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JP3980501B2 - 建設機械の油圧駆動装置 - Google Patents

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JP3980501B2
JP3980501B2 JP2003061456A JP2003061456A JP3980501B2 JP 3980501 B2 JP3980501 B2 JP 3980501B2 JP 2003061456 A JP2003061456 A JP 2003061456A JP 2003061456 A JP2003061456 A JP 2003061456A JP 3980501 B2 JP3980501 B2 JP 3980501B2
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に用いられる油圧駆動装置に係わり、特に油圧ブレーカやフォークグラップルなどのフロントアタッチメントを装着する建設機械の油圧駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ポンプの吐出圧が複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御する油圧駆動装置はロードセンシングシステム(以下、適宜LSシステムという)と呼ばれ、複数の流量制御弁の前後差圧をそれぞれ圧力補償弁により制御し、複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時に負荷圧の大小に係わらず流量制御弁の開口面積に応じた比率で圧油を供給できるようにしている。このLSシステムでは、油圧ポンプの吐出圧と複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧(以下、LS差圧という)を圧力補償弁に導き、それぞれの圧力補償弁の目標補償差圧をLS差圧によって一定に設定するようになっている。
【0003】
このようなLSシステムを搭載する油圧ショベル等の建設機械において、近年、バケットの代わりに用いるフロントアタッチメントが多種多様化しており、例えば、建築物、岩石等の破砕作業に使用する油圧ブレーカ、木材・石等の把持作業に使用するフォークグラップル、草刈用モータ等が挙げられる。これらのアタッチメントには固有の圧油使用流量がそれぞれに規定されており、アタッチメント装着時にはその規定量に合った圧油を供給する必要がある。
【0004】
このような背景に基づき、従来より、装着したアタッチメントに応じてそのアタッチメント用アクチュエータへの最大圧油供給流量を可変させる機能を有した油圧駆動装置がある(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、装着したアタッチメントに応じて操作モードを選択すると、コントローラが選択された操作モードと検出されたLS差圧とに基づき制御圧力を演算し、この演算値に応じて制御圧力発生回路において電磁弁がパイロット圧を減圧して制御圧力を発生させ、この制御圧力が圧力補償弁の1対の対向する受圧部の一方に作用して、圧力補償弁の目標補償差圧がその制御圧力に設定される。このようにして、選択された操作モードに応じて圧力補償弁の目標補償差圧が設定されることで、アクチュエータへの最大圧油供給流量が可変されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−229169号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では以下のような課題が存在する。
すなわち、上記従来技術においては、制御圧力の演算を行うコントローラやパイロット圧を減圧して制御圧力を生成する電磁弁等の電子機器を使用して目標補償差圧の可変制御を行うので、例えば断線、結線不良、コンタミによる電磁弁のスティック等を生じる可能性がある。また、目標補償差圧の可変制御にコントローラによる制御が介在するために、例えば漏水等によってコントローラに制御上の問題が生じた場合には、目標補償差圧の可変制御に不具合が生じることとなる。
【0007】
このように、上記従来技術においては信頼性の観点において向上の余地があった。また、上記電子機器の使用によってコストの増大を招く結果ともなっていた。
【0008】
本発明の目的は、特定のアクチュエータへの最大圧油供給流量を可変させる建設機械の油圧駆動装置において、目標補償差圧の可変制御系統を油圧回路で構成することにより信頼性を向上し、且つ、それを安価に実現できる建設機械の油圧駆動装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される特定のアクチュエータを含む複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記特定のアクチュエータに供給される圧油の流量を制御する流量制御弁と、前記油圧ポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、前記油圧ポンプと前記流量制御弁との間に設けられ、前記流量制御弁の前後差圧を制御する圧力補償弁と、この圧力補償弁に設けられた1対の対向する第1及び第2受圧部であって、前記圧力補償弁の閉方向作動側に設けられ、前記流量制御弁の上流側の圧力が導かれる第1受圧部、及び前記圧力補償弁の開方向作動側に設けられ、前記流量制御弁の下流側の圧力が導かれる第2受圧部と、前記圧力補償弁に設けられ、互いに異なる受圧面積を有した1対の対向する第3及び第4受圧部であって、前記圧力補償弁の開方向作動側に設けられた第3受圧部及び前記圧力補償弁の閉方向作動側に設けられ、前記第3受圧部より受圧面積が小さい第4受圧部と、前記1対の対向する第3及び第4受圧部のうち前記圧力補償弁の開方向作動側に設けられた第3受圧部に前記差圧減圧弁の出力圧を導く第1導圧路と、前記圧力補償弁の閉方向作動側に設けられた第4受圧部を前記差圧減圧弁に接続する第2導圧路と、前記第2導圧路に設けられ、前記差圧減圧弁からの出力圧を前記第4受圧部に導く第1位置と、前記第2導圧路を遮断し、前記第4受圧部をタンクに連通させる第2位置のいずれかに切換可能な切換弁とを備えるものとする。
【0010】
一般に、油圧ショベル等の建設機械のフロントアタッチメントには、固有の圧油使用流量がそれぞれに規定されている。例えば、建築物、岩石等の破砕作業に使用する油圧ブレーカは、その規定使用流量が比較的大流量のものと比較的小流量のものとの2種類に大別される。また、木材・石等の把持作業に使用するフォークグラップルは、通常、その規定使用流量は操作性を重視する観点から上記油圧ブレーカに比べて比較的小流量となっている。したがって、アタッチメント(正確にはアタッチメント用アクチュエータ)への最大圧油供給流量を少なくとも大流量と小流量の2段階に可変とすれば、上記2種の油圧ブレーカを両方使用したい場合や油圧ブレーカとフォークグラップルとを両方使用したい場合にも対応することができる。
【0011】
本発明においては、例えばアタッチメント用アクチュエータのような特定のアクチュエータに係わる圧力補償弁に設けられ互いに異なる面積を有した1対の対向する第3及び第4受圧部のうち第4受圧部に差圧減圧弁の出力圧を導く第2導圧路に、この第2導圧路の連通又は遮断(但し、制御上問題とならない程度の小さな連通状態を含む)を行う切換弁を設ける。すなわち、アクチュエータの圧油使用流量が大流量である場合には、切換弁を遮断位置として第4受圧部への第2導圧路を遮断し圧力補償弁の開方向作動側に設けられた第3受圧部にのみ差圧減圧弁の出力圧を導く。これにより、圧力補償弁の目標補償差圧はその出力圧(油圧ポンプの吐出圧と複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧、すなわち前述のLS差圧)に設定され、ロードセンシング制御によって流量制御弁の開口面積に応じた比率で比較的大流量の圧油がアクチュエータに供給される。一方、アクチュエータの圧油使用流量が小流量である場合には、切換弁を連通位置として1対の対向する第3及び第4受圧部の両方に差圧減圧弁の出力圧を導く。このとき、例えばこれら受圧部に、開方向作動側に設けられた第3受圧部の受圧面積が閉方向作動側に設けられた第4受圧部の受圧面積より大きくなるような適宜の受圧面積比を設けることで、圧力補償弁の目標補償差圧は上記LS差圧より小さい適宜の差圧に設定され、上記流量制御弁の開口面積に応じた比率より小さい比率で比較的小流量の圧油がアクチュエータに供給される。
【0012】
このようにして、本発明においては、切換弁で導圧路を連通又は遮断して圧力補償弁の1対の対向する第3及び第4受圧部の両方又は第3受圧部に差圧減圧弁の出力圧を導くことで、特定のアクチュエータに係わる圧力補償弁の目標補償差圧を2段階に可変とし、その結果、アクチュエータへの最大圧油供給流量を大流量及び小流量の2段階に可変とする。本発明によれば、このように切換弁を用いて目標補償差圧を可変させることにより目標補償差圧の可変制御系統を油圧回路のみで構成することができるので、コントローラ及び電磁弁を用いて目標補償差圧の可変制御を行う前述の従来技術のような構造の場合に生じうる断線、結線不良、コンタミによる電磁弁のスティック、又は例えば漏水によるコントローラの故障等による目標補償差圧の可変制御の不具合を防止できるので、油圧駆動装置の信頼性を向上することができる。さらに、電磁弁等の電子機器を使用しないので、上記信頼性を向上できる油圧駆動装置を安価に実現することができる。
【0015】
(2)上記(1)において、また好ましくは、前記特定のアクチュエータは油圧ショベルのアタッチメント用アクチュエータであるものとする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態の油圧駆動装置は、例えば建築物、岩石等の破砕作業に使用する油圧ブレーカをフロントアタッチメントとして装着した油圧ショベルに搭載されるものである。この油圧ブレーカは、一般に、その規定使用流量が比較的大流量のものと比較的小流量のものとの2種類に大別されるが、本実施の形態は、1台の油圧ショベルで大・小両方の油圧ブレーカを使用する場合に本発明を適用したものである。
【0018】
図1は、本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の全体構成を表す図である。
この図1において、本実施の形態の油圧駆動装置は、エンジン1と、このエンジン1により駆動されるメインポンプとしての可変容量型の油圧ポンプ2及び固定容量型のパイロットポンプ30と、メインの油圧ポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ3a,3b,…と、油圧ポンプ2の供給油路5に接続され、油圧ポンプ2からアクチュエータ3a,3b,…に供給される圧油の流量と方向をそれぞれ制御する複数の流量制御弁4a,4b,…及び油圧ポンプ2の吐出圧Psと複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧PLmaxとの差圧(LS差圧)ΔPLSを絶対圧PLSとして出力する差圧減圧弁11を含むコントロールバルブ4と、油圧ポンプ2の傾転(容量)を制御するポンプ傾転制御機構12と、エンジン回転数に依存する圧力を絶対圧として出力する差圧減圧弁51を含むエンジン回転数検出回路13とを備えている。
【0019】
このような構成の油圧駆動装置を備える本実施の形態の油圧ショベルは、特に図示はしないが、下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体に上下方向に回動可能に装備されたブーム、アーム、及び油圧ブレーカからなるフロント作業機構を有しており、前記のアクチュエータ3aは油圧ブレーカを駆動するブレーカ用アクチュエータ、アクチュエータ3bは例えばブームを上下方向に回動駆動するブームシリンダである。なお、本実施の形態で使用する大流量及び小流量の油圧ブレーカは、共に上記ブレーカ用アクチュエータ3aによって駆動されるものとする。
【0020】
前記の流量制御弁4a,4b,…は、それぞれ、クローズドセンタ型の複数の流量制御弁(以下、適宜メインスプールと記述する)6a,6b,…と、これら複数の流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部61,62の前後差圧を同じ値に制御する複数の圧力補償弁(以下、適宜スプールと記述する)7a,7b,…とで一体的に構成されている(後述の図3参照)。
【0021】
上記の流量制御弁6a,6b,…はそれぞれ図示しない操作レバーの操作により切り換え操作され、その操作レバーの操作量に応じてメータイン絞り部61又は62の開口面積が決まるようになっている。また、これらの流量制御弁6a,6b,…には、それぞれ、アクチュエータ3a,3b,…の駆動時にそれらの負荷圧を取り出す負荷ポート60a,60b,…が設けられ、これら負荷ポート60a,60b,…に取り出された負荷圧のうちの最高の圧力が負荷ライン8a,8b,8c、8d及びシャトル弁9a,9bを介して信号ライン10に検出されるようになっている。
【0022】
上記の複数の圧力補償弁7a,7b,…は、それぞれ、流量制御弁6a,6b,…のメータイン絞り部61,62の上流に設置された前置きタイプ(ビフォアオリフィスタイプ)であり、圧力補償弁7aは2対の対向する受圧部70a,70b及び70c,70dを有し、受圧部70a,70bに流量制御弁6aの上流側及び下流側の圧力がそれぞれ導かれ、受圧部70c又は受圧部70c,70dに差圧減圧弁11の出力圧PLS(LS差圧ΔPLS相当の絶対圧)が導かれ、差圧減圧弁11の出力圧PLS又はこの出力圧PLSよりも小さい圧力PLS′を目標補償差圧Pc1として流量制御弁6aの前後差圧を制御する(詳細は後述)。圧力補償弁7bは、1対の対向する受圧部71a,71bと開方向作動の受圧部71cとを有し、受圧部71a,71bに流量制御弁6bの上流側及び下流側の圧力がそれぞれ導かれ、受圧部71cに差圧減圧弁11の出力圧PLS(LS差圧ΔPLS相当の絶対圧)が導かれ、その出力圧PLSを目標補償差圧Pc2として流量制御弁6bの前後差圧を制御する。図示しない他の圧力補償弁もこの圧力補償弁7bと同様に構成されている。
【0023】
差圧減圧弁11は、出力圧PLSを増やす側に位置する受圧部11aと出力圧PLSを減らす側に位置する受圧部11b,11cを有し、受圧部11aに油圧ポンプ2の吐出圧Psが導かれ、受圧部11b,11cにそれぞれ信号ライン10に検出された最高負荷圧PLmaxと自己の出力圧PLSが導かれ、これらの圧力のバランスで油圧ポンプ2の吐出圧Psと最高負荷圧PLmaxとの差圧(LS差圧)ΔPLSを絶対圧PLSとして出力する。この差圧減圧弁11の出力圧PLSは、圧力ライン42,42aを介してポンプ傾転制御機構12に設けられたLS制御弁12bの受圧部12dに導かれる。また、差圧減圧弁11の出力圧PLSは、上述したように圧力補償弁7a,7b,…の受圧部70c,70d,71c,…にも同様に導かれるようになっている。
【0024】
図2は、上記流量制御弁(メインスプール)4a,4b,…及び差圧減圧弁11を含むコントロールバルブ4の全体構造を表す上面図である。
この図2に示すように、コントロールバルブ4はスタック(ブロック)型のコントロールバルブであり、バルブブロックとしての各流量制御弁が並列に並べられて複数(本実施の形態では2つ)のボルト15及びナット16により締結固定されている。このような構成により、各流量制御弁は任意に取り外し又は付け足すことが可能なようになっている。
【0025】
コントロールバルブ4は、油圧ポンプ2から前記ブレーカ用アクチュエータ3aへの圧油を制御する流量制御弁4aと、前記ブームシリンダ3bへの圧油を制御する流量制御弁4bと、アームシリンダ(図示せず)への圧油を制御する流量制御弁4cと、油圧ブレーカとアームとの角度を調整するブレーカシリンダ(図示せず)への圧油を制御する流量制御弁4dと、ブーム、アーム、及び油圧ブレーカからなる前記フロント作業機構を上部旋回体に対して略水平方向に旋回駆動させるスイングシリンダ(図示せず)への圧油を制御する流量制御弁4eと、上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる旋回モータ(図示せず)への圧油を制御する流量制御弁4fと、下部走行体の左・右側にそれぞれ備えられた左・右走行用モータへの圧油を制御する流量制御弁4gL,4gRと、下部走行体の前方側に設けられた排土用のブレードの上下駆動を行うブレードシリンダ(図示せず)への圧油を制御する流量制御弁4hとを備えている。
【0026】
また、コントロールバルブ4は、流量制御弁4hと反対側の端部に配置されたエンドブロック4iと、このエンドブロック4iと流量制御弁4fとの間に配置された圧油流出入ブロック4jとをさらに備えている。この圧油流出入ブロック4jには、油圧ポンプ2から吐出された圧油をコントロールバルブ4内へ導入する図示しないポンプポートと、コントロールバルブ4外へ圧油を排出するタンクポート17が設けられている。また、上記エンドブロック4i内には前記差圧減圧弁11等が設けられている。
【0027】
なお、油圧ショベルが油圧ブレーカ等のフロントアタッチメントを使用せずにバケットを使用する際は、流量制御弁4aは予備用として使用しないようになっている。その際には、流量制御弁4aのアクチュエータポート18,19にそれぞれプラグ20,20がねじ込まれるようになっている(図2はプラグ20,20がねじ込まれた状態を示している)。
【0028】
図3は、流量制御弁4aの詳細内部構造を表す図2中III−III断面による縦断面図である。なお、ここでは上記プラグ20,20の図示は省略する。
この図3において、21は流量制御弁4aのハウジングであり、このハウジング21にはスプールボア22が形成され、このスプールボア22に前記のメインスプール6aが軸方向に摺動自在に挿通されている。また、ハウジング21には油圧ポンプ2の供給油路5に接続されるポンプ通路23と、ブレーカ用アクチュエータ3aに接続される前記アクチュエータポート18,19と、タンクに接続されるタンク通路24,25とが形成され、これらポンプ通路23とタンク通路24,25とはスプールボア22に直交する方向に伸び、他の流量制御弁(上記した流量制御弁4b,4c,4d,4e,4f,4gL,4gR,4h)と共通した通路となっている。
【0029】
スプールボア22の中央部付近のやや外側にはポンプ通路23に圧力補償弁7aを介して連絡するポンプポート22a,22bが形成され、その外側には切換ポート22c,22dび負荷ポート22e,22fが形成されている。ポンプポート22a,22bはブリッジ通路26を介して連絡し、切換ポート22c,22dはブリッジ通路27を介して連絡し、負荷ポート22e,22fはアクチュエータポート18,19にそれぞれ連絡している。
【0030】
メインスプール6aの両端はハウジング21の両側面の外側に突出し、その突出部分に受圧部28,29が位置している。これら受圧部28,29はハウジング21の両側面に取り付けられたケース33,34内に形成され、ケース34内にはメインスプール6aを中立位置に保持するバネ35が配置されている。また、ケース33,34には、操作レバーの操作量に応じた外部からのパイロット圧を導入するためのパイロットポート33a,34aが設けられている。
【0031】
また、メインスプール6aには前記のメータイン絞り部61,62が形成され、その外側には絞り部63,64が形成されている。すなわち、操作レバーが操作されるとメインスプールが図3中右側(又は図3中左側、以下かっこ内対応関係同じ)に移動し、ポンプポート22b(又はポンプポート22a)からの圧油がメータイン絞り部61(又はメータイン絞り部62)で流量を絞られて切換ポート22d(又は切換ポート22c)に流入し、ブリッジ通路27を通って切換ポート22c(又は切換ポート22d)に流入して、メータイン絞り部62(又はメータイン絞り部61)を介して負荷ポート22e(又は負荷ポート22f)に流入する。その後、圧油はアクチュエータポート18(又はアクチュエータポート19)から供給ライン36(又は供給ライン37)を介してブレーカ用アクチュエータ3aに供給されるようになっている。このとき、ブレーカ用アクチュエータ3aを駆動した圧油は、供給ライン37(又は供給ライン36)を介してアクチュエータポート19(又はアクチュエータポート18)からハウジング21内に流入し、負荷ポート22f(又は負荷ポート22e)から絞り部63(又は絞り部22)を介してタンク通路25(又はタンク通路24)に流入するようになっている。なお、ブレーカ用アクチュエータ3aへの圧油供給は一方方向からのみ行うため、メインスプール6aは一方側の切換位置方向(例えばメータイン絞り部61で流量を制御する切換位置方向)にのみ駆動するようになっている。
【0032】
ハウジング21のメインスプール6aの下方部分には、スプールボア38が形成されており、このスプールボア38に圧力補償弁としてのスプール7aが軸方向に摺動自在に挿通されている。このスプール7aは、メータイン絞り部61,62の上流に設置された前置きタイプ(ビフォアオリフィスタイプ)であり、メータイン絞り部61,62の前後差圧を制御するようになっている。上記スプールボア38の略中央部には出力ポート38aが形成されている。また、スプール7aの略中央部には絞り部39が形成されており、その両側には前記の1対の対向する受圧部70a,70bがスプール内部にそれぞれ設けられている。受圧部70aはスプール7aの閉方向作動側(図3中右側)に設けられ、圧力ライン40を介して出力ポート38aと連絡しており、また受圧部70bはスプール7aの開方向作動側(図3中左側)に設けられ、圧力ライン41を介して切換ポート22dと連絡している。また、スプール7aには受圧部70a,70bの外周側にさらに前記の1対の対向する受圧部70c,70dが形成されている。受圧部70cはスプール7aの開方向作動側の外周部に設けられ、圧力ライン42bを介して差圧減圧弁11の出力圧PLSが導かれる。また、受圧部70dはスプール7aの閉方向作動側の外周部に設けられ、圧力ライン42cを介して差圧減圧弁11の出力圧PLSが導かれるようになっている(図1も参照)。
【0033】
上記圧力ライン42cには切換弁43が設けられており、この切換弁43は、圧力ライン42cを連通して受圧部70dと差圧減圧弁11とを連絡する連通位置43A及び圧力ライン42cを遮断して受圧部70dとタンクとを連絡する遮断位置43Bと、これら連通位置43A又は遮断位置43Bに手動で切換操作するためのレバー43aと、切換弁43を遮断位置43B方向に付勢するバネ43bとを備えている(図1も参照)。なお、切換弁が上記遮断位置43Bである場合に、圧力ライン42cを完全に遮断しなくとも、制御上問題とならない程度の小さな連通状態であってもよい。すなわち、この切換弁43は圧力ライン42cにおける出力側の圧力を予め定めた大小2つの値に切換可能な切換弁であるとも言える。
【0034】
このような構成により、切換弁43を遮断位置43Bとしたときには、差圧減圧弁からの出力圧PLS(LS差圧ΔPLS相当の絶対圧)が受圧部70cのみに導かれ、圧力補償弁7aはその出力圧PLSを目標補償差圧Pc1として流量制御弁6aの前後差圧を制御する。なお、このときのメータイン絞り部61,62の最大通過流量(言い換えればブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量)をQmaxとする。一方、切換弁43を連通位置43Aとしたときには、差圧減圧弁11からの出力圧PLSが受圧部70c,70dの両方に導かれる。このとき、本実施の形態では、これら受圧部70c,70dには受圧部70cの受圧面積(A2とする)が受圧部70dの受圧面積(A1とする)より大きくなる(A2>A1)ように適宜の受圧面積比を設けている。これにより、スプール7aに受圧部70c側から作用する力(=PLS×A2)はそれよりも小さい受圧部70c側から作用する力(=PLS×A1)で一部相殺されるので、圧力補償弁7aは上記出力圧PLSよりも小さい圧力PLS′を目標補償差圧として流量制御弁6aの前後差圧を制御する。この結果、このときのメータイン絞り部61,62の最大通過流量(言い換えればブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量)は上記Qmaxよりも小さいQmax′となる。図4は、この切換弁43の切換位置が連通位置43A又は遮断位置43Bである場合のメインスプール6aの開度と圧油供給流量との関係を示した図である。
【0035】
この図4において、Aは切換弁43が連通位置43Aである場合のメインスプール開度と圧油供給流量との関係、Bは切換弁43が遮断位置43Bである場合のメインスプール開度と圧油供給流量との関係を示している。この図4に示すように、切換弁43の切換位置が遮断位置43B又は連通位置43Aの場合におけるメインスプール6aのフルストローク時の最大圧油供給流量はそれぞれQmax′,Qmaxとなり、これらQmax′,Qmaxの関係はQmax′/Qmax=A1/A2(但しA2>A1)で与えられる。したがって、切換弁43を遮断位置43Bから連通位置43Aに切り換えることにより、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量を(A1/A2)倍に変更できる。このようにして、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量を2段階に可変するようになっている。
【0036】
なお、受圧部70c,70dの受圧面積比A1/A2を適宜の値に設定することで、切換弁43を連通位置43Aとした際の最大圧油供給流量Qmax′を任意に設定することが可能である。したがって、受圧部70c,70dの受圧面積A2,A1を必要に応じて変更することで、本実施の形態のように圧油使用流量が大流量と小流量の2種の油圧ブレーカを両方使用したい場合のみでなく、例えば油圧ブレーカとそれ以外のアタッチメント(フォークグラップル等)とを使用したい場合等にも対応できるようになっている。
【0037】
図1に戻り、ポンプ傾転制御機構12は、油圧ポンプ2の吐出圧Psが高くなると油圧ポンプ2の傾転を減らす馬力制御傾転アクチュエータ12aと、油圧ポンプ2の吐出圧Psが複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧PLmaxより目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御するLS制御弁12b及びLS制御傾転アクチュエータ12cとを備えている。
【0038】
上記のLS制御弁12bは、アクチュエータ12cを増圧し油圧ポンプ2の傾転を減らす側に位置する受圧部12dと、アクチュエータ12cを減圧し油圧ポンプ2の傾転を増やす側に位置する受圧部12eとを有し、受圧部12dには差圧減圧弁11の出力圧PLS(油圧ポンプ2の吐出圧Psとアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧PLmaxとの差圧ΔPLS相当の絶対圧)が導かれ、受圧部12eにはエンジン回転数検出回路13の差圧減圧弁51の出力圧Pgrがロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧)として導かれるようになっている。
【0039】
エンジン回転数検出回路13は、流量検出弁50と上記の差圧減圧弁51とを有し、流量検出弁50は可変の絞り部50aを有しかつその絞り部50aがパイロットポンプ30の吐出ライン31に配置されている。吐出ライン31は流量検出弁50の上流側のライン31aと下流側のライン31bを有し、下流側のライン31bには、パイロット油圧源としての元圧を規定するリリーフ弁32が接続され、ライン31bは、例えば流量制御弁6a,6b,…を切換操作するためのパイロット圧を生成するリモコン弁(図示せず)へと接続されている。
【0040】
流量検出弁50は吐出ライン31を流れる圧油の流量を絞り部50aの前後差圧の変化として検出し、その前後差圧を目標LS差圧として用いるためのものである。ここで、吐出ライン31を流れる圧油の流量はパイロットポンプ30の吐出流量であり、この吐出流量はエンジン1の回転数によって変化するため、吐出ライン31を流れる圧油の流量を検出することでエンジン1の回転数を検出することができる。例えば、エンジン1の回転数が低下すれば当該流量が減少し、絞り部50aの前後差圧は低下する。
【0041】
また、絞り部50aは開口面積が連続的に変化する可変絞り部として構成されており、流量検出弁50は更に開方向作動の受圧部50bと絞り方向作動の受圧部50c及びバネ50dを有し、受圧部50bに可変絞り部50aの上流側圧力(ライン31aの圧力)が導かれ、受圧部50cに可変絞り部50aの下流側圧力(ライン31bの圧力)が導かれ、可変絞り部50a自身の前後差圧に依存してその開口面積を変化させる構成となっている。このように流量検出弁50を構成し、可変絞り部50aの前後差圧を目標LS差圧として用いることにより、例えばエンジン回転数に応じたサチュレーション現象の改善が図れ、エンジン回転数を低く設定した場合に良好な微操作性が得られるようになっている。
【0042】
差圧減圧弁51は、エンジン回転数に依存する圧力として可変絞り部50aの前後差圧を絶対圧として出力するエンジン回転数検出弁であり、出力圧Pgrを増やす側に位置する受圧部51aと出力圧Pgrを減らす側に位置する受圧部51b,51cを有し、受圧部51aに可変絞り部50aの上流側圧力が導かれ、受圧部51b,51cにそれぞれ可変絞り部50aの下流側圧力と自己の出力圧Pgrが導かれ、これらの圧力のバランスでライン31bの圧力を基に可変絞り部50aの前後差圧を絶対圧として出力する。差圧減圧弁51の出力ポートは信号ライン53を介してLS制御弁12bの受圧部12eに接続され、差圧減圧弁51の出力圧Pgrが目標LS差圧として受圧部12eに導かれる。その結果、エンジン回転数に応じたアクチュエータスピードの設定が可能なようになっている。
【0043】
以上において、ブレーカ用アクチュエータ3aは特許請求の範囲各項記載の油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される特定のアクチュエータを構成すると共に油圧ショベルのアタッチメント用アクチュエータをも構成し、このブレーカ用アクチュエータ3aとブームシリンダ3bとが複数のアクチュエータを構成し、圧力ライン42cは1対の対向する受圧部のうちの一方の受圧部に差圧減圧弁の出力圧を導く導圧路を構成する。
【0044】
次に、上記構成の本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の動作を以下に説明する。
油圧ポンプ2から吐出された圧油は、操作レバーの操作量に応じて流量制御弁4a,4b,…で流量及び流れ方向を制御され、複数のアクチュエータ3a,3b,…はその圧油により駆動される。このとき、複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧PLmaxが信号ライン10を介して差圧減圧弁11に導かれる。差圧減圧弁11は、このアクチュエータの最高負荷圧PLmaxと油圧ポンプ2の吐出圧Psとの差圧ΔPLS(LS差圧:ΔPLS=Ps−PLmax)を絶対圧PLSとしてLS制御弁12bに供給し、これによりポンプ傾転制御機構12は油圧ポンプ2の吐出圧Psが複数のアクチュエータ3a,3b,…の最高負荷圧PLmaxより目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御する。このとき、このロードセンシング制御の目標差圧は、可変絞り部50aの前後差圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁51からの出力圧Pgrにより、エンジン1の回転数に依存する可変値として設定される。
【0045】
また、上記差圧減圧弁11からの絶対圧PLSは圧力補償弁7a,7b,…にも供給される。ここで、圧油使用流量が大流量の油圧ブレーカを使用する場合には、オペレータは切換弁43を遮断位置43Bとする。これにより、差圧減圧弁11の出力圧PLSは圧力補償弁7aの受圧部70cにのみ導かれる。これにより、圧力補償弁7aはその出力圧PLSを目標補償差圧Pc1として流量制御弁6aの前後差圧を制御する。このときの詳細動作について、図3を用いて以下に説明する。
【0046】
油圧ポンプ2から吐出された圧油はポンプ通路23を通って流量制御弁4aのハウジング21内に流入する。流入した圧油は圧力補償弁(スプール)7aの絞り部39で流量を絞られ、出力ポート38aに導入される。なお、この出力ポート38aの圧油は圧力ライン40を介して受圧部70aに導かれる。これにより、メインスプール6aのメータイン絞り部61,62の上流側の圧力が受圧部70aに導圧されることになる。出力ポート38aに導入された圧油は、メインスプール6aが操作レバーの操作により例えば図3中右側(図3中左側でもよい)に移動した場合には、出力ポート38aからブリッジ通路26を介してポンプポート22bに流入し、メインスプール6aのメータイン絞り部61で操作レバーの操作量に応じて流量を絞られて切換ポート22dに導入される。なお、この切換ポート22dの圧油は圧力ライン41を介してスプール7aの受圧部70bに導かれる。これにより、メインスプール6aのメータイン絞り部61,62の下流側の圧力が受圧部70bに導圧されることになる。したがって、スプール7aにはメータイン絞り部61,62の前後差圧による力が閉作動方向(図3中左方向)に作用する。このとき、差圧減圧弁11からの出力圧PLSが圧力ライン42,42bを介してスプール7aの開方向作動側に位置する受圧部70cに導かれる。これにより、この出力圧PLSによる開作動方向に作用する力と、上記メータイン絞り部61,62の前後差圧による閉作動方向に作用する力とのバランスによって、スプール7aはメータイン絞り部61,62の前後差圧が出力圧PLSとなるように絞り部39で圧油の流量を制御する。
【0047】
なお、上記メータイン絞り部61で流量を絞られ切換ポート22dに導入された圧油は、ブリッジ通路27を通って切換ポート22cに流入し、メータイン絞り部62を介して負荷ポート22eに流入する。その後、アクチュエータポート18を介してハウジング21外へ流出し、供給ライン36を通ってブレーカ用アクチュエータ3aに供給される。これにより、油圧ブレーカが駆動する。このとき、ブレーカ用アクチュエータ3aを駆動した圧油は、供給ライン37を介してアクチュエータポート19からハウジング21内に流入し、負荷ポート22fから絞り部63を介してタンク通路25に流入し、タンクに排出される。
なお、他の圧力補償弁7b,…の動作については、以上説明した圧力補償弁7aの切換弁43を遮断位置43Bとした場合の動作とほぼ同様である。
【0048】
このようにして、圧力補償弁7a,7b,…は差圧減圧弁11の出力する絶対圧PLSを目標補償差圧Pc1,Pc2として流量制御弁6a,6b,…の前後差圧を制御する。この結果、アクチュエータ3a,3b,…の負荷圧の大小に係わらず、油圧ポンプ2の吐出流量がそれぞれの流量制御弁の開口面積に応じた比率で比較的大流量供給される。
【0049】
一方、圧油使用流量が小流量の油圧ブレーカを使用する場合には、オペレータは切換弁43を連通位置43Aとする。これにより、差圧減圧弁11の出力圧PLSが、スプール7aの開方向作動側に位置する受圧部70cと共に、圧力ライン42cを介してスプール7aの閉方向作動側に位置する受圧部70dにも導かれる。このとき、前述したようにこれら受圧部70c,70dの受圧面積A2,A1には適宜の受圧面積比(但しA2>A1)が設けられているため、受圧部70cに導圧された出力圧PLSによる開作動方向に作用する力が、受圧部70dに導圧された出力圧PLSによる閉作動方向に作用する力により一部相殺される。その結果、油圧ポンプ2から吐出されハウジング21に流入した圧油は、メータイン絞り部61,62の前後差圧が出力圧PLSより小さい圧力PLS′となるように、スプール7aの絞り部39で流量を絞られる。これにより、このときのブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量Qmax′は、上述した切換弁43を遮断位置43Bとした場合の最大圧油供給流量QmaxのA1/A2倍となる。
【0050】
この結果、ブレーカ用アクチュエータ3a以外のアクチュエータ3b,…に対しては油圧ポンプ2の吐出流量がそれぞれの流量制御弁の開口面積に応じた比率で供給され、ブレーカ用アクチュエータ3aに対しては流量制御弁6aの開口面積に応じた比率にA1/A2を乗じた比較的少量の圧油が供給される。
【0051】
次に、上記構成及び動作を行う本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の作用について、以下に順番に説明する。
(1)油圧駆動装置の信頼性及び経済性の向上作用
本実施の形態においては、上述したように切換弁43が連通位置43A又は遮断位置43Bに切り換えられることで、差圧減圧弁11の出力圧PLSが圧力補償弁7aの1対の対向する受圧部70c,70dの両方又は片方の受圧部70cに選択的に導かれ、圧力補償弁7aの目標補償差圧が2段階に可変される。その結果、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量が大流量及び小流量(すなわち、Qmax及びQmax′(=Qmax×(A1/A2)))の2段階に可変される。すなわち、オペレータが切換弁43を連通位置43A又は遮断位置43Bに切換操作することで、圧油使用流量が大流量と小流量である2種の油圧ブレーカを1台の油圧ショベルで使用することを可能としている。
【0052】
本実施の形態によれば、このようにしてブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量の可変操作(言い換えれば圧力補償弁7aの目標補償差圧の可変操作)を切換弁43の切り換えにより行うので、その目標補償差圧の可変に係わる制御系統を電気的制御手段を用いない油圧回路のみで構成することができる。したがって、コントローラや電磁弁等の電子機器を用いて目標補償差圧の可変制御を行う前述の従来技術のような構造と比べ、断線、結線不良、又はコンタミによる電磁弁のスティック等の電子機器特有の不具合や、例えば漏水によってコントローラが故障した場合に生じうる目標補償差圧の可変制御の不具合等を防止できるので、油圧駆動装置の信頼性を向上することができる。さらに、上記電磁弁等の電子機器を使用しないので、信頼性を向上できる油圧駆動装置を安価に実現することができる。
【0053】
(2)最大圧油供給量低減時の流量安定性及び操作性の向上作用
本作用を比較例1を用いて説明する。この比較例1は、流量制御弁4aのメインスプール6aのストローク量を規制することで、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量を2段階に可変とする構成であり、例えば図5に示すような構造が考えられる。ここでは、流量制御弁4aのメインスプール6aのストロークを操作可能なペダル45及びパイロット圧力制御弁46を備えており、このペダル45の操作量に応じてパイロットポンプ30からのパイロット元圧がパイロット圧力制御弁46を介してメインスプール6aに導かれ、このメインスプール6aのストローク量に応じた流量の圧油がブレーカ用アクチュエータ3aに供給される。すなわち、ペダル45の操作量が最大(例えば図5中45aに示す状態)である場合には、メインスプール6aのストローク量も最大となり、最大流量の圧油(Q1maxとする)がブレーカ用アクチュエータ3aに供給される。このとき、ペダル45の操作量を規制する例えばボルト等を含むストッパ装置47を設け、ペダル45の操作量を所定の位置(例えば図5中45bに示す状態)で規制することで、メインスプール6aの最大ストローク量をハーフストローク分としてブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量をQ1maxより小さい流量(Q1max′とする)に設定する。このようにして、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量を2段階に可変とすることができる。図6は、この比較例1におけるメインスプール6aの開度と圧油供給流量との関係を示した図である。
【0054】
ここで、一般にメインスプール6aのようなスプール弁は、図6に示すように、フルストローク位置近傍の安定領域(図6中Cで示す領域)においては流量が安定するが、ハーフストローク位置においては流量が比較的不安定となる傾向がある。すなわち、上記比較例1のような構造の場合、最大圧油供給量低減時にはメインスプール6aをハーフストローク位置に保持することになるため、ブレーカ用アクチュエータ3aへの圧油供給流量が不安定となってしまう。また、例えばストッパ装置47が磨耗、破損等した場合には、実際の最大圧油供給流量と設定した最大圧油供給流量とに誤差が生じることになる。さらに、上記比較例1において、例えば油圧ブレーカの代わりに木材・石等の把持作業を行うフォークグラップルを使用する場合を想定すると、把持作業においては細かな操作性を要するため、最大圧油供給量を小流量とした上でさらに圧油供給流量の微調整が必要となる。このとき、比較例1においてはメインスプール6aの最大ストローク量をハーフストローク分に制限した状態であるため、圧油供給量を制御するメータリング領域(図6中Dで示す領域)が狭くなる。したがって、圧油供給流量の制御精度が低下し、フォークグラップルの操作性が低下する。
【0055】
これに対し、本実施の形態では、メインスプール6aのストローク量を規制することはせずに、その上流に位置する圧力補償弁7aによって圧油の流量を絞り、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量を2段階に可変とする。図7は本実施の形態におけるメインスプール6aの開度と圧油供給流量との関係を示した図である。この図7に示すように、本実施の形態によれば、切換弁43を連通位置43Aとすることで、メインスプール6aのフルストローク位置近傍の安定領域(図7中Eで示す領域)において小流量に設定した圧油を供給することができるので、最大圧油供給量低減時においてもブレーカ用アクチュエータ3aへの圧油供給流量を安定させることができる。さらに、上記したフォークグラップルの使用を想定した場合には、メインスプール6aのストローク量を0からフルストローク位置まで最大限に用いて圧油供給流量を制御することができるので、上記比較例1と比べてメータリング領域(図7中Fで示す領域)が格段に広くなる。したがって、圧油供給流量の制御精度が向上し、フォークグラップルの操作性を向上することができる。
【0056】
なお、上記比較例1ではメインスプール6aのストローク量をペダル45を用いてパイロット圧で操作する構成としたが、これに限らず、例えばメインスプール6aを比例電磁弁として電気信号によりストローク量を操作する構成の比較例、又は例えば直引きレバーにより直接メインスプール6aのストローク量を操作する構成の比較例に対しても、上記比較例1の場合と同様のことが言える。
【0057】
(3)圧油供給流量の温度依存性の低減作用
本作用を比較例2を用いて説明する。この比較例2は、圧力補償弁7aに設けられた1対の対向する受圧部70c,70dの受圧面積を等しくし、これら受圧部70c,70dに導かれる圧力の方に圧力差を設けるようにした構造であり、例えば図8に示すような構造が考えられる。この図8に示すように、切換弁43′の連通位置43′Aには固定絞り部48,49が設けられており、切換弁43′がこの連通位置43′Aに切り換えられたときには、差圧減圧弁11からの圧油は固定絞り部48,49を介してタンクに流入すると共に、出力圧PLSとタンク圧(すなわち0)との中間の圧力PLS″(0<PLS″<PLS)が受圧部70dに導かれる。これにより、受圧部70cに導圧された出力圧PLSによる開作動方向に作用する力が、受圧部70dに導圧された圧力PLS″による閉作動方向に作用する力により一部相殺されるので、切換弁43′の切換位置が遮断位置43′Bである場合に比べて目標補償差圧が小さく設定される。このようにして、切換弁43′の切換により圧力補償弁7aの目標補償差圧を2段階に可変して、ブレーカ用アクチュエータ3aへの最大圧油供給流量を2段階に可変するようになっている。
【0058】
しかしながら、上記比較例2のように圧油の流量を固定絞り部48,49で絞る構造の場合、周囲環境の温度によって圧油の粘性が変化し固定絞り部48,49を通過する圧油流量が変化する。これにより、受圧部70dに導圧される圧力PLS″の大きさも温度によって変化するため、圧力補償弁7aの目標補償差圧が不安定となり、その結果、ブレーカ用アクチュエータ3aへの圧油供給流量も不安定となってしまう。
【0059】
これに対し、本実施の形態によれば、切換弁43の連通位置43Aに絞り部を設けない構造としているので、周囲環境の温度に係わらず圧力補償弁7aの目標補償差圧を安定させることができる。したがって、圧油供給流量の温度依存性を低減でき、最大圧油供給量低減時においても、周囲環境の温度に係わらずブレーカ用アクチュエータ3aへ安定した流量で圧油を供給することができる。
【0060】
なお、以上説明してきた本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態においては、1台の油圧ショベルで圧油使用流量が大流量と小流量である2種の油圧ブレーカの両方を使用する場合を述べたが、本発明の適用形態はこれに限るものではない。すなわち、前述したように受圧部70c,70dの受圧面積比A1/A2を適宜の値に設定することで、最大圧油供給量低減時の流量Qmax′も任意に設定することが可能であるので、受圧部70c,70dの受圧面積A2,A1をニーズに応じて設定することで、油圧ブレーカと他のアタッチメントを使用する場合や、他のアタッチメントとさらに他のアタッチメントを使用する場合等にも適用可能である。例えば、木材・石等の把持作業に使用するフォークグラップルは、操作性重視の観点から、一般にその圧油使用流量は油圧ブレーカに比べて小流量である。したがって、例えば1台の油圧ショベルで油圧ブレーカとフォークグラップルとを両方使用したい場合等にも適用することができる。
【0061】
また、本発明の一実施の形態においては、切換弁43を手動切換弁としたが、これに限らず、例えばパイロット圧により切り換わるパイロット切換弁としてもよいし、切換スイッチ等からのON/OFF信号により切り換わる電磁弁としてもよい。また、例えばリンク機構等を介して機械的に力が加えられ、それによって切り換わるような切換弁としてもよい。いずれの場合も、上記本発明の一実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記本発明の一実施の形態においては、最大圧油供給流量を可変させる対象アクチュエータを油圧ブレーカを駆動するブレーカ用アクチュエータとしたが、このようなフロントアタッチメント用のアクチュエータに限らず、例えば前記の排土用ブレードをアングル又はチルトさせるためのシリンダ等、フロントアタッチメント以外のアタッチメント用のアクチュエータでもよい。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、切換弁で導圧路を連通又は遮断して圧力補償弁の1対の対向する受圧部の両方又は片方に差圧減圧弁の出力圧を導くことで、特定のアクチュエータに係わる圧力補償弁の目標補償差圧を2段階に可変とする。これにより、特定アクチュエータへの最大圧油供給流量を2段階に可変とする構成を、油圧回路のみで構成することが可能である。したがって、コントローラ及び電磁弁等の電子機器を用いて目標補償差圧の可変制御を行う構造と比べ、断線、結線不良、コンタミによる電磁弁のスティック、又は例えば漏水によるコントローラの故障等による目標補償差圧の可変制御の不具合を防止できるので、油圧駆動装置の信頼性を向上でき、且つ、これを安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の全体構成を表す図である。
【図2】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態を構成するコントロールバルブの全体構造を表す上面図である。
【図3】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態を構成する流量制御弁の詳細内部構造を表す図2中III−III断面による縦断面図である。
【図4】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態における、切換弁が連通位置及び遮断位置である場合のメインスプールの開度と圧油供給流量との関係を示す図である。
【図5】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の比較例の全体構成を表す図である。
【図6】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の比較例におけるメインスプールの開度と圧油供給流量との関係を示す図である。
【図7】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態におけるメインスプールの開度と圧油供給流量との関係を示す図である。
【図8】本発明の建設機械の油圧駆動装置の一実施の形態の比較例の全体構成を表す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3a ブレーカ用アクチュエータ(特定のアクチュエータ;複数のアクチュエータ;アタッチメント用アクチュエータ)
3b ブームシリンダ(複数のアクチュエータ)
4a 流量制御弁
7a 圧力補償弁
11 差圧減圧弁
42c 圧力ライン(導圧路)
43 切換弁
70c 受圧部
70d 受圧部

Claims (2)

  1. エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される特定のアクチュエータを含む複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記特定のアクチュエータに供給される圧油の流量を制御する流量制御弁と、前記油圧ポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、
    前記油圧ポンプと前記流量制御弁との間に設けられ、前記流量制御弁の前後差圧を制御する圧力補償弁と、
    この圧力補償弁に設けられた1対の対向する第1及び第2受圧部であって、前記圧力補償弁の閉方向作動側に設けられ、前記流量制御弁の上流側の圧力が導かれる第1受圧部、及び前記圧力補償弁の開方向作動側に設けられ、前記流量制御弁の下流側の圧力が導かれる第2受圧部と、
    前記圧力補償弁に設けられ、互いに異なる受圧面積を有した1対の対向する第3及び第4受圧部であって、前記圧力補償弁の開方向作動側に設けられた第3受圧部及び前記圧力補償弁の閉方向作動側に設けられ、前記第3受圧部より受圧面積が小さい第4受圧部と、
    前記1対の対向する第3及び第4受圧部のうち前記圧力補償弁の開方向作動側に設けられた第3受圧部に前記差圧減圧弁の出力圧を導く第1導圧路と、
    前記圧力補償弁の閉方向作動側に設けられた第4受圧部を前記差圧減圧弁に接続する第2導圧路と、
    前記第2導圧路に設けられ、前記差圧減圧弁からの出力圧を前記第4受圧部に導く第1位置と、前記第2導圧路を遮断し、前記第4受圧部をタンクに連通させる第2位置のいずれかに切換可能な切換弁とを備えたことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
  2. 請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置において、前記特定のアクチュエータは油圧ショベルのアタッチメント用アクチュエータであることを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
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