JP4248162B2 - プロトン導電体ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の利用分野】
この発明はプロトン導電体ガスセンサに関し、特にその実装構造に関する。
【0002】
【従来技術】
金属缶構造を用いたプロトン導電体ガスセンサが知られている。センサ本体は、有機合成樹脂系のプロトン導電体膜を、一対の電極膜でサンドイッチしてMEA(膜電極複合体)とし、さらにMEAを炭素シート等でサンドイッチしたものである。そして金属缶に水を蓄え、水の上部に第1の金属ワッシャを配置して、金属ワッシャ上にセンサ本体を配置する。センサ本体の上部を第2の金属ワッシャで覆い、絶縁性のガスケットで第2のワッシャとセンサ本体を第1のワッシャ側に押圧する(米国特許6200443、特開平2000−146908)。第2のワッシャはセンサの検知極側の端子となり、第1のワッシャに導通した金属缶が対極側の端子となる。そしてMEAと上下のワッシャ間の導通は、ガスケットからの圧力で保たれる。ガスセンサには通常、被毒物質が検知極へ侵入するのを防止するため、活性炭などのフィルタを設ける。しかしながら前記のガスセンサでは、フィルタの取り付け構造について、特には検討していない。
【0003】
【発明の課題】
この発明の基本的課題は、フィルタの新たな取り付け構造を提供することにある(請求項1〜4)。
この発明の追加の課題は、センサ本体の側面を介して、検知極側の雰囲気が対極側に回り込むのを防止することにある(請求項2,3)。
この発明での他の追加の課題は、水溜の水の腐敗を防止することにある(請求項4)。
【0004】
【発明の構成】
この発明のプロトン導電体ガスセンサは、下部に水溜を設けた金属缶に、下側の第1の金属部材と中間のプロトン導電体膜を用いたセンサ本体と上側の第2の金属部材とを、リング状の絶縁性のガスケットで取り付けて、第2の金属部材側から前記センサ本体に被測定雰囲気を導入し、第1の金属部材側から水蒸気をセンサ本体へ導入するようにしたセンサにおいて、前記センサ本体は、プロトン導電体膜とその下面に設けた対極と、プロトン導電体膜の上面に設けた検知極と、検知極上に設けた連続気孔の多孔質導電体膜とを有し、かつセンサ本体は上面と下面と側面とを有するディスク状の部材であり、前記第2の金属部材を、底板と上板とを有し内部にフィルタ材料を収容した中空の容器で構成し、かつ前記底板と上板の各々に、前記プロトン導電体膜に垂直な方向から見て重ならないように、通気用の開口を設けたことを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記ガスケットがセンサ本体の側面に接することにより、ガスケットとセンサ本体の側面の間にオープンスペースが生じないようにする。
【0006】
また好ましくは、前記ガスケットとセンサ本体の側面との間に、絶縁性のリング状の弾性部材を配置して、ガスケットとセンサ本体の側面の間にオープンスペースが生じないようにする。
【0007】
好ましくは、前記水溜の水に防腐剤を含有させる。
【0008】
【発明の作用と効果】
この発明では、底板と上板とを有し内部にフィルタ材料を収容した中空の容器を、センサ本体の検知極側の蓋体とする。蓋体には活性炭やシリカゲル等のフィルタ材料を収容し、底板と上板とに、プロトン導電体膜に垂直な方向からみて重ならないように各々通気用の開口を設ける。またセンサ本体は、プロトン導電体膜とその下面に設けた対極と、プロトン導電体膜の上面に設けた検知極と、検知極上に設けた連続気孔の多孔質導電体膜とを有し、かつセンサ本体は上面と下面と側面とを有するディスク状の部材である。このようにすると、上板の開口から被測定雰囲気がフィルタ材料を通って拡散し、底板の開口からセンサ本体へと導かれる。上板の開口と底板の開口は、プロトン導電体膜に垂直な方向でみて重ならないので、小さな蓋体でも長くかつ広いガス流路を取ることができ、長期間に渡ってセンサ本体の劣化を防止できる。そして蓋体は検知極に接続されて、センサの一方の端子となる。このような蓋体は、電池部品として大量に製造されており、金属缶やガスケット蓋体に、電池用の部品を転用できるので、安価にガスセンサを製造することができ、しかも検出器に電池と同様にしてセンサを装着できる(請求項1)。
【0009】
センサ本体では、検知極上に連続気孔の多孔質導電体膜を配置する。これは、検知極のなるべく広い範囲に、被測定雰囲気を供給するためである。ここで発明者は、センサ本体とその周囲のガスケットとの間にオープンスペースがあると、多孔質導電体膜から被測定雰囲気がオープンスペースを介して対極側に回り込み、センサ出力にオーバーシュートやアンダーシュートが生じることを見出した。オーバーシュートやアンダーシュートを小さくするには、このオープンスペースを閉じれば良く、例えばディスク状のセンサ本体の側面にガスケットが接触させて、オープンスペースを解消する(請求項2)。
【0010】
オープンスペースを閉じるには、ガスケットを直接センサ本体の側面に接触させることのほかに、ガスケットとセンサ本体の側面との間に絶縁性のリング状の弾性部材を配置しても良い。この弾性部材は、蓋体に加わる圧力により変形し、センサ本体の側面のオープンスペースを閉止する(請求項3)。
【0011】
発明者は、金属缶の水溜に蓄えた水にかび等が発生しうることを見出した。これは、イオン交換水等では金属イオンや陰イオンは除かれていても、有機物は完全には除去されておらず、この有機物を栄養分としてかび等の生物が発生することによるものである。かび等への栄養源としては、これ以外に金属缶の内側に付着した有機物、特にガスセンサの製造時に入り込んだ汚れなどの有機物がある。水にかび等が生じると、水溜からセンサ本体への水蒸気の通路を封じたり、対極を劣化させたりすることがある。このことを防止するには、水溜の水に防腐剤を添加すればよい(請求項4)。
【0012】
【実施例】
図1,図2に実施例のガスセンサ2を示す。これらの図において、4はセンサ本体で、MEA(膜電極複合体)6とその上下両面に配置した一対の炭素シート12,13とから成り、炭素シート12,13は設けなくても良い。MEA6は、プロトン導電体膜8の一方の面に膜状の検知極10を、他方の面に膜状の対極11を配置したもので、MEA6自体は周知のものである。MEAは例えば直径が5〜13mm程度とし、プロトン導電体膜8の膜厚は例えば10〜200μmとする。なお以下この明細書では、プロトン導電体膜8からみて検知極10や炭素シート12側を上側、対極11や炭素シート13側を下側とよぶ。
【0013】
センサ本体4の下側には金属ワッシャ14を設け、15はワッシャ14に設けた開口で、例えば直径0.1〜1.0mm程度とする。16は、センサ本体4の上側の蓋体で、上蓋19に設けた開口17と、下蓋20に設けた開口18とを有し、下蓋20の開口18は、例えばセンサ本体4の中央部に存在する。上蓋19の開口17は、図2の上から下へみた場合に、開口18の外側に、同心円状に複数個配置されている。開口17,18の直径は、例えば0.1〜1mm程度とする。そして蓋体16内には例えば粒状の活性炭21等を収容するが、シリカゲル等の他のフィルタ材料でも良い。
【0014】
22はリング状の電気絶縁性ガスケットで、24は金属缶で、26は絞りである。また28は金属リボンで、その一端が金属ワッシャ14に溶接され、他端が金属缶24に溶接してある。ガスケット22は絶縁性のネオプレンやブタジエン等のゴムからなり、金属缶24でガスケット22を介して蓋体16をかしめることにより、蓋体16と金属ワッシャ14とをセンサ本体4側へ加圧し、電気的接続を確保する。金属缶24の下部は水溜として用いられ、例えばゲル化水30を収容する。
【0015】
図2に、ガスセンサ2内での雰囲気の流れを示すと、CO等の測定対象ガスは、蓋体16の上蓋19に設けた開口17から活性炭21内を通って、下蓋20の開口18からセンサ本体4へ供給される。ここで開口17と開口18とは、センサ本体4に垂直な方向からみて、互いに重なっていない。このため開口17から活性炭21へ入り込んだ雰囲気は、活性炭21内を広い範囲で拡散しながら、開口18へ到着する。このため蓋体16内でのガス流路を広くかつ長くできるので、活性炭21を有効に利用し、センサ本体4の被毒や劣化あるいは誤動作等を防止できる。
【0016】
開口18から炭素シート12へ拡散したガスは、図2の黒抜き矢印のように、炭素シート12内を拡散して、広い範囲でMEA6の検知極10側へと供給される。一方、金属缶24内の水蒸気や酸素は、開口15から炭素シート13へ供給され、同様に炭素シート13内を図2の白抜き矢印に示すように拡散して、広い範囲で対極11へ供給される。このためセンサ本体4を広い範囲で用いることができ、大きな出力を取り出すと共に、センサの寿命を長くできる。
【0017】
炭素シート12内を拡散したガスが、センサ本体4の側面の外側から対極11側へ回り込むと、センサ出力にオーバーシュートやアンダーシュートが生じる。これを防止するには、センサ本体4の側面とガスケット22との間のオープンスペースをなくせば良く、図2の場合、ガスケット22がセンサ本体4の側面にほぼ接するようにして、オープンスペースを除いている。
【0018】
図3に液体の水を蓄えたガスセンサ3の構造を示す。このガスセンサ3は、図1,図2のガスセンサと、ゲル化水30ではなく液体の水を蓄えている他は同様である。電池の分野では、ガスケット22をピッチ等で金属缶24に気密に封じるのが普通である。ところで金属缶24にゲル化水30ではなく液体の水を保持し、ガスセンサ3を横倒しに用いた場合、夏等に水溜内の空気が膨張すると、水が開口15からセンサ本体4側へ押し出されることがある。これはガスセンサの寿命を縮める。
【0019】
そこでガスケット22を、金属缶24の内面に固着せず、すなわちガスケット22を金属缶24にピッチ等の接着剤で接着しないようにする。このようにすると、金属缶24内の空気が加圧された場合、ガスケット22と金属缶24との隙間から加圧された空気が逃げることができる。なおガスケット22は疎水性で、ガスケット22と金属缶24との隙間が小さいので、液体の水がここから逃げることはない。
【0020】
ゲル化水30や水31はかびることがある。これは安価なイオン交換水の場合、有機物の除去が完全でないため、かびの栄養源が残っているためである。またこれ以外に、金属缶24等の洗浄や製造時の管理が不十分であると、栄養源が水にはいりこむことがある。そこで好ましくはゲル化水30や水31に防腐剤を加える。防腐剤には例えばグリセリンやペンタノール、あるいはエチレングリコール等を用い、陽イオンや陰イオンを含まないものが好ましい。そしてその添加量は、ゲル化水30や水31の100重量%に対して、例えば1〜30重量%、好ましくは約10重量%とする。
【0021】
図4に変形例のガスセンサ42を示す。なお以下特に指摘した部分以外は、図1,図2のガスセンサ2と同様で、同じ符号は同じものを表す。44は新たなガスケットで、金属ワッシャ14をガスケット44で挟み込んでいないので、金属ワッシャ14を直接金属缶24に接続できる。またセンサ本体4とリング状のガスケット44との隙間には、Oリング46を配置して、この隙間を封止する。なおOリング46には、ネオプレンやイソプレン等の絶縁性でかつ弾性のある材料を用い、ガスケット44から蓋体16を介して加わる加圧力により変形して、センサ本体4の側面外周の隙間を塞ぐようにする。
【0022】
図5に、比較例のガスセンサ52を示す。ガスセンサ52は、センサ本体4の側面外周のオープンスペース56の効果を調べるためのもので、オープンスペース56が生じるように、ガスケット54の構造を変更した他は、図1,図2のガスセンサ2と同様である。
【0023】
オープンスペースの有無による、オーバーシュートやアンダーシュートについて検討した。図6に、図4の実施例のガスセンサ42を用いた際の、CO0〜1000ppmに対する応答波形を、図7に、図5のガスセンサ52を用いた際の応答波形を示す。いずれのガスセンサでも、ゲル化水30や水は用いていない。ただし極端に乾燥した雰囲気でない限り、水溜に水を蓄えなくても、センサ本体4は動作する。
【0024】
蓋体16を一方の極、金属缶24を他方の極とし、この間に100Ω程度の負荷抵抗を配置して、流れる電流を増幅したものを、図6,図7の縦軸に示す。横軸は時間で、CO濃度を0〜1000ppmまで階段状に増した後、COを除去した。図6の場合、CO30〜300ppmまではオーバーシュートは認められず、CO1000ppmで僅かにオーバーシュートが生じている。COを除くと、センサ出力は最初の値に復帰する。なお図6で、CO0ppm中での出力は0でないが、これは増幅回路のオフセットによるものである。
【0025】
これに対して図7の場合、CO300ppm以上で著しいオーバーシュートがみられ、COを除くと著しいアンダーシュートがみられる。図6と図7とでのセンサの違いは、図6で用いたセンサ2ではセンサ本体4の周囲にオープンスペースはなく、図7で用いたセンサ52ではオープンスペース56があることである。したがって、オーバーシュートやアンダーシュートの発生は以下のように推定できる。オープンスペース56が存在すると、検知極側から対極側へのCOの回り込みが生じる。この回り込みは遅く、COを導入した直後には対極側にはCOが拡散していないので大きな出力が得られ、次いで徐々に対極側にCOが拡散し、その結果出力が低下する。このようにしてオーバーシュ−トが生じる。COを除くと、検知極側でまずCO濃度が低下し、対極側のCO濃度の低下が遅れるので、アンダーシュートが生じる。
【0026】
なおオーバーシュートやアンダーシュートの原因として、これ以外に対極への酸素の供給が遅れることが考えられる。高濃度のCOが供給され、対極への酸素の供給が遅いと、出力が見かけ低下することがあり得る。しかしながら、図6の場合、1000ppmのCO中でこのような現象が生じているとしても、僅かである。対極への酸素の供給を速めるには、対極側の炭素シート13の通気性を増す、あるいは対極11の通気性を検知極10の通気性よりも増すようにすればよい。
【0027】
以上に示したように、実施例では、実質的に市販の電池用の部品をパッケージに用い、簡単にかつ安価にガスセンサを製造することができる。ガスセンサは、通常の電池と同様に検出装置に装着できる。そして蓋体16内でのガス流路を広くかつ長くし、センサの劣化を防止することができる。また、検知極側から対極側へのガスの回り込みを防止し、オーバーシュートやアンダーシュートを小さくすることができる。さらに水溜の水の腐敗を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のガスセンサの断面図
【図2】 実施例のガスセンサの要部拡大断面図
【図3】 水溜に液体の水を保持した変形例のガスセンサでの、加圧時の空気の逃げを示す断面図
【図4】 変形例のガスセンサの断面図
【図5】 比較例のガスセンサの断面図
【図6】 実施例のガスセンサのCO30〜1000ppmへの応答を示す波形図
【図7】 図5のガスセンサのCO30〜1000ppmへの応答を示す波形図
【符号の説明】
2,3,42,52 ガスセンサ
4 センサ本体
6 MEA(膜電極複合体)
8 プロトン導電体膜
10 検知極
11 対極
12,13 炭素シート
14 金属ワッシャ
15,17,18 開口
16 蓋体
19 上蓋
20 下蓋
21 活性炭
22,44,54 ガスケット
24 金属缶
26 絞り
28 金属リボン
30 ゲル化水
31 水
46 Oリング
56 オープンスペース
Claims (4)
- 下部に水溜を設けた金属缶に、下側の第1の金属部材と中間のプロトン導電体膜を用いたセンサ本体と上側の第2の金属部材とを、リング状の絶縁性のガスケットで取り付けて、第2の金属部材側から前記センサ本体に被測定雰囲気を導入し、第1の金属部材側から水蒸気をセンサ本体へ導入するようにしたセンサにおいて、
前記センサ本体は、プロトン導電体膜とその下面に設けた対極と、プロトン導電体膜の上面に設けた検知極と、検知極上に設けた連続気孔の多孔質導電体膜とを有し、かつセンサ本体は上面と下面と側面とを有するディスク状の部材であり、 前記第2の金属部材を、底板と上板とを有し内部にフィルタ材料を収容した中空の容器で構成し、かつ前記底板と上板の各々に、前記プロトン導電体膜に垂直な方向から見て重ならないように、通気用の開口を設けたことを特徴とする、プロトン導電体ガスセンサ。 - 前記ガスケットがセンサ本体の側面に接することにより、ガスケットとセンサ本体の側面の間にオープンスペースが生じないようにした、ことを特徴とする、請求項1のプロトン導電体ガスセンサ。
- 前記ガスケットとセンサ本体の側面との間に、絶縁性のリング状の弾性部材を配置して、ガスケットとセンサ本体の側面の間にオープンスペースが生じないようにした、ことを特徴とする、請求項1のプロトン導電体ガスセンサ。
- 前記水溜の水に防腐剤を含有させたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかのプロトン導電体ガスセンサ。
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