JP4178885B2 - ガス濃度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス濃度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス濃度検出装置は、被測定ガスの組成に応じた信号を出力するガスセンサを有し、ガスセンサからの出力信号に基づいて検出制御回路で被測定ガス中の特定成分の濃度を検出するもので、例えば内燃機関に適用したものがよく知られている。このものでは、ガスセンサが内燃機関の排気管に設けられて、内燃機関本体から排出される排気ガス中の酸素等の濃度を得、これが機関本体各部の制御に供される。
【0003】
ガスセンサは、今日、ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解質材を用いたものが一般的である。例えば、被測定ガスが存在するガスセンサ外部とガスセンサ内部とで酸素が行き来可能にチャンバーを形成し、固体電解質材に1対の電極を形成したセルによりチャンバー内の酸素を汲み出しまたは汲み込み可能としたものがある。このものでは、電極間に電圧を印加して酸素を汲み出すことで電極間に限界電流を流し、限界電流の値から例えば酸素濃度が知られる。また、このような構成のセルを複数設けて、NOx やCO、HCを検出可能としたものもある。
【0004】
固体電解質材が用いられるガスセンサは、ガス濃度を検出可能な状態とすべく固体電解質材を活性温度まで上昇させる必要があり、固体電解質材を活性温度まで高めるための電気式のヒータが一体的に設けられている。ヒータの通電の制御は、通電量の調整が簡単で精度がよいことから、PWM制御でなされるものが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガスセンサにはヒータが一体的に設けられるため、ヒータに流れる電流が、リーク、容量結合、誘導により、ガスセンサからの出力信号に影響するおそれがある。発明者らにより、前記PWM制御によりヒータに通電がなされる場合には、通電状態がオンとオフとにスイッチングされるタイミングでガスセンサ出力信号に影響のある急峻な尖頭成分を有するノイズが含まれることが判明した。
【0006】
このため、ガス濃度を高精度に検出することができないおそれがある。
【0007】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、ヒータ通電の影響を抑制して高精度にガス濃度の検出が可能なガス濃度検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、固体電解質材が用いられ、被測定ガス中の特定成分の濃度に応じた電気的変化を生じさせるセルと前記固体電解質材を加熱するヒータとを備えたガスセンサと、前記固体電解質材の温度が活性温度となるように前記ヒータへの通電制御を、前記ヒータへの通電状態が繰り返しオンとオフとにスイッチングするPWM制御により実行するとともに、前記セルの電気的変化に基因して出力される前記ガスセンサからの出力信号に基づいて被測定ガス中の特定成分の濃度を検出する検出制御を実行する検出制御回路とを有するガス濃度検出装置において、
前記特定成分は、被測定ガス中に微量に含まれる、NOx、COまたはHCであり、
前記検出制御は、前記ガスセンサからの出力信号をPWM制御周期より小さい所定間隔でサンプリングして、サンプリング値を得るように設定し、
前記検出制御回路には、前記ヒータへの通電状態が変化する時に前記出力信号に含まれるノイズ成分であって、前記通電状態の変化の方向によって正負が逆に現れるノイズ成分が相殺するように、PWM制御周期に応じた時間範囲で、前記ガスセンサからの出力信号をサンプリングしたサンプリング値に対して移動平均処理を実行する平均処理手段を具備せしめる。
【0009】
前記ヒータへの通電制御はPWM制御であり、ヒータの通電状態が変化することで、ヒータのパワーアップ時とダウン時とでガスセンサ出力信号に対する影響が逆方向に現れることから、これに基因したノイズ成分を相殺するように平均処理をすることで、ガス濃度の検出精度が向上する。前記平均処理は、移動平均であり、前記ガスセンサからの出力信号をサンプリングする所定間隔と同じ周期で、平均値が得られ、ガスセンサ出力信号へのヒータ通電状態の変化による影響を相殺する。また、PWM制御では、ヒータ通電がオンとオフとに交互にスイッチングされ、オン若しくはオフの一方はPWM制御周期で現れ、その間に、オン若しくはオフの他方が1回ずつ現れるから、平均処理の時間範囲の設定が容易である。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記サンプリング値に対してなまし処理を実行した後、移動平均処理を実行する。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項2記載のガス濃度検出装置において、平均処理の時間範囲の長さを、各時間範囲における最初の通電状態のスイッチングと最後の通電状態のスイッチングとのうち一方がオンに切り換えるスイッチングで、他方がオフに切り換えるスイッチングとなるように設定する。
【0013】
PWM制御においてヒータ通電がオンとオフとに交互にスイッチングされるから、平均処理の時間範囲の長さを、各時間範囲における最初の通電状態のスイッチングと最後の通電状態のスイッチングとのうち一方がオンに切り換えるスイッチングで、他方がオフに切り換えるスイッチングとなるように設定することで、平均処理の時間範囲に、ヒータの通電状態がオンからオフになる場合とオフからオンになる場合とが同じ数だけ現れる。オンからオフになる場合とオフからオンになる場合とでセンサ出力信号に含まれるノイズの尖頭成分の方向は逆になるから、平均処理が、PWM制御に基因したノイズの尖頭成分を相殺する方向に作用する。これにより、ガス濃度の検出精度を向上させることができる。
【0014】
また、平均処理の時間範囲の長さを、各時間範囲における最初の通電状態のスイッチングと最後の通電状態のスイッチングとのうち一方がオンに切り換えるスイッチングで、他方がオフに切り換えるスイッチングとなるように設定するだけであるから、各通電状態のスイッチングタイミングを検出する必要がなく、制御負担が軽い。
【0019】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、前記移動平均処理の時間範囲の長さを、前記PWM制御の周期の自然数倍に設定する。
【0020】
これにより、移動平均処理の各範囲における最初の通電状態のスイッチングと最後の通電状態のスイッチングとで逆のスイッチングとなるように、移動平均処理の範囲の長さを設定することができる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項4の発明の構成において、前記PWM制御周期が前記ガスセンサ出力信号のサンプリング周期の自然数倍であるように設定する。
【0022】
移動平均処理の範囲の長さを、最短で、PWM制御周期から設定することができ、設計の自由度が向上する。
【0023】
請求項6記載の発明では、請求項1ないし5の発明の構成において、前記検出制御回路には、前記ガスセンサ出力信号を入力として、高周波成分を除去する高周波成分除去手段を具備せしめる。
【0024】
PWM制御に基因したノイズの尖頭成分がなまされて、ノイズの出力期間が長くなる。したがって、PWM制御に基因したノイズを含むセンサ出力信号を確実にサンプリングすることができる。駆動デューティに応じてヒータ通電状態のスイッチングのタイミングに対するセンサ出力信号のサンプリングタイミングが変動しても、平均処理により、確実に、PWM制御に基因したノイズが相殺されるようにすることができる。これにより、ガス濃度の検出精度をさらに向上させることができる。
【0025】
請求項7記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記検出制御回路には、ガスセンサ出力信号の変化量が予め設定した上限値を越えるときに、前記ガスセンサ出力信号に応じた検出値を前回の検出値を中心とする許容範囲内に制限する変化量制限手段を具備せしめる。
【0026】
ヒータの通電状態がスイッチングされる時にセンサ出力信号に尖頭成分を含むノイズが含まれても、その大きさが制限されるから、ガス濃度の検出誤差を低減することができる。これにより、ガス濃度の検出精度を向上させることができる。
【0029】
請求項8記載の発明では、固体電解質材が用いられ、被測定ガス中の特定成分の濃度に応じた電気的変化を生じさせるセルと前記固体電解質材を加熱するヒータとを備えたガスセンサと、前記固体電解質材の温度が活性温度となるように前記ヒータへの通電制御を、前記ヒータへの通電状態が繰り返しオンとオフとにスイッチングするPWM制御により実行するとともに、前記セルの電気的変化に基因して出力される前記ガスセンサからの出力信号に基づいて被測定ガス中の特定成分の濃度を検出する検出制御を実行する検出制御回路とを有するガス濃度検出装置において、
前記特定成分は、被測定ガス中に微量に含まれる、NOx、COまたはHCであり、
前記検出制御回路には、前記セルからの出力信号のサンプリングのタイミングに基づいて、前記ガスセンサからの出力信号のサンプリングが無効か否かを判定するサンプリング有効タイミング判定手段を具備せしめ、
該サンプリング有効タイミング判定手段は、サンプリング前後のヒータ通電状態に変化があったか否かを判定し、オンからオフまたはオフからオンへスイッチングされるタイミングのときには肯定判断されるように設定する。肯定判断されると、サンプリングを無効とする。
【0030】
ヒータの通電状態がスイッチングされる時にセンサ出力信号に尖頭成分を含むノイズが含まれても、そのタイミングでは、ガスセンサ出力信号はサンプリングされないから、PWM制御に基因したノイズの影響を防止することができる。これにより、ガス濃度の検出精度を向上させることができる。
【0031】
請求項9記載の発明では、請求項8記載の発明の構成において、前記検出制御回路には、ヒータ通電状態がオンからオフまたはオフからオンへ切り換わるタイミングから基準時間を越えたか否かを判定する手段を具備せしめ、否定判断されたときには、サンプリングを無効とする。
請求項10記載の発明では、請求項1ないし9の発明の構成において、前記ガスセンサを、前記セルとして、チャンバーに導入された被測定ガス中の酸素を汲み出しまたは汲み込む第1の種類のセルと、該第1の種類のセルにより酸素が汲み出しまたは汲み込まれた後の被測定ガスから特定成分の濃度を検出する第2の種類のセルとを有する構造とする。
【0032】
例えば、内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物は、酸素濃度に比してごく微量である。この窒素酸化物のような特定成分の検出には、前記構造のガスセンサが用いられ、第1の種類のセルで酸素が希薄になった状態で第2の種類のセルにおける前記電気的変化に基因して出力される出力信号に基づいて濃度検出がなされるが、前記のごとく特定成分が微量であることで、特にヒータの通電状態が変化する時に前記出力信号に含まれるノイズ成分の影響が大きい。したがって、本発明を、前記のガスセンサを使ったガス濃度検出に適用したときに、特に顕著な作用を発揮する。
【0033】
請求項11記載の発明では、請求項1ないし10の発明の構成において、前記ガスセンサを、前記セルとヒータとが一体の積層構造とする。
【0034】
ヒータがセルと一体的に設けられるため、セルからのガスセンサ出力信号に、ヒータのPWM制御に基因したノイズが特に乗りやすく、本発明を適用したときに特に顕著な作用を発揮する。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2、図3、図4に本発明を適用した第1実施形態になるガス濃度検出装置を示す。本実施形態は例えば自動車の内燃機関用に適用したものである。
【0036】
ガスセンサ1は例えばエンジンから排出される排気ガスが流通する排気管に設けられ、車室側に設けられたガスセンサ1の検出制御回路2と配線用のケーブルにより接続される。検出制御回路2を構成するマイクロコンピュータ28では、ガスセンサ1からの各出力信号に基づいて排気ガス中の酸素濃度およびNOx 濃度(以下、適宜、ガス濃度という)を演算処理し、その結果を出力する。
【0037】
ガスセンサ1は、図2〜図4に示すように、本体部分である基体10が、ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解質材である固体電解質層111,112、アルミナ等の絶縁材料からなる絶縁層113,114、アルミナ等の絶縁材料やジルコニア等の固体電解質材からなる層115等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。固体電解質層111,112で挟まれた絶縁層114は一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層111,112の間に、絞り部103を介して互いに連通する2つのチャンバー101,102が形成される。チャンバー101,102はガスセンサ1の長手方向に配置され、ガスセンサ1の先端側の第1のチャンバー101よりもガスセンサ1の基端側の第2のチャンバー102は2倍程度幅広である。
【0038】
各固体電解質層111,112をそれぞれ挟んでチャンバー101,102と反対側には各固体電解質層111,112をダクト壁の一部とする大気ダクト104,105がそれぞれ形成されている。各大気ダクト104,105はガスセンサ1の基端で大気に開放している。第1の大気ダクト104は固体電解質層112を挟んで第1チャンバー104と対向する位置まで伸びており、第2のダクト105は固体電解質層111を挟んで第2チャンバー102と対向する位置まで伸びている。ガスセンサ1が内燃機関に適用される場合には、ガスセンサ1はこれを保持するホルダ部材等とともに排気管の管壁を貫通して設けられて、大気ダクト104,105は排気管外部と連通する。
【0039】
第1のチャンバー101位置で、図2中、上側の固体電解質層111には、これを板厚方向に貫通するピンホール106が形成されており、ピンホール106を介して当該ガスセンサ1の周囲の排気ガスが第1チャンバー101内に導入される。ピンホール106の開口端は多孔質拡散層116により覆われており、排気微粒子のチャンバー101内への侵入を防止している。
【0040】
第1チャンバー101位置で固体電解質層112の上下面には固体電解質層112を挟んで対向する1対の電極121,122が形成されており、固体電解質層112と電極121,122とで第1の種類のセルであるポンプセル1aが構成される。ポンプセル1aを構成する電極121,122のうち、チャンバー101に面した電極121はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。
【0041】
第2チャンバー102位置で固体電解質層111の上下面には、大気ダクト105に面した電極125を共通として、固体電解質層111を挟んで対向する1対の電極が2組形成されている。固体電解質層111と電極123,125とで第2の種類のセルであるモニタセル1bが構成される。また、固体電解質層111と電極124,125とで第2の種類のセルであるセンサセル1cが構成される。チャンバー102に面した電極123,124のうち、モニタセル1bの電極123がNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt 等の貴金属により構成され、センサセル1cの電極124がNOx の分解(還元)に活性なPt 等の貴金属により構成される。
【0042】
また、固体電解質層112とともに大気ダクト104のダクト壁をなす層115には、Pt等の線パターンが埋設されて、前記セル1a〜1cと一体化しており、固体電解質層111,112を含むガスセンサ1全体を加熱するヒータ13としてある。ヒータ13は通電によりジュール熱を発生する電気式のものである。
【0043】
ガスセンサ1において、ガスセンサ1の周囲を流れる排気ガスが多孔質拡散層116およびピンホール106を通って第1チャンバー101に導入されるが、ポンプセル1aに大気ダクト104に面した電極122側を正として電極121,122間に電圧を印加すると、排気ガス中の酸素が電極122で分解、イオン化して固体電解質層112を通り大気ダクト104へと排出される。このとき、印加電圧を限界電流域に設定すればその電流値から排気ガス中の酸素濃度が知られる。電極121がNOx の分解に不活性であるから、NOx はチャンバー101内に残留する。
【0044】
排気ガスは第1チャンバー101から第2チャンバー102へと拡散するから、第2チャンバー102には酸素濃度が低下した排気ガスが存在している。モニタセル1b、センサセル1cに、大気ダクト105に面した電極125側を正として電圧を印加すると、各セル1b,1cではチャンバー102内の余剰酸素が大気ダクト105へと排出され、限界電流が流れる。ここで、第2チャンバー102に面した電極123,124のうち、センサセル1cの電極124のみがNOx の分解に対して活性であるから、センサセル1cを流れる電流の方がモニタセル1bを流れる電流よりも、センサセル1cの電極124においてNOx の分解で生じる酸素イオンの分、多くなる。モニタセル1bに流れる電流とセンサセル1cに流れる電流との差に基づいて排気ガス中のNOx 濃度が得られることになる。
【0045】
次にガス濃度検出装置の電気的構成について説明する。検出制御回路2は、マイクロコンピュータ28を中心に、各セル1a〜1cと1対1に対応して設けられたセル用回路2a,2b,2c、ヒータ用回路2d等から構成されている。
【0046】
セル用回路2a〜2cは、セル1a〜1cの電極121,122間、電極123,125間、電極124,125間に電圧を印加する電圧印加回路211,212,213と、電極121,122間等に流れる電流を検出する電流検出回路221,222,223とを有している。ポンプセル1a用の電流検出回路221の出力、モニタセル1b用の電流検出回路222の出力は、それぞれ、1対1に対応して設けられたローパスフィルタ回路(以下、適宜、LPFという)241,242を介して、マイクロコンピュータ28のA/Dコンバータでサンプリングされ、ポンプセル1aに流れる電流(以下、適宜、ポンプセル電流という)、モニタセル1bに流れる電流(以下、適宜、モニタセル電流という)が得られる。
【0047】
また、センサセル1c用の電流検出回路223の出力、およびモニタセル1b用の電流検出回路223の出力とを入力として、NOx 信号検出回路23が設けられており、両入力の差分(以下、適宜、NOx 検出信号という)を出力する。出力は、ハードウエア構成のLPF243を介してマイクロコンピュータのA/Dコンバータでサンプリングされる。
【0048】
ハードウエア構成のLPF241〜243は、図4に示すように、抵抗器31とコンデンサ32とからなる高周波成分除去手段である積分回路が好適に用いられ得る。勿論、インダクタと抵抗器とからなる構成、オペアンプを使ったアクティブフィルタとした構成でもよい。
【0049】
なお、以下、LPF241〜243の出力をそれぞれガスセンサ出力信号であるセンサ信号という。
【0050】
また、ヒータ用回路2dはヒータ13に通電するヒータ駆動回路25を有し、マイクロコンピュータ28のPWM出力によりヒータ13への通電がPWM制御される。また、ヒータ用回路2dは、ヒータ13に流れる電流を検出する電流検出回路26と、ヒータ13の両端間の印加電圧を検出するヒータ電圧検出回路27とを有しており、ヒータ電流検出回路26からの検出電流に応じた電流検出信号、およびヒータ電圧検出回路27からの検出電圧に応じた電圧検出信号が、マイクロコンピュータ28のA/Dコンバータで取り込まれる。ヒータ13に流れる電流値およびヒータ13の印加電圧値は、ヒータ駆動回路25へのPWM出力にフィードバックされる。すなわち、PWM制御周期内におけるヒータ13の通電時間の長さ(駆動デューティ)が増減されて、ヒータ13の加熱力が調整される。
【0051】
また、検出制御回路2では、セル1a〜1cのインピーダンスが検出されるようになっている。インピーダンスの検出は、代表としてモニタセル1bを対象としてなされ、検出されるインピーダンスは両電極123,125間のものである。すなわち、インピーダンス検出時には、マイクロコンピュータ28のD/Aコンバータからモニタセル1b用の電圧印加回路212の指令電圧が正側または負側に瞬間的(数十〜数百μsec)にシフトする。印加電圧の変化に伴うモニタセル電流の変化は電流検出回路222で検出される。ここで、モニタセル1bへの印加電圧の電圧変化は電圧印加回路212の図示しないハードウェア構成のLPFでなまされて、モニタセル1bの電極123,125間への印加電圧に特定の交流成分が含められるようになっており、モニタセル1bのコンデンサ成分の影響でモニタセル電流Iに過大な尖頭成分が現れるのを防止し、インピーダンスZACの検出精度を高めている。マイクロコンピュータ28では、この時の印加電圧の変化電圧および変化電流に基づいてインピーダンスZACが求められる。
【0052】
図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13に示すフローチャートにより、マイクロコンピュータ28で実行される制御プログラムとともに本ガス濃度検出装置の作動について説明する。
【0053】
図6はメインルーチンの概要を示すもので、検出制御回路2の電源オンにより起動する。先ずステップS101では前回のガス濃度の検出時から所定間隔である所定時間Ta が経過したか否かを判定する。所定時間Ta はガス濃度検出の周期に相当する時間であり、例えば4ms程度に設定される。
【0054】
ステップS101が肯定判断されるとステップS102に進み、ガス濃度の検出処理を実行する。
【0055】
ガス濃度検出処理は図7に示すように、ステップS201で、その時々のポンプセル電流に応じた指令電圧をD/Aコンバータから出力して、ポンプセル1aに指令電圧に応じた電圧を印加する。電圧制御信号はマイクロコンピュータ28のROMに格納されたマップに基づき設定される。ステップS202で、その指令電圧出力時のセンサ信号をA/Dコンバータでサンプリングし、サンプリング値を検出値とする。そして、ステップS203で、サンプリングされたセンサ信号からガス濃度への変換処理を実行する。
【0056】
図8はガス濃度への変換処理を示すもので、ステップS301では変化量制限処理を実行する。変化量制限処理は変化量制限手段としての処理である。
【0057】
図9は変化量制限処理を示すもので、ステップS401では、センサ信号の検出値Xについて次の判定を実行する(なお、Xに添え字iを付して今回検出値を表し、添え字i−1を付して前回検出値を表すものとする)。すなわち、今回検出値Xi と前回検出値Xi-1 との偏差をセンサ信号の変化量として、予め設定した上限値である変化量制限値ΔXと比較し、|Xi −Xi-1 |がΔX以上であるか否かを判定する。否定判断されると、ステップS402で、今回検出値Xi をそのまま今回検出値Xi とする。
【0058】
|Xi −Xi-1 |がΔX以上でステップS401が肯定判断されると、ステップS403で、Xi ±ΔXを今回検出値Xi とする。ここで、Xi >Xi-1 であれば、前回検出値Xi-1 よりも変化量制限値ΔXを越える幅で大きくなっているので、Xi-1 +ΔXを今回検出値とし、リターンに抜ける。一方、Xi <Xi-1 であれば、前回検出値Xi-1 よりも変化量制限値ΔXを越える幅で小さくなっているので、Xi-1 −ΔXを今回検出値Xi とし、リターンに抜ける。したがって、今回検出値は、所定範囲である±ΔXの範囲に制限されることになる。
【0059】
変化量制限処理(ステップS301)に続くステップS302ではなまし処理を実行する。
【0060】
図10はなまし処理を示すもので、ステップS501では次式(1)によりなまし処理を実行してなまし値Yを算出し、リターンに抜ける。なお、Yに添え字iを付して今回なまし値を、添え字i−1を付して前回なまし値を表すものとする。式中、nは自然数で、要求されるなまし効果に応じて、予め実験等により設定される。例えばn=2とする。
Yi =Yi-1 ×(n−1)/n+Xi ×1/n・・・(1)
【0061】
なまし処理(ステップS302)に続くステップS303では移動平均処理を実行する。移動平均処理は平均処理手段としての処理である。
【0062】
図11は移動平均処理の内容を示すもので、ステップS601では、今回なまし値Yi を、移動平均計算用データバッファへ格納する。移動平均計算用データバッファは、移動平均の範囲内の複数のなまし値を一時に格納するもので、連続して得られた前記複数のなまし値が格納される。格納処理では、通常の移動平均処理と同様に、今回なまし値Yi を格納する前の格納データのうちで、最先のものを今回なまし値Yi により上書きする。
【0063】
ステップS602では、移動平均計算用データバッファの格納データの平均を算出して、当該タイミングにおける移動平均値とする。そして、ポンプセル電流についての移動平均値を酸素濃度に換算する。さらに、その時のNOx 検出電流についての移動平均値をNOx 濃度に換算する。実行後、リターンに抜ける。
【0064】
ステップS203に続くステップS204では、各ガス濃度はステップS204でシリアルポートから出力し、リターンに抜ける。
【0065】
ガス濃度検出処理(ステップS102)に続くステップS103では、前回のインピーダンスの検出時から所定時間Tb が経過したか否かを判定する。所定時間Tb はインピーダンス検出の周期に相当する時間であり、例えばエンジン運転状態に応じて128msec、2sec等の時間が選択的に設定される。
【0066】
ステップS103が肯定判断されるとステップS104に進んでインピーダンスの検出処理を実行し、ステップS105で検出インピーダンスに基づいてヒータ13の通電制御を実行する。
【0067】
図12はインピーダンスの検出処理(ステップS104)を示すもので、ステップS701で、モニタセル1b用の電圧印加回路212への指令電圧を短時間シフトし、モニタセル1bの印加電圧を変化させるとともに、ステップS702で、このときのモニタセル印加電圧の変化電圧ΔVと、モニタセル電流の変化電流ΔIとを計測する。計測結果に基づいてステップS703でインピーダンスZACを算出し、リターンに抜ける。インピーダンスZACの算出では、変化電流ΔIと変化電圧ΔVから比(ΔV/ΔI)を演算して、これをインピーダンスZACとする。このインピーダンスは固体電解質層111,112の温度に依存し、温度が高いほど小さくなる。いわゆる活性温度まで上昇すると、良好に酸素イオンが流れ得る。
【0068】
図13はヒータ13の通電制御(ステップS105)を示すもので、ステップS801では、昇温時ヒータ制御の実施条件を判定する。具体的にはインピーダンスZACが所定のしきい値以上であるか否かを判定する。このしきい値は固体電解質の活性温度域に対応する目標インピーダンスよりも、少し大きなインピーダンス値をとる。エンジン始動直後にはガスセンサ1は未だ十分に温まっておらず、肯定判断される。したがって、エンジン始動後、暫くはステップS801は肯定判断されることになる。
【0069】
ステップS801が肯定判断されると、ステップS802に進み、昇温時ヒータ制御を実行する。昇温時ヒータ制御は、前記しきい値に相当する温度まで速やかに昇温するためのもので、基本的に駆動デューティを大きくとる。続くステップS803のデューティガードは駆動デューティをその上限値で制限する処理であり、実行後、リターンに抜ける。
【0070】
ステップS801が否定判断されると、ステップS804でインピーダンスZACをフィードバック制御する。これは一般的なPI制御とし得る。すなわち、インピーダンスZACの目標インピーダンスに対する偏差にゲインを乗じて比例項を演算するとともに、前記偏差を現在まで積算したものにゲインを乗じて積分項を演算し、これら比例項および積分項に基づいて駆動デューティを設定する。続くステップS805のデューティガードは駆動デューティをその上限値で制限する処理であり、実行後、リターンに抜ける。
【0071】
なお、インピーダンスZACをフィードバック制御するのではなく、変化電流ΔIと変化電圧ΔVとに基づいてアドミタンスを演算し、アドミタンスをフィードバック制御するようにしてもよい。アドミタンスはインピーダンスZACの逆数であり、インピーダンスZACのごとく、固体電解質層111,112の温度状態のパラメータとし得るからである。
【0072】
本ガス濃度検出装置は、このように構成されており、ガスセンサ1が、所定の温度に維持された状態で、酸素濃度、NOx 濃度が検出される。
【0073】
さて、ステップS303では移動平均処理を実行しているが、この移動平均の範囲について説明する。図14のタイミングチャートには、ヒータ通電状態(オン、オフ)、センサ信号とともに、センサ信号検出タイミングを矢印で示している。図例ではヒータ13のPWM制御周期(ヒータのオンから次のオンまでの時間)内に、32回のセンサ信号の検出タイミングがある。そして、前記移動平均計算用データバッファには、ヒータ13のPWM制御周期内にサンプリングされるセンサ信号の数と同じ32の領域が前記今回なまし値を格納するために用意されており、ヒータ13のPWM制御周期と同じ時間の間にサンプリングされたセンサ信号に基づいて、移動平均が算出されることになる。
【0074】
したがって、移動平均が算出される32個の今回なまし値には、ヒータ通電状態がオンに切り換わるタイミングとオフに切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号が含まれていることになる。
【0075】
これにより、次の効果を奏する。すなわち、比較のため単になまし処理をした場合を考えると、移動平均をとっただけでは、センサ信号に含まれるノイズが移動平均の範囲に応じて圧縮されるだけで、排気ガス中のNOx のようにごく微量のガスについて濃度を検出するには、ヒータ通電のPWM制御に基因したノイズのレベルを考慮すると必ずしも十分ではない。例えば、PWM制御の駆動デューティの大きさによって、ヒータ通電状態がオン状態に切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号の数と、オフ状態に切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号の数とがアンバランスとなる場合が現れ、アンバランスとなる場合にも、オン状態に切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号の数の方が多い場合とオフ状態に切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号の数の方が多い場合とで、ヒータ通電のPWM制御に基因したノイズのセンサ信号に及ぼす影響が逆方向となる。したがって、依然としてヒータ通電の影響で検出濃度の精度が低下する。
【0076】
これに対して、本実施形態では、ヒータ通電状態がオン状態に切り換わるタイミング、オフ状態に切り換わるタイミングでは、図のように、センサ信号に大きなノイズ成分が混入するが、通電状態の切り換わり方向が反対のため、ノイズ成分も逆方向に現れる。したがって、ノイズ成分は相殺されて、移動平均値に前記ノイズ成分による誤差が含まれるのを抑制することができる。
【0077】
なお、移動平均の範囲は、ヒータ13のPWM制御周期と同じ時間である必要はなく、PWM制御周期の自然数倍であればよい。ヒータ通電状態がオン状態に切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号とオフ状態に切り換わるタイミングでサンプリングされたセンサ信号とが同数となり、そのタイミングでサンプリングされたセンサ信号に混入するノイズ成分が相殺するからである。
【0078】
また、本実施形態では、センサ信号がLPF241,243でなまされており、ヒータ通電状態が切り換わるタイミング直後の期間に、センサ信号のノイズ成分により信号が急激な変動を妨げるように拡散する。したがって、次の効果がある。すなわち、図14のセンサ信号より知られるように、ごく短時間の間に急峻に変化するから、電流検出回路221、NOx 信号検出回路23からのセンサ信号を直接にA/Dコンバータでサンプリングするとすれば、ノイズの出力期間がサンプリング周期に比して短いと、センサ信号ノイズの発生時に取り込めないおそれがあり、前記PWM制御に基因したノイズが移動平均によっても相殺できない場合がある。これは、ヒータ通電状態のオンからオフへのスイッチングとオフからオンへのスイッチングとのうち一方が駆動デューティに応じて変化するため、PWM制御に対するセンサ信号のサンプリングタイミングを最適化することができないということを意味する。
【0079】
これに対して本実施形態では、ヒータ通電状態がスイッチングされるタイミング直後の期間に図14のようにセンサ信号のノイズ成分により信号が急激な変動を妨げるように拡散するが、その大きさはLPF241,243でなまされる前のノイズレベルに応じたものである。したがって、センサ信号に尖頭状のノイズが発生した瞬間にセンサ信号をサンプリングしなくとも、LPF241,243でなまされる前のノイズ成分の大きさおよび方向が、サンプリングされたセンサ信号に反映される。したがって、PWM制御に基因してセンサ信号に混入するノイズ成分を相殺する効果を十分に引き出すことができる。
【0080】
また、移動平均の範囲をPWM制御周期の自然数倍とすることで、ヒータ通電状態が切り換わるタイミングを検出する必要がないので、制御負担が軽い。
【0081】
なお、駆動デューティに応じて変化する方のスイッチングタイミングの最小変化幅を、センサ信号のサンプリング周期若しくはその自然数倍に設定することで、PWM制御に対するセンサ信号のサンプリングタイミングを最適化すれば、ある程度、センサ信号に尖頭状のノイズが発生した瞬間にセンサ信号をサンプリングすることができるようになる。
【0082】
また、本ガス濃度検出装置では、変化量制限を設けているので、通電状態がオンに切り換わる時とオフに切り換わる時とで、PWM制御に基因してセンサ信号に混入するノイズの大きさが異なるような場合でも、移動平均値にオフセットが乗らず、ノイズ成分の影響をさらに減じることができる。また、突発的なノイズによる影響をも良好に排除することができる。
【0083】
なお、本ガス濃度検出装置では、なまし処理を実行しているので、さらに、PWM制御に基因してセンサ信号に混入するノイズ成分の影響を排除することができる。また、LPF241,243と、前記なまし処理とのうち、いずれかを省略することで、構成を簡略化することもできる。この場合、PWM制御に基因してセンサ信号にノイズ成分が混入する時間がごく短時間の場合には、前記のごとくA/Dコンバータでサンプリングできない場合も生じることから、精度上は図5のようなアナログ式のLPFを残すのが望ましい。一方、前記なまし処理を残す場合には、構成を簡略化することができる。また、これらの手段は、両方省略してもよいし、あるいは逆に、変化量制限処理や移動平均処理等を省略してこれらだけで実施することも可能である。どれも、単独で、ノイズ成分を除去する作用を発揮するからである。
【0084】
(第2実施形態)
図15に本発明の別のガス濃度検出装置のマイクロコンピュータで実行されるセンサ信号検出処理のフローを示す。本実施形態は、第1実施形態において、センサ信号検出処理を別の内容に変えたもので、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して説明する。
【0085】
ステップS901では、ヒータ出力チェック1を実行する。ヒータ出力チェック1はヒータ通電状態がオン状態かオフ状態かを確認する処理であり、PWM出力から判断される。確認結果は例えば、オンのときに所定のフラグをセットすることで記憶される。
【0086】
ステップS902では、A/Dコンバータでセンサ信号をサンプリングするセンサ信号サンプリング処理を実行する。
【0087】
続くステップS903は前記ステップS901とともにサンプリング有効タイミング判定手段としての処理で、ヒータ出力チェック2を実行する。ヒータ出力チェック2はヒータ出力チェック1と同じで、センサ信号検出処理を挟んで2回、ヒータ通電状態がオン状態かオフ状態かが確認されることになる。確認結果はヒータ出力チェック1と同様に記憶される。
【0088】
ステップS904では、前記ステップS901,S903の確認結果に基づいて、ヒータ通電状態に変化があったか否かを判定する。前記所定フラグが異なる値であれば肯定判断する。これは、ステップS902でサンプリングされたセンサ信号が、ヒータ通電状態がオンからオフ、若しくはオフからオンに切り換わる過渡状態において検出されたことを意味する。また、肯定判断されると、タイマがカウントをスタートする。このタイマのカウント値については後述する。
【0089】
肯定判断されると、ステップS906で、前回検出値を今回検出値とし、リターンに抜ける。
【0090】
ヒータ通電状態に変化がなく、ステップS904が否定判断されると、ステップS906で、直近のヒータ状態変化からの経過時間、すなわち前記タイマのカウント値が予め設定した基準時間を越えたか否かを判定する。経過時間が短いほど、ステップS902でサンプリングしたセンサ信号に、ヒータ13のPWM制御に基因したノイズ成分が残っているおそれがあることを意味する。したがって、前記基準時間は、ノイズ成分が残っているおそれがないと判断し得る経過時間の下限を考慮して設定する。
【0091】
直近のヒータ状態変化の直後で基準時間を越えておらず、ステップS905が否定判断されると、前回検出値を今回検出値とする前記ステップS906に進む。
【0092】
直近のヒータ状態変化から十分に時間が経過して基準時間を越え、ステップS905が肯定判断されると、ステップS907で今回サンプリング値を今回検出値とする。
【0093】
したがって、所定周期でA/Dコンバータでサンプリングされるセンサ信号のうち、ヒータ通電状態の切り換わり時から基準時間経過までにサンプリングされたものは、ノイズ成分が残っているおそれありとして、マイクロコンピュータ28に最終的に取り込まれず、当該サンプリングタイミングにおけるセンサ信号として、前回、適正に取り込まれたセンサ信号に代替されることになる。
【0094】
これにより、ヒータ通電のPWM制御に基因したガス濃度の検出誤差を抑制することができる。
【0095】
なお、前記各実施形態では、印加電圧マップにしたがってポンプ印加電圧を設定する制御方式をとっているが、別の制御方式を採用することもできる。図16はこの一例を示すもので、モニタ電流Im をマイクロコンピュータに取り込んで、モニタ電流Im が所定の基準電流となるようにポンプ印加電圧をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0096】
また、ガスセンサの構造も本実施形態の図例のものに限られない。図17は本発明を適用し得るガスセンサの一例を示すもので、このガスセンサは、本体部分である基体14が、ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解質材である固体電解質層151,152,153、多孔質アルミナ等の絶縁材料からなる律速層154、アルミナ等の絶縁材料やジルコニア等の固体電解質材からなる層155等が板厚方向に積層する積層構造を有し、面方向に細長の全体形状が与えられている。
【0097】
固体電解質層152および律速層154は固体電解質層151と固体電解質層153とで挟まれて同じ層を形成しており、ガスセンサの先端側に律速層154が位置し、基端側に固体電解質層152が位置する。固体電解質層152および律速層154は、一部が板厚方向に打ち抜かれており、固体電解質層151,153の間に、ガスセンサの長手方向に配置された2つのチャンバー141,142が形成される。律速層154は、ガスセンサの先端側で第1のチャンバー141にガスセンサ外部の被測定ガスを導入するとともに、第1のチャンバー141と第2のチャンバー142との境界部で両チャンバー141,142を連通せしめている。
【0098】
固体電解質層153を挟んでチャンバー141,142と反対側には固体電解質層153をダクト壁の一部とする大気ダクト143が形成されている。大気ダクト143は先端側が固体電解質層153を挟んで第1チャンバー141と対向する位置まで伸び、ガスセンサの基端で大気に開放している。ガスセンサ1が内燃機関に適用される場合には、ガスセンサ1はこれを保持するホルダ部材等とともに排気管の管壁を貫通して設けられて、大気ダクト143は排気管外部と連通する。
【0099】
第1チャンバー141位置で固体電解質層151の上下面には固体電解質層151を挟んで対向する1対の電極161,162が形成されており、固体電解質層151と電極161,162とでポンプセル1dが構成される。ポンプセル1dを構成する電極161,162のうち、チャンバー141に面した電極161はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。
【0100】
また、第1チャンバー141および大気ダクト143位置で固体電解質層153の上下面には固体電解質層153を挟んで対向する1対の電極163,165が形成されており、固体電解質層153と電極163,165とで第2の種類のセルであるモニタセル1eが構成される。モニタセル1eを構成する電極163,165のうち、チャンバー141に面した電極163はNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt等の貴金属により構成されている。なお、大気ダクト143に面した電極165は第2チャンバー142位置まで伸びる、電極163よりも長い電極であり、後述するセンサセル1f、別のポンプセル1gと共通の電極である。
【0101】
第2チャンバー142位置で固体電解質層153の上下面には、固体電解質層153を挟んで対向する1対の電極164,165が形成されている。固体電解質層153と電極164,165とで第2の種類のセルであるセンサセル1fが構成される。
【0102】
また、第2チャンバー142に面して固体電解質層151には、電極166が形成されており、固体電解質層151〜153と電極166,165とで、第1の種類のポンプセルである別のポンプセル1gが構成される。この別のポンプセル1gはセンサセル1fと同様に、一方の電極164,166が第2チャンバー142に面し、他方の電極165が大気ダクト143に面した構造をとる。
【0103】
第2チャンバー142に面した電極164,166のうち、センサセル1fの電極164はNOx の分解(還元)に活性なPt 等の貴金属により構成され、別のポンプセル1gの電極166がNOx の分解(還元)に不活性なAu−Pt 等の貴金属により構成される。
【0104】
また、固体電解質層153とともに大気ダクト143のダクト壁をなす層155には、Pt等の線パターンが埋設されて、ガスセンサ全体を加熱するヒータ17としてある。ヒータ17は通電によりジュール熱を発生する電気式のものである。
【0105】
このガスセンサでは、モニタセル1eで発生する起電圧に基づいて、該起電圧が基準電圧となるように、すなわち、第1チャンバー141内の酸素濃度が一定かつ低濃度となるように、ポンプセル1dの印加電圧がフィードバック制御され、第1チャンバー141内の酸素が排出される。第1チャンバー141と連通する第2チャンバー142内の酸素も同程度に減少する。
【0106】
そして、第2チャンバー142内に残った酸素が別のポンプセル1gにより排出される。センサセル1fには、第2チャンバー142に面した電極164で分解したNOx の濃度に応じた電流が流れる。
【0107】
また、本発明はNOx 濃度検出用のものに限られず、CO、HCを検出するセンサ、単一のセル構成で単に酸素濃度を検出するA/Fセンサを備えたガス濃度検出装置にも適用することができる。また、ガスセンサは、セルが設けられる基体にヒータが埋設される構造のものだけではなく、ヒータが一体に設けられるものであれば、特に好適に適用することができる。勿論、一体でなくとも、ヒータへの通電状態が変化する時に出力信号にノイズ成分が含まれるのであれば、その影響を除去する技術として本発明が適用できるのは勿論である。
【0108】
また、前記各実施形態では、ヒータの通電がPWM制御によるものであり、前記通電状態の変化として、特にオン時の立ち上がりおよびオフ時の立ち下がりに注目したが、ヒータの通電状態が変化するとき、特にステップ状に変化する場合のノイズ低減にも広く応用することができる。
【0109】
また、平均処理を移動平均とすることで、センサ出力信号のサンプリング周期と同じ周期で平均値が得られるようにしているが、平均処理の時間範囲と同じ長さの周期でのみ平均値を得る、順次、得られる平均値の時間範囲が重なり合わない平均処理でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1のガス濃度検出装置の構成図である。
【図2】前記ガスセンサの要部断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】前記ガス濃度検出装置の一部の回路図である。
【図6】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第1のフローチャートである。
【図7】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第2のフローチャートである。
【図8】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第3のフローチャートである。
【図9】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第4のフローチャートである。
【図10】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第5のフローチャートである。
【図11】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第6のフローチャートである。
【図12】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第7のフローチャートである。
【図13】前記ガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示す第8のフローチャートである。
【図14】前記ガス濃度検出装置の作動を説明するタイミングチャートである。
【図15】本発明の第2のガス濃度検出装置を構成するマイクロコンピュータで実行される制御内容を示すフローチャートである。
【図16】本発明のガス濃度検出装置のガスセンサの制御方式の変形例を示す図である。
【図17】本発明のガス濃度検出装置のガスセンサの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 ガスセンサ
1a,1d,1g ポンプセル(第1の種類のセル)
1b,1e モニタセル(第2の種類のセル)
1c,1f センサセル(第2の種類のセル)
10,14 基体
101,102,142,142 チャンバー
13,17 ヒータ
111,112,151,152,153 固体電解質層(固体電解質材)
121,122,123,124,125,161,162,163,164,165,166 電極
2 検出制御回路
241,242,243 LPF(高周波除去手段)
28 マイクロコンピュータ(平均処理手段、変化量制限手段、サンプリング有効タイミング判定手段)
Claims (11)
- 固体電解質材が用いられ、被測定ガス中の特定成分の濃度に応じた電気的変化を生じさせるセルと前記固体電解質材を加熱するヒータとを備えたガスセンサと、前記固体電解質材の温度が活性温度となるように前記ヒータへの通電制御を、前記ヒータへの通電状態が繰り返しオンとオフとにスイッチングするPWM制御により実行するとともに、前記セルの電気的変化に基因して出力される前記ガスセンサからの出力信号に基づいて被測定ガス中の特定成分の濃度を検出する検出制御を実行する検出制御回路とを有するガス濃度検出装置において、
前記特定成分は、被測定ガス中に微量に含まれる、NOx、COまたはHCであり、
前記検出制御は、前記ガスセンサからの出力信号をPWM制御周期より小さい所定間隔でサンプリングして、サンプリング値を得るように設定し、
前記検出制御回路には、前記ヒータへの通電状態が変化する時に前記出力信号に含まれるノイズ成分であって、前記通電状態の変化の方向によって正負が逆に現れるノイズ成分が相殺するように、PWM制御周期に応じた時間範囲で、前記ガスセンサからの出力信号をサンプリングしたサンプリング値に対して移動平均処理を実行する平均処理手段を具備せしめたことを特徴とするガス濃度検出装置。 - 請求項1記載のガス濃度検出装置において、前記サンプリング値に対してなまし処理を実行した後、移動平均処理を実行するガス濃度検出装置。
- 請求項1または2記載のガス濃度検出装置において、平均処理の時間範囲の長さを、各時間範囲における最初の通電状態のスイッチングと最後の通電状態のスイッチングとのうち一方がオンに切り換えるスイッチングで、他方がオフに切り換えるスイッチングとなるように設定したことを特徴とするガス濃度検出装置。
- 請求項1ないし3いずれか記載のガス濃度検出装置において、前記移動平均処理の時間範囲の長さを、前記PWM制御の周期の自然数倍に設定したガス濃度検出装置。
- 請求項4記載のガス濃度検出装置において、前記PWM制御周期が前記ガスセンサ出力信号のサンプリング周期の自然数倍であるガス濃度検出装置。
- 請求項1ないし5いずれか記載のガス濃度検出装置において、前記検出制御回路には、前記ガスセンサ出力信号を入力として、高周波成分を除去する高周波成分除去手段を具備せしめたガス濃度検出装置。
- 請求項1ないし6いずれか記載のガス濃度検出装置において、前記検出制御回路には、ガスセンサ出力信号の変化量が予め設定した上限値を越えるときに、前記ガスセンサ出力信号に応じた検出値を前回の検出値を中心とする許容範囲内に制限する変化量制限手段を具備せしめたガス濃度検出装置。
- 固体電解質材が用いられ、被測定ガス中の特定成分の濃度に応じた電気的変化を生じさせるセルと前記固体電解質材を加熱するヒータとを備えたガスセンサと、前記固体電解質材の温度が活性温度となるように前記ヒータへの通電制御を、前記ヒータへの通電状態が繰り返しオンとオフとにスイッチングするPWM制御により実行するとともに、前記セルの電気的変化に基因して出力される前記ガスセンサからの出力信号に基づいて被測定ガス中の特定成分の濃度を検出する検出制御を実行する検出制御回路とを有するガス濃度検出装置において、
前記特定成分は、被測定ガス中に微量に含まれる、NOx、COまたはHCであり、
前記検出制御回路には、前記ガスセンサからの出力信号のサンプリングのタイミングに基づいて、前記ガスセンサ出力信号のサンプリングが無効か否かを判定するサンプリング有効タイミング判定手段を具備せしめ、
該サンプリング有効タイミング判定手段は、サンプリング前後のヒータ通電状態に変化があったか否かを判定し、オンからオフまたはオフからオンへスイッチングされるタイミングのときには肯定判断されて、サンプリングを無効とするように設定したことを特徴とするガス濃度検出装置。 - 請求項8記載のガス濃度検出装置において、前記検出制御回路には、ヒータ通電状態がオンからオフまたはオフからオンへ切り換わるタイミングから基準時間を越えたか否かを判定する手段を具備せしめ、否定判断されたときには、サンプリングを無効とするガス濃度検出装置。
- 請求項1ないし9いずれか記載のガス濃度検出装置において、前記ガスセンサを、前記セルとして、チャンバーに導入された被測定ガス中の酸素を汲み出しまたは汲み込む第1の種類のセルと、該第1の種類のセルにより酸素が汲み出しまたは汲み込まれた後の被測定ガスから特定成分の濃度を検出する第2の種類のセルとを有する構造としたガス濃度検出装置。
- 請求項1ないし10いずれか記載のガス濃度検出装置において、前記ガスセンサを、前記セルと前記ヒータとが一体の積層構造としたガス濃度検出装置。
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