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JP5190925B2 - メソポーラスシリカ厚膜の製造方法 - Google Patents

メソポーラスシリカ厚膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メソポーラスシリカ厚膜の改良された製造方法に関する。
一般に、多孔体は、細孔径が2nm以下のマイクロポーラス、2〜50nmのメソポーラス、50nm以上のマクロポーラスの三つ分類される。
マイクロポーラスな多孔体は以前から知られ、天然のアルミノケイ酸塩、合成アルミノケイ酸塩等のゼオライト、金属リン酸塩等が知られている。これらは、細孔のサイズを利用した選択的吸着、形状選択的触媒反応、分子サイズの反応容器として利用されている。
メソポーラスな多孔体としては、ナノメーターレベルの均一な孔径を有する微細孔が規則的に配列した構造を有するメソポーラスシリカが注目されている。これは、径の揃った蜂の巣状に配列した構造を有するものである。従来のゼオライト等の多孔質材料に比べて細孔容積が大きく、表面積も大きいという特徴を有している。
メソポーラスシリカとしては、具体的には、たとえば、界面活性剤の存在下においてケイ素のアルコキシドを加水分解させて合成されるMCM-41と呼ばれる物質(非特許文献1)あるいは、層状ケイ酸の一種であるカネマイトの層間にアルキルアンモニウムをインターカレートさせて合成されるFSM一16と呼ばれる物質(非特許文献2)などが挙げられる。
また、有機化合物と無機化合物の自己集積化を利用した均一なメソ細孔を持つ多孔質材料が製造の製造方法も知られている(特許文献1)。
この製造方法によれば、シリカゲルと界面活性剤などを密封した耐熱性容器内で水熱合成することにより製造される。また、特許文献3には、層状ケイ酸塩の一種であるカネマイトと界面活性剤とのイオン交換により製造する方法が記載されている。非特許文献4は、アルキルトリメチルアンモニウムからなる界面活性剤の集合体をテンプレート(鋳型)として、沈降性シリカ、コロイダルシリカ、水ガラス、アルコキシシラン等を原料として、水熱合成法により無機材料一界面活性剤の3次元高規則性複合体を沈殿物として形成し、その複合体を固液分離・洗浄した後、焼成してその中に含まれる有機物を除去することにより、無機多孔体を製造する方法を記載している。界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度より高く、液晶相生成濃度より低い濃度、例えば25wt%とされており、溶液のpHは10から13である。また標準的な反応温度は100℃以上、反応時間は2日以上で、オートクレープを用いて合成される。この水熱合成法により得られた多孔体は、従来の多孔体に比べ著しく均一な細孔径を有し、微細孔が規則的に配列した特徴的な構造を有する。
このような規則的な細孔構造を有するメソポーラス多孔体を、触媒以外の機能性材料分野に応用する場合、これらの材料を基板上に均一に保持することが重要となる。
基板上に均一なメソポーラス薄膜を製造する方法としては、例えば、に記載されているようなスピンコートによる方法(非特許文献4)、(非特許文献5)に記載されているようなディップコートによる方法、非特許文献6に、記載されているような固体表面に膜を析出させる方法等が記載されている。基板上に設ける薄膜の厚さは通常数ミクロン程度とされている。
基板上に設けられた高分子化合物膜上に形成されたシリカメソ構造体薄膜であって、該薄膜が直線偏光照射によって表面に構造の異方性が付与された高分子化合物膜の一部分もしくは全部に形成されていることを特徴とするシリカメソ構造体薄膜(特許文献2)、界面活性を含有する水溶液中でpHをアルカリ性に維持し加熱し、界面活性剤を除去する方法(特許文献3)が知られている。スピンコート法によるもの(特許文献4)などが知られている。
この多孔質材料のメソポーラスシリカは、ラメラ、ヘキサゴナル、キュービックなどの規則的配列をしているか、または規則的配列をしていなくても、均一なメソ細孔を持つことが特徴であり、大きな細孔容積を持っており、細孔壁表面には水酸基を多く持つため水の吸着量が多く、水の吸着剤としての用途展開や、分離吸着剤、センサー、触媒担体、燃料電池への応用が検討され、膜を製造する研究が行われてきた。
この膜は、優れたガス吸着特性を有すること、及び各種物質の分離機能も有することが判ってきた。従ってこのような空孔構造を有する多孔体の製造方法が種々の提案されている。また、その他の製法としても数多くの報告がある。例えば、常温・短時間でメソポーラスシリカを合成する方法として、産業技術総合研究所の遠藤研究員による真空エバボレーター等を用いた合成法が、特許文献5に記載されている。この方法は水熱合成法に比べ、低温で、迅速に合成が可能で、固液分離工程・洗浄工程が不要であるため操作が単純でコスト性に優れるという長所をもっている。更に得られる多孔体は水蒸気耐久性が高いという長所をも兼ね備えている。
以上のべたメソポーラスシリカは、その均一かつ規則的な細孔構造から、水蒸気や有機蒸気の吸着剤として期待されている。例えば水蒸気吸着剤として考えた場合、細孔径に応じて特定の狭い相対湿度範囲において、大きな吸脱着量を示し、吸着が毛管凝縮であることから、再生のための必要エネルギーも小さく、低温再生可能でかつ大きな吸着量をもつ新しい吸着剤(吸湿剤)としての大きな可能性をもっている。この吸着特性は、従来よく用いられているゼオライトやシリカゲルにはない優れた特性である。
吸着材を実際に吸着システム(たとえばデシカント空調)に適用する際には、吸着剤を適当な基材に固定する必要がある。最も一般的なのがハニカムローターで、通常はセラミックペーパーなどが用いられる。このハニカムローターに吸着剤を担持するには、吸着剤とバインダーを溶液に分散し、スラリー化後、ハニカムローター母材を含浸させ、その後乾燥・焼成を行うという行程が必要となる。また、吸着ヒートポンプなどの吸着剤として用いる場合には、金属製のフィン上に吸着剤を固定することが伝熱特性向上の観点から望ましいと考えられる。
具体的には、アルキレンオキサイドブロックコポリマーとオルトケイ酸テトラアルキルとエタノール溶液中に混合して、低pH域に調整しながら加水分解を行ってゾル溶液とし、基板にゾル溶液を滴下し、基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させ、ゲル化させることにより基板上に形成した三次元構造を有する有機無機複合SiO2薄膜を得、次いで薄膜を焼結することにより得られた三次元構造を有するメソポーラスSiO2薄膜を製造する方法(特許文献6)などが知られている。
この種のメソ多孔体は、円筒状シリカが規則的に堆積し、即ち、細孔チャンネルが横方向に向いているため、このようなメソ多孔体を高集積電子回路の絶縁層(low-k材料)に使用する場合、加工工程で細孔チャンネルの側面、即ち、上から応力が加えられることになる。ハニカム構造を有するこの種のメソ多孔体は、細孔チャンネルの側面の機械的強度は弱い。そのため、従来のメソポーラス膜は、上記加工工程で細孔が損傷し易い。また、従来のメソ多孔体を分離膜に用いる場合、細孔内部を通って物質が透過分離されるため、細孔チャンネルが横方向に向いているメソ多孔体では事実上分離膜として利用できない。これは化学センサーとして利用する場合も同様である。
更に、メソ多孔体を高密度記録媒体に用いる場合、個々の細孔が記録単位として機能することによって初めて高密度記録媒体としての利用が可能となるため、細孔チャンネルが横方向に向いていると、読み書きが困難であり、記録に関与して有効な表面積が小さく、効果を発揮しにくくなる。以上より、メソ多孔体を効果的に応用するために、上下方向に貫通した細孔を有する細孔チャンネルが規則的に配列形成された材料が求められており、六員環を有するシリケートシートが縦型に配列した構造のポリ珪酸塩などが知られている(特許文献7)。
また(A)アニオン界面活性剤、(B)シリケートモノマーおよび(C)塩基性シランを水またはこれと相溶性のある有機溶媒と水との混合溶媒中で混合して均一な大きさのメソ細孔を有するメソポーラスシリカ複合体を得、このメソポーラスシリカ複合体を酸性水溶液または水と相溶性のある有機溶媒あるいはその水溶液で洗浄して成分(A)のアニオン界面活性剤を除去して該メソポーラスシリカ複合体の構造をテンプレートとするメソポーラスシリカ外殻を得、そしてメソポーラスシリカ複合体またはメソポーラスシリカ外殻を焼成すること(特許文献8)が知られている。
しかしながら、従来知られているメソポーラスシリカ膜は、μmオーダーの薄膜に限られ、厚膜は製造されていない。
メソポーラスシリカの厚膜を得るのであれば、基板上に直接ディップコーティング法などにより膜の厚さを調整できるのではないかと考えられるが、実際には、規則的構造に配列された状態で形成することができず、厚膜を形成することは困難となる。
そして、従来の薄膜と比較して厚膜が得られるならば、メソポーラスシリカは、その均一かつ規則的な細孔構造から、水蒸気や有機蒸気の吸着剤として期待されている。
例えば水蒸気吸着剤として考えた場合、細孔径に応じて特定の狭い相対湿度範囲において、大きな吸脱着量を示し、吸着が毛管凝縮であることから、再生のための必要エネルギーも小さく、低温再生可能でかつ大きな吸着量をもつ新しい吸着剤(吸湿剤)としての大きな可能性をもつものであり、この吸着特性により、従来よく用いられているゼオライトやシリカゲルにはない優れた特性を有する空気清浄化システムを可能にする膜が得られることとなる。
このようなことから、メソポーラスシリカ厚膜の開発が切望されている。
本発明者等は、このような要望に応えるべく鋭意検討した結果、泳動電着法を利用することにより,新規なメソポーラスシリカ厚膜が得られることを見出し、先に画期的な出願をしたところである(特許文献9)。
国際公開第91/11390号パンフレット 特開2002-338229号公報 特開2004-27270号公報 特開2002-250713号公報 特願2003-385662号公報 特開20002-250713号公報 特開2003-335516号公報 特開2004-345895号公報 国際公開第2006/112505号パンフレット Nature. 第359巻、710頁 Journal of Chemical Society Chemical Communications. 1993巻、680頁 J.Am.Chem.Soc.11410834(1992) Chemical Communications. 1996巻、1149頁 Nature. 第389巻、364頁 Nature. 第379巻、703頁
本発明は、かかる特許文献9に記載の発明を更に改良したものであり、環境や経時に依存することなくメソポーラスシリカ厚膜を長時間に亘り、高精度で、かつ再現性よく製造できる方法を提供することにある。
本発明者等は、先に提案したメソポーラスシリカ厚膜を更に効率よく製造する方法を鋭意検討した結果、電着液の溶媒として、水分量が低減されたアセトンを用いると、環境や経時に依存することなくメソポーラスシリカ厚膜を精度高く、かつ再現性よく製造することが知見し、本発明を完成するに至った。
この出願は、以下の発明を提供するものである。
〈1〉有機溶媒中でメソポーラスシリカを泳動電着させて基板表面にメソポーラスシリカ厚膜を製造する方法において、有機溶媒として、水分含有量が0.45%以下のアセトンを用いることを特徴とするメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
〈2〉低水分含有量のメソポーラスシリカを用いることを特徴とする〈1〉に記載のメソポーラスシリカ厚膜の造方法。
〈3〉メソポーラスシリカ厚膜が規則的構造に配列された厚さ10μm〜1mmの膜であること特徴とする〈1〉又は〈2〉に記載のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
〈4〉基板表面にメソポーラスシリカを泳動電着させることにより10μm〜1mmの厚さの膜を形成し、引き続き150〜500℃の温度で処理して付着する溶媒を取り除くことを特徴とする〈1〉から〈3〉のいずれかに記載のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
〈5〉前記メソポーラスシリカが1〜10nmの範囲で均一な細孔径を有することを特徴とする〈1〉から〈4〉のいずれか記載のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
本発明方法によれば、以下に示す顕著な作用効果が奏せられる。
a.環境や経時に依存することなく、長時間に亘ってメソポーラスシリカ厚膜を精度高く、かつ再現性よく製造することができる。
b.泳動電着法を用いることで、形成する膜厚を電圧や電圧印加時間を制御することで精密に制御することができる。
c.泳動電着法を用いることで、様々な形状の母材にメソポーラスシリカ厚膜を形成することが可能になる。
d.泳動電着法を用いることで、厚膜中に含まれるバインダーの量を減らす、あるいはバインダーを未使用にすることが可能になる。
e.大量生産性、低コスト化に有効である。
f.この厚膜を利用することにより水蒸気や各種ガスの迅速な吸脱着を可能となる。
このメソポーラスシリカ厚膜の水蒸気や気体の吸脱着特性は、メソポーラスシリカ粉末単体もしくはそれ以上であり、新たな吸脱着装置の開発が可能となり、これを利用したあらたな清浄化システムや濃縮システムの展開が可能となる。
本発明の泳動電着法によるメソポーラスシリカ厚膜の製造方法は、有機溶媒として、水分含有量が0.45%以下のアセトンを用いることを特徴としている。
本発明者等が提案した先の特許文献9に記載の発明は、泳動電着法を用いたことにより、10μm〜1mmの厚さのメソポーラスシリカ厚膜を創出できる点で、画期的なものということができる。
本発明者等は、このメソポーラスシリカ厚膜を長時間に亘って再現性よくかつ高精度で製造し得る好適な製造方法について検討を進めた結果、電着液として、0.45%という水分量が極めて低く制御されたアセトン溶媒を用いることが極めて有効であることを知見した。
先行発明(特許文献9)においても、有機溶媒としてアセトンを使用した旨の記載がされているが、この発明では具体的には、水分含有量が0.55%の市販の特級品を用いられている。
そして、本発明者等の検討によれば、このような高水分量のアセトンを用いた場合には、後記図2に示されるように、調整直後では、所望とする厚みのメソポーラスシリカ厚膜が作製できるが、調整してから1時間後の電着液の場合には厚みが極端に薄くなってしまい、調整直後のように所望の厚みのものを得ることができなくなり、厚膜の精度や再現性に劣るといった問題が惹起する。
本発明者等の検討によれば、このような問題を解消するには、図2に示されるように、少なくともアセトンに含まれる水分を0.45%以下とすることが知見された。
したがって、本発明においては、アセトンとして、水分含有量が0.45%以下、好ましくは、0.25%以下、更に好ましくは0.15%以下のものを用いることが必要である。
水分含有量が0.45%を超えたものたとえば0.55%のアセトンを使用した場合には、調整直後では、所望とする厚みのメソポーラスシリカ厚膜が作製できるが、調整してから1時間後の電着液の場合には厚みが極端に薄くなってしまい、調整直後のように所望の厚みのものを得ることができなくなり、厚膜の精度や再現性に劣るといった問題が生じる。
本発明で用いるアセトンとしては、たとえば、市販の脱水アセトン(約0.25%)、市販の特級アセトン(約0.50%)をモレキュラーシーブなどで脱水したアセトン(約0.15%)の他適宜方法でアセトンを脱水して所望の水分量としたアセトンなどを挙げることができる。
モレキュラーシーブで脱水する方法は一般的であるが、この場合には、アセトン500mlに対して、モレキュラーシーブ約50gを添加し、24時間静置処理すればよい。
本発明では、その作用を阻害しない範囲で、他の有機溶媒、たとえば無水メタノール、エタノールなどのアルコール類や無水ヘキサンなどの炭化水素溶媒を併用することができる。
なお、本発明における水分含有量は、カールフィッシャー法で測定した値を意味する。
本発明の厚膜の形成に用いるメソポーラスシリカは、好ましくは1〜10nmの範囲で均一な細孔径を有するものであり、その形状はヘキサゴナル構造であってもキュービック構造であってもよい。このようなメソポーラスシリカとしては、従来公知のものがいずれも使用できる。
たとえば、スプレードライ法で得られる10μm以下の微粉末のメソポーラスシリカや水熱合成法や溶媒揮発法で合成したメソポーラスシリカを、粉砕あるいは分級などにより粒径40μm以下にしたものなどが用いられる。
泳動電着には、電着浴にメソポーラスシリカ均一に分散させることが必要であり、そのためには、メソポーラスシリカは微粉末(粒径40μm以下)の形状とすることが望ましい。
したがって、上記スプレードライ法より得られたメソポーラスシリカを用いることが好ましい。
また、この原料メソポーラスシリカとしては、それに含有される水分量を調湿法や乾燥法により、可能な限り、少なくしておくこと、好ましくはほぼ水分を含まない状態としておくことが実際の製造現場における厚膜作製の点からみて好ましい。
以下、スプレードライ法によるメソポーラスシリカの代表的な合成例を説明する。
有機溶媒を反応容器に注入し、十分に撹絆する。これにシリケート化合物を添加し、酸及び界面活性剤の存在下に十分に撹絆処理を行い、加水分解させる。原料物質のシリケート化合物にはアルキルシリケート、アルコキシシリケートなどを用いることができる。酸は特別な酸に限定されない。取り扱いや得やすいことなどから、塩酸水溶液を添加して用いることができる。界面活性剤には、カチオン性またはノニオン性界面活性剤を用いることができる。
処理温度は常温で差しつかえない。このようにしてシリケート化合物の加水分解溶液を得ることができる。この溶液を噴霧乾燥装置(スプレードライヤ)により噴霧し、溶媒を揮発させることにより白色紛体を得る。
得られた白色紛体を焼成して、テンプレート(カチオン性あるいはノニオン性界面活性剤)を除去する。焼成温度は適宜設定する。一般には500〜700℃である。このようにして、1〜10nmの範囲で均一な細孔径を有する三次元規則性を有するメソポーラスシリカを得ることができる。
本発明方法で用いる基板は導電性物質により形成されるものであり、電極として用いる事ができるものであれば適宜採用することができる。このような基板には、ステンレス鋼,普通鋼,低合金鋼、A1、Cu等の金属材料やセラミックス,ガラス,陶磁器等の非金属材料がある。
導電性のない絶縁材料を基体として使用する場合、泳動電着に先立って、Ni、Cu等を無電解めっきし、或いはITO等の導電性セラミックスをコーティングすることによって導電性を付与することができる。
基板は板状の他,管状、角柱状などでの変形されている種々な形状のものであってよい。厚膜を基板の表面に形成するので、装置に組み込んで使用する場合には装置を構成する部材を基板として用いることができる。管状や角柱状の変形されている場合にはその形状にそって厚膜を形成することができる。
本発明のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法においては、前記メソポーラスシリカを前記アセトン溶媒中に分散させる。メソポーラスシリカは均一に分散させることが必要であり、微粉末(粒径40μm以下)の形態とすることが望ましい。
このアセトン溶媒中にメソポーラスシリカが分散されている中に電極板を設置し、OV超の有限の値から1000ボルトの電圧を印加する。
アセトン溶媒中でメソポーラスシリカは正に帯電し、アノード電極に向かって移動し、電極表面に規則的構造に配列された状態として析出させることができる。
一般に、電着量は、ある特定の時間内では時間の経過に応じて増加する。この時間帯を経過すると、電着量は一定となる。単位当たりに電着量と電着時間の関係も同様の経過をたどる。また、電着時間と電着厚膜も同様な経過をたどる。
このような予め測定してある結果に基づいて、電圧、電着時間を制御して1mm程度までの所望の厚さの電着膜を製造することができる。
本発明方法においては、電着液の有機溶媒として、水分含有量が極度の低下させたアセトンを用いたことから、環境や経時に依存することなく、長時間に亘ってメソポーラスシリカ厚膜を精度高く、かつ再現性よく製造することができる。
本発明方法においては、メソポーラスシリカは泳動電着させて、電極板表面に前記メソポーラスを規則的構造に配列された状態として厚膜を形成することができる。さらに、このようにして得られる厚膜を150〜500℃の温度下に、処理すると最終的に1mmオーダーの厚膜を形成固定することができる。
次に、本発明の泳動電着の工程を更に具体的に説明する。
図1は、本発明で用いられる泳動電着の代表的な装置を示す図である。
メスシリンダー4の容器中の泳動電着装置内に前記アセトン溶媒を入れ、前記のメソポーラスシリカ製造工程で得られたメソポーラスシリカを分散させる。
処理に際してスターラー等による撹絆でも適用できるが、超音波振動を与えることがより好ましい。その理由は、メソポーラスシリカ同士の積み重なりを防ぎ、メソポーラスシリカの配向性を高める効果があると考えられるからである。超音波振動を与える場合、一般に市販されている超音波洗浄器を用いる程度で充分であり、具体的には30W以上、20kHz以上の出力があれば充分である。メソポーラスシリカ粉末のアセトン溶媒中では、メソポーラスシリカ粉末は負に帯電するので、基板をアノードとし、対極にステンレス網を使用する。これらの電極を設置する。適宜、公知の電極を用いることができる。
電圧を一定時間印加することにより、メソポーラスシリカ粉末を電気泳動させ、管状ステンレス基板面にメソポーラスシリカ粒子を塗布することができる。特にメソポーラスシリカ/アセトン系電着浴2の場合には、メソポーラスシリカの良好な厚膜を形成することができる。電圧については、泳動電着装置の能力などによって変化する。直流電圧計5による電圧は、OV超の有限の値から1000Vの範囲のものが採用される。
「OV超の有限の値から1000Vの範囲」とは、本発明では泳動電着において電圧を印加することが必須であることを意味するものである。具体的には、その際の電圧の値は0であっては泳動電着を行うことができないから、電圧0を含むものではなく、0を超える値、例えば、0.01であっても、0.1であっても、1であっても、100Vであってもよいことを意味している。結論としては、0を超える電圧であり、1000Vまでの電圧が印加されれば、本発明は可能であることを意味している。
電着量は、ある特定の時間内では時間の経過に応じて増加する。この特定の時間帯を経過すると、電着量の増加はなくなり、やがて一定の値となる。単位当たりに電着量と電着時間の関係も同様の経過をたどる。また、電着時間と電着厚膜も同様な経過をたどる。
このような予め測定してある結果に基づいて所望の電着厚膜、電着量となるまで電圧を印加する。
前記の工程で得られる基板上に形成されたメソポーラスシリカ厚膜を取り出し、150〜500℃で処理して付着する溶媒を取り除き、緻密な膜からなるメソポーラスシリカ厚膜を形成することができる。
この場合、500℃を超える温度で処理するとその形状が破壊される恐れがある。また150℃未満では場合によっては十分な熱処理ができない場合があり、緻密な膜の形成が妨げられる結果となる。
得られたメソポーラスシリカの厚膜のメソポーラスシリカのX線回折分析(XRD)を行なうことにより、厚膜中のメソポーラスシリカは高い三次元規則性を有していることを確認することができる。また、メソポーラスシリカ厚膜について気体の吸着能を有するかどうかの試験を行なうことにより、気体の吸着能を調べることができる。
本発明で得られるメソポーラスシリカは、その均一かつ規則的な細孔構造から、水蒸気や有機蒸気の吸着能を有していることがわかる。具体的には水蒸気吸着剤として考えた場合、細孔径に応じて特定の狭い相対湿度範囲において、大きな吸脱着量を示し、吸着が毛管凝縮であることから、再生のための必要エネルギーも小さく、低温再生可能でかつ大きな吸着量をもつ新しい吸着剤(吸湿剤)としての大きな可能性をもつものであり、この吸着特性により、従来よく用いられているゼオライトやシリカゲルにはない優れた特性を有する空気清浄化システムの他各種生産ラインの気体清浄化設備に用いる事ができる。さらに希薄ガスを吸着処理して濃縮する装置への利用も可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
(1)メソポーラスシリカの合成
セチルトリメチルアンモニウムクロリド9.6gと、エタノール69gとを200m1のガラスビーカーに入れ、マグネチックスターラーを使用して撹搾した。溶解したところに、テトラエチルオルトシリケート31.2gと、塩酸水溶液(1×10 3M)27gとを加えて常温で1時間撹拝し、透明な加水分解溶液を得た。
この加水分解溶液を500mlナス型フラスコに移し、ロータリーエバボレーター(38rpm)を使用して25℃の温度および70hPa減圧状態で1時間24分反応させた。
その後の溶液をヤマト科学製(スプレードライヤーGS310)を用い、溶液を噴霧して溶媒を除去することにより、白色紛体を得た。このときの条件は噴霧ノズル径0.7mmφ、送液速度4.4g/min、噴霧入口温度80℃、噴霧圧力0.075Mpa、噴霧風量0.5m3/minであった。
得られた白色紛体を600℃で焼成して、カチオン性界面活性剤を除去した。得られたナノポーラス体のX線回折分析(XRD)、および窒素ガスによる吸着等温線により多孔構造の構造規則性の評価を行ったところ、得られたメソポーラスシリカは高い三次元規則性を有していた。
(2)メソポーラスシリカ厚膜の作製(1)
前記合成法により得られたメソポーラスシリカ粉末をそれぞれ水分含有量の異な4種類のアセトン(水分量0.25%、0.35%、0.45%、0.55%;水分含有量の測定;カールフィッシャー法)(10ml)に対して0.03gの割合で添加し、超音波を10分間照射して各種電着液を調製した。なお、メソポーラスシリカの電着浴中での粒度は10μm以下であった。
図1に示した実験装置を用い、表面積3.5cm2のアルミニウム板をアノード基板として、電着液調整直後と電着液調整御24時間後の上記各種電解液の100Vで10分間に亘っての電着実験を行った。その結果を図2に示す。図2から、アセトン中の水分量が0.45%までの電着液は、その調整直後であっても調整後24時間のいずれにおいても、その電着厚にそれほどの変化はみられないが、水分量が0.55%のアセトン電着液ではその電着量に著しい変化がみられ、調整後24時間経過したものは、その厚みが極端に減少していることがわかる。
このことから、アセトン中の水分量を0.45%以下にさげると、メソポーラシリカ厚膜の電着プロセスが長時間に亘って安定に操作できることがわかる。
(2)メソポーラスシリカ厚膜の作製(2)
上記(1)において、水分含有量が(a) 0.25%含水アセトンおよび(b) 5%含水アセトンを用い場合に得られた電着膜を観察した。この写真を図3に示す。
なお、電着条件は、粒子濃度:MPS0.03g/10mlアセトンで電着時間:10min、印加電圧50Vで電着を行った。
図3から、(a)の場合には、平滑できれいな電着膜が得られているが、(b)では表面が粗く、凹凸が存在し、平滑は電着膜が形成していないことがわかる。
本発明方法で用いられる代表的な泳動電着装置を示す図である。 アセトン中の水分量を詳細に制御して、乾燥メソポーラスシリカ粉末を電着浴調製後すぐ電着した場合と、電着浴調製後24時間後に電着した場合の電着量を示す図である。 (a) 0.25%含水アセトンおよび(b) 5%含水アセトンを用い場合に得られた電着膜の写真である
符号の説明
1 電着基板
2 電着浴
3 対極
4 直流電源

Claims (5)

  1. 有機溶媒中でメソポーラスシリカを泳動電着させて基板表面にメソポーラスシリカ厚膜を製造する方法において、有機溶媒として、水分含有量が0.45%以下のアセトンを用いることを特徴とするメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
  2. 低水分含有量のメソポーラスシリカを用いることを特徴とする請求項1に記載のメソポーラスシリカ厚膜の造方法。
  3. メソポーラスシリカ厚膜が規則的構造に配列された厚さ10μm〜1mmの膜であること特徴とする請求項1又は2に記載のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
  4. 基板表面にメソポーラスシリカを泳動電着させることにより10μm〜1mmの厚さの膜を形成し、引き続き150〜500℃の温度で処理して付着する溶媒を取り除くことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
  5. 前記メソポーラスシリカが1〜10nmの範囲で均一な細孔径を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のメソポーラスシリカ厚膜の製造方法。
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