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JP4092841B2 - 帯電防止性ハードコート剤、合成樹脂成型品およびプラスチック製光学物品 - Google Patents

帯電防止性ハードコート剤、合成樹脂成型品およびプラスチック製光学物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、主にプラスチック表面上に紫外線等の照射により帯電防止性、耐擦傷性、密着、耐湿性等に優れた被膜を形成する光硬化型の帯電防止性ハードコート剤及びこのハードコート剤を用いて得られる被膜が形成されたプラスチック製光学物品、並びに合成樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂はガラス製品に比較して軽量、強靭性などの特性に優れているばかりでなく、安価で加工が容易であるなどの利点があり、自動車部品、光学部品、光ディスク、有機板ガラス、看板など広い分野で使用されている。しかしながら、これらの合成樹脂は傷が付き易く、また帯電しやすいために埃が付き易いという欠点がある。これらの欠点を改良するために、光硬化性樹脂組成物を塗布し紫外線照射で硬化させて合成樹脂の表面上に架橋硬化膜を形成させる方法が種々検討されている。しかし前記の方法では耐擦傷性は大幅に改善されるものの、摩擦などにより容易に帯電し、埃などが付着して美観を損ねるという問題がある。そのためこれら欠点を改良すべく光硬化性樹脂組成物中に帯電防止剤を添加する方法が種々提案されている。
【0003】
しかしながら光硬化性樹脂組成物中に帯電防止剤を添加する方法において、帯電防止剤としてカチオン、アニオン、ノニオン系などの種々の界面活性剤を添加する場合、又、帯電防止剤としてアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩などの塩を添加する場合、十分な帯電防止性を得るためには添加量を多くする必要がある。この場合、硬化被膜表面に帯電防止剤がブリードするという問題を生じる。
また金属などの導電性フィラーを添加する方法では、帯電防止性に優れるが透明性が損なわれるという欠点がある。また、硬化被膜中の架橋構造に組み込まれるリン酸系(メタ)アクリレートを配合する方法(特公昭60−51511号公報)では、初期の帯電防止性、密着性は良好であるが、耐湿性が不十分である等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような帯電防止剤の配合による副作用、すなわち帯電防止剤の表面へのブリード、透明性の低下、耐湿性の劣化等を実用的に許容できる範囲内に収めることができ、且つハードコートとしての機能(耐擦傷性、表面硬度、耐湿性、耐溶剤・薬品性等)を満足する帯電防止性ハードコート樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決しようとする手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として、(A)
【化2】
Figure 0004092841
の加水分解物(以下化合物2と称する)と金属酸化物微粒子の混合物、(B)多官能アクリレート又はメタクリレート、(C)光重合開始剤を配合してなり、
該金属酸化物微粒子の固形分重量に対し該化合物2が0.5〜40wt%の範囲内である
ことを特徴とする紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物によって達せられることを見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
さらに、前記ハードコート樹脂組成物の硬化被膜が形成されたプラスチック製光学物品、並びに合成樹脂成形品である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に使用する化合物2は帯電防止性に寄与する成分であり、具体的には例えばオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等が使用できる。
【0009】
上記化合物2の加水分解は、純水を添加混合するか、あるいは塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の酸を触媒として添加した酸性水、またはアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の塩基を触媒として添加した塩基性水を添加撹拌すればよい。
水の添加量を制御することにより加水分解の進行度合を調節することができるが、一般には、水添加量は加水分解の対象となる上記化合物の加水分解性基と等モル以上であることが望ましい。また、上記化合物の加水分解にあたり、加水分解の反応系を均一化させる目的で、アルコール類等の溶媒を添加することも可能である。
【0010】
本発明に使用する(A)成分の金属酸化物微粒子は、粒子表面に水酸基を有し、化合物2の加水分解物と脱水縮合反応が可能で、且つ、硬化被膜に表面硬度や耐摩耗性を与える成分である。この金属酸化物微粒子は、通常、金属酸化物が水又は有機溶媒に分散したものであるが、中でも本発明組成物の系への相溶性の面から有機溶媒に分散したコロイド状金属酸化物微粒子が好適に使用される。
【0011】
コロイド状金属酸化物の平均粒子径は、1〜100mμ、特に透明性の点から3〜50mμであることが好適であり、平均粒子径が1mμに満たないものは表面硬度の向上に寄与できない場合がある。また100mμ以上では被膜の透明性が低下する場合がある。しかし表面への凹凸による防眩効果付与を目的とする場合には、100mμ以上の粒子が有効に利用できる。
【0012】
このような金属酸化物微粒子として具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、アンチモン、酸化スズ、酸化タングステン等の1種又は2種以上を使用することができるが、特に経済的に安価で透明性が良好なコロイダルシリカが好ましく用いられる。
上記コロイド状金属酸化物の配合量は、(B)成分100部に対してゾル固形分として20〜150部、特に50〜100部とすることが好ましく、20部以下では表面硬度の向上や硬化収縮の緩和への寄与が不十分となる場合があり、150部以上では被膜が脆くなり過ぎて基材との密着性が低下する場合がある。
【0013】
化合物2の加水分解物と金属酸化物微粒子の混合物(A)の製造方法は、化合物2を前述の方法に従って加水分解した後、金属酸化物微粒子と混合するか、あるいは化合物2と金属酸化物微粒子をあらかじめ混合し、加水分解を行なってもよい。
また化合物2と金属酸化物微粒子の配合比としては、化合物2が金属酸化物微粒子の表面に単分子層を形成する量以上が好ましく、化合物2が金属酸化物微粒子の固形分100に対し、0.5〜40wt%であり、好ましくは1.0〜30wt%である。
【0014】
(A)成分の作用機構としては、金属酸化物微粒子表面の水酸基と4級アンモニウム塩構造含有シラン加水分解物のシラノール基が脱水縮合反応することで、帯電防止に寄与する4級アンモニウム塩が粒子表面に化学的に固定化される。
これをハードコート樹脂に配合すると、帯電防止成分が架橋被膜中に物理的に固定化される状態を実現することが可能で、低分子界面活性剤を配合した場合によく観察される被膜表面へのブリードアウトが極めて抑制され、帯電防止能の耐環境性向上、長期安定化に寄与するものと考えられる。さらに無機微粒子は、ハードコートの架橋構造に寄与しない帯電防止剤配合による表面機械強度の低下を防ぐ機能を有する。
【0015】
本発明に使用する(B)成分の多官能アクリレート又はメタクリレートは、ハードコートとしての表面硬度、耐擦傷性を満たすために(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物が好ましい。たとえばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変成トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変成ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等があげられる。また、(メタ)アクリロイル基を4個有する化合物としては、たとえばトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変成ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等があげられる。
また、(メタ)アクリロイル基を5個有する化合物としては、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変成ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
さらに(メタ)アクリロイル基を6個有する化合物としては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等があげられる。
また、これらの化合物の2種以上の混合物も用いることができる。これらの化合物の中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらを含む混合物は、耐擦傷性の点から特に好ましい。
【0016】
さらに、これらの樹脂に粘度調節用の反応性希釈剤として、比較的低粘度である1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマー及びオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びそのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸等及びそれらの混合物、などを配合することができる。
【0017】
本発明に使用する(C)成分の光重合開始剤としては、ラジカル発生型のベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2、2、−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
前記光重合開始剤の使用量は、重合性樹脂成分100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
【0018】
また、本発明のハードコート層には必要に応じて有機の微粒子を任意に配合することができる。有機微粒子として例えば、粒子内部に適度な架橋構造を有しており、紫外線硬化樹脂やモノマー、溶剤等による膨潤が少ない硬質な微粒子を用いることができる。
例えば、粒子内部架橋タイプのスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、上記の樹脂等を主成分とするミクロゲル等を使用することができる。
【0019】
また必要に応じて、帯電防止性能に影響を与えない範囲で公知の一般的な塗料添加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面スリップ性等を付与するシリコーン系、フッソ系の添加剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加えて、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下に於いても有効な硬化度合を得ることができる。これらの添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部が適当である。
【0020】
本発明のハードコート樹脂組成物を紫外線で硬化させるには、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用でき、フィラーを含まないクリア塗膜の硬化には高圧水銀灯、フィラーを含む場合や厚膜の硬化にはメタルハライドランプが一般的に使用される。また、光重合開始剤を除いた組成で電子線を利用することも可能で、具体的にはコックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線を利用することが好ましい。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
以下に実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部および%は特に断わりのない限り重量基準である。
【0022】
N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド100gに対し、イソプロピルアルコールを37g加え、撹拌した後、0.05N希塩酸29gを約10℃で30分かけて滴下した後、室温で6時間熟成させることによって、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドの加水分解物を製造した。次にN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドの加水分解溶液50gとコロイダルシリカのIPA分散液(IPA−ST:シリカ固形分30wt%, 日産化学社製)200gを混合し、室温で4時間熟成させた。
その後、前記熟成済みの混合液90gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、イソプロピルアルコール26g、光重合開始剤(Darocure 1173、日本チバガイギー社製)3gを混合することによって紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物を製造した。
【0023】
次に前記、紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物を厚さ150μmの両面易接着処理ポリエステルフィルムの片面にワイヤーバーコーティングによって、乾燥膜厚が約5μmとなるように形成した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量約400mJ/m2 の条件で照射し、硬化処理することによって、帯電防止ハードコート膜を作製した。得られたハードコート被膜を下記方法で評価した。
【0024】
鉛筆硬度:異なる硬度の鉛筆を用い、1kg荷重下でJIS K5400で示される試験法での傷の有無を判定した。
【0025】
耐擦傷性:#0000のスチールウールにより、ハードコート膜の表面を400gの荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A:傷の発生が全く認められない。
B:数本の細い傷が認められる。
C:無数の傷が認められる。
【0026】
表面抵抗率(Ω/sq.):ASTM D257の要項に従い、電極端の影響を避けるために、円プローブを使用することにより測定した。
【0027】
高温高湿保存試験:60℃、95%、96時間の保存試験終了後、室温下にて24時間放置した試験片の外観を観察した。
【0028】
得られたハードコートフィルムの鉛筆硬度は3H、耐擦傷性はAであり、ハードコートとしての機械性能は良好であった。初期の表面抵抗率は4×1010Ω/sq.であり、実用的に十分満足できる性能を示した。高温高湿保存試験後も表面抵抗率は7×1010Ω/sq.であり、外観上の劣化(透明性の低下、表面ブリード感等)、及び機械性能の低下も発生せず、良好な性能を保持した。
【0029】
<実施例2>
N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド30gとコロイダルシリカのIPA分散液(IPA−ST:シリカ固形分30wt%, 日産化学社製)200gを混合した後、イソプロピルアルコールを11g加え、撹拌した後、0.05N希塩酸8.7gを約10℃で30分かけて滴下した後、室温で24時間熟成させることによって、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドの加水分解と、この加水分解成生物とコロイダルシリカ微粒子表面の水酸基との脱水縮合反応を同時に行なうことで、帯電防止に寄与する4級アンモニウム塩成分がコロイダルシリカ粒子表面に化学的に固定化させた混合液を製造した。
次に、前記熟成済みの混合液90gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、イソプロピルアルコール26g、光重合開始剤(Darocure 1173、日本チバガイギー社製)3gを混合することによって紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物を製造した。
【0030】
実施例1記載と同様のハードコートの被膜形成、硬化方法及び評価方法により、帯電防止ハードコートとしての性能を調べた。その結果、実施例1と同様に鉛筆硬度は3H、耐擦傷性はAであり、初期の表面抵抗率は6×1010Ω/sq.と実用的に十分満足できる性能を示した。高温高湿保存試験後も表面抵抗率は9×1010Ω/sq.であり、外観上の劣化、及び機械性能の低下も発生せず、良好な性能を保持した。
【0031】
<比較例1>
以下の処方に示すように、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドの加水分解処理を行なわず、単にコロイダルシリカ及び多官能アクリレートオリゴマーに16wt%の量を配合した下記組成物をハードコート塗液とした。
【0032】
N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド 16g
コロイダルシリカのIPA分散液(IPA−ST:シリカ固形分30wt%,日産化学社製) 113g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10g
ペンタエリスリトールトリアクリレート 30g
トリメチロールプロパントリアクリレート 10g
光重合開始剤(Darocure 1173、日本チバガイギー社製) 3g
【0033】
実施例1記載と同様のハードコートの被膜形成、硬化方法で性能評価を行なったところ、鉛筆硬度は3H、耐擦傷性はAであり、初期の表面抵抗率は2×1010Ω/sq.と満足できる性能を示したが、高温高湿保存試験後の表面抵抗率が8×1012Ω/sq.に上昇し、耐環境性が不満足な結果となった。
【0034】
<比較例2>
実施例1のN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド加水分解溶液26.7gと下記処方のコロイダルシリカ分を含有しない紫外線硬化樹脂組成物を混合し、ハードコート塗液を製造した。
【0035】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10g
ペンタエリスリトールトリアクリレート 30g
トリメチロールプロパントリアクリレート 10g
光重合開始剤(Darocure 1173、日本チバガイギー社製) 3g
イソプロピルアルコール 35g
【0036】
実施例1と同等の方法でハードコート被膜を形成し、評価した。その結果、初期の表面抵抗率は3×108 Ω/sq.と満足できる性能を示したが、鉛筆硬度は2H、耐擦傷性はBであり、機械特性が若干低下した。また高温高湿保存試験後の塗膜表面にはぬめり感が発生し、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド成分の表面ブリードが見られた。
【0037】
【発明の効果】
上述の実施例の説明からも明らかなように、金属酸化物微粒子表面に4級アンモニウム塩構造含有シランを化学的に固定することで、帯電防止成分がハードコート架橋被膜中に物理的に固定化される状態を実現することができる。その効果として、帯電防止成分のハードコート被膜表面へのブリードアウトが極めて少なく、帯電防止能の耐環境性向上、長期安定化を達成することができる。

Claims (3)

  1. (A)
    Figure 0004092841
    の加水分解物(以下化合物1と称する)と金属酸化物微粒子の混合物、(B)多官能アクリレート又はメタクリレート、(C)光重合開始剤を配合してなり、
    該金属酸化物微粒子の固形分重量に対し該化合物1が0.5〜40wt%の範囲内である
    ことを特徴とする紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物。
  2. 請求項1のハードコート樹脂組成物の硬化被膜が形成された合成樹脂成形品。
  3. 請求項2の合成樹脂成形品が光学部材である事を特徴とするプラスチック製光学物品。
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