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JP4951975B2 - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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本発明は、プロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、エポキシ化固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造するプロピレンオキサイドの製造方法である。
たとえばチタン含有珪素酸化物などのエポキシ化固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造する方法は公知である(たとえば特許文献1参照)。
ところが、連続的に運転するに伴い、固体触媒層の圧力損失が増大し、触媒の圧壊強度を超えてところで触媒が破壊してしまうといった問題点や、触媒の破壊を回避するために原料の供給流量を抑えて生産量を低減させなければならないといった問題点があった。
特開平2−42072号公報
かかる状況において、本発明の目的は、エポキシ化固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造するプロピレンオキサイドの製造方法であって、該製造に伴って上昇した固体触媒層の圧力損失による触媒の破壊、及び生産量の低減を余儀なくされるといった事態を回避することができるという優れた効果を有するプロピレンオキサイドの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、エポキシ化固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造するプロピレンオキサイドの製造方法であって、下記のプロピレン前処理工程を有するプロピレンオキサイドの製造方法に係るものである。
プロピレン前処理工程:エポキシ化反応器に供給されるプロピレンの少なくとも一部を処理する工程であって、プロピレン中に含有される含酸素有機化合物を除去する工程
本発明により、固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造するプロピレンオキサイドの製造方法であって、該製造に伴って上昇した固体触媒層の圧力損失による触媒の破壊、生産量の低減を余儀なくされるといった事態を回避することができるという優れた効果を有するプロピレンオキサイドの製造方法を提供することができる。
本発明においては、エポキシ化用固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造する。
エポキシ化反応に使用の固体触媒としては、目的物を高収率に得る観点から、チタン含有珪素酸化物触媒が用いられる。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に結合したチタンを含有する、いわゆるチタン−シリカ触媒が好ましい。たとえば、チタン化合物をシリカ担体に担持したもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したもの、あるいはチタンを含むゼオライト化合物などをあげることができる。
エポキシ化反応器に充填するチタン含有珪素酸化物触媒の粒子径は特に限定されず、反応器の形状・大きさ等を考慮して適宜決められるが、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.25〜5mmである。粒子径が小さすぎると、固体触媒層の圧力損失が大きくなる場合があり、一方、大きすぎるとプロピレンオキサイドの収率が低下する場合がある。
有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等をあげることができる。エポキシ化反応器に供給される有機過酸化物は、対応する炭化水素化合物(例えば、上記の有機過酸化物においてはそれぞれクメン、エチルベンゼン、イソブタン等)の酸化により合成される。該酸化反応の過程において発生する有機酸はエポキシ化触媒の触媒毒としても働く。そこで、エポキシ化反応器に供給される有機過酸化物としては、有機酸を除去したものを使用するのが好ましい。除去する方法としては例えば該酸化反応中または/および該酸化反応後においてアルカリ金属を含有する化合物の水溶液と接触させることが好ましい。アルカリ金属を含有する化合物としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を例示でき、これら化合物のいずれかまたはこれらの混合水溶液を用いることができる。水溶液中のアルカリ金属の濃度としては0.05〜10重量%であることが好ましい。該濃度が過小であると有機酸の除去効果が不十分となる場合があり、一方、該濃度が過大であると生成した有機過酸化物の分解反応が促進されて収率が低下する場合がある。アルカリ金属を含有する化合物の水溶液と接触後は、通常、油相/水相に分離され、有機酸は油相から除去される。ところが、エポキシ化反応器に供給される有機過酸化物がアルカリ金属を含有する化合物の水溶液と接触したものである場合、エポキシ化反応器の固体触媒層の圧力損失が増加するという問題が発生することがある。そのため、通常はさらに油相中に残存するアルカリ金属を含有する化合物を除去するために水と接触させた後油相/水相に分離するのが好ましい。必要であればこの操作は繰り返される。
水相と分離した後の油相には微量の水が含有されていることが多い。この水はエポキシ化反応の収率を低下させるとともに触媒毒としても働くので、できる限り取り除いておくことが好ましい。水を取り除く方法としては、コアレッサ−等の分離膜を用いて除去する方法、反応により消費して除去する方法、蒸留により除去する方法等を挙げることができるが、工業的観点から蒸留を用いて除去することが好ましい。この様にして得られた有機過酸化物を含有する溶液はエポキシ化反応器に供給される。
エポキシ化反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒は反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用される有機過酸化物溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえば、クメンハイドロパーオキサイドがその原料であるクメンとの混合物である場合や、エチルベンゼンハイドロパーオキサイドがその原料であるエチルベンゼンとの混合物である場合や、tert−ブチルハイドロパーオキサイドがその原料であるイソブタンとの混合物である場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。
エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は0.1〜10MPaであることが有利である。
エポキシ化反応器へ供給されるプロピレン/有機過酸化物のモル比は2/1〜50/1であることが好ましい。該比がその範囲より過小であると反応速度が低下して効率が悪く、一方、該比がその範囲より過大であると過剰量の未反応プロピレンをリサイクルするためにエポキシ化反応溶液中から分離・回収する工程において多大なエネルギーを必要とする。
本発明の固定床連続法における反応液(混合物)の液線速は、混合物の組成や固体触媒の粒子サイズによって適切な値は変わるが、一般に0.1〜3cm/secであることが好ましい。液線速がその範囲を下まわると反応器内の固体触媒層で偏流が起きる場合があり、一方、その範囲を超えると固体触媒層の圧力損失が増加する場合がある。
エポキシ化反応後の混合溶液中に含まれる未反応のプロピレンは分離・回収されてエポキシ化反応器へリサイクルされる。未反応のプロピレンを分離・回収する方法として蒸留を用いることができる。蒸留は通常反応液の中からプロピレンが気化しやすい条件を用いる。蒸留の条件としては、蒸留工程に供給される反応液の温度や組成によっても変化するが、通常、圧力はゲージ圧で0〜5MPa、好ましくは0〜3MPa、塔頂温度−50〜150℃、塔底温度50〜200℃、好ましくは80〜200℃をあげることができる。また、複数の蒸留塔を用いて段階的にプロピレンを蒸留する方法を用いてもよい。
この様にして分離・回収された未反応のプロピレンは、新たに供給されるプロピレンと混合されてエポキシ化反応器へ供給することができる。
ところが、本発明者らの検討によれば、エポキシ化反応器に供給されるプロピレンがエポキシ化反応後の未反応プロピレンを含有したものである場合に、エポキシ化反応器の固体触媒層の圧力損失が増加するという問題が発生した。さらにエポキシ化反応器に供給される有機過酸化物がアルカリ金属を含有する化合物の水溶液と接触したものであって、またエポキシ化反応器に供給されるプロピレンがエポキシ化反応後の未反応プロピレンを含有したものである場合、エポキシ化反応器の固体触媒層の圧力損失の増加が特に著しいという問題が発生した。
本発明においては、プロピレンに下記の前処理工程を施すことにより、前記の課題を解決することができた。
プロピレン前処理工程はエポキシ化反応器に供給されるプロピレンの少なくとも一部を処理する工程であって、プロピレン中に含有される含酸素有機化合物を除去する工程である。
含酸素有機化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、蟻酸、メタノール等を例示することができる。
含酸素有機化合物は、エポキシ化反応器内において発生するものである場合が多い。エポキシ化反応器内において発生した含酸素有機化合物は、エポキシ化反応後の混合溶液から分離・回収された未反応プロピレン中に含まれ、該プロピレンがエポキシ化反応器にリサイクル供給されるに伴い、エポキシ化反応器内に供給される。
プロピレン中に含有される含酸素有機化合物を除去する方法としては、水洗して除去する方法、蒸留により除去する方法、および/または吸着剤により除去する方法を挙げることができる。中でも、プロピレンを水洗する方法が、プロピレン中に含有される含酸素有機化合物を効率的に除去できるために好ましい。プロピレンを水洗する具体例をあげると下記のとおりである。
エポキシ化反応器に供給されるプロピレンは、通常エポキシ化反応後の混合溶液中から分離・回収された未反応のプロピレンと新たに供給されるプロピレンとの混合物である。プロピレンを水洗する方法としては、気体状のプロピレンを水と接触させることにより洗浄する方法や、液体状のプロピレンを水と接触させる方法等を挙げることができる。エポキシ化反応器に供給されるプロピレンが通常液体状であること、接触効率、接触に必要な容積等を考慮すると、液体状のプロピレンを水と接触させる方法が好ましい。液体状のプロピレンはエポキシ化反応器に供給される前に一部またはその全量を水と接触されることにより洗浄される。水との接触方法としては、単純に配管内に水を切り込むことにより配管内で混合して接触させる方法や、ミキサー等によって接触効率を上げる方法をとることができる。ミキサーの例としては、攪拌機と容器からなる攪拌混合器を挙げることができるが、接触効率が十分であればスタティックミキサーのような配管スケールのものを用いることもできる。接触条件としては、十分に洗浄がなされればいかなる条件を用いても構わないが、好ましい例としては、プロピレン/水の重量比が0.1〜200、接触温度が4〜120℃、接触時間が1〜1800秒(静置・分離時間を除く)をあげることができる。水と混合接触されたプロピレンは、静置により油相と水相に分離される。静置・分離の好ましい条件としては、静置・分離時間が1〜300分、温度が4〜120℃をあげることができる。洗浄・静置・分離後のプロピレン中の含酸素有機化合物濃度としては、各成分の濃度として200重量ppm以下となることが好ましい。このようなプロピレンが得られるように洗浄・静置・分離条件が選定される。分離された水相は含酸素有機化合物を含んでいるため、系外へと廃棄されるか、可能であれば他の工程において使用される。また、一部はリサイクルして再度プロピレンの洗浄に使用してもよい。分離された油相は、そのままエポキシ化反応器へ供給してもよいが、残存する水はエポキシ化反応の収率を低下させるとともに触媒毒としても働くので、できる限り取り除いておくことが好ましい。水を取り除く方法としては、コアレッサ−等の分離膜を用いて除去する方法、反応により消費して除去する方法、吸着剤により吸着除去する方法、蒸留により除去する方法等を挙げることができる。上記のように前処理されたプロピレンをエポキシ化反応器に供給することにより、固体触媒層の圧力損失の増大を抑えることができる。
上記のとおり、本発明により、有機過酸化物とプロピレンからプロピレンオキサイドを効率的に製造することができる。
以下に実施例により本発明を説明する。
実施例1
特開2004−195379号公報の実施例1に従い調製したTi含有珪素酸化物触媒を篩い分けで0.25〜0.5mmの粒径に揃え、SUS製の固定床流通反応器に充填した。25重量%クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液と下記のプロピレン前処理工程で得られたプロピレン(ホルムアルデヒド濃度10重量ppm未満)を重量比1:1、液線速2cm/secの条件で連続的にフィードしてエポキシ化反応を行い、同時に反応器の入口と出口の圧力変化を観察した。なお、反応温度は80℃とし、反応圧力は反応器出口側をゲージ圧で4.2MPaとした。本実験における固体触媒層の圧力損失に相当する反応器の入口と出口の圧力差の経時変化を図1に示す。
なお、上記で使用した25重量%クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液は、以下のようにして調製した。
クメンの空気酸化によって得られた酸化反応液を2重量%のアルカリ金属を含有する化合物の水溶液と接触させた後、油相/水相に分離し、続いて得られた油相を水と接触させた後、油相/水相に分離し、さらに得られた油相中に残る微量の水を蒸留により除去して、25重量%クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液を得た。
プロピレン前処理工程
エポキシ化反応後の混合溶液から分離・回収されたプロピレン(ホルムアルデヒドを50重量ppm含有)300g/hr、水30g/hrをそれぞれ、長さ7cmのスタティックミキサー(接触時間:約5秒)にフィードすることで、プロピレンを水洗した。このとき、接触温度を室温、系内圧力を2MPaとし、液体状のプロピレンと水を接触させて水洗し、続いて、静置してプロピレンと水相に分離した。得られたプロピレン中のホルムアルデヒド濃度は10重量ppm未満であった。
実施例1における固体触媒層の圧力損失に相当する反応器の入口と出口の圧力差の推移(経時変化)を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 固体触媒を充填したエポキシ化反応器に有機過酸化物とプロピレンを供給し、エポキシ化反応によりプロピレンオキサイドを連続的に製造するプロピレンオキサイドの製造方法であって、下記のプロピレン前処理工程を有するプロピレンオキサイドの製造方法。
    プロピレン前処理工程:エポキシ化反応器に供給されるプロピレンの少なくとも一部を水洗する工程であって、プロピレン中に含有される含酸素有機化合物を除去する工程
  2. プロピレン前処理工程に供給されるプロピレンが、エポキシ化反応後の混合溶液中から回収された未反応プロピレンを含むものである請求項1記載の製造方法。
  3. 固体触媒がチタン含有珪素酸化物触媒である請求項1記載の製造方法。
  4. エポキシ化反応器に供給される有機過酸化物が、有機酸が除去されたものである請求項1記載の製造方法。
  5. エポキシ化反応器における反応液の液線速が0.1〜3cm/secである請求項1記載の製造方法。
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