JP5240715B2 - 脂肪組織由来多分化能幹細胞を含有する細胞製剤 - Google Patents
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Description
最近になって、多分化能幹細胞源として脂肪組織が有望であることがいくつかの研究グループによって報告された(非特許文献3)。また、脂肪組織から分離した細胞を10%FCS含有培養液で培養することで増殖した間葉系幹細胞が下肢虚血の病変改善に有効であることが示された(非特許文献4)。しかしながら、10%という大量の血清の使用は、臨床応用を視野にいれたときに大きな問題となる。一方、北川らによって、脂肪組織より、多分化能を示す細胞集団を簡便な操作で大量に調製することが可能であることが報告されるとともに、得られた細胞が脂肪組織への分化能を有し、脂肪組織の再建に有効であることが示された(特許文献1)。
そこで本発明は、脂肪組織由来の多分化能幹細胞の新規な用途を提供することを課題とする。
主として上記成果に基づき、本発明は以下の細胞製剤などを提供する。
[1]脂肪組織由来多分化能幹細胞を含有し、虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症に対する細胞製剤。
[2]前記脂肪組織由来多分化能幹細胞が、脂肪組織から分離した細胞集団を低血清条件下で培養したときに増殖した細胞である、[1]に記載の細胞製剤。
[3]前記脂肪組織由来多分化能幹細胞が、脂肪組織から分離した細胞集団を800〜1500rpm、1〜10分間の条件下で遠心処理したときに沈降する沈降細胞集団を構成する細胞、又は前記沈降細胞集団を低血清条件下で培養したときに増殖した細胞である、[1]に記載の細胞製剤。
[4]前記低血清条件が、培養液中の血清濃度が5%(V/V)以下の条件である、[2]又は[3]に記載の細胞製剤。
[5]前記脂肪組織由来多分化能幹細胞を含有する細胞集団である、以下の(a)又は(b)の沈降細胞集団を含有する、[1]に記載の細胞製剤:
(a)脂肪組織をプロテアーゼ処理した後、濾過処理に供し、次いで濾液を遠心処理することによって沈渣として回収される沈降細胞集団;
(b)脂肪組織をプロテアーゼ処理した後、濾過処理を経ることなく遠心処理することによって沈渣として回収される沈降細胞集団。
[6]前記プロテアーゼがコラゲナーゼである、[5]に記載の細胞製剤。
[7]前記遠心処理が、800〜1500rpm、1〜10分間の条件下で実施される、[5]に記載の細胞製剤。
[8]前記脂肪組織がヒトの脂肪組織である、[1]〜[7]のいずれかに記載の細胞製剤。
[9]凍結状態である、[1]〜[8]のいずれかに記載の細胞製剤。
[10]以下のステップ(1)〜(3)を含む、沈降細胞集団の調製法:
(1)脂肪組織をプロテアーゼ処理するステップ;
(2)前記ステップの後、濾過処理を経ることなく遠心処理するステップ;
(3)沈渣を沈降細胞集団として回収するステップ。
[11]以下のステップ(4)を更に含む、[10]に記載の調製法:
(4)回収した沈降細胞集団を凍結するステップ。
[12]虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症に対する細胞製剤を製造するための脂肪組織由来多分化能幹細胞の使用。
[13]虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症に対する細胞製剤を製造するための、請求項5に記載の沈降細胞集団の使用。
[14]虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症の患者に対して、脂肪組織由来多分化能幹細胞を投与することを含む治療法。
本発明の細胞製剤は虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症に対して使用される。本発明において「虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症に対する」とは、本発明の細胞製剤の適用対象疾患が虚血性疾患、腎機能障害、創傷、尿失禁又は骨粗しょう症であることを意味する。換言すれば、本発明の細胞製剤は虚血性疾患の予防又は治療、腎機能障害の予防又は治療、創傷の治療、尿失禁の予防又は治療、或いは、骨粗しょう症の予防又は治療に使用される。従って通常は、虚血性疾患の患者(又は潜在的患者)、腎機能障害の患者(又は潜在的患者)、創傷を有する患者、尿失禁の患者(又は潜在的患者)、又は骨粗しょう症の患者(又は潜在的患者)に対して本発明の細胞製剤が投与されることになる。但し、その効果を確認・検証することなどの実験目的で本発明の細胞製剤を使用することもできる。
本発明の細胞製剤が投与される対象はヒト、又はヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ等)である。好ましくは、本発明の細胞製剤はヒトに対して使用される。
本発明の細胞製剤は好ましくは患部への局所注入により投与される。但し、本発明の細胞製剤中の有効成分である多分化能幹細胞が患部に送達される限り、投与経路はこれに限られるものではない。投与スケジュールとしては例えば一日一回〜数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与スケジュールの作成においては、対象(レシピエント)の性別、年齢、体重、病態などを考慮することができる。
以下、脂肪組織由来多分化能幹細胞の調製法の一例を説明する。
(1)脂肪組織からの細胞集団の調製
脂肪組織は動物から切除、吸引などの手段で採取される。ここでの用語「動物」はヒト、及びヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ等)を含む。
免疫拒絶の問題を回避するため、本発明の細胞製剤を適用する対象(レシピエント)と同一の個体から脂肪組織を採取することが好ましい。但し、同種の動物の脂肪組織(他家)又は異種動物の脂肪組織の使用を妨げるものではない。
脂肪組織として皮下脂肪、内臓脂肪、筋肉内脂肪、筋肉間脂肪を例示できる。この中でも皮下脂肪は局所麻酔下で非常に簡単に採取できるため、採取の際の患者への負担が少なく、好ましい細胞源といえる。尚、通常は一種類の脂肪組織を用いるが、二種類以上の脂肪組織を併用することも可能である。また、複数回に分けて採取した脂肪組織(同種の脂肪組織でなくてもよい)を混合し、以降の操作に使用してもよい。
脂肪組織の採取量は、ドナーの種類や組織の種類、或いは必要とされる多分化能幹細胞の量を考慮して定めることができ、例えば培養するのであれば0.5gから可能であり、培養しないのであれば200g程度である。ヒトをドナーとする場合にはドナーへの負担を考慮して一度に採取する量を約1000g以下にすることが好ましい。
採取した脂肪組織は、必要に応じてそれに付着した血液成分の除去及び細片化を経た後、以下の酵素処理(プロテアーゼ処理)に供される。尚、脂肪組織を適当な緩衝液や培養液中で洗浄することによって血液成分を除去することができる。
以上の酵素処理によって得られた細胞集団は、多分化能幹細胞、内皮細胞、間質細胞、血球系細胞、及び/又はこれらの前駆細胞等を含む。細胞集団を構成する細胞の種類や比率などは、使用した脂肪組織の由来や種類に依存する。
細胞集団は続いて遠心処理に供される。遠心処理による沈渣を沈降細胞集団(本明細書では「SVF画分」ともいう)として回収する。遠心処理の条件は、細胞の種類や量によって異なるが、例えば1〜10分間、800〜1500rpmである。尚、遠心処理に先立ち、酵素処理後の細胞集団を濾過等に供し、その中に含まれる酵素未消化組織等を除去しておくことができる。濾過には例えば孔径100μm〜2000μm、好ましくは、培養を介す場合、孔径100μm、培養を介さない場合250〜2000μmのフィルターを使用すればよい。
ここで得られた「沈降細胞集団(SVF画分)」は、多分化能幹細胞、内皮細胞、間質細胞、血球系細胞、及び/又はこれらの前駆細胞等を含む。沈降細胞集団を構成する細胞の種類や比率などは、使用した脂肪組織の由来や種類、酵素処理の条件などに依存する。SVF画分は、CD34陽性且つCD45陰性の細胞集団と、CD34陽性且つCD45陰性の細胞集団を含む点によって特徴付けられる(国際公開第2006/006692A1号パンフレット)。
この工程では、沈降細胞集団を低血清条件下で培養し、目的の多分化能幹細胞を選択的に増殖させる。低血清培養法では用いる血清が少量で済むことから、本発明の細胞製剤を投与する対象(レシピエント)自身の血清を使用することが可能となる。即ち、自己血清を用いた培養が可能となる。自己血清を使用することによって、製造工程中から異種動物材料を排斥し、安全性が高く且つ高い治療効果を期待できる細胞製剤が提供される。
ここでの「低血清条件下」とは5%以下の血清を培地中に含む条件である。好ましくは2%(V/V)以下の血清を含む培養液中で沈降細胞集団を培養する。更に好ましくは、2%(V/V)以下の血清と1〜100ng/mlの線維芽細胞増殖因子-2を含有する培養液中で沈降細胞集団を培養する。
血清はウシ胎仔血清に限られるものではなく、ヒト血清や羊血清等を用いることができる。好ましくはヒト血清、更に好ましくは本発明の細胞製剤を適用する対象の血清(即ち自己血清)を用いる。
尚、SVF画分を低血清培養することによって選択的に増殖する細胞はCD13、CD90及びCD105陽性であり、CD31、CD34、CD45、CD106及びCD117陰性である(国際公開第2006/006692A1号パンフレット)。
上記の低血清培養によって選択的に増殖した細胞を回収する。回収操作は常法に従えばよく、例えば酵素処理(トリプシンやディスパーゼ処理)後の細胞をセルスクレイパーやピペットなどで剥離することによって容易に回収することができる。また、市販の温度感受性培養皿などを用いてシート培養した場合は、酵素処理をせずにそのままシート状に細胞を回収することも可能である。
回収された多分化能幹細胞を生理食塩水や適当な緩衝液(例えばリン酸系緩衝液)等に懸濁することによって細胞製剤を得ることができる。所望の治療効果が発揮されるように、一回投与分の量として例えば1×106個〜1×108個の細胞を含有させるとよい。細胞の含有量は、適用対象(レシピエント)の性別、年齢、体重、患部の状態、細胞の状態などを考慮して適宜調整することができる。
多分化能幹細胞の他、細胞の保護を目的としてジメチルスルフォキシド(DMSO)や血清アルブミン等、細菌の混入を阻止する目的で抗生物質等、細胞の活性化や分化を促すことを目的としたビタミン類やサイトカイン等を本発明の細胞製剤に含有させてもよい。さらに、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を本発明の細胞製剤に含有させることにしてもよい。
尚、ここでの「そのまま用いて」とは、選択的培養を経ることなく細胞製剤の有効成分として用いること、を意味する。
本発明の一態様では、上記知見に基づき、細胞製剤を構成するSVF画分として凍結保存されたものを使用する。また、本発明の他の一態様では、細胞製剤自体を凍結状態で提供する。
また、脂肪組織由来多分化能幹細胞又はSVF画分を被験物質の存在下で培養し、細胞増殖率に対する被験物質の効果・影響を評価する。この評価系は、脂肪増加促進又は抑制の効果を発揮する薬剤を見出すために有効といえる。
被験物質としては様々な分子サイズの有機化合物(核酸、ペプチド、タンパク質、脂質(単純脂質、複合脂質(ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質、グリコシルグリセリド、セレブロシド等)、プロスタグランジン、イソプレノイド、テルペン、ステロイド等))又は無機化合物を用いることができる。被験物質は天然物由来であっても、或いは合成によるものであってもよい。後者の場合には例えばコンビナトリアル合成の手法を利用して効率的なスクリーニング系を構築することができる。尚、細胞抽出液、培養上清などを被験物質として用いてもよい。
1.脂肪組織からの沈降細胞集団(SVF画分)の調製
以下の手順でヒト脂肪組織からSVF画分を調製した。
(1)ヒト22歳男性より、手術時に皮下脂肪をメスで切除することによって採取した。
(2)DMEM/F12液(ダルベッコ変法イーグル培地とF12培地を等量混合した培地(シグマ))30mlにて脂肪組織を3回洗浄し、付着した血液などを除去した。
(3)滅菌培養皿内で、脂肪組織を手術用メスで細片化した。
(4)50mlの遠心チューブ(ファルコン)に脂肪組織を入れ、その重量を計測した(約1g)。
(5)1mg/mlのコラゲナーゼtype1(Worthington)溶液を上記の遠心チューブに2ml入れた後、37℃、120回/minの条件下、1時間振盪させた。
(6)続いて、遠心チューブにDMEM/F12液を10ml入れ、ピペッティングした。
(7)ピペッティング後の細胞懸濁液を孔径100μmのフィルター(ファルコン)で濾過した。
(8)得られた濾液を常温で1200rpm、5分間遠心処理した。沈渣を回収し、SVF画分とした。
以下の手順でSVF画分を低血清培養した。
(1)SVF画分中の有核細胞3.8×105個を6mlの低血清培養液に懸濁し、ファイブロネクチンコート25cmフラスコ(ファルコン)に播種した。低血清培養液は以下の通り調製した(a〜e)。
(a)DMEM(日水製薬)5.7g、MCDB201(シグマ)7g、L-グルタミン(シグマ)0.35g、NaHCO3(シグマアルドリッチジャパン)1.2g、0.1mMアスコルビン酸(和光純薬工業)1ml、抗生物質(100,000units/mlペニシリン及び100mg/mlストレプトマイシン)0.5mlを980mlの蒸留水に溶解する。
(b)10N NaOHにてpHを7.2に調整する。
(c)濾過・滅菌する。
(d)リノール酸-アルブミン(シグマ)10mlと100×ITS(インスリン10mg、トランスフェリン5.5mg、亜セレン酸ナトリウム5μg、シグマ)10mlを添加する。
(e)100μg/ml bFGF(ぺプロテック)1μlを加える(最終濃度10ng/ml)。
(3)コンフルエントに達したら1mM EDTA含有PBSで洗浄後、0.05〜0.25%トリプシン溶液で処理して細胞を剥離して回収し、回収した細胞を8×103個/cm2の密度で同様にファイブロネクチンコートプレート(シグマ社のヒトファイブロネクチンを用いて作成)に播種した。
(4)以上の継代培養を必要に応じて繰り返した(以降の実験では5〜6継代後の細胞を使用した)。
1.下肢虚血モデルの作製
10週齢のメスCB-17 SCIDマウス(日本クレア株式会社より入手)の左足から大腿部にかけて除毛クリームにて除毛した。除毛部分の皮膚を切開し、左大腿動静脈を結さつ切離することによってマウス下肢虚血モデルとした。このモデルは高率に下肢が壊死して脱落する。
(1)実施例1の方法で調製したヒト脂肪組織由来多分化能幹細胞6.7×106個を300μlのDMEM培地(シグマ)に懸濁した後、マウス下肢虚血モデルの左大腿及び下腿の筋肉内へ注入した(治療群)。コントロール群にはDMEM培地のみを同一条件下で注入した。
(2)処置後、左下肢の壊死、脱落を経時的に観察した。尚、左下肢の一部の脱落若しくは壊死により骨が露出した場合を下肢死と判定した。
治療群及びコントロール群の下肢累積生存率を図1に示す。図1のグラフに示されるように、治療群では下肢生存率の明らかな改善が認められる。尚、処置後7日目の各マウスモデル(代表例)の状態を図2に示す。コントロール群では左下肢が黒く壊死しているが、治療群では血色がよい。
以上のように、マウス下肢虚血モデルに対して脂肪組織由来多分化能幹細胞を用いた治療実験を行ったところ、治療群では下肢生存率に明らかな改善が認められた。この結果より、脂肪組織由来多分化能幹細胞治療は下肢虚血病変に有効であることが示された。
1.ラット急性腎不全モデルの作製
16週齢のオスのヌードラット(日本クレア株式会社より入手)に対して葉酸250mg/kgを腹腔内投与し、ラット急性腎不全モデルとした。この葉酸腎不全モデルは急性尿細管障害による急性腎不全モデルであり、数々の報告がなされている確立したモデルである。このモデルでは腎機能改善後も一部の間質に線維化などの慢性の障害を残すと報告されている(図3)。
(1)実施例1の方法で調製したヒト脂肪組織由来多分化能幹細胞3.8×106個を2.0mlの生理食塩水に懸濁した後、ラット急性腎不全モデルに対して左内頚動脈より投与した(治療群)。この際、内頚動脈よりカテーテルを挿入し、下行大動脈内へ細胞を投与することにし、細胞がより腎臓へ到達しやすいように工夫した。尚、コントロール群には同量の生理食塩水を同一条件下で投与した。
(2)上記処置後0日、1日、2日、4日、13日に採血を行い、血中尿素窒素(BUN)を測定した。
(3)上記処置後13日目にラットを屠殺し、腎組織を採取し、PAS染色およびMasson trichrome
染色にて腎組織を評価した。
血中尿素窒素の測定結果を図4に示す。治療群では有意に腎機能の改善が認められる。一方、PAS染色及びMasson trichrome染色の結果をそれぞれ図5及び図6に示す。コントロール群では尿細管の拡張や尿細管上皮細胞の脱落などが認められるが、治療群ではそのような像はほとんど認められない(PAS染色)。また、コントロール群では尿細管の萎縮や間質の線維化が認められるが、治療群ではそのような所見はほとんど認められない(Masson trichrome染色)。
以上のように、ラット急性腎不全モデルに対して脂肪組織由来多分化能幹細胞を用いた治療実験を行ったところ、治療群では腎機能に有意な改善が認められた。さらに、急性腎不全治癒後に残存する慢性の腎障害(腎間質の線維化など)も治療群では軽減していた。以上の結果より、脂肪組織由来多分化能幹細胞治療が急性腎不全に有効であることが示された。
1.ラット急性腎不全モデルの作製
14週齢のオスのヌードラット(日本クレア株式会社より入手)の右腎臓を摘出し、1週間後に葉酸200mg/kgを尾静脈より投与し、急性腎不全モデルを作製した。
(1)葉酸投与7時間後に、実施例1の方法で調製したヒト脂肪組織由来多分化能幹細胞4.0×106個を、ラット急性腎不全モデルの左腎皮膜下に注入した(治療群)。コントロールは生理食塩水のみを注入した。
(2)上記処置後0日、1日、2日、6日、14日に採血を行い、血中尿素窒素(BUN)を測定した。
(3)上記処置後3日目にペンシル型CCDカメラにて腎尿細管周囲毛細血管の血流を測定した(図7〜9)。
(4)上記処置後14日目にラットを屠殺し、腎組織を採取し、ヒト特異的抗体にて免疫染色を行った。
血中尿素窒素の測定結果を図10に示す。治療群ではコントロール群に比べ有意に腎機能の改善を認めた。また、免疫染色の結果(図11)より、投与した細胞の腎実質内への移動はみられず、腎皮膜下に生着していた。尚、腎組織の採取及び免疫染色を処置後1月及び3月にも実施した結果、投与した細胞が長期に亘って腎皮膜下に残存することが示された(図12及び13)。図12は処置後1月目の免疫染色の結果、図13は処置後3月目の免疫染色の結果である。投与した細胞が処置後3月後も腎皮膜下に残存していることがわかる。
以上のように治療群では、投与した細胞が腎皮膜下に良好に生着し、葉酸腎症を改善した。この結果より、脂肪組織由来多分化能幹細胞治療が急性腎不全に有効であることが示された。
一方、図14に示すように、治療群で有意に尿細管周囲毛細血管の血流が速かった。注入した細胞が分泌するVEGF等のサイトカインによって腎臓内のNOが増加し、血管拡張し、そして血流が増加したと考えられる。
1.ラット皮膚欠損モデルの作製(図15)
7週齢のオスのF344ラットの背部を除毛クリームにて除毛した。1.5cm×1.5cm、厚さ0.45mmの塩化ビニールを除毛箇所のほぼ中央にあて、マーキングした。ポピドンヨードで消毒後、マーキングに沿って皮膚を全層切除し、ラット皮膚欠損モデルとした。
(1)実施例1の方法で調製したF344ラット皮下脂肪由来多分化能幹細胞1.1×107個をDMEM培地(シグマ)で全量が800μlとなるように懸濁した後、ラット皮膚欠損モデルの、切除した皮膚の周囲の皮下に26G注射針を用いて注入した(低血清治療群)。その後、創部にテガダーム(3M社製)を貼布した。尚、F344ラットの皮下脂肪から調製したSVF画分中の有核細胞を高血清条件下(20%FBS含有DMEMを使用)で培養して得られた細胞(高血清培養細胞)を同一の条件下で注入した群(高血清治療群)と、DMEM培地のみを同一の条件下で注入した群(コントロール群)を比較対照とした。
(2)処置後0日、2日、7日、14日、18日に創部の面積を測定した。面積の測定法は次の通りとした。まず、厚さ0.45mmの塩化ビニールシートを創部にあてて創縁をマーキングした後、マークに沿って切り抜く。切り抜かれた塩化ビニールシートの重量を測定し、測定値を面積に換算する。
(3)また、処置後3日の皮膚組織を採取し、組織中のVEGF、HGF濃度をELISA法にて測定した。
各群の皮膚欠損エリアの変化を図16のグラフで比較した。また、処置後14日目の創部の状態を図17に示す。低血清治療群(右上)では、コントロール群(左上)に比較して、一週目以降、有意に皮膚欠損エリアの改善が認められた。また、図17から明らかなように、治療群では迅速な創傷治癒が進行し、瘢痕組織の状態も良好である。低血清治療群(右上)と高血清治療群(左下)を比較すれば、前者により高い創傷治癒促進効果が認められる。
一方、図18のグラフに示すように、低血清治療群ではコントロール群に比べ有意に創部組織中のVEGF濃度の上昇を認めた。HGF濃度については両者の間で差がなかった。尚、創部の免疫染色の結果(図示せず)より、低血清治療群では注入した細胞が処置後14日目においても皮下に残存し、且つ血管へ分化していないことが示された。
以上のように、ラット皮膚欠損モデルに対して脂肪組織由来多分化能幹細胞を用いた治療実験を行ったところ、低血清治療群では有意に創傷治癒の促進が認められた。以上の結果より、脂肪組織由来多分化能幹細胞治療は創傷治癒に有効であることが示された。また、脂肪組織由来多分化能幹細胞は、高血清条件下で培養して得られた細胞に比べ、高い創傷治癒促進効果を発揮することが示された。
1.実験材料及び方法
高血清(20%FBS含有DMEM)、bFGF添加高血清(20%FBS及びbFGF(10ng/ml)含有DMEM)、低血清(実施例1で使用したbFGF(10ng/ml)含有低血清培養液)の3種類の培養液でヒト脂肪組織由来SVF画分を培養し、上清中のサイトカインをELISA法にて測定した。コントロール群にはヒト腎線維芽細胞(HEK293)を用いた。実験はすべて4〜5代継代培養した細胞を使用した。また、培養は25cm2フラスコを用い、培養液は5mlとした。
セミコンフルエントの状態でそれぞれの培養液を吸引除去し、PBSで2回洗浄後、10%FBS含有DMEMにて24時間培養した。その際、正常酸素と低酸素(1%O2)の2群に分けることにした。これは、虚血組織への細胞治療を想定し、低酸素環境下でもサイトカイン分泌が保たれるかどうかを検討するためである。24時間後に培養上清を回収し、ELISA法にてサイトカインを測定した。同時に、トリプシンにて細胞を剥離し、細胞数も計測した。細胞106個当たりのサイトカイン分泌量に基づき比較検討した。
図19及び20に示すように、低血清培養群はコントロール群に比べ数多くの増殖因子を分泌する。また、低血清培養群では高血清培養群及びbFGF添加高血清培養群に比べVEGF-A分泌量(図21)、FGF-7(KGF)分泌量(図22)及びFGF-2分泌量(図23)が多い。低酸素環境下ではVEGF-Aの分泌量が大幅に増加した。その他のサイトカインについては正常酸素下とほぼ同様の分泌量であった。一方、VEGF-C分泌量及びHGF分泌量は各群の間に差を認めなかった(図24)。低血清培養群はTGF-β、IL-6、IL-10及びIL-8も分泌し、その分泌量は高血清群及びbFGF添加高血清培養群に比べて多い(図25)。
以上の通り、脂肪組織由来SVF画分を低血清培養して得られる細胞は従来の培養方法で得られる細胞に比べサイトカイン分泌能が高いことが明らかとなった。即ち、低血清培養により、従来よりもサイトカイン分泌能の非常に高い細胞を選択的に分離増殖できることが明らかとなった。
1.実験方法
F344メスラット(体重150g程度)に、実施例1の方法で調製したF344ラット皮下脂肪由来多分化能幹細胞3×106個をDMEM培地(シグマ)で伸展して全量50μlとした後、これを30Gインスリン用注射器(マイジェクター、登録商標)で膀胱頚部に注入した。このように処置したラットを治療群とした。一方、コントロール群のラットには細胞懸濁液の代わりにDMEMを50μl注入した。注入処置から2週間後、下記方法で膀胱内圧を測定した。
まず、各群のラットをウレタン0.8g/kg,i.p.で麻酔した後、排尿反射を消失させる目的で脊髄をT8-9レベルで切断した。開腹後、カテーテル(PE-90)を膀胱内に留置し、膀胱カテーテルの他方の端を生理食塩水のリザーバ(60mlシリンジ)に接続した。生理食塩水のリザーバを一定の高さに位置させることで膀胱内圧を90秒間上昇させ、尿道口よりの生理食塩水漏出の有無を観察した。尚、膀胱内圧は2.5 cmH2O毎に上昇させ、また、90秒の観察期間後は、一旦、膀胱内圧を0 cmH2Oに戻し、その後、次のステップへ移行した。尿道口より生理食塩水の漏出が観察された時の膀胱内圧を漏出時圧(leak point pressure:LPP)とした。LPPの測定を3回繰り返し、その平均値を各個体の代表値とした。LPP測定を骨盤神経両側切除の前後で行い、それぞれについてスチューデントのt検定(Student's t-test)を用いて治療群(細胞注入群)とコントロール群(培地注入群)との間で平均値を比較検定した。
一方、LPP測定後に膀胱頚部より組織標本を作製し、HE染色及びマッソントリクローム染色に供した。
骨盤神経の切除前及び切除後のいずれにおいても、治療群とコントロール群との間に有意差(p<0.01)を認めた(図26)。即ち、細胞注入によって、少なくとも器質的に尿道内圧を上昇せしめる状態になったことが示唆された。この結果は、膀胱頚部の壁が何らかの形で肥厚している事を示唆するとともに、壁肥厚による圧上昇の可能性と、筋肉への分化・細胞が放出するサイトカインによる筋収縮力の上昇の可能性を示唆する。
一方、HE染色の結果(図27)、治療群(図27左)では尿道12時の位置に脂肪細胞と思われる集塊による、こぶ形成を認めた。マッソントリクローム染色の結果(図28)、こぶ形成の部位は、大部分が繊維性成分からなる膠原繊維と思われる組織で構成されていた(図28左)。この結果、脂肪由来多分化能幹細胞が膠原繊維を産生している可能性が示唆された。
1.実験(治療)プロトコール(図29)
(1)実施例1に示した方法に従い、F344ラットの皮下脂肪よりSVF画分を調製した。
(2)1週間前に片腎摘をしたF344ラット(8週齢、オス)に対して0日目にシスプラチン(7mg/kg)を投与し、シスプラチン腎障害ラット(尿細管壊死のモデル)とした。1日目にSVF画分(100μl、細胞数1×106)を被膜下に注入した(治療群、6匹)。コントロール群(6匹)には同量の生理食塩水を同一条件で投与した。
(3)シスプラチン投与後0日、2日、4日、6日、8日に採血し、血清クレアチニン(Cr)値を測定した。
(4)シスプラチン投与後4日目にペンシル型CCDカメラにて腎血流を測定した。
治療群では、シスプラチン腎障害のピークとなる4日目〜6日目において障害の軽減が見られた(図30。p<0.05 対コントロール群)。このように、SVF画分の投与によって腎障害に対する治療効果を認めた。
一方、治療群で有意に(p<0.01)腎血流が速かった(図31〜33)。
1.実験(治療)プロトコール(図34)
(1)ヌードラット(8週齢、オス)の両腎を30分間クランプ(IRI)して作製した虚血再環流腎障害モデルの腎臓に、実施例1に示した方法でヒト脂肪組織より調製したSVF画分(
100μl、細胞数1×106)を直接注入した(治療群)。コントロール群には同量の生理食塩水を同一条件で投与した。
(2)SVF注入後0日、1日、2日に採血し、血清クレアチニン(Cr)値を測定した。
治療群では、1日目(p=0.053 対コントロール群)及び2日目(p=0.075 対コントロール群)において血清クレアチニン値がコントロール群に比べ低下しており、腎障害の軽減を認めた(図35)。
1.実験(治療)プロトコール
(1)OCIF(OPG)KOマウス(9週齢、メス)に、実施例1に示した方法に準じてC57BLマウス(9週齢、メス)より調製したマウス脂肪組織由来多分化能幹細胞(100μl、細胞数1×106)を尾静注した(OCIF治療群)。また、OCIF(OPG)KOマウスに同量のリン酸緩衝液を同一条件で投与した(OCIFコントロール群)。C57BLマウスに対しても同量のリン酸緩衝液を同一条件で投与した(C57BLコントロール群)。
(2) マウス脂肪組織由来多分化能幹細胞を注入後0日、2日、4日、6日、8日、10日に大腿骨の骨密度を測定した。
OCIF治療群では、細胞投与後の早い段階から骨密度が上昇するとともに、経時的な骨密度の上昇も認められる(図36)。コントロール群(OCIFコントロール群、C57BLコントロール群)では骨密度の変化は認められない。この結果より、骨粗しょう症の治療に対しても脂肪組織由来多分化能幹細胞が有効であることが判明した。
ヒト皮下吸引脂肪(800g)を等分し(各400g)、片方を以下の(1)の調製法に使用し、他方を以下の(2)の調製法に使用した。
(1)従来法
吸引脂肪(400g)をコラゲナーゼ処理(37℃、1時間)した後、孔径250〜2000μmのフィルターを用いて濾過した。続いて、濾液を遠心処理(1200rpm、5分間)に供した。沈渣に培地を添加し、SVF画分とした。
(2)改良法
吸引脂肪(400g)をコラゲナーゼ処理(37℃、1時間)した後、遠心処理(1200rpm、5分間)に供した。沈渣に培地を添加し、SVF画分とした。
実験結果(血清クレアチニン値の経時変化)を図37に示す。改良法で得られたSVF画分は、従来法で得られたSVF画分と同等の治療効果を示した。
凍結・融解処理によって、SVF画分の細胞増殖能、サイトカイン分泌能、及び表面抗原が変化するか否かを調べた。
1.実験方法
実施例10の(1)の方法で調製したSVF画分を−80℃のディープフリーザー内に移し、凍結させた。30日後に37℃の恒温槽に移し、融解させた。このように凍結・融解処理を経たSVF画分(以下、「凍結処理SVF画分」と呼ぶ)の細胞増殖能及びサイトカイン分泌能について、コントロールのSVF画分(調製後に凍結・融解処理をしていないもの)と比較した。また、凍結処理SVF画分の細胞表面抗原をFACSで解析した。
凍結処理SVF画分とコントロールSVF画分との間に細胞増殖能の差は認められなかった(図38)。サイトカイン(VEGF-A、VEGF-C)の分泌能についても、凍結処理SVF画分とコントロールSVF画分との間に差は認められなかった(図39、40)。一方、凍結処理SVF画分の細胞表面抗原(CD34、CD13)は、これまでの報告におけるSVF画分のそれと同様であった(図41)。
以上の結果より、凍結・融解処理に対してSVF画分が高い耐性を有することが明らかとなった。
一方、本発明の細胞製剤の一態様では低血清培養によって増殖した細胞を使用する。低血清培養では使用する血清量が少ないことから、異種動物の血清によらずとも必要な血清量を確保できる。つまり、患者自身(又は必要に応じて他家)の血清のみを使用した培養によって本発明の細胞を得ることができる。従ってこの態様では、異種動物材料を排斥した製造プロセスによって得られた、安全性の高い細胞製剤を提供することが可能となる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
Claims (9)
- 脂肪組織から分離した細胞集団を低血清条件下で培養したときに増殖した、CD34陰性、CD90陽性及びCD117陰性の脂肪組織由来多分化能幹細胞を含有し、尿細管障害を伴う急性若しくは慢性腎不全、腹圧性尿失禁又は骨粗しょう症治療用の細胞製剤であって、尿細管障害を伴う急性若しくは慢性腎不全の治療には腎皮膜下に投与され、腹圧性尿失禁の治療には膀胱頚部に投与され、骨粗しょう症の治療には経静脈投与される、細胞製剤。
- 前記脂肪組織由来多分化能幹細胞が、脂肪組織から分離した細胞集団を800〜1500rpm、1〜10分間の条件下で遠心処理したときに沈降する沈降細胞集団を低血清条件下で培養したときに増殖した細胞である、請求項1に記載の細胞製剤。
- 前記低血清条件が、培養液中の血清濃度が5%(V/V)以下の条件である、請求項1又は2に記載の細胞製剤。
- 前記沈降細胞集団が、以下の(a)又は(b)の沈降細胞集団である、請求項1に記載の細胞製剤:
(a)脂肪組織をプロテアーゼ処理した後、濾過処理に供し、次いで濾液を遠心処理することによって沈渣として回収される沈降細胞集団;
(b)脂肪組織をプロテアーゼ処理した後、濾過処理を経ることなく遠心処理することによって沈渣として回収される沈降細胞集団。 - 前記プロテアーゼがコラゲナーゼである、請求項4に記載の細胞製剤。
- 前記遠心処理が、800〜1500rpm、1〜10分間の条件下で実施される、請求項4に記載の細胞製剤。
- 前記脂肪組織がヒトの脂肪組織である、請求項1〜6のいずれかに記載の細胞製剤。
- 凍結状態である、請求項1〜7のいずれかに記載の細胞製剤。
- 尿細管障害を伴う急性若しくは慢性腎不全、腹圧性尿失禁又は骨粗しょう症治療用の細胞製剤を製造するための、脂肪組織から分離した細胞集団を低血清条件下で培養したときに増殖した、CD34陰性、CD90陽性及びCD117陰性の脂肪組織由来多分化能幹細胞の使用であって、
前記細胞製剤は、尿細管障害を伴う急性若しくは慢性腎不全の治療には腎皮膜下に投与され、腹圧性尿失禁の治療には膀胱頚部に投与され、骨粗しょう症の治療には経静脈投与される、使用。
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