JP5741165B2 - 熱鋼板の下面冷却装置 - Google Patents
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Description
すなわち、ラミナーフローで鋼板の上面の冷却を行う際には、鋼板の進行方向に複数のヘッダをヘッダ長手方向が鋼板の進行方向と直交するように設け、各ヘッダに複数のノズルをヘッダ長手方向(すなわちパスライン幅方向)に並べて取り付け、各ノズルから一斉に冷却水を噴射するが、鋼板の上面に到達した冷却水が鋼板の幅方向に水流を形成するため、鋼板のエッジ部(幅端部)に向かうほど通過水量が増加し、より多く冷却される。そのため、幅方向のエッジ近傍部分は中央部と比べて冷却能力が高くなり、鋼板の両エッジ部が低温となる温度分布となることが多い。
すなわち、仕上げ圧延後にランアウトテーブルを通板する鋼板の厚みは2〜4mm程度と薄く剛性が低いため、ランアウトテーブル上を安定して通板させるために、テーブルローラを密に配置している。例えば、多くのランアウトテーブルでは250〜300mmφ程度の径をもつテーブルローラを300〜400mmピッチで配置しているため、テーブルローラ間のスペースは狭くなっている。そのために、鋼板の下面を冷却する際に、テーブルローラ間にノズルが配置しにくいという問題がある。したがって、ランアウトテーブルでの熱延鋼板の下面冷却では、狭いスペースに設置可能で且つ冷却面積を広くする目的でスプレーノズル(冷却水をノズル噴射口から広げて噴射するノズル)をパスライン幅方向全域に亘って複数個配置することが多い。スプレーノズルを用いた冷却をスプレー冷却という。パスラインを通過する鋼板の板幅は多種存在するので、パスラインの全幅よりも狭い板幅の鋼板が通過する場合が少なくない。その場合、前記スプレー式のノズルを用いた下面冷却では、上方を鋼板が通過しない幅方向位置(幅方向端部)に配置されたスプレーノズルから噴射される冷却水は、パスラインから数100mm〜数m吹き上がったのち落下するが、一部の冷却水は鋼板の上面に落下する。この落下水も特に鋼板幅端部の過冷却の原因となっている。このような問題は、厚鋼板の制御冷却でも発生しており同様の課題を抱えている。
例えば、特許文献1には、上面ノズルについて、鋼板幅端部に落下する冷却水量を鋼板幅中央部と比べて少なく調整するための樋をノズル下方に設ける手法が記載されている。本手法は、この特許文献1以外にも複数開示されており、鋼板幅端部に冷却水が落下しないように、遮蔽板を設ける手法も応用として提案されている。また、本手法は鋼板の上面だけでは無く、鋼板の下面に対しても適用される例がある。
まず、特許文献1等に記載されているような、樋や遮蔽板などにより鋼板幅端部の冷却水量を調整する手法は、主に鋼板上面側の冷却を対象にしており、テーブルローラおよび水切りロールの間隔が広い場合のノズル配置について記載されている。遮蔽板の駆動機構としては、ワイヤーやスクリューなどを使うが、特に厚鋼板のように板幅が5000mmを超えるラインの場合、最小板幅(1500mm〜2000mm)と最大板幅(4000〜5500mm)と差が大きく、遮蔽板の駆動距離も片側1000〜2000mmと長い距離を駆動させるため大規模になる。また、鋼板下面側ではノズルから噴射した冷却水が鋼板に衝突した後に落下してくるため、スクリューやワイヤーなどの駆動機構が被水してしまい、錆などを起因とした故障が非常に多い。そのため、下面の遮蔽物によるマスキング装置は、実態として安定的に稼動していなかった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、熱鋼板の製造ラインにおいて、鋼板下面側の冷却に、特にスプレーノズルなどのように広がって噴射され、1本のノズルである程度広い面積を冷却することができるノズルを用いる場合に、そのノズルからの冷却水が熱鋼板の上面に落下して、幅端部が過冷却されることを的確に防止して、熱鋼板を幅方向に均一な温度で冷却することを可能とし、且つ簡単な機構として安価で安定的に動作可能な熱鋼板の下面冷却装置を提供することを目的とするものである。
[1]
熱鋼板のパスライン下に、鋼板下面をスプレー冷却する冷却用ノズルをパスライン幅方向に1列に並べ、この列をパスライン長手方向に複数配置してなる熱鋼板の下面冷却装置において、パスライン幅方向外向けに流体を噴射し、該噴射した流体である遮断水を前記冷却用ノズル噴射口から10〜50mm上方の位置で前記冷却用ノズルからの冷却水に衝突させて該冷却水の主方向を、鋼板進路正面における水平から斜め上方へ45度以下の曲がり角度θで曲げることにより、前記冷却用ノズルからの冷却水を遮断する、遮断用ノズルを設置したことを特徴とする熱鋼板の下面冷却装置。
[2]
前記遮断用ノズルは、前記冷却用ノズルに対し、1個対1個対応による遮断では次式 (1)を満たし、1個対複数個対応による遮断では次式(2)を満たすことを特徴とする上記[1]に記載の熱鋼板の下面冷却装置。
ΣρWQWPW 0.5 ≦ρSQSPS 0.5 ‥‥(2)
ρ:流体の密度、Q:流体の噴射流量、P:流体の噴射圧力、Σ:遮断用ノズル1個に対応させる複数個の冷却用ノズルについての合計
添字W:冷却用ノズルからの噴射流体である冷却水、添字S:遮断用ノズルからの噴射流体である遮断水
[3]
前記遮断用ノズルは、冷却用ノズルの各列内の個々同士間の一部又は全部に1個ずつ配置されたことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の熱鋼板の下面冷却装置。
[4]
前記遮断用ノズルを個別に開閉するオンオフ弁を設けたことを特徴とする上記[1]〜[3]の何れかに記載の熱鋼板の下面冷却装置。
[5]
前記遮断用ノズルは、広がり角度30゜以下のフラットスプレーノズルであることを特徴とする上記[1]〜[4]の何れかに記載の熱鋼板の下面冷却装置。
本発明は、熱鋼板製造ラインにおいて、熱鋼板の下面側をスプレー冷却する場合に、そのスプレー冷却に用いるノズルからの冷却水が熱延鋼板の上面に落下して、熱鋼板の幅端部が過冷却されるのを防止することによって、冷却後の板幅方向温度分布が均一となるように、冷却しようとするものである。
図10〜図12に示されるように、熱鋼板のパスラインは、ランアウトテーブルをなすテーブルローラ4による鋼板(例えば熱延鋼板)10の搬送ラインである。パスライン下には、鋼板下面をスプレー冷却する冷却用ノズル2をパスライン幅方向に1列に並べ、この列をパスライン長手方向に複数配置してなる熱鋼板の下面冷却装置が設けられている。冷却用ノズル2としては、冷却水3をノズル噴射口から扇形に広げて噴射するフラットスプレーノズルが好適であり、多用される。
これらの冷却用ノズル2からパスライン幅方向に広がって噴射される冷却水3により、冷却用ノズル2の直上だけでなく、隣接する冷却用ノズル2同士間においても鋼板10下面の冷却がなされる。なお、熱延鋼板のランアウトテーブルの場合、250〜300mmφ程度の径をもつテーブルローラ4を300〜400mmピッチで配置しているため、スペースの観点からヘッダ1はテーブルローラ4,4間に1本だけ設置されている。
これにより、冷却用ノズル2から噴射された冷却水3に、遮断用ノズル21より噴射された遮断水22を衝突させ、冷却水3の噴射方向を変えて、鋼板10上に落下しないようにすること、即ち冷却水3を遮断することが可能である。
図2は、遮断用ノズル21を冷却用ノズル2の各列内の個々同士間の全部に1個ずつ配置した例を示す。尚、この例では冷却ライン全幅の左半分のみ図示したが、右半分は図2の左右反転図になる。各遮断用ノズル21にはオンオフ弁23が取り付けられており、それぞれ個別に開閉が可能になっている。図2(a)のように、幅が広い鋼板を冷却するときは、オンオフ弁23を全て閉とすることにより、冷却用ノズル2から噴射した冷却水3は、鋼板10下面に衝突して冷却がなされる。
ここで、冷却水3の噴射方向を変えるために必要な遮断用ノズル21の条件について検討し、以下に述べるように、前記必要な条件が冷却水3と遮断水22との噴流力のバランスで良く整理できることが分った。
F=ρQV ・・・(3)
ρ:流体の密度[kg/m3]
Q:流体の噴射流量[m3/s]
V:流体の速度[m/s]
F:流体の噴流力[N]
式(1)より、冷却水の噴流力よりも遮断水の噴流力を大きくしておけば、冷却水の軌道は曲がっていく。
F=ρQP0.5 ‥‥(4)
そこで、図5に示す実験装置を用い、冷却水3と遮断水22相互の噴流力の関係について調査した。
上記遮断可否の判断については、冷却水3の噴射の主方向が、遮断水22との衝突後、図7に示す鋼板進路正面における水平から斜め上方への曲がり角度θで曲がるが、θ≦45度の範囲では落下水9が遮断用ノズル21側に来ないこと、即ち鋼板10上面への冷却水3の落下はないことが分ったため、θ≦45度となる遮断水対冷却水の噴流力範囲を遮断可能範囲とした。
遮断用ノズルからの遮断水の噴流力を高めて効率よく冷却水を遮断させる観点から、冷却水との衝突位置における遮断水の広がり幅は、同位置における冷却水のそれと比べてほぼ同等若しくはやや広め(例えば冷却水広がり幅の100〜150%程度)とするのが好ましい。冷却用ノズルとしてフラットスプレーノズルを採用した場合、冷却水は噴射直後に扇形に広がるから、遮断水を冷却水に衝突させる位置は冷却用ノズルの直上位置(例えば冷却用ノズル噴射口から10〜50mm程度上方の位置)とするのが、狭いエリアで遮断処理ができるため好ましい。
図9は、本実施例において用いた熱鋼板製造ラインである熱延鋼板製造ラインのレイアウトを示したものである。この熱延鋼板製造ラインでは、220mm厚みのスラブが加熱炉60により約1200℃まで加熱された後、粗圧延機群61により35mm厚みまで圧延され、仕上げ圧延機群62により3.2mmまで圧延される。該圧延されてなる鋼板10は、引き続き、ランアウトテーブル63に設けられたランアウト冷却装置51で所定の温度まで冷却された後、コイラー64で巻き取られる。ランアウトテーブル63の通板可能板幅は最大2000mm、最小600mmである。
ランアウト冷却装置51は、鋼板上面の冷却をヘアピンラミナー型の上面冷却装置71によって行い、鋼板下面の冷却をスプレー型の下面冷却装置75によって行う。ここで、上面冷却装置71は下面冷却装置75と対で設置され、双方とも、非通板時に噴射した冷却水の落下先が、設置領域内のテーブルローラ上となるように構成されている。又、ランアウト冷却装置51での冷却可能最大板幅は、通板可能最大板幅2000mmをカバーできるようにしてある。ランアウト冷却装置51での冷却前後の鋼板の温度分布は、放射温度計65により測定することができる。
・テーブルローラ径:280mm、テーブルローラピッチ:350mm
・噴射流体:水
・広がり角度:75度
・噴射流量:80L/min/個
・噴射圧力:0.1MPa
・・・冷却水噴流力:18.64N/個
・ノズル噴射口と鋼板下面間の距離:150mm
・列内ノズル並びのピッチ:150mm
・テーブルローラ間水量密度:3000L/min/mm2
本発明例では、下面冷却装置75に、図2、図3の何れかと同じ実施形態で、遮断用ノズル21を追加設置し、これを用いて通過鋼板の板幅外に位置する冷却用ノズル2からの冷却水3を遮断しつつ、冷却用ノズル2で下面冷却を行った。ここでの遮断処理においては、遮断用ノズル21として広がり角度25度のフラットスプレーノズルを用い、噴射流体は水、噴射圧力は2MPaとし、噴射流量を変えることで遮断水22の噴流力を表1に示す種々の水準に設定した。遮断水22と冷却水3との衝突位置は、冷却用ノズル噴射口から30mm上方の位置とした。
冷却後の鋼板10上面の板幅方向温度分布を、ランナウト冷却装置51の出側の放射温度計65で測定し、該測定データから求めた板幅方向の温度偏差に基づき下面冷却の評価を行った。材質の許容上、板幅方向の温度偏差は15℃以下とする必要があり、好ましくは10℃以下である。
表1より、本発明例は何れもΔT1が15℃以下であり、良好な下面冷却ができたことが分る。又、本発明例の中でも、式(1)或いは式(2)を満たすものは何れもΔT1が10℃以下であり、更に良好な下面冷却ができたことが分る。このように本発明例では板幅端部の過冷却が効果的に抑制でき、冷却後の鋼板の何れにおいても所定の材質が得られた。
2 冷却用ノズル
3 冷却水
4 テーブルローラ
9 落下水
10 鋼板(熱延鋼板)
21 遮断用ノズル
22 遮断水
23 オンオフ弁
25 冷却水と遮断水との集合流
51 ランアウト冷却装置
60 加熱炉
61 粗圧延機群
62 仕上げ圧延機群
63 ランアウトテーブル
64 コイラー
65 放射温度計
71 上面冷却装置
75 下面冷却装置
Claims (5)
- 熱鋼板のパスライン下に、鋼板下面をスプレー冷却する冷却用ノズルをパスライン幅方向に1列に並べ、この列をパスライン長手方向に複数配置してなる熱鋼板の下面冷却装置において、パスライン幅方向外向けに流体を噴射し、該噴射した流体である遮断水を前記冷却用ノズル噴射口から10〜50mm上方の位置で前記冷却用ノズルからの冷却水に衝突させて該冷却水の主方向を、鋼板進路正面における水平から斜め上方へ45度以下の曲がり角度θで曲げることにより、前記冷却用ノズルからの冷却水を遮断する、遮断用ノズルを設置したことを特徴とする熱鋼板の下面冷却装置。
- 前記遮断用ノズルは、前記冷却用ノズルに対し、1個対1個対応による遮断では次式 (1)を満たし、1個対複数個対応による遮断では次式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱鋼板の下面冷却装置。
ρWQWPW 0.5 ≦ρSQSPS 0.5 ‥‥(1)
ΣρWQWPW 0.5 ≦ρSQSPS 0.5 ‥‥(2)
ρ:流体の密度、Q:流体の噴射流量、P:流体の噴射圧力、Σ:遮断用ノズル1個に対応させる複数個の冷却用ノズルについての合計
添字W:冷却用ノズルからの噴射流体である冷却水、添字S:遮断用ノズルからの噴射流体である遮断水 - 前記遮断用ノズルは、冷却用ノズルの各列内の個々同士間の一部又は全部に1個ずつ配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱鋼板の下面冷却装置。
- 前記遮断用ノズルを個別に開閉するオンオフ弁を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱鋼板の下面冷却装置。
- 前記遮断用ノズルは、広がり角度30゜以下のフラットスプレーノズルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の熱鋼板の下面冷却装置。
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