以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の設置例を示す概略図である。図1に基づいて、空気調和装置の設置例について説明する。この空気調和装置は、冷媒(熱源側冷媒、熱媒体)を循環させる冷凍サイクル(冷媒循環回路A、熱媒体循環回路B)を利用することで各室内機が運転モードとして冷房モードあるいは暖房モードを自由に選択できるものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
図1においては、本実施の形態1に係る空気調和装置は、熱源機である1台の室外機1と、複数台の室内機2と、室外機1と室内機2との間に介在する熱媒体変換機3と、を有している。熱媒体変換機3は、熱源側冷媒と熱媒体とで熱交換を行うものである。室外機1と熱媒体変換機3とは、熱源側冷媒を導通する冷媒配管4で接続されている。熱媒体変換機3と室内機2とは、熱媒体を導通する配管(熱媒体配管)5で接続されている。そして、室外機1で生成された冷熱あるいは温熱は、熱媒体変換機3を介して室内機2に配送されるようになっている。
室外機1は、通常、ビル等の建物9の外の空間(たとえば、屋上等)である室外空間6に配置され、熱媒体変換機3を介して室内機2に冷熱又は温熱を供給するものである。室内機2は、建物9の内部の空間(たとえば、居室等)である室内空間7に冷房用空気あるいは暖房用空気を供給できる位置に配置され、空調対象空間となる室内空間7に冷房用空気あるいは暖房用空気を供給するものである。熱媒体変換機3は、室外機1及び室内機2とは別筐体として、室外空間6及び室内空間7とは別の位置に設置できるように構成されており、室外機1及び室内機2とは冷媒配管4及び配管5でそれぞれ接続され、室外機1から供給される冷熱あるいは温熱を室内機2に伝達するものである。
図1に示すように、本実施の形態1に係る空気調和装置においては、室外機1と熱媒体変換機3とが2本の冷媒配管4を用いて、熱媒体変換機3と各室内機2とが2本の配管5を用いて、それぞれ接続されている。このように、本実施の形態1に係る空気調和装置では、2本の配管(冷媒配管4、配管5)を用いて各ユニット(室外機1、室内機2及び熱媒体変換機3)を接続することにより、施工が容易となっている。
なお、図1においては、熱媒体変換機3が、建物9の内部ではあるが室内空間7とは別の空間である天井裏等の空間(以下、単に空間8と称する)に設置されている状態を例に示している。熱媒体変換機3は、その他、エレベーター等がある共用空間等に設置することも可能である。また、図1においては、室内機2が天井カセット型である場合を例に示してあるが、これに限定するものではなく、天井埋込型や天井吊下式等、室内空間7に直接またはダクト等により、暖房用空気あるいは冷房用空気を吹き出せるようになっていればどんな種類のものでもよい。
図1においては、室外機1が室外空間6に設置されている場合を例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、室外機1は、換気口付の機械室等の囲まれた空間に設置してもよく、排気ダクトで廃熱を建物9の外に排気することができるのであれば建物9の内部に設置してもよく、あるいは、水冷式の室外機1を用いて建物9の内部に設置するようにしてもよい。どのような場所に室外機1を設置するとしても、特段の問題が発生することはない。
また、熱媒体変換機3は、室外機1の近傍に設置することもできる。ただし、熱媒体変換機3から室内機2までの距離が長すぎると、熱媒体の搬送動力がかなり大きくなるため、省エネの効果は薄れることに留意が必要である。さらに、室外機1、室内機2及び熱媒体変換機3の接続台数を図1に図示してある台数に限定するものではなく、本実施の形態1に係る空気調和装置が設置される建物9に応じて台数を決定すればよい。
1台の室外機1に対して複数台の熱媒体変換機3を接続する場合、その複数台の熱媒体変換機3をビル等の建物における共用スペースまたは天井裏等のスペースに点在して設置することができる。そうすることにより、各熱媒体変換機3内の熱媒体間熱交換器で空調負荷を賄うことができる。また、室内機2を、各熱媒体変換機3内における熱媒体搬送装置の搬送許容範囲内の距離または高さに設置することが可能であり、ビル等の建物全体へ対しての配置が可能となる。
図2は、本実施の形態1に係る空気調和装置(以下、空気調和装置100と称する)の回路構成の一例を示す概略回路構成図である。図2に基づいて、空気調和装置100の構成について簡単に説明する。図2に示すように、室外機1と熱媒体変換機3とが、熱媒体変換機3に備えられている熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bを介して冷媒配管4で接続されている。また、熱媒体変換機3と室内機2とも、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bを介して配管5で接続されている。なお、冷媒配管4及び配管5については後段で詳述するものとする。
[室外機1]
室外機1には、圧縮機10と、四方弁等の第1冷媒流路切替装置11と、熱源側熱交換器12と、アキュムレーター19とが冷媒配管4で直列に接続されて搭載されている。また、室外機1には、第1接続配管4a、第2接続配管4b、逆止弁13a、逆止弁13b、逆止弁13c、及び、逆止弁13dが設けられている。第1接続配管4a、第2接続配管4b、逆止弁13a、逆止弁13b、逆止弁13c、及び、逆止弁13dを設けることで、室内機2の要求する運転に関わらず、熱媒体変換機3に流入させる熱源側冷媒の流れを一定方向にすることができる。なお、室外機1に搭載される各機器については以下の運転モードと併せて説明するものとする。
圧縮機10は、熱源側冷媒を吸入し、その熱源側冷媒を圧縮して高温高圧の状態にするものであり、たとえば容量制御可能なインバータ圧縮機等で構成するとよい。第1冷媒流路切替装置11は、暖房運転時(全暖房運転モード時及び暖房主体運転モード時)における熱源側冷媒の流れと冷房運転時(全冷房運転モード時及び冷房主体運転モード時)における熱源側冷媒の流れとを切り替えるものである。熱源側熱交換器12は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器(または放熱器)として機能し、図示省略の送風機から供給される空気と熱源側冷媒との間で熱交換を行い、その熱源側冷媒を蒸発ガス化又は凝縮液化するものである。アキュムレーター19は、圧縮機10の吸入側に設けられており、暖房運転時と冷房運転時の違いによる余剰冷媒、または過渡的な運転の変化に対する余剰冷媒を蓄えるものである。
逆止弁13dは、熱媒体変換機3と第1冷媒流路切替装置11との間における冷媒配管4に設けられ、所定の方向(熱媒体変換機3から室外機1への方向)のみに熱源側冷媒の流れを許容するものである。逆止弁13aは、熱源側熱交換器12と熱媒体変換機3との間における冷媒配管4に設けられ、所定の方向(室外機1から熱媒体変換機3への方向)のみに熱源側冷媒の流れを許容するものである。逆止弁13bは、第1接続配管4aに設けられ、暖房運転時において圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱媒体変換機3に流通させるものである。逆止弁13cは、第2接続配管4bに設けられ、暖房運転時において熱媒体変換機3から戻ってきた熱源側冷媒を圧縮機10の吸入側に流通させるものである。
第1接続配管4aは、室外機1内において、第1冷媒流路切替装置11と逆止弁13dとの間における冷媒配管4と、逆止弁13aと熱媒体変換機3との間における冷媒配管4と、を接続するものである。第2接続配管4bは、室外機1内において、逆止弁13dと熱媒体変換機3との間における冷媒配管4と、熱源側熱交換器12と逆止弁13aとの間における冷媒配管4と、を接続するものである。
冷凍サイクルにおいては、冷媒の温度が高くなると、回路内を循環している冷媒及び冷凍機油が劣化するため、冷媒温度の上限値が設定されている。この上限温度は、通常120℃である。冷凍サイクル内で温度が最も高くなるのは、圧縮機10の吐出側の冷媒温度(吐出温度)であるため、吐出温度が120℃以上にならないように制御をすればよい。ただし、R410A等の冷媒を使用している場合は、通常運転において吐出温度が120℃に達することは少ないが、R32を冷媒として使用すると、物性的に吐出温度が高くなるため、冷凍サイクルに吐出温度を低下させる手段を備えておく必要がある。
そこで、室外機1に、気液分離器27a、気液分離器27b、開閉装置24、逆流防止装置20、絞り装置14a、絞り装置14b、分岐配管4d、インジェクション配管4c、冷媒−冷媒間熱交換器28、中圧検出装置32、吐出冷媒温度検出装置37、高圧検出装置39、吸入圧力検出装置33、吸入冷媒温度検出装置38、制御装置50を備えるようにしている。また、圧縮機10としては、密閉容器内に圧縮室を有し、密閉容器内が低圧の冷媒圧雰囲気となり、圧縮室に密閉容器内の低圧冷媒を吸入して圧縮する低圧シェル構造のものを使用している。
気液分離器27aは、逆止弁13aの下流側であって、第1接続配管4aの接続部分よりも熱媒体変換機3側に設置され、流入した熱源側冷媒を気液で分離し、分離した熱源側冷媒を冷媒配管4と分岐配管4dとに分けるものである。気液分離器27bは、逆止弁13dの上流側であって、第2接続配管4bの接続部分よりも熱媒体変換機3側に設置され、流入した熱源側冷媒を気液で分離し、分離した熱源側冷媒を冷媒配管4と分岐配管4dとに分けるものである。
分岐配管4dは、気液分離器27aと、気液分離器27bと、を接続する冷媒配管である。インジェクション配管4cは、開閉装置24と逆流防止装置20との間における分岐配管4dと、圧縮機10の図示省略のインジェクションポートと、を接続する冷媒配管である。このインジェクションポートは、圧縮機10の圧縮室の一部に形成されている開口部に連通するようになっている。つまり、インジェクション配管4cは、圧縮機10の密閉容器の外部から圧縮室の内部に冷媒を導入(注入)可能にするものである。
開閉装置24は、分岐配管4dのインジェクション配管4cとの接続部分よりも気液分離器27a側に設置され、分岐配管4dを開閉するものである。逆流防止装置20は、分岐配管4dのインジェクション配管4cとの接続部分よりも気液分離器27b側に設置され、所定の方向(気液分離器27bから気液分離器27aへの方向)のみに熱源側冷媒の流れを許容するものである。絞り装置14aは、第2接続配管4bの逆止弁13cの上流側に設けられ、減圧弁や膨張弁としての機能を有し、熱源側冷媒を減圧して膨張させるものである。
絞り装置14bは、インジェクション配管4cの冷媒−冷媒間熱交換器28の一次側下流、二次側上流となる位置に設けられ、減圧弁や膨張弁としての機能を有し、熱源側冷媒を減圧して膨張させるものである。冷媒−冷媒間熱交換器28は、インジェクション配管4cを流れる熱源側冷媒同士で熱交換を実行するものである。つまり、冷媒−冷媒間熱交換器28は、インジェクション配管4cに流入してきた熱源側冷媒(一次側)と、絞り装置14bを経由してきた熱源側冷媒(二次側)と、の間で熱交換を行える位置に配置され、これらで熱交換を行うようになっている。
中圧検出装置32は、逆止弁13dと絞り装置14aの上流側であって気液分離器27bの下流側に設けられており、設置位置における冷媒配管4を流れる冷媒の圧力を検出するものである。吐出冷媒温度検出装置37は、圧縮機10の吐出側に設けられており、圧縮機10から吐出された冷媒の温度を検出するものである。吸入冷媒温度検出装置38は、圧縮機10の吸入側に設けられており、圧縮機10に吸入される冷媒の温度を検出するものである。高圧検出装置39は、圧縮機10の吐出側に設けられており、圧縮機10から吐出された冷媒の圧力を検出するものである。吸入圧力検出装置33は、圧縮機10の吸入側に設けられており、圧縮機10に吸入される冷媒の圧力を検出するものである。
制御装置50は、冷媒をインジェクション配管4cから圧縮機10の圧縮室に導入することにより圧縮機10から吐出される冷媒の温度または圧縮機10から吐出される冷媒の過熱度(吐出スーパーヒート)を低下させるようにものである。つまり、制御装置50で、開閉装置24、絞り装置14a、絞り装置14b等を制御することにより、圧縮機10の吐出温度を低下させ、安全に運転させることができるようになっている。
制御装置50が実行する具体的な制御動作については、後述の各運転モードの動作説明において説明を行う。なお、制御装置50は、マイコン等で構成されており、各種検出装置での検出情報及びリモコンからの指示に基づいて、制御を行うもので、上述のアクチュエーター(たとえば、開閉装置24、絞り装置14a、絞り装置14b等)の制御の他に、圧縮機10の駆動周波数、図示省略の送風機の回転数(ON/OFF含む)、第1冷媒流路切替装置11の切り替え等を制御し、後述する各運転モードを実行するようになっている。
冷媒としてR410Aを使用した場合とR32を使用した場合との吐出温度の差について、簡単に説明する。ここでは、冷凍サイクルの蒸発温度が0℃、凝縮温度が49℃、圧縮機吸入冷媒のスーパーヒート(過熱度)が0℃である場合を考える。
冷媒としてR410Aを使用し、断熱圧縮(等エントロピー圧縮)がなされたものとすると、R410Aの物性より、圧縮機10の吐出温度は約70℃となる。一方、冷媒としてR32を使用し、断熱圧縮(等エントロピー圧縮)がなされたものとすると、R32の物性より、圧縮機10の吐出温度は約86℃となる。すなわち、冷媒としてR32を使用した場合は、R410Aを使用した場合に対して、約16℃、吐出温度が上昇することになる。
実際の運転では、圧縮機10ではポリトロープ圧縮がなされ、断熱圧縮よりも効率の悪い運転になるため、上述の値よりも、更に吐出温度が高くなる。R410Aを冷媒として用いた場合において、吐出温度が100℃を超える状態で運転されることは頻繁に発生する。R410Aにおいて吐出温度が104℃を超える状態で運転されているような条件で、R32を冷媒として用いた場合、120℃の吐出温度限界を超えてしまうため、吐出温度を低下させる必要がある。
圧縮機として、吸入冷媒が直接圧縮室に吸入され、圧縮室から吐出された冷媒が、圧縮室周囲の密閉容器内に吐出される高圧シェル構造のものを使用している場合は、吸入冷媒を飽和状態よりも湿らせ、二相状態の冷媒を圧縮室に吸入させることにより、吐出温度を低下させることができる。しかしながら、圧縮機10として低圧シェル構造のものを使用している場合は、吸入冷媒を湿らせても、圧縮機10のシェル内に液冷媒が溜まるだけで、圧縮室に二相冷媒が吸入されることはない。したがって、低圧シェル構造の圧縮機10を使用し、吐出温度が高くなるR32冷媒等を使用している場合に、吐出温度を低下させるためには、圧縮機10の外部から圧縮途中の圧縮室に低温の冷媒をインジェクションし、冷媒の温度を低下させる方法が考えられる。そこで、上述したような方法により、吐出温度を低下させるとよい。
なお、圧縮機10の圧縮室へのインジェクション流量の制御は、吐出温度を目標値、たとえば100℃になるように制御し、制御目標値を外気温度に応じて変化させるようにしてもよい。また、圧縮機10の圧縮室へのインジェクション流量の制御は、吐出温度が目標値、たとえば110℃を超えそうな場合にインジェクションをし、それ以下である場合はインジェクションをしないようにしてもよい。さらに、圧縮機10の圧縮室へのインジェクション流量の制御は、吐出温度が目標範囲内、たとえば80℃から100℃に収まるように制御し、吐出温度が目標範囲の上限を超えそうな場合にインジェクション流量を増やし、吐出温度が目標範囲の下限を下回りそうな場合にインジェクション流量を減らすようにしてもよい。
またさらに、圧縮機10の圧縮室へのインジェクション流量の制御は、高圧検出装置39にて検出した高圧と、吐出冷媒温度検出装置37にて検出した吐出温度とを用いて、吐出スーパーヒート(吐出加熱度)を算出し、この吐出スーパーヒートが目標値、たとえば30℃になるようにインジェクション流量を制御し、制御目標値を外気温度に応じて変化させるようにしてもよい。また、圧縮機10の圧縮室へのインジェクション流量の制御は、吐出スーパーヒートが目標値、たとえば40℃を超えそうな場合にインジェクションをし、それ以下である場合はインジェクションをしないようにしてもよい。
さらに、圧縮機10の圧縮室へのインジェクション流量の制御は、吐出スーパーヒートが目標範囲内、たとえば10℃から40℃に収まるように制御し、吐出スーパーヒートが目標範囲の上限を超えそうな場合にインジェクション流量を増やし、吐出スーパーヒートが目標範囲の下限を下回りそうな場合にインジェクション流量を減らすようにしてもよい。
なお、冷媒配管4内にR32が循環している場合について説明したが、これに限定するものではない。従来のR410A冷媒と、凝縮温度、蒸発温度、スーパーヒート(過熱度)、サブクール(過冷却度)、圧縮機効率が同一である時に、吐出温度がR410A冷媒よりも、高くなる冷媒であれば、どんな冷媒であっても、本実施の形態1の構成により、吐出温度を低下でき、同様の効果を奏する。特に、R410Aよりも、3℃以上高くなる冷媒であれば、より効果が大きい。
図3は、混合冷媒(R32と地球温暖化係数が小さく化学式がCF3 CF=CH2 で表されるテトラフルオロプロペン系冷媒であるHFO1234yfとの混合冷媒)を使用した場合のR32の質量比率と吐出温度との関係を示すグラフである。図3に基づいて、この混合冷媒を用いた場合において、上述の説明と同様の方法で吐出温度を試算した場合の、R32の質量比率に対する吐出温度の変化について説明する。
図3から、R32の質量比率が52%の時に、R410Aとほぼ同一の吐出温度である約70℃となり、R32の質量比率が62%の時に、R410Aの吐出温度よりも3℃高い約73℃になることが分かる。これより、R32とHFO1234yfとの混合冷媒においては、R32の質量比率が62%以上の混合冷媒を使用する場合に、インジェクションにより吐出温度を低下させるようにすると、効果が大きい。
また、R32と地球温暖化係数が小さく化学式がCF3 CH=CHFで表されるテトラフルオロプロペン系冷媒であるHFO1234zeとの混合冷媒を用いた場合において、上述の説明と同様の方法で吐出温度を試算した場合のR32の質量比率に対する吐出温度の変化について説明する。この場合、R32の質量比率が34%の時に、R410Aとほぼ同一の吐出温度である約70℃となり、R32の質量比率が43%の時に、R410Aの吐出温度よりも3℃高い約73℃になることが分かっている。これより、R32とHFO1234zeとの混合冷媒においては、R32の質量比率が43%以上の混合冷媒を使用する場合に、インジェクションにより吐出温度を低下させるようにすると、効果が大きい。
なお、これらの試算は、NIST(National Institute of Standards and Technology)が発売しているREFPROP Version 8.0を用いて行った。また、混合冷媒における冷媒の種類はこれに限るものではなく、その他の冷媒成分を少量含んだ混合冷媒であっても、吐出温度には大きな影響がなく、同様の効果を奏する。たとえば、R32とHFO1234yfとその他の冷媒を少量含んだ混合冷媒等においても使用できる。なお、先に説明した通り、ここでの計算は、断熱圧縮を仮定した時のものであり、実際の圧縮はポリトロープ圧縮でなされるため、ここに記した温度より数十度以上、たとえば20℃以上高い値となる。
[室内機2]
室内機2には、それぞれ利用側熱交換器26が搭載されている。この利用側熱交換器26は、配管5によって熱媒体変換機3の熱媒体流量調整装置25と第2熱媒体流路切替装置23に接続するようになっている。この利用側熱交換器26は、図示省略の送風機から供給される空気と熱媒体との間で熱交換を行い、室内空間7に供給するための暖房用空気あるいは冷房用空気を生成するものである。
この図2では、4台の室内機2が熱媒体変換機3に接続されている場合を例に示しており、紙面下から室内機2a、室内機2b、室内機2c、室内機2dとして図示している。また、室内機2a〜室内機2dに応じて、利用側熱交換器26も、紙面下側から利用側熱交換器26a、利用側熱交換器26b、利用側熱交換器26c、利用側熱交換器26dとして図示している。なお、図1と同様に、室内機2の接続台数を図2に示す4台に限定するものではない。
[熱媒体変換機3]
熱媒体変換機3には、2つの熱媒体間熱交換器15と、2つの絞り装置16と、2つの開閉装置17と、2つの第2冷媒流路切替装置18と、2つのポンプ21と、4つの第1熱媒体流路切替装置22と、4つの第2熱媒体流路切替装置23と、4つの熱媒体流量調整装置25と、が搭載されている。なお、熱媒体変換機3に搭載される各機器については以下の運転モードと併せて説明するものとする。
2つの熱媒体間熱交換器15(熱媒体間熱交換器15a、熱媒体間熱交換器15b)は、凝縮器(放熱器)又は蒸発器として機能し、熱源側冷媒と熱媒体とで熱交換を行い、室外機1で生成され熱源側冷媒に貯えられた冷熱又は温熱を熱媒体に伝達するものである。熱媒体間熱交換器15aは、冷媒循環回路Aにおける絞り装置16aと第2冷媒流路切替装置18aとの間に設けられており、冷房暖房混在運転モード時において熱媒体の冷却に供するものである。また、熱媒体間熱交換器15bは、冷媒循環回路Aにおける絞り装置16bと第2冷媒流路切替装置18bとの間に設けられており、冷房暖房混在運転モード時において熱媒体の加熱に供するものである。
2つの絞り装置16(絞り装置16a、絞り装置16b)は、減圧弁や膨張弁としての機能を有し、熱源側冷媒を減圧して膨張させるものである。絞り装置16aは、冷房運転時の熱源側冷媒の流れにおいて熱媒体間熱交換器15aの上流側に設けられている。絞り装置16bは、冷房運転時の熱源側冷媒の流れにおいて熱媒体間熱交換器15bの上流側に設けられている。2つの絞り装置16は、開度(開口面積)が可変に制御可能なもの、たとえば電子式膨張弁等で構成するとよい。
2つの開閉装置17(開閉装置17a、開閉装置17b)は、二方弁等で構成されており、冷媒配管4を開閉するものである。開閉装置17aは、熱源側冷媒の入口側における冷媒配管4に設けられている。開閉装置17bは、熱源側冷媒の入口側と出口側の冷媒配管4を接続した配管(バイパス管24d)に設けられている。なお、開閉装置17は、冷媒配管4を開閉可能なものであればよく、たとえば電子式膨張弁等の開度を可変に制御が可能なものを用いてもよい。
2つの第2冷媒流路切替装置18(第2冷媒流路切替装置18a、第2冷媒流路切替装置18b)は、四方弁等で構成され、運転モードに応じて熱媒体間熱交換器15が凝縮器または蒸発器として作用するよう、熱源側冷媒の流れを切り替えるものである。第2冷媒流路切替装置18aは、冷房運転時の熱源側冷媒の流れにおいて熱媒体間熱交換器15aの下流側に設けられている。第2冷媒流路切替装置18bは、全冷房運転時の熱源側冷媒の流れにおいて熱媒体間熱交換器15bの下流側に設けられている。
2つのポンプ21(ポンプ21a、ポンプ21b)は、配管5を導通する熱媒体を熱媒体循環回路Bに循環させるものである。ポンプ21aは、熱媒体間熱交換器15aと第2熱媒体流路切替装置23との間における配管5に設けられている。ポンプ21bは、熱媒体間熱交換器15bと第2熱媒体流路切替装置23との間における配管5に設けられている。2つのポンプ21は、たとえば容量制御可能なポンプ等で構成し、室内機2における負荷の大きさによってその流量を調整できるようにしておくとよい。
4つの第1熱媒体流路切替装置22(第1熱媒体流路切替装置22a〜第1熱媒体流路切替装置22d)は、三方弁等で構成されており、熱媒体の流路を切り替えるものである。第1熱媒体流路切替装置22は、室内機2の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。第1熱媒体流路切替装置22は、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器15aに、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器15bに、三方のうちの一つが熱媒体流量調整装置25に、それぞれ接続され、利用側熱交換器26の熱媒体流路の出口側に設けられている。なお、室内機2に対応させて、紙面下側から第1熱媒体流路切替装置22a、第1熱媒体流路切替装置22b、第1熱媒体流路切替装置22c、第1熱媒体流路切替装置22dとして図示している。また、熱媒体流路の切替には、一方から他方への完全な切替だけでなく、一方から他方への部分的な切替も含んでいるものとする。
4つの第2熱媒体流路切替装置23(第2熱媒体流路切替装置23a〜第2熱媒体流路切替装置23d)は、三方弁等で構成されており、熱媒体の流路を切り替えるものである。第2熱媒体流路切替装置23は、室内機2の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。第2熱媒体流路切替装置23は、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器15aに、三方のうちの一つが熱媒体間熱交換器15bに、三方のうちの一つが利用側熱交換器26に、それぞれ接続され、利用側熱交換器26の熱媒体流路の入口側に設けられている。なお、室内機2に対応させて、紙面下側から第2熱媒体流路切替装置23a、第2熱媒体流路切替装置23b、第2熱媒体流路切替装置23c、第2熱媒体流路切替装置23dとして図示している。また、熱媒体流路の切替には、一方から他方への完全な切替だけでなく、一方から他方への部分的な切替も含んでいるものとする。
4つの熱媒体流量調整装置25(熱媒体流量調整装置25a〜熱媒体流量調整装置25d)は、開口面積を制御できる二方弁等で構成されており、配管5に流れる流量を制御するものである。熱媒体流量調整装置25は、室内機2の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。熱媒体流量調整装置25は、一方が利用側熱交換器26に、他方が第1熱媒体流路切替装置22に、それぞれ接続され、利用側熱交換器26の熱媒体流路の出口側に設けられている。すなわち、熱媒体流量調整装置25は、室内機2へ流入する熱媒体の温度及び流出する熱媒体の温度により室内機2へ流入する熱媒体の量を調整し、室内負荷に応じた最適な熱媒体量を室内機2に提供可能にするものである。
なお、室内機2に対応させて、紙面下側から熱媒体流量調整装置25a、熱媒体流量調整装置25b、熱媒体流量調整装置25c、熱媒体流量調整装置25dとして図示している。また、熱媒体流量調整装置25を利用側熱交換器26の熱媒体流路の入口側に設けてもよい。さらに、熱媒体流量調整装置25を利用側熱交換器26の熱媒体流路の入口側であって、第2熱媒体流路切替装置23と利用側熱交換器26との間に設けてもよい。またさらに、室内機2において、停止やサーモOFF等の負荷を必要としていないときは、熱媒体流量調整装置25を全閉にすることにより、室内機2への熱媒体供給を止めることができる。
また、熱媒体変換機3には、各種検出装置(2つの第1温度センサー31、4つの第2温度センサー34、4つの第3温度センサー35、及び、2つの圧力センサー36)が設けられている。これらの検出装置で検出された情報(温度情報、圧力情報)は、空気調和装置100の動作を統括制御する制御装置(たとえば制御装置50)に送られ、圧縮機10の駆動周波数、図示省略の送風機の回転数、第1冷媒流路切替装置11の切り替え、ポンプ21の駆動周波数、第2冷媒流路切替装置18の切り替え、熱媒体の流路の切替等の制御に利用されることになる。なお、制御装置50が室外機1内に搭載されている状態を例に示しているが、これに限定するものではなく、熱媒体変換機3又は室内機2、あるいは、各ユニットに通信可能に搭載するようにしてもよい。
2つの第1温度センサー31(第1温度センサー31a、第1温度センサー31b)は、熱媒体間熱交換器15から流出した熱媒体、つまり熱媒体間熱交換器15の出口における熱媒体の温度を検出するものであり、たとえばサーミスター等で構成するとよい。第1温度センサー31aは、ポンプ21aの入口側における配管5に設けられている。第1温度センサー31bは、ポンプ21bの入口側における配管5に設けられている。
4つの第2温度センサー34(第2温度センサー34a〜第2温度センサー34d)は、第1熱媒体流路切替装置22と熱媒体流量調整装置25との間に設けられ、利用側熱交換器26から流出した熱媒体の温度を検出するものであり、サーミスター等で構成するとよい。第2温度センサー34は、室内機2の設置台数に応じた個数(ここでは4つ)が設けられるようになっている。なお、室内機2に対応させて、紙面下側から第2温度センサー34a、第2温度センサー34b、第2温度センサー34c、第2温度センサー34dとして図示している。
4つの第3温度センサー35(第3温度センサー35a〜第3温度センサー35d)は、熱媒体間熱交換器15の熱源側冷媒の入口側または出口側に設けられ、熱媒体間熱交換器15に流入する熱源側冷媒の温度または熱媒体間熱交換器15から流出した熱源側冷媒の温度を検出するものであり、サーミスター等で構成するとよい。第3温度センサー35aは、熱媒体間熱交換器15aと第2冷媒流路切替装置18aとの間に設けられている。第3温度センサー35bは、熱媒体間熱交換器15aと絞り装置16aとの間に設けられている。第3温度センサー35cは、熱媒体間熱交換器15bと第2冷媒流路切替装置18bとの間に設けられている。第3温度センサー35dは、熱媒体間熱交換器15bと絞り装置16bとの間に設けられている。
圧力センサー36bは、第3温度センサー35dの設置位置と同様に、熱媒体間熱交換器15bと絞り装置16bとの間に設けられ、熱媒体間熱交換器15bと絞り装置16bとの間を流れる熱源側冷媒の圧力を検出するものである。圧力センサー36aは、第3温度センサー35aの設置位置と同様に、熱媒体間熱交換器15aと第2冷媒流路切替装置18aとの間に設けられ、熱媒体間熱交換器15aと第2冷媒流路切替装置18aとの間を流れる熱源側冷媒の圧力を検出するものである。
なお、制御装置(たとえば室外機1に備えられた制御装置50)は、マイコン等で構成されており、各種検出装置での検出情報及びリモコンからの指示に基づいて、ポンプ21の駆動、絞り装置16の開度、開閉装置17の開閉、第2冷媒流路切替装置18の切り替え、第1熱媒体流路切替装置22の切り替え、第2熱媒体流路切替装置23の切り替え、及び、熱媒体流量調整装置25の開度等を制御し、後述する各運転モードを実行するようになっている。なお、制御装置は、室外機1と熱媒体変換機3のいずれかのみに設けるようにしてもよい。
熱媒体を導通する配管5は、熱媒体間熱交換器15aに接続されるものと、熱媒体間熱交換器15bに接続されるものと、で構成されている。配管5は、熱媒体変換機3に接続される室内機2の台数に応じて分岐(ここでは、各4分岐)されている。そして、配管5は、第1熱媒体流路切替装置22、及び、第2熱媒体流路切替装置23で接続されている。第1熱媒体流路切替装置22及び第2熱媒体流路切替装置23を制御することで、熱媒体間熱交換器15aからの熱媒体を利用側熱交換器26に流入させるか、熱媒体間熱交換器15bからの熱媒体を利用側熱交換器26に流入させるかが決定されるようになっている。
そして、空気調和装置100では、圧縮機10、第1冷媒流路切替装置11、熱源側熱交換器12、開閉装置17、第2冷媒流路切替装置18、熱媒体間熱交換器15の冷媒流路、絞り装置16、及び、アキュムレーター19を、冷媒配管4で接続して冷媒循環回路Aを構成している。また、熱媒体間熱交換器15aの熱媒体流路、ポンプ21、第1熱媒体流路切替装置22、熱媒体流量調整装置25、利用側熱交換器26、及び、第2熱媒体流路切替装置23を、配管5で接続して熱媒体循環回路Bを構成している。つまり、熱媒体間熱交換器15のそれぞれに複数台の利用側熱交換器26が並列に接続され、熱媒体循環回路Bを複数系統としているのである。
よって、空気調和装置100では、室外機1と熱媒体変換機3とが、熱媒体変換機3に設けられている熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bを介して接続され、熱媒体変換機3と室内機2とも、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bを介して接続されている。すなわち、空気調和装置100では、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bで冷媒循環回路Aを循環する熱源側冷媒と熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体とが熱交換するようになっている。
[運転モード]
空気調和装置100が実行する各運転モードについて説明する。この空気調和装置100は、各室内機2からの指示に基づいて、その室内機2で冷房運転あるいは暖房運転が可能になっている。つまり、空気調和装置100は、室内機2の全部で同一運転をすることができるとともに、室内機2のそれぞれで異なる運転をすることができるようになっている。
空気調和装置100が実行する運転モードには、駆動している室内機2の全てが冷房運転を実行する全冷房運転モード、駆動している室内機2の全てが暖房運転を実行する全暖房運転モード、冷房暖房混在運転モードのうち暖房負荷よりも冷房負荷の方が大きい冷房主体運転モード、及び、冷房暖房混在運転モードのうち冷房負荷よりも暖房負荷の方が大きい暖房主体運転モードがある。以下に、各運転モードについて、熱源側冷媒及び熱媒体の流れとともに説明する。
[全冷房運転モード]
図4は、空気調和装置100の全冷房運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。この図4では、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bでのみ冷熱負荷が発生している場合を例に全冷房運転モードについて説明する。なお、図4では、太線で表された配管が冷媒(熱源側冷媒及び熱媒体)の流れる配管を示している。また、図4では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で、熱媒体の流れ方向を破線矢印で示している。
図4に示す全冷房運転モードの場合、室外機1では、第1冷媒流路切替装置11を、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12へ流入させるように切り替える。熱媒体変換機3では、ポンプ21a及びポンプ21bを駆動させ、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bを開放し、熱媒体流量調整装置25c及び熱媒体流量調整装置25dを全閉とし、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれと利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bとの間を熱媒体が循環するようにしている。
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を介して熱源側熱交換器12に流入する。そして、熱源側熱交換器12で室外空気に放熱しながら凝縮液化し、高圧液冷媒となる。熱源側熱交換器12から流出した高圧液冷媒は、逆止弁13aを通って、気液分離器27aを介して、一部が室外機1から流出し、冷媒配管4を通って熱媒体変換機3に流入する。熱媒体変換機3に流入した高圧液冷媒は、開閉装置17aを経由した後に分岐されて絞り装置16a及び絞り装置16bで膨張させられて、低温低圧の二相冷媒となる。
この二相冷媒は、蒸発器として作用する熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれに流入し、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体から吸熱することで、熱媒体を冷却しながら、低温低圧のガス冷媒となる。熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bから流出したガス冷媒は、第2冷媒流路切替装置18a及び第2冷媒流路切替装置18bを介して熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を通って再び室外機1へ流入する。室外機1に流入した冷媒は、気液分離器27bを介して、逆止弁13dを通って、第1冷媒流路切替装置11及びアキュムレーター19を介して、圧縮機10へ再度吸入される。
このとき、絞り装置16aは、第3温度センサー35aで検出された温度と第3温度センサー35bで検出された温度との差として得られるスーパーヒート(過熱度)が一定になるように開度(開口面積)が制御される。同様に、絞り装置16bは、第3温度センサー35cで検出された温度と第3温度センサー35dで検出された温度との差として得られるスーパーヒートが一定になるように開度が制御される。また、開閉装置17aは開、開閉装置17bは閉となっている。
熱源側冷媒がR32である場合、圧縮機10の吐出温度が高くなることがあるため、インジェクション回路を用いて、吐出温度を低下させる。このときの動作を図4及び図5を用いて説明する。図5は、全冷房運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図(圧力−エンタルピ線図)である。図5では、縦軸が圧力を、横軸がエンタルピを、それぞれ示している。
圧縮機10では、圧縮機10の吸入口から吸入された低温低圧のガス冷媒が密閉容器内に導入され、密閉容器内に満たされた低温低圧のガス冷媒が圧縮室(図示せず)に吸入される。圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図5の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
全冷房運転モードにおいては、圧縮機10で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器12にて凝縮液化されて高圧の液冷媒となり(図5の点J)、逆止弁13aを介して、気液分離器27aに至る。開閉装置24を開とし、この高圧液冷媒を、気液分離器27aで分岐して、開閉装置24、分岐配管4dを介して、インジェクション配管4cに流入させる。インジェクション配管4cに流入した冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して絞り装置14bで減圧され、低温中圧の二相冷媒となる。冷媒−冷媒間熱交換器28では、絞り装置14bで減圧される前の熱源側冷媒(一次側の冷媒)と減圧された後の冷媒(二次側の冷媒)との間で熱交換が行われる。
絞り装置14bに流入する熱源側冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧して圧力と温度が下がった熱源側冷媒により冷やされる(図5の点J’)。この熱源側冷媒は、絞り装置14bで絞られた後(図5の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧前の熱源側冷媒により加熱される(図5の点K)。そして、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入(インジェクション)される。圧縮機10の圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図5の点F)と低温中圧の二相冷媒(図5の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がる(図5の点H)。これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下することになる(図5の点I)。このようなインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図5の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。
絞り装置14bは、二相状態の冷媒が流入すると、安定した制御ができなくなることがある。そこで、空気調和装置100をこのような構成にすることにより、冷媒封入量が少ない等の原因により、熱源側熱交換器12の出口でのサブクール(過冷却度)が小さかったとしても、絞り装置14bに、確実に液冷媒を供給することができ、安定した制御を可能としている。
なお、この時、分岐配管4dの開閉装置24から逆流防止装置20に至る流路の冷媒は高圧冷媒であり、熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻り、気液分離器27bに至る冷媒は低圧冷媒である。逆流防止装置20は、分岐配管4dから気液分離器27bへ流れる冷媒を防ぐものであり、逆流防止装置20の作用により、分岐配管4dの高圧冷媒が気液分離器27bの低圧冷媒と混合するのを防止している。
なお、開閉装置24は、電磁弁等の開閉を切り替えられるものの他、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものでもよく、流路の開閉を切り替えられれば、どんなものでもよい。また、逆流防止装置20は、逆止弁でもよいし、電磁弁等の開閉を切り替えられるものや電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるもの等の流路の開閉を切り替えられるものでもよい。さらに、絞り装置14aは、冷媒が流れないので、任意の開度に設定しておいてよい。
絞り装置14bは、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものとし、吐出冷媒温度検出装置37が検出する圧縮機10の吐出温度が高くなり過ぎないように絞り装置14bの開口面積が制御される。制御方法としては、吐出温度が一定値、たとえば110℃等を超えた時に、一定の開度分、たとえば10パルスづつ開くように制御してもよいし、吐出温度が目標値、たとえば100℃になるように開度を制御してもよい。また、絞り装置14bをキャピラリチューブとし、圧力差に応じた量の冷媒がインジェクションされるようにしてもよい。
次に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れについて説明する。
全冷房運転モードでは、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bの双方で熱源側冷媒の冷熱が熱媒体に伝えられ、冷やされた熱媒体がポンプ21a及びポンプ21bによって配管5内を流動させられることになる。ポンプ21a及びポンプ21bで加圧されて流出した熱媒体は、第2熱媒体流路切替装置23a及び第2熱媒体流路切替装置23bを介して、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入する。そして、熱媒体が利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bで室内空気から吸熱することで、室内空間7の冷房を行う。
それから、熱媒体は、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bから流出して熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bに流入する。このとき、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bの作用によって熱媒体の流量が室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量に制御されて利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入するようになっている。熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bから流出した熱媒体は、第1熱媒体流路切替装置22a及び第1熱媒体流路切替装置22bを通って、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bへ流入し、再びポンプ21a及びポンプ21bへ吸い込まれる。
なお、利用側熱交換器26の配管5内では、第2熱媒体流路切替装置23から熱媒体流量調整装置25を経由して第1熱媒体流路切替装置22へ至る向きに熱媒体が流れている。また、室内空間7にて必要とされる空調負荷は、第1温度センサー31aで検出された温度、あるいは、第1温度センサー31bで検出された温度と第2温度センサー34で検出された温度との差を目標値に保つように制御することにより、賄うことができる。熱媒体間熱交換器15の出口温度は、第1温度センサー31aまたは第1温度センサー31bのどちらの温度を使用してもよいし、これらの平均温度を使用してもよい。このとき、第1熱媒体流路切替装置22及び第2熱媒体流路切替装置23は、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bの双方へ流れる流路が確保されるように、中間的な開度にしている。
全冷房運転モードを実行する際、熱負荷のない利用側熱交換器26(サーモオフを含む)へは熱媒体を流す必要がないため、熱媒体流量調整装置25により流路を閉じて、利用側熱交換器26へ熱媒体が流れないようにする。図4においては、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bにおいては熱負荷があるため熱媒体を流しているが、利用側熱交換器26c及び利用側熱交換器26dにおいては熱負荷がなく、対応する熱媒体流量調整装置25c及び熱媒体流量調整装置25dを全閉としている。そして、利用側熱交換器26cや利用側熱交換器26dから熱負荷の発生があった場合には、熱媒体流量調整装置25cや熱媒体流量調整装置25dを開放し、熱媒体を循環させればよい。
[全暖房運転モード]
図6は、空気調和装置100の全暖房運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。この図6では、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bでのみ温熱負荷が発生している場合を例に全暖房運転モードについて説明する。なお、図6では、太線で表された配管が冷媒(熱源側冷媒及び熱媒体)の流れる配管を示している。また、図6では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で、熱媒体の流れ方向を破線矢印で示している。
図6に示す全暖房運転モードの場合、室外機1では、第1冷媒流路切替装置11を、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12を経由させずに熱媒体変換機3へ流入させるように切り替える。熱媒体変換機3では、ポンプ21a及びポンプ21bを駆動させ、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bを開放し、熱媒体流量調整装置25c及び熱媒体流量調整装置25dを全閉とし、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれと利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bとの間を熱媒体が循環するようにしている。
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を通り、第1接続配管4aを導通し、逆止弁13b、気液分離器27aを通過し、室外機1から流出する。室外機1から流出した高温高圧のガス冷媒は、冷媒配管4を通って熱媒体変換機3に流入する。熱媒体変換機3に流入した高温高圧のガス冷媒は、分岐されて第2冷媒流路切替装置18a及び第2冷媒流路切替装置18bを通って、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれに流入する。
熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bに流入した高温高圧のガス冷媒は、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体に放熱しながら凝縮液化し、高圧の液冷媒となる。熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bから流出した液冷媒は、絞り装置16a及び絞り装置16bで膨張させられて、中温中圧の二相冷媒となる。この二相冷媒は、開閉装置17bを通って、熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を通って再び室外機1へ流入する。室外機1に流入した冷媒は、気液分離器27bを介して、一部が第2接続配管4bに流れ込んで絞り装置14aを通り、絞り装置14aにより絞られて、低温低圧の二相冷媒となり、逆止弁13cを通過して、蒸発器として作用する熱源側熱交換器12に流入する。
そして、熱源側熱交換器12に流入した冷媒は、熱源側熱交換器12で室外空気から吸熱して、低温低圧のガス冷媒となる。熱源側熱交換器12から流出した低温低圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11及びアキュムレーター19を介して圧縮機10へ再度吸入される。
このとき、絞り装置16aは、圧力センサー36aで検出された圧力を飽和温度に換算した値と第3温度センサー35bで検出された温度との差として得られるサブクール(過冷却度)が一定になるように開度が制御される。同様に、絞り装置16bは、圧力センサー36bで検出された圧力を飽和温度に換算した値と第3温度センサー35dで検出された温度との差として得られるサブクールが一定になるように開度が制御される。また、開閉装置17aは閉、開閉装置17bは開となっている。なお、熱媒体間熱交換器15の中間位置の温度が測定できる場合は、その中間位置での温度を圧力センサー36の代わりに用いてもよく、安価にシステムを構成できる。
熱源側冷媒がR32である場合、圧縮機10の吐出温度が高くなることがあるため、インジェクション回路を用いて、吐出温度を低下させる。このときの動作を図6及び図7を用いて説明する。図7は、全暖房運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp−h線図(圧力−エンタルピー線図)である。図7では、縦軸が圧力を、横軸がエンタルピを、それぞれ示している。
圧縮機10では、圧縮機10の吸入口から吸入された低温低圧のガス冷媒が密閉容器内に導入され、密閉容器内に満たされた低温低圧のガス冷媒が圧縮室(図示せず)に吸入される。圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図7の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
全暖房運転モードにおいては、熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻ってくる冷媒は、絞り装置14aの上流側において、絞り装置14aの作用により圧力が中圧状態に制御される(図7の点J)。そして、絞り装置14aの作用によって中圧状態にされた二相冷媒は、気液分離器27bで液冷媒と二相冷媒とに分配されて、液冷媒(飽和液冷媒(図7の点J’))が分岐配管4dに流れ込む。この液冷媒は、逆流防止装置20を介して、インジェクション配管4cへ流れ、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して、絞り装置14bに流入し減圧され、少し圧力が下がった低温中圧の二相冷媒となる。冷媒−冷媒間熱交換器28では、絞り装置14bで減圧される前の熱源側冷媒(一次側の冷媒)と減圧された後の冷媒(二次側の冷媒)との間で熱交換が行われる。
絞り装置14bに流入する熱源側冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧して圧力と温度が下がった熱源側冷媒により冷やされることにより過冷却がついた液冷媒となる(図7の点J’’)。この熱源側冷媒は、絞り装置14bで絞られた後(図7の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧前の冷媒により加熱される(図7の点K)。そして、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。圧縮機10の圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図7の点F)と低温中圧の二相冷媒(図7の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がる(図7の点H)。これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下することになる(図7の点I)。このようなインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図7の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。
飽和液状態の冷媒は、実際は微小なガス冷媒を少量含んだ状態であり、また、少しの圧損で二相状態になる。ところが、絞り装置14bに二相状態の冷媒が流入すると、安定した制御ができなくなることがある。そこで、空気調和装置100をこのような構成にすることにより、中圧飽和液状態の冷媒を、中圧過冷却液冷媒にして、絞り装置14bに流入させることができ、安定した制御が可能になる。
なお、この時、開閉装置24は閉となっており、気液分離器27aから高圧状態の冷媒が、逆流防止装置20を通ってきた中圧状態の冷媒と混合するのを防止している。また、開閉装置24は、電磁弁等の開閉を切り替えられるものの他、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものでもよく、流路の開閉を切り替えられれば、どんなものでもよい。さらに、逆流防止装置20は、逆止弁でもよいし、電磁弁等の開閉を切り替えられるものや電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるもの等の流路の開閉を切り替えられるものでもよい。
絞り装置14aは、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものが望ましく、電子式膨張弁を使用すれば、絞り装置14aの上流側の中圧を任意の圧力に制御できる。たとえば、中圧検出装置32で検出した中圧が一定値になるように制御すれば、絞り装置14bによる吐出温度の制御が安定する。しかし、絞り装置14aは、これに限るものではなく、制御性は少し悪化するが、絞り装置14aとしてたとえば小型の電磁弁等の開閉弁を組み合わせて開口面積を複数選択できるようにしてもよいし、絞り装置14aとしてキャピラリチューブを用いて冷媒の圧損に応じて中圧が形成されるようにしてもよい。また、中圧検出装置32は、圧力センサーでもよいし、温度センサーを用いて演算により中圧を演算するようにしてもよい。
絞り装置14bは、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものとし、吐出冷媒温度検出装置37が検出する圧縮機10の吐出温度が高くなり過ぎないように絞り装置14bの開口面積が制御される。制御方法としては、吐出温度が一定値、たとえば110℃等を超えた時に、一定の開度分、たとえば10パルスづつ開くように制御してもよいし、吐出温度が目標値、たとえば100℃になるように開度を制御してもよい。また、絞り装置14bをキャピラリチューブとし、圧力差に応じた量の冷媒がインジェクションされるようにしてもよい。
なお、全暖房運転モードにおいては、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bは、共に熱媒体を加熱しているため、絞り装置16a及び絞り装置16bがサブクールが制御できる範囲内であれば、絞り装置14aの上流側の冷媒の圧力(中圧)が高めになるように制御しても構わない。このように、中圧が高めになるように制御すると、圧縮室内との圧力との差圧を大きくできることができる。そのため、圧縮室にインジェクションする冷媒の量を多くすることができ、外気温度が低い場合においても、吐出温度を低下させるために十分なインジェクション流量を圧縮室に供給することが可能になる。
また、絞り装置14a、絞り装置14bの制御方法はこれに限るものではなく、絞り装置14bを全開とし、絞り装置14aにより中圧と圧縮機吸込部での圧力との差圧を制御し、圧縮機10の吐出温度を制御する制御方法としてもよい。このようにすると制御が簡単になるとともに、絞り装置14bとして安価なものが使用できるという利点がある。
次に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れについて説明する。
全暖房運転モードでは、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bの双方で熱源側冷媒の温熱が熱媒体に伝えられ、暖められた熱媒体がポンプ21a及びポンプ21bによって配管5内を流動させられることになる。ポンプ21a及びポンプ21bで加圧されて流出した熱媒体は、第2熱媒体流路切替装置23a及び第2熱媒体流路切替装置23bを介して、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入する。そして、熱媒体が利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bで室内空気に放熱することで、室内空間7の暖房を行う。
それから、熱媒体は、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bから流出して熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bに流入する。このとき、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bの作用によって熱媒体の流量が室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量に制御されて利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入するようになっている。熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bから流出した熱媒体は、第1熱媒体流路切替装置22a及び第1熱媒体流路切替装置22bを通って、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bへ流入し、再びポンプ21a及びポンプ21bへ吸い込まれる。
なお、利用側熱交換器26の配管5内では、第2熱媒体流路切替装置23から熱媒体流量調整装置25を経由して第1熱媒体流路切替装置22へ至る向きに熱媒体が流れている。また、室内空間7にて必要とされる空調負荷は、第1温度センサー31aで検出された温度、あるいは、第1温度センサー31bで検出された温度と第2温度センサー34で検出された温度との差を目標値に保つように制御することにより、賄うことができる。熱媒体間熱交換器15の出口温度は、第1温度センサー31aまたは第1温度センサー31bのどちらの温度を使用してもよいし、これらの平均温度を使用してもよい。
このとき、第1熱媒体流路切替装置22及び第2熱媒体流路切替装置23は、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bの双方へ流れる流路が確保されるように、中間的な開度にしている。また、本来、利用側熱交換器26aは、その入口と出口の温度差で制御すべきであるが、利用側熱交換器26の入口側の熱媒体温度は、第1温度センサー31bで検出された温度とほとんど同じ温度であり、第1温度センサー31bを使用することにより温度センサーの数を減らすことができ、安価にシステムを構成できる。
なお、全冷房運転モードと同様に、利用側熱交換器26での熱負荷の有無に応じて熱媒体流量調整装置25の開度を制御すればよい。
[冷房主体運転モード]
図8は、空気調和装置100の冷房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。この図8では、利用側熱交換器26aで冷熱負荷が発生し、利用側熱交換器26bで温熱負荷が発生している場合を例に冷房主体運転モードについて説明する。なお、図8では、太線で表された配管が冷媒(熱源側冷媒及び熱媒体)の循環する配管を示している。また、図8では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で、熱媒体の流れ方向を破線矢印で示している。
図8に示す冷房主体運転モードの場合、室外機1では、第1冷媒流路切替装置11を、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12へ流入させるように切り替える。熱媒体変換機3では、ポンプ21a及びポンプ21bを駆動させ、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bを開放し、熱媒体流量調整装置25c及び熱媒体流量調整装置25dを全閉とし、熱媒体間熱交換器15aと利用側熱交換器26aとの間を、熱媒体間熱交換器15bと利用側熱交換器26bとの間を、それぞれ熱媒体が循環するようにしている。
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を介して熱源側熱交換器12に流入する。そして、熱源側熱交換器12で室外空気に放熱しながら凝縮し、二相冷媒となる。熱源側熱交換器12から流出した二相冷媒は、逆止弁13aを通って、気液分離器27aを介して、一部が室外機1から流出し、冷媒配管4を通って熱媒体変換機3に流入する。熱媒体変換機3に流入した二相冷媒は、第2冷媒流路切替装置18bを通って凝縮器として作用する熱媒体間熱交換器15bに流入する。
熱媒体間熱交換器15bに流入した二相冷媒は、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体に放熱しながら凝縮液化し、液冷媒となる。熱媒体間熱交換器15bから流出した液冷媒は、絞り装置16bで膨張させられて低圧二相冷媒となる。この低圧二相冷媒は、絞り装置16aを介して蒸発器として作用する熱媒体間熱交換器15aに流入する。熱媒体間熱交換器15aに流入した低圧二相冷媒は、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体から吸熱することで、熱媒体を冷却しながら、低圧のガス冷媒となる。このガス冷媒は、熱媒体間熱交換器15aから流出し、第2冷媒流路切替装置18aを介して熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を通って再び室外機1へ流入する。室外機1に流入した冷媒は、気液分離器27bを介して、逆止弁13dを通って、第1冷媒流路切替装置11及びアキュムレーター19を介して、圧縮機10へ再度吸入される。
このとき、絞り装置16bは、第3温度センサー35aで検出された温度と第3温度センサー35bで検出された温度との差として得られるスーパーヒートが一定になるように開度が制御される。また、絞り装置16aは全開、開閉装置17aは閉、開閉装置17bは閉となっている。なお、絞り装置16bは、圧力センサー36bで検出された圧力を飽和温度に換算した値と第3温度センサー35dで検出された温度との差として得られるサブクールが一定になるように開度を制御してもよい。また、絞り装置16bを全開とし、絞り装置16aでスーパーヒートまたはサブクールを制御するようにしてもよい。
熱源側冷媒がR32である場合、圧縮機10の吐出温度が高くなることがあるため、インジェクション回路を用いて、吐出温度を低下させる。このときの動作を図8及び図9を用いて説明する。図9は、冷房主体運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図(圧力−エンタルピ線図)である。図9では、縦軸が圧力を、横軸がエンタルピを、それぞれ示している。
圧縮機10では、圧縮機10の吸入口から吸入された低温低圧のガス冷媒が密閉容器内に導入され、密閉容器内に満たされた低温低圧のガス冷媒が圧縮室(図示せず)に吸入される。圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図9の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
冷房主体運転モードにおいては、圧縮機10で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器12にて凝縮されて高圧の二相冷媒となり(図9の点J)、逆止弁13aを介して、気液分離器27aに至る。開閉装置24を開とし、気液分離器27aで分離された液冷媒(飽和液冷媒(図9の点J’))を、開閉装置24、分岐配管4dを介して、インジェクション配管4cに流入させる。インジェクション配管4cに流入した冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して絞り装置14bで減圧され、低温中圧の二相冷媒となる。冷媒−冷媒間熱交換器28では、絞り装置14bで減圧される前の熱源側冷媒(一次側の冷媒)と減圧された後の冷媒(二次側の冷媒)との間で熱交換が行われる。
絞り装置14bに流入する熱源側冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧して圧力と温度が下がった冷媒により冷やされることにより過冷却のついた液冷媒となる(図9の点J’’)。この熱源側冷媒は、絞り装置14bで絞られた後(図9の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧前の冷媒により加熱される(図9の点K)。そして、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。圧縮機10の圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図9の点F)と低温中圧の二相冷媒(図9の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がる(図9の点H)。これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下することになる(図9の点I)。このようなインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図9の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。
飽和液状態の冷媒は、実際は微小なガス冷媒を少量含んだ状態であり、また、少しの圧損で二相状態になる。ところが、絞り装置14bに二相状態の冷媒が流入すると、安定した制御ができなくなることがある。そこで、空気調和装置100をこのような構成にすることにより、気液分離器27aに流入した二相冷媒から分離した高圧飽和液状態の冷媒を、高圧過冷却液冷媒にして、絞り装置14bに流入させることができ、安定した制御が可能になる。
なお、この時、分岐配管4dの開閉装置24から逆流防止装置20に至る流路の冷媒は高圧冷媒であり、熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻り、気液分離器27bに至る冷媒は低圧冷媒である。逆流防止装置20は、分岐配管4dから気液分離器27bへ流れる冷媒を防ぐものであり、逆流防止装置20の作用により、分岐配管4dの高圧冷媒が気液分離器27bの低圧冷媒と混合するのを防止している。
なお、開閉装置24は、電磁弁等の開閉を切り替えられるものの他、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものでもよく、流路の開閉を切り替えられれば、どんなものでもよい。また、逆流防止装置20は、逆止弁でもよいし、電磁弁等の開閉を切り替えられるものや電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるもの等の流路の開閉を切り替えられるものでもよい。さらに、絞り装置14aは、冷媒が流れないので、任意の開度に設定しておいてよい。
絞り装置14bは、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものとし、吐出冷媒温度検出装置37が検出する圧縮機10の吐出温度が高くなり過ぎないように絞り装置14bの開口面積が制御される。制御方法としては、吐出温度が一定値、たとえば110℃等を超えた時に、一定の開度分、たとえば10パルスづつ開くように制御してもよいし、吐出温度が目標値、たとえば100℃、になるように開度を制御してもよい。また、絞り装置14bをキャピラリチューブとし、圧力差に応じた量の冷媒がインジェクションされるようにしてもよい。
次に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れについて説明する。
冷房主体運転モードでは、熱媒体間熱交換器15bで熱源側冷媒の温熱が熱媒体に伝えられ、暖められた熱媒体がポンプ21bによって配管5内を流動させられることになる。また、冷房主体運転モードでは、熱媒体間熱交換器15aで熱源側冷媒の冷熱が熱媒体に伝えられ、冷やされた熱媒体がポンプ21aによって配管5内を流動させられることになる。ポンプ21a及びポンプ21bで加圧されて流出した熱媒体は、第2熱媒体流路切替装置23a及び第2熱媒体流路切替装置23bを介して、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入する。
利用側熱交換器26bでは熱媒体が室内空気に放熱することで、室内空間7の暖房を行う。また、利用側熱交換器26aでは熱媒体が室内空気から吸熱することで、室内空間7の冷房を行う。このとき、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bの作用によって熱媒体の流量が室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量に制御されて利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入するようになっている。利用側熱交換器26bを通過し若干温度が低下した熱媒体は、熱媒体流量調整装置25b及び第1熱媒体流路切替装置22bを通って、熱媒体間熱交換器15bへ流入し、再びポンプ21bへ吸い込まれる。利用側熱交換器26aを通過し若干温度が上昇した熱媒体は、熱媒体流量調整装置25a及び第1熱媒体流路切替装置22aを通って、熱媒体間熱交換器15aへ流入し、再びポンプ21aへ吸い込まれる。
この間、暖かい熱媒体と冷たい熱媒体とは、第1熱媒体流路切替装置22及び第2熱媒体流路切替装置23の作用により、混合することなく、それぞれ温熱負荷、冷熱負荷がある利用側熱交換器26へ導入される。なお、利用側熱交換器26の配管5内では、暖房側、冷房側ともに、第2熱媒体流路切替装置23から熱媒体流量調整装置25を経由して第1熱媒体流路切替装置22へ至る向きに熱媒体が流れている。また、室内空間7にて必要とされる空調負荷は、暖房側においては第1温度センサー31bで検出された温度と第2温度センサー34で検出された温度との差を、冷房側においては第2温度センサー34で検出された温度と第1温度センサー31aで検出された温度との差を目標値に保つように制御することにより、賄うことができる。
なお、全冷房運転モード及び全暖房運転モードと同様に、利用側熱交換器26での熱負荷の有無に応じて熱媒体流量調整装置25の開度を制御すればよい。
吐出温度が高くなる状態が発生する場合は、外気温度が高いときの冷房運転で、蒸発温度を目標温度たとえば0度に保つために圧縮機10の周波数が上がり、凝縮温度が高くなる場合である。吐出温度が高くなる状態が発生するもう一つの場合は、外気温度が低いときの暖房運転で、凝縮温度を目標温度たとえば49度に保つために圧縮機10の周波数が上がり、蒸発温度が低くなる場合である。
冷房主体運転モード時には、凝縮温度と蒸発温度の両方をそれぞれ目標温度、たとえば49℃と0℃に保つ必要がある。そして、外気温度が高い場合の冷房主体運転モードでは、凝縮温度と蒸発温度の双方が目標温度よりも高くなる。そのため、外気温度が高い場合の冷房運転のように圧縮機10の周波数が非常に高くなる状態は発生し難く、凝縮温度が高くなりすぎないように、圧縮機10の周波数アップに制限がかかる。つまり、冷房主体運転モードにおいては、吐出温度が高くなり難い。
そのため、図13のように、気液分離器27aをなくして、冷媒を分岐する分岐部を設けた構成としてもよい。そして、冷房主体運転モード時には開閉装置24を閉とし、インジェクションを行わないようにしてもよい。なお、図13は、空気調和装置100の回路構成の別の一例を示す概略回路構成図である。
[暖房主体運転モード]
図10は、空気調和装置100の暖房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。この図10では、利用側熱交換器26aで温熱負荷が発生し、利用側熱交換器26bで冷熱負荷が発生している場合を例に暖房主体運転モードについて説明する。なお、図10では、太線で表された配管が冷媒(熱源側冷媒及び熱媒体)の循環する配管を示している。また、図10では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で、熱媒体の流れ方向を破線矢印で示している。
図10に示す暖房主体運転モードの場合、室外機1では、第1冷媒流路切替装置11を、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12を経由させずに熱媒体変換機3へ流入させるように切り替える。熱媒体変換機3では、ポンプ21a及びポンプ21bを駆動させ、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bを開放し、熱媒体流量調整装置25c及び熱媒体流量調整装置25dを全閉とし、熱媒体間熱交換器15aと利用側熱交換器26bとの間を、熱媒体間熱交換器15bと利用側熱交換器26aとの間を、それぞれ熱媒体が循環するようにしている。
まず始めに、冷媒循環回路Aにおける熱源側冷媒の流れについて説明する。
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を通り、第1接続配管4aを導通し、逆止弁13bを通過し、気液分離器27aを介して、室外機1から流出する。室外機1から流出した高温高圧のガス冷媒は、冷媒配管4を通って熱媒体変換機3に流入する。熱媒体変換機3に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2冷媒流路切替装置18bを通って凝縮器として作用する熱媒体間熱交換器15bに流入する。
熱媒体間熱交換器15bに流入したガス冷媒は、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体に放熱しながら凝縮液化し、液冷媒となる。熱媒体間熱交換器15bから流出した液冷媒は、絞り装置16bで膨張させられて中圧二相冷媒となる。この中圧二相冷媒は、絞り装置16aを介して蒸発器として作用する熱媒体間熱交換器15aに流入する。熱媒体間熱交換器15aに流入した中圧二相冷媒は、熱媒体循環回路Bを循環する熱媒体から吸熱することで蒸発し、熱媒体を冷却する。この中圧二相冷媒は、熱媒体間熱交換器15aから流出し、第2冷媒流路切替装置18aを介して熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を通って再び室外機1へ流入する。
室外機1に流入した冷媒は、気液分離器27bを介して、一部が第2接続配管4bに流れ込んで絞り装置14aを通り、絞り装置14aにより絞られて、低温低圧の二相冷媒となり、逆止弁13cを通って、蒸発器として作用する熱源側熱交換器12に流入する。そして、熱源側熱交換器12に流入した冷媒は、熱源側熱交換器12で室外空気から吸熱して、低温低圧のガス冷媒となる。熱源側熱交換器12から流出した低温低圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11及びアキュムレーター19を介して圧縮機10へ再度吸入される。
このとき、絞り装置16bは、圧力センサー36で検出された圧力を飽和温度に換算した値と第3温度センサー35bで検出された温度との差として得られるサブクールが一定になるように開度が制御される。また、絞り装置16aは全開、開閉装置17aは閉、開閉装置17bは閉となっている。なお、絞り装置16bを全開とし、絞り装置16aでサブクールを制御するようにしてもよい。
熱源側冷媒がR32である場合、圧縮機10の吐出温度が高くなることがあるため、インジェクション回路を用いて、吐出温度を低下させる。このときの動作を図10及び図11を用いて説明する。図11は、暖房主体運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図(圧力−エンタルピ線図)である。図11では、縦軸が圧力を、横軸がエンタルピを、それぞれ示している。
圧縮機10では、圧縮機10の吸入口から吸入された低温低圧のガス冷媒が密閉容器内に導入され、密閉容器内に満たされた低温低圧のガス冷媒が圧縮室(図示せず)に吸入される。圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなって行く。圧縮室に吸入された内部の冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図11の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
暖房主体運転モードにおいては、熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻ってくる冷媒は、絞り装置14aの上流側において、絞り装置14aの作用により圧力が中圧状態に制御される(図11の点J)。そして、絞り装置14aの作用によって中圧状態にされた二相冷媒は、気液分離器27bで液冷媒と二相冷媒とに分配されて、液冷媒(飽和液冷媒(図11の点J’))が分岐配管4dに流れ込む。この液冷媒は、逆流防止装置20を介して、インジェクション配管4cへ流れ、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して、絞り装置14bに流入し減圧され、圧力が下がった低温中圧の二相冷媒となる。冷媒−冷媒間熱交換器28では、絞り装置14bで減圧される前の熱源側冷媒(一次側の冷媒)と減圧された後の冷媒(二次側の冷媒)との間で熱交換が行われる。
絞り装置14bに流入する熱源側冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧して圧力と温度が下がった熱源側冷媒により冷やされることにより過冷却がついた液冷媒となる(図11の点J’’)。この熱源側冷媒は、絞り装置14bで絞られた後(図11の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧前の冷媒により加熱される(図11の点K)。そして、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。圧縮機10の圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図11の点F)と低温中圧の二相冷媒(図11の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がる(図11の点H)。これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下することになる(図11の点I)。このようなインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図11の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。
飽和液状態の冷媒は、実際は微小なガス冷媒を少量含んだ状態であり、また、少しの圧損で二相状態になる。ところが、絞り装置14bに二相状態の冷媒が流入すると、安定した制御ができなくなることがある。そこで、空気調和装置100をこのような構成にすることにより、中圧飽和液状態の冷媒を、中圧過冷却液冷媒にして、絞り装置14bに流入させることができ、安定した制御が可能になる。
なお、この時、開閉装置24は閉となっており、気液分離器27aから高圧状態の冷媒が、逆流防止装置20を通ってきた中圧状態の冷媒と混合するのを防止している。また、開閉装置24は、電磁弁等の開閉を切り替えられるものの他、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものでもよく、流路の開閉を切り替えられれば、どんなものでもよい。さらに、逆流防止装置20は、逆止弁でもよいし、電磁弁等の開閉を切り替えられるものや電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるもの等の流路の開閉を切り替えられるものでもよい。
絞り装置14aは、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものが望ましく、電子式膨張弁を使用すれば、絞り装置14aの上流側の中圧を任意の圧力に制御できる。たとえば、中圧検出装置32で検出した中圧が一定値になるように制御すれば、絞り装置14bによる吐出温度の制御が安定する。しかし、絞り装置14aは、これに限るものではなく、制御性は少し悪化するが、絞り装置14aとしてたとえば小型の電磁弁等の開閉弁を組み合わせて開口面積を複数選択できるようにしてもよいし、絞り装置14aとしてキャピラリチューブを用いて冷媒の圧損に応じて中圧が形成されるようにしてもよい。また、中圧検出装置32は、圧力センサーでもよいし、温度センサーを用いて演算により中圧を演算するようにしてもよい。
絞り装置14bは、電子式膨張弁等の開口面積を変化させられるものとし、吐出冷媒温度検出装置37が検出する圧縮機10の吐出温度が高くなり過ぎないように絞り装置14bの開口面積が制御される。制御方法としては、吐出温度が一定値、たとえば110℃等を超えた時に、一定の開度分、たとえば10パルスづつ開くように制御してもよいし、吐出温度が目標値、たとえば100℃になるように開度を制御してもよい。また、絞り装置14bをキャピラリチューブとし、圧力差に応じた量の冷媒がインジェクションされるようにしてもよい。
なお、暖房主体運転モードにおいては、熱媒体間熱交換器15bにおいて、熱媒体を冷やす必要があり、絞り装置14aの上流側の冷媒の圧力(中圧)をあまり高く制御することができない。中圧を高くすることができないと、圧縮室にインジェクションする冷媒の量が少なくなり、吐出温度の低下分が小さくなってしまう。しかし、熱媒体の凍結を防止する必要がある。そのため、空気調和装置100では、外気温度が低い時、たとえば外気温度が−5℃以下のような時は、暖房主体運転モードには入らないようになっている。なお、外気温度が高い時は、吐出温度があまり高くなく、インジェクション流量もそれほど多くなくてよいため、特段の問題はない。
よって、空気調和装置100によれば、絞り装置14aの作用により、熱媒体間熱交換器15bでの熱媒体の冷却もでき、インジェクション流量も吐出温度を低下させるために十分な量を圧縮室に供給できる中圧に設定することができ、より安全に運転することができる。
また、絞り装置14a、絞り装置14bの制御方法はこれに限るものではなく、絞り装置14bを全開とし、絞り装置14aにより圧縮機10の吐出温度を制御する制御方法としてもよい。このようにすると制御が簡単になるとともに、絞り装置14bとして安価なものが使用できるという利点がある。
次に、熱媒体循環回路Bにおける熱媒体の流れについて説明する。
暖房主体運転モードでは、熱媒体間熱交換器15bで熱源側冷媒の温熱が熱媒体に伝えられ、暖められた熱媒体がポンプ21bによって配管5内を流動させられることになる。また、暖房主体運転モードでは、熱媒体間熱交換器15aで熱源側冷媒の冷熱が熱媒体に伝えられ、冷やされた熱媒体がポンプ21aによって配管5内を流動させられることになる。ポンプ21a及びポンプ21bで加圧されて流出した熱媒体は、第2熱媒体流路切替装置23a及び第2熱媒体流路切替装置23bを介して、利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入する。
利用側熱交換器26bでは熱媒体が室内空気から吸熱することで、室内空間7の冷房を行う。また、利用側熱交換器26aでは熱媒体が室内空気に放熱することで、室内空間7の暖房を行う。このとき、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bの作用によって熱媒体の流量が室内にて必要とされる空調負荷を賄うのに必要な流量に制御されて利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bに流入するようになっている。利用側熱交換器26bを通過し若干温度が上昇した熱媒体は、熱媒体流量調整装置25b及び第1熱媒体流路切替装置22bを通って、熱媒体間熱交換器15aに流入し、再びポンプ21aへ吸い込まれる。利用側熱交換器26aを通過し若干温度が低下した熱媒体は、熱媒体流量調整装置25a及び第1熱媒体流路切替装置22aを通って、熱媒体間熱交換器15bへ流入し、再びポンプ21bへ吸い込まれる。
この間、暖かい熱媒体と冷たい熱媒体とは、第1熱媒体流路切替装置22及び第2熱媒体流路切替装置23の作用により、混合することなく、それぞれ温熱負荷、冷熱負荷がある利用側熱交換器26へ導入される。なお、利用側熱交換器26の配管5内では、暖房側、冷房側ともに、第2熱媒体流路切替装置23から熱媒体流量調整装置25を経由して第1熱媒体流路切替装置22へ至る向きに熱媒体が流れている。また、室内空間7にて必要とされる空調負荷は、暖房側においては第1温度センサー31bで検出された温度と第2温度センサー34で検出された温度との差を、冷房側においては第2温度センサー34で検出された温度と第1温度センサー31aで検出された温度との差を目標値に保つように制御することにより、賄うことができる。
なお、全冷房運転モード、全暖房運転モード及び冷房主体運転モードと同様に、利用側熱交換器26での熱負荷の有無に応じて熱媒体流量調整装置25の開度を制御すればよい。
[除霜運転モード]
図12は、空気調和装置100の除霜運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図12に基づいて、本実施の形態1における空気調和装置100が実行する除霜運転について説明する。なお、図12では、太線で表された配管が冷媒(熱源側冷媒及び熱媒体)の流れる配管を示している。また、図12では、熱源側冷媒の流れ方向を実線矢印で、熱媒体の流れ方向を破線矢印で示している。
全暖房運転モードおよび暖房主体運転モードにおいて、熱源側熱交換器12の周囲の空気温度が低い場合、熱源側熱交換器12の配管の内部に氷点下の低温低圧の冷媒が流れることになる。そのため、熱源側熱交換器12の周囲に着霜が起きることがある。熱源側熱交換器12に着霜が起きると、霜層が熱抵抗となり、また熱源側熱交換器12の周囲の空気が流動する流路が狭くなって空気が流れ難くなる。その結果、冷媒と空気との熱交換が阻害され、機器の暖房能力および運転効率が低下してしまうことになる。そこで、空気調和装置100では、熱源側熱交換器12の着霜量が増加した場合、熱源側熱交換器12の周囲の霜を融かす除霜運転を実行可能にしている。
図12に示す除霜運転モードの場合、室外機1では、第1冷媒流路切替装置11を、圧縮機10から吐出された熱源側冷媒を熱源側熱交換器12へ流入させるように切り替える。熱媒体変換機3では、ポンプ21a及びポンプ21bを駆動させ、熱媒体流量調整装置25a及び熱媒体流量調整装置25bを開放し、熱媒体流量調整装置25c及び熱媒体流量調整装置25dを全閉とし、熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bのそれぞれと利用側熱交換器26a及び利用側熱交換器26bとの間を熱媒体が循環するようにしている。ただし、絞り装置16a及び絞り装置16bが全閉(又は冷媒が流れない小さい開度)、開閉装置17aが開、開閉装置17bが開に制御されており、熱源側冷媒が熱媒体間熱交換器15a及び熱媒体間熱交換器15bに流入しないようになっている。
低温低圧の冷媒が圧縮機10によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1冷媒流路切替装置11を介して熱源側熱交換器12に流入する。そして、熱源側熱交換器12で室外空気に放熱し、熱源側熱交換器12に付着した霜を融かす。熱源側熱交換器12から流出した冷媒は、逆止弁13aを通って、気液分離器27aで分離される。
気液分離器27aで分離された一部の冷媒は、室外機1から流出し、冷媒配管4を通って熱媒体変換機3に流入する。熱媒体変換機3に流入した冷媒は、開閉装置17a、開閉装置17bを介して熱媒体変換機3から流出し、冷媒配管4を通って再び室外機1へ流入する。室外機1に流入した冷媒は、気液分離器27bを介して、逆止弁13dを通って、第1冷媒流路切替装置11およびアキュムレーター19を介して、圧縮機10へ再度吸入される。
一方、気液分離器27aで分離されたもう一方の冷媒は、分岐配管4dに流入し、開状態に制御されている開閉装置24を介してインジェクション配管4cに流入し、冷媒−冷媒間熱交換器28および絞り装置14bを介して、圧縮機10の圧縮室にインジェクションされる。この冷媒は、アキュムレーター19を通って圧縮機10に吸入された冷媒(気液分離器27aで分流された一方の冷媒)と圧縮機10内で合流する。
なお、図12においては、ポンプ21bを動作させて、熱媒体を暖房要求のある利用側熱交換器26(図12では、利用側熱交換器26aと利用側熱交換器26b)に、循環させている。このようにすることにより、除霜運転中においても、熱媒体に蓄えられた温熱により、暖房運転を継続することができる。また、全暖房運転後の除霜においては、ポンプ21aも動作させるようにしてもよいし、除霜運転中は、ポンプ21aおよびポンプ21bを停止し、暖房運転を停止するようにしてもよい。
以上のように、除霜運転においては、熱源側熱交換器12の周囲に付着した霜を融かしながら、気液分離器27aで冷媒を分岐させ、一部の冷媒を圧縮機10の圧縮室にインジェクションする。このようにすることにより、圧縮機10の余熱を直接冷媒に伝え易く、効率のよい除霜運転が行える。また、室外機1から離れた熱媒体変換機3に循環させる冷媒流量をインジェクションする分減らすことができるため、圧縮機10の動力を低減させることができる。
本実施の形態1では、空気調和装置100にアキュムレーター19を含めている場合を例に説明したが、アキュムレーター19を設けなくてもよい。また、一般的に、熱源側熱交換器12及び利用側熱交換器26a〜26dには、送風機が取り付けられており、送風により凝縮あるいは蒸発を促進させる場合が多いが、これに限るものではなく、たとえば利用側熱交換器26a〜26dとしては放射を利用したパネルヒータのようなものも用いることができるし、熱源側熱交換器12としては、水や不凍液により熱を移動させる水冷式のタイプのものも用いることができ、放熱あるいは吸熱をできる構造のものであればどんなものでも用いることができる。
実施の形態1では、利用側熱交換器26a〜26dが4つである場合を例に説明を行ったが、幾つ接続してもよい。また、熱媒体間熱交換器15a、熱媒体間熱交換器15bが2つである場合を例に説明を行ったが、当然、これに限るものではなく、熱媒体を冷却または/及び加熱できるように構成すれば、幾つ設置してもよい。さらに、ポンプ21a、ポンプ21bはそれぞれ一つとは限らず、複数の小容量のポンプを並列に並べて接続してもよい。
また、通常の気液分離器は、二相冷媒中のガス冷媒と液冷媒とを分離する作用を有している。それに対し、空気調和装置100で使用する気液分離器27は、上述したように、気液分離器27(気液分離器27a、気液分離器27b)の入口に二相状態の冷媒が流入した場合に、二相冷媒から液冷媒の一部を分離する作用を有している。そして、液冷媒を分岐配管4dに流し、残りの二相冷媒(少し乾き度が大きくなった二相冷媒)を気液分離器27から流出させるようにしている。
よって、空気調和装置100では、気液分離器27に、図2等に示したような横方向(冷媒配管4と平行方向)に長い構造のものを採用した例を示している。すなわち、入口配管と出口配管とが気液分離器27の横側に接続(冷媒配管4に平行となるように接続)され、液冷媒の取り出し配管(分岐配管4d)が気液分離器27の下側又は上側に接続(冷媒配管4とは直交するように接続)された構造となっている横型の気液分離器を採用することが望ましい。ただし、気液分離器27としては、二相で流入した冷媒から液冷媒の一部を分離し、残りの二相冷媒を流出させられる構造であれば、どのような構造でも構わない。
また、実施の形態1では、空気調和装置100のシステム構成を、たとえば、圧縮機10、第1冷媒流路切替装置11、熱源側熱交換器12、絞り装置14a、絞り装置14b、開閉装置17(開閉装置17a、開閉装置17b)および逆流防止装置20を室外機1に収容し、利用側熱交換器26および絞り装置16を室内機2に収容し、室外機1および室内機2とは別体に形成された中継機を備え、室外機1と中継機との間を2本一組の配管で接続し、室内機2と中継機との間をそれぞれ2本一組の配管で接続し、中継機を介して室外機1と室内機2との間で冷媒を循環させ、全冷房運転、全暖房運転、冷房主体運転、暖房主体運転を行うことができる直膨システムにも適用することができ、同様の効果を奏する。
[インジェクション制御]
実施の形態1に係る空気調和装置100のインジェクション時の具体的な制御方法について説明する。図14は、空気調和装置100が実行するインジェクション時における処理の流れを示すフローチャートである。図14に基づいて、空気調和装置100が実行する圧縮機10の吐出温度を低下させるためのインジェクション時の制御処理の流れについて説明する。なお、ここで示す空気調和装置100の制御処理は、上述した制御装置50が行っている。
室外機1が起動して処理が開始されると(ST1)、制御装置50は、まず圧縮機10の吐出温度制御目標値である吐出温度目標値を設定する(ST2)。この吐出温度目標値は、運転モードによって異なる値とする。たとえば、冷房運転モード時では、熱媒体間熱交換器15を流れる冷媒流量は多い方が運転効率がよいため、インジェクション流量を減らすように吐出温度の目標値を高め、たとえば100℃等に設定するとよい。また、暖房運転モード時では、インジェクション流量を多くした方が熱源側熱交換器12での圧力損失が小さくなるため、インジェクション流量を多くするように吐出温度の目標値を低め、たとえば80℃等に設定するとよい。
次に、制御装置50は、吐出冷媒温度検出装置37からの情報によって圧縮機10の吐出温度を検出する(ST3)。そして、制御装置50は、現在の運転モードが、全暖房運転モード又は暖房主体運転モードであるのかどうかを判定する(ST4)。全暖房運転モード又は暖房主体運転モードの場合(ST4、YES)、制御装置50は、絞り装置16a、絞り装置16bで絞られた冷媒からインジェクションを行うために、中間圧力を作り出さなければならない。そこで、制御装置50は、この中間圧力の制御目標である中間圧力目標値の設定を行う(ST5)。
この中間圧力目標値は、全暖房運転モードと暖房主体運転モードとによって異なる値とする。たとえば、全暖房運転モードでは、インジェクション流量を大きくするために、中間圧力を高くし、インジェクション部(インジェクション配管4cの冷媒−冷媒間熱交換器28の二次側から流出した冷媒)との圧力差を大きくすることが望ましく、たとえば1.89MPa等とする。これに対して、暖房主体運転モードでは、冷房運転の室内機が存在するため、蒸発温度を高くすることができない。すなわち、中間圧力を高くすることはできず、中間圧力は0℃から10℃の範囲の飽和圧力である0.81MPaから1.11MPaの範囲等となる。なお、これらの数値の試算は冷媒をR32と仮定して行った(以下の試算もR32を仮定として行っている)。
それから、制御装置50は、中圧検出装置32からの情報によって中間圧力を検出する(ST6)。制御装置50は、中間圧力の検出値と予め設定されている目標値とを比較する(ST7)。中間圧力の検出値と目標値とが一致しておらず(ST7;NO)、中間圧力の検出値が目標値よりも高い場合、制御装置50は、絞り装置14aの開度を大きくする(ST8の上段)。中間圧力の検出値と目標値とが一致しておらず(ST7;NO)、中間圧力の検出値が目標値よりも低い場合、制御装置50は、絞り装置14aの開度を小さくする(ST8の下段)。その後、中間圧力の検出値と目標値との差が予め設定されている値、たとえば0.10MPaよりも小さくなった場合、制御装置50は、中間圧力目標値の設定に戻る(ST5)。
中間圧力の検出値と目標値とが略一致していたら(ST7;YES)、制御装置50は、圧縮機10の吐出温度の検出値とST2で設定した目標値とを比較する(ST9)。圧縮機10の吐出温度の検出値と目標値とが一致しておらず(ST9;NO)、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値よりも高い場合、制御装置50は、絞り装置14bの開度を大きくする(ST10の上段)。圧縮機10の吐出温度の検出値と目標値とが一致しておらず(ST9;NO)、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値よりも低い場合、制御装置50は、絞り装置14bの開度を小さくする(ST10の下段)。
その後、圧縮機10の吐出温度の検出値と目標値との差が予め設定されている温度差、たとえば0.5℃よりも小さくなった場合、つまり中間圧力の検出値と目標値とが略一致していたら(ST9;YES)、制御装置50は、吐出温度の制御を終了し、処理を完了する(ST11)。
なお、ここでは、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値とほぼ等しくなるように、絞り装置14bを制御することを例に説明を行ったが、これに限るものではなく、その他の制御方法でも構わない。
たとえば、圧縮機10の吐出温度の目標値に範囲を設け、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標範囲の上限(たとえば100℃)よりも大きい場合に絞り装置14bの開度を大きく、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標範囲の下限(たとえば80℃)よりも小さい場合に絞り装置14bの開度を小さくするようにしてもよい。また、圧縮機10の吐出温度と吐出圧力から計算される吐出過熱度の検出値が目標値よりも大きい場合に絞り装置14bの開度を大きく、吐出過熱度の検出値が目標値よりも小さい場合に絞り装置14bの開度を小さくするようにしてもよい。さらに、圧縮機10の吐出過熱度の目標値に範囲を設け、圧縮機10の吐出過熱度の検出値が目標範囲の上限よりも大きい場合に絞り装置14bの開度を大きく、圧縮機10の吐出過熱度の検出値が目標範囲の下限よりも小さい場合に絞り装置14bの開度を小さくするようにしてもよい。
このような制御フローにすることにより、常に絞り装置14bでの前後差圧を確保することが可能となり、安定した液インジェクション流量を確保することができ、空気調和装置100の信頼性を向上させることができる。
[インジェクション流量]
まず、インジェクション流量について図5を用いて説明する。圧縮機10の吐出温度をインジェクションによって20℃低下させた時、Grinj (kg/h)をインジェクション流量、Gr(kg/h)を圧縮機吸入部での冷媒質量流量、hinj (kJ/kg)をインジェクション時の冷媒のエンタルピ(図5の点K)、hd (kJ/kg)をインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出エンタルピ(図5の点G)、hd ’(kJ/kg)をインジェクションを行い吐出温度を20℃低下させた場合の吐出エンタルピ(図5の点I)とすると、式(1)に示すエネルギ保存式が成立する。
式(2)から分かるように、インジェクション流量Grinj (kg/h)を計算するためには、圧縮機吸入部での冷媒流Gr(kg/h)と、圧縮機10の吐出エンタルピhd (kJ/kg)及びhd ’(kJ/kg)と、インジェクション時の冷媒のエンタルピhinj (kJ/kg)と、が必要である。
次に、圧縮機10の吐出エンタルピhd及びhd’と、インジェクション時の冷媒のエンタルピhinj (kJ/kg)と、を求める。なお、本実施の形態1における物性値の計算には、NISTが発売しているREFPROP Version 8.0を用いた。
圧縮機10の吐出エンタルピを計算するために温度や圧力などの情報が必要となるため、圧縮機の吐出温度Td (℃)を一般的によく知られているポリトロープ圧縮の式(3)により計算した。ポリトロープ圧縮とは、断熱圧縮に圧縮過程における熱の出入りを考慮したものである。式(3)中のポリトロープ指数nは、式(4)に示すように蒸発温度0℃かつスーパーヒート(過熱度)2℃のときの比熱比κ(−)に理論値とのズレとして0.9を乗じて求めている。比熱比κとは、定圧比熱cp(kJ/kg・K)を定積比熱cv (kJ/kg・K)で割ったものである。また、式(3)において、Ts (℃)は圧縮機10の吸込温度(図5の点M)、Pd (MPa)は圧縮機10の吐出圧力(図5の点G)、Ps (MPa)は圧縮機10の吸込圧力(図5の点M)である。
圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grは、式(5)に示すように、たとえば10馬力の定格能力W(kW)を凝縮または蒸発部のエンタルピ差Δhで割ることによって計算した。ここで、10馬力の定格能力W(kW)は、全暖運転モード及び暖房主体運転モードの場合は31.5(kW)であり、全冷運転モード及び冷房主体運転モードの場合は28.0(kW)である。また、全暖房運転モード及び暖房主体運転モードの場合、エンタルピ差Δh(kJ/kg)は、図5の点Iのエンタルピと図5の点Jのエンタルピとのエンタルピ差であり、全冷房運転モード及び冷房主体運転モードの場合、エンタルピ差Δhは、図5の点Mのエンタルピと図5の点Lのエンタルピとのエンタルピ差である。
圧縮機10の周波数f(Hz)には上限値があるため、式(5)で計算した圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grを実現できない場合がある。このため、式(5)で計算した圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grを実現するために必要な圧縮機10の周波数fを式(6)で計算した。式(6)において、Grは圧縮機吸入部での冷媒質量流量、Vst(cc)は圧縮機10のストロークボリューム、ρs (kg/m3 )は圧縮機10の吸込密度(図5点M)、ηv (−)は圧縮機10の体積効率である。また、圧縮機10のストロークボリュームVst(cc)を、たとえば52(cc)、圧縮機10の体積効率ηv (−)を、たとえば0.9と仮定した。
式(6)で計算した圧縮機10の周波数fが上限値、たとえば120Hzよりも大きい場合、圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grの再計算を行う必要がある。再計算には式(6)を変形した式(7)を使用し、圧縮機10の周波数fに上限値の120Hzを代入した場合の計算結果を圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grとした。
[絞り装置14a、絞り装置14bの開度]
次に、絞り装置14bの開度の求め方について説明する。絞り装置14bの開度を示す指標として、絞り装置14bの容量を表すものとして一般的なCv値(記号:Cv)を用いることにする。式(2)で計算したインジェクション流量Grinj を流すために必要な絞り装置14bのCv値は、絞り装置14bに流入する冷媒が液の場合は式(8)、気体の場合は式(9)を用いて計算する。なお、式(8)及び式(9)の出典元は、出版「平成10年6月30日第四版」、著者「バルブ講座編纂委員会」、発行人「小林作太郎」、発行所「日本工業出版株式会社」、タイトル「初歩と実用のバルブ講座 改訂版」である。
式(8)において、Q(m
3 /h)は冷媒流量、γ(−)は比重、P
1 (kgf/cm
2 abs)は絞り装置流入側圧力(図5の点J’)、P
2 (kgf/cm
2 abs)は絞り装置流出側圧力(図5の点K’)である。
式(9)において、Q(m
3 /h)は15.6℃のときの最大冷媒流量、γ(−)は比重、P
1 (kgf/cm
2 abs)は絞り装置流入側圧力(図5の点J’)、P
2 (kgf/cm
2 abs)は絞り装置流出側圧力(図5の点K’)、ΔPは絞り装置流入側圧力P
1 (kgf/cm
2 abs)と絞り装置流出側圧力P
2 (kgf/cm
2 abs)との差、T
f (℃)は冷媒温度であり15.6℃で一定とした。
式(8)と式(9)に関して、圧力の単位をkgf/cm2 からMPaに単位変更し、絞り装置流入側圧力(図5の点J’)をPin(MPa)、絞り装置流出側圧力(図5の点K’)をPout (MPa)に記号を変更すると、式(10)および式(11)となる。Cv値の計算には式(10)および式(11)を使用した。
絞り装置14bの流出側圧力Pout は、圧縮機10のインジェクション部の圧力(図5の点F)Pinj にインジェクションを行うことによる圧力損失ΔPinj (MPa)を加えたものである。圧縮機10のインジェクション部の圧力(図5の点F)Pinj は、インジェクション部が開口する圧縮室の回転角度θをたとえば5度と仮定した場合の式(12)で計算した。当然、このインジェクションの開口角度は実際の圧縮機の構造によって異なる値となる。
式(12)において、Pd (MPa)は圧縮機10の吐出圧力、Ps (MPa)は圧縮機10の吸込圧力である。また、圧縮機10のインジェクションポート(開口部)では、流体の急拡大、急縮小によりさらなる圧力損失ΔPinj がある。このΔPinj は、絞り装置14bの流出側圧力Pout と圧縮機10の圧縮室内の圧力(図5の点F)Pinj との差であり、たとえば飽和温度で5℃分の圧力損失があるとした。
絞り装置14bに冷媒が二相状態で流入する場合の開度(Cv値)は、絞り装置14bに液が流入する場合の式(10)において、比重γ(−)の計算に二相密度を使用し、式(13)によって計算した。式(13)において、ρTP(kg/m3 )は二相冷媒密度である。
式(13)中の二相冷媒密度ρTP(kg/m3 )は、式(14)から求めた。式(14)中のρG (kg/m3 )は飽和ガス冷媒密度、ρL (kg/m3 )は飽和液冷媒密度、α(−)はボイド率である。
式(14)中のボイド率αは、式(15)から求めた。式(15)の出典元は、出版「1995年7月10日初版第2刷発行」、編者「日本機械学会」、発行者「株式会社 コロナ社」、発行所「株式会社 コロナ社」、タイトル「気液二相流技術ハンドブック」に記載されているsmithの式である。式(15)中のρG (kg/m3 )は飽和ガス冷媒密度、ρL (kg/m3 )は飽和液冷媒密度、x(−)は乾き度、e(−)は全液流量に対する均質混合相中の液流量の比である。また、e(−)は0.4が推奨されているため、その値を使用した。
本実施の形態1においては、絞り装置14bとして絞り部分の開口面積(Cv値)を自由に変化させることが可能な電子式膨張弁を用いた。電子式膨張弁は、ステッピングモーターによって弁体を上下させることで絞り部分の開口面積(Cv値)を変化させるため、ステッピングモーターのパルス数とCv値との関係を線形で近似できる。電子式膨張弁の最大Cv値が0.95、最大パルスが3000、最低パルスが60の電子式膨張弁の場合、Cv値とパルスとの関係は、式(16)で表される。式(16)において、pulseはパルス数、CvはCv値、pulsemax は最大パルス、pulsemin は最小パルスのことである。
以上から圧縮機10の吐出温度を20℃低下させるために必要なインジェクション流量Grinj と絞り装置14bの開度を求めることができる。
次に、全冷房運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度について説明する。図15は、全冷房運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を説明するための説明図である。図15には、全冷房運転モードにおいて凝縮温度が変化した場合の冷媒質量流量Gr、インジェクション流量Grinj 、絞り装置14bのCv値とパルス数およびパルス変化量の試算結果を表に示している。以下にこの試算の詳細について説明する。
ここでは、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃で、冷凍サイクルがバランスしており、この時の圧縮機10の吐出温度は104℃であり、この圧縮機10の吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量を求めるものとする。
10馬力の定格能力Wが28.0(kW)、蒸発部のエンタルピ差Δhが234.1(kJ/kg)であり、式(5)から圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grは430.6(kg/h)となる。また、圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grが430.6(kg/h)、インジェクション時の冷媒のエンタルピ(図5の点K)hinj が283.7(kJ/kg)、インジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出点エンタルピ(図5の点G)hd が593.9(kJ/kg)、インジェクションを行い吐出温度を20℃下げた場合の吐出点エンタルピ(図5の点I)hd ’が567.5(kJ/kg)であり、式(2)からインジェクション流量Grinj は40.0(kg/h)となる。
そして、絞り装置14bの定常開度を求める。凝縮温度49℃のときの圧縮機10の吐出圧力3.07(MPa)と蒸発温度0℃のときの圧縮機10の吸込圧力0.81(MPa)を代入すると、式(12)から圧縮機10のインジェクション部の圧力(図5の点F)Pinj は0.84(MPa)となる。この圧力から飽和温度で+5℃加えた絞り装置14bの流出側圧力Pout は0.99(MPa)となる。最大冷媒流量Qはインジェクション流量Grinj 40.0(kg/h)に絞り装置14bの入口冷媒密度877.2(kg/m3 )を乗じた値、比重Gは絞り装置14bの入口冷媒密度877.2(kg/m3 )を水の密度(1000(kg/m3 )とした。)で割った値、絞り装置14bの流入側圧力Pinは3.07(MPa)、絞り装置14bの流出側圧力Pout は0.99(MPa)であり、式(10)からCv値は0.011となる。
また、Cv値0.011のとき、式(16)から電子式膨張弁のパルス数は93となり、以上から絞り装置14bの定常開度は93パルスとなる。すなわち、定常状態では絞り装置14bの開度は93パルスで冷凍サイクルがバランスすることになる。この値をインジェクション制御の初期値として使用することで、インジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。以下、その他の運転モードにおいても、定常開度をインジェクション制御の初期値とする。
同様に、凝縮温度59℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、圧縮機10の吐出温度が125℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は42.8(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.010、パルス数は92となる。
同様に、凝縮温度39℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、圧縮機10の吐出温度が83℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は35.5(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.011、パルス数は95となる。
なお、図15に示されていない凝縮温度における定常開度は、図15に示している蒸発温度条件の絞り装置14bの定常開度から補間して求めることができる。つまり、補間法を利用することによって、絞り装置14bの定常開度を求めることができる。以下、図に示されていない条件での開度は、同様に補間して求めるとする。
次に、全暖房運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度について説明する。図16は、全暖房運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を説明するための説明図である。図16には、全暖房運転モードにおいて中間圧力が変化した場合の冷媒質量流量Gr、インジェクション流量Grinj 、絞り装置14bのCv値とパルス数およびパルス変化量、絞り装置14aのCv値とパルス数の試算結果を表に示している。以下にこの試算の詳細について説明する。
ここでは、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が30℃の飽和圧力で、冷凍サイクルがバランスしており、圧縮機10の吐出温度は104℃であり、この圧縮機10の吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量を求めるものとする。
10馬力の定格能力Wが31.5(kW)、凝縮部のエンタルピ差Δhが310.3(kJ/kg)であり、式(5)から圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grは365.5(kg/h)となる。また、圧縮機吸入部での冷媒質量流量Grが365.5(kg/h)、インジェクション時の冷媒のエンタルピ(図7の点K)hinj が255.3(kJ/kg)、インジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出点エンタルピ(図7の点G)hd が593.9(kJ/kg)、インジェクションを行い吐出温度を20℃下げた場合の吐出点エンタルピ(図7の点I)hd ’が567.5(kJ/kg)であり、式(2)からインジェクション流量Grinj (kg/h)は30.9(kg/h)となる。
そして、絞り装置14bの定常開度を求める。凝縮温度49℃のときの圧縮機10の吐出圧力3.07(MPa)と蒸発温度0℃のときの圧縮機10の吸込圧力0.81(MPa)を代入すると、式(12)から圧縮機10のインジェクション部の圧力(図7の点F)Pinj は0.84(MPa)となる。この圧力から飽和温度で+5℃加えた絞り装置14b流出側圧力Pout は0.99(MPa)となる。最大冷媒流量Qはインジェクション流量Grinj 30.9(kg/h)に絞り装置14bの入口冷媒密度940.1(kg/m3 )を乗じた値、比重Gは絞り装置14bの入口冷媒密度940.1(kg/m3 )を水の密度(1000(kg/m3 )とした。)で割った値、絞り装置14b流入側圧力Pinは1.93(MPa)、絞り装置14b流出側圧力Pout は0.99(MPa)であり、式(10)から絞り装置14bのCv値は0.012となる。
また、Cv値0.012のとき、式(16)から電子式膨張弁のパルス数は97となり、以上から絞り装置14bの定常開度は97パルスとなる。
また、中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度は、絞り装置14aに二相冷媒が流入するため、式(13)から計算する。最大冷媒流量Qは冷媒質量流量Gr365.5(kg/h)に絞り装置14aの入口冷媒密度452.6(kg/m3 )を乗じた値、比重Gは絞り装置14aの入口冷媒密度452.6(kg/m3 )を水の密度(1000(kg/m3 )とした。)で割った値、絞り装置14a流入側圧力Pinは1.93(MPa)、絞り装置14a流出側圧力Pout は0.81(MPa)であり、式(13)から絞り装置14aのCv値は0.188となる。
また、Cv値0.188のとき、式(16)から電子式膨張弁のパルス数は642となり、以上から絞り装置14aの定常開度は642パルスとなる。すなわち、定常状態では絞り装置14bの開度が97パルス、絞り装置14aの開度が642パルスで冷凍サイクルがバランスする。この値をインジェクション制御の初期値として使用することで、インジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。全暖房運転モードでは、高圧ではなく中間圧力からインジェクションを行うため、全暖房運転モードのインジェクション制御の初期開度は、全冷房運転モードの初期開度も所定開度、例えばCv値で0.018大きくすればよい。
同様に、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が20℃の飽和圧力、圧縮機10の吐出温度が104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は29.1(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.015、パルス数は108、絞り装置14aのCv値は0.286、パルス数は944となる。
同様に、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が10℃の飽和圧力、圧縮機10の吐出温度が104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は27.6(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.029、パルス数は149、絞り装置14aのCv値は0.495、パルス数は1591となる。
図17は、全暖房運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合におけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を説明するための説明図である。図17には、全暖房運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合の冷媒質量流量Gr、インジェクション流量Grinj 、絞り装置14bのCv値とパルス数およびパルス変化量、絞り装置14aのCv値とパルス数の試算結果を表で示している。以下、この試算結果について述べる。
凝縮温度49℃、蒸発温度−15℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が30℃の飽和圧力、圧縮機10の吐出温度が130℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は19.0(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.006、パルス数は79、絞り装置14aのCv値は0.121、パルス数は433となる。
同様に、凝縮温度49℃、蒸発温度−30℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が30℃の飽和圧力、圧縮機10の吐出温度が163℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は9.5(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.003、パルス数は69、絞り装置14aのCv値は0.064、パルス数は259となる。
次に、冷房主体運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度について説明する。図18は、冷房主体運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を説明するための説明図である。図18には、冷房主体運転モードにおける冷媒質量流量Gr、インジェクション流量Grinj、絞り装置14bのCv値とパルス数およびパルス変化量の試算結果を表に示している。なお、試算方法は前述の全冷房運転モードの場合と同様であるため省略し、以下に試算結果についてのみ述べる。
凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、室内暖房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27aに流入する)、圧縮機10の吐出温度が104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は41.7(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.011、パルス数は96となる。すなわち、定常状態では絞り装置14bの開度は96パルスで冷凍サイクルがバランスする。この値をインジェクション制御の初期値として使用することで、インジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
また、冷房主体運転モードにおけるインジェクションでは、気液分離器27aを介してインジェクションを行うため、暖房負荷の変化によって絞り装置14bの開度を変える必要がなくなり、制御負荷を低減させることができる。
次に、暖房主体運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度について説明する。図19は、暖房主体運転モードにおけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を説明するための説明図である。図19には、暖房主体運転モードにおいて中間圧力が変化した場合のインジェクション流量Grinj 、絞り装置14bのCv値、パルス数およびパルス変化量、絞り装置14aのCv値、パルス数の試算結果を表で示している。試算方法は前述の全暖房運転モードの場合と同様であるため省略し、以下に試算結果についてのみ述べる。
凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が7℃の飽和圧力、室内冷房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27bに流入する)、圧縮機10の吐出温度は104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は27.2(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.062、パルス数は252、絞り装置14aのCv値は0.950、パルス数は3000となる。すなわち、定常状態では絞り装置14bの開度が252パルス、絞り装置14aの開度が3000パルスで冷凍サイクルがバランスする。この値をインジェクション制御の初期値として使用することで、インジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
同様に、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が12℃の飽和圧力、室内冷房負荷が中、圧縮機10の吐出温度が104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は27.9(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.023、パルス数は132、絞り装置14aのCv値は0.710、パルス数は2256となる。
同様に、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が17℃の飽和圧力、室内冷房負荷が中、圧縮機10の吐出温度が104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は28.6(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.017、パルス数は113、絞り装置14aのCv値は0.552、パルス数は1770となる。
図20は、暖房主体運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合におけるインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を説明するための説明図である。図20には、暖房主体運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合におけるインジェクション流量Grinj (kg/h)、絞り装置14bのCv値、パルス数およびパルス変化量、絞り装置14aのCv値、パルス数の試算結果を表で示している。以下、この試算結果について述べる。
凝縮温度49℃、蒸発温度−10℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が7℃の飽和圧力、室内冷房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27bに流入する)、圧縮機10の吐出温度が104℃のとき、吐出温度を20℃低下させるためのインジェクション流量Grinj は21.1(kg/h)、絞り装置14bのCv値は0.014、パルス数は104、絞り装置14aのCv値は0.592、パルス数は1891となる。
[運転モード変化時の制御方法]
次に、以上行ってきた計算結果(図15〜図20)をもとに、運転モード変化時における中間圧力制御、絞り装置14aと絞り装置14bの開度制御について説明する。
[停止状態から起動]
停止状態から起動するときは、起動して所定時間の間、たとえば3分間は開閉装置24を閉とし、絞り装置14bの開度を全閉とする。このように制御を行うのは、起動してしばらくの間は圧縮機10の吐出温度が高温にならないため、インジェクションが必要ないからである。また、所定時間を超えた場合に絞り装置14bを開としてもよい。さらに、圧縮機10の吐出温度や圧縮機10の吐出圧力がある所定値を超えた場合に絞り装置14bを開としてもよい。
[全暖房運転モードから暖房主体運転モード]
全暖房運転モードから暖房主体運転モードに運転モードが変化する場合、中間圧力の目標値を低くし、さらに、絞り装置14bの開度を大きくするように制御を行う。すなわち、絞り装置14bは、中間圧力の目標値の減少幅に合わせて開度を大きくするように制御される。
全暖房運転モードでは暖房主体運転モードよりも外気温が低い条件で運転する必要があり、インジェクション流量を増やすために中間圧力の目標値を高くする必要がある。また、暖房主体運転モードでは冷房能力を確保するために中間圧力を低くしなければならない(たとえば、0℃から10℃の範囲で制御する)。そのため、全暖房運転モードの中間圧力を暖房主体運転モードの中間圧力よりも高い目標値とする必要がある。
全暖房運転モードから暖房主体運転モードへの運転モード変化時の具体例として、前述した定常開度を用いて説明する。図21は、全暖房運転モードから暖房主体運転モードに運転モードを変化する時の制御目標値の一例を示した図である。図21では、全暖房運転モードと暖房主体運転モード間でモード変化した場合の絞り装置14aの開度(Cv値)、パルス数及びパルス変化量を、絞り装置14bの開度(Cv値)、パルス数及びパルス変化量を、それぞれ示している。
ここでは、凝縮温度49度、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が30℃の飽和圧力という状態の全暖房運転モードから、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート2℃、サブクール5℃、中間圧力が7℃の飽和圧力、室内冷房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27bに流入する)という状態の暖房主体運転モードへ運転状態が変化する場合を考える。
このときの絞り装置14aの開度とパルス数は、全暖房運転モードではCv値0.188、パルス数642であり、暖房主体運転モードではCv値0.950、パルス数3000である。したがって、全暖房運転モードから暖房主体運転モードへ運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度はパルス数を2360増やすように制御する。また、絞り装置14bの開度とパルス数は、全暖房運転モードではCv値0.012、パルス数97であり、暖房主体運転モードではCv値0.062、パルス数252である。したがって、全暖房運転モードから暖房主体運転モードへ運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度はパルス数を160増やすように制御する。
このように空気調和装置100においては、前述した定常開度を運転モード変化時におけるインジェクション制御の初期値とすることで、信頼性を確保しながら、運転モードを切り替えることができるようになっている。
[暖房主体運転モードから全暖房運転モード]
暖房主体運転モードから全暖房運転モードに運転状態が変化する場合は、中間圧力の目標値を高くするが、絞り装置14bはそのままの開度を維持し、所定時間経過後は吐出温度に応じて開度を制御する。
[暖房主体運転モードから冷房主体運転モード]
暖房主体運転モードから冷房主体運転モードに運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度を所定開度にした後に、第1冷媒流路切替装置11を切り替えるという順序で制御する。それは、第1冷媒流路切替装置11の切り替えを先に行うと、中間圧力からのインジェクションが高圧からのインジェクションに変わり、圧縮機10へのインジェクション量が多くなり過ぎ、吐出温度が低下し過ぎる、または圧縮機10への液冷媒の流入が過大となる可能性があるためである。
暖房主体運転モードから冷房主体運転モードへの運転モード変化時の具体例として、前述した定常開度を用いて説明する。図22は、暖房主体運転モードから冷房主体運転モードに運転モードを変化する時の制御目標値の一例を示した図である。図22では、暖房主体運転モードと冷房主体運転モードとの間でモード変化した場合の絞り装置14aの開度(Cv値)、パルス数及びパルス変化量、絞り装置14bの開度(Cv値)、パルス数及びパルス変化量を、それぞれ示している。
ここでは、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、中間圧力が7℃の飽和圧力、室内冷房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27bに流入する)という状態の暖房主体運転モードから、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート2℃、サブクール5℃、室内暖房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27aに流入する)という状態の冷房主体運転モードへ運転状態が変化する場合を考える。
このときの絞り装置14aの開度とパルス数は、暖房主体運転モードではCv値0.950、パルス数3000であり、冷房主体運転モードでは冷媒が流れないので、開度は自由に設定できる。したがって、暖房主体運転モードから冷房主体運転モードへ運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度はそのままとする制御を行う。また、絞り装置14bの開度とパルス数は、暖房主体運転モードではCv値0.062、パルス数252であり、冷房主体運転モードではCv値0.011、パルス数96である。したがって、暖房主体運転モードから冷房主体運転モードへ運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度はパルス数を160減らすように制御する。
このように空気調和装置100においては、前述した定常開度を運転モード変化時におけるインジェクション制御の初期値とすることで、運転モード変化時の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
[冷房主体運転モードから暖房主体運転モード]
冷房主体運転モードから暖房主体運転モードに運転モードが変化する場合、第1冷媒流路切替装置11を切り替えた後に、絞り装置14bの開度を所定開度にするという順序で制御する。それは、絞り装置14bの開度変更を先に行うと、圧縮機10へのインジェクション流量が多くなり過ぎてしまい、吐出温度が低下し過ぎる、または圧縮機10への液冷媒の流入が過大となる可能性があるためである。なお、冷房主体運転モードから暖房主体運転モードへ運転モードが変化する場合は、暖房主体運転モードから冷房主体運転モードへ運転モードが変化する場合のパルス変化量の増減を逆として制御すればよい。
[冷房主体運転モードから全冷房運転モード]
冷房主体運転モードから全冷房運転モードに運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度を所定開度分小さくするように制御する。
冷房主体運転モードから全冷房運転モードに運転モードが変化時の具体例として、前述した定常開度を用いて説明する。図23は、冷房主体運転モードから全冷房運転モードに運転モードが変化する時の制御目標値の一例を示した図である。図23では、冷房主体運転モードと全冷房運転モードとの間でモード変化した場合の絞り装置14bの開度(Cv値)、パルス数及びパルス変化量を示している。
ここでは、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート(過熱度)2℃、サブクール(過冷却度)5℃、室内暖房負荷が中(乾き度0.6で気液分離器27aに流入する)という状態の冷房主体運転モードから、凝縮温度49℃、蒸発温度0℃、スーパーヒート2℃、サブクール5℃という状態の全冷房運転モードへ運転状態が変化する場合を考える。
このときの絞り装置14bの開度とパルス数は、冷房主体運転モードではCv値0.011、パルス数96であり、全冷房運転モードではCv値0.011、パルス数93である。したがって、パルスの変化量が少ないので、冷房主体運転モードと全冷房運転モード間におけるモード変化では開度の変更を行わない。
このように空気調和装置100においては、前述の定常開度を運転モード変化時におけるインジェクション制御の初期値とすることで、運転モード変化時の冷凍サイクルを早く安定させることができるようになっている。
[全冷房運転モードから冷房主体運転モード]
全冷房運転モードから冷房主体運転モードに運転モードが変化する場合、絞り装置14bの開度を所定開度分大きくするように制御する。なお、全冷房運転モードから冷房主体運転モードへ運転モードが変化する場合は、冷房主体運転モードから全冷房運転モードへ運転モードが変化する場合のパルス変化量の増減を逆として制御すればよい。
全冷房運転モードにおけるインジェクション時の冷媒のエンタルピ(図5の点K)は、冷房主体運転モードにおけるインジェクション時の冷媒のエンタルピ(図9の点K)よりもサブクール分小さいエンタルピであるため、インジェクション流量を減らす必要がある。このため、冷房主体運転モードから全冷房運転モードに運転モードが変化する場合、サブクールに依存した所定開度分だけ絞り装置14bの開度を小さくするように制御する。反対に、全冷房運転モードから冷房主体運転モードに運転モードが変化する場合は、反対に所定開度分だけ絞り装置14bの開度を大きくするように制御する。
[中間圧力制御によるインジェクション]
全暖房運転モードと暖房主体運転モードのインジェクション制御方法には、絞り装置14bの開度は常に全開とし、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御するような方法も可能である。
図24は、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御する際の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図24に基づいて、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御する際の制御処理について説明する。なお、中間圧力を必要としない全冷房運転モードと冷房主体運転モードのインジェクション制御方法に変更はない。また、ここで示す空気調和装置100の制御処理は、上述した制御装置50が行っている。
室外機1が起動して処理が開始されると(AB1)、制御装置50は、まず圧縮機10の吐出温度制御目標値である吐出温度目標値を設定する(AB2)。この吐出温度目標値は、暖房運転ではインジェクション流量を多くした方が熱源側熱交換器12での圧力損失が小さくなるので、インジェクション流量を多くするように吐出温度の目標値は低め、たとえば80℃等に設定するとよい。次に、制御装置50は、吐出冷媒温度検出装置37からの情報によって圧縮機10の吐出温度を検出する(AB3)。
そして、制御装置50は、中間圧力の目標値を設定する。(AB4)。この中間圧力の目標値は、全暖房運転モードではインジェクション流量が多くなるように高め、たとえばR32冷媒の30℃における飽和圧力である1.93MPa等に設定するとよい。また、暖房主体運転モードでは冷房運転の室内機2が存在するため、蒸発温度すなわち中間圧力を高くすることはできず、たとえばR32冷媒の7℃における飽和圧力である1.01MPa等に設定するとよい。
制御装置50は、中圧検出装置32からの情報によって中間圧力を検出する(AB5)。制御装置50は、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め決めた温度差、たとえば0.5℃よりも小さいかどうかを判別する(AB6)。そして、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め決めた温度差以上であって(AB6;NO)、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値よりも大きい場合、制御装置50は、絞り装置14aの開度を大きくする(AB7の上段)。一方、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め決めた温度差以上であって(AB6;NO)、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値よりも小さい場合、制御装置50は、絞り装置14aの開度を小さくする(AB7の下段)。
そして、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め温度差よりも小さくなった場合(AB6;YES)、制御装置50は、吐出温度の制御を終了する(AB8)。
なお、絞り装置14aの開度の求め方は、前述している計算方法と同じであるので省略する。また、各運転モードおよび各中間圧力目標値のときの絞り装置14aの定常開度は、図15から図20に記載されている開度とほとんど同じなので省略する。また、前述の定常開度をインジェクション制御の初期値とすることで、中間圧力制御によるインジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
暖房運転時に絞り装置14bの開度を全開とし、絞り装置14aのみで中間圧力とインジェクション流量を同時に制御する方法は、言い換えると暖房時に絞り装置14bを使用しないことになる。また、冷房運転時のインジェクションでは高圧冷媒をインジェクションするため、絞り装置14bの最大開度が小さいもので済む。したがって、絞り装置14bには、容量が小さく安価なものを使用できる。
[差圧制御によるインジェクション]
全暖房運転モードと暖房主体運転モードのインジェクション制御方法には、絞り装置14bの開度は常に全開とし、絞り装置14aだけで中圧検出装置32の検出値と圧縮機10の吸入付近に設置した吸入圧力検出装置33の検出値との差(差圧)を制御し、圧縮機10の吐出温度の低下させるような方法も可能である。
図25は、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御する際の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図25に基づいて、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御する際の制御処理について説明する。なお、中間圧力を必要としない全冷房運転モードと冷房主体運転モードのインジェクション制御方法に変更はない。また、ここで示す空気調和装置100の制御処理は、上述した制御装置50が行っている。
室外機1が起動して処理が開始されると(CD1)、制御装置50は、まず圧縮機10の吐出温度制御目標値である吐出温度目標値を設定する(CD2)。この吐出温度目標値は、暖房運転ではインジェクション流量を多くした方が熱源側熱交換器12での圧力損失が小さくなるので、インジェクション流量を多くするように吐出温度の目標値は低め、たとえば80℃等に設定するとよい。次に、制御装置50は、吐出冷媒温度検出装置37からの情報によって圧縮機10の吐出温度を検出する(CD3)。
そして、制御装置50は、中間圧力と圧縮機10の吸込圧力との差(差圧)の目標値を設定する(CD4)。この差圧の目標値は、全暖房運転モードではインジェクション流量が多くなるように大きめ、たとえばR32冷媒の30℃と0℃における飽和圧力の差である1.11MPa等に設定するとよい。また、暖房主体運転モードでは冷房運転の室内機2が存在するため、蒸発温度を高くすることはできず、差圧も大きくすることができない。この場合の差圧の目標値は、たとえばR32冷媒の7℃と0℃における飽和圧力の差である0.20MPa等に設定するとよい。
制御装置50は、中圧検出装置32からの情報によって中間圧力を検出する(CD5)。制御装置50は、吸入圧力検出装置33からの情報によって圧縮機10の吸込圧力を検出し(CD6)、中間圧力と圧縮機10の吸込圧力との差(差圧)を計算する(CD7)。制御装置50は、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め決めた温度差、たとえば0.5℃よりも小さいかどうかを判別する(CD8)。
そして、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め決めた温度差以上であって(CD8;NO)、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値よりも大きい場合、制御装置50は、差圧が大きくなるように絞り装置14aの開度を大きくする(CD9の上段)。一方、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め決めた温度差以上であって(CD8;NO)、圧縮機10の吐出温度の検出値が目標値よりも小さい場合、制御装置50は、差圧が小さくなるように絞り装置14aの開度を小さくする(CD9の下段)。
そして、圧縮機10の吐出温度の目標値と検出値との差が予め温度差よりも小さくなった場合(CD8;YES)、制御装置50は、吐出温度の制御を終了する(CD10)。なお、絞り装置14aの開度の求め方は、前述している計算方法と同じであるので省略する。
図26は、各運転モードおよび各差圧目標値のときの絞り装置14aの定常開度を示す表である。この定常開度は、蒸発温度と中間圧力の飽和温度との温度差における飽和圧力差を差圧とし、そのときの絞り装置14aの定常開度を全暖房運転モードにおける中間圧力目標値の試算結果(図16)と暖房主体運転モードにおける中間圧力目標値の試算結果(図19)から得たものである。また、前述の定常開度をインジェクション制御の初期値とすることで、差圧制御によるインジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。なお、吸入圧力検出装置33の検出値で差圧を求めたが、吸入冷媒温度検出装置38の検出温度から飽和圧力に換算して、差圧を求めてもよい。ただし、この場合は冷媒が気液二相状態でなければならない。
暖房運転時に絞り装置14bの開度を全開とし、絞り装置14aのみで差圧とインジェクション流量を同時に制御する方法は、言い換えると暖房時に絞り装置14bを使用しないことになる。また、冷房運転時のインジェクションでは高圧冷媒をインジェクションするため、絞り装置14bの最大開度が小さいもので済む。したがって、絞り装置14bには、容量が小さくコストが安価な絞り装置を使用できる。
以上のように、実施の形態1に係る空気調和装置100によれば、気液分離器(気液分離器27a、気液分離器27b)と冷媒−冷媒間熱交換器28を介してインジェクション流量を制御する絞り装置14bへ冷媒が流入する構成となっているため、絞り装置14bへの流入冷媒を確実に液冷媒とすることができる。よって、空気調和装置100では、運転モードによらず、安定したインジェクション制御が実現でき、圧縮機10から吐出される冷媒の温度が高くなりすぎないようにすることができる。
実施の形態2.
図27は、実施の形態2に係る空気調和装置200の回路構成の一例を示す概略図である。本実施の形態2に係る空気調和装置200は、実施の形態1に係る空気調和装置100の気液分離器27a及び気液分離器27bを、分岐部29a及び分岐部29bに置き換えた構成となっている。なお、それ以外の構成については、実施の形態1に係る空気調和装置100と同様であるため説明を省略する。また、熱媒体の流れについては、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
分岐部29aは、逆止弁13a又は逆止弁13bを経由してきた冷媒を、冷媒配管4と分岐配管4dとに分流するものである。分岐部29bは、熱媒体変換機3から戻ってきた冷媒を、分岐配管4dと、逆止弁13d又は逆止弁13cに流れる冷媒と、に分流するものである。
[各運転モード]
図28は、空気調和装置200の全冷房運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図29は、全冷房運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。図30は、空気調和装置200の全暖房運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図31は、全冷房運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。図32は、空気調和装置200の冷房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図33は、冷房主体運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。図34は、空気調和装置200の暖房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図35は、暖房主体運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。
空気調和装置200の各運転モードにおける熱源側冷媒の流れは、実施の形態1で説明した熱源側冷媒の流れと基本的には同じである。ただし、空気調和装置200では、気液分離器27a及び気液分離器27bではなく、分岐部29a及び分岐部29bを設置しているため、分岐部29a及び分岐部29bで分岐された熱源側冷媒の状態が実施の形態1に係る空気調和装置100とは若干相違することになる。
[インジェクション制御]
実施の形態2に係る空気調和装置200のインジェクション時の具体的な制御方法について説明する。なお、圧縮機10の吐出温度を低下させるためのインジェクション制御は、実施の形態1で説明した図15に示す通りである。また、インジェクション流量の制御と、絞り装置14a及び絞り装置14bの開度の求め方についても、実施の形態1と同じである。ただし、空気調和装置200においては、冷媒回路構成が空気調和装置100と異なるため、インジェクション流量と絞り装置14a及び装置14bの定常開度とも異なる。したがって、各運転モードにおけるインジェクション制御方法に関して、実施の形態1と異なる部分について説明する。
[全冷房運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図28及び図29を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図29の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
圧縮機10で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器12にて凝縮され液化されて高圧の液冷媒となり(図29の点J)、逆止弁13aを介して、分岐部29aに至る。開閉装置24を開とし、この高圧液冷媒を分岐部29aで分岐する。分岐部29aで分岐された一方の冷媒は、開閉装置24及び分岐配管4dを介してインジェクション配管4cに流入し、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して絞り装置14bに流入し減圧され、低温中圧の二相冷媒となる。絞り装置14bに流入する冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28にて減圧して圧力と温度が下がった冷媒により冷やされ(図29の点J’)、絞り装置14bで絞られた後(図29の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28にて減圧前の冷媒により加熱され(図29の点K)、圧縮室に導入される。
絞り装置14bは、二相状態の冷媒が流入すると安定した制御ができなくなることがある。そこで、このような構成にすることにより、冷媒封入量が少ない等の原因により、熱源側熱交換器12の出口でのサブクール(過冷却度)が小さかったとしても、絞り装置14bに、確実に液冷媒を供給することができ、安定した制御が可能になる。なお、全冷房運転モードにおいて凝縮温度が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を図36に示す。また、各運転モードの計算条件および計算過程は、実施の形態1と同様のため省略する。
[全暖房運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図30及び図31を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーターにより0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部が開口し(この時の状態は、図31の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻ってくる冷媒は、絞り装置14aの上流側において、絞り装置14aの作用により圧力が中圧状態に制御される(図31の点J)。そして、絞り装置14aの作用によって中圧状態にされた二相冷媒は、分岐部29bで分岐されて、一部の冷媒が分岐配管4dに流れ込む。この冷媒は、逆流防止装置20を介して、インジェクション配管4cへ流れ、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して、絞り装置14bに流入し減圧され、少し圧力が下がった低温中圧の二相冷媒となる。
絞り装置14bに流入する熱源側冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧して圧力と温度が下がった熱源側冷媒により冷やされることにより液化する(図31の点J’)。この熱源側冷媒は、絞り装置14bで絞られた後(図31の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧前の冷媒により加熱される(図31の点K)。そして、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。
このような構成にすることにより、中圧二相状態の冷媒を中圧液冷媒にしてから、絞り装置14bに流入させることができ、安定した制御が可能になる。なお、全暖房運転モードにおいて中間圧力が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図37に示す。また、全暖房運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図38に示す。
[冷房主体運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図32及び図33を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図33の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
圧縮機10で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器12にて凝縮され高圧の二相冷媒となり(図33の点J)、逆止弁13aを介して、分岐部29aに至る。開閉装置24を開とし、この高圧二相冷媒を分岐部29aで分岐する。分岐部29aで分岐された一方の冷媒は、開閉装置24及び分岐配管4dを介してインジェクション配管4cに流入し、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して絞り装置14bに流入し減圧され、低温中圧の二相冷媒となる。絞り装置14bに流入する冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28にて減圧して圧力と温度が下がった冷媒で冷やされることにより液化し(図33の点J’)、絞り装置14bで絞られた後(図33の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28にて減圧前の冷媒により加熱され(図33の点K)、圧縮室に導入される。
このような構成にすることにより、高圧二相状態の冷媒を高圧液冷媒にしてから、絞り装置14bに流入させることができ、安定した制御が可能になる。なお、冷房主体運転モードにおいて室内暖房負荷(乾き度)が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を図39に示す。
[暖房主体運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図34及び図35を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図35の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻ってくる冷媒は、絞り装置14aの上流側において、絞り装置14aの作用により圧力が中圧状態に制御される(図35の点J)。そして、絞り装置14aの作用によって中圧状態にされた二相冷媒は、分岐部29bで分岐されて、一部の冷媒が分岐配管4dに流れ込む。この冷媒は、逆流防止装置20を介して、インジェクション配管4cへ流れ、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して、絞り装置14bに流入し減圧され、少し圧力が下がった低温中圧の二相冷媒となる。
絞り装置14bに流入する熱源側冷媒は、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧して圧力と温度が下がった冷媒により冷やされることにより液化する(図35の点J’)。この熱源側冷媒は、絞り装置14bで絞られた後(図35の点K’)、冷媒−冷媒間熱交換器28において、減圧前の冷媒により加熱される(図35の点K)。そして、圧縮機100の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。
このような構成にすることにより、中圧二相状態の冷媒を中圧液冷媒にしてから、絞り装置14bに流入させることができ、安定した制御が可能になる。なお、暖房主体運転モードにおいて中間圧力が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図40に示す。また、暖房主体運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図41に示す。
以上のように、実施の形態2に係る空気調和装置200の構成においても、絞り装置14aと絞り装置14bの二つで中間圧力とインジェクション流量を別々に制御することができる。したがって、空気調和装置200によれば、中間圧力とインジェクション流量を任意に制御できることになるため、様々な条件におけるインジェクションを安定して行える。
[運転モード変化時の制御方法]
運転モード変化時における中間圧力と、絞り装置14a及び絞り装置14bの開度は、実施の形態1と同様の方法で制御を行うため説明を省略する。また、実施の形態2における空気調和装置200の運転モード変化時の絞り装置14a、絞り装置14bの初期開度を図42〜図44に示す。計算条件および計算過程の詳細は、実施の形態1と同様のため省略する。
[中間圧力制御によるインジェクション]
空気調和装置200においても、全暖房運転モードと暖房主体運転モードのインジェクション制御方法には、絞り装置14bの開度は常に全開とし、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御するような方法も可能である。なお、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御する際の制御処理の流れは、実施の形態1で説明した図24と同様であるため説明を省略する。また、中間圧力を必要としない全冷房運転モードと冷房主体運転モードのインジェクション制御方法に変更はない。
各運転モードおよび各中間圧力目標値のときの絞り装置14aの定常開度は、図36〜図41に記載されている開度とほとんど同じである。また、絞り装置14aの定常開度をインジェクション制御の初期値とすることで、中間圧力制御によるインジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
暖房運転時に絞り装置14bの開度を全開とし、絞り装置14aのみで中間圧力とインジェクション流量を同時に制御する方法は、言い換えると暖房時に絞り装置14bを使用しないことになる。また、冷房運転時のインジェクションでは高圧冷媒をインジェクションするため、絞り装置14bの最大開度が小さいもので済む。したがって、絞り装置14bには、容量が小さく安価なものを使用できる。
[差圧制御によるインジェクション]
実施の形態2においても、全暖房運転モードと暖房主体運転モードのインジェクション制御方法には、絞り装置14bの開度は常に全開とし、絞り装置14aだけで中圧検出装置32の検出値と圧縮機10の吸入付近に設置した吸入圧力検出装置33の検出値との差(差圧)を制御し、圧縮機10の吐出温度の低下させるような方法も可能である。なお、この制御処理の流れについては、実施の形態1で説明した図25と同様であるので、説明を省略する。また、中間圧力を必要としない全冷房運転モードと冷房主体運転モードのインジェクション制御方法に変更はない。
図45は、各運転モードおよび各差圧目標値のときの絞り装置14aの定常開度を示す表である。この定常開度は、蒸発温度と中間圧力の飽和温度との温度差における飽和圧力差を差圧とし、そのときの絞り装置14aの定常開度を全暖房運転モードにおける中間圧力目標値の試算結果(図37)と暖房主体運転モードにおける中間圧力目標値の試算結果(図40)から得たものである。また、前述の定常開度をインジェクション制御の初期値とすることで、差圧制御によるインジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
暖房運転時に絞り装置14bの開度を全開とし、絞り装置14aのみで差圧とインジェクション流量を同時に制御する方法は、言い換えると暖房時に絞り装置14bを使用しないことになる。また、冷房運転時のインジェクションでは高圧冷媒をインジェクションするため、絞り装置14bの最大開度が小さいもので済む。したがって、絞り装置14bには、容量が小さくコストが安価な絞り装置を使用できる。
以上のように、実施の形態2に係る空気調和装置200によれば、分岐部(分岐部29a、分岐部29b)と冷媒−冷媒間熱交換器28を介してインジェクション流量を制御する絞り装置14bへ冷媒が流入する構成となっているため、絞り装置14bへの流入冷媒を確実に液冷媒とすることができる。よって、空気調和装置200では、運転モードによらず、安定したインジェクション制御が実現でき、圧縮機10から吐出される冷媒の温度が高くなりすぎないようにすることができる。また、空気調和装置200によれば、気液分離器を使用しないため、製作コストがより安価になる。
実施の形態3.
図46は、実施の形態3に係る空気調和装置300の回路構成の一例を示す概略図である。図47は、絞り装置14(絞り装置14a、絞り装置14b)の構成例を示す概略図である。本実施の形態3に係る空気調和装置300は、実施の形態2に係る空気調和装置200の冷媒−冷媒間熱交換器28を取り除き、絞り装置14aと絞り装置14bに図47に示す攪拌装置46付きの絞り装置を使用する構成となっている。なお、それ以外の構成については、実施の形態1に係る空気調和装置100、実施の形態2に係る空気調和装置200と同様であるため説明を省略する。また、熱媒体の流れについては、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
図47に示すように、絞り装置14は、冷媒の流入口となる流入管41、冷媒の流出口となる流出管42、冷媒を減圧させる絞り部43、絞り部43による絞り量を調整する弁体44、弁体44を駆動するモーター45、及び、冷媒を攪拌する攪拌装置46で構成されている。攪拌装置46は、流入管41内に装置されている。
流入管41から流入した二相冷媒は、攪拌装置46に至り、攪拌装置46の作用でガス冷媒と液冷媒とが攪拌されてほぼ均一に混ざり合う。ガス冷媒と液冷媒がほぼ均一に混ざり合った二相冷媒は、絞り部43によって絞られて減圧され、流出管42から流出する。この際、モーター45によって弁体44の位置が調整され、絞り部43での絞り量が制御される。
攪拌装置46は、ガス冷媒と液冷媒とがほぼ均一に混ざり合っている状態を作れるものであれば、どんなものでもよいが、たとえば発泡金属を使用するとよい。発泡金属は、スポンジ等の樹脂発泡体と同じ三次元網目状構造を持つ金属多孔質体であり、金属多孔質体の中で気孔率(空隙率)が最も大きい(80%〜97%)ものである。この発泡金属を通して、二相冷媒を流通させると、三次元的な網目状構造の影響で、冷媒中のガスが微細化され、攪拌されて、液と均一に混ざり合う効果がある。
なお、冷媒の流れは、冷媒の流入する配管の内径をD’、流れを乱す構造を持った箇所(たとえば、攪拌装置の設置箇所)から絞り部までの長さをL’とした場合に、L/Dが8〜10になる距離にまで達すると、乱れの影響がなくなり元通りの流れになることが、流体力学の分野で明らかになっている。そこで、絞り装置14の流入管41の内径をD、攪拌装置46から絞り部43までの長さをLとし、L/Dが6以下となる位置に、攪拌装置46を設置するとよい。この位置に攪拌装置46を設置すると、攪拌した二相冷媒が、攪拌された状態のまま、絞り部43に到達することができ、安定した制御が可能になる。
[各運転モード]
図48は、空気調和装置300の全冷房運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図49は、全冷房運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。図50は、空気調和装置300の全暖房運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図51は、全冷房運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。図52は、空気調和装置300の冷房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図53は、冷房主体運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。図54は、空気調和装置300の暖房主体運転モード時における冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図55は、暖房主体運転モード時における熱源側冷媒の状態遷移を示すp―h線図である。
空気調和装置300の各運転モードにおける熱源側冷媒の流れは、実施の形態1で説明した熱源側冷媒の流れと基本的には同じである。ただし、空気調和装置300では、図47に示すような構造の絞り装置14を採用しているため、インジェクション流量と絞り装置14a及び絞り装置14bの定常開度が異なる。したがって、この点について詳しく説明するものとする。
[絞り装置14a、絞り装置14b]
絞り装置14a及び絞り装置14bに電子式膨張弁を使用した場合、二相状態の冷媒が流入するとガス冷媒と液冷媒とが分離して流れていると、絞り部にガスが流れる状態と液が流れる状態とが別々に発生して、出口側の圧力が安定しない場合がある。特に、乾き度が小さい場合に、冷媒の分離が発生し、その傾向が強い。
そこで、空気調和装置300では、絞り装置14a、絞り装置14bとして、図47に示すような構造のものを採用している。このような構造の絞り装置を使用すると、二相冷媒が流入しても、安定した制御が可能になる。実施の形態1のように気液分離器を使用した場合は、このような構造の絞り装置を採用しなくても十分安定した制御ができるが、実施の形態2や実施の形態3のように気液分離器を使用しない場合は、このような細工構造の絞り装置採用することで、環境条件によらず、実施の形態1と同様に安定した制御が可能となる。
[全冷房運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図48及び図49を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図49の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
圧縮機10で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器12にて凝縮され液化されて高圧の液冷媒となり(図49の点J)、逆止弁13aを介して、分岐部29aに至る。開閉装置24を開とし、この高圧液冷媒を分岐部29aで分岐する。分岐部29aで分岐された一方の冷媒は、開閉装置24及び分岐配管4dを介してインジェクション配管4cに流入し、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して絞り装置14bに流入し減圧され、低温中圧の二相冷媒となり(図49の点K)、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。
圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図49の点F)と低温中圧の二相冷媒(図49の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がり(図49の点H)、これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下する(図49の点I)。このインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図49の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。なお、分岐部29bは、流れ込んだ二相状態の冷媒を均一に分配するために、冷媒を下から上に流した状態で分流させる構造とする。このようにすることで、二相冷媒がより均一に分配される。
全冷房運転モードにおいて凝縮温度が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を図56に示す。なお、実施の形態3において、計算条件および計算過程は、実施の形態1と同様のため省略する。
[全暖房運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図50及び図51を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーターにより0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部が開口し(この時の状態は、図51の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻ってくる冷媒は、絞り装置14aの上流側において、絞り装置14aの作用により圧力が中圧状態に制御される(図51の点J)。そして、絞り装置14aの作用によって中圧状態にされた二相冷媒は、分岐部29bで分岐されて、一部の冷媒が分岐配管4dに流れ込む。この冷媒は、逆流防止装置20を介して、インジェクション配管4cへ流れ、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して、絞り装置14bに流入し減圧され、少し圧力が下がった低温中圧の二相冷媒となり(図51の点K)、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。
圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図51の点F)と低温中圧の二相冷媒(図51の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がり(図51の点H)、これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下する(図51の点I)。このインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図51の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。なお、分岐部29bの構造については、全冷房運転モードで説明した通りである。
全暖房運転モードにおいて中間圧力が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図57に示す。また、全暖房運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図58に示す。
[冷房主体運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図52及び図53を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図53の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
圧縮機10で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器12にて凝縮され高圧の二相冷媒となり(図53の点J)、逆止弁13aを介して、分岐部29aに至る。開閉装置24を開とし、この高圧二相冷媒を分岐部29aで分岐する。分岐部29aで分岐された一方の冷媒は、開閉装置24及び分岐配管4dを介してインジェクション配管4cに流入し、絞り装置14bに流入し減圧され、低温中圧の二相冷媒となり(図53の点K)、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。
圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図53の点F)と低温中圧の二相冷媒(図53の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がり(図53の点H)、これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下する(図53の点I)。このインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図53の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。なお、分岐部29bの構造については、全冷房運転モードで説明した通りである。
冷房主体運転モードにおいて室内暖房負荷(乾き度)が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bの定常開度を図59に示す。
[暖房主体運転モード時のインジェクション制御方法]
冷媒のインジェクションの動作を、図54及び図55を用いて説明する。
圧縮機10の圧縮室は、モーター(図示せず)により0〜360度回転させられる間に、内容積が小さくなっていく。圧縮室に吸入された内部の低温低圧のガス冷媒は、圧縮室の内容積が小さくなるに伴い圧縮されて圧力及び温度が上昇する。モーターの回転角度が一定角度になった時に、開口部(圧縮室の一部に形成されている)が開口し(この時の状態は、図55の点F)、圧縮室の内部と圧縮機10の外部のインジェクション配管4cとが連通するようになっている。
熱媒体変換機3から冷媒配管4を経由して室外機1に戻ってくる冷媒は、絞り装置14aの上流側において、絞り装置14aの作用により圧力が中圧状態に制御される(図55の点J)。そして、絞り装置14aの作用によって中圧状態にされた二相冷媒は、分岐部29bで分岐されて、一部の冷媒が分岐配管4dに流れ込む。この冷媒は、逆流防止装置20を介して、インジェクション配管4cへ流れ、冷媒−冷媒間熱交換器28を介して、絞り装置14bに流入し減圧され、少し圧力が下がった低温中圧の二相冷媒となり(図55の点K)、圧縮機10の圧縮室に設けられた開口部から圧縮室内に導入される。
圧縮室内では、中圧のガス冷媒(図55の点F)と低温中圧の二相冷媒(図55の点K)とが混合されて、冷媒の温度が下がり(図55の点H)、これにより、圧縮機10から吐出される冷媒の吐出温度が低下する(図55の点I)。このインジェクションを行わない場合の圧縮機10の吐出温度は図55の点Gであり、インジェクションにより、吐出温度が点Gから点Iに低下していることが分かる。なお、分岐部29bの構造については、全冷房運転モードで説明した通りである。
暖房主体運転モードにおいて中間圧力が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図60に示す。また、暖房主体運転モードにおいて蒸発温度が変化した場合のインジェクション流量を制御する絞り装置14bと中間圧力を制御する絞り装置14aの定常開度を図61に示す。
以上のように、実施の形態3に係る空気調和装置300の構成においても、絞り装置14aと絞り装置14bの二つで中間圧力とインジェクション流量を別々に制御することができる。したがって、空気調和装置300によれば、中間圧力とインジェクション流量を任意に制御できることになるため、様々な条件におけるインジェクションを安定して行える。
[運転モード変化時の制御方法]
運転モード変化時における中間圧力と、絞り装置14a及び絞り装置14bの開度は、実施の形態1と同様の方法で制御を行うため説明を省略する。また、実施の形態3における運転モード変化時の初期開度を図62〜図64に示す。計算条件および計算過程の詳細は、実施の形態1と同様のため省略する。
[中間圧力制御によるインジェクション]
空気調和装置300においても、全暖房運転モードと暖房主体運転モードのインジェクション制御方法には、絞り装置14bの開度は常に全開とし、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御するような方法も可能である。なお、絞り装置14aだけで中間圧力と圧縮機10の吐出温度の両方を制御する際の制御処理の流れは、実施の形態1で説明した図24と同様であるため説明を省略する。また、中間圧力を必要としない全冷房運転モードと冷房主体運転モードのインジェクション制御方法に変更はない。
各運転モードおよび各中間圧力目標値のときの絞り装置14aの定常開度は、図57〜図60に記載されている開度とほとんど同じである。また、絞り装置14aの定常開度をインジェクション制御の初期値とすることで、中間圧力制御によるインジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
暖房運転時に絞り装置14bの開度を全開とし、絞り装置14aのみで中間圧力とインジェクション流量を同時に制御する方法は、言い換えると暖房時に絞り装置14bを使用しないことになる。また、冷房運転時のインジェクションでは高圧冷媒をインジェクションするため、絞り装置14bの最大開度が小さいもので済む。したがって、絞り装置14bには、容量が小さく安価なものを使用できる。
[差圧制御によるインジェクション]
実施の形態3においても、全暖房運転モードと暖房主体運転モードのインジェクション制御方法には、絞り装置14bの開度は常に全開とし、絞り装置14aだけで中圧検出装置32の検出値と圧縮機10の吸入付近に設置した吸入圧力検出装置33の検出値との差(差圧)を制御し、圧縮機10の吐出温度の低下させるような方法も可能である。なお、この制御処理の流れについては、実施の形態1で説明した図24と同様であるので、説明を省略する。また、中間圧力を必要としない全冷房運転モードと冷房主体運転モードのインジェクション制御方法に変更はない。
図65は、各運転モードおよび各差圧目標値のときの絞り装置14aの定常開度を示す表であるの説明図である。この定常開度は、蒸発温度と中間圧力の飽和温度との温度差における飽和圧力差を差圧とし、そのときの絞り装置14aの定常開度を全暖房運転モードにおける中間圧力目標値の試算結果(図57)と暖房主体運転モードにおける中間圧力目標値の試算結果(図60)から得たものである。また、前述の定常開度をインジェクション制御の初期値とすることで、差圧制御によるインジェクションを行う場合の冷凍サイクルを早く安定させることができる。
暖房運転時に絞り装置14bの開度を全開とし、絞り装置14aのみで差圧とインジェクション流量を同時に制御する方法は、言い換えると暖房時に絞り装置14bを使用しないことになる。また、冷房運転時のインジェクションでは高圧冷媒をインジェクションするため、絞り装置14bの最大開度が小さいもので済む。したがって、絞り装置14bには、容量が小さくコストが安価な絞り装置を使用できる。
以上のように、実施の形態3に係る空気調和装置300によれば、絞り装置14a、絞り装置14bに二相冷媒が流入しても、攪拌装置46の作用により気液が均一に混ざりあった状態になるため、運転モードによらず、安定したインジェクション制御が実現でき、圧縮機10から吐出される冷媒の温度が高くなりすぎないようにすることができる。また、空気調和装置200によれば、気液分離器及び冷媒−冷媒間熱交換器28を使用しないため、製作コストがより安価になる。