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JP4305001B2 - 光触媒薄膜を備えた物品 - Google Patents

光触媒薄膜を備えた物品 Download PDF

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JP4305001B2
JP4305001B2 JP2003045249A JP2003045249A JP4305001B2 JP 4305001 B2 JP4305001 B2 JP 4305001B2 JP 2003045249 A JP2003045249 A JP 2003045249A JP 2003045249 A JP2003045249 A JP 2003045249A JP 4305001 B2 JP4305001 B2 JP 4305001B2
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大五郎 嘉本
知司 大石
研 高橋
卓男 川口
鉄雄 石川
由香 廣田
典子 嶋崎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒機能を有する粒子を塗膜中に分散した光触媒薄膜及びそれを備えた物品に係わり、特に耐熱性の低い材料である有機高分子材料、特に汎用の熱加塑性プラスチック製部品の表面に薄層状に酸化物光触媒薄膜を形成した物品に関する。また、紫外線ランプや、屋外の太陽光等の強力な紫外線の得られない、室内で用いるのに好適な物品の全体あるいは一部表面に酸化物光触媒薄膜を備えた物品に関する。
【0002】
例えば空気洗浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機,暖房機,加湿機,除湿機,空気調和機,加熱調理器具,電磁調理器具,ヘアードライヤー,脱臭機,こたつ等の電動送風機を利用して、空気の流れを作り出す装置類に関する。
【0003】
これらの電気製品類表面に付着する、空気中に浮遊している各種の汚れ成分や微生物類を、生活環境下での光によって、光触媒機能により分解して、防汚,消臭,抗菌,防黴,濡れ性改善等の表面特性を得るための技術およびその物品に関する。
【0004】
【従来の技術】
近年、TiO2 光触媒を用いた有機物の分解作用を利用して、防汚,脱臭,抗菌効果を発現する材料が注目を集めている。これは非特許文献1に記載のような半導体光触媒の酸化還元反応を用いたもので、TiO2薄膜をセラミックスタイルに形成したものが提供されている。
【0005】
一方、成膜法としては酸化物薄膜は基板上にスパッタリングのような物理的方法によるものとゾルゲル法のような塗布法などの化学的な方法によるものとがある。前者は真空装置等を用いて低い温度で成膜が可能である。後者はスピンコート,スプレーなど簡単な装置で基板上に塗布し、通常数百℃の温度で処理することによって膜を得ることができる。抗菌防臭用の材料であるTiO2はアナターゼ型の結晶が有効であり、機能発現には結晶化が有効であることが報告されている(特許文献1,特許文献2)。またTiO2にV,Fe等を添加して高性能化したものが報告されている(非特許文献2)。
【0006】
上記のような材質や手法を用いて各種装置類へ酸化物光触媒薄膜を応用した事例としては、以下のような発明が知られている。
【0007】
空気清浄機すなわち、室内の空気中の塵埃類や悪臭物質を取り除くことを目的とした装置については、特許文献3や特許文献4や特許文献5にあるような、TiO2を主成分とする光触媒を担持したフィルターを内包し、これに紫外線ランプなどの手段を用いて短波長の光を照射する機構を設けた技術である。
【0008】
また、扇風機への応用例としては、特許文献6にあるような、金属部品の表面にTiO2を主成分とする光触媒の薄膜を約600℃で焼成する技術が知られている。
【0009】
また特許文献7のようにファンへの応用事例でも、発光ダイオードを付設して紫外線を照射する機構が知られている。
【0010】
換気扇への適用事例としては、特許文献8にあるような紫外線ランプを併用したような構成が公知である。
【0011】
また、掃除機や厨芥処理機の通気経路中に設置する脱臭フィルターとしての応用事例としては、特許文献9に見られるような、TiO2を主成分とする光触媒を粉末状にして、プラスチック繊維シートで包込んでヒートシールしたような技術が提案されている。
【0012】
【特許文献1】
No.(PTC)WO 94/11092
【特許文献2】
No.(PTC)WO 95/15816
【特許文献3】
特開平8−266841号公報
【特許文献4】
特開平8−266605号公報
【特許文献5】
特開平8−309148号公報
【特許文献6】
特開平7−303819号公報
【特許文献7】
特開平9−38189号公報
【特許文献8】
特開平5−157305号公報
【特許文献9】
特開平7−108175号公報
【非特許文献1】
ニューセラミックス(1996)No.2,55
【非特許文献2】
W.Choi,A.Termin,M.R.Hoffmann,J.Phys.Chem.,98,13669−13679(1994)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術を用いて耐熱性の低い基材、例えばプラスチック製部品上への酸化物薄膜を形成するためには不充分な点がある。ゾルゲル法により成膜したものには上記文献にも記載されている抗菌,防臭材として抗菌タイルがあるが、酸化チタンを結晶化させるために数百℃、少なくとも300℃以上の熱処理が必要である。従って、プラスチック類、特に汎用の熱加塑性プラスチック類のような、耐熱性の低い基材上への成膜は困難である。
【0014】
また、屋内のような光強度の低い環境においては、TiO2自体の有機物の分解等の分解速度が、充分でなく、特に配設した別の光源を必要とするという問題点も抱えたものであった。
【0015】
前述したような本発明の対象とする装置類は、一般家庭やオフィスなどの屋内空間で用いる家庭電化製品を主としたものであるが、これらの製品類は主として有機高分子材料(プラスチック)が用いられている。ガラス部品が多く使われるテレビやパソコン類のモニターを例外として、一般の家庭電化製品類の部品の素材としては、重量比で約40〜50%がプラスチックであり、残りのほとんどが金属類から成る。容積比では、90%近くをプラスチックが占めている。プラスチックは、軽量化が容易で、意匠性が高く、価格的にも安価である等の理由で広く用いられているが、中でも特に熱加塑性プラスチックは、成形作業の量産性の高さから多く使われている。
【0016】
最も広範に用いられる構造部材としての汎用プラスチックとしては、ポリプロピレン(PP),アクリルブタジエンスチレン共重合体(ABS),スチレンアクリル共重合体(AS),ポリスチレン(PS),ナイロン(PA),ポリカーボネート(PC),塩化ビニル(PVC),メタクリル(PMMA),ポリエチレン(PE),ポリアセタール(POM),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられるが、いずれの材料も300℃を越える環境での変形には耐えることができない。
【0017】
例えば、ASTM,D−648(18.6kg/cm2)の熱変形温度は250℃近辺である。特殊な高耐熱性樹脂としてガラス繊維等を練り込んだポリフェニレンサルファイド,ポリフェニレンオキサイド,ポリエーテルイミドといったようなものもあるが、非常に高価で上記のような用途で大量に用いることができない。
【0018】
一般に耐熱特性の高い素材ほど、価格が高く、特に外装部品などに多く用いられるのがPE,PS,ABS,PP,PVCで、これらで平均してプラスチック部品類の75%以上を占める。この中で最も耐熱性の高いABSでも前述のASTM熱変形温度は120℃以下であり、300℃では完全に溶解して液状になり、酸化分解も進む。
【0019】
また、金属類などの無機材料の表面に塗料を塗布した面を対象とする場合でも、300℃を越える耐熱性を有する材料は限定される。通常、塗料には熱硬化性樹脂が用いられる。例を挙げると、ポリエステル,アクリル,メラミン,エポキシ,ウレタン等が代表例であり、150℃程度の温度で焼き付けるのが一般的である。これらの塗料も、300℃を越える環境に曝されると、光沢を消失したり、剥がれが出るなどの問題の発生することが多い。
【0020】
これらのデータが示すように、汎用の材料に、従来の技術ではゾルゲル法により成膜するには耐熱特性上の大きな問題があった。
【0021】
一方、300℃を越えない温度範囲内で膜を形成する方法である、スパッタリング,CVD,真空蒸着法といったような物理的方法では、真空装置等の大がかりな装置が必要であり生産コストが高い。また、成膜時高真空下において膜が形成されるため、酸化物光触媒の組成比ずれが大きく、光触媒性能が悪化する。さらに、成膜時には有機材料を基板とする場合、逆スパッタされ基板にダメージを与え、基板の変形等を招く等の問題点がある。また、ゾルゲル法のような塗布法による化学的な方法においては、酸化物微粒子を分散させたシリカゾルを用いた場合、耐熱性の無い基板上への成膜は、熱処理の温度が低いために充分な焼結ができず、形成した酸化物膜の強度及び耐水性が不充分となる。
【0022】
以上のような理由から、従来既存の技術では、一般的な電化製品に用いる有機高分子材料の表面に、変形や劣化などのダメージを与えることなく、TiO2を主成分とした光触媒の薄膜を形成することが事実上困難であった。
【0023】
本発明の目的は、耐熱性の乏しい材料、例えばプラスチックや塗料の表面上にも形成可能な高活性な光触媒薄膜を形成した抗菌,防汚,脱臭効果を有した物品を提供することにある。
【0024】
一方、TiO2等を主成分とした光触媒の有機物分解効果自体を高める工夫については、前記の光触媒応用技術の発明の中では言及がない。
【0025】
すなわち、TiO2を含む膜の光活性度を改善するための材料配合上の工夫がなされていない。従って、例えば、脱臭を目的とした従来公知の利用法である、特開平8−309148号公報や、特開平8−266605号公報の場合、あるいは、たばこのヤニ等による汚れを分解するような利用法である、特開平9−38189号公報の場合や、調理時の油などの汚れを分解するような用途への応用例である特開平5−157305号などにおいて、いずれのものも光触媒自体の活性度が充分でないために、紫外線を照射する機構や、加熱手段などを併設することで分解反応を高めている。
【0026】
これらは、光強度が少ない場合のTiO2自体の有機物分解速度が、充分でないことが最大の原因であり、これを高めるための工夫がなされていないので、光強度を増すための手段として、紫外線ランプなどを併用しているものである。紫外線ランプとしては、通常高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが用いられるが、電源装置や、冷却機構などの機構が必要となり、応用製品全体の重量や価格アップにつながる。また、ランプの寿命が2000時間程度であり、定期交換作業が必要となるなど、実用性に問題があった。
【0027】
従来技術では、TiO2にFe,Vを添加して分解効率を上げるための技術が公知ではあるが、数百℃の高温処理を行い高性能化しており、低融点の耐熱性に乏しい基板材料への応用が困難である。
【0028】
本発明の別の目的は、低温で成膜できる光触媒膜の、光分解効率を、TiO2単体での分解効率より向上させて、従来必要とされた光強度より少ない強度でも付着物を分解できるようにすることにある。
【0029】
また従来技術では、抗菌性や防臭,脱臭といった用途においては、対象とする物質が有機物であり、また対象物が微細粒子あるいは分子状であるために、付着した液状の有機物や微粒子状の有機物は分解することができたが、大きなサイズの繊維類や塵埃類については、有機物であっても分解に非常に時間がかかったり、あるいは、土ぼこりを中心とした無機物の分解は極めて困難であり、汚染防止の用途においては、不完全なものであった。これらの汚れは、一般に電気的に帯電した状態で空気中に浮遊しているために、電気絶縁性の高い個体表面に付着すると、その静電気がなかなか放電されず、付着したままの状態になってしまう。付着した無機物汚れによって光が遮られて、光触媒面に充分な光が照射されず、有機物の分解効率を低下させる問題もあった。
【0030】
本発明の別の目的は、これら光触媒の酸化分解効果では原理的に分解除去することが困難な、大きなサイズの塵埃類や、無機物系の汚れが、静電気力によって対象とする部材にしないようにすることにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機などのような電動送風機を駆動させて空気流を発生させる機構を有する、主に屋内で用いる電気製品の部品の中で、空気流路やその空気流路中の濾過機構や、あるいは室内照明光の当たる外装部品類の表面に低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を設けることにある。
【0032】
対象とする部品の素材の融点または分解温度が300℃以下であり、特に、汎用の熱加塑性プラスチックからなる成形部材や、繊維部材,発泡体部材,シート状部材には、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を設けることによって、従来の問題であった、汚染,微生物繁殖,悪臭発生等の問題が解決される。
【0033】
本発明では、TiO2を主体とする酸化物光触媒の薄膜の膜厚の最適化,TiO2粒子径の最適化,電気陰性度の低い適当なイオンの添加,SiO2をバインダーとする場合のTiO2との混合比の最適化,電気親和力の高い酸化物半導体の添加,適当な貴金属類の添加等の配合処方により、光触媒の反応の活性度を向上させた薄膜を上記の電気製品の空気流路や外装部品表面に形成することにより、従来不可能であった、室内光レベルでの防汚,脱臭,微生物繁殖抑制効果を得ることができるようになったものである。また膜の積層化によって酸化分解に弱い有機物系の下地へのダメージを防止できる。
【0034】
同時に本発明では、SiO2やTiO2を主体とする無機ポリマーの薄膜を形成させる工程中に、有機金属化合物の金属原子と有機基との結合を破壊させるために必要な特定波長を含む電磁波を照射し、加水分解反応を促進する工程を取り入れることにより、無機ポリマーの高分子化が低温で行えるようになったために、上記のような耐熱性の低い、汎用の熱可塑性プラスチック表面にも、変形や溶融,分解などが生じない程度の低温で強固な酸化物光触媒薄膜の強度が得られるようになったものである。
【0035】
以下、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜の詳細な内容について説明をする。
【0036】
酸化物光触媒であるTiO2微粒子が分散している酸化物光触媒薄膜中に、電気陰性度が1.6より小さく、イオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下のイオンを添加したことにより反応効率が改善されたものである。具体的な添加する元素としてはNa,Li,K,Sr,Mg,Ca,Znが特に有効であり、これらの元素の添加量としては0.5〜20wt%が好ましい。TiO2微粒子の大きさは5〜20nmに調整すると最も有効的である。
【0037】
またTiO2微粒子がSiO2中に分散している酸化物光触媒薄膜においては、TiO2/SiO2の重量比が9〜5であることが好適である。
【0038】
前記酸化物薄膜の膜厚は100〜500nmであることが望ましい。
【0039】
添加する成分が前記のイオンに加えてさらに、少なくとも電子親和力が1.2以上の金属元素から構成される酸化物半導体を主体とする酸化物微粒子が分散していると更に効果が増す。特に元素がSn,Fe,Crからなるものが好適である。その添加量は2〜50wt%が好ましい。中でもATO(アンチモン添加酸化スズ。アンチモンの重量割合は、1%から10%が望ましい。)を主体とする酸化物微粒子は特に効果が大きい。これら半導性の微粒子を添加すると、膜自体の表面抵抗値が低下するために、酸化分解できない無機系の汚れを含めて汚れ自体が静電気付着しにくくなる。
【0040】
更に酸化物光触媒薄膜を複数の積層構造にしても有効であり、表面より数えて第1層はSiO2中にTiO2微粒子が分散してあり、その膜中には前記のイオンが添加してあり、表面より数えて第2層には、前記の酸化物半導体を主体とする酸化物微粒子が分散しているものである。これにより酸化に対して耐久性の低いプラスチックなどの表面でもダメージを与えることなく効果的に光触媒が機能する。また同第2層にはFe,Al,Zrのうち少なくとも一種が添加してあると更に効果的である。
【0041】
添加成分が前記のイオンに加えてさらに、Pt,Rh,Pd,Ag,Cu,Niのうち少なくとも一種を添加すると効果的である。
【0042】
TiO2は光触媒としての機能を有しており、有機物の分解による抗菌,消臭,防汚等の作用を持つ。その機能は半導体であるTiO2が光特に紫外線を照射すると生じる電子とホールに起因する。半導体であるTiO2はバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると、電子とホールを生成する。生成した電子とホールはTiO2表面に吸着した水を分解してHラジカルとOHラジカルを生成する。このOHラジカルが有機物と反応することにより、有機物を分解することができる。この様な機構で光触媒は有機物等を分解しているが、さらに反応速度を大きくするには以下の二つの手段がある。第1は一つの活性点の仕事量を多くすることで、第2は活性点の数を多くすることである。活性点の数を多くするには、表面積を大きくすること、すなわちTiO2を微粒子化することにより達成できる。また、活性点の仕事量を多くするためには、TiO2(アナターゼ)の結晶化を良くすることと、電子とホールの再結合を防止することである。以上を満足することにより反応速度を大きくすることができる。しかし、TiO2(アナターゼ)の結晶化を良くすることと表面積を大きくすることは相反することであり、両立は困難である。すなわち、結晶性を向上することは粒子径の増加を招き、表面積は低下してしまう。従って、結晶性を向上させる方向と表面積を大きくさせる方向との間に、最適域が存在する。その最適領域は本発明の多くの実験結果より5〜20nmであることを見出した。TiO2微粒子を分散させる場合に無機バインダーとして使用する酸化物の種類を変えてもこの粒子径の範囲で分解速度が大きくなった。
【0043】
電子とホールの再結合を防止することにより反応速度を向上させるには、電子とホールの分離効率をあげることにより達成される。TiO2表面にはTi欠陥が存在する。この欠陥は電子とホールの再結合点となり、反応を阻害する。ここに、イオン半径がTiと同程度のイオンが添加されると表面のTi欠陥に侵入し、欠陥が消滅し再結合点が減少する。さらに、正イオンで存在するため、電子を引き付けホールと分離でき、有機物の酸化反応を促進することができる。本発明は、このような効果を有する添加剤の条件が電気陰性度が1.6より小さく、イオン半径が0.2nmより小さいものが有効であることを見出した。
【0044】
さらに、本発明は他の酸化物半導体微粒子の添加によっても高性能化できること見出した。これはキャリア濃度の小さいTiO2にキャリア濃度の大きな酸化物半導体より、キャリアを注入することにより達成される。従って、酸化物半導体からTiO2にキャリアが流れやすいようにする必要がある。酸化物半導体の電子親和力がTi以下であるとショットキーバリアが形成される。そこで、添加する材料は電子親和力が1.2ev以上である必要がある。
【0045】
また、本発明ではFe,Al,Zrを添加するとTiO2の光触媒が失われる事も見出した。有機物を主体とする基板材料を用いた場合、光触媒作用により基板を自己破壊するという問題がある。
【0046】
そこで、本発明は基板と光触媒の間にバリア層を形成するが、このバリア層にFe,Al,Zrを添加することで、完全に自己破壊を抑制することができる。さらに、高性能なバリア層であるため、膜厚を十分薄くすることが可能となった。ATOなどの導電性微粒子を添加した場合及び積層した場合は、光触媒の性能を向上すると共に、帯電防止機能が付与されることによって、有機物の分解だけでなく、空気中に浮遊しているほこりなどの無機物の付着を防ぎ、より高性能な防汚機能を提供できる。また、本発明では上記のような活性が高く、従来より微弱な光照度で分解することができ、あるいは、帯電防止機能を有しているので、汚れとなる微粒子自体が静電気で付着しにくい特性をもつ高活性光触媒の薄膜を、廉価で汎用性の高いものの、従来の膜の形成方法では耐熱性が不充分の素材表面に膜形成できるようにした。
【0047】
このためには、チタンやシリコンを含む、低分子量の有機金属化合物と水とを含む溶液を、無機ポリマー化し高分子化する際に、該有機金属化合物の金属原子と有機基との結合を破壊させるために必要な特定波長を有する電磁波を照射する工程を入れることで、該有機金属化合物の加水分解反応が促進され、前記溶液中に金属酸化物のプレポリマーが形成され、膜形成温度を低くすることができる。
【0048】
該特定波長の電磁波とは、紫外線光が最も好ましい。低分子量の有機金属化合物と水とを含む溶液を、被着体表面に塗布した後に、紫外線光などの該有機金属化合物の金属原子と有機基との結合を破壊させるために必要な特定波長を有する電磁波を照射するようにし、同時に加熱乾燥するか、あるいは、電磁波照射工程の後に塗膜を加熱乾燥するようにするのが最も望ましい。
【0049】
また、従来の技術で用いられていた光触媒性を有する酸化チタン粒子を無機薄膜中に分散したものでは、酸化チタンのみから構成される光触媒に比べ、酸化チタンの占有面積が小さい分、性能が低下するという問題があった。特に、膜強度を必要とする場合は無機バインダーを多く添加し、強度を強くするが活性は著しく低下するという問題があった。
【0050】
そこで本発明の目的は、酸化チタンがバインダー中に分散した構成であっても、高活性な光触媒材料を提供し、生活環境下でも充分機能する光触媒を用いた製品を提供することにある。特に光触媒のセルフクリーニング特性を利用し、製品の部品交換及び洗浄回数を低減させる。
【0051】
上記課題を解決するため、本発明は酸化チタンからなる光触媒にATO,RuO2を添加する。また、Li,Na,Mgのいずれか一種を添加する。
【0052】
また、本発明は酸化チタン粉末に直接ATO粒子をコーティングすることで異種半導体界面の接合状態を良好にする製造法である。さらに、本発明は前処理として高温処理し、コーティング時は120℃程度の低温で成膜が可能なコーティング方法である。
【0053】
酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより小さい場合は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成され、添加した酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入できず効果が現れない。これに対して酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより大きい場合は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成されず、オーミック接合となり、容易に酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入され、有効に機能する。特にATOは、電子親和力はTiより若干小さいが、その差はほとんど無いため性能向上が見られる。これは導電性酸化物であるATOはキャリア濃度が高く、ATOの大量のキャリアがTiO2中に注入され、光触媒の活性が向上する。
【0054】
また、近年ATOについては導電性酸化物として注目され、超微粒子が市販されている。TiO2光触媒に超微粒子ATOを添加してより簡単にATO添加TiO2光触媒を作製することが出来る。ただしこのような超微粒子ATOを用いた場合、超微粒子ATO添加ではTiO2微粒子に接触したATO粒子も存在するが、SiO2中に存在する粒子もあり、効率的でない。一方、本発明の製造法の場合はTiO2微粒子にあらかじめATO溶液を添加し焼成するため、ATOとTiO2粒子の接触面積が大きく、さらに焼成により接合状態も良好で異種半導体間での電子移動もスムーズとなる。またp型半導体であるRuO2は、n型半導体であるTiO2,ATOが光を吸収し生成した電子とホールのうちホールを引き付けるため、電子とホールの再結合を抑制することが出来る。したがって、光を吸収して生成した電子及びホールを有効に触媒反応へ利用でき、更に分解率を向上できる。
【0055】
また、Li,Na,Mgの添加はそれらのイオン半径がTiのイオン半径と近く、TiO2表面のTi欠陥に容易に侵入し、結晶の安定性を増加させる。また、Li,Na,Mgはイオン性が強いため電子を引き付け易く、光を吸収し生成した電子とホールを分離し反応効率を大きくすることができる。
【0056】
本発明の成膜法は、120℃程度で作製が可能であり、セラミックス基板はもちろんのこと、プラスチック材料への応用が可能である。通常のゾルゲル法では、400℃程度の温度が必要であるためプラスチック製品への応用が困難であったり、TiO2の結晶化に10分以上の時間が必要である。一方、本発明の作製法は低温で成膜が可能であるため、使用できる基材が豊富で、どの様な表面にも光触媒を成膜できる。また、数分間という短時間処理が可能で生産コストの大幅な低下が可能である。
【0057】
本発明は、酸化チタンからなる光触媒にRSO(RuSrO3)を添加したものである。また本発明はSTO(SrTiO3),RSO,バインダーからなる光触媒である。さらに、本発明はLi,Na,Mgのうちいずれか一種を添加することを特徴とする光触媒である。
【0058】
また、本発明は、半導体光触媒粉末に直接RSOをコーティングすることで異種半導体間の界面の接合状態を良好にする製造法であって、さらに、前処理として高温処理し、コーティング時は120℃程度の低温で成膜が可能なコーティング方法である。
【0059】
RSO添加光触媒は、RSOとTiO2が接触することで、RSOのホールをTiO2光触媒が利用することにより、光触媒の性能が向上する。一方、触媒の酸化活性は、光の吸収により生成した電子とホールの酸化還元作用に起因する。特に生成したホールは、水酸化ラジカルを生成し強力な酸化作用を生じる。RSOはp型半導体であり大量のホールを有する。RSOとTiO2が接触することにより、TiO2中にホールが注入され、TiO2表面で有機物等を酸化させ、光触媒の活性を向上することができる。
【0060】
Li,Na,Mgはイオン半径がTiのイオン半径と近く、TiO2表面のTi欠陥に容易に侵入し、結晶の安定性を増加させる。また、Li,Na,Mgはイオン性が強いため電子を引き付け易く、光を吸収し生成した電子とホールを分離し反応効率を大きくすることができる。
【0061】
RSO添加は、RSO粉末をTiO2粉末に混合する手法と酸化チタン粉末にRSOゾルをコーティングし焼成する方法がある。前者はTiO2微粒子に接触したRSO粒子も存在するが、SiO2をバインダーとして使用するためSiO2中に存在する粒子もあり、効率的でない。一方後者はTiO2微粒子にあらかじめRSO溶液を添加し焼成することができ、RSOとTiO2粒子の接触面積が大きく、さらに焼成により接合状態も良好で異種半導体間での電子移動もスムーズとなる。しかし、RSOを作製するには700〜850℃という温度が必要で、これ以下の温度ではRSOが結晶化しないためp型半導体として機能しない。TiO2の場合、600℃以上でその結晶はルチル型となる。光触媒としての充分な機能を発現するのは、アナターゼ型である。ルチル型では光触媒の性能が急激に低下してしまう。従って、RSO添加後にTiO2を高温処理すれば、RSOはp型半導体となるが、TiO2はルチル型に相転移し、光触媒としての機能を失ってしまう。そこで、光触媒としてTiO2同様な機能が期待できるSTO(SrTiO3)を用いて、RSO添加STO光触媒が有効となる。STOはTiO2とほぼ同様なバンド構造を有している。また、その製造法は700〜850℃という高温で処理して結晶化させる。さらに、RSOとSTOはいずれの結晶もペロブスカイトであって、その結晶格子定数はSr−Oが共通であるためにほぼ同様である。従って、作製条件もRSOに非常に近く、接合状態も良好となり光触媒の活性を向上できる。
【0062】
また、従来の光触媒は分解速度が小さいために、ガスの分解除去に時間を要した。また、光が照射されない場合は無力で、光照射時のみの作用する。従って、細菌等について抗菌作用により細菌数を減少できるが、光未照射時間が長いと細菌の繁殖の恐れがある。
【0063】
そこで、本発明の目的はガスの除去を速度を大きくするとともに、光未照射時の抗菌作用を加味することにある。
【0064】
上記課題を解決するため、本発明は酸化チタンからなる光触媒に、吸着剤を添加した。添加した吸着剤はゼオライトである。また、本発明は酸化チタンからなる光触媒に、Cu,Ag,Li,Na,Mgのうちいずれかをイオン交換したゼオライトである。
【0065】
従来の光触媒は酸化チタンに代表される半導体光触媒材料からなる。これらの材料は光触媒の酸化還元反応により抗菌及びセルフクリーニングできることが特徴である。セルフクリーニングは汚れが目立つようになれば触媒の劣化がわかるかもしれないが、抗菌性は目視で判断するのが難しい。特に膜剥がれ及び性能劣化等、機能が低下したにもかかわらず、気づかずに使用すれば危険な細菌等の繁殖が進み、問題となる可能性がある。
【0066】
そこで、本発明は目視で簡単に性能を判断できる光触媒材料を提供することにある。
【0067】
上記問題を解決するため、本発明は光触媒からなる抗菌,防汚材料において、機能の劣化が目視でわかることを特徴とする光触媒からなる抗菌,防汚材料であって、酸化チタンからなる光触媒に可視光を吸収する顔料を添加した光触媒である。
【0068】
光触媒は一般に紫外線を吸収して触媒作用を生じる。生活環境下で僅かな紫外線のみ存在し、この微量な光を利用して光触媒は抗菌,防汚を行っている。可視光を有効に利用できれば生活環境下で高性能な光触媒を提供することができる。太陽電池では既に可視光を利用した酸化チタンを用いた湿式太陽電池が試作されている。これは、可視光を吸収する色素を積層し、色素が可視光を吸収して励起した電子が酸化チタンを刺激し、電流がながれるという増感作用によるものである。同様な減少は光触媒にも同様な効果が期待できる。酸化チタンに可視光を吸収する材料を添加することで、可視光を吸収し励起した電子を酸化チタンを刺激し、光触媒の酸化還元反応に利用することができる。ただし、この様な増感作用を有する色素は有機物系が多く、紫外線により直接分解するだけでなく、光触媒作用によっても簡単に分解される。さらに、可視光を有効利用することから性能も向上し、より分解しやすい状態となり、生活環境下であってもすぐ劣化する。そこで、本発明では紫外線よる劣化の少ない顔料系に着目し試験を行ったところ、顔料系は分解速度が小さく、さらに増感作用も有することを見出した。顔料とは言え原料は有機物が主であるため、いずれは分解し劣化する。しかし、顔料添加の場合は生活環境下で徐々に分解するため、逆にこれを利用すれば製品の部品交換時期に分解速度を調整して、取替え時期を材料がしらせることが可能となる。
【0072】
また、従来、プラスチック製品に応用した光触媒は、酸化チタンにシリカ等の無機バインダーを添加した物である。このような酸化チタン粒子を無機バインダーに分散した光触媒は、酸化チタンのみから構成される光触媒に比べ、酸化チタンの占有面積が小さい分、性能が低下するという問題があった。特に、膜強度を必要とする場合は無機バインダーを多く添加し、強度を強くするが活性は著しく低下するという問題があった。また、光触媒は有機物の分解に優れるが無機物の汚れに対しては無力である。ただし、無機物の汚れは有機物の汚れの上に極端に付着する。光触媒作用により有機物の汚れを除去すれば、無機物の汚れの付着もある程度防止できる。しかし、一旦無機物が付着すれば付着した部分は光が透過することがなく光触媒作用が失われ、有機物の汚れを分解できず、結果として汚れが促進する。そこで親水性を高めるなどにより洗浄を行い無機物の付着を取り除くことで対応している。しかし、洗浄する光触媒材料及び製品については、光触媒を構成するバインダーを多く用いることで強度を向上させる必要があるが、上記のように光触媒作用は低下するという問題があった。
【0073】
そこで、本発明では、バインダーを多量に添加しても光触媒の性能低下を生じることなく、水洗等の洗浄を行った場合に膜剥がれが生じない光触媒材料を提供し、有機物だけでなく、無機物の汚れを簡単に洗浄でき、製品の洗浄回数及び部品交換を少なくする。
【0074】
本発明は光触媒からなる抗菌防汚作用を有する材料において、水洗いが可能で無機物の汚れを除去でき、有機樹脂を添加することにより強度をより強くする。
【0075】
また、本発明の光触媒はバインダーとして用いる有機樹脂がシラノール基を有するか、あるいは有機樹脂がUV硬化性を有する。UV硬化性樹脂を使用する場合はAl,Ti,Si系カップリング剤を添加する。
【0076】
光触媒をプラスチック表面にコーティングする場合、シリカをバインダーに用いた場合は、プラスチック表面との接着は不十分である。一方、有機樹脂は基材に合わせて材料の選択を行えば、接着力は充分となり洗浄に耐えられる強度を生じる。しかし、有機樹脂は光触媒作用により分解していく。これを防ぐためには無機系の材料を使用することが望ましいが、この場合強度が低くなる。そこで、有機樹脂の側鎖に無機系の官能基を導入して、酸化チタン表面との接触部を無機系により結合させることで分解を抑制できる。
【0077】
また、有機樹脂を使用する場合、シリカのようなセラミックス材料と異なり、熱を加えなくても硬化することができる。例えば室温硬化樹脂を用いることにより達成できる特徴もある。しかし、室温硬化系は瞬間接着剤のようなもの以外、24時間程度の時間がかかる。瞬間接着剤は、短時間で硬化するが、光触媒により徐々に分解される。短時間で硬化が可能でかつ耐光性に優れる樹脂としては、UV硬化系が挙げられる。UV硬化系は紫外線により硬化するものであり、蛍光灯より照射される紫外線により徐々に重合し硬化する。しかし、光触媒により徐々に分解していくことも事実である。従って、光硬化と光分解が適当に組み合わせることで、結果として耐光性を向上できる。
【0078】
UV硬化樹脂は、完全にTiO2粒子表面を樹脂が被い触媒特性が失われる。そこで、カップリング剤を添加することで、TiO2表面の露出部が多くすることができる。また、光触媒は表面吸着水を分解してラジカルを生成するが、カップリング剤を添加することで、表面吸着水を多く保持することができ、触媒性能を発現できる。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態の一例を図1〜図37により説明する。
【0080】
各種成形品や塗装鋼板類やフィルター等の表面に形成した低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜の配合組成内容と参考例の効果は表1〜表9にまとめて示す。
【0081】
参考例1)
図1,図2および図3により本発明の第1参考例である、空気清浄機について説明をする。
【0082】
図1は濾過型の空気清浄機本体の構成図であり、図2は本体斜視図である。空気清浄機本体1は、リアカバー12にコンデンサモータ7をねじ8で固定し、モータ駆動用コンデンサ11,運転スイッチ9を固定し、ファン6は、ナット5でコンデンサモータ7に固定し、リアカバー12とフレーム4を、ねじ13で固定している。また、フィルター3は、パネル(吸入口)2に固定し、パネル(吸入口)2を取外してフィルター3を取り出す。スイッチノブ10は運転スイッチ9に固定する。
【0083】
コンデンサモータ7の駆動力によってファン6が回転し、空気流を作り出す。この空気流によって、塵埃や、煙,油微粒子や、微生物や微生物の死骸類,花粉類や悪臭などを含む室内の汚れた空気を、パネル(吸入口)2より吸いこむ。吸いこまれた汚れた空気は、フィルター3部分で濾過されて清浄化された後に、グリル14部の排気口15から排出される。フィルター3部分は、各種汚れや臭いを除去するための機能を持たせるために複合構造となっている。フィルター3は、外表面を覆う層である外フィルター3aと、外フィルター3aの内部にある内フィルター3bより構成される(図示せず)。いずれのフィルターも基本構造は、塵埃類を濾過するために、ポリエステルやウレタン,セルロース,ナイロンあるいはエレクトレット化処理したポリオレフィン類などの不織布層やスポンジ状の多孔質層が用いられる。内フィルター3bには、これら基本構造に加えて、臭気を吸着するための活性炭粒子や繊維類が混合や混紡、あるいは封入される。また、繊維自体に臭気を中和するための薬剤が浸透あるいは、表面に展着させる場合もある。薬剤としては、各種有機酸やフラボノイド類のアルカロイドなどのほかに、微生物の繁殖を抑制するための抗菌剤類も合わせて用いられる。近年では安全性の高いキチン,キトサン類やカテキン誘導体等も用いられる。発生させる風量は約2〜3(m3/分)であり、8畳の室内では30分間の運転で70〜95%のたばこの煙を除去する能力を有する。
【0084】
参考例では、該外フィルター3aは、アクリル繊維の不織布より成り、この表面には後述の表3に示すサンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。アクリル不織布フィルターは、コロナ放電処理した後に、SiO2のみの薄膜、すなわち表1のサンプルNo.12が下地層として形成され、この膜を形成させた後に、サンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。膜の形成方法については後述の参考例9で詳細に説明するが、所定のゾルを調整して、各種の方法でワークに塗装した後に120℃雰囲気中で、低圧水銀ランプを照射しながら硬化させた。以下各種の参考例の中での事例でも同様の手段で膜を形成した。塗布方法については、ワーク形状に応じて、スプレー,浸漬,刷毛塗り等の方法で行った。
【0085】
外フィルター3aはパネル(吸入口)2より取り入れた汚れた空気を最初に濾過する部品であり、塵埃や、煙,油微粒子や、微生物や微生物の死骸類,花粉類や悪臭などの各種異物が多量に付着する。パネル(吸入口)2には、空気を効率的に吸いこむために多数の開口部が設けてあり、外フィルター3aの空気吸いこみ面には、この開口部から室内照明や太陽光などの光が照射される。この光によって、外フィルター3aの表面に捕集された異物は酸化分解される。特にたばこの煙や油微粒子は、フィルター表面の低温硬化型高活性酸化物光触媒に薄膜状に付着するので、効率的に分解される。また空気中に浮遊する細菌類や黴のような各種微生物類は、高活性光触媒の分解作用によって死滅、あるいは繁殖が抑制される。またガラス質の皮膜で不織布フィルターの繊維表面を覆うことにより、煙の粒子との濡れ性が良くなり、煙捕集効果も向上する。
【0086】
また、本空気清浄機本体1外装部品である、パネル(吸入口)2,フレーム4,運転スイッチ9、およびリアカバー12は熱加塑性プラスチックASの射出成形品である。これらの部品の外側面には低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0087】
参考例では、これら対象ABS部品類の表面には後述の表6に示すサンプルの薄膜が形成されている。このアクリル不織布フィルター表面の薄膜の模式図を断面図で図19に示す。プラスチック被着体189は、ここではアクリル繊維であり、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜は、表面第1層194と表面第2層192から構成され、何れもSiO2膜186の中にTiO2微粒子187とリチウム190が分散した状態となっていて、表面第2層192中にはアンチモン添加酸化スズ微粒子193が分散している。
【0088】
No.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。アクリル不織布フィルターは、コロナ放電処理した後に、サンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成され、この膜を形成させた後に、第1層が形成される。
【0089】
これら外装部品には室内照明や太陽光などの光が照射される。従って、前述したような各種異物が付着しても、フィルターの場合と同様に酸化分解される。
【0090】
図3には静電気集塵式の空気清浄機の断面図を示す。全体はフロントカバー16およびリアカバー17より構成される。フロントカバー16,パネル18に吸気口19と排気口20を設け、吸気口19および、吸気口19と排気口20を結ぶ通風路中には着脱自在のプレフィルター21がある。後方には、集塵電極22と、放電電極23を対峙させて設け、さらに、集塵電極22と、放電電極23より発生するオゾンを除去するためのオゾン除去フィルター24があり、プレフィルター21,集塵電極22,放電電極23,オゾン除去フィルター24が枠体25に装着された集塵ユニットがある。さらに後方には、集塵ユニットとの接触部に緩衝材26,送風機27と集塵ユニットを接続するダクト28、および送風機27があり、緩衝材26はダクト28に取り付け、さらにダクト28は送風機27に取り付けられ、同一体で構成された送風ユニットがある。清浄化された空気は排気口20より排気される。
【0091】
該プレフィルター21は、濾過型の空気清浄機の場合での外フィルター3aと同様の役割を果たす。
【0092】
参考例では、このプレフィルター21はナイロン製のネットであり、この表面には後述の表3に示すサンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。ナイロン製のネットは、紫外線照射処理した後に、サンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。このナイロンネット表面の薄膜の模式図を断面図で図18に示す。プラスチック被着体189は、ここではナイロン繊維であり、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜191は、SiO2膜186の中にTiO2微粒子187とリチウム190が分散した状態となっている。
【0093】
またリアカバー17はABSの射出成形品であり、フロントカバー16は亜鉛めっき鋼板を塑性加工したもので、外側面はポリエステル系の焼き付け塗料で塗装されている。これらリアカバー17,フロントカバー16の外側面には前記同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0094】
参考例2)
図4により本発明の第2参考例である、換気扇について説明をする。
【0095】
図4には台所用換気扇の構造を側面よりみた断面図で示す。箱型のフレーム29には電動機30を取り付け、電動機30には、羽根31が取り付けてある。またフレーム29の屋外側(排気側)にはシャッタ32が取り付けてあり、フレーム29の屋内側(吸気側)にはオリフィス33が取り付けてある。オリフィス33の屋内側(吸気側)の上部には蛍光管34付き照明器具35が取り付けてある。オリフィス33,照明器具35の屋内側(吸気側)にはフィルター36が取り付けてある。フィルター36の下部にはオイルポケット37がある。
【0096】
換気能力は、一般的な、羽根31の直径が25(cm)の場合、約800〜1000(m3/時間)である。
【0097】
図4の構造は台所仕様の換気扇を現わすが、一般屋内用,トイレ用,風呂場用なども取り付け角度や、部品の位置関係が若干異なるだけで、基本的な構造は同様である。
【0098】
フィルター36の構造は前述の空気清浄機の場合と同じように、各種用途に応じて複合構造にして、脱臭機能や、抗菌機能を付与することができる。
【0099】
参考例においてはフィルター36はアクリル繊維の不織布からなる単層フィルターであり、その表面には、表3に示すサンプルNo.22の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。アクリル不織布フィルターは、コロナ放電処理した後に、SiO2のみの薄膜、すなわち表1のサンプルNo.12が下地層として形成され、この膜を形成させた後に、サンプルNo.22の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。
【0100】
フレーム29は、PS(ハイインパクトスチロール樹脂)の射出成形品であり、オリフィス33、および羽根31はABSの射出成形品である。これらの成形部品の表面には、前記の空気清浄機と同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0101】
また屋外に面する部品であるシャッタ32は熔融亜鉛めっき処理をした冷延鋼板製で、その表面にはアクリル系樹脂が電着塗装されてあり、その表面には前記同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0102】
フィルター36の屋内に面する面は屋内照明による光が照射され、反対面は照明器具35から発する光が照射される。またフレーム29,オリフィス33、および羽根31,オイルポケット37等の部品にも照明器具35から発する光が照射される。屋外に面するシャッタ8の表面には太陽光が照射される。
【0103】
参考例の場合、台所に用いる換気扇であるので、通常の換気扇と比較して汚れの度合いが非常に大きい。すなわち、調理時に飛散する多量の食用油の微粒子が表面に多量に付着する。台所用の換気扇の場合、従来より一般的に照明器具35を具備している。これは調理時の手元を照明するために設けられた機能であり、換気扇の動作と同期させて点灯させたり、あるいは独立に照明機能のみを点灯させることもできる。本発明による光触媒の有機物分解効率は従来のものより大きいために、通常の少ない汚れ負荷の場合は、特に照明器具を併設することなく、室内照明のレベルで充分な分解作用が得られるが、台所などのような汚れ負荷の大きい場所での場合には不充分の場合がある。しかし、本参考例のように通常の蛍光灯や白熱電球による照明機能が併設されていれば、台所や便所のような汚れ負荷の大きな場所でも充分な効果を得ることができる。
【0104】
参考例3)
図5により本発明の第3参考例である、扇風機について説明をする。
【0105】
図5には扇風機の構造を外観斜視図により示す。扇風機本体基台部38の上に支柱39が取り付けられており、支柱39の上にはスライドパイプ40を摺動自在に挿入してある。スライドパイプ40は上方に羽根41,ガード42,電動機43等より構成された頭部44を支持している。支柱39は強度を考慮し下方に向けてその径を太くして形成されている。電動機43の駆動力で羽根41が回転し、空気流を本体背面より前方に作り出す。ガード42は指などが回転する羽根41に接触しないようにするための役割をはたすが、小児などの事故を防ぐため、更に安全性を高めるように、ガード42全体をネット45(図示せず)で覆うこともある。支柱39下部にはリモコンホルダー46が取り付けてあり、通常はリモコン47をリモコンホルダー46に収納する。リモコン47のスイッチ操作によって、動作モードを設定すると、リモコン47の赤外線発光部48から赤外線の信号が発信され、本体基台部38上面の赤外線受光部49で信号を受け、設定動作を行う。
【0106】
参考例において、羽根41はAS樹脂の射出成形品である。羽根41の表面は前記ABS等の成形品の場合と同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0107】
ガード42はポリエステル系焼き付け塗装を施した鋼線材より成り、その表面も同様にサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。ネット45はナイロン繊維から成り、この表面にはサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0108】
また、リモコン47の赤外線発光部48、ならびに本体基台部38上面の赤外線受光部49は透明な部材であるAS樹脂より成る。
【0109】
これら透明部品の表面にもサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。対象部品の表面にはチタネート系のカップリング剤の皮膜を形成させた後に、サンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成され、この膜を形成させた後に、第1層が形成される。
【0110】
羽根41やガード42などの表面は前述の空気清浄機や換気扇の羽根やフレーム類と全く同様にして、空気中に浮遊する異物が付着して汚れてくるが、本発明によれば、低温硬化型高活性酸化物光触媒の膜が形成されているために、室内の照明光の照度レベルで、付着した汚れが酸化分解され、汚れにくくなる効果がある。
【0111】
また、本参考例においては、赤外線を利用した遠隔操作をする機構を利用したものであるが、この赤外線信号の発光部および受光部に用いる透明部品の表面に低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成してあるので、部品表面に付着する汚れによって信号の連絡が阻害されることがない。
【0112】
参考例では、プロペラ型の羽根を用いた扇風機の事例を用いたが、シロッコ型の羽根を用いた扇風機においても全く同様の構成で同様の効果が得られる。
【0113】
参考例4)
図6,図7により本発明の第4参考例である、掃除機について説明をする。
【0114】
図6には掃除機の外観斜視図を、図7は掃除機本体の断面図を示す。掃除機本体50は、下部を覆う合成樹脂成形品の下カバー51と、上部を覆う上カバー52と、蓋カバー53とグリルカバー54とハンドル部55等で構成され、後方下部の左右両側に一対の大径の後方車輪56と、前方下部の底面中央に小径の自在車輪57が配置されている。上カバー52中央部には、本体スイッチ部58が設けられ、該本体スイッチ部58は中央の赤外線受光部59と、電源スイッチ60とコードリールボタン61とで構成される。該集塵室62には吸いこみホース部63と延長管部64と吸口部65とからなる吸い口ホース組み立て体66が接続している。該延長管部64の上部にはハンドル部67が連結し、このハンドル部67には手元操作部68が取り付けられている。該手元操作部68には、赤外線信号の発信部69が設けられており、該赤外線信号の発信部69から発信された赤外線信号は掃除機本体50の赤外線受光部59に伝達されるためワイヤレスで操作される。掃除機本体50は内部前方に集塵室62が設けられ、内部後方に電動送風機部70とコードリール部71が併設され、さらに、電動送風機部70とコードリール部71の上部に制御基板72が設けられている。
【0115】
また、電動送風機部70の後方には、掃除機本体50の背面下端から上端にかけて設けられる、上下方向に長い第一の排気通風路73が形成され、該第一の排気通風路73の下端は更に電動送風機部70の下部に形成される第二の排気通風路74と連通する。この第一の排気通風路73と第二の排気通風路74で排気通風路75(図示せず)を構成し、第二の排気通風路74を電動送風機部70に連通させ、第一の排気通風路73を排気通風部76に連通させている。集塵室62の上部には、紙フィルター取付け部77,78が設けられ、該紙フィルター取付け部77,78に紙フィルター79の厚紙を取り付け、集塵室62の上部を構成する蓋カバー53を閉めることで、取り付け口80と紙フィルター79が所定位置にセットされる。自在車輪57は、下カバー51の前方底部に形成される凹部に水平方向に回転自在に取り付けられる。取り付け口80から空気流とともに吸いこまれたゴミ,塵埃類やダニ,微生物類は紙フィルター79に収集される。
【0116】
そして、これら固形物を取り除かれた空気流は、集塵室62と電動送風機70の間の仕切板81に設けられた、補助フィルター82を備えた連通口83を介して、電動送風機部70に導かれて、電動送風機部70を冷却し、更に、冷却した空気流は第二の排気通風路74,第一の排気通風路73を介して、排気フィルター84を備えた排気通風部76から排気される。
【0117】
参考例において、掃除機本体の上カバー52,蓋カバー53,グリルカバー54,ハンドル部55や、吸口ホース組立体66の延長管部64,吸口部65,ハンドル部67はABS樹脂の射出成形品であり、これら成形品の表面にはサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。対象部品の表面にはチタネート系のカップリング剤の皮膜を形成させた後に、サンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成され、この膜を形成させた後に、第1層が形成される。
【0118】
掃除機は、他の参考例による物品に比較して、移動性の高い物であることから、外装部品の表面に傷が付きやすい。すなわち、掃除機本体や吸い口部分は、床面を走行中に家具類や壁面等に、しばしば衝突を繰り返し、これによってスクラッチ傷が徐々に形成され、光沢を失ったりするなど外観上の美観を損なうのみならず、傷をきっかけとして割れ等の破損に到ることもある。これを防ぐために従来紫外線硬化型アクリル樹脂などによる塗装処理を行い、表面硬度を確保してきたが、本発明によれば、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を構成するTiO2やバインダーとして用いるSiO2の膜の硬さがABSより硬く、鉛筆硬度で2H〜4H程度の硬度を有しているので、これら外装部品に用いる場合、スクラッチ等の傷が付きにくくなる効果が得られると同時に、本来の効果である防汚,微生物繁殖抑制等の効果を得ることができる。
【0119】
特に、ハンドル部67は素手で触れる部品であり、付着した汗などの体脂類を栄養分として、細菌類が繁殖しやすく、従来イミダゾール系,チアゾリン系等の有機物系の抗菌剤や、銅系,亜鉛系,銀系等の無機物系の抗菌剤を成形樹脂中に練り込んで抗菌効果を得ていたが、これらの処理が不要となる。
【0120】
また、吸い口部分や車輪部分は摺動あるいは回転運動を伴うので、乾燥した環境下で掃除機を使用すると静電気を帯電しやすく、絨毯などの繊維や塵埃などが上記の部品類の表面に付着することが多い。これを防ぐために、従来各種界面活性剤や、ポリアミド,ポリエチレングリコール系等の親水性高分子類を成形樹脂中に混練し、表面抵抗を低下させることで防止してきたが、本発明によれば、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜の抵抗値を低下させることができるので、電気抵抗値の高いABS類の成形樹脂でも埃等の付着を防止する効果も併せて得ることができる。前記のハンドル部67には、手元操作部68が取り付けられており、この手元操作部68の背面には電子部品類を搭載した制御基板が取り付けられているが、この手元操作部68付近に静電気が帯電すると、制御基板の誤動作を誘発することもあり、本発明による静電気防止効果は、塵埃類の付着のみならず、制御基板の誤動作も防止する効果が得られる。
【0121】
また、同手元操作部68に設けられている赤外線信号の発信部69と、掃除機本体1の赤外線受光部59は、前述の参考例3の扇風機の場合と同様に透明のAS樹脂製の成形品よりなるが、表面には低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されているために、汚れによる赤外線信号の受発信の阻害を防止する効果が得られる。
【0122】
更には、本体の排気通風部76に取り付けられた排気フィルター84はアクリルとPPの混紡不織布でできているが、この排気フィルター84表面にはサンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。排気通風部76には、多数の開口部が設けてあり、排気フィルター84の空気吐き出し面には、この開口部から室内照明や太陽光などの光が照射されるので、フィルターの表面も清浄化される。
【0123】
また、本体上部を覆う上カバー52と、蓋カバー53とグリルカバー54とハンドル部55等の部品類を透明部品とすることで外部の光が内部にも到達し、集塵室62内部の紙フィルター79や補助フィルター82のフィルター繊維表面に本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成すると抗菌効果や脱臭効果を得ることもできる。
【0124】
参考例5)
図8により本発明の第5参考例である衣類乾燥機について説明する。
【0125】
図8には衣類乾燥機の本体断面図を示す。85は外枠、86は開閉フタ、87は回転ドラム、88は熱源、89は排気口、90は両翼ファン、91はファンケーシング、92は動力となるモータ、93は該モータ92の動力を該回転ドラム87に伝達するベルト、94はモータ92の動力を該両翼ファン90に伝達する丸ベルト、95は第一の気密フェルト、96は第二の気密フェルト、97は仕切板であり、98は該ファンケーシング91から排出された循環風を該熱源88まで導く循環ダクト、99はリントフィルター装置、100は該ファンケーシング91を該外枠85に固定するFDビーム、101は軸受102を取り付ける取り付けリングであり、該回転ドラム87は軸受102により回転自在に摺動支持されている。該回転ドラム87は該モータ92の駆動力が、該ベルト93を介して伝達されることによって、該両翼ファン90と共に回転する。この回転により、衣類を撹拌すると同時に、循環風(実線の失印)が発生し、この循環風が該熱源88部を通過する際に加熱されて該回転ドラム87内に入り、衣類の水分を蒸発し乾燥させる。その後、該両翼ファン90により該循環ダクト98内を通り、熱源88まで循環風が送られ、再度加熱されて衣類の乾燥を繰り返す。開閉フタ86の内側には蛍光管103の付いた、照明器具104が取り付けてある。該回転ドラム87の内周面に沿って衝撃を吸収する緩衝材105が貼り付けてある。緩衝材105はPPの発泡体よりなる。
【0126】
参考例では、回転ドラム87の内面部品で、照明器具の光が照射される部品である、緩衝材105,リントフィルター装置99,開閉フタ86の内面等の部品はABSやPP樹脂よりなり、それらの表面にはサンプルNo.86の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。対象部品の表面にはシランカップリング剤の皮膜を形成させた後に、サンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の第2層が形成され、この膜を形成させた後に、第1層が形成される。
【0127】
照明器具は、乾燥動作中、あるいは乾燥動作とは関係なく独立した動作として随意点灯することができ、蛍光管103の光が照射されると、上記の部品表面で、付着した有機物や、接触する空気中に含まれる悪臭物質を効果的に酸化分解するため微生物の繁殖を抑制したり、脱臭する効果が得られる。
【0128】
乾燥動作中は衣類が回転しているために、光が充分に満遍なく届かないので、乾燥動作終了後に一定時間点灯して回転ドラム87内部を清浄化するような動作プログラムを用いると更に効果的である。
【0129】
また、該外枠1は亜鉛めっき鋼板製で、外面はエポキシ樹脂の粉体塗装がなされている。この塗装面の表面には、サンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0130】
開閉フタ86の外面はPS樹脂の射出成形体でできており、この表面にもサンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0131】
これら外装部品である外枠85や開閉フタ86の外面での光触媒薄膜の効果は、前述の参考例1〜4の外装部品の場合と同様に、室内光で充分な防汚,抗菌等の効果が得られるものである。
【0132】
参考例6)
図9,図10,図11により本発明の第6参考例である食器乾燥機について説明をする。
【0133】
図9には食器乾燥機の外観斜視図を示す。図10は排気口128付近の拡大断面図を示す。図11は本体断面図を示す。
【0134】
本体106の内部は乾燥室107と運転制御室108とに仕切板109で上下に区分けされている。運転制御室108には、ファンモータ110,送風ファン111,ケーシング112、および加熱機113よりなる乾燥空気を送り出すための加熱送風ユニット114が、該乾燥室107とはダクト115で連結されている吸気フィルター116を配した吸気口117と該加熱送風ユニット114との間には、制御機118を配設してある。また、該乾燥室107内の上下には、食器を収納するための上かご119,下かご120を配置してある。該下かご120は扉121の下部に、自在に傾斜できるよう、ヒンジ122と連結された可動レール125の上に乗せられた水受皿124の上に配設される。同様に上かご119も可動レール123の上に配設されている。可動レール123,125は該乾燥室107の側壁に回動自在に設けたローラ(図示せず)上を、前後に移動可能になるように配置し、該扉121の取手126を手前に引くことにより該乾燥室107から該下かご120が、かごの先端部を引くことにより、該上かご119が外部に引き出せるようになっている。パネル127上に設けた排気口128は、格子状を形成し、排気フィルター129を備える。該本体106の該仕切板109に設けた開口部130と排気ダクト131とで該乾燥室107と連結されている。温度検出機132は外気温度の影響を受けにくい該排気ダクト131内に配置してある。
【0135】
吸気口117は、PPからなる射出成形品であり、該吸気フィルター116は、ナイロン製のネットであり、この表面には後述の表7に示すサンプルNo.91の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。ナイロン製のネットは、紫外線照射処理した後に、サンプルNo.91の銀を含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。
【0136】
吸気フィルター116の表面には室内の照明光が照射されるために、付着した有機物や取り込む空気中の悪臭物質は酸化分解される。該排気口128および、排気フィルター129にも同様にサンプルNo.91の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。吸排気口周辺には排出した湿気が結露して湿った状態になりやすく、黴や細菌類が繁殖することがあるが、本発明による分解効率の高い光触媒を用いれば、室内光で効果的にこれら微生物の繁殖を抑制することができる。サンプルNo.91の処方では、組成物に含有している銀自体に抗菌作用があるために特に好適である。抗菌効果を高めるために、銀を担持させたゼオライトやアパタイト等のセラミック粒子を混合してもよい。
【0137】
また乾燥室107内部には蛍光管133の付いた照明器具134が取り付けてある。照明機能は扉121をあける際に点灯して、内部の食器の乾燥度合いを確認するといった照明本来の機能のみならず、乾燥室107内部を清浄化する機能としても活用できる。すなわち、乾燥室107の内部部品の表面に光触媒薄膜を形成することで、光の照射される部分の抗菌や防汚効果が得られるものである。本参考例では、上かご119,下かご120は鉄製のフレームにポリアミド系の粉体樹脂を焼き付け塗装した構成となっており、この塗装面の表面には紫外線照射処理した後に、サンプルNo.92の銅を含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。これらの上下かごは、食器類に直接接触する部材であり、清潔であることが必要とされるが、光触媒の効果により、表面の防汚や微生物繁殖抑制効果が得られるため、清潔に保たれる。銅にも銀と同様、それ自体の抗菌作用があるので抗菌効果は高まる効果がある。
【0138】
参考例5の衣類乾燥機の場合と同様に、乾燥動作中は食器類が影となって、光が充分に満遍なく届かないので、乾燥動作終了後に一定時間点灯して乾燥室107内部を清浄化するような動作プログラムを用いると更に効果的である。
【0139】
また、扉121はABS樹脂の成形品でできているが、この表面にはサンプルNo.86のATOを含む低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。この扉121の表面での光触媒薄膜の効果は、前述の参考例1〜5の外装部品の場合と同様に、室内光で充分な防汚,抗菌等の効果が得られるものである。
【0140】
参考例7)
図12,図13および図14により本発明の第7参考例である食器洗い機について説明をする。
【0141】
図12は食器洗い機の外観斜視図を示し、図13と図14は食器洗い機の断面図を示す。
【0142】
外枠135の内部に食器収納槽136が配置され、その前面開口を開閉するドア137が設けられている食器収納槽136の側壁下部に段部138が設けられ、この段部138に食器収納用下かご139が着脱自在に配置されている。食器収納槽136の底部外側にポンプ140が配置されている。このポンプ140はポンプモータ141を有している。食器収納用下かご139の直下に回動する下アームノズル142が配置されている。下アームノズル142の上面には複数個の小さな孔143が設けられている。食器収納用下かご139には、ポンプ140から送水された洗浄水を上アームノズル144に送るベンチュリー管145が配置されている。この上アームノズル144は、食器収納用上かご146の直下に中央を支点として回動する。上アームノズル144の上面には、複数個の小さな孔147が設けられている。食器収納槽136外の底部または背面部にはヒーター148が配置されている。ヒーター148を包込むようにヒーターカバー149が配置されている。食器収納槽136外側面部には給水電磁弁150が配置されている。食器収納槽136外面上部には排気ダクト151が配置され、排気口152へ連結されている。ドア137の外面上部にコントロールパネル153が配置されている。食器収納槽136の底部外側には、排水ポンプ154及び送風ユニット155が配置されている。
【0143】
洗浄動作時には、給水電磁弁150より水を供給し、ポンプ140を駆動させて、下アームノズル142へ圧力水を供給すると同時にヒーター148に通電し、水温を上昇させる。水は孔143から噴出すると同時に、ベンチュリー管145を経由して上アームノズル144に送られると、孔147からも水が噴出する。こうして上下のアームノズルは回転しながら温水を食器収納かご146内の食器にまんべんなく噴射して汚れを取る。洗浄動作終了後、排水ポンプ154に通電して汚水を排出した後に、上記同様の動作を数回繰り返し、内部の汚れをすすいで取り除く。最終すすぎ動作が終了すると、乾燥動作に移る。送風ユニット155に通電し、送風ファン156を回転させ、食器収納槽136底部に配置されている送風ダクト157,ヒーター148を通り、食器収納槽136内へ風を供給する。この時ヒーター148は一定時間通電をON/OFFさせ、冷風を温風にしている。この温風により、内部の水滴や残水、並びに食器類に付着している水滴を蒸気に変え、排気ダクト151を通り、排気口152より機外へ排出する。
【0144】
参考例では、排気口152はABS樹脂成形品であるが、前述の食器乾燥機と同様サンプルNo.91の銀を含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。排気口周辺には排出した湿気が結露して湿った状態になりやすく、黴や細菌類が繁殖することがあるが、本発明による分解効率の高い光触媒を用いれば、室内光で効果的にこれら微生物の繁殖を抑制することができる。
【0145】
食器収納槽136内部には蛍光管158を備えた照明器具159が取り付けてある。照明機能はドア137をあける際に点灯して、内部の食器の洗浄や乾燥度合いを確認するといった照明本来の機能のみならず、食器収納槽136内部を清浄化する機能としても活用できる。すなわち、食器収納槽136の内部部品の表面に光触媒薄膜を形成することで、光の照射される部分の抗菌や防汚効果が得られるものである。
【0146】
参考例では、食器収納用上かご146,食器収納用下かご139は鉄製のフレームにポリアミド系の粉体樹脂を焼き付け塗装した構成となっており、この塗装面の表面にはサンプルNo.92の銅を含む低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。
【0147】
これらの上下かごは、食器類に直接接触する部材であり、清潔であることが必要とされるが、光触媒の効果により、表面の防汚や微生物繁殖抑制効果が得られるため、清潔に保たれる。
【0148】
その他照明器具159の光の照射される部材としては、食器収納槽136,上アームノズル144,下アームノズル142,ベンチュリー管145等がある、これらの部品はPP樹脂射出成形品やSUS塑性変形品を用いる。これらの部品の表面にはコロナ放電処理した後に、SiO2のみの薄膜、すなわち表1のサンプルNo.12が下地層として形成され、この膜を形成させた後に、サンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。
【0149】
食器収納槽136内部の部品に光触媒薄膜を形成し、照明器具159を付設することによる食器洗い機特有の効果として、乾燥効率を向上させる効果がある。この効果は、本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜の基本素材であるTiO2,SiO2が水濡れ性の良い素材であると同時に、汚れた食器から除去された油脂類のように水をはじく物質が付着しても、照明器具159の光によって分解されるため、常に高い水濡れ性を保つ効果が得られることによる。
【0150】
食器洗いの動作としては、最終すすぎ時に水温を60〜70℃まで上昇させ、内部温度を上げた後に、送風動作によって湿気を機外へ排出するのであるが、食器収納槽136の内部に残留する水滴が乾燥効率を低下させる原因となる。食器収納槽136,上アームノズル144,下アームノズル142,ベンチュリー管145等の部品は、高い耐水性が求められるため、疎水性の素材を用いることが多く、通常表面の水濡れ性が悪い。水濡れ性の良くない素材の表面では、水は膜状に広がった濡れた状態にはならず、高い接触角度の水滴状に付着する。洗浄動作時には界面活性剤を含む洗剤を投入するので、洗浄水の表面張力は低下し、接触角は低くなって良く濡れた状態になるが、最終すすぎ時のすすぎ水の中には洗剤成分はほとんど含まれず、水の表面張力は非常に高い。従って、最終すすぎ終了時点で、すすぎ水は食器収納槽136内部の各部品表面に高い接触角を有する無数の水滴状になって付着する。
【0151】
これらの高い接触角の水滴は、薄く膜状に広がった水膜の場合に比較して、水量が多く、なかなか乾燥しない。また水滴状の水は乾燥時に水滴形状を保ったまま縮小して乾燥するので、表面積も小さくなるため乾燥速度は更に遅くなり、乾燥に要する時間は約3倍必要になる。食器類は水濡れ性の良いガラスや陶磁器や、木製が多く、比較的速やかに乾燥するが、食器洗い機自体に水滴が付着した状態で終了すると、ドア137をあけて、上下の食器収納かごを引き出す際の振動で食器類の上に水滴が落下し、乾燥した食器類を濡らしてしまう不具合が発生する。
【0152】
食器収納槽136,上アームノズル144,下アームノズル142,ベンチュリー管145等の部品を、PP成形品で構成した場合、すすぎ終了時の付着水滴による残水量は約30gであるのに対して、本発明による光触媒膜を形成した場合は、付着残水量は約5gに低減した。また本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜は光活性が高く照明器具159の光で付着した油脂類を分解する作用があるので、油脂類の付着による水濡れ性の低下がない。
【0153】
参考例6の食器乾燥機の場合と同様に、乾燥動作中は食器類が影となって、光が充分に満遍なく届かないので、乾燥動作終了後に一定時間点灯して食器収納槽136内部を清浄化するような動作プログラムを用いると更に効果的である。
【0154】
また、ドア137はPP樹脂の成形品でできているが、この表面にはコロナ放電処理した後に、サンプルNo.12が下地層として形成され、この膜を形成させた後に、サンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成される。
【0155】
このドア137の表面での光触媒薄膜の効果は、前述の参考例1〜6の外装部品の場合と同様に、室内光で充分な防汚,抗菌等の効果が得られるものである。本参考例では据付け型の食器洗い機について説明したものであるが、卓上型についても全く同様にして光触媒薄膜の効果を得ることができる。卓上型の場合は、室内光が外装部品の前面に照射されるので、側面や天井部の外壁面部材の表面に光触媒薄膜を形成すると効果的である。
【0156】
参考例8)
図15,図16により本発明の第8参考例である厨芥処理機について説明をする。
【0157】
図15には厨芥処理機の外観斜視図を示し、図16は本体断面図を示す。枠体160の内部には中央部に回転自在に支持された撹拌翼161を有し、上部に生ゴミ投入口163を設けた処理槽164が配置され、中には培養基材165が入っている。培養基材165は、リグニン等の微生物に分解されにくい繊維素が主成分の、おが屑,もみ殻,稲わらを裁断したものなどで、その一粒一粒が多孔質で空隙を有し、かつ粒径が複雑で、粒と粒の間にも大きな空隙が形成されるものからなる。
【0158】
回転軸166には該撹拌翼161が3本設置され、処理槽164に設けた軸受167で支持され、一方に突出した回転軸端部は駆動モータ168とチェーン等の伝達手段169で適切な減速比をもって連結されている。処理槽164の上部開口部170には内蓋171が上部パネル172に開閉自在に設置されている。さらに、処理槽164上部近傍には、換気ファン173,吸気口174,排気口175を設け、換気ファン173の回転により、処理槽164内で発生した分解ガス、及び、水分を排気口175を通して機外に排出する。また、吸気口174,排気口175にはそれぞれ適当な網目状のフィルターが配設されている。
【0159】
また、吸気口174の開閉蓋176を設け、枠体160に取り付けられたソレノイド177の往復動により、吸気口174を開閉するよう構成されている。更に、上部パネル172には、運転のための操作部178を設け、この操作で制御機179が動作し、厨芥処理機が運転される。
【0160】
培養基材165は、数か月後、空隙部が分解物等で満たされて空隙率が減少し、生ゴミを処理できなくなるため、交換が必要となる。このため、処理槽164底部には排出口180,排出路181を構成し、排出路181に落ち込んだ培養基材165を掻き出す操作によって枠体160の外へ取り出すことができる。
【0161】
処理槽164の培養基材165の上部空隙部の空気は湿気とともに、分解ガスとして、トリメチルアミンやメチルメルカプタン,アンモニア,硫化水素等の悪臭強度の大きい物質を多量に含んでいる。この悪臭が強いために、従来の厨芥処理機は台所内には設置できず、また集合住宅等のベランダ部に設置する際にも周辺所帯への臭気の漏出が問題となっていた。
【0162】
従来脱臭機構として、活性炭等の吸着材や、マンガン系の熱分解触媒を用いた脱臭機構が各種考案されてきたが、いずれも効果や寿命の点で充分なものではなかった。
【0163】
参考例では、排気口175部分に排気フィルター182,183を設け、その間隙に紫外線ランプ184が配置されている。排気フィルター182はゼオライトを主成分とし、排気フィルター183は活性炭を主成分とするものでいずれもハニカム構造をしており、紫外線ランプ184から発する紫外線はハニカムの内部奥まで照射するようになっている。この排気フィルター182,183のハニカムの内部表面には表5に示すサンプルNo.62の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。
【0164】
本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒は、分解効率が高く、前述の実施例1〜7のような有機物負荷の比較的小さい用途においては、室内の照明器具レベルすなわち、波長が250〜350(nm)の紫外光が0.001〜0.01mW/cm2レベルの照度、あるいは蛍光灯や白熱灯の搭載による0.01〜0.1mW/cm2レベルの照度で分解が可能であったが、本参考例のように例えばアンモニア濃度で数ppmレベルの高負荷の場合は、紫外線発生手段を配置する必要がある。
【0165】
水銀灯やメタルハライドランプのような紫外線ランプを用いることができるが、本発明によれば、従来の酸化物光触媒より分解効率が高いので、脱臭効果も大きく、また紫外線強度も従来の酸化物光触媒を使った場合と比べて小さいものですむ。投入した生ゴミが最も活発に分解される時に、最も多量に前述の臭気物質が発生する。
【0166】
生ゴミの分解は、通常投入後1時間から8時間の間が最も活発に行われるので、このタイミングにあわせて紫外線ランプ184を点灯するとランプの寿命を長く保つこともできる。排気フィルター183は活性炭を基剤としており、臭気濃度が低い際にはこの活性炭に臭気を吸着せしめ、吸着量が増してくるに従って徐々に吸着効率が低下してくるので、定期的に紫外線を照射して、吸着した悪臭物質を分解させ、活性炭を再生するようにすることもできる。
【0167】
また、枠体160は塗装鋼板よりなり、外蓋171はPP樹脂の射出成形品でできているが、この表面には塩素化ポリエチレンの有機塗膜が塗布されており、この塗膜表面にサンプルNo.21の低温硬化型高活性酸化物光触媒の薄膜が形成されている。
【0168】
これら外枠160や外蓋171の表面での光触媒薄膜の効果は、前述の参考例1〜7の外装部品の場合と同様に、室内光で充分な防汚,抗菌等の効果が得られるものである。特に厨芥処理機の場合生ゴミを扱うので、生ゴミからたれ出る汁でこれら外装部品が汚れる機会が多いので、本発明の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜による防汚効果が大きい。厨芥処理機は屋外に置く場合、太陽光がこれら外装部品に照射される。太陽光の波長250〜350(nm)の紫外光照度は0.1〜5.0mW/cm2レベルと室内照明等に比較すると強度が高く、生ゴミの汁等の汚れも分解することができる。
【0169】
上記の参考例1〜8の中で、各種熱可塑性プラスチックなどの被着体で、電動機によって発生する空気流の通過する経路や、その経路に設けられたフィルター等の濾過機構、あるいは、室内照明等の外光が照射される外装部品や、装置内部に設けた、照明器具の発する光が照射される部品類の表面に形成した、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜の配合組成並びに、膜の硬化条件および各配合組成の特性等について以下、参考例9〜16を用いて説明する。
【0170】
参考例9)
SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。この溶液を用いてPETフィルム上にTiO2膜を形成し、図17のPETフィルムを作製した。以下にその手順を示した。
【0171】
まず、SiO2ゾルの作製法について説明する。5gのテトラエトキシシランを100mlの水−エタノール−プロパノール(3:27:70)混合溶液中に溶解し、40℃で5時間程度撹伴した。得られた溶液は室温で2週間放置してSiO2ゾルとした。
【0172】
次にSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液の作製法について説明する。先に作製しSiO2ゾル中にTiO2微粒子を重量比でTiO2/SiO2=9として添加した。また、固形分濃度は4wt%とし、必要量水を加えて調整した。その後5mmφのジルコニアボールを用いてSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させるために24hrボールミルで処理し、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。
【0173】
PETフィルム185に作製しTiO2微粒子の分散したSiO2ゾルをコートして、120℃で低圧水銀ランプ(強度:15mW/cm2)を照射しながら5分間処理してSiO2膜186中にTiO2微粒子187が分散したTiO2分散SiO2膜188をコートしたプラスチックフィルムを形成した。PETフィルム185上に得られた薄膜は、膜質及び強度共に良好であり、膜厚は300nmであった。
【0174】
この酸化チタンによる有機物の分解活性を評価した。なお、活性試験は薄膜に赤紫系の有機色素をコートして254nmで1(mW/cm2)の光を照射して行った。分解速度は初期の色素の透過率からの変化量より求めた。図20にその結果を示した。
【0175】
図には比較のためにTiO2分散SiO2膜付きの他、膜なしとSiO2膜の結果も示した。TiO2分散SiO2膜なし及びSiO2膜ではほとんど色素量に変化は無いが、TiO2分散SiO2膜ありの場合は30分後に45%分解したという結果が得られた。
【0176】
この様に、光触媒機能を有したTiO2分散SiO2膜付きPETフィルムを作製することができた。本発明の成膜法は、120℃程度で作製が可能であり、パイレックス(登録商標)ガラス基板以外にプラスチック材料への応用が可能である。通常のゾルゲル法では、400℃程度の温度が必要であるためプラスチック製品への応用が困難であったり、TiO2の結晶化に10分以上の時間が必要である。一方、本発明の作製法は低温で成膜が可能であるため、使用できる基材が豊富で、どの様な表面にも光触媒を成膜できる。また、数分間という短時間処理が可能で生産コストの大幅な低下が可能である。
【0177】
次に、光触媒の性能向上のために、助触媒添加を行った。先に作製したSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液中に各種研酸塩を添加して、PETフィルム上に成膜し、色素の分解反応を行った。結果は表1に示した。
【0178】
【表1】
Figure 0004305001
【0179】
Na,Li,K,Mg,Ca,Sr,Zn添加の光触媒が有効であり、Fe,Alは失活剤となることがわかった。
【0180】
図21に電気陰性度に対し助触媒の添加効果をプロットした結果を示した。電気陰性度は小さいものほど効果があるようだが、特にLi,Na,Mgが有効であることから、電気陰性度だけでなくイオン半径も重要であることがわかった。
【0181】
図22には電気陰性度とイオン半径そして添加効果の関係を示した。このように、電気陰性度が1.6より小さく、イオン半径が0.2nmより小さい元素でその価数が2以下のイオンを添加することが有効であることがわかった。
【0182】
参考例10)
SiO2ゾル中に粒子径の異なるTiO2微粒子を分散させた溶液を数種類作製した。なお、TiO2/SiO2比は重量比で9とし、Li添加量は5wt%とし、参考例1同様な操作でTiO2分散SiO2膜をPETフィルム上に形成し、有機色素を用いて10分後の分解率を調べた。
【0183】
【表2】
Figure 0004305001
【0184】
表2に作製した試料の各条件と試験結果を示した。これらの結果より、分散したTiO2粒子の大きさは、8〜10nmが最も有効であることが分かった。このように、粒子径により分解速度が変化しており、さらにTiO2/SiO2比を小さくするとTiO2微粒子の最適粒子径は変化したが、5〜20nmの範囲であれば分解速度は良好であった。従って、Li添加触媒のTiO2粒子径は5〜20nmであれば良いことが分かった。また、以上の結果はLi以外のNa,K,Mg,Ca,Sr,Znについても同様であった。
【0185】
参考例11)
表3にLi添加量、TiO2/SiO2を変化させた場合の色素分解率(10分後分解率)及び膜強度について調べた結果を示した。なお溶液の作製及び成膜法は参考例1同様に行った。これらの結果より分解率と膜強度ともに有効である条件は、Li添加量が0.5〜20wt%で、TiO2/SiO2が9〜5であることが分かった。
【0186】
【表3】
Figure 0004305001
【0187】
表4にはTiO2/SiO2及び膜厚を変化させた場合の色素分解率及び膜質について調べた結果を示した。なお溶液の作製及び成膜法は参考例1同様に行ったが、膜厚は溶液の固形分濃度を0.5〜8wt%まで変化させて調節した。
【0188】
結果は膜厚が100〜500nmであればTiO2/SiO2比の影響を受けずに分解率,膜質とも良好であることが分かった。
【0189】
以上の結果はLi以外のNa,K,Mg,Ca,Sr,Znについても同様であった。
【0190】
【表4】
Figure 0004305001
【0191】
参考例12)
表5にはTiO2以外の酸化物半導体であるATO,ITO,ZnO,Fe23,Cr23微粒子を添加した場合の色素分解率を調べた結果を示した。なお、色素分解率を調べる試験において、紫外線ランプ(254nm)の強度は0.2mW/cm2とした。また、特に記載しない限り、本参考例以降の色素分解試験は、上記条件で行った。結果はATO,Fe23,Cr23微粒子添加が有効であり、添加量はいずれの場合も添加すれば有効であり、特に10〜20wt%が最も有効であった。ここで、各酸化物の構成元素の電子親和力を見ると以下のようになり、1.2eV以上の電子親和力を有する構成元素を用いた酸化物半導体を用いると有効であることが分かった。
【0192】
【表5】
Figure 0004305001
【0193】
構成元素 Ti Sn In Zn Fe Cr
電子親和力(eV)1.25 1.2 0.2 −1.2 3.16 3.54
酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより小さい場合は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成され、添加した酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入できず効果が現れない。これに対して酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより大きい場合は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成されず、オーミック接合となり、容易に酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入され、有効に機能する。特に有効であったATOは、電子親和力はTiより若干小さいが、その差はほとんど無いため性能向上が見られた。これは導電性酸化物であるATOはキャリア濃度が高く、ATOの大量のキャリアがTiO2中に注入され、光触媒の活性が向上した。さらに、このような酸化物半導体添加時においても、Liの添加効果が大きいということもわかった。
【0194】
また、酸化物半導体の持つキャリアを有効に利用する方法としては、微粒子添加ばかりではなく積層化によっても可能である。表6にはTiO2/SiO2膜とATO膜を積層した場合の結果を示した。結果は積層することが有効で、さらに、Liを両方に添加することで、更に性能が向上することがわかった。また、多数回交互に積層することも有効であることが分かった。
【0195】
【表6】
Figure 0004305001
【0196】
参考例13)
SiO2ゾル中に粒子径5nmのTiO2微粒子を分散させた溶液を作製し、これにAg,Pt,Pd,Rh,Ni,Cu,RuO2微粒子をそれぞれTiO2に対して2wt%添加した。なお、TiO2/SiO2比は重量比で9とした。作製したAg,RuO2微粒子添加TiO2分散SiO2ゾルを用いて、参考例1と同様な操作でAg,Pt,Pd,Rh,Ni,Cu,RuO2微粒子を添加したTiO2分散SiO2膜をPETフィルム上に形成し、有機色素の分解特性を調べた。
【0197】
結果は表7に示したようにAg,Pt,Pd,RhNi,Cu,RuO2微粒子添加により分解速度が大きくなっていることが分かった。
【0198】
【表7】
Figure 0004305001
【0199】
参考例14)
参考例1で作製したLi添加光触媒とLi無添加光触媒について、蛍光灯,太陽光,白熱ランプ,水銀灯を用いて、たばこのヤニ,アセトアルデヒド,尿素,大腸菌の分解特性を比較した。その結果表8に示したようにLi添加光触媒はいずれのランプを用いても、たばこのやに,アセトアルデヒド,尿素,大腸菌の分解特性が、Li無添加光触媒の3〜5倍の効果があることが分かった。このようにLi添加触媒は、紫外線ランプばかりでなく、生活環境下で使用するランプで十分な効果が得られることが分かった。また、Li以外のNa,K,Mg,Ca,Sr,Znを添加した場合の同様の効果が得られた。
【0200】
【表8】
Figure 0004305001
【0201】
参考例15)
参考例1で作製したLi添加TiO2分散SiO2膜は、PETフィルム上に直接成膜すると、光触媒作用により基材のPETフィルムにダメージを与えてしまう。そこで、参考例9で作製したLi添加TiO2分散SiO2膜をコートする際、PETフィルムとの間にSiO2膜を1層設けたフィルムを作製した。さらに、SiO2膜中に光触媒作用を失活させる成分となる、Al,Fe,Zrの各硝酸塩を添加した試料あるいはLi添加TiO2分散SiO2膜中にATOを添加した試料を作製し、各種試験を行った。その結果は表9に示した。
【0202】
【表9】
Figure 0004305001
【0203】
結果はLi添加TiO2分散SiO2膜とPETフィルムの間に、バリア層としてSiO2膜を1層設けることで長期間使用しても膜剥がれを防ぐことができた。
【0204】
さらに、Al,Fe,Zrを添加することで光触媒活性を完全に失活させることができ、接着強度を維持できることが分かった。また、ATO添加膜では帯電防止効果が加味され埃等の付着も抑制でき、有機物の分解だけでなく、無機物の付着も防ぐことができ、より優れた防汚効果を有したフィルムを作製できた。
【0205】
前述の参考例9〜16に示した配合組成の、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を、参考例1〜8に示したような電動機によって空気流を発生させる機構を有する各種の物品に、利用した場合の具体的な効果を評価した結果を以下にまとめる。まず最初に、本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を空気流路の中に設けた濾過機構に応用した場合の効果についてまとめる。
【0206】
室内における代表的な空気中の汚れ物質はたばこの煙である。たばこの煙はタール物質やすす類の微粒子が浮遊したものであり、これら微粒子がフィルター上で膜を形成して蓄積し、フィルターは徐々に茶色に着色して汚れてくる。このたばこの煙による汚れを評価した。送風量が5(m3/分)の換気扇の吸いこみ側である前面に、対象面積が10cm×10cmのポリエステル繊維不織布フィルターを貼り付けて固定した。この不織布付きの換気扇を、容量が45,000(cm3)の容器の中に設置して密封した。この容器の中にはたばこの煙発生装置を併置した。このたばこの煙の発生装置は、着火したたばこのフィルター側にチューブを取り付けてあり、このチューブはダイヤフラムポンプに連結してある。このダイヤフラムポンプを1,800(cm3/秒)の風量で駆動させて、たばこ側のチューブ端を減圧するとたばこのフィルターを通過した煙がポンプの吐出側から排気され、約1.5分間で1本のたばこを燃焼する。このような構成の容器の中でたばこの煙発生装置と換気扇を駆動すると、換気扇の排気も同容器内に排出されるので、容器内に充満したたばこの煙は何回も不織布フィルター部を通過することになる。5本のたばこを連続して燃焼させ、換気扇を10分間駆動させた後に容器を開放して不織布フィルターを取外して試料とした。この不織布フィルターの繊維表面には本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜が形成されている。作成方法は、参考例9で説明したような方法で作成した。参考例9ではPETフィルムを対象としているが、ここでは、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液中に硝酸リチウムを添加した溶液中に、オゾン雰囲気による表面酸化処理を施した不織布フィルターを浸漬し、1分間保持した後にフィルターを引き上げて、エアーブローによって不要な溶液を飛散させた後に、120℃で低圧水銀ランプ(強度:15mW/cm2)を照射しながら5分間処理して膜を硬化させて繊維表面に光触媒薄膜を形成した。この膜の組成は表1中のサンプルNo.2である。
【0207】
このようにして作成した試料に蛍光灯の光を照射して付着した汚れの分解度を評価した。評価は不織布フィルターの色の変化を色差計(日本電色工業社:Z−1001DP)を用いて行った。光照射前の汚れた状態の色差を100%とし、たばこの煙による汚れを、付着させる前の色差を0%として防汚効果を評価した。比較用にSiO2中にTiO2微粒子を分散させただけのものとしてサンプルNo.11と、TiO2微粒子を含まないSiO2のみの膜の場合のものとしてサンプルNo.12についても同様にフィルター繊維表面に薄膜を形成させて評価した。
【0208】
この結果を図23と図24に示す。図23は同条件で煙のフィルター通過試験を行った際の、フィルターの汚れ具合を経時的に色差にて評価した結果である。無処理のアクリル繊維に比較して、TiO2やSiO2を成分とするガラス質の酸化物光触媒薄膜の付いている場合は、約50%変色が早く、すなわち約50%煙の捕集効率が向上している。図24は上記の条件で煙を吸着して茶色く変色したフィルターに蛍光灯の光を照射して、光触媒によって付着物を分解させ、変色したフィルターの色が再び元来の色調に戻る度合いを色差の経時測定で評価した結果である。図中の積算光量とは、250〜350(nm)の波長の光の照射された積算値を表す。図中のサンプルNo.12はTiO2を含まないSiO2のみの場合であり、ほとんど分解による脱色効果が認められない。サンプルNo.11とサンプルNo.2にはTiO2が同量含まれており、いずれも効果が認められるが、サンプルNo.2はLiNO3を添加した本発明による処方であり、脱色の速度は大きく改善されたことがわかる。特に初期においては、LiNO3無添加の場合の2倍以上の高い分解効率が得られている。実際の空気清浄機や換気扇などの場合、少量の汚れが付着すると同時に室内光が照らされるので、初期的な分解の速度が重要となる。汚れの付着量が多くなるに連れて、光が汚れに遮られて繊維表面の光触媒薄膜に到達しにくくなるので、分解効率も低下する。このため汚れが厚く付着する前に分解することが重要となる。
【0209】
実際の環境で、上記の装置を用いた本試験と同レベルの汚れ量をフィルターに付着させるためには、密閉した6畳間(約20m2)で上記の換気扇を稼働させた場合、20本のたばこを燃焼させて、120分間稼働後の汚れ量に相当するものであった。
【0210】
次に本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を空気流路の中に設けた濾過機構に応用した場合の脱臭効果について検討した結果をまとめる。代表的な悪臭物質として、アンモニアの除去作用について評価を行った。上記のたばこの場合と全く同じ構成で検討を行った。たばこの煙発生装置の換わりに、一定量のアンモニアガスを容器内部に注入し、容器内部のアンモニアガス濃度を25(ppm)に調整した上で、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜の形成された不織布を取り付けた換気扇を駆動させた。まず最初に、煙捕集の場合と同様にガラス質の酸化物光触媒薄膜によるアンモニアガスの吸着効果を測定した結果を図25に示す。無処理のアクリル繊維では、1時間後でも90(%)以上のアンモニアガスが残留しているのに対して、TiO2やSiO2を成分とするガラス質の酸化物光触媒薄膜の付いている場合は、1時間後で50(%)以下の濃度まで吸着除去されたことがわかる。煙のみならずアンモニアガスの捕集効果が認められる。
【0211】
このアンモニアガスを飽和させるまで吸着させた後に、容器内部に配設した白熱電球を点灯し、フィルター面に光が当たるようにした。容器内のアンモニアガス濃度を経時測定し、アンモニア分解効果を評価した。この結果を図26に示す。
【0212】
TiO2を含まないサンプルNo.12のフィルターではほとんど濃度変化は認められない。TiO2を含むNo.11とNo.2は光照射に伴ってアンモニアガス濃度は低下し、分解されたことがわかるが、No.2は本発明によるLiNO3を配合したことにより分解効率が大きく改善され、サンプルNo.11に比較して、約3倍の分解効率が得られた。
【0213】
上記のような防汚,脱臭効果は、空気清浄機や換気扇への応用事例の代表例として記載したが、同様の機構を有する各種の物品のフィルターで全く同様の効果を発揮することはいうまでもない。
【0214】
次に参考例1〜8に示したような各種の物品の、外装部品に利用した場合の具体的な効果を評価した結果を以下にまとめる。試料としては、最も良く外装部品に用いる射出成形用の熱加塑性ABS樹脂(テクノポリマー社:タフレックス451,白色着色品)を用いた。5cm×5cmの板状の成形品を作成し、この表面をコロナ放電処理した。このコロナ放電処理面に、参考例12における表6に示したサンプルNo.86の組成の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成させた。比較用にSiO2中にTiO2微粒子を分散させただけのものとして表1中のサンプルNo.11と、TiO2微粒子を含まないSiO2のみの膜の場合のものとしてサンプルNo.12についても同様に成形板表面に薄膜を形成させて評価した。まず最初に、前述と同様にたばこの煙による汚れの評価を行った。前述の不織布フィルターの試験と全く同じ構成で検討を行った。フィルターの配置された部分の中央部に5cm×5cmのABS板を固定し、10本のたばこを燃焼させた後、120分間換気扇を駆動させ、白いABS板を茶色く汚染させた。このABS板を取外し、前と同様に各種条件の光を照射させて、その前後の色差測定により除去率を評価した。この結果を図27に示す。
【0215】
この結果、フィルターの場合とほぼ同様の結果が得られたが、付着する汚れ自体がフィルターの場合より少ないために半分以下の光量で同程度の脱色効果が得られた。またサンプルNo.86はLiNO3に加えてATOも添加成分として配合してあり、サンプルNo.11と比較して、更に若干高い分解効率が得られている。
【0216】
次に、台所等のように油分を多用する環境で物品が使用され、油脂によって汚れた場合の防汚効果について評価した結果をまとめる。参考例12の表6に示したサンプルNo.86の組成の、低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成させた5cm×5cmのガラス板に、サラダ油を約5(μm)の厚みに薄く塗布し、紫外線ランプの光を照射させて、油の重量変化を経時測定した。この結果を図28に示す。この結果、TiO2を含まないサンプルNo.12ではほとんど重量変化は認められない。TiO2を含むNo.11とNo.2は光照射に伴って油が分解して揮散するために重量が低下するが、No2は本発明によるLiNO3を配合したことにより分解効率が大きく改善され、サンプルNo.11に比較して、約2倍の分解効率が得られた。
【0217】
以上一連の参考例の場合を含めて、本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を形成する際には、下地材質との密着性を向上させるために各種の方法を用いることができる。プライマーを用いる方法としては、例えば各種カップリング剤をあらかじめ塗布した後に光触媒膜を形成すると効果がある。
【0218】
一例としては、シランカップリング剤や有機チタン系化合物が挙げられる。
【0219】
シランカップリング剤の例としては、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトチメトキシシラン,γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン,β(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン,N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリニトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。
【0220】
有機チタン系化合物としては、チタンエステル,チタンアシレート,チタンキレート類を用いることができ、特にテトラ−i−プロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトラキス(2−エチルヘキシリオキシ)チタン,ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン,チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート,チタニウムステアレート等が効果的である。
【0221】
また各種表面改質手段を用いて、対象物の表面を酸化処理し水酸基やカルボニル基,カルボキシル基等を導入して本発明による低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を強固に結合させる方法も効果がある。
【0222】
具体的には、紫外線照射,電子線照射,コロナ放電処理,オゾン雰囲気処理などの方法が挙げられる。ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂等のような比較的親水性の樹脂の場合は、上記のような前処理することなく高い付着力を得られるが、ポリオレフィン系樹脂や高結晶性の樹脂に対しては、これらの前処理を行うことが効果的である。
【0223】
本発明においては、光触媒の活性を高めるための添加成分として、AgやCuを混合すると効果があることは前述の通りである。これらは、同時に膜自体の電気絶縁性を下げ、帯電防止効果が得られる上に、更には、微生物繁殖を抑制する効果も得ることができる。AgやCuのイオンは抗菌性、特に細菌抵抗性が高いことが知られており、これらAgやCuを併用した場合は、光が当たっていない際でも微生物の繁殖を抑えることができる。
【0224】
本発明の対象とする応用範囲は、以上具体例を挙げて説明した装置に限定されるものではない。すなわち、本発明の原理は、紫外線などの特定波長の電磁波を照射することによって無機ポリマーの高分子化を促進でき、この結果プラスチック類などの耐熱性が低い素材の表面であっても、TiO2を主成分とする光触媒の無機質の薄膜を形成させる点と、このTiO2を主成分とする光触媒の反応活性度を各種成分を添加することで数倍高める点を活かして、熱加塑性の汎用プラスチック類から、熱硬化性プラスチック類や、あるいはプラスチック材料を塗装した面に光触媒機能を持たせるものであり、この原理を活用して、従来にはない低い耐熱性素材表面において、従来にはない微弱な光強度で有機物を分解せしめるものである。また膜自体の表面抵抗値を低下させるような半導体,導体微粒子を添加することで、塗膜表面の帯電防止効果が得られるので、静電気による汚れ付着が少なくなっている。
【0225】
(実施例1)
本発明において、光触媒膜を形成させた部品表面に照射される光は、蛍光灯,白熱電球,水銀灯の光や太陽光などであるが、これらの光が必ずしも直射される必要はない。すなわち、透明な素材である透明プラスチックやガラスからなる部品を透過させた光が照射されるような構成にしても効果が得られる。一例を挙げると、図1〜図3の空気清浄機におけるパネル2やフレーム4,フロントカバー16,パネル18、図4の換気扇におけるフレーム29、図6,図7の掃除機における上カバー52,蓋カバー53,グリルカバー54,吸い口部65,排気通風部76、図8の衣類乾燥機における開閉フタ86,リントフィルター装置99、図9〜図11の食器乾燥機における扉121,排気口128,吸気口117、図12〜図14の食器洗い機ドア137,排気口152、図15,図16の厨芥処理機における、内フタ71,吸気口174,排気口175などの部品は、空気濾過部材を支持したり、その周辺に配置される部品であり、通情熱加塑性プラスチックの成形体でできているが、これらの部品を透明な成形品とすることにより、光は内部へ導入され、汚れ分解,脱臭,抗菌といった硬化を内部で発現することができるものである。
【0226】
透明なプラスチックの一例としては、PMMA,AS,PC,ABS,PVC,ポリー4メチルペンテン−1(TPX)などが特に好適である。
【0227】
また、これらの透明プラスチック素材に顔料や染料を混連させて着色しても良い。しかしながら、着色させる場合には、黄色や赤色緑色形の着色は、短波長の光を吸収するために分解効果を低下させるので好ましくない。着色する場合好ましい色調は青色系あるいは黒色系(スモーク)である。
【0228】
本発明者等は鋭意検討を行った結果、透明部品の色と光触媒の分解効率の関係を明らかにした。以下論議する透明部材の色についてはJIS-Z-8730に示されるような、Hunter,Lab法で規定する。すなわち、無彩色である白黒の度合い(明度)を表すL値、赤さと緑の度合いを表すa値、ならびに青さと黄色の度合いを表すb値によって表現するものである。
【0229】
L値は、大きいほど好ましい。彩色については、黄色系の透明部品は他の色に比較して、光触媒における分解反応に必要な短波長の光の吸収が大きく、分解効率を低下させる。すなわちLab法ではb値が少ないほど好ましい。またa値については、一定値以上一定値以下の範囲になるようにすることが好ましい。
【0230】
これら色と分解効率の関係を評価した結果を図29に示す。PMMA樹脂をベースとして、各種の顔料によって着色させたカラープレートを用いて図24の試験と同様の条件で、たばこ5本分を燃焼させて、フィルターに付着させたたばこの煙の汚れの脱色分解率を測定した。用いた光触媒素材は表1中のサンプルNo.2であり、PMMA樹脂は三菱レーヨン(株)のアクリペットMDを各色に着色した厚み2.0(mm)のカラープレートを使用した。これは紫外線吸収剤が添加された樹脂であり、360(nm)付近の紫外線を吸収する。図29中の分解率とは、2(m)の距離で40ワットの蛍光灯の光を汚したフィルターに20時間照射した後の、色差変化より求めた脱色率を表す。試料の各色カラープレートを汚したフィルター上に置き、蛍光灯を透過させて照射した後に、脱色度合いで分解率を算出した。標準的な実際の喫煙環境では、本条件の試験で40(%)以上の分解率が得られれば、煙による汚れが蓄積することなく連続使用に耐えるものである。
【0231】
この試験結果から、L値が+50以上であり、かつa値が−20以上+20以下であり、かつb値が+20以下となる条件の場合、40(%)以上の分解率を得ることができることがわかった。
【0232】
本試験はJIS-Z-8730(色差表示法)に従ったもので、用いた測定機はJIS-Z-8722に準じた、日本電色工業(株)製のZ1001DPである。測定試料は2.0(mm)厚の板の透過光を測定した。
【0233】
本発明による、上記に述べたような作用を持った部材を、各種の装置類の空気の流れる部位に設置することで、付着した有機物を効果的に分解できるので、空気流を発生させたり、あるいは、その空気流を濾過したりするような構造を有する装置であれば、どんな製品であっても容易に応用できる。
【0234】
一例としては、暖房器具として、石油ファンヒータやガスファンヒータ,電気ヒータ類やこたつ等に応用ができる。空気調和機や除湿機あるいは、冷風扇にも同様に応用できる。また、加熱式や超音波式の加湿機にも応用できる。オーブンや電磁調理機等の加熱調理器具類にも適用することができる。ヘアードライヤーにも利用できる。また、冷却ファンを具備する装置類にも用いることができる。すなわちパーソナルコンピュータやワードプロセッサー等の各種コンピューター類や、ブラウン管などのそれらコンピュータ機器のディスプレー類、あるいは複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真機構を用いる装置類,液晶プロジェクターやスライド投影機などの装置類に付帯している冷却ファンの部分や、これら装置の冷却ファンを用いた冷却の風の通風に用いる吸気口や排気口部分、それら吸排気口部分に取り付けたフィルター部分にも、本発明同様の低温硬化型高活性酸化物光触媒薄膜を設けることができ、同様の効果を得ることができる。
【0235】
参考例16)
表10に示した組成の光触媒フィルターであるATO添加またはRuO2−ATO添加TiO2光触媒付きフィルターの作製手順を以下に示す。
【0236】
ATO溶液は以下のように作製した。SnCl4をプロパノールに溶解して、10wt%SnO2溶液を調製した。また、イソプロポキシアンチモンをプロパノールに溶解して4wt%Sb25溶液を調製した。次にこれら2種類の溶液を当量混合させ、SnO2に対してモル比1:1の2−アミノエタノールを加え、次いでSnO2に対して4倍モルの水を添加して、5wt%ATO溶液を作製した。RuO2−ATO溶液は上記ATO溶液にルテニウムアセチルアセテートを溶解して0.05wt%RuO2−5wt%ATO溶液とした。
【0237】
次に、ATO及びRuO2−ATO添加TiO2粉末の作製法を示す。ATO添加及びRuO2−ATO添加いずれの場合も所定量のTiO2粉末(アナターゼ)を先に作製した溶液中に加え、60℃で2時間撹伴後、一旦蒸発皿で250℃で乾燥し粉末とした後、550℃で3時間処理して、ATO及びRuO2−ATOの添加量の異なるTiO2粉末を作製した。
【0238】
次に、ATO添加及びRuO2−ATO添加TiO2光触媒コーティング液作製手順及びATO添加及びRuO2−ATO添加TiO2光触媒フィルターの作製法を示す。
【0239】
ATO添加及びRuO2−ATO添加TiO2光触媒コーティング液は、いずれも先に作製した粉末を4wt%SiO2ゾル中に所定量添加し、ジルコニアボールを用いて20時間ミリングしてコーティング液を作製した。この様に作製したコーティング液に、アクリル繊維からなるフィルターを浸漬し、エアーブローして余分なコーティング液を取り除き、120℃で5分間処理して光触媒付きフィルターを作製した。各光触媒の組成は表10に示したとおりである。
【0240】
本発明の成膜法は、120℃程度で作製が可能であり、パイレックス(登録商標)ガラス基板以外にプラスチック材料への応用が可能である。通常のゾルゲル法では、400℃程度の温度が必要であるためプラスチック製品への応用が困難であったり、TiO2の結晶化に10分以上の時間が必要である。一方、本発明の作製法は低温で成膜が可能であるため、使用できる基材が豊富で、どの様な表面にも光触媒を成膜できる。また、数分間という短時間処理が可能で生産コストの大幅な低下が可能である。
【0241】
光触媒フィルターとしては、空気洗浄機等に応用可能である。この場合空気中に存在する悪臭成分及び細菌,たばこの煙等の除去が可能である。特に、通常のフィルターが吸着剤による吸着除去であるため飽和吸着後にその効果が失われ交換する必要であるのに対して、光触媒付きフィルターは吸着した悪臭成分及び細菌,たばこの煙等を光触媒作用により除去できるためフィルター交換回数を少なくすることが出来る。
【0242】
表10に示した組成の光触媒フィルターを空気洗浄機に取り付けたばこの煙が充満した部屋で作動させ、フィルターにたばこの煙を吸着させ変色させた。この変色したフィルターを取り出し、蛍光灯を照射して色の変化を測定し、吸着したたばこの煙の分解性を調べた。なお、分解率は色彩計により測定した変色量から算出した。
【0243】
表10には蛍光灯照射5時間後の分解率を示した。ATO無添加触媒に対してATO添加触媒の分解率は大きくなっている。また、RuO2−ATO添加はさらに分解率が大きくなっており、RuO2,ATO添加が有効であることがわかる。
【0244】
ATO添加光触媒は、ATOとTiO2が接触することで、ATOの電子をTiO2光触媒が利用することにより、光触媒の性能が向上する。
【0245】
酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより小さい場合は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成され、添加した酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入できず効果が現れない。これに対して酸化物半導体の電子親和力がTiのそれより大きい場合は、微粒子の粒子界面にはショットキーバリアが形成されず、オーミック接合となり、容易に酸化物半導体のキャリアがTiO2中に注入され、有効に機能する。特にATOは、電子親和力はTiより若干小さいが、その差はほとんど無いため性能向上が見られる。これは導電性酸化物であるATOはキャリア濃度が高く、ATOの大量のキャリアがTiO2中に注入され、光触媒の活性が向上した。近年ATOについては導電性酸化物として注目され、超微粒子(粒径200オングストローム以下、特に20オングストロームから100オングストローム以下が望ましい。)が市販されている。TiO2光触媒に超微粒子ATOを添加してより簡単にATO添加TiO2光触媒を作製することが出来る。ただしこのような超微粒子ATOを用いて、5wt%ATO添加TiO2光触媒付きフィルターを作製し同様な試験を行ったところ、5時間後の分解率は35%であり、本発明の光触媒の42%より小さい。超微粒子ATO添加ではTiO2微粒子に接触したATO粒子も存在するが、SiO2中に存在する粒子もあり、効率的でない。一方、本発明の場合はTiO2微粒子にあらかじめATO溶液を添加し焼成するため、ATOとTiO2粒子の接触面積が大きく、さらに焼成により接合状態も良好で異種半導体間での電子移動もスムーズとなる。またp型半導体であるRuO2は、n型半導体であるTiO2,ATOが光を吸収し生成した電子とホールのうちホールを引き付けるため、電子とホールの再結合を抑制することが出来る。したがって、光を吸収して生成した電子及びホールを有効に触媒反応へ利用でき、更に分解率を向上できる。以上のような効果により、本発明では光触媒の分解性能が向上することができた。
【0246】
参考例17)
光触媒の性能向上にはATO添加だけでなく、他の添加剤の添加により更に向上することができる。
【0247】
表11には参考例16で作製した光触媒に、更にLi,Na,Mgを添加した触媒の組成とたばこの煙の分解試験結果を示した。結果はLi,Na,Mgいずれを添加した場合も分解率が向上し、より高性能なフィルターを作製できることがわかる。Li,Na,Mgはイオン半径がTiのイオン半径と近く、TiO2表面のTi欠陥に容易に侵入し、結晶の安定性を増加させる。また、Li,Na,Mgはイオン性が強いため電子を引き付け易く、光を吸収し生成した電子とホールを分離し反応効率を大きくすることができる。
【0248】
参考例18)
参考例16で作製したLi添加光触媒とLi無添加光触媒について、蛍光灯,太陽光,白熱ランプ,水銀灯を用いて、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性を比較した。その結果Li−RuO2−ATO添加光触媒はいずれのランプを用いても、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性が、無添加光触媒の3〜5倍の効果があることが分かった。このようにLi−RuO2−ATO添加触媒は、生活環境下で使用するランプで十分な効果が得られることが分かった。また、Li以外のNa,Mgを添加した場合の同様の効果が得られた。
【0249】
以上のように、簡便な手法で、低温成膜が可能で、あらゆる材料表面に光触媒を形成でき、生活環境下で有効な高活性光触媒を提供し、抗菌,防汚効果の優れた材料であって、各種応用製品の部品交換及び清掃回数を少なくできる。
【0250】
【表10】
Figure 0004305001
【0251】
【表11】
Figure 0004305001
【0252】
参考例19)
表12に示したRSO添加TiO2光触媒付きフィルターの作製手順を以下に示す。
【0253】
RSO溶液は以下のように作製した。ルテニウムアセチルアセテートをプロパノールに溶解して、2mol%RuO2溶液を調製した。また、Sr(NO3)2をプロパノールに溶解して2mol%SrO溶液を調製した。次にこれら2種類の溶液を当量混合させ、RuO2に対してモル比1:1の2−アミノエタノールを加え、次いでRuO2に対して4倍モルの水を添加して、1mol%RSO溶液を作製した。
【0254】
次に、RSO添加TiO2粉末の作製法を示す。先に作製した溶液を60℃で2時間撹伴後、一旦蒸発皿で250℃で乾燥し粉末とした後、850℃で5時間処理して、RSO粉末を作製した。
【0255】
次に、RSO添加TiO2光触媒コーティング液製手順及びRSO添加TiO2光触媒フィルターの作製法を示す。
【0256】
RSO添加TiO2光触媒コーティング液は、いずれも先に作製したRSO粉末及びTiO2(アナターゼ)粉末を4wt%SiO2ゾル中に所定量添加し、ジルコニアボールを用いて20時間ミリングしてコーティング液を作製した。この様に作製したコーティング液に、アクリル繊維からなるフィルターを浸漬し、エアーブローして余分なコーティング液を取り除き、120℃で5分間処理して光触媒付きフィルターを作製した。各光触媒の組成は表12に示したとおりである。
【0257】
本発明の成膜法は、120℃程度で作製が可能であり、パイレックス(登録商標)ガラス基板以外にプラスチック材料への応用が可能である。通常のゾルゲル法では、400℃程度の温度が必要であるためプラスチック製品への応用が困難であったり、TiO2の結晶化に10分以上の時間が必要である。一方、本発明の作製法は低温で成膜が可能であるため、使用できる基材が豊富で、どの様な表面にも光触媒を成膜できる。また、数分間という短時間処理が可能で生産コストの大幅な低下が可能である。
【0258】
光触媒フィルターとしては、空気洗浄機等に応用可能である。この場合空気中に存在する悪臭成分及び細菌,たばこの煙等の除去が可能である。特に、通常のフィルターが吸着剤による吸着除去であるため飽和吸着後にその効果が失われ交換する必要であるのに対して、光触媒付きフィルターは吸着した悪臭成分及び細菌,たばこの煙等を光触媒作用により除去できるためフィルター交換回数を少なくすることが出来る。
【0259】
表12に示した組成の光触媒フィルターを空気洗浄機に取り付けたばこの煙が充満した部屋で作動させ、フィルターにたばこの煙を吸着させ変色させた。この変色したフィルターを取り出し、蛍光灯を照射して色の変化を測定し、吸着したたばこの煙の分解性を調べた。なお、分解率は色彩計により測定した変色量から算出した。
【0260】
表12には蛍光灯照射5時間後の分解率を示した。RSO無添加触媒に対してRSO添加触媒の分解率は大きくなっており、RSO添加が有効であることがわかる。
【0261】
RSO添加光触媒は、RSOとTiO2が接触することで、RSOのホールをTiO2光触媒が利用することにより、光触媒の性能が向上する。一光触媒の酸化活性は、光の吸収により生成した電子とホールの酸化還元作用に起因する。特に生成したホールは、水酸化ラジカルを生成し強力な酸化作用を生じる。RSOはp型半導体であり大量のホールを有する。RSOとTiO2が接触することにより、TiO2中にホールが注入され、TiO2表面で有機物等を酸化させ、光触媒の活性が向上した。
【0262】
光触媒の性能向上にはRSO添加だけでなく、他の添加剤の添加により更に向上することができる。
【0263】
表13には参考例19で作製した光触媒に、更にLi,Na,Mgを添加した触媒の組成とたばこの煙の分解試験結果を示した。結果はLi,Na,Mgいずれを添加した場合も分解率が向上し、より高性能なフィルターを作製できることがわかる。Li,Na,Mgはイオン半径がTiのイオン半径と近く、TiO2表面のTi欠陥に容易に侵入し、結晶の安定性を増加させる。また、Li,Na,Mgはイオン性が強いため電子を引き付け易く、光を吸収し生成した電子とホールを分離し反応効率を大きくすることができる。
【0264】
【表12】
Figure 0004305001
【0265】
【表13】
Figure 0004305001
【0266】
参考例20)
参考例19で作製したLi添加光触媒とLi無添加光触媒について、蛍光灯,太陽光,白熱ランプ,水銀灯を用いて、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性を比較した。その結果Li−RuO2−RSO添加光触媒はいずれのランプを用いても、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性が、無添加光触媒の3〜5倍の効果があることが分かった。このようにLi−RuO2−RSO添加触媒は、生活環境下で使用するランプで十分な効果が得られることが分かった。また、Li以外のNa,Mgを添加した場合の同様の効果が得られた。
【0267】
参考例21)
参考例19のようなRSO粉末をTiO2粉末に混合する手法では、TiO2微粒子に接触したRSO粒子も存在するが、SiO2をバインダーとして使用するためSiO2中に存在する粒子もあり、効率的でない。一方、TiO2微粒子にあらかじめRSO溶液を添加し焼成することができれば、RSOとTiO2粒子の接触面積が大きく、さらに焼成により接合状態も良好で異種半導体間での電子移動もスムーズとなる。しかし、RSOを作製するには700〜850℃という温度が必要で、これ以下の温度ではRSOが結晶化しないためp型半導体として機能しない。TiO2の場合、600℃以上でその結晶はルチル型となる。光触媒としての充分な機能を発現するのは、アナターゼ型である。ルチル型では光触媒の性能が急激に低下してしまう。従って、RSO添加後にTiO2を高温処理すれば、RSOはp型半導体となるが、TiO2はルチル型に相転移し、光触媒としての機能を失ってしまう。そこで、光触媒としてTiO2同様な機能が期待できるSTO(SrTiO3)を用いて、RSO添加STO光触媒が有効となる。STOはTiO2とほぼ同様なバンド構造を有している。また、その製造法は700〜850℃という高温で処理して結晶化させる。さらに、RSOとSTOはいずれの結晶もペロブスカイトであって、その結晶格子定数はSr−Oが共通であるためにほぼ同様である。従って、作製条件もRSOに非常に近く、接合状態も良好となり得る。以下にRSO添加STO粉末の作製法を示す。
【0268】
STO粉末は次のように作製した。イソプロポキシチタネートをプロパノールに溶解し2mol%TiO2溶液を作製し、次いでTiO2に対してモル比1:1のSr(NO3)2を加え、TiO2に対してモル比1:1の2−アミノエタノールを加え、次いでTiO2に対して4倍モルの水を添加して、1mol%STO溶液を作製した。
【0269】
次にこの溶液を60℃で2時間撹伴後、一旦蒸発皿で250℃で乾燥し粉末とした後、850℃で5時間処理して、STO粉末を作製した。
【0270】
以下にRSO添加STO粉末の作製法を示す。
【0271】
参考例19で作製したRSO溶液に所定量のSTO粉末を加え、60℃で2時間撹伴後、一旦蒸発皿で250℃で乾燥し粉末とした後、850℃で5時間処理して、RSO添加STO粉末を作製した。
【0272】
次に、RSO添加STO光触媒コーティング液作製手順及びRSO添加STO光触媒フィルターの作製法を示す。
【0273】
RSO添加STO光触媒コーティング液は、先に作製したRSO添加STO粉末を4wt%SiO2ゾル中に所定量添加し、ジルコニアボールを用いて20時間ミリングしてコーティング液を作製した。この様に作製したコーティング液に、アクリル繊維からなるフィルターを浸漬し、エアーブローして余分なコーティング液を取り除き、120℃で5分間処理して光触媒付きフィルターを作製した。作製したRSO添加STO光触媒は、高温で焼結し粒成長したSTO粉末からなるため、若干TiO2系に比べアクリル繊維との密着性が悪いが、外見はきれいであった。各光触媒の組成は表14に示したとおりである。
【0274】
表14に示した組成の光触媒フィルターを空気洗浄機に取り付けたばこの煙が充満した部屋で作動させ、フィルターにたばこの煙を吸着させ変色させた。この変色したフィルターを取り出し、蛍光灯を照射して色の変化を測定し、吸着したたばこの煙の分解性を調べた。なお、分解率は色彩計により測定した変色量から算出した。
【0275】
表14には蛍光灯照射5時間後の分解率を示した。RSO添加STO触媒はRSO添加TiO2触媒に比べ分解率は大きくなってり、RSO添加STOが有効であることがわかる。
【0276】
また、光触媒の性能向上にはRSO添加だけでなく、他の添加剤の添加により更に向上することができる。
【0277】
表14には作製したRSO添加STO光触媒に、更にLi,Na,Mgを添加した触媒の組成とたばこの煙の分解試験結果を示した。結果はLi,Na,Mgいずれを添加した場合も分解率が向上し、より高性能なフィルターを作製できることがわかる。Li,Na,Mgはイオン半径がTiのイオン半径と近く、STO表面のTi欠陥に容易に侵入し、結晶の安定性を増加させる。また、Li,Na,Mgはイオン性が強いため電子を引き付け易く、光を吸収し生成した電子とホールを分離し反応効率を大きくすることができる。
【0278】
RSO添加STO光触媒フィルターは、先に述べたように若干密着性が悪い。そこで、密着性の良好なTiO2系を混合して、アクリル繊維にコーティングし光触媒フィルターを作製した。組成及びたばこの煙の分解性は表15に示した。結果は密着性及びたばこの煙の分解とも良好な結果が得られ、高性能光触媒を作製することができた。
【0279】
以上のように、p型半導体であるRSOは、STO中にホールを注入し、あるいはSTOが光を吸収し生成した電子とホールのうちホールを引き付けるため、電子とホールの再結合を抑制することが出来る。したがって、光を吸収して生成した電子及びホールを有効に触媒反応へ利用でき、更に分解率を向上できる。以上のような効果により、本発明では光触媒の分解性能が向上することができた。
【0280】
このように、簡便な手法で、低温成膜が可能で、あらゆる材料表面に光触媒を形成でき、生活環境下で有効な高活性光触媒を提供し、抗菌,防汚効果の優れた材料であって、各種応用製品の部品交換及び清掃回数を少なくできる。
【0281】
【表14】
Figure 0004305001
【0282】
【表15】
Figure 0004305001
【0283】
参考例22)
SiO2ゾル中にTiO2微粒子及びゼオライト(アルミ珪酸塩)を分散させた溶液を作製した。この溶液を用いてアクリル繊維上にTiO2膜を形成し、光触媒付きフィルターを作製した。以下にその手順を示した。
【0284】
まず、SiO2ゾルの作製法について説明する。5gのテトラエトキシシランを100mlの水−エタノール−プロパノール(3:27:70)混合溶液中に溶解し、40℃で5時間程度撹伴した。得られた溶液は室温で2週間放置してSiO2ゾルとした。
【0285】
次にSiO2ゾル中にTiO2微粒子及びゼオライトを分散させた溶液の作製法について説明する。先に作製したSiO2ゾル中にTiO2微粒子を重量比でTiO2/SiO2=9として添加し、所定量のZSM−5(合成ゼオライト、以下同じ。)を添加した。また、固形分濃度は4wt%とし、必要量水を加えて調整した。その後5mmφのジルコニアボールを用いてSiO2ゾル中にTiO2微粒子及びZSM−5を分散させるために24hrボールミルで処理し、SiO2ゾル中にTiO2微粒子及びZSM−5を分散させた溶液を作製した。
【0286】
アクリル繊維に作製したZSM−5添加TiO2微粒子分散SiO2ゾルをコートして、120℃で5分間処理してSiO2膜中にTiO2微粒子及びZSM−5が分散したTiO2分散SiO2膜をコートしたフィルターを形成した。作製した光触媒の組成はSiO2=8wt%,TiO2=72wt%,ZSM−5=20wt%とした。
【0287】
光触媒フィルターとしては、空気洗浄機等に応用可能である。この場合空気中に存在する悪臭成分及び細菌,たばこの煙等の除去が可能である。特に、通常のフィルターが吸着剤による吸収除去であるため飽和吸着後にその効果が失われ交換する必要があるのに対して、光触媒付きフィルターは吸着した悪臭成分及び細菌,たばこの煙等を光触媒作用によリ除去できるためフィルター交換回数を少なくすることができる。
【0288】
先に作製した光触媒フィルターをガラス製容器に封入し、ガス成分であるアセトアルデヒドを400ppm打ち込み、容器内をファンで循環させ蛍光灯を照射して光触媒性能を調べた。なお、ガスの分析は赤外線検出器を接続し循環させ常に測定した。測定結果は図30に示した。ゼオライト無添加の場合はアセトアルデヒドは初め急激に減少しその後徐々に減少していくが、ガスが打ち込まれると初期値に戻り、この様な操作を繰り返すと、吸着及び分解反応が平衡に達する。これはアセトアルデヒドが初めにTiO2に吸着し急激に減少し、その後光触媒の作用により徐々に分解されていることを示している。次にガスが打ち込まれると、光触媒により分解して空いた吸着サイトにアセトアルデヒドが吸着し、急激に減少しその後徐々に分解されている。これに対してゼオライト添加では、ゼオライトの吸着剤としての効果により、導入されたガスはほぼ雰囲気中から消滅する。次いで吸着されたガスは徐々に光触媒作用により分解されている。従って、ゼオライトを添加し吸着効果を加味することで、空気中のガスを速やかに吸着除去し、その後光触媒が分解し、空気中を常にきれいに保つことができる。
【0289】
参考例23)
ゼオライトのSi:Al比の影響を調べるために、Si:Al=80:20,50:20,30:20の3種を添加してその差を調べた。結果は図31に示したように、Si比が大きいほど高性能であることがわかった。Si比が大きいゼオライトは、表面積も大きいことから吸着量が多いだけでなく、吸着水量が多く光触媒に必要な表面吸着水を提供できるためである。
【0290】
参考例24)
次にゼオライトにCu,Ag,Li,Na,Mgイオンをイオン交換して導入した場合の性能を調べた。結果は図32に示したように、Cu,Agイオン交換はイオン交換前後(図30と比較)であまり変化が無い。一方、Li,Na,Mgイオン交換は性能向上が見られた。これは、Na,Li,Mgのようなイオン性の強い元素は、ゼオライト中で+に帯電した空間を生じ、TiO2が光を吸収して生成した電子を引き付け、電子とホールを分離し、再結合を抑制し反応効率が大きくなったためである。
【0291】
Cu,Agイオン交換ゼオライト添加については、大腸菌を用いた抗菌性試験を行った。結果は図33に示した。ゼオライトないしは光照射しない間は、大腸菌が繁殖している。ゼオライト添加した場合は、光照射時の大腸菌滅菌率は同様であるが、光照射なしで若干大腸菌数が減少している。Cu,Agイオン交換ゼオライトは、光照射時の一大腸菌の滅菌率を向上し、さらに、光照射しない間の滅菌率も他に比べ大きく良好な結果を得た。
【0292】
以上のように、ゼオライトを添加することにより暗反応の抗菌性が向上し、さらにCu,Agイオン交換すれば、光照射時及び暗反応時とも性能向上が見られ、優れた抗菌剤を作製することができた。
【0293】
このように、あらゆる材料表面に光触媒を形成でき、生活環境下で有効な高活性光触媒を提供し、吸着効果と分解反応により空気中のガス成分の除去を効率良く行う。
【0294】
参考例25)
SiO2ゾル中にTiO2微粒子及び青色顔料を分散させた溶液を作製した。この溶液を用いてアクリル繊維上にTiO2膜を形成し、光触媒付きフィルターを作製した。以下にその手順を示した。
【0295】
まず、SiO2ゾルの作製法について説明する。5gのテトラエトキシシランを100mlの水−エタノール−プロパノール(3:27:70)混合溶液中に溶解し、40℃で5時間程度撹伴した。得られた溶液は室温で2週間放置してSiO2ゾルとした。
【0296】
次にSiO2ゾル中にTiO2微粒子及び青色顔料を分散させた溶液の作製法について説明する。先に作製したSiO2ゾル中にTiO2微粒子を重量比でTiO2/SiO2=9として添加し、所定量のCu−フタロシアニン(青色顔料)を添加した。また、固形分濃度は4wt%とし、必要量水を加えて調整した。その後5mmφのジルコニアボールを用いてSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させるために24hrボールミルで処理し、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。
【0297】
アクリル繊維に作製したTiO2微粒子分散SiO2ゾルをコートして、120℃で5分間処理してSiO2膜中にTiO2微粒子が分散したTiO2分散SiO2膜をコートしたフィルターを形成した。作製した光触媒の組成は表16に示した。
【0298】
光触媒フィルターとしては、空気洗浄機等に応用可能である。この場合空気中に存在する悪臭成分及び細菌,たばこの煙等の除去が可能である。特に、通常のフィルターが吸着剤による吸収除去であるため飽和吸着後にその効果が失われ交換する必要があるのに対して、光触媒付きフィルターは吸着した悪臭成分及び細菌,たばこの煙等を光触媒作用により除去できるためフィルター交換回数を少なくすることができる。
【0299】
表16に示した組成の光触媒フィルターを空気洗浄機に取り付け、たばこの煙が充満した部屋で作動させ、フィルターにたばこの煙を吸着させ変色させた。この変色したフィルターを取り出し、蛍光灯を照射して色の変化を測定し、吸着したたばこの煙の分解性を調べた。なお、分解率は色彩計により測定した変色量から算出した。
【0300】
図34に分解試験結果を示した。結果は青色顔料を添加することで分解性能が向上することがわかった。
【0301】
表16には分解性能以外の膜強度,耐光性を評価した結果を示した。なお、各評価は以下のように行った。
【0302】
強度試験は作製したフィルターについて、曲げ,引っ張りを繰り返し粉末が落ちるかを評価した。また、曲げ,引っ張りにより粉末が落ちない場合は、曲げ,引っ張りを繰り返した後、2m/secの空気を吹き付けて剥離するかを調べた。評価は曲げ、引っ張りで剥離した場合はXとし、剥離しない場合で空気を吹き付けて剥離したものが△、いずれの場合も剥離しないものが○とした。
【0303】
耐光性は作製したフィルターに低圧水銀ランプ(254nm,3mW/cm2)を照射し、色彩の変化量が20%以上になる時間を調べた。
【0304】
評価結果は、膜強度については顔料を添加すると強度が低下し、20wt%以上では簡単に膜が剥離するという結果となった。簡単に剥離はするが曲げ,引っ張りという操作が無ければ、剥離することは無いので設置後移動等生じない条件であれば使用できる。
【0305】
耐光性については、顔料添加量が多いほど劣化が大きいことがわかった。顔料は耐光性に優れるとは言え、有機基を含んでおり光触媒により徐々に分解される。ただし、この評価条件はかなり加速的であるため、通常使用する条件は蛍光灯の光であり、表16中の35時間は蛍光灯下で3年〜5年に相当する。
【0306】
このように顔料添加触媒は膜強度及び耐光性が劣るが、フィルター触媒自身が着色しているためフィルターの性能が見た目ですぐわかりフィルターの交換時期を容易に判断することができる。
【0307】
フィルターへの密着強度を強くするには、有機樹脂の添加が最も有効である。先に作製した溶液中にアクリル樹脂を添加した場合の組成及び各種評価結果を表17に示した。樹脂添加により膜強度は飛躍的に向上した。また、耐光性には変化は無いが蛍光灯下では充分な性能であり、たばこの分解性も良好な結果となった。
【0308】
以上のように顔料を添加し、必要により樹脂を添加することで、優れたフィルターを作製できることがわかった。
【0309】
【表16】
Figure 0004305001
【0310】
【表17】
Figure 0004305001
【0311】
参考例26)
参考例25で作製した顔料添加光触媒と顔料無添加光触媒について、蛍光灯,太陽光,白熱ランプ,水銀灯を用いて、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性を比較した。その結果Li添加光触媒はいずれのランプを用いても、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性が、顔料無添加光触媒の3〜5倍の効果があることが分かった。このように顔料添加触媒は、紫外線ランプばかりでなく、生活環境下で使用するランプで十分な効果が得られることが分かった。また、以上の結果は青以外の赤,黄,緑等を添加した場合でも同様の効果が得られた。
【0312】
このように、あらゆる材料表面に光触媒を形成でき、生活環境下で有効な高活性光触媒を提供し、光触媒の交換時期を容易にしることができる。
【0313】
参考例27)
SiO2ゾル中にTiO2微粒子及びアクリル樹脂を添加した溶液を作製した。この溶液を用いてアクリル繊維上にTiO2膜を形成し、光触媒付きフィルターを作製した。以下にその手順を示した。
【0314】
まず、SiO2ゾルの作製法について説明する。5gのテトラエトキシシランを100mlの水−エタノール−プロパノール(3:27:70)混合溶液中に溶解し、40℃で5時間程度撹伴した。得られた溶液は室温で2週間放置してSiO2ゾルとした。
【0315】
次にSiO2ゾル中にTiO2微粒子及びアクリル樹脂を添加した溶液の作製法について説明する。先に作製したSiO2ゾル中にTiO2微粒子を重量比でTiO2/SiO2=9として添加し、所定量のアクリル樹脂を添加した。また、固形分濃度は4wt%とし、必要量水を加えて調整した。その後5mmφのジルコニアボールを用いてSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させるために24hrボールミルで処理し、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。
【0316】
アクリル繊維に作製したTiO2微粒子分散SiO2ゾルをコートして、120℃で5分間処理してSiO2膜中にTiO2微粒子が分散したTiO2分散SiO2膜をコートしたフィルターを形成した。作製した光触媒の組成は表18に示した。
【0317】
光触媒フィルターとしては、空気洗浄機等に応用可能である。この場合空気中に存在する悪臭成分及び細菌,たばこの煙等の除去が可能である。特に、通常のフィルターが吸着剤による吸収除去であるため飽和吸着後にその効果が失われ交換する必要があるのに対して、光触媒付きフィルターは吸着した悪臭成分及び細菌,たばこの煙等を光触媒作用により除去できるためフィルター交換回数を少なくすることができる。
【0318】
表18に示した組成の光触媒フィルターを空気洗浄機に取り付け、たばこの煙が充満した部屋で作動させ、フィルターにたばこの煙を吸着させ変色させた。この変色したフィルターを取り出し、蛍光灯を照射して色の変化を測定し、吸着したたばこの煙の分解性を調べた。なお、分解率は色彩計により測定した変色量から算出した。
【0319】
図35に分解試験結果を示した。SiO2(シルカ)をバインダーとして使用した場合、バインダー量が多くなると光触媒としての性能が低下した。一方、アクリル樹脂の場合は、バインダー量が多くなっても光触媒の性能に変化がほとんど無いことがわかった。
【0320】
表18には分解性能以外に、膜強度,耐光性,水洗試験を評価した結果を示した。なお、各評価は以下のように行った。
【0321】
強度試験は作製したフィルターについて、曲げ,引っ張りを繰り返し粉末が落ちるかを評価した。また、曲げ,引っ張りにより粉末が落ちない場合は、曲げ,引っ張りを繰り返した後、2m/secの空気を吹き付けて剥離するかを調べた。評価は曲げ,引っ張りで剥離した場合はXとし、剥離しない場合で空気を吹き付けて剥離したものが△、いずれの場合も剥離しないものが○とした。
【0322】
耐光性は作製したフィルターに低圧水銀ランプ(254nm,10mW/cm2)を照射し、色彩の変化量が20%以上になる時間を調べた。
【0323】
水洗試験はフィルターの水洗いを繰り返し、触媒が剥離するまでの回数を調べ評価した。
【0324】
評価結果は、膜強度についてはアクリル樹脂を添加すると強度が向上し、5wt%以上では膜が剥離することがないという結果となった。
【0325】
耐光性については、アクリル樹脂添加量が多いほど劣化が大きいことがわかった。アクリル樹脂は有機基を含んでおり光触媒により徐々に分解される。ただし、この評価条件はかなり加速的であるため、通常使用する条件は蛍光灯の光であり、表18中の5時間は蛍光灯下で3年〜5年に相当する。
【0326】
水洗試験については樹脂添加量が10wt%以上であれば充分水洗して、繰り返し使用できることがわかった。
【0327】
以上のように、有機樹脂を添加することで、充分な強度を得ることができた。また、触媒の性能は樹脂を添加しても無添加と同等であり、洗浄可能な光触媒フィルターを作製できた。
【0328】
このようにアクリル樹脂添加触媒は耐光性が劣るが膜強度に優れ、フィルター触媒を洗浄することができる。これまで光触媒は有機物等の汚れをセルフクリーニングするだけで、埃等の無機物の汚れに効果が無かったが、洗浄することで無機物の汚れも除去でき、フィルターの寿命を長くすることができる。
【0329】
参考例28)
参考例27で作製したアクリル樹脂添加光触媒とアクリル樹脂無添加光触媒について、蛍光灯,太陽光,白熱ランプ,水銀灯を用いて、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性を比較した。その結果Li添加光触媒はいずれのランプを用いても、アセトアルデヒド,尿素,アンモニア,大腸菌の分解特性が、アクリル樹脂無添加光触媒と同等な効果があることが分かった。このようにアクリル樹脂添加触媒は、紫外線ランプばかりでなく、生活環境下で使用するランプで十分な効果が得られることが分かった。
【0330】
参考例29)
近年アクリル樹脂においては、化学的特性を向上させるためアクリル樹脂の側鎖にシラノール基を導入したシラノール変性アクリル樹脂が開発されている。このシラノール変性アクリル樹脂を参考例27で作製した溶液に、シラノール基の導入量が異なるアクリル樹脂を添加して、フィルターを作製した。図36には作製したフィルターのたばこの煙の分解特性及び耐光性を評価した結果を示した。たばこの煙の分解特性はシラノール基の導入量(図中シラノール導入量)により大きな変化はなく、性能が劣化しないことがわかった。一方耐光性は、シラノール基の導入量を多くすることにより、向上できることがわかった。
【0331】
以上のことから、シラノール変性アクリル樹脂を用いることで、耐光性が向上し、優れた光触媒フィルターを作製できることがわかった。
【0332】
参考例30)
有機樹脂を使用する場合、シリカのようなセラミックス材料と異なり、熱を加えなくても硬化することができる。例えば室温硬化樹脂を用いることにより達成できる。しかし、室温硬化系は瞬間接着剤のようなもの以外、24時間程度の時間がかかる。瞬間接着剤は、短時間で硬化するが、光触媒により徐々に分解される。短時間で硬化が可能でかつ耐光性に優れる樹脂としては、UV硬化系が挙げられる。UV硬化系は紫外線により硬化するものであり、蛍光灯より照射される紫外線により徐々に重合し硬化する。しかし、光触媒により徐々に分解していくことも事実である。従って、光硬化と光分解を適当に組み合わせることで、結果として耐光性を向上できる。
【0333】
TiO2微粒子をUV硬化樹脂を添加した溶液を作製した。この溶液を用いてアクリル繊維上にTiO2膜を形成し、光触媒付きフィルターを作製した。以下にその手順を示した。
【0334】
トルエン中に所定量のTiO2微粒子とSi,Al,Ti系カップリング剤いずれかを添加し、40℃で2時間撹伴し、次いで所定量UV硬化樹脂に添加した。また、固形分濃度は4wt%とし、必要量トルエンを加えて調整した。その後5mmψのジルコニアボールを用いて溶液中にTiO2微粒子を分散させるために24hrボールミルで処理し、UV硬化樹脂中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。
【0335】
アクリル繊維に作製した溶液をコートして、室温で低圧水銀ランプを用いて紫外線を15秒間照射し、光触媒をコートしたフィルターを形成した。作製した光触媒の組成は表19に示した。
【0336】
【表18】
Figure 0004305001
【0337】
【表19】
Figure 0004305001
【0338】
図37には、カップリング剤の添加量に対するたばこの煙の分解特性(5時間後の分解率)を調べた結果を示した。カップリング剤の添加により、光触媒特性が向上することがわかる。UV硬化樹脂のみでは、完全にTiO2粒子表面を樹脂が被い触媒特性が失われる。カップリング剤を添加することで、TiO2表面の露出部を多くすることができる。また、光触媒は表面吸着水を分解してラジカルを生成するが、カップリング剤を添加することで、表面吸着水を多く保持することができ、触媒性能を発現できる。
【0339】
表19には触媒性能以外の試験結果を示した。水洗試験はUV硬化性樹脂10wt%以上で水洗が可能となる。耐光性はいずれも問題無く10時間照射後でも劣化が認められない。
【0340】
以上のようにUV硬化性樹脂を用いることで、短時間で室温コーティングが可能で、耐光性に優れた光触媒フィルターを作製できた。
【0341】
このように、あらゆる材料表面に、低温短時間で光触媒を形成でき、生活環境下で有効な高活性光触媒を提供し、水洗が可能で無機物の汚れも除去でき、各種応用製品の部品交換及び清掃回数を少なくする。
【0342】
参考例31)
SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。この溶液を用いてPETフィルム上にTiO2膜を形成し、PETフィルムを作製した。以下にその手順を示した。
【0343】
まず、SiO2ゾルの作製法について説明する。5gのテトラエトキシシランを100mlの水−エタノール−プロパノール(3:27:70)混合溶液中に溶解し、40℃で5時間程度撹拌した。得られた溶液は室温で2週間放置してSiO2ゾルとした。
【0344】
次にSiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液の作製法について説明する。先に作製したSiO2ゾル中に、TiO2微粒子を重量比でTiO2/SiO2を9として添加した。さらにリン酸,ホウ酸及びLi,Mg,K,Caの硝酸塩をそれぞれ所定量添加し、固形分濃度は4wt%とし、必要量水を加えて調整した。その後5mmφのジルコニアボールを用いて、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させるために、24hrボールミルで処理し、SiO2ゾル中にTiO2微粒子を分散させた溶液を作製した。
【0345】
PETフィルムに作製したTiO2微粒子分散SiO2ゾルをコートして、120℃で、低圧水銀ランプ(強度:15mW/cm2)を照射しながら5分間処理して、SiO2膜中にTiO2微粒子が分散したTiO2分散SiO2膜をコートしたプラスチックフィルムを形成した。PETフィルム上に得られた薄膜は、膜質及び強度共に良好であり、膜厚は300nmであった。
【0346】
作製した膜を1kg加重で消しゴムを用いて膜表面をこすり、強度試験を行った。結果は、B,P無添加の膜は50回で膜はがれを起こしたが、B,P添加膜は100回でも傷つくことがなかった。このことから、B,P添加により膜強度が向上することが分かった。
【0347】
次に有機物の分解活性を評価した。なお、活性試験は薄膜に赤紫系の有機色素をコートして波長254nmで0.2mW/cm2の光を照射して行った。分解速度は初期の色素の透過率からの変化量より求めた。表20にその結果を示した。表中空欄は、当該元素を添加していないことを示している。
【0348】
【表20】
Figure 0004305001
【0349】
B,P無添加の場合Li添加の光触媒は、10分後に65%分解しているが、これにB,Pを添加した場合分解率が向上している。このようにB,P添加でさらに光触媒を高性能化できることが分かった。また、添加剤の効果はKが最も大きく次いでCa,Mg,Liの順になった。
【0350】
光触媒は、光を吸収して生じた電子やホールが水を分解してラジカルを生成して、有機物を分解している。従って、光触媒の表面に水が存在しないと有機物を分解することが出来ない。B,P無添加の場合はTiO2,SiO2表面に吸着した水を分解している。B,Pは吸水性が大きくB,Pを添加することにより更に多くの水が触媒表面に存在する。このような表面吸着水の増加により有機物の分解性を向上できる。
【0351】
次に、先に作製したコーティング液に導電性粒子であるATOを添加し同様にPETフィルム上に成膜し、色素の分解性を評価した。その結果を表21に示した。
【0352】
【表21】
Figure 0004305001
【0353】
ATO無添加の場合10分後の分解率は81%であるが、ATOを添加した場合は分解率が向上した。特に10wt%添加のものはその効果が最も大きく分解率は90%に達している。このようにATOを更に添加することで高性能化できることがわかった。また、作製したATO添加膜の表面抵抗は、10の9乗オーム/□台と低くなっており、帯電防止効果も加味されており、有機物だけでなく無機物の付着も防止できる。
【0354】
さらに、このATO添加効果は、K(カリウム)だけではなく、Li(リチウム),Ca(カルシウム),Mg(マグネシウム)でも同様の結果であった。
【0355】
【発明の効果】
本発明では、空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機のような、電動機により空気流を発生する機構を内蔵した、主に室内環境で用いる電気製品類の、空気の流れる流路や、濾過部分,外装部分や、内蔵した照明機構によって照らされる部分に、低温硬化型の高活性な酸化物光触媒薄膜を設けたので、以下のような効果を得ることができる。
【0356】
本発明によれば、大きくわけて三つの効果が得られる。
【0357】
第一に、本発明では従来公知のTiO2等のような酸化物光触媒の薄膜の中にNa,Li等を含む、電気陰性度が1.6より小さく、イオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下のイオンを添加したことにより、有機物の分解効果が高まった。更には、これに加えてアンチモン添加酸化スズなどを含む、電気親和力が1.2以上の金属の酸化物半導体、あるいは、Ag,Cu,Ni,Pd,Rh,Ptの金属微粒子を併用して添加すると、更に分解効率が高まった。これにより、従来の酸化物光触媒では必要とした紫外線ランプなどの、短波長の光を発生する機構が不要となる効果が得られる。すなわち、一般に室内で得られる光として、蛍光灯や白熱電球,水銀灯や、窓ガラス越しの太陽光などの非弱な光でも有機物を分解し、たばこのやにや手脂等の皮脂類などの付着物による汚れが付着しても分解して防汚効果が得られる。同様に、微弱な光で、空気中に分散する有機アミンやメルカプタン類など、各種の悪臭原因物質が付着するとこれを分解して、低臭気あるいは無臭気の物質に分解してしまうので、室内の臭気を低減する脱臭効果が得られる。また、同様に微弱な光で、空気中に漂う細菌,黴,花粉等の各種微生物類が付着すると、有機物分解作用により、これら微生物を死滅、もしくは、繁殖を抑制するので、酸化物触媒の薄膜を形成した部材表面が清潔に保たれると同時に、これら製品を用いる室内の空気中に浮遊する微生物量を低減する効果が得られる。従来は、フィルターやネット類など、これらの空気を濾過する部品は、交換部品として扱われることが多く、汚れがたまったり、目詰まりしてくると、部品を取り出して洗浄したり、新品と取り替えることが必要とされたが、本発明によれば、付着した汚れを分解するので、目詰まりに到るまでの寿命を伸ばすことができ、交換頻度を少なくする効果がある。
【0358】
各用途における具体的な効果の事例を以下に示す。空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機の外枠やフレーム,ケース類の外装部品にはいずれも、室内照明や太陽光が照射されるので、汚れにくく、微生物の繁殖しにくい清潔な状態を保つことができるようになる。また、これら物品類に付設してある空気流路部品や空気流路中にあるフィルター,ネット類等の部品についても室内照明や太陽光が照射されるように設置すれば、同様に防汚,抗菌のみならず室内の脱臭効果も得ることができる。
【0359】
防汚効果については、空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機は、本体に赤外線受光部を設け、リモートコントローラ部に赤外線発信部を設けて、遠隔操作をする場合があるが、これら赤外線の受発信部に汚れが付着して信号の受発信を妨げる不具合を防止する効果もある。
【0360】
一般に室内で得られる光の強度で分解が充分でないぐらい汚れの負荷が大きい場合や、室内の光が充分に当たらない部材に用いたい場合には、蛍光灯や電球等の照明手段を付設すると効果が得られる。またそれでも不足する場合は、水銀灯やメタルハライドランプ等の紫外線発生手段を併設すると高い分解効果が得られる。このような場合において、本発明によれば、従来より分解効率が高いので、ランプ類の点灯時間を短縮したり、ランプ類の出力を低減できるので、消費電力が節約できるとともに、ランプ類の寿命も長くなり、交換頻度が少なくて済む効果がある。
【0361】
一例を挙げると、厨芥処理機から発生する多量の悪臭物質の分解や、台所用換気扇のように大量に食用油が付着する場合や、食器洗い機や、食器乾燥機,衣類乾燥機のように、密閉された槽やドラム内部の清浄化効果を必要とする場合は、前述のような各種波長の光発生手段を併用すると効果がある。
【0362】
第二に、本発明では上記のように光触媒薄膜にアンチモン添加酸化スズなどを含む、電気親和力が1.2以上の金属の酸化物半導体、あるいは、Ag,Cu,Ni,Pd,Rh,Ptの金属微粒子を添加するので、膜自体の表面抵抗値が低く抑えられる。この効果として、分解に時間のかかる大きなサイズの埃や繊維類、あるいは、分解できない土などの鉱物類が、静電気によって付着する現象を抑えることができるようになる。この作用により、難分解性の汚れが表面に滞積し光触媒薄膜面に光が届かなくなる現象を抑えることができる。
【0363】
この帯電防止効果は、埃等の付着による汚れ防止のみならず、静電気帯電による電子回路の誤動作も未然に防止できる効果がある。特に、掃除機のように使用中に摩擦帯電しやすい物品類には効果が大きい。
【0364】
各用途における具体的な効果事例を以下に示す。空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機の外枠やフレーム,ケース類の外装部品は、特に土埃類が付着しやすいので効果的である。
【0365】
第三に、本発明では上記のような効果を有する光触媒薄膜を形成する際に、低分子量の有機金属化合物と水とを含む溶液から作成し、その金属原子と有機基との結合を破壊させるために、紫外線光等を含む必要な特定波長の電磁波を照射することで、膜化するための反応を促進するので、従来より低温で薄膜を形成することができるようになった。このため、前述したような電気製品類に用いるABS,PS,PP,ポリエステル等を含む、汎用のプラスチック類や、鋼板類に塗装する有機塗料類の表面に対して、下地素材に熱による軟化,変形,気泡発生,ひび割れ発生,脆化,強度低下,靱性低下などの不具合を発生させることなく、上記酸化物光触媒薄膜を形成することができるようになった。
【0366】
各用途における具体的な効果の事例を以下に示す。空気清浄機,換気扇,扇風機,掃除機,衣類乾燥機,食器乾燥機,食器洗い機,厨芥処理機の外枠やフレーム,ケース類の外装部品に通常使われる、合成樹脂の成形体もしくは塗装した鋼板類は、従来のTiO2等を主体とした酸化物光触媒の薄膜形成温度である300℃以上の高温度に耐えられなかったが、本発明によれば、これらの部品表面の素地に熱的ダメージを与えることなく、容易に膜を形成することができるようになる。
【0367】
また上記の物品類に付設してある空気流路部品や、空気流路中にあるファン,羽根,フィルター,ネット類の部品も、同様に300℃以上の熱処理に耐える素材で構成するのは極めて困難であったが、本発明により容易に上記酸化物光触媒薄膜を形成することができるようになった。
【0368】
その他の効果としては、本発明による酸化物光触媒薄膜は、低温で硬質な膜を形成できるので、従来プラスチック成形品の表面に塗装していたようなアクリル系樹脂等のハードコートの代替となる効果もある。これにより従来ハードコート同様に成形品の光沢を増し、表面の傷つきを防止できる上に、微生物繁殖の抑制効果や、防汚効果,帯電防止効果も得ることができるようになる。
【0369】
また、不織布,織布,スポンジ等よりなるフィルター類への応用の場合には、繊維表面に形成した酸化物光触媒薄膜はガラス質であるために、表面の吸着性や濡れ性が良くなる。このために臭気の捕集や煙粒子の捕集効率が向上する効果がある。SiO2単独の薄膜を形成しても同じ原理で捕集効率が改善されるが、付着して臭気や煙粒子が繊維表面を被覆すると捕集効果が減少するが、本発明ではこのガラス質の膜自体が光触媒性を有しているために、繊維表面は常に清浄化され、高い吸着性を持つ素地面が露出し続けるので、効果が持続する。
【0370】
更には、食器洗い機の場合は、光触媒の防汚効果を利用して、内部に付着する水滴の接触角度を低減できる。これにより、残水総量を低減できるので、食器の乾燥効率を上げる効果がある。この効果を利用して露が付くと困るような用途にも各種応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る濾過型の空気清浄機本体の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る濾過型の空気清浄機本体の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る静電気集塵式の空気清浄機本体の断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る台所用換気扇本体の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る扇風機本体の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る掃除機の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る掃除機本体の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の本体断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る食器乾燥機本体の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る食器乾燥機の排気口部分の拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る食器乾燥機本体の断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る食器洗い機本体の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る食器洗い機本体の断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る食器洗い機本体の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る厨芥処理機本体の斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る厨芥処理機本体の断面図である。
【図17】本発明の実施の形態に係るPETフィルム上に形成したTiO2 分散SiO2 膜の断面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る被着体上に形成した低温硬化型高活性光触媒薄膜の断面図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る被着体上に2層に積層形成した低温硬化型高活性光触媒薄膜の断面図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る有機色素の分解試験結果を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る電気陰性度と分解率の関係を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る電気陰性度とイオン半径の関係を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る低温硬化型高活性光触媒薄膜の煙捕集効果を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る煙付着フィルターの光分解効果を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る低温硬化型高活性光触媒薄膜のアンモニア捕集効果を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態に係るアンモニアガスの光分解効果を示す図である。
【図27】本発明の実施の形態に係る煙付着ABS板の光分解効果を示す図である。
【図28】本発明の実施の形態に係るサラダ油の光分解効果を示す図である。
【図29】本発明の実施の形態に係る有機色素の分解試験結果を示す図である。
【図30】本発明の実施の形態に係るゼオライトの添加効果を示す図である。
【図31】本発明の実施の形態に係るSiとAlとの比率の影響を示す図である。
【図32】本発明の実施の形態に係るイオン交換ゼオライトの添加効果を示す図である。
【図33】本発明の実施の形態に係るゼオライト添加の抗菌効果を示す図である。
【図34】本発明の実施の形態に係るたばこの煙の分解試験結果を示す図である。
【図35】本発明の実施の形態に係るバインダー添加量に対するたばこの煙の分解試験結果を示す図である。
【図36】本発明の実施の形態に係るシラノール導入量に対するたばこの煙の分解試験結果を示す図である。
【図37】本発明の実施の形態に係るカップリング剤添加量に対するたばこの煙の分解試験結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 電動送風機を駆動させて発生する空気流によって、吸気口より室内の空気を取り入れて、通風路中に設けたフィルターを通過させて、空気中に浮遊する塵埃や油粒子や煙,花粉や各種微生物類、あるいは悪臭物質等を捕集して清浄化した後に排気口より排出する空気清浄機において、
    構成部品の中で、匡体の少なくとも一部に設けられた透明部材を透過した室内照明光あるいは、室外からの太陽光が照射される部品の表面に形成された光触媒薄膜を備え、
    前記光触媒薄膜は、光触媒作用を有する粒子が塗膜中に分散し、前記塗膜中に電気陰性度が1.6より小さく、かつイオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下の金属元素を含有し、
    前記透明部材が、2mm厚みの透過光の色差表示法によるL値が50以上であり、かつa値が−20以上20以下であり、かつb値が20以下であることを特徴とする空気清浄機。
  2. 吸い込み口と集塵室を連通させ、該集塵室内の気圧を電動送風機によって減圧させることにより、該吸い込み口より取り入れたごみやほこり類を該集塵室内に捕集し、該ごみやほこり類を濾過した後に、空気を排気口から排出する掃除機において、
    匡体の少なくとも一部に設けられた透明部材を透過した室内照明光あるいは、室外からの太陽光が照射される部品の表面に形成された光触媒薄膜を備え、
    前記光触媒薄膜は、光触媒作用を有する粒子が塗膜中に分散し、前記塗膜中に電気陰性度が1.6より小さく、かつイオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下の金属元素を含有し、
    前記透明部材が、2mm厚みの透過光の色差表示法によるL値が50以上であり、かつa値が−20以上20以下であり、かつb値が20以下であることを特徴とする掃除機。
  3. 湿気を含む衣類を収納した乾燥ドラム内に、電動送風機によって外部より取り入れた空気を、加熱用ヒータを用いて加熱した後に送りこみ、衣類を加熱せしめて水分を蒸発させ、この水分を含む空気を排気口より排出、あるいは、熱交換器により水分を結露させて、水分を除去した後に排気口より排出する衣類乾燥機において、
    匡体の少なくとも一部に設けられた透明部材を透過した室内照明光あるいは、室外からの太陽光が照射される部品の表面に形成された光触媒薄膜を備え、
    前記光触媒薄膜は、光触媒作用を有する粒子が塗膜中に分散し、前記塗膜中に電気陰性度が1.6より小さく、かつイオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下の金属元素を含有し、
    前記透明部材が、2mm厚みの透過光の色差表示法によるL値が50以上であり、かつa値が−20以上20以下であり、かつb値が20以下であることを特徴とする衣類乾燥機。
  4. 汚れた食器類を収納した洗浄槽内で、水を加熱しながら洗浄ポンプにより加圧し、該洗浄槽内に設けた回転自在のアームノズルから噴射させて食器類を洗浄した後に、すすぎ動作を行い、この後に、電動送風機によって外気を吸いこんで、冷風あるいは、加熱ヒータによって温風化して、すすぎ動作後の高湿度の内部の空気を置換させ、食器類や該洗浄槽内部に残留した水分を蒸発乾燥させる食器洗い機において、
    匡体の少なくとも一部に設けられた透明部材を透過した室内照明光あるいは、室外からの太陽光が照射される部品の表面に形成された光触媒薄膜を備え、
    前記光触媒薄膜は、光触媒作用を有する粒子が塗膜中に分散し、前記塗膜中に電気陰性度が1.6より小さく、かつイオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下の金属元素を含有し、
    前記透明部材が、2mm厚みの透過光の色差表示法によるL値が50以上であり、かつa値が−20以上20以下であり、かつb値が20以下であることを特徴とする食器洗い機。
  5. 微生物類を含む培養基材が設置された処理槽内に、生ごみを投入し、該培養基材と共に、撹拌装置を用いて撹拌させ、微生物の代謝作用によって該生ごみを分解させると同時に、分解時に発生する水分を電動送風機を用いて空気と共に排出させる厨芥処理機において、
    匡体の少なくとも一部に設けられた透明部材を透過した室内照明光あるいは、室外からの太陽光が照射される部品の表面に形成された光触媒薄膜を備え、
    前記光触媒薄膜は、光触媒作用を有する粒子が塗膜中に分散し、前記塗膜中に電気陰性度が1.6より小さく、かつイオン半径が0.2nmより小さい元素であって、原子価が2以下の金属元素を含有し、
    前記透明部材が、2mm厚みの透過光の色差表示法によるL値が50以上であり、かつa値が−20以上20以下であり、かつb値が20以下であることを特徴とする厨芥処理機。
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