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JP4126833B2 - 角速度センサ装置 - Google Patents

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JP4126833B2
JP4126833B2 JP34513499A JP34513499A JP4126833B2 JP 4126833 B2 JP4126833 B2 JP 4126833B2 JP 34513499 A JP34513499 A JP 34513499A JP 34513499 A JP34513499 A JP 34513499A JP 4126833 B2 JP4126833 B2 JP 4126833B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御システム、車両転倒検知システム、ナビゲーションシステム、光学機器の手ぶれ防止システム等の角速度をセンシングする必要のある角速度センサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型化、低コスト化を目的として、マイクロマシン技術を用いた振動型の角速度センサ装置が報告されている。この種のセンサ装置におけるセンサエレメントの概略平面を図23に示す。SOI基板等を用いて加工されたセンサチップの外周枠部J1内に、互いに直交する駆動用梁J2及び検出用梁J3によって振動子J4が懸架されている。ここで、矢印a0は振動子J4の駆動振動方向、矢印a1は検出振動方向(従来のセンサエレメントにおけるコリオリ力発生方向)である。
【0003】
センサの基本原理は、図23に示す様に、検出しようとする角速度軸zと垂直に、質量mを持った振動子J4を駆動振動させ、角速度軸z及び該駆動振動方向と垂直に発生するコリオリ力2mVΩ(V:振動子J4の速度、Ω:角速度)を、該コリオリ力の発生方向への振動子J4の変位等を利用して検出するものである。
【0004】
このような角速度センサ装置においては、環境温度の変化や時間の経過とともに、センサエレメントのばね定数等の物性値が変化するため、角速度出力値の0点や出力感度がドリフトするという問題がある。これを回避するために、振動子の振幅をモニターしてフィードバックをかけることにより一定振幅で振動子を振動させる機能や、温度を計測しつつ温度によって感度を補正する機能が搭載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら機能を搭載するという対策においては、振動モニタや温度センサ等が必要でありかつ回路の規模も大きくなるため、センサ装置のサイズ及びコストが増大する。また、補正という手法であるがゆえに、原理的に上記0点や出力感度のドリフトを0にすることはできず、高精度に補正しようとすれば、装置のサイズ及びコストはより増大する。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、振動型の角速度センサ装置において、角速度出力値の0点や出力感度のドリフトを抑制し、且つ、装置の小型化、低コスト化を達成することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1ないし請求項記載の発明では、水平面内で駆動振動を行う可動部(1、38、41、51)を有し、この可動部を駆動振動させて該水平面と垂直な角速度軸(z)回りに角速度が発生したときに、該可動部に対して該水平面と平行な方向にコリオリ力を作用させるようにしたセンサエレメント(100、300、330、350、400、450、500、550、600)と、このセンサエレメントからの出力信号に基づき、該コリオリ力に起因しない信号を基準に該コリオリ力に起因する信号から角速度を算出する回路手段(200)とを有しており、可動部には、2つ以上の検出用振動子(11、12)が備えられ、該2つ以上の検出用振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、2つ以上の検出用振動子の一方は第1の方向(a1)に検出振動し、2つ以上の検出用振動子の他方は第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、コリオリ力に起因する信号は、各検出用振動子の出力を加算して得られ、コリオリ力に起因しない信号は、各検出用振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴としている。
【0008】
このように、請求項1ないし記載の発明によれば、環境温度の変化や時間の経過とともに同様に変化するコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号を導出し、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号を算出することによって、絶対値として持っている角速度出力値の0点や出力感度のドリフトを相対的にキャンセルすることができるため、該ドリフトを抑制でき、また、余分な回路等からの補正が不要となるため、装置の小型化、低コスト化を達成することができる。
【0009】
ここで、センサエレメントからの出力信号がコリオリ力に起因する信号とコリオリ力に起因しない信号とが合成されたものである場合は、回路手段(200)がこれら両信号を分離する機能を有することが好まく、また、コリオリ力に起因しない信号としては、該可動部(1、38、41、51)に作用する慣性力等のコリオリ力とは90°位相がずれた力に基づく信号を採用することができる。
【0010】
ここで、慣性力とは、「質量mに力Fが作用して加速度αを生ずる場合に、−mαに相当する力」(岩波理化学辞典より)である。言い換えれば、「非慣性系から見たため見かけ上現れる力の総称」であるため、コリオリ力も慣性力に含まれる。本明細書では、「慣性力」といえば、コリオリ力以外の慣性力を指すことにする。
【0011】
また、請求項記載の発明では、センサエレメント(100、300、330、350、400、450、500、550、600)として、検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する振動子(11、12、31、32)と、角速度が入力されたときに該振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15、34、35)とを備え、該コリオリ力が加わったときに前記振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずれているものであり、振動子は2つ以上備えられ、2つ以上の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、2つ以上の振動子の一方は第1の方向(a1)に検出振動し、2つ以上の振動子の他方は第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、コリオリ力に起因する信号は、各振動子の出力を加算して得られ、コリオリ力に起因しない信号は、各振動子の出力を減算して得られるようになっているものを採用している。
【0012】
本発明のセンサエレメントによれば、コリオリ力が加わったときに振動子に発生する検出振動の方向がコリオリ力の作用する方向に対してずれているから、該検出振動方向に対してコリオリ力に起因する力とコリオリ力に起因しない力とを発生させることができ、検出部からの出力信号にはコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号とが含まれる。
【0013】
そして、本発明では、この出力信号に基づき、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号から角速度を算出するようにしているため、上記請求項1〜請求項の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0014】
また、請求項11記載の発明では、複数個の振動子(11、12、31、32)と各振動子に対応する検出部(14、15、34、35)とを有するから、各々の振動子に対応して複数個の出力信号が得られる。そして、各出力信号に基づき、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号から角速度を算出するようにしているため、請求項の発明と同様の効果を奏する。
【0015】
また、請求項1記載の発明では、センサエレメント(100)として、検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する第1の振動子(1)と、この第1の振動子と梁(13)によって連結された複数個の第2の振動子(11、12)と、この第2の振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15)とを備え、該コリオリ力が加わったときに各々の該第2の振動子に発生する検出振動の方向が該コリオリ力の作用する方向からずれているものであり、複数個の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、複数個の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、複数個の第2の振動子のうちの他方は第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、コリオリ力に起因する信号は、各第2の振動子の出力を加算して得られ、コリオリ力に起因しない信号は、各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっているものを採用している。
【0016】
本発明のセンサエレメントによれば、複数個の第2の振動子は、第1の振動子と共に駆動振動を行い、コリオリ力が加わったときに梁によって検出振動することができ、この検出振動に基づき検出部からコリオリ力を検出する。ここで、各第2の振動子の検出振動の方向が該コリオリ力の作用する方向からずれているため、請求項11の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0017】
ここで、請求項1記載の発明のように、請求項1記載のセンサエレメント(100)において、複数個の第2の振動子(11、12)を、互いの間で検出振動の方向のずれ角が異なるものとしても、検出部からの出力信号に基づき、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号から角速度を算出することができる。
【0018】
また、請求項1記載の発明では、請求項〜請求項1記載のセンサ装置における駆動振動を、この駆動振動を行う振動子を有する可動部(51)と固定部(3)とを連結する一対の梁(501、502)の弾性力によって行うものとし、該一対の梁を該可動部における駆動振動の軸(b1、b2)を挟んで設けるとともに、個々の該梁を互いに非対称な形状としたことを特徴としている。
【0019】
それによって、一対の梁のうち一方と他方とでばね定数が異なるから、コリオリ力を検出する検出振動の方向に対して容易に駆動振動の方向をずらすことができ、駆動振動方向と直交する方向であるコリオリ力の作用する方向と、検出振動の方向とをずらすことができる。
【0020】
また、請求項1記載の発明のように、センサエレメント(600)を製造するときの加工誤差を利用することによって、検出振動の方向をコリオリ力の作用する方向に対してずらすものとすれば、加工誤差を積極的に利用することができ、従来排除しようとしていた加工誤差を排除する必要が無くなり、低コスト化に有効である。
【0021】
ところで、センサエレメントにおいて、駆動振動を行うための構成部分の物性値が温度変化等に伴って変化したりして目的外方向の振動が発生すると、センサエレメントの検出部からの出力信号には誤差が発生する。
【0022】
この問題に対して、請求項1記載の発明では、請求項〜請求項1記載の角速度センサ装置において、検出部(14、15)を振動子(11、12)と同様に駆動振動させるようにしているから、検出部からの出力信号には上記の駆動振動の目的外振動による誤差が発生しない。
【0025】
また、請求項1記載の発明では、センシングしようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する第1の検出用振動子(11、31)および第2の検出用振動子(12、32)を備え、該第1の検出用振動子と該第2の検出用振動子とで、該角速度軸回りの角速度が入力されたときに振動する検出振動の振動軸が、コリオリ力の作用する方向に対して非平行であり、さらに、該第1および第2の検出用振動子の各々の出力信号を入力して減算により慣性力を算出する慣性力算出手段と、該第1および第2の検出用振動子の各々の出力信号を演算することによりコリオリ力を含む値を算出するコリオリ力算出手段と、該慣性力算出手段からの信号と該コリオリ力算出手段とからの信号とに基づいて演算を行い角速度を算出する角速度算出手段とを備え、第1の検出用振動子と第2の検出用振動子とが同一方向に駆動振動するようになっており、第1の検出用振動子および第2の検出用振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、第1の検出用振動子および第2の検出用振動子のうちの他方は第1の方向(a1)とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、コリオリ力に起因する信号は、各検出用振動子の出力を加算して得られ、コリオリ力に起因しない信号は、各検出用振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴としている。
【0026】
本発明によれば、第1及び第2の検出用振動子の検出振動の振動軸が、それぞれコリオリ力の作用する方向に対して非平行であるため、それぞれの振動子において慣性力とコリオリ力とを含んだ出力信号を発生させることができる。そして、両振動子のからの出力信号を減算することにより慣性力を算出でき、演算によりコリオリ力を算出でき、上記請求項1ないし記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0027】
また、請求項20記載の発明では、センサエレメント(400)として、角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する複数個の第1の振動子(1a、1b)と、各々の第1の振動子の内部に梁(13)で連結された第2の振動子(11、12)と、角速度が入力されたときに該第2の振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15)とを備え、かつ、該複数個の第1の振動子の少なくとも2個が少なくとも1個の梁(6)で連結されており、コリオリ力が加わったときに該第2の振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずれているものであり、複数個の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、複数個の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、複数個の第2の振動子のうちの他方は第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、コリオリ力に起因する信号は、各第2の振動子の出力を加算して得られ、コリオリ力に起因しない信号は、各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっているものを採用している。
【0028】
本発明によれば、複数個の第2の振動子(検出用振動子)は、それぞれに対応する第1の振動子(駆動用振動子)とともに駆動振動を行い、コリオリ力が加わったときに、梁(13)によって検出振動することができ、この検出振動に基づき、複数個の検出部から各々コリオリ力を検出する。
【0029】
ここで、コリオリ力の方向が第2の振動子の検出振動の方向からずれているため、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号を計算することができる。そのため、角速度出力値の0点や出力感度のドリフトをキャンセルできる。したがって、それらを回路で補正することが不要となるので、装置の小型化、低コスト化が可能である。
【0030】
さらに、本発明では、少なくとも2個の第1の振動子同士が梁(6)で連結されているため振動系は連成振動系となり、駆動振幅が極大となる駆動力の周波数は、該梁で連結された第1の振動子において同じ値(固有振動数)となる。角速度センサでは、駆動振幅を大きくとるために固有振動数で振動させることが多いが、連成振動系を作ることにより、振幅を一致(または近い値に)させるのが容易となる。
【0031】
また、請求項22記載の発明は、請求項20のセンサエレメントにおいて、複数個の第1の振動子(1a、1b)同士を連結せずに独立したものとしたセンサエレメント(450)を採用したことを特徴とするものである。本発明によっても、請求項20の発明と同様に、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号を計算することができ、角速度出力値の0点や出力感度のドリフトのキャンセル、装置の小型化、低コスト化といった効果を奏する。
【0032】
さらに、本発明によれば、複数個の第1の振動子を連結せずに独立させることにより、複数個の第1の振動子のチップ内での配置が自由になり、チップの小型化が可能である。これは、単純には低コストになるし、歩留まりも向上する。また、複数個の第1の振動子を連結しないことにより、複数の第1の振動子をそれぞれ別のチップ(1000、1001)上に配置することも可能であり、これも歩留まり向上に役立つ。
【0033】
さらに、複数個の第1の振動子を連結しないということは、これら第1の振動子を連結するための梁を設けなくても良いことであるから、個々の第1の振動子の周囲に駆動手段(駆動用電極等)を、簡単に複数個とりつけることができる。従って、駆動力を大きくすることができて非常に有利である。
【0034】
また、請求項24記載の発明では、センサエレメント(330)として、角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する複数の第1の振動子(31、32)と、各々の該第1の振動子の外側に該第1の振動子と梁(36)によって連結された第2の振動子(34)と、この第1の振動子に加わるコリオリ力を第2の振動子を介して検出する検出部(34、35)とを備え、かつ、該複数個の第1の振動子の少なくとも2個が少なくとも1個の梁(6)で連結されており、コリオリ力が加わったときに各々の該第1の振動子に発生する検出振動の方向がコリオリ力の作用する方向からずれているものであり、複数の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、複数の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、複数の第2の振動子のうちの他方は第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、コリオリ力に起因する信号は、各第2の振動子の出力を加算して得られ、コリオリ力に起因しない信号は、各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっているものを採用している。
【0035】
本発明によれば、複数個の第1の振動子が駆動振動しているときに、コリオリ力が加わると各第1の振動子には検出振動が発生する。この第1の振動子の検出振動は、梁(36)を介して対応する各第2の振動子(34)をも同様に検出振動させ、この第2の振動子の検出振動に基づき、複数個の検出部から各々コリオリ力を検出する。
【0036】
ここで、コリオリ力の方向が第1の振動子の検出振動の方向からずれており、それによって、コリオリ力の方向は第2の振動子の検出振動の方向からもずれることとなるため、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号を計算することができる。そのため、角速度出力値の0点や出力感度のドリフトをキャンセルできる。したがって、それらを回路で補正することが不要となるので、装置の小型化、低コスト化が可能である。
【0037】
また、少なくとも2個の第1の振動子同士が梁(6)で連結されているため振動系は連成振動系となり、駆動振幅が極大となる駆動力の周波数は、該連成振動用梁で連結された第1の振動子において同じ値(固有振動数)となる。角速度センサでは、駆動振幅を大きくとるために固有振動数で振動させることが多いが、連成振動系を作ることにより、振幅を一致(または近い値に)させるのが容易となる。
【0038】
また、請求項2記載の発明は、請求項24のセンサエレメントにおいて、複数個の第1の振動子(31、32)同士を連結せずに独立したものとしたセンサエレメント(350)を採用したことを特徴とするものである。本発明によっても、請求項24の発明と同様に、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号を計算することができ、角速度出力値の0点や出力感度のドリフトのキャンセル、装置の小型化、低コスト化といった効果を奏する。
【0039】
さらに、本発明によれば、複数個の第1の振動子を連結せずに独立させることにより、請求項22の発明と同様の効果、即ち、第1の振動子の配置自由化、別チップへの配置によるチップの小型化、低コスト化、歩留まり向上、及び、駆動手段の複数化による駆動力の増大化、といった効果を奏する。
【0040】
ここで、請求項2記載の発明のように、請求項20〜請求項2記載のセンサエレメント(330、350、400、450)において、検出振動の方向がコリオリ力の作用する方向からずれている複数個の第1または第2の振動子(11、12、31、32)を、互いの間で検出振動の方向のずれ角が異なるものとしても、検出部(14、15、34、35)からの出力信号に基づき、コリオリ力に起因しない信号を基準にコリオリ力に起因する信号から角速度を算出することができる。
【0041】
また、請求項2記載の発明では、請求項1120〜2に記載の角速度センサ装置において、駆動振動を行う複数個の振動子(1a、1b、11、12、31、32)における互いの駆動振幅が予め等しくなるように調整してあることを特徴としている。
【0042】
加工誤差等の原因により、例えば駆動電圧が同じでも、駆動振動を行う複数個の振動子の振幅が異なってしまうことがある(全く同じ振動子を複数個作ることができれば、同じ電圧をかけることによって振幅は同じになるが、実際には、エッチング時の加工誤差等によって全く同じ振動子を複数個作ることは難しい)。
【0043】
駆動振動を行う複数個の振動子がある場合、検出振動に基づく信号も複数個出力されるが、コリオリ力による信号を得るには、これら複数個の出力信号(aa、bb、aa’、bb’)を演算(例えば加算もしくは減算)することを行う。これは、それぞれの駆動振動を行う振動子の駆動振幅が等しいことを前提としている。したがって、加工誤差によって、それぞれの振動子の駆動振幅が異なってしまえば、コリオリ力による信号を精度良く得にくくなる。その点、本発明のように、駆動振動を行う振動子の駆動振幅を調整すれば、たとえ加工誤差等があっても、複数個の信号を演算することによって、コリオリ力による信号を精度良く得ることができる。
【0044】
また、請求項30記載の発明のように、請求項1120〜2に記載の角速度センサ装置において、複数個の検出部(14、15、34、35)における互いの出力信号振幅を予め等しくなるようにゲインを調整しても、請求項2の発明における駆動振幅を同じにする効果と同じ効果が得られる。
【0045】
また、請求項31記載の発明のように、請求項9〜11、及び20〜2に記載の角速度センサ装置において、駆動振動を行う振動子(1a、1b、11、12、31、32)における該駆動振動の物理量をモニタする手段(4’、5’)を備えたものとすれば、駆動振動の物理量(駆動振幅や駆動振動速度等)をモニタすることによって、このモニタの結果に基づき、振動子の駆動振動の振幅やその振動速度等を調整したり、検出部からの出力信号の振幅を調整することができる。
【0046】
特に、請求項32記載の発明のように、モニタの結果を用いた負帰還(フィードバック)により、駆動振動を行う振動子(1a、1b、11、12、31、32)の駆動振幅を一定に制御すれば、駆動振動を行う振動子が複数個ある場合に、請求項2の発明と同様の効果を得られる。また、このフィードバック制御による駆動振幅一定制御は、上記のモニタ結果に基づくものであるため、装置に対する環境変化が生じても関係なく制御できる。
【0047】
また、通常の角速度センサ用のセンサエレメントにおいては、その出力信号には、必ずコリオリ力に起因する信号とコリオリ力に起因しない信号とが含まれる。その点、請求項33記載の発明のように、複数のセンサエレメント(401、402)を別々のチップ(1000、1001)に形成した場合、複数個の出力信号を演算すれば、コリオリ力に起因しない信号を基準にしてコリオリ力に起因する信号から角速度を算出することができ、上記本発明の目的を達成できる。
【0048】
さらに、複数個のセンサエレメントを別々のチップに形成することで、振動子の配置等、1つのチップ内におけるエレメント構造の自由度を大きくでき、結果として、各チップの小型化が可能である。これは、単純には低コストになるし、歩留まりも向上する。また、各チップを重ねて配置する等の工夫が可能で、装置の小型化を図ることができる。
【0049】
また、請求項35記載の発明では、請求項1〜請求項34に記載の角速度センサ装置において、コリオリ力に起因しない信号が慣性力による信号であることを特徴としている。
【0050】
なお、上記した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において平面図に施されたハッチングは便宜上施したもので断面を示すものではない。また、各実施形態相互において同一部分に付いては図中、同一符号を付してある。
【0052】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態に係る角速度センサ装置のセンサエレメント100の概略平面図を示し、図2に該角速度センサ装置の回路部(回路手段)200のブロック図を示す。なお、図2は以下の各実施形態に係る回路部200のブロック図でもある。
【0053】
センサエレメント100は、例えばSOI基板にマイクロマシン技術を施すことにより形成された略矩形状のチップであり、基板の水平面(図1における紙面に相当)内で駆動振動を行う可動部としての略矩形状の駆動用振動子(本発明の第1の振動子にも相当)1を有し、この駆動用振動子1を駆動振動させて該水平面と垂直な角速度軸z回りに角速度Ωが発生したときに、該駆動用振動子1に対して該水平面と平行な方向にコリオリ力が作用するようになっている。
【0054】
駆動用振動子1は、その対向辺部において、上記水平面内に延びる例えば4本の梁2によってチップ(即ちセンサエレメント100)の外周枠部3に連結されており、該連結部以外では、外周枠部3と開口部(非ハッチング部分)を介して離間している。ここで、駆動用振動子1は、梁2によって外周枠部3とは独立に図1に示す矢印a0の方向(駆動振動方向)にのみ振動可能となっている。
【0055】
駆動用振動子1における外周枠部3との連結部以外の対向辺部には、複数個の棒状の駆動用可動電極4が櫛歯状に設けられ、これら駆動用可動電極4の櫛歯の隙間には、外周枠部3から延びる複数個の棒状の駆動用固定電極5が櫛歯状に設けられており、これら両電極4、5の側面は離間して対向している。ここで、駆動用振動子1及び駆動用可動電極4と駆動用固定電極5とは、電気的に絶縁され独立している。
【0056】
そして、各電極4、5は図示しない配線やパッド等を介して回路手段200に電気的に接続されており、回路部200から両電極4、5の間に或る周期で電圧を印加することによって、両電極4、5の間に静電力が作用し上記梁2の弾性力により、可動部である駆動用振動子1を上記水平面内において図1に示すa0方向に駆動振動させることができるようになっている。
【0057】
また、駆動用振動子1は、2個の略矩形状の検出用振動子(本発明でいう第2の振動子)、即ち第1の検出用振動子11及び第2の検出用振動子12を有している。両検出用振動子11及び12は、各々その対向辺部において、2個の梁13によって駆動用振動子1に連結されており、該連結部以外では、駆動用振動子1と開口部(図1中の非ハッチング部分)を介して離間している。ここで、検出用振動子11、12は、上記角速度Ωの入力時に、それぞれ梁13によって駆動用振動子1とは独立に図1に示す矢印a1、a2の方向(検出振動方向、検出振動の振動軸)にのみ振動可能となっている。
【0058】
また、各検出用振動子11、12における駆動用振動子1との連結部以外の対向辺部には、複数個の棒状の検出用可動電極14が櫛歯状に設けられ、これら検出用可動電極14の櫛歯の隙間には、駆動用振動子1から延びる複数個の棒状の検出用固定電極15が櫛歯状に設けられており、両検出用電極14、15は離間して対向している。
【0059】
ここで、検出用固定電極15は、駆動用及び検出用振動子1、11、12及び検出用可動電極14とは、例えば、溝を形成し、酸化膜などの絶縁体を埋め込むことで、電気的に絶縁され独立している。そして、両検出用電極14、15は、検出用振動子11、12に加わるコリオリ力を検出する検出部として構成されている。
【0060】
このように本実施形態では、各検出用振動子11、12は、それぞれ、梁及び検出部13〜15との組み合わせによって一つの加速度センシング部10、20をなし、センサエレメント100は、可動部である駆動用振動子1に2個の加速度センシング部10、20が一体化された形となっている。
【0061】
そして、これら検出用振動子11、12は、上記駆動用振動子1の駆動振動時において、角速度軸z回りの角速度の非入力時(Ω=0のとき)には、駆動用振動子1と同様に駆動振動する。そして、角速度軸z回りの角速度Ωの入力時には、上記水平面と平行であって且つ角速度軸z及び駆動振動方向(a0方向)と直交する方向(図1中、一点鎖線Kで図示)に発生するコリオリ力の作用により、各検出用振動子11、12は、それぞれ図1に示すa1、a2の方向に振動する(検出振動)。
【0062】
ここで、本実施形態においては、2個の検出用振動子11、12における各々の検出振動の方向(検出方向)a1、a2を、a0方向(駆動振動方向)と垂直なコリオリ力の作用方向Kに対して角度θだけずらした独自の構成として、紙面に対して垂直方向の角速度軸z回りの角速度Ωを検出しようとしている。このようなセンサエレメント100の働きについて、図3を参照して説明する。図3は第1の検出用振動子11を例にとって、これに作用する力を説明するものである。
【0063】
駆動用振動子1とともに第1の検出用振動子11がx=Asinφt(x:変位、A:駆動振幅、sinφt:位相)でa0方向に駆動振動しているとする。角速度軸z回りの角速度Ωが入力されたとき、第1の検出用振動子11に対して、駆動振動方向と平行に慣性力Fiが作用し、駆動振動方向と直交する方向Kにコリオリ力Fcが作用する。
【0064】
ここで、梁13によって第1の検出用振動子11の検出振動の方向がa1方向に規定されているため、慣性力はFi・sinθ成分のみ(図3(a)参照)、コリオリ力はFc・cosθ成分のみ(図3(b)参照)、各々検出することができる。
【0065】
図1における第1の検出用振動子11の質量をm、第1の検出用振動子11に加わる加速度をa、角速度をΩとすると、第1の検出用振動子11にて検出される慣性力Fai及びコリオリ力Facは、下記の数式1のようになる。
【0066】
【数1】
Fai=ma=−mAφ2sinφt・sinθ
Fac=2mvΩ=2mΩAφcosφt・cosθ
また、第2の検出用振動子12に対しても同様に考えれば、該第2の検出用振動子12にて検出される慣性力Fbi及びコリオリ力Fbcは、下記の数式2のようになる。
【0067】
【数2】
Figure 0004126833
これらの力は、各検出用振動子11、12の検出振動において各々図1に示すa1、a2方向の変位となって現れ、検出部としての両検出用電極14、15の側面間の距離変化が発生し、両検出用電極14、15間の容量変化として検出することができる。すなわち、2つの検出用振動子11、12および検出部14、15からは、センシングした加速度として下記の数式3に示す2つの信号aaおよびbbが得られることとなる。
【0068】
【数3】
aa=−Aφ2sinφt・sinθ+2ΩAφcosφt・cosθ
bb=Aφ2sinφt・sinθt+2ΩAφcosφt・cosθ
このようにして、本実施形態における角速度センサ装置においては、センサエレメント100から異なる2個の出力信号、即ち第1の検出用振動子11からの信号aaと第2の検出用振動子12からの信号bbとを発生する。次に、得られた2個の出力信号aa、bbを、上記回路部200にて処理し出力を得るのであるが、その処理方法を、図4に示す回路部200の説明図を使って説明する。
【0069】
図4に示す様に、まず、2個の出力信号aa、bbを減算、加算することによって、それぞれ信号S11、S12が得られる。信号S11はコリオリ力に起因しない慣性力に、信号S12はコリオリ力に起因した信号である。この2つの信号S11、S12のピーク値を検出し、得られた信号S21、S22同士を除算してその強度比をとることによって、最終的に、2Ω/φtanθの出力が角速度センサ装置の検出値として得られる。
【0070】
図4に示す様に、回路部200は、第1および第2の検出用振動子11、12の各々の出力信号aa、bbを入力して減算により慣性力を算出する慣性力算出手段(信号S11及び信号S21を算出する部分)と、第1および第2の検出用振動子11、12の各々の出力信号aa、bbを演算することによりコリオリ力を含む値を算出するコリオリ力算出手段(信号S12及び信号S22を算出する部分)と、慣性力算出手段からの信号(信号S21)とコリオリ力算出手段とからの信号(信号S22)に基づいて演算を行うことによって角速度を算出する角速度算出手段(除算して出力を算出する部分)と、を備えている。
【0071】
ここで、センサエレメント100を作製後、一定の角速度における出力を測定しておくことによって角速度Ωが算出可能である。またφとθは既知であるから、その値を用いて角速度Ωを算出することが可能である。
【0072】
このようにして最終的に得られる出力(2Ω/φtanθ)は、駆動用振動子1の駆動振幅Aに依存しないことより、環境温度の変化や時間の経過により駆動振幅Aが変化しても、得られる値は一定である。また、駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となる。
【0073】
もちろん、駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となるという記述は、駆動振幅Aを一定にする回路を否定するものではない。それどころか、駆動振幅Aを一定にする回路を用いても、次に述べるように、駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリットは残るので、本実施形態は有効である。
【0074】
「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」:駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響(例えば検出用振動子11、12の梁13のばね定数の変動等)として、検出用振動子11、12の共振周波数の変動等によって一定の力が加わったときの検出用振動子11、12からの出力信号aa、bbが変化することが考えられる。しかし、コリオリ力に起因しない慣性力とコリオリ力とが同じように温度等に依存することから、上記の影響は、減算処理、加算処理で得られる信号S11と信号S12に等しく影響するために上記のように除算することによってキャンセルすることが可能となる。
【0075】
このように、本実施形態においては、通常ノイズとなる慣性力を用いて、環境温度の変化や時間の経過とともに同様に変化するコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号とを導出し、コリオリ力に起因しない信号を基準に、コリオリ力に起因する信号を算出することによって、絶対値として持っている0点や出力感度のドリフトを相対的にキャンセルし抑制することができる。
【0076】
従って、本実施形態のセンサ装置では、環境温度の変化や時間の経過にともなった特性変動がなく、高精度、高信頼性が確保でき、余分な補正回路やセンサエレメント内の振動モニタ等が不要となるために低コストかつ小型化が実現できる。
【0077】
(第2実施形態)
図5に本発明の第2実施形態に係るセンサエレメント300の概略平面を示す。上記図1に示したセンサエレメント100においては、検出部である検出用可動電極14と検出用固定電極15とが共に駆動用振動子1と一体化されて可動部を構成し、駆動用振動子1と同様に駆動振動するものであったが、本実施形態のセンサエレメント300では、検出部のうち検出用固定電極35が、駆動振動する振動子31、32とは別体であり、共に駆動振動しない構成となっていることが、第1実施形態との主たる相違点である。
【0078】
また、上記図1では、駆動用振動子1に一体に設けることにより、2個の検出用振動子11、12を同一周波数で駆動振動するようにしたが、図5のセンサエレメント300では、2個の振動子31、32に連結された梁構造等を工夫することにより、両振動子31、32を角速度軸zと垂直方向に且つ同一周波数で駆動振動させるようにしている。
【0079】
図5に示すセンサエレメント300は、例えばSOI基板にマイクロマシン技術を施すことにより形成された略矩形状のチップであり、基板の水平面(本実施形態では図5における紙面に相当)内で駆動振動を行う略矩形状の2個の振動子31、32を有し、両振動子31、32を駆動振動させて該水平面と垂直な角速度軸z回りに角速度Ωが発生したときに、両振動子31、32に対して該水平面と平行な方向にコリオリ力が作用するようになっている。
【0080】
センサエレメント300においては、2個の櫛歯状の駆動用可動電極4は、それぞれ梁2により外周枠部3と連結され、外周枠部3の対向辺部に支持された櫛歯状の駆動用固定電極5と対向しており、また、両駆動用可動電極4は支持梁(支持棒)2aによって一体に連結されている。ここで、梁2は、後述の本発明でいう可動部38を図5に示す矢印a0の方向(駆動振動方向)にのみ振動可能とするものである。
【0081】
そして、2個の駆動用可動電極4の間において支持梁2aの両側には、2個の振動子31、32が配置され、各々例えば4本の検出用梁33によって駆動用可動電極4に連結されている。ここで、振動子31は本発明でいう第1の検出用振動子、振動子32は本発明でいう第2の検出用振動子に相当する。
【0082】
こうして、駆動用可動電極4、支持梁2a、振動子31、32及び検出用梁33は互いに一体化され、本発明でいう可動部38を構成する。ここで、検出用梁33は角速度Ωの入力時、各振動子31、32を、それぞれ可動部38の他の部分とは独立に、図5に示す一点鎖線a1、a2方向(検出振動方向)にのみ検出振動させることが可能となっている。
【0083】
この可動部38は、上記第1実施形態と同様に、回路手段200によって両駆動用電極4、5に静電力を作用させることにより、梁2の弾性力によって可動部38全体を水平面内において図5に示すa0方向に駆動振動させることができるようになっている。なお、厳密に言えば、可動部38における両振動子31、32の駆動振動方向は、図5に示すa0方向からややはずれるが、実質的には両振動子31、32の駆動方向は図5に示すa0方向として問題ない。
【0084】
また、2個の振動子31、32には、それぞれ例えば2本の連結梁36によって櫛歯状の検出用可動電極34が連結されており、検出用可動電極34の櫛歯の隙間には、櫛歯状の検出用固定電極35が離間対向して設けられている。この検出用固定電極35は、外周枠部3において両駆動用電極4、5が存在する対向辺部以外の対向辺部に支持されている。
【0085】
また、検出用可動電極34には、この検出用可動電極34が図5に示すa1及びa2方向とそれぞれ垂直な方向に変位しないように抑制するための駆動振動抑制梁37が設けられている。こうして、本実施形態では、各振動子31、32は、それぞれ各梁及び検出部33〜37との組み合わせによって一つの加速度センシング部30、40をなした形となっている。
【0086】
そして、2個の振動子31、32は、上記可動部38の駆動振動時において、図5に示すa0方向に振動する。そして、角速度軸z回りの角速度Ωの入力時、これら振動子31、32には、この駆動動作にともない、慣性力とコリオリ力が加わることとなる。
【0087】
ここで、それら力の総合によって振動子31、32は上記水平面(図5の紙面)内にて変位するが、検出用可動電極34には、それぞれ図5に示すa1、a2方向の変位のみしか伝わらない。すなわち、a1、a2方向の変位動作(振動子31、32の検出振動)は連結梁36を通して検出用可動電極34を変位させることとなるが、それと垂直方向の変位は、駆動振動抑制梁37によって抑えられる。
【0088】
従って、図5に示すセンサエレメント300においても、2個の振動子31、32における各々の検出振動の方向(検出方向)a1、a2を、a0方向(駆動振動方向)と垂直なコリオリ力の作用方向Kに対して角度θだけずらした独自の構成として、紙面に対して垂直方向の角速度軸z回りの角速度Ωを検出するようになっている。
【0089】
このセンサエレメント300からの出力としては、上記第1実施形態と同様の考えに基づくと、下記の数式4のように異なる2個の出力信号、即ち、一方の振動子31からの信号aaと他方の振動子32からの信号bbとが発生する。これら出力信号aa、bbは両検出用電極34、35間のa1及びa2方向の距離変化による容量変化として検出できる。
【0090】
【数4】
aa=Aφ2sinφt・sinθ−2ΩAφcosφt・cosθ+α
bb=Aφ2sinφt・sinθ+2ΩAφcosφt・cosθ+α
ここで、各出力信号の右辺において、第1項は、慣性力の項、第2項はコリオリ力の項である。上記第1実施形態には無かった第3の項αは、駆動振動そのものが検出用可動電極34を変位させることによる。αは駆動振幅Aの変動に対しては他の項と同様に変化するために問題はないが、検出用梁33のばね定数の変化等の検出側の変動に対しては誤差となる。
【0091】
このαによる誤差の問題に対しては、例えば検出用梁33の共振周波数等、検出側の共振周波数を駆動周波数と一致もしくは近傍に設定することにより、検出振動の振幅を大きくでき検出振動方向の慣性力及びコリオリ力成分を大きくできるため、上記第1、第2の項を共振倍率分、拡大することが可能である。そのようにすれば、相対的にαの項が小さくなり、誤差も低減できる。
【0092】
このように、本実施形態におけるセンサエレメント300の構成によっても、上記図4と同様の回路部200(符号の関係で、加算と減算が逆になる)を用いることで、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0093】
また、図5のようにセンサエレメント300を構成すれば、可動部38をすべて同一の電位で形成することが可能となり、上記図1のように加速度センシング部を搭載する構造に対してプロセスが容易、電気的カップリングが小さいという利点がある。
【0094】
(第3実施形態)
上記第1及び第2実施形態のセンサエレメント100、300においては、2つの振動子11及び12、31及び32を共通の駆動用電極4、5にて同一方向に駆動振動させている。
【0095】
ここで、図6に示す本実施形態のセンサエレメント400の様に、梁2によって外周枠部3に懸架された2個の駆動用振動子1a、1bに、それぞれ検出用振動子11、12を含む上記加速度センシング部10、20を設け、両駆動用振動子1a、1bの間に連成振動用梁6を設け、これによって両駆動用振動子1a、1bを連成振動させることも可能である。
【0096】
この構成では、駆動振動の方向として、2つの駆動用振動子1a、1bを同相で駆動することも、逆相で駆動することも可能である。それによって、上記第1実施形態にて述べたのと同様に、各加速度センシング部10、20から角速度軸z回りの角速度Ωを検出することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0097】
また、本実施形態は、センサエレメント400として、角速度軸zに対して垂直方向に駆動振動する2個の第1の振動子(駆動用振動子)1a、1bと個々の第1の振動子1a、1bの内部に梁13で連結された第2の振動子(検出用振動子)11、12と、角速度が入力されたときに第2の振動子11、12に加わるコリオリ力を検出する検出部14、15とを備え、かつ、2個の第1の振動子1a、1bが連成振動用梁6で連結されており、コリオリ力が加わったときに第2の振動子11、12に発生する検出振動の方向がコリオリ力の作用する方向に対してずれているものを採用している。
【0098】
ここにおいて、両第1の振動子1a、1bを連成振動可能に結合する連成振動用梁6は2個以上でも良い。また、第1の振動子は3個以上でもよい。その場合、複数個の第1の振動子の少なくとも2個が少なくとも1個の連成振動用梁で連結されていればよい。
【0099】
それによって、少なくとも2個の第1の振動子同士が連成振動用梁で連結されているため振動系は連成振動系となり、駆動振幅が極大となる駆動力の周波数は、該連成振動用梁で連結された第1の振動子において同じ値(固有振動数)となる。角速度センサでは、駆動振幅を大きくとるために固有振動数で振動させることが多いが、連成振動系を作ることにより、振幅を一致(または近い値に)させるのが容易となる。
【0100】
なお、本構成では、加速度センシング部10、20を含む両駆動用振動子1a、1b及び連成振動用梁6が可動部41に相当し、また、図6の破線で囲んだ2つの部分を、各々一つのセンサエレメントユニット(第1のユニット401及び第2のユニット402)とみなすことができる。また、図6中の矢印a0、a1、a2は、図1に示す矢印a0、a1、a2に相当するものである。
【0101】
(第4実施形態)
本第4実施形態は、上記第3実施形態とセンサエレメントの構造は全く同じである。本実施形態と第3実施形態との違いは、両駆動用振動子1a、1bの駆動振幅の不一致に対処するための信号の処理方法である。本実施形態の信号の処理方法を以下に述べる。従って、以下の説明は、上記図6に示すセンサエレメント400によるものである。
【0102】
(本実施形態の信号処理の考え方と信号処理方法)検出用振動子11、12は、それぞれの駆動用振動子1a、1bの駆動振動時において、角速度軸z回りの角速度の非入力時(Ω=0のとき)には、それぞれの駆動用振動子1a、1bと同様に駆動振動する。そして、角速度軸z回りの角速度Ωの入力時には、基板の水平面(図6中の紙面に相当)と平行であって且つ角速度軸z及び駆動振動方向(a0方向)と直交する方向に発生するコリオリ力の作用により、各検出用振動子11、12は、それぞれ図6に示すa1、a2の方向に振動する(検出振動)。
【0103】
角速度センサでは、出力信号を大きくするために、駆動力の周波数を振動系の固有振動数と一致(またはほぼ一致)させて(いわゆる共振を利用して)、振動させることが良く行われる。上記第3実施形態では、2個の駆動振動子1a、1bが、連成振動用梁6で結ばれている。従って、加工誤差によって左右対称な振動子構造ができなかったとしても、両駆動用振動子1a、1bの振幅の周波数特性は同じ周波数(固有振動数)でピーク(極大値)を持つ。従って、共振を利用した場合、両振動子1a、1bの振幅は、近い値になる。しかし、厳密には一致しない。
【0104】
また、共振を利用しないで振動させる場合でも、加工誤差があって、左右対称な振動子構造ができなかった場合には、両振動子1a、1bの駆動振幅は、一般的には厳密には一致しない。以下に述べる本実施形態の信号処理の方法は、このような両駆動用振動子1a、1bの駆動振幅の不一致に対処する方法である。
【0105】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、2個の検出用振動子11、12における各々の検出振動の方向(検出方向)a1、a2を、a0方向(駆動振動方向)と垂直なコリオリ力の作用方向に対して角度θだけずらした独自の構成として、角速度軸z回りの角速度Ωを検出しようとしている。このようなセンサエレメント400の働きは、第1実施形態と同様、上記図3(第1の検出用振動子11に作用する力を説明する図)を参照して説明できる。
【0106】
駆動用振動子(第1の駆動用振動子)1aとともに第1の検出用振動子11がx1=Aasinφt(x1:変位、Aa:駆動振幅、sinφt:位相)でa0方向に駆動振動しているとする。角速度軸z回りの角速度Ωが入力されたとき、第1の検出用振動子11に対して、駆動振動方向と平行に慣性力Fiが作用し、駆動振動方向と直交する方向Kにコリオリ力Fcが作用する。
【0107】
ここで、梁13によって第1の検出用振動子11の検出振動の方向がa1方向に規定されているため、慣性力はFi・sinθ成分のみ(図3(a)参照)、コリオリ力はFc・cosθ成分のみ(図3(b)参照)、各々検出することができる。図6における第1の検出用振動子11の質量をm、第1の検出用振動子11に加わる加速度をa、角速度をΩとすると、第1の検出用振動子11にて検出される慣性力Fai及びコリオリ力Facは、下記の数式5のようになる。
【0108】
【数5】
Fai=ma=−mAaφ2sinφt・sinθ
Fac=2mvΩ=2mΩAaφcosφt・cosθ
また、第2の検出用振動子12に対しても同様に考えれば、該第2の検出用振動子12にて検出される慣性力Fbi及びコリオリ力Fbcは、下記の数式6のようになる。
【0109】
【数6】
Figure 0004126833
ここで、Abは、第2の駆動用振動子1bおよび第2の検出用振動子12の駆動振幅である。
【0110】
これらの力は、各検出用振動子11、12の検出振動において各々図6に示すa1、a2方向の変位となって現れ、検出部としての両検出用電極14、15の側面間の距離変化が発生し、両検出用電極14、15間の容量変化として検出することができる。すなわち、2つの検出用振動子11、12および検出部14、15からは、センシングした加速度として下記の数式7に示す2つの信号aaおよびbbが得られることとなる。
【0111】
【数7】
aa=−Aaφ2sinφt・sinθ+2ΩAaφcosφt・cosθ
bb=Abφ2sinφt・sinθt+2ΩAbφcosφt・cosθ
ここで、上記第1実施形態では、出力信号aa、bbをそのまま、減算、加算したが、本実施形態ではその前に次のような操作を行う。すなわち、aa、bbに対して、各々下記の数式8に示す操作を行う。
【0112】
【数8】
aa’=aa×Ab×C
bb’=bb×Aa×C
(C:定数)
この操作は、例えば、上記回路部200に増幅回路を設け、この増幅回路を用いて行うことができる。なお、もちろん上記第1実施形態でも信号の増幅を行うことがあるが、この場合、2個の検出部(加速度センシング部10の検出部14、15と加速度センシング部20の検出部14、15)からの各信号の増幅率は等しい(またはほぼ等しい。)。
【0113】
本実施形態では、これら2個の検出部の信号の増幅率が異なることが特徴である。ここで、2個の検出部の信号の増幅率は、それぞれAb×C、Aa×Cであり、2個の検出部14、15における互いの出力信号振幅を、共にAa×Ab×Cとして予め等しくなるようにゲインを調整する。このようにして、本実施形態における角速度センサ装置においては、センサエレメント400から異なる2個の出力信号、即ち第1の検出用振動子11からの信号aa’と第2の検出用振動子12からの信号bb’とが発生する。
【0114】
次に、得られた2個の出力信号aa’、bb’を、上記回路部200にて処理し出力を得るのであるが、その演算処理方法を、図7に示す本実施形態の回路部200の説明図を使って説明する。2個の出力信号aa’、bb’の処理方法は、基本的には、上記図4と同様である。
【0115】
即ち、図7に示す様に、まず、2個の出力信号aa’、bb’を減算、加算することによって、それぞれ信号S11、S12が得られる。信号S11はコリオリ力に起因しない慣性力に、信号S12はコリオリ力に起因した信号である。この2つの信号S11、S12のピーク値を検出し、得られた信号S21、S22同士を除算してその強度比をとることによって、最終的に、2Ω/φtanθの出力が角速度センサ装置の検出値として得られる。
【0116】
図7に示す様に、本実施形態の回路部200は、第1および第2の検出用振動子11、12の各々の出力信号aa’、bb’を入力して減算により慣性力を算出する慣性力算出手段(信号S11及び信号S21を算出する部分)と、第1および第2の検出用振動子11、12の各々の出力信号aa’、bb’を演算することによりコリオリ力を含む値を算出するコリオリ力算出手段(信号S12及び信号S22を算出する部分)と、慣性力算出手段からの信号(信号S21)とコリオリ力算出手段とからの信号(信号S22)に基づいて演算を行うことによって角速度を算出する角速度算出手段(除算して出力を算出する部分)と、を備えている。
【0117】
ここで、上記第1実施形態と同様に、センサエレメント400を作製後、一定の角速度における出力を測定しておくことによって角速度Ωが算出可能である。またφとθは既知であるから、その値を用いて角速度Ωを算出することが可能である。
【0118】
また、上記第1実施形態と同様に、最終的に得られる出力(2Ω/φtanθ)は、第1の駆動用振動子1aの駆動振幅Aaおよび第2の駆動用振動子1bの駆動振幅Abに依存しないことより、環境温度の変化や時間の経過により駆動振幅AaおよびAbが変化しても、得られる値は一定である。また、駆動振幅AaおよびAbを一定にする回路等が不要となるとともに、上記した「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」も有する。
【0119】
このように、本実施形態においても、通常ノイズとなる慣性力を用いて、環境温度の変化や時間の経過とともに同様に変化するコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号とを導出し、コリオリ力に起因しない信号を基準に、コリオリ力に起因する信号を算出することによって、絶対値として持っている0点や出力感度のドリフトを相対的にキャンセルし抑制することができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、各検出部14、15における互いの出力信号aa、bbの振幅を予め等しくなるようにゲインを調整しているから、両駆動用振動子1a、1bの駆動振幅の不一致が存在しても、調整された各信号aa’、bb’を演算することによって、コリオリ力による信号を精度良く得ることができる。
【0121】
ところで、本第4実施形態において、駆動振動子1a、1bの両振動子の駆動振幅の不一致に対処する方法としては、この他にも、例えば、次の2つの方法がある。(1)予め両振動子1a、1bの駆動振幅が同じになるように、両方の振動子1a、1bの駆動電圧を調整する方法。(2)振動モニタを用いて、駆動振幅、駆動振動速度等をモニタし、その情報を用いて駆動振幅にフィードバックをかけ、駆動振幅を両振動子1a、1bで同じにして、かつ時間変化もしないようにする方法。これら(1)及び(2)の方法については、各々、後述の第6実施形態、第8実施形態を参照すればよい。
【0122】
(第5実施形態)
上記第1〜第4実施形態におけるセンサエレメント100、300、400においては、振動子等の梁をコリオリ力の発生する方向からθだけ傾けて形成しているが、振動子の梁の長さや幅を非対称に変える等、梁のばね定数を変化させることで駆動方向と検出方向の角度を90度からずらしてもよい。
【0123】
図8は、そのような技術的思想に基づいて振動子の駆動振動用の梁の長さを変えたセンサエレメント500の概略平面図である。本センサエレメント500は、上記図6と同様、加速度センシング部10、20を含む両駆動用振動子1a、1bが連成振動用梁6を挟んだ形の可動部51を有するが、加速度センシング部10、20は、可動部51を外周枠部3に連結する一対の梁501、502に対して平行としている。
【0124】
このセンサエレメント500の上面に磁石(図示せず)を配置し、回路部200(図2参照)によって駆動用配線503に電流を流すことで、図8に示す一点鎖線c1及びc2方向に駆動用の力が発生する。ここで、駆動振動の軸c1、c2を挟んで設けられた梁501と梁502の長さを変えている(なお、太さを変えても良い)ために、各駆動用振動子1a及び1bは、それぞれ図8に示す一点鎖線b1及びb2方向に変位する(駆動振動する)。
【0125】
そして、このb1及びb2方向を振動軸として駆動振動している時に角速度軸z回りに角速度Ωが入力されると、b1及びb2方向と直交するK方向にコリオリ力が作用し、各駆動用振動子1a及び1bにそれぞれ設けられた検出用振動子11、12は、梁13によって各々図8に示すa1、a2方向に検出振動を行う。このようにして、容易に駆動振動方向b1、b2と検出振動方向a1、a2との角度を90度からずらすことができ、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0126】
なお、本第5実施形態で、静電駆動を用いずに電磁駆動で説明したのは、このように駆動振動b1、b2の方向が斜めにずれる場合、駆動振動中に駆動用櫛歯4、5の間隔が変化し、櫛歯がぶつかったりする問題があるからである。しかし、櫛歯がぶつかってもそのことが問題にならない場合も多くあり、従って、本実施形態の駆動方法を静電駆動に変えた方法ももちろん有効である。
【0127】
(第6実施形態)
図9に、本発明の第6実施形態に係る角速度センサ装置のセンサエレメント450の概略平面図を示す。本実施形態は、上記第1実施形態及び上記第3実施形態とは、主に次の点で異なっている。
【0128】
上記第1実施形態では、駆動用振動子1は、2個の略矩形状の検出用振動子、即ち第1の検出用振動子11及び第2の検出用振動子12を有しており、その2個の検出用振動子による信号を演算して、角速度信号を得ている。一方、本実施形態では、駆動用振動子が第1の駆動用振動子1aと第2の駆動用振動子1bの2個あり、それぞれに検出用振動子11、12が1個ずつあることが主に第1実施形態と異なっている。
【0129】
また、上記第3実施形態(図6参照)と比較した場合、第3実施形態のセンサエレメント400では両駆動用振動子1a、1bが連成振動用梁6で連結された構造(両振動子連結構造)であるのに対し、本実施形態では、図9に示す様に、連成振動用梁6が存在しない構造(両振動子独立構造)であることが主に異なっている。つまり、本実施形態の可動部41は、第3実施形態から連成振動用梁6を除いたものである。
【0130】
各駆動用振動子1a、1b(検出用振動子11、12も含む)は、図9中のa0軸方向にそれぞれ駆動振動する。ここで、本実施形態では、駆動振幅が2個の駆動用振動子1a、1bで等しく(あるいはほぼ等しく)なるように、予め2個の駆動振動子1a、1bの駆動電圧を調整しておき、第1実施形態と同様に作動させる。このように2個の駆動用振動子1a、1bの駆動振幅が異なる理由としては、加工誤差等が考えられる。なお、加工誤差等がない場合には、両駆動用振動子は同じ駆動電圧で同じ振幅の振動をするから、このような駆動電圧の調整は不要である。
【0131】
本実施形態のように、駆動振動を行う両振動子1a、1bの駆動振幅を調整すれば、たとえ両振動子1a、1b間に加工誤差があっても、複数個の信号を演算(例えば加算若しくは減算)することによって、コリオリ力による信号を精度良く得ることができる。なお、角速度信号を得るための演算方法は、上記第1実施形態(図4参照)と同様である。
【0132】
また、本実施形態のような両振動子独立構造においては、上記第3実施形態と同様に、駆動振動の方向として、2つの駆動用振動子1a、1bを同相で駆動することも、逆相で駆動することも可能である。それによって、上記第1実施形態にて述べたのと同様に、各加速度センシング部10、20から角速度軸z回りの角速度Ωを検出することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0133】
また、上記第3実施形態との比較において、本実施形態では、連成振動用梁6が存在しない。このことによって、2個の駆動用振動子1a、1bの配列がチップ内で自由になるというメリットがある(なお、ここでいう配列の自由度とは、主に並進の自由度を指す)。
【0134】
また、2個の駆動用振動子1a、1bは別のチップ上にあってもよい。2個の駆動用振動子1a、1bを別チップにできれば、歩留まりの上でも有利である。また、装置(センサアッシー)をコンパクトに小型化することもできる。2個の駆動用振動子1a、1b(両ユニット401、402)が別のチップ1000、1001にあるセンサエレメント450を概略平面図として図10に示す。なお、両チップ1000、1001を積層するように重ねて配置しても良く、この場合には、装置の一層の小型化が図れる。
【0135】
ところで、本実施形態において、2個の駆動用振動子1a、1bの駆動電圧を等しく(またはほぼ等しく)する調整は、上記第1実施形態で述べている「駆動振幅Aを一定にする回路」とは異なる。従って、第1実施形態で述べている「駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となる」というメリットは損なわれない。
【0136】
これらの回路の違いについて次に述べる。まず、第1実施形態で述べた「駆動振幅Aを一定にする回路」とは、センサの動作中に駆動振動の振幅や速度をモニタし、駆動電圧にフィードバックをかけることにより、駆動振幅を一定にする回路のことである。
【0137】
一方、本実施形態における「駆動振幅Aを一定にする調整」とは、出荷前に、2個の駆動振動子1a、1bの駆動振幅を計測して、それらが同じになるように、2個の駆動振動子1a、1bの駆動電圧の片方または両方の値を調整することである。従って、センサ動作中に駆動振動の振幅や駆動振動の速度をモニタし、駆動電圧にフィードバックをかけることはしない。
【0138】
もちろん、動作中には、環境温度の変化や時間の経過等により、それぞれの駆動振動子1a、1bの駆動振幅Aa、Abは変化する。しかし、これら駆動振幅の変化は2つの駆動振動子1a、1b間でほぼ同じ(例えば、Aaが1.2倍になれば、Abもほぼ1.2倍になる)であるから、動作中も常にAaとAbはほぼ等しいことになる。
【0139】
従って、上記第1実施形態にて述べた「駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となる」というメリットは、本実施形態においても発揮される。さらに、上記第1実施形態にて述べた「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」は、本実施形態においても発揮される。
【0140】
このように、本実施形態においても、通常ノイズとなる慣性力を用いて、環境温度の変化や時間の経過とともに同様に変化するコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号とを導出し、コリオリ力に起因しない信号を基準に、コリオリ力に起因する信号を算出することによって、絶対値として持っている0点や出力感度のドリフトを相対的にキャンセルし抑制することができる。
【0141】
従って、上記第1実施形態と同様、本実施形態のセンサ装置では、環境温度の変化や時間の経過にともなった特性変動がなく、高精度、高信頼性が確保でき、余分な補正回路やセンサエレメント内の振動モニタ等が不要となるために低コストかつ小型化が実現できる。
【0142】
ところで、図9では、両駆動用振動子1a、1bの駆動方法として静電駆動の方法を用いているが、図11に示す様に電磁駆動を用いる方法がある。これは、上記第5実施形態と同じ駆動用配線503を用いるものである。その方法を説明する。センサエレメント450を構成する基板上に、アルミニウム、白金、チタン等の金属等よりなる駆動用配線503を配置して、この配線503に電流を流す。同時に、永久磁石または電磁石等によって、該基板面に垂直な方向(図11中の紙面垂直方向)に磁場をかける。
【0143】
該配線503に流す電流が周期的に変化するもの(例えば、正弦波、矩形波)であれば、両駆動用振動子1a、1bは駆動振動する。そして、角速度信号を得るための演算方法(検出方法)は、上に述べた方法と同じである。この電磁駆動は、静電駆動に比べて一般に駆動力が大きいという利点がある。
【0144】
以上のように、本実施形態は、センサエレメント450として、角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する2個の第1の振動子(駆動用振動子)1a、1bと、各々の第1の振動子1a、1bの内部に梁13で連結された第2の振動子(検出用振動子)11、12と、角速度が入力されたときに第2の振動子11、12に加わるコリオリ力を検出する検出部14、15とを備え、かつ、2個の第1の振動子1a、1b同士が連結されておらず独立しており、コリオリ力が加わったときに第2の振動子11、12に発生する検出振動の方向がコリオリ力の作用する方向に対してずれているものを採用している。ここにおいて、第1の振動子1a、1bは3個以上でもよい。
【0145】
複数個の第1の振動子1a、1bを連結せずに独立させることにより、各第1の振動子のチップ内での配置が自由になり、チップの小型化が可能である。これは、単純には低コストになるし、歩留まりも向上する。また、各第1の振動子を連結しないことにより、図10に示したように、複数の第1の振動子をそれぞれ別のチップ1000、1001上に配置することも可能であり、これも歩留まり向上に役立つ。
【0146】
さらに、複数個の第1の振動子1a、1bを連結しないということは、これら第1の振動子を連結するための梁(例えば、上記図6中の連成振動用梁6)を設けなくても良いことであるから、個々の第1の振動子の周囲に駆動手段(駆動用電極等)を、簡単に複数個とりつけることができる。従って、駆動力を大きくすることができて非常に有利である。
【0147】
例えば、本第6実施形態において、図9では、駆動用の櫛歯電極4、5が、駆動用振動子1a、1bのそれぞれの片側にしかないが、後述する第8実施形態にて示す図12の様に両側にあってもよい。つまり、該図12に示す様に、駆動用振動子1a、1bのそれぞれの片側に位置する駆動用櫛歯電極4、5に加えて、他側に駆動用可動電極4’と駆動用固定電極5’とからなる駆動用櫛歯電極4’、5’を設けることができる。それにより、駆動力の増大化が図れる。
【0148】
(第7実施形態)
本第7実施形態は、上記第6実施形態とセンサエレメントの構造(両振動子独立構造)は全く同じである。本実施形態と第6実施形態との違いは、両駆動用振動子1a、1bの駆動振幅の不一致に対処するための信号の処理方法である。つまり、第6実施形態では、2個の駆動用振動子1a、1b(検出用振動子11、12を含む)の駆動振幅が等しく(あるいはほぼ等しく)なるようにあらかじめ調整しておいたが、本実施形態はそれを行わない。
【0149】
本実施形態では、2個の駆動用振動子1a、1bの駆動振幅が異なる場合に対処するものであるが、両駆動振幅が異なる理由としては、加工誤差等が考えられる。加工誤差等がなく、両振動子1a、1bの駆動振幅がほぼ一致する場合には、両振動子1a、1bは、同じ駆動電圧で同じ振幅の駆動振動を行うから、以下に述べるような処理が不要になることもあるが、一般的には、加工誤差は必ず存在し、2個の駆動用振動子1a、1bの駆動振幅は異なる。従って、本実施形態は常に有効である。
【0150】
本実施形態の信号の処理方法を以下に述べる。以下の説明は、上記図9に示すセンサエレメント450によるものである。なお、本実施形態は、上記図10、図11及び図12のセンサ装置に適用できることは勿論である。また、本実施形態の信号処理方法は、上記第4実施形態のものと基本的には同じであるため、その説明は簡略化して述べることとする。
【0151】
(本実施形態の信号処理方法)検出用振動子11、12は、それぞれの駆動用振動子1a、1bの駆動振動時において、角速度の非入力時には、それぞれの駆動用振動子1a、1bと同様に、図9中のa0方向へ駆動振動する。そして、角速度の入力時には、各検出用振動子11、12は、それぞれ図9中のa1、a2の方向に振動する(検出振動)。ここで、本実施形態においても、2個の検出用振動子11、12における各々の検出方向a1、a2を、a0方向(駆動振動方向)と垂直なコリオリ力の作用方向Kに対して角度θだけずらした独自の構成としている。
【0152】
第1の駆動用振動子1aとともに第1の検出用振動子11が、変位Aasinφt(Aa:駆動振幅、sinφt:位相)でa0方向に駆動振動し、第2の駆動用振動子1bとともに第2の検出用振動子12が、変位Absinφt(Ab:駆動振幅、sinφt:位相)でa0方向に駆動振動しているとする。
【0153】
上記第4実施形態と同様に考えると、第1の検出用振動子11において検出される慣性力Fai及びコリオリ力Fac、第2の検出用振動子12において検出される慣性力Fbi及びコリオリ力Fbc、及び、センシングした加速度としての信号aaおよびbbは、第4実施形態と同様に、下記の数式9に示される。
【0154】
【数9】
Fai=−mAaφ2sinφt・sinθ
Fac=2mΩAaφcosφt・cosθ
Fbi=mAbφ2sinφt・sinθ
Fbc=2mΩAbφcosφt・cosθ
aa=−Aaφ2sinφt・sinθ+2ΩAaφcosφt・cosθ
bb=Abφ2sinφt・sinθt+2ΩAbφcosφt・cosθ
ここで、上記数式9中、mは第1の検出用振動子11及び第2の検出用振動子の質量、Ωは第1の検出用振動子11及び第2の検出用振動子12に加わる角速度である。そして、上記第4実施形態と同様に、aa、bbに対して、各々下記の数式10に示す操作を行う。
【0155】
【数10】
aa’=aa×Ab×C
bb’=bb×Aa×C
(C:定数)
この操作は、上記第4実施形態と同様に、例えば増幅回路を用いて行うことができる。本実施形態でも、これら2個の検出部の信号の増幅率が異なることが特徴である。2個の検出部の信号の増幅率は、それぞれAb×C、Aa×Cであり、2個の検出部14、15における互いの出力信号振幅を、共にAa×Ab×Cとして予め等しくなるようにゲインを調整する。
【0156】
このようにして、本実施形態における角速度センサ装置においては、センサエレメント450から振幅の等しい2個の出力信号、即ち第1の検出用振動子11からの信号aa’と第2の検出用振動子12からの信号bb’とが発生する。そして、これら信号aa’及びbb’を、上記図7に示す様に、演算処理し、最終的に、2Ω/φtanθの出力を角速度センサ装置の検出値として得る。
【0157】
なお、本実施形態においても、センサエレメント450を作製後、一定の角速度における出力を測定しておくことによって角速度Ωが算出可能である。またφとθは既知であるから、その値を用いて角速度Ωを算出することが可能である。
【0158】
また、上記第4実施形態と同様に、最終的に得られる出力(2Ω/φtanθ)は、第1の駆動用振動子1aの駆動振幅Aaおよび第2の駆動用振動子1bの駆動振幅Abに依存しないことより、環境温度の変化や時間の経過により駆動振幅AaおよびAbが変化しても、得られる値は一定である。また、駆動振幅AaおよびAbを一定にする回路等が不要となるとともに、「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」も有する。
【0159】
このように、本第7実施形態においても、通常ノイズとなる慣性力を用いて、環境温度の変化や時間の経過とともに同様に変化するコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号とを導出し、コリオリ力に起因しない信号を基準に、コリオリ力に起因する信号を算出することによって、絶対値として持っている0点や出力感度のドリフトを相対的にキャンセルし抑制することができる。
【0160】
(第8実施形態)
図12に、本発明の第8実施形態に係る角速度センサ装置のセンサエレメント450の概略平面図を示す。本実施形態は、上記第6実施形態の構造(両振動子独立構造、図9参照)を基本としたものであるが、該第6実施形態と比較して主に次の2点が異なっている。
【0161】
(1)構造面の違いとして、2個の駆動用振動子1a、1bに駆動振動モニタ用電極(櫛歯構造)4’、5’が存在する。なお、繰り返しとなるが上記第6実施形態の最終段にて述べたように、駆動振動モニタ用電極4’、5’は駆動用の電極として用いても良い。
【0162】
(2)動作の違いとしては、上記第6実施形態では、駆動振幅が2個の駆動用振動子1a、1bで等しく(あるいはほぼ等しく)なるようにあらかじめ2個の駆動振動子1a、1bの駆動電圧を調整している。しかし、本実施形態では、そのような駆動電圧の調整は行わず、駆動振動モニタ用電極4’、5’を用いて、両振動子1a、1bの駆動振動の振幅を検出する。
【0163】
そして、駆動振幅が両駆動用振動子1a、1bで同じになるように、回路部200によって、両駆動用振動子1a、1bの駆動電圧をフィードバック制御する。さらに、環境温度の変化や時間の経過影響による駆動振動の変化に対してもそれを検知して、駆動振動の時間変化を防ぐことも可能である。なお、角速度信号を得るための演算方法は、上記第1実施形態(図4参照)と同様である。
【0164】
もちろん、このようなモニタ用の電極4’、5’を設けることによって、上記第1及び第6実施形態の「駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となる。」というメリットは失われる。しかし、第1実施形態に書かれている「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」は依然失われない。
【0165】
ここで、図12に示す左右の両駆動振動子1a、1bにおいて、ともに駆動用電極が4及び5であり、駆動振動モニタ用電極が4’及び5’であるとしてきた。しかし、この関係は逆でもよい。つまり、駆動用電極が4’及び5’であり、駆動振動モニタ用電極が4及び5であるとしてもよい。
【0166】
また、一方の振動子のみこの関係を逆転させてもよい。つまり、図12中、「左側の第1の駆動用振動子1aにおいては、駆動用電極が4、5であって駆動振動モニタ用電極が4’、5’であるが、右側の第2の駆動用振動子1bにおいては駆動用電極が4’、5’であって駆動振動モニタ用電極が4、5である」としてもよいし、「右側振動子1bにおいては駆動用電極が4、5であって駆動振動モニタ用電極が4’、5’であるが、左側振動子1aにおいて駆動用電極が4’、5’であって駆動振動モニタ用電極が4、5である」としてもよい。
【0167】
また、図12では、駆動振動モニタ用電極4’、5’として、櫛歯電極による静電検出を用いた「静電駆動、静電振動モニタ」の構成としているが、その他にも、「駆動振動子1a、1b外に配置された永久磁石または電磁石と駆動振動子上の配線との相互作用により駆動振動子上の配線に生じる誘導起電力を検出する電磁検出」の方法が可能である。また、圧電検出等の方法が可能である。
【0168】
この電磁検出により、両振動子1a、1bの駆動振動の振幅をモニタする例を図13に示す。図13では、櫛歯状の電極4、5を駆動用電極とし、各駆動用振動子1a、1bにおいて駆動用電極4、5とは反対側に、上記した駆動用配線503を形成し、この配線503を駆動振動モニタ用電極としたものである。つまり、「静電駆動、電磁振動モニタ」の構成としている。
【0169】
なお、この関係は逆であっても良く、配線503を駆動用電極とし、櫛歯状の電極4、5を駆動振動モニタ用電極とした「電磁駆動、静電振動モニタ」の構成としてもよい。また、「左の振動子1aは、電磁駆動、静電振動モニタ、右の振動子1bは、静電駆動、電磁振動モニタ」の構成としてもよい。さらには、図14に示す様に、両駆動用振動子1a、1bともに、駆動用配線503及び503’を用いて「電磁駆動、電磁振動モニタ」の構成としても良い。
【0170】
このように、本第8実施形態によれば、駆動振動を行う振動子1a、1bにおける駆動振動の物理量をモニタする手段4’、5’を備えたものとすれば、駆動振動の物理量(駆動振幅や駆動振動速度等)をモニタすることによって、このモニタの結果に基づき、振動子1a、1bの駆動振動の振幅やその振動速度等を調整したり、検出部14、15からの出力信号の振幅を調整することができる。
【0171】
そして、モニタの結果を用いた負帰還(フィードバック)により、駆動振動を行う振動子1a、1bの駆動振幅を一定に制御すれば、両駆動用振動子1a、1b間に加工誤差等があっても、複数個の信号aa、bbを演算(例えば加算若しくは減算)することによって、コリオリ力による信号を精度良く得ることができる。また、この場合の駆動振幅一定制御はモニタ結果に基づくものであるため、装置に対する環境変化が生じても関係なく制御できる。
【0172】
(第9実施形態)
図15に、本発明の第9実施形態に係る角速度センサ装置のセンサエレメント330の概略平面図を示す。本実施形態は、上記第2実施形態(図5参照)を変形したものである。第2実施形態では可動部は1個であったのに対し、本実施形態では、図15に示す様に、可動部38は、第1の可動部38aと第2の可動部38bとより構成し、両可動部38a、38bを連成振動用梁6にて連結した構造(両振動子連結構造)としている。
【0173】
本センサエレメント330においても、2個の振動子31、32における各々の検出方向a1、a2、駆動振動方向a0方向、及びコリオリ力の作用方向Kに対して角度θだけずらした独自の構成として、紙面に対して垂直方向の角速度軸z回りの角速度Ωを検出するようになっている。ここで、図15では、上記図5と比較して、これら各方向a0〜a2、Kを90°回転させた構成となっており、それに対応して、振動子31、32、駆動用電極4、5、検出用電極34、35や各梁も回転した構成となっている。
【0174】
第1の可動部38aにおいては、一方の振動子31を検出用梁33を介して支持棒(支持梁)2aに支持させ、この支持棒2aの一端側に櫛歯構造の駆動用電極4、5を設け、他端側は連成振動用梁6に接続されている。また、一方の振動子31には、連結梁36によって検出部としての櫛歯状の検出用可動電極34が連結されており、検出用可動電極34と対向して櫛歯状の検出用固定電極35が設けられている。
【0175】
そして、第1の可動部38a全体が、梁2によって図15に示す矢印a0の方向(駆動振動方向)にのみ振動可能となっており、角速度Ωの入力時には、振動子31が、検出用梁33によって図15に示す一点鎖線a1方向(検出振動方向)にのみ検出振動することが可能となっている。また、検出用可動電極34は、駆動振動抑制梁37によって図15に示すa1方向と垂直な方向に変位しないように抑制されている。
【0176】
こうして、第1の可動部38aにおいては、一方の振動子31を基板の水平面(図15における紙面に相当)内で、a0方向へ駆動振動させ、該水平面と垂直な角速度軸z回りに角速度Ωが発生したときに、慣性力とコリオリ力が加わることとなる。ここで、それら力の総合によって、振動子31は上記水平面内にて変位するが、検出用可動電極34には、a1方向の変位のみしか伝わらない。すなわち、a1方向の変位動作(振動子31の検出振動)は連結梁36を通して検出用可動電極34を同じa1方向へ変位させる。
【0177】
第2の可動部38bについても、同様のことが言える。即ち、第2の可動部38bは、他方の振動子32を中心に、検出用梁33、支持棒(支持梁)2a、駆動用電極4、5、連結梁36、検出用電極34、35が設けられてなる。そして、第1の可動部38aと第2の可動部38bとは、駆動振動方向に変位可能な連成振動用梁6にて連結されている。
【0178】
そして、第2の可動部38b全体が、矢印a0の方向にのみ振動可能となっており、角速度Ωの入力時には、振動子31が、検出用梁33によってa2方向にのみ検出振動することが可能となっている。また、第2の可動部38bにおいても、検出用可動電極34は、駆動振動抑制梁37によってa2方向と垂直な方向に変位しないように抑制されている。
【0179】
こうして、第2の可動部38bにおいても、梁2によって、他方の振動子32をa0方向へ駆動振動させ、角速度軸z回りに角速度Ωが発生したときに、慣性力とコリオリ力によって、他方の振動子32及び検出用可動電極34は、a2方向へ変位する。
【0180】
ところで、本実施形態では、第1の可動部38aが加速度センシング部30に、第2の可動部38bが加速度センシング部40に実質的に相当する。ここで、各可動部38a、38bは連成振動用梁6によって、連成振動するが、各振動子31、32は同相で駆動振動させても、逆相で駆動振動させても良い。
【0181】
このセンサエレメント330からの出力としては、上記第2実施形態と同様に、上記数式4のように異なる2個の出力信号、即ち、一方の振動子31(加速度センシング部30)からの信号aaと他方の振動子32(加速度センシング部40)からの信号bbとが発生する。そして、両信号aa、bbを上記図4と同様の回路部200(符号の関係で、加算と減算が逆になることもある)を用いて演算処理することで、角速度Ωを検出でき、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、上記第2実施形態で述べたαによる誤差については無視している。αによる誤差については、第2実施形態で述べた方法により、低減できる。
【0182】
ここで、本実施形態において、各可動部38a及び38bにおける検出用可動電極34は、各振動子31、32からのコリオリ力を連結梁36を介して受け、各振動子31、32の検出振動方向であるa1方向、a2方向へ検出振動する。よって、本実施形態は、振動子31、32を第1の振動子、各検出用可動電極34を第2の振動子として構成されたものとすることもできる。
【0183】
つまり、本第9実施形態は、センサエレメント330として、角速度軸zに対して垂直方向に駆動振動する2個の第1の振動子31、32と個々の第1の振動子31、32の外側に梁36で連結された第2の振動子34と、角速度が入力されたときに第1の振動子31、32に加わるコリオリ力を第2の振動子34を介して検出する検出部34、35とを備え、かつ、2個の第1の振動子31、32が連成振動用梁6で連結されており、コリオリ力が加わったときに第1の振動子31、32に発生する検出振動の方向(及び第2の振動子34の検出方向)がコリオリ力の作用する方向に対してずれているものを採用している。
【0184】
ここにおいて、両第1の振動子31、32を連成振動可能に結合する連成振動用梁6は2個以上でも良い。また、第1の振動子31、32は3個以上でもよい。その場合、複数個の第1の振動子の少なくとも2個が少なくとも1個の連成振動用梁で連結されていればよい。
【0185】
それによって、少なくとも2個の第1の振動子同士が連成振動用梁で連結されているため振動系は連成振動系となり、駆動振幅が極大となる駆動力の周波数は、該連成振動用梁で連結された第1の振動子において同じ値(固有振動数)となる。角速度センサでは、駆動振幅を大きくとるために固有振動数で振動させることが多いが、連成振動系を作ることにより、振幅を一致(または近い値に)させるのが容易となる。
【0186】
(第10実施形態)
図16に、本発明の第10実施形態に係る角速度センサ装置のセンサエレメント350の概略平面図を示す。本実施形態は、上記第2実施形態の変形であり、構造的には、上記図5に示す第2実施形態とは、各方向a0、a1、a2及びKを変えずに、可動部38を2つの可動部38a及び38bに分離したもの(両振動子独立構造)である。言い換えれば、本センサエレメント350は、上記図15に示す第9実施形態において、上記図5と一致するように各方向a0〜a2、Kを90°回転させ、且つ、連成振動用梁6を無くしたものである。
【0187】
そして、本実施形態では、可動部38を、互いに独立した第1の可動部38a及び第2の可動部38bによって構成することで、2個の振動子31、32(可動部38a、38b)の配列が、チップ内で自由になるというメリットがある(ここでいう配列とは、主に並進方向の自由度を指す)。また、図16において、センサエレメント(チップ)350を左右半分ずつに区切って左半分を第1のセンサエレメント351、右半分を第2のセンサエレメント352とした場合、各エレメント351、352は別々のチップ上に形成されていてもよい。2個の振動子(可動部)を別チップにできれば、歩留まりの上でも有利である。
【0188】
次に、本実施形態の動作について述べる。両振動子31、32(可動部38a、38b)を、a0方向にそれぞれ駆動振動させる。ここで、駆動振幅が2個の振動子31、32で等しく(あるいはほぼ等しく)なるようにあらかじめ2個の振動子31、32の駆動電圧を調整しておき、上記第2実施形態と同様に作動させる。このように2個の振動子31、32(可動部38a、38b)の駆動振幅が異なる理由としては、加工誤差が考えられる。加工誤差がない場合には、両振動子は同じ駆動電圧で同じ振幅の振動をするから、このような駆動電圧の調整は不要である。
【0189】
また、本実施形態においては、駆動振動をさせた後の信号処理方法(検出方法)は、上記図4に示す演算方法と同様に行うことができ、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0190】
さらに、本実施形態においても、上記第9実施形態と同様に、振動子31、32を第1の振動子、各検出用可動電極34を第2の振動子として構成されたものとすることもできる。
【0191】
つまり、本実施形態は、センサエレメント350として、角速度軸zに対して垂直方向に駆動振動する2個の第1の振動子31、32と、個々の第1の振動子31、32の外側に梁36で連結された第2の振動子34と、角速度が入力されたときに第1の振動子31、32に加わるコリオリ力を第2の振動子34を介して検出する検出部34、35とを備え、かつ、2個の第1の振動子31、32同士が連結されておらず独立しており、コリオリ力が加わったときに第1の振動子31、32に発生する検出振動の方向(及び第2の振動子34の検出方向)がコリオリ力の作用する方向に対してずれているものを採用している。ここにおいて、第1の振動子31、32は3個以上でもよい。
【0192】
本第10実施形態においても、複数個の第1の振動子31、32を連結せずに独立させることにより、上記第6実施形態と同様の効果、即ち、第1の振動子の配置自由化、別チップへの配置によるチップの小型化、低コスト化、歩留まり向上、及び、駆動手段の複数化による駆動力の増大化、といった効果を奏する。
【0193】
(第11実施形態)
本第11実施形態について、上記図16を用いて説明する。本実施形態は、上記第10実施形態(第2実施形態を両振動子独立構造としたもの)とセンサエレメント350の構造は全く同じである。本実施形態と第10実施形態との違いは、次の2点である。
【0194】
(1)第10実施形態では、2個の振動子31、32(可動部38a、38b)の駆動振幅が等しく(あるいはほぼ等しく)なるようにあらかじめ調整しておいたが、本実施形態ではそれを行わない。そのため、上述したように加工誤差により、両振動子31、32の駆動振幅が異なる。(2)(1)の変更に伴い、第10実施形態と信号処理の方法が異なる。本実施形態の信号処理方法は、両振動子31、32の駆動振幅の不一致に対処するための方法である。
【0195】
(本実施形態の信号処理方法)図16に示すセンサエレメント350おいて、上記第2実施形態と同様に考えると、一方の振動子31及び検出部34、35からの信号(センシングした加速度)aaと、他方の振動子32および検出部34、35からの信号(センシングした加速度)bbとが、下記の数式11に示す様な形で得られることとなる。
【0196】
【数11】
aa=−Aaφ2sinφt・sinθ+2ΩAaφcosφt・cosθ
bb=Abφ2sinφt・sinθt+2ΩAbφcosφt・cosθ
この数式11に示す様に、本実施形態における各信号aa、bbは、上記第4実施形態(数式7)及び第7実施形態(数式9)に示されるものと同じとなる。そして、上記第10実施形態では、各出力信号aa及びbb(ただし、第10実施形態では両振動子31、32の駆動振幅は等しい)を、そのまま、上記図4に示す方法で演算するのであるが、本実施形態では、aa、bbに対して、各々下記の数式12に示す操作を行う。
【0197】
【数12】
aa’=aa×Ab×C
bb’=bb×Aa×C
(C:定数)
つまり、この数式12に示す様に、上記第4及び第7実施形態と同様の操作を行う。この操作は、例えば増幅回路を用いて行うことができ、本実施形態でも、これら2個の検出部の信号の増幅率が異なることが特徴である。2個の検出部の信号の増幅率は、それぞれAb×C、Aa×Cであり、2個の検出部14、15における互いの出力信号振幅を、共にAa×Ab×Cとして予め等しくなるようにゲインを調整する。
【0198】
このようにして、本実施形態における角速度センサ装置においては、センサエレメント350から振幅の等しい2個の出力信号、即ち、一方の第1の振動子31からの信号aa’と他方の第1の振動子32からの信号bb’とが発生する。そして、これら信号aa’及びbb’を、上記図7に示す様に、演算処理し、最終的に、2Ω/φtanθの出力を角速度センサ装置の検出値として得る。
【0199】
なお、本実施形態においても、センサエレメント350を作製後、一定の角速度における出力を測定しておくことによって角速度Ωが算出可能である。また、φとθは既知であるから、その値を用いて角速度Ωを算出することが可能である。また、上記第4及び第7実施形態と同様に、環境温度の変化や時間の経過により駆動振幅AaおよびAbが変化しても、出力(2Ω/φtanθ)が一定であること、駆動振幅AaおよびAbを一定にする回路等が不要となること、及び、「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」も有する。
【0200】
このように、本第11実施形態においても、通常ノイズとなる慣性力を用いて、環境温度の変化や時間の経過とともに同様に変化するコリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号とを導出し、コリオリ力に起因しない信号を基準に、コリオリ力に起因する信号を算出することによって、絶対値として持っている0点や出力感度のドリフトを相対的にキャンセルし抑制することができる。
【0201】
(第12実施形態)
本第12実施形態について、図16を用いて説明する。本実施形態は、上記第10実施形態(第2実施形態を両振動子独立構造としたもの)に、第8実施形態(駆動振動を行う振動子における駆動振動の物理量をモニタする手段を備えるもの)の考えを適用したものである。従って、本実施形態では、上記第10実施形態と比較して主に次の2点が異なる。
【0202】
(1)構造面の違いとしては、2個の振動子31、32に、それぞれ駆動振動モニタ用電極(櫛歯構造)4’、5’が存在する。ここで、図16に示される2個の駆動用電極(駆動用電極4、5と駆動用電極4’、5’)のうちの片方を駆動振動モニタ電極として用いたものと考えれば良い。従って、外観は図16と同じものとなる。
【0203】
(2)動作の違いとしては、上記第10実施形態では、駆動振幅が2個の振動子(第1の振動子)31、32で等しく(あるいはほぼ等しく)なるように、予め該2個の振動子31、32の駆動電圧を調整している。しかし、本実施形態では、そのような駆動電圧の調整は行わず、駆動振動モニタ用電極4’、5’を用いて、駆動振動の振幅を検出し、それらが2個の振動子31、32で同じになるようにフィードバック制御する。さらに、環境温度の変化や時間の経過影響による駆動振動の変化に対してもそれを検知して、駆動振動の時間変化を防ぐことも可能である。なお、角速度信号を得るための演算方法は、上記第10実施形態と同様である。
【0204】
本実施形態においても、このようなモニタ用の電極4’、5’を設けることによって、上記第1実施形態にて述べた「駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となる。」というメリットは失われるが、「駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響を除くというメリット」は失われない。
【0205】
ここで、本第12実施形態においても、駆動振動モニタ電極4’、5’として、櫛歯電極による静電検出を用いたが、その他にも、上記第8実施形態に述べたのと同様に、「振動子31、32外に配置された永久磁石または電磁石と振動子31、32上の配線との相互作用により振動子上の配線に生じる電磁検出」の方法や、圧電検出等の方法が可能である。
【0206】
(第13実施形態)
本実施形態は、上記第5実施形態(図8参照)にて述べた、「振動子の梁の長さや幅を非対称に変える等、梁のばね定数を変化させることで駆動方向と検出方向の角度をコリオリ力の発生方向からずらしてもよい」という技術的思想を、上記第6〜第8及び第10〜第12実施形態における両振動子独立構造のセンサエレメント350、450に適用したものである。
【0207】
図17は、そのような技術的思想に基づいて振動子の駆動振動用の梁の長さを変えたセンサエレメント550の概略平面図である。本センサエレメント500は、上記第6実施形態(図9参照)と同様、加速度センシング部10、20を含む両駆動用振動子1a、1bよりなる可動部51を有するが、加速度センシング部10、20は、可動部1a、1bを外周枠部3に連結する一対の梁501、502に対して平行としている。
【0208】
また、このセンサエレメント550に対して、駆動用電極4、5を用いて周期的に時間変化する駆動力を与えると、各駆動用振動子1a、1bは、それぞれ、図17中のb1、b2方向に駆動振動する。これは、梁501と梁502との長さを変えたことによる。また、本実施形態では、図17に示す様に、個々の駆動用振動子1a、1bにおいて、長い方の梁501と短い方の梁502との組が2組あるが、各組における長短の配置を互い違いとしている。なお、梁の太さを変えることでも、本実施形態の効果は同じである。
【0209】
そして、このb1及びb2方向を振動軸として駆動振動している時に角速度軸z回りに角速度Ωが入力されると、b1及びb2方向と直交するK方向にコリオリ力が作用し、各駆動用振動子1a及び1bにそれぞれ設けられた検出用振動子11、12は、梁13によって各々図17に示すa1、a2方向に検出振動を行う。
【0210】
このようにして、容易に駆動振動方向b1、b2と検出振動方向a1、a2との角度を90度からずらすことができ、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。もちろん、本実施形態においても、加工誤差等によって2個の駆動用振動子(または可動部)の駆動振幅が異なる場合には、次のような工夫が必要である。
【0211】
(1)予め駆動電圧を調整することにより、2個の駆動用振動子の駆動振幅を一致させること(例えば、第6実施形態、第10実施形態)。(2)2個の駆動用振動子の駆動振幅が同じになるような電圧調整はしないが、検出信号のゲインを調整することにより、2個の駆動用振動子の駆動振幅の不一致を穴埋めする方法(例えば、第7実施形態、第11実施形態)。(3)2個の駆動用振動子のそれぞれに駆動振動モニタを設け、駆動振幅や駆動速度をモニタし、駆動電圧にフィードバックして、駆動振幅を一定にする方法(例えば、第8実施形態、第12実施形態)。
【0212】
また、図17に示す例では、駆動手段として静電駆動を用いたが、電磁駆動を用いる方法はさらに優れている。静電駆動を用いた場合、駆動方向が櫛歯の長手方向に対して、ずれているため、駆動用振動子が変位すると櫛歯間のギャップが狭くなったり広くなったりして、駆動力が不安定になったり、駆動用電極4と駆動用電極5の櫛歯同士がぶつかったりしてしまうことがあるからである。
【0213】
電磁駆動では、このような問題が少ないので、電磁駆動を用いた方がよい。本第13実施形態において、この電磁駆動を採用する場合は、例えば上記第5実施形態(図8参照)にて述べたような構成を採用することができる。もちろん上に述べたことが問題にならない場合も多くあり、したがって、静電駆動の方法も有効である。
【0214】
(第14実施形態)
本実施形態は上記図1に示したセンサエレメント100の変形例である。
【0215】
コリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号を分離する場合、コリオリ力に起因しない信号とコリオリ力に起因する信号の大きさが、同程度であることが望ましい。検出しようとする角速度Ωが小さい場合、コリオリ力が小さくなるため、慣性力も小さくする必要がある。
【0216】
このためには、図1における角度θを小さくする必要がある。その場合、駆動方向であるa0方向との垂直線Kに対する検出方向のずれを、2つの検出用振動子11、12の間で一致させることが困難となる。つまり、図1において、a1方向と垂直線Kとのなす角度θと、a2方向と垂直線Kとのなす角度θとが相違する。本実施形態は、このような条件下において適用可能なものである。
【0217】
図1におけるa1方向と垂直線Kとのなす角度(第1の検出用振動子11の検出振動方向のずれ角度)をθ1、a2方向と垂直線Kとのなす角度(第2の検出用振動子12の検出振動方向のずれ角度)をθ2とすると、2つの検出用振動子11、12(つまり2つの加速度センシング部10、20)から得られる信号aa、bbは、下記の数式13のようになる。
【0218】
【数13】
aa=−Aφ2sinφt・sinθ1+2ΩAφcosφt・cosθ1
bb=Aφ2sinφt・sinθ2+2ΩAφcosφt・cosθ2
ここで、θ1とθ2は0に近いことを考慮すると、上記の数式13は下記の数式14に示す様に近似される。
【0219】
【数14】
aa=−Aφ2θ1sinφt+2ΩAφcosφt
bb=Aφ2θ2sinφt+2ΩAφcosφt
図18に、本第14実施形態に対応した回路部200の概略を示す。2つの加速度センサシング10、20からの出力信号aa、bbを、減算、加算することによって、信号G111、G12が得られる。信号G111は慣性力に、信号G12は慣性力とコリオリ力に起因した信号である。
【0220】
得られた信号G12に対し、信号G111と信号G111の位相を90度シフトさせた信号G112とを基準信号として使って同期検波をかけ、信号G21、信号G22を得る。信号G111の位相を90度シフトさせるには、例えば微分回路をもちいればよい。同期検波をかけるには、例えば乗算回路とローパスフィルタをもちいればよい。
【0221】
慣性力に起因した信号とコリオリ力に起因した信号は、常に90度位相がずれていることより、このように同期検波をかけることにより慣性力に起因した信号G21とコリオリ力に起因した信号G22が得られ、これらの除算によって角速度センサ装置の検出値としての出力4Ω/(θ2−θ1)が得られる。
【0222】
たとえθ1、θ2の値が不明であっても、センサエレメント100を作製後、一定角速度における出力を測定しておくことによって(θ2−θ1)の値が求められ、求められた(θ2−θ1)の値を用いて角速度Ωが算出可能である。
【0223】
このように、本実施形態の回路部(回路手段)200は、コリオリ力に起因しない(慣性力に起因した)信号G21から位相が90°ずれた位相におけるコリオリ力に起因する信号G22を検出する機能を有し、両信号G21、G22を除算してその強度比をとることにより角速度を算出する。
【0224】
最終的に得られる4Ω/(θ2−θ1)は、駆動用振動子1の駆動振幅Aに依存しないことより、環境温度の変化や時間に経過により駆動振幅Aが変化しても、得られる値は一定である。また、駆動振幅Aを一定にする回路等が不要となる。
【0225】
さらに、駆動振幅以外の環境温度の変化や時間の経過影響として、検出用振動子11、12の共振周波数の変動等によって一定の力が加わったときの検出用振動子11、12からの出力信号aa、bbが変化することが考えられるが、これは減算処理、加算処理で得られる信号G21と信号G22に等しく影響するために除算することによりキャンセルすることが可能となる。
【0226】
また、駆動波形を使ってコリオリ力を同期検波する場合、温度等によってコリオリ力に起因した信号の位相が変化すると出力誤差となってしまうが、本実施形態のように、慣性力に起因した(コリオリ力に起因しない)信号を基準信号としてコリオリ力を同期検波すれば、温度等によってコリオリ力に起因した信号の位相が変化しても、同じだけ慣性力に起因した信号も位相変化するために出力誤差とはならない。
【0227】
このように、本実施形態のセンサ装置においても上記第1実施形態と同様に、環境温度の変化や時間の経過にともなった特性変動がなく、高精度、高信頼性が確保でき、余分な補正回路やセンサエレメント内の振動モニタ等が不要となるために低コストかつ小型化が実現できる。
【0228】
また、図18においては信号G12に対して同期検波をかけているが、図19に示す他の例に示す様に、信号G12の代わりに、加速度センシング部10からの出力信号aaもしくは加速度センシング部20からの出力信号bbを直接用いることも可能である。
【0229】
また、図18及び図19において、信号G21と信号G22を除算せず、信号G22を出力とすることも可能である。この場合、駆動振幅の変化に対する出力変動は残るが、温度等によるコリオリ力に起因した信号の位相変化に対しては変動のない出力が得られる。
【0230】
ところで、本実施形態に用いるセンサエレメントとして図1を用いて説明したが、平面レイアウト上、上記図1に示す角度θがθ=0となるように狙ったセンサエレメントを用いることも可能である。
【0231】
これは、可動部や振動子の駆動振動方向と加速度センシング部における振動子の検出振動方向を90°となるように設計、製作しても、加工能力や材料の不均一性から厳密に90°とすることが不可能なためである。例えば、エッチングを用いて梁を形成した場合、図20に示す梁H1の断面形状のようにわずかながらのテーパ角β、γが発生しうるが、これによって振動方向が狙いの方向から変化してしまう。
【0232】
通常、この加工誤差による振動方向のずれは、センサの特性に悪影響を与えるが、本実施形態ではこのずれを積極的に利用することができる。図21に示すセンサエレメント600は、上記図6に示すセンサエレメントにおいて上記図1に示す角度θがθ=0となるように狙ったものであるが、例えば各梁の加工誤差によって上述のように第1の検出用振動子11の検出振動方向のずれ角度θ1、または第2の検出用振動子12の検出振動方向のずれ角度θ2が発生したものである。
【0233】
従って、図21に示すセンサエレメント600においても、図18に示す信号処理を加えれば同様に出力4Ω/(θ2−θ1)が得られるため、製造上の加工誤差を利用することにより高精度、高信頼性の小型化で低コストな角速度センサ装置を実現できる。また、本実施形態で示した加工誤差による振動方向のずれを利用した検出方法は、上の全ての実施形態にも適用可能である。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態においては、センサエレメントにおける2個の振動子の検出振動によって2つの異なる出力信号aa、bbを得て、これらの出力信号を演算処理することによりコリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から角速度を算出するようにしているが、検出振動を行う振動子が3つ以上備えられたセンサエレメントであっても良い。この場合、各振動子において、検出振動方向と駆動振動方向とが90°からずれていればよい。
【0234】
また、センサエレメントにおいて、検出振動を行う振動子が1個であってもよい。例えば、図1に示すセンサエレメント100において、加速度センシング部10のみの場合には出力信号aaのみとなるが、駆動信号sinφt及びこの駆動信号sinφtを微分した信号cosφtを各々基準信号として、出力信号aaを同期検波すれば、コリオリ力に起因した信号と慣性力に起因した(コリオリ力に起因しない)信号とに分離でき、分離された2つの信号を除算することによって、駆動振幅Aに依存しない出力を得ることができる。
【0235】
従って、センサエレメントにおける検出振動を行う振動子が1個であっても、環境温度の変化や時間の経過にともなった特性変動がなく、高精度、高信頼性が確保でき、余分な補正回路やセンサエレメント内の振動モニタ等が不要となるために低コストかつ小型化が実現できる。
【0236】
また、上記全ての実施形態において、駆動振動の方法として、主に、静電気力による駆動(静電駆動)を取り上げたが、どの実施形態においても、駆動方法は、ローレンツ力による電磁駆動や、圧電効果を用いた圧電駆動等に置き換えることが可能である。
【0237】
また、角速度等の検出方法として、主に、静電容量による検出(静電検出)を取り上げたが、どの実施形態においても、検出方法は、電磁誘導による電磁検出や、圧電効果による圧電検出に置き換えることが可能である。
【0238】
また、駆動振動の駆動振幅、駆動速度等の検出方法として、主に、静電容量による検出を取り上げたが、どの実施形態においても、検出方法は、電磁誘導による電磁検出や、圧電効果による圧電検出に置き換えることが可能である。
【0239】
また、上記実施形態において、明記したもの以外にも、検出振動の方向がコリオリ力の作用する方向からずれている複数個の振動子(11、12、31、32)は、互いの間で、検出振動の方向のずれ角が異なっていても良い(各図において左右のθが異なっていても良い)。
【0240】
ところで、上記したどの実施形態においても、外部からの加速度をとり除くことより、精度アップを図ることが可能である。例えば、図22に、図1のセンサエレメント100を2個配置した例を概略平面図として示す。なお、図22中、下側のセンサエレメント100’は、上側のセンサエレメント100と同一のものであるが、識別のため符号に「’」を付してある。
【0241】
図22においては、各センサエレメント100、100’を互いに逆位相で駆動振動させる。すると、2つのセンサエレメント100、100’には逆位相のコリオリ力による信号が発生する(同じ瞬間には、逆方向に同じ力のコリオリ力が発生する。)。また、外部からの加速度は、同じ瞬間には、同方向にほぼ同じ大きさで働く。
【0242】
この後、それぞれのセンサエレメント100、100’からの出力を、上記図4に示す検出回路200に通す。そして、2つの最終的に得られる出力を引き算すれば、コリオリ力による信号は足し合わされ、加速度による信号はキャンセルされるので、外部の加速度の影響を除くことができるとともに、感度を2倍とできる。この考え方は、他の全ての実施形態にも適用可能である。なお、図22では、2個のセンサエレメントを縦に配置したが、横に配置してもよい。並進方向の基板面内の並進移動は自由である。
【0243】
また、本発明に用いられるコリオリ力に起因しない信号は、慣性力による信号以外にも考えられる。例えば、上記した駆動振動モニタ電極4’、5’の出力と駆動振動の斜めずれ角の実測値等が挙げられる。それらのうち、慣性力による信号は、例えば、静電検出の場合、検出用の櫛歯電極14、15の容量変化になり、コリオリ力による信号と重ねあわせて出力される(図3参照)。従って、検出方向を斜めにする等の構造の工夫と回路の若干の変更のみ(つまり、新たな部品を追加すること無し)で、上記した信号処理方法によってコリオリ力による信号の算出を実現でき、有利である。
【0244】
また、本発明におけるセンサエレメントとして、静電もしくは電磁駆動、静電検出を例として説明したが、本発明は駆動方法や検出方法によらずに適応可能であり、圧電素子やひずみゲージを使っても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る回路部のブロック図である。
【図3】図1に示すセンサエレメントに作用する力を説明する説明図である。
【図4】上記第1〜第3、第5、第8〜第10及び第12実施形態に係る回路部の処理方法を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図6】本発明の第3及び第4実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図7】上記第4、第7、及び第11実施形態に係る回路部の処理方法を示す説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図9】本発明の第6及び第7実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図10】上記第6実施形態において2個の駆動用振動子を別々のチップに形成した例を示す概略平面図である。
【図11】上記第6実施形態において電磁駆動を用いた例を示す概略平面図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図13】上記第8実施形態において電磁検出により駆動振幅をモニタする例を示す概略平面図である。
【図14】上記第8実施形態において電磁駆動及び電磁検出を行う例を示す概略平面図である。
【図15】本発明の第9実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図16】本発明の第10〜第12実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図17】本発明の第13実施形態に係るセンサエレメントの概略平面図である。
【図18】本発明の第14実施形態に係る回路部の処理方法を示す説明図である。
【図19】上記第14実施形態に係る回路部の処理方法の他の例を示す説明図である。
【図20】梁断面形状の加工誤差の様子を示す図である。
【図21】本発明における加工誤差を利用したセンサエレメントの概略平面図である。
【図22】センサエレメントを2個配置した例を示す概略断面図である。
【図23】従来の角速度センサ装置におけるセンサエレメントの概略平面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b…駆動用振動子、6…連成振動用梁、11、31…第1の検出用振動子、12、32…第2の検出用振動子、13…梁、14、34…検出用可動電極、15、35…検出用固定電極、36…連結梁、38、41、51…可動部、100、300、330、350、400、450、500、550、600…センサエレメント、200…回路部、401、402…センサエレメントユニット、501、502…梁、1000、1001…チップ、a0、b1、b2…駆動振動方向、a1、a2…検出方向(検出振動の方向)、K…コリオリ力の作用する方向。

Claims (35)

  1. 水平面内で駆動振動を行う可動部(1、38、41、51)を有し、この可動部を駆動振動させて前記水平面と垂直な角速度軸回りに角速度が発生したときに、前記可動部に対して前記水平面と平行な方向にコリオリ力を作用させるようにしたセンサエレメント(100、300、330、350、400、450、500、550、600)と、
    このセンサエレメントからの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から角速度を算出する回路手段(200)と、を有しており、
    前記可動部には、2つ以上の検出用振動子(11、12)が備えられ、該2つ以上の検出用振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記2つ以上の検出用振動子の一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記2つ以上の検出用振動子の他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各検出用振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各検出用振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  2. 前記2つ以上の検出用振動子は一つの前記可動部内に一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ装置。
  3. 前記出力信号は、前記コリオリ力に起因する信号と前記コリオリ力に起因しない信号とが合成されたものであり、
    前記回路手段(200)は、前記出力信号から前記コリオリ力に起因する信号と前記コリオリ力に起因しない信号とを分離する機能を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の角速度センサ装置。
  4. 前記コリオリ力に起因する信号と、前記コリオリ力に起因しない信号とは、位相が互いに90°ずれていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  5. 前記回路手段(200)は、前記コリオリ力に起因しない信号から位相が90°ずれた位相における前記コリオリ力に起因する信号を検出する機能を有することを特徴とする請求項に記載の角速度センサ装置。
  6. 前記回路手段(200)は、前記コリオリ力に起因する信号と前記コリオリ力に起因しない信号の強度比をとることにより前記角速度を算出する機能を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  7. 前記センサエレメント(100、300、330、350、400、450、500、550、600)は異なる2個の出力信号を発生するものであり、
    前記回路手段(200)は、前記2個の出力信号を加算もしくは減算することによって前記コリオリ力に起因しない信号を得る機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の角速度センサ装置。
  8. 前記コリオリ力に起因しない信号は、前記可動部(1、38、41、51)に作用する慣性力に基づく信号であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  9. 検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する振動子(11、12、31、32)と、角速度が入力されたときに前記振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15、34、35)とを備え、前記コリオリ力が加わったときに前記振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずれているセンサエレメント(100、300、330、350、400、450、500、550、600)を有し、
    このセンサエレメントの前記検出部からの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から前記角速度を算出するようになっており、
    前記振動子は2つ以上備えられ、前記2つ以上の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記2つ以上の振動子の一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記2つ以上の振動子の他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  10. 前記2つ以上の振動子は前記センサエレメント内に一体成形されていることを特徴とする請求項9に記載の角速度センサ装置。
  11. 前記振動子(11、12、31、32)は前記角速度軸に対して垂直方向に且つ同一周波数で駆動振動する複数個のものからなり、
    前記検出部(14、15、34、35)は前記複数個の振動子の各々に対応して設けられ、
    前記複数個の振動子の各々の前記検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずれていることを特徴とする請求項9または10に記載の角速度センサ装置。
  12. 検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する第1の振動子(1)と、この第1の振動子と梁(13)によって連結された複数個の第2の振動子(11、12)と、この第2の振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15)とを備え、前記コリオリ力が加わったときに各々の前記第2の振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向からずれているセンサエレメント(100)を有し、
    このセンサエレメントの前記検出部からの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から前記角速度を算出するようになっており、
    前記複数個の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記複数個の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記複数個の第2の振動子のうちの他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各第2の振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  13. 前記複数個の第2の振動子は前記第1の振動子に一体成形されていることを特徴とする請求項12に記載の角速度センサ装置。
  14. 前記複数個の第2の振動子(11、12)は、互いの間で前記検出振動の方向のずれ角が異なることを特徴とする請求項12または13に記載の角速度センサ装置。
  15. 前記駆動振動は、この駆動振動を行う振動子を有する可動部(51)と固定部(3)とを連結する一対の梁(501、502)の弾性力によって行われるものであり、
    前記一対の梁は前記可動部における駆動振動の軸(b1、b2)を挟んで設けられ、個々の前記梁は互いに非対称な形状になっていることを特徴とする請求項ないし1のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  16. 前記センサエレメント(600)を製造するときの加工誤差を利用することによって、前記検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずらされていることを特徴とする請求項ないし1のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  17. 前記検出部(14、15)は、前記振動子(11、12)と同様に前記駆動振動を行うようになっていることを特徴とする請求項ないし1のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  18. センシングしようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する第1の検出用振動子(11、31)および第2の検出用振動子(12、32)を備え、
    前記第1の検出用振動子と前記第2の検出用振動子とで、前記角速度軸回りの角速度が入力されたときに振動する検出振動の振動軸が、コリオリ力の作用する方向に対して非平行であり、
    前記第1および第2の検出用振動子の各々の出力信号を入力して、減算により慣性力を算出する慣性力算出手段と、
    前記第1および第2の検出用振動子の各々の出力信号を演算することによりコリオリ力を含む値を算出するコリオリ力算出手段と、
    前記慣性力算出手段からの信号と前記コリオリ力算出手段とからの信号とに基づいて演算を行い角速度を算出する角速度算出手段とを備え
    前記第1の検出用振動子と前記第2の検出用振動子とが同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記第1の検出用振動子および前記第2の検出用振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記第1の検出用振動子および前記第2の検出用振動子のうちの他方は前記第1の方向(a1)とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各検出用振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各検出用振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  19. 前記第1の検出用振動子と前記第2の検出用振動子とは一体成形されていることを特徴とする請求項18に記載の角速度センサ装置。
  20. 検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する複数個の第1の振動子(1a、1b)と、各々の前記第1の振動子の内部に梁(13)で連結された第2の振動子(11、12)と、角速度が入力されたときに前記第2の振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15)とを備え、かつ、前記複数個の第1の振動子の少なくとも2個が少なくとも1個の梁(6)で連結されており、前記コリオリ力が加わったときに前記第2の振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずれているセンサエレメント(400)を有し、
    このセンサエレメントの前記複数個の検出部からの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から前記角速度を算出するようになっており、
    前記複数個の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記複数個の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記複数個の第2の振動子のうちの他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振 動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各第2の振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  21. 前記複数個の第2の振動子は前記複数個の第1の振動子それぞれに一体成形されていることを特徴とする請求項20に記載の角速度センサ装置。
  22. 検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する複数個の第1の振動子(1a、1b)と、各々の前記第1の振動子の内部に梁(13)で連結された第2の振動子(11、12)と、角速度が入力されたときに前記第2の振動子に加わるコリオリ力を検出する検出部(14、15)とを備え、かつ、前記複数個の第1の振動子同士が連結されておらず独立しており、前記コリオリ力が加わったときに前記第2の振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向に対してずれているセンサエレメント(450)を有し、
    このセンサエレメントの前記複数個の検出部からの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から前記角速度を算出するようになっており、
    前記複数個の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記複数個の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記複数個の第2の振動子のうちの他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各第2の振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  23. 前記複数個の第2の振動子は前記複数個の第1の振動子それぞれに一体成形されていることを特徴とする請求項22に記載の角速度センサ装置。
  24. 検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する複数の第1の振動子(31、32)と、各々の前記第1の振動子の外側に前記第1の振動子と梁(36)によって連結された第2の振動子(34)と、この第1の振動子に加わるコリオリ力を前記第2の振動子を介して検出する検出部(34、35)とを備え、かつ、前記複数個の第1の振動子の少なくとも2個が少なくとも1個の梁(6)で連結されており、前記コリオリ力が加わったときに各々の前記第1の振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向からずれているセンサエレメント(330)を有し、
    このセンサエレメントの前記複数個の検出部からの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から前記角速度を算出するようになっており、
    前記複数の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記複数の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記複数の第2の振動子のうちの他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各第2の振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  25. 前記複数の第2の振動子は前記複数の第1の振動子それぞれに一体成形されていることを特徴とする請求項24に記載の角速度センサ装置。
  26. 検出しようとする角速度軸に対して垂直方向に駆動振動する複数の第1の振動子(31、32)と、各々の前記第1の振動子の外側に前記第1の振動子と梁(36)によって連結された第2の振動子(34)と、この第1の振動子に加わるコリオリ力を前記第2の振動子を介して検出する検出部(34、35)とを備え、かつ、複数の第1の振動子同士が連結されておらず独立しており、前記コリオリ力が加わったときに各々の前記第1の振動子に発生する検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向からずれているセンサエレメント(350)を有し、
    このセンサエレメントの前記複数個の検出部からの出力信号に基づき、前記コリオリ力に起因しない信号を基準に前記コリオリ力に起因する信号から前記角速度を算出するようになっており、
    前記複数の第2の振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記複数の第2の振動子のうちの一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記複数の第2の振動子のうちの他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各第2の振動子の出力を加算して得られ、前記コリオリ力に起因しない信号は、前記各第2の振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  27. 前記複数の第2の振動子は前記複数の第1の振動子それぞれに一体成形されていることを特徴とする請求項26に記載の角速度センサ装置。
  28. 前記検出振動の方向が前記コリオリ力の作用する方向からずれている複数個の振動子(11、12、31、32)は、互いの間で、前記検出振動の方向のずれ角が異なることを特徴とする請求項20ないし2のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  29. 前記駆動振動を行う複数個の振動子(1a、1b、11、12、31、32)における互いの駆動振幅が、予め等しくなるように調整してあることを特徴とする請求項11及び20ないし2のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  30. 前記複数個の検出部(14、15、34、35)における互いの出力信号振幅が、予め等しくなるように調整してあることを特徴とする請求項11及び20ないし2のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  31. 前記駆動振動を行う振動子(1a、1b、11、12、31、32)における該駆動振動の物理量をモニタする手段を備えたことを特徴とする請求項9ないし11、及び20ないし2のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
  32. 前記モニタの結果を用いた負帰還により、前記駆動振動を行う振動子(1a、1b、11、12、31、32)の駆動振幅を一定に制御することを特徴とする請求項31に記載の角速度センサ装置。
  33. 複数個の角速度センサ用のセンサエレメント(401、402)が、互いに別々のチップ(1000、1001)に形成されてなり、
    各々の前記センサエレメントからの出力信号に基づき、コリオリ力に起因しない信号を基準にしてコリオリ力に起因する信号から角速度を算出するようになっており、
    前記複数個のセンサエレメントには、検出用振動子(11、12)がそれぞれ設けられ、前記各検出用振動子が同一方向に駆動振動するようになっており、
    前記各検出用振動子の一方は第1の方向(a1)に検出振動し、前記各検出用振動子の他方は前記第1の方向とは異なる第2の方向(a2)に検出振動するようになっており、
    前記コリオリ力に起因する信号は、前記各検出用振動子の出力を加算して得られ、前記 コリオリ力に起因しない信号は、前記各検出用振動子の出力を減算して得られるようになっていることを特徴とする角速度センサ装置。
  34. 前記各検出用振動子は前記複数個のセンサエレメントそれぞれに一体成形されていることを特徴とする請求項33に記載の角速度センサ装置。
  35. 前記コリオリ力に起因しない信号が慣性力による信号であることを特徴とする請求項1ないし34のいずれか1つに記載の角速度センサ装置。
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