JP3963305B2 - 自動車用閉断面構造部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用閉断面構造部材及びその製造方法に係り、更に詳細には、閉断面構造部材の曲げ荷重特性を変化させてエネルギー吸収を増加させ、且つ重量増加及びコストの増加を伴わない自動車用閉断面構造部材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の軽量化技術については、省エネルギー化及び車両の運動性能向上等の観点から重要な課題となっているとともに、車両の安全性向上の要求をも満足するような開発が望まれている。そこで、最近の自動車においては、車体の軽量化とエネルギー吸収の両立という観点から、アルミニウム部材を鋼板構造部の補強材として利用することも検討されている。
【0003】
これらの技術に関しては、自動車技術会、学術講演会前刷集973『鋼及び、アルミ構造部材のエネルギー吸収特性の検討』(1997)にアルミニウム押出材を用いた例が示されており、図12にはエネルギー吸収特性を比較するために用いた3種類の断面構造について示されている。図12(A)は長手方向に外側フランジ部を有する鋼板製コ字状断面部材と、その開口側に鋼板製クロージングプレートを用いてフランジ部を溶接した構造部材を示したものである。図12(B)は、上記タイプ(A)の構造において、コ字状断面部材の内側に更に高強度の厚い板厚の鋼板製コ字状断面部材をレインフォース部材として設け、フランジ部を一体に溶接したものである。また、図12(C)は、タイプ(A)の開口側に取付けられるクロージングプレート内側の閉断面構造内部に、更にアルミニウムからなる押出し部材をレインフォースとして取付けた構造を有する部材である。図14(a)は、上述した従来のタイプ(A)、(B)及び(C)の構造部材について、図13に示す静的3点曲げ試験を行った結果を示したものであり、また図14(b)は、同様の部材について、台車を15km/hrの速度で走行させ押し治具に部材を衝突させたときの動的エネルギー吸収特性を求めたものである。
【0004】
これらの結果から、コ字状断面部材とその開口側にクロージングプレートを溶接したタイプ(A)の構造部材では、曲げ変形初期にピーク荷重が発生し、変形の後期に従って緩やかに荷重が下がるような荷重−変位線図を示すことが認められる。また、タイプ(A)閉断面構造部材に更に高強度の厚い板厚のコ字状断面部材を内部に挿入したタイプ(B)構造部材は、曲げ荷重が平均的に増加してピークがより顕著に認められるが、荷重−変位線図の形状特性は同様の傾向を示していることが認められる。
【0005】
更に、自動車技術会、学術講演前刷集951『薄鋼板閉断面ビームの補強と静的曲げ強度特性』(1995)に示される図15(a)は、従来より自動車用構造部材として用いられているコ字状断部材同士を、外側フランジとして接合した薄板閉断面構造部材の曲げ変形時の特徴を示したものである。このように従来より用いられている自動車用構造部材にあっては、コ字状断面部材の一方の底面外側より力が加わると、曲げ変形時において両コ字状断部材の底面同士は相互に近づくように内側に変形し、また同時に両フランジ部は外側に遠ざかるような変形モードとなる。この変形を防止するためには、図15(b)に示すように、両フランジ部を繋ぐレインフォース部材を追加する方法が一般的に用いられており、この効果について比較した結果が図16である。図16はレインフォース部材の有無について前述と同様の曲げ試験を実施して得られた荷重−変位線図である。レインフォース部材がない構造部材の荷重−変位線図は変形後期においても荷重低下が抑制されるのが認められる。
【0006】
このように、従来の自動車用構造部材において、構造部材の曲げ変形特性を変化させるためには、開断面構造部材の内部にレインフォース部材を追加する方法が一般的に行われてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように従来の自動車用構造部材において曲げ変形特性を変形させるためにレインフォース部材を追加すると、座屈変形抑制に有効に作用して荷重吸収エネルギー特性は向上するものの、構造部材自体の重量が増加するため車両重量の増加につながってしまうという問題点があった。
また、新たなレインフォース部材を追加する場合には、新たに材料費や型製作費用が必要となるため、車両全体としてのコスト増加を伴うという問題があった。
そこで、自動車用構造部材において新たなレインフォース部材を追加せずに、また、コストを増加せずに曲げ荷重特性を変化させてエネルギー吸収を増加させ、上記の問題点を解決することが課題となっていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、曲げ荷重特性を変化させてエネルギー吸収を増加させた自動車用閉断面構造部材及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、曲げ変形時に接合部が折りたたまれるように変形する接合方法を採用することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の自動車用閉断面構造部材は、2つのコ字状断面部材が有するフランジを接合して成る自動車用閉断面構造部材であって、
上記フランジは、該コ字状断面部材のコ字状の両端部且つ長手方向に底面とほぼ水平に延在し、少なくとも一方が該部材の外壁側面から内側方向に設けられた内向きフランジであり、
上記コ字状断面部材の長手方向に対して垂直且つ2つのコ字状断面部材がなす外壁面の長さDと、長手方向に連続するフランジ接合部の合計長さCとが、2D≦Cを満たし、
長手方向且つ上記内向きフランジにおいて接合されていない部分の最大長さEと、長手方向に垂直且つ上記コ字状断面部材の底面から該フランジ接合部までの長さLとが、E<Lを満たし、
上記フランジの接合率W(接合長さ/フランジ長さ×100%)が、70/L<W/Eを満たし、
上記長さLが、D/2≦L≦7D/8の範囲にあり、
外壁側面に対向するフランジ接合部を有し、上面側から衝撃を受けることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動車用閉断面構造部材の好適形態は、上記合計長さCが、3D≦Cを満たすことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の自動車用閉断面構造部材の製造方法は、自動車用閉断面構造部材を製造する方法であって、
上記コ字状断面部材のフランジ同士を溶接又は接着により接合することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車用閉断面構造部材について、詳細に説明する。なお、本明細書においては、主に衝撃を受ける側の面を「上面」、他方の面を「底面」と記載するが、両者に本質的な差異がある訳ではなく、説明の便宜のためであり、両者を相互に交換して記載しても、本発明の範囲に属するのはいうまでもない。
【0014】
上述の如く、本発明の自動車用閉断面構造部材は、2つのコ字状断面部材が有するフランジを接合して成る。言い換えれば、2つのコ字状断面部材を底面内壁が互いに対向するように接合されて成る自動車用閉断面構造部材である。
ここで、上記フランジは、該コ字状断面部材のコ字状の両端部且つ長手方向に底面とほぼ水平に延在する。また、上記フランジの少なくとも一方は、該部材の外壁側面から内側方向に設けられた内向きフランジとする。
このような構成を有する閉断面構造部材とすることにより、外向きフランジのみを有する構造部材に比べ、曲げ変形中の荷重の低下が小さくなる。また、レインフォース部材を追加することなく変形中のエネルギー吸収量が大きくなるので、車両等の構造部材としてに用いるときは、軽量化により燃費が向上し、省資源により材料費や型製作費が削減され、車両等の全体としてコスト低減が図れる。更に、フランジは断続的な接合で足りるため生産性が向上する。
【0015】
具体的には、例えば、図17に示すように、2つのコ字状断面部材から成り、両方のフランジを内向きにして溶接して成る自動車用閉断面構造部材(a)、両方のフランジを外向きにして溶接して成る自動車用閉断面構造部材(b)、及びこれらの衝撃3点曲げ試験後の曲がり変形部分より説明できる。即ち、従来例の一例である(b)の部材断面は、曲げ変形時にフランジ接合部が両方とも外側に引かれるように変形するのに対し、本発明の一例である(a)の部材断面は、接合部が折りたたまれるような変形を生じているのが認められる。
【0016】
また、図9に示す本発明の自動車用閉断面構造部材の一例のように、コ字状断面部材の長手方向に対して垂直方向且つ上記2つのコ字状断面部材がなす外壁側面の長さD(自動車用閉断面構造部材高さ)と、長手方向に連続するフランジ接合部の合計長さCとは、2D≦Cの関係を満たす。上記フランジ接合長さCが2D未満では、フランジ設置方向が内向きであるか外向きであるかを問わず、また、1箇所の非接合部の長さにも関係なく、曲げ変形中の荷重低下が著しく増大し、自動車用などの構造部材として用いるに適さない。
更に、長手方向且つ上記内向きフランジにおいて接合されていない部分の最大長さE(非接合部の長さ)と、長手方向に垂直且つ上記コ字状断面部材の底面から該フランジまでの長さL(フランジ設置高さ)とは、E<Lの関係を満たす。非接合部分の長さE≧Lであると、自動車用閉断面構造部材の上面側からの荷重入力に対して、下部材に力が十分に伝わらず下部材のエネルギー吸収効果が低くなってしまう。
【0017】
また、上記フランジの接合位置(フランジ設置高さ)とエネルギー吸収効果との関係を表すグラフを図8(b)に示す。
このグラフにおいて、横軸はフランジの接合位置、縦軸はエネルギー吸収を示しており、グラフ中の縦軸の値が高いほど曲げ変形中の荷重の低下が小さいことを示している。なお、衝撃入力により部材が曲げ変形を受ける場合には、初期に断面が潰れる段階とそれに続く曲がり変形が生じる。
従って、本発明では、曲げ変形の曲げ中心側を外側(上面側)として、フランジ接合部を自動車用閉断面構造部材高さDの中間よりも外側に配置することにより、自動車用閉断面構造部材にエネルギー吸収効果を与えることができる。なお、最外面、言い換えれば、L=Dとなる位置で接合すると上記効果は全く得られない。
【0018】
具体的には、上記フランジ設置高さLが、D/2≦L≦7D/8の範囲にあるようにする。言い換えれば、自動車用閉断面構造部材の延在方向(長手方向)に垂直である外壁側面の長さDの中間から、上面側(外側)へ3/4(中間〜上面の3/4の距離)までの範囲であることが良い。
この範囲にフランジ接合部を配置することにより、曲げ変形中の荷重の低下が小さくなり易く、エネルギー吸収量が大きくなり易いので有効である。また、15%以上の軽量化効果に相当するエネルギー吸収の増加、即ち、かかる位置に内向きフランジ接合部を有することで、従来の自動車用閉断面構造部材(両側に外向きフランジを有する構造部材)に部材重量の15%以上に相当するレインフォース部材を追加した場合と同様のエネルギー吸収量を得ることができる。
【0019】
また、上記フランジの接合率W(接合長さ/フランジ長さ×100%)は、70/L<W/Eを満たすようにする。これより、接合率Wが70〜100%の場合には著しい差異はないが、70%未満の場合には自動車用の閉断面構造部材として特に優れた実用性を発揮するので有効である。なお、上記接合長さを、図9(b)に示す自動車用閉断面構造部材の黒塗り部分に例示する。
【0020】
次に、上述した本発明の自動車用閉断面構造部材の製造方法について詳細に説明する。
この製造方法では、上記コ字状断面部材のフランジ同士を溶接又は接着により接合して、自動車用閉断面構造部材を得る。例えば、図2に示すように、レーザ溶接により、フランジ同士を接合することができる。
【0021】
次に、本発明の自動車用閉断面構造部材について詳細に説明する。
この自動車用閉断面構造部材は、上述した本発明の自動車用閉断面構造部材を用い、外壁側面に対向するフランジ接合部を有し、上面側から衝撃を受けることを特徴とする。この場合は、曲げ荷重特性を変化させてエネルギー吸収量を増加させるとともに、軽量化が実現でき車両全体としてのコスト低減が図れる。なお、自動車用閉断面構造部材の形状は適宜所望形状に変形して用いることができる。また、上記フランジ接合部は、衝撃を受ける方向などを考慮して対向する接合部の高さが異なるようにしても良い。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を図面を参照して実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1及び比較例1)
実施例1として、引張り強度が590MPa、板厚1.8mmの鋼板を用いて、ベント成形によりインナー部材とアウター部材の断面深さ比が2:1となるように、部材の両側に内向きフランジ接合部を有する、図1に示すような、断面形状(a)(100mm×90mm、コーナーR=5mm)及び長さ900mm(b)の閉断面構造部材(自動車用閉断面構造部材)を形成した。なお、コ字状部材として用いたインナー部材及びアウター部材の内角は全て90°とした。また、フランジの接合は、図2に示す内向きフランジの接合方法により、レーザを用いて溶接長を100%として連続溶接を行った。
【0024】
一方、比較例1として、実施例1と同様の鋼板を用い、インナー部材とアウター部材の断面深さ比が2:1となるように、部材の両側に外向きフランジ接合部を有する、図1に示すような、断面形状の長さ900mmの閉断面構造部材(c)を形成した。このとき、外向きフランジには間隔25mmでスポット溶接を行った。
なお、実施例1及び比較例1の部材において、部材長手方向に直角方向のフランジ接合部を含む外壁側面の長さD及び部材底面からフランジ接合部までの距離Lは、それぞれD=100mm、L=66mmであり、これを図1に合わせて示す。
【0025】
得られた実施例1及び比較例1の構造部材について、アウター部材が上になるようにして荷重110kg、速度8.3m/secにて衝撃3点曲げ試験を実施した。この結果を図3に示す。
図3より、比較例1の閉断面構造部材は、曲げ変形中期以降に変形荷重が低下してしまうことがわかる。これに対し、実施例1の閉断面構造部材は、曲げ荷重の低下が緩やかになり、変形中におけるエネルギー吸収率が大きいことが認められる。
【0026】
(実施例2及び比較例2)
実施例2として、引張り強度が440MPa、板厚1.8mmの鋼板を用いて、インナー部材とアウター部材の断面深さ比が2:1となるように、部材の片側に内向きフランジを設け、図4に示すような断面形状(100mm×90mm、コーナーR=5mm)及び長さ900mmの閉断面構造部材を形成した。なお、コ字状部材として用いたインナー部材及びアウター部材の内角は全て90°とした。また、内向きフランジ及び外向きフランジの接合は、実施例1と同様の方法で接合した。
【0027】
一方、比較例2として、実施例2と同様の鋼板を用い、インナー部材とアウター部材の断面深さ比が2:1となるように、部材の両側に外向きフランジを設け、各々の面との角度が90°となるように長さ900mmの閉断面構造部材を形成した。なお、フランジは比較例1と同様の方法で接合した。
【0028】
得られた実施例2及び比較例2の構造部材について、アウター部材が上になるようにして荷重300kg、速度8.0m/secにて衝撃3点曲げ試験を実施した。この荷重とストロークの関係を図5に示す。
図5より、実施例2の閉断面構造部材は、発生した変形荷重は変形初期のピークは発生しないものの、次第に荷重が増加し、その後の荷重の低下が緩やかになり、比較例2の閉断面構造部材に比較して吸収エネルギー大きくなっているのが認められる。
【0029】
(実施例3〜5、比較例3〜5)
実施例3〜5として、引張り強度が440MPa、板厚1.6mmの鋼板を用い、インナー部材とアウター部材の断面深さ比が2:1となるように、また、アウター部材の両コ字状部材の内角θがそれぞれ90°、98°及び105°となるように、部材の両側に内向きフランジを設け、更に、インナー部材の両コ字状部材の内角が90°となるように、図6(a)に示すような、断面形状(100mm×90mm、コーナーR=5mm)及び長さ900mmの閉断面構造部材をそれぞれ形成した。なお、内向きフランジの接合は、レーザを用いて溶接長を100%として連続溶接を行った。
【0030】
一方、比較例3〜5として、実施例3〜5と同様の鋼板を用い、インナー部材とアウター部材の断面深さ比が2:1となるように、また、アウター部材の両コ字状内角がそれぞれ90°、98°及び105°となるように、部材の両側に外向きフランジを設け、更に、インナー部材の両コ字状部材の内角が90°となるように、図6(b)に示すような、断面形状の長さ900mmの閉断面構造部材をそれぞれ形成した。なお、外向きフランジは、実施例1と同様の方法で接合した。
【0031】
得られた実施例3〜5及び比較例3〜5の閉断面構造部材について、アウター部材が上になるようにして荷重300kg、速度8.0m/secにて衝撃3点曲げ試験を実施した。この荷重とストロークの関係を図7に示す。
図7より、アウター部材の両コ字状内角度によって発生する反力の値は異なるものの、内向きフランジを有する実施例3〜5の閉断面構造部材の変形荷重は、荷重のピークが発生しないものの、次第に荷重が増加し荷重の低下が緩やかになり、外向きフランジを有する比較例3〜5の閉断面構造部材に比べて吸収エネルギーが大きくなっているのが認められる。
【0032】
(実施例6〜9及び比較例6〜8)
実施例6〜9及び比較例6、7として、内向きフランジの接合位置、即ち、底面から内向きフランジ接合部までの距離Lを変えたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、閉断面構造部材を形成した。なお、アウター部材とインナー部材のフランジ接合位置は、接合部外壁面長さの中心部の位置、即ちL=D/2の位置((2):実施例6)、中心部から内側に1/6の位置、即ちL=5D/12の位置((1):比較例6)、中心部から外側にそれぞれ1/4の位置、即ちL=5D/8の位置((3):実施例7)、2/4の位置、即ちL=3D/4の位置((4):実施例8)、及び3/4の位置、即ちL=7D/8の位置((5):実施例9)とした。
また、実施例1と同様の鋼板を用いて、L=D、即ちインナー部材のみを用いてコ字状断面部材の開口部端部に内向きフランジ接合部を有する部材を形成し、その開口部にクロージングプレートを用いてフランジを溶接し、比較例7((6))の閉断面構造部材を形成した。
更に、アウター部材とインナー部材のフランジを両方とも外側にして接合した以外は、実施例6と同様の操作を繰り返して、比較例8((7))の閉断面構造部材を形成した。
【0033】
実施例6〜9及び比較例6〜8で得られた構造部材について、図8(a)に示すように、アウター部材(外側)を上にして、衝撃3点曲げ試験を実施した。エネルギー吸収量とフランジの結合位置との関係を図8(b)に示す。
図8(b)において、縦軸は荷重−ストローク線図の面積、即ちエネルギー吸収量を示したもので、エネルギー吸収量が高いほど、曲げ変形中の荷重の低下が小さくエネルギー吸収量のが大きいことを示している。フランジ接合部の位置とエネルギー吸収量の関係では、L=3D/4の位置、即ち部材の外壁側面の中心から外側に1/2の位置において最大のエネルギー吸収が認められる。実施例6〜9の部材は、フランジ接合部の位置が部材外壁側面の長さDの中心から外側に3/4までの位置(D/2≦L≦7D/8)において、エネルギー吸収量は、外向きフランジを有する従来部材(比較例8)に比較して大きいことがわかる。
実施例6(L=D/2)及び実施例9(L=7D/8)のエネルギー吸収量は、部材重量の約15%に相当する軽量化の効果が得られることがわかった。即ち、実施例6及び実施例9の部材は、従来の両外向きフランジを有する部材である比較例8(部材重量は実施例6、9と同等)に、部材重量の約15%に相当する重量のレインフォース部材を追加した部材と同等のエネルギー吸収量が得られる。
また、実施例8(L=3D/4)のエネルギー吸収量は、部材重量の約30%に相当する軽量化の効果が得られることがわかった。即ち、従来の両外向きフランジを有する部材である比較例8に、部材重量の約30%に相当する重量のレインフォース部材を追加した部材と同等のエネルギー吸収量が得られる。
【0034】
(実施例10〜13及び比較例9〜11)
板厚が1.6mmの鋼板を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、図9に示すような閉断面構造部材を形成した。
また、内向きフランジをそれぞれ、接合率55%、最大非溶接部長さ20mm(実施例11)、接合率34%、最大非溶接部長さ30mm(実施例12)、接合率69%、最大非溶接部長さ50mm(実施例13)とした以外は、実施例10と同様な操作を繰り返して、実施例11〜13の閉断面構造部材を形成した。
【0035】
一方、内向きフランジをそれぞれ、接合率47%、最大非溶接部長さ125mm(比較例9)、接合率32%、最大非溶接部長さ35mm(比較例10)、接合率69%、最大非溶接部長さ70mm(比較例11)とした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返して、比較例9〜11の閉断面構造部材を形成した。
【0036】
実施例10〜13及び比較例9〜11について、衝撃曲げ試験結果の曲げ−平均荷重線図を図10に示す。図10では、実施例10〜13をA群とし、比較例9〜11をB群とした。また、内向きフランジ接合部と接合間隔の有効な範囲の関係を図11に示す。
図10及び図11より、実施例10〜13(図10のA群)は、ほぼ同等の衝撃曲げ試験結果が得られ、先述の非溶接長さEと自動車用閉断面構造部材の底面からフランジまでの長さLとにおいてE<Lであり、且つフランジの接合率(接合長さ/フランジ長さ×100%)をWとしたとき、70/L<W/Eの関係を満足していれば、接合率100%と同等の性能が得られることが認められる。これに対して、比較例9〜11(図10のB群)は、図11に示す領域外であり、実施例に比較して曲げ変形中の荷重の低下が大きくエネルギー吸収量が小さいことが認められる。
従って、内向きフランジ接合の場合は図11に示す範囲が、曲げ変形中の荷重の低下が小さくエネルギー吸収量が大きく効果のある範囲であることがわかる。
【0037】
以上、本発明を好適実施例及び比較例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記アウター部材及びインナー部材は、双方を同一材料で形成することに限定されず、エネルギー吸収能を考慮して異種の材料で各部材を形成することもできる。また、外壁側面に対向して存在するフランジ接合部は、必ずしも接合部と接合部とが対向する位置にある必要はない。更に、自動車用閉断面構造部材の上面や底面に所望形状のカバーを取付けたり、上面自体を変形させて更にエネルギー吸収量を高めることもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、曲げ変形時に接合部が折りたたまれるように変形する接合方法を採用することとしたため、曲げ荷重特性を変化させてエネルギー吸収を増加させた自動車用閉断面構造部材、その製造方法及び自動車用閉断面構造部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び比較例1で得た自動車用閉断面構造部材の断面形状を示す図である。
【図2】 内向きフランジの接合方法を示す概略図である。
【図3】 実施例1及び比較例1で得た自動車用閉断面構造部材の衝撃3点曲げ試験結果を示すグラフである。
【図4】 実施例2及で得た自動車用閉断面構造部材の断面形状を示す図である。
【図5】 実施例2及び比較例2で得た自動車用閉断面構造部材の衝撃3点曲げ試験結果を示すグラフである。
【図6】 実施例3〜5及び比較例3〜5で得た自動車用閉断面構造部材の断面形状を示す図である。
【図7】 実施例3〜5及び比較例3〜5で得た自動車用閉断面構造部材の衝撃3点曲げ試験結果を示すグラフである。
【図8】 フランジ接合部位置の違いによる衝撃3点曲げ試験結果を示すグラフである。
【図9】 実施例10で得た自動車用閉断面構造部材の断面形状及び部材形状を示す図である。
【図10】 実施例10〜13及び比較例9〜11で得た自動車用閉断面構造部材の衝撃3点曲げ試験結果を示すグラフである。
【図11】 フランジ接合部と接合間隔との有効範囲を示すグラフである。
【図12】 従来より用いられている自動車用閉断面構造部材の断面形状を示す図である。
【図13】 静的3点曲げ試験を示す図である。
【図14】 従来の自動車用閉断面構造部材の3点曲げ試験結果を示す図である。
【図15】 従来の外向きフランジを有する自動車用閉断面構造部材の曲げ変形時の特徴及びレインフォース部材の追加例を示す図である。
【図16】 従来の外向きフランジを有する自動車用閉断面構造部材にレインフォース部材を追加した効果を示す図である。
【図17】 曲がり変形時の断面変形モードを示す概略図である。
【符号の説明】
1 アウター部材
2 インナー部材
3 レーザ溶接ノズル
4 レーザ溶接ビート
5 内向きフランジ
6 レインフォース部材
7 スポット溶接
Claims (3)
- 2つのコ字状断面部材が有するフランジを接合して成る自動車用閉断面構造部材であって、
上記フランジは、該コ字状断面部材のコ字状の両端部且つ長手方向に底面とほぼ水平に延在し、少なくとも一方が該部材の外壁側面から内側方向に設けられた内向きフランジであり、
上記コ字状断面部材の長手方向に対して垂直且つ2つのコ字状断面部材がなす外壁面の長さDと、長手方向に連続するフランジ接合部の合計長さCとが、2D≦Cを満たし、
長手方向且つ上記内向きフランジにおいて接合されていない部分の最大長さEと、長手方向に垂直且つ上記コ字状断面部材の底面から該フランジ接合部までの長さLとが、E<Lを満たし、
上記フランジの接合率W(接合長さ/フランジ長さ×100%)が、70/L<W/Eを満たし、
上記長さLが、D/2≦L≦7D/8の範囲にあり、
外壁側面に対向するフランジ接合部を有し、上面側から衝撃を受けることを特徴とする自動車用閉断面構造部材。 - 上記合計長さCが、3D≦Cを満たすことを特徴とする請求項1に記載の自動車用閉断面構造部材。
- 請求項1又は2に記載の自動車用閉断面構造部材を製造する方法であって、
上記コ字状断面部材のフランジ同士を溶接又は接着により接合することを特徴とする自動車用閉断面構造部材の製造方法。
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