ところで、上記したウィズチップ実装された配線基板を樹脂でモールドしてなる電子装置においては、配線基板に搭載される電子部品としてパワー素子が搭載されるなど、高パワー化に伴い、配線基板を介した放熱構成が求められている。
そこで、本発明者は、上記した従来の電子装置において、放熱性を向上させるために、配線基板における一面とは反対側の他面側に、ヒートシンクをその一面が対向した状態で設け、さらに、ヒートシンクにおける一面とは反対側の他面が露出するように、ヒートシンクをモールド樹脂により封止する構成を検討した。
図10は、本発明者が検討した試作品であって、上記ヒートシンクを付加した構成を採用した電子装置の概略構成を示す断面図である。
この電子装置は、大きくは、ウィズチップ実装された配線基板10をヒートシンク50上に接着剤で固定し、ワイヤボンドによってリードフレーム40と接続し、モールド樹脂60で封止したものである。以下、このタイプの電子装置をモールドハイブリッドICということにする。
図10において、配線基板10は、一般的に知られているセラミック積層基板であり、たとえばアルミナなどからなる複数のセラミック層11、12、13、14が積層されたものである。
そして、配線基板10の一面(図10中の上面)および他面(図10中の下面)には、それぞれ導体材料からなる一面側ランド15、他面側ランド16が形成されている。また、図示しないが、配線基板10の内部には、内層配線が形成されている。
ここで、このような配線基板10は、複数のグリーンシートに上記ランドや内層配線となる導体パターンを形成した後、各グリーンシートを積層・焼成するという一般的なセラミック積層基板の製法に準じて製造することができる。
また、図10に示されるように、配線基板10の一面には、各種の電子部品30、31が搭載されている。これら電子部品30、31は、配線基板10の一面において一面側ランド15の上に、銀ペーストや半田などの接合材32やボンディングワイヤ33を用いて実装されている。
そして、配線基板10の一面に搭載されている各電子部品30、31や上記した各ランド15、16、上記内層配線等の各配線部により、配線基板10における回路が構成されている。
また、配線基板10の周囲には、リードフレームなどからなる配線部材40が設けられており、配線部材40と配線基板10とは、ボンディングワイヤ41を介して結線され電気的に接続されている。
また、ヒートシンク50は、放熱性に優れた金属などの材料からなるもので、配線基板10の他面側にてヒートシンク50の一面(図10中の上面)が配線基板10の他面に対向した状態で設けられ、接着剤42を介して、配線基板10の他面とヒートシンク50の一面とは固定されている。
そして、モールド樹脂60により、上記各部材10〜50が包み込まれるように封止されている。ここで、配線部材40におけるワイヤ41との接続部とは反対側の部位は、モールド樹脂60から突出し、外部との電気的接続が可能となっている。また、ヒートシンク50の他面は、モールド樹脂60から露出し、それによって、ヒートシンク50による放熱性の向上が図られている。
このように、図10に示される電子装置は、ウィズチップ実装された配線基板10およびこの配線基板10に取り付けられたヒートシンク50をモールド樹脂60で封止してなるモールドハイブリッドICとして構成されている。
このようなモールドハイブリッドIC構造においては、上記した配線部材40以外にも、検査用端子や調整用端子などの各種の多くの端子が、別途必要となっている。たとえば、図11は、上記試作品としての電子装置に対して、さらに検査用や調整用などに用いる複数の別端子900を設けた例を示す平面構成図である。
こここで、別端子900は、通常はリードフレームからなるものであり、図11には示さないが、上記配線部材40と同様に、モールド樹脂60の内部にてボンディングワイヤを介して上記配線基板10と電気的に接続され、この接続端部とは反対側の部位がモールド樹脂60から外方へ突出した状態で多数配列されている。
このように、モールドハイブリッドICに対して、検査用や調整用などの端子としてリードフレームからなる複数の別端子900を付加した構成とした場合に、以下に述べるような諸問題(a)〜(f)が発生する可能性がある。
(a):端子数を確保するために装置の外形が大きくなり、取り付けスペースが大きくなってしまうこと。(b):別端子900とのワイヤボンドの接続など加工コストが増加してしまうこと。
(c):端子を増やすために端子間ピッチが狭くなってしまい、取り付けが困難となること。(d):端子を増やすために、端子幅が狭くなり、許容電流容量が不足すること。
(e):端子がそのまま開放状態で残されるため、アンテナとなってしまいノイズの原因となること。(f):端子がむき出しとなるため、静電気などによる破壊が発生すること。これらの問題(a)〜(f)が発生すること考えられる。
ここで、上記問題(a)、(e)、(f)に対し、検査後に別端子900をカットすることによって外形の増大を防止することが考えられるが、検査後の加工を行うことにより、信頼性が損なわれる可能性があるため、好ましくない。
また、上記問題(c)、(d)に対しては、配列されている別端子900に応じて配列されるボンディングワイヤの配置を千鳥構造にしたり、別端子900を構成するリードフレームの厚さを厚くすることで対応できるが、加工性が悪くなるため、コストアップにつながる。
さらに、上記問題(e)、(f)などの電気的なノイズの対策としては、別端子900にコンデンサを取り付けることなどにより対応することができるが、加工のコストアップになってしまう。
このように、モールドハイブリッドIC構造において、検査用や調整用などに用いる端子を設けるにあたって、これら端子としてリードフレームを用いた場合、上記したような諸問題が生じるため、好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、一面側に電子部品が搭載された配線基板に対してその一面側を電子部品とともにモールド樹脂により封止してなる電子装置において、検査用や調整用などに用いる端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、配線基板(10)と、配線基板(10)の一面側に搭載された電子部品(30、31)と、電子部品(30、31)および配線基板(10)の一面側を封止するモールド樹脂(60)とを備える電子装置において、配線基板(10)における一面とは反対側の他面側には、ヒートシンク(50)がその一面を対向させて設けられており、ヒートシンク(50)における一面とは反対側の他面が露出するように、ヒートシンク(50)はモールド樹脂(60)により封止されており、ヒートシンク(50)においては他面から一面に貫通する貫通穴(51)が形成されており、配線基板(10)の他面のうち貫通穴(51)に臨む部位に、導体材料からなるランド(16)が形成されており、ランド(16)は検査用または調整用の端子として構成されたものであり、貫通穴(51)は封止されずに開放状態とされていることを特徴としている。
それによれば、ヒートシンク(50)に貫通穴(51)を設け、この貫通穴(51)に臨む配線基板(10)の他面の部位に、導体材料からなるランド(16)が形成されているため、当該貫通穴(51)を介して、この配線基板(10)の他面側ランド(16)を検査用や調整用などの端子として使用することができる。
そのため、本発明によれば、従来のような検査用や調整用などの端子としてのリードフレームが不要となることから、そのような端子としてのリードフレームを別途設けなくてもよく、装置の外形の大型化をはじめとする、リードフレームを検査用などの端子として使用することに伴う上記の諸問題も回避できる。
このように、本発明によれば、一面側に電子部品(30、31)が搭載された配線基板(10)に対してその一面側を電子部品(30、31)とともにモールド樹脂(60)により封止してなる電子装置において、検査用や調整用などに用いる端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現することができる。
ここで、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の電子装置においては、配線基板(10)としては、セラミック積層基板を採用することができる。
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の電子装置において、ヒートシンク(50)の貫通穴(51)は、分割された複数個の穴から構成されたものであることを特徴としている。
ヒートシンク(50)に加わる応力の観点から、貫通穴(51)として一つの大きな穴から構成されたものよりも、分割された複数個の穴から構成されたものとした方が、強度的な向上が図られ、好ましい。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3に記載の電子装置において、ヒートシンク(50)の貫通穴(51)は、ヒートシンク(10)の他面側から一面側に向かって穴径が狭くなっているものであることを特徴としている。
検査用や調整用の装置のピンやプローブなどの部材を貫通穴(51)に挿入して、配線基板(10)の他面側ランド(16)に接続する際に、当該部材を挿入しやすくするという点で好ましい。
また、請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4に記載の電子装置において、ヒートシンク(50)の貫通穴(51)の内周面は、絶縁膜(70)により被覆されていることを特徴としている。
それによれば、検査用や調整用の装置のピンやプローブなどの部材を貫通穴(51)に挿入して、配線基板(10)の他面側ランド(16)に接続する際に、当該部材がヒートシンク(50)の貫通穴(51)の内面に接触しても、電気的な短絡を防止することができる。
また、請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5に記載の電子装置において、配線基板(10)の他面とヒートシンク(50)の一面とは接着剤(42)により固定されており、貫通穴(51)には、接着剤(42)がランド(16)へ付着するのを防止するための接着剤(42)の逃がし部(52)が設けられていることを特徴としている。
それによれば、接着剤(42)が、配線基板(10)の他面側ランド(16)へ付着するのを防止することができ、好ましい。
また、請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6に記載の電子装置において、配線基板(10)の他面とヒートシンク(50)の一面とは接着剤(42)により固定されており、ヒートシンク(50)の一面のうち貫通穴(51)の周囲には、溝部(53)が設けられていることを特徴としている。
それによれば、配線基板(10)とヒートシンク(50)との界面の接着部において、貫通穴(51)に面した界面からの接着部の剥離の進展を溝部(53)によって防止でき、好ましい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置S1の概略断面構成を示す図である。
[構成等]
この電子装置S1は、大きくは、配線基板10と、配線基板10の一面側に搭載された電子部品30、31と、配線基板10と外部とを電気的に接続するための配線部材40と、配線基板10における一面とは反対側の他面側に設けられたヒートシンク50と、これら前記の各部材10〜50を封止するモールド樹脂60とを備えて構成されている。
配線基板10は、セラミック基板、プリント基板などからなるものであり、また、単層基板であっても、積層基板(多層基板)であってもよい。本例では、配線基板10としては、一般的に知られているセラミック積層基板を採用している。
このセラミック積層基板としての配線基板10は、たとえばアルミナなどからなる複数のセラミック層11、12、13、14が積層されたものである。なお、図1では、配線基板10は、それぞれ、4層のセラミック層11〜14からなるものであるが、2層以上であればよく、もちろん5層以上であってもかまわない。
そして、配線基板10の一面(図1中の上面)および他面(図1中の下面)には、それぞれ導体材料からなる一面側ランド15、他面側ランド16が形成されている。また、図1には示さないが、配線基板10の内部には、内層配線が形成されている。
ここで、これら配線部としてのランド15、16および上記内層配線は、配線基板10の一面、他面や各セラミック層11〜14の間に設けられた導体パターンであり、さらに各セラミック層11〜14に設けられた図示しないビアホールなどにより、配線基板10において上記各配線部は互いに電気的に接続されている。
具体的には、配線部としてのランド15、16および上記内層配線は、たとえばW、Mo、Cu、Agなどの導体ペーストを印刷することにより形成された導体パターンとして構成されたものである。
また、図1に示されるように、配線基板10の一面には、各種の電子部品30、31が搭載されている。ここでは、電子部品30、31として、半導体チップ等からなる能動素子30、抵抗やコンデンサ等の受動素子31が搭載されている。
これら能動素子30および受動素子31は、配線基板10の一面において一面側ランド15の上に銀ペーストや半田などの接合材32を介して固定されている。また、能動素子30はボンディングワイヤ33により、一面側ランド15と結線され電気的に接続されている。
なお、図示しないが、配線基板10の他面には、たとえば厚膜抵抗体などの実装部品が実装されていてもよい。
そして、配線基板10の一面に搭載されている各電子部品30、31や他面の実装部品、さらには上記した各ランド15、16、上記内層配線等の各配線部により、配線基板10における回路が構成されている。
また、配線基板10の周囲には、配線基板10とと外部とを電気的に接続するための配線部材40が設けられている。この配線部材40は、たとえばCuや42アロイなどからなるリードフレームにより構成されている。
そして、配線部材40と配線基板10とは、ボンディングワイヤ41を介して結線され電気的に接続されている。このボンディングワイヤ41は、通常のワイヤボンディング法により形成できるもので、AlやAuなどのワイヤからなるものである。
また、ヒートシンク50は、配線基板10の他面側に設けられているが、このヒートシンク50は、ヒートシンク50の一面(図1中の上面)が配線基板10の他面に対向して設けられている。このヒートシンク50は、たとえばCuやAlなどの放熱性に優れた金属などの材料からなる板材である。
そして、図1に示されるように、配線基板10の他面とヒートシンク50の一面とは接着剤42により固定されている。この接着剤42は、たとえば、樹脂などからなる一般的な接着剤を採用することができる。
そして、モールド樹脂60により、上記各部材10〜50が包み込まれるように封止されている。このモールド樹脂60は、電子装置の分野における封止パッケージを構成する通常のモールド材料、たとえばエポキシ系樹脂などからなるもので、トランスファーモールド法などにより形成されるものである。
ここで、配線部材40におけるボンディングワイヤ41の接続部側の部分は、モールド樹脂60にて封止されているが、ワイヤ41との接続部とは反対側の部位は、モールド樹脂60から突出し、外部との電気的接続が可能となっている。
また、ヒートシンク50においては、一面および側面はモールド樹脂60にて封止されているが、配線基板10との接着面である一面とは反対側の他面は、モールド樹脂60から露出している。
このように、ヒートシンク50の他面をモールド樹脂60から露出させることによって、ヒートシンク50による放熱性の向上が図られている。つまり、本電子装置S1においては、上記電子部品30、31および配線基板10から発生する熱は、ヒートシンク50を介して外部に放熱されるようになっている。
このように、本実施形態の電子装置S1は、ウィズチップ実装された配線基板10およびこの配線基板10に取り付けられたヒートシンク50をモールド樹脂60で封止してなるモールドハイブリッドICとして構成されている。
さらに、本実施形態独自の構成として、図1に示されるように、この電子装置S1では、ヒートシンク50において、その他面から一面に貫通する貫通穴51が形成されており、ヒートシンク50は、この貫通穴51以外の部位にて上記接着剤42を介して配線基板10と接着されている。この貫通穴51は、打ち抜き、研削などの機械的加工やエッチングなどの化学的加工などにより形成できる。
そして、配線基板10の他面のうちヒートシンク50の貫通穴51に臨む部位に、上記した導体材料からなる他面側ランド16が形成されている。そして、この配線基板10の他面側ランド16は、外部に開口する貫通穴51を介してモールド樹脂60の外部に露出している。
[製造方法等]
次に、本実施形態の電子装置S1の製造方法について、上記図1に示される構成に基づいて説明する。
まず、各セラミック層11〜14となるグリーンシートに、上記したビアホールや一面側ランド15、他面側ランド16および上記内層配線となる導体パターンを形成する。これらの形成方法は、パンチングなどによるスルーホールの形成、導体ペーストの印刷、硬化など一般的な積層基板における方法に準じて行うことができる。
次に、上記の各グリーンシートを積層し、この積層体を焼成する。これにより、一面、他面および内部に一面側ランド15、他面側ランド16および上記内層配線などの配線部が形成された配線基板10ができあがる。
なお、この配線基板10においては、必要に応じ、ICなどの実装性を確保するため各ランド15、16メッキ処理を施したり、裏面に厚膜抵抗体などを印刷・焼成にて形成する。また、必要に応じて保護ガラスを形成したり、抵抗値の調整のため、レーザトリミングを行ったりする。
次に、配線基板10の一面に電子部品30、31を搭載する。この電子部品30、31の搭載工程では、配線基板10の一面に、それぞれ上記の能動素子30および受動素子31を銀ペーストや半田などの接合材32を介して搭載・固定し、また、能動素子30にワイヤボンディングを行ってボンディングワイヤ33を形成し、能動素子30と配線基板10とを電気的に接続する。
次に、配線部材40とヒートシンク50とが図示しない部位にてかしめなどにより一体に固定されたものを用意し、ヒートシンク50の一面上に、接着剤42を介して配線基板10を搭載し、接着剤42を硬化させる。それにより、配線基板10、配線部材40およびヒートシンク50が一体化された部材を形成する。
その後、配線基板10と配線部材40との間でワイヤボンディングを行うことにより、これら配線基板10と配線部材40とをボンディングワイヤ41により結線し、電気的に接続する。
しかる後、金型を用いたトランスファーモールド法などにより、樹脂封止工程を行うことにより、配線部材40における外部と接続される部位およびヒートシンク50の他面を除いて、配線基板10、配線基板10上の電子部品30、31、配線部材40、ワイヤ41およびヒートシンク50をモールド樹脂60により封止する。こうして、上記電子装置S1ができあがる。
[硬化等]
ところで、本実施形態によれば、配線基板10と、配線基板10の一面側に搭載された電子部品30、31と、電子部品30、31および配線基板10の一面側を封止するモールド樹脂60とを備える電子装置において、配線基板10における一面とは反対側の他面側には、ヒートシンク50がその一面を対向させて設けられており、ヒートシンク50における一面とは反対側の他面が露出するように、ヒートシンク50はモールド樹脂60により封止されており、ヒートシンク50においては他面から一面に貫通する貫通穴51が形成されており、配線基板10の他面のうち貫通穴51に臨む部位に、導体材料からなる他面側ランド16が形成されていることを特徴とする電子装置S1を提供することができる。
それによれば、ヒートシンク50に貫通穴51を設け、この貫通穴51に臨む配線基板10の他面の部位に、導体材料からなる他面側ランド16が形成されているため、当該貫通穴51を介して、この配線基板10の他面側ランド16を検査用や調整用などの端子として使用することができる。
そのため、本実施形態によれば、従来のような検査用や調整用などの端子としてのリードフレームが不要となることから、そのような端子としてのリードフレームを別途設けなくてもよく、装置の外形の大型化をはじめとする、リードフレームを検査用などの端子として使用することに伴う上記の諸問題も回避できる。
具体的には、本実施形態では、上記図11に示されるような別端子900としてのリードフレームの突出部が無くなるため、外形の小型化がなされる。また、別端子900とのワイヤボンドの接続が不要となるとともに、他面側ランド16は配線基板10の配線の一部として配線基板10の形成工程の中で同時に形成できるため、加工コストの増加が発生しない。
また、他面側ランド16は配線基板10自身に形成された配線部であるため、そもそもリードフレームよりも小型化であり、リードフレームの場合のような端子数の増加に伴う間ピッチや端子幅の問題は回避される。
さらに、他面側ランド16は、配線基板10上の配線部であり、ヒートシンク50の貫通穴51の奥に引っ込んだ位置にあるものであるため、アンテナとなることによるノイズの発生や静電気の発生を回避することができる。
このように、本実施形態によれば、一面側に電子部品30、31が搭載された配線基板10に対してその一面側を電子部品30、31とともにモールド樹脂60により封止してなる電子装置S1において、検査用や調整用などに用いる端子を設ける際に当該端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現することができる。
また、本実施形態の電子装置S1においては、配線基板10として、セラミック積層基板を用いていることも特徴のひとつである。
それにより、配線基板10の一面、他面、内部に上記各ランド15、16および上記内層配線を形成し、これら各配線部をスルーホールなどを介して適切に電気的に接続した配線構成を実現できている。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部の概略断面構成を示す図であり、ヒートシンク50の上記貫通穴51の近傍部を示している。図2において、(a)は本実施形態の第1の例、(b)は本実施形態の第2の例を示す。
本実施形態の電子装置の全体構成は、基本的には上記図1に示されるものと同様であり、配線基板10の一面側に電子部品30、31が搭載され、配線基板10の他面側にヒートシンク50がその一面を対向させて設けられ、ヒートシンク50の他面が露出するように、電子部品30、31を含む配線基板10およびヒートシンク50がモールド樹脂60により封止されてなる電子装置において、ヒートシンク50において上記貫通穴51が形成され、配線基板10の他面のうち貫通穴51に臨む部位に上記他面側ランド16が形成されていることを特徴としている。
ここで、図2に示されるように、本実施形態の電子装置が、上記実施形態のものと相違するところは、ヒートシンク50の貫通穴51が封止部材61、62、63により封止され、それにより他面側ランド16も封止されていることである。
図2(a)に示される第1の例では、貫通穴51には、ゲル、接着剤または樹脂からなる封止部材61が注入・硬化されるなどにより充填されており、この封止部材61により貫通穴51の封止が行われている。
図2(b)に示される第2の例では、貫通穴51には、接着剤62が注入・硬化されることで充填され、さらに蓋63により接着剤62が封止されている。接着剤62としては熱伝導性接着剤などを採用し、蓋63としてはCuなどの放熱性に優れた材料からなるものを採用できる。
このように本例では、これら封止部材としての接着剤62および蓋63により貫通穴51の封止が行われており、上記図2(a)に示される第1の例に比べて、放熱性の点でに優れたものとなっている。
本実施形態においては、ヒートシンク50の貫通穴51に臨む他面側ランド16を用いて、装置の検査や調整などを行った後、上記した各封止部材61〜63による貫通穴51の封止を行えばよい。
そのため、本実施形態の電子装置によっても、検査用や調整用などに用いる端子を設ける際に当該端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現することができる。
なお、本実施形態では、貫通穴51を封止した構成を採用しているが、この構成は必要に応じて採用すればよく、上記図1に示されるように、貫通穴51は封止されずに開放状態であってもよい。
ここで、ヒートシンク50の貫通穴51を封止するという構成としては、次の図3(a)、(b)に示されるように、検査や調整が終了した後の電子装置を、筐体などの取付部材に実装した実装構造において貫通穴が封止された構成であってもよい。
図3(a)、(b)は、このような実装構造における貫通穴の封止構成を示す概略断面図である。図3に示されるように、電子装置は、ヒートシンク50の他面側にて取付部材100に搭載され取り付けられる。
ここで、ヒートシンク50と取付部材100とは、はんだや接着剤などの接合部材110を介して接着され固定される。このとき、図3(a)に示されるように、ヒートシンク50の貫通穴51は取付部材100により覆われ、接合部材110によって密閉状態に封止される。
また、図3(b)に示されるように、電子装置を取付部材100へ固定する際に、固定用の接合部材110を貫通穴51にまで充填し、この状態で取付を行う。この例では、貫通穴51は接合部材110によって封止されるため、この接合部材110が封止部材として機能している。
これら図3(a)、(b)に示される例では、電子装置の取付部材100への取付とヒートシンク50の貫通穴51の封止とを同時に行うことができる。
(第3実施形態)
図4、図5、図6は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部構成を示す図であり、ヒートシンク50の上記貫通穴51の形状を示している。図4は、貫通穴51の開口形状の種々の例を示す平面図であり、図5は、貫通穴51の数を変更した例を示す平面図であり、図6は、貫通穴51の断面形状を示す図である。
本実施形態の電子装置の全体構成も、基本的には上記図1に示されるものと同様であり、配線基板10の一面側に電子部品30、31、他面側にヒートシンク50が設けられ、ヒートシンク50の他面が露出するようにモールド樹脂60による封止が行われてなる電子装置において、ヒートシンク50において上記貫通穴51が形成され、配線基板10の他面のうち貫通穴51に臨む部位に上記他面側ランド16が形成されていることを特徴としている。
上述したように、ヒートシンク50の貫通穴51は、打ち抜き、研削などの機械的除去加工やエッチングなどの化学的除去加工などにより形成することができる。ここにおいて、本実施形態では、ヒートシンク50の貫通穴51として適用可能な種々の形状例を提供するものである。
図4に示されるように、貫通穴51の開口形状は、円形、楕円形、三角形、あるいは四角形、あるいは五角以上の多角形など適宜、任意の開口形状とすることができる。
また、図5に示されるように、ヒートシンク51に設ける貫通穴51は1個(図5(a)参照)だけでなくてもよく、貫通穴51は、分割された複数個の穴51aの集合体から構成されたものであってもよい(図5(b)参照)。なお、分割された複数個の穴51aのすべての穴51aからそれぞれ、上記他面側ランド16が覗いている状態でなくてもよい。
ヒートシンク50に加わる応力の観点から、貫通穴51として一つの大きな穴から構成されたものよりも、分割された複数個の穴51aから構成されたものとした方が、強度的な向上が図られ、好ましい。
また、貫通穴51の断面形状としては、上記図1や図2などに示したように、ストレートな穴であってもよいが、図6に示されるように、貫通穴51は、ヒートシンク10の他面側から一面側に向かって穴径が狭くなっているものであってもよい。
この図6に示されるような断面がテーパ形状の貫通穴51を構成することにより、検査用や調整用の装置のピンやプローブなどの挿入部材を、貫通穴51に挿入して、配線基板10の他面側ランド16に接続するときに、当該挿入部材を貫通穴51に挿入しやすくできるため、好ましい。
なお、本実施形態の電子装置によっても、検査用や調整用などに用いる端子を設ける際に当該端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現できることは、上記実施形態と同様であることは、もちろんである。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部の概略断面構成を示す図であり、ヒートシンク50の上記貫通穴51の近傍部を示している。
本実施形態の電子装置の全体構成も、基本的には上記図1に示されるものと同様であり、モールドハイブリッドICとして構成された電子装置において、ヒートシンク50において上記貫通穴51が形成され、配線基板10の他面のうち貫通穴51に臨む部位に上記他面側ランド16が形成されていることを特徴としている。
ここにおいて、図7に示されるように、本実施形態の電子装置においては、貫通穴51の内周面は、絶縁膜70により被覆されていることが、主たる特徴点であり、上記実施形態と相違するところである。この絶縁膜70としては、たとえばポリアミドイミドなどの樹脂を塗布・硬化して形成された膜とすることができる。
本実施形態によれば、検査用や調整用の装置のピンやプローブなどの挿入部材を貫通穴51に挿入して、配線基板10の他面側ランド16に接続する際に、当該挿入部材がヒートシンク50の貫通穴51の内面に接触しても、絶縁膜70の存在により電気的な短絡を防止することができる。
そのため、他面側ランド16を用いた検査や調整などを容易に行うことができ、本実施形態の電子装置によっても、検査用や調整用などに用いる端子を設ける際に当該端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現することができる。
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部の概略断面構成を示す図であり、ヒートシンク50の上記貫通穴51の近傍部を示している。
本実施形態の電子装置の全体構成も、基本的には上記図1に示されるものと同様であり、モールドハイブリッドICとして構成された電子装置において、ヒートシンク50において上記貫通穴51が形成され、配線基板10の他面のうち貫通穴51に臨む部位に上記他面側ランド16が形成されていることを特徴としている。
ここで、図8に示されるように、本実施形態の電子装置においても、配線基板10の他面とヒートシンク50の一面とは接着剤42により固定されている。そして、本実施形態では、独自の構成として、貫通穴51に、接着剤42が他面側ランド16へ付着するのを防止するための接着剤42の逃がし部52を、設けている。
ここでは、図8に示されるように、貫通穴51の内面に段差を設け貫通穴51においてヒートシンク50の一面側の方が他面側よりも大径部となるようにしており、この大径部が逃がし部52として構成されている。
それによれば、配線基板10の他面側ランド16とその周囲の接着剤42とのスペースを大きくとることができており、接着剤42が他面側ランド16へ付着するのを防止することができ、好ましい。
そのため、他面側ランド16を用いた検査や調整などを適切に行うことができ、本実施形態の電子装置によっても、検査用や調整用などに用いる端子を設ける際に当該端子としてリードフレームを用いることなく、装置の小型化を実現することができる。
(第6実施形態)
図9(a)、(b)は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の要部の概略断面構成を示す図であり、ヒートシンク50の上記貫通穴51の近傍部を示している。
本実施形態の電子装置の全体構成も、基本的には上記図1に示されるものと同様であり、モールドハイブリッドICとして構成された電子装置において、ヒートシンク50において上記貫通穴51が形成され、配線基板10の他面のうち貫通穴51に臨む部位に上記他面側ランド16が形成されていることを特徴としている。
ここで、図9に示されるように、本実施形態の電子装置においても、配線基板10の他面とヒートシンク50の一面とは接着剤42により固定されていが、本実施形態では独自の構成として、ヒートシンク50の一面のうち貫通穴51の周囲に溝部53が設けられた構成を採用している。
図9(a)に示される例では、溝部53は三角形状の溝であり、図9(b)に示される例では、溝部53はオーバーハング形状の溝である。
なお、本実施形態において、溝部53の形状は、図9に示される形状に限定されるものではなく、溝であるならば、矩形状やU字形状の溝などであってもよい。また、溝部53は、1個以外にも複数個設けられていてもよい。
本実施形態によれば、配線基板10とヒートシンク50との界面の接着部において、貫通穴51に面した界面からの接着部の剥離進展を溝部53によって防止することができ、好ましい。
(他の実施形態)
なお、上記図1に示される形態においては、配線基板10としては、セラミック積層基板を採用した例について主として述べたが、上述したように、配線基板10はセラミック積層基板に限定されるものではない。
配線基板10としては、それ以外にも、上述したようなプリント配線基板や単層基板などでもよく、基板の両面に互いに接続された配線部やランドを形成できるものならば何でもよい。たとえば、単層基板でも、スルーホールを形成することなどにより、基板両面に配線部を形成することは容易である。
また、上記図1に示される形態においては、電子装置と外部との信号のやり取りを行うために、配線部材40と配線基板10とをボンディングワイヤ41を介して電気手金接続した構成を採用したが、配線部材40と配線基板10との電気的な接続は、ボンディングワイヤ以外のものでもよく、たとえばバンプやはんだなどを介して行われるものであってもよい。
また、配線基板10の一面上の電子部品30、31の実装形態は、あくまでも一具体例を示したものであり、上記図1に示されるような形態に限定されるものではなく、それ以外の配置形態も可能である。
また、上記した各実施形態は、実施形態可能な範囲で適宜組み合わせて採用してもよいことは言うまでもない。