しかしながら、上記特許文献1に記載されたものは、トンネルブレース全体がフロアパネル部の下面から下方に突出しているため、トンネルブレースによって車体の最低地上高が小さくなってしまうだけでなく、側面衝突の衝突荷重がフロアパネル部に入力したとき、フロアパネル部の厚さ方向中心とトンネルブレースの厚さ方向中心とが大きくずれているため、トンネルブレースが前記衝突荷重を車幅方向一方側のフロアパネル部から車幅方向他方側のフロアパネル部に効率的に伝達することができず、フロアトンネルを含むフロアパネル部の強度を充分に高めることが難しいという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、トンネルブレースによるフロアパネル部の補強効果を高めるとともに、トンネルブレースによる最低地上高の減少を回避することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、下側のアウタースキンおよび上側のインナースキン間にコア材を挟んだ繊維強化樹脂製のフロアパネル部の車幅方向中央に、下方に開口する開口部を有して前後方向に延びるフロアトンネルを形成し、前記フロアトンネルの開口部を車幅方向に延びるトンネルブレースで架橋した自動車のフロア構造であって、前記フロアパネル部が前記フロアトンネルに連続する部分で前記アウタースキンは上方に隆起して前記インナースキンの下面に重ね合わされ、前記アウタースキンおよび前記インナースキンの重ね合わせ部に前記トンネルブレースを締結するためのトンネルブレース締結座を形成したことを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記トンネルブレースは車幅方向に見て波形に屈曲する板材であることを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記トンネルブレース締結座において前記インナースキンは上方に隆起することを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記トンネルブレース締結座は前記インナースキンの上面に結合したクロスメンバにより覆われることを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項4の構成に加えて、前記クロスメンバは前壁および後壁を有して下面が開放した繊維強化樹脂製の部材であり、鉛直方向に対する傾斜角が前記後壁の傾斜角よりも大きい前記前壁にシートを締結するためのシート締結座を形成したことを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、前記フロアパネル部とその車幅方向外側に連設したサイドシル部との境界に、前後方向に延びるパイプ状の荷重伝達部材を配置したことを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1〜請求項6の何れか1項の構成に加えて、前側および後側の前記トンネルブレースを備え、前記後側のトンネルブレースを前記フロアパネル部の後部に形成した車載部品収納凹部の近傍に配置したことを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
また請求項8に記載された発明によれば、請求項7の構成に加えて、前記コア材は波紋状に延びる多数の凹凸部を有する繊維強化樹脂製の波板からなり、前記凹凸部は、前記前側および後側のトンネルブレースの前後方向中間位置を通って車幅方向に延びるライン上に頂点を有するとともに、前記前側および後側のトンネルブレースに向かって拡開することを特徴とする自動車のフロア構造が提案される。
尚、実施の形態のフロアパネル部12の凹部12aは本発明のトンネルブレース締結座に対応し、実施の形態のナット66は本発明のシート締結座に対応する。
請求項1の構成によれば、自動車の車体は、下側のアウタースキンおよび上側のインナースキン間にコア材を挟んだ繊維強化樹脂製のフロアパネル部の車幅方向中央に、下方に開口する開口部を有して前後方向に延びるフロアトンネルを形成し、フロアトンネルの開口部を車幅方向に延びるトンネルブレースで架橋して構成される。フロアパネル部がフロアトンネルに連続する部分でアウタースキンは上方に隆起してインナースキンの下面に重ね合わされ、アウタースキンおよびインナースキンの重ね合わせ部にトンネルブレースを締結するためのトンネルブレース締結座を形成したので、トンネルブレースがフロアパネル部から下方に突出するのを防止して車体の最低地上高を確保するとともにトンネルブレースをフロアパネル部の厚さ方向の中心に近づけ、側面衝突の衝突荷重がフロアパネル部に入力したときに、その衝突荷重をトンネルブレースで効果的に支持してフロアトンネルの潰れを防止することができる。
また請求項2の構成によれば、トンネルブレースは車幅方向に見て波形に屈曲する板材であるので、側面衝突の衝突荷重に対するトンネルブレースの強度を高めることができる。
また請求項3の構成によれば、トンネルブレース締結座においてインナースキンは上方に隆起するので、その分だけトンネルブレース締結座を深くしてトンネルブレースの上下方向の厚さを増加させ、側面衝突の衝突荷重に対するトンネルブレースの強度を高めることができる。
また請求項4の構成によれば、トンネルブレース締結座はインナースキンの上面に結合したクロスメンバにより覆われるので、トンネルブレース締結座を上方に隆起させたことによる車室空間の減少が回避できるだけでなく、トンネルブレース締結座に入力した荷重をクロスメンバに分散して吸収することができる。
また請求項5の構成によれば、クロスメンバは前壁および後壁を有して下面が開放した繊維強化樹脂製の部材であり、鉛直方向に対する傾斜角が後壁の傾斜角よりも大きい前壁にシートを締結するためのシート締結座を形成したので、前壁の面積が増加してシートの取り付けが容易になるだけでなく、前後方向の衝突荷重に対する前壁の強度を高めることができる。
また請求項6の構成によれば、フロアパネル部とその車幅方向外側に連設したサイドシル部との境界に、前後方向に延びるパイプ状の荷重伝達部材を配置したので、サイドシル部に側面衝突の衝突荷重が入力したときに、フロアパネル部に対してサイドシル部が倒れるのを抑制し、衝突荷重をサイドシル部からフロアパネル部に伝達して吸収することができる。
また請求項7の構成によれば、前側および後側のトンネルブレースを備え、後側のトンネルブレースをフロアパネル部の後部に形成した車載部品収納凹部の近傍に配置したので、車載部品収納凹部を形成したことで強度が低下したフロアパネル部を後側のトンネルブレースで補強することができる。
また請求項8の構成によれば、コア材は波紋状に延びる多数の凹凸部を有する繊維強化樹脂製の波板からなり、凹凸部は、前側および後側のトンネルブレースの前後方向中間位置を通って車幅方向に延びるライン上に頂点を有するとともに、前側および後側のトンネルブレースに向かって拡開するので、フロアパネル部の車幅方向一方側に入力した側面衝突の衝突荷重を車幅方向一方側のコア材の凹凸部を介して前側および後側のトンネルブレースに伝達し、そこから車幅方向他方側のコア材に伝達することで、フロアパネル部の全体に側面衝突の衝突荷重を分散して吸収することができる。
以下、図1〜図11に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、自動車の車体フレームはCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)製のフロア11を備える。フロア11はフロアパネル部12と、フロアパネル部12の前端から起立する前壁部13と、フロアパネル部12の後端から起立する後壁部14と、フロアパネル部12の左右両側縁に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル部15,15と、左右のサイドシル部15,15の前端から前壁部13の左右両側縁に沿って延びる左右一対のフロントピラーロア部16,16と、左右のサイドシル部15,15の後端から後壁部14の左右両側縁に沿って延びる左右一対のリヤピラー部17,17と、左右リヤピラー部17,17の上端間を車幅方向に接続するクロスメンバ部18とを備える。
前壁部13の前面にはアルミニウム合金製の左右一対のダンパーハウジング19,19が固定され、ダンパーハウジング19,19と一体に左右一対のフロントサイドフレーム20,20が形成される。フロントサイドフレーム20,20の前端から左右一対のCFRP製のクラッシュレール21,21が前方に延びており、左右のクラッシュレール21,21の前端部の車幅方向内側にCFRP製の矩形枠状のフロントバルクヘッド22が支持される。左右のクラッシュレール21,21の前端部の車幅方向外側に左右一対のCFRP製の衝撃吸収部材23,23が接続され、左右の衝撃吸収部材23,23の前端間に車幅方向に延びるCFRP製のフロントバンパービーム24が接続される。左右のクラッシュレール21,21、フロントバルクヘッド22、左右の衝撃吸収部材23,23およびフロントバンパービーム24に囲まれた空間に前後に開放したCFRP製の箱状のシュラウド25が支持される。
左右のフロントピラーロア部16,16の上端から前方に延びる左右一対のCFRP製のアッパーメンバ26,26がダンパーハウジング19,19の車幅方向外面に接続され、アッパーメンバ26,26の前端から前方かつ車幅方向内側に延びる左右一対のCFRP製のロアメンバ27,27の前端がフロントバルクヘッド22に接続される。
フロア11のフロアパネル部12は、その車幅方向中央部を前後方向に延びて前壁部13および後壁部14を接続するフロアトンネル28を一体に備えるとともに、フロアトンネル28の前後方向中間部と左右のサイドシル部15の前後方向中間部とが車幅方向に延びるCFRP製のクロスメンバ29,29で接続される。また左右のサイドシル部15の前後方向中間部間から左右一対のセンターピラー30,30が立設され、左右のセンターピラー30,30の上端間が車幅方向に延びるルーフアーチ31で接続される。左右のセンターピラー30,30およびルーフアーチ31は、正面視で逆U字状を成すようにCFRPで一体成形される。左右のフロントピラーロア部16,16の上端と左右のリヤピラー部17,17の上端とが、CFRPで一体成形されて前後方向に延びるフロントピラー32,32およびルーフサイドレール33,33で接続される。ルーフサイドレール33,33は、左右のセンターピラー30,30およびルーフアーチ31の接続部を前後方向に貫通する。
フロア11の後壁部14の後面にアルミニウム合金製の左右一対のリヤフレーム34,34が接続される。左右のリヤフレーム34,34の下端から左右一対のCFRP製のクラッシュレール35,35が後方に延びており、左右のリヤフレーム34,34の後端間に車幅方向に延びるCFRP製のリヤバンパービーム36が接続される。左右のリヤフレーム34,34の上端と左右のリヤピラー部17,17の上端との間に左右一対のCFRP製の連結部材37,37が配置されるとともに、リヤピラー部17,17の上端から左右一対のCFRP製のリヤエンドフレーム38,38が後下方に延びてリヤバンパービーム36に接続される。
左右のリヤフレーム34,34の下端間が、フロアパネル部12の後端から後方に延びるCFRP製の荷室前部底壁39により接続されるとともに、荷室前部底壁39から後方に延びるCFRP製の荷室後部底壁40がリヤバンパービーム36に接続される。また荷室後部底壁40の左右両側縁から一体に起立する左右一対の荷室側壁41,41が、リヤフレーム34,34の後端および連結部材37,37の下端に接続される。
フロア11は、下側のアウタースキン42および上側のインナースキン43を、前壁部13、左右のフロントピラーロア部16,16、左右のサイドシル部15,15、左右のリヤピラー部17,17およびクロスメンバ部18に沿って延びる接合フランジ42a,43aで接合して構成される(図2および図8参照)。フロアパネル部12のアウタースキン42およびインナースキン43間には、CFRPで波板状に形成したコア材44,44が挟持されるとともに、前壁部13のアウタースキン42およびインナースキン43間には、CFRPで波板状に形成したコア材45,45が挟持される(図5および図11参照)。フロアパネル部12のコア材44,44および前壁部13のコア材45,45は、フロアトンネル28により左右に分割される。
次に、図5〜図8に基づいてフロントピラーロア部16およびサイドシル部15の構造を詳述する。
水平方向に延びるサイドシル部15の外郭と、その前端から前上方に起立するフロントピラーロア部16の外郭とはアウタースキン42およびインナースキン43を接合フランジ42a,43aで接合して構成されており、サイドシル部15の内部は、アウタースキン42およびインナースキン43の接合フランジ42a,43a間に車幅方向外縁を挟持され、車幅方向内縁を上向きに折り曲げた接合フランジ51aをインナースキン43の内面に接合されたCFRP製の仕切り板51で上下に仕切られる。仕切り板51の前部はフロントピラーロア部16の内部に延び、その前端の接合フランジ51aはフロントピラーロア部16の前壁16aに接合される(図5および図6参照)。インナースキン43により構成されるサイドシル部15の上半部は、段部15aを挟んで車幅方向内側の内側上壁15bと車幅方向外側の外側上壁15cとを備え、内側上壁15bの高さは外側上壁15cの高さよりも高くなっている(図8(C)、(D)参照)。
フロントピラーロア部16の内部にCFRP製の補強部材52が配置される。補強部材52は側面視でL字状に形成された補強部材52は、前方および下方に開放するハット状断面の部材であり、その車幅方向の幅はフロントピラーロア部16の車幅方向の幅よりも小さく形成される(図7および図8(A)〜(D)参照)。補強部材52の前部接合フランジ52a,52aはフロントピラーロア部16の前壁16aの後面に接合され、補強部材52の後壁52bはフロントピラーロア部16の後壁16bの前面に接続され、補強部材52の下部接合フランジ52c,52cはサイドシル部15の仕切り板51の上面に接合され、補強部材52の上壁52dはサイドシル部15の内側上壁15bの下面に接続される(図8(A)〜(D)参照)。このとき、補強部材52の前部接合フランジ52a,52aは、フロントピラーロア部16の前壁16aを挟んでアッパーメンバ26の後端に対向する
サイドシル部15の前端の補強部材52よりも車幅方向内側には、平面視で三角形状を成すCFRP製の内側バルクヘッド53が水平に配置される(図7および図8(B)参照)。内側バルクヘッド53の外周を下向きに折り曲げた接合フランジ53aは、フロントピラーロア部16の前壁16aの後面と、補強部材52の内壁52eと、サイドシル部15の内壁15dとに接続される。
サイドシル部15の前端の補強部材52よりも車幅方向外側には、平面視で台形状を成すCFRP製の外側バルクヘッド54が水平に配置される(図7および図8(B)〜(D)参照)。外側バルクヘッド54の外周を下向きに折り曲げた接合フランジ54aは、補強部材52の外壁52fと、サイドシル部15の外壁15eとに接続される。内側バルクヘッド53は外側バルクヘッド54よりも僅かに高い位置に配置される。
サイドシル部15の仕切り板51よりも上方の空間には、側面視でジグザグに屈曲するCFRP製の衝撃吸収部材55が配置される(図5および図6参照)。衝撃吸収部材55の上端はサイドシル部15の内側上壁15bの下面に接続され、衝撃吸収部材55の下端は仕切り板51の上面に接続されるが、衝撃吸収部材55の上部の車幅方向外端部を切り欠いた切欠き55a…は、サイドシル部15の外側上壁15cの下面に接続される(図5参照)。但し、衝撃吸収部材55の最も前方の山部の切欠き55bだけは、外側バルクヘッド54の下面に接続される(図5および図8(C)参照)。
サイドシル部15の仕切り板51よりも下方であってフロアパネル部12と接続する部分に、CFRPで台形断面を有するパイプ状に形成した荷重伝達部材56が、アウタースキン42およびインナースキン43間に挟まれるように配置される(図6および図8(C)、(D)参照)。
フロントピラーロア部16の後壁16bにおける補強部材52の車幅方向両側に4個のナット57…がインサートされており、後壁16bの後面に当接するステアリングハンガー支持ブラケット58を貫通する4本のボルト59…をナット57…に螺合することで、フロントピラーロア部16にステアリングハンガー支持ブラケット58が固定される(図6および図8(A)参照)。そして左右のステアリングハンガー支持ブラケット58を接続するようにステアリングハンガー60が固定される。
次に、図3、図4および図9〜図11に基づいてフロアトンネル28およクロスメンバ29の周囲の構造を詳述する。
フロアパネル部12においてアウタースキン42およびインナースキン43は所定間隔を有して離間し、それらの間にコア材44が挟持される。しかしながら、フロアパネル部12から上方に隆起するフロアトンネル28の部分では、アウタースキン42およびインナースキン43が相互に重ね合わされる。またクロスメンバ29の下方であってフロアトンネル28の車幅方向外側に沿う部分でも、アウタースキン42およびインナースキン43は局部的に上方に隆起して相互に重ね合わされ、そこに上向きに窪む凹部12a,12aが形成される(図9および図10参照)。各凹部12aには4個のナット61…がインサートされており、フロアトンネル28の下面開放部を車幅方向に架橋する鋼板製のトンネルブレース62Fの両端部を貫通する各4本のボルト63…をナット61…に螺合することで、トンネルブレース62Fがフロアパネル部12に固定される。帯状の鋼板よりなるトンネルブレース62Fは横断面が波状に屈曲した部材であり、フロアパネル部12の凹部12a,12aに収納される。
CFRP製のクロスメンバ29は下面が開放したハット状断面の部材であり、前壁29a、上壁29b、後壁29c、前後の接合フランジ29d,29dおよび車幅方向内側の接合フランジ29eを備え、前後の接合フランジ29d,29dがフロアパネル部12のインナースキン43の上面に接続され、車幅方向内側の接合フランジ29eがフロアトンネル28の側壁28aに接続される(図9および図10参照)。クロスメンバ29をフロアパネル部12に固定すると、フロアパネル部12の凹部12a、ナット61…およびボルト63…が上方から目視不能に覆われる。
クロスメンバ29の前壁29aの鉛直線に対する後方への傾斜角θ1は後壁29cの鉛直線に対する前方への傾斜角θ2よりも大きく設定されており、シート64の前部下面に設けた取付ブラケット64aを貫通するボルト65,65を前壁29aにインサートしたナット66,66に螺合することで、シート64の前部がクロスメンバ29に固定される(図10参照)。
尚、上記前側のトンネルブレース62Fよりも後方のフロアトンネル28に、それと同一構造の後側のトンネルブレース62Rが同様の固定構造で固定される(図4参照)。後側のトンネルブレース62Rは、フロアパネル部12の後部に形成されて上向き窪む車載部品収納凹部12bの近傍に設けられる。
図11は、フロアパネル部12からインナースキン43を取り除いてコア材44,44を露出させたものである。左右のコア材44の各々は多数の凹凸部44a…を備える波板状の部材であり、その凹凸部44a…は前後のトンネルブレース62F,62Rの前後方向中間を通って車幅方向に延びるラインLを挟んで前後対称に形成される。即ち、ラインLの前方では、凹凸部44a…がサイドシル部15の前部を中心として同心円状に形成され、その同心円は車体前方側で前後方向に延びる平行線に移行する。同様に、ラインLの後方では、凹凸部44a…がサイドシル部15の後部を中心として同心円状に形成され、その同心円は車体後方側で前後方向に延びる平行線に移行する。前側の同心円および後側の同心円はラインL上でV字状に交差しており、これらのV字は前側のトンネルブレース62Fおよび後側のトンネルブレース62Rに向かって拡開する。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
車両がオフセット前面衝突すると、その衝突荷重がフロントサイドフレーム20からダンパーハウジング19を介してフロア11のフロントピラーロア部16に入力する。このとき、フロントピラーロア部16からサイドシル部15の前部に至る内部空間には、車幅方向に見てL字状に形成されて前方および下方に向かって開放するハット状断面を有する補強部材52が配置され、補強部材52はフロントピラーロア部16の前壁16aおよび後壁16bに接続するとともにサイドシル部15の内側上壁15bおよび仕切り板51に接続するので(図5および図8(A)〜(D)参照)、フロントピラーロア部16は後方に倒れることなく衝突荷重をサイドシル部15に効率的に伝達してフロアパネル部12に分散することができる。しかも仕切り板51を補強部材52と干渉することなくサイドシル部15の前端まで延ばすことができるので、側面衝突の衝突荷重に対するサイドシル部15の強度を高めることができる。
またオフセット前面衝突の衝突荷重はロアメンバ27からアッパーメンバ26を介してフロントピラーロア部16の上部に入力するが、補強部材52はアッパーメンバ26の後方に対向するので、アッパーメンバ26に入力した衝突荷重を補強部材52を介して効果的にサイドシル部15に伝達することができる。
また仕切り板51の車幅方向外縁をアウタースキン42およびインナースキン43の接合フランジ42a,43a間に挟持し、かつ仕切り板51の車幅方向内縁をサイドシル部15の内壁15dに接続したので(図8(C)、(D)参照)、サイドシル部15に側面衝突の衝突荷重が入力したときに、その衝突荷重をサイドシル部15の外壁15eから仕切り板51および内壁15dを介してフロアパネル部12に伝達することができる。
またフロアパネル部12およびサイドシル部15の境界に、前後方向に延びるパイプ状の荷重伝達部材56を配置したので(図8(C)、(D)参照)、サイドシル部15に側面衝突の衝突荷重が入力したとき、フロアパネル部12に対してサイドシル部15が倒れるのを防止することができる。しかもサイドシル部15の補強部材52よりも後方の上部空間に、ジグザグに屈曲する衝撃吸収部材55を配置したので(図5および図6参照)、サイドシル部15に入力する側面衝突の衝突荷重を衝撃吸収部材55により吸収することができる。
またフロントピラーロア部16の後壁16bにおける補強部材52との接続部の車幅方向両側に、ステアリングハンガー60を支持するためのステアリングハンガー支持ブラケット58をボルト59…およびナット57…で固定したので(図8(A)参照)、ステアリングハンガー60をフロントピラーロア部16に強固に固定することができる。
またサイドシル部15の内壁15dと補強部材52との間に水平方向に延びる内側バルクヘッド53を配置するとともに、サイドシル部15の外壁15eと補強部材52との間に水平方向に延びる外側バルクヘッドを54配置し、内側バルクヘッド53および外側バルクヘッド54でフロントピラーロア部16の前壁16aと、サイドシル部15の内側上壁15bおよび外側上壁15cとを接続したので(図8(C)、(D)参照)、前面衝突の衝突荷重をフロントピラーロア部16から内側バルクヘッド53および外側バルクヘッド54を介してサイドシル部15に伝達することができる。
またフロア11のフロアパネル部12からフロアトンネル28が上方に隆起する部分の車幅方向両側でアウタースキン42およびインナースキン43を直接重ね合わせ、その重ね合わせ部分に形成した凹部12a,12aに嵌合するようにトンネルブレース62F,62Rを収納し、トンネルブレース62F,62Rの車幅方向両端部をボルト63…およびナット61…で凹部12a,12aに締結したので(図10参照)、トンネルブレース62F,62Rがフロアパネル部12から下方に突出するのを防止して車体の最低地上高を確保するとともにトンネルブレース62F,62Rをフロアパネル部12の厚さ方向の中心に近づけ、側面衝突の衝突荷重がフロアパネル部12に入力したときに、その衝突荷重をトンネルブレース62F,62Rで効果的に支持してフロアトンネル28の潰れを防止することができる。
またトンネルブレース62F,62Rは車幅方向に見て波形に屈曲する板材であるので(図10参照)、側面衝突の衝突荷重に対するトンネルブレース62F,62Rの強度を高めることができる。しかもトンネルブレース62F,62Rが締結される凹部12a,12aにおいて、下側のアウタースキン42が上方に隆起するだけでなく、上側のインナースキン43も上方に隆起するので、その分だけ凹部12a,12aを深くしてトンネルブレース62F,62Rの上下方向の厚さを増加させ、側面衝突の衝突荷重に対する強度を高めることができる。
また前側のトンネルブレース62Fが締結される凹部12a,12aの上面はクロスメンバ29により覆われるので(図10参照)、凹部12a,12aを形成するためにインナースキン43を上方に隆起させたことによる車室空間の減少が回避されるだけでなく、凹部12a,12aに入力した荷重をクロスメンバ29に分散して吸収することができる。しかもクロスメンバ29は前壁29a、上壁29bおよび後壁29cを有して下面が開放したCFRP製の部材であり、鉛直方向に対する傾斜角θaが後壁29cの傾斜角θbよりも大きい前壁29aにシート64を締結するためのナット66をインサートしたので、前壁29aの面積が増加してシート64の取り付けが容易になるだけでなく、前後方向の衝突荷重に対する前壁29aの強度を高めることができる。
また後側のトンネルブレース62Rをフロアパネル部12の後部に形成した車載部品収納凹部12bの近傍に配置したので(図4参照)、車載部品収納凹部12bを形成したことで強度が低下したフロアパネル部12を後側のトンネルブレース62Rで補強することができる。
またフロアパネル部12のコア材44は波紋状に延びる多数の凹凸部44a…を有するCFRP製の波板からなり、凹凸部44a…は、前側および後側のトンネルブレース62F,62Rの前後方向中間位置を通って車幅方向に延びるラインL上に頂点を有するとともに、前側および後側のトンネルブレース62F,62Rに向かって拡開するので(図11参照)、フロアパネル部12の車幅方向一方側に入力した側面衝突の衝突荷重を車幅方向一方側のコア材44の凹凸部44a…を介して前側および後側のトンネルブレース62F,62Rに伝達し、そこから車幅方向他方側のコア材44に伝達することで、フロアパネル部12の全体に側面衝突の衝突荷重を分散して吸収することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では各部材をCFRPで構成しているが、GFRP(グラスファイバー強化樹脂)等の任意の繊維強化樹脂を採用することができる。
また実施の形態では2個のトンネルブレース62F,62Rを備えているが、トンネルブレースの数は2個に限定されるものではない。
また本発明のシート締結座は実施の形態のナット66,66に限定されるものではない。