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JP4554040B2 - レーザによる歯車の熱処理方法および装置 - Google Patents

レーザによる歯車の熱処理方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面の熱処理方法、特に歯車等の谷形状に形成された部分を有する谷形状部分の表面を、レーザを用いて熱処理する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯車等の谷形状の部分、すなわち歯溝の強度を増すためには、歯溝表面に熱処理を施す事が不可欠であるが、工業的には電磁誘導加熱、浸炭、窒化等の方法によりこの熱処理を行っているのが現状である。
【0003】
ところが、上記電磁誘導加熱等の方法による場合は、熱処理の不要な歯先部分が過度に熱処理され、強度上好ましくない。また、上記電磁誘導加熱等の方法の場合、エネルギーロスも大きく、これに伴い熱処理歪みが大となる問題があった。
【0004】
ところで、近年、レーザを加熱手段とする熱処理方法が種々なされているが、図10の(B)に示すように、歯車2の歯溝の表面熱処理をするために、歯溝に対して直上にレーザビーム1を入射する方法がある。つまり、レーザビーム1の光軸が歯車2の歯溝の中心線付近となり、上記光軸を中心として、歯溝の両側の壁面が対称となるように、上記レーザビーム1が照射される方法がある。
【0005】
この図10に示す例の場合、硬化層9(図10の(B)の斜線部)の分布は、歯溝の側壁面では薄く、底面表面では厚くなり、不均一な熱処理しか施せない。
【0006】
このため、歯溝の底面に適切な厚みを有する硬化層9を形成することとした場合は、側壁面には十分な厚さの硬化層9が形成されない事になり、目的とする機械的強度を達成できない部分が発生する。
【0007】
これは、図10の(A)に示すように、レーザ1のパワー密度分布が、レーザ1の光軸の中心部分にピークをもつガウス分布であること、また、レーザ1の入射角が、歯底に対する角度θ2はほぼ90度であるのに対し、側壁面に対する角度θ1は、90度以下の角度となり、レーザ1の側壁面に対する吸収率が著しく低下することから、歯溝の側壁面と底面とで、吸収されるエネルギーの差が、互いに大きく異なることに起因するものである。
【0008】
これを解決する方法として、例えば、特開61−284519号公報に記載された技術がある。この公報記載の技術は、図11に示すように、歯溝の側壁面及び歯底面部にレーザの吸収剤3を予め塗布することにより、レーザの吸収剤3の塗布された部分が、加熱し易い歯先部分より多くのエネルギーを吸収するため、均等に熱処理することができるものである。
【0009】
また、特開60−215715号公報に記載された技術によれば、レーザ熱処理方法において、図12に示すように、レーザビーム発生装置40から発生されたレーザ1は、三角柱状のミラー5により2つのレーザに分岐される。
【0010】
そして、分岐された各レーザ1は、全反射ミラー6により反射され、反射されたそれぞれのレーザ1は、それぞれ、凸レンズ7により集光されたあと、互いに対向する歯2の側壁面にレーザ1が照射されて、歯車2がレーザにより熱処理される方法である。
【0011】
また、特開昭60−9828号公報に記載された技術によれば、図13に示すように、レーザ1を、面に孔が形成され回転される回転ホイール8に照射して、この回転ホイール8により反射されるか、この回転ホイール8を通過するかにより、通過経路と時間とを分岐し、レンズ7、鏡体6を介して、歯車2の側面部分を交互に入射角度を設けて照射して、熱処理する方法がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開61−284519号公報に記載された技術のように、レーザ1の吸収剤3を塗布する方法は、吸収剤3の塗布作業工程が増加するため、熱処理全体の作業時間が増加し、量産上、好ましいものではない。
【0013】
また、特開60−215715号公報に記載されたの技術のように、レーザ1を分岐し、分岐したレーザ1を反射ミラー6により折り返し、それぞれを、凸レンズ7により集光させたあと、対向する歯の側壁にレーザ1を照射する熱処理の場合、1つの歯形形状を熱処理する場合はよいが、歯車2の歯の間隔やサイズが異なったものを熱処理する場合には、レーザ1の照射位置を変更することが非常に困難である。
【0014】
つまり、特開60−215715号公報記載の技術にあっては、歯車2の歯の間隔やサイズが異なったものを熱処理する場合には、2つの反射ミラー6の互いの位置関係、2つの凸レンズ7の互いの位置関係、ミラー5と反射ミラー6と凸レンズ7と歯車2との相対位置関係を変更調整しなければならず、その調整が非常に困難であるという問題がある。
【0015】
また、特開昭60−9828号公報に記載された技術のように、レーザ1を回転ホイール8により、時間分岐し歯の側壁に対し交互に、入射する熱処理方法の場合、図14に示すように、一方向からのレーザと他方向からのレーザとの照射が重なる部分Aは、一方向からのレーザ1による熱処理後に、他方向からのレーザ1により、再入熱されるため、焼き鈍しの状態になり所望の硬化層9が得られないという問題が発生する。
【0016】
例えば、図15に示すように、歯底が平面状となった形状の歯形の場合は、歯底部分であるB部の軟化は歯の強度上、許容される。
【0017】
これに対して、図14に示すような、歯底が平面状ではなく、U字形状のような歯形の場合には、歯底A部の軟化は、応力集中部であるため、歯車2の歯溝の強度を著しく低下させるという問題が発生する。
【0018】
本発明の目的は、複雑な調整を伴うこと無く、種々の形状及び寸法の歯車の歯溝表面の硬化層を均一化することが可能な、レーザによる歯車の熱処理方法及び装置を実現することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
(1)レーザによる歯車の熱処理方法において、レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを光学系部の2つのレーザ整形部に導入すること、上記2つのレーザ整形部を、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズで構成し、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置すること、楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを上記2つのレーザ整形部において整形して歯溝に照射し、かつ歯車の軸方向に上記楕円形状の2つのビームスポットを相対的に移動し、歯車に入熱を行うこと、上記光学系部の2つのレーザ整形部のそれぞれに上記複数のレンズの1つとしてウエッジ基板を配置し、このウエッジ基板を回転させることにより、上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整する。
【0020】
(2)また、レーザによる歯車の熱処理方法において、レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを2つの光学系部の2つのレーザ整形部に導入すること、上記2つのレーザ整形部を、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズで構成し、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置すること、楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを上記2つのレーザ整形部において整形して歯溝に照射し、かつ歯車の軸方向に上記楕円形状の2つのビームスポットを相対的に移動し、歯車に入熱を行うこと、上記2つの光学系部の間隔を調整する手段を設け、この手段を駆動して上記2つの光学系部の間隔を調整するすることにより、上記レーザ整形部のレンズ中心軸の間隔を調整して上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整する。
【0021】
(3)レーザによる歯車の熱処理装置において、2つのレーザビームを発生するレーザビーム発生手段と、上記レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを導入し、この2つのレーザビームを楕円形状の2つのレーザビームスポットを形成するよう整形して照射する光学系部と、歯車をその中心軸に対して回転させる回転テーブルと、上記光学系部から出射されたレーザビームの光軸を、歯車の軸方向に相対的に移動させる移動手段と、上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの間隔を調整する調整手段とを備え、上記光学系部は、上記楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを整形して歯溝に照射する2つのレーザ整形部を有し、上記2つのレーザ整形部は、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズを含み、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置され、上記調整手段は、上記光学系部の2つのレーザ整形部のそれぞれに上記複数のレンズの1つとして配置されたウエッジ基板を有し、このウエッジ基板を回転させることにより、上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整する。
【0022】
(4)また、レーザによる歯車の熱処理装置において、2つのレーザビームを発生するレーザビーム発生手段と、上記レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを導入し、この2つのレーザビームを楕円形状の2つのレーザビームスポットを形成するよう整形して照射する2つの光学系部と、歯車をその中心軸に対して回転させる回転テーブルと、上記2つの光学系部から出射されたレーザビームの光軸を、歯車の軸方向に相対的に移動させる移動手段と、上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの間隔を調整する調整手段とを備え、上記2つの光学系部は、上記楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを整形して歯溝に照射する2つのレーザ整形部を有し、上記2つのレーザ整形部は、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズを含み、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置され、上記調整手段は、上記2つの光学系部の間隔を調整する手段を有し、この手段を駆動して上記2つの光学系部の間隔を調整することにより、上記レーザ整形部のレンズ中心軸の間隔を調整して上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整する。
【0023】
(5)また、好ましくは、上記(3)又は(4)において、上記2つのレーザビームを、楕円形状の2つのレーザビームスポットを形成するよう整形して照射する2つのレーザ整形部は、それぞれ、シリンドリカルレンズを有する。
(6)また、好ましくは、上記(5)において、上記2つのレーザ整形部、それぞれ、上記シリンドリカルレンズとして1つのシリンドリカル凸レンズを有する。
【0024】
楕円状の2つのレーザビームを、上記楕円状のレーザビームの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、2つのレーザビームのそれぞれのパワー密度の頂点が歯底面を間とする側壁面に位置するように、歯車の歯溝の歯底面に対して垂直方向から、歯車に照射し、照射した2つのビームスポットを歯車の軸方向に移動させる。
【0025】
これにより、レーザが90度未満の入射角で入射され、エネルギーの吸収率が低い側壁面にパワー密度の頂点部分が照射され、レーザがほぼ90度の角度で入射され、エネルギーの吸収率が高い歯底面にパワー密度が低い部分が照射されるため、歯車の歯溝全体に亘って、ほぼ均一化した入熱量となり、歯溝の硬化層もほぼ均一化される。
【0026】
また、2つのレーザビームの光軸は、互いに平行に近い状態で歯車2に照射される構成となっているため、2つのレーザビームの互いの間隔を調整する手段は、簡単な構成で実現することができる。
【0027】
したがって、複雑な調整を伴うこと無く、種々の形状及び寸法の歯車の歯溝表面の硬化層を均一化することが可能な、レーザによる歯車の熱処理方法及び装置を実現することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態であるレーザによる歯車の熱処理方法及び装置が適用されるレーザ熱処理装置の概略構成図である。
【0029】
図1において、本発明が適用されるレーザ熱処理装置には、2つの電源11及びレーザ発振器4からレーザ1を伝送するための2つの光ファイバ13が配置されている。
【0030】
また、レーザ熱処理装置は光学系部14を備えており、この光学系部14には、2つの光ファイバ13の端部をフロントフォーカス位置とし配置された2つの凸レンズ16(後述)が配置され、光ファイバ13から出射されたレーザ1をコリメートする。
【0031】
また、光学系部14の凸レンズ16の後段には、レーザ形部が配置されており、レーザ1は、レーザ形部の集光レンズにより、歯車2の歯の谷部を中心に図2に示すような分布の2つの楕円スポット10を形成する。
【0032】
レーザ熱処理装置は、駆動系15を備え、この駆動系15は上記光学系部14に連結され、光学系部14を歯車2の軸方向に、歯車2に対して相対的に移動させる。
さらに、レーザ熱処理装置には、歯車2をこの歯車2の中心を回転中心として回転させる回転テーブル(図示せず)が設置してあり、図1に示すように、レーザ光学系部14の中心軸Cが、歯車2の歯溝のほぼ中心点を通過する配置となるように、回転位置決めする。
【0033】
これにより、2つのレーザスポット10は、図3に示すように、それぞれ、歯の側壁に照射される。
なお、コントローラ12は、駆動系15及び電源11の動作を制御する。
【0034】
上述した凸レンズ16の後段のレーザ整形部の3つの構成例を図4に示す。なお、図4の(A)、(B)、(C)に示した各光学系は、片側部分の構成のみであるが、実際には2つの同一の光学系が並んだ構成となる。
【0035】
図4の(A)に示した例において、凸レンズ16を通過したレーザ1は、シリンドリカル凸レンズ17、シリンドリカル凹レンズ18、集光レンズ7を介して歯車2に照射され、スポット10となる。
【0036】
この図4の(A)に示した例の場合、シリンドリカル凹レンズ18の焦点距離をf1とし、シリンドリカル凸レンズ17の焦点距離をf2とすると、シリンドリカル凸レンズ17とシリンドリカル凹レンズ18との互いの距離D1は、D1=f1+f2の位置に配置される。
【0037】
また、図4の(B)に示した例において、凸レンズ16を通過したレーザ1は、シリンドリカル凸レンズ17、シリンドリカル凸レンズ17、集光レンズ7を介して歯車2に照射され、スポット10となる。
【0038】
この図4の(B)に示した例の場合、前段のシリンドリカル凸レンズ17の焦点距離をf’1 とし、後段のシリンドリカル凸レンズ17の焦点距離をf’2とすると、2つのシリンドリカル凸レンズ17の互いの距離D2は、D2=f’1+f’2の位置に配置される。
【0039】
また、図4の(C)に示した例において、凸レンズ16を通過したレーザ1は、シリンドリカル凸レンズ17、集光レンズ7を介して歯車2に照射され、スポット10となる。
【0040】
図4の(A)、(B)、(C)に示した例のうち、最も好ましいものとしては、シリンドリカル凸レンズ17を1枚を配置する図4の(C)の例と考えられる。
これは、上述したシリンドリカルレンズを2枚配置する光学系の場合、装置構成上、距離D1もしくは距離D2のスペースを確保する必要があり、装置サイズをコンパクトにするためには、焦点距離f1、f2(またはf’1 、f’2)を小さくする必要がある。この場合、2枚のシリンドリカルレンズの組み合わせの調整要素が多く、調整が非常に困難である。
しかし、シリンドリカルレンズを1枚のみ使用する構成であれば、楕円スポット10を形する方式の場合、長焦点のシリンドリカルレンズを使用するため、シリンドリカルレンズ配置の調整が非常に簡便となり、調整要素が少なくて済むためである。
【0041】
ところで、上述した従来技術のように、歯車2の歯溝の表面熱処理をするために、図5に示すように、歯溝に対し直上にレーザ1を入射すると、硬化層9(図5の(B)の斜線部)の分布は側壁面では薄く、底面の表面では厚くなり、不均一な熱処理しか施せない。
これは、歯溝の底部に適厚な硬化層9を形成した場合は、側壁面に十分な厚さの硬化層9が形成されないからであり、入射されるレーザ1のパワー密度分布が、図5の(A)に示すように、レーザ光軸の中心部分にピークをもつガウス分布であること、レーザ1の入射角が歯底に対しては鉛直であるのに対し、側壁面では90度以下の角度となり、レーザ1の側壁面に対する吸収率が著しく低下することから、側壁面と底面とにおける吸収率分布が、図5の(C)に示すように、側壁面より底面が高くなるという分布となることに起因するものであった。
【0042】
これに対して、本発明の実施形態であるレーザによる歯車の熱処理方法及び装置においては、光学系部14から歯車2に出力されるレーザ1のパワー密度分布は、図6の(C)に示す歯溝のエネルギー吸収率分布に対し、図6の(A)、(B)に示すように、歯の側壁部に高いパワー密度分布のレーザ1が照射され、歯底には低いパワー密度分布のレーザが照射されるため、歯側面の低い吸収率を補う形での入射となる。
これにより、図6の(D)に示すように、歯溝全体の入熱量をほぼ均一にすることが可能となり、この分布を上述した歯車2の軸方向の移動手段により移動させることにより、歯溝の表面に対し均一な熱処理を行うことが可能となる。
【0043】
さらに、上記構成において、レーザ熱処理装置に対しウェッジ基板をレーザ整形部の前段もしくは集光レンズ7の前段に配置することにより、集光レンズ7に対しレーザ光の入射角を変化させることが可能である。
【0044】
図7は、ウェッジ基板19を集光レンズ7の前段に用いた場合の例であり、レーザ整形部は、シリンドリカル凸レンズ17を1枚を使用した例である。
【0045】
この図7に示すように、ウェッジ基板19を配置することにより、楕円スポット10の歯車2における位置は、集光レンズ7の中心軸Caに対して変位した位置となる。
【0046】
そして、ウエッジ基板19を、その軸を中心として回転すると、集光レンズ7の中心軸Caに対して変位した楕円スポット10は、ウェッジ基板19の回転に伴って、図8に示すように、回転移動する。
【0047】
このことにより、左右のスポット10の位置関係は、ウェッジ基板19の角度と回転方向により決定することとなる。
【0048】
また、左右のスポット10は、ウエッジ基板19を図8に示す回転方向に回転させた場合、つまり、右側のウェッジ基板19を反時計方向に回転させ、左側のウェッジ基板19を時計方向に回転させた場合、図8中の左側スポット10は、1→2→3→・・・→7→8のように連続的に移動する。また、図8中の右側スポット10は、1’→2’→3’→・・・→7’→8’のように連続的に移動する。
【0049】
そして、図7中の右側のウエッジ基板19の回転角を、左側のウエッジ基板19の回転角と同一量だけ逆回転させれば、相対的にある程度任意に、左右のスポット10の位置関係を変更することが可能である。
【0050】
これにより、2つのスポット10は、歯車2の円周方向に存在した状態で、互いの間隔を調整することが可能である。
【0051】
したがって、熱処理する対象である歯車2の歯幅が変更になった場合は、ウエッジ基板19の回転量を調整し、レーザの出力パワーを調整することにより対応可能である。
【0052】
図9は、2つのスポット10の互いの間隔を調整する他の例を示す図である。
図7に示した例は、ウェッジ基板19を回転させることにより、2つのスポット10の互いの間隔を調整する例であるが、図9に示す例は、2つ光学系部14の互いの間隔を調整することにより、2つのスポット10の互いの間隔を調整する例である。
【0053】
図9の(A)は、2つの光学系部14の互いの間隔を調整して、2つのスポット10の互いの間隔を調整する手段の上面を示し、図9の(B)は、上記調整手段の側面を示す。
【0054】
図9において、モータ30を駆動することにより、台形ギアが回転し、左右の2つのスライダー22が互いに接近する方向又は離間する方向に移動する。このスライダー22には、それぞれ、光学系部14が取り付けられている。
【0055】
したがって、モータ30の駆動により、2つの光学系14の互いの間隔を調整して、2つのレーザスポット10の互いの間隔を調整することができる。
【0056】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、光軸が互いに平行な楕円状の2つのレーザビーム1を、上記楕円状のレーザビーム1の長手方向を歯車2の円周方向と一致させ、2つのレーザビーム1のそれぞれのパワー密度の頂点が歯底面を間とする側壁面に位置するように、歯車2の歯溝の歯底面に対して垂直方向から、歯車2に照射し、照射した2つのビームスポット10を歯車2の軸方向に移動させる。
【0057】
これにより、レーザ1が90度未満の入射角で入射され、エネルギーの吸収率が低い側壁面にパワー密度の頂点部分が照射され、レーザ1がほぼ90度の角度で入射され、エネルギーの吸収率が高い歯底面にパワー密度が低い部分が照射されるため、歯車2の歯溝全体に亘って、ほぼ均一化した入熱量となり、歯溝の硬化層もほぼ均一化される。
【0058】
また、2つのレーザビーム1の光軸は、互いに平行となった状態で歯車2に照射される構成となっているため、2つのレーザビーム1の互いの間隔を調整する手段は、簡単な構成で実現することができる。
【0059】
したがって、複雑な調整を伴うこと無く、種々の形状及び寸法の歯車の歯溝表面の硬化層を均一化することが可能な、レーザによる歯車の熱処理方法及び装置を実現することができる。
【0060】
なお、2つのレーザスポット10の互いの間隔を調整する手段としては、図7及び図9に示した例の他に、図4に示した集光レンズ7又は凸レンズ16を移動することにより、2つのレーザスポット10の互いの間隔を調整することもできる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、複雑な調整を伴うこと無く、簡単な制御や調整で、種々の形状及び寸法の歯車の歯溝表面の硬化層を均一化することが可能な、レーザによる歯車の熱処理方法及び装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるレーザによる歯車の熱処理方法及び装置が適用されるレーザ熱処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるレーザビームのパワー密度の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるレーザビームスポットの歯車への照射位置を説明する図である。
【図4】レーザ整形部の構成例を示す図である。
【図5】本発明と比較するための従来技術におけるレーザのパワー密度と歯溝の吸収率とを説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるレーザのパワー密度と、歯溝の吸収率と、歯溝への入熱量とを説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態における2つのレーザスポットの間隔を調整する手段の一例を示す図である。
【図8】図7の例のレーザスポットの照射位置を変更する場合の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態における2つのレーザスポットの間隔を調整する手段の他の例を示す図である。
【図10】従来技術におけるレーザによる歯車の熱処理方法の一例を示す図である。
【図11】従来技術におけるレーザによる歯車の熱処理方法の他の例を示す図である。
【図12】従来技術におけるレーザによる歯車の熱処理方法のさらに他の例を示す図である。
【図13】従来技術におけるレーザによる歯車の熱処理方法のさらに他の例を示す図である。
【図14】従来技術における問題点の説明図である。
【図15】従来技術における問題点の説明図である。
【符号の説明】
1 レーザ
2 歯車
4 レーザ発振器
7 集光レンズ
10 楕円レーザスポット
11 電源
12 コントローラ
13 光ファイバ
14 光学系部
15 軸方向駆動系
16 凸レンズ
17 シリンドリカル凸レンズ
18 シリンドリカル凹レンズ
19 ウエッジ基板
20 モータ
21 台形ギア
22 スライダ

Claims (6)

  1. レーザによる歯車の熱処理方法において、
    レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを光学系部の2つのレーザ整形部に導入すること、
    上記2つのレーザ整形部を、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズで構成し、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置すること、
    楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを上記2つのレーザ整形部において整形して歯溝に照射し、かつ歯車の軸方向に上記楕円形状の2つのビームスポットを相対的に移動し、歯車に入熱を行うこと、
    上記光学系部の2つのレーザ整形部のそれぞれに上記複数のレンズの1つとしてウエッジ基板を配置し、このウエッジ基板を回転させることにより、上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整することを特徴とするレーザによる歯車の熱処理方法。
  2. レーザによる歯車の熱処理方法において、
    レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを2つの光学系部の2つのレーザ整形部に導入すること、
    上記2つのレーザ整形部を、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズで構成し、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置すること、
    楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを上記2つのレーザ整形部において整形して歯溝に照射し、かつ歯車の軸方向に上記楕円形状の2つのビームスポットを相対的に移動し、歯車に入熱を行うこと、
    上記2つの光学系部の間隔を調整する手段を設け、この手段を駆動して上記2つの光学系部の間隔を調整するすることにより、上記レーザ整形部のレンズ中心軸の間隔を調整して上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整することを特徴とするレーザによる歯車の熱処理方法。
  3. レーザによる歯車の熱処理装置において、
    2つのレーザビームを発生するレーザビーム発生手段と、
    上記レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを導入し、この2つのレーザビームを楕円形状の2つのレーザビームスポットを形成するよう整形して照射する光学系部と、
    歯車をその中心軸に対して回転させる回転テーブルと、
    上記光学系部から出射されたレーザビームの光軸を、歯車の軸方向に相対的に移動させる移動手段と、
    上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの間隔を調整する調整手段と、
    を備え、
    上記光学系部は、上記楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを整形して歯溝に照射する2つのレーザ整形部を有し、
    上記2つのレーザ整形部は、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズを含み、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置され、
    上記調整手段は、上記光学系部の2つのレーザ整形部のそれぞれに上記複数のレンズの1つとして配置されたウエッジ基板を有し、このウエッジ基板を回転させることにより、上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整することを特徴とするレーザによる歯車の熱処理装置。
  4. レーザによる歯車の熱処理装置において、
    2つのレーザビームを発生するレーザビーム発生手段と、
    上記レーザビーム発生手段から発生された2つのレーザビームを導入し、この2つのレーザビームを楕円形状の2つのレーザビームスポットを形成するよう整形して照射する2つの光学系部と、
    歯車をその中心軸に対して回転させる回転テーブルと、
    上記2つの光学系部から出射されたレーザビームの光軸を、歯車の軸方向に相対的に移動させる移動手段と、
    上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの間隔を調整する調整手段と
    を備え、
    上記2つの光学系部は、上記楕円形状の2つのレーザビームスポットの長手方向を歯車の円周方向と一致させ、上記楕円形状の2つのビームスポットが上記歯車の歯溝の歯底面を間とする側壁面に位置するように、上記2つのレーザビームを整形して歯溝に照射する2つのレーザ整形部を有し、
    上記2つのレーザ整形部は、それぞれ、レンズの中心を結んだレンズ中心軸が同軸上に位置する複数のレンズを含み、かつ2つのレーザ整形部間でそれぞれのレンズ中心軸が平行となるように配置され、
    上記調整手段は、上記2つの光学系部の間隔を調整する手段を有し、この手段を駆動して上記2つの光学系部の間隔を調整することにより、上記レーザ整形部のレンズ中心軸の間隔を調整して上記楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を可変とし、熱処理の対象である歯車のピッチに対応して、楕円形状の2つのビームスポットの互いの照射位置間隔を調整することを特徴とするレーザによる歯車の熱処理装置。
  5. 請求項3又は4のうちのいずれか一項記載のレーザによる歯車の熱処理装置において、上記2つのレーザビームを、楕円形状の2つのレーザビームスポットを形成するよう整形して照射する2つのレーザ整形部は、それぞれ、シリンドリカルレンズを有することを特徴とするレーザによる歯車の熱処理装置。
  6. 請求項5記載のレーザによる歯車の熱処理装置において、
    上記2つのレーザ整形部は、それぞれ、上記シリンドリカルレンズとして1つのシリンドリカル凸レンズを有することを特徴とするレーザによる歯車の熱処理装置。
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