JP4039099B2 - ミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、針に対して接近、離間する糸通し機構を有するミシンの糸通し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりミシンの糸通し装置は、針の目孔を通過可能なフックと、糸の保持して糸を張る張設部材と、そのフックや張設部材を下端に支持する糸通し棒と、その糸通し棒を昇降する糸通しレバーとを備えるものがある。この糸通し装置は、上下動する針に衝突しないように、針が上下動する範囲の上方に配置されている。例えば、本出願人による特公平7−71596号公報に記載のミシンの糸通し装置である。この公報の糸通し装置では、糸通し棒が上下動可能に支持され、その上端に糸通しレバーの一端が連結され、作業者が糸通しレバーの他端を下方に押すと、糸通し棒が糸通しレバーと一体に下降する。そして、針の目孔の前に張設された糸を、フックによって針の目孔に引き込む。即ち、糸通しレバーの操作量がほぼフックや張設部材の針の目孔に接近、離間するための昇降量であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、針が上下動する範囲の上方に糸通し装置が配置され、糸通しレバーの操作量がほぼ糸通し棒や張設部材の針の目孔に対する昇降量であると、作業者による操作量が多いという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、作業者の操作量が少ないミシンの糸通し装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載のミシンの糸通し装置は、針に対して接近、離間する糸通し機構を有するミシンの糸通し装置において、ミシンフレームに固定された上下方向に伸長する不動支持板と、前記不動支持板に対して上下動可能に支持され上下方向に伸長する移動支持板と、前記移動支持板の上端部と下端部に回転可能に夫々設けられる滑車と、一方端を前記不動支持板の上端部に、他方端を前記不動支持板の下端部に夫々止着すると共に、略中間部を前記滑車の夫々に当接するように略逆N字状に屈曲させて張設される第1の紐状部材と、前記移動支持板に対して上下動可能に支持され前記滑車間に張設される前記第1の紐状部材の上方近傍に連結される連動部材と、前記連動部材に固定され糸を保持する糸保持部材と、前記不動支持板に対して上下動可能に支持される可動滑車と、一方端を前記不動支持板の上端部に、他方端を前記移動支持板の上端部に夫々止着すると共に、略中間部を前記可動滑車に当接するように略V字状に屈曲させて張設される第2の紐状部材と、前記移動支持板と前記可動滑車とが互いに引き合う方向に付勢するように張架される弾性体とを備えている。
【0006】
そして、前記糸保持部材は前記可動滑車の上下移動に連動して上下移動し、且つ前記糸保持部材の移動量は前記可動滑車の移動量より拡大された移動量となる。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、ミシン10は、水平面を有するベッド部12と、ベッド部12の右端部から立設する脚柱部14と、脚柱部14から左方に伸展するアーム部16と、アーム部16の左端部となるヘッド部18とから構成されている。このヘッド部18には、ヘッド部18等を構成するミシンフレーム24に対して相対的に針棒26を上下動するための針棒駆動機構28、ミシンフレーム24に対して相対的に針棒26を水平方向に揺動するための針棒揺動機構30、針棒26に対して所定の位相で天秤32を上下動するための天秤駆動機構34、針棒26の下端の針36に糸Tを糸通しフック35で通すための糸通し機構38が配置されている。この針36は、ベッド部内の釜機構40と協働して、針36と天秤32とは互いに所定の位相で上下動して、縫い目が形成される。
【0016】
このミシン10は、特願2001−172264号(以下、「上記本出願人の出願」と称する。)に記載のミシンと同様に、糸駒42を収納する糸カセット44をカセット装着部46に着脱可能なものであり、その糸カセット44を装着する操作によって糸通し棒47を下方に押し下げ、同時に、天秤32にも糸Tをかける構成である。更に、ミシン10はその糸通し棒47を押し下げる力を伝達・遮断する伝達部材48が備え、基本的には、上記本出願人の出願に記載のミシンと類似しており、異なる点を中心に以下説明する。
【0017】
上記本出願人の出願のミシンとは異なって、このミシン10では、天秤32の右側に、図3に示すように、糸Tの2箇所を保持する糸保持部材50と、その糸保持部材50を針36の目孔51まで一旦下降して、針36の目孔51に接近させた後に、上昇させて、針36の目孔51から離間させる移動機構52が設けられている。この移動機構52は、図4及び図5に示す支持ブロック54及び取付部材56を介してミシンフレーム24に固定されている。
【0018】
カセット装着部46の左側には、糸通し機構38のうち糸通しフック35に関する糸通しフック機構55が、針棒26と共に揺動中心軸58を揺動軸として円弧に揺動するように配置されている。一方、糸保持部材50は、針棒26と共に揺動しないようにミシンフレーム24に固定されているので、針棒26や糸通し棒47を揺動するパルスモータ等の出力を高くする必要がなく、また、その移動機構52を揺動させるための逃がし的な空間をミシン10の内部に設ける必要もなく、ミシン10の小型化が図られている。
【0019】
次に、この糸保持部材50並びに移動機構52について説明する。
【0020】
図6(b)に示すように、糸保持部材50は、2本の平行な糸保持腕62,64を有し、それらの糸保持腕62,64は間隔をあけて平行に連結部66より伸展して、図6(b)における左方の糸保持腕62の左側の面には、揺動部材68の中間部が揺動可能に支持されている。その揺動部材68の揺動軸70は巻きバネ72に通され、揺動部材68の図6(b)における上端の固定されたバネ当てピン74には、巻きバネ72が当接し、図6(a)における揺動部材68の上端が揺動軸70を中心として反時計回り方向に付勢され、揺動部材68の図6(b)における下端は、左方の糸保持腕62の先端の近傍に位置する。
【0021】
揺動軸70よりも図6(b)における下方の揺動部材68には、当接ピン76が図6(b)の左方に突出するように固定され、その当接ピン76が巻きバネ72の弾性力に抗して、図6(a)の左方向に押されると、揺動部材68の下端が、図6(b)における左方の糸保持腕62の先端から離間する。即ち、糸Tが挟まれるように開閉可能に糸保持部材50は構成されている。
【0022】
連結部66は、図6(b)の右方に伸展して、移動機構52の連動部材78が固定されている。この連動部材78は、図6(b)における右方に突出しており、図6(c)に示すように、その突出部80が図6(b)における右方の移動支持板82に貫通して形成されたガイド溝84に摺動可能に取り付けられている。このガイド溝84の幅は、図6(b)における右方の移動支持板82の長手方向に伸展しており、その幅はほぼ連動部材78の突出部80と同じである。図6(b)における右方の移動支持板82と左方の移動支持板86とが6本の間隔ピン88,90,92,94,96,98によって一定の間隔をあけて平行に取り付けられている。
【0023】
図6における上方の2本の間隔ピン88,90には、それぞれ滑車100,102が回転可能に支持され、図6における下方の1本の間隔ピン98にも滑車104が回転可能に支持されている。これら滑車100,102,104には、金属性の細いワイヤーである第1の紐状部材106の中間部がかけられ、図6(a)に示すように、略「N」の字を左右反転したように、その第1の紐状部材106は滑車100,104との接触部分で折り返されている。この第1の紐状部材106は、それら滑車100,102,104、移動支持板82に対して相対的に移動可能である。即ち、それら滑車100,104が第1の紐状部材106を移動可能に支持している。この第1の紐状部材106の中間部には、上記連動部材78が固定され、この第1の紐状部材106が移動すると連動部材78も一体に移動支持板82に対し相対的に移動する。この第1の紐状部材106の両端は、不動支持板108から突出する固定支持ピン110,112に離間不可能であるが、その固定支持ピン110,112の外周を摺動可能に取り付けられている。
【0024】
そして、連動部材78は、滑車104と当接した部分よりも図7の右(他方側)の第1の紐状部材106に連結されると共に、糸通し機構としての糸保持部材50が連結されている。
【0025】
従って、図7の下方へ2枚の移動支持板82,86が距離dだけ移動すると、それに伴って、滑車100,104も図7の下方へ距離dだけ移動する。それらの移動に伴って、第1の紐状部材106の中間部分が滑車104によって図7における下方に押されて、その滑車100の右側(移動可能支持側)から左側(移動不可支持側)へ滑車104の回転によって第1の紐状部材106が長さdだけ送られる。即ち、この滑車104が図7の下方に移動する場合には、動滑車として機能する。この滑車104よりも右側の滑車100よりも、左側の第1の紐状部材106に固定された連動部材78及び糸保持部材50が下方に距離2×dだけ移動する。このように、滑車104の移動量が2倍の移動量を生じるように、この移動機構52は構成されている。
【0026】
また、この不動支持板108には、第1の紐状部材106とは別の第2の紐状部材114が取り付けれ、その図7における左の第2の紐状部材114の一方側の端部は、不動支持板108から突出する固定支持ピン116に離間不可能であるが、その固定支持ピン116の外周を摺動可能に取り付けられている。また、その図7における右の第2の紐状部材114の端部は、移動支持板82,86から突出する間隔ピン90に離間不可能であるが、その間隔ピン90の外周を摺動可能に取り付けられている。
【0027】
この第2の紐状部材114の中間部には、滑車118(可動滑車に相当)が当接しており、この滑車118との接触部分で略「V」の字のように第2の紐状部材114は折り返されている。この滑車118は、カセット接触体120と一体に移動するように連結され、このカセット接触体120は、図8に示すもう一枚の不動支持板122に貫通して形成されたガイド溝(図略)に摺動可能に取り付けられている。カセット接触体120は糸カセット44の右側の一部に押し下げられるように、糸カセット44の昇降経路内に配置され、所定位置まで押し下げられると、糸カセット44から離間するように構成されている。
【0028】
この2枚の不動支持板108,122の間には、4本の間隔ピン124,126,128,130が両方の不動支持板108,122に直交するように立設して固定されて、2枚の不動支持板108,122は間隔をあけて平行に位置している。その間に、上記2枚の移動支持板82,86、第1の紐状部材106、並びに、第2の紐状部材114が位置している。
【0029】
このように、所定長さの別の第2の紐状部材114の一方側が不動支持板108の固定支持ピン116によって移動不可能に支持され、他方側が移動支持板82,86の間隔ピン90によって移動可能に支持されている。
【0030】
また、第2の紐状部材114を引き戻す弾性体としての引きバネ132が備えられ、その引きバネ132は、上記移動支持板82,86の図6の下方と上記滑車118の一体に移動する滑車付属部材134との間にかけられ、それらを互いに引き合うように配置されている。従って、第2の紐状部材114より4倍長く移動する第1の紐状部材106を引き戻す引きバネを設けるよりも、引きバネ132が短いもので良く、小型化が図られている。
【0031】
例えば、このカセット接触体120が図7の下方に距離dだけ移動されると、滑車118によって第2の紐状部材114が下方に押されて、この滑車118やカセット接触体120に対して相対的に移動する。その滑車118の右側(移動可能支持側)から左側(移動不可支持側)へ滑車118の回転によって第2の紐状部材114が長さdだけ送られ、図7における右の第2の紐状部材114の端部に連結された間隔ピン90は図7の下方に距離2×dだけ移動する。即ち、この滑車118は動滑車として機能している。
【0032】
このとき、図7における右の第2の紐状部材114の端部は、間隔ピン90に固定されており、2枚の移動支持板82,86、その滑車100,102,104も同様に図7における下方向に距離2×dだけ一体となって下方に移動する。それらの下方への移動に伴って、第1の紐状部材106の中間部分が滑車104によって図7の下方に押されて、その滑車104の右側(移動可能支持側)から左側(移動不可支持側)へ滑車104の回転によって第1の紐状部材106が長さ2×dだけ送られ、この滑車104よりも更に右の滑車100よりも左側の第1の紐状部材106に固定された連動部材78及び糸保持部材50は図6の下方に距離4×dだけ移動する。このように、カセット接触体120の移動量が4倍の移動量を生じるように、この移動機構52は構成されている。
【0033】
次に、このミシン10の糸通しフック35を移動する糸通しフック機構55について説明する。上記本出願人の出願に記載のミシンと同様に、図9に示すように、針36の目孔51を進入可能な糸通しフック35と、糸通しフック35を上方に常に付勢する付勢部材136と、針36の目孔51に糸通しフック35を進入、後退する進退機構138と、付勢部材136よる付勢力に抗して、糸通しフック35を下方へ移動する下降力を伝達する伝達位置と、下降力の伝達を遮断した遮断位置との間を移動可能な伝達部材48と、糸カセット44の装着に伴って糸通し棒47を下降するためのカセット挿入部46に設けられたカセット接触体139とを備えている。尚、フック35は、その下側の一部が上方へ向かって凹んでおり、その凹んだ部分で糸を捕捉する。
【0034】
付勢部材136とは糸通し棒47を上方へ常に付勢するための圧縮バネである。進退機構138とは、糸通し棒47に上方に取り付けられた回転部材140(図10参照)、その糸通し棒47から水平方向に突出したピン142等である。この回転部材140によれば、糸カセット44の装着に伴い、糸通し棒47が下降して、その糸通し棒47から突出するピン142が針棒26に固定された高さ調整部材146に当接すると、螺旋溝150により、糸通し棒47及び糸通しフック35が回転し、糸通しフック35が針36の目孔51に進入して、針36の目孔51の反対側から突出する。そして、上記伝達部材48が垂直状態姿勢に近い遮断状態になり、糸通し棒47が付勢部材の付勢力によって上昇すると、糸通しフック35が逆回転して、糸通しフック35が針36の目孔51から後退するものである。上記のように、糸通しフック機構55は上記本出願人の出願に記載のミシンと同様の構成である。
【0035】
伝達部材48は、ガイド軸151を摺動可能に通され、伝達部材48の中央部分は回転可能に支持され、図11に示す伝達位置にあるように巻きバネである付勢部材152によって付勢されている。その伝達位置にあるときには、伝達部材48は垂直姿勢から少し傾いており、その伝達部材48の上端153で、回転部材140の上部の当接部154の上方に接触して、糸通し棒47を下降する力を伝達可能である。また、付勢部材152の付勢力に抗して、伝達部材48が回転され、図12に示す遮断位置に移動すると、伝達部材48の上端153が当接部154から離間する。即ち、糸通し棒47をその付勢部材136の付勢力によって上昇可能な状態とする。この金属製の伝達部材48の上部153には、樹脂の回転部材140の当接部154の保護のための、ABSまたはポリアセテート樹脂が巻かれている。この伝達部材48は、引きバネである付勢部材155によって、常に上方に付勢されているが、糸カセット44の装着によってその付勢力に抗して下方に移動される。
【0036】
このミシン10では、上記本出願人の出願と異なって、伝達部材48と当接して伝達部材48を遮断位置に移動する当接部材158が次のように設けられている。上述の移動機構52が糸保持部材50を所定位置に移動すると、当接部材158が伝達部材48と当接して伝達部材48を遮断位置に移動するように、当接部材158は支持ブロック54に固定されている。即ち、この支持ブロック54はミシンフレーム24に固定されており、この当接部材158は、針棒26や針36の上下動や水平方向の揺動とは関わらず一定の位置にあるように配置されている。糸保持部材50についての所定の位置とは、糸通しフック35が突出する針36の目孔51の反対側において、糸通しフック35が糸Tを捕捉するため、針36の目孔51から突出した糸通しフック35よりも上方の位置である。即ち、針36の目孔51から突出した糸通しフック35に糸Tが交差するように上昇して、糸通しフック35の下側に糸Tを積極的に押し当て、糸Tをわずかに屈曲させている位置である。
【0037】
このミシン10では、上記本出願人の出願と異なって、スリットタイプの天秤32と、その天秤32を挟んで左右に伸展する板状のガイド部材160とが設けられ、天秤32の上方より糸カセット44で水平方向に張られた糸Tが、このガイド部材160の上端に沿って下降すると、その糸Tが天秤32に導かれるように、ミシン10は構成されている。
【0038】
また、このミシン10では、上記本出願人の出願と異なって、糸カセット44には、上記天秤32のためとは別に張られた糸Tがあり、上記糸保持部材50が、糸カセット44の装着に伴って、その別の糸Tを捕捉し、その糸Tが針36の目孔51に向かって下方に移動される。
【0039】
上述のように構成されたミシン10に糸カセット44を装着する際の糸通し動作について説明する。
【0040】
作業者がカセット装着部46に糸カセット44を上方より挿入して、糸カセット44がカセット装着部46の底に到達するまで、下方に糸カセット44を押すだけで、このミシン10では、天秤32への糸かけと針36の目孔51への糸通しが完了する。このとき、糸カセット44の右側の一部がカセット接触体120を押すと共に、糸カセット44の中央側の一部がカセット接触体139を下方へ押す。即ち、糸カセット44を下降へ押すという手動操作によって、糸通し機構38の進退機構138及び移動機構52が手動操作にて動作する。その操作によって、糸通し棒47が下降する。
【0041】
また、糸カセット44の前方において、糸Tが図13の紙面に直交する方向に伸展して張られており、この張られた糸Tが、図13の位置から下降する糸保持部材50によって捕捉される。カセット接触体120が糸カセット44に押されて移動した距離の約4倍の距離を糸保持部材50は移動する。そして、図14に示すように、糸保持部材50は最も下降する。このとき、針36に糸通し可能な所定の上下範囲(図15に上限位置及び下限位置の針36の目孔51に糸通しするために位置する糸通しフック糸保持部材162を図示)のうち、その最下位置に停止する針36の目孔51の反対側から糸通しフック35が突出する位置よりも下方に、移動機構52が糸保持部材50の糸保持腕62,64の2本ともを移動させた後に、進退機構138によって糸通しフック35が、図16に示すように、針36の目孔51の反対側から突出する。尚、図15に示すように、糸保持腕62,64の糸Tを保持する位置は、若干上下にずれているが、その糸保持位置のいずれもが、糸通し可能範囲の最下位置に停止する針36の目孔51の反対側から糸通しフック35が突出する位置よりも下方になる。
【0042】
その針36の目孔51から突出した糸通しフック35よりも上方に2本の糸保持腕62,64を移動させるように、移動機構52は糸保持部材50を上方へ移動する。即ち、針36の目孔51が、図15に示す糸通し可能な上下範囲に位置していれば、その針36の目孔51から突出した糸通しフック35の下方に、糸保持部材50は移動した後に、糸保持部材50は上昇するので、従来のように単に糸Tを張っているだけとは異なり、積極的に糸Tを糸通しフック35に交差するようにしているのである。尚、移動機構52は糸通しに際して、針棒26の上下停止位置や水平方向の揺動位置に関わらず、針36に糸通し可能な所定の上下範囲のうち、その最下位置に停止する針36の目孔51の反対側から糸通しフック35が突出する位置よりも下方に、糸保持部材50を下降させるという一定の移動経路しか持たないので、その移動機構52は簡単な構成ですむのである。
【0043】
この上昇のとき、図14に示す最も下降した位置から、2本の糸保持腕62,64の間に糸通しフック35が挟んだ状態で移動する。その2本の糸保持腕62,64が糸通しフック35よりも上方の所定の位置に、糸保持部材50が移動されると、伝達部材48が当接部材158に当接して、伝達位置から遮断位置に移動して、弾性体の弾性力によって糸通し棒47が上方に上昇する。
【0044】
この上昇過程で、図17に示すように、糸通しフック35は糸通しフック保持部材162に支持されており、左の糸保持腕62の先端部が糸通しフック保持部材162の下部に突き当たり、そのため、移動機構52による糸保持部材50の上昇速度は抑制され、糸保持部材50が針36の目孔51よりも一方的に上方へ移動することはない。即ち、第2の紐状部材114を引き戻すの引きバネ132に対して、糸保持部材50と糸通しフック保持部材162との当接という負荷を加え、その糸保持部材50の上昇の速度を抑制(減少)したのである。この糸保持部材50と糸通しフック糸保持部材162との当接は糸通し棒47が反回転して、糸通しフック35が針36の目孔51から完全に離間するまで継続する。図18に示すように、糸通しフック35が針36の目孔51から後退されて、糸保持部材50と糸通しフック保持部材162との当接は解消し、上記引きバネ132によって第2の紐状部材114が引き戻され、糸保持部材50が速度を上げて上昇する。
【0045】
尚、カセット接触体120は、糸カセット44に押されて所定量移動されると、糸カセット44の移動経路から退避して、上記引きバネ132が効くようになって、第2の紐状部材114が引き戻されて、図7に示すような元の状態に戻る。即ち、糸保持部材50が上昇する。
【0046】
上述した実施の形態においては、糸カセット44を用いたミシン10において、本願発明を実施したが、糸カセット44を用いないミシン10に対して、本願発明を実施しても良い。その場合は糸通し操作レバーを設け、それによって糸通しの手動操作を行い、その手動操作によって糸通し機構38が動作するように構成する。上述した実施の形態においては、ミシンフレーム24に対して水平方向に相対して針36を揺動するミシン10に、本願発明を実施したが、針36を水平方向に揺動しないミシン10に用いても良い。
【0047】
上述した実施に形態においては、水平方向に糸Tを張っているが、上下方向に糸Tを張っても良く、その場合には、水平方向に移動して糸通しフック35と糸Tが交差するようにする。上述した実施に形態では、2本の糸保持腕62,64を移動さいているが、糸通しフック35に糸Tを交差するのであれば、少なくとも一方の糸保持部材50であれば良い。
【0048】
上述した実施に形態においては、動滑車を利用して糸保持部材50を移動したが、糸通しフック35を移動しても良い。また、上述した実施の形態では、細いワイヤーを用いたが、歯無しのベルト、タイミングベルト、ギヤ等を用いても良い。上述した実施に形態では、動滑車を用いているが、紐状部材を同様に移動できるのであれば、単なる円柱等のものであっても良い。
【0049】
上述した実施の形態では、左右方向に針36を揺動するミシン10に本願発明を実施したが、前後方向に針36を揺動するミシン10で実施しても良い。
【0050】
上述した実施の形態においては、糸保持部材50が針36に接近した後の針36の間近の所定範囲において、糸保持部材50が針36に平行に下降し、再び、針36に平行に上昇するように、移動機構52は構成されているが、針36に対して平行でなく、針36に対して斜めに糸保持部材50を移動機構52が移動しても良い。上述した実施の形態においては、糸保持部材50の下降時及び上昇時の両方の移動時に、糸保持部材50を針36に対して平行に移動機構52が移動しているが、下降時或いは上昇時のいずれか一方の移動時のみに、糸保持部材50を針36に対して平行に移動機構52が移動しても良い。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、請求項1記載のミシンの糸通し装置では、ミシンフレームに固定された上下方向に伸長する不動支持板と、不動支持板に対して上下動可能に支持され上下方向に伸長する移動支持板と、移動支持板の上端部と下端部に回転可能に夫々設けられる滑車と、一方端を不動支持板の上端部に、他方端を不動支持板の下端部に夫々止着すると共に、略中間部を滑車の夫々に当接するように略逆N字状に屈曲させて張設される第1の紐状部材と、移動支持板に対して上下動可能に支持され滑車間に張設される第1の紐状部材の上方近傍に連結される連動部材と、連動部材に固定され糸を保持する糸保持部材と、不動支持板に対して上下動可能に支持される可動滑車と、一方端を不動支持板の上端部に、他方端を移動支持板の上端部に夫々止着すると共に、略中間部を可動滑車に当接するように略V字状に屈曲させて張設される第2の紐状部材と、移動支持板と可動滑車とが互いに引き合う方向に付勢するように張架される弾性体とを備えているので、糸保持部材は可動滑車の上下移動に連動して上下移動し、且つ糸保持部材の移動量は可動滑車の移動量より拡大された移動量となる。従って、糸通し機構の移動の操作量を少なくすることができる。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るミシンの全体の外観図である。
【図2】本実施の形態に係るミシンの全体の透視図である。
【図3】本実施の形態に係る糸保持部材及びその移動機構の側面を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る天秤機構等の前面を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る移動機構を取り付ける部品を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る移動機構を構成する部品を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る移動機構を示す全体図である。
【図8】本実施の形態に係る移動機構を示す全体図である。
【図9】本実施の形態に係る伝達部材及び当接部材を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る回転部材を示す図である。
【図11】本実施の形態に係る伝達位置にある伝達部材及び当接部材を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る遮断位置にある伝達部材及び当接部材を示す図である。
【図13】本実施の形態に係る上昇位置にある糸保持部材及び移動機構を示す全体図である。
【図14】本実施の形態に係る最下位置にある糸保持部材及び移動機構を示す全体図である。
【図15】本実施の形態に係る糸通し可能範囲の上限位置及び下限位置の糸保持部材を示す図である。
【図16】本実施の形態に係るフックが針の目孔の反対側から突出した状態を示す図である。
【図17】本実施の形態に係るフック保持部材と糸保持部材とが当接した状態を示す図である。
【図18】本実施の形態に係るフックが針の目孔から後退した状態を示す図である。
【符号の説明】
10 ミシン
24 ミシンフレーム
36 針
48 伝達部材
50 糸保持部材
51 目孔
52 移動機構
106 第1の紐状部材
114 第2の紐状部材
140 回転部材
162 フック保持部材
T 糸
Claims (1)
- 針に対して接近、離間する糸通し機構を有するミシンの糸通し装置において、
ミシンフレームに固定された上下方向に伸長する不動支持板と、
前記不動支持板に対して上下動可能に支持され上下方向に伸長する移動支持板と、
前記移動支持板の上端部と下端部に回転可能に夫々設けられる滑車と、
一方端を前記不動支持板の上端部に、他方端を前記不動支持板の下端部に夫々止着すると共に、略中間部を前記滑車の夫々に当接するように略逆N字状に屈曲させて張設される第1の紐状部材と、
前記移動支持板に対して上下動可能に支持され前記滑車間に張設される前記第1の紐状部材の上方近傍に連結される連動部材と、
前記連動部材に固定され糸を保持する糸保持部材と、
前記不動支持板に対して上下動可能に支持される可動滑車と、
一方端を前記不動支持板の上端部に、他方端を前記移動支持板の上端部に夫々止着すると共に、略中間部を前記可動滑車に当接するように略V字状に屈曲させて張設される第2の紐状部材と、
前記移動支持板と前記可動滑車とが互いに引き合う方向に付勢するように張架される弾性体とを備え、
前記糸保持部材は前記可動滑車の上下移動に連動して上下移動し、且つ前記糸保持部材の移動量は前記可動滑車の移動量より拡大された移動量となることを特徴とするミシンの糸通し装置。
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