JP4449025B2 - フユーエルデリバリパイプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子制御燃料噴射式自動車用エンジンの燃料加圧ポンプから送給された燃料をエンジンの各吸気通路あるいは各気筒内に燃料噴射ノズル(インジェクタ)を介して供給するためのフユーエルデリバリパイプの改良に関し、特に燃料通路を有する連通管と燃料噴射ノズルを受け入れるソケット(ホルダー)部分の接続構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
フユーエルデリバリパイプは、ガソリンエンジンの電子制御燃料噴射システムに広く使用されており、燃料通路を有する連通管から複数個の円筒状ソケットを介して燃料インジェクタに燃料を送った後、燃料タンク側へと戻るための戻り通路を有するタイプと、戻り通路を持たないタイプ(リターンレス)とがある。最近はコストダウンのため戻り通路を持たないタイプが増加してきたが、それに伴い、燃料ポンプ(プランジャポンプ)やインジェクタのスプールの往復運動に起因する反射波や脈動圧によって、フユーエルデリバリパイプや関連部品が振動し耳ざわりな異音を発するという問題が発生するようになってきた。
【0003】
本発明者の研究によれば、内燃機関の回転速度が上昇するにつれて各ソケット部分での燃料噴射による燃料圧力振動のオーバーラップが増大し、異音の発生が増進させられることが判明した。これは、
(a)燃料が噴射されるとインジェクタと直結しているソケット内の圧力が急速に低下する
(b)ソケットは連通管に比べてその接続口径が小さいが圧力伝搬に抵抗を生じることがない
(c)燃料が噴射されると連通管内にも直ちに圧力降下の影響が伝搬する
(d)この圧力伝搬により各種騒音が発生する、ためと考えられる。
この結果、燃料噴射に伴い、ソケット内の圧力降下が連通管内に直ちに伝搬し、燃料流路内の圧力変動に伴って各種不具合が発生しているものと考えられる。
【0004】
特開平11−2164号「フユーエルデリバリ」は、この問題に着目し、燃料配管系の脈動共振回転数をアイドル回転数以下にすべく、デリバリ本体を板金プレスで製造し、デリバリ本体の剛性と内容量とを一定範囲に設定することを提案している。しかしながら、フユーエルデリバリパイプの本体は断面が円形又は四角形の鋼管を用いて作られるタイプが多く、エンジンの仕様や強度あるいはコストの問題から上記の方法を採用することは問題が多い。
特公平3−62904号「内燃機関用燃料レイル」は、インジェクタラップ騒音を防止するために、ダイヤフラムを用いて連通管内部をソケット側と管壁側とに仕切り、ダイヤフラムの可撓性によって脈動及びインジェクタの残留反応を吸収するようにしている。しかしながら、連通管の長手方向に可撓性のダイヤフラムを配置するにはシール部材が必要になる等、構造が複雑化し、全体の形状が限定されることになって多種多様なエンジンの仕様に対応できないという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、燃料噴射に伴う燃料流路内での圧力変動を抑制し、燃料の反射波や脈動圧に起因する振動を抑制して、異音の発生や各種の不具合を防止することが可能なフユーエルデリバリパイプの構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の前述した目的は、その第1の態様として、直線状に延びる燃料通路を内部に有する連通管と、この連通管の端部又は側部に固定された燃料導入管と、前記連通管のソケット受入穴に挿入されて前記燃料通路に連通しかつ開放端部が燃料噴射ノズルの先端を受け入れる複数のソケットとを備えて成る内燃機関用のフユーエルデリバリパイプにおいて、前記ソケットの燃料流入口の周囲の着座面に燃料の脈動圧を吸収するための小隔室から成る燃料溜空間を連結固定し、前記小隔室の壁面には少なくとも1つのオリフィス孔を形成して前記連通管内部と連通させるようにし、前記小隔室の外周形状は連通管に設けられた前記ソケット受入穴を通過して連通管の外部から内部へと進入可能な形状に作られており、前記小隔室の内容積を燃料噴射ノズルの1回の噴射量よりも大きく設定し、前記小隔室の少なくとも1つの壁面を可撓性のアブゾーブ面で構成したことを特徴とするフユーエルデリバリパイプによって達成される。
【0007】
【作用】
かかる構造を採用することにより、本発明のフユーエルデリバリパイプによれば、燃料がオリフィス孔を通過する際の抵抗によって振動が緩衝されることと、噴射ノズルによる噴射量の一部が小隔室内に燃料溜りとして一時的に蓄積され順次排出されることによって小隔室がダンパーとして作用し、燃料流路内の圧力変動を抑制して、インジェクタの反射波や連通管の減衰能に起因する振動や脈動による異音の発生を防止することができる。
【0008】
小隔室の外周形状は連通管に設けられたソケット受入穴を通過して連通管の外部から内部へと進入可能な形状に作られており、製作時にはソケットと小隔室をろう付け又は溶接により一体に連結固定した後でソケット受入穴から挿入すればよいので、フユーエルデリバリパイプの製作が容易になる。
小隔室内部の燃料溜空間の内容積は燃料噴射ノズルの1回の燃料噴射容量以上に設定する。燃料噴射時に燃料溜空間内の圧力が少し降下することはあっても、噴射量や噴粒の粒径、到達距離や速さにはあまり影響がない。
【0009】
オリフィス孔の寸法は、噴射終了後、次の噴射までの間に、前回噴射された分が通過できる程度に細くしておくことが望ましい。これにより、噴射時の燃料溜空間内の圧力降下が連通管内部へと伝搬するのを最小限に抑制することが可能になる。かくして、燃料流路内の圧力変動が低く抑えられ、各種騒音が低下することになる。
【0010】
オリフィス孔によって振動が緩衝される理論的な根拠としては、燃料噴射ノズルの開閉時に発生する衝撃波が、オリフィス孔を通過する際に、
(a)小隔室に衝突した瞬間に小隔室が撓んで衝撃エネルギを吸収し、燃料の圧力変動を吸収する
(b)小隔室に設けられたオリフィス孔を通過する瞬間に小隔室が撓んで衝撃エネルギを吸収し、燃料の圧力変動を吸収する
(c)オリフィス孔から連通管の内部へ入る際にその方向を曲げることにより衝撃エネルギを吸収し、燃料の圧力変動を吸収する
(d)オリフィス孔を通過して連通管に入る際に容積が急膨張して衝撃エネルギを吸収し、燃料の圧力変動を吸収する、ものと理解される。
【0011】
本発明における小隔室の少なくとも1つの外壁面を可撓性のアブゾーブ面(ダンピング面)で構成することにより、このアブゾーブ面が衝撃エネルギをより吸収することになり、減衰効果を高めることが可能になる。
例えば、小隔室は薄肉の鋼管から成るじゃばら形状に形成、あるいは皿ばね状薄板の溶接や電鋳などにより成形し、このじゃばら形状がアブゾーブ面となって衝撃を吸収することができる。
【0012】
また、衝撃波がオリフィス孔から連通管の内部へ入る際に、その方向をできるだけ大きく曲げて減衰効果を高めるために、オリフィス孔は左右にオフセットさせたり、側面に向けて開口させることができる。さらに小隔室の内部に多数のバッフルプレートを介在させて衝撃波によるエネルギー伝播のベクトル方向を反対向きに多数転向させたり、壁面との間に小さな隙間を設けるなどして、減衰効果を高めることが望ましい。
【0013】
本発明において、小隔室の形状・板厚・長さなどは、特にエンジンのアイドリング時において振動や脈動が最も小さい値になるように実験や解析によって定めることができる。
【0014】
本発明は基本的にフユーエルデリバリパイプの内部構造に係るものであるから、従来のフユーエルデリバリパイプに対して互換性を維持することができる。本発明の他の特徴及び利点は、添付図面の実施例を参照した以下の記載により明らかとなろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるフユーエルデリバリパイプ(トップフィードタイプ)10の基本的な全体形状を表しており、四角形断面、円形断面、その他の断面形状の鋼管から成る連通管11がクランク軸方向に沿って延伸し、連通管11の側部にコネクタ5を介して燃料導入管2がろう付けや溶接で固定されている。連通管の端部には燃料タンクに戻るための戻り管を設けることができるが、燃料の脈動圧が特に問題となるリターンレスタイプのフユーエルデリバリパイプでは、戻り管は設けられていない。
【0016】
連通管11の底面には、噴射ノズルの先端を受け入れるためのソケット3が3気筒エンジンであれば3個が所定の間隔、角度で取り付けられている。連通管11には、さらにフユーエルデリバリパイプをエンジン本体に取り付けるための厚肉で堅固なブラケット4が2個横方向に架け渡されている。燃料は矢印の方向へと流れ、ソケット3から燃料インジェクタ(図示せず)を介して各吸気通路あるいは各気筒へと噴射される。
【0017】
図2は本発明の第1の態様によるフユーエルデリバリパイプ20を断面で表しており、連通管21の内部に燃料通路21aが直線状に延びている。複数のソケット3は、その取付側端部が連通管21のソケット受入穴7に挿入され、開放端部が燃料噴射ノズルの先端を受け入れるようになっている。
本発明に従い、連通管21内でソケット3それぞれの燃料流入口13の周囲の着座面13aに、燃料の圧力変動を吸収するための小隔室22から成る燃料溜空間23が接続配置されている。小隔室22の外形は連通管21のソケット受入穴7を通過可能な形状に作られており、図2の例では、じゃばら状の断面を有するパイプ形状に作られている。
各小隔室22はその内容積が可能な限り燃料噴射の1回の噴射量より大きくなるように設けられ、その頂部にはオリフィス孔25が穿設されている。小隔室22の内部はオリフィス孔25を介して連通管21の内部と連通状態が保たれている。
【0018】
図3Aは第1実施例における小隔室部分の断面図であり、四角形断面の連通管21と小隔室22との位置関係を表している。小隔室22は全体が薄肉の鋼管で作られ、じゃばら形状の断面全体、好ましくはソケット3の燃料流入口13と対向する面28は可撓性のアブゾーブ面(ダンピング面)を提供するように、弾性変形可能に作られている。
【0019】
かくして、燃料がオリフィス孔25を通過する際の抵抗によって振動が緩衝されることと、噴射ノズルの噴射量の一部が小隔室22内に燃料溜り23として一時的に蓄積され順次排出されることによって小隔室22がダンパーとして作用し、燃料流路内の圧力変動を抑制して、インジェクタの反射波や連通管の減衰能に起因する振動や脈動による異音の発生を防止できることになる。
【0020】
また、燃料噴射直後に燃料流入口13を通過する衝撃波は小隔室22内に流入した瞬間にアブゾーブ面28に衝突するため、アブゾーブ面28が撓むと同時にじゃばら形状の小隔室22全体も撓んで衝撃エネルギを吸収すると共に、オリフィス孔25を通過して連通管21内に入る際に容積が急膨張しかつその方向を変えることにより衝撃エネルギを吸収し、燃料の圧力変動を吸収するものと理解される。
【0021】
図3Bは連通管と小隔室の変形例を表しており、このフユーエルデリバリパイプ30は円形断面の連通管31の内部にじゃばら形状断面の小隔室32が収納されている。図3Aの例と同様に、小隔室32の頂部にオリフィス孔35を設け、かつアブゾーブ面38及び小隔室32の壁面全体を可撓性のアブゾーブ面で構成することにより、同様に衝撃吸収効果を高めることができる。
【0022】
図4は小隔室の他の変形例を表しており、このフユーエルデリバリパイプ40は四角形断面の連通管41の内部に筒状の小隔室42が収納され、その内部に複数のバッフルプレート46がラビリンス(迷路)状に配置されている。これは、前述したように、衝撃波がソケット内部を通過しオリフィス孔から連通管の内部へ入る際に、その通過方向をできるだけ大きく曲げる共に通過距離を増大させて減衰効果を高めるためである。すなわち、バッフルプレート46と壁面との間の小さな隙間49を介してオリフィス孔45へと燃料が通過していくと共に、衝撃波がエネルギーの伝播方向を反転しつつバッフルプレート46を迂回しかつ小さな隙間49及び細径のオリフィス孔45を通過することにより衝撃吸収効果を高めるようになっている。
この例でも、小隔室42の壁面全体、あるいはトッププレート48だけを可撓性のアブゾーブ面で構成することにより、同様に衝撃吸収効果をさらに高めることができる。
【0023】
図5A,Bはさらに他の変形例を表しており、このフユーエルデリバリパイプ50は小隔室の他の変形例を表しており、四角形断面の連通管51の内部に水平断面が楕円形をした筒状の小隔室52が収納されている。オリフィス孔55は頂部ではなく側面に穿設されて減衰効果を高めるようになっている。この例でも、小隔室52の壁面全体、あるいはキャップ58だけを可撓性のアブゾーブ面で構成することにより、同様に衝撃吸収効果を高めることができる。
この実施例ではキヤップ58が、薄肉の金属、例えばSPCC、SPHC、SUS等の帯板材から絞り加工などの塑性加工によって作られ、小隔室52の頂部に固着されることにより、小隔室52の末端部分までが撓むのを容易にし、衝撃吸収効果を高めている。
【0024】
【発明の効果】
以上詳細に説明した如く、本発明のフユーエルデリバリパイプによれば、燃料がオリフィス孔を通過する際の抵抗によって振動が緩衝され、衝撃波が小さな隙間を通過しながら迂回したり細径のオリフィスを通過し方向が変化することなどにより衝撃吸収効果が発揮され、噴射ノズルによる噴射量の一部が小隔室内に燃料溜りとして一時的に蓄積され順次排出されることによってダンパーとして作用し、燃料流路内の圧力変動を抑制して、インジェクタの反射波や連通管の減衰能に起因する振動や脈動による異音の発生や各種不具合の発生を防止することができる等、その技術的効果には極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフユーエルデリバリパイプの全体を表わす正面図である。
【図2】フユーエルデリバリパイプの第1実施例の縦断面図である。
【図3】図2のフユーエルデリバリパイプのソケット部分の断面図である。
【図4】他の実施例によるフユーエルデリバリパイプの縦断面図である。
【図5】他の実施例によるフユーエルデリバリパイプの縦断面図である。
【符号の説明】
2 燃料導入管
3 ソケット
7 ソケット受入穴
10,20,30,40,50 フユーエルデリバリパイプ
11,21,31,41,51 連通管
13 燃料流入口
13a 着座面
21a 燃料通路
22,32,42,52 小隔室
25,35,45,55 オリフィス孔
46 バッフルプレート
Claims (1)
- 直線状に延びる燃料通路を内部に有する連通管と、この連通管の端部又は側部に固定された燃料導入管と、前記連通管のソケット受入穴に挿入されて前記燃料通路に連通しかつ開放端部が燃料噴射ノズルの先端を受け入れる複数のソケットとを備えて成る内燃機関用のフユーエルデリバリパイプにおいて、
前記ソケットの燃料流入口の周囲の着座面に燃料の脈動圧を吸収するための小隔室から成る燃料溜空間を連結固定し、前記小隔室の壁面には少なくとも1つのオリフィス孔を形成して前記連通管内部と連通させるようにし、前記小隔室の外周形状は連通管に設けられた前記ソケット受入穴を通過して連通管の外部から内部へと進入可能な形状に作られており、
前記小隔室の内容積を燃料噴射ノズルの1回の噴射量よりも大きく設定し、
前記小隔室の少なくとも1つの壁面を可撓性のアブゾーブ面で構成したことを特徴とするフユーエルデリバリパイプ。
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