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JP4128791B2 - 有精卵の雌雄鑑別技術 - Google Patents

有精卵の雌雄鑑別技術 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有精卵の雌雄を鑑別するための技術にかかり、更に詳しくは、有精卵の平面輪郭に基づく各部から抽出した特徴で有精卵の雌雄を鑑別する方法、当該有精卵の雌雄鑑別方法をコンピュータに実行させるための有精卵の雌雄鑑別プログラム、さらには、当該有精卵の雌雄を鑑別するための雌雄鑑別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
白色レグホーン種などの採卵鶏は、卵を産む雌雛のみが有用である。肉用鶏は雌雄のいずれの雛も有用であるが、雌雛と雄雛とでは生育期間が異なるので別々に飼育するほうが効率的である。これらの理由から、孵化した雛は孵化後2〜3日で雌雄鑑別が行われている。
【0003】
現在行われている雛の雌雄鑑別には、(a)指頭鑑別法(肛門鑑別法)、(b)機械鑑別法、(c)伴性遺伝形質利用の鑑別法の三つの方法がある。これらの方法は、何れも卵を孵化した後に於ける雛の鑑別方法である。従って、卵を孵化させないと鑑別できない。
【0004】
また、これらの鑑定作業は生きている雛を扱うために、自動化が困難であり鑑定に従事する人員も減少している。一方孵化した雄雛は焼却処分されるために雄の卵について言えば資源の無駄遣いであり、孵化に必要な時間および費用もまた無駄である。
【0005】
従って卵の段階で雌雄が鑑別できれば、上記問題が解消でき、しかも雄卵であっても食用またはワクチン製造用等として有効利用を図ることができる。
【0006】
卵の形状で有精鳥卵の雌雄を鑑別する方法は、九州や東南アジアでは以前から行われていた。その方法は主に卵の頭部側(気室のある鈍端側)の形状、即ち、卵の頭部の膨らみについて、親鶏一羽毎に雄卵と雌卵の基準をそれぞれ設け、その基準の範囲にあれば雄卵または雌卵と鑑別していた。
【0007】
特開昭52−16380号公報にはこの種の鑑別手法を利用した発明が開示されている。また、特開昭64−55131号公報には、鶏卵の鈍端部(胴回りが大きく、丸みの多い側の端部)の形状の差異を比較している。
【0008】
特開昭64−55131号公報の雌雄鑑別方法は、概ね次の通りである。まず、鶏の個体ごとに、生んだ卵を投影機を使って拡大投影して主に頭部側の外形を写しとる。その後孵化した雛の雌と雄を確認し分類する。この作業を基準範囲が得られるまで一定期間繰り返して鶏の個体ごとに雌雄鑑別のための基準図を作成する。その後は、鑑別する卵の頭部側の外形を投影機を使って拡大投影して写しとり、基準図と比較して雄雌を鑑別する。
【0009】
また、特開2001−238559号公報は、有精卵の輪郭の一部に基づき抽出した卵の長軸方向の長さと短軸方向の長さを利用する上記の鑑別方法に比べて実用性の向上と鑑別精度を高めた鳥卵の雌雄鑑別方法および装置に係る発明を提案している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したような鶏卵の雌雄鑑別方法には、次のような課題がある。
(a)親鶏個々の基準図を作る必要があるために、多数の鶏を飼育する養鶏事業の観点からは実用的でない。
(b)雌雄鑑別は、鑑別する卵の鈍端部の形状と基準図とを人間の目で比較して行う感覚的な作業であり、鑑別精度と鑑定時間が大きな問題がある。
(c)雌雄鑑別のための親鳥毎の基準図をつくる作業に長い期間を必要とする。
(d)近年の卵(特に有精卵)の形状は、従来から言われている頭部が膨らみ尾部が頭部に比べ細い形をした卵が少なくなり、丸い卵や卵の最大膨らみ部が中央に位置した卵、細長い形をした卵が多くなってきている。このように、有精卵の形状は非常に複雑であり、単なる一部の形状基準を用いるのみでは雌雄鑑定の共通性を見いだすことは困難であり、高い鑑定精度を確保するのが困難である。また、頭部だけの膨らみや丸みだけでは雌雄が混在し、誤鑑定につながる。
【0011】
このため従来のような形状を基準とした鑑別方法では鑑別の精度を確保することが困難である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題に鑑み、有精卵を産む親鶏の種別や、有精卵の形状の変化に影響を受けない、高精度かつ高速な雌雄鑑別方法、プログラム及び装置を提供することを目的とする。
【0013】
本発明が提供する雌雄鑑別方法等は、有精卵の輪郭画像データから抽出した有精卵の雌雄を鑑別するための基本的特徴(具体的には、頭部の膨らみ、頭部の先端の丸みや尖り、尾部の膨らみや丸み、尖り、有精卵全体の膨らみ、重心およびイチジク型のような有精卵独特の形など)に基づいて有精卵の雌雄を鑑別する方法等である。当該基本的特徴は、有精卵の全輪郭に基づき抽出可能なパラメータ又は当該パラメータを組み合わせたものとして数値化が可能であるとともに、有精卵の輪郭そのものだけでなく、有精卵個々の形状特性に依存する有精卵の輪郭の近似楕円を利用して、輪郭線分のみの特徴で見つけることの出来ない膨らみや、丸みを捉えて数値化できる。この近似楕円は有精卵の短径の位置と頭部の頂点から得ることができる。
【0014】
また、上記基本的特徴を複数組み合わせることで、個々の親鳥に依存しない雌雄の鑑定が可能となり、鑑定率を向上させることが可能である。
【0015】
その一方で、上記のような数値化された基本的特徴は、数値範囲が極めて小さく、精度の高い雌雄鑑定を行うには有精卵の正確な全体形状とコントラストの高い画像が必要である。
【0016】
上記のような雌雄鑑別の基本的特徴は、あらかじめ画像を撮影しておいた有精卵を孵化して、指頭鑑別法で鑑定を行い、その雌雄との相関を分析することにより抽出されたものである。具体的には、有精卵の全輪郭が把握できる画像から、全体の輪郭を抽出し、その輪郭データから考え得る数多くのパラメータ及びこれらを組み合わせて得られる新たなパラメータを数値化して鑑定結果と対比し、相関を分析して抽出したものである。
【0017】
即ち、有精卵の輪郭データから得られる所定のパラメータ又は当該パラメータの組み合わせにより、有精卵の輪郭の所定の特徴を数値化する事ができる。例えば、この特徴が「頭部の膨らみ」や「尾部の太さ」などであり、このような特徴を表すための要素が、輪郭の任意の位置における長さや幅、面積等のパラメータである。これらのパラメータ及びその組み合わせは、有精卵の輪郭データに基づき数値化可能であるから、上記の「頭部の膨らみ」等の特徴が有精有精卵の形状に基づき数値として表現される。もし、ここで得られた数値に基づき有精有精卵の雌雄を判別することができれば、当該数値に対応する「頭部の膨らみ」などの特徴それ自体が有精卵の雌雄を表す特徴となる。このように、基本的特徴とは、有精卵の全輪郭から抽出することができる有精卵の雌雄を鑑別するのに役立つ特徴である。
【0018】
以上の認識に基づき、本発明は上記課題を解決するために、有精有精卵の雌雄を鑑別するための基準となり、かつ、有精有精卵の全輪郭が把握できる画像から抽出した有精卵の輪郭データに基づいて数値化可能な有精卵の基本的特徴に基づいて雌雄を鑑別する方法及びプログラムを提供する。
【0024】
さらに、表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて数値化した前記有精卵の頭部の輪郭で囲まれる面積と、前記有精卵の輪郭に対する近似楕円の頭部の面積との面積差を前記近似楕円の頭部の面積で除して得られる値に基づいて、前記有精卵の雌雄を鑑別する。同様にして、前記有精卵の頭部と尾部の所定の位置の幅の比をとってもよいし、前記有精卵の頭部の丸み、尾部の丸みを数値化しても良いし、前記有精卵の頭部の所定の位置の幅と卵の短径との比をとって、前記有精卵の頭部の丸みとして数値化してもよい。その他、有精卵を撮影して得られた平面輪郭画像データから抽出される前記有精卵の形状を表す複数のパラメータを組み合わせて前記有精卵の雌雄を鑑別してもよい。
【0027】
また、上記課題を解決するための本発明は、表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データから、前記有精卵の形状を表すパラメータを抽出して雌雄鑑別を行う雌雄鑑別方法であって、前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の頭部の丸みに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第1の工程と、前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の尾部のくびれに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第2の工程と、前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の頭部膨らみ度合いに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第3の工程と、前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の頭部の尖りに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第4の工程と、前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の尾部の太さに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第5の工程と、前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の細長さに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第6の工程とを備える。
【0028】
さらに本発明は、上記課題を解決するために上述した方法の発明をコンピュータに実行させるための雌雄鑑別プログラムであってもよいし、当該方法を実現するための装置であってもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の実施形態において使用する用語及びパラメータを以下に定義する。また、以下においては、記載を簡潔とするために有精卵を「卵」と略して表現する場合がある。図1は有精卵の全輪郭と重心を中心にした近似楕円の輪郭を示し、有精卵の鈍端を右に配置している。図中の符号は本明細書で使用する名称とパラメータを表している。まず、有精卵の画像において卵と背面との境界を検出し、これを二次元図形として配列した図形101を卵の輪郭と定義する。
「頭部頂点」とは、卵の輪郭101で気室のある鈍端側での右端102をいう。
「尾部頂点」とは、卵の輪郭101で気室のない鋭端側での左端103をいう。
「上側頂点」とは、卵の輪郭101で上側の一番膨らんでいる点104をいう。
「下側頂点」とは、卵の輪郭101で下側の一番膨らんでいる点105をいう。
卵の「長径」とは、卵の頭部頂点102と尾部頂点103を結ぶ線の長さ106をいい、その値をLxで表す。
卵の「短径」とは、卵の上側頂点104と下側頂点105を結ぶ線の長さ107をいいその値をLyで表す。
卵の「幅」とは、卵の長径106に直交し卵の輪郭101で規定される線の長さをいう。
「重心」とは、卵の頭部頂点102と尾部頂点103を結ぶ線と上側頂点104と下側頂点105を結ぶ線の交点108 をいう。
「尾部長さ」とは、尾部頂点103と重心108を結ぶ線の長さ109をいい、その値をLxtで表す。
「頭部長さ」とは、重心108と頭部頂点102を結ぶ線の長さ110をいい、その値をLxhで表す。
卵の「重心型近似楕円(以降近似楕円と省略する)」とは、頭部長さ110を長半径とし、卵の短径107を短径として、卵の重心108を中心にして描かれる楕円111をいう。
卵の「頭部」とは、卵の上側頂点と下側頂点を結ぶ線の右側112をいい、「尾部」とは、その反対側113をいう。
卵の「面積」とは、卵の輪郭101で囲まれた部分の面積をいい、その値をSxで表す。
卵の「頭部面積」とは、卵の面積のうち、頭部側の面積をいい、その値をSxhで表す。
卵の「尾部面積」とは、卵の面積のうち、尾部側の面積をいい、その値をSxtで表す。
「近似楕円の面積」とは、卵の近似楕円111の輪郭で囲まれる部分の面積をいい、その値をSxdで表す。
「近似楕円の頭部面積」とは、近似楕円の面積のうち、頭部側の面積をいい、その値をSehで表す。
「近似楕円の尾部面積」とは、近似楕円の面積のうち、尾部側の面積をいい、その値をSetで表す。
【0032】
[雌雄特徴抽出例]
以下に、雌雄を鑑定するための基準となる基本的特徴を説明する。有精卵の雌雄鑑定の意義は、雄の卵と雌の卵を確実に鑑別し、雄の卵を孵化させないことにある。しかし、雌雄を鑑定するために利用する一つ一つの基準は、ある雌雄の卵の集合において当該基準に合致する卵が必ず雌又は雄であればよく、すべての雌卵又は雄卵がその基準に合致する必要はない。なぜなら、自然界の産物である卵に適用できる万能な基準は存在しないし、上記の条件に合致する基準を複数適用すれば、確実に雌雄を鑑別できるからである。
【0033】
従って、以下に示す基本的特徴も、一つ一つが万能であるわけではなく、これを利用すれば一部の雌又は雄を確実に抽出できる特徴を示すものである。
【0034】
<雄の基本的特徴>
以下の特徴を備える卵は雄卵の可能性が高いと言える。
頭部頂点102付近における輪郭101の曲率が小さいもの、即ち、頭部の先端が尖っている卵。
卵の頭部側で、重心と頭部頂点の中間付近での卵の幅が大きいもの、より具体的には、頭部頂点と重心の中間付近での卵の幅と、卵の幅の最大値との差が小さいもの、即ち頭部が膨らみ過ぎている卵。
卵の尾部側で、重心と尾部頂点の中間付近での卵の幅が大きいもの、より具体的には、重心と尾部頂点の中間付近での卵の幅と、卵の幅の最大値との差が小さいもの、即ち尾部が太い卵。
尾部頂点付近における卵の幅が大きいもの、即ち、尾部の先端が太い卵。
卵の輪郭101に対して卵の短径107が短いもの、即ち、細長い(ラグビーボール型ともいえる)形状の卵。
【0035】
<雌の基本的特徴>
以下の特徴を備える卵は雌卵の可能性が高いと言える。
頭部頂点102付近における輪郭101の曲率が大きいもの、即ち、頭部の先端が丸い卵。
尾部頂点103付近における輪郭101の曲率が大きいもの、即ち、尾部の先端が丸い卵。
卵の頭部の幅に対する尾部の幅の割合が小さいもの、即ち、頭部が尾部より膨らんでいる、或いは、尾部がくびれている(いちじく型とも言える)卵。
尾部の長さが、卵の長径に比べて大きいもの、即ち、重心が高すぎる卵。
尾部の長さが、卵の長径に比べて小さいもの、即ち、重心が低すぎる卵。
また、卵の面積が大きいもの、即ち、大きい卵。
【0036】
よって、卵の雌雄を鑑定するための基準は、上記の基本的特徴を所定のパラメータを利用して数値として処理することによって実施形態に変換することができる。また、当該基準は、実際に卵を孵化した結果との照合に於いて、統計的にも採用できることが明らかとなっている。
【0037】
上記卵の雌雄の基本的特徴は、卵の幅と関連づけて数値化することが可能なものがある。そこで、図2に、上記卵の雌雄の基本的特徴を数値化するために利用する卵の幅のパラメータの例を示す。ここで示す卵の幅は、上記の基本的特徴のいずれかを表すのに適切なものが設定されている。また、図2中、図1で定義したパラメータは同じ符号を使っている。
【0038】
幅の長さ201は頭部長さの90%の長さを重心から頭部頂点方向に延ばし、その鉛直方向の線と卵の輪郭が交わる2点を結ぶ線の長さを示し、その値をWh90で表す。
幅の長さ202は頭部長さの85%の長さを重心から頭部頂点方向に延ばし、その鉛直方向の線と卵の輪郭が交わる2点を結ぶ線の長さを示し、その値をWh85で表す。
幅の長さ203は頭部長さの50%の長さを重心から頭部頂点方向に延ばし、その鉛直方向の線と卵の輪郭が交わる2点を結ぶ線の長さを示し、その値をWh50で表す。
幅の長さ204は尾部長さの90%の長さを重心から尾部頂点方向に延ばし、その鉛直方向の線と卵の輪郭が交わる2点を結ぶ線の長さを示し、その値をWt90で表す。
幅の長さ205は尾部長さの85%の長さを重心から尾部頂点方向に延ばし、その鉛直方向の線と卵の輪郭が交わる2点を結ぶ線の長さを示し、その値をWt85で表す。
幅の長さ206は尾部長さの50%の長さを重心から尾部頂点方向に延ばし、その鉛直方向の線と卵の輪郭が交わる2点を結ぶ線の長さを示し、その値をWt50で表す。
【0039】
以上の幅の長さ201(Wh90)から206(Wt50)を組み合わせて利用すれば、幅の長さがどのように頭部側、尾部側で変化するかを観察できるので、卵の膨らみ、太さ細さ、頭部頂点や尾部頂点における丸みや尖り、又は、尾部のくびれなどを判定することができる。これらをどのように組み合わせて、卵の基本的特徴に基づき雌雄を鑑定できるのかは、後段でより詳細に記載する。
【0040】
さらに、上記卵の雌雄の基本的特徴は、卵の近似楕円と関連づけて数値化することが可能なものがある。例えば、卵の頭部での輪郭と、これに重ね合わせた近似楕円とを微細に観察すると、殆どの卵は、卵の輪郭と近似楕円の輪郭が極めて良く一致する一方で、卵によっては、他の卵と比較して近似楕円からのはみ出し度合いが大きいものや、逆により細くなっているものがある。このような近似楕円との間で差のある卵からは雄が生まれる傾向がある。そこで、図3に、上記卵の雌雄の基本的特徴を数値化するために利用する近似楕円と卵の輪郭に基づいて設定できるパラメータの例を示す。図3中、図1で定義したパラメータは同じ符号を使用する。
【0041】
例えば、「尾部の先端が丸い」という基本的特徴を数値化するために、尾部113における近似楕円と輪郭との尾部長さの差の変化率を採ることができる。具体的には、尾部の頂点と近似楕円の尾部の頂点を結ぶ長さを301として、近似楕円と卵の尾部の輪郭線の差が、長さ301の90%の長さ302になる長さ方向の位置に於ける近似楕円の幅を幅303とすると、幅303の大きさによって、尾部の先端の丸みを判定することができる。
【0042】
また、卵の頭部112における卵の輪郭101と近似楕円111を比較することにより、「頭部の膨らみ」という基本的特徴を数値化することができる。例えば、卵の頭部に於ける輪郭と近似楕円の輪郭は極めて一致しているが、頭部112における卵の頭部面積と、近似楕円の頭部面積の差を取ることにより、頭部の膨らみを判定することができるし、また、頭部側の任意の点において、輪郭101と近似楕円111のずれをとっても、頭部の膨らみを判定することができる。
【0043】
図2及び図3で示した卵における所定のパラメータは、上記の基本的特徴を数値化するために利用可能な要素の一例であって、当該基本的特徴を数値化できるのであれば、同図に示したパラメータを利用せず、これ以外の他のパラメータを抽出してもよい。
【0044】
また、図3では、卵の短径107と、頭部長さ110に基づいて設定される近似楕円を示しているが、近似楕円の設定手法はこれに限らず、例えば、卵の短径107と尾部長さ109に基づいて設定してもよいし、卵の長径106と短径107に基づいて設定してもよい。さらには、卵頭部の輪郭101の接線を利用して近似楕円を設定してもよい。即ち、卵の輪郭101から抽出できるパラメータに基づいて任意に設定される楕円は全て近似楕円に含まれる。
【0045】
次に、本実施形態において雌雄鑑別を行うための装置の概要を図4および図5を参照して説明する。図4(a)および(b)は卵の全体輪郭を介在物なしに撮影するためと、高いコントラストの画像を撮影するためにための卵置き台401とこれに卵405を水平に置いた状態を示している。卵を正しく水平に保持できるように、卵置き台401は卵と相似のくり孔加工402を行い、卵より10ないし15%程度小さな斜面加工403を行う。
【0046】
また高いコントラストを得るために表面404は黒色の鏡面塗装が施されている。まず、表面を鏡面塗装にすると、表面404へ光源から斜めに入射する光の反射光は、光の入射角と反射角の原理で卵置き台401の垂直方向へ進む確率が極めて少なくなるという利点がある。それに加えて、黒色の鏡面塗装の場合には、仮に垂直方向への反射光があった場合でも、表面404が黒色であるためにカメラに対する光感度が小さくなるので、実質的に垂直方向への反射光を無視できるレベルに抑えることが可能となる。このように、表面404を黒色の鏡面塗装とすることにより、卵405と卵置き台401との間のコントラストを強くして、解像度の高い輪郭画像を得ることが可能となる。
【0047】
次に、図5aは卵を撮影し、その画像データを加工して、特徴抽出または鑑定を行うための装置の構成図である。卵台501に卵504を水平に置いて、垂直上方より、カメラ502で撮影する。カメラ502は撮像素子にCCD等を使ったスチールデジタルカメラまたビデオカメラ等を用いることができる。卵504には各照明器503で均一な光を当てる。照明器503の配置は、適正なコントラストを得るため、及び、他から差し込む光の影響を避けるために、図5bに示すように卵504の周囲にその形に相似させて配置している。
【0048】
また、照明器503は卵504に対しては真上からではなく、水平に対し低い角度で斜め上から投射するように設置されている(図5aでは、簡略化のため2つのみ記載)。これにより卵504の輪郭の下部まで光を当て、その側面の輪郭を検出できるようになる。卵置き台501の表面404は上記のように黒色鏡面塗装になっているので、照明器503から斜めに投射される光506の反射光は、卵置き台表面404上での光の入射角と反射角の原理で、垂直方向への進む場合は極めて少ない一方、卵504は表面が微細な凹凸を持つために、斜めから投射してもカメラへの垂直方向の光が存在する。しかも卵504は白色または赤などの光のエネルギーを持つために、カメラへ到達する卵の光エネルギーは卵置き台の表面404からの光エネルギーに比べ極めて大きくなる。その結果カメラの入射感度を調整すれば卵と背面のコントラストが非常に良くなり安定で精密な輪郭検出が容易になる。
【0049】
なお、照明器503の代わりにレーザ光を照射しても良いし、卵置き台501の内部にバックライトを搭載して、逆光を利用して輪郭抽出をするような手法を適用してもよい。カメラ502で撮影した画像は、解析または鑑定用コンピュータ505にディジタルデータとして転送する。
【0050】
図5cは、図5aのコンピュータ505のブロック図である。ここで、510はCPUで、RAM511やROM512に格納されたプログラムやデータ等を用いて装置全体の制御を行うと共に、卵の雌雄鑑定処理を行う。511はROMで、装置全体の制御を行うプログラムやデータ等を格納する。512はRAMで、CPU510が各種の処理を実行する際に用いるワークエリア及び、表示部513に表示する表示データを格納するためのVRAMエリアを備える。
【0051】
513は、VRAMエリアに格納された表示データを表示する表示部であり、CRTや液晶画面により構成される。514は、コンピュータ505を当該撮像部502と接続するためのインターフェースである。
【0052】
515は、装置のユーザーがデータ入力を行うための、キーボード、マウス、その他の操作パネルなどの入力部である。516は、LANやインターネットなどに接続するための通信インターフェースである。517は、HDDであり、撮像部において取得した画像データ、当該画像データから得られた測定データなどを格納するための記憶装置として機能する。
【0053】
[雌雄鑑定の手順]
次に卵の雌雄鑑定の手順を説明する。図6は、図5に示す装置において実行される雌雄鑑定処理のフローチャートである。まず、カメラ502により卵を撮像し画像データとして、コンピュータ505に取り込まれる(S601)。
【0054】
取得された当該画像データはコンピュータ505で処理される。S601においてコンピュータ505に取り込まれた画像データは、まず、RAM512内に格納される。次にCPU510は、撮影した卵の画像から背景とのコントラストを識別してエッジを検出し、全輪郭の画像データとしてマッピングする(S602)。ここで全輪郭とは、卵504を垂直上方に位置するカメラ502から撮影して得られる2次元平面画像としてマッピング可能な卵の輪郭の全体を意味するものであり、卵の3次元輪郭や2次元平面輪郭の一部を意味するものではない。さらに、マッピングされたデータ上で左右および上下の先端を決定し、上下頂点間と左右の頂点間の線との交点座標を計算する。交点から頭部頂点までの長さと、左右の頂点間の長さの半分をそれぞれ長半径、短半径とする近似楕円を想定し、楕円の中心を卵の重心に一致させる。
【0055】
続いて、CPU510は、輪郭データから、基本的特徴を抽出するために必要となるパラメータとして、図1乃至図3と関連して説明した有精卵の長径、短径、重心、面積、楕円の長径、短径、面積等を求め、必要とする卵の長さ方向の任意の位置の幅の長さを計算する(S603)。さらに、上記計算において得られた各パラメータの数値又はこれらの組み合わせにより、有精卵の輪郭形状に現れる基本的特徴の抽出を行う(S604)。
【0056】
次に、S604において数値化された有精卵の輪郭形状に現れる基本的特徴に基づいて、雌雄鑑定処理を実行する(S605)。具体的には、所定のパラメータを利用して数値化された基本的特徴と、各基本的特徴毎に設定される雌雄鑑定の基準となる閾値とを利用して、S604において抽出した輪郭形状における基本的特徴が、雄卵又は雌卵の特徴を表すレベルにまで至っているかどうかを判定する。
【0057】
例えば、頭部先端の丸みを、頭部の頂点と重心までの距離の90%位置での幅を卵の短径で除した値YR90により数値化し、これを閾値Th1と比較してYR90がTh1よりも大きい場合、当該有精卵の「頭部先端の丸み」の程度が雌卵と判別できるまで至っており、雌卵と鑑定される。
【0058】
一方、当該値YR90が閾値Th1よりも小さい場合は、当該有精卵が、雌卵と判別できるレベルまで「頭部先端の丸み」を有しておらず、この特徴では当該処理対象の有精卵を雌卵とも雄卵とも識別できない。しかし、このような場合でも、他の特徴に基づいて雌雄鑑定を行うことができる。
【0059】
S605における鑑定処理結果は、画像データ及び画像処理により得られた数値と共にHDD517に格納され、データベース化される。鑑定処理を継続的に行いデータベースを更新していくことにより、鑑定精度をより向上させることが可能である。
【0060】
そして、鑑定結果に応じて有精卵が雌雄弁別される(S606)。ここでは表示部513上に検定結果が表示されるとともに、表示結果に対応して有精卵が機械的に又は手動で分別されてもよい。
【0061】
図6中の処理S605における鑑定処理の詳細を、卵の基本的特徴と対応させて、以下に説明する。
【0062】
[雌の特徴−頭部の丸み]
頭部の(先端部の)丸みが顕著な卵に雌卵は多い。頭部の丸みは、頭部頂点102付近における輪郭101の曲率が大きいものと考えられる。これに基づき、例えば、頭部の頂点と重心までの距離の90%位置での幅を卵の短径で除することにより、頭部の丸みを数値化(この数値化結果をYR90とする)でき、以下の式において定義できる。
【0063】
【数1】
YR90=Wh90/Ly
この手法により実際の卵の雌雄鑑定を行った結果を図7に示す。実験対象となった卵は、39個の白色レグホン有精卵であり、卵は個々に図5aに示した装置を使用して形状を測定し、必要なデータを抽出した後孵化し指頭鑑別で鑑定したものである。卵は、鑑定結果に基づいて番号付けし、1から24は雌卵、25から39は雄卵としてある。
【0064】
図7において、番号5,6,7,12,24の5個(図中四角で囲った番号に対応)が雄卵より大きい値を示し、雌として識別出来る。従って、図7のグラフでは、閾値(Th1)を0.941と設定すれば、番号5,6,7,12,24の5個を雌として鑑別できる。
【0065】
図7において雌と鑑定できるのは24個中5個の卵である。残りの19個は雌であるかどうかはこの時点で不明である。しかし、有精卵は生き物であり自然界の影響でその形が形成される。そのために共通と考えられる特徴を使ったとしても鑑別出来ない卵は存在するのであって、人間界でも見た目に女とわかる乳児もいれば、男と女、どちらかわからない乳児もいる。従って、「頭部の丸み」という特徴ですべての雌卵を鑑別できる必要はなく、この特徴に基づいて明らかに雌である卵を特定することが
できればよい。そして、その際に設定される閾値は、明らかに雌である卵を確定する値として設定されればよい。
【0066】
また、頭部の丸みを以下の式に基づいて数値化した結果(R85)に基づいて雌雄鑑定処理を行ってもよい。
【0067】
【数2】
R85=Wh85/Ly
なお、Wh85は、頭部頂点102と重心108までの距離の85%位置における幅202の長さである。
【0068】
図8に、【式2】により頭部の丸みに基づいて上記39個の卵の雌雄鑑別を行った結果を示す。ここで閾値(Th2)を0.91と設定すると、R85>Th2となる番号4,7,12,20,24の5個が雌卵と鑑定され、それ以外は少なくとも雌でないと鑑定されるので、39個の卵の雌雄鑑別ができる。また、頭部の丸みを数値化するに際して、頭部の輪郭の任意の位置での微分値を取り、これが大きいものを雌の特徴として利用してもよい。
【0069】
[雌の特徴−尾部の丸み]
尾部の丸みが顕著な卵に雌卵は多い。尾部の丸みは尾部頂点103付近における輪郭101の曲率が大きいものと考えることができる。具体的には、尾部の輪郭と近似楕円を比較すると尾部先端の丸みを顕著に判別することができる。図3を参照して説明すると、30は尾部の頂点と近似楕円の尾部の頂点を結ぶ長さを示す。幅303は長さ30の90%の長さ302が近似楕円と卵の尾部の輪郭線の差になる長さ方向の位置に於ける近似楕円の幅を示す。実際の雌雄鑑定では、卵の尾部の丸みを表す数値として幅303の逆数(Gym)を利用する。Gymの大きさに基づいて上記39個の卵の雌雄を鑑別すると、図9に示すような結果が得られる。なお、図9の縦軸に示す値は図3に於ける近似楕円の幅303の逆数で表す特徴である。ここで、閾値(Th3)を2.008と設定すれば、Gym>Th3となる番号3,7,10,13,18,19,21,22,23の9個を雌として鑑別出来る。
【0070】
[雌の特徴−尾部のくびれ]
頭部の膨らみが尾部の膨らみにくらべ大きい卵(尾部のくびれた卵)からは雌が生まれる。尾部のくびれは、卵の頭部の幅に対する尾部の幅の割合から判別する事ができ、特に尻尾付近の幅を使うと雌の特徴がよく現れる。例えば、頭部の頂点と重心までの距離の50%の位置での幅203を、尾部の頂点と重心までの距離の85%位置での幅205で除することにより、尾部のくびれを数値化(L85)でき、L85は、以下の式において定義される。
【0071】
【数3】
L85=Wh50/Wt85
この鑑定手法を上記39個の卵に適用した結果を図10に示す。図10においては、閾値(Th4)を1.92に設定すれば、L85>Th4となる番号7,11,16,18の4個を雌として鑑別できる。また頭部の頂点と重心までの距離の50%位置での幅203を使う代わりに卵の短径104を使うこともできる。
【0072】
[雌の特徴−重心の大きさ]
重心の大きさは、尾部の長さの卵の長径に対する割合によって判定することができるので、尾部の長さ109を卵の長径106で除すればよい(この結果をGPTとし、以下の式で定義する。)。また、卵の面積と近似楕円の面積との差を近似楕円の面積で除してもよい。
【0073】
【数4】
GPT=Lxt/Lx
GPTの大きさ基づく雌雄鑑定法を上記39個の卵に適用すると、図11に示すようになる。ここでは、統計的に白色レグホンではその数値が0.54(閾値Th5A)より大きいか0.52(閾値Th5B)より小さい場合に雌(番号4,5,7,16)が生まれる。
【0074】
[雄の特徴−頭部の尖り]
雄の特徴である頭部の尖りは、頭部頂点102付近における輪郭101の曲率が小さいものとして考えることができる。これに基づき、例えば、頭部の頂点と重心までの距離の90%位置での幅で、卵の短径を除することにより卵の頭部の尖りを数値化できる(GYR90)。図2におけるパラメータを使えば、GYR90は以下の式で定義される。
【0075】
【数5】
GYR90=Ly/Wh90
GYR90の大きさに基づいて雌雄を鑑定するこの手法を上記39個の卵に適用した結果を図12に示す。ここでは、閾値(Th6)を1.092と設定することにより、GYR90>Th6となる番号26,27,29,31,34の5個を雄として鑑別できる。このように頭部の先端のとがりの度合いとして頭部の先端の幅で特徴づけることが出来る。その他に卵の輪郭線分からは、頭部の輪郭の傾斜の低さで尖りを特徴づけることが出来る。また頭部の卵の輪郭で囲まれる面積と近似楕円の頭部の面積との差の負の値が大きい値のものを雄の特徴として使うことが出来る。
【0076】
[雄の特徴−尾部の太さ]
尾部の太さは、尾部頂点付近における卵の幅が大きいものと考えることができる。尾部の太さを数値化する手法として、例えば卵の短径107で、尾部の90%位置に於ける幅204を除することが考えられ、ここで得られる値(GR)は以下の式で定義される。
【0077】
【数6】
GR=Wt90/Ly
GRの大きさに基づいて雌雄鑑定するこの手法を39個の卵に適用して得られた結果を図13に示す。ここでは、閾値(Th7)を0.43と設定すると、GR>Th7となる番号38の1個を雄として鑑別できる。
【0078】
また、尾部の太さは、卵の尾部側で、重心と尾部頂点の中間付近での卵の幅が大きいもの、より具体的には、重心と尾部頂点中間付近での卵の幅と、卵の幅の最大値との差が小さいものとして考えることもできる。
【0079】
[雄の特徴−頭部の膨らみ過ぎ]
頭部の膨らみすぎは、卵の頭部側で重心と頭部頂点の中間付近での卵の幅が大きいこと、より具体的には、卵の頭部側で、重心と頭部頂点の中間付近での卵の幅と、卵の幅の最大値との差が小さいものと考えることができる。これに基づき、例えば、頭部の頂点と重心までの距離の50%位置での幅を卵の長径で除することで、頭部の膨らみすぎという特徴を数値化(R50BX)できる。図2におけるパラメータを使えばR50BXは以下のように定義される。
【0080】
【数7】
R50BX=Wh50/Lx
R50BXの大きさに基づいて雌雄鑑別するこの手法を、上記39個の卵に適用した結果を図14に示す。ここでは、閾値(Th8)を0.684と設定することにより、R50BX>Th8となる番号25,27,28,33,37,39の6個を雄として鑑別できる。その他には頭部の頂点と重心までの距離の50%位置での幅を近似楕円の短半径で除した値や、卵の短径で除した値を使うことが出来る。また頭部の卵の輪郭で囲まれる面積と近似楕円の半分の面積との差の正の値が大きい値のものを使うことが出来る。
【0081】
また、頭部の膨らみは、卵と近似楕円の頭部の面積の差を近似楕円の頭部の面積で除することによっても数値化(DFH)することができる。この数値化結果DFHは、以下のように定義される。
【0082】
【数8】
DFH=(Sxh-Seh)/Seh
DFHの大きさに基づいて雌雄を鑑別するこの手法を、上記39個の卵に適用して得られた結果を図15に示す。ここでは、閾値(Th9)を1000に設定すると、DFH>Th9となる番号30,35の2個を雄として鑑別出来る。何れも頭部に於ける卵の輪郭が近似楕円よりも大きい。さらに、卵の面積を卵の長径で除した値の大きい卵も、膨らみが大きいと考えられるので、雄の特徴として使うことが出来る。
【0083】
[雄の特徴−細長さ]
卵の細長さは、卵の輪郭101に対して卵の短径107が短いものと考えることができる。そこで、以下の式でえら得る卵の輪郭で囲まれる面積を卵の短径で除した結果(DSY)の大きさに基づいて雌雄を鑑別した結果を図16示す。
【0084】
【数9】
DSY=Sx/Ly
図16では、雌卵7,11,16,20,24(図中三角で囲った番号に対応)が雄卵より大きい値を示しているが、これらの卵は雌の強い特徴で予め排除しておけばよい。このような雌を排除しておけば、閾値(Th10)を345.5と設定すれば、DSY>Th10となる番号26,30,31,32,35,36,38の卵を雄として鑑別することが可能である。なお、本実施形態で適用した39個のサンプル以外の、他のサンプルについて本特徴に基づいて雌雄鑑別した場合は、雄を単独に鑑別することができた。
【0085】
有精卵の雌雄を反映した輪郭に現れる基本的特徴を所定のパラメータを利用して数値化するために上述した手法は、あくまで本実施形態において説明のために記載したものであり、ある基本的特徴を、上記の記載に限定されることなく所定のパラメータを利用して抽出し、これを数値化することは当業者の通常の能力の発揮に過ぎず、結果として得られたパラメータ及び数値、さらにはこれらを用いた雌雄鑑別技術は当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
【0086】
[複数の鑑定処理の組合せによる雌雄鑑別例]
雌雄の基本的特徴は卵の輪郭から得られるパラメータを組み合わせて抽出している。しかし個々の特徴で複雑な形状の卵をすべて網羅することは困難である。例えば、雌の卵であっても、雌の特徴が尾部先端の丸みとして出る卵もあれば、尾部のくびれとして出る卵もある。このように、卵の種類や親鶏等、卵が産まれる状況に応じて雌雄の基本的特徴の出方が異なる。そこで、これらの基本的特徴を組み合わせ、優先順位をつけてシーケンシャルに鑑定するプログラムに入れれば、高い鑑定率を得ることが出来る。
【0087】
図18は、上記の各鑑定処理を適用して卵の雌雄を鑑別した結果を示した一覧表である。図18中、各鑑別処理において、丸印を付した箇所は雄卵と鑑別した卵であり、鑑別処理のいずれも全ての雄卵を鑑別できてはいない。しかし、鑑別処理を少なくとも二以上組み合わせることで飛躍的に鑑別精度を向上することができる。
【0088】
そこで、上記の39個の卵について、上記YR90からDSYまでの鑑定処理を組み合わせて39個全部の雌雄を鑑別する方法を説明する。図17は本処理のフローチャートの一例を示すものである。図17は、あくまで本実施形態を説明することを目的とした、鑑定処理の組み合わせの一例を示すものであって、ここで採用した鑑定処理に限定されることなく、複数の鑑定処理を柔軟に選定して組み合わせることができる。例えば、親鶏の種別によって採用する鑑定処理を選定し、優先順位を決定しても良いし、また、月齢に応じて組み合わせる鑑定処理や優先順位を変更しても良い。
【0089】
また、図17に示すフローチャートは、図6のS605における鑑定処理とみなすこともできる。図17においては、ステップS1701は、頭部先端の丸みをR85に基づいて判定するステップであり、R85>Th2を満たす卵が雌と鑑定される。次に、ステップS1702では、尾部のくびれがL85に基づいて判定され、L85>Th4を満たす卵が雌と鑑定される。次にステップS1703では、頭部の膨らみ過ぎが、DFHにもとづいて判定され、DFH>Th9を満たす卵が雄と鑑定される。
【0090】
つぎに、ステップS1704では頭部の尖りが、GYR90に基づいて判定され、GYR90>Th6となる卵が雌と鑑定される。ステップS1705では、頭部の膨らみが、R50BXに基づいて判定され、R50BX>Th8を満たす卵が雌と鑑定される。ステップS1706では、尾部の太さがGRに基づいて判定され、GR>Th7を満たす卵が雌と鑑定される。
【0091】
つぎに、ステップS1707では、卵の細長さが、DSYに基づいて判定され、DSY>Th10を満たす卵が雄と鑑定される。本実施形態の場合、ステップS1707で雄卵を鑑定することで、鑑別の困難な雌卵を残すことができる。
【0092】
このように、本実施形態で記載したような鑑定処理を組み合わせることにより、39個すべての卵について雌雄鑑別が可能となる。これと同様に被鑑別卵に形状が多様な卵が含まれていても、正確に雌雄を鑑別することができる。
【0093】
また、図18示すフローチャートの前処理として、卵の面積値を基準としてあらかじめ大きい卵を雌として除外しておくことにより、各鑑定処理における雌雄鑑定の精度を向上させることもできる。
【0094】
さらに、前述した図6及び図17に示す卵の雌雄鑑定処理のフローチャートに対応するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体又は記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現するので、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。
【0095】
また、本発明の実施形態において記載した閾値は、数多くの卵を測定した結果として得られた数値であるが、ここに記載した数値に限定されず、さらに測定を行い、データを蓄積することによって、より高い精度を提供するように修正してもよい。すなわち、上記の鑑定処理を実施することにより得られた結果に基づいて設定される新たな閾値は、当然に当該実施形態のそれぞれに適用することができ、また、当該新たな閾値を用いて実施された卵の雌雄を鑑別する方法又は装置等は、本発明の技術的範囲に属するものである。
【0096】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明ではコンピュータ装置を利用して卵個々の全輪郭から得られる数値化された雌雄の特徴を用いて雌雄鑑別を行うので、人間の視覚的判断や形状基準を用いるのみの従来手法では困難であった、有精卵の高精度かつ高速な雌雄鑑別方法等を提供できる。これに加えて、近似楕円、卵の長さ、最大幅、重心など卵の輪郭等のパラメータ、及び当該パラメータを組み合わせて得られる雌雄鑑別のための基本的特徴を基準として雌雄鑑別を行うことで、親鳥に依存しない有精卵の雌雄鑑定をも可能とする。
【0098】
また、卵の輪郭の局所まで広げて雌雄の特徴を抽出し、これに基づいて雌雄鑑別を行うので、複雑な有精卵の形状に対しても、今後親鳥の改良に基づく卵の形状変化が生じても対応できる。
【0099】
さらに、本発明は高精度の雌雄鑑別方法を提供するので、雌雛の生産性を損なうことなく、食用やワクチンなどへの雄の有精卵の転用が可能となり、資源の有効活用に寄与できる。
【0100】
また、有精卵を設置する卵置き台の表面を黒色の鏡面塗装とするので、有精卵を撮影して画像データを取得する際に高いコントラストを得ることができ、判別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において雌雄鑑別に利用される卵の部位を特定するための図である。
【図2】本発明において雌雄鑑別に利用される卵の輪郭から得られるパラメータの一例を示す図である。
【図3】本発明において雌雄鑑別に利用される、卵の輪郭及び卵の近似楕円から得られるパラメータの一例を示す図である。
【図4】本発明における卵置き台の構成を示す図である。
【図5a】本発明にかかる雌雄鑑別方法を実施する装置の構成を示す図である。
【図5b】図5aにおける照明器503の配置例を示す図である。
【図5c】図5aに示すコンピュータ505の構成の概略を示す図である。
【図6】本発明における有精卵の雌雄鑑定処理のフローチャートである。
【図7】卵の頭部の丸みに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図8】卵の頭部の丸みに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図9】卵の尾部の丸みに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図10】卵の尾部のくびれに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図11】卵の重心の大きさに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図12】卵の頭部の尖りに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図13】卵の尾部の太さに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図14】卵の頭部の膨らみに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図15】卵の頭部の膨らみに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図16】卵の細さに基づく雌雄鑑定処理の一例を、39個の卵に適用した場合に得られた処理結果をプロットしたグラフである。
【図17】本発明の実施形態における鑑定処理を複数適用して卵の雌雄を鑑別する雌雄鑑別処理の一例に対応したフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態に対応する鑑定処理を適用して39個の卵の雌雄を鑑別した結果を示した一覧表である。

Claims (8)

  1. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて数値化した前記有精卵の頭部の輪郭で囲まれる面積と、前記有精卵の輪郭に対する近似楕円の頭部の面積との面積差を前記近似楕円の頭部の面積で除して得られる値に基づいて、前記有精卵の雌雄を鑑別することを特徴とする雌雄鑑別方法。
  2. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて、前記有精卵の頭部と尾部の所定の位置の幅の比をとって前記有精卵の雌雄を鑑別することを特徴とする雌雄鑑別方法。
  3. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて、前記有精卵の尾部の丸みにより、前記有精卵の雌雄を鑑別することを特徴とする雌雄鑑別方法。
  4. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて、前記有精卵の頭部の所定の位置の幅と卵の短径との比をとって、前記有精卵の頭部の丸みとして数値化し、前記有精卵の雌雄を鑑別することを特徴とする雌雄鑑別方法。
  5. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて、前記有精卵の頭部と尾部の所定の位置における幅の比を卵の尾部のくびれとして数値化し、前記有精卵の雌雄を鑑別することを特徴とする雌雄鑑別方法。
  6. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データに基づいて、前記有精卵の卵の全輪郭で囲まれる面積を、卵の短径で除した値を卵の細長さとして数値化し、前記有精卵の雌雄を鑑別することを特徴とする雌雄鑑別方法。
  7. 表面が鏡面塗装された設置台に水平に設置された有精卵を垂直上方から撮影して得られた有精卵の平面輪郭画像データから、前記有精卵の形状を表すパラメータを抽出して雌雄鑑別を行う雌雄鑑別方法であって、
    前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の頭部の丸みに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第1の工程と、
    前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の尾部のくびれに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第2の工程と、
    前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の頭部の膨らみに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第3の工程と、
    前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の頭部の尖りに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第4の工程と、
    前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の尾部の太さに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第5の工程と、
    前記パラメータを利用して数値化された前記有精卵の細長さに基づいて、前記有精卵の雌雄を判定する第6の工程と
    を備えることを特徴とする雌雄鑑別方法。
  8. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の雌雄鑑別方法を、コンピュータに実行させるための雌雄鑑別プログラム。
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