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JP4301621B2 - クロメン化合物 - Google Patents

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JP4301621B2
JP4301621B2 JP02310999A JP2310999A JP4301621B2 JP 4301621 B2 JP4301621 B2 JP 4301621B2 JP 02310999 A JP02310999 A JP 02310999A JP 2310999 A JP2310999 A JP 2310999A JP 4301621 B2 JP4301621 B2 JP 4301621B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光もしくは水銀灯の光のような紫外線を含む光の照射で赤紫色〜青色系の色調に着色した形態に変化し、その変化が可逆的で優れた退色速度を示し、さらに劣化時の着色が少なくフォトクロミック性の耐久性が優れた新規なクロメン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミズムとは、ここ数年来注目されてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物はフォトクロミック化合物と呼ばれ、従来から色々な化合物が合成されてきたが、その構造には特別な共通性は認められない。
【0003】
米国特許第USP5658500号明細書には、下記式(A)で示されるクロメン化合物が開示されている。
【0004】
【化2】
Figure 0004301621
【0005】
このクロメン化合物は、退色速度は改良されているものの依然遅く、さらに劣化したときの着色が大きい。
【0006】
また、PCT特許出願公開明細書WO98/04937には、下記式(B)なる化合物が開示されている。
【0007】
【化3】
Figure 0004301621
【0008】
この化合物は退色速度が遅い。
【0009】
また、PCT特許出願公開明細書WO98/42663には、下記式(C)なる化合物が開示されている。
【0010】
【化4】
Figure 0004301621
【0011】
この化合物は、上記(B)化合物に比べ退色速度は改良されているものの、まだ十分とは言えない。
【0012】
また、PCT特許出願公開明細書WO98/42695には、下記式(D)なる化合物が開示されている。
【0013】
【化5】
Figure 0004301621
【0014】
この化合物は、上記(A)化合物と同程度の退色速度であって、まだ十分とは言えない。
【0015】
以上のように、退色速度及び劣化時の着色の点で、今ひとつ満足のいくものではなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記した化合物に比べフォトクロミック特性をさらに向上させ、退色速度が速く且つ劣化時の着色が少なく、さらにフォトクロミック性の耐久性に優れたクロメン化合物を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために提案されたもので、本発明の新規なクロメン化合物の退色速度が速く且つ劣化時の着色が少なく、さらにフォトクロミック性の耐久性に優れるという本発明者らによって得られた知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0019】
【化6】
Figure 0004301621
【0020】
〔式中、R、炭素数3〜5の分岐状のアルキル基であり、
は、アルキル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アラルキル基、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した複素環基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基またはハロゲン原子であり、
aは0〜3の整数であり、
、Rは、お互いが異なっていてもよい、置換もしくは非置換のアリール基であり、R、Rの少なくとも一つは、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とアリール基が結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するアリール基である。〕
で示されるクロメン化合物。
【0021】
他の発明は、上記一般式(1)で示されるクロメン化合物よりなるフォトクロミック材である。
【0022】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)において、R1は炭素数1〜10の分岐状のアルキル基である。中でも炭素数3〜5の分岐状アルキル基が退色速度の観点から好ましい。好適な分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。中でも合成の容易さから、イソプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基が特に好ましい。
【0023】
上記一般式(1)において、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アラルキル基、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基、シアノ基、置換または非置換のアリール基またはハロゲン原子である。アルキル基としては、特に制限はされないが、一般的には炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。アルコキシ基は特に制限されないが、一般的には炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、 sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。アラルコキシ基としては、特に限定されないが、炭素数6〜10のアラルコキシ基が好ましい。好適なアラルコキシ基を具体的に例示すると、フェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。アラルキル基は特に制限されないが、一般的には炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。置換アミノ基としては、特に限定されないが、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましい。好適な置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、等を挙げることができる。窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基としては、特に制限されないが、該複素環基を構成する炭素原子の数は一般的には2〜10、好ましくは2〜6である。環内にはナフトピラン環と結合している窒素原子の他に更にヘテロ原子が存在していてもよく、該ヘテロ原子は特に限定されないが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が好適である。好適な窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を具体的に例示すると、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等を挙げることができる。上記のアリール基は特に制限されないが、一般的には炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。またアリール基の置換基としては、R2として説明したのと同様のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基等を挙げることができる。上記のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を挙げることができる。上述のR2の置換数を示すaは0〜3の整数である。これらの置換基が結合する位置はナフトピラン環の7位、8位、9位又は10位であれば特に制限されず、その総数も特に限定されないが、これらの位置に存在する置換基の総数は、好ましくは2以下である。
【0024】
上記一般式(1)において、R3、R4は、お互いが異なっていてもよい、置換もしくは非置換のアリール基である。アリール基としては特に限定されないが、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好適なアリール基を具体的に例示すると、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。アリール基の置換基としては、上述のR2として説明した基と同義の基が適用される。好ましい置換基としては、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とアリール基とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基、アルコキシ基、アルキル基を挙げることができる。置換基が結合する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、アリール基がフェニル基である場合は4位に結合するのが好ましい。
【0025】
さらに、R3またはR4の少なくとも一つは置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とアリール基とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するアリール基である。該アリール基としては特に制限されないが、一般的には炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、特にフェニル基が好適である。該置換基が置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、置換位置はアリール基がフェニル基であるときは3位または4位に置換されることが好ましく、その数は1であることが好ましい。置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とアリール基とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するアリール基において好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、3−(N,Nジメチルアミノ)フェニル基等をあげることができる。
【0026】
本発明において好適なクロメン化合物は、下記式(2)
【0027】
【化7】
Figure 0004301621
【0028】
〔式(2)中、R5は炭素数3〜5の分岐状のアルキル基であり、R6は、アルキル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アラルキル基、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基またはハロゲン原子であり、R7は、置換もしくは非置換のアリール基であり、R8は、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とフェニル基とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基であり、フェニル基の3位または4位で置換されている。〕
で示されるクロメン化合物であり、具体的に例示すれば、次のような化合物を挙げることができる。
【0029】
1)5−イソプロピル−2−(4’−モルホリノフェニル)−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
2)5−イソプロピル−2−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
3)5−イソプロピル−2−ユーロリジノ−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
4)5−イソプロピル−2,2−ビス(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2H−ベンゾ(h)クロメン
5)5−イソプロピル−2−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−(4”−モルホリノフェニル)−2H−ベンゾ(h)クロメン
6)5−イソプロピル−2−ユーロリジノ−2−(4’−モルホリノフェニル)−2H−ベンゾ(h)クロメン
7)5−イソプロピル−9−メトキシ−2−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
8)5−イソプロピル−7−メトキシ−2−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
9)5−イソプロピル−9−メトキシ−2−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2(4’−モルホリノフェニル)−2H−ベンゾ(h)クロメン
10)5−イソプロピル−9−モルホリノ−2−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
11)5−イソプロピル−9−メトキシ−2、2−ビス(4’−N,N−ジフェニルアミノフェニル)−2H−ベンゾ(h)クロメン
12)5−イソプロピル−2−(3’−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン
本発明の前記一般式(1)で示される化合物は、一般に常温常圧で無色、あるいは淡黄色の固体または粘稠な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
【0030】
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ5.9〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトン及びアルケンのプロトンに基づくピーク、δ1.0〜4.0ppm付近にアルキル基及びアルキレン基のプロトンに基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
【0031】
(ロ)元素分析によって相当する生成物の組成を決定することができる。
【0032】
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜80付近にアルキル基及びアルキレン基の炭素に基づくピークが現われる。
【0033】
本発明の一般式(1)で示されるクロメン化合物の製造方法は、特に限定されず如何なる合成法によって得ても良い。一般に好適に採用される代表的な方法を以下に説明する。
【0034】
下記の一般式(3)
【0035】
【化8】
Figure 0004301621
【0036】
(但し、R1、R2およびaは一般式(1)における定義と同義である。)
で示されるナフトール誘導体と一般式(4)
【0037】
【化9】
Figure 0004301621
【0038】
(但し、R3,R4は一般式(1)における定義と同義である。)
で示されるプロパギルアルコール誘導体を酸触媒存在下で反応させる方法である。
【0039】
上記一般式(3)で示される化合物の合成法は特に限定されない。上記一般式(3)で示されるナフトール誘導体は、例えば、o−ブロモアセトフェノンとアルキン誘導体を10〜160℃で10分〜2時間反応させた後、−78℃でポタジウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)を添加し、75℃で30分〜2時間加熱することにより合成できる。この時、o−ブロモアセトフェノンの2位,3位,4位,5位に置換基を有するo−ブロモアセトフェノンを使用した場合にはそれぞれナフトピラン環の10位、9位、8位、7位に置換基を有するクロメン化合物が合成可能である。また上記一般式(4)で示されるプロパギルアルコール誘導体は、例えば、上記一般式(4)に対応するケトン誘導体とリチウムアセチリド等の金属アセチレン化合物と反応させることにより合成できる。
【0040】
上記一般式(3)で示される化合物と一般式(4)で示される化合物との反応で示される化合物との反応は、次のようにして行なわれる。すなわち、これらの2種の化合物の反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。また、酸触媒としては硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられ、上記一般式(3)と(4)で表される反応基質の総和に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。反応温度は、通常0〜200℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。
【0041】
生成物の精製方法としては特に限定されない。例えば、シリカゲルカラム精製を行い、さらに再結晶により、生成物の精製を行こうことができる。
【0042】
本発明の前記一般式(1)で示されるクロメン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般の有機溶媒によく溶ける。このような溶媒に一般式(1)で示されるクロメン化合物を溶かしたとき、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断すると速やかに元の無色にもどる良好な可逆的なフォトクロミック作用を呈する。
【0043】
このような一般式(1)の化合物におけるフォトクロミック作用は、高分子固体マトリックス中でも同様な特性を示す。かかる対象となる高分子固体マトリックスとしては、本発明の一般式(1)で示されるクロメン化合物が均一に分散するものであればよく、光学的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0044】
さらに、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4ーメタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸及び多価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸及び多価チオメタクリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物;ジビニルベンゼン等のラジカル重合性多官能単量体を重合してなる熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0045】
また、これらの各単量体とアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸及びチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン等のビニル化合物等のラジカル重合性単官能単量体との共重合体が挙げられる。
【0046】
本発明の一般式(1)で示されるクロメン化合物を上記高分子固体マトリックス中へ分散させる方法としては特に制限はなく、一般的な手法を用いることができる。例えば、上記熱可塑性樹脂とクロメン化合物を溶融状態にて混練し、樹脂中に分散させる方法、または上記重合性単量体にクロメン化合物を溶解させた後、重合触媒を加え熱または光にて重合させ樹脂中に分散させる方法、あるいは上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の表面にクロメン化合物を染色することにより樹脂中に分散させる方法等を挙げることができる。
【0047】
本発明のクロメン化合物はフォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば、銀塩感光材に代る各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料などの種々の記憶材料として利用できる。その他、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレイ材料、光量計、装飾などの材料としても利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のフォトクロミック材を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウイッチする方法、あるいは、本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、あるいは、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。
【0048】
【発明の効果】
本発明のクロメン化合物は、溶液中または高分子固体マトリックス中で速い退色速度を示し且つ劣化時の着色が少なくフォトクロミック性の耐久性がよい。例えば、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミックレンズは、屋外から室内に戻った時にすばやく元の色調に戻り、さらに長時間使用したときでも劣化に伴う着色は少なく良好な耐久性を示す。
【0049】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
実施例1
下記のナフタレン誘導体
【0051】
【化10】
Figure 0004301621
【0052】
1.0g(0.005mol)と、下記のプロパギルアルコール誘導体
【0053】
【化11】
Figure 0004301621
【0054】
1.9g(0.006mol)とをトルエン50mlに溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸を0.05g加えて1時間還流した。反応後、溶媒を除去し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製することにより、淡黄色粉末状の生成物0.37gを得た。収率は15%であった。
【0055】
この生成物の元素分析値は、C83.29%、H6.79%、N3.01%、O6.91%であって、C32H31NO2の計算値であるC83.26%、H6.77%、N3.03%、O6.93%に極めてよく一致した。
【0056】
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、図1に示すように、δ1.2ppm付近にイソプロピル基のメチルプロトンに基づく6Hのピーク、δ3.3ppm付近にイソプロピル基のメチンプロトンに基づく1Hのピーク、δ3.0〜3.2、δ3.7〜3.8ppm付近にモルホリノ基のメチレンプロトンに基づくピーク、δ6.0〜8.4ppm付近にアロマティックなプロトン及びアルケンのプロトンに基づく16Hのピークを示した。
【0057】
さらに13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜60ppmにアルキルの炭素に基づくピークを示した。
【0058】
上記の結果から単離生成物は、下記構造式(5)で示される化合物であることを確認した。
【0059】
【化12】
Figure 0004301621
【0060】
実施例2〜24
実施例1と同様にして表1に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1に示す構造式で示される化合物であることを確認した。また、表2にこれらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
【0061】
【表1】
Figure 0004301621
【0062】
【表2】
Figure 0004301621
【0063】
【表3】
Figure 0004301621
【0064】
【表4】
Figure 0004301621
【0065】
【表5】
Figure 0004301621
【0066】
【表6】
Figure 0004301621
【0067】
【表7】
Figure 0004301621
【0068】
【表8】
Figure 0004301621
【0069】
実施例25〜48、比較例(1)〜(5)
実施例1で得られたクロメン化合物0.05部をテトラエチレングリコールジメタクリレート70部、トリエチレングリコールジメタクリレート15部、グリシジルメタクリレート10部、2−ヒドロエチルメタクリレート5部に添加し十分に混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃〜90℃まで18時間かけ徐々に温度を上げていき、90℃で2時間保持した。重合終了後、重合体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0070】
得られた重合体(厚み2mm)に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2,245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させ、フォトクロミック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のようなもので表した。
【0071】
▲1▼最大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)によりこの重合体の発色後のλmaxを求めた。
【0072】
▲2▼初期着色(−)=ε(0)
・ε(0):光を照射したときの最大吸収波長と同じ波長での未照射状態の重合体の吸光度。
【0073】
▲3▼発色濃度(−)=ε(120)−ε(0)
・ε(120):最大吸収波長における、この重合体の上記条件下での照射120秒間後の吸光度。
【0074】
▲4▼退色速度〔t1/2(min.)〕=120秒間照射後、この重合体の吸光度が〔ε(120)−ε(0)〕の1/2まで低下するのに要する時間。
【0075】
劣化の促進方法として次の試験を行った。得られた重合体をスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により200時間促進劣化させた。劣化前後のフォトクロミック性の評価方法としては、前受注の発色濃度の評価を劣化の前後で行い、初期の発色濃度(A0)および促進実験200時間後の発色濃度(A200)を測定し、耐久性を下記のように表した。
【0076】
▲5▼耐久性(%)=(A0/A200)×100
さらに、劣化前後での発色前の着色度を、スガ試験機(株)製の色差計(SM−4)で色差を測定し、劣化前の着色度をYI(0)、劣化後の着色度をYI(200)で、そして劣化に伴う着色変化度を△YIで表し、劣化時の着色とした。
【0077】
▲6▼着色変化度(△YI)=YI(200)−YI(0)
以上の結果を表3に示した。
【0078】
また、クロメン化合物として実施例2ないし24で得られた化合物を用いた以外は、上記と同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を表3に示した。
【0079】
さらに、比較のために、下記式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)
【0080】
【化13】
Figure 0004301621
【0081】
【化14】
Figure 0004301621
【0082】
【化15】
Figure 0004301621
【0083】
【化16】
Figure 0004301621
【0084】
【化17】
Figure 0004301621
【0085】
で示される化合物を用い、上記と同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を表4に示した。
【0086】
比較例1及び4のフォトクロミック重合体は退色速度が遅く、劣化時の着色も多い。また、比較例2、3及び5のフォトクロミック重合体は劣化時の着色は少ないが、退色速度が遅い。これに対し、本発明のクロメン化合物を用いた実施例25〜48では、フォトクロミック重合体は、退色速度が速く、且つ劣化時の着色が少なく、さらにフォトクロミック性の耐久性がよい。
【0087】
【表9】
Figure 0004301621
【0088】
【表10】
Figure 0004301621

【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004301621
    〔式中、R、炭素数3〜5の分岐状のアルキル基であり、
    は、アルキル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アラルキル基、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とナフトピラン環とが結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した複素環基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基またはハロゲン原子であり、
    aは0〜3の整数であり、
    、Rは、お互いが異なっていてもよい、置換もしくは非置換のアリール基であり、R、Rの少なくとも一つは、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とアリール基が結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するアリール基である。〕
    で示されるクロメン化合物。
  2. 一般式(1)中のRが置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とフェニル基が結合している置換もしくは非置換の複素環基又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するフェニル基である請求項1記載のクロメン化合物。
  3. 請求項1記載のクロメン化合物からなるフォトクロミック材。
  4. 請求項1記載のクロメン化合物を含有してなるフォトクロミック光学材料。
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