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JP5637981B2 - 関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療剤 - Google Patents

関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療剤 Download PDF

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Description

本発明は、関節リウマチまたは関節リウマチに起因して生じる疾患(関節リウマチ関連疾患)の予防または治療剤に関する。
ヒト非古典的主要組織適合性抗原(Major Histocompatibility Complex, MHC)の一つであるHLA-Gは、古典的MHCクラスI分子とは異なり、組織特異的に発現する。HLA-Gは、特に、妊娠の際に重要となる胎盤上の胎児側の栄養膜に発現し、母体の免疫系が胎児を異物と認識して攻撃しないよう免疫を抑制することに関わることが知られている。このような知見に基づいて、HLA-Gは様々な応用がなされており、例えば、HLA-Gまたは遺伝子工学的に改良を加えたHLA-G分子を、不妊治療、臓器移植時の拒絶反応の抑制、自己免疫疾患の治療等に用いることが試みられている。
今日までに報告されているHLA-Gの受容体としては、主にT細胞に発現するCD8分子、幅広い免疫系細胞において発現する白血球Ig様受容体B1/B2(LILRB1/ LILRB2)(Ig-like transcript(ILT2/ ILT4)、LIR1/ LIR2、およびCD85j/ CD85dとしても知られている。)、およびKIR2DL4を挙げることができる。HLA-Gによる免疫抑制効果は、おそらくLILRB1及びLILRB2を介して行われていると考えられる。このような、HLA-Gとその受容体との結合を詳細に解析した例としては、LILR群(LILRB1及びLILRB2)とHLA-Gとの相互作用に関する、本発明者らによる報告がある(非特許文献1)。
ところで、HLA-G分子は、自然酸化により二量体として存在することが知られている。この二量体の形成は、HLA-G分子が有するフリーのシステイン残基が、分子間でジスルフィド結合を形成することによる。本発明者らの研究により、かかる二量体は、HLA-G単量体(以下、単に「HLA-G」または「単量体」という)よりも上記免疫抑制性受容体群と強く結合することにより極めて強いシグナル伝達能力を有すること、具体的には、そのシグナル伝達能力は、単量体のシグナル伝達能力と比較して100倍程度高いことが判明している(非特許文献2、特許文献1)。
かかるHLA-G二量体は、HLA-Gと同様に、生体内に存在する分子である。従って、これらは副作用の少ない安全な抗炎症剤として期待できるものの(特許文献1)、抗炎症剤の適用疾患は広く、その真なる有効性は実際にin vivo実験をしてみなければ分からないというのが、当業者の共通した認識である。
WO 2007/011044
M. Shiroishi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., National Academy of Sciences,2003, Vol.100, No.15, p8856-8861) M. Shiroishi et al., Journal of Biological Chemistry, The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc., 2006, Vol.281, No.15, p.10439-10447
本発明は、HLA-Gまたはその二量体について新規な医薬用途を提供すること目的とする。より具体的には、本発明は、HLA-Gまたはその二量体について、関節リウマチおよび関節リウマチに起因して生じる疾患(関節リウマチ関連疾患)の予防または治療剤としての医薬用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、新たな知見を見出すに至った。
具体的には、HLA-G(単量体)およびその二量体をそれぞれII型コラーゲン誘導型関節リウマチモデルマウスに投与したところ、単量体およびその二量体のいずれにも優れた抗関節リウマチ作用が認められ、しかも単量体に比べて二量体のほうがより低濃度で抗関節リウマチ作用を発揮することを見出した。さらに単量体を用いて、5日間に亘って連続投与する場合と初日に1回投与(単回投与)する場合とでその効果を比較したところ、単回投与で十分に抗関節リウマチ効果が得られることが判明し、引き続き二量体について調べてみたところ、その抗関節リウマチ効果は単回投与日から少なくとも約2ヶ月間も持続することを確認した。加えて、本発明者らは、局所投与(左足局所への皮内投与)でも四肢全体にわたって抗関節リウマチ効果が得られることが判明し、これらのことから、本発明者らは、HLA-Gまたはその二量体(好ましくは二量体)は、少量で優れた薬効と持続性を発揮する抗関節リウマチ剤の有効成分として有用であることを確認した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
(I)関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療剤
(I-1)HLA-Gまたはその二量体を有効成分とする、関節リウマチまたは関節リウマチに起因して生じる疾患(以下、「関節リウマチ関連疾患」ともいう)の予防または治療剤。当該予防または治療剤には、当該予防または治療剤が「抗関節リウマチ作用」を発揮する有効量、具体的にはHLA-Gまたはその二量体が関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療に有効な割合で配合されている。
(I-2)HLA-Gが下記(a)または(b)に記載するタンパク質である、(I-1)に記載する予防または治療剤:
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第42番目のアミノ酸を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するタンパク質。
(I-3)HLA-G二量体が、HLA-G のアミノ酸配列の第42番目のシステイン残基間で、HLA-G同士が分子間ジスルフィド結合により連結されたものである、(I-1)または(I-2)に記載する予防または治療剤。
(I-4)HLA-G(単量体)を有効成分とする製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくとも2か月間に1回、好ましくは半月に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する予防または治療剤。
(I-5)HLA-Gの二量体を有効成分とする製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくとも3か月間に1回、好ましくは2ヶ月に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する予防または治療剤。
(II)関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療方法
(II-1)HLA-Gまたはその二量体を有効成分とする組成物を、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、有効量投与する工程を有する、関節リウマチ若しくはその関連疾患の予防または治療方法。なお、ここで「組成物」とは、好ましくは医薬製剤の形態を有するものである。また「有効量」とは、関節リウマチ若しくはその関連疾患の治療のために有効な量、または当該疾患の発症を予防するために有効な量を意味する。
(II-2)HLA-Gが下記(a)または(b)に記載するタンパク質である、(II-1)に記載する方法:
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第42番目のアミノ酸を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するタンパク質。
(II-3)HLA-G二量体が、HLA-G のアミノ酸配列の第42番目のシステイン残基間で、HLA-G同士が分子間ジスルフィド結合により連結されたものである、(I-1)または(I-2)に記載する方法。
(II-4)上記組成物がHLA-G(単量体)を有効成分とする医薬製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくとも2か月間に1回、好ましくは半月に1回の割合で局所投与する工程を有する、(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する方法。
(II-5)上記組成物がHLA-Gの二量体を有効成分とする医薬製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくとも3か月間に1回、好ましくは2ヶ月に1回の割合で局所投与する工程を有する、(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する方法。
(III)関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療のための使用
(III-1)関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療の為に使用されるHLA-G若しくはその二量体、またはこれらをHLA-Gまたはその二量体を関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療に有効な割合で含有する医薬組成物。
(III-2)HLA-Gが下記(a)または(b)に記載するタンパク質である、(III-1)に記載するHLA-G若しくはその二量体、またはこれを含有する医薬組成物
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第42番目のアミノ酸を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するタンパク質
(III-3)HLA-G二量体が、HLA-G のアミノ酸配列の第42番目のシステイン残基間で、HLA-G同士が分子間ジスルフィド結合により連結されたものである、(III-1)または(III-2)に記載するHLA-G若しくはその二量体、またはこれを含有する医薬組成物。
(III-4)上記医薬組成物がHLA-G(単量体)を有効成分とする製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくともか月間に1回、好ましくは半月に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、(III-1)乃至(III-3)のいずれかに記載するHLA-G若しくはその二量体、またはこれを含有する医薬組成物。
(III-5)上記医薬組成物がHLA-Gの二量体を有効成分とする製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくともか月間に1回、好ましくはヶ月に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、(III-1)乃至(III-3)のいずれかに記載するHLA-G若しくはその二量体、またはこれを含有する医薬組成物。
(IV)関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療剤の製造のための使用
(IV-1)関節リウマチまたはその関連疾患の予防若しくは治療剤を製造する為のHLA-G若しくはその二量体の使用。なお、当該予防または治療剤には、当該予防または治療剤が「抗関節リウマチ作用」を発揮する有効量、具体的にはHLA-Gまたはその二量体が関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療に有効な割合で配合される。
(IV-2)HLA-Gが下記(a)または(b)に記載するタンパク質である、(IV-1)に記載する使用
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第42番目のアミノ酸を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するタンパク質
(IV-3)HLA-G二量体が、HLA-G のアミノ酸配列の第42番目のシステイン残基間で、HLA-G同士が分子間ジスルフィド結合により連結されたものである、(IV-1)または(IV-2)に記載する使用。
(IV-4)上記予防若しくは治療剤がHLA-G(単量体)を有効成分とする製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくともか月間に1回、好ましくは半月に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、(IV-1)乃至(IV-3)のいずれかに記載する使用。
(IV-5)上記予防若しくは治療剤がHLA-Gの二量体を有効成分とする製剤であって、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくともか月間に1回、好ましくはヶ月に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、(IV-1)乃至(IV-3)のいずれかに記載する使用。
本発明によれば、HLA-Gまたはその二量体について、新規な医薬用途、具体的には関節リウマチまたは関節リウマチに起因して生じる疾患(関節リウマチ関連疾患)の予防または治療剤としての医薬用途を提供することができる。本発明の関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療剤は、本来ヒトの生体内に存在する成分であるHLA-Gまたはその二量体を有効成分とするものであるため、副作用が少なく安全性が高い。しかも、本発明の予防または治療剤は、関節リウマチ若しくはその関連疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に対して、少量を単回局所投与することで、HLA-Gを有効成分とする場合は少なくとも20日間、HLA-Gの二量体を有効成分とする場合は少なくとの2か月もの間、抗関節リウマチ効果を持続させることができるので、この意味でも安全性が高く、患者への負担の少ない医薬製剤である。
HLA-Gをコードする改変遺伝子((b)HLA-GEC遺伝子、(c)HLA-GQCa遺伝子、(d)HLA-GQCb遺伝子、(e)HLA-GQCab遺伝子)を作成する過程を示した概略図である。まず、全合成により野生型HLA-G遺伝子(a)からHLA-GEC遺伝子(b)を作成する工程が行われ、続いて、HLA-GEC遺伝子(b)からHLA-GQCa遺伝子(c)、HLA-GQCb遺伝子(d)、及びHLA-GQCab遺伝子(e)を作成する工程が行われる。なお、図中、HLA-GQCa遺伝子(c)、HLA-GQCb遺伝子(d)、及びHLA-GQCab遺伝子(e)中に示す塗りつぶし領域(黒領域)は、改変領域を意味する。 (a)は野生型HLA-GのN末端にMetを付加したコンストラクト(N末端のメチオニン(Met)を第0残基とする)の第0残基(M:Met)から第7残基(Y:Tyr)までのアミノ酸配列とそのアミノ酸それぞれに対応するコドン(上段:野生型HLA-G遺伝子のコドン、下段:改変型HLA-G遺伝子のコドン)を示す。図1の(c)の塗りつぶし領域に相当する。(b)は野生型HLA-Gの第8残基(F:Phe)から第15残基(P:Pro)までのアミノ酸配列とそのアミノ酸それぞれに対応するコドン(上段:野生型HLA-G遺伝子のコドン、下段:改変型HLA-G遺伝子のコドン)を示す。図1の(d)の塗りつぶし領域に相当する。 図1の各HLA-G遺伝子((a)HLA-G遺伝子、(b)HLA-GEC遺伝子、(c)HLA-GQCa遺伝子、(d)HLA-GQCb遺伝子、(e)HLA-GQCab遺伝子)を用いた場合の菌体の泳動パターンを示す図である。 HLA-G(実線)又はネガティブコントロールであるBSAに対するLILRB2(LIR2)(点線)の反応を示す図である。 HLA-GとLILRB2(LIR2)のKd値(4.1μM)を示す図である。 HLA-G二量体の形成の有無を、Superdex 200 10/300を用いたゲル濾過クロマトグラムで観察した結果を示す。Dは二量体ピークを、Mは単量体ピークを示す。縦軸は波長280nmでの吸光度(Absorbance at 280nm[mAU])を、横軸は溶出容量(ml)を意味する。(A)DTTを伴わずに10日間インキュベーション(4℃)して調製。(B)2mM DTTとともに3日間インキュベーション(4℃)して調製。 RAスコアの基準とする、(a)手足の大関節における関節炎の所見と、(b)指の小関節における関節炎の所見を示す。 「関節リウマチ早期発症群」に関する実験結果(150μg、15μg、1.5μg投与)と、「関節リウマチ後期発症群」に関する実験結果(150μg、15μg、1.5μg投与)を示す。 HLA-G単量体(monomer)(―●―)と比較対照のためにPBS(コントロール)(―▲―)を、それぞれ「関節リウマチ発症群」に5日間連続して投与した場合の、RAスコアを経時的に示した結果を示す(実験例2)。
本発明は、HLA-Gまたはその二量体を有効成分とすることを特徴とする、関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療剤、並びにその用法に関する。
(1)有効成分
(1-1)HLA-G(単量体)
HLA-Gは、非古典的MHCI分子の1つであり、以下に示すように古典的MHCIとは異なる幾つかの独特な特性を有している:
(i)少数の組織:絨毛外栄養膜、胸腺上皮細胞、及び一部の腫瘍に非常に限定された発現(J. LeMaoult, et al.,(2003) Tissue Antigens, 62, 273-84.)
(ii)限定的な多型性
(iii)遅い輸送
(iv)比較的限定的なペプチド提示。
HLA-G分子は、白血球Ig様受容体(LILR)などの阻害性受容体への結合により、骨髄系単球細胞、T細胞及びNK細胞をはじめとする広範な免疫細胞の免疫応答を阻害し、免疫寛容を誘導する。
本発明が対象とするHLA-Gは、好ましくはヒト由来のHLA-Gである。そのアミノ酸配列(配列番号1)およびそれをコードする塩基配列(配列番号2)などの情報は、例えばNCBIに「Accession number:AF226990」として公表されており、既に公知である。
本発明が対象とするHLA-Gは、前述するHLA-G(野生型HLA-G)に限定されず、野生型HLA-Gの機能、具体的には白血球Ig様受容体(LILRB1及びLILRB2)及び/又はCD8などの野生型HLA-Gの受容体に対して結合活性を有する限り、当該野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)のうち、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質(変異型)であってもよい。
ここで「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質(変異型)」とは、上記野生型HLA-Gの機能(白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性)を備え、且つ野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)と好ましくは95%以上同一のアミノ酸配列を有することを限度として、アミノ酸が欠失、置換若しくは付加してなるタンパク質(変異型)を意味する。より好ましくは野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)と96%以上同一、さらに好ましくは98%以上同一のアミノ酸配列を有するタンパク質(変異型)(以下、「変異型HLA-G」という)である。
当該変異型HLA-Gの変異部位は、野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)において、白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合反応性に重要とされるアミノ酸残基(Val194, Phe195, Asp196, Tyr197, Glu198, Thr200, Gln226, Asp227, Glu229, Val248)以外の部位で行われる必要がある。
また、HLA-G二量体を形成するためにはHLA‐G分子間のジスルフィド結合に寄与するシステイン残基(Cys42)の存在が重要であるため、上記変異型HLA-Gは、野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)において、第42番目のアミノ酸残基以外の部位で変異(欠失、置換又は付加)を生じているものであることが好ましい。
ここで、「白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性」とは、HLA-Gが白血球Ig様受容体及び/又はCD8と直接結合する活性であって、これにより白血球Ig様受容体あるいはCD8を介してシグナルを伝達し、免疫制御効果を発揮することができる活性を意味する。
なお、変異型HLA-Gが、白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するか否かの確認は、例えば、T細胞ハイブリドーマを用いたレポーターアッセイなどにより行うことができる。かかるT細胞ハイブリドーマとしては、LILRB1またはLILRB2の細胞外ドメインと活性型受容体PILRbの膜貫通・細胞内ドメインを融合させたキメラ分子を発現したNFAT-GFP導入レポーター細胞(マウスT細胞ハイブリドーマ)を例示することができる。この場合、HLA-GがLILR受容体に結合すると、PILRbの細胞内ドメインを介したシグナルが伝達され、転写因子NFATが活性化される。レポーターアッセイは、当該NFATの活性化によりGFPの発現が誘導されることを利用したアッセイ系である。GFP発現は、LILRBsとHLA-Gとが結合したことを示すが、かかるGFP発現による蛍光の出現はフローサイトメトリーで確認することができる。
HLA-Gの調製は、まず、公知の遺伝子組換え技術を用いて、HLA-Gのアミノ酸配列をコードする遺伝子を発現ベクター等に組込んだ組換えベクターを構築し、次いで、公知の各種形質転換法により、構築した組換えベクターを宿主に導入して形質転換体を得、これを培養することにより、組換えHLA-Gを発現させ、回収することにより行うことができる。
ここでHLA-Gのアミノ酸配列をコードする遺伝子としては、野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)をコードする遺伝子(配列番号2)のほか、前述した変異型HLA-Gのアミノ酸配列をコードする遺伝子を用いることもできる。
変異型HLA-Gをコードする遺伝子は、野生型HLA-Gの遺伝子のDNA配列に変異を導入して調製すればよく、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の部位特異的変異導入法に準じて調製することができる。具体的には、Kunkel法やGapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異導入法を利用した変異導入用キットを用いて調製することができる。当該キットとしては、例えば、QuickChangeTM Site‐Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site‐Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等:タカラバイオ社製)等が好ましく挙げられる。
形質転換体の作成に使用される宿主は、導入された組換えベクター等からHLA-G(野生型HLA-G、変異型HLA-G)を発現し得るものであれば、特に限定はされず、例えば、ヒトやマウス等の各種動物に由来する細胞、各種昆虫に由来する細胞、大腸菌などの原核細胞、酵母などの真核細胞、植物細胞等、宿主となりえる公知の細胞が使用できる。
但し、宿主として大腸菌を用いる場合、培養液1Lあたりの発現産物の収量が2-3mgと、HLA-G(野生型HLA-G、変異型HLA-G)の発現効率が極めて低いという問題がある。かかる問題は、HLA-G のアミノ酸配列をコードする遺伝子として、HLA-G(野生型HLA-G、変異型HLA-G)の全アミノ酸をコードするコドンをすべて大腸菌での発現に適するように改変し、且つ開始コドンから下流の領域(野生型HLA-GのN末端にMetを付加したコンストラクト(N末端のメチオニン(Met)を第0残基とする)の0〜15番目の領域)にある塩基配列をさらに特定の塩基配列で改変してなる遺伝子(以下、「改変遺伝子」という)を用いることによって解消することができる。具体的には、野生型HLA-Gの全アミノ酸をコードするコドンをすべて大腸菌での発現に適するように改変してなるHLA-G遺伝子の塩基配列としては、配列番号3に示す配列を挙げることができる。上記改変遺伝子は、当該塩基配列(配列番号3)において、さらに(a)第1〜18番目(HLA-Gのアミノ酸配列において1〜6番目のアミノ酸をコードする塩基配列に相当する)の塩基配列を配列番号4に示す塩基配列で置換するか、または(b)第25〜45番目(HLA-Gのアミノ酸配列において9〜15番目のアミノ酸をコードする塩基配列に相当する)の塩基配列を配列番号5に示す塩基配列で置換するか、いずれか少なくとも1つの改変を行うことによって調製することができる。配列番号3に示す塩基配列において、(a)の改変を有する改変遺伝子の塩基配列を配列番号6に、(b)の改変を有する改変遺伝子の塩基配列を配列番号7に、また(a)と(b)の両方の改変を有する改変遺伝子の塩基配列を配列番号8に、それぞれ示す。
当該改変遺伝子を用いると、大腸菌を宿主とした場合でも、培養液1Lあたり約30mgもの多くのHLA-Gを回収することが可能となる(調製例1参照)。
組換えHLA-Gの製造は、具体的には、上述の形質転換体を培養する工程と、得られる培養物から組換えHLA-Gを採取する工程とを含む方法により行うことができる。ここで、「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。上記形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。目的のタンパク質は、上記培養物中に蓄積される。
組換えHLA-Gが細胞外に生産される場合は、培養液をそのまま使用するか、遠心分離やろ過等により細胞を除去する。その後、必要に応じて硫安沈澱による抽出等により、培養物中から組換えHLA-Gを採取し、さらに必要に応じて透析、各種クロマトグラフィー(ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフイニティクロマトグラフィー等)を用いて単離精製することができる。
組換えHLA-Gが細胞内に生産される場合は、細胞を破砕することにより組換えHLA-Gを採取することができる。可溶性画分にHLA-Gが含まれる場合は、破砕後、遠心分離や濾過などにより、必要に応じて細胞の破砕残渣(細胞抽出液不溶性画分を含む)を除く。残渣除去後の上清は、細胞抽出液可溶性画分であり、粗精製したタンパク質溶液とすることができる。一方、不溶性画分に封入体としてHLA-Gが発現する場合は、破砕後、遠心分離により不溶性画分を単離し、界面活性剤等を含んだバッファーで洗浄、遠心を繰り返すことにより、細胞の破砕残渣を取り除く。得られた封入体はグアニジンや尿素などの変性剤を含むバッファーで可溶化した後、希釈法や透析法を利用した蛋白質の巻き戻しを行う。機能的に巻き戻ったHLA-Gの精製は各種クロマトグラフィー(ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフイニティクロマトグラフィー等)を用いて単離精製することができる。
また、組換えHLA-Gの産生は、形質転換体を用いたタンパク質合成系のほか、生細胞を全く使用しない無細胞タンパク質合成系を用いて行うこともでき、産生された組換えHLA-Gは、クロマトグラフィー等の手段を適宜選択して精製することができる。
(1-2)HLA-G二量体
HLA-G二量体は、HLA-G単量体を構成するアミノ酸配列中の第42番目のシステイン残基間で架橋構造が形成されることにより、詳しくは当該システイン残基中のチオール基(SH基)が酸化されて分子間ジスルフィド結合を形成することにより、二量体化したものである(ジスルフィド結合型二量体)(WO2007/011044参照)。
HLA-G二量体は、前述する野生型HLA-G同士又は変異型HLA-G同士からなるホモニ量体であってもよいし、または野生型HLA-Gと変異型HLA-Gからなるヘテロニ量体であってもよく、限定はされない。好ましくは野生型HLA-G同士からなるホモニ量体である。なお、HLA-G二量体の構成単位であるHLA-G単量体が変異型HLA-Gである場合、上記分子間ジスルフィド結合に寄与するシステイン残基は、野生型HLA-Gを構成するアミノ酸配列中の第42番目の残基に相当するシステイン残基を意味するものとする。
また、HLA-G二量体は、ジスルフィド結合部分を内側とした場合、白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合部位を外側に露出した構造を有し、これらの受容体との結合が立体障害により妨げられないものである。そのため、HLA-G二量体は、HLA-G単量体と同種の機能を保持しうる構造を有する。
HLA-G二量体は、白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合効率が、HLA-G単量体に比べて、例えば2倍以上であることが好ましい。結合効率は、例えば、T細胞ハイブリドーマを用いたレポーターアッセイ、表面プラズモン共鳴解析、ネイティブゲルシフトアッセイなどにより測定することができる。このように、HLA-G二量体は、白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合効率が非常に高いため、免疫系細胞の活性化抑制に有効に用いることができる。
ジスルフィド結合型HLA-G二量体は、どのような方法で得られるものであってもよく、その取得方法に特に限定はされない。例えば、ジスルフィド結合を自然に形成させる公知の製法で得られる二量体でもよいし、ジスルフィド結合の形成を促進させうる後述する製法で得られる二量体でもよい。
ジスルフィド結合の形成を促進させる方法としては、HLA-G単量体中に、還元剤を添加する方法を挙げることができる。ここで、還元剤としては、例えばジチオトレイトール(DTT)、β−メルカプトエタノール、還元型グルタチオン、システアミンなどが挙げられ、中でもDTTが特に好ましい。当該還元剤は、HLA-Gの二量体化反応において、ジスルフィド結合に寄与するシステイン残基中のチオール基を攻撃し、酸化反応によるチオール基同士の分子間ジスルフィド結合形成を促進させうる。
HLA-Gの二量体化反応における反応溶媒としては、限定はされないが、例えば、Tris-HCl(pH 8.0)及びNaCl等を適当な濃度で含む水性溶媒が好ましい。また、HLA-G二量体の製法においては、HLA-G単量体を高濃度に存在させておくことが好ましく、その濃度としては、例えば、0.1〜10mg/mL、好ましくは5〜10mg/mL、特に好ましくは10mg/mL程度である。HLA-Gを高濃度にする方法としては、例えば、HLA-G溶解液を濃縮する方法が挙げられる。
さらに、当該製法においては、還元剤の添加量はHLA-G単量体に対して少量使用することが好ましく、例えば、量としては、最終濃度が0.1〜10mM、好ましくは1〜5 mMとなるような割合である。還元剤としてDTTを用いる場合は、特に2mM程度が好ましい。このような還元剤の少量添加は、前述のようにHLA-G単量体を高濃度に存在させた状態において行うことが特に好ましく、かかる条件において、HLA-G二量体の産生効率を最も高めることができる。
(2)製剤形態
本発明の予防または治療剤(以下、これを総称して「本発明の製剤」という。当該製剤は、本発明が対象とする組成物(医薬組成物)の一態様である。)において有効成分となるHLA-Gまたはその二量体は、必要に応じて各種塩や水和物等の状態で用いられてもよい。また、保存安定性(特に活性維持)を考慮して適当な化学的修飾がなされた状態で用いられてもよい。またHLA-Gまたはその二量体は、結晶化状態で用いられてもよいし、溶解状態で用いられてもよい。
本発明の製剤は、有効成分としてHLA-Gまたはその二量体を含む以外、他の成分を含むことができる。他の成分としては、当該製剤の用法(使用形態)に応じて必要とされる製薬上の各種成分(薬学的に許容し得る各種担体等)が挙げられる。これらの他の成分は、本発明の有効成分により発揮される効果(関節リウマチ若しくはその関連疾患の治療効果、または当該疾患の発症を予防する効果)が損なわれない範囲で適宜含有することができる。
本発明の製剤において、有効成分であるHLA-Gまたはその二量体の配合割合は、限定はされないが、関節リウマチ若しくはその関連疾患の治療のための有効量、または当該疾患の発症を予防するための有効量、配合されていることが好ましい。例えば、有効成分がHLA-Gである場合は、製剤全体に対して0.01重量%以上であることが好ましく、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。有効成分がHLA-G二量体である場合は、製剤全体に対して0.01重量%以上であることが好ましく、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。有効成分の含有割合が上記範囲を満たすことにより、本発明の抗関節リウマチ作用を発揮することができる。
また、有効成分としてのHLA-Gまたはその二量体は、より高純度となるように精製されたものであることが好ましい。具体的には、例えば50%以上の純度が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明の製剤は、ヒト又は非ヒト哺乳動物に対し、種々の投与経路、具体的には、経口又は非経口(例えば静脈注射、筋肉注射、皮下投与、皮内投与、直腸投与、経皮投与)で投与することができる。好ましくは皮下投与や経皮投与などの非経口的な局所投与である。
従って、有効成分であるHLA-Gまたはその二量体は、単独で用いることも可能であるが、上記投与経路に応じて、慣用される方法により薬学的に許容し得る担体を用いて適当な剤形に製剤化することができる。
好ましい剤形としては、経口剤では、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、及びトローチ剤等が好ましく挙げられる。また、非経口剤では、例えば、吸入剤、坐剤、注射剤(点滴剤を含む)、軟膏剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤、及びリポソーム剤等が好ましく挙げられる。
これら製剤の製剤化に用い得る担体としては、例えば、通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、及び矯味矯臭剤のほか、必要に応じて、安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤、増量剤、湿潤化剤、表面活性化剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、及び無痛化剤等が挙げられ、医薬品製剤の原料として用いることができる公知の成分を配合して常法により製剤化することが可能である。
本発明の製剤に使用可能な無毒性の成分としては、例えば、大豆油、牛脂、及び合成グリセライド等の動植物油;流動パラフィン、スクワラン、及び固形パラフィン等の炭化水素;ミリスチン酸オクチルドデシル、及びミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;セトステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール等の高級アルコール;シリコン樹脂;シリコン油;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びメチルセルロース等の水溶性高分子;エタノール、及びイソプロパノール等の低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、及びポリエチレングリコール等の多価アルコール(ポリオール);グルコース、及びショ糖等の糖;無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、及びケイ酸アルミニウム等の無機粉体;塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機塩;精製水等が挙げられ、いずれもその塩またはその水和物であってもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、果糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、及び二酸化ケイ素等が、結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、及びメグルミン等が、崩壊剤としては、例えば、澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、及びカルボキシメチルセルロース・カルシウム等が、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、及び硬化植物油等が、着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、例えば、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、及び桂皮末等が、それぞれ好ましく挙げられ、いずれもその塩又はそれらの水和物であってもよい。
本発明の製剤が経口製剤の場合は、有効成分であるHLA-Gまたはその二量体に、賦形剤、さらに必要に応じ、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、及び矯味矯臭剤等を加えた後、常法により、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、及びカプセル剤等とすることができる。錠剤及び顆粒剤の場合には、例えば、糖衣するほか、必要に応じ、その他の公知の手法で適宜コーティングすることもできる。シロップ剤及び注射用製剤等の場合は、例えば、pH調整剤、溶解剤、及び等張化剤等、並びに必要に応じて溶解補助剤、及び安定化剤等を加えて、常法により製剤化することができる。また、外用剤の場合は、製法は限定されず、常法により製造することができる。使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、及び化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能であり、例えば、動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土鉱物類、及び精製水等の原料が挙げられ、必要に応じ、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴剤、着色料、及び香料等を添加することができる。さらに必要に応じて、血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、及び角質溶解剤等の成分を配合することもできる。この場合、担体に対するHLA-Gまたはその二量体の割合は、限定はされず、1〜90重量%の間で適宜設定することができる。
(3)対象疾患:関節リウマチまたはその関連疾患
本発明の製剤は、関節リウマチの症状緩和若しくは軽減、または関節リウマチに起因して生じる疾患(関節リウマチ関連疾患)の予防に用いられる。
ここで関節リウマチは、全身の関節における滑膜の炎症を特徴とする進行性の自己免疫疾患である。その症状は、初期は関節痛から始まるが、その後進行が進むと、関節の変形や、血管、心臓、肺、皮膚、筋肉といった全身臓器にも障害が及ぶようになる。
なお、関節リウマチかどうかの診断には、下記に示すアメリカリウマチ学会(ACR)の分類基準が、一般的に使用されている:
1.朝のこわばり(1時間以上持続する)
2.多関節炎(少なくとも3領域以上の関節の腫れ)
3.手の関節の腫れ
4.対称性の関節の腫れ
5.リウマトイド結節
6.リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性
7.レントゲン検査で典型的な関節所見。
これら7項目のうち、4項目以上を満たす場合に、関節リウマチと判断することができる。
本発明において「抗関節リウマチ作用」、または「抗関節リウマチ効果」とは、上記7項目のうち、少なくとも「3.手の関節の腫れ」、好ましくは手の大関節の腫れを減少させる作用または効果を発揮することを意味する。本発明において「抗関節リウマチ作用」、または「抗関節リウマチ効果」には、関節炎症を抑えることによって関節リウマチの症状進行を緩和する作用・効果が含まれる。
また本発明において「関節リウマチ関連疾患」とは、前述する関節リウマチに起因して生じる疾患、言い換えると関節リウマチの症状進行に伴って生じる疾患を意味する。かかる疾患は、関節リウマチの症状進行を緩和し軽減することによって、その発症を予防(当該予防には、発症遅延の意味も含まれる)することができ、またその疾患の発症程度を軽減することができる。
かかる関節リウマチ関連疾患としては、具体的には、シェーグレン症候群、乾燥性角結膜炎およびそれによるドライアイ、リウマトイド結節、穿孔性強膜軟化症、上強膜炎、および強膜炎等の眼科疾患:間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、胸膜炎、気胸、膿胸、気道病変、胸膜病変、リウマチ結節、血管病変、および睡眠時無呼吸症候群(顎関節病変、輪状披裂関節病変)等の呼吸器系の疾患;心外膜炎、症候性心外膜炎、慢性収縮性心膜炎、弁機能障害、塞栓症、伝導障害、心筋障害、大動脈炎、大動脈弁閉鎖不全、および動脈瘤破裂等の心臓系の疾患;慢性炎症によるAAアミロイドーシスやリウマトイド血管炎による虚血性腸炎などの消化管系疾患;関節リウマチに合併するシェーグレン症候群による間質性腎炎、間質性腎病変、蛋白尿、続発性アミロイドーシス、関節リウマチに合併するAAアミロイドーシスによる糸球体病変(膜性腎症)などの腎臓系疾患;頚椎変形による脊髄障害、腱滑膜炎による圧迫性神経障害、関節リウマチに合併する血管炎による多発性単神経炎などの神経系疾患;リウマトイド結節、皮膚血管炎(白血球破砕性血管炎)、および虚血性皮膚潰瘍などの皮膚科系の疾患;貧血(小球性低色素性貧血)、脾腫、白血球(好中球のみ)減少をきたしたフェルティー症候群等の血液系の疾患を例示することができる。また合併症として多いのは、間質性肺炎、血管炎、およびシェーグレン症候群である。
(4)投与方法
本発明の製剤を非経口投与(例えば注射投与)する場合、その有効な投与量は、例えば、関節リウマチの症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態等に応じて異なり、限定はされないが、例えば、有効成分がHLA-G(単量体)である場合は、体重60kgの成人に対して1回あたり、100〜1000mg、好ましくは450mg;また有効成分がHLA-G二量体である場合は、体重60kgの成人に対して1回あたり、10〜100mg、好ましくは45mgを投与することができる。
非経口投与としては、前述するように注射剤を用いて皮下または皮内などに局所投与されることが好ましい。実験例で示すように、本発明の製剤は、かかる局所投与により、四肢全体の関節の腫れを低減し、抗関節リウマチ作用を発揮することができる。また本発明の製剤は、実験例に示すように、1回の非経口投与により、長期間に亘って抗関節リウマチ作用が持続するという効果がある。このため、本発明の製剤の投与方法としては、例えば、有効成分がHLA-G(単量体)である場合は、少なくとも2か月に1回、好ましくは半月に1回の頻度で、局所投与することが好ましく;また有効成分がHLA-G二量体である場合は、少なくとも3か月に1回、好ましくは2か月に1回の頻度で、局所投与することが好ましい。
また本発明の製剤を経口投与する場合、その投与形態及び有効な投与量は、投与対象、投与経路、製剤の性質、患者の状態、及び医師の判断等に左右されるものであり、限定はされないが、例えば、有効成分がHLA-Gである場合は、体重60kgの成人に対して1回あたり、100〜1000mg、好ましくは450mg;また有効成分がHLA-G二量体である場合は、体重60kgの成人に対して1回あたり、10〜100mg、好ましくは45mgを投与することができる。投与経路の効率が異なることを考慮すれば、必要とされる投与量は適宜広範に設定することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔調製例1〕 HLA-G(単量体)の調製
図1は、改変型HLA-G遺伝子を作製する過程を示した概略図である。二つの工程が含まれる。なお、図1中、(a)は野生型HLA-G遺伝子の塩基配列(配列番号2)を意味し、(b)は野生型HLA-Gの全アミノ酸(配列番号1)をコードするコドンを大腸菌での発現に適したコドンに置換した人工合成HLA-G遺伝子(以下、「HLA-GEC遺伝子」とする)の塩基配列(配列番号3)を意味し、(c)はHLA-GEC遺伝子の5’末端領域(アミノ酸1-6番目に相当する領域)を改変した遺伝子(HLA-GQCa遺伝子)の塩基配列(配列番号6)、(d)はHLA-GEC遺伝子の5’末端領域(アミノ酸9-15番目に相当する領域)を改変した遺伝子(HLA-GQCb遺伝子)の塩基配列(配列番号7)、(e)はHLA-GEC遺伝子の5’末端領域(アミノ酸1-6番目と9-15番目に相当する領域)を改変した遺伝子(HLA-GQCab遺伝子)の塩基配列(配列番号8)を意味する(図2参照)。
まず、全合成によりHLA-GEC遺伝子(b)を作製する工程が行われ、続いて、HLA-GEC遺伝子(b)から、当該HLA-GECの5’末端をそれぞれ改変したHLA-GQCa遺伝子(c)、HLA-GQCb遺伝子(d)、およびHLA-GQCab遺伝子(e)を作成する工程が行われる。
(1)HLA-GEC遺伝子(b)の作成
野生型HLA-Gのアミノ酸配列(配列番号1)は変わらないようにして、全アミノ酸それぞれをコードするコドンを大腸菌での発現に適したものに変えたHLA-GEC遺伝子(b)(配列番号3)を設計し、全合成した。その際、HLA-GEC遺伝子の5’末端にEcoRVサイト及びNdeIサイトを、3’末端にHindIIIサイトを挿入した。
次に、HLA-GEC遺伝子とpUC57ベクターを制限酵素EcoRV(タカラバイオ社製)、HindIII(TOYOBO社製)で切断し、HLA-GEC遺伝子とpUC57ベクターをT4DNAリガーゼ(TOYOBO社製)を用いて連結した。次に、連結したプラスミドをさらに制限酵素Ndel(タカラバイオ社製)、HindIIIで切断し、1mM EDTAを含む40mMトリス酢酸緩衝液にてアガロースゲル電気泳動を行い、HLA-GEC遺伝子断片を切り出し、QIA quick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて抽出・精製した。同様に、pGMT7ベクターを制限酵素NdeI、HindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動を行い、該当するDNA断片を切り出し、抽出・精製した。そして、HLA-GECとpGMT7ベクターを、T4DNAリガーゼを用いて連結し、HLA-GEC-pGMT7プラスミドを構築した。次に、このHLA-GEC-pGMT7プラスミドで、大腸菌BL21(DE3)pLysS株を形質転換し、100mg /Lのアンピシリンを含む2×YT培地(0.5%塩化ナトリウム、1.6%トリプトン、1%乾燥酵母エキス(以上ナカライテスク社製))中で、37℃で培養した。
次に、培養懸濁液がOD600=0.4〜0.6に達した時点で、1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに37℃で4〜6時間発現誘導した。IPTG発現誘導前及びIPTG発現誘導後4時間の培養菌液lmLを遠心分離後、沈殿した菌体に直接サンプルバッファーを加え、95℃で加熱処理した後、上清をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。
(2)HLA-GQCa遺伝子(c)、およびHLA-GQCb遺伝子(d)の作成
HLA-GQCa遺伝子(c)(配列番号6)及びHLA-GQCb遺伝子(d)(配列番号7)の作成には、まずHLA-GEC-pGMT7プラスミドを鋳型にして、PCR用緩衝液(Promega社製)、deoxyNTP混合液(TOYOBO社製)、5’側プライマー(HLA-GQCa遺伝子の場合は配列番号9,HLA-GQCb遺伝子の場合は配列番号10)、3’側プライマー(HLA-GQCa遺伝子の場合は配列番号11,HLA-GQCb遺伝子の場合は配列番号12)(それぞれ最終濃度0.2μM)及びPfuTurboDNA Polymerase(Promega社製)を加え、PCRを行った。その際、プライマーは相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、反応は変性30秒(95℃)、アニール1分(60℃)、エクステンション8分(68℃)にて25サイクル行った。
次に、PCR産物にDpnI(NEB社製)を加え、37℃で1時間反応させ、鋳型を除去し、アガロースゲル電気泳動を行い、PCR産物の存在を確認した。そして、DNAシークエンサーで塩基配列を確かめ、HLA-GQCa-pGMT7プラスミド及びHLA-GQCb-pGMT7プラスミドを得た。
次いで、それぞれのプラスミド(HLA-GQCa-pGMT7又はHLA-GQCb-pGMT7)を大腸菌BL21(DE3)pLysS株に形質転換し、HLA-Gを生産する菌(E.Coli/ HLA-GQCa-pGMT7又はE.Coli/ HLA-GQCb-pGMT7)を得た。この形質転換体を100mg/Lのアンピシリンを含む2×YT培地(0.5%塩化ナトリウム、1.6%トリプトン、1%乾燥酵母エキス)中で37℃で培養した。その後、培養懸濁液がOD600=0.4〜0.6に達した時点で、1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに37℃で4〜6時間発現誘導した。IPTG発現誘導前及びIPTG発現誘導後4時間の培養菌液1mLを遠心分離後、沈殿した菌体に直接サンプルバッファーを加え、95℃で加熱処理した後、上清をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。
(3)HLA-GQCab遺伝子(e)の作成
HLA-GQCab遺伝子(e)(配列番号8)は、HLA-GQCa-pGMT7又はHLA-GQCb-pGMT7を鋳型にして、HLA-GQCa及びHLA-GQCb同様のPCR及びその他の操作を行うことによって作成した。HLA-GQCa-pGMT7を鋳型にする場合は、配列番号10のオリゴヌクレオチドを5’側プライマー、配列番号12のオリゴヌクレオチドを3’側プライマーとし、HLA-GQCb-pGMT7を鋳型にする場合は、配列番号9のオリゴヌクレオチドを5’側プライマー、配列番号11のオリゴヌクレオチドを3’側プライマーとする。HLA-GQCab-pGMT7を得た後、上記と同様に形質転換を行い、培養した。
その後、培養懸濁液がOD600=0.4〜0.6に達した時点で、1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに37℃で4〜6時間発現誘導した。IPTG発現誘導前及びIPTG発現誘導後4時間の培養菌液1mLを遠心分離後、沈殿した菌体に直接サンプルバッファーを加え、95℃で加熱処理した後、上清をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。
(4)発現の確認
図3に、上記で作成した各遺伝子(野生型HLA-G遺伝子(a)、HLA-GEC遺伝子(b)、HLA-GQCa遺伝子(c)、HLA-GQCb遺伝子(d)、HLA-GQCab遺伝子(e))の発現状況を示す電気泳動の画像を示す。また、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に用いた菌体の調製は、全遺伝子とも同一条件で行い、泳動に供した量も同一に調製している。
図3の(1)列は、マーカーの分子量を示す。マーカーの分子量より、図3の(3)列、(5)列、(7)列及び(9)列の矢印部は、HLA-Gの分子量である約32kDaとなる部分を示す。
図3の(2)列は、野生型HLA-G遺伝子(配列番号2)を用いた場合のIPTG発現誘導前の菌体の泳動パターンを示し、(3)列は、IPTG発現誘導後4時間の菌体の泳動パターンを示す。HLA-Gの発現は(3)列矢印部に示されている程度に留まっている。
図3の(4)列は、HLA-GEC遺伝子(b)(配列番号3)を用いた場合のIPTG発現誘導前の菌体の泳動パターンを示し、(5)列は、IPTG発現誘導後4時間の菌体の泳動パターンを示す。(5)列の矢印部を見ると、バンドがはっきりと確認できない。そのため、HLA-Gは発現していないか、例え、発現していたとしてもわずかであると判断できる。
図3の(6)列は、HLA-GQCa遺伝子(c)(配列番号6)を用いた場合のIPTG発現誘導前の菌体の泳動パターンを示し、(7)列は、IPTG発現誘導後4時間の菌体の泳動パターンを示す。また、(8)列は、HLA-GQCb遺伝子(d)(配列番号7)を用いた場合のIPTG発現誘導前の菌体の泳動パターンを示し、(9)列は、IPTG発現誘導後4時間の菌体の泳動パターンを示す。(7)列及び(9)列の矢印部によれば、野生型HLA-G遺伝子を用いた場合の(3)列部の矢印部及びHLA-GEC遺伝子を用いた場合の(5)列部の矢印部と比較して、明らかに発現量が増大している。また、HLA-GQCaを用いた場合のIPTG発現誘導前である(6)列とIPTG発現誘導後4時間である(7)列とを比較すると、明らかにIPTG発現誘導後の(7)列部の矢印部にタンパク質が発現している。HLA-GQCbを用いた場合の(8)列及び(9)列に関しても同様である。図2で示したように、HLA-GEC遺伝子(b)と比較して、HLA-GQCa遺伝子(c)及びHLA-GQCb遺伝子(d)の大腸菌におけるコドン使用頻度は低いにもかかわらず、HLA-GQCa(c)及びHLA-GQCb(d)の発現量は飛躍的に増大することが確認された。
(5)HLA-Gの再構成及び精製
IPTGを添加して発現誘導した菌体懸濁液を遠心分離機にかけ菌体を集め、Resuspension buffer (50mMトリスpH8.0,100mM 塩化ナトリウム)を加え、懸濁し、超音波破砕で菌体を破砕した後、遠心分離して封入体を得た。この封入体をTriton wash buffer(0.5%TritonX-100、50mMトリスpH8.0,100mM塩化ナトリウム)及びResuspension buffer(50mM トリスpH8.0,100mM塩化ナトリウム)で十分洗浄した後に、6.0M Guanidine solution(6.0Mグアニジン、50mMメスpH6.5,10mM MEDTA)で可溶化した。この時点で、HLA-G溶液を紫外吸光法により測定したところ、A280値が約67であり、HLA-Gの発現量はおよそ32mg/Lであると考えられる。次に、HLA-Gと複合体を形成するヒトβ2ミクログロブリン(HLA-Gの5倍の濃度の量を添加)と20mgペプチド(RIIPRHLQL)(配列番号13)を添加し、Refolding buffer(0.1M トリスpH8.0, 0.4M L-アルギニン、5mM EDTA、3.7mM シスタミン、6.4mMシステアミン)を用いて一般的な希釈法で4℃、48時間撹件しながら巻き戻した。そして、ゲルろ過(superdex75)及びイオン交換クロマトグラフィー(ResourceQ)により精製した。
次に、Reaction buffer(50mM D-biotin、l00mM ATP、15μM BirA)に15μMとなるようにHLA-Gを溶解させ、ビオチン化した。ゲルろ過(Superdex75)によりビオチン化HLA-Gとreaction bufferを分離し、精製した。
(6)活性測定
BIAcore2000(登録商標)(英国、セントオールバンズのBIAcoreAB)を使用し、HLA-GとLILRB2 (LIR2)の表面プラズモン共鳴実験を行った。まず、研究用センサーチップCM5(BIAcoreAB)上に、ストレプトアビジンを共有結合で固定化し、そのストレプトアビジンを介して、ビオチン化HLA-GとネガティブコントロールであるBSAを固定化した。次に、ランニングバッファーであるHBS-EP(10mMへペスpH7.5, 150mM塩化ナトリウム、3.4mM EDTA、0.005% Surfactant P20)に溶解したLILRB2 (LIR2)を10μL/分で流した。各濃度での結合応答は、サンプルフローセルにおける応答から対照フローセルにおいて測定された応答を減算することによって計算した。結合定数(Kd)は、ORIGIN5(Microcal Software)によって、スキャッチャード分析又は標準ラングミュア結合等温線の非線形カーブフィッティングによって得た。
図4は、HLA-G又はネガティブコントロールであるBSAに対するLILRB2 (LIR2)の反応を示す図である。実線はHLA-Gをセンサーチップに固定化した場合を示し、点線はBSAをセンサーチップに固定化した場合を示す。図4によれば、BSAと比較して、LILRB2 (LIR2)はHLA-Gに結合している。図5は、HLA-GとLILRB2 (LIR2)のKd値を示す図である。図5によれば、Kd値は4.1μMである。これは、野生型HLA-G遺伝子を用いてHLA-Gを発現させた場合のHLA-GとLILRB2 (LIR2)との表面プラズモン共鳴実験の結果(Shiroishi et al.,(2003) Proc. Natl. Acad. Sci., USA.(論文中で、ILT4D1D2と示されているものとLILRB2 (LIR2)は同一のものである))と一致していた。
〔調製例2〕 ジスルフィド結合型HLA-G二量体の調製
調製例1の方法に従って作成したHLA-G(単量体)を、リフォールディングバッファ(0.1M Tris-HCl(pH8.0)、0.4M L-アルギニン、3.7mM シスタミン、6.4mM システアミン、5mM EDTA)でリフォールドした(M. Shiroishi, et al.,(2003) Proc. Natl. Acad. Sci., U S A, 100,8856-61.)。その後、それをゲル濾過(Superdex 75)及びイオン交換クロマトグラフィー(Resource Q)により精製した。精製されたHLA-Gを10mg/mLまで濃縮し、3〜4時間後、ジチオトレイトール(DTT)を5mMまで添加し、氷上でインキュベートした。初期結晶化試験は、結晶化用ロボットHydra plus oneおよびインテリプレートを使用して、Crystal Screen 1&2(Hampton Research)、Wizard I&II(Art Bobbins)で行った。Wizard II No.39の条件(0.1M CAPS(pH10.5)、20% PEG8000、0.2M NaCl)下、6日間、20℃で、データ収集に適する棒型結晶を得た。
X線回折データは、スプリングエイト(播磨、日本)(Spring 8(Harima,Japan))のビームラインBL38B1で収集した。データ収集前、結晶を凍結防止剤溶液(0.1M CAPS(pH10.5)、20% PEG8000, 200mM NaCl, 20%グリセロール)に浸漬し、フラッシュ冷却した。1.0000ÅのX線波長を使用して、ADSC Qauntum 4RCCDシステムで、100Kで、3.2Å回折データを得た。回折データは、HKL2000プログラムパッケージで処理し、スケーリングした。これらの結晶は、単位格子寸法a=94.70Å、b=127.85Å、c=72.60Åで、斜方品系空間群P21212に属する。データ収集統計を表1に示す。その結晶構造を分子置換により解明した。分子間Cys42-Cys42ジスルフィド結合についての電子密度マップが明瞭に観察されたため、HLA-G(野生型HLA-G)のジスルフィド結合型二量体がこの条件下で結晶化したことがわかった。
Figure 0005637981
結晶化ドロップ中のHLA-Gのジスルフィド結合型二量体形成を助長する要因を特定するために、二量体形成条件を検査した。10mg/mLまで濃縮したHLA-G単量体(バッファー;20mM Tris-HCl(pH8.0)、l00mM NaCI)を4℃で3日間、2mM DTTとともに、又は10日間、DTTを伴わずにインキュベートした。これらの混合物をゲル濾過により分析し、その結果、DTTの添加によりHLA-G二量体形成が有意に促進されて形成されることが判明した(図6AおよびB)。
次に、巻き戻したHLA-G分子の遊離システインが保護されているか否かを明らかにするため、5,5’‐ジチオビス2-ニトロベンゾエートを使用することによりHLA-G単量体の遊離チオール基の量を測定した。HLA-G Cys42Ser突然変異体の最近の結晶構造は、Cys42が溶媒に完全に曝露されていることを示しているが(C.S. Clemems, et al.,(2005) Proc. Natl. Acad. Sci., USA,102,3360-5)、10%未満の対になっていないチオール基しか検出されなかった。これは、巻き戻されたHLA-Gの大部分の遊離チオール基が、リフォールデイング溶液中に含まれる還元剤、例えばシステアミンにより保護されていることを示していた。高いpH(CAPS pH10.5)は、二量体形成にはわずかにしか有効でなかった。
これらの結果により、低濃度のDTTが、還元剤により保護された遊離チオール基を攻撃することによってジスルフィド結合の形成を助長することが示された。
実験例1
(1)II型コラーゲン誘導型関節リウマチモデルマウスの作成
(1-1) ウシII型コラーゲン含有エマルジョンの調製
ウシII型コラーゲンに0.02M Tris-HCl、0.15M NaCl (pH8.0) Bufferを加え、4℃、遮光条件下で一晩かけて溶解した。これに初回感作の際には等量のComplete Freund’s Adjuvantを加えて、ホモジナイザーを用いて5分以上混合し、ウシII型コラーゲン含有エマルジョンを調製した。なお、当該エマルジョン50μl/(1匹あたりの投与量)中には100μgのウシII型コラーゲンが含まれている。他方、追加感作の際には等量のIncomplete Freund’s Adjuvantを加えて、ホモジナイザーを用いて5分以上混合し、ウシII型コラーゲン含有エマルジョンを調製した。なお、当該エマルジョン50μl/(1匹あたりの投与量)中には200μgのウシII型コラーゲンが含まれている。
(1-2) II型コラーゲン誘導型関節リウマチモデルマウスの作成
(i)初回感作
マウス(DBA/1Jオス6週齢、チャールスリバー社から入手)52匹を、ジエチルエーテルで麻酔した後、マウス固定器に入れ、マウスの尾根部より約3cm下の部分の裏側の皮内に、上記で調製したウシII型コラーゲン含有エマルジョン50μlを注入した。
(ii)追加感作
上記初回感作から2週間後、再度上記のマウス52匹を、ジエチルエーテルで麻酔した後、マウス固定器に入れ、マウスの尾根部の裏側の皮内にウシII型コラーゲン含有エマルジョン50μlを注入した。
(iii)II型コラーゲン誘導型関節リウマチモデルマウスの判定
追加感作後、毎日(月〜金)四肢のRAスコアを観察記録し、ほぼ同一スコアのマウスが揃うのを確認した(II型コラーゲン誘導型関節リウマチモデルマウス)。
追加感作から13日目にRAスコアが3に達したマウス(14匹)を「関節リウマチ早期発症群」、また追加感作から28日目にRAスコアが3または4に達したマウス(14匹)を「関節リウマチ後期発症群」とし、これらの2群に対して、下記の実験を行った。
なお、RAスコアは、(a)手足の大関節における関節炎の所見(図7(a)参照)と、(b)指の小関節における関節炎の所見(図7(b)参照)から、表2に示す規準に従って得点化し、その得点の総数を、対象とする関節リウマチモデルマウス1匹あたりのRAスコアとする。具体的には、手足の甲の腫れ(所見A=3点、所見B=4点、所見C=5点)、および指関節の腫れ一本につき1点として得点化した。すなわち、四肢一本につき、最大で10点(甲の腫れ最大で5点+指関節の腫れ合計で最大5点)、四肢合計で最大40点となる。なお、評価および得点化は盲検法により特定の1名の判定者によって行った。
Figure 0005637981
(2)関節リウマチの治療効果の確認
上記で作成した「関節リウマチ早期発症群」(n=14)、および「関節リウマチ後期発症群」(n=14)に、調製例1で調製したHLA-G単量体(1.5μg、15μg、150μg/1匹当たり)含有溶液(PBS)、または調製例2で調製したHLA-G二量体(1.5μg、15μg、150μg/1匹当たり)含有溶液(PBS)、コントロール(PBS溶液)を、30G針をつけた1ml容量のシリンジを用いて、左足の関節からつま先に向けて皮内投与した。なお、投与は、「関節リウマチ早期発症群」については、追加感作から13日目に、「関節リウマチ後期発症群」については、追加感作から28日目に行った。投与後、毎日観察し、四肢についてRAスコアを記録した(盲検法採用)。「関節リウマチ早期発症群」(n=14)に関する実験結果と、「関節リウマチ後期発症群」(n=14)に関する実験結果を、図8に示す。
図8から分かるように、「関節リウマチ早期発症群」に対しては、1.5μg/匹投与ではHLA-G単量体およびHLA-G二量体のいずれもコントロール(PBS)と変わらず関節が腫脹しており、抑制効果は認められなかった。しかし、15μg/匹投与では、HLA-G単量体およびHLA-G二量体のいずれも関節腫脹を抑えており、なかでも二量体は単量体よりも抑制効果が強く、しかも単量体よりも長期間に亘って抑制することが判明した。また150μg/匹投与では、HLA-G単量体も二量体のいずれもコントロール(PBS)に比べて顕著に関節腫脹を抑えることが確認された。
以上より、「関節リウマチ早期発症群」において、HLA-G単回投与による関節腫脹に対する抑制効果は、二量体の場合15μg/単回投与量、単量体の場合150μg/単回投与量で十分認められ、その効果は少なくとも2か月程度持続することがわかった。
また図8から分かるように、「関節リウマチ後期発症群」に対しては、150μg/匹投与および15μg/匹投与では、HLA-G単量体およびHLA-G二量体の両方ともコントロール(PBS)に比べて顕著に関節腫脹を抑えていた。1.5μg/匹投与では、HLA-G二量体による関節腫脹に対する抑制効果は認められたが、HLA-G単量体ではコントロールと変わらず関節が腫脹しており、抑制効果は認められなかった。
以上より、「関節リウマチ後期発症群」においては、HLA-G単回投与での関節腫脹に対する抑制効果は二量体の場合1.5μg、単量体の場合15μgで十分認められ、その効果は少なくとも50日以上持続することがわかった。
これらの結果より、疾患感受性がより高いと思われる「関節リウマチ早期発症群」と疾患感受性が低いと思われる「関節リウマチ後期発症群」とでは、関節腫脹に対する抑制効果を発揮するHLA-G投与量に差があり、疾患感受性が低い場合は、より少量のHLA-G投与で済むことがわかった。また、HLA-G二量体は単量体に比べ数倍以上少ないHLA-G投与量の単回投与により長期間にわたって効果が得られることがわかった。また、この実験から、HLA-G単量体およびHLA-G二量体は、いずれも足局所に皮内投与することで(局所投与)、関節腫脹を四肢全体にわたって抑制することが確認できた。
実験例2
実験例1と同様に作成した「関節リウマチ発症群」を二群に分け(各群10匹)、これに対して、調製例1で調製したHLA-G単量体(35μg/1匹当たり)含有溶液(PBS)またはコントロール(PBS溶液)を、30G針をつけた1ml容量のシリンジを用いて、左足の関節からつま先に向けて皮内投与した。なお、投与は、追加感作から13日目から開始し、その後5日間にわたって1日1回連続投与した。投与開始から11日目まで、「関節リウマチ発症群」を毎日観察し、四肢についてRAスコアを記録した(盲検法採用)。HLA-G単量体投与群とコントロール(PBS溶液)群について、投与開始から11日目までのRAスコア結果を図9に示す。
この結果からわかるように、HLA-G単量体を1日1回の割合で5日間連続して投与することで関節腫脹が抑制されることが確認されたが、さらにHLA-G単量体の投与をやめた5日以降も関節腫脹抑制効果が持続していた。このことから、HLA-G単量体を単回投与することで、持続的に関節腫脹抑制効果(関節リウマチ治療効果)が得られるものと考えられる。前述する実験例1の結果は、この予想の適否を確認し、支持するものである。
対照実験例1
HLA-G単量体およびHLA-G二量体をアスカリス抽出物(アスカリス抗原)で感作したマウスの両耳耳介に塗布し、即時性および遅発性の皮膚炎(アスカリス抗原誘発皮膚炎)に対する効果を検討した。
<試験方法>
チャールスリバー社の7週齢BALB/cAnNCrlCrljマウス(雄)腹腔内に800μg/ml DNP−アスカリスと等量の水酸化アルミニウムゲル懸濁液の混合液0.5mlを投与し、感作した。感作後13日に、各群(コントロール(PBS)群、HLA-G単量体群、HLA-G二量体群)の平均体重がほぼ均一になるように群分けし、感作後14日に生理食塩液を用いて1mg/mlとしたDNP-アスカリス溶液0.01mlずつを両耳耳介内側皮内に投与し、皮膚炎を誘発した。
PBSおよびHLA-G(単量体)(160μg/ml)、HLA-G二量体(16μg/ml)を、0.02mlずつ両耳耳介の内側の皮膚に、誘発前3時間及び誘発後4時間に1回の計2回塗布した。左右両耳耳介の厚さの測定は、誘発前日、誘発後1,4,24及び48時間に各1回測定し、それぞれの誘発前日の耳介の厚さを引いて増加値を算出した。また、感作後13日に1回、誘発後48時間の観察終了後に体重を測定した。
<結果>
HLA-G二量体では、耳介に厚さ(平均値)にコントロール群と比較して統計学的有意差は認められなかったが、24、48時間後に比べ1、4時間後には低値を示した。右耳の結果では、誘発後4時間で有意な低値が認められた。一方、HLA-G単量体では、誘発後1時間の耳介に厚さ(平均値)がコントロール群に比べて統計的有意に低値を示した。4時間後も有意ではないが低値を示した一方、24時間、48時間後に効果は認められなかった。
なお、HLA-G単量体、二量体ともにマウスの一般症状および体重においてHLA-G投与による副作用は認められなかった。
以上示すように、誘発後から比較的短時間(1時間または4時間)の間では皮膚炎抑制効果が認められたが、誘発後24時間および48時間後には、もはや皮膚炎抑制効果は認められなかった。
この結果は、アスカリス抗原誘発皮膚炎モデル動物に対してHLA-G(HLA-G単量体、二量体)が炎症抑制効果を示す期間は短く、その効果を持続させるには、マウスへの投与を連続して複数回行う必要があることを示している。しかしながら、上記結果に基づく予測に反して、関節リウマチのモデル動物に対しては、実験例1および2に示すように、HLA-G(HLA-G単量体、二量体)の炎症抑制効果は、単回投与で少なくとも50日間持続し、長期にわたって持続することが判明した。
配列番号3は野生型HLA-G遺伝子の塩基配列を大腸菌での発現に適するように改変してなるHLA-G遺伝子の塩基配列を示す。配列番号4は、配列番号3の第1〜18番目の塩基配列を置換するために使用した塩基配列;配列番号5は、配列番号3の第25〜45番目の塩基配列を置換するために使用した塩基配列;配列番号6は、配列番号3の塩基配列において第1〜18番目の塩基配列を配列番号4で示す塩基配列で置換されてなる塩基配列;配列番号7は、配列番号3の塩基配列において第25〜45番目の塩基配列を配列番号5で示す塩基配列で置換されてなる塩基配列;および配列番号8は配列番号3の塩基配列において第1〜18番目の塩基配列を配列番号4で示す塩基配列で置換され、且つ第25〜45番目の塩基配列を配列番号5で示す塩基配列で置換されてなる塩基配列をそれぞれ示す。
配列番号9と11は、HLA-GQCb-pGMT7を鋳型にしてPCRする場合に使用する5’側プライマーの塩基配列または3’側プライマーの塩基配列を示す。配列番号10と12は、HLA-GQCa-pGMT7を鋳型にしてPCRする場合に使用する5’側プライマーの塩基配列または3’側プライマーの塩基配列を示す。配列番号13は、調製例1(5)で使用したペプチドのアミノ酸配列を示す。

Claims (4)

  1. HLA-Gの二量体を有効成分とする、関節リウマチまたは関節リウマチに起因して生じる疾患の予防または治療剤であって:
    HLA-Gが下記(a)または(b)に記載するタンパク質であり、
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第42番目のアミノ酸を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するタンパク質;
    HLA-G二量体が、HLA-G のアミノ酸配列の第42番目のシステイン残基間で、HLA-G同士が分子間ジスルフィド結合により連結されたものである
    上記予防または治療剤。
  2. 節リウマチ若しくは関節リウマチに起因して生じる疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくとも3か月間に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、請求項1に記載する予防または治療剤。
  3. 関節リウマチまたは関節リウマチに起因して生じる疾患の予防または治療剤の製造の為の、HLA-Gの二量体、またはHLA-Gの二量体を関節リウマチまたはその関連疾患の予防または治療に有効な割合で含有する医薬組成物の使用であって:
    HLA-Gが下記(a)または(b)に記載するタンパク質であり、
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第42番目のアミノ酸を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ白血球Ig様受容体及び/又はCD8との結合活性を有するタンパク質;HLA-G二量体が、HLA-G のアミノ酸配列の第42番目のシステイン残基間で、HLA-G同士が分子間ジスルフィド結合により連結されたものである、
    上記の使用
  4. 上記関節リウマチまたは関節リウマチに起因して生じる疾患の予防または治療剤が、関節リウマチ若しくは関節リウマチに起因して生じる疾患に罹患しているか、または当該疾患を発症し得る患者に、少なくとも3か月間に1回の割合で局所投与される製剤形態を有するものである、請求項に記載する使用
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