JP5218521B2 - インプリント方法とこれに用いる転写基材および密着剤 - Google Patents
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Description
このインプリント方法の一つとして、光インプリント法が知られている。この光インプリント法では、例えば、インプリント用の転写基材に被加工物として光硬化性の樹脂層を形成し、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールド(型部材)を押し当てる。そして、この状態でモールド側から樹脂層に紫外線を照射して硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離す。これにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造を被加工物である樹脂層に形成することができる。このような光インプリント法は、従来のフォトリソグラフィ技術では形成が困難なナノメートルオーダーの微細パターンの形成が可能であり、次世代リソグラフィ技術として有望視されている。
このようなインプリント方法では、硬化した樹脂層からモールドを引き離す際に、樹脂層がモールドに付着するのを防止する必要がある。この付着防止の方法として、モールド表面へ離型処理を施す方法(特許文献1)、インプリント用の転写基材と硬化した樹脂層との間に密着層を介在させて両者の密着性を向上させる方法(特許文献2、3)、あるいは、モールド表面に設けた光触媒性物質膜に紫外線を照射して、硬化した樹脂層との離型性を向上させる方法(特許文献4)等が提案されている。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、モールドと樹脂層との離型時の転写欠陥の発生を防止したインプリント方法と、このようなインプリント方法を可能とする転写基材、密着剤を提供することを目的とする。
すなわち、上記のような目的を達成するために、本発明のインプリント方法は、所望の形状の転写形状部を有するモールドと転写基材との間に被加工物を介在させ、該被加工物に前記転写形状部の形状を転写するインプリント方法において、基材に密着層を形成して転写基材を作製する密着層形成工程と、前記モールドと前記密着層との間に前記被加工物が介在するようして前記モールドと前記転写基材とを近接させ前記被加工物を前記転写形状部に充填する充填工程と、前記被加工物を硬化させる硬化工程と、前記被加工物から前記モールドを引き離す離型工程と、を有し、前記密着層形成工程は、1個の加水分解性基と2個の不活性基とを有する4価の原子と該原子に結合した反応性官能基とを1分子中に有する化合物を含有する密着剤を、前記基材に接触させ、その後、洗浄する工程を有し、高さ5nm以上の凸部が存在しない密着層を形成するものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記密着剤の前記4価の原子はケイ素であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基材として周囲に対して凸構造となった凸状平坦面を有する基材を使用し、前記密着層形成工程では、該凸状平坦面に密着層を形成して転写基材を作製するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記密着層形成工程において、前記密着剤をスピンコート法により前記基材に塗布するような構成とした。
本発明の転写基材は、基材と、該基材上に位置する密着層とを備えるインプリント用の転写基材であって、密着層は、酸素原子を介して前記基材に結合するとともに2個の不活性基とを有する4価の原子と、該原子に結合した反応性官能基と、を有し、高さ5nm以上の凸部が存在しないような構成とした。
本発明の他の態様として、隣接する前記4価の原子同士は結合していないような構成とした。
本発明の他の態様として、前記4価の原子はケイ素であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基材は、周囲に対して凸構造となった凸状平坦面を有し、該凸状平坦面に前記密着層を備えるような構成とした。
[インプリント用の転写基材]
図1は、本発明の転写基材の一実施形態を示す部分断面図である。図1において、転写基材1は、基材2と、基材2の一方の面2aに位置する密着層3とを備えている。
転写基材1を構成する基材2は、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンや酸化シリコン、窒化シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、クロム、タンタル、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、鉄、コバルト等の金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、基材2は所望のパターン構造物が面2a側に形成されたものであってもよい。このパターン構造物としては、特に限定されず、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等が挙げられる。
密着層3を構成する4価の原子Mは、ケイ素、チタン等とすることができ、この中でケイ素が好適に用いられる。また、不活性基X、X′は加水分解反応を生じない基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基等のアルキル基であり、これらは同一であっても異なってもよい。また、反応性官能基Yは、被加工物である有機成分との反応を生じる基であり、例えば、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、スルフィド基、アシル基、イソシアネート基、不飽和炭化水素基からなる群から選択される基であり、結合手−(CH2)n−を介して4価の原子Mに結合している。不飽和炭化水素基としては、ビニル基、メタクリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等を挙げることができる。また、結合手のnは1〜10の整数であるが、密着層を構成する分子の密度分布をより均一にするためには分子量が低いことが好ましいので、nは1〜3の範囲が好適である。
尚、上述のインプリント用の転写基材の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
上記のような転写基材1の密着層3を形成するには、1個の加水分解性基と2個の不活性基とを有する4価の原子と、この原子に結合した反応性官能基と、を1分子中に有する化合物を含む本発明の密着剤を使用することができる。以下に本発明の密着剤について説明する。
本発明の密着剤は、上記のように、1個の加水分解性基と2個の不活性基とを有する4価の原子と該原子に結合した反応性官能基とを1分子中に有する化合物を含むものである。このような化合物の一例として、4価の原子がケイ素である下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
反応性官能基Yは、被加工物である有機成分を考慮して適宜選択することができ、例えば、被加工物が酸、エステル、エポキシ、ケトン、ハロゲン化物を含有する有機成分であれば、反応性官能基Yとしてアミノ基を選択することができ、被加工物がアミノ基やカルボキシル基を含有する有機成分であれば、反応性官能基Yとしてエポキシ基を選択することができ、被加工物がチオールを含有する有機成分であれば、反応性官能基Yとしてメルカプト基を選択することができ、被加工物がアクリルモノマーを含有する有機成分であれば、反応性官能基Yとして不飽和炭化水素基を選択することができる。
反応性官能基Y1、Y2は、被加工物である有機成分を考慮して適宜選択することができ、例えば、被加工物が酸、エステル、エポキシ、ケトン、ハロゲン化物を含有する有機成分であれば、反応性官能基Y1、Y2としてアミノ基を選択することができ、被加工物がアミノ基やカルボキシル基を含有する有機成分であれば、反応性官能基Y1、Y2としてエポキシ基を選択することができ、被加工物がチオールを含有する有機成分であれば、反応性官能基Y1、Y2としてメルカプト基を選択することができ、被加工物がアクリルモノマーを含有する有機成分であれば、反応性官能基Y1、Y2として不飽和炭化水素基を選択することができる。
また、本発明の密着剤は、上記のような化合物とともに、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、キシレン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ等の溶媒を含有してもよい。
尚、上述の密着剤の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、4価の原子がチタン等であってもよい。
次に、本発明のインプリント方法について説明する。
本発明のインプリント方法は、所望の形状の転写形状部を有するモールドと転写基材との間に被加工物を介在させ、被加工物に転写形状部の形状を転写するものである。
図3は、本発明のインプリント方法の一実施形態を説明するための工程図である。
本発明では、まず、密着層形成工程にて、基材12に密着層13を形成して転写基材11を作製する(図3(A))。この基材12は、上述の本発明の転写基材1を構成する基材2として挙げたものと同様のものを使用することができる。また、密着層13は、1個の加水分解性基と2個の不活性基とを有する4価の原子と該原子に結合した反応性官能基とを1分子中に有する化合物を含有する密着剤を、基材12に接触させ、その後、洗浄することにより形成することができる。
基材12に接触された密着剤は、4価の原子に結合している1個の加水分解性基が加水分解を受け、基材12の表面の水酸基が存在する反応点との結合(水素結合を経て、酸素原子を介した共有結合を形成)がなされる。また、4価の原子は2個の不活性基を有しているので、基材12の表面に結合した4価の原子が、他の分子の4価の原子と縮合反応を生じることが抑制される。したがって、基材と未反応の密着剤は、例えば、二量体を形成することはあっても、基材12の表面に結合した4価の原子とは結合していないため、洗浄によって除去される。これにより、例えば、図4に示すように、基材12の段差部分12Aにおいても不要な密着剤による密着層の厚みの増大(図4に鎖線で示した盛り上がり部位)を抑制することができ、表面に反応性官能基が位置する均一な厚みの密着層13を形成することができる。基材12と未反応の密着剤を除去するための洗浄は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ等の極性溶媒を使用して行うことができる。また、洗浄方法としては、スピンコート法、浸漬コート法、ディッピング法等を挙げることができる。尚、密着剤の接触前、あるいは、接触後に基材12を加熱することにより、密着剤と基材12との反応を促進してもよい。
このような密着層形成工程において使用する密着剤は、上記の本発明の密着剤であってよい。
モールド21は、被加工物31′が光硬化性樹脂である場合に、被加工物31′を硬化させるための照射光を透過可能な透明基材を用いて形成することができ、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。モールド21が有する転写形状部22は、図示例では凹部が形成された凹凸構造を有しているが、これに限定されるものではなく、形状、寸法は任意に設定することができる。また、使用するモールド21は、転写形状部22が位置する部位が周囲に対して凸構造となった、いわゆるメサ構造であってもよい。
次いで、離型工程において、被加工物31からモールド21を引き離す(図3(E))。これにより、被加工物31にパターン形成(モールド21の転写形状部22の転写)が行われる。本発明では、被加工物31が密着層13を介して転写基材11の基材12に確実に保持されているので、モールド21への被加工物31の付着による転写欠陥が防止され、高精度のパターン形成を行うことが可能である。
上述の本発明のインプリント方法の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
<密着層形成工程>
基材として、シリコンウエハ(直径150mm)を準備した。この基材は、一方の面の中央部に26mm×32mmの凸状平坦面を有し、この凸状平坦面における基材厚みは0.625mmであり、その周囲の基材厚み0.595mmとの間に0.03mmの段差を有するものであった。
(NMR分光法の測定条件)
日本電子(株)製 JNM−LA400WBを用いて1H−NMRおよび29Si
−NMRを測定し、シランカップリング剤重縮合の反応過程を解析した。共鳴
周波数は、400MHzおよび79.3MHzとし、外部基準としてテトラメ
チルシランを用いた。
(保存安定性の評価基準)
○:密着剤の容器を開封し、1ヶ月でメタノールが生成されておらず、保
存安定性は良好
×:密着剤の容器を開封し、1ヶ月でメタノールが生成されており、保存
安定性は不良
また、下記の条件で接触角の経時変化を測定することにより、形成後の密着層に経時的に生じる表面の劣化の程度を判断し、保存安定性を評価して、結果を下記の表1に示した。
(接触角の測定条件)
密着層上にマイクロシリンジから水滴を滴下し、10秒後に協和界面科学(株)
製 DM−700型を用いて水に対する接触角を測定した。
(保存安定性の評価基準)
○:密着層形成後、1週間の接触角変化が2°以下であり、保存安定性は
良好
×:密着層形成後、1週間の接触角変化が2°を超えるものであり、保存
安定性は不良
(原子間力顕微鏡による評価条件)
原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー(株)製 L−trace)を用い、
密着層の0.03mm×0.03mmの領域を測定し、高さ5nm以上の凸部の
存在有無を評価した。高さ5nm以上の凸部は、転写欠陥の原因となりうるため
である。
(密着層表面の評価基準)
○:高さ5nm以上の凸部が存在しない
×:高さ5nm以上の凸部が存在する
厚み6.35mmの石英ガラス(40mm×40mm)の凹凸構造パターンの無い平坦なモールドを準備した。
また、被加工物として下記組成の光硬化性樹脂を準備し、この被加工物の液滴を、上記の転写基材の密着層上の5×5箇所(計25箇所)に0.5mmピッチで供給し、その後、インプリント装置の基板ステージに載置した。次に、被加工物に上記のモールドを押し込み、転写形状部の凹凸構造に被加工物を充填した。
(光硬化性樹脂の組成)
・イソボルニルアクリレート … 38重量%
・エチレングリコールジアクリレート … 20重量%
・ブチルアクリレート … 38重量%
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
… 2重量%
・2−ペルフルオロデシルエチルアクリレート … 1重量%
・メチルペルフルオロオクタノレート … 1重量%
モールドと転写基材との間に被加工物である光硬化性樹脂が存在する状態で、インプリント装置の照明光学系により紫外線をモールド側から100mJ/cm2照射した。これにより、光硬化性樹脂を硬化させた。
<離型工程>
次に、硬化した被加工物からモールドを引き離し、転写面を形成した。
密着剤Bとして、1,3−ビス(3−アクリロキシメチル)テトラメチルジシラザン(信越化学工業(株)製)を準備し、この密着剤Bを密着剤Aに代えて使用した他は、実施例1と同様にして、被加工物にモールドの平坦面を転写形成した。
使用した密着剤Bの保管安定性を、実施例1と同様に評価して、結果を下記の表1に示した。
また、作製した転写基材の密着層の表面における凸部の存在の有無を、実施例1と同様に観察して、結果を下記の表1に示した。
密着剤Cとして、(3−アクリロキシメチル)トリメトキシシラン(Gelest社製)を準備し、この密着剤Cを密着剤Aに代えて使用した他は、実施例1と同様にして、被加工物にモールドの平坦面を転写形成した。
使用した密着剤Cの保管安定性を、実施例1と同様に評価して、結果を下記の表1に示した。
また、作製した転写基材の密着層の表面における凸部の存在の有無を、実施例1と同様に観察して、結果を下記の表1に示した。
密着層形成工程において、洗浄液を用いた洗浄を実施しない他は、実施例1と同様にして、被加工物にモールドの平坦面を転写形成した。
作製した転写基材の密着層の表面における凸部の存在の有無を、実施例1と同様に観察して、結果を下記の表1に示した。
これに対して、密着剤Cは、保管安定性が劣るものであった。また、比較例1において、密着剤Cを用いて密着層を形成して作製した転写基材、および、比較例2において洗浄を行わずに密着層を形成して作製した転写基材では、密着層の表面に凸部の存在が確認された。
2,12…基材
3,13…密着層
4…濡れ性変化層
21…モールド
22…転写形状部
31′…被加工物
31…硬化した被加工物
Claims (9)
- 所望の形状の転写形状部を有するモールドと転写基材との間に被加工物を介在させ、該被加工物に前記転写形状部の形状を転写するインプリント方法において、
基材に密着層を形成して転写基材を作製する密着層形成工程と、
前記モールドと前記密着層との間に前記被加工物が介在するようして前記モールドと前記転写基材とを近接させ前記被加工物を前記転写形状部に充填する充填工程と、
前記被加工物を硬化させる硬化工程と、
前記被加工物から前記モールドを引き離す離型工程と、を有し、
前記密着層形成工程は、1個の加水分解性基と2個の不活性基とを有する4価の原子と該原子に結合した反応性官能基とを1分子中に有する化合物を含有する密着剤を、前記基材に接触させ、その後、洗浄する工程を有し、高さ5nm以上の凸部が存在しない密着層を形成するものであることを特徴とするインプリント方法。 - 前記密着層形成工程における洗浄は、極性溶媒を使用することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
- 前記密着剤の前記4価の原子はケイ素であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインプリント方法。
- 前記基材として、周囲に対して凸構造となった凸状平坦面を有する基材を使用し、前記密着層形成工程では、該凸状平坦面に密着層を形成して転写基材を作製することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインプリント方法。
- 前記密着層形成工程において、前記密着剤をスピンコート法により前記基材に塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインプリント方法。
- 基材と、該基材上に位置する密着層とを備えるインプリント用の転写基材において、
密着層は、酸素原子を介して前記基材に結合するとともに2個の不活性基とを有する4価の原子と、該原子に結合した反応性官能基と、を有し、高さ5nm以上の凸部が存在しないことを特徴とする転写基材。 - 隣接する前記4価の原子同士は結合していないことを特徴とする請求項6に記載の転写基材。
- 前記4価の原子はケイ素であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の転写基材。
- 前記基材は、周囲に対して凸構造となった凸状平坦面を有し、該凸状平坦面に前記密着層を備えることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の転写基材。
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