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JP4368196B2 - 真核細胞において免疫グロブリン分子を製造および同定するインビトロにおける方法 - Google Patents

真核細胞において免疫グロブリン分子を製造および同定するインビトロにおける方法 Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、真核細胞において免疫グロブリン分子を発現する高効率の方法、真核細胞において発現するために免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のライブラリーを製造する方法、特異的抗原に結合する免疫グロブリンを単離する方法、並びにこれらの方法のいずれかにより製造された免疫グロブリンに関する。
【0002】
関連技術
免疫グロブリンの製造
特異性が定義された抗体は、数が増大しつつある多様な治療的用途において使用されている。
【0003】
自己抗原に対して定義された抗体は、インビボにおける治療及び診断の目的に特に価値がある。多くの齧歯類のモノクローナル抗体が、ハイブリドーマ技術を用いて単離されており、かつヒトにおけるインビボにおける治療及び診断の目的に利用されている。例えば、これらのマウスのモノクローナル抗体の初期の用途は、腫瘍を殺傷又は造影するための標的化剤としてであった(F. H. Deland 及びD. M. Goldenberg、1982年、「放射性核種造影(Radionuclide Imaging)」、D. E. Kuhl編集、289-297頁、Pergamon、パリ;R. Levy及びR. A. Miller、Ann. Rev. Med.、34:107-116(1983))。しかし、このような抗体のインビボにおける使用は、問題となり得る。外来免疫グロブリンは、治療を妨害し得る抗免疫グロブリン応答を誘起するか(R. A. Millerら、Blood、62988-995(1983))、もしくはアレルギー又は免疫複合体過敏症を引き起すことがある(B. Ratner、1943年、「アレルギー、アナフィラキシス及び免疫療法(Allergy, Anaphylaxis and Immunotherapy)」Williams and Wilkins、ボルチモア)。従って、それら自身宿主において免疫原性でないような抗体を開発すること、例えば、ヒトにおいてそれら自身免疫原性でないようなヒト抗原に対する抗体を開発することが、このような用途には特に重要である。
【0004】
自己抗原に対する特異性を伴う抗体断片を単離することは過酷な作業である。動物は、通常自己抗原に対する抗体を産生せず、この現象は免疫寛容と呼ばれる(Nossal, G. J.、Science、245:147-153(1989))。概して、自己抗原によるワクチン接種は、循環血中抗体産生を招かない。従って、自己抗原に対する抗体を生じることは困難である。
【0005】
先に、「自己」抗原を特異的に認識する免疫グロブリン分子を作成するために、3つの一般的戦略が使用されている。ひとつの方法において、齧歯類抗体配列は、ヒト抗体のフレームワーク領域に選択された齧歯類モノクローナル抗体の抗原結合部位を含む特定化された相補性決定領域(CDR)を移植することにより、ヒト抗体配列に転換されている(Winterら、英国特許第GB2188638B号(1987);Reichmann. L.ら、Nature(London)、332:323-327(1988);Foote, J.及びWinter, G.、J. Mol. Biol.、224:487-499(1992))。抗体のヒト化と称されるこの方法において、各齧歯類免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の3種のCDRループが、対応するヒト免疫グロブリン鎖の4個のフレームワーク領域の相同の位置に移植される。このフレームワーク残基の一部は、抗体親和性にも寄与しているので、この構造は概して、親和性を増強するために、追加のフレームワーク置換により更に純化されなければならない。これは、労力と経費のかかるプロセスである。
【0006】
更に最近になって、ヒト免疫グロブリン配列を発現しているトランスジェニックマウスが作出されている(Mendez, M.J.ら、Nat. Genet.、15:146-156(1997))。この戦略は、ヒト抗体の選択を促進する可能性があるが、抗体は、ヒトゲノムよりむしろマウスゲノムにおいてコードされたタンパク質により形作られた利用可能なマウスレパトアから選択されるという制限を、抗体ヒト化法と共有している。これは、特異的抗原に対する反応において選択された抗体のエピトープ特異性にバイアスをかける。例えば、マウスホモログが存在するヒトタンパク質によるマウスの免疫感作は、主としてヒト及びマウスにおいて異なるエピトープについて特異的な抗体を生じると予想される。しかし、これらは、最適な標的エピトープではない。
【0007】
これと同じ制限を受けない別の方法は、バクテリオファージ上に展示された組換えヒト抗体断片のスクリーニングである(Vaughan,T. J.ら、Nat. Biotechnol.、14:309-314(1996);Barbas, C.F.、III Nat. Med.、1:837-839(1995);Kay, B.K.ら(編集)、「ペプチド及びタンパク質のファージディスプレイ(Pnage Display of Peptides and Proteins)」Academic Press社(1996))。ファージディスプレイ法において、機能性免疫グロブリンドメインは、それらをコードしているポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面に展示される。典型的ファージディスプレイ法において、免疫グロブリン断片、例えばFab、Fv又はジスルフィド安定化されたFvの免疫グロブリンドメインは、融合タンパク質として展示される、すなわち、ファージ表面タンパク質に融合される。抗体を作成するために使用することができるファージディスプレイ法の例は、Brinkman U.ら、J. Immunol. Methods、182:41-50(1995);Ames, R.S.ら、J. Immunol. Methods、184:177-186(1995);Kettleborough, C.A.ら、Eur. J. Immunol.、24:952-958(1994);Persic, L.ら、Gene、187:9-18(1997);Burton, D.R.ら、Advances in Immunology、57:191-280(1994);PCT/GB9L/01134号;国際公開公報第90/02809号;国際公開公報第91/10737号;国際公開公報第92/01047号;国際公開公報第92/18619号;国際公開公報第93/11236号;国際公開公報第95/15982号;国際公開公報第95/20401号;及び、米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号及び第5,733,743号に開示されているものを含む(これらの参考文献はその全体が本明細書に参照として組入れられている)。
【0008】
ファージディスプレイ法は、通常免疫グロブリン分子の抗原結合断片の発現のみを生じるので、ファージ選択後、このファージ由来の免疫グロブリンコード領域は、単離及び再クローニングし、ヒト抗体、又はいずれか他の所望の抗原結合断片を含む、抗体全体を作出し、かつ哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌を含む、いずれか所望の宿主において発現されなければならない。例えば、組換えによりFab、Fab'及びF(ab')2断片を作成する技術も、国際公開公報第92/22324号;Mullinax, R.L.ら、BioTechniques、12(6):864-869(1992);及び、Sawai, H.ら、AJRI、34:26-34(1995);及び、Better, M.ら、Science、240:1041-1043(1988)に説明されたような、当技術分野において公知の方法を用い使用することができる(これらの参考文献は、その全体が本明細書に参照として組入れられている。)。
【0009】
バクテリオファージにおいて構築された免疫グロブリンライブラリーは、ナイーブな又は特異的に免疫感作された個体の抗体産生細胞に由来し、かつ原則として、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の新規かつ多様な対形成を含む。この戦略は、固有のレパトア制限(repertoire limitation)により損なわれないが、発現された免疫グロブリン断片の相補性決定領域(CDR)が細菌細胞において合成され、かつ適切に折り畳まれることが必要である。しかし、多くの抗原結合領域は、細菌細胞において融合タンパク質として正確に集成することが困難である。加えてこのタンパク質は、正常な真核細胞の翻訳後修飾を受けないと考えられる。結果として、この方法は、得られた抗体特異性に異なる選択フィルターを課している。
【0010】
従って、真核細胞において合成され、適切にグリコシル化され、かつ正確に集成されたバイアスのかかっていない免疫グロブリンレパトアから、免疫グロブリン分子、及びそれらの抗原特異的断片を同定する別法の必要性が存在する。
【0011】
真核細胞発現ライブラリー 分子生物学の分野での基本的ツールは、ポリ(A)+ mRNAの二本鎖(ds)cDNAへの転換であり、これはその後クローニングベクターに挿入され、かつ適当な宿主細胞において発現される。多くのcDNAクローニング戦略に共通の方法は、関心のある生物の細胞由来のポリ(A)+ mRNAからのcDNAクローンの収集である「cDNAライブラリー」の構築に関連している。例えば、免疫グロブリン遺伝子を発現しているcDNAを単離するために、プレB細胞、B細胞、又は形質細胞からcDNAライブラリーが調製される。繊維状バクテリオファージ、バクテリオファージλ、コスミド及びプラスミドベクターを含む様々な発現ベクターにおいてcDNAライブラリーを構築する方法は、公知である。一般に使用される方法の一部は、例えば、Sambrookらの「分子クローニング;実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」第2版、Cold Spring Harbor Laboratory出版、コールドスプリングハーバー、N.Y.(1990)に説明されている。
【0012】
cDNAライブラリーから標的遺伝子を単離する多くの異なる方法が利用され、様々な成功がもたらされている。これらは、例えば、標的遺伝子のDNA配列と相補的な配列を有する核酸断片が標識されている、核酸ハイブリダイゼーションプローブの使用を含む。この方法が、形質転換された細菌宿主のcDNAクローンに適用された場合は、このプローブに強力にハイブリダイズしているコロニー又はプラークは、恐らく標的DNA配列を含むと考えられる。しかしハイブリダイゼーション法は、特定のcDNAクローンが発現されているかどうかは必要とせず、又測定しない。別のスクリーニング法は、細菌宿主における発現に頼っており、例えば、コロニー又はプラークは、関心のあるタンパク質に対して生じた抗体に対する結合の免疫アッセイによりスクリーニングすることができる。しかし細菌宿主における発現のアッセイは、妨げられることが多く、その理由はこのタンパク質は、細菌宿主において十分には発現されず、劣悪なコンホメーションで発現され、かつ真核システムにおいてのようにはプロセシング及び/又は輸送されないからである。これらの問題点の多くは、先に暗示したような、細菌宿主における免疫グロブリン分子作出の試みにおいて遭遇する。
【0013】
従って、免疫グロブリン分子をコードしているcDNAを単離するための哺乳類発現ライブラリーの使用は、細菌ライブラリーに勝るいくつかの利点を供すると考えられる。例えば、真核宿主において発現された免疫グロブリン分子、及びそれらのサブユニットは、機能性であるはずであり、かつ通常の翻訳後修飾を受けるはずである。通常細胞内膜システムを通って細胞表面に輸送されるタンパク質は、完全な輸送プロセスを受けるはずである。更に真核システムの使用は、真核RNA又はタンパク質の機能発現を基にしたポリヌクレオチドの単離を可能にすると考えられる。例えば、免疫グロブリン分子は、所定の抗原に関するそれらの特異性を基に単離される。
【0014】
いくつかの最近のCOS細胞における発現により単離されたリンホカインcDNAを除き(Wong, G. G.ら、Science、228:810-815(1985);Lee, F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83:2061-2065(1986);Yokota, T.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83:5894-5898(1986);Yang, Y.ら、Cell、47:3-10(1986))、ほとんどのcDNAは哺乳類発現ライブラリーから単離されていない。これにはふたつの主な理由があるように思われ:第一には、巨大なプラスミドライブラリーの構築のための現存する技術(Okayama, H.ら、Mol. Cell Biol.、2:161-170(1982))は、マスターすることが困難であり、ファージクローニング技術(Huynh, T.ら、「DNAクローニング(DNA Cloning)、第I巻、A Practical Approach, Glover, D. M.(編集)、IRL Press社、オックスフォード、(1985年)、49-78頁)により達成可能なライブラリーサイズには、近づくことが稀であるからである。第二には、現存するベクターは、ひとつの例外(Wong, G. G.ら、Science、228:810-815(1985))を除き、高レベル発現への適合が難しいからである。従って、哺乳類宿主における発現は、より従来型クローニング法により単離された遺伝子によりコードされたタンパク質の同一性を証明する手段としてのみ最も頻繁に使用されている。
【0015】
ポックスウイルスベクター ポックスウイルスベクターは、真核細胞におけるタンパク質及び抗原の発現のための発現運搬体として広範に使用されている。様々な宿主細胞におけるワクシニアのクローニング及び繁殖の容易さは、外来タンパク質の発現のため、及びワクチン送達運搬体としてのポックスウイルスベクターの広範な使用につながっている(Moss, B.、Science、252:1662-7(1991))。
【0016】
大きなDNAウイルスは、様々な細胞株においてそれらの未変性型で多くの異なるタンパク質を発現することができるような細胞プロセシングの研究にとって特に有用な発現ベクターである。加えて、組換えワクシニアウイルスにおいて発現された遺伝子産物は、効率的にプロセシングされかつ細胞傷害性T細胞の刺激についてMHCクラスIに関連して提示されることが示されている。関心のある遺伝子は、通常プラスミドにおいて、ウイルスの非必須領域に相同の配列にフランキングしたプロモーターの制御下でクローニングされ、かつこのカセットは、相同的組換えによりゲノムへ導入される。発現、選択及び検出のためのベクター一式は、様々なクローニング及び発現の戦略に順応するように考案されている。しかし相同的組換えは、複合体ライブラリーの作成に必要な状況又は関心のあるDNAが大きい場合には、組換えウイルスの作出には無効な手段である。挿入断片へのウイルスのDNA「アーム」の直接ライゲーション及びそれに続く感染性ウイルスのレスキューに頼った組換えゲノムの構築のための別の戦略は、ポックスウイルスゲノム(Merchlinskyら、Virology、190:522-526(1992);Pfleidererら、J. General Virology、76:2957-2962(1995);Scheiflingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))、ヘルペスウイルスゲノム(Rixonら、J. General Virology、71:2931-2939(1990))及びバキュロウイルスゲノム(Ernstら、Nucleic Acids Research、22:2855-2856(1994))の探索である。
【0017】
ポックスウイルスは、外来タンパク質を高レベルで発現するために容易に構築しかつ操作することができるので、真核細胞研究のための普遍的ベクターである。このウイルスの広範な宿主範囲は、様々な細胞型におけるタンパク質の忠実な発現を可能にする。直接のクローニング戦略が、組換えゲノムが、DNA断片のワクシニア「アーム」への直接的ライゲーション及びDNA混合物のヘルパーウイルスにより感染した細胞へのトランスフェクションによりインビトロにおいて構築されるような、ポックスウイルスのウイルスキメラの適用の範囲を広げるために考案されている(Merchlinskyら、Virology、190:522-526(1992);Scheiflingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))。この方法は、外来タンパク質の高レベル発現(Pfleidererら、J. Gen. Virology、76:2957-2962(1995))及び長さが26kbと大きい断片の効率的クローニング(Merchlinskyら、Virology、190:522-526(1992))に使用される。
【0018】
裸のワクシニアウイルスDNAは感染性ではなく、その理由は、このウイルスは、細胞転写機構を利用することができず、かつウイルスRNAの合成に関してはそれ自身のタンパク質に頼っているからである。これまでに、温度感受性条件付け致死性(Merchlinskyら、Virology、190:522-526(1992))又は非相同ポックスウイルス鶏痘(Scheiflingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))が、パッケージングのヘルパーウイルスとして利用されている。理想的なヘルパーウイルスは、インプットDNAからの感染性ウイルスの作成を効率的に促進するが、宿主細胞において複製することもワクシニアDNA産物と組換えることもないと考えられる。鶏痘ウイルスは、これらの理由により非常に有用なヘルパーウイルスである。これは、哺乳類細胞へ侵入することができ、かつインプットワクシニアウイルスDNAの複製に必要なタンパク質を提供する。しかし、これは、ワクシニアDNAとは組換えせず、かつ感染性鶏痘ビリオンは、哺乳類細胞においては作出されない。従って、これは比較的高い感染多重度(MOI)で使用することができる。
【0019】
慣習的に、外来タンパク質コード配列は、感染性ウイルスによる相同的組換えにより、ポックスウイルスゲノムへ導入される。この従来型の方法において、先に単離された外来DNAは、ウイルスの複製には必須でないポックスウイルス中の領域に相同である配列によりフランキングされたワクシニアプロモーターの後ろへ伝達性プラスミドにおいてクローニングされる。この伝達性プラスミドは、ポックスウイルス-感染細胞へ導入され、伝達性プラスミド及びポックスウイルスゲノムの、相同的組換えによるインビボ組換えを可能にする。相同的組換えの結果として、外来DNAは、ウイルスのゲノムへ転移される。
【0020】
ポックスウイルスにおける従来型相同的組換えは、ポックスウイルスにおける先に単離された外来DNAの発現に有用であるが、この方法はライブラリーの構築には役に立たず、その理由は、回収されたウイルスの圧倒的多数は、外来DNA挿入断片を獲得していないからである。従来型相同的組換えを使用すると、組換え効率は、およそ0.1%又はそれ未満の範囲である。従ってポックスウイルスベクターの使用は、タンパク質発現及びワクチン開発の目的での、先に単離されたDNA分子のサブクローニングに限られている。
【0021】
直接的ライゲーションベクターを使用する別法は、相同的組換えに容易に順応し難いキメラゲノムの効率的構築のために開発されている(Merchlinsky,M.ら、Virology、190:522-526(1992);Scheiflinger,F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))。このようなプロトコールにおいて、このゲノム由来のDNAは、消化され、挿入断片DNAにインビトロにおいてライゲーションされ、かつヘルパーウイルスに感染した細胞へトランスフェクションされる(Merchlinsky, M.ら、Virology、190:522-526(1992);Scheiflinger, F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))。あるプロトコールにおいて、このゲノムは、独自のNotI部位において消化され、かつキメラゲノムの選択又は検出のためのエレメントを含むDNA挿入断片は、ゲノムアームにライゲーションされる(Scheiflinger, F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))。この直接的ライゲーション法は、外来DNAのワクシニアウイルスゲノムへの挿入について説明されている(Pfleidererら、J. General Virology、76:2957-2962(1995))。
【0022】
あるいは、このワクシニアWRゲノムは修飾され、HindIII F断片のNotI部位を取除き、かつこの座位での配列の挿入がチミジンキナーゼ遺伝子を破壊し、薬剤選択を使用することによりキメラゲノムの単離を可能にするように、チミジンキナーゼ遺伝子の近傍にNotI部位を再導入することにより、vNotI/tkを作出する(Merchlinsky, M.ら、Virology、190:522-526(1992))。直接的ライゲーションベクターvNotI/tkは、長さが少なくとも26kb対の先に単離されたDNA挿入断片を効率的にクローニングしかつ繁殖することができる(Merchlinsky, M.ら、Virology、190:522-526(1992))。大きいDNA断片は、このゲノムへ効率的にクローニングされるが、DNA挿入断片によりコードされたタンパク質は、ワクシニアにおいて比較的弱く発現された初期遺伝子クラス(early class gene)である、チミジンキナーゼ遺伝子に対応して低レベルで発現されるのみであると考えられる。加えてこのDNAは、NotI部位で両方向へ挿入され、その結果全く発現されないであろう。加えて、直接的ライゲーションを使用する組換え効率は、従来型の相同的組換えにより認められるものよりも高いが、得られる力価は比較的低い。
【0023】
従って、ポックスウイルスベクターは、クローン複合体集団からの関心のあるそれまで未知の遺伝子の同定には今までの所使用されておらず、その理由は高効率、高力価形成のクローニング法はポックスウイルスについては存在しなかったからである。しかしより最近になって、本発明者らは、三分子組換え(tri-molecular recombination)を用いて組換えポックスウイルスを作成する方法を開発した。2000年5月18日に公開され、その全体が本明細書に参照として組入れられている、Zaudererの国際公開公報第00/028016号を参照のこと。
【0024】
三分子組換えは、組換えポックスウイルスを作成するための、新規の高効率で高力価の形成法である。ワクシニアウイルスにおける三分子組換え法を使用し、本発明者らは、少なくとも90%の組換え効率、及び直接的ライゲーションにより得られるものよりも少なくとも2桁大きい力価を達成した。三分子組換え法に従い、ポックスウイルスゲノムは切断され、2個の非相同断片又は「アーム」を作成する。これら2個のポックスウイルスアームに相同の領域によりフランキングされた異種挿入断片DNAを保持する導入ベクターが作成される。これらのアーム及び導入ベクターは、レシピエントの宿主細胞へ送達され、これら3種のDNA分子のインビボにおける組換えを可能にする。この組換えの結果、2種のポックスウイルスアームの各々及び挿入断片DNAを含む単独のポックスウイルスゲノム分子が作成される。
【0025】
発明の概要
本発明の一つの局面に従い、真核細胞において発現されたポリヌクレオチドのライブラリーから、抗原特異的免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドを同定する方法が提供される。
【0026】
更に変更されたエフェクター機能を有する免疫グロブリン分子、又はそれらの断片をコードしているポリヌクレオチドを同定する方法も提供される。
【0027】
同じくウイルスベクターを用い、真核細胞において免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーを構築する方法も提供され、ここでこれらのライブラリーは、三分子組換えにより構築される。
【0028】
更に、抗原誘導型細胞死、抗原誘導型シグナル伝達、又は抗原特異的結合の選択及び/又はスクリーニングにより、それらの表面上に抗原特異的免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を発現している宿主細胞を同定する方法も提供される。
【0029】
同じく、抗原結合による又は免疫グロブリン分子の抗原特異的もしくは生物特異的機能の検出により、可溶性の分泌された免疫グロブリン分子をコードしているポリヌクレオチドのライブラリーを発現している真核宿主細胞から発現された可溶性免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片のスクリーニングする方法も提供される。
【0030】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、真核システムにおいて、機能的抗原特異的免疫グロブリン分子、又はそれらの抗原特異的断片(すなわち、抗原結合断片)を同定および/または製造する方法を広く目的としている。加えて本発明は、そのような免疫グロブリン分子又は断片をコードしているポリヌクレオチドの複合発現ライブラリーから、抗原特異的免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドを同定する方法を目的とし、ここでこれらのライブラリーは、真核宿主細胞において構築及びスクリーニングされている。更なる態様は、前記方法のいずれかにより製造された、単離された抗原特異的免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片、並びにこのような単離された免疫グロブリンの作成を可能にするキットを含む。
【0031】
特に好ましい本発明の局面は、三分子組換えにより構築されたポックスウイルスベクターを用いる、真核宿主細胞における複合免疫グロブリンライブラリーの構築である。ポックスウイルスベースのベクターにおいて複合cDNAライブラリーを構築する能力、並びに抗原が誘導した細胞死、抗原が誘導したシグナル伝達、又は抗原特異的結合のいずれかを基にした特異的組換え体を選択及び/又はスクリーニングする能力は、真核細胞において様々な良く定義された特異性を伴う免疫グロブリン、特にヒト免疫グロブリンの同定の基礎となることができる。これは齧歯類における抗体レパトアの選択により付与されるバイアス又はファージもしくは細菌における合成及び集成の制限を克服すると考えられる。
【0032】
「ある(a, an)」実体という用語は、1種又は複数のその実体を意味し;例えば、「ある免疫グロブリン分子」は、1個又は複数の免疫グロブリン分子を表わしていると理解されるべきである。このように「ある(a)」(又は「an」)、「1個又は複数」及び「少なくとも1個」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0033】
「真核生物」又は「真核生物」という用語は、原虫、真菌、酵母、緑藻類、単細胞植物、多細胞植物、並びに脊椎及び無脊椎動物の両方の全ての動物を含む、動物界、植物界、及び原生生物界の全ての生体を包含することが意図されている。この用語は、細菌又はウイルスは包含していない。「真核細胞」は、単数の「真核細胞」に加え、複数の「真核細胞」を包含し、かつ真核生物由来の細胞を含むことが意図されている。
【0034】
「脊椎動物」という用語は、単数の「脊椎動物」に加え、複数の「脊椎動物」を包含し、かつ哺乳類、鳥類に加え、魚類、爬虫類、及び両生類を含むことが意図されている。
【0035】
「哺乳類」という用語は、単数の「哺乳類」及び複数の「哺乳類」を包含することが意図され、かつヒト;類人猿、サル、オランウータン、及びチンパンジーのような霊長類;イヌ及びオオカミのようなイヌ科;ネコ、ライオン、及びトラのようなネコ科;ウマ、ロバ及びシマウマのようなウマ科;ウシ、ブタ及びヒツジのような食用動物;シカ及びキリンのような有蹄類;マウス、ラット、ハムスター及びモルモットのような齧歯類;並びにクマを含むが、これらに限定されるものではない。好ましい哺乳類は、ヒト対象である。
【0036】
「組織培養」もしくは「細胞培養」又は「培養物」もしくは「培養」という用語は、インビトロにおける、細胞構造の保存、細胞機能の保存、更には分化、又は3種全てを可能にする条件下での、植物又は動物の組織又は細胞の維持又は成長を意味する。「初代組織細胞」は、組織から直接採取されたもの、すなわち生体において同じ機能を発揮する同じ種類の細胞の集団である。このような組織細胞のタンパク質分解酵素トリプシンによる処理は、例えば、これらを、培養プレート上に播種した場合に、細胞構造が成長又は維持される個々の初代組織細胞へ解離する(dissociate)。組織培養物における初代細胞の操作から生じる細胞培養物は、「二次細胞培養物」と称される。ほとんどの二次細胞は、有限回数分裂し、その後死滅する。しかしわずかな二次細胞は、この「危機的期間」を通過し、その後これらは無限に複製し、継続的「細胞株」を形成することができる。細胞が培養される液体培地は、本明細書において、「培養培地」又は「培養媒質」と称される。望ましい分子、例えば免疫グロブリン分子が細胞の培養時に分泌される培養培地は、本明細書において「馴化培地」と称される。
【0037】
「ポリヌクレオチド」という用語は、核酸又は構築物中に存在する、1種又は複数の核酸セグメント、又は核酸分子、例えばDNA又はRNA断片を意味する。「免疫グロブリンサブユニットをコードしているポリヌクレオチド」は、このようなポリペプチドのコード領域を含むポリペプチドを意味する。加えて、ポリヌクレオチドは、プロモーター又は転写ターミネーターのような調節エレメントをコードすることができるか、もしくは分泌シグナルペプチド又は機能ドメインのような、ポリペプチド又はタンパク質の特異的エレメントをコードすることができる。
【0038】
本明細書において使用される「同定する」という用語は、所望の分子、例えば所望の特異性又は機能を伴う免疫グロブリン分子をコードしているポリヌクレオチドが、そのような分子の複数の又はライブラリーから識別されるような方法を意味する。同定法は、「選択」及び「スクリーニング」を含む。本明細書において使用される「選択」法は、所望の分子がライブラリーから直接分離されるようなものである。例えば、本明細書に説明されたある選択法において、所望のポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、溶解事象を受けることにより、そのライブラリーの残余を含む宿主細胞から直接分離され、かつこれにより宿主細胞の残余が付着した基質から放出される。本明細書において使用される「スクリーニング」法は、所望の分子を含むプールに、この所望の分子を検出することができるようなアッセイが施されるようなものである。この分子が検出されるプールのアリコートは、その後連続してより小さいプールに分割され、これは同様にアッセイされ、これが所望の分子が高度に濃縮されたプールに達するまで続けられる。例えば、本明細書において説明されたひとつのスクリーニング法において、免疫グロブリン分子をコードしているポリヌクレオチドライブラリーを含む宿主細胞のプールは、レポーター分子の発現を介して、抗原結合についてアッセイされる。
【0039】
免疫グロブリン 本明細書において使用される「免疫グロブリン分子」とは、完全な二分子免疫グロブリンとして定義され、すなわち一般的には、4個の「サブユニットポリペプチド」、すなわち2個の同一重鎖及び2個の同一軽鎖を含む。場合によっては、例えばラクダ科の種に由来する免疫グロブリン分子か、もしくはラクダ科の免疫グロブリン分子を基に操作したような免疫グロブリン分子などの場合、完全な免疫グロブリン分子は、重鎖のみからなり、軽鎖を伴わない。例えば、Hamers-Castermanら、Nature、363:446-448(1993)参照。従って「免疫グロブリンサブユニットポリペプチド」は、単独の重鎖ポリペプチド又は単独の軽鎖ポリペプチドを意味する。免疫グロブリン分子は「抗体」とも称され、かつこれらの用語は本明細書において互換的に使用される。「単離された免疫グロブリン」は、タンパク質又は他の物質の環境から実質的に除去され、かつ特異的抗原に結合している、ひとつの免疫グロブリン分子、又は2個もしくはそれ以上の免疫グロブリン分子を意味する。
【0040】
免疫グロブリン分子の「クラス」を決定する重鎖は、比較的大きい2個のサブユニットポリペプチドであり、可変領域及び定常領域を含む。「重鎖」は、完全長の分泌された重鎖型、すなわち細胞から放出されるもの、もしくは膜結合した重鎖型、すなわち膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含むもののいずれかを意味する。膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインは、ある種の重鎖に関連した天然のドメインであり、すなわちこのドメインは、記憶B細胞上に認められるか、もしくは例えば異なる免疫グロブリンクラス由来又は異種ポリペプチド、すなわち非免疫グロブリンポリペプチド由来のような、異種膜貫通及び細胞内ドメインである。本発明のある局面は、細胞膜に結合した免疫グロブリン分子を用いて実行されることが好ましいが、別の局面は、分泌された免疫グロブリン分子、すなわち膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを欠くものを用いて実行されることが好ましいことが明らかになる。免疫グロブリン「クラス」は、宿主において異なる機能を果たす免疫グロブリンの広範なグループを意味する。例えば、ヒト免疫グロブリンは、5種のクラス、すなわち、γ重鎖を含むIgG、μ重鎖を含むIgM、α重鎖を含むIgA、ε重鎖を含むIgE、及びδ重鎖を含むIgDに分けられる。免疫グロブリンのあるクラスは更に、「サブクラス」に分けられる。例えば、ヒトにおいて、4種の異なるIgGサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4があり、各々、γ-1、γ-2、γ-3、及びγ-4重鎖を含み、かつ2種類のIgAサブクラス、IgA-1及びIgA-2があり、各々、α-1及びα-2重鎖を含む。免疫グロブリンのこれらのクラス及びサブクラスの表記は、動物種間で変動し、ある動物種は追加の免疫グロブリンクラスを含むことは注意しなければならない。例えば、鳥類は、IgYを生成し、これは卵黄に認められる。
【0041】
「軽鎖」は、重鎖のアミノ末端領域に結合している比較的小さい免疫グロブリンサブユニットを意味する。重鎖のように、軽鎖は、可変領域及び定常領域を含む。2種の異なる軽鎖の種類、κ及びλが存在し、これらの対は、様々な重鎖のいずれかの対と結合し、免疫グロブリン分子を形成している。
【0042】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、各々、定常領域及び可変領域を含む。ほとんどの種において、重鎖可変領域又はVHドメイン、及び軽鎖可変領域又はVLドメインは一緒に、「相補性決定領域」又はCDRを形成し、これは抗原エピトープを特異的に認識する免疫グロブリン分子の一部である。しかし、ラクダ科の種において、VHHと称される重鎖可変領域は、全CDRを形成している。ラクダ科のVHH可変領域と通常の抗体(VH)由来のものとの大きな違いは、(a)VHHの対応する領域と比べVHの軽鎖接触面におけるより多くの疎水性アミノ酸、(b)VHH中のより長いCDR3、及び(c)頻出するVHH中のCDR1とCDR3の間のジスルフィド結合を含む。完全な免疫グロブリン分子は各々、2個の同一CDRを含む。重鎖及び軽鎖定常領域に結合された可変領域の大きいレパトアは、所定の可変領域をコードしている遺伝子の形成を生じる一連の生殖系列DNAセグメントの再構成を通じ、動物の抗体産生細胞の分化時に形成される。重鎖及び軽鎖可変領域の更なる変動は、分化した細胞における体細胞変異を介して生じる。免疫グロブリン分子の構造及びインビボ形成は、免疫学の分野の業者にはよく理解されている。免疫グロブリンの多様性の形成に関する簡潔な検証は、例えば、Harlow及びレーン、「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー、N.Y.(1988)(以後「Harlow」と称す);並びに、Roittら、「免疫学(Immunology)」、Gower Medical Publishing社、ロンドン(1985)(以後「Roitt」と称す)に見ることができる。Harlow及びRoittは、その全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0043】
免疫グロブリンは更に、エフェクター分子の結合により媒介されたいくつかのエフェクター機能を有する。例えば、免疫グロブリンに対する補体のC1成分の結合は、補体システムを活性化する。補体活性化は、細胞病原体のオプソニン作用及び溶解において重要である。補体活性化は、炎症反応も刺激し、かつ自己免疫過敏症に関連することもある。更に免疫グロブリンは、Fc領域を介して細胞に結合し、抗体のFc領域上のFc受容体部位は、細胞上のFc受容体(FcR)に結合する。抗体の異なるクラスに特異的であるFc受容体が多く存在し、これはIgG(γ受容体)、IgE(η(eta)受容体)、IgA(α受容体)及びIgM(μ受容体)を含むが、これらに限定されるものではない。抗体の細胞表面上のFc受容体への結合は、多くの重要かつ多様な生体反応の引き金となり、これは抗体で被覆された粒子の貪食(engulfment)及び破壊、免疫複合体のクリアランス、抗体で被覆された標的細胞のキラー細胞による溶解(抗体依存性細胞性細胞傷害作用、又はADCC)、炎症メディエーターの放出、胎盤通過(placental transfer)及び免疫グロブリン産生の制御を含む。
【0044】
本発明の免疫グロブリンは、鳥類、魚類、及び哺乳類を含む、いずれかの動物に起源することができる。好ましくはこれらの抗体は、ヒト、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマ、又はニワトリ起源である。好ましい本発明の局面において、「自己」抗原と特異的に相互作用する免疫グロブリン、例えば、ヒト抗原に特異的に結合するヒト免疫グロブリンが、同定される。
【0045】
本明細書において使用される免疫グロブリン分子の「抗原特異的断片」とは、抗原に結合することが依然可能である免疫グロブリン分子の断片又は変種のいずれかである。抗原特異的断片は、Fab、Fab'及びF(ab')2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖免疫グロブリン(例えば、ここでは重鎖又はそれらの一部、及び軽鎖又はそれらの一部が融合されている)、ジスルフィド結合したFv(sdFv)、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、scFvミニ抗体、Fabミニ抗体、及び二量体scFv、並びに特異的CDRが形成されるようなコンホメーションでVL及びVHドメインを含むいずれか他の断片を含むが、これらに限定されるものではない。抗原特異的断片も、ラクダ抗体由来のVHHドメインを含むことができる。VHHは、他の種からのCDR、例えばヒト抗体からのCDRを含むように操作することもできる。あるいは、ヒト由来の重鎖VH断片は、単鎖ラクダCDRに類似するように操作することができ、このプロセスは「ラクダ化(camelization)」と称される。例えば、Davies J.及びRiechmann, L.、FEBS Letters、339:285-290(1994)、並びにRiechmann, L.及びMuyldermans, S.、J. Immunol. Meth.、231:25-38(1999)を参照し、これらは両方とも全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0046】
単鎖免疫グロブリンを含む抗原特異的免疫グロブリン断片は、可変領域(複数)を単独で又は下記の全体もしくは一部と組合わせて含むことができる:重鎖定常ドメイン、又はその一部、例えば重鎖上の、CH1、CH2、CH3、膜貫通及び/又は細胞質ドメイン、並びに、軽鎖定常ドメイン、例えば軽鎖上の、CκもしくはCλドメイン、又はそれらの一部。更に本発明には、可変領域(複数)並びにCH1、CH2、CH3、Cκ、Cλ、膜貫通及び/又は細胞質ドメインの組合せも含まれる。
【0047】
当技術分野において公知であるように、Fvは、VHドメイン及びVLドメインを含み、Fabは、CH1及びL鎖に結合したVHを含み、Fabミニ抗体は、CH3ドメインのFabなどへの融合を含む。
【0048】
当技術分野において公知であるように、scFvは、通常長さが15〜20残基であるペプチドリンカーによりVLに結合したVHを含み、二重特異性抗体は、長さ約5残基のペプチドリンカーを伴うscFvを含み、三重特異性抗体は、ペプチドリンカーを伴わないscFvを含み、四重特異性抗体は、長さ約1残基のペプチドリンカーを伴うscFvを含み、scFvミニ抗体は、CH3ドメインのscFvへの融合を含み、並びに二量体scFvは、別のペプチドリンカーを使用する2個のscFvの縦列での融合を含む(検証は、Chames及びBaty、FEMS Microbiol. Letts.、189:1-8(2000))。好ましくは、抗原特異的免疫グロブリン断片は、両方の抗原結合ドメイン、すなわちVH及びVLを含む。他の免疫グロブリン断片は、当技術分野において周知であり、本明細書に記されたような周知の参考文献において明らかにされている。
【0049】
ある態様において、本発明は、抗原特異的免疫グロブリン分子、それらの抗原特異的断片、又は特異的抗原結合機能を持つ免疫グロブリン分子もしくは断片を、単独で又は集合的にコードしているポリヌクレオチドを同定する、すなわち、選択あるいはスクリーニングする方法を描いている。関連した態様において、本発明は、これらの方法により同定されたポリヌクレオチドによりコードされた単離された免疫グロブリン分子を描いている。
【0050】
好ましい方法は、二段階スクリーニング及び/又は選択プロセスを含む。第一の段階において、第一の免疫グロブリンサブユニット、すなわち重鎖又は軽鎖のいずれかをコードしているポリヌクレオチドは、そのライブラリーを真核宿主細胞集団に導入し、この免疫グロブリンサブユニットを第二の免疫グロブリンサブユニットの1種又は複数種と組合わせて発現することにより、そのサブユニットをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーから同定され、ここで第二の免疫グロブリンサブユニットは、第一の免疫グロブリンサブユニットと同じではなく、すなわち、第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが重鎖ポリペプチドである場合は、第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは軽鎖ポリペプチドであろう。
【0051】
第一の段階において、1種又は複数の第一の免疫グロブリンサブユニットをコードしている1種又は複数のポリヌクレオチドがライブラリーから一旦単離されたならば、第二の免疫グロブリンサブユニットが、第二の段階において同定される。単離された第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチド(複数)をコードしている単離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞へ移され、かつ宿主細胞において発現され、ここで第二の免疫グロブリンサブユニットをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーが発現され、これにより第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの同定が可能であり、これは第一の段階で同定された第一の免疫グロブリンサブユニットと一緒にされた場合には、機能的免疫グロブリン分子、又はそれらの断片を形成し、これは、特異的抗原を認識し及び/又は特異的機能を発揮する。
【0052】
免疫グロブリン断片がひとつのポリペプチドで構成される、すなわち単鎖断片又はVHHドメインを含む断片であり、その結果ひとつのポリヌクレオチドによりコードされている場合、好ましい方法は、一段階スクリーニング及び/又は選択プロセスを含む。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、もしくはVHH領域を含む単鎖断片をコードしているポリヌクレオチドは、ライブラリーの真核細胞のような宿主細胞への導入、及び免疫グロブリン断片をコードしているそれらの宿主細胞からの該ライブラリーのポリヌクレオチドの回収により、ライブラリーから同定される。
【0053】
ある態様において、特定の免疫グロブリン分子は、抗原に対する免疫グロブリン分子をそれらの表面に発現している宿主細胞との接触を介して同定され、これは、以下に説明するような多くの異なる方法での抗原結合細胞の選択及び/又はスクリーニングを可能にする。別の態様において、所望の可溶性の分泌された免疫グロブリン分子は、例えばウイルス中和のような、免疫グロブリン分子の所望の機能特性に関する馴化培地のプールのアッセイにより同定される。
【0054】
免疫グロブリン分子が宿主細胞表面に結合される場合、第一の段階は、転写調節領域との操作可能な結合を介した複数の第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第一のライブラリーを、免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞集団へ導入すること、転写調節領域との操作可能な結合を介して、複数の第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを第二のライブラリーの同じ宿主細胞へ導入すること、宿主細胞の膜表面上の免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の発現を許容すること、宿主細胞を抗原と接触すること、並びに抗原に結合しているこれらの宿主細胞から第一のライブラリー由来のポリヌクレオチドを回収することを含む。
【0055】
免疫グロブリン分子が完全に細胞培地に分泌されている場合、第一の段階は、転写調節領域との操作可能な結合を介した複数の第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第一のライブラリーを、免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞集団へ導入すること、転写調節領域との操作可能な結合を介して、複数の第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを第二のライブラリーの同じ宿主細胞へ導入すること、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の発現及び細胞培地への分泌を許容すること、所望の抗原に結合した抗体機能についての馴化培地のアリコートをアッセイすること、並びに所望の機能が認められた馴化培地において増殖したこれら宿主細胞プールからの第一のライブラリー由来のポリヌクレオチドを回収することを含む。
【0056】
本明細書において使用される「ライブラリー」とは、ポリヌクレオチドの代表的部類(genus)、すなわち例えば、単独の動物種、組織型、臓器、又は細胞型のそれらの起源を通じて関連したポリヌクレオチド群であり、ここでライブラリーは、ポリヌクレオチドの所定の部類内の少なくともふたつの異なる種を集合的に含む。ポリヌクレオチドライブラリーは、好ましくは、ポリヌクレオチドの所定の部類内の少なくとも10、100、103、104、105、106、107、108又は109種の異なる種を含む。より詳細には、本発明のライブラリーは、複数の特定の免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、すなわち重鎖サブユニットポリペプチド又は軽鎖サブユニットポリペプチドのいずれかをコードしている。この状況において、本発明の「ライブラリー」は、共通の部類のポリヌクレオチドを含み、この部類は、ある型及びクラスの免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドであり、例えばライブラリーは、ヒトμ、γ-1、γ-2、γ-3、γ-4、α-1、α-2、ε、もしくはδ重鎖、又はヒトκもしくはλ軽鎖をコードし得る。本発明のいずれかひとつのライブラリーの各メンバーは、同じ重鎖又は軽鎖定常領域をコードし、このライブラリーは、集合的に少なくとも2種、好ましくは少なくとも10、100、103、104、105、106、107、108又は109種の異なる可変領域を含み、すなわち「複数」の可変領域が共通の定常領域に結合されていると考えられる。
【0057】
別の態様において、ライブラリーは、軽鎖可変領域又は重鎖可変領域のような可変領域を含む、好ましくは軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の両方を含む複数の免疫グロブリン単鎖断片をコードしている。任意に、このようなライブラリーは、ある型及びクラスの免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、又はそれらのドメインをコードしているポリヌクレオチドを含む。
【0058】
ある局面において、本発明は、免疫グロブリンサブユニットをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーを作成する方法を包含している。更に本発明は、本明細書に記された方法に従い真核発現ベクターにおいて構築された免疫グロブリンサブユニットのライブラリーを包含している。このようなライブラリーは、好ましくは、真核ウイルスベクターにおいて、更により好ましくはポックスウイルスベクターにおいて作成される。このような方法及びライブラリーは、本明細書において説明されている。
【0059】
「レシピエント細胞」又は「宿主細胞」又は「細胞」は、本発明のポリヌクレオチドライブラリーが導入される細胞又は細胞集団を意味する。本発明の宿主細胞は、好ましくは真核細胞又は細胞株であり、好ましくは植物、動物、脊椎動物、哺乳類、齧歯類、マウス、霊長類又はヒトの細胞又は細胞株である。「宿主細胞の集団」は、本発明の「ライブラリー」が導入されかつ発現される培養された細胞の群を意味する。所定のベクターにおいて構築された所定のライブラリーからの発現を支持するあらゆる宿主細胞が意図されている。適当かつ好ましい宿主細胞は、本明細書において明らかにされている。更に、特定のベクター並びに特定の選択及び/又はスクリーニング計画との併用が好ましいある宿主細胞が、本明細書において明らかにされている。宿主細胞集団を単独培養すること、すなわち集団内の各細胞が同じ細胞型であることは好ましいが、細胞の混合培養も企図されている。本発明の宿主細胞は、接着性であることができ、すなわち、増殖した宿主細胞は、固形基質に接着するか、あるいはこの宿主細胞は懸濁状態であることができる。宿主細胞は、原発性腫瘍由来の細胞、転移性腫瘍由来の細胞、初代細胞、接触阻害を喪失した細胞、形質転換された初代細胞、不死化された初代細胞、アポトーシスを受ける細胞、及びそれら由来の細胞株であることができる。
【0060】
前述のように、免疫グロブリン分子を同定する好ましい方法は、宿主細胞集団へのポリヌクレオチドの「第一の」ライブラリーの導入に加え、同じ宿主細胞集団へのポリヌクレオチドの「第二の」ライブラリーの導入を含む。この第一及び第二のライブラリーは相補的であり、すなわち、「第一の」ライブラリーが免疫グロブリン重鎖をコードしているならば、「第二の」ライブラリーは免疫グロブリン軽鎖をコードし、これにより宿主細胞集団における免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の集成が可能である。さらに前述のように、免疫グロブリン又は免疫グロブリン断片を同定する別法は、単鎖断片をコードしているポリヌクレオチドの単独のライブラリーの宿主細胞集団への導入を含む。従って、ポリヌクレオチドライブラリー、ライブラリー内のポリヌクレオチドの組成、及びポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドの説明は、「第一のライブラリー」を含むポリヌクレオチド及び「第二のライブラリー」を含むポリヌクレオチドの両方、並びにこれらによりコードされたポリペプチドを包含している。これらのライブラリーは、いずれか適当なベクターにより構築され得るが、両方のライブラリーが同じベクターで構築されてもよいが、必ずしもではない。第一及び第二のライブラリーのための適当かつ好ましいベクターは以下に明らかにする。
【0061】
本発明のライブラリーに含まれたポリヌクレオチドは、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドを、「転写調節領域との操作可能な結合」を介してコードしている。所定のポリヌクレオチド内の1個又は複数の核酸分子は、それらが操作可能な関係で配置された場合には、「操作可能に結合され」ている。この関係は、ポリペプチドのコード領域と、適当な分子(例えば、転写アクチベータータンパク質、ポリメラーゼなど)が調節配列(複数)に結合された場合にこのコード領域の発現を許容する方法で結合された調節配列(複数)の間の関係であることができる。「転写調節領域」は、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、及び転写終結シグナルを含むが、これらに限定されるものではなく、その転写を指示するためにこのポリヌクレオチドと共に含まれる。例えば、プロモーターが核酸分子の転写に影響することが可能であるならば、プロモーターは、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている核酸分子と操作可能に結合される。一般に、「操作可能に結合された」とは、DNA配列がポリヌクレオチドにおいて隣接しているか又は密接に結合されていることを意味する。しかし、一部の転写調節領域、例えばエンハンサーは、隣接していなければならないことはない。
【0062】
「調節配列」又は「調節領域」は、特定の宿主生物において操作可能に結合されたコード配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核生物に適した調節配列は、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することがわかっている。
【0063】
様々な転写調節領域が、当業者に公知である。好ましい転写調節領域は、脊椎動物細胞中で機能するものを含み、例えば、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、例えばヒトサイトメガロウイルス(好ましくは、前初期プロモーター、好ましくはイントロン-Aとの複合において)、シミアンウイルス40(好ましくは初期プロモーター)、レトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルス)、及びピコナウイルス(特に内部リボソーム結合サイト又はIRES、エンハンサー領域、本明細書においてはCITE配列とも称される)からのプロモーター配列及びエンハンサー配列などであるが、これらに限定されるものではない。他の好ましい転写調節領域は、哺乳類遺伝子由来のもの、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、及びウシ成長ホルモン、更には真核細胞における遺伝子発現の制御が可能である他の配列を含む。追加の適当な転写調節領域は、組織特異的プロモーター及びエンハンサーに加え、誘導可能なプロモーター(例えば、テトラサイクリンにより誘導可能なプロモーター、及び温度感受性プロモーター)を含む。より詳細に以下に考察するように、特に好ましいのは、ポックスウイルス感染細胞の細胞質において機能することが可能なプロモーターである。
【0064】
ある好ましい態様において、各「免疫グロブリンサブユニットポリペプチド」、すなわち、「第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチド」又は「第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチド」のいずれかは、(i)重鎖定常領域、重鎖定常領域の膜結合型又は重鎖定常領域の完全な分泌型のいずれか;並びに、軽鎖定常領域からなる群より選択される、第一の免疫グロブリン定常領域、(ii)第一の定常領域に相当している免疫グロブリン可変領域、すなわち、免疫グロブリン定常領域が重鎖定常領域である場合には、免疫グロブリン可変領域は、好ましくはVH領域を含み、かつ免疫グロブリン定常領域が軽鎖領域である場合には、免疫グロブリン可変領域は、好ましくはVL領域を含むようなもの、並びに、(iii)膜結合又は完全に分泌された重鎖、又は重鎖に結合した軽鎖のいずれかとして、小胞体を介して及び宿主細胞形質膜を通して、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの輸送を指示することが可能なシグナルペプチドを含む。従って、2種の同一重鎖及び2種の同一軽鎖の結合により、表面免疫グロブリン分子又は完全に分泌された免疫グロブリン分子のいずれかが形成される。
【0065】
同じく免疫グロブリン断片の状況のある好ましい態様において、単鎖断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域からなる群より選択される免疫グロブリン可変領域を含み、好ましくは両方の可変領域を含む。免疫グロブリン断片が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の両方を含む場合、これらは直接結合される(すなわち、これらはペプチドも他のリンカーも有さない)か、もしくはこれらは別の手段により結合される。これらが別の手段により結合される場合は、これらは以下に考察するように、直接又は発現時に形成されたジスルフィド結合又はペプチドリンカーにより結合される。従って、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の結合を介して、CDRが形成される。
【0066】
リンカーの種類に応じて、ひとつの単鎖断片の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、互いに結合することができるか、もしくはひとつの単鎖断片の重鎖可変領域は、他の単鎖断片の軽鎖可変領域と結合することができ、及びその逆も当てはまる。ひとつの態様において、単鎖断片は、重鎖定常領域、又はそれらのドメイン、及び軽鎖定常領域、又はそれらのドメインからなる群より選択される定常領域も含む。2種の単鎖断片は、それらの定常領域を介して他方に結合することができる。
【0067】
前述のように、ある態様において、単鎖断片の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドは、リンカーをコードしている。この単鎖断片は、配列VH-リンカー-VL又はVL-リンカー-VHを伴う単独のポリペプチドを含むことができる。一部の態様において、リンカーは、単独のポリペプチドの重鎖及び軽鎖が、それらの適切なコンホメーション配向において互いに結合することが許容されるように選択される。例えば、Huston, J.S.ら、Methods in Enzym.、203:46-121(1991)参照。従ってこれらの態様において、リンカーは、未変性のFvコンホメーションの歪みを伴わずに可変ドメインへ融合するそれらの地点間の距離が3.5nmの幅でなければならない。これらの態様において、リンカーを構成しているアミノ酸残基は、この距離の幅であることができ、かつ5個のアミノ酸又はそれよりも長くなければならない。5個のアミノ酸型のリンカーを伴う単鎖断片は、単量体及び優先的には二量体型で認められる。好ましくは、このリンカーは、長さが少なくとも約10個又は少なくとも約15個の残基である。別の態様において、リンカー長は、scFv四量体(四重特異性抗体)の形成を促進するように選択され、かつ長さ1個のアミノ酸である。一部の態様において、可変領域は、scFv三量体(三重特異性抗体)の形成を促進するために直接結合される(すなわち、単鎖断片はペプチドリンカーを含まない)。これらの変型は当技術分野において周知である。(例えば、Chames及びBaty、FEMS Microbiol. Letts.、189:1-8(2000)参照)。このリンカーは、結合部位と立体障害を引き起してはならない。従ってこれは、好ましくは長さが約25残基又はそれ未満である。
【0068】
ペプチドリンカーのアミノ酸は、好ましくは、リンカーが親水性であり、その結果抗体に埋もれないように選択される。リンカー(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)3(配列番号:6)は、十分な柔軟性(flexibility)を提供するので、これは多くの抗体に広範に適用可能な好ましいリンカーである。他のリンカーとしては以下のものが含まれる:
Figure 0004368196
あるいは、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)3(配列番号:6)リンカーのようなリンカーは、いずれかの配列を利用することができるが、突然変異誘発されるか、もしくはこのリンカー内のアミノ酸がランダム化され、ファージディスプレイベクター又は本発明の方法を用い、異なるリンカーを伴う抗体が、最高の親和性又は表現型に対する最大の作用に関してスクリーニング又は選択される。より短いリンカーの例は、前記リンカーの断片を含み、かつより長いリンカーの例は、前記リンカーの組合せ、前記リンカー断片の組合せ、及び前記リンカーの前記リンカー断片との組合せを含む。
【0069】
前述の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの変種又は断片である免疫グロブリンサブユニットポリペプチドも好ましい。免疫グロブリン分子の抗原結合断片を生じるいずれかの変種又は断片も企図されている。このような変種は、宿主細胞表面へ、例えば天然の膜貫通ドメインとの結合を介して、受容体-リガンド相互作用を介して、又は異種膜貫通ドメインとの融合として接着することができるか、もしくは細胞培地へ分泌することができる。免疫グロブリン分子の抗原結合断片の例は、本明細書に説明されている。
【0070】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが重鎖ポリペプチドを含むようなこれらの態様において、いずれかの動物種由来の免疫グロブリン重鎖が意図されている。適当で好ましい免疫グロブリン重鎖は、本明細書において説明されている。鳥類、特にニワトリ、魚類、及び哺乳類のような脊椎動物由来の免疫グロブリン重鎖が含まれ、哺乳類免疫グロブリン重鎖が好ましい。哺乳類免疫グロブリン重鎖の例は、ヒト、マウス、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ラット、ヒツジ、ウシ、ブタ、モルモット、ラクダ、ラマ、及びハムスターの免疫グロブリン重鎖を含む。これらの中で、ヒト免疫グロブリン重鎖が特に好ましい。更にマウス/ヒトハイブリッドの免疫グロブリン重鎖又は「ラクダ化された」ヒト免疫グロブリン重鎖のような1種又は複数種由来の重鎖の一部を含む、ハイブリッド免疫グロブリン重鎖も企図されている。ヒト免疫グロブリン重鎖の中で、本発明の免疫グロブリン重鎖は、好ましくはμ重鎖、すなわちIgM免疫グロブリンの重鎖、γ-1重鎖、すなわちIgG1免疫グロブリンの重鎖、γ-2重鎖、すなわちIgG2免疫グロブリンの重鎖、γ-3重鎖、すなわちIgG3免疫グロブリンの重鎖、γ-4重鎖、すなわちIgG4免疫グロブリンの重鎖、α-1重鎖、すなわちIgA1免疫グロブリンの重鎖、α-2重鎖、すなわちIgA2免疫グロブリンの重鎖、及びε重鎖、すなわちIgE免疫グロブリンの重鎖、並びに、δ重鎖、すなわちIgD免疫グロブリンの重鎖からなる群より選択される。ある態様において、好ましい免疫グロブリン重鎖は、ヒトのμ、γ-1、γ-2、γ-3、γ-4、α-1、α-2、ε、及びδ重鎖の膜結合型を含む。特に好ましいのは、ヒトμ重鎖の膜結合型である。
【0071】
免疫グロブリンの膜結合型は典型的には、重鎖mRNAの選択的(alternative)転写終結及びスプライシングを介して重鎖ポリペプチドの一部を形成している膜貫通ドメインにより、細胞表面に係留されている。例えば、Roittの9.10頁参照。「膜貫通ドメイン」「膜に広がる領域」又は関連用語は、本明細書において互換的に使用され、細胞膜に係留された重鎖ポリペプチドの一部を意味する。典型的膜貫通ドメインは、以下により詳細に考察された疎水性アミノ酸を含む。「細胞内ドメイン」「細胞質ドメイン」「細胞質ゾル領域」又は関連用語は、本明細書において互換的に使用され、細胞膜に係留された又は細胞表面に露出されている部分とは反対側の、細胞の内側にあるポリペプチドの一部を意味する。免疫グロブリン重鎖ポリペプチドの膜結合型は、典型的には約3個のアミノ酸の非常に短い細胞質ドメインを含む。本発明の免疫グロブリン重鎖ポリペプチドの膜結合型は、好ましくは、通常免疫グロブリン重鎖と結合されている膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含み、例えば、プレ-B細胞内のμ及びδ重鎖と結合された膜貫通ドメイン及び細胞内ドメイン、もしくはB-記憶細胞内のいずれかの免疫グロブリン重鎖と結合された膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含む。しかし、異種膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインが、所定の免疫グロブリン重鎖ポリペプチドにより結合されること、例えばμ重鎖の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインがγ重鎖の細胞外部分と結合されることも企図されている。あるいは、完全に異種ポリペプチドの膜貫通ドメイン及び/又は細胞質ドメインを使用し、例えば、主要組織適合性分子の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメイン、細胞表面受容体、ウイルス表面タンパク質、キメラドメイン、又は合成ドメインが使用される。
【0072】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが軽鎖ポリペプチドを含むようなこれらの態様において、いずれかの動物種由来の免疫グロブリン軽鎖が意図されている。適当で好ましい免疫グロブリン軽鎖は、本明細書において説明されている。鳥類、特にニワトリ、魚類、及び哺乳類のような脊椎動物由来の免疫グロブリン軽鎖が含まれ、哺乳類免疫グロブリン軽鎖が好ましい。哺乳類免疫グロブリン軽鎖の例は、ヒト、マウス、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ラット、ヒツジ、ウシ、ブタ、モルモット、ラクダ、ラマ、及びハムスターの免疫グロブリン軽鎖を含む。これらの中で、ヒト免疫グロブリン軽鎖が特に好ましい。更にマウス/ヒトハイブリッドの免疫グロブリン軽鎖のような1種又は複数種からの軽鎖の一部を含む、ハイブリッド免疫グロブリン軽鎖も企図されている。好ましい免疫グロブリン軽鎖は、ヒトκ及びλ軽鎖を含む。いずれかの軽鎖の対が、重鎖のいずれかの同一対と結合され、当業者によく理解されている特徴的H2L2構造を伴う免疫グロブリン分子を形成している。
【0073】
本発明の好ましい局面に従い、本明細書に記されたようなポリヌクレオチドライブラリー、例えばポリヌクレオチドの第一のライブラリー又はポリヌクレオチドの第二のライブラリーのいずれかのメンバーは、(a)このライブラリーの全てのメンバーに共通の免疫グロブリン定常領域をコードしている第一の核酸分子、及び(b)免疫グロブリン可変領域をコードしている第二の核酸分子を含み、ここで第二の核酸分子は、第一の核酸分子の直ぐ上流及びインフレームである。従って、本発明のポリヌクレオチドライブラリーのメンバーによりコードされた免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、すなわち、このようなポリヌクレオチドによりコードされた免疫グロブリン軽鎖又は免疫グロブリン重鎖は、好ましくは、免疫グロブリン可変領域と結合された免疫グロブリン定常領域を含む。
【0074】
「第一の核酸分子」によりコードされた軽鎖定常領域は、このサブユニットポリペプチドのおよそ半分を含み、かつC末端、すなわち軽鎖ポリペプチドの後半に配置される。CL定常領域、より詳細にはCκ定常領域又はCλ定常領域と称される軽鎖定常領域は、鎖内ジスルフィド結合により「ループ」内に互いに維持された約110個のアミノ酸を含む。
【0075】
「第一の核酸分子」によりコードされた重鎖定常領域は、このサブユニットポリペプチドの3/4又はそれ以上を含み、かつC末端、すなわち重鎖ポリペプチドの後半部分に配置される。CH定常領域と称される重鎖定常領域は、3又は4個のいずれかのペプチドループ又は鎖内ジスルフィド結合により各々囲い込まれた約110個のアミノ酸の「ドメイン」を含む。より詳細に述べると、ヒト免疫グロブリンの重鎖定常領域は、Cμ定常領域、Cδ定常領域、Cγ定常領域、Cα定常領域、及びCε定常領域を含む。Cγ、Cα及びCδ重鎖は、各々3個の定常領域ドメインを含み、一般にCH1、CH2及びCH3と称されるのに対し、Cμ及びCε重鎖は、4個の定常領域ドメインを含み、一般にCH1、CH2、CH3及びCH4と称される。ヒト免疫グロブリン定常領域をコードしている核酸分子は、当業者に周知でありかつ下記実施例において説明されているPCRのような方法により、例えばヒトB細胞又はそれらの前駆体に由来したcDNAライブラリーから、容易に得ることができる。
【0076】
本発明の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは各々、「第二の核酸分子」によりコードされた免疫グロブリン可変領域を含む。ポリヌクレオチドのライブラリー内において、各ポリヌクレオチドは同じ定常領域を含むが、このライブラリーは、複数の、すなわち少なくとも2種の、好ましくは少なくとも10、100、103、104、105、106、107、108又は109種の異なる可変領域を含むと考えられる。当業者に周知であるように、軽鎖可変領域は、再構成された核酸分子によりコードされ、各々は、軽鎖VL領域、詳細にはVκ領域又はVλ領域、並びに軽鎖J領域、詳細にはJκ領域又はJλ領域を含む。同様に、重鎖可変領域は、再構成された核酸分子によりコードされ、各々は、重鎖VH領域、D領域及びJ領域を含む。これらの再構成は、細胞分化時にDNAレベルで生じる。重鎖及び軽鎖可変領域をコードしている核酸分子は、例えば、最終的に分化され特定のエピトープに対する特異性を伴う抗体を発現する成熟B細胞及び形質細胞からのPCRにより、誘導することができる。更に、特異的抗原に対する抗体が望ましい場合、可変領域は、その抗原で免疫感作された動物の成熟B細胞及び形質細胞から単離することができ、かつこれにより、この抗原と相互作用する抗体可変領域の拡張されたレパトアが作成される。あるいは、より多様なライブラリーが望ましい場合、可変領域は、前駆体細胞、例えばプレ-B細胞及び未成熟B細胞から単離され、これは免疫グロブリン遺伝子の再構成を受けるが、自己又は非自己の抗原には曝されない。例えば、可変領域は、複数のドナーからプールされた正常なヒト骨髄からのPCRにより単離され得る。あるいは可変領域は合成されたものであり、例えば合成オリゴヌクレオチドの作成により実験室において形成されるか、もしくは生殖系列DNAのインビトロ操作により誘導され、免疫グロブリン遺伝子の再構成を生じる。
【0077】
各々、免疫グロブリン定常領域及び可変領域をコードしている第一及び第二の核酸分子に加え、先に説明された本発明のポリヌクレオチドライブラリーの各メンバーは、更に可変領域をコードしている第二の核酸分子の直ぐ上流及びインフレームのシグナルペプチドをコードしている第三の核酸分子を含むことができる。
【0078】
「シグナルペプチド」とは、例えば発生期の免疫グロブリンポリペプチドサブユニットの宿主細胞表面への輸送を指示するポリペプチド配列を意味する。シグナルペプチドは、当技術分野において「シグナル配列」、「リーダー配列」、「分泌シグナルペプチド」又は「分泌シグナル配列」とも称される。シグナルペプチドは、通常完全な又は「未熟な」ポリペプチドの一部として発現され、かつ通常N末端に位置する。様々なタンパク質由来のシグナルペプチドの共通構造は、一般に、正帯電したn-領域、それに続く疎水性h-領域、及び中性であるが極性のあるc-領域として説明される。多くの場合において、シグナルペプチドを含むアミノ酸は、このタンパク質が一旦その最終目的地に到達したならば切断され、このポリペプチドの「成熟」型を形成する。この切断は、シグナルペプチダーゼとして公知の酵素により触媒される。(-3,-1)-ルールは、-3及び-1位(切断部位に対して)の残基は、小さくかつ正確に発生する切断に対して中立でなければならないことを説明している。例えば、McGeoch、Virus Res.、3:271-286(1985)、及びvon Heinje、Nucleic Acids Res.、14:4683-4690(1986)を参照のこと。
【0079】
本発明の宿主細胞を含む全ての細胞は、構成的分泌経路を有し、これは排出される運命にある分泌型免疫グロブリンサブユニットポリペプチドを含むタンパク質が、この細胞から分泌される。これらのタンパク質は、修飾が生じ得るER-ゴルジプロセシング経路を通過する。更にこのタンパク質上でシグナルが検出されないならば、これは分泌のために細胞表面に向けられる。あるいは免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、最後には宿主細胞の表面上に発現された内在性膜成分となる。免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの膜結合型は、これらが最初は分泌型と同じ経路を辿り、膜透過停止シグナル又は「膜貫通ドメイン」の存在によりER膜に維持される場合以外は、ER管腔を通過する。膜貫通ドメインは、それらが膜を横切るようにα-ヘリックスコンホメーションを採用する約20個のアミノ酸残基の疎水性の伸長である。膜に埋め込まれたタンパク質は、形質膜のリン脂質二重層内に係留される。分泌タンパク質同様、膜貫通タンパク質のN末端領域は、膜を通過し、かつER管腔へ出る際には、切断されるシグナルペプチドを有する。免疫グロブリン重鎖ポリペプチドの膜貫通型は、分泌型と同じシグナルペプチドを利用する。
【0080】
本発明のシグナルペプチドは、天然の免疫グロブリンシグナルペプチド、すなわち天然の重鎖又は軽鎖転写産物の一部である配列によりコードされているものか、もしくはこれに操作可能に結合された免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの分泌を指示する能力を維持しているその配列の機能性誘導体であるかのいずれかである。あるいは、異種シグナルペプチド、又はそれらの機能性誘導体を使用することができる。例えば、天然の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドのシグナルペプチドは、ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター又はマウスβ-グルクロニダーゼのシグナルペプチドで置換することができる。
【0081】
シグナル配列、膜貫通ドメイン、及び細胞質ゾルドメインは、多種多様な膜結合タンパク質について知られている。これらの配列は、従って特定のタンパク質の対(例えば、シグナル配列と膜貫通ドメイン、又はシグナル配列と細胞質ゾルドメイン、又は膜貫通ドメインと細胞質ゾルドメイン)、又は3つ組として一緒に使用することができるか、もしくは各成分は、異なるタンパク質から採取されるか、あるいはこれらの配列は、合成することができ、かつ前述のように人工の送達ドメインとしてのコンセンサスに全体が由来することができる。
【0082】
特に好ましいシグナル配列及び膜貫通ドメインは、CD8、ICAM-2、IL-8R、CD4及びLFA-1に由来するものを含むが、これらに限定されるものではない。追加の有用な配列は、下記由来の配列を含む:1)クラスI内在性膜タンパク質、例えばIL-2受容体β-鎖(残基1〜26はシグナル配列であり、241〜265は膜貫通残基である;Hatakeyamaら、Science、244:551(1989)、及びHeijneら、Eur. J. Biochem.、174:671(1988)参照)、並びにインスリン受容体β-鎖(残基1〜27はシグナルであり、957〜959は膜貫通ドメインであり、及び960〜1382は細胞質ドメインである;Hatakeyama、前掲、及びEbinaら、Cell、40:747(1985)参照);2)クラスII内在性膜タンパク質、例えばニュートラルエンドペプチダーゼ(残基29〜51は膜貫通ドメインであり、2〜28は細胞質ドメインである;Malfroyら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、144:59(1987)参照);3)III型タンパク質、例えばヒトチトクロムP450 NF25(Hatakeyama、前掲);及び、4)IV型タンパク質、例えばヒトP-糖タンパク質(Hatakeyama、前掲)。これらの代替において、CD8及びICAM-2が特に好ましい。例えば、CD8及びICAM-2由来のシグナル配列は、この転写産物の最5'末端に位置する。これらは、CD8の場合はアミノ酸1〜32からなり(Nakauchiら、PNAS USA、82:5126(1985))、及びICAM-2の場合は1〜21からなる(Stauntonら、Nature(ロンドン)、339:61(1989))。これらの膜貫通ドメインは、CD8由来のアミノ酸145〜195(Nakauchi、前掲)及びICAM-2由来の224〜256(Staunton、前掲)により包含される。
【0083】
あるいは、膜係留ドメインは、GPIアンカーを含み、これは例えばDAFにおいて、グリコシル-ホスファチジルイノシトール結合により、この分子と脂質二重層の間に共有結合を生じる(Homansら、Nature、333(6170):269-72(1988)、及びMoranら、J. Biol. Chem.、266:1250(1991)参照)。これを行うために、Thy-1由来のGPI配列を、膜貫通配列の代わりに、免疫グロブリン又は免疫グロブリン断片の3'側にカセット化することができる。
【0084】
同様に、ミリストイル化配列は、膜係留ドメインとして役に立つ。c-srcのミリストイル化は、これを形質膜にリクルートすることはわかっている。このタンパク質の最初の14個のアミノ酸が単にこの機能に寄与している場合は、これは膜局在化の単純かつ効果的方法である(Crossら、Mol. Cell. Biol.、4(9):1834(1984);Spencerら、Science、262:1019-1024(1993)参照)。このモチーフは既に、レポーター遺伝子の局在化に効果があることが示されており、かつTCRのζ鎖の係留に使用することができる。このモチーフは、この構築物を形質膜に局在化するために、免疫グロブリン又は免疫グロブリン断片の5'側に位置している。パルミトイル化のようなその他の修飾を使用し、構築物を形質膜に係留することができ;例えば、Gタンパク質-結合した受容体キナーゼGRK6配列由来のパルミトイル化配列(Stoffelら、J. Biol. Chem.、269:27791(1994));ロドプシン由来のパルミトイル化配列(Barnstableら、J. Mol. Neurosci.、5(3):207(1994));並びに、p21 H-ras 1タンパク質(Caponら、Nature、302:33(1983))がある。
【0085】
各々免疫グロブリン定常領域及び可変領域をコードしている第一及び第二の核酸分子に加え、先に説明された本発明のポリヌクレオチドライブラリーの各メンバーは、更に異種ポリペプチドをコードしている追加の核酸分子を含む。このような追加のポリヌクレオチドは、シグナルペプチドをコードしている別の第三の核酸分子に、またはその代わりとして添加することができる。このような異種ポリペプチドをコードしている追加の核酸分子は、可変鎖領域又は重鎖領域をコードしている核酸分子の上流又は下流であることができる。
【0086】
追加核酸分子によりコードされた異種ポリペプチドは、レスキュー配列であることができる。レスキュー配列は、免疫グロブリンもしくはそれらの断片又はそれをコードしているポリヌクレオチドのいずれかを精製又は単離のために使用することができる配列である。従って例えば、ペプチドレスキュー配列は、Niアフィニティーカラムで使用するための6-Hisタグ及び検出、免疫沈降、又はFACS(蛍光標示式細胞分取器)のためのエピトープタグのような精製配列を含む。適当なエピトープタグは、myc(市販の9E10抗体と共に使用するため)、細菌酵素BirAのBSPビオチン化標的配列、fluタグ、LacZ、及びGSTを含む。追加の核酸分子は、ペプチドリンカーもコードしている。
【0087】
好ましい態様において、異種ポリペプチドの組合せが使用される。従って例えば、リンカー配列を伴い又は伴わずに、シグナル配列、レスキュー配列、及び安定化配列のかなり多数の組合せを使用することができる。ひとつは、免疫グロブリン又はそれらの断片をコードしているポリヌクレオチドの異種ポリペプチド5'及び3'をコードしている様々な融合ポリヌクレオチドにカセット化することができる。当業者に理解されるように、これらの配列モジュールは、非常に多数の組合せ及び変型において使用することができる。
【0088】
第一及び第二のライブラリーに含まれるポリヌクレオチドは、適当な宿主細胞へ導入される。適当な宿主細胞は、それらの表面に付着した免疫グロブリン分子を発現することが可能であることを特徴としている。ポリヌクレオチドは、当業者に周知の方法により、宿主細胞へ導入される。適当で好ましい導入法は本明細書に明らかにされている。
【0089】
容易に理解されるように、導入法は、ポリヌクレオチドライブラリーが構築されたベクターの性質に応じて変動する。例えば、DNAプラスミドベクターは、宿主細胞へ、例えば、リポフェクション(アニオン性リポソームによるなど(例えば、Feignerら、 Proc. Natl. Acad Sci. U.S.A.、84:7413(1987)参照)、又はカチオン性リポソーム(例えば、Brigham, K.L.ら、Am. J Med Sci、298(4):278-2821(1989);米国特許第4,897,355号(Eppsteinら)参照))、電気穿孔法、リン酸カルシウム沈降法(例えば全般的に、Sambrookら、「分子クローニング;実験マニュアル、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー、NY、1989参照)、プロトプラスト融合法、スフェロプラスト融合法、又はDEAEデキストラン法(Sussmanら、Cell. Biol.、4:1641-1643(1984)参照)により導入することができる。前記参考文献は、その全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0090】
選択された方法がリポフェクションである場合、この核酸は、カチオン性リポソーム、例えばDOTMA:DOPE、DOTMA、DOPE、DC-コレステロール、DOTAP、Transfectam(登録商標)(Promega社)、Tfx(登録商標)(Promega社)、LipoTAXI(登録商標)(Stratagene社)、PerFect Lipid(登録商標)(Invitrogen社)、SuperFect(登録商標)(Qiagen社)などにより複合され得る。核酸がアニオン性リポソームによりトランスフェクションされる場合は、アニオン性リポソームは、この核酸を封入することができる。好ましくは、DNAは、製造業者のプロトコールを使用し、リポソームが媒介したトランスフェクションにより導入される(例えばLipofectamineについて;Life Technologies社)。
【0091】
プラスミドはウイルスベクターである場合、宿主細胞への導入は、標準の感染により最も都合良く実行される。しかし多くの場合、ウイルスの核酸は、前述のいずれかの方法により細胞に導入され、かつウイルスの核酸は「感染性」であり、すなわちウイルスの核酸の細胞への導入は、より多くではなくとも、細胞が生存可能な子孫ウイルス粒子を産生するのに十分なものである。しかしある種のウイルス核酸、例えばポックスウイルス核酸は、感染性ではなく、従って提供された追加エレメント、例えばウイルスの核酸を封入しているウイルス粒子、必要なウイルスのエレメントを産生するように操作された細胞、又はヘルパーウイルスにより、導入されなければならない。
【0092】
ポリヌクレオチドの第一及び第二のライブラリーは、いずれかの順、又は同時に、宿主細胞へ導入される。例えば、ポリヌクレオチドの第一及び第二のライブラリーが、ウイルスベクターにおいて構築され、感染性又は失活されたかのいずれかのベクターは、混合物として同時感染により導入されるか、又は連続感染において導入され得る。ひとつのライブラリーがウイルスベクターにおいて構築され、かつ他方がプラスミドベクターにおいて構築されたならば、一方のライブラリーの導入は、他方よりも先に導入されることにより、最も簡便に行われうる。
【0093】
ポリヌクレオチドの第一及び第二のライブラリーの宿主細胞への導入後、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の発現が許容され、該宿主細胞の膜表面上、又は細胞培地への分泌を通じてのいずれかが生じる。「発現が許容される」とは、宿主細胞に導入されたベクターが、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの転写及び翻訳を受けることが可能になる、好ましくは宿主細胞が完全に集成された免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を膜表面上又は細胞培地へ輸送することが可能になることを意味する。典型的には、発現の許容には、ポリヌクレオチドが導入される宿主細胞の、発現を可能にする適当な条件下でのインキュベーションを必要としている。これらの条件、及び発現を可能にするのに必要な時間は、当業者に周知であるように、宿主細胞の選択及びベクターの選択を基に変動しうる。
【0094】
ある態様において、それらの表面上への免疫グロブリン分子の発現を可能にしている宿主細胞、又は細胞培地に分泌された可溶性免疫グロブリン分子は、その後抗原と接触される。本明細書において使用される「抗原」は、抗体、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片に特異的に結合することができるいずれかの分子である。「特異的な結合」は、抗原が、抗体のCDRに結合することを意味する。CDRと特異的に相互作用する抗原の部分は、「エピトープ」、又は「抗原決定基」と称される。抗原は単独のエピトープを含むが、典型的には抗原は少なくとも2種のエピトープを含み、かつ抗原のサイズ、コンホメーション、及び型に応じて、かなり多くのエピトープを含むことができる。
【0095】
抗原は、典型的にはペプチド又はポリペプチドであるが、分子又は化合物であることもできる。例えば、有機化合物、例えばジニトロフェノール又はDNP、核酸、糖質、又はこれらの化合物の混合物は、ペプチド又はポリペプチドを伴う又は伴わないのいずれかで、適当な抗原であることができる。ペプチド又はポリペプチドエピトープの最小サイズは、約4〜5個のアミノ酸であると考えられる。ペプチド又はポリペプチドエピトープは、好ましくは、少なくとも7個の、より好ましくは少なくとも9個の、及び最も好ましくは少なくとも約15〜約30個のアミノ酸を含む。CDRはその三次元型で抗原性ペプチド又はポリペプチドを認識することができるので、エピトープを含むアミノ酸は、非連続である必要があり、場合によっては、同じペプチド鎖上にないことさえある。本発明において、ペプチド又はポリペプチド抗原は、好ましくは少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、より好ましくは少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、及び最も好ましくは約15〜約30個のアミノ酸の配列を含む。抗原エピトープを含む、あるいは抗原エピトープからなる好ましいペプチド又はポリペプチドは、長さが少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100個のアミノ酸残基である。この抗原は、いずれかの型であることができ、かつ遊離、例えば、溶液中に溶解しているか、又はいずれかの基質に付着していることができる。適当かつ好ましい基質が本明細書において説明されている。ある態様において、抗原は、より詳細に以下に説明されているような、抗原発現性の提示細胞の一部であることができる。
【0096】
いずれかの抗原に特異的な免疫グロブリン分子は、本発明の方法に従い作成することができることは理解されるはずである。好ましい抗原は、「自己」抗原、すなわち作成される免疫グロブリン分子と同一種に由来する抗原である。例として、CEA抗原、GM2抗原、Tn抗原、sTn抗原、Thompson-Friedenreich 抗原(TF)、Globo H抗原、Le(y)抗原、MUG1抗原、MUC2抗原、MUC3抗原、MUC4抗原、MUC5AC抗原、MUC5B抗原、MUC7抗原、癌胎児性抗原、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンβ鎖(hCGβ)抗原、HER2/neu抗原、PSMA抗原、EGFRvIII抗原、KSA抗原、PSA抗原、PSCA抗原、GP100抗原、MAGE1抗原、MAGE2抗原、TRP 1抗原、TRP 2抗原、及びチロシナーゼ抗原などであるが、これらに限定されるものではない、ヒト腫瘍抗原に対するヒト抗体を産生することが望ましいと考えられる。他の望ましい「自己」抗原は、サイトカイン、受容体、リガンド、糖タンパク質、及びホルモンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0097】
感染性物質上の抗原に対する抗体を産生することも企図されている。このような抗原の例は、細菌性抗原、ウイルス性抗原、寄生虫性抗原、及び真菌性抗原を含むが、これらに限定されるものではない。ウイルス性抗原の例は、アデノウイルス抗原、αウイルス抗原、カリチウイルス抗原、例えばカリチウイルスキャプシド抗原、コロナウイルス抗原、ジステンバーウイルス抗原、エボラウイルス抗原、エンテロウイルス抗原、フラビウイルス抗原、肝炎ウイルス(A-E)抗原、例えばB型肝炎コア又は表面抗原、ヘルペスウイルス抗原、例えば単純ヘルペスウイルス又は水痘ウイルス糖タンパク質抗原、免疫不全ウイルス抗原、例えばヒト免疫不全ウイルスエンベロープ又はプロテアーゼ抗原、感染性腹膜炎ウイルス抗原、インフルエンザウイルス抗原、例えばインフルエンザA赤血球凝集素、又はノイラミニダーゼ抗原、白血病ウイルス抗原、マーブルグウイルス抗原、癌ウイルス抗原、オルソミクソウイルス抗原、パピローマウイルス抗原、パラインフルエンザウイルス抗原、例えば赤血球凝集素/ノイラミニダーゼ抗原、パラミクソウイルス抗原、パルボウイルス抗原、ペスチウイルス抗原、ピコナウイルス抗原、例えばポリオウイルスキャプシド抗原、狂犬病ウイルス抗原、例えば狂犬病ウイルス糖タンパク質G抗原、レオウイルス抗原、レトロウイルス抗原、ロタウイルス抗原、更には他の癌を惹起する又は癌に関連したウイルス抗原を含むが、これらに限定されるものではない。
【0098】
細菌性抗原の例としては、アクチノミセス抗原、バシラス抗原、バクテロイド抗原、ボルデテラ抗原、バルトネラ抗原、ボレリア抗原、例えば、ボレリア・バルグドルファOspA抗原、ブルセラ抗原、カンピロバクター抗原、カプノチトファーガ抗原、クラミジア抗原、クロストリジウム抗原、コリネバクテリウム抗原、コクシエラ抗原、デルマトフィルス抗原、腸球菌抗原、エールリヒア抗原、大腸菌抗原、フランシセラ抗原、フゾバクテリウム抗原、ヘルモバルトネラ抗原、ヘモフィルス抗原、例えば、ヘルモフィス・インフルエンザb型外膜タンパク質抗原、ヘリコバクター抗原、クレブシエラ抗原、L-型細菌抗原、レプトスピラ抗原、リステリア抗原、マイコバクテリア抗原、マイコプラズマ抗原、ナイセリア抗原、ネオリケッチア抗原、ノカルジア抗原、パスツレラ抗原、ペプトコッカス抗原、ペプトストレプトコッカス抗原、肺炎球菌抗原、プロテウス抗原、ユードモナス抗原、リケッチア抗原、ロシャリメア抗原、サルモネラ抗原、シゲラ抗原、ブドウ球菌抗原、レンサ球菌抗原、例えば化膿レンサ球菌Mタンパク質抗原、梅毒抗原、及びエルシニア抗原、例えばイペスチス(Ypestis)F1及びV抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
真菌性抗原の例としては、ユミケカビ抗原、アクレモニウム抗原、アルテルナリア抗原、アスペルギルス抗原、バシディオボルス抗原、ビポラリス抗原、ブラストミセス抗原、カンジダ抗原、コクシディオイデス抗原、コクシディオボラス抗原、クリプトコッカス抗原、クルブラリア抗原、エピデルモフィトン抗原、エキソフィアラ抗原、ゲオトリクム抗原、ヒストプラスマ抗原、マズレラ抗原、マラセジア抗原、小胞子菌抗原、モニリエラ抗原、クサレケカビ抗原、ケカビ抗原、ペシロマイセス抗原、アオカビ抗原、フィアレモニウム(Phialemonium)抗原、フィアロフォア抗原、プロトテカ抗原、シュードアレシェリア抗原、シュードミクロドキウム(Pseudomicrodochium)抗原、ピチウム抗原、リノスポリジウム抗原、リゾプス抗原、スコレコバシディウム抗原、スポロトリックス抗原、ステムフィリウム抗原、白癬菌抗原、トリコスポロン抗原、及び乾生菌抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
寄生原生動物の抗原の例としては、バベシア抗原、バランチジウム抗原、ベスノイチア抗原、イヌ糸状虫抗原、エイメリア抗原、エンセファリトズーン抗原、赤痢アメーバ抗原、ランブル鞭毛虫抗原、トキソプラズマ抗原、肝胞子虫抗原、イソスポラ抗原、リーシュマニア抗原、微胞子虫抗原、ネオスポラ抗原、ノセマ抗原、ペンタトリコモナス抗原、マラリア抗原、例えば熱帯熱マラリア原虫の環状スポロゾイト周囲タンパク質(PfCSP)、スポロゾイト表面タンパク質2(PfSSP2)、うっ血肝抗原1-C末端(PfLSA-1 c-term)、及び排出された(exported)タンパク質1(PfExp-1)抗原、ニューモシチス抗原、サルコシスト抗原、住血吸虫抗原、タイレリア抗原、トキソプラズマ抗原、及びトリパノソーマ抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。寄生蠕虫の抗原の例としては、常在糸状虫抗原、アエルロストロンギアラス(Aelurostrongylus)抗原、鉤虫抗原、広東住血線虫抗原、回虫抗原、ブルジア抗原、ブノストムム抗原、毛頭虫抗原、シャベルチア抗原、クーペリア抗原、クレノソマ(Crenosoma)抗原、ジクチロカウルス抗原、線虫抗原、デイペタロネーマ抗原、裂頭条虫抗原、瓜実条虫抗原、ディロフィラリア抗原、メジナ虫抗原、蟯虫抗原、フィラリア抗原、ヘモンカス抗原、ラゴキルアスカリス抗原、ロア糸状虫抗原、マンソネラ抗原、ムエレリウス(Muellerius)抗原、ナノフィエタス抗原、アメリカ鉤虫抗原、線虫抗原、腸結節虫抗原、回旋糸状虫抗原、オピストルキス抗原、オステルタジア抗原、パラフィラリア抗原、肺吸虫抗原、パラアスカリス抗原、フィサロプテラ抗原、プロトストロンギルス抗原、セタリア抗原、スピロセルカ抗原、スピロメトラ抗原、ステファノフィラリア抗原、糞線虫抗原、ストロンギルス抗原、テラジア抗原、トキサスカリス抗原、トキソカラ抗原、旋毛虫抗原、毛様線虫抗原、鞭虫抗原、鉤虫抗原、及び糸状虫抗原が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
免疫グロブリン分子が宿主細胞の表面に発現されるある選択及びスクリーニングの計画において、本発明の宿主細胞は、宿主細胞の表面に発現された免疫グロブリン分子のCDRを特異的に認識する抗原が、CDRに結合する方法により、抗原と「接触」され、これにより抗原に特異的に結合する宿主細胞をこの抗原に結合していないそれらの宿主細胞から識別することが可能になる。抗原特異的抗体を発現している宿主細胞をこの抗原と相互作用させるいずれかの方法が含まれる。例えば、宿主細胞が懸濁液中に存在する場合、及び抗原が固形基質に付着されている場合、抗原に特異的に結合する細胞は、固形基質に捕獲され、この抗原と結合していないそれらの細胞を洗浄除去することを可能にし、かつ引き続き結合した細胞が回収される。あるいは、宿主細胞が固形基質に付着されていない場合、特異的に結合している抗原により細胞が基質から放出されることが引き起される場合(例えば細胞死により)、これらは、細胞上清から回収することができる。本発明の宿主細胞が抗原と接触することを可能にする好ましい方法で、特に三分子組換えによりワクシニアウイルスベクターにおいて構築されたライブラリーを使用する方法が、本明細書において明らかにされている。
【0102】
宿主細胞の表面に発現された抗原特異的免疫グロブリン分子の検出のための好ましいスクリーニング法において、本発明の宿主細胞は、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)により直接的に標識されるか又はビオチンにより間接的に標識され、その後FITC-標識されたストレプトアビジンにより検出されるような選択抗原と一緒にインキュベーションされる。当業者になじみがある別の蛍光プローブを、使用することができる。インキュベーション期間に、標識された選択抗原は、抗原特異的免疫グロブリン分子に結合する。特異的蛍光タグ付けした抗原の抗体受容体を発現している細胞は、蛍光標示式細胞分取器により選択され、これにより、抗原に特異的に結合している宿主細胞が抗原に結合していない宿主細胞から識別できるようになる。1時間に1x108個を超える細胞の選別が可能な細胞分取器の出現により、選択抗原に対する特異的抗体受容体を発現する細胞サブセットを選択するために、免疫グロブリン遺伝子の組換えワクシニアライブラリーにより感染した多数の細胞をスクリーニングすることが実現可能になっている。
【0103】
抗原に特異的に結合した宿主細胞の回収後に、第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、これらの宿主細胞から回収される。「回収」は、望ましい成分のこれらの望ましくない成分からの粗分離を意味する。例えば、抗原に結合する宿主細胞は、固形基質からのそれらの脱離を基に「回収」され、かつ第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、他の細胞成分からの粗分離によりこれらの細胞から回収される。用語「回収」は、ウイルス及び他の成分からの精製又は単離のいかなる種類も含蓄しないことは注目される。ポリヌクレオチドの回収は、当業者に公知の標準法法により実現することができる。好ましい局面において、ポリヌクレオチドは、感染性ウイルス粒子、例えばそこに第一のライブラリーが構築され、抗原に結合した宿主細胞中に含まれたようなワクシニアウイルスベクター粒子の収集により回収される。
【0104】
免疫グロブリン分子が宿主細胞の表面から完全に分泌されるあるスクリーニングの計画において、宿主細胞のプールが培養される細胞培地、すなわち「馴化培地」が、免疫グロブリン分子のCDRを特異的に認識する抗原をCDRに結合することを可能にする方法により、抗原と「接触」され、かつこれが更に抗原-抗体相互作用の検出を可能にする。 このような方法は、イムノブロット、ELISAアッセイ、RIAアッセイ、RASTアッセイ、及び免疫蛍光アッセイを含むが、これらに限定されるものではない。あるいは、馴化培地は、特異的抗体に関する機能アッセイが施される。このようなアッセイの例は、ウイルス中和アッセイ(特異的ウイルスに対する抗体について)、細菌のオプソニン作用/食作用アッセイ(特異的細菌に対する抗体について)、抗体-依存型細胞細胞傷害性(ADCC)アッセイ、ある細胞機能の阻害又は促進に関するアッセイ、マスト細胞からのIgE-媒介されたヒスタミン放出を検出するアッセイ、赤血球凝集素アッセイ、及び赤血球凝集阻止アッセイを含むが、これらに限定されるものではない。このようなアッセイは、望ましい機能特性を伴う抗原特異的抗体の検出を可能にすると考えられる。
【0105】
特異的に抗原に結合する、又は望ましい機能特性を有する免疫グロブリン分子を含む馴化培地プールの同定後に、更なるスクリーニング段階が、望ましい免疫グロブリン分子を産生する宿主細胞が回収されるまで実行され、その後第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、それらの宿主細胞から回収される。
【0106】
当業者に容易に理解されるように、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの同定には、2回以上の前述のような選択ラウンドを必要とすることができ、2回以上の前述のようなスクリーニングラウンドが必ず必要であると考えられる。1回の選択では、所望の第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの純粋なセットの単離を必ずしも生じず;1回目以降に得られた混合物は、所望のポリヌクレオチドについて濃縮することができるが、非標的挿入断片配列と夾雑することもある。本明細書に記されたスクリーニングアッセイは、反応性宿主細胞、及び/又は免疫グロブリン分子を含有するプールを同定するが、このようなプールは、非反応性種も含むと考えられる。従って、反応性プールは更に分画化され、かつスクリーニングの更なるラウンドが施される。従って、第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドとの結合において望ましい免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の形成を可能にする、第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドコードしているポリヌクレオチドの同定は、選択及び/又はスクリーニングの数回のラウンドが必要であるか、又はこれにより恩恵を受け、結果として望ましいポリヌクレオチドを含む細胞集団を増大する。従ってこの態様は更に、1回目のラウンド後に回収されたポリヌクレオチドの第二の細胞集団への導入、及び2回目の選択ラウンドの実行を提供する。
【0107】
従って、説明されたように、第一の選択段階は、1回又は複数回繰り返すことができ、もしくは繰り返さなければならず、これにより所望の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドが濃縮される。この態様の第一の段階を反復するために、前述のように回収されたこれらのポリヌクレオチド、又はポリヌクレオチドのプールが、ライブラリー内のポリヌクレオチドによりコードされた免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞の集団に導入される。この宿主細胞は、1回目の選択ラウンドにおいて使用される型と同じであるか、又はそれらが免疫グロブリン分子を発現することができる限りは、異なる宿主細胞であることができる。ポリヌクレオチドの第二のライブラリーも、これらの宿主細胞へ導入され、かつ該宿主細胞の膜表面上の又は細胞培地中での、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の発現がもたらされる。この細胞又は馴化培地は、同様に抗原と接触されるか、又はこの培地は、機能アッセイにおいて試験され、かつ第一のライブラリーのポリヌクレオチドは、抗原に特異的に結合している、及び/又は望ましい機能特性を有する、これらの細胞又は免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞のプールから再度回収される。これらの段階は、1回又は複数回反復され、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として、抗原に特異的に結合する及び/又は機能的特性を有するような免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリー由来のポリヌクレオチドの濃縮を生じる。
【0108】
前述のような第一のライブラリーからの望ましいポリヌクレオチドの適当な濃縮の後、回収されるこれらのポリヌクレオチドが、「単離」され、すなわち、それらの固有の環境から実質的に除去され、かつ抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしていないライブラリー内のポリヌクレオチドから大部分は分離される。例えば、ベクターに含まれるクローン化されたポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されるとみなされる。同じ抗原に特異的に結合する2種以上の異なる免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが、本明細書に説明された方法により回収することができることは理解される。従って、同じ抗原に結合しているポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの混合物も、「単離」されているとみなされる。更なる単離されたポリヌクレオチドの例は、異種宿主細胞において維持されたもの又は溶液中の精製(部分的又は実質的に)されたDNA分子を含む。しかし、混合されたライブラリーのメンバーであり、かつ例えば抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドのコードによりライブラリーの他のクローンから単離されているようなクローンに含まれたポリヌクレオチドは、本発明の目的に関しては「単離」されていない。例えば、ウイルスベクターに含まれたポリヌクレオチドは、回収された後に、「単離」され、かつプラーク精製され、かつプラスミドベクターに含まれたポリヌクレオチドは、単独の細菌コロニーから増殖された後単離される。
【0109】
抗原が2種以上のエピトープを含み得、かついくつかの異なる免疫グロブリン分子がいずれか所定のエピトープへ結合し得るならば、いくつかの適当なポリヌクレオチド、例えば2、3、4、5、10、100又はそれ以上のポリヌクレオチドが、この態様の第一段階から回収され、その全ては第二のライブラリーポリヌクレオチドによりコードされた適当な免疫グロブリンサブユニットポリペプチドと一緒にされた場合に、関心のある抗原へ特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を形成する免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしていることが企図されている。第一のライブラリーから回収された異なるポリヌクレオチドの各々は、個別に分離されることが企図されている。しかし、これらのポリヌクレオチドは、同じ抗原特異性を伴うポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの群として単離することができ、かつこれらのポリヌクレオチドは互いに「単離」され得る。個別に又は集合的のいずれかで単離されたこのようなポリヌクレオチドの混合物は、以下に説明されるように、第二の段階で宿主細胞へ、個別に、又は2、3、4、5、10、100又はそれ以上の互いにプールされたポリヌクレオチドと共に、導入することができる。
【0110】
1種又は複数の適当なポリヌクレオチドが第一のライブラリーから一旦単離されると、この態様の第二の段階において、1種又は複数のポリヌクレオチドは、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドによりコードされた免疫グロブリンサブユニットポリペプチド(複数)と結合することが可能である免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第二のライブラリーにおいて同定され、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を形成し、これは 関心のある抗原に特異的に結合するか、もしくは所望の機能的特性を有する。
【0111】
従って第二の段階は、第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第二のライブラリーの、免疫グロブリン分子の発現が可能な宿主細胞集団への導入、先に説明されたような第一のライブラリーから単離された少なくとも1種のポリヌクレオチドの、同じ宿主細胞集団への導入、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の宿主細胞の表面での発現の許容もしくは細胞培地への完全な分泌、これらの宿主細胞、もしくはそこで宿主細胞が増殖している馴化培地との関心のある特異的抗原との接触、又は馴化培地への機能アッセイの実施、かつ関心のある抗原に結合しているこれらの宿主細胞、又は望ましい反応性を示す馴化培地において増殖したそれらの宿主細胞からの、第二のライブラリーのポリヌクレオチドの回収を含む。従って第二の段階は、第二のライブラリーのポリヌクレオチドによりコードされた第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドのみを伴う宿主細胞と一緒にされることを除いて、第一の段階と非常に類似して実施される。前述のように、第一のライブラリーから単離された単独のクローン化されたポリヌクレオチドを使用されるか、あるいは、第一のライブラリーから単離されたいくつかのポリヌクレオチドのプールが、同時に導入され得る。前述の第一の段階のように、濃縮の1回又は複数回のラウンドが実行され、すなわち連続的により小さいプールの選択又はスクリーニングのいずれかが実行され、これにより、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として、関心のある抗原へ特異的に結合する、又は望ましい機能特性を発揮する第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第二のライブラリーのポリヌクレオチドが濃縮される。同じく第一の段階のように、その後第二のライブラリー由来の1種又は複数の望ましいポリヌクレオチドが単離される。単離されたポリヌクレオチドのプールが第二の段階時により早期の濃縮ラウンドにおいて使用されるならば、好ましい引き続きの濃縮段階は、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドのより小さいプールを使用することができ、又は更により好ましくは第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドが個別にクローニングされる。その後第二のライブラリーのポリヌクレオチドの選択段階に使用される第一のライブラリーから単離された個別のポリヌクレオチドに関して、いくつかの、すなわち2、3、4、5、10、100又はそれ以上のポリヌクレオチドが、第一のライブラリーからのポリヌクレオチドによりコードされた第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドと結合することが可能な第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第二のライブラリーから単離されることが可能であり、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を形成し、これは関心のある抗原に特異的に結合するか、又は望ましい機能的特性を示す。
【0112】
単鎖断片をコードしているライブラリーの選択/スクリーニング法は、第一及び第二のライブラリーよりもむしろ唯一のライブラリーを必要とし、かつ唯一の選択/スクリーニング段階が必要とされる。免疫グロブリンの2段階の各々と同様に、この1段階選択/スクリーニング法も、2回以上の濃縮ラウンドから恩恵を受ける。
【0113】
ベクター 真核細胞における抗体ライブラリーの構築において、真核細胞において発現が可能ないずれか標準のベクターを使用することができる。例えば、このライブラリーは、選択された特定のベクターが真核細胞において機能することが可能な転写及び翻訳の調節領域を含む限りは、ウイルス、プラスミド、ファージ、又はファージミドベクターにおいて構築することができる。しかし、前述のような抗体ライブラリーは、好ましくは真核ウイルスベクターにおいて構築される。
【0114】
真核ウイルスベクターは、例えば、動物ウイルスベクター又は植物ウイルスベクターのようないずれかの型であることができる。ウイルスベクターの天然のゲノムは、RNA、プラス鎖又はマイナス鎖、もしくは二本鎖のいずれか、又はDNAであり、かつこの天然のゲノムは環状又は線状のいずれかであることができる。動物ウイルスベクターの中で、例えば昆虫、原生動物、又は寄生蠕虫のような無脊椎動物に感染するもの;又は、例えば哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、及び両生類のような脊椎動物に感染するものが含まれる。ウイルスベクターの選択は、最大挿入断片サイズ、及び達成されるタンパク質発現レベルによってのみ制限される。適当なウイルスベクターは、酵母及び他の真菌細胞、昆虫細胞、原生動物細胞、植物細胞、鳥類細胞、魚類細胞、爬虫類細胞、両生類細胞、又は哺乳類細胞を感染するものであり、哺乳類ウイルスベクターが特に好ましい。標準のウイルスベクターを本発明において使用することができ、これはポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス)、ヘルペスウイルスベクター(例えば、単純ヘルペスウイルス)、アデノウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ピコナウイルスベクター(例えば、ポリオウイルス)、αウイルスベクター(例えば、シンドビスウイルス)、及びエンテロウイルスベクター(例えば、メンゴウイルス)を含むが、これらに限定されるものではない。DNAウイルスベクター、例えば、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、及びアデノウイルスが好ましい。以下により詳細に説明されるように、ポックスウイルス、特にオルトポックスウイルス、及び特別にはワクシニアウイルスが、特に好ましい。好ましい態様において、ウイルスベクターが選択される限りは、感染性ウイルスの粒子の産生を許容する宿主細胞が利用される。ワクシニアウイルスのような多くの標準ウイルスベクターは、非常に広範な宿主範囲を有し、これにより多種多様な宿主細胞の使用を可能にしている。
【0115】
前述のように、本発明の第一及び第二のライブラリーは、同じベクター内で構築することができ、もしくは、異なるベクター内で構築することができる。しかし、好ましい態様において、第一及び第二のライブラリーは、第一の段階において、第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、第二のライブラリーのポリヌクレオチドから都合良く回収、例えば分離され、かつ第二の段階において、第二のライブラリーのポリヌクレオチドは、第一のライブラリーのポリヌクレオチドから都合良く回収されるように調製される。例えば、第一の段階において、第一のライブラリーがウイルスベクターにおいて構築され、かつ第二のライブラリーがプラスミドベクターにおいて構築されるならば、第一のライブラリーのポリヌクレオチドは、感染性ウイルス粒子として容易に回収される一方で、第二のライブラリーのポリヌクレオチドは、細胞デブリと共に残留される。同様に、第二の段階において、第二のライブラリーがウイルスベクターにおいて構築される一方で、第一の段階において単離された第一のライブラリーのポリヌクレオチドがプラスミドベクターに導入されるならば、第二のライブラリーのポリヌクレオチドを含有する感染性ウイルス粒子は、容易に回収される。
【0116】
ポリヌクレオチドの第二のライブラリー、又は第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドがプラスミドベクター中で宿主細胞へ導入される場合は、このようなプラスミドベクター内に含まれたポリヌクレオチドによりコードされている免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、他のライブラリーを含むウイルスベクターによりコードされたタンパク質により起動される転写調節領域と操作可能に結合されることが好ましい。例えば、第一のライブラリーがポックスウイルスベクターにおいて構築され、かつ第二のライブラリーがプラスミドベクターにおいて構築されるならば、プラスミドライブラリー内に構築された第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、ポックスウイルス感染細胞の細胞質において機能する転写調節領域、好ましくはプロモーターと操作可能に結合されることが好ましい。第二の段階と同様に、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドをプラスミドベクターへ挿入し、かつ第二のライブラリーがポックスウイルスベクターにおいて構築されることが望ましい場合は、第一のライブラリーから単離されかつプラスミドに挿入さたポリヌクレオチドが、ポックスウイルス感染細胞の細胞質において機能する転写調節領域、好ましくはプロモーターに操作可能に結合されるれることが好ましい。この方法において、第二のライブラリーのポリヌクレオチドは、ポックスウイルスによっても感染されているこれらの細胞において発現されるのみである。
【0117】
しかし、2種の異なるベクターシステムにおいて一方又は両方のライブラリーを維持することよりも、ウイルスベクターのみにおいて、第一のライブラリーから単離されたこのようなポリヌクレオチドに加え、第一及び第二の両ライブラリーを維持することが都合がよい。従って本発明は、ウイルスベクターにおいて維持された第一又は第二のライブラリーの試料が失活され、その結果このウイルスベクターが細胞に感染し、かつウイルスベクターのゲノムは転写されるが、このベクターは複製されない、すなわち、このウイルスベクターが細胞へ導入された場合に、ウイルスゲノム上に保持された遺伝子産物、例えば免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは発現されるが、感染性ウイルス粒子は産生されないことを提供する。
【0118】
好ましい局面において、真核ウイルスベクターにおいて構築された第一又は第二のライブラリーのいずれかの失活は、4'-アミノメチル-トリオキサレン(ソラレン)による、ウイルスベクターにおいて構築されたライブラリー試料の処理、その後のウイルスベクターの紫外線(UV光)への曝露により実行される。ウイルスのソラレン及びUVによる失活は、当業者に周知である。例えば、Tsung, K.ら、J. Virol.、70:165-171(1996)を参照し、これはその全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0119】
ソラレン処理は、典型的には、ウイルスベクターの細胞-非含有試料の、ソラレン濃度範囲約0.1μg/ml〜約20μg/ml、好ましくは約1μg/ml〜約17.5μg/ml、約2.5μg/ml〜約15μg/ml、約5μg/ml〜約12.5μg/ml、約7.5μg/ml〜約12.5μg/ml、又は約9μg/ml〜約11μg/mlと一緒のインキュベーションを含む。従って、ソラレン濃度は、約0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、2μg/ml、3μg/ml、4μg/ml、5μg/ml、6μg/ml、7μg/ml、8μg/ml、9μg/ml、10μg/ml、11μg/ml、12μg/ml、13μg/ml、14μg/ml、15μg/ml、16μg/ml、17μg/ml、18μg/ml、19μg/ml、又は20μg/mlであることができる。好ましくは、ソラレン濃度は、約10μg/mlである。本明細書に使用される「約」という用語は、典型的には実験室又は製造施設において測定される時間、化学物質濃度、温度、pH、及び他の要因の測定値が、決して精密ではなく、測定の種類及び測定のために使用した装置を基に所定の量変動し得ることを考慮している。
【0120】
ソラレンとのインキュベーションは、典型的にはUV曝露前に一定時間行われる。この時間は、好ましくはUV曝露前約1分〜約20分である。好ましい時間範囲は、約2分〜約19分、約3分〜約18分、約4分〜約17分、約5分〜約16分、約6分〜約15分、約7分〜約14分、約8分〜約13分、又は約9分〜約12分である。従って、インキュベーション時間は、約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、又は約20分間である。より好ましくは、インキュベーションは、UV曝露前10分間行われる。
【0121】
その後ソラレン処理したウイルスを、UV光に曝露する。UVは、任意の波長であってよいが、好ましくは長波長側UV光であり、例えば、約365nmである。UVへの曝露は、約0.1分〜約20分の時間実行される。好ましくは、この時間範囲は、約0.2分〜約19分、約0.3分〜約18分、約0.4分〜約17分、約0.5分〜約16分、約0.6分〜約15分、約0.7分〜約14分、約0.8分〜約13分、約0.9分〜約12分、約1分〜約11分、約2分〜約10分、約2.5分〜約9分、約3分〜約8分、約4分〜約7分、又は約4.5分〜約6分である。従ってインキュベーション時間は、約0.1分間、約0.5分間、約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、又は約20分間である。より好ましくは、ウイルスベクターは、約5分間UV光に曝露される。
【0122】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの2種のライブラリーから真核細胞において免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を集成及び発現する能力は、細菌システムにおいて単鎖抗体を産生する方法に勝る顕著な改善を示し、ここで2段階選択プロセスは、様々な特異性を有する免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の選択を基本としている。
【0123】
更に例証されるが、本態様を限定するものではない具体的態様の例は、下記実施例において提供される。先に詳細に説明したように、特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の選択は、2相において実現される。最初に、ナイーブドナー又は免疫感作ドナーのいずれかの免疫グロブリン産生細胞由来の多様な重鎖のライブラリーは、例えば、ポックスウイルスベクターのような真核ウイルスベクターにおいて構築され、及び免疫グロブリン軽鎖の同様の多様なライブラリーが、組換え遺伝子の発現は、ウイルスプロモーターにより調節されるプラスミドベクター、又は例えばソラレン及びUV処理により失活された真核ウイルスベクターのいずれかから構築される。免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を発現することが可能な宿主細胞は、重鎖ライブラリーをコードしているウイルスベクターに感染多重度約1(MOI=1)で感染されている。「感染多重度」は、各宿主細胞の感染に利用可能なウイルス粒子の平均数を意味する。例えば、MOIが1、すなわち、平均で各細胞が1個のウイルス粒子により感染されることが望ましいならば、感染に使用されるべき感染性ウイルス粒子の数は、感染される細胞数と等しいように調節される。
【0124】
この戦略に従い、軽鎖ポリペプチドをコードしている平均で10又はそれ以上の個別のポリヌクレオチドを各細胞に取込ませかつ発現させることができる条件下で、宿主細胞は、軽鎖プラスミドライブラリーによりトランスフェクションされるか、もしくは失活された軽鎖ウイルスライブラリーにより感染されるかのいずれかである。これらの条件下で、単独の宿主細胞は、各宿主細胞における特徴的H2L2構造で同じ重鎖に結合された異なる軽鎖を伴う、複数の免疫グロブリン分子、又はそれらの断片を発現することができる。
【0125】
当業者には、細胞に取込まれるプラスミド数の制御は、トランスフェクションの成功は均一でなくかつ可変量のDNAの取込みにつながる細胞のコンピテントな状態の誘導に左右されるので、困難であることは理解されると思われる。従って、各感染された宿主細胞に導入される第二のライブラリーからのポリヌクレオチドの数の慎重な制御が望ましいこれらの態様において、失活されたウイルスベクターの使用が好ましく、その理由は、ウイルスの感染多重度を、より容易に制御することができるからである。
【0126】
単一の重鎖に結合された、単一の宿主細胞中の複数の軽鎖の発現は、特異的抗原免疫グロブリンの結合活性を低下する作用を有するが、比較的高親和性の結合部位の選択にとっては有益であろう。本明細書において使用される用語「親和性」は、個々のエピトープの免疫グロブリン分子のCDRへの結合強度の測定を意味する。例えば、Harlow、27-28ページを参照のこと。本明細書において使用される用語「結合活性」は、免疫グロブリン集団と抗原の間の複合体の全般的安定性、すなわち、免疫グロブリン混合物の抗原との機能的結合強度を意味する。例えば、Harlowら、29-34ページ参照のこと。結合活性は、特異的エピトープと集団中の個々の免疫グロブリン分子の親和性、及び更には免疫グロブリンと抗原の結合価(valency)の両方に関する。例えば、二価のモノクローナル抗体とポリマーのような高い反復エピトープ構造を伴う抗原の相互作用は、高結合活性の一つであると考えられる。当業者に理解されるように、宿主細胞がその表面に免疫グロブリン分子を発現し、各々が所定の重鎖を含むが、その表面の異なる免疫グロブリン分子が、異なる軽鎖を含むならば、所定の抗原に関するその宿主細胞の「結合活性」は低下されうる。しかし、これらが共通の重鎖を含むが、異なる軽鎖を介して、親和性のスペクトルを伴う特定の抗原と反応する点で関連している免疫グロブリン分子の群を回収する可能性は、増大される。従って、所定の宿主細胞においてある数の重鎖又はそれらの断片と結合させられるような異なる軽鎖、又はそれらの断片の数を調節することにより、本発明は、変動する親和性レベルを伴う、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を選択しかつ濃縮する方法を提供する。
【0127】
前述のような免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の選択法の第一段階の戦略を利用することにおいて、第一のライブラリーは、好ましくは真核ウイルスベクターにおいて構築され、かつこの宿主細胞は、第一のライブラリーによりMOI範囲約1〜約10で、好ましくは約1で感染されるが、第二のライブラリーは、各感染された宿主細胞により取込まれる該第二のライブラリーの最大20個のポリヌクレオチドを可能にする条件下で導入される。例えば、第二のライブラリーが失活されたウイルスベクターにおいて構築されるならば、宿主細胞は、第二のライブラリーにより、MOI範囲約1〜約20において感染されるが、使用されるウイルスベクター及び望ましい免疫グロブリン分子の性質によっては、この範囲よりもより高い又はより低いMOIも望ましいことがある。第二のライブラリーがプラスミドベクターにおいて構築される場合は、トランスフェクション条件は、0個のプラスミドから約20個のプラスミドが各宿主細胞に侵入することがどこでも可能になるように調節される。抗原に対するより低い又はより高い親和性反応の選択は、感染した各細胞への侵入が可能になる第二のライブラリーのポリヌクレオチドの平均数の増加又は減少により制御される。
【0128】
より好ましくは、第一のライブラリーがウイルスベクターにおいて構築される場合は、宿主細胞は、第一のライブラリーにより、MOI範囲約1〜9、約1〜8、約1〜7、約1〜6、約1〜5、約1〜4、又は約1〜2の範囲で感染される。別の表現をすると、宿主細胞は、第一のライブラリーにより、MOI約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1で感染される。最も好ましくは、宿主細胞は、第一のライブラリーにより、MOI約1で感染される。
【0129】
第二のライブラリーがプラスミドベクターにおいて構築される場合、プラスミドベクターは、より好ましくは、各感染した宿主細胞による第二のライブラリーの最大約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1個のポリヌクレオチド(複数)の取込みが可能になる条件下で、宿主細胞へ導入される。最も好ましくは、第二のライブラリーがプラスミドベクターにおいて構築される場合、このプラスミドベクターは、各感染した宿主細胞による第二のライブラリーの最大約10個のポリヌクレオチドの取込みが可能になる条件下で、宿主細胞へ導入される。
【0130】
同様に、第二のライブラリーが、失活されたウイルスベクターにおいて構築される場合、第二のライブラリーが宿主細胞へ、MOI範囲約1〜19、約2〜18、約3〜17、約4〜16、約5〜15、約6〜14、約7〜13、約8〜12、又は約9〜11で導入されることがより好ましい。別の表現をすると、宿主細胞は、第二のライブラリーにより、MOI約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1で感染される。最も好ましい局面において、宿主細胞は、MOI約10で第二のライブラリーにより感染される。当業者に理解されるように、失活されたウイルスの力価、従って「MOI」は、直接測定することはできないが、しかしこの力価は、引き続き失活される開始の感染性ウイルスストックの力価から推測することができる。
【0131】
最も好ましい局面において、第一のライブラリーは、ウイルスベクターにおいて構築され、かつ第二のライブラリーは、失活されたウイルスベクターにおいて構築され、宿主細胞は、該第一のライブラリーによりMOI約1で感染され、かつこの宿主細胞は、第二のライブラリーによりMOI約10で感染されている。
【0132】
本発明において、好ましいウイルスベクターは、ポックスウイルス、例えば、ワクシニアウイルスに由来している。第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリーが、ポックスウイルスベクターにおいて構築され、かつプラスミドベクター又は失活されたウイルスベクターにおいて構築された第二のライブラリーにおいてコードされた第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現が、ポックスウイルスプロモーターにより調節されるならば、高レベルの第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが、核組込みを必要とせずに、ポックスウイルス感染細胞の細胞質において発現される。
【0133】
先に説明したような免疫グロブリン選択の第二段階において、この第二のライブラリーは、好ましくは、感染性真核ウイルスベクターにおいて構築され、かつ宿主細胞は、第二のライブラリーによりMOI範囲が約1〜約10で感染される。より好ましくは、第二のライブラリーが、ウイルスベクターにおいて構築される場合、宿主細胞は、第二のライブラリーにより、MOI範囲約1〜9、約1〜8、約1〜7、約1〜6、約1〜5、約1〜4、又は約1〜2において感染される。別の言い方をすると、宿主細胞は、第二のライブラリーにより、MOI約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1で感染される。最も好ましくは、宿主細胞は、第二のライブラリーによりMOI約1で感染される。
【0134】
免疫グロブリン選択の第二段階において、第一のライブラリー由来のポリヌクレオチドは単離されている。ある態様において、単独の第一のライブラリーポリヌクレオチド、すなわちクローンが、第二のライブラリーからのポリヌクレオチドを単離するために使用される宿主細胞に導入される。この状況において、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞1個につき少なくとも約1個のポリヌクレオチドを可能にする条件下で、宿主細胞へ導入される。しかし、第一のライブラリーから導入される全てのポリヌクレオチドは同じ、すなわちクローン化されたポリヌクレオチドのコピーであるので、いずれか所定の宿主細胞へ導入されたポリヌクレオチドの数は、余り重要ではない。例えば、第一のライブラリーから単離されたクローン化されたポリヌクレオチドが失活されたウイルスベクターに含まれる場合、このベクターは、MOI約1で導入されるが、1より大きいMOIも許容されうる。同様に、第一のライブラリーから単離されたクローン化されたポリヌクレオチドが、プラスミドベクターへ導入される場合、いずれか所定の宿主細胞へ導入されるプラスミドの数は、余り重要ではなく、むしろ、少なくとも1個のポリヌクレオチドが、各宿主細胞へ導入されることを確実にするように、トランスフェクション条件が調節されなければならない。例えばいくつかの異なるポリヌクレオチドが第一のライブラリーから単離される場合には、別の態様を利用することができる。この態様において、第一のライブラリーから単離された2種以上の異なるポリヌクレオチドのプールは、ポリヌクレオチドの第二のライブラリーで感染された宿主細胞を恐らく有利に導入するであろう。この状況において、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドが、失活されたウイルスベクターに含まれるならば、約1よりも大きい、例えば約2、約3、約4、約5、又はそれ以上のMOIの失活されたウイルス粒子が好ましく、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドがプラスミドベクターに含まれるならば、少なくとも約2、3、4、5又はそれ以上のポリヌクレオチドを各細胞へ侵入させることが可能な条件が好ましい。
【0135】
ポックスウイルスベクター 前述のように、本発明における使用にとって好ましいウイルスベクターは、ポックスウイルスベクターである。「ポックスウイルス」は、ポックスウイルス科のメンバーを含み、これは亜科チョルドポックスウイルス(脊椎動物ポックスウイルス)及びエントモポックスウイルス(昆虫ポックスウイルス)を含む。例えば、B. Mossの「ウイルス学(Virology)」第2版、B.N. Fields、D.M. Knipeら編集、Raven Press社、2080(1990)参照。チョルドポックスウイルスは、特に、下記の属を含む:オルトポックスウイルス(例えば、ワクシニア、バリオラウイルス、アライグマポックスウイルス);アビポックスウイルス(例えば、鶏痘ウイルス);カプリポックスウイルス(例えば、羊痘)、レポリポックスウイルス(例えば、ウサギ(Shope)線維腫、及び粘液腫);及び、スイポックスウイルス(例えば、ブタ痘)。エントモポックスウイルスは、3つの属A、B及びCを含む。本発明において、オルトポックスウイルスが好ましい。ワクシニアウイルスは、プロトタイプのオルトポックスウイルスであり、かつ異種タンパク質発現のためのベクターとして開発されており、よく特徴付けられている。本発明において、ワクシニアウイルスベクター、特に三分子組換えを行うために開発されたものが、好ましい。しかし、他のオルトポックスウイルス、特にアライグマポックスウイルスが、ベクターとして開発されており、かつ一部の用途において、優れた品質を有している。
【0136】
ポックスウイルスは、それらの大きいサイズ及び複雑性により識別され、かつ同様に大きくかつ複雑なゲノムを含む。とりわけ、ポックスウイルス複製は、宿主細胞の細胞質内全体で生じる。ポックスウイルスゲノムの中心部分は類似しているが、そのウイルスゲノムの末端部分は、比較的大きい可変性により特徴付けられる。従って、ポックスウイルスゲノムの中心部分は、複製のような、全てのポックスウイルスに共通の本質的機能に寄与する遺伝子を保持すると思われる。対照的に、ポックスウイルスゲノムの末端部分は、異なるポックスウイルス間で変動し、恐らく組織培養物中でのウイルス複製にとって余り本質的ではなく、病原性及び宿主範囲のような特徴に寄与するように思われる。ポックスウイルスゲノムがDNA断片の再構成又は除去により、もしくは外因性DNA断片の導入により修飾される場合、外因性DNAの導入により再構成、除去又は破壊される天然のDNAの一部は、好ましくは、ウイルスの複製及び組織培養物中の感染性ビリオンの産生にとって必須ではないように思われる比較的遠位領域に存在することになる。
【0137】
天然のワクシニアウイルスゲノムは、約186,000塩基対(bp)の、架橋された二本鎖の直鎖状DNA分子であり、これは逆方向末端反復配列により特徴付けられている。ワクシニアウイルスのゲノムは、完全に配列決定されているが、ほとんどの遺伝子産物の機能は依然不明である。Goebel, S.J.ら、Virology、179:247-266,517-563(1990);Johnson, G.P.ら、Virology、196:381-401。様々な必須でない領域が、ワクシニアウイルスゲノムにおいて同定されている。例えば、Perkus, M.E.ら、Virology、152:285-97(1986);並びに、Kotwal, G.J.及びMoss B.、Virology、167:524-37参照。
【0138】
これらのポックスウイルスベクター、特にワクシニアウイルスベクターが免疫サブユニットポリペプチドの発現に使用されるような態様において、いずれか適当なポックスウイルスベクターを使用することができる。免疫グロブリンサブユニットポリペプチドのライブラリーが、ベクターの増殖及び複製に必須でないベクターの領域に保持され、その結果感染性ウイルスが産生されることが好ましい。ワクシニアウイルスゲノムの様々な非必須領域が特徴付けられているが、外来遺伝子の挿入のために最も広範に使用される座位は、ゲノムのHindIIIJ断片に位置したチミジンキナーゼ位である。ある好ましいワクシニアウイルスベクターにおいて、tk位は1個又は2個の独自の制限酵素部位を含むように操作されており、ライブラリー作成の三分子組換え法での使用に都合が良くなっている。下記及びZaudererのPCT公開国際公開公報第00/028016号も参照のこと。
【0139】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーは、ポックスウイルス感染細胞の細胞質において機能する転写調節領域との操作可能な結合下で、ポックスウイルスベクター、特にワクシニアウイルスベクターに挿入されている。
【0140】
ポックスウイルス転写調節領域は、プロモーター及び転写終結シグナルを含む。ポックスウイルスにおける遺伝子発現は、一時的に調節され、かつ初期、中期及び後期遺伝子のプロモーターは、変動する構造を有する。あるポックスウイルス遺伝子は、構成的に発現されており、かつこれらの「初期-後期」遺伝子のためのプロモーターは、ハイブリッド構造を生じる。合成的初期-後期プロモーターも、開発されている。Hammond J.M.ら、J. Virol. Methods、66:135-8(1997);Chakrabarti S.ら、Biotechniques、23:1094-7(1997)。本発明において、あらゆるポックスウイルスプロモーターを使用することができるが、初期、後期又は構成的プロモーターの使用が、選択された宿主細胞及び/又は選択計画を基に望ましい。典型的には、構成的プロモーターの使用が好ましい。
【0141】
初期プロモーターの例は、7.5-kDプロモーター(同じく後期プロモーター)、DNA polプロモーター、tkプロモーター、RNA polプロモーター、19-kDプロモーター、22-kDプロモーター、42-kDプロモーター、37-kDプロモーター、87-kDプロモーター、H3'プロモーター、H6プロモーター、D1プロモーター、D4プロモーター、D5プロモーター、D9プロモーター、D12プロモーター、I3プロモーター、M1プロモーター、及びN2プロモーターを含む。例えば、Moss, B.、「ポックスウイルス及びそれらの複製(Poxviridae and their Replication)」「ウイルス学」、第2版、B.N. Fields、D.M. Knipeら編集、Raven Press社、2088頁(1990)参照のこと。ワクシニアウイルス及び他のポックスウイルスにおいて転写された初期遺伝子は、転写終結シグナルTTTTTNTを認識し、ここでNは、いずれかのヌクレオチドであることができる。転写は通常、このシグナルのおよそ50bp上流で終結する。従って、異種遺伝子がポックスウイルス初期プロモーターから発現されるならば、これらの遺伝子のコード領域内のこのシグナルの出現を排除するように注意しなければならない。例えば、Earl, P.L.ら、J. Virol.、64:2448-51(1990)参照。
【0142】
後期プロモーターの例は、7.5-kDプロモーター、MILプロモーター、37-kDプロモーター、11-kDプロモーター、11Lプロモーター、12Lプロモーター、13Lプロモーター、15Lプロモーター、17Lプロモーター、28-kDプロモーター、H1Lプロモーター、H3Lプロモーター、H5Lプロモーター、H6Lプロモーター、H8Lプロモーター、D11Lプロモーター、D12Lプロモーター、D13Lプロモーター、A1Lプロモーター、A2Lプロモーター、A3Lプロモーター、及びP4bプロモーターを含む。例えば、Moss, B.、「ポックスウイルス及びそれらの複製」「ウイルス学」、第2版、B.N. Fields、D.M. Knipeら編集、Raven Press社、2090頁(1990)参照のこと。後期プロモーターは明らかに、初期プロモーターにより認識された転写終結シグナルを認識しない。
【0143】
本発明における使用にとって好ましい構成的プロモーターは、Hammond及びChakrabartiにより説明された合成的初期-後期プロモーター、MH-5初期-後期プロモーター、及び7.5-kD又は「p7.5」プロモーターである。これらのプロモーター利用の例は本明細書に明らかにされている。
【0144】
より詳細に以下に論ずるように、宿主細胞死を基にした選択及びスクリーニングの方法は、細胞死につながる機構が、ウイルス感染により引き起される細胞変性効果(CPE)の前に生じることを必要としている。ウイルス感染細胞におけるCPEの始まりの速度論は、使用されるウイルス、感染多重度、及び宿主細胞の種類によって決まる。例えば、MOI約1でワクシニアウイルスにより感染した多くの組織培養株において、CPEは、感染の48〜72時間後までは重要ではない。これは、2〜3日の時間枠での免疫グロブリン分子の高レベルの発現、及びベクターにより引き起されるCPEとは無関係の抗原-ベースの選択を可能にする。しかし、この時間枠は、ある選択法にとっては、特に比較的高いMOIが使用される場合、及び更にはCPE開始前の時間が望ましい細胞株において短縮される場合には、十分ではない。従って、必要な場合に、選択の時間枠を延長することができるように、弱毒化された細胞変性効果を伴うウイルスベクター、特にワクシニアウイルスのようなポックスウイルスベクターの必要性がある。
【0145】
例えば、ある弱毒化は、遺伝的変異により実現される。これらは、完全に欠失変異体であり、すなわち感染性ウイルス粒子の作成はヘルパーウイルスを必要とするか、もしくは、これらは条件付け変異体、例えば、温度感受性変異体であることができる。条件付け変異体が、宿主遺伝子発現が必要な期間にわたり、ウイルス感染した宿主細胞を、非許容(permissive)環境、例えば、非許容温度において維持することができ、その後許容環境、例えば許容温度へシフトされ、ウイルス粒子の作成が可能になる点で、特に好ましい。あるいは完全に感染性のウイルスは、感染サイクルの所定の時点でウイルス複製を可逆的にブロックする化学的インヒビターにより「弱毒化」される。化学的インヒビターは、ヒドロキシ尿素及び5-フルオロデオキシウリジンを含むが、これらに限定されるものではない。ウイルス感染した宿主細胞は、宿主遺伝子発現が必要な期間化学的インヒビターにより維持され、その後化学的インヒビターが除去され、ウイルス粒子が作成される。
【0146】
多くの弱毒化されたポックスウイルス、特にワクシニアウイルスが開発されている。例えば、修飾されたワクシニアアンカラ(MVA)は、初代ニワトリ胚繊維芽細胞における570を超える継代の間に得られたワクシニアウイルスの高度に弱毒化された株である(Mayr, A.ら、Infection、3:6-14(1975))。回収されたウイルスは、そのウイルスの宿主範囲制限に大いに影響している野生型ワクシニアDNAのおよそ15%を欠損している。MVAは、ほとんどの哺乳類細胞株において、複製することができないか、又は極めて非能率に複製する。宿主範囲制限の独自の特徴は、非許容細胞におけるブロックが複製サイクルのかなり後期に発生することである。ウイルスの後期遺伝子の発現は、余り損なわれていないが、ビリオンの形態形成は妨害されている(Suter, G.及びMoss, B.、Proc Natl Acad Sci USA、89:10847-51(1992);Carroll,M.W.及びMoss, B.、Virology、238:198-211(1997))。たとえ非許容宿主細胞内であっても高レベルのウイルスのタンパク質合成は、MVAを特に安全かつ効率的な発現ベクターとする。しかしMVAは、ほとんどの哺乳類細胞において感染サイクルを完成することができないので、選択の複数サイクルについて感染性ウイルスを回収するためには、それ自身欠失しておりかつ引き続きのMVA許容宿主細胞における低MOIでの示差的拡張により感染性MVA組換え体から分離することができるようなヘルパーウイルスによる同時感染又は重感染により、MVA欠失を補完することが必要であると考えられる。
【0147】
ポックスウイルス感染は、宿主細胞のタンパク質及びRNA合成に劇的阻害作用を有することができる。これらの宿主遺伝子発現に対する作用は、いくつかの条件下で、宿主細胞に対し限定された生理的作用を有する特異的ポックスウイルス組換え体の選択を妨げると考えられる。必須の初期遺伝子を欠失しているワクシニアウイルス株の一部は、宿主細胞タンパク質合成に対して大きく低下された阻害作用を有することが示されている。限定された必須の初期遺伝子を欠いている弱毒化されたポックスウイルスも、説明されている。例えばFalknerらの米国特許第5,766,882号、及び第5,770,212号を参照のこと。欠損性となることができる必須の初期遺伝子の例は、ワクシニアウイルス17L、F18R、D13L、D6R、A8L、J1R、E7L、F11L、E4L、I1L、J3R、J4R、H7R及びA6R遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない。欠損性となる好ましい必須の初期遺伝子は、D4R遺伝子であり、これはウラシルDNAグリコシラーゼ酵素をコードしている。限定された必須の遺伝子を欠損しているワクシニアウイルスは、必須の遺伝子産物を提供する細胞株の補完において容易に繁殖される。
【0148】
本明細書において使用される「補完」という用語は、宿主細胞、トランスジェニック動物又はヘルパーウイルスのような、別の供給源によりトランスで(in trans)喪失された機能を回復することを意味する。この機能喪失は、その機能に寄与する遺伝子産物の欠損ウイルスによる喪失により引き起される。従って、欠損ポックスウイルスは、親ポックスウイルスの生存不能型であり、かつ補完の存在下で生存可能となることができる型である。宿主細胞、トランスジェニック動物又はヘルパー ウイルスは、喪失遺伝子産物をコードしている配列、又は「補完エレメント」を含む。この補完エレメントは、宿主細胞、トランスジェニック動物又はヘルパーウイルスにおいて発現可能でありかつ安定して組入れられなければならず、かつ好ましくは、欠損ポックスウイルスのゲノムによる組換えリスクがほとんど又は全くないように施される。
【0149】
細胞株を補完することで産生されるウイルスは、非補完細胞の感染が可能であり、更に初期遺伝子産物の高-レベル発現が可能である。しかし、必須の遺伝子産物の非存在下で、感染性ウイルス粒子の宿主シャットオフ(host shut-off)、DNA複製、パッケージング、及び産生は生じない。
【0150】
本明細書において説明された特に好ましい態様において、ワクシニアウイルスにおいて構築された複合ライブラリーにおいて発現された望ましい標的遺伝子産物の選択は、補完エレメントの発現の誘導を所望の標的遺伝子産物の発現と組合わせることにより実現される。この補完エレメントは望ましい遺伝子産物を発現しているそれらの宿主細胞において発現されるのみであるので、これらの宿主細胞のみが、容易に回収される感染性ウイルスを産生する。
【0151】
ワクシニアウイルスに関連している好ましい態様は、いずれかのポックスウイルスベクターの使用に関して、当業者には明らかな方法により修飾することができる。直接の選択法において、ポックスウイルス又はワクシニアウイルス以外のベクターが使用され得る。
【0152】
三分子組換え法 伝統的に、ワクシニアウイルスのようなポックスウイルスベクターは、構築及びスクリーニングライブラリーの高効率、高力価-作出法は、ワクシニアに関して存在しないので、複雑なライブラリーから関心のあるこれまで未知の遺伝子を同定するためには使用されていない。ワクシニアウイルスにおける異種タンパク質発現の標準法は、インビボにおける相同的組換え及びインビトロにおける直接ライゲーションに関連している。相同的組換えを使用すると、組換えウイルス作出の効率は、およそ0.1%又はそれ未満の範囲である。直接ライゲーションを使用する組換えウイルス産生の効率は、比較的高く、得られる力価は、比較的低い。従って、ワクシニアウイルスベクターの使用は、タンパク質発現及びワクチン開発を目的として先に単離されたDNAのクローニングに限定される。
【0153】
ZaudererのPCT公開国際公開公報第00/028016号に開示された三分子組換えは、ワクシニアウイルスのクローニングのための新規の高効率、高力価作出法である。三分子組換え法を使用し、本発明者らは、組換えウイルスの作成を達成し、これは直接ライゲーションにより得られるもの効率が少なくとも90%、及び力価は少なくとも2桁大きい。
【0154】
従って好ましい態様において、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現が可能なポリヌクレオチドのライブラリーは、ポックスウイルスベクターにおいて、好ましくはワクシニアウイルスベクターにおいて、三分子組換えにより構築される。
【0155】
「三分子組換え」又は「三分子組換え法」は、ウイルスゲノム、好ましくはポックスウイルスゲノムの作出法を意味し、更により好ましくはレシピエント細胞へのウイルスゲノム及び導入ベクター、又は挿入断片DNAを含む伝達DNAの2個の非相同断片の導入による、異種挿入断片DNAを含むワクシニアウイルスゲノムの作出法を意味し、これにより3種のDNA分子のインビボ組換えが可能になる。この組換えの結果、2個のゲノム断片及び挿入断片DNAの各々を含む生存可能なウイルスゲノム分子が作出される。従って本発明に使用される三分子組換え法は、下記の段階を含む:(a)単離されたウイルスゲノムの、好ましくはDNAウイルスゲノムの、より好ましくは直鎖状DNAウイルスゲノムの、及び更により好ましくはポックスウイルス又はワクシニアウイルスゲノムの切断による、第一のウイルス断片及び第二のウイルス断片の作成であり、ここで第一のウイルス断片は、第二のウイルス断片と非相同である段階;(b)5'側フランキング領域及び3'側フランキング領域にフランキングされた転写調節領域との操作可能な結合を介して、免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、例えば免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、又はいずれかの抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドを含む伝達性プラスミドの集団を提供する段階であり、ここでこの5'フランキング領域が(a)に説明された該ウイルスの断片と相同であり、かつ3'フランキング領域が(a)に説明された該第二のウイルスの断片と相同であり;ここで伝達性プラスミドは、第一及び第二のウイルスの断片による相同的組換えが可能であり、その結果、生存可能なウイルスゲノムが形成される段階;(c)(b)に説明された伝達性プラスミド並びに(a)に説明された第一及び第二のウイルスの断片を、宿主細胞へ、伝達性プラスミド及び2種のウイルスの断片がインビボにおいて相同的組換えを受ける、すなわち三分子組換えを受ける条件下で導入する段階であり、これにより、 免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む生存可能な修飾されたウイルスゲノムが作出される段階;並びに、(d)この技術により作出された修飾されたウイルスゲノムを回収する段階。好ましくは、回収された修飾されたウイルスゲノムは、感染性ウイルスの粒子内にパッケージングされる。
【0156】
「組換え効率」又は「組換えウイルス作出の効率」は、本発明のウイルスライブラリーを作成する間に作出された組換えウイルスの総ウイルスに対する比を意味する。実施例5に示されたように、この効率は、組換えウイルスの力価を、総ウイルスの力価で除算し、かつ100%に積算することにより算出することができる。例えば、この力価は、選択を伴う(例えば、組換えウイルスについて)又は選択を伴わない(例えば、組換えウイルス+野生型ウイルスについて)のいずれかの適当な細胞に対する粗ウイルスストックのプラークアッセイにより決定される。選択法は、特に異種ポリヌクレオチドがウイルスのチミジンキナーゼ(tk)位に挿入される場合に、当技術分野において周知であり、かつtk遺伝子の破壊によるブロモデオキシウリジン(BDUR)又は他のヌクレオチドアナログに対する耐性を含む。選択法の例は、本明細書に説明されている。
【0157】
「高効率の組換え」は、組換え効率が少なくとも1%、及びより好ましくは組換え効率が少なくとも約2%、2.5%、3%、3.5%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%を意味する。
【0158】
多くの選択システムを使用することができ、これは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell、11:223(1977))遺伝子、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska& Szybalski、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、48:2026(1962))遺伝子、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell、22:817(1980))遺伝子のような、各々、tk-、hgprt-又はaprt-細胞を使用することができる、チミジンキナーゼを含むが、これらに限定されるものではない。更に、代謝拮抗耐性を、下記の遺伝子の選択の基本として使用することができる:dhfr、これはメトトレキセート耐性を付与する(Wiglerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、77:3567(1980);O'Hareら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78:1527(1981));gpt、これはミコフェノール酸耐性を付与する(Mulligan及びBerg、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78:2072(1981));neo、これはアミノグリコシドG-418耐性を付与する(Colberre-Garapinら、J. Mol. Biol.、150:1(1981));及び、hygro、ヒグロマイシン耐性を付与する(Santerreら、Gene、30:147(1984))。
【0159】
第一及び第二のウイルス断片又はウイルスゲノムの「アーム」は、前述のように、一緒に、ウイルスの複製及び感染性ウイルスの粒子の作出に必要な全ての遺伝子を含むことが好ましい。ワクシニアウイルスベクターを使用するそれらの作出に関する適当なアーム及び方法の例は、本明細書に明らかにされている。更にワクシニア複製の必須領域に関する指針についてはFalknerらの米国特許第5,770,212号を参照のこと。
【0160】
しかし、ワクシニアウイルスゲノムのような裸のポックスウイルスゲノムDNAは、ウイルスがコードしたタンパク質を伴わない感染性子孫、生じるウイルスの粒子に結合されたタンパク質(複数)/機能(複数)を作出しない。必要なウイルスがコードした機能は、トランスフェクションされたワクシニアDNAを鋳型として認識するRNAポリメラーゼを含み、トランスフェクションされたDNAの転写及び最終的には複製を含む。Dornerらの米国特許第5,445,953号を参照のこと。
【0161】
従って、ワクシニアウイルスのようなポックスウイルスを使用する三分子組換えにより感染性子孫ウイルスを作出するために、レシピエント細胞は、パッケージング機能を含むことが好ましい。このパッケージング機能は、ヘルパーウイルス、すなわちトランスフェクションされた裸のゲノムDNAと共に、子孫ウイルスの複製及び集成に必要な適当なタンパク質及び因子を提供するウイルスにより提供され得る。
【0162】
このヘルパーウイルスは、同じ又は異なる属の密接に関連したウイルス、例えばワクシニアと同じポックスウイルス亜科のポックスウイルスである。このような場合、トランスフェクションされたDNAを鋳型として認識し、これによりトランスフェクションされたDNAの転写、及び最終的には複製を開始するRNAポリメラーゼを提供するヘルパーウイルスを選択することは利点である。密接に関連したウイルスがヘルパーウイルスとして使用される場合、感染性ウイルスの形成が損なわれるように弱毒化されることは利点である。例えば、温度感受性ヘルパーウイルスを、非許容温度で使用することができる。好ましくは、異種ヘルパーウイルスが使用される。例としては、鶏痘ウイルスのようなアビポックスウイルス、又はエクトロメリアウイルス(マウスポックス)ウイルスを含むが、これらに限定されるものではない。特に、アビポックスウイルスが好ましく、これらは必要なヘルパー機能は提供するが、哺乳類細胞において複製せず、又は感染性ビリオンを生じない(Scheiflingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))。異種ウイルスの使用は、密に関連したウイルスの相同配列がひとつの細胞に存在する場合に生じるようなヘルパーウイルスゲノムとトランスフェクションされたゲノムの間の組換え事象を最小化する。Fenner及びComben、Virology、5:530(1958);Fenner、Virology、8:499 (1959)参照。
【0163】
あるいは、レシピエント細胞において必要なヘルパー機能は、ヘルパーウイルス以外の遺伝的エレメントにより供給される。例えば、宿主細胞を形質転換し、構成的にヘルパー機能を作出するか、又は宿主細胞を、ヘルパー機能を発現しているプラスミドで一過性にトランスフェクションするか、ヘルパー機能を発現しているレトロウイルスで感染するか、もしくは獲得されたヘルパーウイルス機能を発現するのに適したいずれか他の発現ベクターと共に提供するかすることができる。Dornerら、米国特許第5,445,953号を参照のこと。
【0164】
三分子組換え法に従い、第一及び第二のウイルスのゲノム断片を、互いにライゲーション又は組換えることはできず、すなわち、これらは適合可能な付着末端又は相同領域を含まないか、あるいは付着末端は脱リン酸化酵素により処理されている。好ましい態様において、ウイルスゲノムは、第一の制限エンドヌクレアーゼのための第一の認識部位及び第二の制限エンドヌクレアーゼのための第二の認識部位を含み、かつ第一及び第二のウイルス断片は、ウイルスゲノムの適当な制限エンドヌクレアーゼによる消化により作成され、ウイルスの「アーム」を作出し、かつ第一及び第二のウイルス断片が標準法により単離される。理想的には、第一及び第二の制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、このウイルスのゲノムにおいて特有であり、あるいは2種の制限エンドヌクレアーゼによる切断は、全ての必須機能に関する遺伝子を含むウイルスの「アーム」を生じ、すなわち、第一及び第二の認識部位は、第一及び第二のウイルス断片の間の伸びる領域がウイルス感染性には必須でないようにウイルスのゲノム内において物理的に配列されている。
【0165】
三分子組換え法においてワクシニアウイルスベクターが使用されるような好ましい態様において、tk遺伝子内に2個の独自の制限部位を伴うウイルスゲノムを含むワクシニアウイルスベクターが使用される。ある好ましいワクシニアウイルスゲノムにおいて、第一の制限酵素はNotIであり、これはtk遺伝子内に認識部位GCGGCCGCを有し、かつ第二の制限酵素はApaIであり、これはtk遺伝子内に認識部位GGGCCCを有する。更により好ましいのは、v7.5/tkウイルスゲノム又はvEL/tkウイルスゲノムを含むワクシニアウイルスベクターである。
【0166】
この態様に従い、チミジンキナーゼ遺伝子を含むワクシニアウイルスゲノムの領域との相同的組換えが可能なフランキング領域を伴う伝達性プラスミドが使用される。HindIII-J断片を含むワクシニアウイルスゲノムの断片は、tk遺伝子を含むが、これは都合良く使用される。
【0167】
ウイルスベクターがポックスウイルスである場合、挿入断片ポリヌクレオチドは、好ましくはポックスウイルス発現調節配列に操作可能に結合され、より好ましくはp7.5又は合成初期/後期プロモーターのような強力な構成的ポックスウイルスプロモーターである。
【0168】
従って、本発明の伝達性プラスミドは、ワクシニアウイルスp7.5プロモーター、又は合成初期/後期プロモーターとの操作可能な結合を介して、免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、例えば重鎖、及び免疫グロブリン軽鎖、又は重鎖もしくは軽鎖の抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドを含む。
【0169】
ワクシニアウイルスp7.5プロモーターとの操作可能な結合を介して免疫グロブリン重鎖ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む本発明の好ましい伝達性プラスミドは、pVHEであり、これは下記配列を含み:
Figure 0004368196
これは本明細書において配列番号:14と称される。PCR-増幅された重鎖可変領域は、前記配列において太字で示されている独自のBssHII部位(配列番号:15のヌクレオチド96〜100)及びBstEII部位(配列番号:16のヌクレオチド106〜112)へインフレームで挿入することができる。
【0170】
更にpVHEは、前述のような第二のライブラリーのポリヌクレオチドの引き続きの選択のために、第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドを、プラスミドベクターへ伝達することが望ましいような態様において使用することができる。
【0171】
別のワクシニアウイルスp7.5プロモーターとの操作可能な結合を介して、免疫グロブリンκ軽鎖ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む本発明の好ましい伝達性プラスミドは、pVKEであり、これは下記配列を含み:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:17と称される。PCR-増幅されたκ軽鎖可変領域は、前記配列において太字で示されている独自のApaLI部位(配列番号:18のヌクレオチド95〜100)及びXhoI部位(配列番号:19のヌクレオチド105〜110)へインフレームで挿入することができる。
【0172】
更にpVKEは、前述のような第一のライブラリーのポリヌクレオチドの選択時に、プラスミドベクター内に第二のライブラリーのポリヌクレオチドを有することが望ましいような態様において使用することができる。
【0173】
別のワクシニアウイルスp7.5プロモーターとの操作可能な結合を介して、免疫グロブリンλ軽鎖ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む本発明の好ましい伝達性プラスミドは、pVLEであり、これは下記配列を含み:
Figure 0004368196
これは本明細書において配列番号:20と称される。PCR-増幅されたλ軽鎖可変領域は、前記配列において太字で示されている独自のApaLI部位(配列番号:21のヌクレオチド95〜100)及びHindIII部位(配列番号:22のヌクレオチド111〜116)へインフレームで挿入することができる。
【0174】
更に、pVLEは、前述のような第一のライブラリーのポリヌクレオチドの選択時に、プラスミドベクター内の第二のライブラリーのポリヌクレオチドを有することが望ましいような態様において使用することができる。
【0175】
「挿入断片DNA」は、組換えウイルスベクター内で発現される1種又は複数の異種DNAセグメントを意味する。本発明に従い、「挿入断片DNA」は、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドである。DNAセグメントは、天然、非天然、合成、又はそれらの組合せであることができる。本発明の挿入断片DNAの作成法は、本明細書に明らかにされている。
【0176】
「伝達性プラスミド」は、前述のような5'側フランキング領域及び3'側フランキング領域の間に位置した挿入断片DNAを含むプラスミドベクターを意味する。この5'側フランキング領域は、第一のウイルス断片と相同性を共有し、かつ3'側フランキング領域は、第二のウイルス断片と相同性を共有している。好ましくは、伝達性プラスミドは、挿入断片DNAの上流に、適当なプロモーター、例えばウイルスベクターがポックスウイルスである場合には、強力な構成的ワクシニアプロモーターを含む。用語「ベクター」は、異種ポリヌクレオチドセグメントを含むポリヌクレオチド構築物を意味し、これはそのポリヌクレオチドセグメントの適当な宿主細胞への伝達に作用することが可能である。好ましくはこのベクターに含まれたポリヌクレオチドは、適当な宿主におけるポリヌクレオチドの発現に作用することが可能な適当な調節配列に操作可能に結合される。このような調節配列は、転写に作用するためのプロモーター、このような転写を制御するための任意のオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合部位をコードしている配列、及び転写及び翻訳の終結を制御する配列を含む。本明細書において使用されるベクターは、プラスミド、ファージ粒子、ウイルス、mRNA、又は単純に可能性のあるゲノム挿入断片であることができる。一旦適当な宿主へ形質転換されたならば、このベクターは、宿主ゲノムとは独立して複製及び機能することができるか、もしくは場合によっては、それ自身のゲノムへ組込まれ得る。哺乳類細胞培養発現に関する典型的プラスミド発現ベクターは、例えば、pRK5(欧州特許第307,247号)、pSV16B(国際公開公報第91/08291号)及びpVL1392(Pharmingen社)を基にしている。
【0177】
しかし、本明細書において使用される「伝達性プラスミド」は、特定のプラスミド又はベクターに限定されるものではない。環状もしくは線状又は他の適当な形状のいずれかのDNAセグメントは、三分子組換え法における、第一及び第二のウイルスの「アーム」と一緒の、DNA挿入断片の宿主細胞への伝達のための運搬体として作用することができる。他の適当なベクターは、本明細書において説明されたもの又は当技術分野において公知の他のもののような、λファージ、mRNA、DNA断片等を含む。複数のプラスミドは、λについて本明細書において説明されたもののような、「初代ライブラリー」であることができる。
【0178】
三分子組換えの修飾 三分子組換えを使用し、約107pfuの桁の力価を伴うワクシニアウイルスにおいて、cDNAライブラリーを構築することができる。これらのcDNAライブラリー又は他のライブラリーの複雑性を制限するいくつかの要因がある。これらは以下を含む:プラスミドベクターにおいて構築され、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーのような初代cDNAライブラリー又は他のライブラリーのサイズ、並びにウイルス「アーム」、好ましくはワクシニアウイルス「アーム」又は他のポックスウイルス「アーム」の大量精製(数百μg)の煩雑さ。バクテリオファージλもしくはそれら由来のDNA又はファージミドにおいて構築された免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、初代cDNAライブラリー又は他のライブラリーによる、ワクシニア又は他のウイルスDNA組換えが可能な三分子組換えの修飾、又はこれは修飾されたウイルスベクターによる感染後にインビボにおいて作成されるべき個別のウイルスDNAアームを可能にする三分子組換えの修飾は、これらの方法を用いて構築される真核ウイルスcDNAライブラリー又は他のライブラリーの品質及び力価を大きく向上すると考えられる。
【0179】
バクテリオファージλライブラリーからワクシニアウイルスへの cDNA 挿入断片の伝達 λファージベクターは、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、cDNAライブラリー又は他のライブラリーの構築に関して、プラスミドベクターに勝るいくつかの利点を有している。プラスミドcDNA(又は他のDNA挿入断片)ライブラリー又は直鎖状DNAライブラリーは、細菌細胞へ、化学的/熱ショック形質転換によるか、又は電気穿孔により導入される。細菌細胞は、より小さいプラスミドにより優先的に形質転換され、ライブラリー中の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、比較的長いcDNA又は他の挿入断片DNAの提示を喪失する可能性をもたらす。加えて、形質転換は、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、cDNAライブラリー又は他のライブラリーを構築するために、高価な市販の調製されたコンピテント細菌の使用を必要とする、外来DNA又は他のDNAの細胞への導入に関してかなり非効率的なプロセスである。対照的に、λファージベクターは、いかなるサイズバイアスも伴わない12kb又はそれ以上のcDNA挿入断片に忍容性があり得る。λベクターは、高効率の市販のパッケージング抽出物を用いて、インビトロにおいて、ビリオンへパッケージングされ、その結果この組換えλゲノムを、感染により、細菌の細胞へ導入することができる。これは、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、大きいcDNA又は他の挿入断片DNAの、プラスミドライブラリーで通常得られるものよりも高い力価及びより良い提示を伴う初代ライブラリーを生じる。
【0180】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、cDNA挿入断片又は他の挿入断片DNAの、λベクターにおいて構築されたライブラリーからワクシニアウイルスのような真核ウイルスベクターへの伝達を可能にするために、このλベクターは、ワクシニアウイルスDNAとの相同的組換えを可能にするワクシニアウイルスDNA配列を含むように修飾されなければならない。下記実施例は、ワクシニアウイルス相同配列を使用するが、他のウイルスも同様に使用することができる。例えば、プラスミドp7.5/ATG0/tkに含まれたワクシニアウイルスHindIII J断片(ワクシニアtk遺伝子を含む)(下記実施例5に説明される)は、HindIII及びSnaBIを用いて切出し(ワクシニアDNA配列3kb)、pT7Blue3(Novagenカタログ番号70025-3)のHindIII/SnaBI部位へサブクローニングされ、pT7B3.Vtkを作出する。ワクシニアtk遺伝子は、このベクターから、SacI及びSnaBIで切出され、かつλZap発現(Stratagene社)のSacI/SmaI部位へ挿入され、λ.Vtkを作出する。λ.Vtkベクターは、ワクシニア7.5kプロモーターの下流へのcDNA挿入のための独自のNotI、BamHI、SmaI、及びSall部位を含むと考えられる。このcDNAライブラリーは、当技術分野において周知の方法を用い、λ.Vtkにおいて構築され得る。
【0181】
λ.Vtk、又は相同的組換えを促進するフランキングワクシニアDNA配列を伴うcDNA挿入断片又は他の挿入DNAを含むいずれか類似のバクテリオファージにおいて構築された、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのような、cDNAライブラリー又は他のライブラリー由来のDNAは、cDNA又は他の挿入DNA組換えワクシニアウイルスを作出するために使用することができる。ヘルパーファージによる同時感染によりプラスミドをλゲノムから切出す方法は、当技術分野において周知である(ExAssistファージ、Stratagene社カタログ番号211203)。λベースのライブラリーからの大量切出しは、同等のcDNAライブラリー又はプラスミドベクター中の他のライブラリーを作成する。例えばλ.Vtk cDNAライブラリーから切出されたプラスミドは、cDNA挿入断片又は他の挿入DNA、例えば免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドにフランキングしているワクシニアtk配列を含むと考えられる。次にこのプラスミドDNAは、三分子組換えによりワクシニア組換え体を構築するために使用することができる。別の本方法の態様は、λDNAを最初のλ.Vtkライブラリーから直接精製し、かつ三分子組換えのためにこの組換えウイルスの(λ)DNA又はそれらの断片を、2個の大きいワクシニアウイルスDNA断片によりトランスフェクションすることである。
【0182】
インビボにおけるワクシニアアームの作成 ワクシニアDNA又は他のウイルスDNA「アーム」もしくは断片の精製及びトランスフェクションは、三分子組換えによるポリヌクレオチドライブラリー構築の制限要因である。インビボにおけるウイルスアーム、特にワクシニアウイルスアームの必要な作成を可能にするためにこの方法を修飾することは、より効率的な真核ウイルスにおけるライブラリーの構築をもたらすと考えられる。
【0183】
宿主細胞は、ウイルスベクターゲノムに導入された独自の部位を認識する制限エンドヌクレアーゼを発現するように修飾することができる。例えば、ワクシニアウイルスがこれらの宿主細胞へ感染する場合、制限エンドヌクレアーゼは、ワクシニアDNAを消化し、三分子組換えにより修復のみ、すなわち再接合される「アーム」を作成する。制限エンドヌクレアーゼの例は、細菌酵素NotI及びApaI、酵母エンドヌクレアーゼVDE(R. Hirata、Y. Ohsumi、A. Nakano、H. Kawasaki、K. Suzuki、Y. Anraku、J. Biological Chemistry、265:6726-6733(1990))、クラミドモナス・ユーガメトス(Chlamydomonas eugametos)エンドヌクレアーゼI-CeuI及び他の当技術分野において周知のものを含む。例えば、tk遺伝子内に独自のNotI及びApaI部位を含むワクシニア株が、既に構築されており、かつtk遺伝子内に独自のVDE及び/又はI-CeuI部位を含む株は、当技術分野において公知の方法により容易に構築することができる。
【0184】
制限エンドヌクレアーゼの構成的発現は、その酵素による染色体DNAの断片化に起因しているので、細胞にとっては致死的であると考えられる。この厄介な問題を避けるために、ひとつの態様において、宿主細胞は、誘導可能なプロモーターの制御下で、制限エンドヌクレアーゼ(複数)の遺伝子(複数)を発現するように修飾される。
【0185】
誘導可能な発現に関する好ましい方法は、Tet-On遺伝子発現システム(Clontech社)を使用する。このシステムにおいて、エンドヌクレアーゼをコードしている遺伝子の発現は、インデューサー(テトラサイクリン)の非存在下では、サイレントである。これは、毒性遺伝子、すなわちエンドヌクレアーゼを発現するために誘導され得る安定してトランスフェクションされた細胞株の単離を可能にする(Gossen, M.ら、Science、268:1766-1769(1995))。テトラサイクリン誘導体デオキシサイクリンの添加は、エンドヌクレアーゼの発現を誘導する。好ましい態様において、BSC1宿主細胞は、NotI遺伝子の発現を制御するTet-Onベクターにより安定してトランスフェクションされると考えられる。これらの細胞の集密な単層は、ドキソサイクリンにより誘導され、その後v7.5/tk(tk遺伝子内の独自のNotI部位)で感染され、かつcDNA又は挿入DNA組換え伝達性プラスミド又は伝達DNA又はλファージ又はファージミドDNAによりトランスフェクションされると考えられる。例えば、宿主細胞においてコードされたNotIエンドヌクレアーゼによるtk遺伝子又は他の配列内での独自のNotI部位での曝露されたワクシニアDNAの消化は、伝達性プラスミド又はファージDNAによる三分子組換えを受けることによってのみ、完全長ウイルスのDNAを生じることができる2種の大きいワクシニアDNA断片を作出する。宿主細胞染色体DNAのNotIによる消化は、宿主細胞はウイルス複製及びビリオン集成時には増殖を必要としないので、修飾された感染性ウイルスの産生を妨害することは予想されない。
【0186】
インビボにおいてワクシニアアームのようなウイルスアームを作成するこの方法の別の態様において、修飾されたワクシニア株は、tk遺伝子又は他の必須でない遺伝子内に独自のエンドヌクレアーゼ部位を含み、更にはワクシニアゲノムの別の必須でない部位にT7バクテリオファージプロモーターの制御下でエンドヌクレアーゼをコードしている異種ポリヌクレオチドを含むように構築される。T7 RNAポリメラーゼを発現している細胞の感染は、エンドヌクレアーゼの発現を生じ、次にワクシニアDNAのこの酵素による消化を生じる。好ましい態様において、ワクシニアのv7.5/tk株は、T7プロモーターにより制御される発現により、NotIをコードしているcDNAを含むカセットのHindIII C又はF領域への挿入により修飾され(Coupar, E.H.B.ら、Gene、68:1-10(1988);Flexner, C.ら、Nature、330:259-262(1987))、v7.5/tk/T7NotIを作成する。細胞株は、説明されたように哺乳類プロモーターの制御下で、T7 RNAポリメラーゼをコードしているcDNAにより安定してトランスフェクションされる(0. Elroy-Stein、B. Moss.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:6743-6747(1990))。このパッケージング細胞株のv7.5/tk/T7NotIによる感染は、NotIのT7 RNAポリメラーゼ依存型発現を生じ、その後ワクシニアDNAのアームへの消化を生じる。感染性の完全長ウイルスDNAは、伝達性プラスミド又はファージDNAにより三分子組換えの後、消化されたワクシニアDNAアームから再構築及びパッケージングのみすることができる。この方法の更に別の態様において、T7 RNAポリメラーゼは、鶏痘ウイルスのような、T7 RNAポリメラーゼ組換えヘルパーウイルスによる同時感染により提供され得る(P. Britton、P. Green、S. Kottier、K.L. Mawditt、Z. Penzes、D. Cavanagh、M.A. Skinner、J. General Virology、77:963-967(1996))。
【0187】
インビボにおいて大きいウイルスDNA断片、好ましくはワクシニアDNA断片を作成するためにこれらの様々な戦略を使用する三分子組換え特有の特徴は、ワクシニアDNAの消化は、組換えに先行することができるが、必ずしも必要ではないことである。これは、単に組換えウイルスが消化による破壊から逃れることで事足りる。これはワクシニアDNA断片は、組換え前に作成される必要がある、インビトロにおいて消化されたワクシニアDNAのトランスフェクションを使用する三分子組換えとは対照的である。消化前の二分子組換えの機会は、消化後の三分子組換えにより得られるものよりも、より大きい頻度で組換えを生じることは可能である。
【0188】
ウイルスベクター、特にポックスウイルスを使用する、組換え免疫グロブリン分子の単離のための選択及びスクリーニング戦略 ある本発明の態様において、三分子組換え法は、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドを発現するポリヌクレオチドのライブラリーの作成において使用される。この態様において、完全長免疫グロブリンサブユニットポリペプチド、又はそれらの断片を含むライブラリーは、免疫グロブリン定常領域及びシグナルペプチドをコードしているカセットの、ワクシニアウイルスに相同な5'及び3'領域を含む伝達性プラスミドへの最初の挿入により調製される。再構成された免疫グロブリン可変領域は、免疫感作した動物由来のB細胞又は形質細胞からの、免疫感作されていない動物由来のプレ-B細胞からのPCRにより単離される。これらのPCR断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド及び定常領域の間、及びこれらとインフレームでクローニングされ、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドのコード領域を作成する。これらの伝達性プラスミドは、ポックスウイルス「アーム」を伴う宿主細胞へ導入され、かつ三分子組換え法を用いて、ライブラリーが作成される。
【0189】
本発明は、望ましい特異性を伴う免疫グロブリン分子を同定する、すなわち選択又はスクリーニングする様々な方法を提供し、ここで免疫グロブリン分子は真核細胞においてインビトロで作成される。これらは、抗原誘導型細胞死及び抗原誘導型シグナル伝達のような宿主細胞作用の選択、抗原特異的結合に関する宿主細胞プールのスクリーニング、並びに望ましい抗原特異性又は望ましい機能特性を伴う可溶性免疫グロブリン分子の存在に関する宿主細胞プールが増殖される培地のスクリーニングを含む。
【0190】
本明細書に詳細に開示されたように、抗原誘導型細胞死、抗原誘導型シグナル伝達、抗原特異的結合、又は他の抗原特異的機能のいずれかを基にした、真核細胞において発現された免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を同定する方法が、提供される。本発明の選択及びスクリーニング技術は、齧歯類における抗体の選択によりもたらされるバイアス又は細菌における合成及び集成の制限を排除する。
【0191】
本明細書に説明された多くの同定法は、宿主細胞遺伝子の発現又は宿主細胞転写調節領域によって左右され、これは、直接的又は間接的に細胞死を誘導するか、もしくは宿主細胞表面上に発現された免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片へ結合している抗原に反応して検出可能なシグナルを発生する。本発明の最も好ましい態様は、宿主細胞が、真核ウイルスベクター、好ましくはポックスウイルスベクター、及び更により好ましくはワクシニアウイルスベクターにより感染されることを必要とすることに注意することは重要である。一部の細胞株において、更にウイルスの遺伝子発現の非存在下においても、一部の宿主細胞タンパク質合成が、ポックスウイルス感染時に迅速にシャトダウンされることは、当業者には良く理解されることである。これは、抗原誘導型細胞死又は細胞シグナル伝達を誘導するために、宿主細胞遺伝子又は宿主細胞転写調節領域のアップレギュレーションが必要ならば、問題となる。しかしこの問題点は、ある細胞株において、宿主タンパク質合成の阻害は、ウイルスDNA複製以降までは不完全であり続けるので、解決困難ではない。Moss, B.、「ポックスウイルス及びそれらの複製」「ウイルス学」、第2版、B.N. Fields、D.M. Knipeら編集、Raven Press社、2096頁(1990)参照のこと。しかし、真核ウイルスベクター、好ましくはポックスウイルスベクター、及び更により好ましくはワクシニアウイルスベクターによる感染の際に、表面-発現された免疫グロブリン分子の架橋時にアップレギュレーションされる遺伝子産物を発現する能力に関して、様々な宿主細胞を迅速にスクリーニングすること;並びに、様々な変異体及び弱毒化されたウイルスによるウイルス感染時の細胞遺伝子の示差的発現について望ましい宿主細胞をスクリーニングすることは必要である。
【0192】
従って、順序付けられたcDNAライブラリーのマイクロアレイにおける特定の宿主細胞の発現プロファイリングを介して、ウイルスベクターによる感染時に、宿主細胞遺伝子の発現及び/又は抗原誘導型細胞死もしくは細胞シグナル伝達に作用する宿主細胞転写調節領域の操作性について様々な宿主細胞をスクリーニングする方法が提供される。マイクロアレイにおける発現プロファイリングは、Duggan, D.J.らの論文(Nature Genet.、21(1 Suppl):10-14(1999))に記されており、これはその全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0193】
この方法に従い、発現プロファイリングを使用し、未感染宿主細胞と真核ウイルス発現ベクター、好ましくはポックスウイルスベクター、更により好ましくはワクシニアウイルスベクターにより感染した宿主細胞における宿主細胞遺伝子発現パターンを比較するが、ここで具体的真核ウイルスベクターは、本発明のポリヌクレオチドの該第一及び該第二のライブラリーを構築するために使用されるベクターである。この方法において、それらの表面上に免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を発現することが可能な適当な宿主細胞、及び更に所定のウイルスによる感染時に必要な誘導性タンパク質の発現を受け続ける宿主細胞を、同定することができる。
【0194】
同じく発現プロファイリングを使用し、所定の宿主細胞における宿主細胞遺伝子発現パターンが比較され、例えば、宿主細胞が完全な感染性ウイルスベクターにより感染される場合、及び宿主細胞が対応する弱毒化されたウイルスベクターにより感染される場合の発現パターンが比較される。マイクロアレイにおける発現プロファイリングは、様々な弱毒化されたウイルスにより感染した宿主細胞における大規模スクリーニングを可能にし、ここで弱毒化は、様々な異なる方法で達成される。例えばある弱毒化は、遺伝的変異により達成される。多くのワクシニアウイルス変異体が特徴付けられている。これらは、完全な欠損変異体であり、すなわち感染性ウイルス粒子の産生にはヘルパーウイルスを必要とするか、もしくはこれらは条件変異体、例えば温度感受性変異体である。ウイルス感染した宿主細胞は、宿主遺伝子発現が必要な期間にわたり、非許容環境、例えば非許容温度において維持され、その後許容環境、例えば、許容温度にシフトされ、ウイルス粒子の産生を可能にし得る点で、条件変異体が特に好ましい。あるいは、完全な感染性ウイルスは、感染サイクルの所定の時点で、ウイルス複製を可逆的にブロックする化学的インヒビターにより「弱毒化」される。化学的インヒビターは、ヒドロキシ尿素及び5-フルオロデオキシウリジンを含むが、これらに限定されるものではない。ウイルス感染した宿主細胞は、宿主遺伝子発現が必要となる期間、化学的インヒビター中で維持され、その後化学的インヒビターが除去され、ウイルス粒子が産生される。
【0195】
この方法を用い、マイクロアレイにおける発現プロファイリングを使用し、本明細書に説明された選択法のいずれかにおいて適当な宿主細胞、適当な転写調節領域、及び/又は適当な弱毒化されたウイルスを同定することができる。
【0196】
ある態様において、直接抗原誘導型アポトーシスを基に、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドを選択する選択法が提供される。この方法に従い、初期B細胞性リンパ腫である、感染及び/又は転写のための宿主細胞が選択される。適当な初期B細胞性リンパ腫細胞株は、CH33細胞、CH31細胞(Pennell, CA.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82:3799-3803(1985))、又はWEHI-231細胞(Boyd, A.W.及びSchrader, J.W.、J. Immunol.、126:2466-2469(1981))を含むが、これらに限定されるものではない。初期B細胞性リンパ腫細胞株は、自然発生的増殖阻害の誘導及びアポトーシス性細胞死により、抗原特異的免疫グロブリンの架橋に反応する(Pennell, C.A.及びScott, D.W.、Eur. J. Immunol.、16:1577-1581(1986);Tisch, R.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:69114-6918(1988);Ales-Martinez, J.E.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:69119-6923(1988);Warner, G.L.及びScott, D.W.、Cell. Immunol.、115:195-203(1988))。前述の第一及び第二のポリヌクレオチドライブラリーによる感染及び/又はトランスフェクション後、抗体分子の合成及び集成を、約5時間〜約48時間、好ましくは約6時間、約10時間、約12時間、約16時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間、約40時間、又は約48時間、更により好ましくは約12時間又は約24時間の時間範囲で進行することができ;この時点で、宿主細胞は、特異的免疫グロブリン受容体(すなわち、膜結合した免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片)と架橋し、かつ増殖阻害及びアポトーシス性細胞死の誘導により抗原特異的免疫グロブリンの架橋に直接反応するこれらの免疫グロブリンを発現している宿主細胞においてアポトーシスを誘導するために、特異的抗原と接触される。そこに含まれる免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む、アポトーシスを受けている宿主細胞又はそれらの成分は回収され、これにより、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として関心のある抗原に特異的に結合する、第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリーのポリヌクレオチドが濃縮される。
【0197】
第一のライブラリーのポリヌクレオチドを更に選択及び濃縮する段階、並びにこれらのポリヌクレオチドを単離する段階時に、同様のプロセスが実施され、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として、所望の特異的抗原に結合する第二のライブラリーのポリヌクレオチドが回収される。
【0198】
この方法の実施例は、図1に示している。ナイーブドナー又は免疫感作ドナーのいずれかの抗体産生細胞由来の多様な重鎖をコードしているポリヌクレオチドの「第一のライブラリー」は、ポックスウイルスベクター、好ましくはワクシニアウイルスベクターにおいて構築され、並びに免疫グロブリン軽鎖をコードしているポリヌクレオチドの同様に多様な「第二のライブラリー」は、このポリヌクレオチドの発現が、ワクシニアプロモーター、好ましくは合成初期/後期プロモーター、例えばp11プロモーター又はp7.5プロモーターにより調節されるようなプラスミドベクターにおいて構築される。好ましくはこの態様に関して、ポックスウイルス構築物によりコードされた免疫グロブリン重鎖定常領域は、表面膜上に免疫グロブリン受容体の発現を生じる膜貫通領域を保持するようにデザインされる。真核細胞、好ましくは初期B細胞性リンパ腫細胞は、ポックスウイルス重鎖ライブラリーにより感染多重度約1(MOI=1)で感染される。2時間後、感染した細胞は、軽鎖プラスミドライブラリーにより、各細胞において平均10種又はそれ以上の個別の軽鎖組換えプラスミドが生じかつ発現されることを可能にする条件下でトランスフェクションされる。このプラスミドにおける組換え遺伝子の発現は、ワクシニアウイルスプロモーターにより調節されるので、高レベルの組換え遺伝子産物は、核組込みを必要とせずに、ワクシニアウイルス感染細胞の細胞質において発現される。加えて、ワクシニアウイルス感染細胞の細胞質における環状DNAの増幅のための配列とは無関係の機構は、更により高濃度のトランスフェクションされた軽鎖組換えプラスミドさえ生じる(Merchlinsky, M.及びMoss, B.、Cancer Cells、6:87-93 (1988))。これらふたつの要因は、過剰な軽鎖合成を生じる高レベルの発現に寄与している。
【0199】
別の好ましい態様では、ポックスウイルスベクター、好ましくはワクシニアウイルスベクターにおいて構築される、ナイーブドナー又は免疫感作ドナーのいずれかの抗体産生細胞由来の多様な重鎖をコードしているポリヌクレオチドの「第一のライブラリー」をコードしているポリヌクレオチドの発現を調節するために、T7 RNAポリメラーゼが発現された細胞において活性があるT7ファージプロモーターを利用し、並びに免疫グロブリン軽鎖をコードしているポリヌクレオチド同様に多様な「第二のライブラリー」は、プラスミドベクターにおいて構築される(Eckert D.及びMerchlinsky M.、J. Gen. Virol.、80(Pt6):1463-9(1999);Elroy-Stein 0.、Fuerst T.R.及びMoss B.、Proc Natl Acad Sci USA、86(16):6126-30(1989);Fuerst T.R.、Earl P.L.及びMoss B.、Mol Cell Biol.、7(7):2538-44(1987);Elroy-Stein 0.及びMoss B.、Proc Natl Acad Sci USA、87(17):6743-7(1990);Cottet S.及びCorthesy B.、Eur. J. Biochem.、246(1):23-31)。
【0200】
当業者には容易に理解されるように、使用されるウイルスベクター、具体的宿主細胞、及び感染多重度に応じて、ポックスウイルス由来の発現ベクターは、約1〜10日、より一般的には約2〜8日、2〜6日、又は2〜4日の時間枠においてそれ自身細胞変性性であるので、速度論の考察は、本実験のデザインにおいて非常に重要である。好ましい態様において、表面免疫グロブリン架橋に対するアポトーシス反応が、その細胞におけるポックスウイルス感染の自然の細胞変性効果(CPE)と比べ迅速であるB細胞性リンパ腫が選択される。従って、CPEの誘導に先立つように、宿主細胞表面上の免疫グロブリン分子の抗原誘導型架橋に反応するアポトーシスが、宿主細胞の抗原との接触後約1時間〜約4日の期間内に生じることが好ましい。より好ましくは、アポトーシスは、宿主細胞の抗原との接触後、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約28時間、約32時間、約36時間、約40時間、約44時間、又は約48時間以内に生じる。更により好ましくは、アポトーシスは、宿主細胞の抗原との接触の約12時間以内に生じる。あるいは、細胞変性効果の誘導の非常に遅い速度論を持つ弱毒化されたポックスウイルスベクターが利用される。弱毒化されたポックスウイルスベクターは、本明細書において明らかにされている。
【0201】
本方法に従い、抗原特異的免疫グロブリンをその表面に発現している宿主細胞が、アポトーシスを受ける際に選択される。例えば、宿主細胞が固形基質に付着されている場合、アポトーシスを受けているこれらの細胞は、基質から放出され、かつ宿主細胞が培養されている液体培地の収集により回収される。あるいは、宿主細胞は、固形基質に付着され、かつこれらのアポトーシスを受けている細胞は、溶解事象(lytic event)を受け、これによりそれらの細胞質内容物を宿主細胞が培養されている液体培地に放出する。これらの細胞から放出されたウイルス粒子は、その後液体培地において収集される。
【0202】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、溶解、接着不能、生存力喪失、膜完全性喪失、構造安定性喪失、細胞骨格要素の破壊、膜電位維持の不能、細胞周期停止、エネルギー産生不能などを含む、いずれかの機序により「非接着性」又は「生存不可能」となる。従って、標的ポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、吸引、洗浄、濾過、遠心分離、細胞選別、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などの物理的手段により、回収、すなわち、残余の細胞から分離することができる。
【0203】
例えば、免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、溶解し、これにより組換えウイルス粒子、好ましくはポックスウイルス粒子、更により好ましくはワクシニアウイルス粒子を、培養培地へと放出することができるか、もしくは非接着性となり、その結果固形支持体から取除くことができる。従って好ましい態様において、放出された組換えウイルス及び/又は非接着性細胞は、吸引又は洗浄により、接着細胞から分離される。
【0204】
宿主細胞が初期B細胞性リンパ腫細胞株である場合、これらの細胞は、基質に結合されているB細胞特異的抗体との相互作用を介して、固形基質に接着され得る。適当なB細胞特異的抗体は、抗CD19抗体及び抗CD20抗体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0205】
別の好ましい態様において、抗原誘導型細胞死は、その発現が間接的に細胞死を生じる外来ポリヌクレオチドが表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域に操作可能に結合されているような構築物によりトランスフェクションされた宿主細胞を使用することにより、直接的又は間接的に影響を受ける。
【0206】
「表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域」とは、表面に発現された免疫グロブリン分子の架橋時に宿主細胞においてアップレギュレーションされるような遺伝子を通常調節する領域、例えば宿主細胞プロモーターを意味する。このような転写調節領域の好ましい例は、BAXプロモーターであり、これは初期B細胞性リンパ腫細胞において、表面免疫グロブリン分子の架橋時にアップレギュレーションされる。
【0207】
ある態様において、図2A及び図2Bに示されたように、細胞傷害性T細胞(CTL)エピトープをコードしている外来ポリヌクレオチドの発現時に細胞死を誘導する方法が提供される。CTLエピトープをコードしている外来ポリヌクレオチドは、表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域と操作可能に結合するように配置される。宿主細胞の表面の免疫グロブリン分子の抗原誘導型架橋時に、CTLエピトープは、指定されたMHC分子に関連し宿主細胞表面に発現され、更に宿主細胞表面にも発現される。これらの細胞は、指定されたMHC分子に関連しCTLエピトープを認識するエピトープ特異的CTLと接触され、かつCTLエピトープを発現している細胞は、迅速に溶解事象を受ける。特異的CTLエピトープを発現している宿主細胞の選択及び回収の方法は、更に、ZaudererのPCT公開国際公開公報第00/028016号に開示されている。
【0208】
宿主細胞の選択は、細胞死に屈服する及び/又は溶解事象を受けるこれらの細胞又はそれらの内容物の回収により実現される。例えば、固相支持体へ付着された増殖する宿主細胞が選択される場合、これらの宿主細胞で細胞死に屈服する及び/又は溶解事象を受けたものは、支持体から放出され、かつ細胞上清において回収することができる。あるいは、細胞死に屈服する及び/又は溶解事象を受けた宿主細胞から放出されたウイルス粒子は、細胞上清から回収することができる。
【0209】
この態様に従い、宿主細胞の表面に発現されたMHC分子は、クラスI MHC分子又はクラスII MHC分子のいずれかである。特に好ましい態様において、宿主細胞上に発現されたMHC分子は、H-2Kd分子であり、及び抗原誘導型架橋時に発現されるCTLエピトープは、ペプチドGYKAGMIHIであり、本明細書において配列番号:23と称される。
【0210】
この方法の利用において、その表面に免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を発現することが可能であるいずれかの宿主細胞を使用することができる。適当な宿主細胞は、免疫グロブリン-陰性形質細胞腫細胞株である。このような細胞株の例は、NS1細胞株、Sp2/0細胞株、及びP3細胞株を含むが、これらに限定されるものではない。他の適当な細胞株は、当業者に明らかであると思われる。
【0211】
別の好ましい態様において、同じく図2A及び図2Bにおいて図示されたように、「自殺」遺伝子を含む異種ポリヌクレオチドが表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域と操作可能に結合されている構築物でトランスフェクションされた宿主細胞を使用することにより、細胞死が間接的に誘導される方法が提供される。「自殺遺伝子」は、発現された場合に細胞死を引き起す核酸分子を意味する。自殺遺伝子として有用なポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の多くの細胞死-誘導配列を含む。好ましい自殺遺伝子は、シュードモナス外毒素A鎖、ジフテリアA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、及びα-サルシンのような毒物をコードしているものである。好ましい自殺遺伝子は、ジフテリアA毒素サブユニットをコードしている。宿主細胞の表面の免疫グロブリン分子の抗原が誘導した架橋時に、アポトーシス誘導遺伝子のプロモーターが誘導され、これにより自殺遺伝子の発現が可能になり、かつこれにより細胞死が促進される。
【0212】
この方法を利用し、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の発現が可能であり、及び転写調節領域が表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される発現プロファイリングにより同定されるようなあらゆる宿主細胞を使用することができる。適当な宿主細胞は、初期B細胞性リンパ腫細胞株及び免疫グロブリン-陰性形質細胞腫細胞株を含む。このような細胞株の例は、CH33細胞株、CH31細胞株、WEHI-231細胞株、NS1細胞株、Sp2/0細胞株、及びP3細胞株を含むが、これらに限定されるものではない。他の適当な細胞株は、当業者には明らかであると思われる。
【0213】
宿主細胞がIg-陰性形質細胞腫細胞株である場合、これらの細胞は、固形基質へ、基質に結合されている形質細胞腫-特異的抗体との相互作用を介して付着することができる。適当な形質細胞腫-特異的抗体は、抗CD38抗体(Yi, Q.ら、Blood、90:1960-1967(1997))、抗CD31抗体(Medina, F.ら、Cytometry、39:231-234(2000))、抗CD20抗体(Haghighi, B.ら、Am. J. Hematol.、59:302-308(1998))、及び抗CD10抗体(Dunphy, C.H.、Acta. Cytol.、40:358-362(1996))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0214】
本明細書に記されたような直接及び間接の抗原誘導型細胞死の方法も組合せることができる。例えば、宿主細胞が初期B細胞性リンパ腫であり並びに抗原架橋が直接アポトーシスを誘導するようなこれらの態様において、抗原誘導型細胞死は、初期B細胞性リンパ腫宿主細胞の、外来細胞傷害性T細胞エピトープをコードしているポリヌクレオチドが表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域に操作可能に結合されている構築物によるトランスフェクションにより加速され得る。説明したような抗原架橋した細胞の特異的細胞傷害性T細胞との接触時に、細胞死が加速される。同様に、宿主細胞が初期B細胞性リンパ腫であり並びに抗原架橋が先に説明したように直接アポトーシスに影響を及ぼすような態様において、抗原誘導型細胞死は、初期B細胞性リンパ腫宿主細胞の、自殺遺伝子が表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域と操作可能に結合されている構築物によるトランスフェクションにより加速され得る。
【0215】
免疫グロブリン重鎖は、特異的抗原が、受容体が特異的抗原により架橋されている細胞において容易に検出可能なシグナルを誘導するように修飾することができる。好ましい態様は、抗原特異的受容体の発現の結果としての細胞殺傷について選択するための、アポトーシス誘導システムの使用である。アポトーシス誘導システムの例には、ヒトFAS(CD95、APO-1)受容体が関与しており、これは、タンパク質分解性カスパーゼのカスケードを活性化する細胞死-誘導シグナル伝達複合体のリクルート及び集成を介して、アポトーシスを調節することにおけるその役割について認められている腫瘍壊死因子-神経成長因子受容体スーパーファミリーの一員である。FAS-ベースの誘導可能な細胞死システムを説明するいくつかの報告があり、アポトーシスは、様々な細胞モジュレーターを介してのアポトーシスの誘導を可能にするために、様々な受容体に結合されたFASの細胞質「デスドメイン」を含むキメラタンパク質により誘導される。Ishiwatari-Hayasakaらは、マウスのCD44細胞外ドメインをヒトFASと共に使用し、多価抗CD44抗体との架橋時にアポトーシスを誘導することに成功している(Ishiwatari-Hayasaka H.ら、J. Immunol.、163:1258-64(1999))。加えてTakahashiらは、キメラヒトG-CSFR/FAS(細胞外/細胞質)タンパク質が、抗G-CSFR抗体との架橋時にアポトーシスを誘導することが可能であることを明らかにしている(Takahashi T.ら、J. Biol. Chem.、271:17555-60(1996))。これらの執筆者らは、このキメラタンパク質が、二量体としては、アポトーシス誘導が不可能であることも明らかにしている。これらの複合体は、少なくとも三量体型でなければならない。
【0216】
好ましい態様において、FASの膜貫通ドメイン及び細胞質デスドメインが、ヒトIgM重鎖のCH1ドメインのカルボキシル末端に融合されているキメラ遺伝子が構築される(CH1-Fas、図13(a))。多様なVH遺伝子が、本明細書に説明されたようなこの構築物に挿入され、VH-CH1-Fas組換えワクシニアウイルスのライブラリーを作成している。VH-CH1-Fasを伴う膜受容体は、VH-CH1-Fas構築物で感染され並びに多様な免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAによりトランスフェクションされた又はソラレン処理された多様な免疫グロブリン軽鎖をコードしている組換えワクシニアウイルスで感染された宿主細胞において集成されている。所望の特異性を持つ重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の組合せを発現しているこれらの細胞は、関心のある特異的に固定された抗原の存在下で架橋されたそれらの膜受容体のいくつかを有すると考えられる。VHCH1/FASオリゴマーの操作可能な複合体形成の結果、アポトーシスが誘導されるであろう。三量体形成は、多価抗原との架橋を介して、又は組織培養プレートもしくはビーズへの1種より多い抗原の固定を介して、引き起すことができる。
【0217】
別の態様において、VHライブラリーは、FASの膜貫通ドメイン及び細胞質デスドメインを含むポリペプチドが、IgM重鎖CH4ドメインのカルボキシル末端に融合されている融合タンパク質において発現される(図13(b))。更に別の態様においては、FASの細胞質デスドメインは、CH4ドメインの後のIgM重鎖膜貫通ドメインのカルボキシル末端に融合されている(図13(c))。
【0218】
後のふたつの態様(図13(b及びc))は、アポトーシスシグナルの誘導に必要な三量体複合体の形成を促進し、これにより選択された抗原特異的受容体の数を増大するような既に二量体であるFasデスドメインの合成を生じる。しかし単量体構築物(図13(a))の使用は、より少ないがより高親和性の抗原受容体の選択をもたらし、更に抗原非特異的細胞死のバックグラウンドを低下する。二量体Fasドメインを伴うこれら2種の受容体は、この融合タンパク質においてコードされた膜貫通領域がFas由来か又はIgM由来であるかという点が異なる。IgM由来の膜貫通領域は、Bリンパ球系細胞の膜受容体発現により効率的に機能することができる。しかしこの態様の利点は、B細胞に限定されるものではない。特に、単量体Fas構築物は、上皮細胞株、Hela細胞及びBSC-1細胞を含む、ワクシニアウイルスの高力価を生じることができる広範な細胞型において膜受容体として合成されかつ発現される。
【0219】
別の態様において、抗原誘導型細胞シグナル伝達を基にした、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドの回収をスクリーニングする方法が提供される。この方法に従い、宿主細胞は、表面免疫グロブリン架橋の結果としてアップレギュレーションされる転写調節領域に操作可能に結合された、例えばルシフェラーゼのような、容易に検出されるレポーターの構築物によりトランスフェクションされる。それらの表面に免疫グロブリン又はそれらの断片を発現している宿主細胞のプールは、抗原と接触され、かつ架橋時に、そのシグナルはそのプール内で検出される。前述の免疫グロブリン同定法の第一の段階を参照し、そのシグナル伝達法を以下のように行うことができる。免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第一のライブラリーは、複数のプール、例えば約2、5、10、25、15、75、100又はそれ以上のプールに分割され、各プールは約10、100、103、104、105、106、107、108、又は109個の異なる可変領域を伴う免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている異なるポリヌクレオチドを含む。好ましいプールは、最初に、各々約103個のポリヌクレオチドを含んでいる。各プールは拡張され、かつ複製アリコートが後の回収のために取り分けられる。ポリヌクレオチドのプールがウイルスベクター、好ましくはポックスウイルスベクター、更により好ましくはワクシニアウイルスベクターにおいて構築された場合、これらのプールは、例えばウイルスライブラリーの高力価ストックの希釈により、及び低MOI、例えばMOI<0.1での組織培養細胞のミクロ培養物の感染のためのその一部の使用により調製される。典型的には、ウイルスの力価の1,000倍より大きい拡張が、感染の48時間後に得られる。複数の個々のプールにおけるウイルスの力価の拡張は、組換え体のサブセットが、競合するサブセットの比較的迅速な増殖により喪失されるリスクを軽減する。
【0220】
その後これらのウイルスプールを使用し、調製されたウイルスプールと同数の宿主細胞プールを感染する。これらの宿主細胞は、表面免疫グロブリン架橋の結果として、レポーター分子を発現するように操作される。各プールにより感染された宿主細胞の数は、そのプールに含まれるポリヌクレオチドの数、及び望ましいMOIによって決まる。ポリヌクレオチドの第二のライブラリーも、宿主細胞プールに導入され、かつ宿主細胞表面上の免疫グロブリン分子又はそれらの断片の発現が許容される。
【0221】
その後、その表面に抗原特異的免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞が、該免疫グロブリン分子の架橋時に検出可能なレポーター分子を発現する条件下で、宿主細胞プールは所望の抗原と接触され、かつ様々な宿主細胞プールが、レポーター分子の発現についてスクリーニングされる。レポーター発現が検出されるこれらの宿主細胞プールは収集され、かつそこに含まれる第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドのそのプールの最初の拡張後、先に蓄えられたアリコートから回収される。
【0222】
抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリーのポリヌクレオチドを更に濃縮するために、先に回収されたポリヌクレオチドが、複数のサブプールへ分割される。これらのサブプールは、先に使用されたプールよりも少ない異なるメンバーを含むように設定される。例えば、第一のプールの各々が103個のポリヌクレオチドを含む場合、サブプールは、平均約10又は100個の異なるポリヌクレオチドを各々含むように設定される。これらのサブプールは、前述のように第二のライブラリーと共に宿主細胞に導入され、かつ宿主細胞の膜表面上での免疫グロブリン分子又はそれらの断片の発現が許容される。その後宿主細胞は、前述のように抗原と接触され、かつレポーター分子の発現が検出される宿主細胞のサブプールが同定され、かつそこに含まれる第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、前述のような先に取り分けられた複製プールから回収される。当業者には、このプロセスは、抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを適切に濃縮するために、1回又は複数回追加して繰り返すことができることは理解されると思われる。
【0223】
第一のライブラリーのポリヌクレオチド更なる選択及び濃縮の段階、並びにそれらのポリヌクレオチドの単離時に、同様のプロセスが、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として所望の特異的抗原に結合する第二のライブラリーのポリヌクレオチドの回収するために実行される。
【0224】
任意の適当なレポーター分子をこの方法において使用することができ、その選択は、使用される宿主細胞、利用可能な検出装置、及び望ましい検出の容易さによって決まる。適当なレポーター分子は、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、及びβ-ガラクトシダーゼを含むが、これらに限定されるものではない。
【0225】
その表面上に免疫グロブリン分子を発現することが可能な任意の宿主細胞を、この方法において使用することができる。好ましい宿主細胞は、免疫グロブリン-陰性形質細胞腫細胞、例えばNS1細胞、Sp2/0細胞、又はP3細胞、及び初期B細胞性リンパ腫細胞を含む。
【0226】
前述の細胞死の方法と同様に、速度論の考察は、レポーター構築物の発現は、CPE誘導の前に生じることを指示している。それにもかかわらず、宿主細胞表面上の免疫グロブリン分子の抗原誘導型架橋に反応する検出可能なレポーター分子の発現は、CPEの誘導に先行するように、宿主細胞を抗原と接触した後約1時間〜約4日の期間内に生じることが好ましい。より好ましくは、レポーター分子の発現は、宿主細胞が抗原と接触された後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約28時間、約32時間、約36時間、約40時間、約44時間、又は約48時間以内に生じる。更により好ましくはレポーター分子発現は、宿主細胞の抗原との接触の約12時間以内に生じる。
【0227】
「表面免疫グロブリン分子の架橋時に誘導される転写調節領域」とは、表面に発現された免疫グロブリン分子の架橋時に宿主細胞においてアップレギュレーションされる遺伝子を通常調節する領域、例えば宿主細胞プロモーターを意味する。このような転写調節領域の好ましい例は、BAXプロモーターであり、これは初期B細胞性リンパ腫細胞において表面免疫グロブリン分子の架橋時にアップレギュレーションされる。
【0228】
更に別の態様において、抗原特異的結合を基に、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片をコードしているポリヌクレオチドを選択する、選択又はスクリーニング法が提供される。この態様は、図5に図示されている。この方法に従い、それらの表面上に抗原特異的免疫グロブリン分子又はそれらの断片を発現する宿主細胞は、抗原結合の検出のみを基に回収される。抗原結合は選択法として利用され、すなわち、抗原特異的免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞は、前述の細胞死を基にした選択について説明されたものと同様の方法により、抗原結合によって直接選択される。例えば、抗原が固形基質に結合されているならば、抗原に結合している懸濁液中の宿主細胞は、抗原を介した固形基質への結合により回収され得る。あるいは、抗原結合は、スクリーニングプロセスとして使用することができ、すなわち、宿主細胞のプールは、抗原誘導型細胞シグナル伝達について先に説明したものと同様の方法により検出可能な抗原結合についてスクリーニングされている。例えば、それらの表面に免疫グロブリン又はそれらの断片を発現している宿主細胞のプールは、抗原と接触され、かつ所定のプール内の抗原結合が、イムノアッセイにより、例えば抗原に結合する酵素-抗体複合体の検出により、検出される。
【0229】
先に説明した免疫グロブリン同定法の第一段階を参照し、抗原特異的結合法による選択を、下記のように行うことができる。宿主細胞は、その表面に免疫グロブリン分子の高レベルの発現が可能である感染及び/又はトランスフェクションについて選択される。宿主細胞は懸濁液中で増殖することが好ましい。前述のような第一及び第二のポリヌクレオチドライブラリーによる感染後、抗体分子の合成及び集成が進行される。その後宿主細胞が、それらの表面に結合した抗原を有するマイクロタイターウェルに移される。抗原に結合している宿主細胞は、これによりウェル表面に付着され、かつ未結合のこれらの細胞は、ゆるやかな洗浄により除去される。あるいは、抗原に結合している宿主細胞は、例えば、蛍光標示式細胞分取器(FACS)により回収され得る。FACSは、フローサイトメトリーとも称されるが、これは蛍光を含む、光学特性を基にした個々の細胞の選別に使用される。これは、比較的短時間での細胞の大きい集団のスクリーニングに有用である。最終的に抗原に結合した宿主細胞が回収され、これにより免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として、関心のある抗原に特異的に結合する第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリーのポリヌクレオチドを濃縮する。
【0230】
更なる第一のライブラリーのポリヌクレオチドの選択及び濃縮の段階、並びにこれらのポリヌクレオチドの単離時に、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として、望ましい特異的抗原に結合する第二のライブラリーのポリヌクレオチドの回収が実行される。
【0231】
その表面に免疫グロブリン分子を発現することが可能な任意の宿主細胞を、この選択方法において使用することができる。好ましい宿主細胞は、免疫グロブリン-陰性形質細胞腫細胞、例えばNS1細胞、Sp2/0細胞、P3細胞、及び初期B細胞性リンパ腫細胞を含む。細胞が懸濁液中で増殖可能であることが好ましい。
【0232】
前述の免疫グロブリン同定法の第一の段階を参照し、抗原特異的結合を介したスクリーニング法を以下のように実行することができる。免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているウイルスベクターにおいて構築されるポリヌクレオチドの第一のライブラリーは、前述の方法により複数のプールへ分割される。その後ウイルスプールを用いて、調製されたウイルスプールと同数の宿主細胞のプールが感染される。このスクリーニング法において、宿主細胞は固形基質に接着されることが好ましい。ポリヌクレオチドの第二のライブラリーも、宿主細胞プールへ導入され、かつ宿主細胞の表面上での免疫グロブリン分子又はそれらの断片の発現が許容される。
【0233】
その後、宿主細胞プールを所望の抗原と接触させる。抗原とのインキュベーション後、過剰な未結合の抗原が洗浄除去される。最後に、細胞プールが、抗原結合に関してスクリーニングされる。抗原結合は、様々な方法により検出することができる。例えば、抗原は、酵素へ複合することができる。未結合の抗原の除去後、基質が添加され、かつ酵素反応生成物が検出される。この方法は、第二の抗体複合体、又はストレプトアビジン/ビオチンシステムの使用により増強することができる。このようなスクリーニング法は、当業者に周知であり、標準の販売業者からキットの形で容易に入手可能である。更に、抗原が顕微鏡的粒子、例えば金ビーズに結合されている場合は、抗原の宿主細胞への結合は、顕微鏡により検出することができる。前述の細胞シグナル伝達法同様、そこでの抗原結合が検出される宿主細胞のこれらのプールは収集され、かつそれに含まれた第一のライブラリーのポリヌクレオチドが回収される。あるいは、そこでの抗原結合が検出される宿主細胞のプールが同定され、かつそこに含まれる第一のライブラリーのポリヌクレオチドは、ライブラリーの最初の拡張後に取り分けたポリヌクレオチドのプールの複製アリコートから回収される。
【0234】
抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリーのポリヌクレオチドを更に濃縮するために、先に回収されたポリヌクレオチドが、複数のサブプールに分割される。これらのサブプールは、第一のラウンドにおいて使用されたプールよりもより少ない異なるメンバーを含むように設定される。例えば、第一のプールの各々が、103個の異なるポリヌクレオチドを含む場合、このサブプールは、平均約10又は100個の異なるポリヌクレオチドを各々含むように設定される。これらのサブプールは、前記第二のライブラリーと共に宿主細胞へ導入され、かつ宿主細胞の膜表面上の免疫グロブリン分子又はそれらの断片の発現が許容される。その後宿主細胞が、前述のように抗原と接触され、かつそこで抗原結合が検出される宿主細胞のこれらのサブプールが収集されるか、もしくは簡単に同定され、及びそこに、又は複製アリコート中に含まれる第一のライブラリーのポリヌクレオチドが回収される。当業者には、このプロセスは、抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを適切に濃縮するために、1回又は複数回追加して繰り返されることは理解されると思われる。
【0235】
第一のライブラリーのポリヌクレオチドの更なる選択及び濃縮の段階、並びにそれらのポリヌクレオチドの単離時に、同様のプロセスが実行され、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の一部として、所望の特異的抗原に結合している第二のライブラリーのポリヌクレオチドが回収される。
【0236】
その表面に免疫グロブリン分子の発現が可能な任意の宿主細胞を、この方法で使用することができる。好ましい宿主細胞は、免疫グロブリン-陰性形質細胞腫細胞、例えばNS1細胞、Sp2/0細胞、又はP3細胞、及び初期B細胞性リンパ腫細胞を含む。
【0237】
関心のある抗原は、本明細書に説明したような直接及び間接の抗原誘導型細胞死の方法を実践する場合に、いずれか通常の方法により宿主細胞と接触させることができる。例えばある態様において、抗原、例えばペプチド又はポリペプチドが、固形基質に付着される。本明細書において使用される「固形支持体」又は「固形基質」は、当技術分野において公知であるような様々な形のいずれかであることができる、細胞又は抗原を結合することが可能な支持体である。周知の支持体は、組織培養用のプラスチック、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然及び改質セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、及び磁鉄鉱を含む。本発明の目的のためのこれらの担体の性質は、ある程度可溶性であるか又は不溶性であることができる。これらの支持体材料は、結合した分子が細胞に結合することが可能である限りは、事実上可能性のある構造的形状をとることができる。従ってこの支持体の形状は、ビーズのように球形であるか、又は試験管の内面もしくは棒の外面のように円柱状であることができる。あるいは表面は、シート、試験片などのように、平坦であることができる。好ましい支持体は、ポリスチレンビーズを含む。この支持体の形状は、チューブ、ビーズ、ミクロビーズ、ウェル、プレート、組織培養プレート、ペトリ皿、ミクロプレート、ミクロタイタープレート、フラスコ、スティック、ストリップ、バイアル、パドルなどを含むことができる。固形支持体は、磁性又は非磁性であることができる。当業者は、細胞又は抗原を結合するための多くの他の適当な担体を知っており、これらを容易に確認することができると考えられる。
【0238】
あるいは、抗原が、抗原発現性の提示細胞の表面に発現されている。本明細書において使用される「抗原発現性の提示細胞」とは、抗原が、本発明の宿主細胞の表面に付着した免疫グロブリン分子と相互作用することができるような方法で、その表面に関心のある抗原を発現している細胞を意味する。好ましい抗原発現性の提示細胞は、組換えタンパク質として関心のある抗原を発現するように操作されるが、この抗原は、その細胞の固有の抗原であることができる。組換え抗原発現性の提示細胞は、当業者に周知である分子生物学及びタンパク質発現技術を用いるいずれか適当な方法により構築することができる。典型的には、関心のある抗原をコードしているプラスミドベクターが、適当な細胞へトランスフェクションされ、かつこの細胞は、望ましいポリペプチド抗原の発現についてスクリーニングされる。好ましい組換え抗原発現性の提示細胞は、関心のある抗原を安定して発現する。関心のある抗原を発現するように操作されていないこと以外は抗原発現性の提示細胞と同型の細胞は、本明細書において「抗原フリー提示細胞(antigen-free presenting cell)」と称する。適当な細胞株は、抗原発現性の提示細胞の調製に使用することができる。細胞株の例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:SV40で形質転換されたサル腎CVI株(COS-7、ATCC CRL 165 1);ヒト胚性腎株(293、Grahamら、J. Gen Virol.、36:59(1977));ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣-細胞-DHFR(CHO、Urlaub及びChasin、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA)、77:4216(1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol. Reprod.、23:243-251(1980));サル腎細胞(CVI、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頚癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(hep G2、HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL 51);TRI細胞(Matherら、Annals N. Y. Acad. Sci、383:44-68(1982));NIH/3T3細胞(ATCC CRL-1658);及び、マウスL細胞(ATCC CCL-1)を含む。さらに別の細胞株は、当業者には明らかであると思われる。多種多様な細胞株が、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209)から入手可能である。
【0239】
当業者に理解されるように、抗原発現性の提示細胞は、関心のある抗原に加え、多くの天然の抗原決定基をその表面に含むと考えられる。それらの表面上に異なる免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片の広いスペクトルを発現している本発明のある種の宿主細胞は、これらの追加の抗原決定基に結合することが予想される。従って、抗原発現性の提示細胞が本発明の宿主細胞と関心のある抗原が接触するために使用される場合、これらの追加の抗原決定基に反応性である免疫グロブリンを発現しているこれらの宿主細胞の宿主細胞集団を最初に枯渇することが必要である。本発明は、抗原フリー提示細胞の天然の表面抗原に対し特異的である免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞の宿主細胞集団を枯渇する方法を提供する。これは図5に図示されている。本質的に、これらの方法は、宿主細胞集団を抗原発現性の提示細胞と接触する前に、宿主細胞集団を抗原フリー提示細胞と接触することを含む。
【0240】
ある態様において、この方法は、宿主細胞の集団を、固形基質に結合された抗原フリー提示細胞に吸着することを含む。未結合の細胞及び/又はそこに含まれるポリヌクレオチドは、回収され、かつ回収された宿主細胞又は回収されたポリヌクレオチドが導入されている新規宿主細胞は、次に、抗原発現性の提示細胞と接触される。宿主細胞のプールが抗原と接触させられるこれらの選択法において、宿主細胞のプールは、固形基質に結合された抗原フリー提示細胞に吸着される。未結合のプール中の細胞及び/又はそれに含まれたポリヌクレオチドは回収され、回収された宿主細胞又は回収されたポリヌクレオチドが導入されている宿主細胞は、その後抗原発現性の提示細胞と接触された。
【0241】
別の態様において、この方法は、抗原フリー提示細胞上の抗原決定基の表面抗原と反応する表面免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞が、宿主細胞の表面上の免疫グロブリン分子の架橋時の全て先に説明されたような、プログラムされた細胞死、例えばアポトーシス、直接的又は間接的細胞死、又は細胞シグナル伝達、レポーター分子の発現のいずれかを受けるような条件下で、宿主細胞集団を抗原フリー提示細胞と、接触することを含む。これらの宿主細胞、及びより詳細には細胞死を蓄積しないか又はレポーター分子を発現しない宿主細胞からの、第一のライブラリー又は第二のライブラリーのいずれか由来のポリヌクレオチドが、次に回収される。例えば、免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞集団は、固形基質に付着するように維持され、かつ細胞死を受けているこれらの細胞は、この基質から放出され、培養液の内容物が除去及び廃棄され、かつ付着し続ける細胞、及びそこに含まれたポリヌクレオチドが回収される。
【0242】
当業者に理解されるように、抗原フリー提示細胞上に保持された決定基と反応性である免疫グロブリンを発現するこれらの宿主細胞の宿主細胞集団の枯渇には、1ラウンドよりも多い枯渇を必要とすると考えられる。更に枯渇の連続ラウンドが、抗原発現性の提示細胞上に発現された関心のある抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞の濃縮の連続ラウンドにより変更され得ることが企図されている。
【0243】
更に別の態様において、免疫グロブリン分子の望ましい抗原特異的機能を基に、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的機能的断片をコードしているポリヌクレオチドを回収するためのスクリーニング法が提供される。この方法に従い、完全に可溶性の免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞のプールが調製される。発現は許容され、かつ得られた細胞培地は、ある種の望ましい抗原特異性を必要とする様々な機能アッセイについて試験される。この方法に従い、試験される「機能」は、例えば、ウイルス中和、オプソニン効果、ADCC、アンタゴニスト/アゴニスト活性、ヒスタミン放出、赤血球凝集、又は赤血球凝集阻害のような、免疫グロブリン分子により保持される標準エフェクター機能であることができる。あるいは、「機能」は、単純に抗原への結合を意味することができる。
【0244】
関連した態様において、公知の抗原特異性であるが、変更されたエフェクター機能を伴う免疫グロブリン分子を選択するためのスクリーニング法が提供される。これらの態様に従い、公知の抗原特異性を伴うが、所定のエフェクター機能に関連していることがわかっている定常ドメイン領域に変更を有する免疫グロブリンサブユニットポリペプチドのライブラリーが構築される。この方法に従い、完全に可溶性の免疫グロブリン分子を発現している宿主細胞のプールが調製される。発現が許容され、かつ得られる細胞培地が、改善された又は抑制された活性に関する様々な機能アッセイについて試験される。この方法に従い、試験される「機能」は、例えば、ウイルス中和、オプソニン効果、補体結合、ADCC、アンタゴニスト/アゴニスト活性、ヒスタミン放出、赤血球凝集、又は赤血球凝集阻害のような、免疫グロブリン分子により保持される標準エフェクター機能であることができる。
【0245】
前述の免疫グロブリン同定法の第一段階を参照し、エフェクター機能のスクリーニングは下記のように行うことができる。完全に分泌された免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第一のライブラリーは、前述のように複数のプールへ分割され、各プールは、異なる可変領域を伴う完全に分泌された免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている、約10、100、103、104、105、106、107、108又は109個の異なるポリヌクレオチドを含む。好ましいプールは最初に、約103個のポリヌクレオチドを各々含む。各プールは拡張され、かつ複製アリコートが後の回収のために取り分けられる。ポリヌクレオチドのプールがウイルスベクター、好ましくはポックスウイルスベクター、更により好ましくはワクシニアウイルスベクターにおいて構築される場合は、例えばウイルスライブラリーの高-力価ストックを希釈し、かつ組織培養細胞のミクロ培養物を低MOI、例えばMOI<0.1で感染するためにその一部を使用することにより、これらのプールが調製される。典型的にはウイルス力価の1,000倍よりも大きい拡張が、感染の48時間後に得られる。個々のプールを倍加するウイルス力価の拡張は、組換え体サブセットが、競合サブセットの比較的迅速な増殖ために喪失されるリスクを軽減する。
【0246】
その後ウイルスプールを使用し、調製されたウイルスプールと同数の宿主細胞のプールが感染される。各プールにより感染された宿主細胞の数は、そのプールに含まれたポリヌクレオチドの数、及び望ましいMOIによって決まる。実際的には使用したウイルスベクターによる感染を許容し、かつ完全に分泌された免疫グロブリン分子の発現を可能にするいずれかの宿主細胞を、この方法において使用することができる。好ましい宿主細胞は、免疫グロブリン-陰性形質細胞腫細胞、例えばNS1細胞、Sp2/0細胞、又はP3細胞、及び初期B細胞性リンパ腫細胞を含む。これらの細胞は、懸濁液中で培養するか又は固形表面に付着することができる。ポリヌクレオチドの第二のライブラリーも、宿主細胞プールに導入することができかつ完全に分泌された免疫グロブリン分子又はそれらの断片の発現が許容される。
【0247】
その後、宿主細胞プールが培養された馴化培地は回収され、かつ特異的標的抗原に反応したエフェクター機能について標準化された機能アッセイにおいて試験される。
【0248】
いずれか適当な機能アッセイを、この方法において使用することができる。例えば、収集された細胞上清を、例えばHIVのような標的ウイルスを中和する能力を伴う免疫グロブリン分子を検出するために、ウイルス中和アッセイにおいて試験することができる。あるいは、収集された細胞上清を、例えばアポトーシスのような、標的細胞機能をブロック又は促進する、すなわちアンタゴニスト又はアゴニストとして作用する能力について試験することができる。適当な機能アッセイの例は、下記実施例に説明されている。本明細書において使用されたように、「機能アッセイ」は、例えば、当業者に周知の標準ELISAアッセイによるような、抗原結合の単純な検出も含む。
【0249】
所定の宿主細胞プールが増殖される馴化培地が所望の機能を発揮する場合、そのプールの宿主細胞に含まれた第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、そのポリヌクレオチドプールの最初の拡張後に、先に取り分けられたアリコートから回収される。
【0250】
更に抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている第一のライブラリーのポリペプチドを濃縮するために、先に回収されたポリヌクレオチドが、複数のサブプールへ分割される。これらのサブプールは、先に利用したプールよりも少ない異なるメンバーを含むように設定される。例えば、第一のプールが各103個の異なるポリヌクレオチドを含む場合、このサブプールは、平均で約10又は100個の異なるポリヌクレオチドを各々含むように設定される。これらのサブプールは、前述のように第二のライブラリーと共に宿主細胞へ導入され、かつ完全に分泌された免疫グロブリン分子又はそれらの断片の発現が許容される。宿主細胞プールが培養される馴化培地は回収され、かつ前述のような特異的標的抗原に反応するエフェクター機能について標準的機能アッセイについて試験され、所望の機能特性を有する馴化培地の試料が同定され、かつサブプールの宿主細胞に含まれた第一のライブラリーのポリヌクレオチドが、前述のように先に取り分けられたアリコートから回収される。当業者により、抗原特異的免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを適切に濃縮するために、この過程は、更に1回又は複数回繰り返されることは理解されると思われる。
【0251】
更なる第一のライブラリーのポリヌクレオチドの選択及び濃縮の段階、並びにこれらのポリヌクレオチドの単離時に、完全に分泌された免疫グロブリン分子又はそれらの断片の一部として、所望の抗原特異的機能を発揮する第二のライブラリーのポリヌクレオチドを回収するために同様のプロセスが実行される。
【0252】
キット 本発明は更に、真核宿主細胞において発現された抗原特異的組換え免疫グロブリンの選択のためのキットを提供する。このキットは、本明細書において説明された方法を実行するのに必要な1種又は複数の成分により満たされた1個又は複数個の容器を備えている。ある態様において、キットは以下を含む:(a)転写調節領域との操作可能な結合を介して、複数の第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第一のライブラリーであり、ここで各第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、(i)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域からなる群より選択される第一の免疫グロブリン定常領域、(ii)該第一の定常領域に対応する免疫グロブリン可変領域、及び(iii)該第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの細胞表面発現又は分泌を指示することが可能なシグナルペプチドを含み、ここで該第一のライブラリーは、真核ウイルスベクターにおいて構築されているもの;(b)転写調節領域との操作可能な結合を介して、複数の第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第二のライブラリーであり、ここで各々は、(i)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域からなる群より選択される第二の免疫グロブリン定常領域であり、ここで該第二の免疫グロブリン定常領域は、第一の免疫グロブリン定常領域とは同じではなく、(ii)該第二の定常領域に対応する免疫グロブリン可変領域、及び(iii)該第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの細胞表面発現又は分泌を指示することが可能なシグナルペプチドを含み、ここで第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドと組合わせ、宿主細胞の膜に付着した表面免疫グロブリン分子又はそれらの抗原特異的断片を形成することが可能であり、かつここで第二のライブラリーは、真核ウイルスベクターにおいて構築されているもの;並びに、(c)該免疫グロブリン分子の発現が可能な宿主細胞の集団。このキットにおいて、第一及び第二のライブラリーは、感染性ウイルス粒子及び失活されたウイルス粒子の両方として提供され、ここで失活されたウイルス粒子は、宿主細胞を感染し、そこに含まれたポリヌクレオチドを発現することが可能であるが、この失活されたウイルスは、ウイルス複製を受けない。加えて、このキットにより提供される宿主細胞は、抗原との相互作用により選択され得る抗原特異的免疫グロブリン分子を発現することが可能である。キットの使用は、本明細書に説明した方法に従う。ある態様において、このキットは、関心のある特定の抗原の選択のバリデーションを標準化するための対照抗原及び試薬を含むと考えられる。
【0253】
単離された免疫グロブリン 本発明は更に、本明細書に記されたいずれかの方法により産生された、単離された抗原特異的免疫グロブリン又はそれらの断片を提供する。このような単離された免疫グロブリンは、診断用又は治療用薬品として有用であると考えられる。更に本発明の単離された免疫グロブリン、及び薬学的に許容できる担体を含有する組成物が提供される。
【0254】
本発明の実践は、特に記さない限りは、当技術分野内の、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の通常の技術を使用する。このような技術は、参考文献に十分に説明されている。例えば、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning A Laboratory Manual)」第2版、Sambrookら編集、Cold Spring Harbor Laboratory Press社:(1989);「分子クローニング:実験マニュアル」Sambrookら編集、Cold Springs Harbor Laboratory、NY(1992)、「DNAクローニング(DNA Cloning)」第I及びII巻(D. N. Glover編集、1985);「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)」(M. J. Gait編集、1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acids Hybridization)」(B. D. Hames 及びS. J. Higgins編集、1984);「転写及び翻訳(Transcription And Translation)」(B. D. Hames及びS. J. Higgins編集、1984);「動物細胞の培養(Culture Of Animal Cells)」(R. I. Freshney、Alan R. Liss社、1987);「細胞及び酵素固定(Immobilized Cells And Enzymes)」(IRL Press社、1986);B. Perbal、「分子クローニングの実践ガイド(A Practical Guide To Molecular Cloning)」(1984);全書(treatise)「酵素学的方法(Methods In Enzymology)」(Academic Press社、N.Y.);「哺乳類細胞の遺伝子導入ベクター(Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells)」(J. H. Miller及びM. P. Calos編集、1987、Cold Spring Harbor Laboratory);「酵素学的方法」第154及び155巻(Wuら編集);「細胞及び分子生物学における免疫化学的方法(Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology)」(Mayer及びWalker編集、Academic Press社、ロンドン、1987);「実験免疫学ハンドブック(Handbook Of Experimental Immunology)」第I-IV巻(D. M. Weir及びC. C. Blackwell編集、1986);「マウス胚の操作(Manipulating the Mouse Embryo)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、N.Y.、1986);並びに、Ausubelら「分子生物学最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」John Wiley and Sons社、ボルチモア、MD(1989)を参照のこと。
【0255】
抗体操作の一般的原理は、「抗体操作(Antibody Engineering)」第2版、C.A.K. Borrebaeck編集、Oxford Univ. Press社(1995)に記されている。タンパク質操作の一般的原理は、「タンパク質操作:実践法(Protein Engineering, A Practical Approach)」Rickwood, D.ら編集、IRLPress、Oxford Univ. Press社、オックスフォード、英国(1995)に記されている。抗体及び抗体-ハプテン結合の一般的原理は、下記に記されている:Nisonoff, A.、「分子免疫学(Molecular Immunology)」第2版、Sinauer Associates社、サンダーランド、MA(1984);及び、Steward, M.W.、「抗体、それらの構造及び機能(Antibodies, Their Structure and Function)」Chapman and Hall社、ニューヨーク、NY(1984)。加えて、当技術分野において公知であるが特に説明されていない免疫学の標準法は、一般に「免疫学最新プロトコール(Current Protocols in Immunology)」John Wiley & Sons社、ニューヨーク;Stitesら編集、「基礎及び臨床-免疫学(Basic and Clinical- Immunology)」(第8版)、Appleton & Lange社、ノーウォーク、CT(1994)、並びにMishell及びShiigi編集、「細胞免疫学における選択法(Selected Methods in Cellular Immunology)」W.H.Freeman社、ニューヨーク(1980)に従っている。
【0256】
免疫学の一般的原理を説明する標準の参考研究は、「免疫学最新プロトコール」John Wiley & Sons社、ニューヨーク;Klein, J.、「免疫学:自己-非自己の識別の科学(Immunology: The Science of Self-Nonself Discrimination)」John Wiley& Sons社、ニューヨーク(1982);Kennett, R.ら編集、「モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物学的分析の最新法(Monoclonal Antibodies, Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses)」Plenum Press社、ニューヨーク(1980);Campbell, A.「モノクローナル抗体技術(Monoclonal Antibodies Technology)」Burden, R.ら編集、「生化学・分子生物学実験技術(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」、第13巻、Elsevere、アムステルダム(1984)に説明されている。
【0257】
実施例
実施例1
多様な特異性のヒト免疫グロブリンライブラリーの構築
多様な免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーを、下記のように作成した。ヒトのVH(重鎖可変領域)、VK(κ軽鎖可変領域)及びVL(λ軽鎖可変領域)の遺伝子を、PCR増幅した。3種の可変遺伝子ファミリーの各々について、組換えプラスミドライブラリー及びワクシニアウイルスライブラリーの両方を構築した。これらの可変領域遺伝子を、免疫グロブリンリーダー配列と対応する重鎖又は軽鎖の定常領域配列の間のp7.5/tk-ベースの転移/発現プラスミドへ挿入した。このプラスミドを用い、対応するワクシニアウイルス組換え体を、三分子組換えにより作成し、かつワクシニアウイルス感染した細胞へのトランスフェクション後、更に免疫グロブリン鎖の高レベル発現のために直接使用した。リンパ腫細胞を、最初にワクシニア重鎖ライブラリーで感染し、その後プラスミド軽鎖ライブラリーで一過性にトランスフェクションした。IgM及び軽鎖の同時発現は、抗体分子の集成及び表面発現を生じた。
【0258】
1.1 pVHE ヒトμ膜免疫グロブリン定常領域を含む発現ベクターで、本明細書においてpVHEと称するものを、下記のように構築した。この戦略を図3に示した。膜結合したヒトIgM重鎖をコードしているcDNAを、Clontech社(パロアルト、CA)から入手可能なSMART(登録商標)RACE cDNA増幅キットを用い、骨髄RNAから単離した。PCRを、5'プライマー(huCμ5B)
Figure 0004368196
及び3'プライマー(huCμ3S)
Figure 0004368196
を用いて行った。その後PCR産物を、位置指定突然変異誘発のために、pBluescriptII/KSに、BamHI部位及びSalT部位で挿入し、CH2及びCH4ドメイン内に位置した2個のBstEII部位を除去した。これらの部位でコードされたアミノ酸を変更しないヌクレオチド置換が選択された。
【0259】
プラスミドp7.5/tkを、ZaudererのPCT公開国際公開公報第00/028016号に開示されたように作成し、かつ下記実施例5において、pVHEへ転換した。p7.5/tkのマルチクローニング部位(MCS)を、NotI-NcoI-BssHII-BstEII-SalIの制限部位を含むカセットと交換し、p7.5/tk2を作成した。このカセットは、以下の配列
Figure 0004368196
を有し、本明細書においては配列番号:26と称した。IgM重鎖のアミノ酸-19から-3に相当するシグナルペプチド配列をコードしているカセットを、p7.5/tk2のNcoI部位とBssHII部位の間にクローニングし、p7.5/tk2Lを作出した。先に説明したように産生されたBstEII-突然変異誘発したIgM重鎖を、その後p7.5/tk2LのBstEII部位とSalI部位の間にクローニングし、pVHEを作出した。下記のPCRにより作出したアミノ酸-4から110をコードしているヌクレオチドを含む重鎖可変領域(VH)カセットを、その後pVHEのBssHII部位とBstEII部位の間にクローニングし、膜結合した重鎖をコードしているポリヌクレオチドのライブラリーを作成した。μ重鎖配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、正確な翻訳リーディングフレーム内にコンティグな膜結合した重鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現を生じた。
【0260】
1.2 pVHEs ヒトμ分泌免疫グロブリン定常領域を含む発現ベクターであり、本明細書においてはpVHEsと称されるものは、以下のように構築される。この戦略は、図8に図示されている。分泌ヒトIgM重鎖をコードしているcDNAは、SMART(登録商標)RACE cDNA増幅キットを使用し、骨髄RNAから単離される。上流プライマーhuCμ5Bは、5'末端に付属した(appended)BamHI部位及びBstEII部位、それに続くVHのアミノ酸111〜113及びCμH1の第一のアミノ酸を含む。下流プライマーshuCμ3Sは、分泌されたCμの最後の6個のアミノ酸、それに続く停止コドン及びSalI部位を含む。これらのプライマーは下記の配列を有する:
huCμ5B:
Figure 0004368196
及び
shuCμ3S:
Figure 0004368196
【0261】
その後このPCR産物を、部位特異的変異誘発のために、pBluescriptII/KSへBamHI部位及びSalI部位で挿入し、CH2及びCH4ドメイン内に位置した2個のBstEII部位を除去した。これらの部位によりコードされたアミノ酸を変更しないヌクレオチド置換を選択した。
【0262】
1.1項において作成されたプラスミドp7.5/tk2Lを、下記の方法により、pVHEsへ転換した。前述のように作成したBstEII-突然変異誘発した分泌IgM重鎖を、次にp7.5/tk2LのBstEII部位とSalI部位の間にクローニングし、pVHEsを作成した。後述のようなPCRにより産生されたアミノ酸-4から110をコードしているヌクレオチドを含む重鎖可変領域(VH)カセットを、pVHEsのBssHII部位とBstEII部位の間にクローニングし、分泌された重鎖をコードしているポリヌクレオチドのライブラリーを作成した。μ重鎖配列及び選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、正確な翻訳リーディングフレームの中にコンティグな分泌重鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現を生じた。
【0263】
1.3 pVKE 及び pVLE ヒトκ及びλ免疫グロブリン軽鎖定常領域を含む発現ベクターを、本明細書においてはpVKE及びpVLEと称し、これらを下記のように構築した。戦略を図4に示す。
(a)プラスミドp7.5/tkを、下記の方法によりpVKEに転換した。p7.5/tkの2個のXhoI部位及び2個のHindIII部位を、フィルイン(fill-in)ライゲーションにより除去し、3個のApaLI部位(1個は骨格、1個はColEl ori、及び残りはAmp)を、常法により除去し、かつp7.5/tkのマルチクローニング部位(MCS)を、NotI-NcoI-ApaLI-XhoI-HindIII-SalIの制限部位を含むカセットで置き換え、p7.5/tk3を作出した。このカセットは、以下の配列
Figure 0004368196
を有し、本明細書においては配列番号:29と称した。κ軽鎖のアミノ酸-19から-2に相当するシグナルペプチド配列をコードしているカセットを、p7.5/tk3のNcoI部位とApaLI部位の間にクローニングし、p7.5/tk3Lを作成した。Cκ領域をコードしているcDNAを、SMART(登録商標)RACE cDNA増幅キットを用い、前述のように、アミノ酸104〜107+Ckをコードしている領域の5'末端にXhoI部位、停止コドン、及びその3'末端にSalI部位を含むためのプライマーにより、骨髄RNAから単離した。これらのプライマーは下記の配列を有する:huCκ5:
Figure 0004368196
huCκ3:
Figure 0004368196
及び、huCκ3:
Figure 0004368196
次にCκカセットを、p7.5/tk3LのXhoI部位とSalI部位の間にクローニングし、pVKEを作出した。アミノ酸-3から105をコードしているヌクレオチドを含むκ軽鎖可変領域カセット(VK)を、後述のようにPCRにより作成し、その後pVKEのApaLI部位とXhoI部位の間にクローニングした。κ軽鎖配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、正確な翻訳リーディングフレームの中にコンティグなκ軽鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現を生じた。
【0264】
(b)プラスミドp7.5/tk3Lは、下記の方法によりpVLEに転換した。Cκ領域をコードしているcDNAを、前述のように、SMART(登録商標)RACE cDNA増幅キットを用い、5'末端にHindIII部位及びVλのアミノ酸105から107をコードしている領域、及びその3'末端に停止コドン及びSalI部位を含むプライマーにより、骨髄RNAから単離した。これらのプライマーは下記の配列を有する:huCλ5:
Figure 0004368196
及び、huCλ3(配列番号:31)。次にこれらのCκカセットを、p7.5/tk3LのHindIII部位とSalI部位の間にクローニングし、pVLEを作出した。アミノ酸-3から104をコードしているヌクレオチドを含むλ軽鎖可変領域カセット(VL)を、後述のようにPCRにより作成し、その後pVLEのApaLI部位とHindIII部位の間にクローニングした。λ軽鎖配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、正確な翻訳のリーディングフレームの中にコンティグなλ軽鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現を生じた。
【0265】
1.4 可変領域 重鎖、κ軽鎖、及びλ軽鎖可変領域を、下記の方法により、前述のように作成した発現ベクターにおけるクローニングのために、PCRにより単離した。複数のドナーからプールした正常なヒト骨髄(Clontech社から入手可)から単離したRNAを、cDNA合成に使用した。cDNA調製物のアリコートを、下記プライマーセットから選択したプライマー対と共にPCR増幅に使用した:VH/JH、VK/JK又はVL/JL。可変領域の増幅に使用したプライマーは、表1及び2に列記した。
【0266】
(a) 重鎖可変領域 プラスミド発現ベクターが消化される方法により、VHプライマー、すなわち重鎖V領域の増幅に使用した対のフォワードプライマーは、下記の一般的配置を有し、BssHII制限部位を太字で示した:
VHプライマー:
Figure 0004368196
これらのプライマーを、アミノ酸-4及び-3をコードしているBssHII部位を伴う、リーダーの最後の4個のアミノ酸をコードしているコドン、それに続くVHファミリー特異的FR1配列を含むようにデザインした。表1及び2は、異なるファミリー特異的VHプライマーの配列を列記している。重鎖可変領域の最後の5個のアミノ酸、すなわちアミノ酸109〜113は、6個のヒト重鎖J領域の間と同じであり、プラスミドpVHEに埋め込まれ、JHプライマー、すなわち重鎖可変領域の増幅に使用したリバースプライマーは、アミノ酸109及び110(太字で示す)をコードしているBstEII部位を含むように下記の配置を示した:
JHプライマー:VHアミノ酸103〜108のヌクレオチド配列(Gで終結)-GTCACC
これらのプライマーセットを使用し、VH PCR産物は、アミノ酸-4から110をコードしているコドンで始まり、アミノ酸-4及び-3であるBssHII、及びアミノ酸109及び110のコドンのBstEII部位の末端を含む。適当な制限酵素による切断時に、これらのPCR産物は、BssHII及びBstEIIで消化されたpVHEへクローニングされる。
【0267】
最も可能性のある再構成された重鎖可変領域の増幅を達成するために、表1及び2に示したような、VH及びJHプライマーのファミリーを使用した。VH1、3及び4ファミリーは、ヒトゲノムに存在する51種のV領域中の44種に相当している。発現ベクター中のアミノ酸109〜113をコードしているコドンの埋め込みは、単独の共通JHプライマーの使用を除外した。しかし表1及び2に示した5種JHプライマーは、必要なPCR反応の数を減少するために使用される各VHプライマーについてプールすることができる
【0268】
(b) κ軽鎖可変領域 VKプライマー、すなわちκ軽鎖可変領域の増幅に使用した対のフォワードプライマーは、下記の一般的配置を有し、ApaLI制限部位を太字で示した:
VKプライマー:
Figure 0004368196
このVKプライマーは、アミノ酸-3及び-2をコードしているApaLI部位を伴う、κ軽鎖リーダーの最後の3個のアミノ酸をコードしているコドン、それに続くVKファミリー特異的FR1配列を含む。κ鎖可変領域の最後の4個のアミノ酸(アミノ酸104〜107)をコードしているコドンが発現ベクターpVKEに埋め込まれるので、JKプライマー、すなわちκ軽鎖可変領域の増幅に使用される対のリバースプライマーは、下記の配置を示す:
JKプライマー:-VKのアミノ酸98〜103をコードしているヌクレオチド配列-CTCGAG
XhoI部位(太字で示す)は、κ軽鎖可変領域のアミノ酸104〜105をコードしているコドンを含む。κ軽鎖可変領域をコードしているPCR産物は、アミノ酸-3のコドンで開始し、かつアミノ酸105のコドンで終結し、アミノ酸-3及び-2のコドンを含むApaLI部位並びにアミノ酸104及び105のコドンを含むXhoI部位を伴う。VK1/4及びVK3/6プライマーは各々、2個の縮重ヌクレオチド位置を有する。これらのJKプライマー(表1及び2参照)を使用すると、JK1、3及び4は、アミノ酸104にValからLeuへの変異を有し、並びにJK3はアミノ酸105にAspからGluへの変異を有すると考えられる。
【0269】
(c) λ軽鎖可変領域 VLプライマー、すなわちλ軽鎖可変領域の増幅に使用される対のフォワードプライマーは、下記の一般的配置を有し、ApaLI制限部位は太字で示した:
VLプライマー:
Figure 0004368196
ApaLI部位は、アミノ酸-3及び-2のコドン、それに続くVLファミリー特異的FR1配列を含む。VLの最後の5個のアミノ酸(アミノ酸103〜107)をコードしているコドンは、発現ベクターpVLEに埋め込まれるので、JLプライマーは、アミノ酸103〜104をコードしているコドンを含むHindIII部位(太字で示す)を含むように下記の配置を示す:
JLプライマー:-VLアミノ酸97〜102のヌクレオチド配列-AAGCTT
λ軽鎖可変領域をコードしているPCR産物は、アミノ酸-3のコドンで開始し、並びにアミノ酸104のコドンで終結し、アミノ酸-3及び-2のコドンを含むApaLI部位、及びアミノ酸103及び104のコドンを含むHindIII部位を伴う。
【0270】
【表1】
ヒト免疫グロブリン可変領域のPCR増幅のためのオリゴオリゴヌクレオチドプライマー。クローニングに使用した制限酵素の認識部位は太字で示した。プライマー配列は5'から3'へである。
Figure 0004368196
Figure 0004368196
Figure 0004368196
【0271】
【表2】
ヒト免疫グロブリン可変領域のPCR増幅のためのオリゴオリゴヌクレオチドプライマー。クローニングに使用した制限酵素の認識部位は太字で示した。プライマー配列は5'から3'へである。
Figure 0004368196
Figure 0004368196
Figure 0004368196
【0272】
実施例 2
特異的抗原に結合するヒト免疫グロブリンの選択戦略
いくつかの未同定の軽鎖と共に、定義された抗原に対する特異性を付与する、組換え重鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含むワクシニアウイルス発現ベクターを、下記のように選択し、かつ図1に示した。特異的免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の選択は、2相で達成される。第一に、ナイーブドナー又は免疫感作ドナーのいずれかに由来した抗体産生細胞由来の多様な重鎖のライブラリーを、三分子組換え(実施例5参照)により、実施例1に説明されたように構築された伝達性プラスミドpVHEを用い、ポックスウイルスベースのベクターにおいて構築し、かつ、免疫グロブリン軽鎖の同様に多様なライブラリーを、組換え遺伝子の発現がp7.5ワクシニアプロモーターにより調節されている、実施例1に説明されたように構築されたpVKE及びpVLEのようなプラスミドベクターにおいて構築する。ポックスウイルス構築物中の免疫グロブリン重鎖定常領域は、表面膜に免疫グロブリン受容体の発現を生じる膜貫通領域を維持するようにデザインする。宿主細胞、例えば初期B細胞性リンパ腫細胞を、ポックスウイルス重鎖ライブラリーにより、感染多重度1(MOI=1)で感染した。2時間後、感染した細胞を、軽鎖プラスミドライブラリーで、平均10個又はそれ以上の個別の軽鎖プラスミドが各細胞において取込まれかつ発現されることを可能にする条件下で、トランスフェクションされる。このプラスミド中の組換え遺伝子の発現は、ワクシニアウイルスプロモーターにより調節されるので、高レベルの組換え遺伝子産物が、ワクシニアウイルス感染細胞の細胞質において、核組込みを必要とせずに発現される。これらの条件下で、単独の細胞が、各感染細胞において特徴的H2L2構造の同じ重鎖に結合された異なる軽鎖を伴う複数の抗体を発現することができる。
【0273】
2.1 直接的抗原誘導型アポトーシス 初期B細胞性リンパ腫宿主細胞を、説明されたように、組換え重鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている組換えワクシニアウイルスで感染し、かつ組換え軽鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているプラスミドでトランスフェクションした。これらの宿主細胞は、自然発生的増殖阻害及びアポトーシス細胞死の誘導により、抗原特異的免疫グロブリン受容体の架橋に反応する。図1に概説したように、抗体分子の合成及び集成は、12時間又はそれ以上にわたって進行することが可能であり、この時点で、特異的免疫グロブリン受容体と架橋し、かつインジケーター細胞を発現している選択された抗体のアポトーシスを誘導するために、合成粒子又はポリマー上に、もしくは抗原を発現している細胞の表面上に、特異的抗原が提示される。アポトーシスが誘導されている細胞から抽出された組換えワクシニアウイルスのゲノムは、望ましい特異性を付与する免疫グロブリン重鎖遺伝子をコードしているポリヌクレオチドについて濃縮される。
【0274】
2.2 間接的抗原誘導型細胞死 図2A(下側)及び図2B(上側)に示したように、初期B細胞性リンパ腫宿主細胞を、アポトーシス誘導した遺伝子のプロモーター、ここではBAXプロモーターが、外来細胞傷害性T細胞エピトープの発現を起動する構築物でトランスフェクションする。この宿主細胞は、抗原特異的免疫グロブリン受容体の架橋に反応して、CTLエピトープを発現し、かつこれらの架橋した細胞は、特異的CTLの追加時に溶解事象を受けると考えられる。次に説明された安定してトランスフェクションされた宿主細胞を、組換え重鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている組換えワクシニアウイルスで感染し、かつ組換え軽鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているプラスミドでトランスフェクションする。図1に概説したように、抗体分子の合成及び集成は、12時間又はそれ以上にわたって進行することができ、この時点で、特異的免疫グロブリン受容体と架橋するために、合成粒子又はポリマー上に、もしくは抗原を発現している細胞の表面上に、特異的抗原が提示される。エピトープ-特異的CTLの追加は、表面免疫グロブリン分子が架橋されているこれらの細胞に溶解事象をもたらし、その結果間接的に細胞死を誘導した。
【0275】
2.3 直接的抗原誘導型細胞死 図2A(上側)及び図2B(下側)に示したように、初期B細胞性リンパ腫宿主細胞を、アポトーシス誘導した遺伝子のプロモーター、ここではBAXプロモーターが、ジフテリア毒素の細胞毒性Aサブユニットの発現を起動する構築物でトランスフェクションする。この宿主細胞は、抗原特異的免疫グロブリン受容体の架橋に反応して、毒素サブユニットを発現し、かつこれらの架橋した細胞は、細胞死に屈服すると考えられる。次に説明されたように、安定してトランスフェクションされた宿主細胞を、組換え重鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている組換えワクシニアウイルスで感染し、かつ組換え軽鎖免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているプラスミドでトランスフェクションする。図1に概説したように、抗体分子の合成及び集成は、12時間又はそれ以上にわたって進行することができ、この時点で、特異的免疫グロブリン受容体と架橋するために、合成粒子又はポリマー上に、もしくは抗原を発現している細胞の表面上に、特異的抗原が提示される。表面免疫グロブリン分子が架橋されているこれらの細胞は、迅速かつ直接的に細胞死に屈服する。
【0276】
2.4 考察 これらの組換え遺伝子の発現が、表面Ig受容体の架橋によってアップレギュレーションされる理由は、これら2種の各構築物の発現が、Ig架橋後にその発現が初期B細胞性リンパ腫細胞において天然にアップレギュレーションされるプロモーターにより、調節されるからである。これは、BAXプロモーターの使用により例証される。プロアポトーシス性遺伝子の例であるBAXは、初期B細胞性リンパ腫細胞において通常、これらの条件下でアップレギュレーションされる。他の遺伝子の調節領域(「プロモーター」)は、同様に良く又はより良く利用することができる。このような遺伝子は、例えば膜Igの架橋前又は後にマイクロアレイ上の初期B細胞性リンパ腫細胞の遺伝子発現プロファイルを比較することにより同定される。
【0277】
細胞は、ジフテリアA鎖(dipA)の発現につながる構築物によりトランスフェクションされ、Ig架橋のみにより誘導されるものよりもより迅速なアポトーシスを受けた。更により迅速な細胞死が、その細胞において発現された未変性のMHC分子に結合し、かつその発現がBAX又はBAX-様プロモーターにより調節されるミニ遺伝子によりコードされているようないくつかの標的ペプチドに特異的な細胞傷害性T細胞の追加により誘導された。加えて、初期B細胞性リンパ腫細胞以外の宿主細胞を、同様に操作し、初期B細胞性リンパ腫細胞株において抗原架橋時に生じるプログラムされたアポトーシスとは無関係に、表面免疫グロブリン分子の抗原架橋時の細胞死を直接的又は間接的のいずれかで誘導する遺伝子を発現する。
【0278】
前記選択プロセスにおいて、様々な基質を使用し、抗原を提示し、かつ特異的膜免疫グロブリン受容体を架橋する。これらは、磁気ビーズ、タンパク質被覆した組織培養プレート、及び標的抗原をコードしている遺伝子でトランスフェクションされた細胞を含むが、これらに限定されるものではない。標的抗原の効率的発現のためにトランスフェクションすることができる細胞の例は、L細胞及びNIH 3T3細胞を含むが、これらに限定されるものではない。しかしトランスフェクションされた細胞を使用し、組換え抗原を発現及び提示する場合、トランスフェクションされない細胞の膜抗原に反応性の抗体を発現するいずれかの宿主細胞の免疫グロブリン発現している宿主細胞集団を最初に枯渇することが必要である。このような枯渇は、固形基質に結合したトランスフェクションされない細胞への吸収の1回又は複数回のラウンドで実現されうる。その後、特異的組換え抗体を発現している細胞の陽性選択のためにトランスフェクタントを発現している抗原を使用することが可能であると考えられる。好ましい態様において、陰性及び陽性選択の交互のサイクルは、望ましい濃縮を達成するのに必要なほど頻繁に繰り返される。
【0279】
陽性選択段階の一例において、抗体を発現しているBリンパ腫細胞の、B細胞特異的抗CD19及び/又は抗CD20抗体が結合した固形基質への接着が可能になる。溶解事象を受ける接着インジケーター細胞は、ウイルスの免疫グロブリン重鎖組換え体を含むそれらの細胞質内容物の、培養液への放出を誘導する。培養液において回収された細胞及び細胞断片から収集された組換えウイルスは、未同定の軽鎖のように一部が結合された場合に、抗原の選択のための特異性を付与する免疫グロブリン重鎖をコードしているそれらの組換えウイルスについて濃縮される。この組換えウイルスの濃縮された集団により新たに感染され、及び引き続き多様な軽鎖をコードしている未選択プラスミドの同じ最初の集団によりトランスフェクションされた細胞における抗原が起動した選択の追加サイクルは、所望の重鎖の更なる濃縮につながる。この選択プロセスの複数の繰り返しは、いくつかの未同定の軽鎖と結合された限定された抗原に対する最適な特異性を有する少数の重鎖を単離する。
【0280】
先に選択された重鎖との結合において所望の特異性を付与する軽鎖を選択するために、前述のような全体の選択プロセスが、ワクシニアベースのベクターにおける宿主細胞の多様な軽鎖組換え体ライブラリーによるMOI=1での感染、それに続くに先に選択された重鎖のひとつに対するプラスミド組換え体によるトランスフェクションより繰り返される。その重鎖にとって最適な軽鎖パートナーは、前述のような抗原起動した選択の複数回のサイクルの後に単離される。
【0281】
別の好ましい態様において、同様の戦略が、特異的抗体をその表面膜に発現している細胞に付与された結合特性を探索することにより履行される。インジケーター細胞として受容体の架橋に反応してアポトーシスを受ける初期B細胞性リンパ腫を利用する代わりに、図5に図示したように、この戦略は、所望の免疫グロブリン特異性を発現している宿主細胞が、抗原が結合された合成粒子又はポリマーとの、もしくはトランスフェクションされた細胞を発現している特異的抗原の表面への結合により選択されることを可能にする。この場合、インジケーター細胞は、膜免疫グロブリン受容体の架橋に対するアポトーシス反応よりもむしろ、膜免疫グロブリン受容体の高レベル発現能について選択される。好ましい細胞株は、免疫グロブリン陰性形質細胞腫を含む。特異性、バックグラウンド及び選択プロセスの効率に関する他の問題点は、先に説明したように処理される。
【0282】
実施例 3
免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の 10 9 個の組合せライブラリーからの定義された特異性を伴う抗体の選択
ライブラリーから選択することができる特異的抗体の親和性は、そのライブラリーのサイズの関数である。一般に、ライブラリーにおいて提示された重鎖及び軽鎖の組合せが大きくなると、高親和性抗体が存在しかつ選択され得る見込みが増大する。ファージディスプレイ法を用いる先行する研究は、多くの抗原について、109個の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖組合せを含むライブラリーは、比較的高親和性の特異的抗体を選択するのに十分なサイズであることを示唆している。原則として、各々独自の重鎖及び独自の軽鎖、又は重鎖及び軽鎖の可変領域を含む組合せ部位を伴う単鎖構築物を発現している109個の組換え体を伴うライブラリーを構築することが可能である。しかし最も好ましい方法は、全て可能性のある109個の組合せにおいて同時発現することができる、105個の免疫グロブリン重鎖及び104個の免疫グロブリン軽鎖のふたつのライブラリーの構築により、この数の抗体組合せを作成することである。この例において、より大きい多様性が重鎖プールにおいて提示されるが、その理由は、重鎖は、特異的抗原結合部位に対し結合した軽鎖よりもより大きい寄与をなすとみなされることが多いからである。
【0283】
3.1 重鎖遺伝子 力価約106でのワクシニア組換え体のライブラリーは、100名の骨髄ドナーのプールに由来したRNAから先に説明された方法(実施例1)により合成された最低105個の重鎖cDNA伝達性プラスミド組換え体から構築した。後述のように、このライブラリーは、少なくとも109個の重鎖組換え体の力価まで更に拡張されなければならない。ライブラリーを拡張する好ましい方法は、およそ5x104個のBSC1細胞のミクロ培養物を、103個のワクシニア重鎖組換え体の個別のプールで感染することである。典型的には、ウイルス力価の1,000倍より多い拡張が、48時間の感染後に得られる。複数の個別のプールにおけるウイルス力価の拡張は、競合するサブセットの比較的迅速な増殖のために、組換えのサブセットが失われるリスクを軽減する。
【0284】
3.2 軽鎖遺伝子 力価およそ105のワクシニア組換え体のライブラリーは、実施例1に説明されたような、骨髄ドナーのプール由来のRNAから合成された104個の免疫グロブリン軽鎖cDNA伝達性プラスミド組換え体から構築される。後述のような重鎖選択の複数回のサイクルを使用するために、このライブラリーは更に、力価1010〜1011個の軽鎖組換え体にまで拡張されなければならない。ライブラリーを拡張する好ましい方法は、およそ5x104個のBSC1細胞の100種ミクロ培養物を、103個のワクシニア軽鎖組換え体の個別のプールで感染することである。100種の各感染された培養物から回収されたウイルス組換え体は、個別のプールとして力価108〜109個のウイルス組換え体まで更に拡張される。これらの軽鎖プールをL1からL100と標識することは都合がよい。
【0285】
3.3 免疫グロブリン重鎖組換え体の選択 非形成性(non-producing)骨髄腫、好ましくはSp2/0、又は初期B細胞性リンパ腫、好ましくはCH33の107個の細胞の100種の培養物を、生存可能なワクシニア重鎖組換え体によりMOI=1で感染し、及び同時にソラレン(4'-アミノメチル-トリオキソサレン)で失活されたワクシニア軽鎖組換え体によりMOI=1〜10で感染した(下記参照)。ソラレン失活に関しては、細胞非含有ウイルスの108〜109pfu/mlを、ソラレン10μg/mlで10分間25℃で処理し、その後長波長(365-nm)UV光に2分間曝露した(Tsung, K.、J.H. Yim、W. Marti、R.M.L. Buller、及びJ.A. Norton、J. Virol.、70:165-171(1996))。ソラレン処理したウイルスは、複製することはできないが、組換え遺伝子を含む初期ウイルス遺伝子の、初期ウイルスプロモーターの制御下、後期ウイルスプロモーターの非制御下での発現は可能である。これらの条件下で、ソラレン処理した組換え体から合成された軽鎖は、平均して各感染細胞において発現される単独の重鎖との結合において、免疫グロブリン分子に集成されうる。
【0286】
MOI=1又はMOI=10でのソラレンで失活された軽鎖組換え体による感染の選択は、MOI=1で高い及びMOI=10で低い(複数の軽鎖の希釈のため)であるような特定のH+L鎖組合せの単独の陽性細胞における相対濃度に影響を及ぼすと考えられる。細胞表面での特異的免疫グロブリンの低濃度及びそれに対応する低下された密度は、関心のあるリガンドについて比較的高い親和性を伴う抗体を選択すると予想される。他方で、高濃度の特異的受容体は、免疫グロブリン受容体を介した結合又はシグナル伝達を促進すると予想される。
【0287】
実施例2に説明された結合又はシグナル伝達による抗原特異的選択の第一サイクル後に、濃縮された組換えウイルス集団が、各培養物から、この最初の選択の間、及びウイルスの非特異的結合又は自然発生的放出のバックグラウンドレベルに左右され、インプットしたウイルス力価の1%〜10%であるような力価で、回収される。当初の軽鎖組換えプールL1からL100からのソラレン処理したウイルスを受け取る第一の選択サイクルにおいて培養物から回収された重鎖組換え体プールを、各々、H1aからH100aまで標識することが都合がよい。
【0288】
第一のサイクルと同じ条件下での第二の選択サイクルの実行のためには、回収した重鎖組換え体の力価を10〜100倍拡張することが再度必要である。第二の選択サイクルについて、非形成性骨髄腫又は初期B細胞性リンパ腫は、生存可能なウイルスの重鎖組換え体及びソラレン処理した軽鎖組換え体により再度感染され、その結果例えば、107個の細胞の同じ培養物が、プールH37aにおいて回収された重鎖組換え体及びH37a選択に使用された当初のL37プールからのソラレン処理した軽鎖組換え体で感染される。第二の選択サイクルにおいてH37aプールから回収された重鎖組換え体は、H37bなどに都合良くラベル付けされる。
【0289】
第二の選択サイクル後、特異的ウイルスの組換え体は、恐らく一般に、最初のウイルス集団に対して10倍以上に濃縮されると考えられる。この場合特異的クローンは、たとえ10倍低い力価であっても恐らく良く提示されているので、第一及び第二のサイクルと同じ条件下で第三の選択サイクルが行われる必要ない。従って第三の選択サイクルに関して、わずかに106個の非形成性骨髄腫又は初期B細胞性リンパ腫の100個の培養物が、再度生存可能なウイルスの重鎖組換え体及びコグネイトプールからのソラレン処理した軽鎖組換え体により感染される。別の感染細胞数の10分の1の低下は、第五の選択サイクル後に効果がある。
【0290】
3.4 抗原特異的重鎖組換え体の同定
(a)いずれか所定の選択サイクル後に、当初のL37プールの軽鎖との結合における抗原特異性を試験するために、重鎖プールから10種の個別のウイルスpfuを採取することにより、抗原特異的重鎖が、特定のプール、例えばH37fにおいて、10%又はそれ以上のレベル濃縮されたかどうかを決定することが可能である。軽鎖集団は、100種の個別のプールに分散された104個の多様なcDNAを含むので、平均的プールは、およそ102種の異なる軽鎖を有する。例え選択された重鎖が、入手可能な軽鎖プール中の単独型の軽鎖との結合においてのみ、所望の抗原特異性を付与するとしても、選択された重鎖組換え体及びランダム軽鎖プールによりMOI=1で感染された細胞の1%は、所望の特異性を発現すると考えられる。この頻度は、細胞が軽鎖によりMOI=10で感染された場合には、平均10%に増大することができる。特異性を確認する好ましい方法は、BAXのプロモーター、又は膜受容体架橋の結果として活性化される別のCH33遺伝子により起動される容易に検出されるレポーター構築物、例えばルシフェラーゼによりトランスフェクションされたCH33初期B細胞性リンパ腫株の、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のプールによる感染である。プラーク精製した重鎖組換え体及び関連した軽鎖プールによるこのトランスフェクタントの感染は、そのプールにおいて提示された100個又はそれ以上のいずれかの軽鎖との結合において選択された重鎖が所望の抗原特異性を付与する場合に、容易に検出されるシグナルを生じうる。感染細胞の免疫グロブリン受容体を介した特異的結合又は特異的シグナル伝達により選択されるかどうかの重鎖の分析に、これと同じ方法が適用可能であることに留意されたい。
【0291】
(b)最も確約できる抗原特異的重鎖を同定する別の方法は、選択された集団において最も高度に提示されたものに関するスクリーニングである。挿入断片は、挿入部位にフランキングしたベクター特異的プライマーを用いるPCR増幅により単離することができ、かつこれらの挿入断片は、配列決定し、観察された配列の頻度を決定することができる。しかしこの場合、依然後述のように関連した軽鎖を同定することが必要である。
【0292】
3.5 免疫グロブリン軽鎖組換え体の選択 一旦抗原特異的重鎖が単離されたならば、その重鎖との結合において抗原特異性を付与する軽鎖は、3.4(a)に説明されたような重鎖の選択に使用されるプールから単離することができる。あるいは、同じ重鎖との結合において更に親和性を増強することができるようなより大きいライブラリーから更に別の軽鎖を選択することが可能であることができる。この目的のために、ワクシニア組換え体のライブラリーは、およそ106の力価で、先に説明した方法(実施例1)で合成された最小105免疫グロブリン軽鎖cDNA伝達性プラスミド組換え体から構築される。3.3に説明した手順は入れ替えられ、その結果ここでは、非形成性骨髄腫又は初期B細胞性リンパ腫は生存可能なウイルス軽鎖組換え体によりMOI=1で、及び単独の選択されたソラレン処理した特異的重鎖組換え体で感染される。より高親和性の免疫グロブリンの選択を促進するために、軽鎖によるMOI=10での感染により、各特異的H+L鎖対の濃度を希釈することが好ましい。
【0293】
3.6 単一の免疫グロブリン軽鎖の存在下での免疫グロブリン重鎖組換え体の選択 特定の抗体特異性に寄与する免疫グロブリン重鎖の選択は、候補軽鎖が既に同定されている場合には、簡単である。これは、例えばマウスのモノクローナル抗体が先に選択された場合に該当する。マウスの軽鎖可変領域を、ヒト軽鎖定常領域に移植し、ヒト重鎖との対形成を最適化することができ、このプロセスは、ファージディスプレイ法を利用し、「方向付けられた選択(Guided Selection)」(Jespers, L.S.、A. Roberts、SM. Mahler、G. Winter、H.R.及びHoogenboom、Bio/Technology、12:899-903(1994);Figini, M.、L. Obici、D. Mezzanzanica、A. Griffiths、M.I. Colnaghi、G. Winters、及びS. Canevari、Cancer Res.、58:991-996(1998))として、これまでに別所に説明されている。この分子マッチ法は、原則として、例え更にヒト可変遺伝子フレームワーク領域がマウスの軽鎖可変領域配列へ移植されたとしても、採用することができる(Rader, C.、D.A. Cheresh、及びC.F. Barbas III、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95:8910-8915)。この修飾された抗原特異的軽鎖の対形成のために選択されたヒト重鎖を、3.5に説明されたようにより多様なプールから最適なヒト軽鎖の選択の基礎とすることができる。
【0294】
実施例 4
アデノウイルス、ヘルペスウイルス、又はレトロウイルスベクターにおいて構築された cDNA ライブラリーからの特異的ヒト抗体の選択
4.1 ヘルペスウイルス 組換え体の感染性単純ヘルペスウイルスアンプリコンのストックからヘルパーウイルス非含有ストックを作成する方法が説明されている(T.A. Stavropoulos、C.A. Strathdee、J. Virology、72:7137-7143(1998))。プラスミドアンプリコンベクターにおいて構築された単鎖断片を含む、ヒト免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖遺伝子又はそれらの断片のcDNAライブラリーを、本方法を用い感染性アンプリコン粒子のライブラリーにパッケージングすることは可能である。免疫グロブリン重鎖遺伝子を用いて構築されたアンプリコンライブラリー、及び免疫グロブリン軽鎖遺伝子を用いて構築された別のアンプリコンライブラリーは、非形成性骨髄腫細胞株の同時感染に使用することができると考えられる。望ましい特異性を伴う免疫グロブリン遺伝子組合せを発現している骨髄腫細胞は、関心のある抗原との結合の選択により濃縮することができる。ヘルペスアンプリコンは、感染細胞における安定した導入遺伝子発現が可能である。第一のサイクルにおける結合について選択された細胞は、それらの免疫グロブリン遺伝子組合せを保持し続け、かつこの特異性を伴う抗体を安定して発現しうる。これは、望ましい特異性を伴う免疫グロブリン遺伝子が単離されるまで、選択サイクルを繰り返すことを可能にする。結果的に細胞死を生じる選択戦略も試みることができる。これらの死滅した選択された細胞から回収されたアンプリコンベクターは、新鮮な標的細胞の感染に使用することはできず、その理由は、ヘルパーウイルスの非存在下において、アンプリコンは、複製欠損であり、かつ感染型にパッケージングされないからである。アンプリコンベクターは、プラスミド複製起点及び抗生物質耐性遺伝子を含む。これは、選択された細胞から細菌への精製されたDNAの形質転換により、選択されたアンプリコンベクターを回復することを可能にする。適当な抗生物質による選択は、アンプリコンベクターで形質転換された細菌細胞の単離を可能にすると考えられる。例えばアンピシリン及びカナマイシンなどの、重鎖及び軽鎖アンプリコンベクターでの異なる抗生物質耐性遺伝子の使用は、選択された細胞からの同一集団からの重鎖及び軽鎖遺伝子の個別の選択を可能にすると考えられる。アンプリコンプラスミドDNAは、この細菌から抽出することができ、かつアンプリコンDNA及びパッケージング欠損HSVゲノムDNAのパッケージング細胞への同時トランスフェクションにより感染性ウイルス粒子へパッケージングすることができる。その後感染性アンプリコン粒子は、収集され、別の選択ラウンドのための標的細胞の新鮮な集団の感染に使用され得る。
【0295】
4.2 アデノウイルス 組換えアデノウイルスの作出法は、説明されている(S. Miyake、M. Makimura、Y. Kanegae、S. Harada、Y. Sato、K. Takamori、C. Tokuda、I. Saito、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93:1320-1324(1996);T.C. He、S. Zhou、L.T. Da Costa、J. Yu、K.W. Kinzler、B. Volgelstein、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95:2509-2514(1998))。これらの方法のいずれかを用い、cDNAライブラリーをアデノウイルスベクターにおいて構築することは可能である。cDNAのアデノウイルスのE3又はE4領域への挿入は、複製コンピテントな組換えウイルスを生じる。このライブラリーは、三分子組換えにより構築されたワクシニアcDNAライブラリーと同様の用途に使用することができる。例えば、重鎖cDNAライブラリーは、アデノウイルスのE3又はE4領域へ挿入することができる。これは、複製コンピテントな重鎖ライブラリーを生じる。軽鎖cDNAライブラリーは、アデノウイルスのE1遺伝子へ挿入され、複製欠損ライブラリーを生じることができる。この複製欠損軽鎖ライブラリーは、293細胞のような、アデノウイルスE1をトランスに提供する細胞の感染により増幅することができる。これらの2種のライブラリーを、複製コンピテントなワクシニア重鎖ライブラリー及びソラレン失活したワクシニア軽鎖ライブラリーを使用することが説明された方法と同様の選択戦略に使用することができる。
【0296】
4.3 ワクシニアウイルスの利点 ワクシニアウイルスには、cDNAライブラリーの構築に関して、ヘルペスウイルス又はアデノウイルスに勝るいくつかの利点がある。第一に、ワクシニアウイルスは、宿主細胞の細胞質において複製するのに対し、HSV及びアデノウイルスは核において複製する。比較的高頻度のcDNA組換え伝達性プラスミドは、HSV又はアデノウイルスにおけるパッケージング/組換えのための核への移行を可能にするよりも、ワクシニアによる細胞質における組換えに利用可能である。第二に、ワクシニアウイルスは、配列に無関係の方法でプラスミドを複製することができるが、アデノウイルス又はヘルペスウイルスはできない(M. Merchlinsky、B. Moss、Cancer Cell、6:87-93(1988))。cDNA組換え体伝達性プラスミドのワクシニア複製は、作成される組換えウイルスを比較的高頻度で生じることができる。本発明者らは、ヘルペス又はアデノウイルスベクターにおけるcDNAライブラリー構築の可能性を説明しているが、これらのウイルスベクターのいずれかにおけるcDNAライブラリーの構築のためのこれらの方法の使用は報告されていないことは強調しておかなければならない。
【0297】
4.4 レトロウイルス 複製欠損レトロウイルスベクターにおけるcDNAライブラリーの構築は、説明されている(T. Kitamura、M. Onishi、S. Kinoshita、A. Shibuya、A. Miyajima、及びG.P. Nolan、PNAS、92:9146-9150(1995);I. Whitehead、H. Kirk、及びR. Kay、Molecular and Cellular Biology、15:704-710(1995))。レトロウイルスベクターは、標的細胞の感染時に組込まれ、かつ標的細胞を効率的に形質導入するそれらの能力のため、及び安定した導入遺伝子の発現を誘導する能力のために、広範な用途を持つようになった。免疫グロブリン重鎖遺伝子を用いて構築されたレトロウイルスcDNAライブラリー、及び免疫グロブリン軽鎖遺伝子を用いて構築された別のレトロウイルスライブラリーを使用し、非形成性骨髄腫細胞株を同時感染することができる。望ましい特異性を伴う免疫グロブリン遺伝子組合せを発現している骨髄腫細胞は、関心のある抗原への結合について選択することにより、濃縮することができる。第一のサイクルにおいて結合について選択された細胞は、それらの免疫グロブリン遺伝子組合せを保持し、かつこの特異性を伴う免疫グロブリンを安定して発現すると考えられる。これは、望ましい特異性を伴う免疫グロブリン遺伝子が単離されるまでの、選択サイクルの繰り返しを可能にする。
【0298】
実施例 5
三分子組換え
5.1 発現ライブラリーの作成 この実施例は、100%に近い組換えワクシニアウイルスを作成する、修飾されたワクシニアウイルスベクター及び関連した伝達性プラスミドを使用し、かつ初回に、ワクシニアウイルスにおける代表的DNAライブラリーの効率的構築を可能にする三分子組換え法を説明している。三分子組換え法は図6に例示している。
【0299】
5.2 ベクターの構築 先に説明したワクシニアウイルス伝達性プラスミドpJ/Kは、インフレームにNotI部位を含むワクシニアウイルスチミジンキナーゼ遺伝子を伴うpUC13由来のプラスミドであり(Merchlinsky, M.ら、Virology、190:522-526)、これは強力なワクシニアウイルスプロモーター、それに続くNotI及びApaI制限部位を取込むように更に修飾されている。ふたつの異なるベクターp7.5/tk及びpEL/tkは、各々、7.5Kワクシニアウイルスプロモーター又は強力な合成初期/後期(E/L)プロモーターを含む(図7)。ApaI部位には、ATGコドンを含む強力な翻訳開始配列が先行している。この修飾は、ワクシニアウイルスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子内に導入され、その結果これはウイルスのtk遺伝子の調節配列及びコード配列にフランキングしていた。これらの2種の新規プラスミドベクター内のtk遺伝子内の修飾は、フランキングtk配列中の相同的組換えにより、vNotI-ベクター由来のワクシニアウイルスWR株のゲノムへ伝達され、新たなウイルスベクターv7.5/tk及びvEL/tkを作成した。重要なことに、これらのウイルスベクターのNotI及びApaI制限エンドヌクレアーゼ消化後に、ふたつの大きいウイルスのDNA断片が単離され、各々ワクシニアtk遺伝子の個別の非相同セグメントを含み、かつ一緒に感染性ウイルス粒子の集成に必要な全ての遺伝子を含んでいる。これらのベクターの構築及び特徴決定並びにワクシニアウイルスにおけるDNA断片の直接ライゲーションに関するそれらの代替使用に関する更なる詳細は、実施例1に説明されている。
【0300】
5.3 ワクシニアウイルス組換え体の作出頻度の増大 ワクシニアウイルスにおける組換え体の作成に関する常法は、組換えワクシニア伝達性プラスミドとウイルスゲノムの間の相同的組換えを活用している。表3は、組換え伝達性プラスミドのワクシニアウイルス感染細胞へのトランスフェクション後の相同的組換えの頻度が、標準条件においてアッセイされる、モデル実験の結果を示している。機能アッセイを促進するために、H-2Kbと結合してオボアルブミンの免疫優性257-264ペプチドエピトープをコードしているミニ遺伝子を、伝達性プラスミドtk遺伝子のNotI部位へ挿入した。相同的組換えの結果、組換えウイルスにおいて破壊されたtk遺伝子が、野生型ウイルスのtk+遺伝子と置換された。tk-ウイルスにより感染されたtk-ヒト143B細胞は、野生型tk+ウイルスにより感染された細胞とは対照的に、BrdUの毒性作用に対し抵抗性であるので、これは、組換えのマーカーとして利用される。組換えウイルスは、125mM BrdUの存在下で培養された143B細胞におけるウイルスのpfuによりスコア化することができる。
【0301】
この様式による組換え頻度は、0.1%の桁である(表3)。
【表3】
Figure 0004368196
*ワクシニアウイルス株 vNotI
**%組換え体=(BrdUを伴う力価/BrdUを伴わない力価)x100

【0302】
この組換え頻度は、ワクシニアベクターにおけるcDNAライブラリーの効率的構築をもたらすには余りにも低い。引き続きのふたつの手順を用い、頻度が増大したワクシニアウイルス組換え体を作成した。
【0303】
(1)プラスミド導入ベクターのワクシニアウイルス感染細胞へのトランスフェクション後の相同的組換えにより作成されたウイルス組換え体の頻度を制限するひとつの要因は、ウイルス感染が高効率であるのに対して、プラスミドDNAトランスフェクションはかなり非効率であることである。結果として、多くの感染細胞は、組換えプラスミドを取込まず、従って野生型ウイルスのみを産生することが可能である。この組換え体効率の希釈を低下するために、裸のウイルスDNA及び組換えプラスミドDNAの混合物を、鶏痘ウイルス(FPV)感染した哺乳類細胞にトランスフェクションした。先に別所で説明されたように(Scheiflinger, F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9977-9981(1992))、FPVは、哺乳類細胞において複製しないが、非感染性裸のワクシニアDNAでトランスフェクションされた細胞における成熟ワクシニアウイルス粒子のパッケージングに必要な必須のヘルパー機能を提供する。この相同的組換え技術の修飾は、単独で、ウイルス組換えの体頻度をおよそ35倍し、3.5%に増大する(表4)。
【0304】
【表4】
修飾された相同的組換えによる組換えワクシニアウイルスの作成
Figure 0004368196
*%組換え体=(BrdUを伴う力価/BrdUを伴わない力価)x100

【0305】
表4、BSC1細胞の集密な単層(5x105細胞/ウェル)を、鶏痘ウイルス株HP1のMOI=1で感染した。2時間後、上清を取除き、細胞を2X Opti-Mem I培地で洗浄し、かつリポフェクタミンを用い、600ngワクシニア株WRゲノムDNAと単独で、又はモル比1:1もしくは1:10(ワクシニア:プラスミド)のプラスミドpE/Lovaと共にのいずれかで使用し、トランスフェクションした。このプラスミドは、オボアルブミンcDNAの断片を含み、これは、マウスのクラスI MHC分子Kbに高親和性で結合することがわかっているSILNFEKLエピトープをコードしている。このミニ遺伝子の発現は、強力な合成初期/後期ワクシニアプロモーターにより制御される。この挿入断片は、ワクシニアtk DNAにフランキングされる。3日後、細胞を収集し、ウイルスをドライアイスイソプロパノール/37℃水浴における凍結/解凍の3サイクルにより抽出した。粗ウイルスストックを、BrdUを伴う又は伴わずにヒトTK-143B細胞についてプラークアッセイにより力価滴定した。
【0306】
(2)ウイルス組換え体頻度の更なる顕著な増加は、FPV感染細胞の、組換えプラスミド、並びにNotI及びApaI制限エンドヌクレアーゼによる消化により作成したワクシニアウイルスv7.5/tk DNAのおよそ80kb及び100kbのふたつの大きい断片との混合物によるトランスフェクションにより得られた。NotI及びApaI部位は、tk遺伝子に導入されており、これらの大きいワクシニアDNAアームは各々、tk遺伝子断片を含んでいる。これらふたつのtk遺伝子断片の間に相同性はないので、これらふたつのワクシニアアームが結合される唯一の方法は、組換え伝達性プラスミド中の挿入断片にフランキングしている相同なtk配列を介した橋かけである。表5の結果は、感染tk-細胞のBrdU耐性により決定されるように、三重にトランスフェクションされた細胞において産生された感染性ワクシニアウイルスの>99%が、DNA挿入断片についての組換え体であることを示している。
【0307】
【表5】
三分子組換えを用いる100%組換えワクシニアウイルスの作成
Figure 0004368196
*%組換え体=(BrdUを伴う力価/BrdUを伴わない力価)x100

【0308】
表5 ワクシニア株V7.5/tk(1.2μg)からのゲノムDNAを、ApaI及びNotI制限エンドヌクレアーゼで消化した。消化したDNAは、半分に分割された。これらのプールのひとつを、1:1(ワクシニア:プラスミド)のモル比でpE/Lovaと混合した。このプラスミドは、オボアルブミンcDNAの断片を含み、これは、マウスのクラスI MHC分子Kbに高親和性で結合することがわかっているSILNFEKLエピトープをコードしている。このミニ遺伝子の発現は、強力な合成初期/後期ワクシニアプロモーターにより制御される。この挿入断片は、ワクシニアtk DNAにフランキングされる。DNAを、リポフェクタミンを用い、先にMOI=1.0のFPVで2時間感染したBSC1細胞の集密な単層(5x105細胞/ウェル)にトランスフェクションした。ひとつの試料は、600ngの未処理のゲノムV7.5/tk DNAでトランスフェクションした。3日後、細胞を収集し、ウイルスをドライアイスイソプロパノール/37℃水浴における凍結/解凍の3サイクルにより抽出した。粗ウイルスストックを、BrdU選択を伴う又は伴わずにヒトTK-143B細胞についてプラークアッセイした。
【0309】
5.4 ワクシニアウイルスにおける代表的 cDNA ライブラリーの構築 cDNAライブラリーを、ワクシニアベクターにおいて構築し、公知の細胞mRNA配列の代表的発現を明らかにした。感染細胞における組換え発現効率を増大するために、追加の修飾を、p7.5/tk伝達性プラスミド及びv7.5/tkウイルスベクターに導入した。これらは、3種の異なるリーディングフレーム内の翻訳開始部位並びに翻訳及び転写の両停止シグナルの導入、更にはDNA挿入のための追加の制限部位の導入を含む。
【0310】
第一に、p7.5/tkのHindIII J断片(ワクシニアtk遺伝子)を、このプラスミドからpBSファージミド(Stratagene社)のHindIII部位へサブクローニングし、pBS.Vtkを作出した。
【0311】
第二に、pBSV.tkの当初のマルチクローニング部位の一部を、SmaI及びPstIによるプラスミドの消化により除去し、マングマメヌクレアーゼで処理し、それ自身戻しライゲーションし、pBS.Vtk.MCS-を作出した。この処理は、pBS.Vtkから独自のSmaI、BamHI、SalI、及びPstI部位を除去した。
【0312】
第三に、この時点の目的は、pBS.Vtk.MCS-において新規マルチクローニング部位を7.5kプロモーターの下流に導入することであった。新たなマルチクローニング部位は、4種の異なる上流プライマー及び共通の下流プライマーを用い、PCRにより作成した。まとめると、これら4種のPCR産物は、ATG開始コドンを含まないか、又はATG開始コドンを3種の各可能性のあるリーディングフレーム内に含んだ。加えて、各PCR産物は、その3'末端に、3種全てのリーディングフレーム内に翻訳停止コドン、及びワクシニアウイルス転写二重停止シグナルを含んだ。これらの4種のPCR産物は、pBS.Vtk.MCS-のNotI/ApaI部位に個別にライゲーションし、4種のベクター、p7.5/ATG0/tk、p7.5/ATG1/tk、p7.5/ATG2/tk、及びp7.5/ATG3/tkを作出し、図12にそれらのp7.5/tkベクターに対する配列修飾を示した。各ベクターは、DNA挿入断片のクローニングのために、独自のBamHI、SmaI、PstI、及びSalI部位を含み、これはそれら自身の内因性翻訳開始部位(ベクターp7.5/ATG0/tk内)を使用するか、もしくは3種の可能性のあるリーディングフレームのいずれかひとつのベクター翻訳開始部位を使用する(p7.5/ATG1/tk、p7.5/ATG3/tk、及びp7.5/ATG4/tk)かのいずれかである。
【0313】
モデル実験において、本明細書に説明されたもしくは当技術分野において公知の別所に説明されたように、cDNAは、マウス腫瘍細胞株(BCA39)のポリ-A+ mRNAから合成され、かつ4種の修飾されたp7.5/tk伝達性プラスミドの各々へライゲーションされる。本発明に記されるか、さもなければ当技術分野において公知であるように、この伝達性プラスミドは、大腸菌のような真核宿主細胞による継代により増幅される。20μgのNotI及びApaIで消化したv/tkワクシニアウイルスDNAアーム及び4種の組換えプラスミドcDNAライブラリーの等モル混合物を、三分子組換えのために、FPVヘルパーウイルス感染したBSC-1細胞へトランスフェクションした。収集したウイルスは、総力価6x106pfuを有し、その90%より多くが、BrdU耐性であった。
【0314】
組換えワクシニアライブラリー中のcDNA挿入断片のサイズ分布を特徴付けるために、個別の単離されたプラークを、滅菌したパスツールピペットを用いて採取し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)100μlが入った1.5mlチューブへ移した。ウイルスは、ドライアイス/イソプロパノール及び37℃水浴の凍結/解凍の3サイクルにより、細胞から放出された。およそ1/3の各ウイルスプラークを使用し、最終容量250μlでtk-ヒト143B細胞を含有する12ウェルプレートのひとつのウェルを感染した。2時間の感染期間の最後に、各ウェルを、2.5%ウシ胎児血清を伴う1ml DMEM(DMEM-2.5)及び最終濃度125μg/mlとするのに十分なBUdRで積層した。細胞を、37℃で3日間、CO2インキュベーター中でインキュベーションした。3日目に細胞を収集し、遠心によりペレット化し、かつ500μl PBS中に再懸濁した。ウイルスは、前述の凍結/解凍の3サイクルにより細胞から放出された。各ウイルスストックの20%を使用し、最終容量3mlのDMEM-2.5中で、50mm組織培養皿においてBSC-1細胞の集密な単層を感染した。2時間の感染期間の最後に、細胞にDMEM-2.5 3mlを積層した。細胞を、37℃で3日間、CO2インキュベーター中でインキュベーションした。3日目に細胞を収集し、遠心によりペレット化し、かつ300μl PBS中に再懸濁した。ウイルスは、前述の凍結/解凍の3サイクルにより細胞から放出された。粗ウイルスストック100μlを、1.5mlチューブに移し、等容量の融解した2%低融点アガロースを添加し、かつウイルス/アガロース混合物を、パルスフィールドゲルサンプルブロックに移した。寒天のウォーム(agar worms)が固化した場合、これらは、サンプルブロックから除去し、3個の等量の切片に切断した。3個の切片全てを、同じ1.5mlチューブに移し、かつ0.5M EDTA、1%Sarkosyl、0.5mg/mlプロテイナーゼKの250μlを添加した。このウォームを、この溶液中で、37℃、24時間インキュベーションした。ウォームを、0.5XTBE緩衝液500μlで数回洗浄し、各ウォームの1切片を、1%低融点アガロースゲルのウェルに移した。これらのウォームを添加した後、ウェルを、追加の融解した1%低融点アガロースを添加することにより、シールした。その後このゲルを、Bio-Rad社パルスフィールドゲル電気泳動装置により、200ボルト、8秒パルス時間で、0.5XTBE中、16時間、電気泳動した。このゲルを、臭化エチジウム染色し、かつワクシニアゲノムcDNAを含有するアガロース部分を、ゲルから切出し、かつ1.5mlチューブへ移した。ワクシニアDNAを、製造業者の推奨に従いβ-Agarase(Gibco社)を用い、アガロースから精製した。精製したワクシニアDNAを、50μl ddH2O中に再懸濁した。各DNAストック1μlを鋳型として用い、ワクシニアTK特異的プライマーMM428及びMM430(挿入部位にフランキングする)並びにKlentaqポリメラーゼ(Clontech社)を製造業者の推奨に従い用い、最終容量20μlでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。反応条件は、最初の変性段階が95℃で5分間、その後下記を30サイクルであった:94℃で30秒間、55℃で30秒間、68℃で3分間。各PCR反応液2.5μlを、1%アガロースゲル上に溶解し、臭化エチジウムで染色した。多様なサイズの増幅断片が認められた。PCRにおいて増幅したフランキングベクター配列について補正した場合、これらの挿入断片のサイズは300〜2500bpの範囲であった。
【0315】
このライブラリーの遺伝子産物の代表的発現は、ワクシニアライブラリーにおける特異的cDNA組換え体頻度は、標準プラスミドライブラリーにおいて同じcDNAの組換え体が生じる頻度から識別不能であることを明らかにすることにより、確立された。これを、マウス腫瘍においてアップレギュレーションされることが先に示されたIAP配列について表6に図示した。ワクシニアライブラリーからの平均800又は200ウイルスpfuのいずれかを伴う20種の個別のプールを、BDUR存在下における143B tk-細胞のミクロ培養物の感染により増幅した。DNAは、3日後各感染培養物から抽出し、配列特異的プライマーによるPCRにより、先に特徴付けた内因性レトロウイルス(TAP、イントラシスターブルA粒子)配列の存在に関しアッセイした。陽性プールの頻度のポアソン解析は、およそ500ウイルスpfu毎に1個のIAP組換え体頻度を示している(表6)。同様に、プラスミドライブラリーからの平均1,400又は275細菌cfuのいずれかを伴う20種の個別のプールは、DH5細菌の形質転換により増幅した。各プールからのプラスミドDNAは、同じIAP配列の存在についてアッセイした。陽性プールの頻度のポアソン解析は、450プラスミド毎に1個のIAP組換え体頻度を示している(表6)。
【0316】
【表6】
Figure 0004368196
F0=陰性ウェル画分;μ=DNA前駆体/ウェル=-lnF0
【0317】
同様の分析を、ワクシニアライブラリーにおけるαチューブリン配列の提示に関し行い、同様の結果であった。同じ腫瘍cDNAから構築したふたつのライブラリーにおける任意選択した配列の同等の頻度は、ワクシニアライブラリーの構築はプラスミドライブラリーの構築よりも、やや複雑でありかつある種一般性は低いが、腫瘍cDNA配列を同等に提示することを示唆している。
【0318】
考察
前述の三分子組換え戦略は、ほぼ100%のウイルス組換え体を生じた。これは、プラスミド伝達ベクターのワクシニアウイルス感染細胞へのトランスフェクションによるウイルスの組換え体の作成について、現行法よりも高度に著しく改善されている。後者の手法は、わずかに0.1%の桁の頻度で、ウイルス組換え体を生じている。三分子組換えにおけるウイルス組換え体の高収率は、1回目に、ワクシニアウイルス由来のベクターにおいてゲノム又はcDNAライブラリーを効率的に構築することを可能にする。第一実験シリーズにおいて、力価6x106個の組換えウイルスを、20μgのNotI及びApaI消化したワクシニアベクターアームの、等モル濃度の腫瘍細胞cDNAとの混合物によるトランスフェクション後に得た。この技術の利点は、特異的ゲノム及びcDNAクローンの単離に関する、新規かつ効率的スクリーニング及び選択戦略の可能性をもたらしている。
【0319】
本明細書に明らかにされた三分子組換え法は、ワクシニア及びヘルペスウイルスを含む哺乳類ウイルスのような他のウイルスと共に使用することができる。典型的には、相同でない2種のウイルスアームが作成される。これらのウイルスアームが結合することができる唯一の方法は、プラスミドのような導入ベクターの挿入断片にフランキングしている相同配列の橋かけである。2種のウイルスアーム及び導入ベクターが、同じ細胞に存在する場合、作出された感染性ウイルスのみが、導入ベクター内のDNA挿入断片へ組換えられる。
【0320】
本発明の三分子組換え法によりワクシニア及び他の哺乳類ウイルスにおいて構築されたライブラリーは、本発明のCTLスクリーニングシステムにおいて標的抗原を同定する際にワクシニアウイルス及びその使用に関して本明細書に説明されたものと同様の利点を有すると考えられる。同様の利点は、真核細胞においてより複雑なアッセイが行われる場合に、ワクシニア又は他の哺乳類ウイルスにおいて構築されたDNAライブラリーについて期待される。このようなアッセイは、真核細胞における受容体及びリガンドをコードしているDNAのスクリーニングを含むが、これらに限定されるものではない。
【0321】
実施例 6
伝達性プラスミドの調製
導入ベクターは、公知の手段によるクローニングのために調製される。好ましい方法は、適当な制限エンドヌクレアーゼ(例えば、SmaI及びSalI又はBamHI及びSalI)による、適当な緩衝液中、適当な温度における、少なくとも2時間にわたる、1〜5μgのベクターの切断に関する。線状の消化されたベクターは、消化されたベクターの0.8%アガロースゲルによる電気泳動により単離される。線状プラスミドは、ゲルから切り出され、かつ周知の方法を用いて、アガロースから精製される。
【0322】
ライゲーション cDNA及び消化した導入ベクターを、周知の方法を用いて互いにライゲーションした。好ましい方法において、導入ベクター50〜100ngを、T4 DNAリガーゼを用い、cDNAの変動する濃度で、適当な緩衝液、14℃で18〜24時間かけて、ライゲーションした。
【0323】
形質転換 ライゲーション反応のアリコートを、周知の方法を用い、DH10B又はDH5αのような大腸菌で電気穿孔により形質転換した。形質転換反応液を、選択的抗生物質(アンピシリン)を含有するLB寒天プレート上に播種し、かつ14〜18時間31℃で増殖した。形質転換された細菌を全て、一緒にプールし、かつ周知の方法を用いプラスミドDNAを単離した。
【0324】
本発明の好ましい方法の前記説明において言及した緩衝液の調製は、当業者には明白であると思われる。
【0325】
実施例 7
三分子組換えのための組織培養細胞へのワクシニアウイルス DNA 断片及び伝達性プラスミドの導入
cDNA又は他のライブラリーを、実施例5において説明したように、又は他の当技術分野において公知の技術により、4種の伝達性プラスミドにおいて構築した。三分子組換えを使用し、このcDNAライブラリーをワクシニアウイルスへ伝達した。BSC1細胞の集密な単層を、鶏痘ウイルスHP1によりMOI=1〜1.5で感染した。感染は、0.1%ウシ血清アルブミンを補充した血清非含有培地において行った。BSC1細胞は、12ウェルもしくは6ウェルプレート、60mmもしくは100mm組織培養プレート、又は25cm2、 75cm2、もしくは150cm2フラスコに入れた。v7.S/tk又はvEL/tk由来の精製したDNAを、制限エンドヌクレアーゼApaI及びNotIで消化した。これらの消化後、これらの酵素を熱失活し、かつ消化したワクシニアアームを、セントリコン100カラムを用い精製した。その後トランスフェクション複合体を、消化したワクシニアDNAと伝達性プラスミドcDNAライブラリーの間で形成した。好ましい方法は、リポフェクタミン又はリポフェクタミンプラス(Life Technologies社)を用い、これらのトランスフェクション複合体を形成する。12ウェルプレート中におけるトランスフェクションは、通常、0.5μgの消化されたワクシニアDNA及び10ng〜200ngのライブラリーからのプラスミドDNAを必要としている。より大きい培養容器における細胞へのトランスフェクションは、比例して増大する量のワクシニアDNA及び伝達性プラスミドを必要とする。37℃で2時間の感染後、鶏痘を除去し、並びにワクシニアDNA、伝達性プラスミドのトランスフェクション複合体を添加した。これらの細胞を、トランスフェクション複合体と3〜5時間インキュベーションし、その後トランスフェクション複合体を除去し、かつ2.5%ウシ血清アルブミンを補充した1ml DMEMと置き換えた。細胞を、CO2中で37℃で3日間インキュベーションした。3日後、細胞を収集し、かつウイルスをドライアイス/イソプロパノール及び37℃の水浴の凍結/乾燥の3サイクルにより放出した。
【0326】
実施例 8
哺乳類細胞のトランスフェクション
本実施例は、ワクシニアDNA及び伝達性プラスミドで細胞をトランスフェクションする別法を説明している。三分子組換えは、例えば、リン酸カルシウム沈降法を使用する、消化したワクシニアDNA及び伝達性プラスミドの宿主細胞へのトランスフェクションにより行うことができる(F.L. Graham、A.J. Van der Eb、Virology、52:456-467(1973);C. Chen、H. Okayama、Mol. Cell. Biol.、7:2745-2752(1987))、DEAE-デキストラン(D.J. Sussman、G. Milman、Mol. Cell. Biol.、4:1641-1643(1984))、又は電気穿孔(T.K. Wong、E. Neumann、Biochem. Biophys. Res. Commun.、107:584-587(1982);E. Neumann、M. Schafer-Ridder、Y. Wang、P.H. Hofschneider、EMBO J.、1:841-845(1982))。
【0327】
実施例 9
MVA 三分子組換えベクターの構築
三分子組換えに適した修飾ワクシニア・アンカラ(MVA)ベクターの構築のためには、2種の独自の制限エンドヌクレアーゼ部位が、MVA tk遺伝子へ挿入されなければならない。完全なMVAゲノム配列は公知である(GenBank U94848)。この配列を検索し、制限エンドヌクレアーゼAscI、RsrII、SfiI、及びXmaIはMVAゲノムを切断しないことが明らかになった。制限エンドヌクレアーゼAscI及びXmaIを、市販の酵素という理由で選択し、AscI及びXmaIは、各々、8bp及び6bpの認識配列サイズを有する。これらの部位をMVA tk遺伝子に導入するためには、XmaI及びAscI部位にフランキングしたレポーター遺伝子(大腸菌gusA)を含む構築物が作出される。Gus遺伝子は、pCRII.Gusにおいて入手可能である(M. Merchlinsky、D. Eckert、E. Smith、M. Zauderer、Virology、238:444-451(1997))。このレポーター遺伝子構築物を、レポーター遺伝子の発現を制御するために、ワクシニアtk DNAフランク及び初期/後期7.5kプロモーターを含む伝達性プラスミドにクローニングされる。Gus遺伝子は、この構築物から、Gus特異的プライマーを用い、PCR増幅される。Gusセンス
Figure 0004368196
及びGusアンチセンス
Figure 0004368196
その後このGus PCR産物は、センスプライマー上にNotI及びXmaI部位、アンチセンスプライマー上にAscI及びApaI部位を含むように修飾されているGus特異的プライマーによりPCR増幅される。これらのプライマーの配列は、以下である:
NX-Gusセンス:
Figure 0004368196
及び
AA-Gusアンチセンス:
Figure 0004368196
【0328】
このPCR産物は、NotI及びApaIにより消化され、かつp7.5/tkのNotI及びApaI部位へクローニングされる(M. Merchlinsky、D. Eckert、E. Smith、M. Zauderer、Virology、238:444-451(1997))。7.5k-XmaI-gusA-AscI構築物は、許容QT35又はBHK細胞において、通常の相同的組換えによりMVAへ導入される。組換え体プラークは、Gus基質X-Glu(5-ブロモ-3-インドイル-β-D-グルクロン酸;Clontech社)により選択的に染色される(M.W. Carroll、B. Moss.、Biotechniques、19:352-355(1995))。独自のXmaI及びAscI部位も含むMVA-Gusクローンは、等質性(homogeneity)にプラーク精製される。MVA-Gusの大規模培養物は、BHK細胞上において増幅され、かつ裸のDNAは、精製されたウイルスから単離される。XmaI及びAscIによる消化後、MVA-Gus DNAは、MVAにおけるcDNA発現ライブラリーの構築のための三分子組換えに使用される。
【0329】
MVAは、ほとんどの哺乳類細胞においてその生活環を完了することはできない。この弱毒化は、組換えcDNAの高レベルの発現の延長を生じるが、生存可能なMVAは、感染細胞から回収することができない。選択された細胞から生存可能なMVAを回収できないことは、関心のある機能性cDNA組換え体を単離するために必要な繰り返しの選択サイクルを妨害する。この問題に対する解決法は、MVAの宿主範囲欠損を補完ことができるヘルパーウイルスによる、MVA感染細胞の感染である。このヘルパーウイルスは、その生活環の補完に必須のMVAが欠損している遺伝子産物(複数)を提供することができる。恐らく別の宿主範囲が制限されたヘルパーウイルス、例えば鶏痘は、哺乳類細胞においても制限されているので、これらのウイルスはMVA欠損体(複数)を補完することができないと考えられる。ワクシニアウイルスの野生型株は、MVAを補完することができると考えられる。しかしこの場合、複製コンピテントなワクシニアウイルスの産生は、組換えMVAクローンの選択及び単離の追加のサイクルを完了するであろう。複製コンピテントなウイルスの作成を伴わずに、非許容条件下での哺乳類細胞からの生存可能なMVAの回収に必要なヘルパー機能を提供する条件付き欠損型ワクシニアウイルスを、使用することができる。ワクシニアD4Rオープンリーディングフレーム(orf)は、ウラシルDNAグリコシラーゼ酵素をコードしている。この酵素は、ワクシニアウイルス複製に必須であるが、これは感染後早期に発現され(DNA複製前)、この遺伝子の破壊はワクシニアにとって致命的である。ワクシニアD4R遺伝子を発現している安定してトランスフェクションされた哺乳類細胞株は、D4R欠失ワクシニアウイルスを補完することができることが明らかにされている(G. W. Holzer、F.G. Falkner、J. Virology、71:4997-5002(1997))。D4R欠損ワクシニアウイルスは、哺乳類細胞においてMVAを補完するヘルパーウイルスとしての優れた候補であると考えられる。
【0330】
D4Rを補完する細胞株を構築するために、D4R orfを、ワクシニア株v7.5/tkから、プライマーD4R-センス
Figure 0004368196
及びD4Rアンチセンス
Figure 0004368196
を用いるPCR増幅によりクローニングした。このセンスプライマーは、BamHI部位を含むように修飾され、かつアンチセンスプライマーは、NotI部位を含むように修飾されている。PCR増幅並びにBamHI及びNotIによる消化後に、D4R orfは、pIRESHyg(Clontech社)のBamHI部位及びNotI部位にクローニングされる。この哺乳類発現ベクターは、強力なCMV前初期プロモーター/エンハンサー及びECMV内部リボソーム結合部位(IRES)含む。このD4RIRESHyg構築物は、BSC1細胞へトランスフェクションされ、かつトランスフェクションされたクローンは、ヒグロマイシンについて選択される。IRESは、5'末端にD4Rorf、及び3'末端にヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を含むポリシストロン性mRNAの効率的翻訳を可能にする。これは、機能性ヒグロマイシン耐性クローンを高頻度で生じる(これらのクローンはD4Rを発現する)。D4Rを発現しているBSC1細胞(BSC1.D4R)は、D4R欠損ワクシニアを補完し、この欠損株の作成及び繁殖をもたらすことができると考えられる。
【0331】
D4R欠損ワクシニアを構築するために、D4R orf(ワクシニアゲノムの100732位〜101388位)並びにフランキング配列の983bp(5'末端)及び610bp(3'末端)が、このワクシニアゲノムからPCR増幅される。プライマーD4R Flankセンス
Figure 0004368196
及びD4R Flankアンチセンス
Figure 0004368196
は、クローニングのためのSacI(センス)及びXhoI(アンチセンス)部位を含み、ワクシニアゲノムの99749位から101998位を増幅する。このPCR産物は、pBluescript II KS(Stratagene社)のSacI部位及びXhoI部位にクローニングされ、pBS.D4R.Flankを作成する。このD4R遺伝子は、657bp orfのヌクレオチド3位から始まる独自のEcoRI部位、及びこのorfの433位のヌクレオチドで始まる独自のPstI部位を含む。Gus発現カセットのD4RのEcoRI部位及びPstI部位への挿入は、ほどんどのD4Rコード配列を除去する。7.5kプロモーター-Gus発現ベクターが構築されている(M. Merchlinsky、D. Eckert、E. Smith、M. Zauderer.、Virology、238:444-451(1997))。7.5-Gus発現カセットは、このベクターから、プライマー7.5Gusセンス
Figure 0004368196
及び7.5Gusアンチセンス
Figure 0004368196
を用いるPCRにより、単離される。この7.5Gusセンスプライマーは、EcoRI部位を含み、及び7.5GusアンチセンスプライマーはPstI部位を含むと考えられる。PCR増幅後、75Gus分子は、EcoRI及びPstIにより消化され、pBS.D4R.FlankのEcoRI部分及びPstI部位に挿入され、pBS.D4R-/7.5Gus+を作成する。D4R-/Gus+ワクシニアは、pBS.D4R-/7.5Gus+構築物のv7.5/tk感染BSC1.D4R細胞へのトランスフェクションによる通常の相同的組換えにより作成される。D4R-/Gus+ウイルスは、BSC1.D4R細胞上でのプラーク精製により単離され、かつX-Gluで染色される。D4R-ウイルスは、哺乳類細胞におけるMVAゲノムの補完及びレスキューに使用することができる。
【0332】
関連した態様において、MVAゲノムは、他の欠損ポックスウイルスを伴う哺乳類細胞においてレスキューされ、かつソラレン/UV-失活された野生型ポックスウイルスによってもレスキューされる。ソラレン/UV失活はここで考察されている。
【0333】
実施例 10
D4R 三分子組換えベクターの構築及び使用
ポックスウイルス感染は、宿主細胞タンパク質及びRNAの合成に対する劇的な阻害作用を有する。これらの宿主遺伝子発現に対する作用は、一部の条件下で、限定された宿主細胞に対する生理的作用を有する特異的ポックスウイルス組換えの選択を妨害する。必須の初期遺伝子において欠失されているワクシニアウイルスの一部の株は、宿主細胞タンパク質合成に対するより大きく低下された阻害作用を有することが示されている。従って、初期遺伝子機能を欠失しているポックスウイルスベクターにおける組換えcDNAライブラリーの作成は、一部の宿主遺伝子の生理作用に関するそれらの継続した活性のある発現に依存したある種の組換え体の選択にとって有利であると考えられる。必須のウイルス遺伝子の破壊は、変異体株の繁殖を妨害する。しかしワクシニアの複製欠損株は、宿主細胞におけるトランス補完(transcomplementation)を介した喪失機能の提供により、もしくはこの遺伝子の発現を誘導し得るヘルパーウイルスにより、レスキューされる。
【0334】
複製欠失株において構築されたポックスウイルスライブラリーによる細胞集団の感染は、宿主細胞シグナル伝達機能、分化経路、及び転写調節に対する感染の作用を大きく減弱する。この戦略の更なる重要な恩恵は、標的化された転写調節領域の制御下での必須遺伝子の発現が、それ自身、転写調節領域の活性化に直接的又は間接的につながる組換えウイルスの選択によることである。例は、初期B細胞前駆体上の表面免疫グロブリン受容体の架橋の結果として活性化された遺伝子のプロモーター、又は幹細胞分化後に誘導されたマーカーをコードしている遺伝子のプロモーターを含む。このようなプロモーターが必須のウイルス遺伝子の発現を起動する場合、その結果その転写調節因子の発現を直接的又は間接的に活性化するこれらのウイルス組換え体が、複製しかつ感染性粒子としてパッケージングされる。この方法は、dipA又はCTL標的エピトープの発現を基にした選択法よりも(then)はるかに低いバックグラウンドを生じる可能性があり、その理由は、誘導されない細胞は、非特異的バイスタンダー作用を介して放出される複製コンピテントなワクシニアウイルスを含まないからである。これらの選択された組換え体は、更に、補完する細胞株において又は補完するヘルパーウイルスもしくはトランスフェクションされたプラスミドの存在下で拡張することができる。
【0335】
多くの必須の初期ワクシニア遺伝子が説明されている。好ましくは、D4R遺伝子を欠失しているワクシニア株が使用される。ワクシニアD4Rオープンリーディングフレーム(orf)は、ウラシルDNAグリコシラーゼ酵素をコードしている。この酵素は、ウイルスDNA複製に必要であり、及びこの遺伝子の破壊はワクシニアにとって致命的である(A.K. Millns、M.S. Carpenter、及びA.M. Delange、Virology、198:504-513(1994))。ワクシニアD4R遺伝子を発現している安定してトランスフェクションされた哺乳類細胞株は、D4R欠失ワクシニアウイルスを補完することができることが明らかにされている(G. W. Holzer、F.G. Falkner、J. Virology、71:4997-5002(1997))。D4Rが補完されない場合、D4R欠失ワクシニアによる感染は、宿主細胞タンパク質合成の阻害の大きい低下を招く(Hoizer及びFalkner)。D4R欠失ワクシニアのtk遺伝子へ挿入された外来遺伝子は、例えD4R補完を欠いていても、高レベルで発現され続けることも示されている(M. Himly、M. Pfleiderer、G. Holzer、U. Fischer、E. Hannak、F.G. Falkner、及びF. Dorner、Protein Expression and Purification、14:317-326(1998))。従って複製欠失D4R株は、一部の宿主遺伝子の生理的作用に関するそれらの継続した活性のある発現に左右されるウイルス組換え体の選択に良く適している。
【0336】
D4R欠損ワクシニア株において構築された代表的cDNAライブラリーからの特異的組換え体の選択のためにこの戦略を実行するためには、下記細胞株及びベクターが必要である:
1. D4R発現している補完している細胞株が、D4R欠失ウイルスストックの拡張のために必要である。
2. D4R遺伝子は、三分子組換えに適したウイルス株において欠損又は失活されなければならない。
3. CH33 Bリンパ腫細胞上の膜免疫グロブリン受容体の架橋後に誘導されるBAX又は他の遺伝子の発現を調製するような様々な誘導性プロモーター、又はC3H10T1/2前駆細胞からの軟骨細胞分化の誘導後のX型コラーゲンの発現のためのプロモーターの制御下で、D4Rを発現するプラスミド又はウイルスの構築物が作成されなければならない。関連した細胞株におけるこれらの構築物の安定したトランスフェクションは、特異的組換え体をレスキューするために必要である。あるいは、関連のある構築物を発現しているヘルパーウイルスが、細胞株又は初代培養物のいずれかにおける発現の誘導に使用され得る。
【0337】
10.1 D4R 補完細胞株の構築 D4R補完細胞株は、下記のように構築される。第一に、D4R orf(ワクシニアゲノムの100732位から101388位に位置する)は、ワクシニア株v7.5/tkから、下記プライマーを使用するPCR増幅によりクローニングされる:
D4R-センス:
Figure 0004368196
本明細書においては配列番号:104と称す;及び
D4R-アンチセンス:
Figure 0004368196
本明細書においては配列番号:105と称す。
センスプライマーは、EcoRI部位を含むように修飾され、アンチセンスプライマーは、BamHI部位(両方とも下線付き)を含むように修飾された。標準PCR増幅及びEcoRI及びBamHIによる消化後、得られるD4R orfは、pIRESneo(Clontech社から入手可能、パロアルト、CA)のEcoRI及びBamHI部位にクローニングした。この哺乳類発現ベクターは、強力な前初期プロモーター/エンハンサー及びECMV内部リボソーム結合部位(IRES)を含む。このD4R/IRESneo構築物を、BSC1細胞へトランスフェクションし、かつトランスフェクションされたクローンを、G418で選択した。このIRESは、5'末端にD4R orf、及び3'末端にネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を含むポリシストロン性mRNAの効率的な翻訳を可能にする。これは、機能性高頻度のG418耐性クローンを生じる(このクローンはD4Rを発現する)。トランスフェクションされたクローンは、高レベルのD4R mRNAを発現しているクローンを同定するために、プローブとしてD4R遺伝子を用い、ノーザンブロットにより試験される。D4Rを発現するBSC1細胞(BSC1.D4R)は、D4R欠失ワクシニアを補完することができ、D4R欠損ウイルスの作成及び繁殖をもたらす。
【0338】
10.2. D4R 欠失ワクシニアベクターの構築 前記実施例5において説明された三分子組換えに適するD4R-欠失ワクシニアウイルスは、下記方法を用いる、大腸菌GusA発現カセットの300-bp欠損への挿入による、D4R orf(ワクシニアゲノムの100732位から101388位)の破壊により構築される。
【0339】
GusA遺伝子を挿入するために、その挿入部位にフランキングする領域を、下記のようにワクシニアウイルスから増幅する。左側フランキング領域は、下記プライマーにより増幅される:
D4R左側フランキングするセンス:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:106と称す;及び
D4R左側フランキングするアンチセンス:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:107と称す。
これらのプライマーは、ワクシニアゲノムの100167位から100960位に広がる領域を増幅し、かつクローニングのためにHindIII(センス)及びPstI(アンチセンス)部位を含むように(両方とも下線付き)修飾される。得られるPCR産物を、HindIII及びPstIで消化し、かつpBS(Stratagene社より入手)のHindIII部位及びPstI部位にクローニングし、pBS.D4R.LFを作出した。右側フランキング領域は、下記プライマーにより増幅した:
D4R右側にフランキングするセンス:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:108と称す;及び
D4R左側フランキングするアンチセンス:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:109と称す。
これらのプライマーは、ワクシニアゲノムの101271位から101975位に広がる領域を増幅し、かつクローニングのためにBamHI(センス)及びSacI(アンチセンス)部位を含むように(両方とも下線付き)修飾される。得られるPCR産物を、BamHI及びSacIで消化し、かつpBS.D4R.LFのBamHI部位及びSacI部位にクローニングし、pBS.D4R.LF/RFを作出した。
【0340】
ポックスウイルス合成初期/後期(E/L)プロモーターに操作可能に結合されたGusAコード領域を含む発現カセットは、pBS.D4R.LF/RFに、下記の方法により挿入される。E/Lプロモーター-Gusカセットは、Merchlinsky, M.らの論文(Virology、238:444-451(1997))に説明されたpEL/tk-Gus構築物に由来している。Gus ATG開始コドンのすぐ上流のNotI部位は、pEL/tk-GusのNotIによる消化により除去され、その後クレノウ断片との反応及びそれ自身の再ライゲーションにより満たされ、pEL/tk-Gus(NotI-)を生じる。E/L-Gus発現カセットは、pEL/tk-Gus(NotI-)から、下記プライマーを使用する標準のPCRにより単離される:
EL-Gusセンス:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:110と称す;及び
EL-Gusアンチセンス:
Figure 0004368196
本明細書において配列番号:111と称す。
EL-Gusセンスプライマーは、SalI部位を含み、かつEL-Gusアンチセンスプライマーは、BamHI部位(両方とも下線付き)を含む。PCR増幅後、EL-Gusカセットは、SalI及びBamHIで消化され、かつpBS.D4R.LF/RFのSalI部位及びBamHI部位に挿入され、pBS.D4R-/ELGusを作成する。この伝達性プラスミドは、D4R配列により両側がフランキングされたEL-Gus発現カセットを含む。D4R orfへ操作された300bp欠損も存在する。
【0341】
三分子組換えに適したD4R-/Gus+ワクシニアウイルスは、pBS.D4R-/ELGus構築物のv7.5/tk-感染したBSC1.D4R細胞へのトランスフェクション後の通常の相同的組換えにより作出される。D4R-/Gus+ウイルスは、BSC1.D4R細胞上でのプラーク精製により単離され及びX-Gluにより染色される(M.W. Carroll、B. Moss、Biotechniques、19:352-355(1995))。この新規株は、消化されたv7.5/tk/Gus/D4Rである。
【0342】
v7.5/tk/Gus/D4Rから精製されたDNAを使用し、代表的ワクシニアcDNAライブラリーを、反応をBSC1.D4R補完している細胞株において行うこと以外は、実施例5に説明した三分子組換えによりを構築した。
【0343】
10.3. 誘導性プロモーターの制御下での D4R を発現している宿主細胞の調製 誘導性プロモーターの誘導時にD4R遺伝子を発現している宿主細胞は、下記のように調製される。誘導性プロモーターの制御下で、ワクシニアD4R遺伝子を発現しているプラスミド構築物が作成される。誘導性プロモーターの例は、CH33細胞上の膜免疫グロブリンの架橋後にアップレギュレーションされるプロモーター(抗体選択のため)、例えば実施例2及び3に記載されたBAXプロモーターを含むが、これらに限定されるものではない。ワクシニアD4R orfは、10.1項に記されたプライマーD4Rセンス及びD4Rアンチセンスを使用するPCRにより増幅される。これらのPCRプライマーは、所望の制限エンドヌクレアーゼ部位を含むことを必要とするので修飾される。その後、D4R orfは、適当な真核発現ベクター(これは安定して形質転換された細胞の選択ができる)へ、当業者に公知の方法を用い、所望のプロモーターの操作可能な結合において、クローニングされる。
【0344】
その後この構築物は、例えば実施例2及び3に説明された抗体の選択のため、適当な宿主細胞へトランスフェクションされ、BAXプロモーターに操作可能に結合されたD4R遺伝子は、適当な細胞株、例えば、CH33細胞株、CH31細胞株、又はWEHI-231細胞株に安定してトランスフェクションされる。得られる宿主細胞は、v7.5/tk/Gus/D4Rにおいて調製されたライブラリーを用い、本質的に実施例3に説明されたように、抗体の産生において利用される。宿主細胞の表面上の膜-発現した免疫グロブリン分子の抗原誘導型架橋は、架橋した細胞におけるD4R遺伝子産物の発現の誘導を生じる。D4Rの発現は、ライブラリーが作成されるv7.5/tk/Gus/D4Rゲノムにおける欠損を補完し、これは感染性ウイルス粒子の産生を可能にする。
【0345】
実施例 11
DNA 合成の可逆的インヒビターによるポックスウイルス媒介型宿主シャットオフの減弱
下記に説明したように、減弱された又は欠損されたウイルスは、細胞変性効果を低下することが望ましいことが多い。ウイルスの感染時の細胞変性効果は、宿主細胞死(例えば、架橋により誘導されたアポトーシス)を利用する方法を用いる免疫グロブリン分子の選択及び同定により妨害される。このような作用は、DNA合成の可逆的インヒビター、例えばヒドロキシ尿素(HU)により減弱することができる(Pogo, B.G.及びS. Dales、Virology、43(1):144-51(1971))。HUは、デオキシリボヌクレオチド前駆体の複製複合体を奪うことにより、細胞及びウイルスの両DNA合成を阻害する(Hendricks, S.P.及びC.K. Mathews、J. Biol. Chem、273(45):29519-23(1998))。ウイルスDNA複製の阻害は、後期ウイルスRNAの転写をブロックする一方、初期ワクシニアプロモーターの制御下で遺伝子の転写及び翻訳は可能である(Nagaya, A.、B.G. Pogo、及びS. Dales、Virology、40(4):1039-51(1970))。従って、HUのようなDNA合成の可逆的インヒビターによる処理は、架橋の作用の検出を可能にする。適当なインキュベーション後、HU阻害が、宿主細胞の洗浄により逆行され、その結果ウイルスの複製サイクルは継続され、かつ感染性組換え体を回収することができる(Pogo, B.G.及びS. Dales、Virology、43(1):144-51(1971))。
【0346】
図9の結果は、BMP-2(骨形成タンパク質-2)により処理したC3H10T1/2前駆細胞における軟骨細胞分化のマーカーであるX型コラーゲン合成の誘導は、ワクシニア感染によりブロックされるが、その合成はウイルスDNA合成のHU媒介された阻害によりレスキューされることを示している。HUが新鮮培地による洗浄により培養物から取除かれる場合、ウイルスのDNA合成及び感染性粒子の集成は迅速に進行し、その結果感染性ウイルス粒子を、洗浄後2時間足らずで単離することができる。
【0347】
C3H1OT1/2細胞を、WRワクシニアウイルスでMOI=1で感染し、1時間後、2mM HUの存在又は非存在下で、培地又は400ng/ml BMP-2のいずれかを添加した。更に37℃で21時間インキュベーションした後、HUを新鮮培地による洗浄により除去した。感染性サイクルを、更に2時間継続し、ウイルスDNA複製及び感染性粒子の集成をもたらした。24時間後に、RNAを、4種の異なる培養条件下で維持した細胞から抽出した。ノーザン解析を、X型コラーゲン特異的プローブを用いて行った。誘導されないC3H10T1/2細胞は、間葉前駆細胞表現型を有し、それ自体X型コラーゲンを発現しない(左側第一のレーン)。正常な未感染のC3H10T1/2細胞へのBMP-2の添加は、成熟軟骨細胞への分化及びX型コラーゲンの発現を誘導する(左から第一及び第二のレーンの比較)が、BMP-2のワクシニア感染したC3H10T(1/2)細胞への添加は、X型コラーゲンの合成の誘導に失敗した(左側から第三のレーン)。2mM HUの存在下において、BMP-2は、例えワクシニア感染したC3H10T(1/2)細胞においても、X型コラーゲン合成を誘導する(左側から第四のレーン)。
【0348】
このウイルス細胞変性効果を減弱する戦略は、他のウイルス、他の細胞型及び例えば架橋時にアポトーシスを誘導するような免疫グロブリン分子の選択に適用可能である。
【0349】
実施例 12
多様な特異性のヒト Fab 断片ライブラリーの構築
完全なヒトの多様な免疫グロブリンFab断片をコードしているポリヌクレオチドのライブラリーは、下記のように産生される。これらのFab断片は、免疫グロブリン軽鎖と対形成した第一の定常領域ドメインに結合した重鎖可変領域(VH-CH1)を含む。ヒトVH(重鎖の可変領域)、VK(κ軽鎖の可変領域)及びVL(λ軽鎖の可変領域)の遺伝子は、PCR増幅される。3種の可変遺伝子ファミリーの各々について、組換えプラスミドライブラリー及びワクシニアウイルスライブラリーの両方が構築される。これらの可変領域遺伝子は、重鎖のCH1ドメイン又はκ軽鎖定常領域CKに相当する定常領域配列のすぐ上流のp7.5/tk-ベースの伝達/発現プラスミドへ挿入される。これらのプラスミドを利用し、三分子組換えにより、対応するワクシニアウイルス組換え体が作成され、かつひとつの免疫グロブリン鎖又はそれらの断片の、第二の免疫グロブリン鎖又はそれらの断片のワクシニアウイルス組換え体に感染した細胞へのトランスフェクション後の、Fab断片の高レベルの発現のために直接使用することもできる。これらふたつの鎖は、合成及び集成され、Fab断片を形成する。当業者に理解されるように、これらのFab断片は、シグナル配列、膜貫通ドメイン、及び/又は細胞内ドメインのためのコード配列の付着により、膜結合又は分泌され得る。
【0350】
12.1 pVHEc pVHEcと称される、CμのVH及びCH1ドメインを含むヒト重鎖断片をコードしている発現ベクターは、下記のように構築される。プラスミドp7.5/tk2は、前記実施例1.1に説明されたように作成される。VH及びCH1ドメインのアミノ酸109〜113、すなわちCμのアミノ酸109〜223BをコードしているDNA構築物を、実施例1のように単離されたIgM重鎖遺伝子から増幅し、かつPCRにより修飾し、アミノ酸109〜113+をコードしている領域の5'末端にBstEII部位、及びその3'末端にCμCH1ドメイン、停止コドンSalI部位を含んだ。このDNAは、p7.5/tk2へ、BstEII部位とSalI部位の間に挿入され、pVHEcを作成する。実施例1.4(a)のように作成された重鎖可変領域(VH)PCR産物(アミノ酸(-4)から(110))、表1及び2に列記されたプライマーを用い、BssHII部位及びBstEII部位へクローニングした。CH1ドメイン配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、 機能的シグナルペプチドを欠いているが、正確な翻訳リーディングフレームは維持しているコンティグ重鎖断片の構築物を生じる。
【0351】
12.2 pVKEc 及び pVLEc 本明細書においてpVKEc及びpVLEcと称されるヒトκ及びλ免疫グロブリン軽鎖定常領域をコードしている発現ベクターは、下記のように構築される。プラスミドp7.5/tk3.1は前記実施例1.3のように作成される。
【0352】
(a)プラスミドp7.5/tk3.1は、下記の方法によりpVKEcへ転換される。Cκ領域をコードしているcDNAは、アミノ酸104〜l07+Cκをコードしている領域の5'末端にXhoI部位を、並びに3'末端に停止コドン及びSalI部位を含むためのプライマーにより、実施例1に説明されたように単離され、これはその後p7.5/tk3.1へ、XhoI部位及びSalI部位でクローニングされ、pVKEcを作成する。κ軽鎖可変領域(VK)PCR産物(アミノ酸(-3)から(105))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、実施例1.4(b)に説明されたように作成され、その後pVKEcへApaLI部位及びXhoI部位でクローニングされる。κ軽鎖配列と選択された制限酵素部位の重複のために、これは、機能的シグナルペプチドを欠いているが、正確な翻訳リーディングフレームは維持しているコンティグκ軽鎖の構築物を生じる。
【0353】
(b)プラスミドp7.5/tk3.1は、下記の方法によりpVLEcへ転換される。Cκ領域をコードしているcDNAは、その5'末端にHindIII部位及びVλのアミノ酸105から107、並びにその3'末端に停止コドン及びSalI部位を含むプライマーにより、実施例1に説明されたように単離され、これはその後p7.5/tk3へHindIII部位及びSalI部位でクローニングされ、pVLEcを作成する。λ軽鎖可変領域(VL)PCR産物(アミノ酸(-3)から(104))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、実施例1.4(c)に説明されたように作成され、その後pVLEcへApaLI及びHindIII部位でクローニングされる。λ軽鎖配列と選択された制限酵素部位の重複のために、これは、機能的シグナルペプチドを欠いているが、正確な翻訳リーディングフレームは維持しているコンティグλ軽鎖の構築物を生じる。
【0354】
12.3 Fab の分泌型又は膜結合型 これらの発現ベクター(pVHEc、pVKEc及びpVLEc)を、細胞表面又は細胞外空隙へのFabの標的化のために分泌シグナル、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はそれらの組合せをクローニングするプロトタイプベクターとして利用する。例えば表7に示されたようなこれらのシグナル及びドメインは、pVHEcのNcoI及びBssHIIの間の(又はpVKEc及びpVLEcのNcoI及びApaLI)のFabのN末端側及び/又はC末端側のSalI部位のいずれかに挿入することができる。細胞外区画への分泌に関してFabを標的化するために、シグナルペプチドが、Fab鎖、VH-CH1又は軽鎖のいずれか又は両方のN末端に挿入される。細胞外提示のための形質膜におけるFabの係留のために、膜貫通ドメインが、VH-CH1鎖及び/又は軽鎖のカルボキシル末端に添加される。細胞質ドメインも添加される。
【0355】
【表7】
Figure 0004368196
位置の欄の略号:ES、細胞外間隙;PM、形質膜
【0356】
実施例 13
ヒト単鎖 -Fv(ScFv) 抗体ライブラリーの構築
13.1 ヒトscFv発現ベクターp7.5/tk3.2及びp7.5/tk3.3は、図10に説明されたように、下記方法により構築される。プラスミドp7.5/tk3は、前記実施例1.3に説明されたように作成された。プラスミドp7.5/tk3は、NcoI部位とApaLI部位の間の4個のヌクレオチドATACを、ATAGCへ代えることにより、p7.5/tk3.1へと転換し、その結果NcoI中のATG開始コドンは、挿入されたシグナルペプチドを伴うことなくApaLIとインフレームであった。これは、実施例1.3に説明されたようなNotI-から-SalIカセット(配列番号:29)の、 本明細書において配列番号:112と称される、以下の配列
Figure 0004368196
を有するカセットによる交換により、簡便に達成される。
【0357】
プラスミドp7.5/tk3.1は、配列番号:113と称されるXhoI及びSalI間の領域(すなわち、配列番号:112のヌクレオチド30から51)の、下記カセットとの置換により、p7.5/tk3.2へ転換される:XhoI-(Vκのアミノ酸106〜107をコードしているヌクレオチド)-(10個のアミノ酸リンカーをコードしているヌクレオチド)-G-BssHII-ATGC-BstEII-(VHのアミノ酸111〜113をコードしているヌクレオチド)-停止コドン-SalI。これは、p7.5/tk3.1を、XhoI及びSalIで消化し、かつ配列番号:114と称される配列
Figure 0004368196
を有するカセットを挿入することにより達成される。VκとVHの間のリンカーは、最終サイズが14個のアミノ酸であり、最後の4個のアミノ酸は、下記のように挿入されるVH PCR産物に寄与している。このリンカーの配列は、
Figure 0004368196
であり、これはアミノ酸
Figure 0004368196
をコードしている。
【0358】
プラスミドp7.5/tk3.1は、本明細書において配列番号:117と称されるHindIIIとSalIの間の領域(すなわち、配列番号:112のアミノ酸6〜51のヌクレオチド)の、下記カセットとの置換により、p7.5/tk3.3へ転換される:HindIII-(Vλのアミノ酸残基105〜107をコードしているヌクレオチド)-(10個のアミノ酸リンカーをコードしているヌクレオチド)-G-BssHII-ATGC-BstEII-(VHのアミノ酸111〜113をコードしているヌクレオチド)-停止コドン-SalI。これは、p7.5/tk3.1を、HindIII及びSalIで消化し、かつ配列
Figure 0004368196
を有するカセットを挿入することにより達成される。VλとVHの間のリンカーは、最終サイズが14個のアミノ酸であり、最後の4個のアミノ酸は、下記のように挿入されるVH PCR産物に寄与している。このリンカーの配列は、
Figure 0004368196
であり、これはアミノ酸
Figure 0004368196
をコードしている。
【0359】
13.2 scFv の細胞質ゾル型 ヒトκ又はλ免疫グロブリン軽鎖可変領域を含むscFvポリペプチドをコードしている発現ベクターは、ヒト重鎖可変領域とインフレームで融合され、これは下記を構築している:
(a)細胞質ゾルVκVH scFv発現産物は、下記のように調製される。実施例1.4(b)のように作成されたκ軽鎖可変領域(Vκ)PCR産物(アミノ酸(-3)から(105))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、ApaLI部位及びXhoI部位の間でp7.5/tk3.2へクローニングされる。κ軽鎖配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、下流のリンカーと同じ翻訳リーディングフレーム内のコンティグκ軽鎖の構築物を生じる。実施例1.4(a)のように作成された重鎖可変領域(VH)PCR産物(アミノ酸(-4)から(110))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、BssHII部位及びBstEII部位の間でp7.5/tk3.2へクローニングされ、完全なscFvオープンリーディングフレームを形成する。得られる産物は、14個のアミノ酸のリンカーにより接続されたVκ-VH融合タンパク質の細胞質ゾル型である。このscFvも、これらの制限部位及びVκシグナルペプチドの一部によりコードされたアミノ末端で、6個の余分のアミノ酸に先行される。
【0360】
(b)細胞質ゾルVλVH scFv発現産物は、下記のように調製される。実施例1.4(c)のように作成されたλ軽鎖可変領域(VL)PCR産物(アミノ酸(-3)から(104))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、ApaLI部位及びHindIII部位の間でp7.5/tk3.3へクローニングされる。λ軽鎖配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、下流のリンカーと同じ翻訳リーディングフレーム内のコンティグλ軽鎖の構築物を生じる。実施例1.4(a)のように作成された重鎖可変領域(VH)PCR産物(アミノ酸(-4)から(110))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、BssHII部位及びBstEII部位の間でp7.5/tk3.3へクローニングされ、完全なscFvオープンリーディングフレームを形成する。得られる産物は、14個のアミノ酸のリンカーにより接続されたVλ-VH融合タンパク質の細胞質ゾル型である。このscFvも、これらの制限部位及びVλシグナルペプチドの一部によりコードされたアミノ末端で、6個の余分のアミノ酸に先行される。
【0361】
13.3 scFv の分泌型又は膜結合型 13.2項に説明された細胞質ゾルscFv発現ベクターを、細胞表面又は細胞外空隙へのscFvポリペプチドの標的化のために分泌シグナル、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、又はそれらの組合せをクローニングするプロトタイプベクターとして利用する。シグナルペプチド及び膜係留ドメインの例は、前記表7に示している。細胞外空隙へ分泌されるscFvポリペプチドを作成するために、インフレームに分泌シグナルペプチドをコードしているカセットが、p7.5/tk3.2又はp7.5/tk3.3のNcoI及びApaLI部位の間のscFvポリペプチドのN末端において発現されるように挿入される。Ig架橋又はIg結合を基にした選択のために膜結合したscFvを作成するために、シグナルペプチドに加え、Cμの膜結合型をコードしているカセットが、VHのアミノ酸111〜113をコードしているヌクレオチドの下流及びインフレームで、BstEII及びSalI部位の間のscFvのC末端にクローニングされる。細胞質ドメインも追加される。
【0362】
実施例 14
ラクダ化されたヒト単一ドメイン抗体ライブラリーの構築
ラクダ種は、重鎖のみを使用し、重鎖抗体と称される抗体が作成される。ポックスウイルス発現システムは、分泌型及び膜結合型の両方のヒト単一ドメインライブラリーの作成に改良可能であり、ここでヒトVHドメインは、「ラクダ化」、すなわち、ラクダ抗体のVHHドメインに類似するように変更され、その後これは機能アッセイ又はIg-架橋/結合のいずれかを基に選択され得る。ヒトVH遺伝子は、標準の突然変異誘発法によりラクダ化され、よりラクダのVHH遺伝子に類似する。例えば、表1及び2から選択された適当なプライマー対を用い、実施例1.4に説明された方法を用いて作出されたヒトVH 3遺伝子は、G44E、L45R、及びW47G又はIとの置換によりラクダ化される。例えば、Riechmann, L.及びMuyldermans, S.の論文(J. Immunol. Meth.、231:25-38)参照のこと。分泌型単一ドメイン抗体ライブラリーを作成するために、ラクダ化されたヒトVH遺伝子をコードしているカセットが、実施例1.2に説明されたように作成されたpVHEsへクローニングされ、BssHII部位及びBstEII部位の間でインフレームで発現される。膜結合型単一ドメイン抗体ライブラリーを作成するために、ラクダ化されたヒトVH遺伝子をコードしているカセットが、実施例1.1に説明されたように作出されたpVHEへクローニングされ、BssHII部位及びBstEII部位の間でインフレームで発現される。ベクターpVHE及びpVHEsは既に、NcoI部位とBssHII部位の間にクローニングされたシグナルペプチドを有している。ラクダ化されたヒトVH遺伝子の3種のCDR領域のアミノ酸残基に、大規模なランダム化が施され、かつ得られたライブラリーは、本明細書に説明されたようにポックスウイルスにおいて選択することができる。
【0363】
実施例 15
増強された免疫エフェクター機能に関する Fc 修飾した抗体の選択
ヒトモノクローナル抗体は、増大しつつあるヒト疾患の治療のために治療的用途に使用される。ヒト抗体は、特異的細胞受容体を介したシグナル伝達を誘導又はブロックすることができる。一部の用途において、ヒト抗体は、抗体分子のFc部分とこれらのエフェクター細胞上のマッチするFc受容体(FcR)の間の相互作用を介して、様々なアクセサリーエフェクター細胞のいずれかを活性化することができる。従って、FcRを介した結合及びシグナル伝達もしくは補体カスケード成分のような免疫エフェクター機能の他のメディエーターの結合及び活性化を増強又は阻害する免疫グロブリン重鎖定常領域配列の修飾を同定することはかなり興味深い。例えば、米国特許第5,624,821号;Xu, D.ら、Cell Immunol、200:16-26(2000);及び、米国特許第6,194,551号を参照し、これらはその全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0364】
このような特異的エフェクター機能のひとつは、抗体-依存性細胞性細胞傷害作用(ADCC)であり、その過程において、抗体で覆われた標的細胞がNK細胞又は他の単球により破壊される。ADCCは、標的細胞の表面分子を特異的にコードした可変領域及びNK細胞上のFcγRIIIを特異的にコードした定常領域を伴う抗体分子により媒介される。結晶構造及び位置指定突然変異誘発の解析を通して、ヒトIgG1上のFcγRIII結合部位は、主に下側のヒンジ、すなわちIgG1の約アミノ酸247〜252、及び隣接するCH2領域に局在していることが決定される。例えば、Sarmay G.ら、Mol Immunol、29:633-639(1992);及び、Michaelsen, T.E.ら、Mol. Immunol、29:319-26(1992)参照のこと。選択可能な哺乳類発現ベクターにおいて無作為に変異された下側ヒンジ領域を伴う抗体分子をコードしている遺伝子のライブラリーを構築することにより、ADCCについて増強された機能を伴う特異的定常領域変種を選択することが実現可能であると考えられる。この戦略の履行を簡略化するために、所望の特異性を付与する定義された免疫グロブリン可変領域配列を伴うライブラリーが構築される。
【0365】
15.1. pVHE-X 及び pVKE-X 又は pVLE-X の構築 プラスミドpVHE-Xは限定された可変領域を伴うヒトVH発現ベクターであるり、本明細書においてXと称されるが、これは下記のように構築される。この構築は、図11に示される。限定された特異性Xを伴う抗体は、常法に従い単離されるか、又は本明細書に説明された方法に従い、ポックスウイルスベクターを用い、真核細胞において産生及び選択される。必要であるならば、この抗体のVH遺伝子は、実施例1.1に記されたように作成されたpVHEへ、BssHII/BstEII部位の間にサブクローニングされ、プラスミドpVHE-Xを得る。更に必要ならば、抗体のVK又はVL遺伝子が、実施例1.3に記されたように作成されたpVKEへ、ApaLI/XhoI部位の間にサブクローニングされるか、もしくは、実施例1.3に記されたように作成されたpVLEへ、ApaLI/HindIII部位の間にサブクローニングされ、各々pVKE-X又はpVLE-Xを作成する。
【0366】
15.2 ヒト C γ 1 カセットの単離 ヒトCγ1重鎖をコードしているcDNAを、骨髄RNAから、SMAR(登録商標)RACE cDNA増幅キットを用い、下記プライマーにより単離される:
huCγ1-5B:
Figure 0004368196
huCγ1-3S:
Figure 0004368196
【0367】
このPCR産物は、下記エレメントを含む:BamHI-BstEII-(VHのアミノ酸111〜113をコードしているヌクレオチド)-(Cγ1のアミノ酸114〜478をコードしているヌクレオチド)-TGA-SalI。この産物は、pBluescriptitII/KSへ、BamHI部位及びSalI部位でサブクローニングされ、Cγ1のCH1ドメイン中のアミノ酸191及び192に相当する第二のBstEII部位が、アミノ酸配列に変化を及ぼすことなく、部位特異的変異誘発により除去される。
【0368】
15.3 Fc γ 1 ライブラリーの構築 Cγ1変種は、下記方法による重複PCRにより作成される。15.2項に説明されたように作成されたBstEII-突然変異誘発したCγ1カセットを、鋳型として使用する。第一回のPCRラウンドにおいて、ふたつの個別の反応においてCγ1-センス/Cγ1-内部-R及びCγ1-内部-S/Cγ1-リバースプライマーセットを用い増幅が行われる。
Cγ1-センス:
Figure 0004368196
Cγ1-内部-R:
Figure 0004368196
Cγ1-内部-S:
Figure 0004368196
Cγ1-リバース:
Figure 0004368196
(M=A+C、K=G+T、N=A+T+G+C)
Cγ1-内部-R及びCγ1-内部-Sプライマーは、下側ヒンジにおいて6個のアミノ酸含有残基247〜252の変種をコードしている縮重配列尾部を有する。第二回のPCRラウンドにおいて、第一回のラウンドの精製産物が、Cγ1-センス及びCγ1-リバースプライマーセットを用いる、重複PCRにより融合される。
【0369】
得られた産物は、サイズおよそ1000bpであり、6個のアミノ酸位置247〜252の各々において無作為に20種全てのアミノ酸をコードしている。このPCR産物は、BstEII及びSalIにより消化され、かつBstEII/SalI-消化された15.1項に説明されたように作成されたpVHE-Xへクローニングされ、pVHE-X-γ1変種のライブラリーを作成する。その後これらの変種は、実施例5に説明されたような三分子組換えを用いて、ワクシニアウイルスへ導入される。軽鎖を収容している組換えワクシニアウイルスとの結合において、Fcγ1ライブラリーは、VHE-X-γ1発現している抗体へ増強されたADCC活性を付与するFc変種の選択に使用される。
【0370】
15.4 その他の用途 アミノ酸247〜252での変種の作成に加え、他の残基、例えばIgG1のアミノ酸278〜282及びアミノ酸346〜351も、FcγRIIIへの結合に関連している。増強されたADCC活性を示すアミノ酸247〜252におけるFcγ1変種の同定後、同じ戦略を用い、ADCC機能の相乗的増強を示す他のふたつの領域内の更なる変異を同定することができる。
【0371】
同じ原理/技術を適用し、異なるFc受容体に結合する他の免疫グロブリン重鎖定常領域アイソタイプにエフェクター機能を付与する変種を同定することができる。好ましい態様において、標的化されるべきこれらの受容体は、FcγRI(CD64)、FcγRII-A(CD32)、FcγRII-B1、FcγRII-B2、FcγRIII(CD16)、FcεRIが含まれる。別の好ましい態様において、補体成分のFc領域の結合又は胎盤経由の輸送のための膜様胎盤へのFc媒介した結合を増強する変種が、選択される。
【0372】
実施例 16
特異的免疫グロブリン遺伝子組換えワクシニアウイルスに感染した細胞選択を促進するための重鎖融合タンパク質の構築
16.1 CH1-Fas の構築 Fasの膜貫通ドメイン及びデスドメインに融合されたCμのヒト重鎖CH1ドメインを含む融合タンパク質をコードしている発現ベクターは、本明細書においてCH1-Fasと称されるが、これが下記の方法により構築される。この融合タンパク質は、図13(a)に図示した。
【0373】
実施例1.1において説明されたように産生されたプラスミドpVHEは、BstEII及びSalIにより消化され、かつ約1.4Kbの比較的小さいDNA断片はゲル精製される。この比較的小さい断片は、その後フォワードプライマーCH1(F)
Figure 0004368196
及びリバースプライマーCH1(R)
Figure 0004368196
を使用するPCR反応における鋳型として使用される。得られた約320塩基対のPCR産物は、ゲルで精製される。
【0374】
Fasの膜貫通ドメイン及びデスドメインを含むDNA断片は、プラスミドpBS-APO14.2から、フォワードプライマーFAS(F)
Figure 0004368196
及びリバースプライマーFAS(R)
Figure 0004368196
により増幅される。得られた約504塩基対のPCR産物は、ゲルで精製される。
【0375】
その後得られた320及び504塩基対の断片は、フォワードプライマーCH1(F)及びリバースプライマーFAS(R)を使用するPCRにおいて一緒にされ、約824塩基対の融合断片を作成する。この断片は、BstEII及びSalIで消化され、かつ得られた810塩基対の断片はゲルで精製される。プラスミドpVHEも、BstEII及びSalIで消化され、かつ約5.7Kbの比較的大きい得られた断片がゲルで精製される。これらの2種のBstEII/SalI断片は、その後ライゲーションされ、CH1-Fasを作成する。
【0376】
16.2 CH4-Fas の構築 Fasの膜貫通ドメイン及びデスドメインに融合されたCμのヒト重鎖CH1-CH4ドメインを含む融合タンパク質をコードしている発現ベクターは、本明細書においてCH4-Fasと称されるが、これが下記の方法により構築される。この融合タンパク質は、図13(b)に図示した。
【0377】
実施例1.1において説明されたように産生されたプラスミドpVHEは、BstEII及びSalIにより消化され、かつ約1.4Kbの比較的小さいDNA断片はゲル精製される。この比較的小さい断片は、その後フォワードプライマーCH4(F)
Figure 0004368196
及びリバースプライマーCH4(R)
Figure 0004368196
を使用するPCR反応における鋳型として使用される。得られた約286塩基対のPCR産物は、ゲルで精製される。
【0378】
Fasの膜貫通ドメイン及びデスドメインを含むDNA断片は、プラスミドpBS-APO14.2から、フォワードプライマーFAS(F-2)
Figure 0004368196
及び16.1項に記したリバースプライマーFAS(R)により増幅される。得られた約504塩基対のPCR産物は、ゲルで精製される。
【0379】
その後得られた268及び504塩基対の断片は、フォワードプライマーCH4(F)及びリバースプライマーFAS(R)を使用するPCRにおいて一緒にされ、約765塩基対の融合断片を作成する。この断片は、SacII及びSalIで消化され、かつ得られた750塩基対の断片はゲルで精製される。プラスミドpVHEも、SacII及びSalIで消化され、かつ約6.8Kbの比較的大きい得られた断片がゲルで精製される。これらの2種のSacII/SalI断片は、その後ライゲーションされ、CH4-Fasを作成する。
【0380】
16.3 CH4(TM)-Fas の構築 Fasのデスドメインに融合されたCμのヒト重鎖CH1-CH4ドメイン及び膜貫通ドメインを含む融合タンパク質をコードしている発現ベクターは、本明細書においてCH4(TM)-Fasと称されるが、これが下記の方法により構築される。この融合タンパク質は、図13(c)に図示した。
【0381】
実施例1.1において説明されたように産生されたプラスミドpVHEは、BstEII及びSalIにより消化され、かつ約1.4Kbの比較的小さいDNA断片はゲル精製される。この比較的小さい断片は、その後16.2項に記されたフォワードプライマーCH4(F)及びリバースプライマーCH4(R2)
Figure 0004368196
を使用するPCR反応における鋳型として使用される。得られた約356塩基対のPCR産物は、ゲルで精製される。
【0382】
Fasのデスドメインを含むDNA断片は、プラスミドpBS-APO14.2から、フォワードプライマーFAS(F3)
Figure 0004368196
及び16.1項に記したリバースプライマーFAS(R)により増幅される。得られた約440塩基対のPCR産物は、ゲルで精製される。
【0383】
その後得られた356及び440塩基対の断片は、フォワードプライマーCH4(F)及びリバースプライマーFAS(R)を使用するPCRにおいて一緒にされ、約795塩基対の融合断片を作成する。この断片は、SacII及びSalIで消化され、かつ得られた780塩基対の断片はゲルで精製される。プラスミドpVHEも、SacII及びSalIで消化され、かつ約6.8Kbの比較的大きい得られた断片がゲルで精製される。これらの2種のSacII/SalI断片は、その後ライゲーションされ、CH4(TM)-Fasを作成する。
【0384】
16.4 多様な VH 遺伝子の Ig-Fas 融合タンパク質へのクローニング及び挿入 実施例1.4(a)において説明されたように産生された重鎖可変領域(VH)PCR産物(アミノ酸(4)から(110))は、表1及び2に列記されたプライマーを用い、CH1-Fas、CH4-Fas及びCH4(TM)-FasのBssHII部位及びBstEII部位へクローニングされる。CH1ドメイン配列と選択された制限酵素部位の間の重複のために、これは、機能性シグナルペプチドは欠いているが、正確な翻訳リーディングフレーム内に維持されているコンティグ重鎖断片の構築物を生じる。
【0385】
実施例 17
Ig α及び Ig β - 発現する HeLaS3 及び COS7 細胞株の作成
細胞表面上において特異的ヒトモノクローナル抗体を発現するために、重鎖及び軽鎖免疫グロブリンは、B細胞受容体複合体の他のタンパク質と物理的に結合していなければならない。従って宿主細胞がヒト抗体ライブラリーを発現することができるようにするために、これらは、抗体の膜結合した受容体への効率的合成及び集成に必要な分子及び構造を、発現することができなければならない。マウスリンパ腫細胞は、細胞表面上の特異的ヒト抗体の発現に必要な分子及び構造を発現している。しかし、ヒト抗体ライブラリー発現に関するこれらのリンパ腫細胞の使用のひとつの欠点は、内在性に発現された免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖は、トランスジェニック免疫グロブリン鎖と同時に集成され、非特異的な異質分子の形成を招き、これは抗原特異的受容体を希釈することである。ヒト抗体ライブラリーの発現にマウスリンパ腫細胞を使用する際の別の欠点は、ワクシニアウイルスはリンパ系細胞株において余り複製しないことである。従って、特異的ヒト抗体の発現に好ましい細胞型は、高力価のワクシニアウイルス産生を許容するもの及びB細胞系統に由来しないものである。好ましい細胞型は、HeLa細胞、COS7細胞及びBSC-1細胞を含む。
【0386】
B細胞受容体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖は、Igα及びIgβ膜貫通タンパク質のヘテロ二量体に物理的に結合している(Reth, M.、 Annu. Rev. Immunol.、10:97(1992))。この物理的結合は、膜結合した免疫グロブリンの細胞表面への効率的輸送、及びB細胞受容体を介したシグナル伝達に必要である(Venkitaraman, A.R.ら、Nature、352:777(1991))。しかし、Igα/Igβヘテロ二量体が異種細胞株における膜結合型免疫グロブリンの発現に必要かつ十分であるかどうかは不明である。従って、HeLaS3及びCOS7細胞上のヒト抗体の細胞表面発現が、ヒトIgα及びIgβ cDNAによるそれらのトランスフェクション後に評価される。
【0387】
17.1 ヒト Ig α及び Ig β cDNA PCR によるクローニング EBV-形質転換されたヒトB細胞から作成されたcDNAを、PCR反応の鋳型として使用し、ヒトIgα及びIgβ cDNAを増幅した。ヒトIgα cDNAを、下記プライマーにより増幅した:
igα5'-
Figure 0004368196
本明細書において(配列番号:136)と称す;及び
igα3'-
Figure 0004368196
本明細書において(配列番号:137)と称す;。
ヒトIgβ cDNAは、下記プライマーにより増幅した:
igβ5'-
Figure 0004368196
本明細書において(配列番号:138)と称す;及び
igβ3'-
Figure 0004368196
本明細書において(配列番号:139)と称す;。
【0388】
IgαPCR反応由来の産物は、pIRESneo発現ベクター(Clontech社)に、EcoRI部位及びBamHI部位においてクローニングし、IgβPCR反応由来のものは、pIREShygベクター(Clontech社)へBamHI部位及びBstXI部位でクローニングした。クローニングしたIgα及びIgβの同一性は、DNA配列決定により確認した。
【0389】
17.2 Ig α及び Ig β - 発現する HeLaS3 及び COS7 の安定したトランスフェクタントの確立 HeLaS3及びCOS7細胞(6-ウェルプレート中1x106/ウェル)を、精製したpIRESneo-Igα及びpIREShyg-IgβプラスミドDNA各0.5〜1μgで、LIPOFECTAMIINE PLUS試薬(Lifetechnologies社)を用いて、トランスフェクションした。開始の2日後、細胞を、G418(0.4mg/ml)及びヒグロマイシンB(0.2mg/ml)で約2週間選択した。薬物耐性HeLaS3コロニーを、直接単離し、かつCOS7トランスフェクタントを、限定希釈によりクローニングした。これらの各クローンにおけるIgα及びIgβの発現は、その後RT-PCRにより解析し、代表的クローンの結果を、図14に示した。
【0390】
実施例 18
高親和性ヒト抗体の多様なライブラリーの構築
本発明は、免疫グロブリン遺伝子の多様なライブラリーのワクシニア又は他のポックスウイルスにおける構築のための唯一利用可能な方法である。ワクシニアベクターは消化され、高レベルの膜受容体発現を生じ、抗原被覆したマトリックスへの効率的結合を可能にする。あるいは、組換え免疫グロブリン重鎖遺伝子を、操作し、抗原による受容体の架橋時にアポトーシスを誘導することができる。ワクシニアウイルスは、プログラムされた細胞死を受けている細胞からであっても容易かつ効率的に回収されるので、このシステムの独自の特性は、特異的ヒト抗体遺伝子の迅速な選択を可能にする。
【0391】
最適な免疫グロブリン重鎖及び軽鎖は、順次選択され、これは全ての利用可能な重鎖及び軽鎖の組合せのスクリーニングにより多様性を最大化する。逐次スクリーニング戦略は、最初に104個の多様な軽鎖の小さいライブラリーの存在下で、105個のH鎖組換え体の小さいライブラリーから最適な重鎖を選択する。この最適化されたH鎖は、次に106〜107個の組換えL鎖のより大きいライブラリーからの最適化されたパートナーの選択に使用される。一旦最適なL鎖が選択されたならば、106〜107個の組換えH鎖のより大きいライブラリーから更なる最適化されたH鎖を戻し選択することが可能である。この繰り返しは、1014個と多数のH2L2組合せと特異的に高親和性の抗体の選択を可能にするブートストラップ戦略である。対照的に、ファージライブラリーにおける単鎖Fvの又は単プラスミド上にコードされた個別のVH-CH1及びVL-CL遺伝子で構成されたFabの選択は、恐らく1011個ファージ粒子という、単ファージライブラリーの実際のサイズの限界により限定される段階プロセスのひとつである。
【0392】
107個H鎖及び107個L鎖の1014組合せのスクリーニングは実行不可能であるので、最適のH鎖の選択は、非感染性ベクター中の104個L鎖の存在下における105個H鎖ワクシニア組換え体のライブラリーから始まる。これらの組合せは、大部分は様々なエピトープに対する低親和性抗体から生じ、かつ例えば、1〜100個の異なるH鎖の選択を招く。基本的抗体に関して100個のH鎖が選択された場合、その後これらは、100個の最適なL鎖パートナーを見つけるために、106又は107個のワクシニア組換え体L鎖のより大きいライブラリーによる第二の選択サイクルにおいて使用することができる。その後当初のH鎖は取り分けられ、100個のL鎖を使用し、新たに高親和性H鎖をより大きい106又は107個のH鎖ライブラリーから選択する。
【0393】
この戦略は、インビトロ親和性成熟の一種である。通常の免疫応答の場合のように、低親和性抗体が最初に選択され、かつ免疫感作の反復サイクルの間のより高親和性子孫の選択の基礎として利用される。より高い親和性クローンはインビボの体細胞変異に由来するが、このインビトロ戦略は、免疫グロブリン鎖の再結合により同じ目的を達成している。両方の場合において、改善された免疫グロブリン鎖のパートナーは、当初の低親和性抗体のパートナーと同じである。
【0394】
この戦略の基礎は、低親和性抗体の最初の選択の活用である。低親和性抗体が選択されることは必須である。H鎖及びL鎖の逐次選択するワクシニア-ベースの方法は、二価抗体の発現から来るアビディティの利点を有するので、これは最初の低親和性選択がうまくいったことを確実にするのによく適している。加えて、抗体発現のレベルは、ワクシニアシステムにおいて様々なプロモーターを使用することにより調節することができる。例えば、ワクシニアに適合されたT7ポリメラーゼシステムは、未変性のワクシニアプロモーターに比べ、高レベルの発現を生じる。初回選択ラウンドは、低親和性「基本的抗体」の選択を確実にするために、高レベルのT7発現システムを基にし、かつ以降の選択ラウンドは、比較的高親和性誘導体の選択を起動するために、低レベル発現を基礎とすることができる。
【0395】
ワクシニアにおける免疫グロブリン遺伝子の多様なライブラリー構築に関する本発明の方法の概略を、以下に示す:
1. 本明細書に記された方法に従い、重鎖cDNAライブラリーに結合された免疫グロブリン膜が、ワクシニアウイルスベクターにおいて、ヒトリンパ球から構築される。特に操作された細胞、例えば、CH33細胞、マウス骨髄腫細胞、及びヒトEBV形質転換細胞株、又は好ましくはHeLa細胞、及び競合する免疫グロブリン鎖を産生せずかつワクシニア複製を効率的に支持する他の非リンパ球様細胞が、ウイルスライブラリーにより、平均で各細胞が1個のウイルスの免疫グロブリン重鎖組換え体で感染されているような希釈で、感染される。
2. これらの同じ細胞は更に、同じワクシニアウイルスベクターにおいて構築された免疫グロブリン軽鎖ライブラリー由来のソラレン失活された免疫グロブリン軽鎖組換えワクシニアウイルスにより感染される。あるいは、これらの細胞は、プラスミド発現ベクターにおいて、免疫グロブリン軽鎖組換え体によりトランスフェクションされ得る。全体としての細胞集団において、各重鎖は、いずれかの軽鎖に結合することができる。
3. これらの細胞は、細胞表面上で完全に集成された抗体の最適な発現を可能にするために、適当な期間インキュベーションされる。宿主細胞がリンパ球起源でない場合は、膜抗体発現の効率は、Igα及びIgβタンパク質を発現している遺伝子又はcDNAにより安定してトランスフェクションされた宿主細胞、例えば、Hela細胞又はCos7細胞の使用により、増強される。
4a. 関心のある抗原が、不活性ビーズに結合され、これは次に抗体発現している細胞のライブラリーと混合される。抗原で覆われたビーズに結合する細胞は回収され、かつ結合された免疫グロブリン重鎖組換えウイルスが抽出される。
4b. あるいは、蛍光タグが、関心のある抗原に、直接又は間接に結合される。抗原に結合する抗体を発現している細胞が、蛍光標示式細胞分取器(FACS)により回収される。
4c. あるいは、抗体受容体の抗原との架橋が細胞死を誘導する宿主細胞を使用することができる。これは、B細胞系の未成熟細胞である宿主細胞においては自然に生じるか、もしくはこれは免疫グロブリン重鎖定常領域のカルボキシル末端へのFasコードされたデスドメインの取込みの結果である。溶解された細胞は、生存細胞から分離され、関連した免疫グロブリン重鎖を保持する組換えウイルスが抽出される。
5. 前記サイクルの段階1〜4を、複数回繰り返し、各回組換え体ウイルスを単離し、かつ更に最適な抗原結合に寄与している重鎖について濃縮する。
6. 一旦特異的抗体重鎖が選択されたならば、全体の手順を、最適の抗原結合に寄与する特異的免疫グロブリン軽鎖を選択するために、所有の(proprietary)ワクシニアベクターにおいて構築された免疫グロブリン軽鎖cDNAライブラリーについて繰り返す。重鎖及び軽鎖の逐次選択は、全ての入手可能な重鎖及び軽鎖の組合せのスクリーニングにより、多様性を最大化する。最終的なMAb産物は、単鎖Fv又は単量体Fabよりもむしろ完全に集成された二価抗体の選択により最適化される。
7. MAb配列が決定され、かつ特異的結合が、標準実験的技法を用い検証される。
【0396】
最終的Mab産物は、単鎖Fvよりむしろ完全に集成された二価抗体の選択により最適化される。すなわち、選択は、scFv又はFab断片よりもむしろ二価(H2L2)抗体を基にしている。全てヒトの完全抗体の合成及び集成は、哺乳類細胞において、免疫グロブリン鎖が通常の翻訳後修飾及び集成を受けるようにする。完全抗体の合成及び集成は、恐らく細菌細胞においては無効であり、かつ多くの特異性が、細菌細胞の異常な生理的環境における多くの抗体の正確な折畳みの失敗のために喪失される。
【0397】
機能活性を基にした特異性の選択を含む、比較的広範な抗体エピトープ特異性を選択することができる。具体的には、抗体は、標的細胞に対する特異的生理作用を基に選択することができる(例えば、活性化された単球によるTNF-分泌阻害のスクリーニング;アポトーシス誘導;など)。機能アッセイを基にした特異的Mabのスクリーニング法の概略を以下に示す:
1. 分泌型の免疫グロブリン重鎖cDNAライブラリーは、本明細書に記された方法に従い調製されたワクシニアウイルスベクターにおいて、ナイーブヒトリンパ球から構築される。例えば、約100〜約1000個のような組換えウイルスの複数のプールが、個別に拡張され、かつプロデューサー細胞の、平均で各細胞が1個の免疫グロブリン重鎖組換えウイルスで感染されるような希釈での感染に使用される。これらの同じ細胞も、同じワクシニアウイルスベクターで構築された免疫グロブリン軽鎖ライブラリーからのソラレン失活された免疫グロブリン軽鎖組換えワクシニアウイルスで感染される。あるいは、感染細胞は、プラスミド発現ベクターにおいて、免疫グロブリン軽鎖組換え体によりトランスフェクションされ得る。全体としての細胞集団において、各重鎖は、いずれかの軽鎖に結合することができる。
2. 感染細胞は、完全に集成された抗体が分泌されるのに十分な時間インキュベーションされる。
3. 関心のある機能のインジケーター細胞が分泌された抗体のアリコートの存在下においてインキュベーションされるアッセイウェルを、設定する。これらは、例えば、TNFαを分泌している活性化された単球を含むことができる。次にTNFαのための簡単なELISAアッセイを用い、サイトカイン分泌を阻害する活性を含む抗体プールをスクリーニングすることができる。
4. 選択されたプールの個々のメンバーは更に、関連した免疫グロブリン重鎖を同定するために分析される。
5. 一旦特異的抗体重鎖が選択されたならば、最適な抗原結合に寄与する特異的免疫グロブリン軽鎖を選択するために、所有のワクシニアベクターにおいて構築された免疫グロブリン軽鎖cDNAライブラリーについて全体の手順が繰り返される。
6. MAb配列が同定され、かつ特異的結合が、標準実験的技法を用い検証される。機能選択は、標的膜受容体の先験的知識を必要としないので、選択されたMabは、治療的可能性及び関連する膜受容体を同定する道具の発見の両面がある。
【0398】
選択は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな結合後にヒト細胞培養物中で行われる。前述のように、これは、細菌における合成の制約に起因するレパトア制限を回避する。これは、マウスにおける相同遺伝子産物に対する免疫寛容に起因する抗体レパトアの制限も回避する。重要なヒトタンパク質のマウスホモログは、ヒト配列と80%〜85%同一であることが多い。従って、ヒトタンパク質に応答するマウス抗体は、ヒトとマウスにおいて異なるエピトープの15%〜20%に主に焦点を当てていると予想される。本発明は、広範なエピトープ特異性を伴う高親和性の全てヒトの抗体の効率的選択を可能にする。この技術は、限定された生理的意義を伴う未同定の膜受容体に対する抗体の機能選択を含む、多種多様なプロジェクト及び目標に適用可能である。
【0399】
本発明は、本発明の個々の局面の一つの例示として意図されている記載された具体的態様、本発明の範囲内である機能的に同等である構築物、ウイルス又は酵素により範囲が限定されるものではない。実際に、本明細書に示されかつ説明されたものに加え、本発明の様々な修飾が、当業者には先の説明及び添付図面から明らかであると思われる。このような修飾は、添付された「特許請求の範囲」内に収まることが意図されている。
【0400】
本明細書において言及された全ての刊行物及び特許明細書は、各個別の刊行物及び特許明細書が具体的かつ個別に参照として組入れられていることが示されているのと同程度に、本明細書に参照として組入れられている。1997年9月22日に出願された米国特許出願第08/935,377号、及び2000年3月28日に出願された米国特許出願第60/192,586号の開示及び「特許請求の範囲」は本明細書に参照として組入れられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 特異的ヒト抗体の抗原誘導型アポトーシスによる選択。
【図2A】 表面免疫グロブリンに架橋している抗原に反応して、直接又は間接に細胞死を受ける宿主細胞の調製。
【図2B】 表面免疫グロブリンに架橋している抗原に反応して、CTL-誘導した溶解又は細胞死を受けるようにデザインされた修飾されたCH33宿主細胞のバリデーション。
【図3】 pVHEの構築。
【図4】 pVKE及びpVLEの構築。
【図5】 抗原-依存型接着による特異的ヒト抗体の選択。
【図6】 三分子組換え法の概略。
【図7】 p7.5/tk及びpEL/tkプロモーターのヌクレオチド配列。v7.5/tk(配列番号:140)及びvEL/tk(配列番号:142)に関する、プロモーターのヌクレオチド配列及びチミジンキナーゼ遺伝子の始まりが示され、開始コドン及びオープンリーディングフレームの一部を含む対応するアミノ酸配列は、各々、配列番号:141及び配列番号:143のようにデザインされている。
【図8】 pVHEの構築。
【図9】 ポックスウイルス媒介した細胞変性作用の減弱。
【図10】 scFv発現ベクターの構築。
【図11】 pVHE-X-G1の構築。
【図12A】 p7.5/tk(配列番号:1)ワクシニア伝達性プラスミドのヌクレオチド配列の修飾。新規ベクターp7.5/ATG0/tk(配列番号:2)は、本文中に説明されたようにp7.5/tkワクシニア伝達性プラスミド由来である。
【図12B】 新規ベクターp7.5/ATG1/tk(配列番号:3)は、本文中に説明されたようにp7.5/tkワクシニア伝達性プラスミド由来である。
【図12C】 新規ベクターp7.5/ATG2/tk(配列番号:4)は、本文中に説明されたようにp7.5/tkワクシニア伝達性プラスミド由来である。
【図12D】 新規ベクターp7.5/ATG3/tk(配列番号:5)は、本文中に説明されたようにp7.5/tkワクシニア伝達性プラスミド由来である。
【図13】 IgM-Fas融合産物の構築。
【図14】 トランスフェクションしたCOS7及びHeLaS3細胞株におけるIgα及びIgβの発現。総RNAは、(A)COS7-Igαβ-1、(B)COS7-Igαβ-2、(C)HeLaS3-Igαβ-1、及び(D)EBV-形質転換したヒトB細胞から単離し、逆転写酵素の存在又は非存在下で、cDNAへ逆転写し、その後igα5'/igα3'及びigβ5'/igβ3'プライマーセットによりPCR増幅した。次に、PCR産物を0.8%アガロースゲル上で分析した。ヒトB細胞は、Igα及びIgβの両方について別のスプライシングを示すことに注意。Hashimoto, S.らの論文(Mol. Immunol.、32:651(1995))参照のこと。
【配列表】
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Claims (58)

  1. 以下の段階を含む、抗原特異的免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを選択する方法:
    (a)該免疫グロブリン分子の発現が可能な真核宿主細胞の集団に、転写調節領域との作用可能な結合を介して、複数の第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの第一のライブラリーを導入する段階であって、各第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは:
    (i)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域からなる群より選択される第一の免疫グロブリンの定常領域、
    (ii)該第一の定常領域に対応する免疫グロブリン可変領域、及び
    (iii)該第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの細胞表面発現又は分泌を指示することが可能なシグナルペプチドを含む段階;
    (b)該宿主細胞に、転写調節領域との作用可能な結合を介して、複数の第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの第二のライブラリーを導入する段階であって、各第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは:
    (i)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域からなる群より選択される、該第一の免疫グロブリン定常領域と同一でない第二の免疫グロブリンの定常領域、
    (ii)該第二の定常領域に対応する免疫グロブリン可変領域、及び
    (iii)該第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの細胞表面発現又は分泌を指示することが可能なシグナルペプチドを含み;
    ここで該第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、該第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドと結合して、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を形成することが可能である段階;
    (c)該宿主細胞から免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現させる段階;
    (d)該免疫グロブリン分子を抗原と接触させる段階;並びに
    (e)該抗原に特異的な免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現している該第一のライブラリーのこれらのポリヌクレオチドを回収する段階。
  2. 以下の段階を更に含む、請求項1記載の方法:
    (f)回収されたポリヌクレオチドを、免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞集団に導入する段階;
    (g)該宿主細胞へ該ポリヌクレオチドの第二のライブラリーを導入する段階;
    (h)該宿主細胞から免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現させる段階;
    (i)該宿主細胞を該抗原と接触させる段階;並びに
    (j)該抗原に特異的な免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現している該第一のライブラリーのこれらのポリヌクレオチドを回収する段階。
  3. 段階(f)〜(j)を1回又は複数回繰り返し、それにより免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片の一部として、該抗原に特異的に結合する第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードする該第一のライブラリーのポリヌクレオチドを濃縮することを更に含む、請求項2記載の方法。
  4. 第一のライブラリーから回収されたそれらのポリヌクレオチドを単離する段階を更に含む、請求項1記載の方法。
  5. 以下の段階を更に含む、請求項4記載の方法:
    (k)免疫グロブリン分子を発現することが可能な真核宿主細胞集団へ、ポリヌクレオチドの第二のライブラリーを導入する段階;
    (l)該宿主細胞へ、該第一のライブラリーから単離されたこれらのポリヌクレオチドを導入する段階;
    (m)該宿主細胞から、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現させる段階;
    (n)該宿主細胞を該特異的抗原と接触させる段階;並びに
    (o)該抗原に特異的な免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現している該第二のライブラリーのこれらのポリヌクレオチドを回収する段階。
  6. 以下の段階を更に含む、請求項5記載の方法:
    (p)回収されたポリヌクレオチドを、免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞集団へ導入する段階;
    (q)該宿主細胞へ、該第一のライブラリーから単離されたこれらのポリヌクレオチドを導入する段階;
    (r)該宿主細胞から、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現させる段階;
    (s)該宿主細胞を該抗原と接触させる段階;並びに
    (t)該抗原に特異的な免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現する該第二のライブラリーのこれらのポリヌクレオチドを回収する段階。
  7. 段階(p)〜(t)を1回又は複数回繰り返し、それにより免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片の一部として、該抗原に特異的に結合する第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードする該第二のライブラリーのポリヌクレオチドを濃縮することを更に含む、請求項6記載の方法。
  8. 第二のライブラリーから回収されたこれらのポリヌクレオチドを単離する段階を更に含む、請求項7記載の方法。
  9. 免疫グロブリン分子がヒト免疫グロブリン分子である、請求項1記載の方法。
  10. 第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが、免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片である、請求項1記載の方法。
  11. 免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片が、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含む免疫グロブリン重鎖である、請求項10記載の方法。
  12. 免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片が、天然の免疫グロブリン膜貫通ドメインを含む、請求項11記載の方法。
  13. 免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片が、融合タンパク質の一部として宿主細胞に付着している、請求項11記載の方法。
  14. 融合タンパク質が異種膜貫通ドメインを含む、請求項13記載の方法。
  15. 融合タンパク質がFasデスドメインを含む、請求項13記載の方法。
  16. 免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片が、IgM重鎖、IgD重鎖、IgG重鎖、IgA重鎖、IgE重鎖、及び該重鎖のいずれかの抗原結合断片からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
  17. 免疫グロブリン重鎖定常領域配列が、免疫エフェクター機能を変更するための修飾を含む、請求項10記載の方法。
  18. 免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片が、IgM重鎖又はそれらの抗原結合断片を含む、請求項16記載の方法。
  19. 第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが、免疫グロブリン軽鎖又はそれらの抗原結合断片である、請求項1記載の方法。
  20. 免疫グロブリン軽鎖又はそれらの抗原結合断片が、該免疫グロブリン重鎖又はそれらの抗原結合断片に結合し、それにより免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片が生産される、請求項19記載の方法。
  21. 免疫グロブリン軽鎖が、κ軽鎖及びλ軽鎖からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
  22. ポリヌクレオチドの第一のライブラリーが真核ウイルスベクターを用いて構築されている、請求項1記載の方法。
  23. ポリヌクレオチドの第二のライブラリーが真核ウイルスベクターを用いて構築されている、請求項1記載の方法。
  24. 第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドが、真核ウイルスベクターにより導入される、請求項5記載の方法。
  25. ポリヌクレオチドの第二のライブラリーが、プラスミドベクターを用いて構築されている、請求項1記載の方法。
  26. 宿主細胞が、第一のライブラリーに1〜10の範囲のMOIで感染し、該第二のライブラリーの最大20個のポリヌクレオチドが各感染宿主細胞により取込まれることが可能な条件下で第二のライブラリーが導入される、請求項22記載の方法。
  27. 第一のライブラリーから単離されたポリヌクレオチドが、プラスミドベクター内の宿主細胞へ導入される、請求項5記載の方法。
  28. 真核ウイルスベクターが動物のウイルスベクターである、請求項22記載の方法。
  29. 真核ウイルスベクターが動物のウイルスベクターである、請求項23記載の方法。
  30. ウイルスベクターが、哺乳類細胞における感染性ウイルス粒子を生産することができる、請求項28記載の方法。
  31. ウイルスベクターの天然のゲノムがDNAである、請求項30記載の方法。
  32. ウイルスベクターの天然のゲノムがRNAである、請求項30記載の方法。
  33. ウイルスベクターの天然のゲノムが、直鎖状の二本鎖DNAである、請求項31記載の方法。
  34. ウイルスベクターがポックスウイルスベクターである、請求項33記載の方法。
  35. 動物ウイルスベクターがワクシニアウイルスベクターである、請求項34記載の方法。
  36. 宿主細胞が、ウイルスの感染性ウイルス粒子の産生を許容する、請求項35記載の方法。
  37. ワクシニアウイルスが弱毒化されている、請求項35記載の方法。
  38. ポリヌクレオチドの第一のライブラリーの転写調節領域が、ポックスウイルスに感染した細胞の細胞質において機能する、請求項34記載の方法。
  39. プラスミドベクターが、転写調節領域との作用可能な結合を介して、ポックスウイルスに感染した細胞の細胞質における第二の免疫グロブリンサブユニットの合成を指示する、請求項25記載の方法。
  40. 転写調節領域がプロモーターを含む、請求項38記載の方法。
  41. プロモーターが構成的である、請求項40記載の方法。
  42. 以下の段階を含む方法により、ポリヌクレオチドの第一のライブラリーが真核ウイルスベクターにおいて構築される、請求項22記載の方法:
    (a)単離された直鎖状DNAウイルスゲノムを切断し、第一のウイルス断片及び第二のウイルス断片を製造する段階であって、該第一の断片が、該第二の断片と相同でない段階;
    (b)5'フランキング領域及び3'フランキング領域が隣接した転写調節領域との作用可能な結合を介して、複数の免疫グロブリン重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む伝達性プラスミドの集団を提供する段階であって、該5'フランキング領域は該第一のウイルス断片と相同であり、かつ該3'フランキング領域は該第二のウイルス断片と相同であり;かつ、該伝達性プラスミドは、該第一及び第二のウイルス断片との相同的組換えが可能であり、その結果生存ウイルスゲノムが形成される段階;
    (c)該伝達性プラスミド並びに該第一及び第二のウイルス断片を、伝達性プラスミド及び該ウイルス断片がインビボでの相同的組換えを受ける条件下で、宿主細胞へ導入する段階であって、それにより免疫グロブリン重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む修飾された生存ウイルスゲノムが製造される段階;並びに
    (d)該修飾されたウイルスゲノムを回収する段階。
  43. 以下の段階を含む方法により、ポリヌクレオチドの第二のライブラリーが真核ウイルスベクターにおいて構築される、請求項23記載の方法:
    (a)単離された直鎖状DNAウイルスゲノムを切断して第一のウイルス断片及び第二のウイルス断片を製造する段階であって、該第一の断片が、該第二の断片と相同でない段階;
    (b)5'フランキング領域及び3'フランキング領域が隣接した転写調節領域との作用可能な結合を介して、該複数の免疫グロブリン軽鎖をコードする該ポリヌクレオチドを含む伝達性プラスミドの集団を提供する段階であって、該5'フランキング領域は該第一のウイルス断片と相同であり、かつ該3'フランキング領域は該第二のウイルス断片と相同であり;かつ、該伝達性プラスミドは、該第一及び第二のウイルス断片との相同的組換えが可能であり、その結果生存ウイルスゲノムが形成される段階;
    (c)該伝達性プラスミド並びに該第一及び第二のウイルス断片を、伝達性プラスミド及び該ウイルス断片がインビボでの相同的組換えを受ける条件下で、宿主細胞へ導入する段階であり、それにより免疫グロブリン軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む修飾された生存ウイルスゲノムが製造される段階、並びに
    (d)該修飾されたウイルスゲノムを回収する段階。
  44. 抗原特異的免疫グロブリン分子をコードするポリヌクレオチドが:
    (a)抗原誘導型細胞死;
    (b)抗原誘導型シグナル伝達;及び
    (c)抗原特異的結合からなる群より選択される作用の検出により同定される、請求項1記載の方法。
  45. 抗原特異的免疫グロブリン分子をコードするポリヌクレオチドが:
    (a)抗原誘導型細胞死;
    (b)抗原誘導型シグナル伝達;及び
    (c)抗原特異的結合からなる群より選択される作用の検出により同定される、請求項5記載の方法。
  46. 作用が抗原誘導型細胞死である、請求項44記載の方法。
  47. 作用が抗原誘導型細胞死である、請求項45記載の方法。
  48. 作用が抗原誘導型シグナル伝達である、請求項44記載の方法。
  49. 作用が抗原誘導型シグナル伝達である、請求項45記載の方法。
  50. 作用が抗原特異的結合である、請求項44記載の方法。
  51. 以下の段階を含む、請求項50記載の方法:
    (a)、宿主細胞により発現された抗原特異的免疫グロブリン分子が抗原に結合する条件下で、該宿主細胞を該抗原と接触させる段階;及び
    (b)該抗原が結合した免疫グロブリン分子を発現している、これらの宿主細胞プールから又は先に取り分けたポリヌクレオチドの複製プールから該第一のライブラリーのポリヌクレオチドを回収する段階。
  52. 以下の段階を更に含む、請求項51記載の方法:
    (c)回収されたポリヌクレオチドを複数のサブプールに分割し、かつ該サブプールを該免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞の集団に導入する段階;
    (d)該宿主細胞から、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現させる段階;
    (e)該宿主細胞により発現された抗原特異的免疫グロブリン分子が該抗原に結合する条件下で、該プールを該抗原と接触させる段階;及び
    (f)該抗原が結合した免疫グロブリン分子を発現している、これらの宿主細胞プールから又は先に取り分けたポリヌクレオチドの複製プールから、該第一のライブラリーのポリヌクレオチドを回収する段階。
  53. 段階(c)〜(f)を1回又は複数回繰り返し、それにより免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片の一部として、抗原に特異的に結合する第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードする第一のライブラリーのポリヌクレオチドを濃縮することを更に含む、請求項52記載の方法。
  54. 作用が抗原特異的結合である、請求項45記載の方法。
  55. 以下の段階を含む、請求項54記載の方法:
    (a)宿主細胞により発現された抗原特異的免疫グロブリン分子が抗原に結合する条件下で該宿主細胞のプールを該抗原と接触させる段階;及び
    (b)該抗原が結合した免疫グロブリン分子を発現している、これらの宿主細胞プールから又は先に取り分けたポリヌクレオチドの複製プールから、第二のライブラリーのポリヌクレオチドを回収する段階。
  56. 以下の段階を更に含む、請求項55記載の方法:
    (c)回収されたポリヌクレオチドを複数のサブプールに分割し、かつ該サブプールを該免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞の集団に導入する段階;
    (d)該宿主細胞から、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を発現させる段階;
    (e)該宿主細胞により発現された抗原特異的免疫グロブリン分子が該抗原に結合する条件下で、該プールを該抗原と接触させる段階;及び
    (f)該抗原が結合した免疫グロブリン分子を発現している、これらの宿主細胞プールから又は先に取り分けたポリヌクレオチドの複製プールから、該第二のライブラリーのポリヌクレオチドを回収する段階。
  57. 段階(c)〜(f)を1回又は複数回繰り返し、それにより免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片の一部として、該抗原に特異的に結合する第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしている該第一のライブラリーのポリヌクレオチドを濃縮することを更に含む、請求項56記載の方法。
  58. (a)転写調節領域との作用可能な結合を介して、複数の第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの第一のライブラリーであって、各第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドが:
    (i)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域からなる群より選択される第一の免疫グロブリン定常領域、
    (ii)該第一の定常領域に対応する免疫グロブリン可変領域、及び
    (iii)該第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの細胞表面発現又は分泌を指示することが可能なシグナルペプチドを含む、
    真核ウイルスベクターにおいて構築される第一のライブラリー;
    (b)転写調節領域との作用可能な結合を介して、複数の第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの第二のライブラリーであって、各々が:
    (i)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域からなる群より選択される、該第一の免疫グロブリン定常領域と同一でない第二の免疫グロブリン定常領域、
    (ii)該第二の定常領域に対応する免疫グロブリン可変領域、及び
    (iii)該第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの細胞表面発現又は分泌を指示することが可能なシグナルペプチドを含み、
    ここで、該第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは、該第一の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドと結合して、免疫グロブリン分子又はそれらの抗原結合断片を形成することができ、かつ真核ウイルスベクターにおいて構築される第二のライブラリー;及び
    (c)該免疫グロブリン分子を発現することが可能な宿主細胞の集団
    を含む、真核宿主細胞において発現された抗原特異的組換え免疫グロブリンを選択するためのキットであって;
    該第一及び第二のライブラリーが、感染性ウイルス粒子及び失活されたウイルス粒子の両方として提供され、該失活されたウイルス粒子は、該宿主細胞に感染し、該第一及び第二の免疫グロブリンサブユニットポリペプチドの発現を可能にするが、ウイルス複製は受けない;かつ
    該宿主細胞により発現された抗原特異的免疫グロブリン分子は、抗原との相互作用を介して選択される、キット。
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