶け出し、第1キャリア部材70(連結部70b)の端面76と第2キャリア部材72(連結部72b)の端面78との合わせ面X1、および第1キャリア部材70の端面76と第3キャリア部材74(円板部74a)の端面80との合わせ面X2の間に溶け出したロウ材56が流れ込む。このように、前記合わせ面X1および合わせ面X2が隣接した一平面上に形成されることで、ロウ材56が溶け出すと、第1キャリア部材70と、第2キャリア部材72と、第3キャリア部材74とが同時にロウ付けされる。
上述のように、本実施例によっても前述の実施例と同様の効果を得ることができ、キャリアCA-bの組付の工数を低減することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述実施例では、キャリアCA-aおよびCA-bはラビニヨ型の遊星歯車装置に用いされているが、必ずしもラビニヨ型の遊星歯車装置に限定されるものではなく、本発明は、シングルピニオン型ないしはダブルピニオン型の遊星歯車装置のキャリアであっても適用することができる。また、前述の実施例では、キャリアCA-aおよびCA-bを構成する第1キャリア部材40、70ないし第3キャリア部材46、74が何れも焼結によって成形されているが、例えば第3キャリア部材46、70は鉄材から構成されてプレスによって形成されるなど適宜変更することができる。なお、第3キャリア部材46が鉄材から構成される場合には、ロウ材56を設置するロウ材設置穴58を切削によって形成する必要があるため、ロウ材設置穴が形成される部材は、焼結によって成形されることが好ましい。
また、前述の実施例では、連結部42b、72bが周方向に等角度間隔で4個形成されているが、連結部42b、72bの個数は必ずしも4個に限定されず、3個ないしは5個以上形成されても構わない。具体的には、遊星歯車の個数に応じて適宜変更される。
また、前述の実施例では、キャリアCA-aにおいて、第1キャリア部材40の連結部40bにもロウ材設置穴60が形成されているが、このロウ材設置穴60をなくして実施しても構わない。また、前述の実施例では、キャリアCA-bにおいて、第1キャリア部材70の連結部70bにロウ材設置穴82が形成されているが、このロウ材設置穴82をなくして実施しても構わない。すなわち、焼結の際に、第1キャリア部材40を鉛直下方に位置した状態で組み付けられるため、ロウ付け面に対して鉛直下方に位置するロウ材をなくして実施しても構わない。なお、焼結の際にロウ材をロウ付け面よりも鉛直上方に配置するのは、ロウ材が溶け出した際にロウ材をロウ付け面に流れ込ませるためである。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。