JP4063383B2 - 酸化触媒及びそれを用いた酸化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機基質を効率よく酸化する上で有用な酸化触媒、この酸化触媒を用いて有機基質を酸化する方法、及びケトン化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成上及び環境保護の点から、酸化剤として分子状酸素を用いて有機基質を酸化し、対応する酸化化合物を得る方法が注目され、種々検討されている。
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 23(1984)453、及びJ. Chem. Soc. A (1971)1321には、シクロヘキセンなどのシクロアルケン類が、ベンゾキノンの存在下、パラジウム(II)触媒によりアリル位がアセトキシル化され、3−アセトキシ−1−シクロアルケンに転化されることが記載されている。この酸化反応では、ベンゾキノンは、酸化サイクルにおいて還元されたパラジウム(0)をパラジウム(II)に変換する化学量論的再酸化剤として用いられている。
J. Org. Chem. 55(1990)975には、触媒量のベンゾキノンの存在下、生成するヒドロキノンをベンゾキノンに変換するための脱水素化剤として二酸化アンガンを用いて、シクロヘキセンをアセトキシル化する方法が開示されている。また、J. Org. Chem. 55(1990)5674には、酸化剤として分子状酸素を用い、パラジウム(II)を触媒とするオレフィン及びジエンのアセトキシル化反応において、ベンゾキノンと酢酸銅(II)とを組み合わせて使用する方法が開示されている。
Chem. Lett. (1993)1699、及びJ. Org. Chem. 58(1993)6421には、ベンジルアミン類及びベンジルアルコール類を、ヘテロポリ酸塩(リンバナドモリブデン酸塩)の存在下、分子状酸素により酸化すると、それぞれ、シッフベースイミン及びカルボニル化合物が得られることが報告されている。また、リンバナドモリブデン酸塩を触媒とする分子状酸素を用いた酸化反応の研究により、ヒドロキノン類が、ヘテロポリ酸塩の作用により、分子状酸素で脱水素化されてキノン類に変換されることが明らかにされている[J. Org. Chem. 58(1993)6421]。
【0003】
Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 114(1996)113には、上記の一連の研究をふまえ、パラジウム(II)を触媒とするアルケン類の酸化反応において、酸化サイクルで生成するパラジウム(0)を再酸化するための再酸化系として、ヒドロキノン類/ヘテロポリ酸塩/酸素を用いた検討がなされている。そして、2価のパラジウム化合物、ヒドロキノン類及びヘテロポリ酸塩で構成された触媒系を用いると、分子状酸素により、シクロアルケンのアセトキシル化反応、アルケン(例えば、シクロヘキセン、スチレンなど)のワッカー型反応、モノ置換アルケンのアセタール化反応などが円滑に進行することが報告されている。また、この文献には、2価のパラジウム化合物やヘテロポリ酸塩を活性炭に担持した形態で用いた例も開示されている。なお、活性炭として、比表面積1450m2/g、細孔サイズ(容積):15〜25オングストローム(0.58ml/g)(和光純薬工業(株)製)の活性炭が用いられている。
しかし、上記の方法は、工業的な見地からすれば、目的酸化生成物の収率の点で必ずしも満足しうるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、有機基質を効率よく酸化できる酸化触媒及び酸化方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、シクロアルケン又はアルケンから対応するケトンを収率よく得る方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、2価のパラジウム化合物とヘテロポリ酸又はその塩とで構成された触媒において、触媒成分を特定の活性炭に担持すると、酸化生成物の収率が著しく向上することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)2価のパラジウム化合物と(B)ヘテロポリ酸又はその塩とで構成された酸化触媒であって、少なくとも一方の触媒成分が、イオウ(S)含有量0〜0.07重量%のポリマー系原料から得られた活性炭に担持されている酸化触媒を提供する。本発明は、また、上記の酸化触媒の存在下、有機基質を分子状酸素で酸化する酸化方法を提供する。本発明は、さらにまた、上記の酸化触媒の存在下、アルケン又はシクロアルケンを分子状酸素で酸化し、対応するケトンを生成させるケトンの製造法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の酸化触媒は、触媒成分として(A)2価のパラジウム化合物と、(B)ヘテロポリ酸又はその塩とを含んでいる。
【0007】
[2価のパラジウム化合物(A)]
2価のパラジウム化合物(A)としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、シアン化パラジム(II)などの有機酸塩;ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)などの有機錯体;フッ化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)などのハロゲン化物;硝酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)などの酸素酸塩;酸化パラジウム(II);硫化パラジウム(II);セレン化パラジウム(II);水酸化パラジウム(II);テトラアンミンパラジウム(II)塩化物などの無機錯体などが例示できる。
【0008】
好ましい2価のパラジウム化合物には、酢酸パラジウム(II)などの有機酸塩又は有機錯体、塩化パラジウム(II)などのハロゲン化物、硫酸パラジウム(II)等の酸素酸塩などが含まれる。なかでも、酢酸パラジウム(II)などの有機酸塩が好ましい。
2価のパラジウム化合物(A)は、単独で又は2以上を混合して使用することができる。
【0009】
[ヘテロポリ酸又はその塩(B)]
ヘテロポリ酸とは、種類の異なる2種以上の中心イオンを含む酸素酸の縮合物であり、異核縮合酸ともいう。ヘテロポリ酸は、例えば、P、As、Sn、Si、Ti、Zrなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸など)と、V、Mo、Wなどの元素の酸素酸イオン(例えば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸など)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。
【0010】
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸のヘテロ原子は特に限定されず、例えば、Cu、Be、B、Al、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Ce、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、U、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Ptなどが例示できる。好ましいヘテロポリ酸は、P、Si、V、Mo、Wの少なくとも一種の元素を含有しており、さらに好ましくはPと、V、Mo及びW(特に、V及びMo)から選択された少なくとも1つの元素とを含有している。特に好ましいヘテロポリ酸は、構成元素として少なくともPとVとを含んでいる。
【0011】
ヘテロポリ酸又はその塩を構成するヘテロポリ酸アニオンとして、下記組成式で表されるアニオンが例示できる。
XM12O40、XM10O34、XM12O42、XM11O39、XM10Om、XM9O32、XM6O24、X2M18O62、X2M18O56、X2M12O42、X2M17Om、XM6Om
式中、Xは、B、Si、P、C、Al、Nなどの元素を示す。Mは、Mo、W、V、Nb、Ta、Cr、Uなどの元素を示す。mは15〜80の整数を示す。好ましいXは、B、Si、Pなどの元素であり、好ましいMは、Mo、W、Vなどの元素である。なお、Mは、一種類の元素に制限されるものではなく、二種以上の元素であってもよい。
mは、M及びXの価数に応じて15〜80程度の範囲から選択でき、通常、組成式「XM10Om」で表されるヘテロポリ酸アニオンでは25〜35程度、組成式「X2M17Om」で表されるヘテロポリ酸アニオンでは60〜80程度、組成式「XM6Om」で表されるヘテロポリ酸アニオンでは15〜25程度である。
【0012】
好ましいヘテロポリ酸アニオンの組成は、XM12O40で表すことができる。この組成式において、Xは、Si、Pなどの元素であり、Mは、Mo、W、Vなどの元素である。このような組成を有するヘテロポリ酸アニオンとして、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸のアニオンなどが例示できる。特に好ましいヘテロポリ酸アニオンは、リンモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、リンバナドタングステン酸のアニオンであり、なかでもリンバナドモリブデン酸アニオンが好ましい。
【0013】
ヘテロポリ酸は、遊離のヘテロポリ酸として十分に高い活性を示すが、ヘテロポリ酸のカチオンに相当する水素原子の少なくとも一部を他のカチオンで置換して、ヘテロポリ酸の塩として使用することもできる。ヘテロポリ酸の塩とすることにより、例えば不溶化し、安定性や耐熱性が向上して、触媒としてより有用性が増大する場合がある。前記置換可能なカチオンとしては、特に限定されず、例えば、アンモニウム(NH4など)、アルカリ金属(Cs、Rb、K、Na、Liなど)、アルカリ土類金属(Ba、Sr、Ca、Mgなど)などが例示できる。特に、ヘテロポリ酸の水素原子の一部をNH4で置換し、カチオンをHとNH4との双方で構成した場合には、触媒活性や安定性がより向上する。この場合、Hに対するNH4の割合は、NH4/H(モル比)=0.1〜10、好ましくは0.2〜8、さらに好ましくは0.3〜5程度である。
ヘテロポリ酸及びその塩は、単独で用いてもよいが、2種以上を併用することもできる。ヘテロポリ酸又はその塩は、慣用の方法により調製できる。
【0014】
前記ヘテロポリ酸又はその塩のなかでも、下記式で表されるリンバナドモリブデン酸又はその塩が好適に用いられる。
A3+n[PVnMo12-nO40]
(式中、Aは、ヘテロポリ酸カチオンを表し、nは1〜10の整数である)
Aで表されるカチオンとしては、水素原子のほか、前記のカチオンが例示できる。nの値は、酸化力、安定性を考慮して適宜選択することができ、好ましくは4〜10(例えば、4〜8)、より好ましくは5〜8程度である。ヘテロポリ酸カチオンをHと他のカチオン(例えばNH4など)とで構成する場合、nの値は4〜10程度である場合が多い。
【0015】
また、好ましいヘテロポリ酸又はその塩には、N、P、Mo及びVの平均原子比が、N/P/Mo/V=1〜12/1/2〜8/4〜10であるリンバナドモリブデン酸又はそのアンモニウム塩の混合物が含まれる。前記平均原子比は、好ましくは、N/P/Mo/V=2〜10/1/2.5〜7/5〜9.5であり、さらに好ましくは、N/P/Mo/V=3〜8/1/3〜5/6〜9である。このようなヘテロポリ酸又はその塩は、例えば、メタバナジン酸ナトリウムなどのメタバナジン酸塩と、モリブデン酸ナトリウムなどのモリブデン酸塩と、リン酸とを反応させ、次いで塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を加えることにより調製できる。N、P、Mo及びVの平均原子比は、例えば、前記メタバナジン酸塩、モリブデン酸塩、リン酸及びアンモニウム塩の使用量を調整することによりコントロールできる。
【0016】
[活性炭]
活性炭中には、通常、原料や製造条件により、種々の不純物、例えば、塩素、ケイ素、アルミニウム、リン、イオウ、カリウム、カルシウム、鉄、チタン、ナトリウム、マグネシウムなどが含まれている。
本発明者は、触媒の担体として用いる活性炭中の不純物と、本酸化触媒の触媒活性との関連について検討した結果、活性炭中のイオウ(S)含有量が触媒活性に大きな影響を与えることを見いだした。すなわち、本発明の酸化触媒の主たる特徴は、酸化触媒を構成する前記(A)及び(B)の2種の触媒成分のうち少なくとも1種の触媒成分が、イオウ(S)含有量0〜0.07重量%の活性炭に担持されている点にある。
【0017】
活性炭に含まれるイオウ含有量が0.15重量%を越えると、触媒活性が大幅に低下する。活性炭に含まれるイオウ含有量は0〜0.07重量%であり、少ないほど望ましい。
【0018】
また、活性炭中の他の不純物の含有量に関しては、次の通りである。すなわち、活性炭中の塩素(Cl)の含有量は、通常0〜1重量%程度であるが、好ましくは0〜0.5重量%、さらに好ましくは0〜0.3重量%、特に好ましくは0〜0.1重量%程度である。ケイ素(Si)の含有量は、通常0〜8重量%程度であるが、好ましくは0〜1重量%、さらに好ましくは0〜0.2重量%、特に好ましくは0〜0.1重量%程度である。アルミニウム(Al)の含有量は、通常0〜3重量%程度であるが、好ましくは0〜0.5重量%、さらに好ましくは0〜0.01重量%程度であり、特に、0〜0.005重量%程度であるのが好ましい。塩素、ケイ素、及びアルミニウムの含有量は少ないほど好ましい。
【0019】
活性炭としては、植物系、鉱物系、ポリマー系の原料から得られた活性炭が挙げられる。植物系の原料には、木材、鋸屑、木炭、素灰、ヤシ殻やクルミ殻などの植物殻及びその炭化物、果実種子、リグニン、パルプ製造副生物、製糖廃物、廃糖蜜及びこれらの炭化物などが含まれる。鉱物系の原料には、泥炭、草炭、リグナイト(亜炭、褐炭)、レキ青炭、無煙炭 、コークス、コールタール、石油、石炭ピッチ、石油蒸留残渣、石油ピッチなどが含まれる。また、ポリマー系の原料には、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン樹脂などの熱可塑性樹脂;レーヨン;セルロースなどが含まれる。好ましい活性炭には、植物系原料(例えば、ヤシ殻などの植物殻及びその炭化物など)、及びポリマー系原料(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂等)から得られた活性炭が含まれる。特にポリマー系原料から得られた活性炭を用いると、触媒活性が著しく向上する。植物系原料及びポリマー系原料(特にポリマー原料)から得られた活性炭は、イオウや、塩素、ケイ素、アルミニウムの含有量が小さい場合が多い。本発明では、ポリマー系の原料から得られた活性炭を用いる。
【0020】
活性炭は、一般に、炭化、整粒した原料を、水蒸気、空気(酸素)及び燃焼ガス(CO2)によって賦活するガス賦活法、又は、原料に塩化亜鉛水溶液などを含浸させて焼成する薬品賦活法等により製造される。本発明における活性炭は、前記何れの方法によって製造されてものであってもよい。活性炭の形状は、特に限定されず、粉末状、粒状、繊維状、ペレット状、ハニカム状等の何れの形状であってもよい。
【0021】
活性炭の平均細孔径は、触媒活性が損なわれない範囲であればよく、例えば8〜100オングストローム、好ましくは8〜60オングストローム程度である。なお、平均細孔径30〜60オングストローム程度の活性炭を用いると、優れた活性が得られる場合が多い。平均細孔径が小さすぎると、触媒活性が低下しやすく、逆に大きすぎると、触媒寿命が低下しやすい。
活性炭の細孔容積(細孔径200オングストローム未満のポアの細孔容積)は、通常0.2〜2.5ml/g程度であるが、触媒活性の点から、好ましくは0.7〜2.5ml/g、さらに好ましくは0.8〜2.0ml/g(例えば、0.8〜1.5ml/g)程度である。
活性炭の比表面積は、通常500〜4000m2/g程度であるが、好ましくは1000〜4000m2/g程度であり、特に比表面積が2000〜4000m2/g(例えば、2000〜3000m2/g)程度の活性炭を用いると、より高い触媒活性が得られる。
【0022】
前記活性炭には、前記2種の触媒成分のうち一方の成分のみが担持されていてもよく、また、両成分が担持されていてもよい。両成分を活性炭に担持する場合、同一の活性炭に2つの触媒成分を担持してもよく、それぞれの触媒成分を担持した活性炭を混合してもよい。すなわち、本発明の酸化触媒の態様には、(i)2価のパラジウム化合物(A)を前記活性炭に担持する態様、(ii)ヘテロポリ酸又はその塩(B)を前記活性炭に担持する態様、(iii)2価のパラジウム化合物(A)を担持した活性炭と、ヘテロポリ酸又はその塩(B)を担持した活性炭とを混合して用いる態様、及び(iv)同一の活性炭に、2価のパラジウム化合物(A)とヘテロポリ酸又はその塩(B)とを担持する態様が存在する。なかでも、前記(ii)及び(iv)の態様、特に(iv)同一の活性炭に2価のパラジウム化合物(A)とヘテロポリ酸又はその塩(B)とを担持した態様が好ましい。
【0023】
触媒成分の総担持量は、活性炭に対して、通常0.5〜80重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜20重量%程度である。
触媒成分の担持は、慣用の方法、例えば、含浸法、コーティング法、噴霧法、吸着法、沈殿法などにより行うことができる。なお、触媒成分を活性炭に担持した後、反応器の種類や反応形式等に応じて、触媒を適当な形状、例えば、球状、円柱状、多角柱状、ハニカム状などに成形することもできる。
【0024】
[他の触媒成分]
本発明の酸化触媒は、前記2価のパラジウム化合物(A)及びヘテロポリ酸又はその塩(B)に加えて、他の触媒成分を含んでいてもよい。このような触媒成分として、例えば、ジオキシベンゼン類又はその酸化体(C)、プロトン酸(D)などが挙げられる。これらの触媒成分を併用すると、有機基質や反応の種類により、酸化反応が促進される場合がある。
【0025】
ジオキシベンゼン類又はその酸化体(C)は、本発明の酸化触媒を、例えば、後述のアシルオキシ化反応(iii)に用いる場合などに特に有用である。ジオキシベンゼン類又はその酸化体(C)は、酸化サイクルにおいてレドックス剤として作用するものと推測される。ジオキシベンゼン類(C)には、置換基を有していてもよいジオキシベンゼン、及びジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドックス系における上記ジオキシベンゼンの等価体が含まれる。なお、ジオキシベンゼンには、2つのヒドロキシル基が1つのベンゼン環に結合した化合物のほか、2つのヒドロキシル基が異なるベンゼン環に結合したジオキシポリフェニル化合物も含まれる。前記ジオキシベンゼンとして、例えば、ヒドロキノン(p−ジオキシベンゼン)、カテコール(o−ジオキシベンゼン)、ジオキシビフェニルなどが挙げられる。
【0026】
ジオキシベンゼンが有していてもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルなどのアルキル基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルキル基);トリフルオロメチルなどのハロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜4程度のハロアルキル基);ヒドロキシル基;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルコキシ基);フェノキシなどのアリールオキシ基;メルカプト基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルキルチオ基);フェニルチオなどのアリールチオ基;アセチル、ベンゾイルなどのアシル基(好ましくは、炭素数1〜10程度のアシル基);カルボキシル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、フェニルオキシカルボニルなどの置換オキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜11程度の置換オキシカルボニル基);置換又は無置換アミノ基;フェニル、ナフチルなどのアリール基などが挙げられる。又、置換基を有するジオキシベンゼンには、ジオキシベンゼンのベンゼン環に、ベンゼン環などの炭素環又は複素環が縮合した縮合環化合物も含まれる。
【0027】
ジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドックス系におけるジオキシベンゼンの等価体とは、酸化反応条件下においてベンゾキノンに変換可能なジオキシベンゼンの類縁体を意味する。このようなジオキキベンゼン類縁体として、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのジオキシベンゼンモノアルキルエーテル;ヒドロキノンジメチルエーテルなどのジオキシベンゼンジアルキルエーテル;アミノフェノール;ジアミノベンゼンなどが挙げられる。これらの化合物も前記置換基を有していてもよい。これらのジオキシベンゼン類縁体は、通常酸性条件下での酸化によりベンゾキノンに変換される。
【0028】
好ましいジオキシベンゼン類(C)には、ヒドロキノン、クロロヒドロキノンなどの、置換基(例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基など)を有していてもよいヒドロキノンなどが含まれる。
【0029】
前記ジオキシベンゼン類の酸化体とは、酸化反応条件下においてジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドックス系を構成する前記ジオキシベンゼン類に対応する酸化体を意味する。例えば、該酸化体として、P−ベンゾキノン(ヒドロキノンに対応)、o−ベンゾキノン(カテコールに対応)、クロロベンゾキノン(クロロヒドロキノンに対応)などが挙げられる。
ジオキシベンゼン類又はその酸化体(C)は、単独で又は2以上を混合して使用できる。
【0030】
なお、本発明の酸化触媒は、ジオキシベンゼン類又はその酸化体(C)を含まなくても高い酸化活性を示す。特に、本発明の酸化触媒を後述のワッカー型の反応(i)に用いる場合には、ジオキシベンゼン類又はその酸化体(C)を用いなくても、高い収率で、酸化生成物であるケトンを得ることができる。
【0031】
前記プロトン酸(D)は、本発明の酸化触媒を、例えば、後述のワッカー型の反応(i)やアルケンのアセタール化反応(ii)に用いる場合に特に有用である。
【0032】
プロトン酸(D)には、無機酸及び有機酸が含まれる。無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、及び対応するハロゲン化水素酸)、リン酸、ホウ酸などが挙げられる。有機酸としては、脂肪族カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸などのアルカン酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸などのハロアルカン酸など)、脂環式カルボン酸(例えば、シクロヘキサンカルボン酸など)、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸など)などのカルボン酸;アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸など)、ハロアルキルスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸など)などのスルホン酸などが挙げられる。プロトン酸(D)として陽イオン交換樹脂(例えば、スルホン酸型イオン交換樹脂などの強酸性イオン交換樹脂など)を用いることもできる。
【0033】
好ましいプロトン酸(D)には、例えば、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素(ハロゲン化水素酸を含む)、リン酸などの無機酸;アルキルスルホン酸、ハロアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸などのスルホン酸;トリクロロ酢酸などのハロアルカン酸などが挙げられる。前記プロトン酸(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
[酸化方法]
本発明の酸化方法では、前記酸化触媒の存在下、有機基質を分子状酸素で酸化する。
有機基質としては、非芳香族性不飽和化合物、例えば、アルケン、シクロアルケンなどが挙げられる。
【0035】
アルケンとして、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン、1−トリアコンテンなどの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜30程度(好ましくは2〜20程度)のアルケンなどが挙げられる。アルケンには、アルカポリエン類(例えば、ブタジエンなどのアルカジエン等)も含まれる。
【0036】
また、シクロアルケンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、シクロオクタデセンなどの炭素数3〜30程度のシクロアルケンなどが挙げられる。シクロアルケンには、シクロアルカジエンなどのシクロアルカポリエン類も含まれる。
【0037】
これらの化合物は、分子内に種々の置換基を有していてもよい。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シリルオキシ基など)、メルカプト基、置換チオ基(例えば、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(例えば、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基などが挙げられる。
置換基を有するアルケンの具体例として、例えば、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体;アクリル酸エチルなどのα,β−不飽和エステル;アクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクロレインなどのα,β−不飽和アルデヒド;アクロレインジエチルアセタールなどのα,β−不飽和アセタール;ビニルメチルケトンなどのα,β−不飽和ケトンなどが挙げられる。
【0038】
有機基質の酸化に用いられる分子状酸素は、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。
分子状酸素の使用量は、有機基質の種類などに応じて選択でき、通常、有機基質1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。有機基質に対して過剰モルの分子状酸素を用いる場合が多い。
【0039】
2価のパラジウム化合物(A)の使用量は、例えば、有機基質1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.02〜0.2モル程度である。ヘテロポリ酸又はその塩(B)の使用量は、例えば、有機基質1モルに対して、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モル、さらに好ましくは0.002〜0.05モル程度である。ジオキシベンゼン類(C)を用いる場合、その使用量は、例えば、有機基質1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.6モル、さらに好ましくは0.01〜0.4モル程度である。プロトン酸(D)を使用する場合、その使用量は、例えば、有機基質1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.3モル程度である。
【0040】
反応は、溶媒の存在下または非存在下の何れで行ってもよい。溶媒は、有機基質及び目的生成物の種類等により適当に選択できる。前記溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの鎖状または環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。
【0041】
反応温度は、有機基質や反応の種類などに応じ、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜100℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。
【0042】
本発明の酸化方法は、例えば、(i)アルケン又はシクロアルケンから対応するケトンを生成させるワッカー型の反応、(ii)アルケンから対応するアセタール化合物を生成させるアセタール化反応、(iii)アルケン又はシクロアルケンのアシルオキシ化反応(例えば、アセトキシル化反応等)などの諸反応に適用できる。
【0043】
ワッカー型の反応(i)は水の存在下で行われる。この反応では、有機基質としてアルケンを用いると、対応するオキソアルカン(脂肪族ケトン)が生成する。なお、アルケンのうち末端オレフィンを用いると、対応するメチルケトンが得られる。より具体的には、1−デセン及びスチレンからは、それぞれ、メチルオクチルケトン及びアセトフェノンが生成する。また、有機基質としてシクロアルケンを用いると、対応するシクロアルカノン、及び反応条件によりシクロアルケノンが生成する。例えば、シクロヘキセンからは、シクロヘキサノンと、条件によりシクロヘキセノンが得られる。
【0044】
水の量は触媒量であってもよく、また、有機基質に対して過剰モル存在していてもよい。例えば、水の使用量は、有機基質1モルに対して0.1〜1000モル、好ましくは1〜100モル程度である。この反応では、反応を促進させるため、通常、系内に前記プロトン酸(D)を存在させる場合が多い。
【0045】
前記アセタール化反応(ii)はアルコールの存在下で行われる。この反応では、通常、有機基質として、二重結合を構成する炭素原子に電子吸引基(例えば、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ホルミル基、アセタール基、アシル基など)が結合した末端オレフィンが用いられ、前記電子吸引基が結合した炭素原子の隣の炭素原子がアセタール化された化合物が生成する。具体的には、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、アクロレイン及びアクロレインジエチルアセタールをエタノールの存在下で酸化すると、それぞれ、3、3−ジエトキシプロピオン酸エチル、3,3−ジエトキシプロピオニトリル、1,1,3,3−テトラエトキシプロパン及び1,1,3,3−テトラエトキシプロパンが生成する。
【0046】
前記アルコールとしては、メタノール、エタノールなどの1価アルコール;プロピレングリコールなどの2価アルコールなどが挙げられる。アルコールの使用量は、通常、有機基質1モルに対して、1価アルコールの場合は2モル以上、2価アルコールの場合は1モル以上である。アルコールは、有機基質に対して過剰量使用することが多く、反応溶媒として使用することもできる。
なお、この場合にも、反応速度を早くするため、系内にプロトン酸(D)を存在させてもよい。
【0047】
前記アシルオキシ化反応(iii)は、通常、カルボン酸と塩基との存在下で行われる。この反応では、アルケン、シクロアルケンから、アリル位に、前記カルボン酸に対応するアシルオキシ基が導入された不飽和化合物が生成する。具体的には、例えば、シクロペンテンを酢酸及び塩基の存在下で酸化すると、1−アセトキシ−2−シクロペンテンが生成する。また、有機基質として1,3−アルカジエンを用いた場合には、1,4−ジアシルオキシ−2−アルケンが生成する。例えば、ブタジエンを酢酸及び塩基の存在下で酸化すると、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンが得られる。
【0048】
前記カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸などの脂肪族、脂環式または芳香族カルボン酸が挙げられる。前記塩基には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウムなど)の水酸化物、炭酸塩などの無機塩基;トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基などが含まれる。なお、カルボン酸と塩基とを個別に添加する代わりに、カルボン酸と塩基との塩を系内に添加してもよい。
カルボン酸の使用量は、通常、有機基質に対して1モル以上である。カルボン酸を反応溶媒として用いることもできる。塩基の使用量は、例えば、有機基質1モルに対して、0.01〜1モル、好ましくは0.05〜0.5モル程度である。
【0049】
反応により生成した酸化生成物は、慣用の分離手段、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより容易に分離精製できる。
本発明の酸化触媒は、触媒成分をイオウ含有量の低い活性炭に担持しているので、極めて高い触媒活性を示し、例えば、アルケンやシクロアルケンなどの有機基質から、対応するケトンなどを、温和な条件下、高い収率で効率よく生成させることができる。そのため、工業的な酸化触媒として極めて有用である。
【0050】
【発明の効果】
本発明の酸化触媒及び酸化方法によれば、有機基質を効率よく酸化できる。
また、本発明の製造法によれば、シクロアルケン又はアルケンから対応するケトンを収率よく得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1
NaVO3(7.32g、60ミリモル)の水溶液(水:38ml)に、Na2MoO4・2H2O(8.22g、34ミリモル)の水溶液(水:12ml)を加えた。得られた水溶液に、85%リン酸(7.6g、66ミリモル)を水(10ml)に溶解した溶液を加え、95℃で1時間撹拌した。混合溶液を0℃まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液150mlを加え、褐色の沈殿物を得た。この沈殿物を濾別し、水で再結晶した。結晶を分析したところ、NとPとMoとVの平均原子比は、N/P/Mo/V=5.0/1.0/4.0/7.8であり、プロトンの一部がアンモニウムカチオンで置換されたリンバナドモリブデン酸塩の混合物(以下、NPMoVと略記する)であることがわかった。
Pd(OAc)2(0.44g)をアセトン(150ml)に溶解し、活性炭A(クラレコールBP−25、クラレケミカル(株)製;比表面積2420m2/g;細孔容積1.20ml/g;平均細孔径8〜24オングストローム;比重0.264;pH値7;ベンゼン吸着力90重量%;メチレンブルー脱色力380ml/g;塩素含有量0.092重量%;ケイ素含有量0.03重量%;アルミニウム含有量1ppm以下;イオウ含有量0.04重量%;粒度8〜24メッシュ;原料:フェノール樹脂)を10.26g加えた。室温で一晩撹拌した後、Pd(OAc)2/Cを濾別し、減圧下、60℃で乾燥した。このPd(OAc)2/C(10.7g)を水150mlに懸濁し、これに上記で得られたNPMoV(0.7g)を加え、室温で30分激しく撹拌した。固体を濾別し、水洗し、減圧下、90℃で乾燥することにより、[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cがほぼ定量的に得られた。Pd(OAc)2及びNPMoVの担持量は、それぞれ、4.1重量%及び6.3重量%であった。
【0052】
調製例2
活性炭として、活性炭B(和光純薬(株)製;比表面積1450m2/g;細孔容積0.58ml/g;平均細孔径15〜25オングストローム;比重0.53;塩素含有量0.091重量%;ケイ素含有量0.28重量%;アルミニウム含有量500ppm;イオウ含有量0.18重量%;粒度10〜32メッシュ;原料:ヤシ殻;賦活法:薬品)を用いた以外は、調製例1と同様にして、[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cを調製した。
【0053】
調製例3
活性炭として、活性炭C(スターコールW−AC、北炭化成(株)製;比表面積1100m2/g;細孔容積0.7ml/g;平均細孔径30オングストローム;比重0.38〜0.42;pH値5.5;ベンゼン吸着力30重量%;メチレンブルー脱色力120ml/g;塩素含有量0.049重量%;ケイ素含有量0.01重量%;アルミニウム含有量1000ppm;イオウ含有量0.22重量%;粒度8〜32メッシュ;原料:石炭系)を用いた以外は、調製例1と同様にして、[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cを調製した。
【0054】
調製例4
活性炭に代えてシリカゲルを用いた以外は、調製例1と同様にして、[Pd(OAc)2−NPMoV]/SiO2を調製した。
【0055】
調製例5
活性炭に代えてアルミナを用いた以外は、調製例1と同様にして、[Pd(OAc)2−NPMoV]/Al2O3を調製した。
【0056】
実施例1
シクロペンテン(2ミリモル)、調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/C(490mg)、メタンスルホン酸(0.2ミリモル)、及びエタノール/水(9.5ml/0.5ml)をガラス製フラスコに入れ、混合物を、酸素雰囲気下(1気圧)、温度50℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(8ml)を加えた後、ヘキサン(15ml)で4回抽出した。抽出液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、水(15ml)で2回洗浄した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付したところ、シクロペンタノンと、2−シクロペンテン−1−オンとが得られた。シクロペンタノンの収率は93.2%、2−シクロペンテン−1−オンの収率は2.75%であった。
【0057】
比較例1
調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cに代えて、調製例2で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cを用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。その結果、シクロペンタノンの収率は13.5%、2−シクロペンテン−1−オンの収率は7.63%であった。
【0058】
比較例2
調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cに代えて、調製例3で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cを用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。その結果、シクロペンタノンの収率は8.70%、2−シクロペンテン−1−オンの収率は8.33%であった。
【0059】
比較例3
調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cに代えて、調製例4で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/SiO2を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、反応は全く進行しなかった。
【0060】
比較例4
調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cに代えて、調製例5で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Al2O3を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、反応は全く進行しなかった。
【0061】
実施例2
ブタジエン(0.2ml)、調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/C(490mg)、ヒドロキノン(0.4ミリモル)、炭酸ナトリウム(0.5ミリモル)及び酢酸(10ml)をガラス製フラスコに入れ、混合物を、酸素雰囲気下(1気圧)、温度60℃で20時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(8ml)を加えた後、ヘキサン(15ml)で4回抽出した。抽出液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、水(15ml)で2回洗浄した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付したところ、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンが収率42.7%で得られた。
【0062】
比較例5
調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cに代えて、調製例4で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/SiO2を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。その結果、反応は全く進行しなかった。
【0063】
比較例6
調製例1で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Cに代えて、調製例5で調製した[Pd(OAc)2−NPMoV]/Al2O3を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。その結果、反応は全く進行しなかった。
Claims (7)
- (A)2価のパラジウム化合物と(B)ヘテロポリ酸又はその塩とで構成された酸化触媒であって、少なくとも一方の触媒成分が、イオウ(S)含有量0〜0.07重量%のポリマー系原料から得られた活性炭に担持されている酸化触媒。
- ヘテロポリ酸又はその塩(B)が、構成元素として、Pと、V、Mo及びWから選択された少なくとも1つの元素とを含んでいる請求項1記載の酸化触媒。
- ヘテロポリ酸又はその塩(B)が、下記式
A3+n[PVnMo12-nO40]
(式中、Aは水素原子、NH4、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を示し、nは1〜10の整数である)
で表されるリンバナドモリブデン酸又はその塩である請求項1又は2記載の酸化触媒。 - ヘテロポリ酸又はその塩(B)が、N、P、Mo及びVの平均原子比N/P/Mo/V=1〜12/1/2〜8/4〜10のリンバナドモリブデン酸又はそのアンモニウム塩の混合物である請求項1又は2記載の酸化触媒。
- 請求項1記載の酸化触媒の存在下、有機基質を分子状酸素で酸化する酸化方法。
- 有機基質がアルケン又はシクロアルケンである請求項5記載の酸化方法。
- 請求項1記載の酸化触媒の存在下、アルケン又はシクロアルケンを分子状酸素で酸化し、対応するケトンを生成させるケトンの製造法。
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