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JP3991440B2 - 繊維強化プラスチックおよび繊維強化プラスチックの成形方法 - Google Patents

繊維強化プラスチックおよび繊維強化プラスチックの成形方法 Download PDF

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JP3991440B2 JP10645998A JP10645998A JP3991440B2 JP 3991440 B2 JP3991440 B2 JP 3991440B2 JP 10645998 A JP10645998 A JP 10645998A JP 10645998 A JP10645998 A JP 10645998A JP 3991440 B2 JP3991440 B2 JP 3991440B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素繊維からなる繊維強化プラスチック、さらに詳しくはトウ状の太い炭素繊維糸条からなる一方向性炭素繊維織物を用いた繊維強化プラスチックとその成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は比重が小さくて引張強度が高くかつ引張弾性率も高く、それを樹脂で固めた炭素繊維強化プラスチック(以下CFRPと呼称する)は比強度および比弾性率の高い材料となり、先端複合材料と呼ばれている。
【0003】
ところが、従来のCFRPは、たとえば3,000フイラメントの細い炭素繊維糸条からからなり、炭素繊維糸条がたて方向とよこ方向に配列した、炭素繊維目付が200〜400g/m2 の薄い二方向性織物の、あらかじめ樹脂を含浸したプリプレグを多数枚積層してオートクレーブ成形して成形品を製造しているので、下記の状況から製造コストが高くなり、性能には優れるがその展開分野は航空機関連構造材やプレミヤム製品である高級なスポーツ用具などに限定され、一般産業分野への展開が困難となっていた。
【0004】
A.細い炭素繊維糸条は、炭素繊維の生産性が低くなる。
【0005】
B.細い糸条で織物を製造するから、織物の生産性が低くなる。
【0006】
C.織物が薄いから、所定の炭素繊維量を積層するには、積層枚数が多くなり、積層の手間が大きくなる。
【0007】
D.プリプレグ工程が必要となるので、プリプレグの加工コストが加わる。
【0008】
E.オートクレーブが必要となり、大きな設備投資が必要となる。
【0009】
とくに大型成形品のコストダウンを図るため、従来の炭素繊維織物を使用して、これらを成形型のなかに積層し常温硬化型の樹脂を加圧で注入するレジン・トランスファー成形法とか、これらを型の上に積層してバッグフイルムで覆い、その中を真空状態となし、常温硬化型の樹脂を注入する、いわゆる真空バッグ成形法が知られている。この方法は上記のD項およびE項によるCFRPのコストはかなり削減されるが、A項、B項およびC項によって、成形されるCFRP製品は高価なものとなる。
【0010】
一方、従来の炭素繊維糸条を用いて、炭素繊維目付の大きな炭素繊維織物を使うことも考えられるが、下記の問題がありほとんど実用化されるには至っていない。
【0011】
F.たて方向とよこ方向の2方向に炭素繊維が配列した2方向織物にすると炭素繊維目付の大きな織物にすることができるが、たて糸とよこ糸による交錯によって織糸の屈曲(クリンプ)が大きくなるので、FRPにすると応力集中により強度および弾性率 が低くなってしまう。
【0012】
G.一方向に配列した織物はクリンプによる強度低下はきたさないが、炭素繊維糸条が一方向のみに配列するから、織物の炭素繊維目付を大きくすると、繊維密度が大きくなり、密に繊維が充填されることになるので、レジン・トランスファー成形や真空バッグ成形などの成形法では樹脂の流れが悪くなり、樹脂注入に時間がかかるし、炭素繊維織物への樹脂の含浸性が悪くなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に着目し、織物の炭素繊維目付は大きいが、成形の際に樹脂の流動性および含浸性に優れ、成形されたときに機械的特性に優れる安価な一方向性炭素繊維織物を使用することにより、機械的特性に優れる安価で繊維強化プラスチックを提供することにある。さらに、前記の織物を使用しての繊維強化プラスチック(以下FRPと呼称する)の成形方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、基本的には下記の構成を有する。
即ち、本発明の繊維強化プラスチックは、積層された繊維基材を樹脂で強化してなる繊維強化プラスチックであって、前記繊維基材の少なくとも1層が、トウ状の炭素繊維糸条からなり、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜400,000本であるか、または、該糸条繊度が25,000〜350,000デニールであり、かつ、該炭素繊維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸がよこ方向に配列していて、該炭素繊維糸条間に隙間がある一方向性炭素繊維織物で構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の繊維強化プラスチックの成形方法は、トウ状の炭素繊維糸条からなる炭素繊維織物であり、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜400,000本であるか、または、糸条繊度が25,000〜350,000デニールであり、該炭素繊維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸がよこ方向に配列していて、該炭素繊維糸条間に隙間がある一方向性炭素繊維織物を、繊維基材として少なくとも1層以上成形型に積層し、その上に樹脂を面方向に拡散するための媒体を置いたのち、繊維基材および媒体の全体をバッグフイルムで覆い、つぎにバッグフイルムで覆われた内部を真空状態にし、積層された繊維基材の表面に常温硬化型樹脂を拡散させ、繊維基材に該樹脂を含浸することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する炭素繊維糸条は、好ましくは炭素繊維の単糸径が5〜15ミクロンの40,000〜400,000本のマルチフイラメントが集束してトウ状となすもので、炭素繊維糸条の繊度は25,000〜350,000デニールである。
【0016】
炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000本以下、糸条の繊度が25,000デニール以下であると、糸条が比較的細くなるから糸条を構成する炭素繊維への樹脂の含浸性の点では好ましいが、糸条の厚みは薄なる。したがって、炭素繊維織物の目付を大きくすると、使用する炭素繊維糸条本数が多くなり、炭素繊維糸条間の隙間を設けることが難しくなり、レジン・トランスファー成形や真空バッグ成形などの成形法では樹脂の流れが悪くなる。また、さほど炭素繊維糸条のコストダウンが期待されない。一方、炭素繊維糸条のフイラメント数が400,000本以上、糸条の繊度が350,000デニール以上であると炭素繊維糸条は安価となり、また、糸条の厚みが厚くなるので、炭素繊維織物の目付を大きくしても炭素繊維糸条間の隙間を設けることが可能となるが、糸条が太くなるので、糸条の中央部までの距離が大きくなり、糸条の周囲から進む樹脂の含浸が不完全となる。フイラメント数が40,000〜400,000本、炭素繊維糸条の繊度は25,000〜350,000デニール、より好ましくは、炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜100,000本、糸条繊度が30,000〜70,000デニールであると、炭素繊維糸条間に隙間を設けることができるので、レジン・トランスファー成形や真空バッグ成形で樹脂が流れ、積層体が厚くなっても全体に早く樹脂を行き渡らせることが出来、糸条の周囲から進む樹脂の含浸も完全なものとすることが出来るのである。
【0017】
本発明の炭素繊維織物における糸条間の隙間は0.2〜2mmが好ましい。糸条間の隙間が2mm以上であると、一方向性織物でよこ糸が細いから、織物のドレープ性が大きくなり、織物が柔らかになり取扱いにくくなる。また、隙間には繊維が存在しないから、FRPにすると硬化の際の樹脂の収縮で、FRPの表面が凸凹する。一方、糸条間の隙間が0.2mm以下であると、糸条間の隙間への樹脂流れ抵抗が大きくなり、繊維基材積層体への樹脂注入速度が遅くなる。
【0018】
糸条間の隙間が0.2〜2mmであるとレジン・トランスファー成形や真空バッグ成形などの、型やバッグフイルムに密閉された繊維基材に樹脂を注入して成形する際に、糸条間の隙間が樹脂の流路となり、樹脂の注入時間が短縮され、成形の効率化に繋がるのである。
【0019】
このような炭素繊維糸条は、たとえばポリアクリロニトリル繊維のトウを耐炎化、炭化処理した後、サイジング剤を付着させて集束することによって製造することが出来る。トウは太い糸条として製造することが出来るから、ポリアクリロニトリル繊維や耐炎化、炭化の炭素繊維の製造工程での生産性を向上させ、安価な炭素繊維糸条を製造することが可能となるのである。
【0020】
また、本発明の炭素繊維は、JIS R7601法による引張強度は3〜4GPaで引張弾性率は200〜300GPa程度であり、また織物製造工程での製織操作を向上させるため0.5〜2重量%程度のサイジング剤を付着させると好ましい。また、織物を構成する炭素繊維糸条に撚がかかっていると、撚による炭素繊維束の集束部が樹脂の含浸が阻害されるので、無撚であることが好ましい。
【0021】
なお、本発明では糸条を構成する炭素繊維同志を交絡させておくと、炭素繊維同志の交差または交絡によって炭素繊維間に隙間を設けることができるから、炭素繊維糸条および織物が嵩高となり、織物の炭素繊維糸条に樹脂を含浸させやすくなるので好ましい。この炭素繊維の交絡度合はフックドロップ値で表わすことができ、フックドロップ値FD(15)が30cm以下の交絡度合が好ましい。フックドロップ値FD(15)が30cm以上であると繊維の交絡度合いが小さく、樹脂の含浸性を改善するまでには至らない。また、フックドロップ値FD(15)が2cm以下であると炭素繊維の交絡が大きくなり、炭素繊維糸条および織物が嵩高となり、炭素繊維間の隙間が多くなり樹脂が含浸されやすくなるが、炭素繊維の屈曲が大きくなるから、FRPにしたとき応力集中をもたらし強度が低下してしまう。フックドロップ値が2〜30cmの範囲、より好ましくは2〜10cmの範囲であると適度な樹脂の含浸性が与えられ、またFRPにしたとき高強度となる。
【0022】
ただし、フックドロップ値はあくまで交絡度合を示すための指標に過ぎず、たとえフックドロップ値を直接測定することが困難だったり不可能であっても他の測定手段で測定してその値を適当な方法でフックドロップ値に換算して、前記数値範囲で有れば良い。
【0023】
フックドロップ値FD(15)とは、織物を構成する炭素繊維糸条の繊維の交絡の程度を表すのもで、図5〜7に示す測定装置によって測定した金属フックの自由落下距離をもって表すことが出来る。
【0024】
なお、炭素繊維糸条にサイジング剤が付着している場合は、サイジング剤の付着量や付着状態によって金属フックの自由落下距離が影響を受けるから、完全にサイジング剤を除去してから本測定を行う。たとえば、サイジング剤は700℃の窒素雰囲気中で1時間加熱処理することによって除去することが出来る。
【0025】
また、炭素繊維糸条にプリプレグあるいはCFRPの樹脂が付着乃至は含浸している場合も、金属フックの自由落下距離が影響を受けるか、殆ど測定ができないから、完全にこれらの樹脂を除去してから本測定を行う。たとえば、ビニルエステル樹脂ならば700℃の窒素雰囲気中で5時間加熱処理することによって除去することが出来る。
【0026】
織物の炭素繊維糸条のフックドロップ値FD(15)は、幅1,000mm、長さ1,000mmの織物を3枚抽出し、各織物から、各織物からたて糸を毛羽が発生しないように、また撚が加わらないようにほぐして、長さ1,000mmの炭素繊維糸条を採集する。ほぐした炭素繊維糸条の繊維配列状態が乱れないように脱サイジング処理を行い、この上端を上部クランプ104で装置に固定する。なお、固定する糸条の幅、すなわち糸条の厚みがフックドロップ値に影響するので、固定する糸条の幅B(mm)と糸条繊度D(デニール)との関係を下記の式に従うようにし、糸条の厚みが均一になるように上部クランプ104固定した。
【0027】
糸条の幅B=4×10-4×D
次に、下端に4mg/デニールの荷重をかけた状態で、撚が加わらないように掴み間隔が950mmになるように下部クランプ105で鉛直方向に固定する。
【0028】
次に、上下端を固定した炭素繊維糸条101の幅方向中央部に、金属フック102(ワイヤー直径:1mm、半径:5mm)に綿糸106で重り103を取り付けた重錘(フック102の上端から重り103の上端までの距離:30mm)のその金属フック102を上部クランプの下端から金属フック102の上端までの距離が50mmになるように引っ掛け、手を離して金属フック102の自由落下距離(上記50mmの位置から、落下位置における金属フック102の上端までの距離)を測定する。金属フック102および綿糸106の重量は極力軽くし、金属フック102、綿糸106および重り103の合計重量、すなわち重錘の重量が15gになるようにしておく。フックドロップ値FD(15)は、1枚の織物のたて糸について10回の測定を行い、n=30の平均値をもって表す。なお、金属フック102が下部クランプ105の位置まで落下してしまう場合もあるが、そのときの自由落下距離は900mmとみなす。そのためには、下部クランプ105に金属フック102は当たるが綿糸106や重り103は引っ掛からないようにしておく必要があり、図7にこの場合の落下状態を示すように、下部クランプ105の下方に十分な空間を設けておく必要がある。なお、測定は織物を温度25℃、相対湿度60%の環境下に24時間放置した後、温度25℃、相対湿度60%の環境下で行う。
【0029】
また、本発明の炭素繊維織物は、嵩密度が0.65g/cm3 以下であることが好ましい。嵩密度が0.65g/cm3 以下であると炭素繊維糸条および織物が嵩高となり、炭素繊維間の隙間が多くなり樹脂が含浸されやすくなり、レジン・トランスファー成形や真空バッグ成形のみならずハンドレイアップ成形でも樹脂含浸が可能となる。
【0030】
本発明において嵩密度Vとは、下記の算出式で計算される値をいう。
【0031】
V=w/(t×A)
ここで、t:織物の厚さ(cm)
A:織物の面積(cm2
w:織物の面積Aにおける炭素繊維重量(g)
なお、織物の厚さの測定方法は、JIS R 7602 5.6項の、厚さ測定器がダイヤルゲージ法に準じた。ただし、荷重は3kPaとし、織物を5枚重ね合わせて、荷重をかけてから20秒経過後の値を読取り、織物枚数で割り、1枚あたりの厚さとした。なお、補助糸であるよこ糸が織物の厚さに及ぼす影響を極力少なくなるように、織物の重ね合わせは、重ね合わせる織物のよこ糸の位置が互いにずれるように織物を重ね合わせた。
【0032】
本発明の具体的な実施態様を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施態様に係わる一方向性炭素繊維織物を示しており、図において、2は炭素繊維糸条で、多数本の炭素繊維糸条がたて方向に並行に配列し、よこ方向の補助糸3が炭素繊維糸に交錯している、いわゆる一方向性織物である。
【0033】
図2は、本発明の炭素繊維織物の他の実施態様を示しており、たて方向に、実質的に屈曲を有しない炭素繊維糸条2を一方向性に互いに並行かつシート状に引き揃えてなる糸条群ロのシート面の両側によこ糸補助糸3の糸条群ニが位置し、それらよこ糸補助糸群と、炭素繊維糸条群と並行するたて方向補助糸4の糸条群ハとが織組織をなして糸条群を一体に保持している、一方向性炭素繊維織物である。このような織物はたて方向の炭素繊維糸条に屈曲を有しないので、成形してCFRPにしても応力が集中するようなことはなく、高い強度となる。
【0034】
本発明に使用する補助糸は、本質的にはFRPとなったときに荷重を負担させるものではなく、織物の形態保持に使用するものであるから、100〜2,000デニール程度で、炭素繊維糸条に比べて細い糸が好ましい。とくに、100〜500デニールと炭素繊維糸条に比べ極端に細く、また、よこ糸密度が0.5〜8本/cm程度であると、よこ糸の補助糸による炭素繊維糸条の拘束が弱くなるので、嵩高な織物となる。なお、補助糸は、織物の寸法安定性や目どめ処理の際の加熱による収縮を防止する点から、150℃における乾熱収縮率が0.1%以下のものが好ましい。そのような補助糸を構成する繊維としては炭素繊維、ガラス繊維やポリアラミド繊維などである。
【0035】
上記一方向性織物において、炭素繊維の目付が400〜1,500g/m2 程度にすると積層の枚数が少なくてよいから、成形の際の繊維基材の積層の手間が少なくなり、成形の省力化に繋がる。なお、炭素繊維の目付が400〜700g/m2 程度であると、織物も適度に柔らかく、また織物目付が比較的軽いので、積層ではコーナなどの複雑な形状にも織物を沿わせることが出来るし、樹脂粘度が2〜7ポイズの常温硬化型樹脂で通常のハンドレイアップ成形における含浸ローラ掛けでも十分樹脂含浸が可能である。
【0036】
なお、本発明の炭素繊維織物は炭素繊維糸条が太いので、織物を構成する糸条本数が少なくなる。したがって、よこ糸との交錯点数が少なくなり、裁断した際に炭素繊維糸条がほつれ、作業性が悪くなる。
【0037】
したがって、本発明の一方向性の炭素繊維織物では、図1および図2に示すように、よこ方向の補助糸のその長さ方向に線状または点状に延びる低融点ポリマー5を付着させ、この低融点ポリマーが互いに直交する糸、すなわちたて方向の炭素繊維糸条とたて方向の補助糸が交点において接着している、いわゆる目どめ織物であることが好ましい。なお、図1および図2では低融点ポリマーがよこ方向の補助糸に付着した例を示したが、たて方向の炭素繊維糸条および/またはたて方向補助糸に付着させてもよいし、またはたて方向の炭素繊維糸条および/またはたて方向補助糸とよこ方向の補助糸に付着させてもよい。
【0038】
このように目どめされた織物は、レジン・トランスファー成形や真空バッグ成形などでは、織物を裁断し型に積層するが、裁断の際、糸条のほつれが防止でき、成形の作業性が大幅に向上する。
【0039】
また、低融点ポリマーの付着量は、多いと樹脂含浸を阻害したり、CFRPの機械的性質を低下させるので、6g/m2 以下が好ましい。ただし、0.5g/m2 未満であると目どめ効果が薄れるので、0.5〜6g/m2 が好ましい。
【0040】
一方向性炭素繊維織物の場合、これら低融点ポリマーが細い補助糸に多量に付くと、補助糸は基本的には補強を担わせていないが、破壊の起点が補助糸から始まるので、これらを防止するには、低融点ポリマーの付着量が補助糸の40重量%以下が好ましい。
【0041】
本発明に用いる低融点ポリマーは、通常、ナイロン、共重合ナイロン、ポリエステル、共重合ポリエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ポリウレタンから選ばれたものである。なかでも、低温でポリマーを溶融でき、かつ接着力が強く、僅かな使用量で期待する目どめ効果が得られることから共重合ナイロンがとくに好ましく用いられる。
【0042】
本発明の繊維強化プラスチックは、強化繊維基材のすべてが本発明の炭素繊維織物が単層又は多層で積層され、樹脂が含浸して繊維強化されたものであってよいが、少なくとも、繊維基材の少なくとも1層が本発明の炭素繊維織物であって、ガラス繊維やポリアラミド繊維などの他の強化繊維からなる基材と組み合わせることが出来る。
【0043】
本発明の繊維強化プラスチックに用いる樹脂は、たとえばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂やナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂などの熱可塑性樹脂である。
【0044】
本発明の繊維強化プラスチックは、繊維基材がトウ状の太い糸条からなり、高目付ではあるが、炭素繊維糸条間に隙間のある炭素繊維織物を使用するから、真空バッブ成形の際の樹脂の流動性や含浸性がよく、機械的特性に優れて安価なFRPとなる。
【0045】
本発明の具体的な実施態様を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施態様に係わる一方向性炭素繊維織物を示しており、図において、2は炭素繊維糸条で、多数本の炭素繊維糸条がたて方向に並行に配列し、よこ方向の補助糸3が炭素繊維糸に交錯している、いわゆる一方向性織物である。
【0046】
図2は、本発明の炭素繊維織物の他の実施態様を示しており、たて方向に、実質的に屈曲(クリンプ)を有しない炭素繊維糸条2を一方向性に互いに並行かつシート状に引き揃えてなる糸条群ロのシート面の両側によこ糸補助糸3の糸条群ニが位置し、それらよこ糸補助糸群と、炭素繊維糸条群と並行するたて方向補助糸4の糸条群ハとが織組織をなして糸条群を一体に保持している、一方向性炭素繊維織物である。このような織物はたて方向の炭素繊維糸条に屈曲(クリンプ)を有しないので、成形してCFRPにしても応力が集中するようなことはなく、高い強度となる。
【0047】
本発明に使用する補助糸は、本質的にはFRPとなったときに荷重を負担させるものではなく、織物の形態保持に使用するものであるから、100〜2,000デニール程度で、炭素繊維糸条に比べて細い糸が好ましい。とくに、100〜500デニールと炭素繊維糸条に比べ極端に細く、また、よこ糸密度が0.5〜8本/cm程度であると、よこ糸の補助糸による炭素繊維糸条の拘束が弱くなるので、嵩高な織物となる。なお、補助糸は、織物の寸法安定性や目どめ処理の際の加熱による収縮を防止する点から、150℃における乾熱収縮率が0.1%以下のものが好ましい。そのような補助糸を構成する繊維としては炭素繊維、ガラス繊維やポリアラミド繊維などである。
【0048】
上記一方向性織物において、炭素繊維の目付が400〜2,000g/m2 程度にすると積層の枚数が少なくてよいから、成形の際の繊維基材の積層の手間が少なくなり、成形する際に、糸条間の隙間が樹脂の流路となり、樹脂の注入時間が短縮され、成形の効率化に繋がる。
【0049】
本発明の織物は、従来から知られている方法でFRPを成形することが出来るが、なかでもレジン・トランスファー成形法や真空バッグ成形法では大型の成形品が安価に製造することができるので、好ましく用いられる。
【0050】
ついで、本発明によるFRPの成形法を説明するに、図3は本発明のFRPの成形法を説明する一実施例の断面図である。図3において、成形型6の上に、繊維基材として本発明の炭素繊維織物7が所定の方向に所定の枚数が積層され、その上に樹脂が硬化した後に引き剥がして除去するシート、いわゆるピールプライ8を積層し、その上に樹脂を繊維基材の全面に拡散させるための媒体9を置く。繊維基材の周囲には、真空ポンプの空気の吸引口10を取り付けた、エッジ・ブリーザ11として織物など多孔性の材料を多数枚積層して張り巡らし、それら全体をバッグ・フイルム12で覆い、空気が漏れないようにバッグ・フイルムの周囲を、ブチルゴム系やシリコーンゴム系のシーラント13で成形型に接着させる。バッグ・フイルムの上部に樹脂タンクからの注入される樹脂の吐出口14を取り付け、吐出口の取り付け部から空気が漏れないようにシーラント13で接着する。樹脂タンクには、硬化剤を所定量入れた常温でシロップ状の常温硬化型の熱硬化性樹脂を入れておく。ついで、真空ポンプでバッグ・フイルムで覆われた繊維基材を含めた内部を、真空圧力が700〜760Torr程度の真空状態にしたのち、バルブ15を解放して樹脂を注入する。バッグ・フイルムで覆われた中が真空状態であり、繊維基材の厚さ方向より媒体の面方向が樹脂の流通抵抗が小さいから、まず樹脂は媒体の全面に拡がったのち、ついで繊維基材の厚さ方向の含浸が進行する。この方法であると樹脂の流れなければならない距離は、繊維基材積層体の厚さでよいから、樹脂含浸が非常に早くて完了する。なお、真空ポンプは少なくとも樹脂の含浸が完了するまで運転し、バッグ・フイルムの中を真空状態に保つことが好ましい。樹脂含浸完了後、バルブを閉口し室温に放置して樹脂を硬化させる。樹脂の硬化後、ピールプライを剥いで、媒体やバッグ・フイルムを除去し、成形(以下、単に型ということがある)から脱型することによってFRP成形品が得られる。
【0051】
本発明に使用する媒体9の一例を図4に示したが、媒体はバッグ内の真空圧力を繊維基材に伝え、かつ注入される樹脂を媒体の隙間を通して、媒体側の繊維基材上面の全体に樹脂を行き渡らせるものである。すなわち、バッグ・フイルムとピールプライ間に位置する媒体に樹脂が注入されると、図4において、注入された樹脂はバッグ・フイルムに接するA群のバー16の間隙を流れてバー16の方向とB群の矩形断面のバー17の間隙を流れてバー17の方向に流れるから全面に樹脂が拡散することとなる。また、バー16にかかる力をバー17に伝えることが出来るから真空圧力を繊維基材に伝えることが出来るのである。バーの太さは特に限定されるものではないが、0.2〜2mmが好ましい。又、間隙の幅は0.2〜2cmが好ましい。媒体の具体的なものとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルや金属などからなるメッシュ状のシートで、たとえば、メッシュ状樹脂フイルム、織物、網状物や編物などであり、必要に応じてこれらを数枚重ねて使用することが出来る。
【0052】
なお、上記は媒体を繊維基材積層体の上面の一面に設置する場合について説明したが、繊維基材積層体が厚い場合は、繊維基材積層体の下面と上面に設置して、繊維基材積層体の両面から樹脂含浸をおこなうことも出来る。
【0053】
上記に記載した成形法は、大きくは真空バッグ成形法の範疇に入るが、樹脂注入と同時に樹脂を繊維基材積層体の全面に拡散させる点で、従来の真空バッグ成形法とは異なり、とくに大型のFRP成形品の成形に用いると好適である。
【0054】
また、表面に樹脂の流路となる溝を有する成形材の上に、繊維基材と接するように積層し、さらに、それら全体をバックフィルムで覆い、次にバックフィルムで覆われた内部を真空状態にし、繊維基材と接している成形材の溝から樹脂を拡散させ、積層された繊維基材に常温硬化型熱硬化性樹脂を含浸させながら繊維基材と成形材とを一体化させることも出来る。この方法によれば、FRPを表皮材とし板状板を芯材とするサンドイッチ構造体を簡単に成形することが出来る。この方法によればFRPを表皮材とし、板状板と一体化した繊維強化プラスチック構造体を簡単に成形することが出来る。図8は、本発明のFRPの成形方法を説明する断面図である。図8において、成形型6の上に、繊維基材としての炭素繊維織物7を成形材18に所定の枚数巻き付けたブロック19を必要個数分を配置し、全体をバッグ・フイルム12で覆い、空気が漏れないようにバッグ・フイルムの周囲をシール材13で成形型6に接着させる。なお、成形材の1例を図9に示すが、成形材の上面C、下面D、側面Eおよび正面Fには樹脂の流路となる溝20が設けられている。
【0055】
真空ポンプで吸引口からバッグ・フイルムで覆われた内部を真空状態にし、吐出口から樹脂を流し込むと、樹脂が成形材の上下面および側面に設けられた、流動抵抗の小さな溝から成形材の全面に行き渡り、その後繊維基材への樹脂含浸が行われる。
【0056】
ついで、常温で樹脂が硬化すると、成形材の溝にマトリックス樹脂が充填されて、成形材の溝とマトリックス樹脂が接着し、同時に繊維強化プラスチックとマトリックス樹脂が接着し、本発明の繊維強化プラスチック構造体が得られる。
【0057】
本発明の繊維強化プラスチック構造体によれば、繊維強化プラスチックと成形材の接着が単なる繊維強化プラスチックと成形材面のみならず、成形材の溝とマトリックス樹脂とも接着しているので接着面積が大きくなり、繊維強化プラスチックと成形材の一体化が強固となる。
【0058】
なお、成形材の溝の断面形状は矩形、台形や半球形などであり、これら断面形状や断面寸法は樹脂の流動性や繊維強化プラスチックと成形材の接着度合いによって適宜決めることが出来る。なかでも、断面形状が成形材に対してくさび型となるような台形にすると、繊維強化プラスチックと成形材の接合はより強固なものとなる。
【0059】
本発明に使用する成形材は、有機系あるいは無機系の発泡体であると、得られる成形体が軽くなるので好ましく用いられるが、発泡していない樹脂板や無機系の板、または金属板や木材やであってもよい。有機系あるいは無機系の発泡体としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、シリコーン、イソシアヌレート、フェノール、アクリル樹脂のフォームや軽量気泡コンクリート、珪酸カルシュームフォームや炭酸カルシュームフォームなどがあげられる。
【0060】
なお、成形材の圧縮強さは、1.0kgf/cm2 以上が好ましい。圧縮強さが1.0kgf/cm2 以下であると、成形時に真空バッグする際真空減圧され、成形材の潰れが発生してしまうので好ましくない。
【0061】
本発明の炭素繊維織物は1枚あたりの繊維目付が大きいにも拘らず、この織物の炭素繊維糸条間に隙間がある、また、本発明の成形方法によれば、樹脂の流れやすい繊維基材積層体の面方向に全面に樹脂が拡がり、繊維基材積層体の厚さ方向に樹脂含浸が進むから、積層の手間が少なくなるのみならず、樹脂の含浸が完全に行われ、また樹脂の注入時間も少なくなり、作業性が向上する。
【0062】
なお、本発明に使用する繊維基材は、全てが本発明の炭素繊維織物である必要はなく、少なくとも1層以上用いればよい。その他の繊維基材は、たとえば通常の炭素繊維織物や、また他の強化繊維、たとえばガラス繊維やポリアラミド繊維からなる織物やチョップド・ストランド・マット、コンティニュアス・ストランド・マットであってもよいし、これら強化繊維糸を並行に配列したシートを0゜(繊維基材の長さ方向)、90゜(繊維基材の幅方向)や±45゜(繊維基材の斜め方向)に積層され、これをガラス繊維、ポリエステル繊維な、ポリアラミド繊維などのステッチ糸で縫合した多軸ステッチ布帛であってもよい。
【0063】
とくに、繊維基材の組み合わせが、本発明の一方向性炭素繊維織物と多軸ステッチ布帛であると、FRP構造体の補強が必要な方向を一方向性炭素繊維織物で荷重を担わせ、その他の方向は多軸ステッチ布帛で荷重を担わせると、これら繊維基材は、布帛形成のための炭素繊維糸条同士およびその他の強化繊維糸条同士の交錯がなく、かつ曲がること無く真直ぐに繊維配向しているから、また繊維体積含有率も大きくなるからFRPにしたとき機械的性質に優れる。また、糸条同士の交錯によって、炭素繊維またはその他の強化繊維が締め付けられることもないので、本発明の真空バッグ成形でも樹脂は十分に含浸させることが出来るし、含浸速度を早くすることができる。
【0064】
本発明の成形に用いる樹脂は、常温で液状の常温硬化型の、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂である。なお、使用する樹脂の粘度は、樹脂の含浸性や含浸速度の点から低粘度樹脂が好ましく、0.5〜10ポイズ程度、より好ましくは0.5〜5ポイズ未満である。なかでもビニルエステル樹脂は、樹脂を低粘度とすることができることや、樹脂伸度を3.5〜12%大きくすることが出来るので、成形性に優れるのみならず、強度が高く、耐衝撃性にも優れるので、好ましく用いられる。
【0065】
本発明の成形に用いるピールプライは、樹脂が硬化した後にFRPから引き剥がして除去するシートであるが、樹脂を通過させることができることが必要であり、ナイロン繊維織物、ポリエステル繊維織物やガラス繊維織物などである。なお、ナイロン繊維織物やポリエステル繊維織物は安価であるため好ましく用いられるが、これら織物を製造する際に用いられている油剤やサイジング剤がFRPの樹脂に混入するのを防ぐため、精練を行い、また常温硬化型樹脂の硬化発熱による収縮を防ぐため、熱セットされた織物を使用することが好ましい。
【0066】
本発明の成形に用いるエッジ・ブリーザは、空気および樹脂を通過させることができることが必要であり、ナイロン繊維織物、ポリエステル繊維織物、ガラス繊維織物やナイロン繊維、ポリエステル繊維からなるマットを使用することができる。
【0067】
また、本発明の成形に用いるバッグ・フイルムは、気密性であることが必要でありナイロンフイルム、ポリエステルフイルムやPVCフイルムなどである。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
フイラメント数が70,000本、繊度が52,000デニールトウ状のマルチフイラメントの炭素繊維糸条をたて糸とし、608デニールのガラス繊維からなる補助糸をよこ糸とし、たて糸密度が0.87本/cm,よこ糸密度が2本/cmの、一方向に炭素繊維が配列した平組織の、炭素繊維目付が503g/m2 の目どめ処理した炭素繊維織物Aを作製した。なお、目どめ処理は、ガラス繊維糸のよこ糸の挿入は低融点の50デニールの共重合ナイロン糸と引き揃えて行い、よこ糸挿入後、織機上に取り付けた遠赤外線ヒータで共重合ナイロン糸を溶融し、炭素繊維糸条とガラス繊維糸を接着する方法で行った。トウ状の糸条をたて糸としてることもあって、得られた織物の炭素繊維糸条間の隙間が確保出来、1.2mmであった。
【0069】
次に、上記の炭素繊維織物を使用して、下記の本発明の成形法の方法で成形を行った。
【0070】
幅が100cmで長さが100cmの本発明の炭素繊維織物Aを2枚と、幅が100cmで長さが100cmのガラス繊維からなる、繊維目付が450g/m2 のチョップドストランドマットを3枚準備した。
【0071】
離形剤を塗布した成形型の上に、強化繊維基材としてまず本発明の炭素繊維織物A(以下、この炭素繊維織物Aを炭素繊維織物A1と呼称する。)を1枚積層し、次にその上にマットの端部と織物の端部が合うようにチョップドストランドマットを1枚づつ3枚積層し、さらにその上に本発明の炭素繊維織物(以下、この炭素繊維織物Aを炭素繊維織物A2と呼称する。)を1枚積層、合計5層の繊維基材を積層した。
【0072】
繊維基材の上に、ピールプライとしてのナイロンフイラメント織物を置き、その上に媒体としてポリエチレンからなる厚みが1.0mm、メッシュの開口寸法が2.6×2.6mm、メッシュの開口率(全体面積;100に対するメッシュの開口部面積の比率)が62%のメッシュのシートを2枚、繊維基材の全面覆うように置いた。
【0073】
積層した繊維基材の周囲にエッジブリーザとしてのガラス繊維織物を、基材積層体とほぼ同じ厚さになるように張り巡らし、真空ポンプの吸引口を取り付けた。
【0074】
全体をナイロンフイルムからなるバッグフイルムで覆い、真空状態が保てるようにバッグフイルムと成形型および吸引口の取り付け口をシール材で接着した。
【0075】
バッグフイルムの中央部に樹脂の吐出口を設け、同様に真空状態が保てるようフイルムと吐出口をシール材で接着した。
【0076】
つぎに、真空ポンプでバッグフイルムに覆われた内部を755Torrの真空状態にしたのち、バルブを解放して樹脂粘度が3ポイズの常温硬化型ビニルエステル樹脂を注入した。樹脂の拡散媒体に樹脂が積層基材の全面に直ちに拡散した。次に炭素繊維織物A1 から、また炭素繊維織物A1 の炭素繊維糸条の隙間を通過して、チョップドストランドマット層へと積層基材の厚さ方向に樹脂が流れて繊維間に樹脂が含浸し、積層基材への樹脂含浸するに要した時間は16分であった。
樹脂の硬化後、成形型から脱型して得た繊維強化プラスチック板を切断して、断面を観察したところ、真空状態で樹脂含浸していることもあって完全に樹脂が含浸していた。
【0077】
(比較例1)
比較のために、フイラメント数が12,000本、繊度が7,200デニールのマルチフイラメントの炭素繊維糸条をたて糸とし、608デニールのガラス繊維からなる補助糸をよこ糸し、たて糸密度が6.20本/cm、よこ糸密度が2本/cmの、一方向に炭素繊維が配列した平組織の、炭素繊維目付が496g/m2 の炭素繊維織物Bを作製した。得られた織物の炭素繊維糸条間には隙間はほとんど無く、0mmであった。
【0078】
炭素繊維織物のみを織物Aを織物Bに変え、その他は実施例と同じにして(従って、織物B1は織物A1に、織物B2は織物A2に、それぞれ対応する)成形を行った。樹脂の拡散媒体に樹脂が積層基材の全面に直ちに拡散したが積層基材の上部にある織物B2 に、織物の炭素繊維目付が大きく、かつ炭素繊維糸条間の隙間もほとんど無いからチョップドストランドマット層へなかなか樹脂が流れず、下部に積層した織物B1 にまでは十分に樹脂が流れず、樹脂注入を開始して50分後に樹脂のゲル化が始まり、成形は失敗に終わった。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明で用いられる一方向性炭素繊維織物は、トウ状の太い炭素繊維糸条からなり、1枚あたりの繊維目付が大きいにも拘らず、この織物の炭素繊維糸条間に隙間がある、また、本発明の成形方法によれば、樹脂の流れやすい繊維基材積層体の面方向に全面に樹脂が拡がり、繊維基材積層体の厚さ方向に樹脂含浸が進むから、積層の手間が少なくなるのみならず、樹脂の含浸が完全に行われ、また樹脂の注入時間も少なくなり、作業性が向上する。
【0080】
また、本発明の繊維強化プラスチックはトウ状の太い炭素繊維糸条からなるが、樹脂含浸が容易になされるから、安価で機械的特性に優れてFRPが得られる。
【0081】
また、本発明のFRPの成形方法によれば、嵩高な炭素繊維織物を使用し、真空バッグ成形において、媒体を介して樹脂を全面に拡散させるから、または、成形材に設けた溝で樹脂を全面に拡散させるから、樹脂の含浸性が良く、かつ樹脂含浸時間を少なくすることが出来るから、FRP成形品を安価に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様に係わる一方向性炭素繊維織物を示す。
【図2】 たて方向補助糸を有する本発明の一方向性補強織物の実施態様例を示す。
【図3】 本発明のFRPの成形法を説明する1実施例の断面図である。
【図4】 樹脂拡散媒体の斜視図である。
【図5】 フックドロップ値の測定装置の斜視図である。
【図6】 フックドロップ値の測定装置の拡大部分正面図である。
【図7】 フックドロップ値の測定装置の部分斜視図である。
【図8】本発明のFRPの成形法を説明する他の実施例の断面図である。
【図9】成形材を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
1:炭素繊維糸条の断面
2:炭素繊維糸条
3:補助糸
4:たて方向補助糸
5:目どめ剤
6:成形
7:炭素繊維織物
8:ピールプライ
9:媒体
10:吸入口
11:エッジ・ブリーザ
12:バッグ・フイルム
13:シール材
14:吐出口
15:バルブ
16:A群のバー
17:B群のバー
18:成形材
19:成形材に炭素繊維織物を巻き付けたブロック
20:溝
101:炭素繊維糸条
102:金属フック
103:重り
104:上部クランプ
105:下部クランプ
106:綿糸

Claims (11)

  1. 積層された繊維基材を樹脂で強化してなる繊維強化プラスチックであって、前記繊維基材の少なくとも1層が、トウ状の炭素繊維糸条からなり、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜400,000本であるか、または、該糸条繊度が25,000〜350,000デニールであり、かつ、該炭素繊維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸がよこ方向に配列していて、該炭素繊維糸条間に隙間がある一方向性炭素繊維織物で構成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック。
  2. 該一方向性炭素繊維織物において、該炭素繊維の目付が450〜1,500g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック。
  3. 該一方向性炭素繊維織物において、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜100,000本、糸条繊度が30,000〜70,000デニールであり、炭素繊維の目付が400〜700g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック。
  4. 該一方向性炭素繊維織物において、該炭素繊維糸条が実質的に屈曲せずに糸条群を構成し、該糸条群の両面側に該炭素繊維糸条群と交差するよこ方向補助糸群が位置し、それらよこ方向補助糸群と、該炭素繊維糸条群に並行するたて方向補助糸群とが織組織をなして該炭素繊維糸条群を一体に保持していることを特徴とする請求項1乃至はのいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  5. 該一方向性炭素繊維織物において、該炭素繊維糸条間の隙間が0.2〜2mmであることを特徴とする請求項1乃至はのいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  6. 該一方向性炭素繊維織物において、該炭素繊維糸条および/またはたて方向補助糸と、よこ方向補助糸が、その交点において互いに接着されていることを特徴とする請求項1乃至はのいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の繊維強化プラスチックと前記繊維強化プラスチック以外の成形材とからなり、繊維強化プラスチックと成形材とが繊維強化プラスチックを構成するマトリックス樹脂で一体化し、かつ繊維強化プラスチック側の成形材に設けた溝にも前記マトリックス樹脂が充填されていることを特徴とする繊維強化プラスチック構造体。
  8. トウ状の炭素繊維糸条からなる炭素繊維織物であり、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜400,000本であるか、または、糸条繊度が25,000〜350,000デニールであり、該炭素繊維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸がよこ方向に配列していて、該炭素繊維糸条間に隙間がある一方向性炭素繊維織物を、繊維基材として少なくとも1層以上成形型に積層し、その上に樹脂を面方向に拡散するための媒体を置いたのち、繊維基材および媒体の全体をバッグフイルムで覆い、つぎにバッグフイルムで覆われた内部を真空状態にし、積層された繊維基材の表面に常温硬化型樹脂を拡散させ、繊維基材に該樹脂を含浸することを特徴とする繊維強化プラスチックの成形方法。
  9. トウ状の炭素繊維糸条からなる炭素繊維織物であり、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜400,000本であるか、または、糸条繊度が25,000〜350,000デニールであり、該炭素繊維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸がよこ方向に配列していて、該炭素繊維糸条間に隙間がある一方向性炭素繊維織物を、繊維基材として用い、面方向に拡散するための媒体を置いた成形型に該繊維基材を少なくも1層以上積層し、その上にさらに媒体を置いたのち、繊維基材および媒体の全体をバッグフイルムで覆い、つぎにバッグフイルムで覆われた内部を真空状態にし、積層された繊維基材の表面に常温硬化型樹脂を拡散させ、繊維基材に該樹脂を含浸することを特徴とする繊維強化プラスチックの成形方法。
  10. トウ状の炭素繊維糸条からなる炭素繊維織物であり、該炭素繊維糸条のフイラメント数が40,000〜400,000本であるか、または、糸条繊度が25,000〜350,000デニールであり、該炭素繊維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸がよこ方向に配列していて、該炭素繊維糸条間に隙間がある一方向性炭素繊維織物を、繊維基材として用い、表面に樹脂の流路となる溝を有する成形材の上に、溝と接するように該繊維基材を少なくとも1層以上積層し、さらに、繊維基材、成形材および媒体の全体をバックフィルムで覆い、次にバックフィルムで覆われた内部を真空状態にし、繊維基材と接している成形材の溝から樹脂を拡散させ、積層された繊維基材に常温硬化型熱硬化性樹脂を含浸させながら繊維基材と成形材とを一体化させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
  11. 前記成形材が発泡体であることを特徴とする請求項10に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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