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JP4361285B2 - 数値制御装置 - Google Patents

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JP4361285B2
JP4361285B2 JP2003020482A JP2003020482A JP4361285B2 JP 4361285 B2 JP4361285 B2 JP 4361285B2 JP 2003020482 A JP2003020482 A JP 2003020482A JP 2003020482 A JP2003020482 A JP 2003020482A JP 4361285 B2 JP4361285 B2 JP 4361285B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、テーブルなどの制御対象の位置を制御する数値制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ボールネジを用いている駆動機構において、リニアスケールなどのセンサが制御対象の位置情報を検出してフィードバックするフルクローズド制御方式が採用されている場合、その制御対象の移動方向の反転時に機械端で生じるロストモーション(ガタや弾性変形)をセンサで検出することが可能であるが、フィードバック制御系の応答遅れに起因して象限突起を生じることがある。
従来の数値制御装置は、象限突起の発生を抑制するため、制御対象の移動方向が反転すると、所定の幅の台形、あるいは、矩形のバックラッシュ補正量を制御対象の位置指令値に加算するようにしている。なお、台形の幅は、予め、補正を加えない場合に生じる突起形状をセンサで計測して決定している(以下の特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−35814公報(第5頁から第9頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の数値制御装置は以上のように構成されているので、制御対象の移動速度や円弧半径などの制御条件が変わる度に、補正を加えない場合に生じる突起形状をセンサで計測して、台形の幅を決定する必要がある。そのため、色々な移動速度と円弧半径が組み合わされた連続動作で制御対象を駆動する場合には、多くの手間を要する課題があった。
また、バックラッシュ補正量の形状が台形又は矩形であるものとして制御対象の位置指令値に加算しているが、実際に生じる誤差の形状は必ずしも台形や矩形にはならないため、精度よく象限突起の発生を抑制することができない課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、制御対象の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補償することができる数値制御装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る数値制御装置は、制御対象の位置情報を検出してフィードバックするフルクローズド制御方式が採用されている駆動機構において、制御対象の制御方向が反転すると、その反転が発生してからの経過時間に応じて、制御対象に作用する摩擦から、制御対象の位置指令値に対する制御対象の位置の追従誤差に至るまでの伝達関数がモデル化され、伝達関数がラプラス演算子sの多項式で表され、かつ、定数が0である分子多項式および定数が0でない分母多項式で表されたものである伝達関数型フィルタを用いてバックラッシュの補正指令値を更新する補正指令値更新手段を設け、その補正指令値更新手段により更新されたバックラッシュの補正指令値を位置指令値に加算し、その加算結果に基づいて制御対象を駆動するモータの回転を制御するようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による数値制御装置を示す構成図であり、図において、サーボモータ1は制御対象であるテーブル6を図中左方向又は右方向に駆動するものであり、エンコーダ2はサーボモータ1の回転量を検出する。カップリング3はサーボモータ1とボールネジ4を結合し、ボールネジナット5はボールネジ4と嵌合されている。制御対象であるテーブル6は被加工物や工具などが固定され、ボールネジナット5と結合されている。
【0008】
リニアスケール7は図示外のベース部分に固定され、テーブル6の位置を検出する。リニアスケールヘッド8はテーブル6に固定され、リニアスケール7と嵌合されている。
なお、ボールネジ4とボールネジナット5はサーボモータ1の回転運動を直線運動に変換し、テーブル6はボールネジ4とボールネジナット5などの駆動伝達部材と、図示外の直動案内機構(ガイドレール)とに従って所定の位置に移動される。
【0009】
位置指令生成部9はテーブル6の位置(所定の一軸方向の位置)を数値制御する際、例えば加工プログラムなどにしたがって位置指令値を生成する。制御方向検出部10は位置指令生成部9により生成された位置指令値を監視して、テーブル6の軸方向の制御方向を検出し、その制御方向に応じて正又は負の大きさ“1”のステップ状の制御方向信号を出力する。ただし、その制御方向が反転しない場合には、前回と同じ制御方向信号を出力する。初期状態では零値の制御方向信号を出力する。なお、制御方向検出部10は制御方向検出手段を構成している。
【0010】
摩擦補償ゲイン部11は制御方向検出部10から出力された制御方向信号に所定の摩擦補償ゲインを乗算し、その乗算結果をテーブル6に作用する摩擦を打ち消す補正トルク量に相当する電流指令補正値として加算器17に出力する。
最大バックラッシュ補正ゲイン部12は制御方向検出部10から出力された制御方向信号に所定の最大バックラッシュ補正量を乗算し、その乗算結果をステップ状の最大バックラッシュ補正信号として伝達関数型フィルタ13に出力する。伝達関数型フィルタ13はテーブル6に作用する摩擦から、テーブル6の位置とサーボモータ1の位置との偏差に至るまでの伝達関数がモデル化され、最大バックラッシュ補正ゲイン部12から出力された最大バックラッシュ補正信号を入力すると、テーブル6の制御方向の反転が発生してからの経過時間に応じたバックラッシュの補正指令値を出力する。なお、最大バックラッシュ補正ゲイン部12及び伝達関数型フィルタ13から補正指令値更新手段が構成されている。
【0011】
加算器14は位置指令生成部9により生成された位置指令値と伝達関数型フィルタ13により更新された補正指令値を加算し、位置制御部15は加算器14の加算結果とリニアスケールヘッド8から出力されたテーブル6の位置情報との差に基づいて速度指令値を生成する。
速度制御部16はエンコーダ2から出力されたサーボモータ1の回転角度情報を位置座標系に換算してサーボモータ1の速度情報を求め、その速度情報と位置制御部15により生成された速度指令値との差に基づいて電流指令値を生成する。加算器17は速度制御部16により生成された電流指令値と摩擦補償ゲイン部11から出力された電流指令補正値を加算して補正電流指令値(制御信号)を生成する。電流制御部18は加算器17により生成された補正電流指令値に基づいてサーボモータ1の回転を制御する。なお、摩擦補償ゲイン部11、加算器14、位置制御部15、速度制御部16、加算器17及び電流制御部18から制御手段が構成されている。
【0012】
次に動作について説明する。
まず、位置指令生成部9は、テーブル6の位置(所定の一軸方向の位置)を数値制御する際、例えば加工プログラムなどにしたがって位置指令値を生成する。
制御方向検出部10は、位置指令生成部9が位置指令値の生成を開始すると、その位置指令値を監視して、テーブル6の軸方向の制御方向を検出する。
例えば、テーブル6が図中右方向に移動している場合、“+1”の制御方向信号を出力し、左方向に移動している場合、“−1”の制御方向信号を出力する。
【0013】
最大バックラッシュ補正ゲイン部12は、制御方向検出部10から“+1”又は“−1”の制御方向信号を受けると、その制御方向信号に所定の最大バックラッシュ補正量を乗算し、その乗算結果を最大バックラッシュ補正信号として伝達関数型フィルタ13に出力する。
伝達関数型フィルタ13は、最大バックラッシュ補正ゲイン部12から最大バックラッシュ補正信号を受けると、その最大バックラッシュ補正信号を入力条件として、テーブル6の制御方向の反転が発生してからの経過時間に応じたバックラッシュの補正指令値を出力する。
【0014】
加算器14は、伝達関数型フィルタ13がバックラッシュの補正指令値を更新すると、その補正指令値と位置指令生成部9により生成された位置指令値を加算し、位置制御部15は、加算器14の加算結果とリニアスケールヘッド8から出力されたテーブル6の位置情報との差に基づいて速度指令値を生成する。
摩擦補償ゲイン部11は、制御方向検出部10から“+1”又は“−1”の制御方向信号を受けると、その制御方向信号に所定の摩擦補償ゲインを乗算し、その乗算結果を電流指令補正値として加算器17に出力する。
【0015】
加算器17は、速度制御部16により生成された電流指令値と摩擦補償ゲイン部11から出力された電流指令補正値を加算して補正電流指令値を生成する。
電流制御部18は、加算器17が補正電流指令値を生成すると、その補正電流指令値に基づいてサーボモータ1の回転を制御する。即ち、サーボモータ1の駆動電流を制御する。
これにより、サーボモータ1の駆動電流に応じた角度だけサーボモータ1の回転軸が回転し、その回転に応じた距離だけテーブル6が移動する。
【0016】
ここで、図2はサーボモータ1とテーブル6の間で生じる弾性変形を説明する説明図である。
Mはサーボモータ1の回転運動をテーブル6の直線運動座標系に等価変換して表現したものであり、Lはテーブル6を示し、Kはボールネジ4などの駆動伝達部材に含まれる弾性要素をまとめてテーブル6の座標系で表現したものであり、Cは駆動伝達部材に含まれるダンピング要素をまとめてテーブル6の座標系で表現したものである。
【0017】
図2(a)はサーボモータMとテーブルLが右に移動している場合を示している。即ち、サーボモータMに作用する駆動力Uと、テーブルLに作用する動摩擦Fとが釣合い、弾性要素Kが縮んでいることを示している。
図2(b)はサーボモータMとテーブルLが左に移動している場合を示している。即ち、駆動力Uと動摩擦Fの方向が反転し、弾性要素Kは伸びていることを示している。
テーブル6に対する位置指令値が右方向から左方向に反転する場合、テーブル6の位置をリニアスケール7とリニアスケールヘッド8で検出してフィードバック制御するため、テーブル6とサーボモータ1の間に弾性変形が生じていても、テーブル6を位置指令値に追従させることができる。しかし、フィードバック制御系には応答遅れがあるため、フィードバック制御だけでは追従誤差が生じてしまう。
【0018】
図3はこの実施の形態1による数値制御装置の制御系を示すブロック図であり、テーブル6とサーボモータ1は、慣性モーメントとその間に介在するバネを使って力学的にモデル化している。JLはテーブル6の慣性モーメント、JMはサーボモータ1の慣性モーメント、Kはボールネジ4などの駆動伝達部材の剛性を表すバネ定数、Cはバネに作用する粘性摩擦係数、sは微分を表すラプラス演算子である。
また、Fはテーブル6に作用する動摩擦トルク、F0はこの動摩擦を打ち消すための摩擦補償トルクである。V(s)は速度制御部16であり、例えば、Kv(1+Ki/s)で表現され、Kvは速度比例ゲイン、Kiは速度積分ゲインである。P(s)は位置制御部15であり、例えば、位置比例ゲインKpで表現される。θrは位置指令値、θMはサーボモータ1の位置、θLはテーブル6の位置である。
ただし、図3では電流制御部18は、その応答が位置制御部15や速度制御部16と比べて十分早いものとみなして省略している。
【0019】
例えば、テーブル6に対する位置指令が正方向から負方向に反転する場合、反転直前まではテーブル6の位置θLは位置指令値θrに追従しているが、反転時にテーブル6に作用する動摩擦Fの方向が反転するために、バネKが伸びて縮む分だけ大きく動く必要が生じる。
バネKの変位量をθL−θMとすると、動摩擦FからθL−θMまでの伝達関数は下記の式(1)で与えられる。
Figure 0004361285
ただし、J=(JL+JM)であり、(F/K)は最大バックラッシュ補正ゲイン部12における最大バックラッシュ補正量に相当し、B(s)は最大バックラッシュ補正量の時間変化を表す伝達関数である。
【0020】
位置指令値θrからテーブル6の位置θLまでの伝達関数をQ(s)とすると、位置指令値θrに対するテーブル6の位置θLの追従誤差は1−Q(s)となる。
速度制御部16をV(s)=Kv(1+Ki/s)とし、位置制御部15をP(s)=Kpとすると、伝達関数Q(s)は下記の式(2)で与えられる。
Figure 0004361285
【0021】
テーブル6に対する位置指令値θrの移動方向が反転するときに生じる誤差Δθは、下記の式(3)で与えられる。
Δθ=(1−Q(s))・B(s) (3)
したがって、最大バックラッシュ補正ゲイン部12及び伝達関数型フィルタ13に対して式(3)に相当する伝達関数を設定すれば、テーブル6の誤差を補正することができる。
また、Q(s)で表される制御系の応答が遅い場合には、その応答遅れを考慮して、下記の式(4)で表される伝達関数を伝達関数型フィルタ13に設定すれば、高精度にテーブル6の誤差を補正することができる。
Δθ/Q(s)=(1−Q(s))・B(s)/Q(s) (4)
【0022】
例えば、JL、JM、Cと比べてKが十分大きい場合には、式(1)は下記の式(5)で近似することができる。
B(s)=1 (5)
更に、速度制御部16の応答が位置制御部15と比べて十分速いとみなせる場合には、制御系の応答Q(s)は下記の式(6)で近似することができる。
Q(s)=1/(s/Kp+1) (6)
以上より、伝達関数型フィルタ13には下記の式(7)あるいは式(8)で与えられる伝達関数を設定すればよい。
(1−Q(s))・B(s)=(s/Kp)/(s/Kp+1) (7)
(1−Q(s))・B(s)/Q(s)=s/Kp (8)
【0023】
また、JL,JMと比べてC,Kが十分大きい場合には、式(1)は下記の式(9)で近似することができる。
B(s)=1/{(C/K)s+1} (9)
したがって、伝達関数型フィルタ13には下記の式(10)あるいは式(11)で与えられる伝達関数を設定すればよい。
(1−Q(s))・B(s)=(s/Kp)
/[{C/(K・Kp)}s2+{(C/K)
+(1/Kp)}s+1] (10)
(1−Q(s))・B(s)/Q(s)=s/[Kp{(C/K)s+1}] (11)
【0024】
なお、図4(a)は直交するX−Yの2軸に時計周りの円弧位置指令を与えて運動させた場合のX軸とY軸の時間応答を示しており、図4(b)は象限切り替え近傍のY軸指令値の時間応答を拡大表示している。実線がバックラッシュの補正指令値が加算された位置指令値を示し、点線が補正前の位置指令値を示している。
図4(c)はバックラッシュ補正を実施せず、位置指令値に対するフィードバック制御を実施した場合の円弧の一部を、誤差を拡大して表示したものである。実線がテーブル6の運動軌跡を示し、破線がサーボモータ1の運動軌跡を示している。実線のテーブル6の運動軌跡は、ほぼ円を描いているが、最下端で大きな突起を生じている。これが応答遅れが原因で生じる象限突起である。
図4(d)はバックラッシュ補正を実施して、補正後の位置指令に対するフィードバック制御を実施した場合の円弧の一部を拡大して表示したものである。実線で示されるテーブル6の軌跡は象限切り替え部でも滑らかに円弧を描いている。
【0025】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、テーブル6の制御方向が反転すると、その反転が発生してからの経過時間に応じてバックラッシュの補正指令値を更新して、その補正指令値を位置指令値に加算し、その加算結果に基づいてテーブル6を駆動するサーボモータ1の回転を制御するように構成したので、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補償することができるようになり、その結果、テーブル6の位置θLを位置指令値θrに精度よく追従させることができる効果を奏する。
【0026】
また、この実施の形態1によれば、テーブル6の制御方向を考慮してテーブル6に作用する摩擦を打ち消す補正トルク量を求め、その補正トルク量を考慮してサーボモータ1の制御信号を生成するように構成したので、テーブル6に作用する摩擦が大きい場合でも、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補償することができる効果を奏する。
また、この実施の形態1によれば、テーブル6に作用する摩擦から、テーブル6の位置θLとサーボモータ1の位置θMとの偏差に至るまでの伝達関数がモデル化された伝達関数型フィルタ13を用いてバックラッシュの補正指令値を更新するように構成したので、予め、補正を加えない場合に生じる突起形状をセンサで計測することなく、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を補償することができる効果を奏する。
更に、この実施の形態1によれば、テーブル6の制御方向が反転すると、所定のバックラッシュ量を伝達関数型フィルタ13に入力するように構成したので、構成の複雑化を招くことなく、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補正することができる効果を奏する。
また、この実施の形態は、以下の効果を奏する。
(1)この実施の形態1によれば、テーブル6に作用する摩擦から、テーブル6の位置θLとサーボモータ1の位置θMとの偏差に至るまでの伝達関数がモデル化され、上記伝達関数がラプラス演算子sの多項式で表され、かつ、定数が0である分子多項式および定数が0でない分母多項式で表されたものである伝達関数型フィルタ13を用いてバックラッシュの補正指令値を更新するように構成したので、予め、補正を加えない場合に生じる突起形状をセンサで計測することなく、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を補償することができる効果を奏する。
(2)この実施の形態1によれば、上記(1)に加え、テーブル6の制御方向を考慮してテーブル6に作用する摩擦を打ち消す補正トルク量を求め、その補正トルク量を考慮してサーボモータ1の制御信号を生成するように構成したので、テーブル6に作用する摩擦が大きい場合でも、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補償することができる効果を奏する。
(3)この実施の形態1によれば、上記(1)に加え、テーブル6の制御方向が反転すると、所定のバックラッシュ量を伝達関数型フィルタ13に入力するように構成したので、構成の複雑化を招くことなく、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補正することができる効果を奏する。
【0027】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による数値制御装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
最大バックラッシュ補正ゲイン算出部19は位置指令生成部9により生成された位置指令値から最大バックラッシュ補正量を算出し、制御方向検出部10から出力された制御方向信号に当該最大バックラッシュ補正量を乗算し、その乗算結果を最大バックラッシュ補正信号として伝達関数型フィルタ13に出力する。なお、最大バックラッシュ補正ゲイン算出部19は補正指令値更新手段を構成している。
【0028】
図6は最大バックラッシュ補正ゲイン算出部19における最大バックラッシュ補正量の算出法を説明する説明図である。
テーブル6に作用する動摩擦Fは、機械の組み立て具合により、位置に依存して値が増減する。ボールネジ4が両端で軸受に支持されている構造の場合には、両端で動摩擦が大きく、中央では小さくなる場合が多い。予め、等速直線運動をさせた場合の制御電流を計測する方法などで、位置指令値θrと動摩擦Fの関係を計測し、関数F(θr)で近似表現する。この場合、例えば、下記の式(12)で表現される。
Figure 0004361285
ただし、a1,a2,b1,b2は適当な定数である。
【0029】
機械のバネ定数は位置に依存して変化する。サーボモータ1からボールネジナット5までの長さが位置に依存して変化するためである。機械の設計データあるいは計測値に基づいて、位置指令値θrとバネ定数Kの関係を関数K(θr)で近似表現する。この場合、例えば、下記の式(13)で表現される。
K(θr)=1/(a3・θr+b3) (13)
ただし、a3,b3は適当な定数である。
上記のように、関数表現された動摩擦F(θr)とバネ定数K(θr)から、最大バックラッシュ補正量maxΔは位置指令値θrの関数として下記の式(14)で与えられる。
maxΔ=F(θr)/K(θr) (14)
【0030】
次に動作について説明する。
最大バックラッシュ補正ゲイン算出部19は、位置指令生成部9から位置指令値を受けると、その位置指令値から最大バックラッシュ補正量を算出する。
例えば、テーブル6がボールネジ4の端部にある場合は、図6に示すように、最大バックラッシュ補正量を大きくし、テーブル6がボールネジ4の中央部にある場合は、最大バックラッシュ補正量を小さくする。
そして、最大バックラッシュ補正ゲイン算出部19は、上記実施の形態1と同様にして、制御方向検出部10から制御方向信号を受けると、その制御方向信号に当該最大バックラッシュ補正量を乗算し、その乗算結果を最大バックラッシュ補正信号として伝達関数型フィルタ13に出力する。
【0031】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、位置指令生成部9により生成された位置指令値から最大バックラッシュ補正量を算出し、制御方向検出部10から出力された制御方向信号に当該最大バックラッシュ補正量を乗算し、その乗算結果を伝達関数型フィルタ13に出力するように構成したので、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形が位置に応じて変化する場合でも精度よく弾性変形を補償することができるようになり、その結果、テーブル6の位置θLを位置指令値θrに高精度に追従させることができる効果を奏する。
【0032】
なお、この実施の形態2では、位置指令値θrと最大バックラッシュ補正量maxΔの関係を近似関数で表現するものについて示したが、これらを実測データに基づいて数値表化し、最大バックラッシュ補正量maxΔを補間計算する算出法を用いても同様な効果を奏することができる。
【0033】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3による数値制御装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
摩擦推定部20は位置指令生成部9により生成された位置指令値と加算器17により生成された補正電流指令値(制御信号)からテーブル6に作用する摩擦を推定し、その推定摩擦信号を出力する。最大バックラッシュ補正ゲイン算出部21は摩擦推定部20から出力された推定摩擦信号と位置指令生成部9により生成された位置指令値から最大バックラッシュ補正量を算出し、その最大バックラッシュ補正量を伝達関数型フィルタ13に出力する。なお、摩擦推定部20及び最大バックラッシュ補正ゲイン算出部21は補正指令値更新手段を構成している。
【0034】
摩擦推定部20は、下記の式(15)に基づいてテーブル6に作用する推定摩擦F^を計算する。
F^=KT・i−{Jαr+Dωr+FM・sign(ωr)} (15)
ただし、KTはサーボモータ1のトルク定数、iは摩擦補償を含む補正電流指令値、αrは位置指令値θrの2階微分値である加速度指令値、ωrは位置指令値θrの1階微分値である速度指令値、J(=JL+JM)はテーブル6とサーボモータ1など機械系の慣性モーメントの合計値、Dはサーボモータ1及びテーブル6に作用する粘性摩擦係数の合計値、FMはサーボモータ1に作用する摩擦、sign(ωr)はωrが正のときは“1”を出力し、負のときは“−1”を出力する符号関数を示している。
【0035】
最大バックラッシュ補正ゲイン算出部21は、下記の式(16)に基づいて最大バックラッシュ補正量maxΔを算出する。
maxΔ=F^/K(θr) (16)
ただし、F^は摩擦推定部20から出力された推定摩擦、K(θr)は位置指令値θrとバネ定数Kの関係を表す関数である。
【0036】
次に動作について説明する。
摩擦推定部20は、加算器17から補正電流指令値を受けると、式(15)を用いて、その補正電流指令値と位置指令生成部9により生成された位置指令値からテーブル6に作用する摩擦を推定し、その推定摩擦信号を出力する。
最大バックラッシュ補正ゲイン算出部21は、摩擦推定部20から推定摩擦信号を受けると、式(16)を用いて、その推定摩擦信号と位置指令生成部9により生成された位置指令値から最大バックラッシュ補正量を算出し、その最大バックラッシュ補正量を伝達関数型フィルタ13に出力する。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、位置指令生成部9により生成された位置指令値と加算器17により生成された補正電流指令値からテーブル6に作用する摩擦を推定し、その推定値と位置指令生成部9により生成された位置指令値から最大バックラッシュ補正量を算出し、その最大バックラッシュ補正量を伝達関数型フィルタ13に出力するように構成したので、テーブル6の移動方向が反転するときに生じる弾性変形が位置・速度・移動距離・円弧半径・機械の潤滑状態・温度などの動作条件に応じて変化する場合でも、精度よく弾性変形を補償することができるようになり、その結果、テーブル6の位置θLを位置指令値θrに高精度に追従させることができる効果を奏する。
【0038】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4による数値制御装置を示す構成図であり、図において、図7と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
摩擦補償値算出部22は制御方向検出部10から出力された制御方向信号に摩擦推定部20から出力された推定摩擦信号を乗算し、その乗算結果を補正トルク量に相当する電流指令補正値として加算器17に出力する。なお、摩擦補償値算出部22は制御手段を構成している。
【0039】
次に動作について説明する。
摩擦補償値算出部22は、制御方向検出部10から制御方向信号を受けると、その制御方向信号に摩擦推定部20から出力された推定摩擦信号F^を乗算し、その乗算結果を補正トルク量に相当する電流指令補正値として加算器17に出力する。
加算器17は、速度制御部16により生成された電流指令値と摩擦補償値算出部22から出力された電流指令補正値を加算して補正電流指令値を生成する。
【0040】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、制御方向検出部10から出力された制御方向信号に摩擦推定部20から出力された推定摩擦信号を乗算し、その乗算結果を補正トルク量に相当する電流指令補正値として加算器17に出力するように構成したので、テーブル6に作用する摩擦量が位置・速度・移動距離・円弧半径・機械の潤滑状態・温度などの動作条件に応じて変化する場合でも、精度よく弾性変形を補償することができるようになり、その結果、テーブル6の位置θLを位置指令値θrに高精度に追従させることができる効果を奏する。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、制御対象の位置情報を検出してフィードバックするフルクローズド制御方式が採用されている駆動機構において、制御対象の制御方向が反転すると、その反転が発生してからの経過時間に応じて、制御対象に作用する摩擦から、制御対象の位置指令値に対する制御対象の位置の追従誤差に至るまでの伝達関数がモデル化され、伝達関数がラプラス演算子sの多項式で表され、かつ、定数が0である分子多項式および定数が0でない分母多項式で表されたものである伝達関数型フィルタを用いてバックラッシュの補正指令値を更新する補正指令値更新手段を設け、その補正指令値更新手段により更新されたバックラッシュの補正指令値を位置指令値に加算し、その加算結果に基づいて制御対象を駆動するモータの回転を制御するように構成したので、制御対象の移動方向が反転するときに生じる弾性変形を精度よく補償することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による数値制御装置を示す構成図である。
【図2】 サーボモータとテーブルの間で生じる弾性変形を説明する説明図である。
【図3】 この実施の形態1による数値制御装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】 象限突起の抑制効果を説明する説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による数値制御装置を示す構成図である。
【図6】 最大バックラッシュ補正ゲイン算出部における最大バックラッシュ補正量の算出法を説明する説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態3による数値制御装置を示す構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態4による数値制御装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 サーボモータ、2 エンコーダ、3 カップリング、4 ボールネジ、5ボールネジナット、6 テーブル、7 リニアスケール、8 リニアスケールヘッド、9 位置指令生成部、10 制御方向検出部(制御方向検出手段)、11 摩擦補償ゲイン部(制御手段)、12 最大バックラッシュ補正ゲイン部(補正指令値更新手段)、13 伝達関数型フィルタ(補正指令値更新手段)、14 加算器(制御手段)、15 位置制御部(制御手段)、16 速度制御部(制御手段)、17 加算器(制御手段)、18 電流制御部(制御手段)、19最大バックラッシュ補正ゲイン算出部(補正指令値更新手段)、20 摩擦推定部(補正指令値更新手段)、21 最大バックラッシュ補正ゲイン算出部(補正指令値更新手段)、22 摩擦補償値算出部(制御手段)。

Claims (6)

  1. 制御対象の位置情報を検出してフィードバックするフルクローズド制御方式が採用されている駆動機構において、上記制御対象の位置指令値を監視して当該制御対象の制御方向を検出する制御方向検出手段と、上記制御方向検出手段により検出された制御方向が反転すると、その反転が発生してからの経過時間に応じて、制御対象に作用する摩擦から、上記制御対象の位置指令値に対する上記制御対象の位置の追従誤差に至るまでの伝達関数がモデル化され、上記伝達関数がラプラス演算子sの多項式で表され、かつ、定数が0である分子多項式および定数が0でない分母多項式で表されたものである伝達関数型フィルタを用いてバックラッシュの補正指令値を更新する補正指令値更新手段と、上記補正指令値更新手段により更新されたバックラッシュの補正指令値を上記位置指令値に加算し、その加算結果に基づいて上記制御対象を駆動するモータの回転を制御する制御手段とを備えた数値制御装置。
  2. 制御手段は、制御方向検出手段により検出された制御方向を考慮して制御対象に作用する摩擦を打ち消す補正トルク量を求め、その補正トルク量を考慮してモータの制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の数値制御装置。
  3. 補正指令値更新手段は、制御方向検出手段により検出された制御方向が反転すると、所定のバックラッシュ量を伝達関数型フィルタに入力することを特徴とする請求項1または2に記載の数値制御装置。
  4. 補正指令値更新手段は、制御方向検出手段により検出された制御方向が反転すると、制御対象の位置指令値に対応するバックラッシュ量を伝達関数型フィルタに入力することを特徴とする請求項1または2に記載の数値制御装置。
  5. 補正指令値更新手段は、制御対象の位置指令値とモータの制御信号から当該制御対象に作用する摩擦を推定し、制御方向検出手段により検出された制御方向が反転すると、その摩擦の推定値と当該制御対象の位置指令値からバックラッシュ量を算出して、そのバックラッシュ量を伝達関数型フィルタに入力することを特徴とする請求項1または2に記載の数値制御装置。
  6. 制御手段は、制御対象の位置指令値とモータの制御信号から当該制御対象に作用する摩擦を推定し、その摩擦の推定値から補正トルク量を求めることを特徴とする請求項2記載の数値制御装置。
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