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JP2008509888A - 上皮成長因子受容体アンタゴニストおよび使用方法 - Google Patents

上皮成長因子受容体アンタゴニストおよび使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、上皮成長因子受容体(EGFR)アンタゴニストを特徴とする。これらのEGFRアンタゴニストは、EGFRのリガンドのポリペプチド変異体である。本発明のEGFRリガンドポリペプチド変異体は、EGFR拮抗性質を持ち、受容体のキナーゼ活性化活性およびその後の細胞増殖の阻害等の、少なくとも一つのEGFR媒介生物活性を阻害し得る。かかるポリペプチド変異体、およびこれらのポリペプチド変異体をコードする核酸は、EGFR活性の阻害が示される状況において、治療的に使用され得る。

Description

(関連出願)
本出願は、その内容が参照により本明細書に援用される2004年6月30日に出願された米国特許仮出願第60/584,471号および2005年1月11日に出願された米国特許仮出願第60/643,082号の利益を主張する。
(政府支援)
本発明は、全体または部分的に、国立がん研究所(National Cancer Institute)助成番号R43 CA095930-02により支援された。
(発明の背景)
上皮成長因子(EGF)は、大きな内在性膜タンパク前駆体からタンパク質分解的に切断された53のアミノ酸サイトカインである。EGFは哺乳類細胞の成長調節において重要な役割をする。ヒトEGF(hEGF)のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、例えばHollenbergの"Epidermal Growth Factor-Urogastrone, A Polypeptide Acquiring Hormonal States"; 編, Academic Press, Inc., New York (1979), pp. 69-110; またはUrdea ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:7461 (1983)において開示されている。hEGFのアミノ酸配列はまた、その両方が参照により全体が本明細書に援用される米国特許第5,102,789号および同時係属出願の米国特許出願第10/820,640号に開示されている。
上皮成長因子受容体(EGFR)は、受容体チロシンキナーゼの周知の例である。その同族リガンド、EGF、または構造に関係のあるリガンド(例えば組織成長因子α)とのEGFRの相互作用は、EGFRの二量化およびEGFRキナーゼドメインの活性化をもたらす。この事がシグナル伝達系を開始し、細胞分裂をもたらす。EGFRをコードする遺伝子の過剰発現は乳癌、卵巣癌、および頭頸部癌を含む多くの癌に関係している。EGFRのキナーゼ活性を阻害することにより、またはEGFのEGFRへの結合を妨げることによりEGFRを標的とする分子は、細胞増殖を阻害することを示し、抗癌治療、例えばチロシンキナーゼ阻害剤であるイレッサ(Iressa)(登録商標)(ゲフィチニブ)、およびEGFR特異的モノクローナル抗体であるエルビタックスTM(ErbituxTM)(セツキシマブ)として開発されている。これらの治療は場合によっては有効であることを示しているが、依然としてEGFR関連の癌に対する新規の治療法の必要性がある。
(本発明の概要)
本発明はEGFRアンタゴニストを特徴とする。「EGFRアンタゴニスト」は、例えば天然もしくは活性のEFGRリガンドのEGFRへの相互作用もしくは結合を少なくし、妨げ、遮り、またそうでなければ阻止することによって、少なくとも一つのEGFR媒介生物活性の阻害、抑制、または停止を引き起こす任意の分子を意味する。これらのEGFRアンタゴニストは、EGFRリガンドポリペプチド変異体である。好ましいリガンド変異体は、例えばEGFRキナーゼ活性化、シグナル伝達、調節、二量化、もしくはEGFR調節細胞増殖を減少または阻害する、EGFRの少なくとも一つの生物活性を遮るまたは妨げることができるポリペプチド分子である。本発明の好ましいリガンド変異体は、少なくとも一つのEGFR媒介生物活性を選択的に阻害できるEGFポリペプチド変異体である。かかるポリペプチド変異体、およびこれらのポリペプチド変異体をコードする核酸は、EGFR生物活性の阻害が示される状況において、治療的に使用され得る。用語「ポリペプチド」は本明細書において、天然のタンパク質、フラグメント、関連したポリペプチド配列のホモログまたはアナログをいう一般名として使用される。
本発明は、EGFRのドメインIIIへのペプチドの結合を阻止、追放、または排除する一つ以上の突然変異、および任意に、EGFRのドメインIに好ましくは堅く結合する突然変異を有するEGFRリガンド(例えばEGF)ポリペプチド変異体が、治療性質を有する良好から優秀なEGFRアンタゴニストをもたらし得るという予期せぬ発見に起因する。このように、本発明は、アンタゴニストがEGFRのドメインIIIに結合するのを阻止する少なくとも一つのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入、および任意に、EGFRのドメインIに好ましくは堅い結合で結合するアンタゴニストをもたらす少なくとも一つのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入を特徴とするEGF(もしくは他のEGFRリガンド)に実質的に類似したポリペプチド配列を有するEGFRアンタゴニストに関する。堅い結合の例としては、アンタゴニストと受容体の一つ以上のアミノ酸の間のイオン結合、共有結合、疎水結合、静電結合、または水素結合の形成が挙げられる。例えば本明細書に記載されるアッセイ等のインビトロアッセイにおいて、アンタゴニストがEGFによってEGFRから実質的に置き換えられない場合、結合は「堅い」と考えられ得る。本明細書に記載されるアッセイにおいて、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは100%等、少なくとも約90%のアンタゴニストがEGFRに結合したままである場合、アンタゴニストは実質的に置き換えられない。EGFRのドメインおよび類似の受容体は公知であり、参照により本明細書に援用されるOgiso ら, Cell, 110:775-787 (2002)に記載されている。
ある局面において、本発明は、野生型ヒトEGF(hEGF)の位置39のグリシン(G39またはGly 39)で少なくとも一つのアミノ酸置換を有し、EGFRアンタゴニスト活性を有し、および任意に位置35のバリン(V35またはVal 35)で、少なくとも一つのアミノ酸置換を有する上皮成長因子(EGF)ポリペプチド変異体を特徴とする。グリシンは好ましくはロイシンと置換され(G39L)、および/またはバリンは好ましくはグルタミン酸と置換される(V35E)。
別の局面において、本発明は、野生型EGF、好ましくは野生型ヒトEGFの位置18のグリシン(G18またはGly 18)で、少なくとも一つのアミノ酸置換を有し、EGFRアンタゴニスト活性および/またはEGFR阻害活性を有する上皮成長因子(EGF)ポリペプチド変異体を特徴とする。別の局面において、本発明は、野生型ヒトEGFの位置39のグリシン(G39またはGly 39)で、少なくとも一つのアミノ酸置換を有し、EGFRアンタゴニスト活性を有する上皮成長因子(EGF)ポリペプチド変異体を特徴とする。
本発明はまた、治療的に有効な量の、少なくとも一つの本発明のポリペプチド変異体を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、患者におけるEGFR過剰発現を特徴とする病状の治療方法を特徴とする。
(発明の詳細な説明)
本発明の好ましい態様の説明は以下の通りである。
本発明はEGFRアンタゴニストを特徴とする。これらのEGFRアンタゴニストはEGFRリガンド変異体である。EGFRリガンドの例としては、哺乳類のEGF(例えばヒト、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ウマおよびラット)が挙げられる。EGFRリガンドの他の例としては、トランスフォーミング成長因子α(TGFα)、ベータセルリン、ヘパリン結合EGF様成長因子(HB-EGF)、アンフィレギュリン(AR)およびエピレギュリンが挙げられる。本発明の好ましいリガンド変異体は、EGFR媒介生物活性を選択的に阻害できるヒトEGFポリペプチド変異体である。
本発明は、EGFRのドメインIIIへのペプチドの結合を阻止、追放、または排除する一つ以上の突然変異、および任意に、EGFRのドメインIに好ましくは堅く結合する突然変異を有するEGFRリガンド(例えばEGF)ポリペプチド変異体が、治療性質を有する良好から優秀なEGFRアンタゴニストをもたらし得るという予期せぬ発見に起因する。このように、本発明は、アンタゴニストがEGFRのドメインIIIに結合するのを阻止する少なくとも一つのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入、および任意に、EGFRのドメインIに好ましくは堅い結合で結合するアンタゴニストをもたらす少なくとも一つのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入を特徴とするEGF(もしくは他のEGFRリガンド)に実質的に類似したポリペプチド配列を有するEGFRアンタゴニストに関する。堅い結合の例としては、アンタゴニストと受容体の一つ以上のアミノ酸の間のイオン結合もしくは共有結合、疎水結合、静電結合、または水素結合の形成が挙げられる。例えば本明細書に記載されるアッセイ等のインビトロアッセイにおいて、アンタゴニストがEGFによってEGFRから実質的に置き換えられない場合、結合は「堅い」と考えられ得る。本明細書に記載されるアッセイにおいて、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは100%等、少なくとも約90%のアンタゴニストがEGFRに結合したままである場合、アンタゴニストは実質的に置き換えられない。例えば本明細書に記載されるアッセイ等のインビトロアッセイにおいて、アンタゴニストが実質的にEGFRからEGFを置き換える場合、結合はまた堅いと考えられ得る。本明細書に記載されるアッセイにおいて、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは100%等、少なくとも約90%のEGFがEGFRから置き換えられる場合、アンタゴニストは実質的にEGFを置き換える。
ある局面において、本発明は、野生型EGF、好ましくは野生型ヒトEGFおよびより好ましくは53アミノ酸のヒト野生型EGFと実質的なアミノ酸配列同一性を有し、EGFR媒介生物活性を阻害する働きをするEGFポリペプチド変異体を特徴とする。「EGFR媒介生物活性」とは本明細書で使用する場合、EGFRの内在性タンパク質−チロシンキナーゼ活性、および最終的にDNA合成および細胞増殖をもたらす、その下流シグナル形質導入カスケードを意味する。「EGFRアンタゴニスト」は、例えばEGFRへの天然もしくは活性のEFGRリガンドの相互作用もしくは結合を少なくし、妨げ、遮り、またそうでなければ阻止することによって、EGFR媒介生物活性の阻害、抑制または停止を引き起こす任意の分子を意味する。用語「アンタゴニスト」の使用は、本明細書において機能的な意味で使われ、本発明を作用の特別な機構を有する化合物に限定することを意図しない。例えば、用語「アンタゴニスト」は、競合的なアンタゴニストとして機能する分子を含むが、限定されない。競合的なアンタゴニストはEFGR受容体に結合するが、EGFR受容体の生物活性を誘発せず、野生型リガンドが結合して活性化するのを阻止する。用語「アンタゴニスト」はまた、受容体がもはや細胞膜に存在せず、ひいては受容体の活性化を引き起こすそのリガンドと結合し得ないような、EGFR受容体の下方制御を引き起こす分子を含み得る。
本発明のEGFポリペプチド変異体(本明細書で「修飾EGFポリペプチド」としても呼ばれる)は、多くの有用な性質を持つ。例えば本発明のポリペプチド変異体は、疾患の病理学的過程においてEGFRの過剰発現が関係する疾患(例えば癌)を治療するのに用いられ得る。
EGFポリペプチド変異体は、野生型ヒトEGFのアミノ酸Gly 18(G18)および/またはアミノ酸Gly 39(G39)および/またはアミノ酸Arg 41(R41)および/またはアミノ酸Val 35(V35)に対応するアミノ酸位置がアミノ酸と置換される、ヒト野生型EGFと実質的同一性を有し、ポリペプチドが(EGFR)アンタゴニスト活性を有すると規定される。本明細書で使用する場合、語句「野生型ヒトEGFのアミノ酸G18および/またはアミノ酸G39および/またはR41および/またはアミノ酸V35に対応するアミノ酸位置」とは、最適な比較のために様々な哺乳類種由来の非修飾EGFポリペプチドがヒト野生型EGFと整列される場合、ヒト野生型EGFのG18、G39、R41および、任意にV35に対応する位置に、もしくは近くに現れるグリシン、アルギニン、またはバリンアミノ酸が別のアミノ酸と置換され得ることを意味する。
特定の好ましい態様において、G18は、グルタミン酸(glutamate)と置換され(G18E)、グルタミンと置換され(G18Q)、リシンと置換され(G18K)、フェニルアラニンと置換され(G18F)、またはロイシンと置換される(G18L)。特に好ましい態様において、G18はフェニルアラニンと置換され(G18F)またはロイシンと置換される(G18L)。さらに別の好ましい態様において、G18はフェニルアラニンと置換される(G18F)。
さらにまたはあるいは、G39は、グルタミン酸と置換され(G39E)、グルタミンと置換され(G39Q)、リシンと置換され(G39K)、アスパラギン酸と置換され(G39D)、もしくはイソロイシンと置換され(G39I)、またはロイシンと置換される(G39L)。特に好ましい態様において、G39は、フェニルアラニンと置換され(G39F)、ロイシンと置換され(G39L)、アスパラギン酸と置換され(G39D)、またはイソロイシンと置換される(G39I)。G39Lが好ましい。
さらにまたはあるいは、R41はアスパラギン酸(aspartate)と置換される(R41D)。
G18、G39およびR41への修飾は、EGFRドメインIIIへの変異体の結合を阻止、追放、または排除するのに関与すると思われる。言い換えると、変異体はEGFRのドメインIIIに結合しないと思われている。
さらにまたはあるいは、V35はグルタミン酸と置換される(V35E)。V35への修飾は、EGFRのドメインIへの変異体の堅い結合に関与すると思われる。組み合わせの結果、V35での突然変異は、G18での突然変異、およびさらにまたはあるいはG39、およびさらにまたはあるいはR41と共に、アンタゴニスト性質を有するポリペプチドをもたらす。
しかしながら、G18、G39、および/またはV35は、本発明の修飾EGFポリペプチドのEGFR拮抗活性が損なわれないままであるような、任意の適切なアミノ酸と置換され得ることを理解されたい。V35のアスパラギン酸との置換が、少なくとも一つのアッセイにおいて変異体のアンタゴニスト機能のいくらかの損失をもたらす一方、さらなる研究が必要である。
さらに、他のアミノ酸が標的とされ得る。EGFおよびEGFRの結晶構造を再検討すると、EGFRへの結合を阻止するもしくは引き起こすアミノ酸側鎖の反応基もしくは官能基を除去、導入するか、または置き換えるために修飾され得るさらなるアミノ酸を、場合によっては特定し得る。近位または遠位のアミノ酸における変化は、その結合性質を変化して、別のアミノ酸の立体構造(confirmation)を変え得ることが知られている。このように、本明細書に例示される変異体は、所望の結合特性および結果として生じる治療的アンタゴニスト性質を有するアンタゴニストの広範な種類の代表であると期待される。EGFおよびEGFRの結晶構造は公知であり、例えば参照により本明細書に援用されるOgiso ら, Cell, 110:775-787 (2002)に記載されている。
また、好ましいヒトEGFポリペプチド変異体のホモログ、アナログおよびフラグメントは、本発明の範囲内である。「ホモログ」は、かかるホモログがEGFRアンタゴニスト活性を保持するのであれば、ヒト野生型EGFと実質的同一性を有する他の哺乳類腫由来のEGFの対応するポリペプチドを意味する。様々な哺乳類腫のEFGポリペプチド配列は以下の通りである:


「アナログ」は、関連したペプチドのEGFR拮抗性質を依然として保持する一つ以上のアミノ酸代替、例えば、アミノ酸残基の置換、付加または欠失によって異なるポリペプチド変異体を含むことを意味する。
EGFポリペプチド変異体の位置G18、G39、R41およびV35での突然変異の他に、EGFR阻害活性またはEGFポリペプチド変異体のアンタゴニスト活性を実質的に損なわないままにするであろう、さらなる突然変異があり得る。これらの突然変異は単独もしくは複数の置換、欠失、または挿入となって現れ得る。アミノ酸置換は、ポリペプチドの一つ以上の位置での同類的(conservative)または非同類的なアミノ酸置換となって現れ得る。本明細書で使用される場合、用語「同類的なアミノ酸置換」とは、類似した大きさ、電荷、または極性を持つ異なるアミノ酸を有する配列に通常存在するアミノ酸の置換をいう。同類的置換の例としては、イソロイシン、バリン、およびロイシン等の非極性(疎水性)残基の、別の非極性残基との置換が挙げられる。同様に同類的置換の例としては、アルギニンとリシンの間、グルタミンとアスパラギンの間、およびグリシンとセリンの間等、ある極性(親水性)残基の、別の極性残基との置換が挙げられる。さらに、リシン、アルギニンもしくはヒスチジン等の塩基性残基の、別の塩基性残基との置換、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸等のある酸性残基の、別の酸性残基との置換は、同類的置換のさらなる例である。非同類的置換の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニン等の非極性(疎水性)アミノ酸残基の、システイン、グルタミン、グルタミン酸またはリシン等の極性(親水性)残基との置換および/または極性残基の非極性残基との置換が挙げられる。
さらに、EGFのN末端はEGFRへの結合に関与しないと思われ、リガンド結合の際でさえ、自由に移動すると考えられる。従って、リガンドのN末端の欠失は、変異体のアンタゴニスト性質を損なわないであろうさらなる修飾の例として想定される。N末端のEGFRへの結合を引き起こすか、または助けるであろう一つ以上の結合機能性を付加するN末端の修飾もまた作られ得る。C末端はドメインIII結合に関係があると思われる。従って、C末端への修飾はまたドメインIII結合を阻止、追放、または排除するために変化すると想定され得る。
G18、V35、G39またはR41 EGFペプチド変異体の治療的品質はまた、G18、V35、G39またはR41の他の位置でのアミノ酸置換、アミノ酸欠失およびアミノ酸挿入によりさらに改良され得る。これらの改良された治療的品質としては、親和力増強、半減期増大、溶解度増大、および生物学的利用能増大が挙げられるが、限定されない。
本発明によるEGFポリペプチド変異体は、任意数の方法を用いて設計され試験され得る。位置G18、V35、G39および/もしくはR41または本発明のEGFポリペプチド変異体のEGFR拮抗活性もしくはEGFR阻害活性に寄与する任意の他の適切な位置でのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入は、特定部位の突然変異誘発等の当該分野で公知の方法によって特定され得る。結果として生じる突然変異のEGFポリペプチドはその後、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイ等のインビトロスクリーニングアッセイまたは任意の他の適切なスクリーニングアッセイを用いてEGFR拮抗活性を試験される。
本明細書に記載されるデータは、V35ならびにG18、G39、および/またはR41でのアミノ酸置換の組み合わせを有するEGFポリペプチドが野生型組み換えヒトEGF(MLX hEGF)の存在下でEGFRのキナーゼ部分の活性化を阻害し得ることを示す。本発明のポリペプチドはまた細胞増殖アッセイにおいて試験され、細胞の増殖を阻害することが示された。競合キナーゼ活性および細胞増殖アッセイは、本発明のポリペプチドがEGFRのキナーゼ部分の活性化ならびに細胞増殖を阻害するためにMLX hEGFと競合することを示す。本発明の候補ポリペプチドの阻害活性または他の拮抗活性は、本明細書に記載される任意のアッセイもしくは方法、またはEGFRの任意の他の適切なアッセイもしくは他の方法において評価され得、野生型ヒトEGFポリペプチドの存在下で活性を比較され得る。
上述されるように、本発明の修飾EGFポリペプチド変異体、それらのホモログおよびアナログは野生型EGF、好ましくは野生型ヒトEGFと実質的同一性を有する。本明細書で使用する場合、「実質的同一性」とは、EGFR阻害活性または他のEGFRアンタゴニスト活性を保持しながら、野生型ヒトEGFのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%の配列同一性、好ましくは少なくとも70%同一性、好ましくは少なくとも80%およびより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を意味する。他の態様において、本発明のポリペプチド変異体は、EGFR阻害活性または他のEGFRアンタゴニスト活性を保持しながら、野生型ヒトEGFのアミノ酸配列に対して、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%のアミノ酸の同一性を有する。2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の同一性パーセントは最適な比較目的(例えば、隙間は第1配列の配列に導入され得る)のために配列を整列することによって測定され得る。対応する位置でのアミノ酸はその後比較され、2つの配列の間の同一性パーセントは、配列と共通な同一な位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一な位置の数/位置の総数 x 100)。2つの配列の実際の比較は、周知の方法により、例えば数学アルゴリズムを用いてなし得る。数学アルゴリズム等の好ましい、限定されない例は、Karlin ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5873-5877 (1993)に記載される。かかるアルゴリズムはSchaffer ら, Nucleic Acids Res.29:2994-3005 (2001)に記載されるBLASTNおよびBLASTX プログラム (バージョン2.2)に組み込まれる。
本発明のEGFポリペプチド変異体はいくつかの手法により産生され得る。ある好ましい態様において、本発明のEGFポリペプチド変異体は関連のポリペプチド変異体をコードする遺伝子の適切な宿主における発現により産生される。かかる遺伝子は、本明細書に記載されるように野生型ヒトEGF遺伝子の特定部位の突然変異誘発により最も容易に調製される。しかしながら、本発明のEGFポリペプチド変異体は、メリフィールド合成等による化学合成手法により全体または部分的に産生され得る。本発明の修飾EGFポリペプチドの全てまたは部分的な化学合成は、ポリペプチド変異体における天然に存在しないアミノ酸置換基を使用する場合、特に望ましくあり得る。
本発明の修飾EGFポリペプチドは、任意数の方法を用いて設計され試験され得る。位置G18、V35、G39または修飾EGFポリペプチドのEGFR拮抗活性もしくはEGFR阻害活性に寄与する任意の他の適切な位置でのアミノ酸置換は、特定部位の突然変異誘発等の当該分野で公知の方法によって生成され得る。結果として生じる突然変異のEGFポリペプチドはその後、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイ等のインビトロスクリーニングアッセイまたは任意の他の適切なスクリーニングアッセイを用いてEGFR拮抗活性を試験される。
本発明はまた、本発明の修飾EGFポリペプチド等のEGFRリガンド変異体と実質的同一性を有するポリペプチドおよびEGFR拮抗活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。本発明の核酸分子はRNA、例えばmRNA、またはDNAであり得る。DNA分子は二本鎖または一本鎖であり得る。核酸分子もまたマーカー配列、例えばポリペプチドの単離または精製を助けるポリペプチドをコードする配列に融合し得る。かかる配列としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質をコードする配列、インフルエンザ由来の血球凝集素A(HA)ポリペプチドマーカーをコードする配列、およびHisタグをコードする配列が挙げられるが、限定されない。
発現ベクターの設計が形質転換される宿主細胞の選択および所望のポリペプチドの発現レベルなどの因子により決まり得ることは、当業者により認識されるであろう。本発明の発現ベクターは宿主細胞に導入され得、それにより、本明細書に記載される核酸分子によりコードされる融合ポリペプチドを含む、本発明の修飾EGFRリガンドまたはEGFポリペプチドを産生する。本発明の修飾EGFポリペプチドの組み換え産生を行う分子生物学手法は当該分野で公知であり、例えばSambrook ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Lab Press); 第3版, 2000)に記載される。
本発明はまた、本明細書中で記載されるEGFポリペプチド変異体を含む医薬組成物にも関連する。例えば、本発明のEGFポリペプチド変異体は、医薬組成物の調製のために、生理学的に許容され得る担体または賦形剤を用いて調製され得る。該担体および組成物は滅菌され得る。該製剤は投与形態に適するべきである。
薬学的に許容され得る適切な担体としては、水、塩溶液(例えばNaCl)、食塩水、緩衝食塩水、アルコール、グリセロール、エタノール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース等の炭水化物、アミラーゼまたはデンプン、デキストロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン(viscous paraffin)、香油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。さらに、リポソームおよびマイクロエマルジョン等の担体が使用され得る。本発明のポリペプチド変異体はまた、ポリペプチドの早過ぎる除去を最小限にするために、アルブミン等のタンパク質担体、またはポリエチレングリコール等のポリマーに共有結合し得る。所望であれば、浸透圧、バッファ、色、香性および/または芳香性物質等に影響を及ぼすように、医薬製剤を組成物中の活性剤(すなわち本発明のポリペプチドおよび/または核酸分子)と有害的に反応しないような補助剤、例えば潤滑剤、防腐剤、安定化剤、保湿剤、乳化剤、塩と混合し得る。
所望であれば、組成物はまた少量の保湿剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤、または粉末であり得る。組成物はトリグリセリド等の従来の結合剤および担体を用いた坐剤として調製され得る。経口製剤には、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、カルボン酸マグネシウム等の標準担体が含まれ得る。
これらの組成物の導入方法としては、経皮、筋内、腹腔内、眼内、静脈内、皮下、局所、経口および鼻内が挙げられるが、これに限定されない。他の適切な導入方法としては、遺伝子治療(以下に記載)、再充填式または生物分解性装置、粒子加速装置(「遺伝子銃」)および徐放性ポリマー装置も挙げられ得る。本発明の医薬組成物はまた、他の化合物との組み合わせ治療の一部として投与され得る。
本発明のEGFポリペプチド変異体は、常套的な手法によって、ヒトへの投与に適合された医薬組成物として調整され得る。例えば、静脈投与のための組成物は、典型的には滅菌等張水性バッファ中で溶液である。必要であれば、組成物は、注射部位での苦痛を和らげるために、可溶化剤および局所麻酔も含み得る。一般的に、例えば、活性化合物(ポリペプチドおよび/または核酸)の量を示す1アンプルまたはサシェ等の密封された容器中の、凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物のように、該成分は別々にまたは共に混合して、単位投与形態で供給される。組成物が注入により投与される場合、組成物は、滅菌された医薬品グレードの水、食塩水またはデキストロース/水を含有する注入ボトルで投与され得る。組成物が注射により投与される場合、成分が投与前に混合され得るように、注射のための滅菌水のアンプルまたは食塩水が提供され得る。
本明細書中に記載されるEGFポリペプチド変異体は、中性または塩の形態で調製され得る。薬学的に許容され得る塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等から生じるような遊離アミノ基で形成されるもの、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等から生じるような遊離カルボキシル基で形成されるものが挙げられる。
本発明のEGFポリペプチド変異体は治療的有効量で投与される。特定の障害または病状の治療おいて、治療的に有効であるポリペプチドの量は、障害または病状の性質に依存し、標準的臨床技術により決定され得る。さらに、最適な用量範囲の決定を補助するために、インビトロまたはインビボアッセイが任意に用いられ得る。製剤に用いられる適正な用量はまた、投与経路および疾患または病状の症状の重症度に依存し、医師および各患者の周囲の状況の判断により決定されるべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験系に由来する用量-反応曲線から推定され得る。
本発明はまた、EGFRの過剰発現により特徴付けられる病状の治療方法(予防的、診断的および/または治療的)に関連する。「EGFRの過剰発現により特徴付けられる病状」とは、本発明のEGFポリペプチド変異体の存在が治療的であるような病状である。かかる病状としては、多くの種類の癌が挙げられる。例えば、中胚葉および内胚葉起源の多くの腫瘍は、EGFを過剰発現する。EGF受容体は、多くの神経膠腫、扁平上皮癌、乳癌、黒色腫、侵襲性の膀胱癌および食道癌で過剰発現していると分かった。さらに、原発性ヒト乳腺腫瘍での研究により、高いEGF受容体の発現と、転移の存在、速い増殖速度および短い患者の生存、との間の相互関係が示された。EGF受容体の過剰発現は、乾癬および線維症等の種々の他の障害においても示されている。
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、疾患または病状に関連のある症状を回復することだけでなく、疾患の開始の阻止または遅延、および疾患または病状の症状の重症度または頻度の軽減することもいう。所望の場合、本発明の一つ以上の修飾されたEGFポリペプチドを、共治療摂生法として、同時に使用し得る。本明細書で使用する場合、「共治療摂生法」は、別個もしくは組み合わせたいずれかの処方で、二つの薬物が同時に、または数分、数時間もしくは数日ごとに隔てた異なる時間に順次投与されるが、何らかの方法で所望の治療応答をもたらすために共に作用する、治療摂生法を意味する。本発明のポリペプチドはまた、EGFR受容体の種々の異常活性を阻害する、他の薬物と併用しても使用され得る。かかる追加の薬物としては、EGFR特異的な抗体、小分子キナーゼ阻害剤および従来の化学療法剤が挙げられるがこれに限定されない。
本発明の(一つまたは複数の)治療化合物は、治療的有効量(すなわち、疾患もしくは病状に関連のある症状の回復、疾患もしくは病状の開始の阻止もしくは遅延、および/または疾患もしくは病状の症状の重症度もしくは頻度の軽減等によって、疾患または病状を治療するために十分な量)で投与される。特定の個体の疾患または病状の治療に、治療的に有効であろう量は、疾患の症状および重症度に依存し、標準的な臨床技術により決定され得る。さらに、最適な用量範囲の決定を補助するために、インビトロまたはインビボアッセイが任意に用いられ得る。製剤に用いられる適正な用量はまた、投与経路および疾患または病状の症状の重症度に依存し、医師および各患者の周囲の状況の判断により決定されるべきである。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験系に由来する用量-反応曲線から推定され得る。
本発明の治療化合物は、単独で、または上述の医薬組成物においてのいずれかで使用され得る。例えば、本発明の修飾されたEGFポリペプチドの遺伝子は、単独またはベクターに包含されて、細胞が所望のポリペプチドを産生するように、(インビトロまたはインビボのいずれかで)細胞に導入され得る。所望の場合、本発明の核酸分子をトランスフェクトされた細胞は、疾患に罹患した個体に導入(または再導入)され得る。
ウイルスおよび非ウイルス移入系を含む他の遺伝子移入系が使用され得る。あるいは、リン酸カルシウム共沈殿、機械的技術(例えば顕微注射);エレクトロポレーション;リポソームによる膜融合媒介移入;または直接DNA取り込み等の非ウイルス遺伝子移入が、細胞に所望の核酸分子を導入するために使用され得る。
別の局面において、本発明は、本明細書中で先に記載したEGFポリペプチド変異体以外のEGFR拮抗活性を有する、EGFRリガンドのポリペプチド変異体に関する。トランスフォーミング成長因子α(TGFα)、ベータセルリン、ヘパリン結合EGF様成長因子(HB-EGF)、アンフィレギュリン(AR)およびエピレギュリン等の、EGFRリガンドのポリペプチド変異体が設計され得、先に本明細書中および添付の実施例に記載された方法に従い、拮抗性質についてアッセイされ得、EGFRアンタゴニストとして使用され得る。EGFRリガンドは、ヒト野生型EGFのG18および/またはG39に対応する位置にグリシン、ならびにR41に対応するアルギニンを含むアミノ酸配列を有する。ヒト野生型EGFのV35に対応する残基は、ベータセルリン中にグルタミン酸を含む、種々のEGFRリガンド中で変化する。本明細書で使用される場合、「ヒト野生型EGFのG18および/またはG39に対応する位置」は、(TGFα)、ベータセルリン、HB-EGF、ARおよびエピレギュリン由来のEGFRリガンドペプチドが、最適な比較のためにヒトEGFと整列される場合、本明細書中で先に述べたように、ヒトEGFのG18、V35、G39およびR41に対応するアミノ酸が、別のアミノ酸と置換され得ることを意味する。ヒトEGFと比較した、上述EGFリガンドの非修飾ポリペプチド配列は、以下の通りである(それぞれ配列番号:1、8、9、10、11、および12):

hEGFのG18、V35、G39およびR41に対応する残基は以下の表に示す。
EGFRリガンドのポリペプチド変異体は、EGFリガンドについて上述されたように、EGFR拮抗活性に関して設計され、試験され得る。EGFリガンドに関して上述されたように、および本明細書でそれぞれのEGFRリガンド変異体に関して繰り返されるように、これらのEGFRリガンド変異体にさらなる修飾がなされ得る。EGFリガンドに関して上述されたように、および本明細書でそれぞれのEGFRリガンド変異体に関してその全てが繰り返されるように、かかるEGFRリガンドポリペプチド変異体、そのホモログおよびアナログは、医薬組成物として有用であり、EGFR過剰発現に関連する疾患の治療方法に有用である。
(実施例)
実施例1:EGF変異体のクローニング
ヒト上皮成長因子(hEGF)遺伝子を化学的に合成し、NdeIおよびBamHIクローニング部位でPet-9aベクター(Novagen, EMD Biosciences, San Diego, CA)に連結した。hEGF遺伝子は、N-末端6x-hisタグおよび因子Xa切断部位の後に続くOmpAリーダー配列を含有した。このようにして、全hEGFおよびこの様式により産生された変異体はN末端で以下のペプチド:HHHHHHIEGR(配列番号:13)、と融合した。市販のhEGF(データは示さない)と比較した全てのアッセイと同一の様式で、hEGF融合(MLX hEGF)が起こることを観察した。pMLPP1と指定されるこのオリジナルのクローンを、QuickChange変異誘発キット(Stratagene, La Jolla, CA)を用いたEGF変異体作成のための基礎として用いた。タンパク質産生のためにEGFプラスミドを大腸菌株BL21(DE3)pLysS(Novagen)に形質転換させた。EGF変異体遺伝子を含むプラスミドは、選択可能なマーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子を含む。ヒートショック(42℃、45秒)により、コンピテント大腸菌細胞をプラスミドで形質転換した。形質転換細胞をカナマイシンおよびクロラムフェニコールへの曝露によって選択した。
発現スクリーニング
それぞれの形質転換プレートから3個以上のコロニーを拾い、LB+Km25+Cm30を含む試験管培養液で37℃にて一晩増殖させた。この培養液を用いて、同一培地の振盪フラスコ培養液に植菌し、OD 600>0.25になった時(2〜4時間)に0.2μM IPTGを培養液に添加した。培養物を一晩増殖させ、遠心分離し、EGF産物に関して上清を一次抗体:1000倍希釈マウス抗ペンタhis抗体(Qiagen, Valencia, CA, cat#34660)により、Mouse Western Breeze Chromogenic Immunodetection System (Invitrogen, Carlsbad, CA, cat#WB7103)を用いたドットブロットで試験した。
EGFの産生
最大EGF発現クローンを新しいプレートに画線し、単一コロニーを15mlのLB+Km25+Cm30を含む試験管培養液に植菌した。一晩の増殖後、培養物の試料を保管目的、およびEGF変異体遺伝子挿入の同一性を確認するプラスミド調製のために凍結した。残りの培養物を用いて、TB+Km25+Cm30の産生培養液に植菌した。再び、OD 600>0.25になった時(2〜4時間)に0.2μM IPTGを添加し、培養物を一晩増殖させた。遠心分離後培養物上清を回収し、マウス抗ペンタhis抗体を用いて、ドットブロットにより産生を確認した。
EGFタンパク質精製
3mlのNi-NTAレジン(Qiagen #30230)を用いて、pH 8.0 PBSで平衡化した5mlカラム(Qiagen cat#34964)を充填した。培養物上清を、カラムに装填する前に1N HCLでpH 7.5〜8.0に調整した。カラムをPBSおよびPBS+10mMイミダゾールで洗浄し;EGF変異体タンパク質をPBS+250mMイミダゾールでカラムから溶出した。Bradfordタンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度をモニターした。
タンパク質濃度およびバッファ交換
カラム溶出物を4℃で一回バッファを交換してPBS中で透析し、次いで3000MWCO Macrosep遠心分離装置(ISC# OD003c41)で濃縮した。最終産物を、BCAタンパク質アッセイでタンパク質濃度について、SDS-PAGEで純度について試験した。
実施例2:EGFRキナーゼELISA
hEGFおよびEGF変異体存在下で上皮成長因子受容体(EGFR)のキナーゼ活性を試験するために、ELISAを開発した。簡潔に、ELISAプレートを、EGFRによるチロシンリン酸化の基質として働くポリglu、tyr(4:1)でコートする。次いで、ATP産生系、A431細胞膜受容体調製物の形態のEGFR、およびEGF変異体を含むアッセイバッファで、ELISAプレートをインキュベートする。インキュベーションの15分後、キナーゼ活性が進行し得るように反応物にATPを添加する。抗ホスフォチロシン抗体を添加してプレートに結合しているリン酸化チロシンに結合させる。テトラメチルベンジジン(TMB)の添加により可視化される、抗マウスHRPコンジュゲート抗体を検出抗体として添加する。
位置18のグリシンをグルタミン酸で置換し(G18E)、グルタミンで置換し(G18Q)、リシンで置換し(G18K)、フェニルアラニンで置換し(G18F)、およびロイシンで置換した(G18L)。これらの変異体を上述のキナーゼアッセイで試験し、組換え野生型ヒトEGF(MLX hEGF)と比較した。試験した最大濃度でG18Q変異体がわずかに活性を有したことを図で見ることができる。他の変異体はEGFRキナーゼを活性化し得なかった。
位置39のグリシンにおいて以下の変異体:G39E、G39Q、G39K、およびG39Lが作られた。これらもキナーゼアッセイにおいて試験され、結果が図に示される。これらのアッセイにおいて、G39KおよびG39Eがわずかな活性を有し;V35EG39Lを含む他のものはEGFRキナーゼを活性化し得なかった。
実施例3:EGFRキナーゼ競合ELISA
EGFRキナーゼ競合アッセイは、基本的にキナーゼELISAの記載において上述の概要と同一である。違いは、EGFRおよびEGF変異体での最初のインキュベーションにおいて、EGFRとの結合に関してEGF変異体と競合する50nMヒトEGFが添加されるという点である。EGFRおよびアッセイバッファの添加前に変異体EGFおよびヒトEGFの両者をアッセイプレートに加えて、いずれのリガンドもEGFRとの結合の際に有利にならないようにする。
全部で5個のG18での変異体および4個でのG39の変異体をキナーゼ競合アッセイで試験した。G18E、G18F、G18LおよびG39Lの結果を図に示す。ここで要約されるデータ、および同様の実験において、用いられる最大濃度でG18FおよびG18Lは競合をわずかに示し、G39LおよびV35EG39LはEGFRキナーゼのhEGF関連刺激の著しい妨害を示す。
実施例4:EGF刺激性細胞増殖アッセイ
ヒトEGF受容体を発現するように安定してトランスフェクトされている、マウス線維芽細胞系統であるHER5細胞株(NR-6系統に由来する)はM.C. Hung博士(MD Anderson Cancer Center)から提供された。HER5の保存培養物を、10%ウシ胎児血清、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを含有するD-MEM/F12培地で、ウォータージャケットインキュベーター内、5% CO2加湿大気中、37℃で増やした。HER5増殖アッセイのために、細胞を、24時間、血清なしDMEM/F12に入れ変えた。次いで細胞をトリプシン処理して、1E5細胞/mlで懸濁した。hEGF(PeproTech, Rocky Hill, NJ)、Hisタグ付加hEGF、または試験タンパク質の連続希釈液を、無血清DMEM/F12中で終濃度が2倍となるように調製し、96ウェルプレートのウェルにプレーティングした。50μlの細胞懸濁液(5000細胞)を、所望の濃度で全量100μlになるように、適切なウェルに加えた。プレートを、48時間の増殖期間インキュベーションした。増殖期間の最後3時間に、10μl/ウェルのWST-I Cell Proliferation Reagent(Roche Applied Sciences, Indianapolis, IN)を加えて細胞増殖を測定した。WST-1は、生存細胞中のミトコンドリアデヒドロゲナーゼにより切断されてフォルマザン色素を生じるテトラゾリウム塩である。マイクロプレートリーダー(Dynex Technologies)を用いて、MRX Revelationソフトウェアで450nmのフォルマザンの量を測定した。
マウス線維芽細胞株BALB/3T3クローンA31(ATCC CCL-163)を、10%仔ウシ胎児血清を補充したD-MEM(4mM L-グルタミン、4.5g/Lグルコース、1.5g/L重炭酸ナトリウム)中、37℃、大気中5% CO2で培養する。BALB/3T3増殖アッセイのために、100μlの完全培地を加えた96ウェルプレートのウェル当り3000細胞をプレーティングし、20〜24時間インキュベーションした。ウェルから培地を吸い取り、細胞をDPBSで1回洗浄した。ヒトEGF、Hisタグ付加hEGF、または試験タンパク質の連続希釈液を加えて100μlにした。アッセイプレートを48時間インキュベートして、WST-1細胞増殖試薬(10μl/ウェル、5時間インキュベーション)で細胞増殖を決定した。450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで読んだ。
HER5増殖アッセイにおいて、G18K、G18L、およびG18Fが5個のG18変異体の中で最低の効力を有することが図からわかる。同様に、G39KおよびG39Lはその系列中で最低の効力を有する。G18QおよびG39Q以外の全G18変異体およびG39変異体は、BALB/3T3アッセイにおいて不活性であった。
実施例5:増殖競合アッセイ
BALB/3T3増殖アッセイを変更して、BALB/3T3細胞増殖の刺激において変異体のhEGFとの競合を試験した。試験突然変異体の連続希釈液を、0nM、0.5nM、および5nMのMLX-hEGF存在下の増殖について試験した。BALB/3T3細胞を、完全血清培地中3E4細胞/mlで懸濁した。96ウェルプレートのウェル当り100μlの細胞懸濁液を、プレーティングして20〜24時間インキュベートした。次いで、ウェルから培地を吸い取り、細胞をDPBSで1回洗浄した。Hisタグ付加野生型hEGFを、2倍の終濃度で加えて50μl/ウェルにした。試験突然変異体の連続希釈液を、無血清培地中2倍の終濃度になるように調製して、wt-hEGFおよび試験突然変異体の標的濃度で、ウェル当りの最終液量が100mlとなるように、ウェル当り50μlを加えた。アッセイプレートを48時間培養して、WST-1細胞増殖試薬(10μl/ウェル、5時間インキュベーション)を用いて細胞増殖を測定した。マイクロプレートリーダーで、450nmの吸光度を読んだ。
BALB/3T3細胞の競合アッセイのために、図に示される容量反応曲線に基づき、hEGFの二つの濃度0.5および5.0nMを選択した。G18KおよびG39Kでは両hEGF濃度で、明らかな競合が観察されたが、G18LおよびG39Lでは0.5nM hEGFのみで見られた。
実施例6:G18Fポリペプチド変異体によるA431細胞の細胞増殖の阻害
A431細胞は、American Type Culture Collectionから入手した上皮癌細胞株である。A431の細胞増殖阻害の方法は以下の通りである。使用前に、細胞を無血清培地(SFM)におよそ20時間移す。試験タンパク質の連続希釈液(ならびにポジティブおよびネガティブコントロール)を調製して、SFM中50μlで2倍の終濃度にする。処理溶液を96ウェルマイクロタイタープレートの適切なウェルに加える。次いで、トリプシン-EDTA溶液で細胞を培養プレートから解離させ、遠心分離して、1E5 c/ml SFM中で再懸濁し、50μl(5000細胞)を各ウェルに加える。これはウェル中の濃度を1倍にする。次いでプレートを、インキュベーター中(37℃/5% CO2)で48時間インキュベートする。増殖期間の最後の3時間に、10μlのWST-1試薬(Roche)を各ウェルに加える。次いで450nmでODを読む。
図20に示す結果は、G18FヒトEGFポリペプチド変異体がA431の細胞増殖阻害に劇的な効果を有することを示す。
本明細書中に参照された本特許および科学論文は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される、米国特許および公開または未公開米国特許出願は全て、参照によって援用される。本明細書に引用される、公開された外国特許および特許出願は全て、参照によって援用される。本明細書に引用される、他の公開された参考文献、文書、コピーおよび科学論文は全て、参照によって援用される。
本発明は特に、その好ましい態様について参照で示され、記載されるが、形態および詳細において、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更が本明細書になされ得ることを当業者は理解するであろう。
図1は、hEGF、G39L変異体およびV35EG39L変異体への、EGFR結合データのグラフである。 図2は、hEGF、G39L変異体およびV35EG39L変異体との、EGFRキナーゼアッセイのグラフであり、G39L突然変異体による阻害を示す。 図3は、hEGF、G39L変異体およびV35EG39L変異体との、細胞増殖の刺激のグラフである。 図4は、G39L変異体によるhEGF刺激性細胞増殖の阻害を示すグラフである。 図5は、V35EG39L変異体によるhEGF刺激性細胞増殖の阻害を示すグラフである。 図6は、V35EG39LがEGFR二量化を誘発しない事を図解する。 図7は、EFG G18変異体とのEGFRキナーゼアッセイのグラフである。 図8は、EFG G39変異体とのEGFRキナーゼアッセイのグラフである。 図9は、G18変異体およびG39変異体との、EGFRキナーゼ競合アッセイのグラフである。 図10は、HER5細胞増殖でのG18E、G18KおよびG18Qの影響(450nm(OD 450)での吸光度における変化が続いて起こる、WST-1(4-[3-(4-イオドフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-2H-5-テトラゾリオ]-1,3-ベンゼンジスルホン酸塩)の、生存細胞のミトコンドリアデヒドロゲンナーゼによる黄色からオレンジ色の水溶性ホルマザンへの変換(conversion)として測定された)を示すグラフである。 図11は、HER5細胞増殖でのG18FおよびG18Lの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図12は、HER5細胞増殖でのG39系列突然変異体の影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図13は、BALB/3T3細胞増殖でのG18系列突然変異体の影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図14は、BALB/3T3細胞増殖でのG39系列突然変異体の影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図15は、BALB/3T3細胞増殖でのhEGFの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図16は、BALB/3T3細胞増殖でのG18Kの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図17は、BALB/3T3細胞増殖でのG18Lの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図18は、BALB/3T3細胞増殖でのG39Kの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図19は、BALB/3T3細胞増殖でのG39Lの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。 図20は、A431細胞増殖でのG18Fの影響(WST-1の変換として測定された)を示すグラフである。

Claims (22)

  1. 変異体がEGFRアンタゴニストであり、該変異体がEGFRのドメインIIIに結合するのを阻止する少なくとも一つのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入、および任意に、EGFRのドメインIに結合する該変異体をもたらす少なくとも一つのアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸挿入を特徴とするEGFRリガンドポリペプチド変異体。
  2. アンタゴニストとEGFRの一つ以上のアミノ酸の間に疎水結合、静電結合、もしくは水素結合を形成する、置換、欠失または挿入を特徴とする、請求項1記載の変異体。
  3. 該変異体がEGFによってEGFRから実質的に置き換えられない、請求項1記載の変異体。
  4. アミノ酸配列が実質的に野生型EGFRリガンドと同じであることを特徴とする、請求項1記載の変異体。
  5. 該EGFRリガンドがEGFである、請求項4記載の変異体。
  6. ヒト野生型上皮成長因子のアミノ酸Gly 18、アミノ酸Val 35、アミノ酸Arg 41またはアミノ酸Gly 39に対応するアミノ酸位置が別のアミノ酸と置換され、ポリペプチドが上皮成長因子受容体アンタゴニスト活性を有する、上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  7. 該ポリペプチド変異体がヒトEGFポリペプチド変異体である、請求項6記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  8. ヒト野生型上皮成長因子のGly 18またはGly 39に対応する位置でのアミノ酸置換が、フェニルアラニン、ロイシン、アスパラギン酸、およびイソロイシンからなる群より選ばれる、請求項6記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  9. ヒト野生型上皮成長因子のVal 35に対応するアミノ酸がグルタミン酸で置換される、請求項6記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  10. 前記ポリペプチドがGly 18またはGly 39以外の位置で少なくとも一つのさらなるアミノ酸置換を含み、前記ポリペプチドが上皮成長因子受容体アンタゴニスト活性を有する、請求項6記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  11. 前記ポリペプチドがVal 35でのグルタミン酸との少なくとも一つのさらなるアミノ酸置換を含む、請求項10記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  12. 前記の少なくとも一つのアミノ酸置換が同類的なアミノ酸置換である、請求項10記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  13. 前記ポリペプチドがGly 18またはGly 39以外の位置で少なくとも一つのアミノ酸欠失を含み、前記ポリペプチドが上皮成長因子受容体アンタゴニスト活性を有する、請求項6記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  14. 前記ポリペプチドがGly 18またはGly 39以外の位置で少なくとも一つのアミノ酸挿入変異を含み、前記ポリペプチドが上皮成長因子受容体アンタゴニスト活性を有する、請求項6記載の上皮成長因子ポリペプチド変異体。
  15. アミノ酸Val 35に対応するアミノ酸位置がグルタミン酸で置換され、アミノ酸Gly 39がロイシンで置換される、ヒトEGFの上皮成長因子変異体。
  16. 請求項1記載のEGFRリガンドポリペプチド変異体および薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
  17. 治療的有効量の請求項16記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、EGFRの過剰発現を特徴とする疾患を有する患者を治療する方法。
  18. 該疾患が癌である、請求項17記載の方法。
  19. 癌が神経膠腫癌、扁平上皮癌、乳癌、黒色腫、侵襲性の膀胱癌、結腸直腸癌および食道癌からなる群より選択される、請求項17記載の方法。
  20. 該疾患が乾癬である、請求項17記載の方法。
  21. ヒト野生型上皮成長因子のアミノ酸Gly 18またはアミノ酸Gly 39に対応するアミノ酸位置が別のアミノ酸に置換され、ポリペプチドが上皮成長因子アンタゴニスト活性を有する、上皮成長因子受容体リガンドのポリペプチド変異体。
  22. 該上皮成長因子受容体リガンドが:トランスフォーミング成長因子α(TGFα)、ベータセルリン、ヘパリン結合EGF様成長因子(HB-EGF)、アンフィレギュリン(AR)およびエピレギュリンからなる群より選択される、請求項21記載のポリペプチド変異体。
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