〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る虚像表示装置について説明する。
〔A.導光板及び虚像表示装置の構造〕
図1(A)に示す本実施形態に係る虚像表示装置100は、ヘッドマウントディスプレイに適用されるものであり、画像形成装置10と、導光板20とを一組として備える。なお、図1(A)は、図1(B)に示す導光板20のA−A断面に対応する。
虚像表示装置100は、観察者に虚像による画像光を認識させるとともに、観察者に外界像をシースルーで観察させるものである。画像形成装置10と導光板20とは、通常観察者の右眼および左眼に対応して一組ずつ設けられるが、右眼用と左眼用とでは左右対称であるので、ここでは右眼用のみを示し、左眼用については図示を省略している。なお、虚像表示装置100は、全体としては、例えば一般の眼鏡のような外観(不図示)を有するものとなっている。この場合、画像形成装置10は、観察者の耳に近接して配置されるものとなる。
画像形成装置10は、画像表示素子11と、投射光学系12とを備える。画像表示素子11は、例えば透過型の液晶デバイスで構成され、光源(不図示)からの照明光を空間的に変調して、動画像等の表示対象となるべき画像光を形成する。投射光学系12は、コリメートレンズ13と、縦横比変換光学系15とを有し、導光板20に向けて画像光を射出することで虚像を形成する。なお、コリメートレンズ13や縦横比変換光学系15を構成するレンズの材料は、ガラスやプラスチックのいずれとすることもできる。これらのうち、コリメートレンズ13は、画像表示素子11上の各点から射出された画像光を平行状態の光束にする。縦横比変換光学系15は、経線の方向によって曲率半径の異なるトーリック面を有する複数のレンズで構成されるトーリック光学系であり、縦横比変換光学系15において縦方向と横方向とで曲率半径の異なる光学面を有するレンズを用いることで、画角の調整による縦横比の変換を可能としている。ここでは、一例として、画像表示素子11の画像領域での縦横比即ちアスペクト比を4:3とし、これを観察者が虚像として認識する際にアスペクト比16:9となるような比率の変換を行っている。なお、縦横比変換光学系15の詳細については後述する。
図1(A)〜1(C)に示すように、本実施形態に係る導光板20は、導光板本体部20aと、入射光折曲部21と、画像取出部である角度変換部23とを備える。導光板20は、画像形成装置10で形成された画像光を虚像光として観察者の眼EYに向けて射出し、画像として認識させるものである。
導光板20の全体的な外観は、図中YZ面に平行に延びる平板である導光板本体部20aによって形成されている。また、導光板20は、長手方向の一端において導光板本体部20aに埋め込まれた多数の微小ミラーによって構成される角度変換部23を有し、長手方向の他端において導光板本体部20aを拡張するように形成されたプリズム部PS及びこれに付随する入射光折曲部21を有する構造となっている。
導光板本体部20aは、光透過性の樹脂材料等により形成され、YZ面に平行で画像形成装置10に対向する表側の平面上に、画像形成装置10からの画像光を取り込む光入射部である光入射面ISと、画像光を観察者の眼EYに向けて射出させる光射出部である光射出面OSとを有している。導光板本体部20aは、そのプリズム部PSの側面として光入射面ISの他に矩形の斜面RSを有し、当該斜面RS上には、これを被覆するようにミラー層21aが形成されている。ここで、ミラー層21aは、斜面RSと協働することにより、光入射面ISに対して傾斜する入射光折曲部21として機能する。この入射光折曲部21は、光入射面ISから入射し全体として−X方向に向かう画像光を、全体として+X方向に偏った+Z方向に向かわせるように折り曲げることで、画像光を導光板本体部20a内に確実に結合させる。また、導光板本体部20aにおいて、光射出面OSの裏側の平面に沿って微細構造である角度変換部23が薄い層状に形成されている。導光板本体部20aは、入口側の入射光折曲部21から奥側の角度変換部23にかけて、入射光折曲部21を介して内部に入射させた画像光を角度変換部23に導くための導光部22を有している。
導光部22は、平板状の導光板本体部20aの主面であり互いに対向しYZ面に対して平行に延びる2平面として、入射光折曲部21で折り曲げられた画像光をそれぞれ全反射させる第1の全反射面22aと第2の全反射面22bとを有している。ここでは、第1の全反射面22aが画像形成装置10から遠い裏側にあるものとし、第2の全反射面22bが画像形成装置10に近い表側にあるものとする。この場合、第2の全反射面22bは、光入射面IS及び光射出面OSと共通の面部分となっている。入射光折曲部21で反射された画像光は、まず、第2の全反射面22bに入射し、全反射される。次に、当該画像光は、第1の全反射面22aに入射し、全反射される。以下この動作が繰り返されることで、画像光は、導光板20の奥側即ち角度変換部23を設けた+Z側に導かれる。つまり、導光板20は、観察者にとっての横方向に沿って画像光を導いている。
導光板本体部20aの光射出面OSに対向して配置される角度変換部23は、導光部22の奥側(+Z側)において、第1の全反射面22aの延長平面に沿ってこの延長平面に近接して形成されている。角度変換部23は、導光部22の第1及び第2の全反射面22a,22bを経て入射してきた画像光を、所定角度で反射して光射出面OS側へ折り曲げる。つまり、角度変換部23は、画像光の角度を変換している。ここでは、角度変換部23に最初に入射する画像光が虚像光としての取出し対象であるものとする。角度変換部23の詳しい構造については、図2(A)等により後述する。
なお、導光板本体部20aに用いる透明樹脂材料の屈折率nは、1.5以上の高屈折率材料であるものとする。導光板20に比較的屈折率の高い透明樹脂材料を用いることで、導光板20内部で画像光を導光させやすくなり、かつ、導光板20内部での画像光の画角を比較的小さくすることができる。
画像形成装置10から射出され光入射面ISから以上の導光板20に入射した画像光は、入射光折曲部21で一様に反射されて折り曲げられ、導光部22の第1及び第2の全反射面22a,22bにおいて繰り返し全反射されて光軸OAに略沿って一定の広がりを有する状態で進み、さらに、角度変換部23において適度な角度で折り曲げられることで取出し可能な状態となり、最終的に光射出面OSから射出される。光射出面OSから射出された画像光は、虚像光として観察者の眼EYに入射する。当該虚像光が観察者の網膜において結像することで、観察者は虚像による映像光等の画像光を認識することができる。
〔B.導光板中の画像光の光路〕
以下、導光板20中の画像光の光路について詳しく説明する。図1(A)に示すように、画像表示素子11の射出面11a上からそれぞれ射出される画像光のうち図中点線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を画像光GL1とし、図中一点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち紙面右側(−Z側)から射出される成分を画像光GL2とし、図中二点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち紙面左側(+Z側)から射出される成分を画像光GL3とする。
投射光学系12を経た各画像光GL1,GL2,GL3の主要成分は、導光板20の光入射面ISからそれぞれ入射した後、第1及び第2の全反射面22a,22bにおいて互いに異なる角度で全反射を繰り返す。具体的には、画像光GL1,GL2,GL3のうち、画像表示素子11の射出面11aの中央部分から射出された画像光GL1は、平行光束として入射光折曲部21で反射された後、標準反射角γ0で導光部22の第2の全反射面22bに入射し、全反射される。その後、画像光GL1は、標準反射角γ0を保った状態で、第1及び第2の全反射面22a,22bで全反射を繰り返す。画像光GL1は、第1及び第2の全反射面22a,22bにおいてN回(Nは自然数)全反射され、角度変換部23の中央部23kに入射する。画像光GL1は、この中央部23kにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから光射出面OSを含むYZ面に対して垂直な光軸AX方向に平行光束として射出される。画像表示素子11の射出面11aの一端側(−Z側)から射出された画像光GL2は、平行光束として入射光折曲部21で反射された後、最大反射角γ+で導光部22の第2の全反射面22bに入射し、全反射される。画像光GL2は、第1及び第2の全反射面22a,22bにおいて例えばN−M回(Mは自然数)全反射され、角度変換部23のうち最も奥側(+Z側)の周辺部23hにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角は、入射光折曲部21側に戻されるようなものになっており、+Z軸に対して鈍角となる。画像表示素子11の射出面11aの他端側(+Z側)から射出された画像光GL3は、平行光束として入射光折曲部21で反射された後、最小反射角γ−で導光部22の第2の全反射面22bに入射し、全反射される。画像光GL3は、第1及び第2の全反射面22a,22bにおいて例えばN+M回全反射され、角度変換部23のうち最も入口側(−Z側)の周辺部23mにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角は、入射光折曲部21側から離れるようなものになっており、+Z軸に対して鋭角となる。なお、画像光GL1,GL2,GL3以外の画像光を構成する光束成分についても同様に導かれ光射出面OSから射出されるため、これらについては図示及び説明を省略している。
ここで、入射光折曲部21及び導光部22に用いられる透明樹脂材料の屈折率nの値の一例として、n=1.5とすると、その臨界角γcの値はγc≒41.8°となり、n=1.6とすると、その臨界角γcの値はγc≒38.7°となる。各画像光GL1,GL2,GL3の反射角γ0,γ+,γ−のうち最小である反射角γ−を臨界角γcよりも大きな値とすることで、必要な画像光について導光部22内における全反射条件を満たすものにできる。
〔C.角度変換部の構造及び角度変換部による光路の折曲げ〕
以下、図2(A)等により、角度変換部23の構造及び角度変換部23による画像光の光路の折曲げについて詳細に説明する。
まず、角度変換部23の構造について説明する。角度変換部23は、ストライプ状に配列された多数の線状の反射ユニット23cで構成される。つまり、図2(A)〜2(C)に示すように、角度変換部23は、Y方向に延びる細長い反射ユニット23cを所定のピッチPTで導光部22の延びる方向即ちZ方向に多数配列させることで構成されている。各反射ユニット23cは、奥側即ち光路下流側に配置される1つの反射面部分である第1の反射面23aと、入口側即ち光路上流側に配置される他の1つの反射面部分である第2の反射面23bとを1組のものとして有する。これらのうち、少なくとも第2の反射面23bは、一部の光を透過可能な部分反射面であり、観察者に外界像をシースルーで観察させることを可能にしている。また、各反射ユニット23cは、隣接する第1及び第2の反射面23a,23bにより、XZ断面視においてV字又は楔状となっている。つまり、第1及び第2の反射面23a,23bは、第1の全反射面22aに対してそれぞれ異なる角度(即ちYZ面に対してそれぞれ異なる角度)で傾斜し、各第1の反射面23aは、第1の全反射面22aに対して略垂直な方向(X方向)に沿って延び、各第2の反射面23bは、対応する第1の反射面23aに対して所定角度(相対角度)αをなす方向に延びている。ここで、相対角度αは、具体例において例えば54.7°となっているものとする。
図2(A)等に示す具体例において、第1の反射面23aは、第1の全反射面22aに対して略垂直であるものとしているが、第1の反射面23aの方向は、導光板20の仕様に応じて適宜調整されるものであり、第1の全反射面22aに対して−Z方向を基準として時計回りに例えば80°から100°までの範囲内でいずれかの傾斜角度をなすものとできる。また、第2の反射面23bの方向は、第1の全反射面22aに対して−Z方向を基準として時計回りに例えば30°から40°までの範囲内でいずれかの傾斜角度をなすものとできる。結果的に、第2の反射面23bは、第1の反射面23aに対して40°から70°までの範囲内でいずれかの相対角度を有するものとなる。
以下、角度変換部23による画像光の光路の折曲げについて説明する。ここでは、画像光のうち、角度変換部23の両端側に入射する画像光GL2及び画像光GL3について示し、他の光路については、これらと同様であるので図示等を省略する。
まず、図2(A)及び2(B)に示すように、画像光のうち全反射角度の最も大きい反射角γ+で導かれた画像光GL2は、角度変換部23のうち光入射面IS(図1(A)参照)から最も遠い+Z側の周辺部23hに配置された1つの反射ユニット23cに入射し、最初に奥側即ち+Z側の第1の反射面23aで反射され、次に、入口側即ち−Z側の第2の反射面23bで反射される。当該反射ユニット23cを経た画像光GL2は、他の反射ユニット23cを経ることなく、図1(A)等に示す光射出面OSから射出される。つまり、画像光GL2は、角度変換部23での1回だけの通過で所望の角度に折り曲げられ観察者側に取り出される。
また、図2(A)及び2(C)に示すように、全反射角度の最も小さい反射角γ−で導かれた画像光GL3は、角度変換部23のうち光入射面IS(図1(A)参照)に最も近い−Z側の周辺部23mに配置された1つの反射ユニット23cに入射し、画像光GL2の場合と同様に、最初に奥側即ち+Z側の第1の反射面23aで反射され、次に、入口側即ち−Z側の第2の反射面23bで反射される。当該反射ユニット23cを経た画像光GL3も、角度変換部23での1回だけの通過で所望の角度に折り曲げられ観察者側に取り出される。
ここで、上記のような第1及び第2の反射面23a,23bでの2段階での反射の場合、図2(B)及び2(C)に示すように、各画像光の入射時の方向と射出時の方向とのなす角である折り曲げ角ψは、いずれもψ=2(R−α)(R:直角)となる。つまり、折り曲げ角ψは、角度変換部23に対する入射角度即ち各画像光の全反射角度である反射角γ0,γ+,γ−等の値によらず一定である。これにより、上記のように、画像光のうち全反射角度の比較的大きい成分を角度変換部23のうち+Z側の周辺部23h側に入射させ、全反射角度の比較的小さい成分を角度変換部23のうち−Z側の周辺部23m側に入射させた場合にも、画像光を全体として観察者の眼EYに集めるような角度状態で効率的に取り出すことが可能となる。このような角度関係で画像光を取り出す構成であるため、導光板20は、画像光を角度変換部23において複数回通過させず、1回だけ通過させることができ、画像光を少ない損失で虚像光として取り出すことを可能にする。
また、導光部22の形状や屈折率、角度変換部23を構成する反射ユニット23cの形状等の光学的な設計において、画像光GL2,GL3等が導かれる角度等を適宜調整することで、光射出面OSから射出される画像光を、基本の画像光GL1即ち光軸AXを中心として、全体として対称性が保たれた状態の虚像光として観察者の眼EYに入射させることができる。ここで、一端の画像光GL2のX方向又は光軸AXに対する角度θ2と、他端の画像光GL3のX方向又は光軸AXに対する角度θ3とは、大きさが略等しく逆向きとなっているものとする。角度θ2,θ3は、観察者に認識される虚像の横画角φに相当するものであり、角度θ2と角度θ3とが等しいため、横半画角θ(つまり、φ=2θ)は、θ=θ2=θ3となる。
また、角度変換部23を構成する各反射ユニット23cの間隔であるピッチPTの具体的な数値範囲は、0.2mm以上、より好ましくは0.3mm〜1.3mmとする。この範囲にあることにより、取り出されるべき画像光が、角度変換部23において回折による影響を受けることなく、かつ、反射ユニット23cによる格子縞が観察者にとって目立つものとならないようにすることができる。
〔D.縦横比変換光学系の構造及び縦横比変換〕
以下、図3(A)〜3(C)及び4(A)〜4(C)を参照して、縦横比変換光学系15の構造や機能について説明する。ここでは、既述のように、画像表示素子11の画像領域の縦横比即ちアスペクト比を4:3とし、縦横比変換光学系15での縦横比変換によって縦横比即ちアスペクト比16:9の映像を観察者に認識させるものとする。つまり、図4(A)に概念的に示すように、横方向にのみ光束の角度変換を行う縦横比変換光学系15が配置されていることによって、観察者に認識される映像に相当するパネル画像PPは、元のアスペクト比4:3から縦横比変換されアスペクト比16:9となる。なお、比較例として図4(B)に概念的に示すように、仮に縦横比変換光学系15が配置されないとすると、上記のような縦横比変換がなされず、パネル画像PPは、元の画像表示素子11の画面のアスペクト比4:3のままとなる。
図3(A)は、虚像表示装置100をY方向から見た断面図であり、図3(B)は、虚像表示装置100をZ方向から見た側面図であり、図3(C)は、縦横比変換光学系15を構成する1組のシリンドリカルレンズ15a,15bの斜視図である。図示の虚像表示装置100において、画像表示素子11の横方向である第1方向D1は、図4(A)に示すように観察者の横方向即ちパネル画像PPの横方向E1に対応している。また、第1方向D1に垂直な画像表示素子11の縦方向である第2方向D2は、パネル画像PPの縦方向E2に対応している。
縦横比変換光学系15は、光路上流側即ち光源側に配置される凸シリンドリカルレンズ15aと、光路下流側即ち反光源側に配置される凹シリンドリカルレンズ15bとにより構成される。凸シリンドリカルレンズ15a及び凹シリンドリカルレンズ15bは、いずれも、母線がY方向に延びるように配置されており、XZ面に平行な断面については正負の屈折力を与える円弧状であり、XY面に平行な断面については屈折力を与えない直線状であり、図3(C)に斜視図で示すような全体外観を有するシリンドリカル光学系である。各シリンドリカルレンズ15a,15bは、導光板20の光入射面ISに直接又は間接的に対向するように配置されている。各シリンドリカルレンズ15a,15bが、以上のような形状及び配置となっているため、その断面形状の違いによって、通過する光の発散・収束作用即ち画像光についての伸張・縮小作用が生ずる場合と生じない又は殆ど生じない場合とがある。なお、図示のシリンドリカルレンズ15a,15bの場合、光路下流側の面HSa,HSbは曲面になっており、光路上流側の面TSa,TSbは平坦面になっている。
図3(A)及び3(B)に示すように、縦横比変換光学系15に入射した画像光は、コリメートレンズ13によって予め平行化されている。縦横比変換光学系15は、第1方向D1に対応するXZ断面で、各画像光の光束の平行性を保ちつつ画角を拡げるように変換するアフォーカル系即ち焦点距離が無限大の光学系であり、入射する平行光束の平行性を保って射出する。つまり、縦横比変換光学系15は、第2方向D2に対応するXY断面で各画像光の光束の平行性を保ち画角を維持する非作用型の光学系となっている。従って、図3(A)において即ちXZ面内において、画像光GL1等は、平行光束として入射し、射出角度が変化するものの平行光束として射出されている。また、図3(B)において即ちXY面内において、画像光GL1等は、平行光束として入射し、略そのままの平行光束として射出されている。ここで、縦横比変換光学系15による画像光の光束断面の第1方向D1即ち横方向についての伸張・縮小は、射出角度の増減に相当するものであり、縦横比変換光学系15を構成する両シリンドリカルレンズ15a,15bの屈折力や間隔によって定まる。図3(A)等に示すレンズ15a,15bの配置の場合、レンズ15a,15b即ち縦横比変換光学系15がない場合と比較して、Z方向については横画角φ=2θを拡げ画像光を伸張させる。一方、第2方向D2即ち縦方向については伸張も縮小もさせないものとなっている。
以下、図3(A)により、画像形成装置10側における第1方向D1即ち横方向に関しての画像光の光路について説明する。この場合、画像光のうち例えば画像光GL2のように画像表示素子11の周辺側から射出される成分は、光軸XXと交差するものが観察対称となることから、縦横比変換光学系15によって光軸XXに対してより傾いた角度成分を持つ方向に射出される。図4(C)を用いてより具体的に説明すると、まず、画像光GL2は、周辺側である−Z側から光軸XXに対して入射角度θ0だけ傾いて凸シリンドリカルレンズ15aに入射すると、アフォーカル系である凸シリンドリカルレンズ15a及び凹シリンドリカルレンズ15bにより、光軸XXに対して入射角度θ0よりも傾きの大きい射出角度θで+Z側から射出される。なお、この射出角度θは、図3(A)等に示す虚像の横半画角θの値に等しい。同様に、画像光GL3は、+Z側から光軸XXに対して入射角度θ0だけ傾いて縦横比変換光学系15に入射し、入射角度θ0よりも傾きの大きい射出角度θで−Z側から射出される。以上のように、縦横比変換光学系15を通過することで横方向に関して入射角度θ0よりも射出角度θが大きくなる即ち角倍率が大きくなる結果、画像光の射出時の画角が入射時よりも拡がる。つまり、画像光による虚像は、縦横比変換光学系15がない場合と比較して、横方向へ伸張されることになる。
以上において、凸シリンドリカルレンズ15aと凹シリンドリカルレンズ15bとの位置関係や、これらの焦点距離の比を適宜定めることで、入射角度θ0に対する射出角度θの大きさを所望の値にし、結果として、観察者に認識させるべき虚像の縦横比を所望の比率に調整することができる。なお、ここでは、一例として、横方向について4/3倍する伸張変換となっている。
以下、図3(B)に戻って、画像形成装置10側における第2方向D2即ち縦方向に関しての画像光の光路について説明する。この場合、各シリンドリカルレンズ15a,15bは屈折力を有さず平行平板と同等のものとなっているので、画像光のうち例えば画像表示素子11の−Y側から射出される画像光GLaのように周辺側から射出される成分も、中心側の成分も、縦横比変換光学系15による角度変化の影響を殆ど受けない。つまり、画像光は、入射角度θ0の値をそのまま射出角度θ0とし、縦横比変換光学系15がない場合と比較して、伸縮されることなくそのままの状態を維持して射出され虚像を形成する。
以上の結果、縦横比変換光学系15は、通過する画像光による虚像について、縦横比変換光学系15がない場合と比較して、横方向に関しては伸張し、縦方向に関しては殆ど変化しないように変換している。つまり、横方向と縦方向とで異なる比率で変換している。この場合、上記のように横方向についての伸張量を4/3倍とすることで、4:3の縦横比から16:9への変換を横伸張のみによって行っている。以上のような変換により、16:9の縦横比となる虚像を形成可能な画像光を導光板20の光入射面ISに入射させることができる。なお、図3(A)のように、画角を拡げて虚像を横方向に伸張させる場合、導光部22を通過する各平行光束の幅は狭くなる。一方、図3(B)のように、伸張も縮小もさせない場合、導光部22を通過する各平行光束の幅は変わらない。
以下、上記縦横比変換に応じた画像を構成する画素の形状について説明する。まず、図5(A)は、画像表示素子11の画面に対応するものとして、縦横比変換による作用のない状態のパネル画像PPを模式的に示すものである。この場合、パネル画像PPの形状は、画像表示素子11の画像領域PDの形状をそのまま反映したアスペクト比4:3の矩形状となっている。従って、パネル画像PP上にマトリクス状に配置された多数の画素PEは、画像表示素子11における画像領域PDの画素の配置・形状を示すものとして捉えることができる。一方、図5(B)は、縦横比変換光学系15の縦横比変換による作用で縦横比が16:9に変換された状態のパネル画像PPを模式的に示すものである。図5(B)において、パネル画像PPの各映像画素PE'は、図5(A)の各画素PEに1対1で対応するものである。ここでは、既述のように、縦横比変換光学系15による縦横比変換は、横方向について4/3倍するものとして設定されている。これに対応するように、図5(A)のパネル画像PPの画素PEの各形状は、縦横比変換光学系15による変換比率と逆比率の縦横比の縦長の長方形状としている。つまり、各画素PEの縦横比m:nは、縦方向即ちY方向に長くm:n=3:4となっている。これにより、図5(B)に示すパネル画像PPの各映像画素PE'の各形状は、縦横比変換光学系15によって横方向に4/3倍の変換比率で伸張変換されることで縦横比1:1の正方形の状態となっているものとして観察者に認識される。以上のように、画像表示素子11の画素の形状即ち画素PEの形状を、縦横比変換光学系15での縦横比変換に対応して予め縦長にしておくことで、縦横比変換されて観察者の眼EYに届く映像は、画像処理等を施すことなく、元の映像の状態をそのまま自然な形に保たれたものとなる。
以下、各画素PEを3セグメントで構成する場合の画素要素について説明する。例えば、図6(A)及び6(B)に示すように、RGB(赤、緑、青)3色の縦長の画素要素R1,G1,B1を横一列に配列したものを1組として1つの画素PEを形成してもよい。この場合、縦横比変換後の各画素PE'において、各画素要素R1',G1',B1'は、横方向に伸張される。従って、変換前の画素要素R1,G1,B1を予め縦長にしておくことで、変換後の各画素要素R1',G1',B1'が最良な形状となるようにできる。また、図6(C)及び6(D)に示すように、RGB(赤、緑、青)3色の画素要素R1,G1,B1を縦一列に配列することも可能である。なお、上記のような縦又は横ストライプ配置のほか、例えばデルタ配置やモザイク配置等の配列方式も適用可能であり、各配列方式により例えば縦線が見やすいものや、グラフィック表示に向いているもの等があり、必要な特性に応じて種々の配列方式から適するものを選択できる。
また、このほかにも、例えば図6(E)及び6(F)に示すように、RGB(赤、緑、青)3色を4セグメントの画素要素を矩形の4マスに配列して1つの画素PEを構成することもできる。図6(E)及び6(F)では、一例として、R及びBを1つずつ、Gを2つという配色する即ち画素要素R1,G1,G2,B1を2行2列に配置して、これらを画素要素R1',G1',G2',B1'に変換して正方形の画素PE'を形成するものとしている(図6(F)参照)。また、図6(G)及び6(H)に示すように、例えばRGB(赤、緑、青)にY(黄)を加えた4色による4セグメントの画素要素R1,G1,B1,Y1で1つの画素PEを構成し、配置された各画素要素R1,G1,B1,Y1を縦横比変換で画素要素R1',G1',B1',Y1'に変換して正方形の画素PE'を形成するものとしてもよい(図6(H)参照)。4セグメントで構成する場合、上記のように緑を強くしたり、黄色を加えたりすることで、光量を大きくしたり色再現性をより向上させることが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る虚像表示装置100は、縦横比変換光学系15での伸張変換によって、形成された虚像の縦横比について、元の画像表示素子11の画像領域PDの縦横比(4:3)よりも横長の縦横比(16:9)に変換することができる。これにより、例えば虚像表示装置100全体に対する画像表示素子11を含む画像形成装置10の横幅WDが設計上制限され画像領域PDを映像として必要とされる比較的横長の縦横比(例えば16:9)にすることができず、正方形に近い比(例えば縦横比4:3)となる場合であっても、観察者の眼に虚像として認識される画像光の縦横比を、シリンドリカルレンズ15a,15bでの縦横比変換によって所望の状態(例えば縦横比16:9)に調整できる。
なお、上記実施形態及び各変形例の縦横比変換光学系15等において、画像表示素子11側の表示画像の縦横比を4:3とし、観察者に認識される画像光による虚像の縦横比を16:9とするように変換しているが、縦横比については、これに限らず、変換の前と後とについてそれぞれ種々のものが想定される。縦横比の変換比率は、例えば縦横比変換光学系15を構成する1組の凹凸形状のシリンドリカルレンズ15a,15bの配置を変更することで調整できる。
〔第2実施形態〕
以下、図7(A)等により、第2実施形態の虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態に係る虚像表示装置200は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、第1実施形態の虚像表示装置100と同符号のものについては、特に説明しない限り同様の機能を有するものとする。
図7(A)は、虚像表示装置200をY方向から見た断面図であり、図7(B)は、虚像表示装置200をZ方向から見た側面図である。本実施形態の虚像表示装置200は、縦横比変換光学系215において、第1方向D1(Z方向)に垂直な第2方向D2(Y方向)に関して縮小変換を行うことで、観察されるべき虚像を所望状態の縦横比に変換している。ここでは、一例として、画像表示素子11での表示画像の縦横比即ちアスペクト比を4:3とし、縦横比変換光学系215による縦横比変換である縮小変換によって、アスペクト比16:9の映像を観察者に認識させるものとする。
縦横比変換光学系215は、第2方向D2即ち縦方向に関する縮小変換を行うため、光路上流側即ち光源側に凹シリンドリカルレンズ215aを配置し、光路下流側即ち反光源側に凸シリンドリカルレンズ215bを配置している。より具体的には、各リンドリカルレンズ215a,215bは、いずれも、母線がZ方向に延びるように配置されており、XZ面に平行な断面については屈折力を与えない直線状であり、XY面に平行な断面については正負の屈折力を与える円弧状であるシリンドリカル光学系である。これにより、縦横比変換光学系215は、XZ面については、平行平板と同等で光束を殆ど変化させないものとなっている一方、XY面については、画像光の光束の平行性を保ちつつ、画角を狭めるように変換するアフォーカル系として機能するものとなっている。
以上から、まず、図7(A)に示すように、第1方向D1即ちZ方向に関しての画像光の光路は、縦横比変換光学系215による角度変化の影響を殆ど受けない。つまり、画像光は、縦横比変換光学系215がない場合と比較して、伸縮されることなくそのままの状態を維持して射出される。
一方、図7(B)に示すように、第2方向D2即ちY方向に関しての画像光の光路は、アフォーカル系である縦横比変換光学系215により、射出時の画角が入射時よりも狭まるように変化する。つまり、画像光による虚像は、縦横比変換光学系215がない場合と比較して、縦方向に縮小されることになる。
以上の結果、縦横比変換光学系215は、通過する画像光全体の光束断面形状について、横方向に関しては殆ど変化させず、縦方向に関しては縮小するように縦縮小変換している。このように、横方向と縦方向とで異なる比率で変換することで、例えば4:3の縦横比から16:9への変換を行うことができる。なお、この場合、上記変換を達成するため、縦方向について3/4倍する縮小量の縮小変換に設定されることになる。
〔第3実施形態〕
以下、図8(A)等により、第3実施形態の虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態に係る虚像表示装置300は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、第1実施形態の虚像表示装置100と同符号のものについては、特に説明しない限り同様の機能を有するものとする。
虚像表示装置300は、縦横比変換光学系315において、観察者にとっての横方向に対応する第1方向D1(Z方向)に関する伸張変換と、第1方向D1に垂直な第2方向D2(Y方向)に関する縮小変換との双方の変換を縦横比変換として行っている。
縦横比変換光学系315は、第1方向D1即ち横方向に関する伸張変換を行い、第2方向D2即ち縦方向に関する縮小変換を行うため、断面方向によって凹凸の異なる鞍型の表面形状を有するトーリックレンズ315a,315bを配置している。つまり、各トーリックレンズ315a,315bは、XZ面に平行な断面及びXY面に平行な断面のいずれについても円弧状であるが、断面方向によって凹形状であるか凸形状であるかが異なるトーリック状となっている。
まず、図8(A)に示すように、第1方向D1即ちZ方向に関しての画像光の光路は、アフォーカル系である縦横比変換光学系315により、射出時の画角が入射時よりも広がるように変化する。つまり、画像光による虚像は、縦横比変換光学系315がない場合と比較して、横方向に伸張されることになる。
一方、図8(B)に示すように、第2方向D2即ちY方向に関しての画像光の光路は、アフォーカル系である縦横比変換光学系315により、射出時の画角が入射時よりも狭まるように変化する。つまり、画像光による虚像は、縦横比変換光学系315がない場合と比較して、縦方向に縮小されることになる。
以上の結果、縦横比変換光学系315について適宜横伸張量と縦縮小量を調整して、横方向と縦方向とで異なる比率で変換することで、例えば4:3の縦横比から16:9への変換を行うことができる。この場合、横伸張量と縦縮小量とを適宜分配することで個々の変化量を比較的小さくできるため、縦横比変換光学系315は、より容易に作製できる。
〔第4実施形態〕
以下、図9(A)等により、第4実施形態の虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態に係る虚像表示装置400は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、第1実施形態の虚像表示装置100と同符号のものについては、特に説明しない限り同様の機能を有するものとする。
図9(A)に示すように、虚像表示装置400は、画像形成装置10と、導光板20とに加え、画像処理部430を備える。
画像処理部430は、外部から画像表示素子11に入力される画像信号について、画像処理をする。具体的には、画像処理部430は、必要な当該画像信号の信号処理を行うとともに、図9(B)に示すように、外部から入力される画像信号に相当する元映像P1を画像表示素子11の画像領域の形状に合わせたパネル入力映像P2となるように横倍率の変換処理をする。この際、観察者が認識するものとなる最終画像である表示映像P3が、元映像P1の状態に戻るように変換処理となっている。具体的には、例えば、元映像P1の縦横比が16:9であり、パネル入力映像P2の縦横比即ち画像表示素子11の画像領域の縦横比が4:3であり、表示映像P3が16:9であるとする。また、縦横比変換光学系15において横方向について4/3倍するような伸張量の伸張変換に設定されているものとする。この場合、画像処理部430は、縦横比変換光学系15での変換率に応じて元映像P1を横方向即ち長手方向L1について、3/4倍に縮小するように変換する。これにより、図示のように、パネル入力映像P2での映像は元映像P1に比べて長手方向L1について縮むため相対的に縦長のものとなるが、最終画像である表示映像P3では、縦横比変換により長手方向L1について伸張されるので、元映像P1が復元された状態となる。
以上のように、本実施形態の場合、画像処理部430は、画像処理によって、縦横比変換光学系15による画像光の縦横比の変換比率に応じて、これを補償するために、外部からの画像信号について当該変換比率と逆比率となるように縦横比の変換処理を行っている。これにより、観察者に認識される映像P3を、外部からの入力時の映像信号による元映像P1について縦横伸縮させることなくそのままの状態にできる。
〔第5実施形態〕
以下、図10(A)等により、第5実施形態の虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態に係る虚像表示装置500は、第1実施形態の虚像表示装置100等の変形例であり、第1実施形態の虚像表示装置100等と同符号のものについては、特に説明しない限り同様の機能を有するものとする。
図10(A)及び10(B)に示すように、虚像表示装置500は、画像形成装置510と、導光板20とに加え、画像処理部530と、駆動機構540とを備える。
画像形成装置510において、縦横比変換光学系515は、コリメートレンズ13と、縦横比変換光学系515とを備え、このうち縦横比変換光学系515は、凸シリンドリカルレンズ515aと凹シリンドリカルレンズ515bとにより構成される。光路上流側の凸シリンドリカルレンズ515aについて、光路下流側の面HSaはシリンドリカル面となっており、光路上流側の面TSaは平坦面になっている。一方、光路下流側の凹シリンドリカルレンズ515bについて、光路上流側の面TSbはシリンドリカル面となっており、光路下流側の面HSbは平坦面になっている。さらに、面HSaと面TSbとは一対の対応する形状となっており、図10(B)に示すように、凸シリンドリカルレンズ515aと凹シリンドリカルレンズ515bとを接合させた場合、略隙間なく密着するものとなっている。これにより、虚像表示装置500は、縦横比変換を行うオンのパターンと縦横比変換を行わないオフのパターンとに切替可能になっている。
駆動機構540は、縦横比変換光学系515を構成する各シリンドリカルレンズ515a,515bを支持しており、これらを光軸XXに沿う方向であるX方向についてスライド移動可能としている。つまり、図10(A)〜10(F)に示すように、駆動機構540は、各シリンドリカルレンズ515a,515bを互いに所定の距離だけ離間させたり、密着させたりする。つまり、駆動機構540により、シリンドリカルレンズ515aは、図10(A)に示す第1の位置PT1と図10(B)に示す第2の位置PT2との間で往復移動可能であり、シリンドリカルレンズ515bは、シリンドリカルレンズ515aと連動して第1の位置PS1と第2の位置PS2との間で往復移動可能となっている。また、画像処理部530は、外部から画像表示素子11に入力される画像信号について画像処理を行うが、この際、駆動機構540から得た各シリンドリカルレンズ515a,515bの位置情報に基づいて行うべき画像処理の設定をしている。なお、ここでは、図10(A)の離間した状態となり縦横比変換光学系515による縦横比変換を行う場合の画像処理を、通常のオンのパターンの画像処理とし、図10(B)の密着した状態となり縦横比変換光学系515による縦横比変換を行わない場合の画像処理を、非通常のオフのパターンの画像処理として扱う。
以下、虚像表示装置500における縦横比変換の動作について説明する。まず、図10(A)に示すように、各シリンドリカルレンズ515a,515bが第1の位置PT1,PS1にそれぞれあり、両者が離間した状態となっている場合、シリンドリカルレンズ515a,515bは、縦横比率変換を行う。具体的には、図10(C)に示すように、XZ面に平行な断面について、両レンズ515a,515bは、屈折力を有し互いに離間しており、縦横比変換光学系515は、アフォーカル系として機能する。この場合、光路上流側に凸型のレンズを配置し、光路下流側に凹型のレンズを配置することで、周辺側からの画像光GL2について角度を拡げることで、横方向に伸張させることができる。一方、図10(D)に示すように、XY面に平行な断面については、例えば周辺側からの画像光GLaは、角度変換がされず、縦横比変換光学系515によって伸縮されることなくそのままの状態を維持して射出される。
次に、図10(B)に示すように、各シリンドリカルレンズ515a,515bが第2の位置PT2,PS2にそれぞれあり、両者が密着した状態となっている場合、図10(E)及び10(F)に示すように、シリンドリカルレンズ515a,515bは、一体化した1つの平行平板と同様となる。この場合、縦横比変換光学系515は、横方向についても、縦方向についても、比率変換を行わない。つまり、画像表示素子11における縦横比がそのまま維持されて、観察者に認識される。
以上のように、駆動機構540によって、縦横比変換光学系515を構成する各シリンドリカルレンズ515a,515bを画像光の光路上で移動させてその位置を切り替えることで、縦横比変換光学系515による変換比率を切り替えることができる。これにより、例えば図11(A)に示すように、両シリンドリカルレンズ515a,515bを離間させることにより縦横比変換を行って最終映像を16:9にする通常の場合には、変換後の1つの映像画素PE'を1ブロックの画素として1つの映像ピクセルEEを形成し、各画映像素の形状が1:1の正方形となるようにできる。一方、例えば図11(B)に示すように、両シリンドリカルレンズ515a,515bを密着させることにより縦横比変換を行わず最終映像を元の4:3のままとする非通常の場合には、例えば2つの映像画素PE'を1ブロックの画素として1つの映像ピクセルEEを形成し、より高精細な画像とすることができる。なお、画像処理部530は、駆動機構540からの信号に基づき、縦横比16:9用の画像処理を行うか、縦横比4:3用の画像処理を行うかを判断し、画像表示素子11に適切な画像形成を行わせている。
以上の場合における縦横比変換の有無に応じた画像処理について、図12のフローチャートにより説明する。まず、虚像表示装置500を起動すると、画像処理部530は、駆動機構540から各シリンドリカルレンズ515a,515bの位置情報を読み出す(ステップS1)。当該情報からシリンドリカルレンズ515a,515bが位置PT1,PS1にそれぞれあると判断すると(ステップS2:Yes)、画像処理部530は、縦横比変換光学系515による縦横比率変換を行う通常のオンのパターンでの画像処理を行う(ステップS3)。つまり、例えば図11(A)の場合に対応する画像処理を行う。一方、ステップS1において読み出された位置情報からシリンドリカルレンズ515a,515bが位置PT2,PS2にそれぞれあると判断すると(ステップS2:No)、縦横比変換光学系515による縦横比率変換を行わない非通常のパターンに応じた画像処理を行う(ステップS4)。つまり、例えば図11(B)の場合に対応する画像処理を行う。なお、画像処理部530は、ステップS3の通常のパターンでの画像処理又はステップS4の非通常のオフのパターンでの画像処理のいずれかを、虚像表示装置500の映像表示動作が終了するまで、ステップS1で読み出された位置情報の変更に応じて適宜オン・オフを切り替えつつ続ける(ステップS5)。
また、本実施形態の変形例として、図13(A)及び13(B)に示す虚像表示装置600のように、シリンドリカルレンズ615a,615bで構成される縦横比変換光学系615が、不図示の駆動機構により光路上に進退可能となっていてもよい。この場合、例えば、画像形成装置610に設けられたセンサー650が、縦横比変換光学系615が光路上に有るか否かの情報を画像処理部630に送信し、画像処理部630が、当該情報に基づいて縦横比変換光学系615の有無に応じて画像処理を行うことで、図11(A)等に示す虚像表示装置500の場合と同様に縦横比の変換比率のオン・オフが切替可能となる。
本実施形態の場合、虚像表示装置500,600において、駆動機構540等により縦横比変換光学系515,615を移動させ、縦横比の変換比率をオン・オフで切替可能とすることで、変換比率を変化させ、縦横比を所望の状態に設定できる。
なお、上記では、オン・オフの2段階で切替可能としているが、虚像表示装置500,600において、縦横比変換光学系515,615が、アフォーカルズームレンズで構成されることで、連続的に倍率変換を行うものとしてもよい。
〔その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
また、角度変換部23を構成する反射ユニット23cの配列のピッチPTについては、各第1の反射面23a間において全て同一となっている場合に限らず、各ピッチPTにある程度の差異がある場合も含むものとする。
上記の説明では、透過型の液晶デバイスを画像表示素子11の一例として用いているが、画像表示素子としては、透過型の液晶デバイスに限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶パネルを用いた構成も可能であり、画像表示素子11に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、LEDアレイやOLED(有機EL)やレーザーダイオードなどに代表される自発光型素子用いた構成も可能である。さらに、レーザー光源とポリゴンミラーその他のスキャナーとを組みあわせたレーザースキャナーを用いた構成も可能である。
上記の説明では、虚像表示装置100は、右眼及び左眼の双方に対応して、一組ずつ画像形成装置10及び導光板20設ける構成としているが、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ画像形成装置10と導光板20とを設け画像を片眼視する構成にしてもよい。
上記の説明では、シースルー型の虚像表示装置について説明しているが、角度変換部23は、シースルー型以外の虚像表示装置についても適用可能である。なお、外界像を観察させる必要がない場合、第1及び第2の反射面23a,23b双方の光反射率を略100%とすることが可能である。
上記の説明では、光入射面ISと光射出面OSとを同一の平面上に配置しているが、これに限らず、例えば、光入射面ISを第1の全反射面22aと同一の平面上に配置し、光射出面OSを第2の全反射面22bと同一の平面上に配置する構成とすることもできる。
上記の説明では、画像形成装置10の第1方向D1及び第2方向D2は、それぞれ対応する観察者側の横方向E1及び縦方向E2であるZ方向及びY方向に一致しているが、これらは必ずしも一致するとは限らず、方向D1,D2がZ方向やY方向以外の方向となる場合もある。
上記の説明では、入射光折曲部21を構成するミラー層21aや斜面RSの傾斜角度について特に触れていないが、本発明は、ミラー層21a等を光軸OAに対して用途の他の仕様に応じて様々な値とすることができる。
上記の説明では、角度変換部23は、反射面として第1及び第2の反射面23a,23bをそれぞれ形成するものとしているが、角度変換部23は、従来型の1種類の反射面のみによって画像光の取出しを行う構成としてもよい。この場合、画像光のうち、当該反射面を複数回通過した後に取り出される成分が存在することになる。
上記の説明では、反射ユニット23cによるV字状の溝は、先端を尖った状態で図示しているが、V字の先端を平らにカットしているものや先端にR(丸み)を付けているものも実質的にはV字状の溝であり、含まれる。また、カットされる部分がさらに大きく台形状となっている場合であっても、第1の反射面23aと第2の反射面23bとがテーパー形状であれば、上記反射ユニット23cを構成するものとなる。
上記の説明では、虚像表示装置100がヘッドマウントディスプレイであるとして具体的な説明を行ったが、虚像表示装置100は、ヘッドアップディスプレイに改変することもできる。
上記の説明では、第1及び第2の全反射面22a,22bにおいて、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により画像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明における全反射については、第1及び第2の全反射面22a,22b上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、画像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、全反射面22a,22bの全体又は一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての画像光を反射する場合も含まれる。また、十分な明るさの画像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって全反射面22a,22bの全体又は一部がコートされていてもよい。
また、各画素PEを構成するサブ画素について、上記した画素要素R1,G1,B1等の有色のもののほか、明るさを増すためのホワイト(無着色)の画素要素を取り入れることも可能である。